(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-15
(45)【発行日】2022-07-26
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 40/103 20200101AFI20220719BHJP
【FI】
G06F40/103
(21)【出願番号】P 2021173668
(22)【出願日】2021-10-25
【審査請求日】2021-10-26
(31)【優先権主張番号】P 2021081275
(32)【優先日】2021-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519363649
【氏名又は名称】弁理士法人IPX
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】弁理士法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】植野 健一
【審査官】松崎 孝大
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-119327(JP,A)
【文献】特開平09-223142(JP,A)
【文献】特開平11-143874(JP,A)
【文献】特開2000-207396(JP,A)
【文献】特開2000-276465(JP,A)
【文献】特表2002-537602(JP,A)
【文献】再公表特許第2006/051960(JP,A1)
【文献】特開2015-130191(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 40/103
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理システムであって、
制御部を備え、
前記制御部は、次の各ステップを実行するように構成され、
取得ステップでは、ユーザーが選択した対象ファイル
を取得するとともに、予め定められたディレクトリに保存された雛形ファイル
をユーザーによる選択を伴わずに取得し、ここで
前記対象ファイル及び前記雛形ファイルは、所定のアプリケーションで作成され、且つ体裁、機能又は動作を規定する所定のデータ構造を備えるプロファイルを有するファイルであり、
前記対象ファイルは、前記プロファイルとして第1設定記載を有し、
前記雛形ファイルは、前記プロファイルとして第2設定記載を有し、
変更ステップでは、前記雛形ファイルから前記第2設定記載を読み込み、前記対象ファイルの前記第1設定記載以外の部分に依らず、前記第1設定記載を、前記第2設定記載に変更する、もの。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理システムにおいて、
前記取得ステップでは、前記ファイルのうち、前記ユーザーによって所定のアイコンにドラッグ&ドロップされたファイルを、前記対象ファイルとして取得する、もの。
【請求項3】
請求項2に記載の情報処理システムにおいて、
前記ディレクトリに保存されたファイルを、該ファイルと異なるファイルに変更又は上書き保存することで、前記雛形ファイルを更新可能に構成される、もの。
【請求項4】
請求項1~請求項3の何れか1つに記載の情報処理システムにおいて、
前記取得ステップでは、前記ファイルのうち、外部サーバーに保存されたファイルを、前記雛形ファイルとして取得する、もの。
【請求項5】
請求項1~請求項4の何れか1つに記載の情報処理システムにおいて、
前記プロファイルは、前記対象ファイルに係る表示の体裁、印刷の体裁、及びマクロ機能のうち少なくとも1つを含む、もの。
【請求項6】
請求項1~請求項5の何れか1つに記載の情報処理システムにおいて、
前記所定のアプリケーションは、図面作成用のソフトウェアである、もの。
【請求項7】
情報処理方法であって、
請求項1~請求項6の何れか1つに記載の情報処理システムの各ステップを備える、方法。
【請求項8】
プログラムであって、
コンピュータに、請求項1~請求項6の何れか1つに記載の情報処理システムの各ステップを実行させる、もの。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
文書や図表等を作成するアプリケーションソフトウェア(以下、アプリケーションと称する)で作成したファイルには、文書や図表等の体裁や印刷マージン、マクロ等の各種設定値等が含まれている。
【0003】
特許文献1には、文書の体裁や印刷マージン、マクロ等の各種設定値に係るデータ構造についての技術が開示されている。このようなデータ構造を文書や図表等が有することで、文書や図表等が互換性及び拡張性を備えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1に開示されている技術等で作成された文書や図表等のファイルの各種設定値等は、ファイル作成時に用いた雛形の値が設定されるが、雛形は変更される可能性がある。そのため、変更前の旧設定で作成したファイルは、旧設定が記憶されており、これを変更後の雛形に応じた各種設定値等に変更する作業は、煩雑である。
【0006】
本発明では上記事情を鑑み、ファイルの各種設定値等が旧設定で作成されたファイルを、変更後の新設定の雛形で作成されたファイルに変更する作業の煩雑さを解消する情報処理システムを提供することとした。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、情報処理システムが提供される。この情報処理システムは、制御部を備える。制御部は、次の各ステップを実行するように構成される。取得ステップでは、ユーザーが選択した対象ファイルと、予め設定された雛形ファイルとを取得する。対象ファイル及び雛形ファイルは、所定のアプリケーションで作成され、且つ体裁、機能又は動作を規定する所定のデータ構造を備えるプロファイルを有するファイルである。対象ファイルは、プロファイルとして第1設定記載を有する。雛形ファイルは、プロファイルとして第2設定記載を有する。変更ステップでは、第1設定記載を、第2設定記載に変更する。
【0008】
このような情報処理システムによれば、文書や図表等のファイルに係る各種設定値の変更前の旧設定で作成されたファイルを、変更後の新設定で作成されたファイルに変更するため、変更作業の煩雑さを解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】情報処理装置3を含む情報処理システム1の模式図である。
【
図2】情報処理装置3のハードウェア構成を表すブロック図である。
【
図3】情報処理装置3における制御部33が担う機能を表す機能ブロック図である。
【
図4】ファイルFのプロファイルP及び設定記載Sを表す図である。
【
図5】対象図面ファイルF11及び雛形図面ファイルF21の設定記載Sを表す図である。
【
図6】実施形態に情報処理方法に係るアクティビティ図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。
【0011】
ところで、本実施形態に登場するソフトウェアを実現するためのプログラムは、コンピュータが読み取り可能な非一時的な記録媒体(Non-Transitory Computer-Readable Medium)として提供されてもよいし、外部のサーバーからダウンロード可能に提供されてもよいし、外部のコンピュータで当該プログラムを起動させてクライアント端末でその機能を実現(いわゆるクラウドコンピューティング)するように提供されてもよい。
【0012】
また、本実施形態において「部」とは、例えば、広義の回路によって実施されるハードウェア資源と、これらのハードウェア資源によって具体的に実現されうるソフトウェアの情報処理とを合わせたものも含みうる。また、本実施形態においては様々な情報を取り扱うが、これら情報は、電圧・電流といった信号値の物理的な値、0又は1で構成される2進数のビット集合体としての信号値の高低、又は量子的な重ね合わせ(いわゆる量子ビット)によって表され、広義の回路上で通信・演算が実行されうる。
【0013】
また、広義の回路とは、回路(Circuit)、回路類(Circuitry)、プロセッサ(Processor)、及びメモリ(Memory)等を少なくとも適当に組み合わせることによって実現される回路である。すなわち、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等を含むものである。
【0014】
1.全体構成
第1章では、本実施形態に係る情報処理システムについて説明する。
図1は、情報処理装置3を含む情報処理システム1の模式図である。情報処理システム1は、情報処理装置3と、外部サーバー8とを含む。情報処理装置3と、外部サーバー8とは、ネットワーク2を介して通信可能に接続されている。
【0015】
1.1 情報処理装置3
図2は、情報処理装置3のハードウェア構成を表すブロック図である。情報処理装置3は、通信部31と、記憶部32と、制御部33と、表示部34と、入力部35とを備える。これらの構成要素が情報処理装置3の内部において通信バス30を介して電気的に接続されていてもよい。
【0016】
(通信部31)
通信部31は、USB、IEEE1394、Thunderbolt、有線LANネットワーク通信等といった有線型の通信手段が好ましいものの、無線LANネットワーク通信、LTE/5G等のモバイル通信、Bluetooth(登録商標)通信等を必要に応じて含めてもよい。即ち、これら複数の通信手段の集合として実施することがより好ましい。
【0017】
(記憶部32)
記憶部32は、前述の記載により定義される様々な情報を記憶する。これは、例えばソリッドステートドライブ(Solid State Drive:SSD)等のストレージデバイスとして、あるいは、プログラムの演算に係る一時的に必要な情報(引数、配列等)を記憶するランダムアクセスメモリ(Random Access Memory:RAM)等のメモリとして実施されうる。また、これらの組み合わせであってもよい。
【0018】
(制御部33)
制御部33は、情報処理装置3に関連する全体動作の処理・制御を行う。制御部33は、例えば不図示の中央処理装置(Central Processing Unit:CPU)である。
図3は、情報処理装置3における制御部33が担う機能を表す機能ブロック図である。制御部33は、記憶部32に記憶された所定のプログラムを読み出すことによって、情報処理装置3に係る種々の機能を実現する。
図3においては、単一の制御部33として表記されているが、実際はこれに限るものではなく、機能ごとに複数の制御部33を有するように実施してもよい。またそれらの組み合わせであってもよい。これらの各機能は、次章にて詳述する。
【0019】
(表示部34)
表示部34は、例えば、情報処理装置3に含まれてもよいし、外付けされてもよい。表示部34は、情報処理装置3に外付け、又は内蔵されたCRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ及びプラズマディスプレイ等の表示デバイスである。情報処理装置3の種類に応じて使い分けて実施することが好ましい。当該表示デバイスは、制御部33からの制御信号に応答し、表示画面を生成する。また、制御部33からの制御信号に応答して、表示画面を選択的に表示しうる。ユーザーUは、表示部34に表示された各種ファイルFを視覚的に把握することができる。
【0020】
(入力部35)
入力部35は、ユーザーUが入力した各種ファイルFを取得する。入力部35は、例えば、マウス等のポインティングデバイス、モード切替スイッチ等の選択デバイス、キーボード等の入力デバイスである。また、入力部35は、グラフィカルユーザインターフェース(Graphical User Interface:GUI)を用いることにしてもよい。これらの入力部35は、情報処理装置3に内蔵されてもよいし、外付けされてもよい。また、ユーザーUは、音声を発して、情報処理装置3の備える機能を操作してもよい。そのため、入力部35は、マイクロフォンであってもよい。
【0021】
1.2 外部サーバー8
外部サーバー8は、情報処理装置3とネットワーク2を通じて通信可能に接続されている。そのため、情報処理装置3は、ネットワーク2に接続されている外部サーバー8にアクセスし、外部サーバー8に保存されている各種ファイルFを記憶若しくは取得可能に構成される。
【0022】
ユーザーUが利用可能な外部サーバー8は、ユーザーUが所属している団体(例えば、企業、特許事務所、特許業務法人等)が管理している各種ファイルFを保存している。ユーザーUは、情報処理装置3を用いて、外部サーバー8にアクセスして、そこに保存されている各種ファイルFの操作及び管理を行う。
【0023】
以下、本実施形態では、ユーザーUは、企業、特許事務所、特許業務法人等の知財業務に携わる団体又は組織であってもよい。
【0024】
1.3 ファイルF
ファイルFは、所定のアプリケーションで作成されたものであり、体裁、機能又は動作を規定するプロファイルPとして設定記載Sを有する。アプリケーションは、特定の機能や目的のために開発・使用されるソフトウェアである。ここでは、特定の機能や目的は、文書作成、表計算、図面作成、プレゼンテーション資料作成等の支援である。また、ファイルFのファイル形式は、限定されない。
【0025】
図4は、ファイルFのプロファイルP及び設定記載Sを表す図である。このようなファイルFは、体裁、機能又は動作を規定するプロファイルPとして設定記載Sを有する。プロファイルPは、ファイルFの表示の体裁、印刷の体裁、及びマクロ機能のうち少なくとも1つを含むものである。所定のアプリケーションで作成されたファイルFは、共通のプロファイルPを有する。そのためプロファイルPのデータフォーマットは、固定されて同一である。即ち、印刷マージン、文字の大きさなどのデータは、データフォーマットの所定の場所に格納されている。また、設定記載Sは、これからの表示の体裁、印刷の体裁、及びマクロ機能に係る具体的なデータである。
図3では、表示の体裁の例として、文書背景色及びヘッダー情報が表され、印刷の体裁の例として、印刷マージンが表されている。さらに、プロファイルPの設定記載Sが表されている。マクロ機能は、ファイルFに係る複数の操作等の動作をまとめて実行する機能であり、一例として、ファイルFが有する特定の文字列の抽出及び当該文字列の背景色の変更が挙げられる。
【0026】
図4に表したように、ファイルFとして、対象ファイルF1と雛形ファイルF2とが存在する。両者は、所定のアプリケーションで作成されるが、対象ファイルF1は、体裁、機能又は動作を規定する所定のデータ構造を備えるプロファイルP1として第1設定記載S1を有し、雛形ファイルF2は、プロファイルP2として第2設定記載S2を有する。換言すると、対象ファイルF1と雛形ファイルF2は、同じデータフォーマットであるが、対象ファイルF1は、雛形ファイルF2が有する第2設定記載S2とは異なる第1設定記載S1を有する。このように、設定記載Sは、ファイルFによって異なってよい。
【0027】
2.機能構成
第2章では、本実施形態の機能構成について説明する。
図2に表したように、情報処理システム1を構成する情報処理装置3は、制御部33を備え、さらに制御部33は、取得部331と、変更部332と、表示制御部333とを備える。即ち、ソフトウェア(記憶部32に記憶されている)による情報処理がハードウェア(制御部33)によって具体的に実現されることで、これら各部の機能が実行されうる。以下、各構成要素についてさらに説明する。
【0028】
2.1 取得部331
取得部331は、取得ステップを実行するように構成される。取得部331は、ユーザーUが選択した対象ファイルF1と、予め設定された雛形ファイルF2とを取得する。取得部331は、ユーザーUがキーボード(入力部35)を用いてファイル名を入力することによって特定された、対象ファイルF1と、雛形ファイルF2とを取得してもよい。また、取得部331は、ユーザーUによって所定のアイコンにドラッグ&ドロップされた対象ファイルF1と、雛形ファイルF2とを取得してもよい。取得方法は、限定されない。
【0029】
2.2 変更部332
変更部332は、変更ステップを実行するように構成される。変更部332は、対象ファイルF1のプロファイルP1の第1設定記載S1を、第2設定記載S2に変更する。変更部332は、雛形ファイルF2内の所定の場所に格納された第2設定記載S2を読み込み、対象ファイルF1内の所定の場所に格納された第1設定記載S1を第2設定記載S2に書き換える。ファイルFは、プロファイルPに係る設定記載Sを、ファイルFが記憶されている記憶部32の所定のアドレス上に格納している。そのため、変更部332は、当該アドレスを取得することで、設定記載Sにアクセスすることができる。このように、変更部332は、第1設定記載S1及び第2設定記載S2が格納されている所定のアドレスにアクセスをして、対象ファイルF1のプロファイルP1を第2設定記載S2に変更することができる。
【0030】
2.3 表示制御部333
表示制御部333は、情報処理システム1の各ステップでのエラー内容を表示する。具体的には、表示制御部333は、雛形ファイルF2が作成されたアプリケーションと異なるアプリケーションで作成された対象ファイルF1が取得された場合、取得エラーを表示する。また、表示制御部333は、取得部331が取得した外部サーバー8に存在する雛形ファイルF2が適正でない場合、取得エラーを表示する。
【0031】
3.情報処理システム1の機能
第3章では、第1章及び第2章で説明した情報処理システム1の各機能について説明する。説明にあたり、本実施形態では、ファイルFを作成する所定のアプリケーションは、図面作成用のソフトウェアとする。また、ファイルFは、特許出願書類に係る図面データを有するものとする。
図5は、対象図面ファイルF11及び雛形図面ファイルF21の設定記載Sを表す図である。以下、対象ファイルF1を対象図面ファイルF11として、雛形ファイルF2を雛形図面ファイルF21として説明する。なお、ファイルFは、pdfファイル、aiファイル、epsファイル又はCADファイルであってよく、さらに好ましくは、PowerPointファイル又はVisioファイルであってよい。
【0032】
図面は、見やすく、且つ最新の規定に則り作成される必要があるため、図面の体裁、機能又は動作を規定するプロファイルPは、最新の設定記載Sであることが望まれる。そのため、ユーザーUは、以下の各機能を実行させて、対象図面ファイルF11のプロファイルP1が有する第1設定記載S1を、最新の雛形図面ファイルF21のプロファイルP2が有する第2設定記載S2に変更することが好ましい。
【0033】
3.1 ファイルFの取得機能
前述したように、最初に取得部331は、ユーザーUが選択した対象図面ファイルF11と、予めプロファイルP2が設定された雛形図面ファイルF21とを取得する。ここでは、雛形図面ファイルF21は、ユーザーUによって、最新の図面データのプロファイルP2として、第2設定記載S2が既に設定されている。
【0034】
取得部331は、ファイルFのうち、ユーザーUによって所定のアイコンにドラッグ&ドロップされたファイルFを、対象図面ファイルF11として取得してもよい。このように、所定のアイコンを介在させて、取得部331が対象図面ファイルF11を取得することで、ユーザーUは、視覚的に、対象図面ファイルF11を選択することができる。また、ユーザーUが対象図面ファイルF11のファイル名をキーボード(入力部35)に入力する必要がないため、入力時間及び入力ミスの削減が図られる。
【0035】
雛形図面ファイルF21は、情報処理装置3の所定のディレクトリに保存されてもよい。その結果、取得部331は、ファイルFのうち、予め定められたディレクトリに保存されたファイルFを、雛形図面ファイルF21として取得することができる。最新の特許出願書類に係る図面データとして、雛形図面ファイルF21が予め定められたディレクトリに保存されることで、取得部331は、確実に最新の雛形図面ファイルF21を取得することができる。また、ユーザーUが、表示部34を介して雛形図面ファイルF21を視覚的に確認する上で、情報処理装置3は、確実に最新の雛形図面ファイルF21を表示部34に表示させることができる。
【0036】
取得部331は、ファイルFのうち、外部サーバー8に保存されたファイルFを、雛形図面ファイルF21として取得してもよい。雛形図面ファイルF21を外部サーバー8に保存することで、複数のユーザーUが特許出願書類に係る図面を作成する場合、最新の雛形図面ファイルF21が外部サーバー8に保存されることで、ユーザーUは、雛形ファイルF2を一元管理することができる。その結果、ユーザーUは、情報処理装置3で雛形図面ファイルF21を管理するよりも、効率的に雛形図面ファイルF21を管理することができる。
【0037】
3.2 雛形ファイルF2の更新
特許出願書類に係る図面は、見やすく、且つ最新の規定に則り作成されることが求められるため、ユーザーUが雛形ファイルF2を容易に更新できることが好ましい。そのため情報処理装置3内のディレクトリに保存されたファイルFを、ファイルFと異なるファイルFに変更又は上書き保存することで、雛形図面ファイルF21を更新可能に構成されてもよい。かかる構成にすることで、ユーザーUは、所定のディレクトリに保存された雛形図面ファイルF21を容易に更新することができる。
【0038】
具体的には、ユーザーUが情報処理装置3のディスプレイ(表示部34)上の所定のアイコンにドラッグ&ドロップしたファイルFを、最新の雛形図面ファイルF21としてもよい。その結果、ユーザーUは、雛形図面ファイルF21を簡便かつ確実に更新することができる。
【0039】
3.3 プロファイルPの設定記載Sの変更
ファイルFは、プロファイルPとして設定記載Sを有する。設定記載Sは、ファイルFのデータが保存された記憶部32の所定のアドレス上に格納されている。変更部332は、ファイルFの有する所定のアドレスデータを取得して、所望の設定記載Sを取得する。
【0040】
ここでは、ファイルFは、XML(Extensible Markup Language)形式であるとして説明する。XMLは、ファイルFの有するデータの構造及び体裁を記述するマークアップ言語であり、データの内容を記載する「タグ」を自由に設定することが可能である。さらに、XMLは、データを構造化することが可能である。XMLは、このような体系を有しているため、データ連携やデータ交換が容易であり、互換性を求められるアプリケーションで使用されている。
【0041】
一例として、対象図面ファイルF11のプロファイルP1の一つである印刷マージンを最新の印刷マージンに変更する方法を説明する。変更部332は、雛形図面ファイルF21のプロファイルP2の中から、印刷マージンのデータの内容を記載する「タグ」を検索する。その後、変更部332は、当該「タグ」に係る第2設定記載S2を読み込み、記憶部32に記憶する。次に、変更部332は、対象図面ファイルF11のプロファイルP1の中から、当該「タグ」を検索する。その後、変更部332は、記憶部32に記憶された第2設定記載S2を、当該「タグ」に係る第1設定記載S1に上書きする。
【0042】
このようにして、変更部332は、対象図面ファイルF11の変更対象のプロファイルP1が有する第1設定記載S1を第2設定記載S2に変更する。前述したように、プロファイルPのデータフォーマットは、固定されて同一である。そのため変更部332は、取得部331が対象ファイルF1を取得したとき、具体的には、対象ファイルF1が所定のアイコンにドラッグ&ドロップされたとき、プロファイルPのデータフォーマットに記憶された第1設定記載S1を第2設定記載S2に変更することができる。ユーザーがプロファイルPの内容を個別に取捨選択する必要がないため、変更時に人為的なミスが防げる。
【0043】
変更対象のプロファイルP1は、図面作成の管理者によって決定されてもよい。かかる図面管理をすることで、変更部332が変更対象のプロファイルP1を自動的に変更するため、ユーザーUは、変更対象のプロファイルP1を意識しなくてもよい。そのためユーザーUは、図面作成に集中することができる。
【0044】
ユーザーUは、雛形図面ファイルF21の第2設定記載S2に変更された対象図面ファイルF11をディスプレイ(表示部34)上で確認し、例えば、印刷マージンに図面がはみ出ている場合、図面の位置を適切に修正することができる。特許出願書類に係る図面が、見やすく且つ分かりやすく作成される。
【0045】
本章で説明した機能を情報処理システム1が有することで、過去に作成された対象図面ファイルF11を流用又は転用したいというユーザーUの要望と、最新のプロファイルP2を有する雛形図面ファイルF21で図面を作成して欲しいという管理者の要望とを両方満たすことができる。具体的に説明すると、特許出願書類に係る図面を作成する場合、管理者としては、最新のマクロ機能を搭載したプロファイルP2をユーザーUに使用してほしいという要望がある。本実施形態によれば、ユーザーUは、過去に作成された対象図面ファイルF11のプロファイルP1を、プロファイルP2に書き換えて流用することで、一部の図面を流用しつつ且つプロファイルP2に係る最新のマクロ機能を用いることが可能となり、より効率的な環境を実現することができる。
【0046】
4.情報処理方法
第4章では、第1章から第3章までで説明した情報処理方法について説明する。情報処理方法は、情報処理システム1の各ステップを備える。具体的には、取得ステップでは、ユーザーUが選択し対象図面ファイルF11と、予め設定された雛形図面ファイルF21とを取得する。取得ステップ完了後、変更ステップでは、対象図面ファイルF11のプロファイルP1を、雛形図面ファイルF21のプロファイルP2が有する第2設定記載S2に変更する。
図6は、実施形態に情報処理方法に係るアクティビティ図である。以下、本図に沿って説明する。
【0047】
(アクティビティA01)
取得部331は、特許出願書類に係る図面データを有する対象図面ファイルF11を取得する。
(アクティビティA02)
取得部331は、特許出願書類に係る図面データを有する雛形図面ファイルF21を取得する。
(アクティビティA03)
変更部332は、雛形図面ファイルF21の当該プロファイルP2が有する第2設定記載S2を読み込む。
(アクティビティA04)
変更部332は、対象図面ファイルF11の当該プロファイルP1が有する第1設定記載S1に第2設定記載S2を上書きする。その後当該アクティビティが完了する。
【0048】
このような情報処理方法によれば、ユーザーUは、取得部331と変更部332を実行させるだけで対象図面ファイルF11を最新の雛形図面ファイルF21の体裁に合わせることができる。その結果、ユーザーUが図面作成用のアプリケーションを実行して、ダイアログボックス等の入力部35から、雛形の第2設定記載S2を入力する手間が削減される。変更部332が自動的に、対象図面ファイルF11を雛形図面ファイルF21の体裁にするため、ヒューマンエラーも削減される。
【0049】
5.その他
下記のような態様によって前述の実施形態を実施してもよい。
(1)情報処理装置3は、ディスプレイ(表示部34)に複数の雛形ファイルF2を表示させ、取得部331は、複数の雛形ファイルF2から選択されたものを受け付けてもよい。雛形ファイルF2は、用途又はユーザーUの属性に応じて複数用意されることで、汎用的に使用されうる。ここでは、雛形ファイルF2は、プロファイルPのデータ内容が異なるものが用意されている。
(2)情報処理装置3は、不図示の修正部を備えてもよい。修正部は、ソフトウェア(記憶部32に記憶されている)による情報処理がハードウェア(制御部33)によって具体的に実現される機能部であってよい。ユーザーUは、対象ファイルF1のプロファイルP1が第2設定記載S2に変更された後、ディスプレイ(表示部34)で対象ファイルF1を確認して、さらに修正部を介して適切な第2設定記載S2に修正してもよい。対象ファイルF1の体裁等は、ユーザーUが視覚で確認することで、より適切なものとなりうる。
(3)ユーザーUが、対象ファイルF1を所定のアプリケーションで開く時に、変更部332が、当該対象ファイルF1のプロファイルP1を雛形ファイルF2が有する第2設定記載S2に変更してもよい。ユーザーUは、確実に、更新されたプロファイルP1で、対象ファイルF1を編集することができる。
(4)プログラムであって、コンピュータ(情報処理装置3)に、情報処理システム1の各ステップを実行させるものが提供されてもよい。
【0050】
さらに、次に記載の各態様で提供されてもよい。
前記情報処理システムにおいて、前記取得ステップでは、前記ファイルのうち、前記ユーザーによって所定のアイコンにドラッグ&ドロップされたファイルを、前記対象ファイルとして取得する、もの。
前記情報処理システムにおいて、前記取得ステップでは、前記ファイルのうち、予め定められたディレクトリに保存されたファイルを、前記雛形ファイルとして取得する、もの。
前記情報処理システムにおいて、前記ディレクトリに保存されたファイルを、該ファイルと異なるファイルに変更又は上書き保存することで、前記雛形ファイルを更新可能に構成される、もの。
前記情報処理システムにおいて、前記取得ステップでは、前記ファイルのうち、外部サーバーに保存されたファイルを、前記雛形ファイルとして取得する、もの。
前記情報処理システムにおいて、前記プロファイルは、前記対象ファイルに係る表示の体裁、印刷の体裁、及びマクロ機能のうち少なくとも1つを含む、もの。
前記情報処理システムにおいて、前記所定のアプリケーションは、図面作成用のソフトウェアである、もの。
情報処理方法であって、前記情報処理システムの各ステップを備える、方法。
プログラムであって、コンピュータに、前記情報処理システムの各ステップを実行させる、もの。
もちろん、この限りではない。
【0051】
最後に、本発明に係る種々の実施形態を説明したが、これらは、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。当該新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。当該実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0052】
1 :情報処理システム
2 :ネットワーク
3 :情報処理装置
30 :通信バス
31 :通信部
32 :記憶部
33 :制御部
331 :取得部
332 :変更部
333 :表示制御部
34 :表示部
35 :入力部
8 :外部サーバー
F :ファイル
F1 :対象ファイル
F11 :対象図面ファイル
F2 :雛形ファイル
F21 :雛形図面ファイル
P :プロファイル
P1 :プロファイル
P2 :プロファイル
S :設定記載
S1 :第1設定記載
S2 :第2設定記載
U :ユーザー
【要約】
【課題】ファイルの各種設定値等が旧設定で作成されたファイルを、変更後の新設定の雛形で作成されたファイルに変更する作業の煩雑さを解消する情報処理システムを提供すること。
【解決手段】本発明の一態様によれば、情報処理システムが提供される。この情報処理システムは、制御部を備える。制御部は、次の各ステップを実行するように構成される。取得ステップでは、ユーザーが選択した対象ファイルと、予め設定された雛形ファイルとを取得する。対象ファイル及び雛形ファイルは、所定のアプリケーションで作成され、且つ体裁、機能又は動作を規定する所定のデータ構造を備えるプロファイルを有するファイルである。対象ファイルは、プロファイルとして第1設定記載を有する。雛形ファイルは、プロファイルとして第2設定記載を有する。変更ステップでは、第1設定記載を、第2設定記載に変更する。
【選択図】
図1