(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-15
(45)【発行日】2022-07-26
(54)【発明の名称】装置内蔵アンテナ、アンテナ内蔵装置および装置内蔵アンテナの設置方法、アンテナ内蔵装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01P 1/18 20060101AFI20220719BHJP
H01P 5/08 20060101ALI20220719BHJP
H01P 5/12 20060101ALI20220719BHJP
H01Q 21/06 20060101ALI20220719BHJP
【FI】
H01P1/18
H01P5/08 Z
H01P5/12 D
H01Q21/06
(21)【出願番号】P 2020056069
(22)【出願日】2020-03-26
【審査請求日】2021-01-27
(73)【特許権者】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000227892
【氏名又は名称】日本アンテナ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102635
【氏名又は名称】浅見 保男
(74)【代理人】
【識別番号】100199820
【氏名又は名称】西脇 博志
(72)【発明者】
【氏名】吉野 仁
(72)【発明者】
【氏名】宮下 真行
(72)【発明者】
【氏名】山本 吉男
(72)【発明者】
【氏名】竹本 敏美
(72)【発明者】
【氏名】北河 耕治
【審査官】佐藤 当秀
(56)【参考文献】
【文献】特表平04-507337(JP,A)
【文献】特開2005-045493(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01P 1/10- 1/195
H01P 5/00- 5/22
H01Q 1/00- 3/46
H01Q 21/00- 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナ基板と、
該アンテナ基板上に所定の間隔で配列されるよう形成された複数のエレメントと、
該複数のエレメントのそれぞれに給電するアンテナ基板上に形成された給電ラインと、
所定量遅延して給電する第1切換状態と、遅延することなく給電する第2切換状態とのいずれかに切り換えられ
、前記複数のエレメントのそれぞれに対応して前記給電ラインの中途に設けられた切換手段と、
アンテナ基板上に貼り合わされ
たシートと、
を備え、
前記給電ラインの中途に設けられた切換手段には、前記エレメントに給電する前記給電ラインが途切れた給電パターンと、該途切れた給電パターン間に接続可能な遅延パターンとが形成されており、
前記シートには、前記途切れた給電パターン間に前記遅延パターンを接続できる第1接続パターン、あるいは、前記途切れた給電パターン間を直接接続できる第2接続パターンが、前記切換手段の位置に対応してそれぞれ形成されており、
前記アンテナ基板上に貼り合わせた
前記シートに
形成された前記第1接続パターンにより、該第1接続パターンに対応する前記切換手段において前記遅延パターンが前記途切れた給電パターン間に接続されて前記第1切換状態、あるいは、前記アンテナ基板上に貼り合わせた前記シートに形成された前記第2接続パターンにより、該第2接続パターンに対応する前記切換手段において前記途切れた給電パターン間が直接接続されて前記第2切換状態とされ、前記複数のエレメントにそれぞれ給電される給電信号の位相が、前記切換手段の切換状態に応じた位相となって、アンテナビームが所定の方向となることを特徴とする装置内蔵アンテナ。
【請求項2】
給電点から
前記複数のエレメントのそれぞれに
前記給電ラインを介して給電信号が供給され、
前記複数のエレメントにおける各エレメントに給電信号を供給する
前記給電ラインには、少なくとも1つの
前記切換手段が設けられており、
前記各エレメントに給電される給電信号の位相が、
前記切換手段の
前記第1切換状態または前記第2切換状態に応じた位相となることにより、アンテナビームが所定の方向となることを特徴とする請求項1に記載の装置内蔵アンテナ。
【請求項3】
前記シートには、
前記切換手段に対応する位置のそれぞれに、アンテナビームが所定の方向となるように、
前記第1接続パターンと
前記第2接続パターンとのいずれかのパターンが形成されていることを特徴とする請求項2に記載の装置内蔵アンテナ。
【請求項4】
アンテナ基板と、
該アンテナ基板上に所定の間隔で配列されるよう形成された複数のエレメントと、
該複数のエレメントのそれぞれに給電するアンテナ基板上に形成された給電ラインと、
所定量遅延して給電する第1切換状態と、遅延することなく給電する第2切換状態とのいずれかに切り換えられ、前記複数のエレメントのそれぞれに対応して前記給電ラインの中途に設けられた切換手段と、
アンテナ基板上に貼り合わされたシートと、
を備え、
前記給電ラインの中途に設けられた切換手段には、前記エレメントに給電する前記給電ラインが途切れた給電パターンと、該途切れた給電パターン間に接続可能な遅延パターンとが形成されており、
前記シートには、
前記切換手段に対応する位置のそれぞれに、
前記遅延パターンを
前記途切れた給電パターン間に接続
できる接続具を装着する第1接続手段と、
前記途切れた給電パターン間を直接接続
できる接続具を装着する第2接続手段とのいずれかが設けられて
おり、
前記アンテナ基板上に貼り合わせた前記シートに形成された前記第1接続手段に装着された前記接続具により、前記遅延パターンが前記途切れた給電パターン間に接続されて該第1接続手段に対応する前記切換手段が前記第1切換状態、あるいは、前記第2接続手段に装着された前記接続具により、前記途切れた給電パターン間が直接接続されて該第2接続手段に対応する前記切換手段が前記第2切換状態とされ、前記複数のエレメントにそれぞれ給電される給電信号の位相が、前記切換手段の切換状態に応じた位相となって、アンテナビームが所定の方向となることを特徴とする
装置内蔵アンテナ。
【請求項5】
アンテナビームの所定の方向として複数の方向が予め設定されており、該複数の方向に対応する
前記シートが複数枚用意されており、設定されるアンテナビームの方向に対応する
前記シートが選択されて
前記アンテナ基板上に貼り合わ
されることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の装置内蔵アンテナ。
【請求項6】
アンテナ基板と、
該アンテナ基板上に所定の間隔で配列されるよう形成された複数のエレメントと、
該複数のエレメントのそれぞれに給電するアンテナ基板上に形成された給電ラインと、
所定量遅延して給電する第1切換状態と、遅延することなく給電する第2切換状態とのいずれかに切り換えられ、前記複数のエレメントのそれぞれに対応して前記給電ラインの中途に設けられた切換手段と、
アンテナ基板上に取り除き可能に貼り合わされたシートと、
を備え、
前記給電ラインの中途に設けられた切換手段には、前記エレメントに給電する前記給電ラインが途切れた給電パターンと、該途切れた給電パターン間に接続可能な遅延パターンとが形成されており、
前記シートは、
前記遅延パターンを
前記途切れた給電パターン間に接続
できる第1接続パターンが形成されている第1タブシートと、
前記途切れた給電パターン間を直接接続
できる第2接続パターンが形成されている第2タブシートとから構成され、
前記切換手段が形成されている位置に
前記第1タブシートと
前記第2タブシートとが
取り除き可能に貼り合わされており、
前記切換手段において、前記第2タブシートだけが取り除かれると、前記第1タブシートの前記第1接続パターンにより前記遅延パターンが前記途切れた給電パターン間に接続されて該切換手段が前記第1切換状態、あるいは、前記切換手段において、前記第1タブシートだけが取り除かれると、前記第2タブシートの第2接続パターンにより前記途切れた給電パターン間が直接接続されて該切換手段が前記第2切換状態とされ、前記複数のエレメントにそれぞれ給電される給電信号の位相が、前記切換手段の切換状態に応じた位相となって、アンテナビームが所定の方向となることを特徴とする
装置内蔵アンテナ。
【請求項7】
前記第1タブシートおよび
前記第2タブシートには識別情報が付されており、
前記第1タブシートおよび
前記第2タブシートの内の指定された
前記識別情報が付されたタブシートを残して他のタブシートが取り除かれることにより、所定の方向のアンテナビームが得られることを特徴とする請求項6に記載の装置内蔵アンテナ。
【請求項8】
前記アンテナ基板が所定の複数の領域に区分けされて、該複数の領域のそれぞれの領域を指定可能な情報が
前記アンテナ基板に付されており、
前記第1タブシートおよび
前記第2タブシートの内の
前記情報で指定された領域のタブシートを残して他のタブシートが取り除かれることにより、所定の方向のアンテナビームが得られることを特徴とする請求項6に記載の装置内蔵アンテナ。
【請求項9】
所定の間隔で配列されている複数のエレメントと、該複数のエレメントのそれぞれに給電する給電ラインとが形成されていると共に、給電ラインの中途に所定量遅延して給電する第1切換状態と、遅延することなく給電する第2切換状態とのいずれかに切り換えられる切換手段が形成され
ているアンテナ基板上に、シートを貼り合わせるステップにより、アンテナビームが所定の方向となるように前記切換手段のそれぞれが前記第1切換状態あるいは前記第2切換状態に設定される装置内蔵アンテナの設置方法であって、
前記切換手段には、前記エレメントに給電する前記給電ラインが途切れた給電パターンと、該途切れた給電パターン間に接続可能な遅延パターンとが形成されており、
前記シートには、前記途切れた給電パターン間に前記遅延パターンを接続できる第1接続パターン、あるいは、前記途切れた給電パターン間を直接接続できる第2接続パターンが、前記切換手段に対応してそれぞれ形成されており、
前記アンテナ基板上に、前記シートを貼り合わせた際に、前記シートに形成された前記第1接続パターンにより、前記遅延パターンが前記途切れた給電パターン間に接続されて該第1接続パターンに対応する前記切換手段が前記第1切換状態、あるいは、前記シートに形成された前記第2接続パターンにより、前記途切れた給電パターン間が直接接続されて該第2接続パターンに対応する前記切換手段が前記第2切換状態とされ、前記複数のエレメントにそれぞれ給電される給電信号の位相が、前記切換手段の切換状態に応じた位相となって、アンテナビームが所定の方向となることを特徴とする装置内蔵アンテナの設置方法。
【請求項10】
所定の間隔で配列されている複数のエレメントと、該複数のエレメントのそれぞれに給電する給電ラインとが形成されていると共に、給電ラインの中途に所定量遅延して給電する第1切換状態と、遅延することなく給電する第2切換状態とのいずれかに切り換えられる切換手段が形成されているアンテナ基板上に、シートを貼り合わせるステップにより、アンテナビームが所定の方向となるように前記切換手段のそれぞれが前記第1切換状態あるいは前記第2切換状態に設定される装置内蔵アンテナの設置方法であって、
前記切換手段には、前記エレメントに給電する前記給電ラインが途切れた給電パターンと、該途切れた給電パターン間に接続可能な遅延パターンとが形成されており、
前記シートには、
前記遅延パターンを
前記切換手段において
前記給電ライン
間に接続
できる接続具を装着する第1接続手段と、
前記切換手段において
前記給電ライン
間を直接接続
できる接続具を装着する第2接続手段とのいずれかが設けられて
おり、
前記アンテナ基板上に、前記シートを貼り合わせた際に、前記シートに形成された前記第1接続手段に装着された前記接続具により、前記遅延パターンが前記途切れた給電パターン間に接続されて該第1接続手段に対応する前記切換手段が前記第1切換状態、あるいは、前記第2接続手段に装着された前記接続具により、前記途切れた給電パターン間が直接接続されて該第2接続手段に対応する前記切換手段が前記第2切換状態とされ、前記複数のエレメントにそれぞれ給電される給電信号の位相が、前記切換手段の切換状態に応じた位相となって、アンテナビームが所定の方向となることを特徴とする装置内蔵アンテナの設置方法。
【請求項11】
アンテナビームの所定の方向として複数の方向が予め設定されており、該複数の方向のそれぞれに対応する
前記シートが複数枚用意されて、設定されるアンテナビームの方向に対応する
前記シートが選択されて
前記アンテナ基板上に貼り合わせるステップにより、貼り合わされた
前記シートで決定されるアンテナビームの方向とされることを特徴とする請求項9または請求項10のいずれかに記載の装置内蔵アンテナの設置方法。
【請求項12】
所定の間隔で配列されている複数のエレメントと、該複数のエレメントのそれぞれに給電する給電ラインとが形成されていると共に、所定量遅延して給電する第1切換状態と、遅延することなく給電する第2切換状態とのいずれかに切り換えられる切換手段が、前記複数のエレメントのそれぞれに対応して給電ラインの中途に形成されているアンテナ基板上において、前記切換手段のそれぞれに第1タブシートと第2タブシートからなるシートを取り除き可能に貼り合わせる第1ステップと、アンテナビームが所定の方向となるように、前記切換手段のそれぞれにおいて、前記第1タブシートあるいは前記第2タブシートを選択的に取り除く第2ステップにより、前記切換手段のそれぞれが前記第1切換状態あるいは前記第2切換状態に設定される装置内蔵アンテナの設置方法であって、
前記切換手段には、前記エレメントに給電する前記給電ラインが途切れた給電パターンと、該途切れた給電パターン間に接続可能な遅延パターンとが形成されており、
前記シートは、
前記遅延パターンを
前記切換手段において
前記途切れた給電パターン間に接続する第1接続パターンが形成されている第1タブシートと、
前記切換手段において
前記途切れた給電パターン間を直接接続する第2接続パターンが形成されている第2タブシートとから構成され
ており、
前記切換手段において前記第2タブシートを選択的に取り除いた際に、前記第1タブシートの前記第1接続パターンにより前記遅延パターンが前記途切れた給電パターン間に接続されて該切換手段が前記第1切換状態、あるいは、前記切換手段において前記第1タブシートを選択的に取り除いた際に、前記第2タブシートの第2接続パターンにより前記途切れた給電パターン間が直接接続されて該切換手段が前記第2切換状態とされ、前記複数のエレメントにそれぞれ給電される給電信号の位相が、前記切換手段の切換状態に応じた位相となって、アンテナビームが所定の方向となることを特徴とする装置内蔵アンテナの設置方法。
【請求項13】
前記第1タブシートおよび
前記第2タブシートには識別情報が付されており、
アンテナビームを設定する方向に応じた
前記識別情報が指定され、
前記第1タブシートおよび
前記第2タブシートの内の指定された
前記識別情報が付されたタブシートを残して他のタブシートが取り除かれることにより、設定された方向のアンテナビームが得られることを特徴とする請求項12に記載の装置内蔵アンテナの設置方法。
【請求項14】
前記アンテナ基板が所定の複数の領域に区分けされて、該複数の領域のそれぞれの領域を指定可能な情報が
前記アンテナ基板に付されており、
アンテナビームを設定する方向に応じた
前記情報が指定され、
前記第1タブシートおよび
前記第2タブシートの内の指定された情報に対応する領域のタブシートを残して他のタブシートが取り除かれることを特徴とする請求項
12に記載の装置内蔵アンテナの設置方法。
【請求項15】
請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の装置内蔵アンテナが組み込まれることを特徴とするアンテナ内蔵装置。
【請求項16】
請求項9ないし請求項14いずれかに記載の装置内蔵アンテナの設置方法により組み込まれた装置内蔵アンテナのアンテナビームが所定の方向に設定されることを特徴とするアンテナ内蔵装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、簡易にアンテナビームを設定できる装置内蔵アンテナ、アンテナ内蔵装置および装置内蔵アンテナの設置方法、アンテナ内蔵装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
移動通信システムにおける従来のアンテナは建物屋上などに設置されており、アンテナを支持するポールに固着されている。このことから、アンテナをポールに対して傾けて設置することができ、機械的にアンテナの向きを変えることができる。すなわち、建物屋上などに設置された従来のアンテナではビームパターン制御の自由度が高く、移動通信基地局として好適であった。しかし、近年の通信システム増加に伴って移動通信の基地局アンテナの需要が増え、既に多くの移動通信基地局がある建物屋上などには、その設置に余裕がなくなってきている。更に、新たな構造物を建物に設置するためには、建物所有者への設置許可が必要であり、設置することが困難な場合が多くなってきている。
そこで、既に設置されている装置の内部にアンテナを設置して見えないアンテナとすることが提案されている。既に設置されている装置の内部にアンテナを設置すれば、新たな構造物に当たらないため、設置することが容易となる。
【0003】
従来、装置の内部にアンテナを設けることが提案されている。この装置は、ケースの内部に無線通信を行うアンテナを備えている。従来提案されている装置は、合成樹脂製とされたケースを備え、ケースの内部に通信用のアンテナが取り付けられており、アンテナは、移動通信基地局などにおける送受信用の通信アンテナとして用いることができる。
【0004】
従来提案されている装置の内部にアンテナが設けられている装置の一例として特許文献1記載の従来の照明器具を説明する。従来の照明器具200の構成を示す分解斜視図を
図35に示す。
図35に示す従来の照明器具200は、透光性のカバー部材103と、複数の発光素子162が配線163間に設けられた発光モジュール360と、無線モジュールのアンテナ部311を備えている。発光モジュール360は、金属製の基台140の配置面141に設けられている。
【0005】
アンテナ部311の第1部分311aは、第1挿通孔261及び第2挿通孔241に挿通され、第2部分311bが配線基板161とカバー部材103との間の部分で屈曲されて、複数の発光素子162の並びに沿って延びている。具体的には、アンテナ部311は、第1挿通孔261及び第2挿通孔241を挿通した第1部分311aと、L字状に屈曲され、1以上の発光素子162の上方に配置され、複数の発光素子162の並びに沿って延在している第2部分311bとからなる。アンテナ部311は、無線制御部に第1部分311aを介して接続される。また、電源部170が基台140の裏面に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来のアンテナが内蔵された装置では、アンテナのビームパターンは固定となっており、ビームパターンを可変できるようにはされていない。このため、従来のアンテナが内蔵された装置を、ビームパターン制御の自由度が高い建物屋上などに設置された従来のアンテナに置き換えることが困難となっていた。これを解決するために、従来のアンテナが内蔵された装置において、複数のアンテナ素子を備えるアンテナを内蔵させることにより、アンテナのビームパターンを制御可能とすることが考えられる。しかしながら、従来のアンテナが内蔵された装置は、一般に壁面に設置されることが多く、アンテナのビームパターンは壁面の方位や設置状況に応じてアンテナが内蔵された装置個々に異なる所望の方向のアンテナのビームパターンとすることが求められる。アンテナのビームパターンを所望の方向に向けるように制御するには専門知識が必要であるが、ビームパターン制御技術に関する専門知識は、装置を設置する業者にとっては専門外の知識であるから、ビームパターンを所望の方向に向くように容易に制御することが困難になるという問題点があった。
【0008】
そこで、本発明は、アンテナのビームパターンを制御する専門知識を有することなく簡易にアンテナビームを設定できる装置内蔵アンテナ、アンテナ内蔵装置および装置内蔵アンテナの設置方法、アンテナ内蔵装置の製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記本発明の目的を達成することができる本発明の装置内蔵アンテナは、アンテナ基板と、該アンテナ基板上に所定の間隔で配列されるよう形成された複数のエレメントと、該複数のエレメントのそれぞれに給電する前記アンテナ基板上に形成された給電ラインと、所定量遅延して給電する第1切換状態と、遅延することなく給電する第2切換状態とのいずれかに切り換えられる前記給電ラインの中途に設けられた切換手段と、前記アンテナ基板上に貼り合わされるシートとを備え、前記アンテナ基板上に貼り合わせた前記シートにより、アンテナビームが所定の方向となるように前記切換手段のそれぞれが前記第1切換状態あるいは前記第2切換状態に設定されることを最も主要な特徴としている。
【0010】
上記本発明の装置内蔵アンテナにおいて、給電点から前記複数のエレメントのそれぞれに前記給電ラインを介して給電信号が供給され、前記複数のエレメントにおける各エレメントに給電信号を供給する前記給電ラインには、少なくとも1つの前記切換手段が設けられており、前記各エレメントに給電される給電信号の位相が、前記切換手段の切換状態に応じた位相となることにより、アンテナビームが所定の方向となっている。
また、上記本発明の装置内蔵アンテナにおいて、前記切換手段が設けられる前記給電ラインの中途が途切れており、該途切れた前記給電ライン間に接続可能な遅延ラインを構成する遅延パターンと直接接続パターンとが前記切換手段に形成され、前記シートには、前記切換手段に対応する位置のそれぞれに、アンテナビームが所定の方向となるように、前記遅延パターンを前記途切れた前記給電ライン間に接続する第1接続パターンと、前記直接接続パターンを前記途切れた前記給電ライン間に接続する第2接続パターンとのいずれかのパターンが形成されている。
さらに、上記本発明の装置内蔵アンテナにおいて、前記切換手段が設けられる前記給電ラインの中途が途切れており、該途切れた前記給電ライン間に接続可能な遅延ラインを構成する遅延パターンと直接接続パターンとを前記切換手段は有し、前記シートには、前記切換手段に対応する位置のそれぞれに、アンテナビームが所定の方向となるように、前記遅延パターンを前記途切れた前記給電ライン間に接続する接続具を装着する第1接続手段と、前記直接接続パターンを前記途切れた前記給電ライン間に接続する前記接続具を装着する第2接続手段とのいずれかが設けられている。
さらにまた、上記本発明の装置内蔵アンテナにおいて、アンテナビームの所定の方向として複数の方向が予め設定されており、該複数の方向に対応する前記シートが複数枚用意されており、設定されるアンテナビームの方向に対応する前記シートが選択されて前記アンテナ基板上に貼り合わせている。
【0011】
さらにまた、上記本発明の装置内蔵アンテナにおいて、前記切換手段が設けられる前記給電ラインの中途が途切れており、該途切れた前記給電ライン間に接続可能な遅延ラインを構成する遅延パターンと直接接続パターンとを前記切換手段は有し、前記シートは、前記遅延パターンを前記途切れた前記給電ライン間に接続する第1接続パターンが形成されている第1タブシートと、前記直接接続パターンを前記途切れた前記給電ライン間に接続する第2接続パターンが形成されている第2タブシートとから構成され、前記切換手段が形成されている位置に前記第1タブシートと前記第2タブシートとが貼り合わされており、アンテナビームが所定の方向となるように、前記切換手段毎に前記第1タブシートと前記第2タブシートとのいずれかを取り除いている。
さらにまた、上記本発明の装置内蔵アンテナにおいて、前記第1タブシートおよび前記第2タブシートには識別情報が付されており、前記第1タブシートおよび前記第2タブシートの内の指定された識別情報が付されたタブシートを残して他のタブシートが取り除かれることにより、所定の方向のアンテナビームが得られる。
さらにまた、上記本発明の装置内蔵アンテナにおいて、前記アンテナ基板が所定の複数の領域に区分けされて、該複数の領域のそれぞれの領域を指定可能な情報が前記アンテナ基板に付されており、前記第1タブシートおよび前記第2タブシートの内の前記情報で指定された領域のタブシートを残して他のタブシートが取り除かれることにより、所定の方向のアンテナビームが得られる。
【0012】
上記本発明の目的を達成することができる本発明の装置内蔵アンテナの設置方法は、アンテナ基板上にシートを貼り合わせるステップにより、アンテナビームが所定の方向となるように切換手段のそれぞれが第1切換状態あるいは第2切換状態に設定される装置内蔵アンテナの設置方法であって、前記アンテナ基板上には、所定の間隔で配列されている複数のエレメントと、該複数のエレメントのそれぞれに給電する給電ラインとが形成されていると共に、前記給電ラインの中途に所定量遅延して給電する前記第1切換状態と、遅延することなく給電する前記第2切換状態とのいずれかに切り換えられる切換手段が形成され、前記シートには、前記遅延パターンを前記切換手段において前記給電ラインの間に接続する第1接続パターンと、前記直接接続パターンを前記切換手段において前記給電ラインの間に接続する第2接続パターンとのいずれかのパターンが形成されていることを主要な特徴としている。
【0013】
本発明の他の装置内蔵アンテナの設置方法は、アンテナ基板上にシートを貼り合わせるステップにより、アンテナビームが所定の方向となるように切換手段のそれぞれが第1切換状態あるいは第2切換状態に設定される装置内蔵アンテナの設置方法であって、前記アンテナ基板上には、所定の間隔で配列されている複数のエレメントと、該複数のエレメントのそれぞれに給電する給電ラインとが形成されていると共に、前記給電ラインの中途に所定量遅延して給電する前記第1切換状態と、遅延することなく給電する前記第2切換状態とのいずれかに切り換えられる切換手段が形成され、前記シートには、前記遅延パターンを前記切換手段において前記給電ラインの間に接続する接続具を装着する第1接続手段と、前記直接接続パターンを前記切換手段において前記給電ラインの間に接続する前記接続具を装着する第2接続手段とのいずれかが設けられていることを主要な特徴としている。
上記本発明の装置内蔵アンテナの設置方法において、アンテナビームの所定の方向として複数の方向が予め設定されており、該複数の方向のそれぞれに対応する前記シートが複数枚用意されて、設定されるアンテナビームの方向に対応する前記シートが選択されて前記アンテナ基板上に貼り合わせるステップにより、貼り合わされた前記シートで決定されるアンテナビームの方向とされる。
【0014】
本発明のさらに他の装置内蔵アンテナの設置方法は、アンテナ基板上に貼り合わせたタブシートを選択的に取り除くステップにより、アンテナビームが所定の方向となるように切換手段のそれぞれが第1切換状態あるいは第2切換状態に設定される装置内蔵アンテナの設置方法であって、前記アンテナ基板上には、所定の間隔で配列されている複数のエレメントと、該複数のエレメントのそれぞれに給電する給電ラインとが形成されていると共に、所定量遅延して給電する前記第1切換状態と、遅延することなく給電する前記第2切換状態とのいずれかに切り換えられる切換手段が形成され、前記タブシートは、前記遅延パターンを前記切換手段において前記給電ラインの間に接続する第1接続パターンが形成されている第1タブシートと、前記直接接続パターンを前記切換手段において前記給電ラインの間に接続する第2接続パターンが形成されている第2タブシートとから構成され、前記ステップは、前記切換手段において、アンテナビームを設定する方向に応じて選択的に前記第1タブシートあるいは前記第2タブシートが取り除かれるステップとされることを主要な特徴としている。
また、上記本発明の装置内蔵アンテナの設置方法において、前記第1タブシートおよび前記第2タブシートには識別情報が付されており、前記ステップでは、アンテナビームを設定する方向に応じた前記識別情報が指定され、前記第1タブシートおよび前記第2タブシートの内の指定された識別情報が付されたタブシートを残して他のタブシートが取り除かれることにより、設定された方向のアンテナビームが得られるようになる。
さらに、上記本発明の装置内蔵アンテナの設置方法において、前記アンテナ基板が所定の複数の領域に区分けされて、該複数の領域のそれぞれの領域を指定可能な情報が前記アンテナ基板に付されており、前記ステップでは、アンテナビームを設定する方向に応じた前記情報が指定され、前記第1タブシートおよび前記第2タブシートの内の指定された前記情報に対応する領域のタブシートを残して他のタブシートが取り除かれるようにしてもよい。
【0015】
上記本発明の目的を達成することができる本発明のアンテナ内蔵装置は、上記装置内蔵アンテナのいずれかが組み込まれることを主要な特徴としている。
上記本発明の目的を達成することができる本発明のアンテナ内蔵装置の製造方法は、上記装置内蔵アンテナの設置方法のいずれかにより組み込まれた装置内蔵アンテナのアンテナビームが所定の方向に設定されることを主要な特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
装置内蔵アンテナ、アンテナ内蔵装置および装置内蔵アンテナの設置方法、アンテナ内蔵装置の製造方法
本発明の装置内蔵アンテナおよびアンテナ内蔵装置は見えないアンテナとすることができ、装置内蔵アンテナ、アンテナ内蔵装置装置および内蔵アンテナの設置方法、アンテナ内蔵装置の製造方法では、切換シートがアンテナ基板上に装着されることにより、アンテナのアンテナビームが所定の方向となるように切換手段のそれぞれが第1切換状態あるいは第2切換状態となることから、アンテナのビームパターンを制御する専門知識を有していなくても、簡易にアンテナのビームパターンを容易に所望の方向に向くように制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施例の装置内蔵アンテナが組み込まれる看板の構成を示す斜視図である。
【
図2】本本発明の実施例の装置内蔵アンテナが組み込まれる看板の構成を示す分解斜視図である。
【
図3】本発明の実施例の装置内蔵アンテナが組み込まれる看板を壁に取り付けた状態を示す斜視図である。
【
図4】本発明の実施例の装置内蔵アンテナが組み込まれる看板を壁に取り付けて、蓋部を開けた状態を示す斜視図である。
【
図5】本発明の実施例の装置内蔵アンテナが組み込まれる看板における基部の構成を示す平面図である。
【
図6】本発明の実施例の装置内蔵アンテナが組み込まれる看板における基部の構成を断面図で示す下面図である。
【
図7】本発明の実施例の装置内蔵アンテナが組み込まれる看板における基部の構成を断面図で示す側面図である。
【
図8】本発明の第1実施例の装置内蔵アンテナにおけるアンテナ基板の構成を示す図である。
【
図9】本発明の第1実施例の装置内蔵アンテナにおけるアンテナ基板に装着する第1シートの構成を示す図である。
【
図10】本発明の第1実施例の装置内蔵アンテナにおけるアンテナ基板に第1シートを装着したアンテナの構成を示す図である。
【
図11】本発明の第1実施例の装置内蔵アンテナにおけるアンテナ基板に装着する他の第1シートの構成を示す図である。
【
図12】本発明の第1実施例の装置内蔵アンテナにおけるアンテナ基板に他の第1シートを装着した構成を示す図である。
【
図13】本発明の第1実施例の装置内蔵アンテナにおけるアンテナ基板に装着するさらに他の第1シートの構成を示す図である。
【
図14】本発明の第1実施例の装置内蔵アンテナにおけるアンテナ基板にさらに他の第1シートを装着した構成を示す図である。
【
図15】本発明の第2実施例の装置内蔵アンテナにおけるアンテナ基板に装着する第2シートの構成を示す図、第2シートに装着する接続具の構成を示す斜視図である。
【
図16】本発明の第2実施例の装置内蔵アンテナにおけるアンテナ基板に第2シートを装着した構成を示す図である。
【
図17】本発明の第2実施例の装置内蔵アンテナにおけるアンテナ基板に装着する他の第2シートの構成を示す図である。
【
図18】本発明の第2実施例の装置内蔵アンテナにおけるアンテナ基板に他の第2シートを装着したアンテナの構成を示す図である。
【
図19】本発明の第2実施例の装置内蔵アンテナにおけるアンテナに装着するさらに他の第2シートの構成を示す図である。
【
図20】本発明の第2実施例の装置内蔵アンテナにおけるアンテナ基板にさらに他の第2シートを装着したアンテナの構成を示す図である。
【
図21】本発明の第3実施例の装置内蔵アンテナにおけるアンテナ基板の構成を示す図である。
【
図22】本発明の第3実施例の装置内蔵アンテナにおけるアンテナ基板に装着するタブシートの構成を示す図である。
【
図23】本発明の第3実施例の装置内蔵アンテナにおけるアンテナ基板に装着する組み合わせたタブシートの構成を示す図である。
【
図24】本発明の第3実施例の装置内蔵アンテナにおけるアンテナ基板に組み合わせたタブシートを装着したアンテナの構成を示す図である。
【
図25】本発明の第3実施例の装置内蔵アンテナにおけるアンテナ基板に装着した組み合わせたタブシートの一部を取り除いたアンテナの構成を示す図である。
【
図26】本発明の第3実施例の装置内蔵アンテナにおけるアンテナ基板に装着した組み合わせたタブシートの他の一部を取り除いたアンテナの構成を示す図である。
【
図27】本発明の第3実施例の装置内蔵アンテナにおけるアンテナ基板に装着した組み合わせたタブシートのさらに他の一部を取り除いたアンテナの構成を示す図である。
【
図28】本発明の実施例の装置内蔵アンテナが組み込まれるアンテナ内蔵装置の変形例の構成を示す斜視図である。
【
図29】本発明の実施例の装置内蔵アンテナが組み込まれるアンテナ内蔵装置の変形例の構成を示す分解斜視図である。
【
図30】本発明の第3実施例の他の構成とされた装置内蔵アンテナの構成を示す図である。
【
図31】本発明の第3実施例の他の構成の装置内蔵アンテナにおいてアンテナビームの方向を設定した際の装置内蔵アンテナの構成を示す図である。
【
図32】本発明の実施例の装置内蔵アンテナにおける切換手段の他の構成を示す図である。
【
図33】本発明の装置内蔵アンテナが組み込まれるアンテナ内蔵装置の他の変形例の構成を示す斜視図である。
【
図34】本発明の装置内蔵アンテナが組み込まれるアンテナ内蔵装置の他の変形例の構成を示す分解斜視図である。
【
図35】従来の装置の一例である照明器具の構成を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[本発明の装置の実施例]
本発明の実施例のアンテナ内蔵装置を説明するが、以下の説明においてはアンテナ内蔵装置の一例として看板を上げて説明するものとする。ただし、アンテナ内蔵装置は看板に限られるものではない。本発明の実施例の装置内蔵アンテナが組み込まれる看板の構成を
図1および
図2に示す。
図1は装置内蔵アンテナが組み込まれる看板1の構成を示す斜視図であり、
図2は装置内蔵アンテナが組み込まれる看板1の構成を示す分解斜視図である。
これらの図に示す本発明の実施例の装置内蔵アンテナ13が組み込まれる看板1は、横長の直方体状とされており、横長の矩形リング状の基部10と、基部10の上面の開口を閉塞するよう取り付けられた蓋部11と、基部10の下部に収納された光源が設けられる基板12とを備えている。基部10は、基部10の4つの角部の高さ方向と下面の4辺とに沿って図示しない金属製のアングル材が基部10の内部に取り付けられて看板1を壁等に支持可能とされている。そして、基板12が取り付けられる3本の桟部10bが上記アングル材に設けられて、基部10の下部の内側に基部10の短辺にほぼ平行に配置されている。基板12の表面には複数個の縦列とされた発光素子12aが基板12の長辺にほぼ平行に所定間隔で2列設けられており、基板12の発光素子12aが設けられた同じ面のほぼ中央部に装置内蔵アンテナ13が設けられている。基部10および蓋部11は、発光素子12aから放射された光が外部へ効率よく透過する合成樹脂製とされ、上記2列の発光素子12aから放射された光が、基部10および蓋部11を透過する際に拡散されて外部へほぼ一様に放射される。すなわち、発光素子12aから放射された光が基部10および蓋部11を透過して外部へ放射される。
【0019】
基部10および蓋部11は、発光素子12aから放射された光を外部へ効率よく放射できるように白色や他の薄い彩色の合成樹脂製とすることができる。なお、
図1,
図2に示す看板1は直方体状とされているが、看板1の使用の態様に応じて幅および高さを任意の寸法とすることができると共に、立方体状、多角柱状、円柱状、楕円柱状等とすることができる。また、各列の発光素子12aの数は図示する個数に限らず図示する個数以上あるいは以下としてもよいし、列数を3列以上としてもよい。さらに、桟部10bの数は2本としてもよいし、4本以上としてもよい。
本発明の装置内蔵アンテナ13が組み込まれる看板1は、ビルの看板、コンビニエンスストア、ドラッグストア、時間決め駐車場、駅、郵便局などの看板とされる。これらの看板は一般に壁面に取り付けられるが、外形形状を変えることにより、突出看板、野立看板、スタンド看板、ポール看板などとすることもできる。
【0020】
次に、本発明の装置内蔵アンテナ13が組み込まれる看板1を壁面01に取り付けた状態の構成を示す斜視図を
図3に、本発明にかかる実施例の看板1を壁面01に取り付けて蓋部11を開けた状態の構成を示す斜視図を
図4に示す。
これらの図に示す本発明の装置内蔵アンテナ13が組み込まれる看板1は、下面が壁面01に接するように壁面01に取り付けられている。この場合、上記したアングル材に挿通した複数本のアンカーボルト等を壁面01に螺着することにより看板1が壁面01に
図3に示すように取り付けられる。
壁面01に取り付けた状態における蓋部11の上端部の両側が、該蓋部11の上端部に対向する基部10の上端部の両側に回転可能に支持されており、基部10の上端部を結ぶ上縁を回転中心として蓋部11を回転させて基部10から開けることができる。蓋部11を回転させて開けた状態を
図4に示しており、この状態において発光素子12aの列や装置内蔵アンテナ13のメンテナンスを行うことができる。この場合、図示していないが基部10と蓋部11との間に折り畳み可能なアームが設けられており、蓋部11を回転させて基部10に対して開けていくと、折り畳まれたアームが伸びてきて伸びきった状態において固定される。これにより、蓋部11を基部10に対して開けた状態を保持できるようになる。この場合、アームは同様の形状の2本の部材から構成され、一方の部材の一端が基部10内側面に回転可能に支持され他端が他方の部材の一端に約180°回転可能に支持され、他方の部材の他端が蓋部11の内側面に回転可能に支持されている。蓋部11を開けた状態において、アームに折り畳む方向に力を加えることにより、アームが折り畳まれていって蓋部11を基部10に対して閉じることができ、アームは看板1内に収容される。また、蓋部11が閉じた状態を保持するように、蓋部11を基部10にロックするロックネジを設けることができる。
【0021】
次に、本発明の装置内蔵アンテナ13が組み込まれる看板1における基部10の構成を
図5ないし
図7に示す。
図5は基部10の構成を示す平面図であり、
図5は基部10の構成を示すA-A線で切断したA-A断面図で示す下面図であり、
図7は基部10の構成を示すB-B線で切断したB-B断面図で示す側面図である。
これらの図に示す基部10は、横長の矩形リング状とされた透光性の合成樹脂製とされた基枠10aと、基枠10aの下部に配置され複数本の桟部10bに取付ネジ等で固着された横長の矩形状とされた基板12とを備えている。基板12はプリント基板または導電性の平板に絶縁性の平板を積層して構成されており、基板12のおもて面には複数個の縦列とされた発光素子12aが基板12の長辺にほぼ平行に、それぞれ中心線から所定間隔で2列設けられており、基板12のほぼ中央部に通信用の装置内蔵アンテナ13が形成されている。基板12を構成する絶縁性の平板は、所定厚さの好適には透明の誘電体フィルムとすることができる。装置内蔵アンテナ13は、基板12のおもて面にプリントや厚さの薄い金属板の貼着により形成される。そして、基板12の導電性の平板は、発光素子12aの放熱板として機能させることができると共に、装置内蔵アンテナ13のグランドプレーンとしても機能する。基板12における絶縁性の平板を透光性として、基板12の導電性の平板の表面に光を反射する処理、例えばクロムメッキやニッケルメッキによる光沢処理を施したり、基板12のおもて面に白色の塗装を施すことにより、基板12を発光素子12aから放射される光の反射板として利用することができる。装置内蔵アンテナ13には、給電用のケーブル12bが接続されてケーブル12bの端部は図示しない通信機モジュールに接続されている。この装置内蔵アンテナ13は送信専用アンテナ、受信専用アンテナあるいは送受信用アンテナとして使用可能とされており、例えば3.6GHz~4.6GHzに代表される第5世代移動通信システム(5G)に適用可能とされている。装置内蔵アンテナ13および通信機モジュールを5Gに適用すると、看板1を移動通信システム第5世代(5G)の移動通信基地局として兼用することができる。発光素子12aの列における発光素子12aのそれぞれはLED(Light Emitting Diode)とされている。
【0022】
図6および
図7に示すように、桟部10bは基枠10aの下面から若干上とされる下部に設けられており、該桟部10bの上に基板12が固着されていることから、2列の発光素子12aの列および装置内蔵アンテナ13は、基枠10aの下部に配置されている。また、2列の発光素子12aの列および装置内蔵アンテナ13は、基板12の一面であるおもて面の同一面状に設けられることになる。
【0023】
[本発明の第1実施例の装置内蔵アンテナ]
本発明にかかる第1実施例の装置内蔵アンテナ13A,13B,13Cは、
図8に示すアンテナ基板30に
図9,
図11,
図13に示す第1シート40L,40C,40Rのいずれかの第1シートを貼り合わせることにより構成されている。この場合、アンテナビームの方向は選択された第1シートに応じた方向に設定される。そこで、第1シート40L,40C,40Rに、設定されるアンテナビームの方向を示す情報を表記しておくことができる。なお、
図1ないし
図7で説明した本発明にかかる実施例のアンテナ内蔵装置である看板1では、基板12のおもて面に装置内蔵アンテナ13が形成されていたが、後述する第1実施例の装置内蔵アンテナ13A,13B,13Cを構成するアンテナ基板30を基板12のおもて面に装着しておき、現地等においていずれかの第1シートをアンテナ基板30に貼り合わせることによりアンテナビームの方向を設定することができる。
ここで、第1実施例の装置内蔵アンテナ13A,13B,13Cを構成するアンテナ基板30の構成を
図8に、アンテナ基板30に装着する第1シート40Lの構成を
図9に、アンテナ基板30に第1シート40Lを装着して構成した第1の装置内蔵アンテナ13Aの構成を
図10に、アンテナ基板30に装着する他の第1シート40Cの構成を
図11に、アンテナ基板30に他の第1シート40Cを装着して構成した装置内蔵アンテナ13Bの構成を
図12に、アンテナ基板30に装着するさらに他の第1シート40Rの構成を
図13に、アンテナ基板30にさらに他の第1シート40Rを装着して構成した装置内蔵アンテナ13Cの構成を
図14に示す。
【0024】
本発明にかかる第1実施例の装置内蔵アンテナ13A,13B,13Cにおけるアンテナ基板30は、裏面の全面にグランドプレーンとされる導電体がプリントされたプリント基板とされ、おもて面に装置内蔵アンテナ13の主要部がプリントされている。なお、
図1ないし
図7で説明した本発明にかかる実施例のアンテナ内蔵装置である看板1では、基板12のおもて面に装置内蔵アンテナ13が形成されていたが、後述する第1実施例の装置内蔵アンテナ13A,13B,13Cを構成するアンテナ基板30を基板12のおもて面に装着することができる。
第1実施例の装置内蔵アンテナ13A,13B,13Cにおけるアンテナ基板30には、4つの正方形状のパッチ素子とされた第1エレメントEL11、第2エレメントEL12、第3エレメントEL13、第4エレメントEL14が横方向にほぼ等間隔で配列されるよう形成されている。アンテナ基板30にはマイクロストリップアンテナが形成され、マイクロストリップアンテナはエレメントEL11~EL14とアンテナ基板30の裏面に形成されたグランドプレーンとを構成要素とする平面アンテナとされている。4つのエレメントEL11~EL14の下縁の中央から下方向へ細長い矩形状の給電パターンa11,a12,a13,a14がそれぞれ延伸されている。そして、第1エレメントEL11における給電パターンa11の下部と、給電パターンa11の下部に上部が対面し左側に位置している逆コ字状の形状の第1遅延パターンb11と、第1遅延パターンb11の下部に上部が対面し右側に位置しているコ字状の形状の第2遅延パターンc11と、第2遅延パターンc11の下部に上部が対面し、上縁が給電パターンa11の下縁に対面している細長い矩形状の縦方向の給電パターンd11とで第1切換手段SW11が構成されている。
【0025】
また、第2エレメントEL12における給電パターンa12の下部と、給電パターンa12の下部に上部が対面し右側に位置しているコ字状の形状の第1遅延パターンb12と、第1遅延パターンb12の下部に上部が対面し左側に位置している逆コ字状の形状の第2遅延パターンc12と、第2遅延パターンc12の下部に上部が対面し、上縁が給電パターンa12の下縁に対面している細長い矩形状の縦方向の給電パターンd12とで第2切換手段SW12が構成されている。
さらに、第3エレメントEL13における給電パターンa13の下部と、給電パターンa13の下部に上部が対面し左側に位置している逆コ字状の形状の第1遅延パターンb13と、第1遅延パターンb13の下部に上部が対面し右側に位置しているコ字状の形状の第2遅延パターンc13と、第2遅延パターンc13の下部に上部が対面し、上縁が給電パターンa13の下縁に対面している細長い矩形状の縦方向の給電パターンd13とで第3切換手段SW13が構成されている。
さらにまた、第4エレメントEL14における給電パターンa14の下部と、給電パターンa14の下部に上部が対面し右側に位置しているコ字状の形状の第1遅延パターンb14と、第1遅延パターンb14の下部に上部が対面し左側に位置している逆コ字状の形状の第2遅延パターンc14と、第2遅延パターンc14の下部に上部が対面し、上縁が給電パターンa14の下縁に対面している細長い矩形状の縦方向の給電パターンd14とで第4切換手段SW14が構成されている。
【0026】
給電パターンd11はL字状に右横方向に約90°折曲されて延伸され、給電パターンd12はL字状に左横方向に約90°折曲されて延伸され、延伸された対面している両者が接続されて第1給電ラインFL11のパターンが形成されている。この第1給電ラインFL11の中央から下方へ細長い矩形状の給電パターンa15が形成されている。そして、第1給電ラインFL11における給電パターンa15の下部と、給電パターンa15の下部に上部が対面し左側に位置している逆コ字状の形状の第1遅延パターンb15と、第1遅延パターンb15の下部に上部が対面し右側に位置しているコ字状の形状の第2遅延パターンc15と、第2遅延パターンc15の下部に上部が対面し、上縁が給電パターンa15の下縁に対面している細長い矩形状の縦方向の給電パターンd15とで第5切換手段SW15が構成されている。
また、給電パターンd13はL字状に右横方向に約90°折曲されて延伸され、給電パターンd14はL字状に左横方向に約90°折曲されて延伸され、延伸された対面している両者が接続されて第4給電ラインFL14のパターンが形成されている。この第4給電ラインFL14の中央から下方へ細長い矩形状の給電パターンa16が形成されている。そして、第4給電ラインFL14における給電パターンa16の下部と、給電パターンa16の下部に上部が対面し右側に位置しているコ字状の形状の第1遅延パターンb16と、第1遅延パターンb16の下部に上部が対面し左側に位置している逆コ字状の形状の第2遅延パターンc16と、第2遅延パターンc16の下部に上部が対面し、上縁が給電パターンa16の下縁に対面している細長い矩形状の縦方向の給電パターンd16とで第6切換手段SW16が構成されている。
【0027】
給電パターンd15はL字状に右横方向に約90°折曲されて延伸されて、第2給電ラインFL12のL字状のパターンが形成されている。この第2給電ラインFL12の横方向に延伸された先端部に細長い矩形状の給電パターンa17が形成されている。そして、第2給電ラインFL12における給電パターンa17の先端と、給電パターンa17の先端に左側が対面し上側に位置している逆コ字状を90°回転させた形状の第1遅延パターンb17と、第1遅延パターンb17の右側に左側が対面し下側に位置しているコ字状を90°回転させた形状の第2遅延パターンc17と、第2遅延パターンc17の右側に先端が対面し、左縁が給電パターンa17の右縁に対面している細長い矩形状の横方向の給電パターンd17とで第7切換手段SW17が構成されている。
また、給電パターンd16はL字状に左横方向に約90°折曲されて延伸されて、第6給電ラインFL16のL字状のパターンが形成されている。この第6給電ラインFL16の横方向に延伸された先端部に細長い矩形状の給電パターンa18が形成されている。そして、第6給電ラインFL16における給電パターンa18の先端と、給電パターンa18の先端に右側が対面し上側に位置しているコ字状を90°回転させた形状の第1遅延パターンb18と、第1遅延パターンb18の左側に右側が対面し下側に位置している逆コ字状を90°回転させた形状の第2遅延パターンc18と、第2遅延パターンc18の左側に先端が対面し、右縁が給電パターンa18の左縁に対面している細長い矩形状の横方向の給電パターンd18とで第8切換手段SW18が構成されている。
【0028】
給電パターンd17は右横方向へ延伸され、給電パターンd18は左横方向へ延伸されて、対面している両者が接続されることにより第3給電ラインFL13の横方向のパターンが形成されている。第3給電ラインFL13のほぼ中央から下方へ細長い矩形状の第3給電ラインFL13の縦方向の給電ライン13aのパターンが形成されており、第3給電ラインFL13はT字状に形成されている。給電ライン13aの先端には給電点31が接続されている。
給電点31には、通信機からの送信信号が給電信号として印加され、第1給電ラインFL11ないし第6給電ラインFL16を伝播して4分配され、分配された給電信号が第1エレメントEL11ないし第4エレメントEL14にそれぞれ給電される。第1エレメントEL11ないし第4エレメントEL14から合成されて放射されるアンテナビームは、アンテナ基板30の垂直面内となる。また、第1エレメントEL11ないし第4エレメントEL14でそれぞれ受信された信号が第1給電ラインFL11ないし第6給電ラインFL16を伝播して合成され、合成された受信信号が給電点31から出力される。
【0029】
給電点31から第1エレメントEL11の給電パターンa11には、上記したように給電ラインFL13a-第3給電ラインFL13-第7切換手段SW17-第2給電ラインFL12-第5切換手段SW15-第1給電ラインFL11-第1切換手段SW11の経路で給電信号が供給される。
また、給電点31から第2エレメントEL12の給電パターンa12には、上記したように給電ラインFL13a-第3給電ラインFL13-第7切換手段SW17-第2給電ラインFL12-第5切換手段SW15-第1給電ラインFL11-第2切換手段SW12の経路で給電信号が供給される。
さらに、給電点31から第3エレメントEL13の給電パターンa13には、上記したように給電ラインFL13a-第3給電ラインFL13-第8切換手段SW18-第6給電ラインFL16-第6切換手段SW16-第4給電ラインFL14-第3切換手段SW13の経路で給電信号が供給される。
さらにまた、給電点31から第4エレメントEL14の給電パターンa14には、上記したように給電ラインFL13a-第3給電ラインFL13-第8切換手段SW18-第6給電ラインFL16-第6切換手段SW16-第4給電ラインFL14-第4切換手段SW14の経路で給電信号が供給される。
なお、切換手段が形成されている部分において給電ラインは途切れており、電気的に接続されていない途切れた給電ラインの間を後述するように切換手段により直接あるいは遅延ラインを介して接続するようにしている。例えば、第1切換手段SW11においては、給電パターンa11と第1給電ラインFL11の給電パターンd11とは切換手段を介して対向しており電気的に接続されていない。また、第5切換手段SW15においては、第1給電ラインFL11の給電パターンa15と第2給電ラインFL12の給電パターンd15とが切換手段を介して対向しており電気的に接続されていない。以下、説明を省略するが、他の切換手段においても同様に切換手段が形成されている部分において給電ラインは途切れており電気的に接続されていない。
【0030】
[第1シート40L]
次に、アンテナ基板30の上に密着するよう装着されて、第1切換手段SW11ないし第8切換手段SW18の切換を行う第1シート40Lの構成を
図9に示す。第1シート40Lをアンテナ基板30の上に密着するよう貼り合わせると、アンテナビームの方向はアンテナ基板30の裏面から見て垂直方向から左側にチルトするようになる。
図9に示す第1シート40Lは、好適には透明または透明に近い誘電体フィルムからなる絶縁フィルムからなり、絶縁フィルムの一面に第1切換手段SW11~第8切換手段SW18に対応する位置に第1接続パターンSF11~第8接続パターンSF18がそれぞれ形成されている。第1切換手段SW11の位置に対応する第1接続パターンSF11は縦方向の細長い矩形状の接続パターンs11で形成され、第1エレメントEL11の給電パターンa11と第1給電ラインFL11の給電パターンd11とが接続可能とされている。
第2切換手段SW12の位置に対応する第2接続パターンSF12には、上側に配置され右側に寄った横方向の細長い矩形状の接続パターンs12と、中央に配置され横方向に寸法の長い細長い接続パターンt12と、下側に配置され左側に寄った横方向の細長い矩形状の接続パターンu12とが形成されている。第2エレメントEL12の給電パターンa12と第1遅延パターンb12の上部とが接続パターンs12で接続可能とされ、第1遅延パターンb12の下部と第2遅延パターンc12の上部とが接続パターンt12で接続可能とされ、第2遅延パターンc12の下部と第1給電ラインFL11の給電パターンd12とが接続パターンu12で接続可能とされている。
【0031】
第3切換手段SW13の位置に対応する第3接続パターンSF13は縦方向の細長い矩形状の接続パターンs13で形成され、第3エレメントEL13の給電パターンa13と第4給電ラインFL14の給電パターンd13とが接続可能とされている。
第4切換手段SW14の位置に対応する第4接続パターンSF14には、上側に配置され右側に寄った横方向の細長い矩形状の接続パターンs14と、中央に配置され横方向に寸法の長い細長い接続パターンt14と、下側に配置され左側に寄った横方向の細長い矩形状の接続パターンu14とが形成されている。第4エレメントEL14の給電パターンa14と第1遅延パターンb14の上部とが接続パターンs14で接続可能とされ、第1遅延パターンb14の下部と第2遅延パターンc14の上部とが接続パターンt14で接続可能とされ、第2遅延パターンc14の下部と第4給電ラインFL14の給電パターンd14とが接続可能とされている。
【0032】
第5切換手段SW15の位置に対応する第5接続パターンSF15は縦方向の細長い矩形状の接続パターンs15で形成され、第1給電ラインFL11の給電パターンa15と第2給電ラインFL12の給電パターンd15とが接続可能とされている。
第6切換手段SW16の位置に対応する第6接続パターンSF16には、上側に配置され右側に寄った横方向の細長い矩形状の接続パターンs16と、中央に配置され横方向に寸法の長い細長い接続パターンt16と、下側に配置され左側に寄った横方向の細長い矩形状の接続パターンu16とが形成されている。第4エレメントEL14の給電パターンa16と第1遅延パターンb16の上部とが接続パターンs16で接続可能とされ、第1遅延パターンb16の下部と第2遅延パターンc16の上部とが接続パターンt16で接続可能とされ、第2遅延パターンc16の下部と第5給電ラインFL15の給電パターンd16とが接続可能とされている。
【0033】
第7切換手段SW17の位置に対応する第7接続パターンSF17には横方向の細長い矩形状の接続パターンs17で形成され、第2給電ラインFL12の給電パターンa17と第3給電ラインFL13の給電パターンd17とが接続可能とされている。
第8切換手段SW18の位置に対応する第8接続パターンSF18には、右側に配置され上側に寄った縦方向の細長い矩形状の接続パターンs18と、中央に配置され縦方向に寸法の長い細長い接続パターンt18と、左側に配置され下側に寄った縦方向の細長い矩形状の接続パターンu18とが形成されている。第2エレメントEL12の給電パターンa18と第1遅延パターンb18の右側とが接続パターンs18で接続可能とされ、第1遅延パターンb18の左側と第2遅延パターンc18の右側とが接続パターンt18で接続可能とされ、第2遅延パターンc18の左側と第3給電ラインFL13の給電パターンd18とが接続可能とされている。
【0034】
[第1の装置内蔵アンテナ13A]
アンテナ基板30の上に第1シート40Lを位置を合わせて貼り合わせることにより構成した第1の装置内蔵アンテナ13Aの構成を
図10に示す。
図10では、第1シート40Lの接続パターンを視認しやすいようにハッチングを施して示している。
図10を参照すると、第1切換手段SW11においては、接続パターンs11により第1エレメントEL11の給電パターンa11と第1給電ラインFL11の給電パターンd11とが接続されている。これにより、第1エレメントEL11は、第1給電ラインFL11から直接給電されるようになる。
第2切換手段SW12においては、接続パターンs12により第2エレメントEL12の給電パターンa12と第1遅延パターンb12の上部とが接続され、接続パターンt12により第1遅延パターンb12の下部と第2遅延パターンc12の上部とが接続され、接続パターンu12により第2遅延パターンc12の下部と第1給電ラインFL11の給電パターンd12とが接続されている。これにより、第2エレメントEL12は第1遅延パターンb12と第2遅延パターンc12とからなる遅延ラインを介して第1給電ラインFL11から給電されるようになる。
【0035】
第3切換手段SW13においては、接続パターンs13により第3エレメントEL13の給電パターンa13と第4給電ラインFL14の給電パターンd13とが接続されている。これにより、第3エレメントEL13は、第4給電ラインFL14から直接給電されるようになる。
第4切換手段SW14においては、接続パターンs14により第4エレメントEL14の給電パターンa14と第1遅延パターンb14の上部とが接続され、接続パターンt14により第1遅延パターンb14の下部と第2遅延パターンc14の上部とが接続され、接続パターンu14により第2遅延パターンc14の下部と第3給電ラインFL13の給電パターンd14とが接続されている。これにより、第4エレメントEL14は第1遅延パターンb14と第2遅延パターンc14からなる遅延ラインを介して第4給電ラインFL14から給電されるようになる。
【0036】
第5切換手段SW15においては、接続パターンs15により第1給電ラインFL11の給電パターンa15と第2給電ラインFL12の給電パターンd15とが接続されている。これにより、第1給電ラインFL11には第2給電ラインFL12から直接給電される。
第6切換手段SW16においては、接続パターンs16により第3給電ラインFL13の給電パターンa16と第1遅延パターンb16の上部とが接続され、接続パターンt16により第1遅延パターンb16の下部と第2遅延パターンc16の上部とが接続され、接続パターンu16により第2遅延パターンc16の下部と第6給電ラインFL16の給電パターンd16とが接続されている。これにより、第4給電ラインFL14には、第1遅延パターンb16と第2遅延パターンc16からなる遅延ラインを介して第6給電ラインFL16から給電される。
【0037】
第7切換手段SW17においては、接続パターンs17により第2給電ラインFL12の給電パターンa17と第3給電ラインFL13の給電パターンd17とが接続されている。これにより、第2給電ラインFL12には第3給電ラインFL13から直接給電される。
第8切換手段SW18においては、接続パターンs18により第6給電ラインFL16の給電パターンa18と第1遅延パターンb18の右側とが接続され、接続パターンt18により第1遅延パターンb18の左側と第2遅延パターンc18の右側とが接続され、接続パターンu18により第2遅延パターンc18の左側と第3給電ラインFL13の給電パターンd18とが接続されている。これにより、第6給電ラインFL16には、第1遅延パターンb18と第2遅延パターンc18からなる遅延ラインを介して第3給電ラインFL18から給電される。
【0038】
これにより、アンテナ基板30の上に第1シート40Lを位置を合わせて貼り合わせることにより構成した第1の装置内蔵アンテナ13Aにおいては、給電点31から第1エレメントEL11に、上記したように第3給電ラインFL13と第2給電ラインFL12と第1給電ラインFL11を介して給電信号が遅延することなく直接供給される。また、給電点31から第2エレメントEL12には、上記したように第3給電ラインFL13と第2給電ラインFL12とを介した給電信号が、第2切換手段SW12の遅延ラインで所定量遅延されて供給される。すなわち、第2エレメントEL12には給電点31からの給電信号が1段階遅延されて供給される。さらに、給電点31から第3エレメントEL13に、上記したように第3給電ラインFL13からの給電信号が第8切換手段SW18の遅延ラインで所定量遅延されると共に第6切換手段SW16の遅延ラインにより所定量遅延され、第4給電ラインFL14を介して供給される。すなわち、第3エレメントEL13には給電点31からの給電信号が2段階遅延されて給電される。さらにまた、給電点31から第4エレメントEL14には、上記したように第3給電ラインFL13からの給電信号が第8切換手段SW18の遅延ラインで所定量遅延されると共に第6切換手段SW16の遅延ラインにより所定量遅延され、さらに第4切換手段SW14の遅延ラインにより所定量遅延されて供給される。すなわち、第4エレメントEL14には給電点31からの給電信号が3段階遅延されて給電される。
これにより、第1エレメントEL11から第4エレメントEL14に向かって給電信号が次第に遅延されて給電信号の位相が次第に回転することから、第1の装置内蔵アンテナ13Aから放射されるビームのビームパターンは垂直方向から右側へチルトする。見方を変えると、第1の装置内蔵アンテナ13Aの裏面から見て垂直方向から左側へチルトするようになる。チルトする角度は、第1切換手段SW11~第8切換手段SW18の遅延ラインの遅延量に応じた角度とされる。なお、第1切換手段SW11~第8切換手段SW18の各遅延ラインの遅延量はすべて同じ遅延量とされている。
【0039】
[第1シート40C]
次に、アンテナ基板30の上に密着するよう装着されて、第1切換手段SW11ないし第8切換手段SW18の切換を行う第1シート40Cの構成を
図11に示す。第1シート40Cをアンテナ基板30の上に密着するよう貼り合わせると、アンテナビームの方向はアンテナ基板30の垂直方向となる。
図10に示す第1シート40Cは、好適には透明または透明に近い誘電体フィルムからなる絶縁フィルムからなり、絶縁フィルムの一面に第1切換手段SW11~第8切換手段SW18に対応する位置に第1接続パターンSF21~第8接続パターンSF28がそれぞれ形成されている。第1切換手段SW11の位置に対応する第1接続パターンSF21は縦方向の細長い矩形状の接続パターンs21で形成され、第1エレメントEL11の給電パターンa11と第1給電ラインFL11の給電パターンd11とが接続可能とされている。
第2切換手段SW12の位置に対応する第2接続パターンSF22は縦方向の細長い矩形状の接続パターンs22で形成され、第2エレメントEL12の給電パターンa12と第1給電ラインFL11の給電パターンd12とが接続可能とされている。
【0040】
第3切換手段SW13の位置に対応する第3接続パターンSF23は縦方向の細長い矩形状の接続パターンs23で形成され、第3エレメントEL13の給電パターンa13と第4給電ラインFL14の給電パターンd13とが接続可能とされている。
第4切換手段SW14の位置に対応する第4接続パターンSF24は縦方向の細長い矩形状の接続パターンs24で形成され、第4エレメントEL14の給電パターンa14と第4給電ラインFL14の給電パターンd14とが接続可能とされている。
第5切換手段SW15の位置に対応する第5接続パターンSF25は縦方向の細長い矩形状の接続パターンs25で形成され、第1給電ラインFL11の給電パターンa15と第2給電ラインFL12の給電パターンd15とが接続可能とされている。
第6切換手段SW16の位置に対応する第6接続パターンSF26は縦方向の細長い矩形状の接続パターンs26で形成され、第4エレメントEL14の給電パターンa16と第6給電ラインFL16の給電パターンd16とが接続可能とされている。
第7切換手段SW17の位置に対応する第7接続パターンSF27は横方向の細長い矩形状の接続パターンs27で形成され、第2給電ラインFL12の給電パターンa17と第3給電ラインFL13の給電パターンd17とが接続可能とされている。
第8切換手段SW18の位置に対応する第8接続パターンSF28は横方向の細長い矩形状の接続パターンs28で形成され、第6エレメントEL16の給電パターンa18と第3給電ラインFL13の給電パターンd18とが接続可能とされている。
【0041】
[第2の装置内蔵アンテナ13B]
アンテナ基板30の上に第1シート40Cを位置を合わせて貼り合わせることにより構成した第2の装置内蔵アンテナ13Bの構成を
図12に示す。
図12では、第1シート40Cの接続パターンを視認しやすいようにハッチングを施して示している。
図12を参照すると、第1切換手段SW11においては、接続パターンs21により第1エレメントEL11の給電パターンa11と第1給電ラインFL11の給電パターンd11とが接続されている。これにより、第1エレメントEL11は、第1給電ラインFL11から直接給電されるようになる。
第2切換手段SW12においては、接続パターンs22により第2エレメントEL12の給電パターンa12と第1給電ラインFL11の給電パターンd12とが接続されている。これにより、第2エレメントEL12は、第1給電ラインFL11から直接給電されるようになる。
【0042】
第3切換手段SW13においては、接続パターンs23により第3エレメントEL13の給電パターンa13と第4給電ラインFL14の給電パターンd13とが接続されている。これにより、第3エレメントEL13は、第4給電ラインFL14から直接給電されるようになる。
第4切換手段SW14においては、接続パターンs24により第4エレメントEL14の給電パターンa14と第4給電ラインFL14の給電パターンd14とが接続されている。これにより、第4エレメントEL14は、第4給電ラインFL14から直接給電されるようになる。
【0043】
第5切換手段SW15においては、接続パターンs25により第1給電ラインFL11の給電パターンa15と第2給電ラインFL12の給電パターンd15とが接続されている。これにより、第1給電ラインFL11には第2給電ラインFL12から直接給電される。
第6切換手段SW16においては、接続パターンs26により第4給電ラインFL14の給電パターンa16と第6給電ラインFL16の給電パターンd16とが接続されている。これにより、第4給電ラインFL14には第6給電ラインFL16から直接給電される。
【0044】
第7切換手段SW17においては、接続パターンs27により第2給電ラインFL12の給電パターンa17と第3給電ラインFL13の給電パターンd17とが接続されている。これにより、第2給電ラインFL12には第3給電ラインFL13から直接給電される。
第8切換手段SW18においては、接続パターンs28により第6給電ラインFL16の給電パターンa18と第3給電ラインFL13の給電パターンd18とが接続されている。これにより、第6給電ラインFL16には第3給電ラインFL13から直接給電される。
【0045】
これにより、アンテナ基板30の上に第1シート40Cを位置を合わせて貼り合わせることにより構成した第2の装置内蔵アンテナ13Bにおいては、給電点31から第1エレメントEL11に、上記したように第3給電ラインFL13と第2給電ラインFL12と第1給電ラインFL11とを介して給電信号が遅延することなく直接供給される。また、給電点31から第2エレメントEL12には、上記したように第3給電ラインFL13と第2給電ラインFL12と第1給電ラインFL11とを介して給電信号が遅延することなく直接供給される。さらに、給電点31から第3エレメントEL13に、上記したように第3給電ラインFL13と第6給電ラインFL16と第4給電ラインFL14とを介して給電信号が遅延することなく直接供給される。さらにまた、給電点31から第4エレメントEL14には、上記したように第3給電ラインFL13と第6給電ラインFL16と第4給電ラインFL14とを介して給電信号が遅延することなく直接供給される。
これにより、第1エレメントEL11から第4エレメントEL14には同相の給電信号が給電されることから、第2の装置内蔵アンテナ13Bから放射されるビームのビームパターンは垂直方向(センター)へ向くようになる。
【0046】
[第1シート40R]
次に、アンテナ基板30の上に密着するよう装着されて、第1切換手段SW11ないし第8切換手段SW18の切換を行う第1シート40Rの構成を
図13に示す。第1シート40Rをアンテナ基板30の上に密着するよう貼り合わせると、アンテナビームの方向はアンテナ基板30の裏面から見て垂直方向から右側にチルトするようになる。
図13に示す第1シート40Rは、好適には透明または透明に近い誘電体フィルムからなる絶縁フィルムからなり、絶縁フィルムの一面に第1切換手段SW11~第8切換手段SW18に対応する位置に第1接続パターンSF31~第8接続パターンSF38がそれぞれ形成されている。第1切換手段SW11の位置に対応する第1接続パターンSF31には、上側に配置され左側に寄った横方向の細長い矩形状の接続パターンs31と、中央に配置され横方向に寸法の長い細長い接続パターンt31と、下側に配置され右側に寄った横方向の細長い矩形状の接続パターンu31とが形成されている。第1エレメントEL11の給電パターンa11と第1遅延パターンb11の上部とが接続パターンs31で接続可能とされ、第1遅延パターンb11の下部と第2遅延パターンc11の上部とが接続パターンt31で接続可能とされ、第2遅延パターンc11の下部と第1給電ラインFL11の給電パターンd11とが接続パターンu31で接続可能とされている。
第2切換手段SW12の位置に対応する第2接続パターンSF32は縦方向の細長い矩形状の接続パターンs32で形成され、第2エレメントEL12の給電パターンa12と第1給電ラインFL11の給電パターンd12とが接続可能とされている。
【0047】
第3切換手段SW13の位置に対応する第3接続パターンSF33には、上側に配置され左側に寄った横方向の細長い矩形状の接続パターンs33と、中央に配置され横方向に寸法の長い細長い接続パターンt33と、下側に配置され右側に寄った横方向の細長い矩形状の接続パターンu33とが形成されている。第3エレメントEL13の給電パターンa13と第1遅延パターンb13の上部とが接続パターンs33で接続可能とされ、第1遅延パターンb13の下部と第2遅延パターンc13の上部とが接続パターンt33で接続可能とされ、第2遅延パターンc13の下部と第4給電ラインFL14の給電パターンd13とが接続パターンu33で接続可能とされている。
第4切換手段SW14の位置に対応する第4接続パターンSF34は縦方向の細長い矩形状の接続パターンs34で形成され、第4エレメントEL14の給電パターンa14と第4給電ラインFL14の給電パターンd14とが接続可能とされている。
【0048】
第5切換手段SW15の位置に対応する第5接続パターンSF35には、上側に配置され左側に寄った横方向の細長い矩形状の接続パターンs35と、中央に配置され横方向に寸法の長い細長い接続パターンt35と、下側に配置され右側に寄った横方向の細長い矩形状の接続パターンu35とが形成されている。第1給電ラインFL11の給電パターンa15と第1遅延パターンb15の上部とが接続パターンs35で接続可能とされ、第1遅延パターンb15の下部と第2遅延パターンc15の上部とが接続パターンt35で接続可能とされ、第2遅延パターンc15の下部と第2給電ラインFL12の給電パターンd15とが接続パターンu35で接続可能とされている。
第6切換手段SW16の位置に対応する第6接続パターンSF36は縦方向の細長い矩形状の接続パターンs36で形成され、第4給電ラインFL14の給電パターンa16と第6給電ラインFL16の給電パターンd16とが接続可能とされている。
【0049】
第7切換手段SW17の位置に対応する第7接続パターンSF37には、左側に配置され上側に寄った縦方向の細長い矩形状の接続パターンs37と、中央に配置され縦方向に寸法の長い細長い接続パターンt37と、右側に配置され下側に寄った縦方向の細長い矩形状の接続パターンu37とが形成されている。第2給電ラインFL12の給電パターンa17と第1遅延パターンb17の左側とが接続パターンs37で接続可能とされ、第1遅延パターンb17の右側と第2遅延パターンc17の左側とが接続パターンt37で接続可能とされ、第2遅延パターンc17の右側と第3給電ラインFL13の給電パターンd17とが接続可能とされている。
第8切換手段SW18の位置に対応する第8接続パターンSF38は横方向の細長い矩形状の接続パターンs38で形成され、第6給電ラインFL16の給電パターンa18と第3給電ラインFL13の給電パターンd18とが接続可能とされている。
【0050】
[第3の装置内蔵アンテナ13C]
アンテナ基板30の上に第1シート40Rを位置を合わせて貼り合わせることにより構成した第3の装置内蔵アンテナ13Cの構成を
図14に示す。
図14では、第1シート40Rの接続パターンを視認しやすいようにハッチングを施して示している。
図14を参照すると、第1切換手段SW11においては、接続パターンs31により第1エレメントEL11の給電パターンa11と第1遅延パターンb11の上部とが接続され、接続パターンt31により第1遅延パターンb11の下部と第2遅延パターンc11の上部とが接続され、接続パターンu31により第2遅延パターンc11の下部と第1給電ラインFL11の給電パターンd11とが接続されている。これにより、第1エレメントEL11は第1遅延パターンb11と第2遅延パターンc11からなる遅延ラインを介して第1給電ラインFL11から給電されるようになる。
第2切換手段SW12においては、接続パターンs32により第2エレメントEL12の給電パターンa12と第1給電ラインFL11の給電パターンd12とが接続されている。これにより、第2エレメントEL12は、第1給電ラインFL11から直接給電されるようになる。
【0051】
第3切換手段SW13においては、接続パターンs33により第3エレメントEL13の給電パターンa13と第1遅延パターンb13の上部とが接続され、接続パターンt33により第1遅延パターンb13の下部と第2遅延パターンc13の上部とが接続され、接続パターンu33により第2遅延パターンc13の下部と第4給電ラインFL14の給電パターンd13とが接続されている。これにより、第3エレメントEL13は第1遅延パターンb13と第2遅延パターンc13からなる遅延ラインを介して第4給電ラインFL14から給電されるようになる。
第4切換手段SW14においては、接続パターンs34により第4エレメントEL14の給電パターンa14と第4給電ラインFL14の給電パターンd14とが接続されている。これにより、第4エレメントEL14は、第4給電ラインFL14から直接給電されるようになる。
【0052】
第5切換手段SW15においては、接続パターンs35により第1給電ラインFL11の給電パターンa15と第1遅延パターンb15の上部とが接続され、接続パターンt35により第1遅延パターンb15の下部と第2遅延パターンc15の上部とが接続され、接続パターンu35により第2遅延パターンc15の下部と第2給電ラインFL12の給電パターンd15とが接続されている。これにより、第1給電ラインFL11は第1遅延パターンb15と第2遅延パターンc15からなる遅延ラインを介して第2給電ラインFL12から給電されるようになる。
第6切換手段SW16においては、接続パターンs36により第3給電ラインFL13の給電パターンa16と第6給電ラインFL16の給電パターンd16とが接続されている。これにより、第4給電ラインFL14は、第6給電ラインFL16から直接給電されるようになる。
【0053】
第7切換手段SW17においては、接続パターンs37により第2給電ラインFL12の給電パターンa17と第1遅延パターンb17の左側とが接続され、接続パターンt37により第1遅延パターンb17の右側と第2遅延パターンc17の左側とが接続され、接続パターンu37により第2遅延パターンc17の右側と第3給電ラインFL13の給電パターンd17とが接続されている。これにより、第2給電ラインFL12は第1遅延パターンb17と第2遅延パターンc17からなる遅延ラインを介して第3給電ラインFL13から給電されるようになる。
第8切換手段SW18においては、接続パターンs38により第6給電ラインFL16の給電パターンa18と第3給電ラインFL13の給電パターンd18とが接続されている。これにより、第6給電ラインFL16は、第3給電ラインFL13から直接給電されるようになる。
【0054】
アンテナ基板30の上に第1シート40Rを位置を合わせて貼り合わせることにより構成した第3の装置内蔵アンテナ13Cにおいては、給電点31から第1エレメントEL11には、上記したように第3給電ラインFL13からの給電信号が第7切換手段SW17の遅延ラインで所定量遅延されると共に第5切換手段SW15の遅延ラインにより所定量遅延され、さらに第1切換手段SW11の遅延ラインにより所定量遅延されて供給される。すなわち、第1エレメントEL11には給電点31からの給電信号が3段階遅延されて給電される。また、給電点31から第2エレメントEL12には、上記したように第3給電ラインFL13からの給電信号が第7切換手段SW17の遅延ラインで所定量遅延されると共に第5切換手段SW15の遅延ラインにより所定量遅延され、第1給電ラインFL11を介して供給される。すなわち、第2エレメントEL12には給電点31からの給電信号が2段階遅延されて給電される。さらに、給電点31から第3エレメントEL13に、上記したように第3給電ラインFL13と第6給電ラインFL16とを介した給電信号が、第3切換手段SW13の遅延ラインで所定量遅延されて供給される。すなわち、第3エレメントEL13には給電点31からの給電信号が1段階遅延されて供給される。さらにまた、給電点31から第4エレメントEL14には、上記したように第3給電ラインFL13と第6給電ラインFL16と第4給電ラインFL14を介して給電信号が遅延することなく直接供給される。
このように、第4エレメントEL14から第1エレメントEL11に向かって給電信号が次第に遅延されて給電信号の位相が次第に回転することから、第3の装置内蔵アンテナ13Cから放射されるビームのビームパターンは垂直方向から左側へチルトする。見方を変えると、第3の装置内蔵アンテナ13Cの裏面から見て垂直方向から右側へチルトするようになる。チルトする角度は、第1切換手段SW11~第8切換手段SW18の遅延ラインの遅延量に応じた角度とされる。なお、第1切換手段SW11~第8切換手段SW18の各遅延ラインの遅延量はすべて同じ遅延量とされている。
【0055】
上記した第1の装置内蔵アンテナ13Aないし第3の装置内蔵アンテナ13Cにおいて、第1切換手段SW11~第8切換手段SW18では第1シートの接続パターンにより給電パターンの間を直接接続するか遅延パターンを介して接続するかを切り換えている。この場合、接続パターンと給電パターンあるいは遅延パターンとの接続は、アンテナ基板30に第1シートのいずれかを貼り合わせることで、電気的に接触させて直接接続している。また、接続パターンと給電パターンあるいは遅延パターンとの間に若干の隙間があるように貼り合わせてもよく、この場合は、接続パターンと給電パターンあるいは遅延パターンとが電磁気的に結合されて接続されるようになる。
【0056】
[本発明の第2実施例の装置内蔵アンテナ]
本発明にかかる第2実施例の装置内蔵アンテナ13D,13E,13Fは、
図8に示すアンテナ基板30に
図15(a),
図17,
図19に示す第2シート50L,50C,50Rのいずれかの第2シートを装着することにより構成されている。この場合、アンテナビームの方向は選択された第2シートに応じた方向に設定される。そこで、第2シート50L,50C,50Rに設定されるアンテナビームの方向を示す情報を表記しておくことができる。なお、
図1ないし
図7で説明した本発明にかかる実施例のアンテナ内蔵装置である看板1では、基板12のおもて面に装置内蔵アンテナ13が形成されていたが、後述する第2実施例の装置内蔵アンテナ1313D,13E,13Fを構成するアンテナ基板30を基板12のおもて面に装着しておき、現地等においていずれかの第2シートをアンテナ基板30に貼り合わせることでアンテナビームの方向を設定することができる。
また、第2実施例の装置内蔵アンテナ13D,13E,13Fを構成するアンテナ基板30の構成は
図8に示すとおりであるので、アンテナ基板30の説明は省略する。そこで、アンテナ基板30に装着する第2シート50Lの構成を
図15(a)に、シートに挿着する接続具51の構成を
図15(b)に、アンテナ基板30に第2シート50Lを装着して構成した第4の装置内蔵アンテナ13Dの構成を
図16に、アンテナ基板30に装着する他の第1シート50Cの構成を
図17に、アンテナ基板30に他の第2シート50Cを装着して構成した装置内蔵アンテナ13Eの構成を
図18に、アンテナ基板30に装着するさらに他の第1シート50Rの構成を
図19に、アンテナ基板30にさらに他の第1シート50Rを装着して構成した装置内蔵アンテナ13Fの構成を
図20に示す。
【0057】
[第2シート50L]
図15(a)に、アンテナ基板30の上に密着するよう装着されて、第1切換手段SW11ないし第8切換手段SW18の切換を行う第2シート50Lの構成を示す。第2シート50Lをアンテナ基板30の上に密着するよう貼り合わせると、アンテナビームの方向はアンテナ基板30の裏面から見て垂直方向から左側にチルトするようになる。
図15(a)に示す第2シート50Lは、好適には透明または透明に近い誘電体フィルムからなる絶縁フィルムからなり、絶縁フィルムの一面に第1切換手段SW11~第8切換手段SW18に対応する位置に一対の孔からなる第1接続手段SF41~第8接続手段SF48がそれぞれ形成されている。第1切換手段SW11の位置に対応する第1接続手段SF41は縦方向に所定間隔で配置された一対の孔s41で形成され、一対の孔s41に
図15(b)に示す接続具51を挿着することで第1エレメントEL11の給電パターンa11と第1給電ラインFL11の給電パターンd11とが接続可能とされている。接続具51は、
図15(b)に示すように一対の孔に挿着可能な径とされた導体の線材からなり、両端部が同方向に折曲されたコ字状とされており、一対の孔に接続具51を挿着する場合は、シートの表側または裏側から一対の孔に折曲された部分を挿入して挿着する。
第2切換手段SW12の位置に対応する第2接続手段SF42には、上側に配置され横方向に所定間隔で右側に寄った一対の孔s42と、中央に配置され横方向に間隔が広い一対の孔t42と、下側に配置され横方向に所定間隔で左側に寄った一対の孔u42とが形成されている。第2エレメントEL12の給電パターンa12と第1遅延パターンb12の上部とが一対の孔s42に接続具51を挿着することで接続可能とされ、第1遅延パターンb12の下部と第2遅延パターンc12の上部とが一対の孔t42に接続具51を挿着することで接続可能とされ、第2遅延パターンc12の下部と第1給電ラインFL11の給電パターンd12とが一対の孔u42に接続具51を挿着することで接続可能とされている。
【0058】
第3切換手段SW13の位置に対応する第3接続手段SF43は縦方向に所定間隔で配置された一対の孔d43で形成され、一対の孔d43に接続具51を挿着することで第3エレメントEL13の給電パターンa13と第1給電ラインFL11の給電パターンd13とが接続可能とされている。
第4切換手段SW14の位置に対応する第4接続手段SF44には、上側に配置され横方向に所定間隔で右側に寄った一対の孔s44と、中央に配置され横方向に間隔が広い一対の孔t44と、下側に配置され横方向に所定間隔で左側に寄った一対の孔u44とが形成されている。第4エレメントEL14の給電パターンa14と第1遅延パターンb14の上部とが一対の孔s44に接続具51を挿着することで接続可能とされ、第1遅延パターンb14の下部と第2遅延パターンc14の上部とが一対の孔t44に接続具51を挿着することで接続可能とされ、第2遅延パターンc14の下部と第4給電ラインFL14の給電パターンd14とが一対の孔u44に接続具51を挿着することで接続可能とされている。
【0059】
第5切換手段SW15の位置に対応する第5接続手段SF45は縦方向に所定間隔で配置された一対の孔d45で形成され、一対の孔d45に接続具51を挿着することで第1給電ラインFL11の給電パターンa15と第2給電ラインFL12の給電パターンd15とが接続可能とされている。
第6切換手段SW16の位置に対応する第6接続手段SF46には、上側に配置され横方向に所定間隔で右側に寄った一対の孔s46と、中央に配置され横方向に間隔が広い一対の孔t46と、下側に配置され横方向に所定間隔で左側に寄った一対の孔u46とが形成されている。第4給電ラインFL14の給電パターンa16と第1遅延パターンb16の上部とが一対の孔s46に接続具51を挿着することで接続可能とされ、第1遅延パターンb16の下部と第2遅延パターンc16の上部とが一対の孔t46に接続具51を挿着することで接続可能とされ、第2遅延パターンc16の下部と第6給電ラインFL16の給電パターンd16とが一対の孔u46に接続具51を挿着することで接続可能とされている。
【0060】
第7切換手段SW17の位置に対応する第7接続手段SF47は横方向に所定間隔で配置された一対の孔d47で形成され、一対の孔d45に接続具51を挿着することで第2給電ラインFL12の給電パターンa17と第3給電ラインFL13の給電パターンd17とが接続可能とされている。
第8切換手段SW18の位置に対応する第8接続手段SF48には、右側に配置され縦方向に所定間隔で上側に寄った一対の孔s48と、中央に配置され縦方向に間隔が広い一対の孔t48と、左側に配置され縦方向に所定間隔で下側に寄った一対の孔u48とが形成されている。第6給電ラインFL16の給電パターンa18と第1遅延パターンb18の上部とが一対の孔s48に接続具51を挿着することで接続可能とされ、第1遅延パターンb18の下部と第2遅延パターンc18の上部とが一対の孔t48に接続具51を挿着することで接続可能とされ、第2遅延パターンc18の下部と第3給電ラインFL13の給電パターンd18とが一対の孔u48に接続具51を挿着することで接続可能とされている。
【0061】
[第4の装置内蔵アンテナ13D]
アンテナ基板30の上に第2シート40Lを位置を合わせて貼り合わせると共に、第1接続手段SF41ないし第8接続手段SF48に形成されているすべての一対の孔に接続具51を挿着して構成した第4の装置内蔵アンテナ13Dの構成を
図16に示す。
図16を参照すると、第1切換手段SW11においては、一対の孔s41に接続具51を挿着することにより第1エレメントEL11の給電パターンa11と第1給電ラインFL11の給電パターンd11とが接続されている。これにより、第1エレメントEL11は、第1給電ラインFL11から直接給電されるようになる。
第2切換手段SW12においては、一対の孔s42に接続具51を挿着することにより第2エレメントEL12の給電パターンa12と第1遅延パターンb12の上部とが接続され、一対の孔t42に接続具51を挿着することにより第1遅延パターンb12の下部と第2遅延パターンc12の上部とが接続され、一対の孔u42に接続具51を挿着することにより第2遅延パターンc12の下部と第1給電ラインFL11の給電パターンd12とが接続されている。これにより、第2エレメントEL12は第1遅延パターンb12と第2遅延パターンc12からなる遅延ラインを介して第1給電ラインFL11から給電されるようになる。
【0062】
第3切換手段SW13においては、一対の孔s43に接続具51を挿着することにより第3エレメントEL13の給電パターンa13と第4給電ラインFL14の給電パターンd14とが接続されている。これにより、第3エレメントEL13は、第4給電ラインFL14から直接給電されるようになる。
第4切換手段SW14においては、一対の孔s44に接続具51を挿着することにより第4給電ラインFL14の給電パターンa14と第1遅延パターンb14の上部とが接続され、一対の孔t44に接続具51を挿着することにより第1遅延パターンb14の下部と第2遅延パターンc14の上部とが接続され、一対の孔u44に接続具51を挿着することにより第2遅延パターンc14の下部と第4給電ラインFL14の給電パターンd14とが接続されている。これにより、第4エレメントEL14は第1遅延パターンb14と第2遅延パターンc14からなる遅延ラインを介して第4給電ラインFL14から給電されるようになる。
【0063】
第5切換手段SW15においては、一対の孔s45に接続具51を挿着することにより第1給電ラインFL11の給電パターンa15と第2給電ラインFL12の給電パターンd15とが接続されている。これにより、第1給電ラインFL11は、第2給電ラインFL12から直接給電されるようになる。
第6切換手段SW16においては、一対の孔s46に接続具51を挿着することにより第4給電ラインFL14の給電パターンa16と第1遅延パターンb16の上部とが接続され、一対の孔t46に接続具51を挿着することにより第1遅延パターンb16の下部と第2遅延パターンc16の上部とが接続され、一対の孔u46に接続具51を挿着することにより第2遅延パターンc16の下部と第6給電ラインFL16の給電パターンd16とが接続されている。これにより、第4給電ラインFL14は第1遅延パターンb16と第2遅延パターンc16からなる遅延ラインを介して第6給電ラインFL16から給電されるようになる。
【0064】
第7切換手段SW17においては、一対の孔s47に接続具51を挿着することにより第2給電ラインFL12の給電パターンa17と第3給電ラインFL13の給電パターンd17とが接続されている。これにより、第2給電ラインFL12は、第3給電ラインFL13から直接給電されるようになる。
第8切換手段SW18においては、一対の孔s48に接続具51を挿着することにより第6給電ラインFL16の給電パターンa18と第1遅延パターンb18の右側とが接続され、一対の孔t48に接続具51を挿着することにより第1遅延パターンb18の左側と第2遅延パターンc18の右側とが接続され、一対の孔u48に接続具51を挿着することにより第2遅延パターンc18の左側と第3給電ラインFL13の給電パターンd18とが接続されている。これにより、第6給電ラインFL16は第1遅延パターンb18と第2遅延パターンc18からなる遅延ラインを介して第3給電ラインFL13から給電されるようになる。
【0065】
これにより、アンテナ基板30の上に第2シート50Lを位置を合わせて貼り合わせると共にすべての一対の孔に接続具51を挿着して構成した第4の装置内蔵アンテナ13Dにおいては、給電点31から第1エレメントEL11に、上記したように第3給電ラインFL13と第2給電ラインFL12と第1給電ラインFL11とを介して給電信号が遅延することなく直接供給される。また、給電点31から第2エレメントEL12には、上記したように第3給電ラインFL13と第2給電ラインFL12とを介した給電信号が、第2切換手段SW12の遅延ラインで所定量遅延されて供給される。すなわち、第2エレメントEL12には給電点31からの給電信号が1段階遅延されて供給される。さらに、給電点31から第3エレメントEL13に、上記したように第3給電ラインFL13からの給電信号が第8切換手段SW18の遅延ラインで所定量遅延されると共に第6切換手段SW16の遅延ラインにより所定量遅延され、第4給電ラインFL14を介して供給される。すなわち、第3エレメントEL13には給電点31からの給電信号が2段階遅延されて給電される。さらにまた、給電点31から第4エレメントEL14には、上記したように第3給電ラインFL13からの給電信号が第8切換手段SW18の遅延ラインで所定量遅延されると共に第6切換手段SW16の遅延ラインにより所定量遅延され、さらに第4切換手段SW14の遅延ラインにより所定量遅延されて供給される。すなわち、第4エレメントEL14には給電点31からの給電信号が3段階遅延されて給電される。
これにより、第1エレメントEL11から第4エレメントEL14に向かって給電信号が次第に遅延されて給電信号の位相が次第に回転することから、第4の装置内蔵アンテナ13Dから放射されるビームのビームパターンは垂直方向から右側へチルトする。見方を変えると、第4の装置内蔵アンテナ13Dの裏面から見て垂直方向から左側へチルトするようになる。チルトする角度は、第1切換手段SW11~第8切換手段SW18の遅延ラインの遅延量に応じた角度とされる。なお、第1切換手段SW11~第8切換手段SW18の各遅延ラインの遅延量はすべて同じ遅延量とされている。
【0066】
[第2シート50C]
次に、アンテナ基板30の上に密着するよう装着されて、第1切換手段SW11ないし第8切換手段SW18の切換を行う第2シート50Cの構成を
図17に示す。第2シート50Cをアンテナ基板30の上に密着するよう貼り合わせると、アンテナビームの方向はアンテナ基板30の垂直方向(センター)となる。
図17に示す第2シート50Cは、好適には透明または透明に近い誘電体フィルムからなる絶縁フィルムからなり、絶縁フィルムの一面に第1切換手段SW11~第8切換手段SW18に対応する位置に第1接続パターンSF51~第8接続パターンSF58がそれぞれ形成されている。第1切換手段SW11の位置に対応する第1接続手段SF51は縦方向に所定間隔で配置された一対の孔s51で形成され、一対の孔s51に
図15(b)に示す接続具51を挿着することで第1エレメントEL11の給電パターンa11と第1給電ラインFL11の給電パターンd11とが接続可能とされている。
第2切換手段SW12の位置に対応する第2接続手段SF52には、縦方向に所定間隔で配置された一対の孔s52で形成され、一対の孔s52に接続具51を挿着することで第2エレメントEL12の給電パターンa12と第1給電ラインFL11の給電パターンd12とが接続可能とされている。
【0067】
第3切換手段SW13の位置に対応する第3接続手段SF53は縦方向に所定間隔で配置された一対の孔s53で形成され、一対の孔s53に接続具51を挿着することで第3エレメントEL13の給電パターンa13と第4給電ラインFL14の給電パターンd13とが接続可能とされている。
第4切換手段SW14の位置に対応する第4接続手段SF54には、縦方向に所定間隔で配置された一対の孔s54で形成され、一対の孔s54に接続具51を挿着することで第4エレメントEL14の給電パターンa14と第4給電ラインFL14の給電パターンd14とが接続可能とされている。
第5切換手段SW15の位置に対応する第5接続手段SF55は縦方向に所定間隔で配置された一対の孔s55で形成され、一対の孔s55に接続具51を挿着することで第1給電ラインFL11の給電パターンa15と第2給電ラインFL12の給電パターンd15とが接続可能とされている。
第6切換手段SW16の位置に対応する第6接続手段SF56には、縦方向に所定間隔で配置された一対の孔s56で形成され、一対の孔s56に接続具51を挿着することで第4給電ラインFL14の給電パターンa16と第6給電ラインFL16の給電パターンd16とが接続可能とされている。
第7切換手段SW17の位置に対応する第7接続手段SF57は横方向に所定間隔で配置された一対の孔s57で形成され、一対の孔s57に接続具51を挿着することで第2給電ラインFL12の給電パターンa17と第3給電ラインFL13の給電パターンd17とが接続可能とされている。
第8切換手段SW18の位置に対応する第8接続手段SF58には、横方向に所定間隔で配置された一対の孔s58で形成され、一対の孔s58に接続具51を挿着することで第6給電ラインFL16の給電パターンa18と第3給電ラインFL13の給電パターンd18とが接続可能とされている。
【0068】
[第5の装置内蔵アンテナ13E]
アンテナ基板30の上に第2シート40Cを位置を合わせて貼り合わせると共に、第1接続手段SF51ないし第8接続手段SF58に形成されているすべての一対の孔に接続具51を挿着して構成した第5の装置内蔵アンテナ13Eの構成を
図18に示す。
図18を参照すると、第1切換手段SW11においては、一対の孔s51に接続具51を挿着することにより第1エレメントEL11の給電パターンa11と第1給電ラインFL11の給電パターンd11とが接続されている。これにより、第1エレメントEL11は、第1給電ラインFL11から直接給電されるようになる。
第2切換手段SW12においては、一対の孔s52に接続具51を挿着することにより第2エレメントEL12の給電パターンa12と第1給電ラインFL11の給電パターンd12とが接続されている。これにより、第2エレメントEL12は、第1給電ラインFL11から直接給電されるようになる。
【0069】
第3切換手段SW13においては、一対の孔s53に接続具51を挿着することにより第3エレメントEL13の給電パターンa13と第4給電ラインFL14の給電パターンd13とが接続されている。これにより、第3エレメントEL13は、第4給電ラインFL14から直接給電されるようになる。
第4切換手段SW14においては、一対の孔s54に接続具51を挿着することにより第4エレメントEL14の給電パターンa14と第4給電ラインFL14の給電パターンd14とが接続されている。これにより、第4エレメントEL14は第4給電ラインFL14から直接給電されるようになる。
第5切換手段SW15においては、一対の孔s55に接続具51を挿着することにより第1給電ラインFL11の給電パターンa15と第2給電ラインFL12の給電パターンd15とが接続されている。これにより、第1給電ラインFL11は、第2給電ラインFL12から直接給電されるようになる。
第6切換手段SW16においては、一対の孔s56に接続具51を挿着することにより第4給電ラインFL14の給電パターンa16と第6給電ラインFL16の給電パターンd16とが接続されている。これにより、第4給電ラインFL14は第6給電ラインFL16から直接給電されるようになる。
第7切換手段SW17においては、一対の孔s57に接続具51を挿着することにより第2給電ラインFL12の給電パターンa17と第3給電ラインFL13の給電パターンd17とが接続されている。これにより、第2給電ラインFL12は、第3給電ラインFL13から直接給電されるようになる。
第8切換手段SW18においては、一対の孔s58に接続具51を挿着することにより第6給電ラインFL16の給電パターンa18と第3給電ラインFL13の給電パターンd18とが接続されている。これにより、第6給電ラインFL16は第3給電ラインFL13から直接給電されるようになる。
【0070】
これにより、アンテナ基板30の上に第2シート50Cを位置を合わせて貼り合わせると共にすべての一対の孔に接続具51を挿着して構成した第5の装置内蔵アンテナ13Eにおいては、給電点31から第1エレメントEL11に、上記したように第3給電ラインFL13と第2給電ラインFL12と第1給電ラインFL11とを介して給電信号が遅延することなく直接供給される。また、給電点31から第2エレメントEL12には、上記したように第3給電ラインFL13と第2給電ラインFL12と第1給電ラインFL11とを介して給電信号が遅延することなく直接供給される。さらに、給電点31から第3エレメントEL13に、上記したように第3給電ラインFL13と第6給電ラインと第4給電ラインとを介して給電信号が遅延することなく直接供給される。さらにまた、給電点31から第4エレメントEL14には、上記したように第3給電ラインFL13と第6給電ラインと第4給電ラインとを介して給電信号が遅延することなく直接供給される。
これにより、第1エレメントEL11から第4エレメントEL14には同相の給電信号が給電されることから、第5の装置内蔵アンテナ13Eから放射されるビームのビームパターンは垂直方向(センター)へ向くようになる。
【0071】
[第2シート50R]
図19に、アンテナ基板30の上に密着するよう装着されて、第1切換手段SW11ないし第8切換手段SW18の切換を行う第2シート50Rの構成を示す。第2シート50Rをアンテナ基板30の上に密着するよう貼り合わせると、アンテナビームの方向はアンテナ基板30の裏面から見て垂直方向から右側にチルトするようになる。
図19に示す第2シート50Lは、好適には透明または透明に近い誘電体フィルムからなる絶縁フィルムからなり、絶縁フィルムの一面に第1切換手段SW11~第8切換手段SW18に対応する位置に一対の孔からなる第1接続手段SF61~第8接続手段SF68がそれぞれ形成されている。第1切換手段SW11の位置に対応する第1接続手段SF61には、上側に配置され横方向に所定間隔で左側に寄った一対の孔s61と、中央に配置され横方向に間隔が広い一対の孔t61と、下側に配置され横方向に所定間隔で右側に寄った一対の孔u61とが形成されている。第1エレメントEL11の給電パターンa11と第1遅延パターンb11の上部とが一対の孔s61に
図15(b)に示す接続具51を挿着することで接続可能とされ、第1遅延パターンb11の下部と第2遅延パターンc11の上部とが一対の孔t61に接続具51を挿着することで接続可能とされ、第2遅延パターンc11の下部と第1給電ラインFL11の給電パターンd11とが一対の孔u61に接続具51を挿着することで接続可能とされている。
第2切換手段SW12の位置に対応する第2接続手段SF62は縦方向に所定間隔で配置された一対の孔s62で形成され、一対の孔s62に接続具51を挿着することで第2エレメントEL12の給電パターンa12と第1給電ラインFL11の給電パターンd12とが接続可能とされている。
【0072】
第3切換手段SW13の位置に対応する第3接続手段SF63には、上側に配置され横方向に所定間隔で左側に寄った一対の孔s63と、中央に配置され横方向に間隔が広い一対の孔t63と、下側に配置され横方向に所定間隔で右側に寄った一対の孔u63とが形成されている。第3エレメントEL13の給電パターンa13と第1遅延パターンb13の上部とが一対の孔s63に接続具51を挿着することで接続可能とされ、第1遅延パターンb13の下部と第2遅延パターンc13の上部とが一対の孔t63に接続具51を挿着することで接続可能とされ、第2遅延パターンc13の下部と第4給電ラインFL14の給電パターンd14とが一対の孔u63に接続具51を挿着することで接続可能とされている。
第4切換手段SW14の位置に対応する第4接続手段SF64は縦方向に所定間隔で配置された一対の孔s64で形成され、一対の孔s64に接続具51を挿着することで第4エレメントEL14の給電パターンa14と第4給電ラインFL14の給電パターンd14とが接続可能とされている。
【0073】
第5切換手段SW15の位置に対応する第5接続手段SF65には、上側に配置され横方向に所定間隔で左側に寄った一対の孔s65と、中央に配置され横方向に間隔が広い一対の孔t65と、下側に配置され横方向に所定間隔で右側に寄った一対の孔u65とが形成されている。第1給電ラインFL11の給電パターンa15と第1遅延パターンb15の上部とが一対の孔s65に接続具51を挿着することで接続可能とされ、第1遅延パターンb15の下部と第2遅延パターンc15の上部とが一対の孔t65に接続具51を挿着することで接続可能とされ、第2遅延パターンc15の下部と第2給電ラインFL12の給電パターンd15とが一対の孔u65に接続具51を挿着することで接続可能とされている。
第6切換手段SW16の位置に対応する第6接続手段SF64は縦方向に所定間隔で配置された一対の孔s66で形成され、一対の孔s66に接続具51を挿着することで第4給電ラインFL14の給電パターンa16と第6給電ラインFL16の給電パターンd16とが接続可能とされている。
【0074】
第7切換手段SW17の位置に対応する第7接続手段SF67には、左側に配置され縦方向に所定間隔で上側に寄った一対の孔s67と、中央に配置され横方向に間隔が広い一対の孔t67と、右側に配置され縦方向に所定間隔で下側に寄った一対の孔u67とが形成されている。第2給電ラインFL12の給電パターンa17と第1遅延パターンb17の左側とが一対の孔s67に接続具51を挿着することで接続可能とされ、第1遅延パターンb17の右側と第2遅延パターンc17の左側とが一対の孔t67に接続具51を挿着することで接続可能とされ、第2遅延パターンc17の左側と第3給電ラインFL13の給電パターンd17とが一対の孔u67に接続具51を挿着することで接続可能とされている。
第8切換手段SW18の位置に対応する第8接続手段SF68は横方向に所定間隔で配置された一対の孔s68で形成され、一対の孔s68に接続具51を挿着することで第6給電ラインFL16の給電パターンa18と第3給電ラインFL13の給電パターンd18とが接続可能とされている。
【0075】
[第6の装置内蔵アンテナ13F]
アンテナ基板30の上に第2シート40Rを位置を合わせて貼り合わせると共に、第1接続手段SF61ないし第8接続手段SF68に形成されているすべての一対の孔に接続具51を挿着して構成した第6の装置内蔵アンテナ13Fの構成を
図20に示す。
図20を参照すると、第1切換手段SW11においては、一対の孔s61に接続具51を挿着することにより第1エレメントEL11の給電パターンa11と第1遅延パターンb11の上部とが接続され、一対の孔t61に接続具51を挿着することにより第1遅延パターンb11の下部と第2遅延パターンc11の上部とが接続され、一対の孔u61に接続具51を挿着することにより第2遅延パターンc11の下部と第1給電ラインFL11の給電パターンd11とが接続されている。これにより、第1エレメントEL11は第1遅延パターンb11と第2遅延パターンc11からなる遅延ラインを介して第1給電ラインFL11から給電されるようになる。
第2切換手段SW12においては、一対の孔s62に接続具51を挿着することにより第2エレメントEL12の給電パターンa12と第1給電ラインFL11の給電パターンd12とが接続されている。これにより、第2エレメントEL12は、第1給電ラインFL11から直接給電されるようになる。
【0076】
第3切換手段SW13においては、一対の孔s63に接続具51を挿着することにより第3エレメントEL13の給電パターンa13と第1遅延パターンb13の上部とが接続され、一対の孔t63に接続具51を挿着することにより第1遅延パターンb13の下部と第2遅延パターンc13の上部とが接続され、一対の孔u63に接続具51を挿着することにより第2遅延パターンc13の下部と第4給電ラインFL14の給電パターンd13とが接続されている。これにより、第3エレメントEL13は第1遅延パターンb13と第2遅延パターンc13からなる遅延ラインを介して第4給電ラインFL14から給電されるようになる。
第4切換手段SW14においては、一対の孔s64に接続具51を挿着することにより第4エレメントEL14の給電パターンa14と第4給電ラインFL14の給電パターンd14とが接続されている。これにより、第4エレメントEL14は、第4給電ラインFL14から直接給電されるようになる。
【0077】
第5切換手段SW15においては、一対の孔s65に接続具51を挿着することにより第1給電ラインFL11の給電パターンa15と第1遅延パターンb15の上部とが接続され、一対の孔t65に接続具51を挿着することにより第1遅延パターンb15の下部と第2遅延パターンc15の上部とが接続され、一対の孔u65に接続具51を挿着することにより第2遅延パターンc15の下部と第2給電ラインFL12の給電パターンd15とが接続されている。これにより、第1給電ラインFL11は第1遅延パターンb15と第2遅延パターンc15からなる遅延ラインを介して第2給電ラインFL12から給電されるようになる。
第6切換手段SW16においては、一対の孔s66に接続具51を挿着することにより第4給電ラインFL14の給電パターンa16と第6給電ラインFL16の給電パターンd16とが接続されている。これにより、第4給電ラインFL14は、第6給電ラインFL16から直接給電されるようになる。
【0078】
第7切換手段SW17においては、一対の孔s67に接続具51を挿着することにより第2給電ラインFL12の給電パターンa17と第1遅延パターンb17の左側とが接続され、一対の孔t67に接続具51を挿着することにより第1遅延パターンb17の右側と第2遅延パターンc17の左側とが接続され、一対の孔u67に接続具51を挿着することにより第2遅延パターンc17の右側と第3給電ラインFL13の給電パターンd17とが接続されている。これにより、第2給電ラインFL12は第1遅延パターンb17と第2遅延パターンc17からなる遅延ラインを介して第3給電ラインFL13から給電されるようになる。
第8切換手段SW18においては、一対の孔s68に接続具51を挿着することにより第6給電ラインFL16の給電パターンa17と第3給電ラインFL13の給電パターンd18とが接続されている。これにより、第6給電ラインFL16は、第3給電ラインFL13から直接給電されるようになる。
【0079】
これにより、アンテナ基板30の上に第2シート50Rを位置を合わせて貼り合わせると共にすべての一対の孔に接続具51を挿着して構成した第6の装置内蔵アンテナ13Fにおいては、給電点31から第1エレメントEL11に、上記したように第3給電ラインFL13からの給電信号が第7切換手段SW17の遅延ラインで所定量遅延されると共に第5切換手段SW15の遅延ラインにより所定量遅延され、さらに第1切換手段SW11の遅延ラインにより所定量遅延されて供給される。すなわち、第1エレメントEL11には給電点31からの給電信号が3段階遅延されて給電される。また、給電点31から第2エレメントEL12には、上記したように第3給電ラインFL13からの給電信号が第7切換手段SW17の遅延ラインで所定量遅延されると共に第5切換手段SW15の遅延ラインにより所定量遅延され、第1給電ラインFL11を介して供給される。すなわち、第2エレメントEL12には給電点31からの給電信号が2段階遅延されて給電される。さらに、給電点31から第3エレメントEL13に、上記したように第3給電ラインFL13と第6給電ラインFL16とを介した給電信号が、第3切換手段SW13の遅延ラインで所定量遅延されて供給される。すなわち、第3エレメントEL13には給電点31からの給電信号が1段階遅延されて供給される。さらにまた、給電点31から第4エレメントEL14には、上記したように第3給電ラインFL13と第6給電ラインFL16と第4給電ラインFL14とを介して給電信号が遅延することなく直接供給される。
これにより、第4エレメントEL14から第1エレメントEL11に向かって給電信号が次第に遅延されて給電信号の位相が次第に回転することから、第6の装置内蔵アンテナ13Fから放射されるビームのビームパターンは垂直方向から左側へチルトする。見方を変えると、第6の装置内蔵アンテナ13Fの裏面から見て垂直方向から右側へチルトするようになる。チルトする角度は、第1切換手段SW11~第8切換手段SW18の遅延ラインの遅延量に応じた角度とされる。なお、第1切換手段SW11~第8切換手段SW18の各遅延ラインの遅延量はすべて同じ遅延量とされている。
【0080】
[本発明の第3実施例の装置内蔵アンテナ]
本発明にかかる第3実施例の装置内蔵アンテナ13Gは、
図21に示すアンテナ基板50に
図23に示すタブシートの組合せを貼り合わせておくことにより構成されている。第3実施例の装置内蔵アンテナ13Gにおいては、アンテナビームの方向を設定する際に、設定するアンテナビームの方向に対応するタブシートを残して、他のタブシートを取り除くことにより、アンテナビームの方向が設定された方向となる。そこで、第3実施例の装置内蔵アンテナ13Gを構成するアンテナ基板50の構成を
図21に、アンテナ基板50に装着する第1タブシートと第2タブシートの組合せの構成を
図22に、アンテナ基板50に貼り合わせるタブシートの組合せの構成を
図23に、アンテナ基板50にタブシートの組合せを貼り合わせて構成した第3の装置内蔵アンテナ13Gの構成を
図24に示す。
【0081】
本発明にかかる第3実施例の装置内蔵アンテナ13Gにおけるアンテナ基板50は、裏面の全面にグランドプレーンとされる導電体がプリントされたプリント基板とされ、おもて面に装置内蔵アンテナ13の主要部がプリントされている。なお、
図1ないし
図7で説明した本発明にかかる実施例のアンテナ内蔵装置である看板1では、基板12のおもて面に装置内蔵アンテナ13が形成されていたが、後述する第3実施例の装置内蔵アンテナ13Gを構成するアンテナ基板50を基板12のおもて面に装着しておき、現地等においてタブシートを選択的に取り除くことによりアンテナビームの方向を設定することができる。
第3実施例の装置内蔵アンテナ13Gにおけるアンテナ基板50には、4つの正方形状のパッチ素子とされた第1エレメントEL21、第2エレメントEL22、第3エレメントEL23、第4エレメントEL24が横方向にほぼ等間隔で配列されるよう形成されている。アンテナ基板50にはマイクロストリップアンテナが形成され、マイクロストリップアンテナはエレメントEL21~EL24とアンテナ基板50の裏面に形成されたグランドプレーンとを構成要素とする平面アンテナとされている。4つのエレメントEL21~EL24の下縁の中央から下方向へ幅の狭いL字状の給電パターンg11,g12,g13,g14がそれぞれ延伸されている。そして、第1エレメントEL21における給電パターンg11は下半部が90°左横方向に屈曲されたL字状とされ、給電パターンg11の屈曲された横方向の部分に対面するよう下側に位置し細長い矩形状の横方向に延伸している給電パターンh11と、給電パターンh11に対面するよう下側に位置し上半部が90°右横方向に屈曲されたL字状の給電パターンi11とで第1切換手段SW21が構成されている。給電パターンg11の縦方向の部分は延伸すると給電パターンi11の縦方向の部分に重なるようになる。
【0082】
また、第2エレメントEL22における給電パターンg12は下半部が90°右横方向に屈曲されたL字状とされ、給電パターンg12の屈曲された横方向の部分に対面するよう下側に位置し細長い矩形状の横方向に延伸している給電パターンh12と、給電パターンh12に対面するよう下側に位置し上半部が90°左横方向に屈曲されたL字状の給電パターンi12とで第2切換手段SW22が構成されている。給電パターンg12の縦方向の部分は延伸すると給電パターンi12の縦方向の部分に重なるようになる。
さらに、第3エレメントEL23における給電パターンg13は下半部が90°左横方向に屈曲されたL字状とされ、給電パターンg13の屈曲された横方向の部分に対面するよう下側に位置し細長い矩形状の横方向に延伸している給電パターンh13と、給電パターンh13に対面するよう下側に位置し上半部が90°右横方向に屈曲されたL字状の給電パターンi13とで第3切換手段SW23が構成されている。給電パターンg13の縦方向の部分は延伸すると給電パターンi13の縦方向の部分に重なるようになる。
さらにまた、第4エレメントEL24における給電パターンg14は下半部が90°右横方向に屈曲されたL字状とされ、給電パターンg14の屈曲された横方向の部分に対面するよう下側に位置し細長い矩形状の横方向に延伸している給電パターンh14と、給電パターンh14に対面するよう下側に位置し上半部が90°左横方向に屈曲されたL字状の給電パターンi14とで第4切換手段SW24が構成されている。給電パターンg14の縦方向の部分は延伸すると給電パターンi14の縦方向の部分に重なるようになる。
【0083】
給電パターンi11の縦方向の下半部の下部はさらにL字状に右横方向に約90°折曲されて延伸され、給電パターンi12の縦方向の下半部の下部はさらにL字状に左横方向に約90°折曲されて延伸され、対面している延伸された両者が接続されて第1給電ラインFL21のパターンが形成されている。この第1給電ラインFL21の中央から下方へ延伸する下半部が90°左横方向に屈曲されたL字状の給電パターンg15と、給電パターンg15の屈曲された横方向の部分に対面するよう下側に位置し細長い矩形状の横方向に延伸している給電パターンh15と、給電パターンh15に対面するよう下側に位置し上半部が90°右横方向に屈曲されたL字状の給電パターンi15とで第5切換手段SW25が構成されている。給電パターンg15の縦方向の部分は延伸すると給電パターンi15の縦方向の部分に重なるようになる。
また、給電パターンi13の縦方向の下半部の下部はさらにL字状に右横方向に約90°折曲されて延伸され、給電パターンi14の縦方向の下半部の下部はさらにL字状に左横方向に約90°折曲されて延伸され、対面している延伸された両者が接続されて第4給電ラインFL24のパターンが形成されている。この第4給電ラインFL24の中央から下方へ延伸する下半部が90°右横方向に屈曲されたL字状の給電パターンg16と、給電パターンg16の屈曲された横方向の部分に対面するよう下側に位置し細長い矩形状の横方向に延伸している給電パターンh16と、給電パターンh16に対面するよう下側に位置し上半部が90°左横方向に屈曲されたL字状の給電パターンi16とで第6切換手段SW26が構成されている。給電パターンg16の縦方向の部分は延伸すると給電パターンi16の縦方向の部分に重なるようになる。
【0084】
さらに、給電パターンi15の縦方向の下半部の下部はさらにL字状に右横方向に約90°折曲されて延伸されて第2給電ラインFL22のパターンが形成されている。この第2給電ラインFL22の先端から横方向へ延伸し右半部が90°上方向に屈曲されたL字状の給電パターンg17と、給電パターンg17の屈曲された縦方向の部分に対面するよう右側に位置し細長い矩形状の縦方向に延伸している給電パターンh17と、給電パターンh17に対面するよう右側に位置し左半部が90°下方向に屈曲され右半部が横方向へ延伸するL字状の給電パターンi17とで第7切換手段SW27が構成されている。給電パターンg17の横方向の部分は延伸すると給電パターンi17の横方向の部分に重なるようになる。
さらにまた、給電パターンi16の縦方向の下半部の下部はさらにL字状に左横方向に約90°折曲されて延伸されて第5給電ラインFL25のパターンが形成されている。この第5給電ラインFL25の先端から横方向へ延伸し左半部が90°上方向に屈曲されたL字状の給電パターンg18と、給電パターンg18の屈曲された縦方向の部分に対面するよう左側に位置し細長い矩形状の縦方向に延伸している給電パターンh18と、給電パターンh18に対面するよう左側に位置し右半部が90°下方向に屈曲され左半部が横方向へ延伸するL字状の給電パターンi18とで第8切換手段SW28が構成されている。給電パターンg18の横方向の部分は延伸すると給電パターンi18の横方向の部分に重なるようになる。
【0085】
給電パターンi17は右横方向へ延伸され、給電パターンi18は左横方向へ延伸されて、対面している両者が接続されることにより第3給電ラインFL23の横方向のパターンが形成されている。第3給電ラインFL23のほぼ中央から下方へ細長い矩形状の第3給電ラインFL23の縦方向の給電ライン23aのパターンが形成されており、第3給電ラインFL23はT字状に形成されている。給電ライン23aの先端には給電点51が接続されている。
給電点51には、通信機からの送信信号が給電信号として印加され、第1給電ラインFL21ないし第5給電ラインFL25を伝播して4分配され、分配された給電信号が第1エレメントEL21ないし第4エレメントEL24にそれぞれ給電される。第1エレメントEL21ないし第4エレメントEL24から合成されて放射されるアンテナビームは、アンテナ基板50の垂直面内となる。また、第1エレメントEL21ないし第4エレメントEL24でそれぞれ受信された信号が第1給電ラインFL21ないし第5給電ラインFL25を伝播して合成され、合成された受信信号が給電点51から出力される。
【0086】
給電点51から第1エレメントEL21の給電パターンg11には、上記したように給電ラインFL23a-第3給電ラインFL23-第7切換手段SW27-第2給電ラインFL22-第5切換手段SW25-第1給電ラインFL21-第1切換手段SW21の経路で給電信号が供給される。
また、給電点51から第2エレメントEL22の給電パターンg12には、上記したように給電ラインFL23a-第3給電ラインFL23-第7切換手段SW27-第2給電ラインFL22-第5切換手段SW25-第1給電ラインFL21-第2切換手段SW22の経路で給電信号が供給される。
さらに、給電点51から第3エレメントEL23の給電パターンg13には、上記したように給電ラインFL23a-第3給電ラインFL23-第8切換手段SW28-第5給電ラインFL25-第6切換手段SW26-第4給電ラインFL24-第3切換手段SW23の経路で給電信号が供給される。
さらにまた、給電点51から第4エレメントEL24の給電パターンg14には、上記したように給電ラインFL23a-第3給電ラインFL23-第8切換手段SW28-第5給電ラインFL25-第6切換手段SW26-第4給電ラインFL24-第4切換手段SW24の経路で給電信号が供給される。
なお、切換手段が形成されている部分において給電ラインは途切れており、電気的に接続されていない途切れた給電ラインの間を後述するように切換手段により直接あるいは遅延ラインを介して接続するようにしている。例えば、第1切換手段SW21においては、給電パターンg11と第1給電ラインFL21の給電パターンi11とは切換手段を介して対向しており電気的に接続されていない。また、第5切換手段SW25においては、第1給電ラインFL21の給電パターンg15と第2給電ラインFL22の給電パターンi15とが切換手段を介して対向しており電気的に接続されていない。以下、説明を省略するが、他の切換手段においても同様に切換手段が形成されている部分において給電ラインは途切れており電気的に接続されていない。
【0087】
[第1タブシート、第2タブシート]
第1切換手段SW21~第8切換手段SW28にはアンテナ基板50上において第1タブシートと第2タブシートとが組み合わされて貼り合わされている。各切換手段に貼り合わせる第1タブシートおよび第2タブシートの構成を
図22(a)(b)(c)(d)に示す。なお、第1タブシートおよび第2タブシートは、好適には透明または透明に近い誘電体フィルムからなる絶縁フィルムからなり、絶縁フィルムの一面に導電体のパターンがプリントされて構成されている。
図22(a)~(d)では、パターンにハッチングを施して示している。
図22(a)には第1切換手段SW21、第3切換手段SW23、第5切換手段SW25に貼り合わせる第1タブシートTB1aと第2タブシートTB1bとの構成が示されている。第1タブシートTB1aは縦長の矩形状とされた絶縁フィルム上に縦方向の細長い矩形状の接続パターンj11がほぼ中央に形成されて構成されている。第1タブシートTB1aには識別情報となる「L,C」の指標が付されている。「L,C」の指標は、アンテナビームの垂直方向から左(L)へのチルトと垂直方向(C)を意味している。
第2タブシートTB1bは第1タブシートTB1aの幅の間隔で対面するよう左右に配置され縦長の矩形状とされた2枚の絶縁フィルムを備え、左側の絶縁フィルム上に右上側に逆コ字状の形状の第1遅延パターンk11が形成されて構成されている。右側の絶縁フィルム上には左下側にコ字状の形状の第2遅延パターンm11が形成されて構成されている。第1遅延パターンk11の横方向とされた下部を延伸すると第2遅延パターンm11の横方向とされた上部に重なるようになる。第2タブシートTB1bには識別情報となる「R」の指標が付されている。「R」の指標は、アンテナビームの垂直方向から右(R)へのチルトを意味している。
【0088】
図22(b)には第2切換手段SW22、第4切換手段SW24、第6切換手段SW26に貼り合わせる第1タブシートTB2aと第2タブシートTB2bとの構成が示されている。第1タブシートTB2aは、第2タブシートTB2bの幅の間隔で対面するよう左右に配置され縦長の矩形状とされた2枚の絶縁フィルムを備え、右側の絶縁フィルム上に左上側にコ字状の形状の第1遅延パターンj21が形成されて構成されている。左側の絶縁フィルム上には右下側に逆コ字状の形状の第2遅延パターンk21が形成されて構成されている。第1遅延パターンj21の横方向とされた上部を延伸すると第2遅延パターンk21の横方向とされた下部に重なるようになる。第1タブシートTB2aには識別情報となる「L」の指標が付されている。「L」の指標は垂直方向からアンテナビームの左(L)へのチルトを意味している。
第2タブシートTB2bは、縦長の矩形状とされた絶縁フィルム上に縦方向の細長い矩形状の接続パターンm21がほぼ中央に形成されて構成されている。第2タブシートTB2bには識別情報となる「C,R」の指標が付されている。「C,R」の指標は、アンテナビームの垂直方向(C)と垂直方向から右(R)へのチルトを意味している。
【0089】
図22(c)には第7切換手段SW27に貼り合わせる第1タブシートTB3aと第2タブシートTB3bとの構成が示されている。第1タブシートTB3aは、横長の矩形状とされた絶縁フィルム上に横方向の細長い矩形状の接続パターンi31がほぼ中央に形成されて構成されている。第1タブシートTB3aには識別情報となる「L,C」の指標が付されている。
第2タブシートTB3bは、第1タブシートTB3aの幅の間隔で対面するよう上下に配置され横長の矩形状とされた2枚の絶縁フィルムを備え、上側の絶縁フィルム上に左下側に逆コ字状の形状の第1遅延パターンk31が形成されて構成されている。下側の絶縁フィルム上には左上側にコ字状の形状の第2遅延パターンm31が形成されて構成されている。第1遅延パターンk31の縦方向の右側を下方へ延伸すると第2遅延パターンm31の縦方向の左側に重なるようになる。第2タブシートTB3bには識別情報となる「R」の指標が付されている。
【0090】
図22(d)には第8切換手段SW28に貼り合わせる第1タブシートTB4aと第2タブシートTB4bとの構成が示されている。第1タブシートTB4aは、第2タブシートTB4bの幅の間隔で対面するよう上下に配置され横長の矩形状とされた2枚の絶縁フィルムを備え、上側の絶縁フィルム上に右下側に逆コ字状の形状の第1遅延パターンj41が形成されて構成されている。下側の絶縁フィルム上には右上側にコ字状の形状の第2遅延パターンk41が形成されて構成されている。第1遅延パターンj41の縦方向の左側を下方へ延伸すると第2遅延パターンk41の縦方向の右側に重なるようになる。第1タブシートTB4aには識別情報となる「L」の指標が付されている。
第2タブシートTB3bは、横長の矩形状とされた絶縁フィルム上に横方向の細長い矩形状の接続パターンm41がほぼ中央に形成されて構成されている。第2タブシートTB4bには識別情報となる「C,R」の指標が付されている。
【0091】
図23に、アンテナ基板50上において第1切換手段SW21~第8切換手段SW28にそれぞれ貼り合わせる第1タブシートと第2タブシートとの組み合わせの構成を示す。
図23では、第1タブシートと第2タブシートとのパターンにハッチングを施して示している。
第1切換手段SW21、第3切換手段SW23、第5切換手段SW25に位置を合わせて貼り合わされる第1タブシートTB1aと第2タブシートTB1bとを組み合わせると、2枚からなる第2タブシートTB1bの間に第1タブシートTB1aが位置するようになる。また、第2切換手段SW22、第4切換手段SW24、第6切換手段SW26に貼り合わせる第1タブシートTB2aと第2タブシートTB2bとを組み合わせると、2枚からなる第1タブシートTB2aの間に第2タブシートTB2bが位置するようになる。さらに、第7切換手段に貼り合わせる第1タブシートTB3aと第2タブシートTB3bとを組み合わせると、2枚からなる第2タブシートTB3bの間に第1タブシートTB3aが位置するようになる。また、第8切換手段SW28に貼り合わせる第1タブシートTB4aと第2タブシートTB4bとを組み合わせると、2枚からなる第1タブシートTB4aの間に第2タブシートTB4bが位置するようになる。
【0092】
[第3実施例の装置内蔵アンテナ13G]
アンテナ基板50の第1切換手段SW21ないし第8切換手段SW28の上に第1タブシートおよび第2タブシートを貼り合わして構成した第3実施例の装置内蔵アンテナ13G構成を
図24に示す。
図24では、第1タブシートおよび第2タブシートのパターンを視認しやすいようにハッチングを施して示している。
図25を参照すると、第1切換手段SW21においては、接続パターンj11により第1エレメントEL21の給電パターンg11と第1給電ラインFL21の給電パターンi11とが接続される。また、給電パターンg11の横方向の部分に第1遅延パターンk11の上部が接続され、第1遅延パターンk11の下部が給電パターンh11の左側に接続され、給電パターンh11の右側に第2遅延パターンm11の上部が接続され、第2遅延パターンm11の下部が給電パターンi11の横方向の部分に接続される。
【0093】
第2切換手段SW22においては、第2エレメントEL22の給電パターンg12の横方向の部分に第1遅延パターンj21の上部が接続され、第1遅延パターンj21の下部が給電パターンh12の右側に接続され、給電パターンh12の左側に第2遅延パターンk21の上部が接続され、第2遅延パターンk21の下部が第1給電ラインFL21の給電パターンi12の横方向の部分に接続される。また、接続パターンm21により給電パターンg12と給電パターンi12とが接続される。
さらに、第3切換手段SW23においては、接続パターンj11により第3エレメントEL23の給電パターンg13と第4給電ラインFL24の給電パターンi13とが接続される。また、給電パターンg13の横方向の部分に第1遅延パターンk11の上部が接続され、第1遅延パターンk11の下部が給電パターンh13の左側に接続され、給電パターンh13の右側に第2遅延パターンm11の上部が接続され、第2遅延パターンm11の下部が給電パターンi13の横方向の部分に接続される。
【0094】
さらにまた、第4切換手段SW24においては、第4エレメントEL24の給電パターンg14の横方向の部分に第1遅延パターンj21の上部が接続され、第1遅延パターンj21の下部が給電パターンh14の右側に接続され、給電パターンh14の左側に第2遅延パターンk21の上部が接続され、第2遅延パターンk21の下部が第4給電ラインFL24の給電パターンi14の横方向の部分に接続される。また、接続パターンm21により給電パターンg14と給電パターンi14とが接続される。
さらにまた、第5切換手段SW25においては、接続パターンj11により第1給電ラインFL21の給電パターンg15と第2給電ラインFL22の給電パターンi15とが接続される。また、給電パターンg15の横方向の部分に第1遅延パターンk11の上部が接続され、第1遅延パターンk11の下部が給電パターンh15の左側に接続され、給電パターンh15の右側に第2遅延パターンm11の上部が接続され、第2遅延パターンm11の下部が給電パターンi15の横方向の部分に接続される。
【0095】
さらにまた、第6切換手段SW26においては、第4給電ラインFL24の給電パターンg16の横方向の部分に第1遅延パターンj21の上部が接続され、第1遅延パターンj21の下部が給電パターンh16の右側に接続され、給電パターンh16の左側に第2遅延パターンk21の上部が接続され、第2遅延パターンk21の下部が第5給電ラインFL25の給電パターンi16の横方向の部分に接続される。また、接続パターンm21により給電パターンg16と給電パターンi16とが接続される。
さらにまた、第7切換手段SW27においては、接続パターンj31により第2給電ラインFL22の給電パターンg17と第3給電ラインFL23の給電パターンi17とが接続される。また、給電パターンg17の縦方向の部分に第1遅延パターンk31の左側が接続され、第1遅延パターンk31の右側が給電パターンh17の上部に接続され、給電パターンh17の下部に第2遅延パターンm31の左側が接続され、第2遅延パターンm31の右側が給電パターンi17の縦方向の部分に接続される。
【0096】
さらにまた、第8切換手段SW28においては、第5給電ラインFL25の給電パターンg18の縦方向の部分に第1遅延パターンj41の右側が接続され、第1遅延パターンj41の左側が給電パターンh18の上部に接続され、給電パターンh18の下部に第2遅延パターンk41の右側が接続され、第2遅延パターンk41の左側が第3給電ラインFL23の給電パターンi18の縦方向の部分に接続される。また、接続パターンm41により給電パターンg18と給電パターンi18とが接続される。
上記した第3実施例の装置内蔵アンテナ13Gは、製造時の形態とされており、第3実施例の装置内蔵アンテナ13Gをアンテナ内蔵装置内に設置する際に、第1切換手段SW21~第8切換手段SW28に貼り合わされた第1タブシートあるいは第2タブシートを取り除くことにより、アンテナビームの方向を所定の方向とすることができる。
【0097】
[第3実施例にかかる装置内蔵アンテナ13H-13K]
第3実施例の装置内蔵アンテナ13Gにおいて、第1切換手段SW21~第8切換手段SW28に組み合わされて貼り合わされた第1タブシートあるいは第2タブシートを取り除くことにより、アンテナビームの方向を所定の方向とすることができる。所定の方向とした第3実施例にかかる装置内蔵アンテナ13Hないし装置内蔵アンテナ13Kの構成を
図25ないし
図27に示す。
図25はアンテナビームの方向が垂直方向から左にチルトするよう設定された装置内蔵アンテナ13Hの構成を示す図であり、
図26はアンテナビームの方向が垂直方向(センター)を向くよう設定された装置内蔵アンテナ13Jの構成を示す図であり、
図27はアンテナビームの方向が垂直方向から右にチルトするよう設定された装置内蔵アンテナ13Kの構成を示す図である。
【0098】
[第3実施例にかかる第1の装置内蔵アンテナ13H]
図25に示す第3実施例にかかる第1の装置内蔵アンテナ13Hは、アンテナビームの方向が垂直方向から左(L)にチルトするよう設定されることから、「L」を含む「L」「L,C」の指標の第1タブシートTB1a,TB2a,TB3a,TB4aが残されて、「L」を含まない「R」および「C,R」の指標の第2タブシートTB1b,TB2b,TB3b,TB4bが取り除かれて構成されている。これにより、給電点51から第1エレメントEL21の経路においては、第7切換手段SW27において第3給電ラインFL23に第2給電ラインFL22が接続パターンj31により直接接続され、第5切換手段SW25において第2給電ラインFL22に第1給電ラインFL21が接続パターンj11により直接接続され、第1切換手段SW21において第1給電ラインFL21が第1エレメントEL21に接続パターンj11により直接接続される。これにより、給電点51からの給電信号は遅延することなく第1エレメントEL21に供給される。
また、給電点51から第2エレメントEL22の経路においては、第7切換手段SW27において第3給電ラインFL23に第2給電ラインFL22が接続パターンj31により直接接続され、第5切換手段SW25において第2給電ラインFL22に第1給電ラインFL21が接続パターンj11により直接接続され、第2切換手段SW22において第1給電ラインFL21が第1遅延パターンj21と第2遅延パターンk21とからなる遅延ラインを介して第2エレメントEL22に接続される。これにより、給電点51からの給電信号は1段階遅延されて第2エレメントEL22に供給される。
【0099】
さらに、給電点51から第3エレメントEL23の経路においては、第8切換手段SW28において第3給電ラインFL23が第1遅延パターンj41と第2遅延パターンk41とからなる遅延ラインを介して第5給電ラインFL25に接続され、第6切換手段SW26において第5給電ラインFL25が第1遅延パターンj21と第2遅延パターンk21とからなる遅延ラインを介して第4給電ラインFL24に接続され、第3切換手段SW23において第4給電ラインFL24が第3エレメントEL23に接続パターンj11により直接接続される。これにより、給電点51からの給電信号は2段階遅延されて第3エレメントEL23に供給される。
さらにまた、給電点51から第4エレメントEL24の経路においては、第8切換手段SW28において第3給電ラインFL23が第1遅延パターンj41と第2遅延パターンk41とからなる遅延ラインを介して第5給電ラインFL25に接続され、第6切換手段SW26において第5給電ラインFL25が第1遅延パターンj21と第2遅延パターンk21とからなる遅延ラインを介して第4給電ラインFL24に接続され、第4切換手段SW24において第4給電ラインFL24が第1遅延パターンj21と第2遅延パターンk21とからなる遅延ラインを介して第4エレメントEL24に接続される。これにより、給電点51からの給電信号は3段階遅延されて第4エレメントEL24に供給される。
【0100】
以上の通りであるから、
図25に示す第1の第3実施例にかかる装置内蔵アンテナ13Hでは、第1エレメントEL21から第4エレメントEL24に向かって給電信号が次第に遅延されて給電信号の位相が次第に回転することから、装置内蔵アンテナ13Hから放射されるビームのビームパターンは垂直方向から右側へチルトする。見方を変えると、装置内蔵アンテナ13Hの裏面から見て垂直方向から左側へチルトするようになる。チルトする角度は、第1切換手段SW21~第8切換手段SW28の遅延ラインの遅延量に応じた角度とされる。なお、第1切換手段SW21~第8切換手段SW28の各遅延ラインの遅延量はすべて同じ遅延量とされている。
【0101】
[第3実施例にかかる第2の装置内蔵アンテナ13J]
図26に示す第3実施例にかかる第2の装置内蔵アンテナ13Jは、アンテナビームの方向が垂直方向(センター:C)を向くように設定されることから、「C」を含む「L,C」「C、R」の指標の第1タブシートTB1a,TB3aおよび第2タブシートTB2b,TB4bが残されて、「C」を含まない「L」「R」の指標の第1タブシートTB2a,TB4aおよび第2タブシートTB1b,TB3bが取り除かれて構成されている。これにより、給電点51から第1エレメントEL21の経路においては、第7切換手段SW27において第3給電ラインFL23に第2給電ラインFL22が接続パターンj31により直接接続され、第5切換手段SW25において第2給電ラインFL22に第1給電ラインFL21が接続パターンj11により直接接続され、第1切換手段SW21において第1給電ラインFL21が第1エレメントEL21に接続パターンj11により直接接続される。これにより、給電点51からの給電信号は遅延することなく第1エレメントEL21に供給される。
また、給電点51から第2エレメントEL22の経路においては、第7切換手段SW27において第3給電ラインFL23に第2給電ラインFL22が接続パターンj31により直接接続され、第5切換手段SW25において第2給電ラインFL22に第1給電ラインFL21が接続パターンj11により直接接続され、第2切換手段SW22において第1給電ラインFL21が接続パターンm21により第2エレメントEL22に直接接続される。これにより、給電点51からの給電信号は遅延することなく第2エレメントEL22に供給される。
【0102】
さらに、給電点51から第3エレメントEL23の経路においては、第8切換手段SW28において第3給電ラインFL23に第5給電ラインFL25が接続パターンm41により直接接続され、第6切換手段SW26において第5給電ラインFL25に第4給電ラインFL24が接続パターンm21により直接接続され、第3切換手段SW23において第4給電ラインFL24が第3エレメントEL23に接続パターンj11により直接接続される。これにより、給電点51からの給電信号は遅延することなく第3エレメントEL23に供給される。
さらにまた、給電点51から第4エレメントEL24の経路においては、第8切換手段SW28において第3給電ラインFL23に第5給電ラインFL25が接続パターンm41により直接接続され、第6切換手段SW26において第5給電ラインFL25に第4給電ラインFL24が接続パターンm21により直接接続され、第4切換手段SW24において第4給電ラインFL24が第4エレメントEL24に接続パターンm21により直接接続される。これにより、給電点51からの給電信号は遅延することなく第4エレメントEL24に供給される。
【0103】
以上の通りであるから、
図26に示す第2の第3実施例にかかる装置内蔵アンテナ13Jでは、第1エレメントEL21から第4エレメントEL24に同相の給電信号が供給されることから、装置内蔵アンテナ13Jから放射されるビームのビームパターンは垂直方向(センター)へ向くようになる。
【0104】
[第3実施例にかかる第3の装置内蔵アンテナ13K]
図27に示す第3実施例にかかる第3の装置内蔵アンテナ13Kは、アンテナビームの方向が垂直方向から右(R)にチルトするよう設定されることから、「R」を含む「R」「C,R」の指標の第2タブシートTB1b,TB2b,TB3b,TB4bが残されて、「R」を含まない「L」および「L,C」の指標の第1タブシートTB1a,TB2a,TB3a,TB4a取り除かれて構成されている。これにより、給電点51から第1エレメントEL21の経路においては、第7切換手段SW27において第3給電ラインFL23が第1遅延パターンk31と第2遅延パターンm31とからなる遅延ラインを介して第2給電ラインFL22に接続され、第5切換手段SW25において第2給電ラインFL22が第1遅延パターンm11と第2遅延パターンk11とからなる遅延ラインを介して第1給電ラインFL21に接続され、第1切換手段SW21において第1給電ラインFL21が第1遅延パターンm11と第2遅延パターンk11とからなる遅延ラインを介して第1エレメントEL21に接続される。これにより、給電点51からの給電信号は3段階遅延されて第1エレメントEL21に供給される。
また、給電点51から第2エレメントEL22の経路においては、第7切換手段SW27において第3給電ラインFL23が第1遅延パターンk31と第2遅延パターンm31とからなる遅延ラインを介して第2給電ラインFL22に接続され、第5切換手段SW25において第2給電ラインFL22が第1遅延パターンm11と第2遅延パターンk11とからなる遅延ラインを介して第1給電ラインFL21に接続され、第2切換手段SW22において第1給電ラインFL21が接続パターンm21を介して第2エレメントEL22に直接接続される。これにより、給電点51からの給電信号は2段階遅延されて第2エレメントEL22に供給される。
【0105】
さらに、給電点51から第3エレメントEL23の経路においては、第8切換手段SW28において第3給電ラインFL23が接続パターンm41を介して第5給電ラインFL25に直接接続され、第6切換手段SW26において第5給電ラインFL25が接続パターンm21を介して第4給電ラインFL24に直接接続され、第3切換手段SW23において第4給電ラインFL24が第3エレメントEL23に第1遅延パターンm11と第2遅延パターンk11とからなる遅延ラインを介して接続される。これにより、給電点51からの給電信号は1段階遅延されて第3エレメントEL23に供給される。
さらにまた、給電点51から第4エレメントEL24の経路においては、第8切換手段SW28において第3給電ラインFL23が接続パターンm41を介して第5給電ラインFL25に直接接続され、第6切換手段SW26において第5給電ラインFL25が接続パターンm21を介して第4給電ラインFL24に直接接続され、第4切換手段SW24において第4給電ラインFL24が第4エレメントEL24に接続パターンm21により直接接続される。これにより、給電点51からの給電信号は遅延することなく第4エレメントEL24に供給される。
【0106】
以上の通りであるから、
図27に示す第3の第3実施例にかかる装置内蔵アンテナ13Kでは、第4エレメントEL24から第1エレメントEL21に向かって給電信号が次第に遅延されて給電信号の位相が次第に回転することから、第3の装置内蔵アンテナ13Kから放射されるビームのビームパターンは垂直方向から左側へチルトする。見方を変えると、第3の装置内蔵アンテナ13Kの裏面から見て垂直方向から右側へチルトするようになる。チルトする角度は、第1切換手段SW21~第8切換手段SW28の遅延ラインの遅延量に応じた角度とされる。なお、第1切換手段SW21~第8切換手段SW28の各遅延ラインの遅延量はすべて同じ遅延量とされている。
【0107】
[本発明の実施例の装置内蔵アンテナが組み込まれるアンテナ内蔵装置の変形例]
本発明の実施例の装置内蔵アンテナが組み込まれるアンテナ内蔵装置の変形例を説明する。ここでは、アンテナ内蔵装置の例として看板1-1を挙げている。看板1-1の構成を
図28および
図29に示す。
図28は本発明の実施例の装置内蔵アンテナが組み込まれる変形例の看板1-1における構成を示す斜視図であり、
図29は本発明の実施例の装置内蔵アンテナが組み込まれる変形例の看板1-1における構成を示す分解斜視図である。
これらの図に示す装置内蔵アンテナが組み込まれる看板1-1は、
図1および
図2に示す装置内蔵アンテナが組み込まれる看板1と、蓋部11-1および基板12-1の構成を除き同様の構成とされているので、同様の構成の説明は省略して蓋部11-1および基板12-1の説明のみを行う。看板1-1は、本発明の実施例の装置内蔵アンテナ13Lが組み込まれている。看板1-1は、基部10-1と、基部10-1の上面の開口を閉塞するよう取り付けられた蓋部11-1と、基部10-1の下部に収納された光源が設けられる基板12-1とを備えている。基板12-1の表面には複数個の縦列とされた発光素子12a-1が基板12-1の長辺にほぼ平行に所定間隔で2列設けられており、基板12-1の発光素子12a-1が設けられた同じ面に装置内蔵アンテナ13Lが設けられている。
【0108】
蓋部11-1のおもて面には「ANTENNA」の文字が表記されており、例えば「T」の文字が大きくされている。装置内蔵アンテナ13Lは、大きな文字とされた「T」と重なる形状とされた基板12-1上に形成されている。蓋部11-1のおもて面には文字だけではなくマーク等を表記することができる、マークを表記した場合は、装置内蔵アンテナ13Lはマークに重なる形状とされた基板12-1上に形成されて構成される。このように、装置内蔵アンテナ13Lを看板ケースの文字やマークなどに重ねるように配置すれば、看板1-1において光量むらが発生することを防止することができる。
なお、装置内蔵アンテナ13Lにおいては、アンテナ基板の形状を重ねる文字やマークに合わせた形状として、そのアンテナ基板上に上記した実施例の装置内蔵アンテナを形成することが好適とされる。
【0109】
[第3実施例の装置内蔵アンテナにおけるアンテナ基板の変形例]
次に、本発明の第3実施例の他の構成とされた装置内蔵アンテナ13Mの構成を
図30に示す。
図30に示す他の構成の装置内蔵アンテナ13Mは、変形例のアンテナ基板50-1を備えている。変形例のアンテナ基板50-1では、装置内蔵アンテナ13Mのアンテナビームの方向を設定する際に残すタブシートと取り除くタブシートの指定をアンテナ基板50-1上の座標で指定するようにしている。アンテナ基板50-1には、横方向の列の領域がA~Rの15の列に区切られ、縦方向の行の領域が1~5の5つの行に区切られている。第1切換手段SW21~第8切換手段SW28のそれぞれには3枚ずつのタブシートが貼り合わされており、それぞれのタブシートはA~Rのいずれかの列と1~5のいずれかの行との座標により指定することができる。
【0110】
詳細に説明すると、第1切換手段SW21に貼り合わされた3枚のタブシートは「A1」「B1」「C1」の行列の座標でそれぞれ指定でき、第2切換手段SW22に貼り合わされた3枚のタブシートは「E1」「F1」「G1」の行列の座標でそれぞれ指定でき、第3切換手段SW23に貼り合わされた3枚のタブシートは「J1」「K1」「L1」の行列の座標でそれぞれ指定でき、第4切換手段SW24に貼り合わされた3枚のタブシートは「N1」「P1」「R1」の行列の座標でそれぞれ指定でき、第5切換手段SW25に貼り合わされた3枚のタブシートは「C3」「D3」「E3」の行列の座標でそれぞれ指定でき、第6切換手段SW26に貼り合わされた3枚のタブシートは「L3」「M3」「N3」の行列の座標でそれぞれ指定でき、第7切換手段SW27に貼り合わされた3枚のタブシートは「F3」「F4」「F5」の行列の座標でそれぞれ指定でき、第8切換手段SW28に貼り合わされた3枚のタブシートは「J3」「J4」「J5」の行列の座標でそれぞれ指定できるようになる。
【0111】
本発明の第3実施例の他の構成とされた装置内蔵アンテナ13Mにおいて、アンテナビームの方向を垂直方向から左にチルトするよう設定した装置内蔵アンテナ13Nの構成を
図31に示す。
図31に示す装置内蔵アンテナ13Nにおいては、残すタブシートの行列の座標がB1,E1,G1,K1,N1,R1,D3,L3,N3,F4,J3,J5と指定されている。指定されていない行列の座標の領域に位置するタブシートは取り除かれる。これにより、
図31に示す装置内蔵アンテナ13Nの構成となる。この構成は、
図25に示す装置内蔵アンテナ13Hの構成と同様となるので、その説明は省略するが、第1エレメントEL21から第4エレメントEL24に向かって給電信号が次第に遅延されて給電信号の位相が次第に回転することから、装置内蔵アンテナ13Nから放射されるビームのビームパターンは垂直方向から右側へチルトする。見方を変えると、装置内蔵アンテナ13Nの裏面から見て垂直方向から左側へチルトするようになる。
そして、設定したいアンテナビームの方向に応じて残すタブシートの行列の座標を選択することにより、
図26に示す装置内蔵アンテナ13Jの構成や
図27に示す装置内蔵アンテナ13Kの構成と同様の構成とすることができる。
なお、残すタブシートの指定を行列の英字と数字を組み合わせた座標で指定したが、行列を色や記号などで表して、行列の色や記号などを組み合わせた座標で指定するようにしてもよい。
【0112】
[本発明の実施例の装置内蔵アンテナの切換手段]
本発明の実施例の装置内蔵アンテナにおける切換手段の他の構成を
図32に示す。
図32に示す他の構成の切換手段SW20は、エレメントEL20に給電する給電信号の切換手段SW20とされている。切換手段SW20は、複数のパターンと2つの高周波スイッチ(RFSW1,RFSW2)とを備えており、複数のパターン間の接続をRFSW1とRFSW2とで行っている。切換手段SW20に形成されているパターンは、エレメントEL20の下縁の中央から下方向への細長い矩形状の給電パターンa10と、給電パターンa10の下部と、給電パターンa10の下部に上部が対面し左側に位置している逆コ字状の形状の第1遅延パターンb10と、第1遅延パターンb10の下部に上部が対面し右側に位置しているコ字状の形状の第2遅延パターンc10と、第2遅延パターンc10の下部に上部が対面している細長い矩形状の縦方向の給電パターンd10と、給電パターンa10と給電パターンd10との間に位置するパターンe10とされている。なお、第1遅延パターンb10の下部を右横方向へ延伸すると第2遅延パターンc10の上部に重なり、基板の裏面に形成されたパターンにより第1遅延パターンb10の下部と第2遅延パターンc10の上部とが接続されている。また、Ba1はRFSW1を駆動する電源、Ba2はRFSW2を駆動する電源である。
【0113】
RFSW1の可動接点A0は給電パターンa10の下部に、第1固定接点A1はパターンe10の上部に、第2固定接点A2は第1遅延パターンb10の上部に設けられている。また、RFSW2の可動接点B0は給電パターンd10の上部に、第1固定接点B1はパターンe10の下部に、第2固定接点B2は第2遅延パターンc10の下部に設けられている。
ここで、Ba1およびBa2によりRFSW1とRFSW2とを図示する状態に切り換えた場合は、RFSW1の可動接点A0が第1固定接点A1に接続され、RFSW2の可動接点B0が第1固定接点B1に接続されて、給電パターンa10はパターンe10を介して給電パターンd10に直接接続される。これにより、給電点51からの給電信号は遅延することなくエレメントEL20に供給される。
また、Ba1およびBa2によりRFSW1とRFSW2とを駆動して図示する破線で示す状態に切り換えた場合は、RFSW1の可動接点A0が第2固定接点A2に接続され、RFSW2の可動接点B0が第2固定接点B2に接続されて、給電パターンa10は第1遅延パターンb10と第2遅延パターンc10とからなる遅延ラインを介して給電パターンd10に接続される。これにより、給電点51からの給電信号は遅延ラインにより1段階遅延されてエレメントEL20に供給される。
【0114】
上記した切換手段SW20を、
図8に示すアンテナ基板30の第1切換手段SW11~第8切換手段SW18に置き換えることで、本発明の他の実施例の装置内蔵アンテナを構成することができる。この場合、アンテナ基板30に貼り合わせるシートは不要となる。また、RFSW1とRFSW2とは、高周波リレーや高周波特性の良好な半導体素子、例えばFETやPINダイオードを用いて構成することができる。さらに、Ba1およびBa2の電源は、他の実施例の装置内蔵アンテナを組み込んだアンテナ内蔵装置の電源を利用することができる。
【0115】
[本発明の実施例の装置内蔵アンテナが組み込まれるアンテナ内蔵装置の他の変形例]
本発明の実施例の装置内蔵アンテナが組み込まれるアンテナ内蔵装置の他の変形例をせつめいする。ここでは、アンテナ内蔵装置の例として看板1-2を挙げている。看板1-2の構成を
図33および
図34に示す。
図33は本発明の実施例の装置内蔵アンテナが組み込まれる他の変形例の看板1-2における構成を示す斜視図であり、
図34は本発明の実施例の装置内蔵アンテナが組み込まれる他の変形例の看板1-2における構成を示す分解斜視図である。
これらの図に示す装置内蔵アンテナが組み込まれる看板1-2は、
図1および
図2に示す装置内蔵アンテナが組み込まれる看板1と、蓋部11-2および基板12-2の構成を除き同様の構成とされているので、同様の構成の説明は省略して蓋部11-2および基板12-2の説明のみを行う。
【0116】
図33および
図34に示す看板1-2では、本発明の第1実施例の装置内蔵アンテナ13Aが組み込まれているが、本発明の実施例の装置内蔵アンテナのいずれでも組み込むことができる。看板1-2は、基部10-2と、基部10-2の上面の開口を閉塞するよう取り付けられた蓋部11-2と、基部10-2の下部に収納された光源が設けられる基板12-2とを備えている。看板1-2においては、基板12の上に装着されていた装置内蔵アンテナ13Aを透明なフレキシブル基板に形成して蓋部11-2の内面側に装着しており、蓋部11-2のおもて面には内面側に装着された装置内蔵アンテナ13Aのエレメントや切換手段あるいは給電ラインに対応する位置に導電体11-2aのパターンが印刷や貼着により形成されている。蓋部11-2において、エレメントや切換手段あるいは給電ライン上に導電体11-2aが対面しており、その間には合成樹脂製の蓋部11-2が誘電体として存在しているので、容量結合や波長短縮効果が得られるようになる。これにより、インピーダンス調整やビームパターン調整、短縮効果による形状調整などが可能となる。なお、導電体11-2aに替えて誘電体を蓋部11-2のおもて面に形成しても同様の作用効果が得られる。さらに、看板1-2に組み込まれる装置内蔵アンテナによって導電体11-2aを形成する最適な位置を選択することもできる。
また、看板1-2に組み込まれる装置内蔵アンテナや導電体11-2aを、看板1-2の蓋部11-2や基部10-2に表記された文字部やマーク部に重ねて設置することで、装置内蔵アンテナや導電体11-2aなどを目立たなくすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0117】
次世代移動通信システム第5世代(5G)の導入にあたっては、安定した高速通信の実現に向けて小さなサービスエリア(スモールセル)の構築が必要となっている。エリアの小さいスモールセルの導入する際には、多数の移動通信基地局およびアンテナの設置が必要となる。通常、スモールセル用アンテナは建物の屋上や壁面に設置されており、設置場所や街の景観上の制約から更なる増設は困難になりつつある。そのため、従来から、既存の建造物に内蔵する「見えないアンテナ」の検討が行われてきた。以上説明した本発明の実施例の装置内蔵アンテナは、設計周波数が3.6GHz~4.6GHzの周波数帯とすることができ、コンビニエンスストア、駅、駐車場の内照式看板などのアンテナ内蔵装置に組み込んで使用することが好適とされている。そして、基板上に銅箔などの導電体のパターンとしてエレメントや給電ラインが形成され、設置作業の際に簡易にアンテナビームの方向を任意に設定することができる。アンテナ内蔵装置が看板とされる場合は、看板は広告塔としての機能を優先することができる。また、アンテナ内蔵装置が設置場所や設置方向において制約を受けても、アンテナ内蔵装置に組み込まれた装置内蔵アンテナは見えないアンテナとして機能し、移動通信基地局としての電波の放射方向を柔軟かつ容易に設定できるようになる。
【0118】
なお、本発明の装置内蔵アンテナは、コンビニエンスストア、ドラッグストア、時間決め駐車場、駅、郵便局などの看板とされるアンテナ内蔵装置に組み込むことができる。また、壁面看板の他に、突出看板、野立看板、スタンド看板、ポール看板などをアンテナ内蔵装置として本発明の装置内蔵アンテナを組み込むようにしてもよい。さらに、本発明の装置内蔵アンテナを照明器具や標識などのアンテナ内蔵装置に組み込むようにしてもよい。なお、アンテナ内蔵装置には地下鉄のホーム等で使用される広告板や掲示板、照明器具等のパネル体も含まれる。
以上説明した本発明の装置内蔵アンテナは、プリント基板などで安価に製造できると共に、当該技術に関する専門知識を必要とせずに簡単にビームパターンを制御することができる。また、本発明の装置内蔵アンテナにおけるアンテナ基板は、フレキシブル基板として、曲面にも密着して貼り付けることができるようにしてもよく、透明のフレキシブル基板とすることもできる。さらに、本発明の実施例にかかる装置内蔵アンテナにおいては、平面アンテナを採用したが、八木型アンテナや多段ダイポールアンテナなどとしてもよく、ループアンテナやバーアンテナなどの磁界型アンテナを使用してもよい。
以上説明した本発明の装置内蔵アンテナでは、アンテナ基板に複数枚の第1シートあるいは第2シートのいずれかを貼り合わせることによりアンテナビームの方向が決定される。そこで、複数枚の第1シートおよび第2シートのそれぞれに、設定されるアンテナビームの方向を示す情報、例えば方向を示す矢印、「右方向」「センター」「左方向」の文字、方向を示すLeftの「L」Centerの「C」Rightの「R」の文字を表記しておくことができる。
以上説明した本発明の装置内蔵アンテナにおいて、給電ラインや切換手段に給電信号および/または受信信号を増幅するアンプなどのアクティブ素子を設けるようにしてもよい。この場合のアクティブ素子の電源としては、装置内蔵アンテナが組み込まれたアンテナ内蔵装置の電源を利用することができる。
本発明の装置内蔵アンテナをアンテナ内蔵装置に組み込む場合には、アンテナ基板に形成されている構成をアンテナ内蔵装置の基板に形成して、この基板をアンテナ基板と一体化することによりアンテナ内蔵装置に組み込むことができる。または、アンテナ内蔵装置の基板にアンテナ基板を載置して貼着等で固着することにより、アンテナ内蔵装置に本発明の装置内蔵アンテナを組み込むことができる。
なお、アンテナ内蔵装置が看板である場合には、看板に収納されている基板や装置内蔵アンテナの少なくとも上面あるいは表面全体に光を反射する処理、例えば、白色の塗装を施して光を反射できるようにしてもよい。
以上の説明において、装置内蔵アンテナの設置方法は、装置内蔵アンテナのアンテナビームを設定する設置方法として説明しており、アンテナ内蔵装置の製造方法は、装置内蔵アンテナがアンテナ内蔵装置に組み込まれることとして説明している。
【0119】
以上説明した本発明の装置内蔵アンテナは,以下の構成を備えていてもよい。
上記本発明の装置内蔵アンテナにおいて、切換手段が設けられる給電ラインの中途が途切れており、切換手段は、該途切れた給電ライン間に接続可能な遅延ラインを構成する遅延パターンと直接接続パターンとを有すると共に、遅延パターンを途切れた給電ライン間に接続する第1切換状態と、直接接続パターンを途切れた給電ライン間に接続する第2切換状態とのいずれかに切り換えるスイッチとを有しており、アンテナビームが所定の方向となるように、スイッチが切り換えられる構成。
また、上記本発明の装置内蔵アンテナにおいて、アンテナ基板では、一面に複数のエレメントと給電ラインと切換手段とが形成されており、他面にグランドプレーンが形成される構成。
さらに、上記本発明の装置内蔵アンテナにおいて、アンテナ基板の素材が、誘電体フィルムとされる構成。
さらにまた、上記本発明の装置内蔵アンテナにおいて、シートの素材が、誘電体フィルムとされる構成。
さらにまた、上記本発明の装置内蔵アンテナにおいて、給電ラインの中途にアクティブ素子が設けられる構成。
さらにまた、上記本発明の装置内蔵アンテナにおいて、光源が設けられている看板の基板にアンテナ基板が設けられることにより看板に組み込まれる構成。
さらにまた、上記本発明の装置内蔵アンテナにおいて、光源が設けられている看板の基板にアンテナ基板とが一体化されて、アンテナ基板に形成されている構成が基板に形成されることにより看板に組み込まれる構成。
さらにまた、上記本発明の装置内蔵アンテナにおいて、上記スイッチが電子スイッチとされて、光源に供給される電源から電子スイッチに駆動用の電源が供給される構成。
さらにまた、上記本発明の装置内蔵アンテナにおいて、基板は導電体で形成され、基板の一面に設けられた絶縁体の上にアンテナ基板に形成されている構成が形成されており、基板がグランドプレーンとして機能する構成。
さらにまた、上記本発明の装置内蔵アンテナにおいて、看板のケースのおもて面に文字またはマークが記されており、文字またはマークの位置に対応してアンテナ基板が配置される構成。
さらにまた、上記本発明の装置内蔵アンテナにおいて、看板のケースの内面にアンテナ基板が設けられ、ケースのおもて面におけるアンテナ基板に対応する位置に導電体が形成されて、インピーダンス調整やビームパターン調整、短縮効果による形状調整を行える構成。
さらにまた、本発明の他の装置内蔵アンテナの設置方法は、アンテナ基板上の切換手段のスイッチを切り換えるステップにより、アンテナビームが所定の方向となるように切換手段のそれぞれが第1切換状態あるいは第2切換状態に設定される装置内蔵アンテナの設置方法であって、アンテナ基板上に、所定の間隔で配列されている複数のエレメントと、該複数のエレメントのそれぞれに給電する給電ラインとが、さらに形成され、切換手段は、切換手段における給電ラインの間に接続可能な遅延ラインを構成する遅延パターンと直接接続パターンとを有すると共に、遅延パターンを給電ラインの間に接続する第1切換状態と、直接接続パターンを給電ラインの間に接続する第2切換状態とのいずれかに切り換えるスイッチとを有していることを主要な特徴としている。
【符号の説明】
【0120】
01 壁面、1,1-1,1-2 看板、10,10-1,10-2 基部、10a,10a-1,10a-2 基枠、10b,10b-1,10b-2 桟部、11,11-1,11-2 蓋部、11-2a 導電体、12,12-1,12-2 基板、12a,12a-1,12a-2 発光素子、12b ケーブル、13 装置内蔵アンテナ、13A~13N 装置内蔵アンテナ、13a 給電ライン、23a 給電ライン、30 アンテナ基板、31 給電点、40L,40C,40R シート、50 アンテナ基板、50C シート、50L,50L,50R シート、51 接続具、51 給電点、103 カバー部材、140 基台、141 配置面、161 配線基板、162 発光素子、163 配線、170 電源部、200 照明器具、241 第2挿通孔、261 第1挿通孔、311 アンテナ部、311a 第1部分、311b 第2部分、360 発光モジュール、EL11~EL14 エレメント、EL21~EL24 エレメント、TB1a,TB2a,TB3a,TB4a 第1タブシート、TB1b,TB2b,TB3b,TB4b 第2タブシート