IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日工株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-アスファルトプラント 図1
  • 特許-アスファルトプラント 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-15
(45)【発行日】2022-07-26
(54)【発明の名称】アスファルトプラント
(51)【国際特許分類】
   E01C 19/10 20060101AFI20220719BHJP
【FI】
E01C19/10 Z
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018232103
(22)【出願日】2018-12-12
(65)【公開番号】P2020094367
(43)【公開日】2020-06-18
【審査請求日】2021-10-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000226482
【氏名又は名称】日工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山本 健児
(72)【発明者】
【氏名】堀口 諒
(72)【発明者】
【氏名】喜多 勇介
(72)【発明者】
【氏名】山本 真一
(72)【発明者】
【氏名】浜辺 拓真
(72)【発明者】
【氏名】柴田 智輝
【審査官】荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-333702(JP,A)
【文献】特開平10-113580(JP,A)
【文献】特開2000-314105(JP,A)
【文献】特公昭46-008224(JP,B1)
【文献】特開2004-225252(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02942434(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 19/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高架台上に振動篩、骨材貯蔵ビン、骨材計量槽、アスファルト計量槽、ミキサを階層状に組み上げ、前記アスファルト計量槽にて計量した溶融アスファルトを前記ミキサへと供給するアスファルト供給配管及び供給ポンプを備えたアスファルトプラントにおいて、前記アスファルト供給配管途中の前記供給ポンプよりも下流側に溶融アスファルトを前記ミキサへと送り込む供給経路または前記供給ポンプへと送り返す循環経路の何れかを選択する切替バルブを備えると共に、前記循環経路の途中に水供給源より供給される水を溶融アスファルトに噴射添加する水噴射ノズルを取り付け、フォームドアスファルト混合物を製造時には前記アスファルト計量槽から排出される溶融アスファルトに前記水噴射ノズルから水を噴射添加すると同時に前記切替バルブを循環経路側に切り替え動作可能としたことを特徴とするアスファルトプラント。
【請求項2】
前記循環経路はアスファルト計量槽の計量槽本体から排出される溶融アスファルトを一時的に受け止めるサージタンクを経由する構成としたことを特徴とする請求項1記載のアスファルトプラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路舗装材であるアスファルト混合物製造用のアスファルトプラントに関し、特にアスファルト混合物の素材である溶融アスファルトをフォームド化しながらアスファルト混合物を製造可能なアスファルトプラントに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アスファルト混合物を製造する際、アスファルト混合物の素材である溶融アスファルトに対して所定量の水・水蒸気等を添加してフォームド化(泡状化)し、このフォームド化した溶融アスファルト(以下「フォームドアスファルト」という)を骨材や石粉等と共にミキサにて混合してアスファルト混合物を製造する場合がある。
【0003】
通常の溶融アスファルトに代えて前記フォームドアスファルトを使用することにより、アスファルトの粘性を弱められると共に容積を増大できる結果、骨材や石粉等との混合性を高められ、例えば、アスファルト混合物の製造温度を低下できてCO2の発生量を軽減できるなどの利点を有する。
【0004】
溶融アスファルトをフォームド化する装置としては、例えば、特許文献1(特開2018-3289号公報)、特許文献2(特開2000-144621号公報)では、アスファルトタンクやアスファルト計量槽からミキサへと溶融アスファルトを供給するアスファルト供給配管の途中に貯水タンクより供給される水を噴射・添加する水噴射ノズルを取り付けたものが開示されている。
【0005】
また、特許文献3(特表2003-524054号公報)では、アスファルト供給配管内に水を注入する水注入器を備えると共に、その下流側の配管内にスタティックミキサーを配し、水注入後の溶融アスファルトを前記スタティックミキサーを通過させることで撹拌・混合して均一にフォームド化するようにしたものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2018-3289号公報
【文献】特開2000-144621号公報
【文献】特表2003-524054号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、溶融アスファルトを均一にフォームド化するにあたっては、上記従来装置のように、アスファルト供給配管内に撹拌・混合用のスタティックミキサーを配したものでもよいが、本発明者らは、アスファルト供給配管の途中に循環経路を形成し、水添加後の溶融アスファルトをミキサへと供給する前に前記循環経路内を一定時間循環させるようにすれば、その間に混合されて添加した水が溶融アスファルト内にムラ無く分散して略均一にフォームド化できるのではないかと考えた。
【0008】
本発明は上記の点に鑑み、溶融アスファルトを均一にフォームド化しながらアスファルト混合物を製造可能なアスファルトプラントを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係る請求項1記載のアスファルトプラントでは、高架台上に振動篩、骨材貯蔵ビン、骨材計量槽、アスファルト計量槽、ミキサを階層状に組み上げ、前記アスファルト計量槽にて計量した溶融アスファルトを前記ミキサへと供給するアスファルト供給配管及び供給ポンプを備えたアスファルトプラントにおいて、前記アスファルト供給配管途中の前記供給ポンプよりも下流側に溶融アスファルトを前記ミキサへと送り込む供給経路または前記供給ポンプへと送り返す循環経路の何れかを選択する切替バルブを備えると共に、前記循環経路の途中に水供給源より供給される水を溶融アスファルトに噴射添加する水噴射ノズルを取り付け、前記アスファルト計量槽にて計量した溶融アスファルトの排出時には前記水噴射ノズルから水を噴射添加すると同時に前記切替バルブを循環経路側に切り替え動作可能としたことを特徴としている。
【0010】
また、本発明に係る請求項2記載のアスファルトプラントでは、前記循環経路はアスファルト計量槽の計量槽本体から排出される溶融アスファルトを一時的に受け止めるサージタンクを経由する構成としたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る請求項1記載のアスファルトプラントによれば、アスファルト供給配管途中の供給ポンプよりも下流側に溶融アスファルトをミキサへと送り込む供給経路または前記供給ポンプへと送り返す循環経路の何れかを選択する切替バルブを備えると共に、前記循環経路の途中に水供給源より供給される水を溶融アスファルトに噴射添加する水噴射ノズルを取り付け、アスファルト計量槽にて計量した溶融アスファルトの排出時には前記水噴射ノズルから水を噴射添加すると同時に前記切替バルブを循環経路側に切り替え動作可能としたので、水を添加した溶融アスファルトをミキサへの供給前に循環経路内で循環させることができ、前記溶融アスファルトはその間に混合されて添加した水がムラ無く分散して均一にフォームド化できると期待され、これを素材とすることで骨材や石粉等との混合性を高められて好適にアスファルト混合物を製造できる。
【0012】
また、本発明に係る請求項2記載のアスファルトプラントによれば、前記循環経路はアスファルト計量槽の計量槽本体から排出される溶融アスファルトを一時的に受け止めるサージタンクを経由する構成としたので、プラントの架台上に余剰空間があまりない場合でも、架台上に既設のアスファルト計量槽のサージタンクが占める空間を有効利用しながら無理なく循環経路を形成でき、既設プラントにもコンパクトに納めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係るアスファルトプラントの概略説明図である。
図2図1の要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係るアスファルトプラントにあっては、既存の構造のプラントにおいて、アスファルト供給配管途中の供給ポンプよりも下流側に、溶融アスファルトをミキサへと送り込む供給経路、または前記供給ポンプへと送り返す循環経路の何れかを選択する、例えば三方弁等の切替バルブを備える。
【0015】
また、前記循環経路の途中に水供給源より供給される水を循環経路内を流下する溶融アスファルトに対して噴射添加する水噴射ノズルを取り付ける。また、前記アスファルト計量槽にて計量した溶融アスファルトの排出時には、前記水噴射ノズルから水を噴射添加すると同時に前記切替バルブを循環経路側に切り替え動作可能な構成とする。
【0016】
なお、前記循環経路はアスファルト計量槽の計量器本体から排出される溶融アスファルトを一時的に受け止めるサージタンクを経由する構成としてもよく、前記構成とした場合には、プラントの架台上に余剰空間があまりない状況でも、架台上に既設のアスファルト計量槽のサージタンクが占める空間を有効利用しながら無理なく循環経路を形成できると共に、既設の設備に対して簡単な改造でもって対応できて比較的採用のしやすいものとなると予想される。
【0017】
そして、上記構成のアスファルトプラントにてフォームドアスファルトを素材とするアスファルト混合物を製造するときには、前記アスファルト計量槽の計量槽本体にて1バッチ分の溶融アスファルトを計量後、サージタンクを介してアスファルト供給配管へと排出する。前記アスファルト供給配管では供給ポンプを駆動して前記溶融アスファルトを下流へと送り出すと共に、そのタイミングで前記水噴射ノズルから所定量(計量した1バッチ分の溶融アスファルトをフォームド化するのに見合った量)の水を噴射添加すると同時に前記切替バルブを循環経路側に切り替え動作させる。これにより、水を添加された溶融アスファルトは循環経路内を一定時間に亘って循環し、その間に徐々に混合されて添加した水が溶融アスファルト内にムラ無く分散していく。
【0018】
一方、骨材計量槽では骨材貯蔵ビンから排出される各粒径の骨材を累積計量しており、この累積計量した骨材や別途計量した石粉等をミキサへと投入し、必要に応じてこれらの予備混合を行い、前記ミキサへの溶融アスファルトの投入タイミングとなれば、前記切替バルブを供給経路側に切り替え動作させる。これにより、循環経路内を循環中の溶融アスファルトは前記ミキサへと送り込まれ、発泡しながらミキサ内に順次投入される。このとき、前記溶融アスファルト内には添加した水が循環混合によってムラ無く分散しており、略均一な性状のフォームドアスファルトの生成が期待され、これを素材とすることでミキサでは骨材や石粉等と良好にかつ効率よく混合でき、例え製造温度を低下しても好適に所望のアスファルト混合物を製造することができる。
【実施例
【0019】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
【0020】
図1中の1は道路舗装材であるアスファルト混合物を製造するアスファルトプラントであって、プラント本体2、溶融アスファルトを保温貯蔵するアスファルトタンク3、プラントの各種装置の操作・制御用の操作盤4等を主体に構成している。前記プラント本体2は、複数のフロア5a~5cを有する高架台6を立設し、該高架台6の側部にはドライヤ(図示せず)にて加熱乾燥した新規骨材を高架台6の上部へと持ち上げるバケットエレベータ7を並設している。
【0021】
前記高架台6の各フロア5a~5cには、前記バケットエレベータ7から供給される加熱骨材を粒径別に篩い分ける振動篩8、該振動篩8にて篩い分けた骨材を粒径別に貯蔵する骨材貯蔵ビン9、該骨材貯蔵ビン9から排出される各粒径の骨材を累積計量する骨材計量槽10、前記アスファルトタンク3からアスファルト供給配管11及び供給ポンプ12を介して供給される溶融アスファルトを計量するアスファルト計量槽13、前記骨材計量槽10及びアスファルト計量槽13にて計量した所定量の骨材及び溶融アスファルト等を混合してアスファルト混合物を製造するミキサ14を階層状に配置している。
【0022】
図2は前記プラント本体2の要部拡大図であって、図中の15a~15eは前記骨材貯蔵ビン9の各区画室16a~16eに貯蔵した各粒径の骨材を排出する排出ゲート、17は前記骨材計量槽10を吊下支持して計量するロードセル、18は前記骨材計量槽10にて計量した骨材を排出する排出ゲート、19は前記ミキサ14の混合羽根である。
【0023】
前記アスファルト計量槽13は、図2に示すように、ロードセル20にて吊下支持した計量槽本体21と、該計量槽本体21から排出される溶融アスファルトを一時的に受け止めるサージタンク22とを主体に構成している。前記計量槽本体21の上部には前記アスファルト供給配管11の排出端部を挿通可能とする投入口23を、下端部には計量した溶融アスファルトを排出する排出口24をそれぞれ備えていると共に、シリンダ25、ピストンロッド26、栓体27から成る開閉機構を具備し、前記ピストンロッド26の伸縮動作に応じて先端部の栓体27を上下方向へと進退動作させて排出口24を開閉可能としている。
【0024】
前記サージタンク22は上部を開放構造とした略筒形状のものであり、計量に支障の無いように前記計量槽本体21下部側の外壁面と若干の隙間を設けて外嵌させていると共に、好ましくは既設のサージタンクよりも計量槽本体21の底面部とサージタンク22の底面22aとは比較的大きく離間させてフォームド化によって容積の増大したアスファルトを一時的に貯留できる貯留空間28を形成している。そして、前記計量槽本体21の排出口24から排出される溶融アスファルトは下位のサージタンク22の前記貯留空間28にて一時的に受け止められた後、傾斜構造としたサージタンク底面22aの低位側へと案内され、最下端部に設けた排出口29から排出される構成としている。
【0025】
図中の30は、前記アスファルト計量槽13にて計量した溶融アスファルトをアスファルト計量槽13と同じフロア5c上に配置される前記ミキサ14へと供給する曲管構造のアスファルト供給配管であって、その基端部を前記アスファルト計量槽13のサージタンク22の排出口29に連結している一方、先端部を前記ミキサ14の上部開口部に臨ませ、該先端部にはアスファルト噴射投入用の噴射ノズル31を複数固着していると共に、アスファルト供給配管30の途中には溶融アスファルト供給用の供給ポンプ32を備えている。
【0026】
また、前記アスファルト供給配管30途中の供給ポンプ32位置よりも下流側に、溶融アスファルトを前記ミキサ14へと送り込む供給経路A、または前記供給ポンプ32へと送り返す循環経路Bの何れかを選択する、例えば三方弁等の切替バルブ33を備えている。
【0027】
図中の34は前記循環経路Bの一部を形成する水平な直管構造の戻り配管であり、その基端部を前記切替バルブ33に連結している一方、先端部を前記アスファルト計量槽13のサージタンク22側壁の下部側(底面22a付近)に連結しており、前記戻り配管34より送り返されてくる溶融アスファルトは、前記サージタンク22下部側の貯留空間28を通過して排出口29から排出され、再び供給ポンプ32へと循環供給される構成としている。
【0028】
また、前記循環経路Bの途中には、図1中に示される水供給源である貯水タンク35から水供給配管36及び供給ポンプ37を介して供給される水を、前記循環経路B内を流下する高温の溶融アスファルトに対して噴射添加する水噴射ノズル38を取り付けている。なお、前記貯水タンク35は必ずしも備える必要はなく、例えば水道管から前記水供給配管36を介して水噴射ノズル38へ連結する構成としてもよい。
【0029】
また、本実施例においては、図1図2に示されるように、前記水噴射ノズル38の取り付け位置をアスファルト供給配管30の供給ポンプ32の下流側にしているが、何らこれに限定されるものではなく、供給ポンプ32の上流側や、前記戻り配管34の途中に取り付けてもよい。また、前記水供給配管36を途中で分岐させてそれぞれの先端部に水噴射ノズル38を固着し、これら複数の水噴射ノズル38を循環経路B(戻り配管34を含む)の途中に所定間隔を置いて取り付けるようにしてもよく、その場合には溶融アスファルトに対して添加する水を効率よく分散・混合させることが可能となる。
【0030】
また、図1に示されるプラント操作盤4からの制御により、前記アスファルト計量槽13にて計量した溶融アスファルトの排出時には、前記水噴射ノズル38から所定量の水を噴射添加すると同時に前記切替バルブ33を循環経路B側に切り替え動作可能としている。
【0031】
そして、上記構成のアスファルトプラント1にてフォームドアスファルトを素材とするアスファルト混合物を製造するときには、前記アスファルト計量槽13の計量槽本体21にて1バッチ分の溶融アスファルトを計量後、サージタンク22を介してアスファルト供給配管30へと排出する。前記アスファルト供給配管30では供給ポンプ32を駆動して前記溶融アスファルトを下流へと送り出すと共に、そのタイミングに合わせて前記水噴射ノズル38から所定量(アスファルト計量槽13にて計量した1バッチ分の溶融アスファルトをフォームド化するのに見合った量:例えば溶融アスファルト量に対して約2重量%程度)の水を噴射添加すると同時に前記切替バルブ33を循環経路B側に切り替え動作させる。これにより、水を添加された溶融アスファルトは循環経路B内を一定時間に亘って循環し続け、その間に徐々に混合されて添加した水が溶融アスファルト内にムラ無く分散していく。
【0032】
なお、前記水噴射ノズル38から水を噴射するタイミングは、前記サージタンク22から排出される溶融アスファルトが前記水噴射ノズル38の取付位置に丁度到達するタイミングを見計らって噴射するとよいが、本発明においては、水を噴射添加後の溶融アスファルトは循環経路B内を一定時間に亘って循環させる間に混合されるため、水の噴射タイミングが多少早かったり、あるいは遅かったりしても添加した水を溶融アスファルト内にムラ無く分散させることができる。
【0033】
一方、前記骨材計量槽10では骨材貯蔵ビン9の各区画室16a~16eから排出される各粒径の骨材を累積計量しており、この累積計量した骨材や別途計量した石粉等をミキサ14へと投入し、必要に応じてこれらの予備混合(ドライミキシング)を行う。そして、前記ミキサ14への溶融アスファルトの投入タイミングとなれば、前記切替バルブ33を供給経路A側に切り替え動作させる。これにより、循環経路A内を循環中の溶融アスファルトは前記ミキサ14へと送り込まれ、発泡しながらミキサ14の混合槽内に順次投入される。このとき、前記溶融アスファルト内には添加した水がムラ無く分散しており、略均一な性状のフォームドアスファルトの生成が期待され、これを素材とすることで骨材や石粉等と良好にかつ効率よく混合できる。
【0034】
なお、本発明者らの行った試験結果によれば、水を添加した溶融アスファルトが本実施例のアスファルトプラント1の循環経路Bを一周するのに約2秒程度を要することを確認した。一方、アスファルトプラント1において各バッチのアスファルト混合物の製造を約60秒程度で行う場合、アスファルト計量槽13にて溶融アスファルトの計量を完了してからそれをミキサ14へと投入するまでに約10秒程度の待機時間があるため、水を添加した溶融アスファルトはミキサ14へと投入されるまでに前記循環経路B内を約4~5周程度循環させることができ、その間に効果的に混合できて添加した水をムラ無く分散できるものと予想される。
【0035】
また、本実施例においては、溶融アスファルトの循環経路Bを前記サージタンク22を経由する構成としたが、その場合、水を添加した溶融アスファルトが大気と連通する開放空間であるサージタンク22の貯留空間28を通過する際にも幾らか発泡を生じるため、溶融アスファルトの発泡に伴う体積膨張分が前記貯留空間28の容量では足りないようであれば、必要に応じて前記戻り配管34の途中にバッファタンクを設けて空き空間を別途確保するようにしてもよい。
【0036】
また、本実施例では、前記戻り配管34の先端部をアスファルト計量槽13のサージタンク22へと連結して循環経路Bを構成したが、何らこれに限定されるものでは無く、例えば、フロア5c上に十分な余剰空間を確保できる場合には、戻り配管34の先端部をアスファルト計量槽13のサージタンク22の排出口29と供給ポンプ32との間に位置するアスファルト供給配管30に連結して循環経路を形成してもよい。
【0037】
この場合、前記サージタンク22の排出口29付近に逆止弁を設け、溶融アスファルトの循環中は前記逆止弁を閉鎖する制御とすれば、水を添加した溶融アスファルトは密閉空間であるアスファルト供給配管30内に閉じ込められた状態で循環経路を循環し続けることとなり、循環途中での発泡を抑えられ、バッファタンク等の設置は不要となる。
【0038】
なお、アスファルトプラント1においては、フォームドアスファルトだけでなく通常の溶融アスファルトを素材としたアスファルト混合物を製造する場合もあるが、その場合には前記切替バルブ33を供給経路A側に切り替えれば、従来通りの運転制御にて製造することができ、フォームドアスファルト及び通常の溶融アスファルトの両方を素材とするアスファルト混合物の製造に柔軟に対応できる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、フォームドアスファルトを素材として使用するアスファルト混合物を製造するアスファルトプラントに対して広く利用できる。
【符号の説明】
【0040】
1…アスファルトプラント 2…プラント本体
3…アスファルトタンク 4…操作盤
6…高架台 8…振動篩
9…骨材貯蔵ビン 13…アスファルト計量槽
14…ミキサ 19…混合羽根
21…計量槽本体(アスファルト計量槽)
22…サージタンク(アスファルト計量槽)
30…アスファルト供給配管 32…供給ポンプ
33…切替バルブ 34…戻り配管
35…貯水タンク(水供給源) 38…水噴射ノズル
A…供給経路 B…循環経路
図1
図2