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特許7106195コンピュータシステム、薬提案方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-15
(45)【発行日】2022-07-26
(54)【発明の名称】コンピュータシステム、薬提案方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/10 20180101AFI20220719BHJP
【FI】
G16H20/10
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019561486
(86)(22)【出願日】2017-12-27
(86)【国際出願番号】 JP2017047010
(87)【国際公開番号】W WO2019130495
(87)【国際公開日】2019-07-04
【審査請求日】2020-05-13
(73)【特許権者】
【識別番号】500521522
【氏名又は名称】株式会社オプティム
(74)【代理人】
【識別番号】100177220
【弁理士】
【氏名又は名称】小木 智彦
(72)【発明者】
【氏名】菅谷 俊二
【審査官】山内 裕史
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-012761(JP,A)
【文献】特開2016-077649(JP,A)
【文献】特開2004-160082(JP,A)
【文献】国際公開第2015/141724(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00 - 80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
病気の診断結果にあった薬を提案するコンピュータシステムであって、
ユーザへの問診のための問診データを出力する出力手段と、
前記問診データに対する回答データを受け付ける受付手段と、
前記回答データに含まれる前記ユーザの体温、患部画像、血圧、脈拍、呼吸数の何れか又は全てを含む体調データに基づいて、診断を行う診断手段と、
前記診断と、前記回答データに含まれる前記体調データと、に基づいて処方した薬の種類及び分量とを学習しておき、当該学習結果に基づいて、前記診断に関連する薬を提案する提案手段と、
を備え、
前記受付手段は、前記提案された薬の処方結果をさらに受け付け、
前記提案手段は、前記処方結果をさらに学習しておき、学習した前記処方結果が否定的である場合は、他の薬を提案し、
前記患部画像は前記ユーザが撮像したものであり、画像解析によって前記診断が行われることを特徴とするコンピュータシステム。
【請求項2】
前記提案手段は、前記診断に加えて、前記ユーザの病歴及び服用歴に基づいて、前記薬の種類及び分量を学習しておき、前記診断に関連する薬を提案する、
ことを特徴とする請求項1に記載のコンピュータシステム。
【請求項3】
前記提案手段が提案した薬を処方できる薬剤師に通知する通知手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のコンピュータシステム。
【請求項4】
病気の診断結果にあった薬を提案するコンピュータシステムが実行する薬提案方法であって、
ユーザへの問診のための問診データを出力するステップと、
前記問診データに対する回答データを受け付けるステップと、
前記回答データに含まれる前記ユーザの体温、患部画像、血圧、脈拍、呼吸数の何れか又は全てを含む体調データに基づいて、診断を行うステップと、
前記診断と、前記回答データに含まれる前記体調データと、に基づいて処方した薬の種類及び分量とを学習しておき、当該学習結果に基づいて、前記診断に関連する薬を提案するステップと、
を備え、
前記受け付けるステップは、前記提案された薬の処方結果をさらに受け付け、
前記提案するステップは、前記処方結果をさらに学習しておき、学習した前記処方結果が否定的である場合は、他の薬を提案し、
前記患部画像は前記ユーザが撮像したものであり、画像解析によって前記診断が行われることを特徴とする薬提案方法。
【請求項5】
病気の診断結果にあった薬を提案するコンピュータシステムに、
ユーザへの問診のための問診データを出力するステップ、
前記問診データに対する回答データを受け付けるステップ、
前記回答データに含まれる前記ユーザの体温、患部画像、血圧、脈拍、呼吸数の何れか又は全てを含む体調データに基づいて、診断を行うステップ、
前記診断と、前記回答データに含まれる前記体調データと、に基づいて処方した薬の種類及び分量とを学習しておき、当該学習結果に基づいて、前記診断に関連する薬を提案するステップ、
を実行させ、
前記受け付けるステップは、前記提案された薬の処方結果をさらに受け付け、
前記提案するステップは、前記処方結果をさらに学習しておき、学習した前記処方結果が否定的である場合は、他の薬を提案し、
前記患部画像は前記ユーザが撮像したものであり、画像解析によって前記診断が行われるためのコンピュータ読み取り可能なプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病気の診断結果にあった薬を提案するコンピュータシステム、薬提案方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォンやタブレット端末等の端末装置にインストールしたアプリケーションを利用し、ユーザの病状の診断を行うことが行われている。
【0003】
このような診断として、ユーザのバイタルサイン、既往歴、年齢等の様々な情報を利用して病状を診断する構成が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-131495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の構成では、病気の診断は可能であるものの、この病気を治療するための薬は、単純な診断の結果に基づいて決定することは困難であった。これは、薬が、人によって十分な効果が得られないことがあるためであり、従来のアプリケーションを利用した病気の診断において、病気を治療するための適切な薬を処方することは困難であった。
【0006】
本発明の目的は、病気を治療するための適切な薬を処方することが可能なコンピュータシステム、薬提案方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
【0008】
本発明は、病気の診断結果にあった薬を提案するコンピュータシステムであって、
ユーザへの問診のための問診データを出力する出力手段と、
前記問診データに対する回答データを受け付ける受付手段と、
前記回答データに含まれる前記ユーザの体温、患部画像、血圧、脈拍、呼吸数の何れか又は全てを含む体調データに基づいて、診断を行う診断手段と、
前記診断と、前記回答データに含まれる前記体調データと、に基づいて処方した薬の種類及び分量とを学習しておき、当該学習結果に基づいて、前記診断に関連する薬を提案する提案手段と、
を備え、
前記受付手段は、前記提案された薬の処方結果をさらに受け付け、
前記提案手段は、前記処方結果をさらに学習しておき、学習した前記処方結果が否定的である場合は、他の薬を提案し、
前記患部画像は前記ユーザが撮像したものであり、画像解析によって前記診断が行われることを特徴とするコンピュータシステムを提供する。
【0009】
本発明によれば、病気の診断結果にあった薬を提案するコンピュータシステムは、ユーザへの問診のための問診データを出力し、前記問診データに対する回答データを受け付け、前記回答データに含まれる前記ユーザの体温、患部画像、血圧、脈拍、呼吸数の何れか又は全てを含む体調データに基づいて、診断を行い、前記診断と、前記回答データに含まれる前記体調データと、に基づいて処方した薬の種類及び分量とを学習しておき、当該学習結果に基づいて、前記診断に関連する薬を提案し、前記提案された薬の処方結果をさらに受け付け、前記処方結果をさらに学習しておき、学習した前記処方結果が否定的である場合は、他の薬を提案し、患部画像はユーザが撮像したものであり、画像解析によって前記診断が行われる。
【0010】
ここで、本発明は、コンピュータシステムのカテゴリであるが、方法又はプログラム等の他のカテゴリにおいても、そのカテゴリに応じた同様の作用・効果を発揮する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、病気を治療するための適切な薬を処方することが可能なコンピュータシステム、薬提案方法及びプログラムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、薬提案システム1の概要を示す図である。
図2図2は、薬提案システム1の全体構成図である。
図3図3は、情報端末100の機能ブロック図である。
図4図4は、情報端末100が実行する学習処理を示すフローチャートである。
図5図5は、情報端末100が実行する学習診断処理を示すフローチャートである。
図6図6は、回答データを受け付けた状態の一例を示す図である。
図7図7は、診断結果表示画面の一例を示す図である。
図8図8は、診断結果表示画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図を参照しながら説明する。なお、これはあくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
【0014】
[薬提案システム1の概要]
本発明の好適な実施形態の概要について、図1に基づいて説明する。図1は、本発明の好適な実施形態である薬提案システム1の概要を説明するための図である。薬提案システム1は、情報端末100から構成され、病気の診断結果にあった薬を提案するコンピュータシステムである。
【0015】
なお、図1において、情報端末100は、1つに限らず複数であってもよい。また、情報端末100は、実在する装置に限らず仮想的な装置であってもよい。また、薬提案システム1は、図示していないコンピュータや端末装置等の外部装置を有し、これらと情報端末100とがデータ通信可能に接続される構成であってもよい。
【0016】
情報端末100は、自身にインストールされたアプリケーションを利用して、ユーザの病気を診断することが可能な端末装置である。このようなアプリケーションにおいて、情報端末100は、ユーザのバイタルサイン、既往歴、投薬歴、症状等の様々なデータを取得することにより、診断を実行する。情報端末100は、例えば、携帯電話、携帯情報端末、タブレット端末、パーソナルコンピュータに加え、ネットブック端末、スレート端末、電子書籍端末、携帯型音楽プレーヤ等の電化製品や、スマートグラス、ヘッドマウントディスプレイ等のウェアラブル端末や、その他の物品である。
【0017】
なお、上述したアプリケーションによる診断は、このような構成に限らず、適宜変更可能であり、要点としては、ユーザから受け付けた入力内容に基づいて、該当する一又は複数の病気を特定することが可能であればよい。
【0018】
情報端末100にインストールされたアプリケーションは、病気の診断に必要な各種情報(病名、病状、症状、療法等)に関するデータベースが格納される。このアプリケーションは、このデータベースと後述するユーザから受け付けた入力内容とに基づいて、病気の診断を行う。また、このアプリケーションは、後述する通り、診断の結果と、診断に基づいて処方した薬の種類及び分量とを学習しておき、学習結果に基づいて、新たな診断の結果に関連する薬を提案する。また、このアプリケーションは、後述する通り、診断の結果に加えて、回答データに含まれるユーザの体調データや、ユーザの病歴及び薬の服用歴に基づいて、薬の種類及びその分量を学習しておき、診断の結果に関連する薬を提案する。また、このアプリケーションは、後述する通り、提案した薬を処方できる薬剤師に通知する。
【0019】
なお、上述したアプリケーションによる薬の提案は、この構成に限らず、適宜変更可能である。要点としては、このユーザの診断と、診断に基づいて処方した薬の種類及び分量とを学習しておき、この学習結果に基づいて、診断に関連する薬を提案することが可能であればよい。
【0020】
情報端末100は、ユーザに対して、病気に関する問診データを出力する(ステップS01)。情報端末100は、例えば、症状が発生している部位である患部(頭、顔、首、耳、目、口、腕等の身体の一部又は全部)及び実際の症状の内容に関する問診を問診データとして出力する。このとき、情報端末100は、上述した問診を、複数の選択肢への選択入力として出力してもよいし、仮想的なキーボードによる文字入力や音声入力をユーザへ促すためのテキストボックスを出力してもよい。情報端末100は、この問診データを、自身が有する表示部に表示することにより出力する。
【0021】
情報端末100は、問診データにあわせて、ユーザの体調データを取得するために複数の選択肢への選択入力やテキストボックスを出力する。
【0022】
情報端末100は、この問診データに対する回答を示す回答データを受け付ける(ステップS02)。情報端末100は、例えば、上述した選択入力、文字入力又は音声入力を受け付けることにより、回答データを受け付ける。なお、情報端末100は、自身が有する撮影装置によりユーザが患部を撮影した患部画像を、回答データとして受け付けてもよい。この場合、後述する診断において、画像解析により、患部及びその症状を診断すればよい。
【0023】
情報端末100は、回答データを受け付ける際、このユーザの体調データを取得する。体調データとは、例えば、体温(平熱の体温及び現在の体温)、写真による判定が有効なもの(例えば、アレルギー疾患、皮膚疾患、感染症)には患部画像、血圧、脈拍、呼吸数である。情報端末100は、情報端末100に通信可能に接続されたこれらの体調データを取得するための機器から体調データを取得してもよいし、回答データにあわせて体調データを選択入力、文字入力又は音声入力を受け付けることにより体調データを取得してもよい。
【0024】
情報端末100は、受け付けた回答データに基づいて、病気の診断を行う(ステップS03)。情報端末100は、受け付けた回答データにおける患部及びこの患部の症状に該当する病気を患部及び症状を登録した病気データベースを参照することにより、病気の病名を特定し、病気の診断を行う。この病気データベースは、患部とこの患部における症状とに該当する病気の病名が登録されたものである。
【0025】
なお、情報端末100は、回答データに加えて、体調データを加味して病気の診断を行ってもよい。
【0026】
情報端末100は、この診断に基づいて、必要な薬の種類及び分量を決定し、この薬の種類及び分量を学習する(ステップS04)。
【0027】
なお、情報端末100は、この学習に際して、このユーザの診断時点における体調データをさらに対応付けて学習してもよい。また、情報端末100は、この学習に際して、このユーザの過去の病歴及び薬の服用データをさらに対応付けて学習してもよい。また、情報端末100は、この学習に際して、これらの体調データと、過去の病歴及び薬の服用データとをさらに対応付けて学習してもよい。
【0028】
情報端末100は、このようにして、このユーザに対して適切な薬の種類及び分量を学習しておき、次回の診断時、利用する。
【0029】
情報端末100は、新たにユーザが診断を行う際、上述した問診データの出力、回答データの受付、この回答データに基づいた診断を行い、この診断に関連する薬を、上述した学習結果に基づいて、ユーザに提案する(ステップS05)。
【0030】
なお、情報端末100は、この提案した薬を処方できる薬剤師に通知してもよい。この場合、情報端末100は、該当する薬剤師が所持する外部装置にこの薬のデータを送信することにより通知する。また、情報端末100は、該当する薬剤師が所持する外部装置との間でビデオ通話等を実行することにより、通知してもよい。
【0031】
以上が、薬提案システム1の概要である。
【0032】
なお、上述した各処理は、必ずしも情報端末100単体により実行する構成でなくてもよい。例えば、薬提案システム1は、情報端末100が、図示していないコンピュータや他の端末装置等の外部装置に、回答データを送信し、外部装置が、診断を実行し、診断結果を情報端末100に出力する構成であってもよい。また、外部装置が、上述した学習を行い、学習結果を、情報端末100が取得する構成であってもよい。また、薬提案システム1は、上述した各処理の何れか又は複数の処理を、情報端末100又は外部装置の何れか又は双方が実行してもよい。
【0033】
[薬提案システム1のシステム構成]
図2に基づいて、本発明の好適な実施形態である薬提案システム1のシステム構成について説明する。図2は、本発明の好適な実施形態である薬提案システム1のシステム構成を示す図である。薬提案システム1は、情報端末100から構成され、病気の診断結果にあった薬を提案するコンピュータシステムである。なお、情報端末100は、1つに限らず、複数であってもよい。また、情報端末100は、実在する装置に限らず、仮想的な装置であってもよい。また、公衆回線網等により図示していないコンピュータや他の端末装置等の外部装置と通信可能に接続されていてもよい。
【0034】
情報端末100は、後述の機能を備えた上述した端末装置である。
【0035】
[各機能の説明]
図3に基づいて、本発明の好適な実施形態である薬提案システム1の機能について説明する。図3は、情報端末100の機能ブロック図を示す図である。
【0036】
情報端末100は、制御部110として、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備え、通信部120として、他の機器と通信可能にするためのデバイス、例えば、IEEE802.11に準拠したWiFi(Wireless Fidelity)対応デバイスを備える。また、情報端末100は、記憶部130として、ハードディスクや半導体メモリ、記録媒体、メモリカード等によるデータのストレージ部を備える。情報端末100は、記憶部130に後述する病気データベースを記憶する。また、情報端末100は、入出力部140として、制御部110で制御したデータや画像等を出力表示する表示部や、ユーザからの入力を受け付けるタッチパネルやキーボード、マウス等の入力部等の各種デバイスを備える。
【0037】
情報端末100において、制御部110が所定のプログラムを読み込むことにより、通信部120と協働して、薬通知モジュール150を実現する。また、情報端末100において、制御部110が所定のプログラムを読み込むことにより、記憶部130と協働して、記憶モジュール160を実現する。また、情報端末100において、制御部110が所定のプログラムを読み込むことにより、入出力部140と協働して、アプリケーションモジュール170、問診出力モジュール171、回答受付モジュール172、診断モジュール173、診断結果通知モジュール174、薬判断モジュール175、評価受付モジュール176、学習モジュール177を実現する。
【0038】
[学習処理]
図4に基づいて、薬提案システム1が実行する学習処理について説明する。図4は、情報端末100が実行する学習処理のフローチャートを示す図である。上述した各モジュールが実行する処理について、本処理にあわせて説明する。
【0039】
はじめに、アプリケーションモジュール170は、診断用アプリケーションを起動する(ステップS10)。ステップS10において、アプリケーションモジュール170は、ユーザからのタップ入力や音声入力等による起動入力を受け付けることにより、該当する診断用アプリケーションを起動する。以下の各処理は、アプリケーションが実際の処理を実行するものとして説明する。
【0040】
問診出力モジュール171は、患部や該当患部における症状に関する複数の選択肢や問診、ユーザから患部や該当患部における症状の直接入力を受け付けるテキストボックス等を、問診データとして出力する(ステップS11)。ステップS11において、問診出力モジュール171は、問診データを、表示部に表示する。この問診データには、ユーザの体調データを取得するための選択肢やテキストボックスが含まれる。体調データとは、例えば、ユーザの体温(平熱の体温及び現在の体温)、写真による判定が有効なもの(例えば、アレルギー疾患、皮膚疾患、感染症)には患部画像、血圧、脈拍、呼吸数である。
【0041】
なお、問診出力モジュール171は、問診データを、音声出力等により出力してもよい。
【0042】
回答受付モジュール172は、問診データに対する回答を、回答データとして受け付ける(ステップS12)。ステップS12において、回答受付モジュール172は、上述した選択肢に対する選択入力、仮想的なキーボードによる文字入力又はユーザからの音声による音声入力等を受け付けることにより、回答データを受け付ける。回答受付モジュール172は、回答データとして、上述した体調データもあわせて受け付けることにより、体調データを取得する。回答受付モジュール172は、この体調データを、ユーザからの選択入力、文字入力又は音声入力により受け付けてもよいし、通信可能に接続された体調データを取得可能な外部装置(例えば、体温計、撮影装置、血圧計、呼吸計)により計測した各種データを受け付けてもよい。
【0043】
なお、回答受付モジュール172は、撮影装置等により患部を撮影した患部画像を、回答データとして受け付けてもよい。この場合、情報端末100は、後述する診断の処理において、画像解析を行い、患部及びこの患部における症状を特定し、特定した結果に基づいて診断を行えばよい。
【0044】
図6に基づいて、回答受付モジュール172が受け付ける回答データについて説明する。図6は、回答データを受け付けた状態の一例を示す図である。図6において、問診出力モジュール171は、問診表示領域200を表示し、回答受付モジュール172は、回答受付領域210、体調受付領域220、病歴・服用歴受付領域230、診断アイコン240を表示する。問診表示領域200は、上述した問診を表示する領域である。図6において、問診出力モジュール171は、問診表示領域200に、「患部はどこですか?」、「どのような症状ですか?」、「かゆみはどの程度ですか?」を表示する。回答受付領域210には、ユーザが入力した「背中がかぶれている」、「強い」を表示する。問診出力モジュール171は、この問診表示領域200に、ユーザから受け付けた回答に基づいて、新たな問診内容を追加的に表示する。具体的には、はじめに、問診出力モジュール171は、問診表示領域200に、患部及びその症状に対する問診を表示する。回答受付モジュール172が、これに対してユーザから「背中がかぶれている」との入力を受け付けた場合、テキスト解析を行うことにより、入力内容を確認し、患部及び症状を特定する。問診出力モジュール171は、特定した結果に基づいて、実際の病気を特定するための問診が必要である場合、さらなる問診を、問診表示領域200に表示する。本実施形態では、「かゆみはどの程度ですか?」が追加的に表示した新たな問診内容に該当する。回答受付モジュール172は、この問診の回答として入力を受け付けた「強い」を、回答受付領域210に表示する。回答受付モジュール172は、上述した体調データを受け付け、この体調データを回答受付領域210に表示する。回答受付モジュール172は、受け付けた「体温、血圧、脈拍、呼吸数等」の其々の値を表示する。回答受付モジュール172は、ユーザの過去の病歴及び服用歴を受け付け、この病歴及び服用歴を病歴・服用歴受付領域230に表示する。この病歴・服用歴受付領域230は、ユーザからの入力に限らず、過去のこの診断用アプリケーションにより診断した結果の病気の病名と、この病気に対して処方した薬の名称及び分量とを表示してもよい。回答受付モジュール172は、診断アイコン240への入力操作を受け付けることにより、入力の完了を検出し、診断モジュール173は、後述する診断を実行する。
【0045】
診断モジュール173は、受け付けた回答データに基づいて、診断を行う(ステップS13)。ステップS13において、診断モジュール173は、受け付けた回答データにおける患部及びこの患部における症状に該当する病気及びこの病気に対する薬の種類及びその分量を診断する。このとき、これまでに同様の症状又は類似する症状を診断した学習結果を有している場合、後述する学習診断処理を実行する。一方、学習結果を有していない場合、診断モジュール173は、患部及び症状と、これに該当する病気の病名と、対処方法(薬の種類及びその分量)と、病気の危険度とが対応付けられて登録された病気データベースに基づいて病気を診断する。病気データベースは、予め記憶モジュール160に記憶されている。
【0046】
[病気データベース]
記憶モジュール160が記憶する病気データベースについて説明する。記憶モジュール160は、外部データベースや外部装置等から、予め取得した病気データベースを記憶しておく。これは、診断用アプリケーションに格納されたものであってもよい。病気データベースは、上述した通り、患部及びこの患部における症状と、実際の病気の病名と、対処方法(例えば、治療薬、療法)と、危険度(例えば、早期治療が必要な病気には高い数値、慢性化した場合危険な病気には中程度の数値、自然治癒する病気には低い数値)とが対応付けられている
【0047】
診断モジュール173は、上述した例において、患部として「背中」、その症状として「かぶれ」、そのかゆみの大きさとして「強い」との回答データに基づいて、これらの患部及び症状に対応付けられた病気を、病気データベースを参照して特定する。今回、診断モジュール173は、該当する病気を、「アレルギー性湿疹」であるものと特定する。このとき、複数の病気が特定された場合、最も可能性が高い病気を、今回の診断結果として判断する。
【0048】
なお、診断モジュール173は、複数の病気を特定した場合、一の病気ではなく、複数の病気を診断結果として判断してもよい。この場合、其々の病気に対して、可能性を判断する。
【0049】
診断結果通知モジュール174は、診断の結果を出力する(ステップS14)。ステップS14において、診断結果通知モジュール174は、診断の結果を、表示部に表示することにより出力し、ユーザに通知する。
【0050】
図7に基づいて、診断結果通知モジュール174が表示する。診断結果表示画面の一例について説明する。図7は、診断結果通知モジュール174が表示する診断結果表示画面の一例を示す図である。図7において、診断結果通知モジュール174は、診断結果表示画面として、診断結果表示領域300、体調・薬品表示領域310、終了アイコン320を表示する。診断結果表示領域300は、診断結果を表示する領域である。体調・薬品表示領域310は、体調データに基づいた病状の程度及び処方するべき薬品の名称及びその分量を表示する領域である。診断結果通知モジュール174は、今回の診断の結果を、診断結果表示領域300に表示する。図7では、病気の病名を表示、この病気の可能性を5段階評価として表示、この病気の対処方法を表示、この病気の危険度を10段階評価として表示している。診断結果通知モジュール174は、診断した病気に基づいた処方すべき薬品の名称及びその分量を、体調・薬品表示領域310に表示する。図7では、肌の湿疹の程度を5段階評価で表示、病気に対する推奨薬及びその分量を表示している。診断結果通知モジュール174は、終了アイコン320への入力操作を受け付けることにより、表示の完了を検出し、確定診断結果の表示を終了する。
【0051】
このようにして、診断結果通知モジュール174により、ユーザに診断に関連する薬を提案する。
【0052】
薬判断モジュール175は、今回出力した薬が、処方薬であるか否かを判断する(ステップS15)。ステップS15において、薬判断モジュール175は、今回出力した薬の名称に基づいて、処方薬であるか否かを判断する。薬判断モジュール175は、処方薬ではないと判断した場合(ステップS15 NO)、後述するステップS17の処理を実行する。
【0053】
一方、ステップS15において、薬判断モジュール175は、処方薬であると判断した場合(ステップS15 YES)、薬通知モジュール150は、この薬を処方できる薬剤師に、薬の名称及びその分量を示す処方データを通知する(ステップS16)。ステップS16において、薬通知モジュール150は、対象となる薬剤師が所持する図示していない端末装置に、この処方データを出力し、表示させる。薬剤師は、この処方データに基づいて、必要な薬及び分量を用意すればよい。
【0054】
なお、この薬が、薬剤師との面談が必要な場合等の特殊なものである場合、薬通知モジュール150は、処方データを出力する際、自身の電話機能によりこの端末装置に対して発呼し、通常の通話やビデオ通話等を実行してもよい。また、処方薬でない場合であっても、薬通知モジュール150が、この対象となる薬を扱っている薬剤師に処方データを通知してもよい。
【0055】
評価受付モジュール176は、今回の診断結果に基づいた薬により症状がどうなったかの処方結果の入力を受け付ける(ステップS17)。ステップS17において、評価受付モジュール176は、通知された薬を使用した結果、症状が治まったか等の肯定的な評価や、症状が変わらなかった又は悪化した等の否定的な評価や、症状が良くなったかわからない等の中間的な評価を受け付ける。このとき、評価受付モジュール176は、上述した回答データと同様に、選択肢に対する選択入力、文字入力又は音声入力等により受け付ける。
【0056】
なお、評価受付モジュール176は、回答データと同様に、患部画像を処方結果として受け付けてもよい。この場合、評価受付モジュール176は、患部画像を画像解析することにより、薬の使用前の患部画像と、薬の使用後の患部画像とを比較することにより、症状に対する上述した評価を判定することにより受け付けてもよい。
【0057】
学習モジュール177は、今回の診断の結果と、処方した薬の種類及びその分量と、回答データに含まれるユーザの体調データと、ユーザの過去の病歴及び服用歴と、処方結果の評価とを学習する(ステップS18)。ステップS18において、学習モジュール177は、処方結果の評価が肯定的な評価に対応付けられた、薬の種類及びその分量と、体調データと、過去の病歴及び服用歴とを正解データとして学習する。また、学習モジュール177は、処方結果の評価が中間的又は否定的な評価に対応付けられたこれらのものを不正解データとして学習する。
【0058】
なお、学習モジュール177は、上述したもののうち、何れか又は複数の組み合わせに基づいて学習してもよい。例えば、学習モジュール177は、診断の結果と、処方した薬の種類及びその分量とを対応付けて学習してもよいし、診断の結果と、処方した薬の種類及びその分量と、体調データとを対応付けて学習してもよいし、診断の結果と、処方した薬の種類及びその分量と、ユーザの病歴及び服用歴とを対応付けて学習してもよいし、その他の組み合わせにより学習してもよい。
【0059】
記憶モジュール160は、学習した結果を記憶する(ステップS19)。ステップS19において、記憶モジュール160は、正解データ及び不正解データの其々を学習結果として記憶する。
【0060】
以上が、学習処理である。
【0061】
[学習診断処理]
図5に基づいて、薬提案システム1が実行する学習診断処理について説明する。図5は、情報端末100が実行する学習診断処理のフローチャートを示す図である。上述した各モジュールが実行する処理について、本処理にあわせて説明する。なお、上述した学習処理と同様の処理については、その詳細な記載を省略する。
【0062】
情報端末100は、上述した診断処理と同様に、診断用アプリケーションの起動、問診データの出力、回答データの受付処理を実行する(ステップS30~S32)。
【0063】
診断モジュール173は、受け付けた回答データに基づいて、診断を行う(ステップS33)。ステップS33において、診断モジュール173は、受け付けた回答データにおける患部及びこの患部における症状に該当する病気及びこの病気に対する薬の種類及びその分量を診断する。このとき、診断モジュール173は、薬の種類及びその分量の診断に際して、記憶モジュール160が記憶する学習データを用いる。
【0064】
薬判断モジュール175は、今回の診断の結果により判断した薬の種類及びその分量と、学習データにおける薬の種類及びその分量とに基づいて、今回の診断の結果により判断した薬の種類及びその分量が適切であるか否かを判断する(ステップS34)。ステップS34において、薬判断モジュール175は、今回の診断の結果により判断した薬の種類及びその分量とが、正解データと一致又は近似するものであるか否かを判断することにより、適切であるか否かを判断する。正解データと一致又は近似するとは、具体的には、同じ薬の種類及び分量であること、同じ薬の種類であるがその分量が異なっていること、薬の種類は異なっているものの、ジェネリック等の実質的に同様の効果が期待できる薬の種類であること等である。
【0065】
ステップS34において、薬判断モジュール175は、適切ではないと判断した場合(ステップS34 NO)、薬判断モジュール175は、今回の診断の結果により判断した薬がユーザには合っていないと判断し、診断モジュール173は、他の薬を診断する(ステップS35)。ステップS35において、診断モジュール173は、診断の結果により判断した薬と類似する効果を有した他の薬を上述した病気データベース等を参照することにより診断する。
【0066】
診断結果通知モジュール174は、診断した病気及び新たに診断した薬の種類及びその分量を、診断の結果として出力する(ステップS36)。
【0067】
一方、ステップS34において、薬判断モジュール175は、適切であると判断した場合(ステップS34 YES)、診断結果通知モジュール174は、診断した病気及び薬の種類及びその分量を、診断の結果として出力する(ステップS36)。
【0068】
ステップS36において、診断結果通知モジュール174は、診断の結果を、表示部に表示することにより出力し、ユーザに通知する。
【0069】
図8に基づいて、診断結果通知モジュール174が表示する。診断結果表示画面の一例について説明する。図8は、診断結果通知モジュール174が表示する診断結果表示画面の一例を示す図である。図8において、診断結果通知モジュール174は、診断結果表示画面として、診断結果表示領域400、体調・薬品表示領域410、終了アイコン420を表示する。診断結果表示領域400は、診断結果を表示する領域である。体調・薬品表示領域410は、体調データに基づいた病状の程度及び処方するべき薬品の名称及びその分量を表示する領域である。診断結果通知モジュール174は、今回の診断の結果を、診断結果表示領域400に表示する。図8では、病気の病名を表示、この病気の可能性を5段階評価として表示、この病気の対処方法を表示、この病気の危険度を10段階評価として表示している。診断結果通知モジュール174は、診断した病気に基づいた処方すべき薬品の名称及びその分量を、体調・薬品表示領域410に表示する。図8では、肌の湿疹の程度を5段階評価で表示、病気に対する推奨薬及びその分量を表示している。推奨薬及びその分量は、学習データによる学習の結果と、ユーザの体調データとに基づいてその内容を決定している。また、推奨薬及びその分量は、学習データによる学習の結果と、ユーザの過去の病歴及び服用データとに基づいてその内容を決定している。診断結果通知モジュール174は、終了アイコン420への入力操作を受け付けることにより、表示の完了を検出し、確定診断結果の表示を終了する。
【0070】
このようにして、診断結果通知モジュール174により、診断したユーザの体調や、過去の病歴及び服用データの何れか又は双方にあった薬を学習結果から、診断に関連する薬を提案する。
【0071】
情報端末100は、以降の処理は、上述した学習処理のステップS15以降の処理と同様の処理であるため、簡単に説明する。
【0072】
薬判断モジュール175は、今回出力した薬が、処方薬であるか否かを判断する(ステップS37)。ステップS37の処理は、上述したステップS15の処理と同様である。薬判断モジュール175は、処方薬ではないと判断した場合(ステップS37 NO)、後述するステップS39の処理を実行する。
【0073】
一方、ステップS37において、薬判断モジュール175は、処方薬であると判断した場合(ステップS37 YES)、薬通知モジュール150は、この薬を処方できる薬剤師に、薬の名称及びその分量を示す処方データを通知する(ステップS38)。ステップS38の処理は、上述したステップS16の処理と同様である。
【0074】
評価受付モジュール176は、今回の診断結果に基づいた薬により症状がどうなったかの処方結果の入力を受け付ける(ステップS39)。ステップS39の処理は、上述したステップS17の処理と同様である。
【0075】
学習モジュール177は、今回の診断の結果と、処方した薬の種類及びその分量と、回答データに含まれるユーザの体調データと、ユーザの過去の病歴及び服用歴と、処方結果の評価とを学習する(ステップS40)。ステップS40の処理は、上述したステップS18の処理と同様である。
【0076】
記憶モジュール160は、学習した結果を記憶する(ステップS41)。ステップS41の処理は、上述したステップS19の処理と同様である。
【0077】
以上が、学習診断処理である。
【0078】
なお、上述した各処理は、必ずしも情報端末100単体により実行する構成でなくてもよい。例えば、薬提案システム1は、情報端末100が、図示していないコンピュータや他の端末装置等の外部装置に、回答データを送信し、外部装置が、診断を実行し、診断結果を情報端末100に出力する構成であってもよい。また、薬提案システム1は、上述した各処理の何れか又は複数の処理を、情報端末100又は外部装置の何れか又は双方が実行してもよい。
【0079】
上述した手段、機能は、コンピュータ(CPU、情報処理装置、各種端末を含む)が、所定のプログラムを読み込んで、実行することによって実現される。プログラムは、例えば、コンピュータからネットワーク経由で提供される(SaaS:ソフトウェア・アズ・ア・サービス)形態で提供される。また、プログラムは、例えば、フレキシブルディスク、CD(CD-ROMなど)、DVD(DVD-ROM、DVD-RAMなど)等のコンピュータ読取可能な記録媒体に記録された形態で提供される。この場合、コンピュータはその記録媒体からプログラムを読み取って内部記憶装置又は外部記憶装置に転送し記憶して実行する。また、そのプログラムを、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク等の記憶装置(記録媒体)に予め記録しておき、その記憶装置から通信回線を介してコンピュータに提供するようにしてもよい。
【0080】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述したこれらの実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0081】
1 薬提案システム、100 情報端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8