(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-15
(45)【発行日】2022-07-26
(54)【発明の名称】信号処理装置および方法
(51)【国際特許分類】
H04B 7/06 20060101AFI20220719BHJP
H04B 7/08 20060101ALI20220719BHJP
【FI】
H04B7/06 020
H04B7/08 052C
(21)【出願番号】P 2017044470
(22)【出願日】2017-03-09
【審査請求日】2020-03-02
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121131
【氏名又は名称】西川 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082131
【氏名又は名称】稲本 義雄
(72)【発明者】
【氏名】米山 悠介
【審査官】原田 聖子
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-065254(JP,A)
【文献】特表2009-518929(JP,A)
【文献】特開2003-188794(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/06
H04B 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
他の装置から送信された信号を受信する機能を有しない信号処理装置であって、
複数の信号送信用アンテナのそれぞれについて、信号送信に使用する周波数帯の各チャンネルにおいて受信電力を測定する測定部と、
前記複数の信号送信用アンテナの中から、前記測定部により測定された前記周波数帯の各チャンネルの受信電力の総和が最大の前記信号送信用アンテナを選択する選択部と、
前記選択部により選択された前記信号送信用アンテナを用いて信号を送信する送信部と
を備える信号処理装置。
【請求項2】
前記選択部は、前記周波数帯の全チャンネルの受信電力の総和が最大の前記信号送信用アンテナを選択する
請求項1に記載の信号処理装置。
【請求項3】
前記選択部は、前記周波数帯の一部のチャンネルの受信電力の総和が最大の前記信号送信用アンテナを選択する
請求項1に記載の信号処理装置。
【請求項4】
前記選択部は、前記周波数帯の各チャンネルの受信電力と重み係数の乗算結果の総和が最大の前記信号送信用アンテナを選択する
請求項1に記載の信号処理装置。
【請求項5】
他の装置から送信された信号を受信する機能を有しない信号処理装置が、
複数の信号送信用アンテナのそれぞれについて、信号送信に使用する周波数帯の各チャンネルにおいて受信電力を測定し、
前記複数の信号送信用アンテナの中から、測定された前記周波数帯の各チャンネルの受信電力の総和が最大の前記信号送信用アンテナを選択し、
選択された前記信号送信用アンテナを用いて信号を送信する
信号処理方法
。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、信号処理装置および方法に関し、特に、通信品質の低減を抑制することができるようにした信号処理装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、送信機でデータを高品質に送信するためには、アンテナ特性が良いことが条件として挙げられる。そのため、従来、アンテナを複数搭載し、受信機側と通信をしてアンテナ特性が良いアンテナを選択するアンテナダイバシティが行われていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の方法は、受信した信号処理結果から送信アンテナを選択するため、信号を送受信する装置でなければ適用することができない。そのため、例えば、片方向通信を行う送信装置や受信装置では、このようなアンテナダイバシティを行うことができず、通信品質が低減するおそれがあった。
【0005】
本開示は、このような状況に鑑みてなされたものであり、通信品質の低減を抑制することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本技術の一側面の信号処理装置は、他の装置から送信された信号を受信する機能を有しない信号処理装置であって、複数の信号送信用アンテナのそれぞれについて、信号送信に使用する周波数帯の各チャンネルにおいて受信電力を測定する測定部と、前記複数の信号送信用アンテナの中から、前記測定部により測定された前記周波数帯の各チャンネルの受信電力の総和が最大の前記信号送信用アンテナを選択する選択部と、前記選択部により選択された前記信号送信用アンテナを用いて信号を送信する送信部とを備える信号処理装置である。
【0007】
前記選択部は、前記選択部は、前記周波数帯の全チャンネルの受信電力の総和が最大の前記信号送信用アンテナを選択することができる。
【0008】
前記選択部は、前記周波数帯の一部のチャンネルの受信電力の総和が最大の前記信号送信用アンテナを選択することができる。
【0009】
前記選択部は、前記周波数帯の各チャンネルの受信電力と重み係数の乗算結果の総和が最大の前記信号送信用アンテナを選択することができる。
【0010】
本技術の一側面の信号処理方法は、他の装置から送信された信号を受信する機能を有しない信号処理装置が、複数の信号送信用アンテナのそれぞれについて、信号送信に使用する周波数帯の各チャンネルにおいて受信電力を測定し、前記複数の信号送信用アンテナの中から、測定された前記周波数帯の各チャンネルの受信電力の総和が最大の前記信号送信用アンテナを選択し、選択された前記信号送信用アンテナを用いて信号を送信する信号処理方法である。
【0026】
本技術の一側面の信号処理装置および方法においては、他の装置から送信された信号を受信する機能が備えられず、複数の信号送信用アンテナのそれぞれについて、信号送信に使用する周波数帯の各チャンネルにおいて受信電力が測定され、その複数の信号送信用アンテナの中から、測定された周波数帯の各チャンネルの受信電力の総和が最大の信号送信用アンテナが選択され、その選択された信号送信用アンテナが用いられて信号が送信される。
【発明の効果】
【0030】
本技術によれば、信号を処理することが出来る。また本技術によれば、通信品質の低減を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】位置通知システムの主な構成例を示す図である。
【
図2】アンテナの状態の例を説明するための模式図である。
【
図3】送信装置の主な構成例を示すブロック図である。
【
図4】送信処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【
図5】高感度受信装置の主な構成例を示すブロック図である。
【
図6】受信処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【
図7】送信装置の主な構成例を示すブロック図である。
【
図8】送信処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【
図9】高感度受信装置の主な構成例を示すブロック図である。
【
図10】受信処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【
図11】盗難防止システムの主な構成例を示す図である。
【
図12】コンピュータの主な構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本開示を実施するための形態(以下実施の形態とする)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.位置通知システム
2.第1の実施の形態(送信装置)
3.第2の実施の形態(高感度受信装置)
4.第3の実施の形態(送信装置)
5.第4の実施の形態(高感度受信装置)
6.その他
【0033】
<1.位置通知システム>
<位置通知システム>
図1は、本技術を適用した信号送受信システムの一実施の形態である位置通知システムの主な構成例を示す図である。
図1に示される位置通知システム100は、送信装置101が自身の位置を通知するシステムである。このシステムは、例えば、対象の位置の監視や管理に利用される。
図1に示されるように位置通知システム100は、送信装置101、高感度受信装置102、サーバ104、端末装置105等のデバイスを有する。送信装置101、高感度受信装置102、サーバ104、および端末装置105の数は任意であり、それぞれ、複数であってもよい。
【0034】
送信装置101は、本技術を適用した送信装置の一実施の形態であり、例えば自身を識別する識別情報や自身の位置を示す位置情報等を、無線信号として送信する。高感度受信装置102は、本技術を適用した受信装置の一実施の形態であり、その無線信号を受信して送信装置101の識別情報や位置情報等を取得し、それらを、ネットワーク103を介してサーバ104に供給する。つまり、高感度受信装置102は、送信装置101から送信された情報を中継してサーバ104に伝送する中継局として機能する。サーバ104は、識別情報に位置情報を紐づけして管理することにより、各送信装置101の位置を管理する。送信装置101の位置を知りたいユーザに操作される端末装置105は、ネットワーク103を介してサーバ104にアクセスし、所望の送信装置101の識別情報を供給してその位置情報を要求する。サーバ104は、要求された識別情報に対応する位置情報を端末装置105に供給する。端末装置105は、その位置情報を取得し、例えば地図データ等とともに表示する等して、ユーザに送信装置101の位置を通知する。
【0035】
このような送信装置101を、位置を監視(管理)したい対象により携帯(所持や装着等を含む)させることにより、サーバ104は、間接的にその位置監視(管理)対象の位置を管理することができる。
図1の例では、ユーザが高齢者111を位置監視の対象としており、その高齢者111に送信装置101を携帯させている。上述のように、送信装置101の位置はサーバ104により管理され、端末装置105に提供される。したがって、ユーザは、端末装置105を操作して、その送信装置101を携帯している高齢者111の位置を把握することができる。
【0036】
なお、位置監視対象は、任意である。例えば、子供であってもよいし、犬や猫等の動物であってもよいし、企業の社員等であってもよい。送信装置101は、専用の装置として構成されるようにしてもよいが、例えば、携帯電話機やスマートフォンのような携帯型の情報処理装置に組み込むようにしてもよい。
【0037】
送信装置101の位置情報は、送信装置101の位置を示すものであればどのような情報であってもよく、どのように生成されるようにしてもよい。例えば、送信装置101が、GNSS(Global Navigation Satellite System)衛星からGNSS信号を受信し、そのGNSS信号に基づいて自身の位置情報(例えば、緯度および経度)を求めるようにしてもよい。また、例えば、送信装置101がGNSS以外の専用の位置特定システムを用いて自身の位置を特定するようにしてもよい。
【0038】
さらに、この位置情報は、例えば高感度受信装置102、サーバ104、または別途設けられた専用の情報処理装置(サーバ等)等のような、送信装置101以外の他の装置において生成されるようにしてもよい。例えば、送信装置101が受信したGNSS信号を他の装置に供給し、他の装置がそのGNSS信号から送信装置101の位置情報を求めるようにしてもよい。また、例えば、送信装置101がGNSS以外の専用の位置特定システムを用いて得られた情報を他の装置に供給し、他の装置がその情報に基づいて送信装置101の位置情報を求めるようにしてもよい。
【0039】
また、例えば、他の装置が、送信装置101と高感度受信装置102との通信状況に基づいて送信装置101の位置情報を求めるようにしてもよい。例えば、送信装置101からの信号を受信した高感度受信装置102を特定することにより、送信装置101がその高感度受信装置102の通信可能範囲内に位置することを特定するようにしてもよい。さらに、その高感度受信装置102が受信した受信信号の信号強度や遅延時間等に基づいて、送信装置101のさらに詳細な位置情報を求めるようにしてもよい。また、例えば、送信装置101からの信号を受信した複数の高感度受信装置102の位置情報を用いて三角法等により送信装置101の位置情報を求めるようにしてもよい。
【0040】
高感度受信装置102の設置位置は任意である。例えば、ビル、マンション、家屋等の建造物112の屋根や屋上等でもよい。建造物112は、送信装置101を携帯する位置監視対象(例えば高齢者111)が活動する可能性が高い都市部に数も多く、また、設置も容易であるので、好適である。特に、位置監視対象が人の場合、その位置監視対象の自宅は、その周辺に位置監視対象が位置する可能性がより高く、好適である。また、設置場所の確保という面についても、この位置通知サービス提供事業者が独自に場所を確保して高感度受信装置102を設置する場合よりも、同意を得やすく容易である。
【0041】
なお、高感度受信装置102の設置場所は、この他にも例えば、自動車、バイク、自転車等の移動可能な物体(移動体とも称する)に設置するようにしてもよい。つまり、高感度受信装置102の位置が可変であってもよい。
【0042】
ネットワーク103は、任意の通信網であり、有線通信の通信網であってもよいし、無線通信の通信網であってもよいし、それらの両方により構成されるようにしてもよい。また、ネットワーク103が、1の通信網により構成されるようにしてもよいし、複数の通信網により構成されるようにしてもよい。例えば、インターネット、公衆電話回線網、所謂3G回線や4G回線等の無線移動体用の広域通信網、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)規格に準拠した通信を行う無線通信網、NFC(Near Field Communication)等の近距離無線通信の通信路、赤外線通信の通信路、HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)やUSB(Universal Serial Bus)等の規格に準拠した有線通信の通信網等、任意の通信規格の通信網や通信路がネットワーク103に含まれるようにしてもよい。
【0043】
サーバ104や端末装置105は、情報を処理する情報処理装置である。サーバ104や端末装置105は、ネットワーク103に通信可能に接続されており、このネットワーク103を介してネットワーク103に接続される他の通信装置と通信を行い、情報を授受することができる。
【0044】
サーバ104は、送信装置101の位置を管理する。また、サーバ104は、送信装置101の位置情報の提供を許可するユーザも管理することができる。例えば、サーバ104は、各送信装置101の位置情報を、その送信装置101の位置情報の取得が許可されたユーザに対してのみ提供するようにすることができる。
【0045】
上述のように、送信装置101から提供される情報が高感度受信装置102により中継されてサーバ104に供給されることにより、サーバ104は、送信装置101の位置を管理する。つまり、送信装置101が、いずれかの高感度受信装置102の通信可能範囲内に位置する状態において、サーバ104は、その送信装置101の位置を管理することができる。換言するに、送信装置101の位置が、いずれの高感度受信装置102の通信可能範囲からも外れると、サーバ104は、その位置を管理することができなくなる。したがって、高感度受信装置102の送信装置101との通信可能範囲網がより広範囲になる程、サーバ104は、送信装置101の位置をより正確に管理することができる。
【0046】
ここで、より正確な管理とは、より広範囲において送信装置101の位置を管理する(つまり、送信装置101の位置の管理が不可能な領域を少なくする)ことを意味する。送信装置101の位置を管理可能な範囲をより広範囲とするためには、送信装置101と高感度受信装置102とがより遠くまで無線信号を送受信することができる程(各高感度受信装置102の通信可能範囲がより広い程)好ましい。送信装置101と高感度受信装置102との間の無線信号の送受信の方法は任意であり、どのような通信規格に準拠するようにしてもよいが、例えば、925MHzを含む周波数帯(920MHz帯とも称する)を用いて、長距離の通信が可能な方法で行われるようにしてもよい。
【0047】
例えば、送信装置101が無線信号を送信する時刻や周波数が既知(高感度受信装置102が知っている)であれば、高感度受信装置102は、その既知の時刻および周波数において無線信号の検出を行えば良いので、検出がより容易になる。したがって、受信感度を向上させることができる。つまり、高感度受信装置102の通信可能範囲をより拡大させることができる。
【0048】
<アンテナダイバシティ>
また、送信側においてもより高品質にデータを送信することで、受信側の受信感度を向上させることができる。一般的に、送信側でデータを高品質に送信するためには、アンテナ特性が良いことが条件として挙げられる。例えば、
図1の例のように、送信装置101が高齢者111により携帯される場合、送信装置101は、
図2Aに示されるモデルのように、人体(高齢者111)の近傍で信号を送信する可能性がある。その場合の送信装置101のアンテナの放射特性の平面図を
図2Bに示し、立体図を
図2Cに示す。
図2Bや
図2Cに示されるように、この場合、電波は人体(高齢者111)側に略放射されない。つまり、アンテナが人体の近傍に位置する場合、電波の動作利得が低減する。
【0049】
そのため、例えば特許文献1に記載のように、アンテナの特性、位置、姿勢等が互いに異なるアンテナを複数搭載し、一番性能の良いアンテナを選択するアンテナダイバシティが行われていた。一番性能が良いというのは、単純に信号レベルであったり、CNR(Carrier to Noise Ratio)であったり、受信の可否であったり、判断基準はさまざまある。
【0050】
しかしながら、位置通知システム100の場合、送信装置101から高感度受信装置102への片方向通信のため、高感度受信装置102から送信装置101に対して、信号レベルやCNR、受信の可否といった情報を送信することができない。そのため送信装置101は、受信情報を元にした送信アンテナを選択することができない。そのため、このようなアンテナダイバシティを行うことができず、通信品質が低減するおそれがあった。
【0051】
<2.第1の実施の形態>
<キャリアセンスによる送信側のアンテナダイバシティ>
そこで、複数のアンテナのそれぞれの送信に使用する周波数帯の全チャンネルの受信電力に基づいて、その複数のアンテナ中から送信に使用するアンテナを選択し、選択されたアンテナを用いて信号を送信するようにしてもよい。周囲の電波のレベルが強いということは、アンテナのインピーダンスがマッチングしており、送信時も出力レベルが強いということを示している。つまり、このように受信電力に基づいてより好ましいアンテナを選択することにより、送信装置101は、通信相手から送信された信号を受信することなしに、より高品質にデータの送信を行うことができるので、通信品質の低減を抑制することができる。
【0052】
<送信装置の構成>
図3は、送信装置101の主な構成例を示すブロック図である。
図3に示されるように、送信装置101は、制御部151、アンテナ161-1、アンテナ161-2、アンテナ選択部162、処理選択部163、キャリアセンス部164、および送信部165を有する。
【0053】
制御部151は、送信装置101の各処理部を制御し、信号送信に関する処理、キャリアセンスに関する処理、アンテナダイバシティに関する処理等の制御に関する処理を行う。アンテナ161-1およびアンテナ161-2は、送信装置101に設けられた複数のアンテナである。アンテナ161-1およびアンテナ161-2を互いに区別して説明する必要がない場合、アンテナ161と称する。
図3においては、2つのアンテナ161が設けられるように示されているが、アンテナ161の数は任意である。アンテナ161は、例えば、信号の送信やキャリアセンスに用いられる。
【0054】
アンテナ選択部162は、信号の送信やキャリアセンスに使用するアンテナ161の選択に関する処理を行う。例えば、アンテナ選択部162は、制御部151に制御されて、アンテナ161-1およびアンテナ161-2のいずれか一方を選択する。そして、アンテナ選択部162は、処理選択部163から供給される送信信号を、選択したアンテナ161に供給する。つまり、送信信号は、アンテナ選択部162により選択されたアンテナ161を介して送信される。また、例えば、キャリアセンス時において、アンテナ選択部162は、選択したアンテナ161を介して受信された信号を処理選択部163に供給する。つまり、キャリアセンス時において、アンテナ選択部162により選択されたアンテナを介して受信された受信電力は、処理選択部163に供給される。
【0055】
処理選択部163は、実行する処理の選択に関する処理を行う。例えば、処理選択部163は、制御部151に制御されて、キャリアセンス部164および送信部165のいずれか一方を選択する。例えば、信号を送信する場合、処理選択部163は、送信部165を選択する。そして、処理選択部163は、その送信部165から供給される信号をアンテナ選択部162に供給する。また、例えば、キャリアセンスを行う場合、処理選択部163は、キャリアセンス部164を選択する。そして、処理選択部163は、アンテナ選択部162から供給される受信電力をそのキャリアセンス部164に供給する。つまり、処理選択部163により選択された処理部が、アンテナ選択部162により選択されたアンテナ161に接続される。
【0056】
キャリアセンス部164は、キャリアセンスに関する処理を行う。例えば、キャリアセンス部164は、制御部151に制御されて、信号送信に使用する周波数帯の各チャンネルにおいて受信電力の測定を行う。送信部165は、信号送信に関する処理を行う。例えば、送信部165は、制御部151に制御されて、送信する信号(送信信号)を生成し、それを、処理選択部163、アンテナ選択部162、および、アンテナ選択部162により選択されたアンテナ161を介して、無線信号として送信する。
【0057】
このような送信装置101において、制御部151は、キャリアセンス部164等を制御し、信号送信に利用する周波数帯をキャリアスキャンさせ、各チャンネルの受信電力を測定させる。制御部151は、このようなキャリアスキャンを各アンテナ161について行わせる。そして、制御部151は、各アンテナの測定結果(各チャンネルの受信電力)に基づいて、アンテナ選択部162を制御してアンテナ161を選択させる。つまり、アンテナ選択部162は、信号送信に利用する周波数帯の受信電力に基づいて信号送信に使用するアンテナを選択する。そして、制御部151は、処理選択部163を制御して送信部165を選択させ、送信部165を制御して送信信号を生成させ、それを、アンテナ選択部162により選択されたアンテナ161を介して送信させる。つまり、送信部165は、アンテナ選択部162により選択されたアンテナ161を介して信号を送信する。
【0058】
このようにすることにより、受信電力に応じて選択されたアンテナを利用して信号送信を行うことができるので、送信装置101は、通信相手から送信された信号を受信することなしに、性能のより良いアンテナを用いて信号送信を行うことができる。したがって、信号受信機能を有していない送信装置101であっても、データをより高品質に送信することができ、通信品質の低減を抑制することができる。
【0059】
なお、制御部151が、各アンテナの測定結果(各チャンネルの受信電力)の積算値(全チャンネル分の受信電力の総和)に基づいてアンテナ選択部162を制御してアンテナ161を選択させるようにしてもよい。つまり、アンテナ選択部162が、信号送信に使用する周波数帯の各チャンネルの受信電力の総和の大きさに基づいてアンテナを選択するようにしてもよい。このようにすることにより、特性がより良いアンテナ161を選択させることができるので、送信装置101は、データをより高品質に送信することができ、通信品質の低減を抑制することができる。
【0060】
なお、制御部151が、その積算値(全チャンネル分の受信電力の総和)を算出するようにしてもよい。送信装置101の各処理部を制御する制御部151において、積算値を算出することにより、より容易に積算値を算出し、その算出した積算値を利用することができる。
【0061】
また、例えば、制御部151が、アンテナ選択部162を制御して受信電力の総和が最大のアンテナ161を選択させるようにしてもよい。つまり、アンテナ選択部162が、受信電力の総和が最大のアンテナ161を選択するようにしてもよい。このようにすることにより、特性が最良のアンテナ161を選択させることができるので、送信装置101は、データをより高品質に送信することができ、通信品質の低減を抑制することができる。
【0062】
<送信処理の流れ>
図4のフローチャートを参照して、送信装置101により実行される送信処理の流れの例を説明する。送信処理が開始されると、処理選択部163は、ステップS101において、制御部151に制御されて、アンテナ161への接続をキャリアセンス側に切り替える。つまり、処理選択部163は、キャリアセンス部164をアンテナ選択部162に接続させる。
【0063】
ステップS102において、アンテナ選択部162は、制御部151に制御されて、使用するアンテナ161を選択する。つまり、アンテナ選択部162は、アンテナ161-1またはアンテナ161-2を処理選択部163に接続する。これにより、キャリアセンス部164がアンテナ161-1またはアンテナ161-2に接続される。
【0064】
ステップS103において、キャリアセンス部164は、制御部151に制御されて、信号送信に使用する周波数帯の複数のチャンネルの中から、処理対象とするチャンネルを選択する。ステップS104において、キャリアセンス部164は、制御部151に制御されて、処理対象チャンネルの受信電力を測定する。制御部151は、キャリアセンス部164が測定した受信電力を取得し、積算する。つまり、制御部151は、各チャンネルの受信電力を積算する。
【0065】
ステップS105において、制御部151は、全てのチャンネルについて処理したか否かを判定する。未処理のチャンネルが存在すると判定された場合、処理はステップS103に戻る。つまり、ステップS103乃至ステップS105の各処理が各チャンネルについて実行される。そして、ステップS105において、信号送信に使用する周波数帯の全てのチャンネルについて受信電力を測定し積算したと判定された場合、処理はステップS106に進む。
【0066】
ステップS106において、制御部151は、全てのアンテナ161について処理したか否かを判定する。未処理のアンテナ161が存在すると判定された場合、処理はステップS102に戻る。ステップS102において未処理のアンテナが選択され、そのアンテナについて、ステップS103乃至ステップS105の処理が実行される。つまり、ステップS102乃至ステップS106の各処理が各アンテナについて実行される。そして、ステップS106において、全てのアンテナについて処理が行われたと判定された場合、処理はステップS107に進む。
【0067】
ステップS107において、アンテナ選択部162は、制御部151に制御されて、制御部151により算出された受信電力の総和が最大のアンテナ161を選択する。つまり、アンテナ選択部162は、アンテナ161-1およびアンテナ161-2の内、受信電力が大きい方を処理選択部163に接続する。
【0068】
ステップS108において、処理選択部163は、制御部151に制御されて、アンテナ161への接続を送信側に切り替える。つまり、処理選択部163は、送信部165をアンテナ選択部162に接続させる。これにより、送信部165と、アンテナ161-1およびアンテナ161-2の内の受信電力が大きい方とが接続される。
【0069】
ステップS109において、送信部165は、制御部151に制御されて送信を行う。つまり、送信部165は、送信信号を生成し、その送信信号を、アンテナ選択部162により選択されたアンテナ161を介して送信する。信号送信が終了すると、送信処理が終了する。
【0070】
以上のように各処理を実行することにより、送信装置101は、受信電力がより大きなアンテナを用いて信号送信を行うことができる。受信電力が大きいということはアンテナのインピーダンスが50Ωによりマッチングしており、アンテナの性能が良好であることを示している。つまり、送信装置101は、通信相手から送信された信号を受信することなしに、性能がより良好なアンテナを選択することができる。したがって、例えば、アンテナの位置が人体近傍に位置したり、アンテナ自体が故障していたりするような状況であっても、送信装置101は、複数のアンテナを切り替えてより高品質にデータ送信を行うことができる。このように、本技術を適用することにより、信号受信機能を有していない送信装置101であっても、受信側におけるデータ受信成功率を向上させるようにデータ送信を行うことができる。つまり、通信品質の低減を抑制することができる。
【0071】
なお、アンテナ選択に利用する受信電力は、信号送信に使用する周波数帯の全チャンネルのものでなくてもよい。例えば、一部のチャンネルの受信電力(の積算値)に基づいてアンテナ選択が行われるようにしてもよい。
【0072】
また、アンテナ選択は受信電力に基づいて行われればよく、アンテナ間で比較される受信電力に関するパラメータは任意である。例えば、各チャンネルの受信電力に重み係数が乗算され、その重み係数が乗算された受信電力の積算値が比較されるようにしてもよい。また、例えば、受信電力の積算値の代わりに、受信電力の最大値、平均値、または中央値等が比較されるようにしてもよい。なお、比較するパラメータの値が最大でないアンテナが選択されるようにしてもよい。
【0073】
<3.第2の実施の形態>
<キャリアセンスによる受信側のアンテナダイバシティ>
なお、受信側において本技術を適用するようにしてもよい。つまり、複数のアンテナのそれぞれの受信に使用する周波数帯の全チャンネルの受信電力に基づいて、その複数のアンテナ中から受信に使用するアンテナを選択し、選択されたアンテナを用いて信号を受信するようにしてもよい。周囲の電波のレベルが強いということは、アンテナのインピーダンスがマッチングしており、受信時も出力レベルが強いということを示している。つまり、このように受信電力に基づいてより好ましいアンテナを選択することにより、高感度受信装置102は、データ受信をより高感度に行うことができるので、通信品質の低減を抑制することができる。なお、この場合、高感度受信装置102は、通信相手(送信装置101)から送信された信号を受信することなしにアンテナを選択することができるので、通信相手からの信号を待たずに(すなわちより高速に)アンテナを選択することができる。つまり、より高速に通信品質の低減を抑制することができる。
【0074】
<受信装置の構成>
図5は、高感度受信装置102の主な構成例を示すブロック図である。
図5に示されるように、高感度受信装置102は、制御部201、アンテナ211-1、アンテナ211-2、アンテナ選択部212、処理選択部213、キャリアセンス部214、および受信部215を有する。
【0075】
制御部201は、高感度受信装置102の各処理部を制御し、信号受信に関する処理、キャリアセンスに関する処理、アンテナダイバシティに関する処理等の制御に関する処理を行う。アンテナ211-1およびアンテナ211-2は、高感度受信装置102に設けられた複数のアンテナである。アンテナ211-1およびアンテナ211-2を互いに区別して説明する必要がない場合、アンテナ211と称する。
図5においては、2つのアンテナ211が設けられるように示されているが、アンテナ211の数は任意である。アンテナ211は、例えば、信号の受信やキャリアセンスに用いられる。
【0076】
アンテナ選択部212は、信号の受信やキャリアセンスに使用するアンテナ211の選択に関する処理を行う。例えば、アンテナ選択部212は、制御部201に制御されて、アンテナ211-1およびアンテナ211-2のいずれか一方を選択する。そして、アンテナ選択部212は、選択したアンテナ211を介して受信された受信信号を処理選択部213に供給する。
【0077】
処理選択部213は、実行する処理の選択に関する処理を行う。例えば、処理選択部213は、制御部201に制御されて、キャリアセンス部214および受信部215のいずれか一方を選択する。例えば、信号を受信する場合、処理選択部213は、受信部215を選択する。そして、処理選択部213は、アンテナ選択部212から供給される受信信号をその受信部215に供給する。また、例えば、キャリアセンスを行う場合、処理選択部213は、キャリアセンス部214を選択する。そして、処理選択部213は、アンテナ選択部212から供給される受信電力をそのキャリアセンス部214に供給する。つまり、処理選択部213により選択された処理部が、アンテナ選択部212により選択されたアンテナ211に接続される。
【0078】
キャリアセンス部214は、キャリアセンスに関する処理を行う。例えば、キャリアセンス部214は、制御部201に制御されて、信号受信に使用する周波数帯の各チャンネルにおいて受信電力の測定を行う。受信部215は、信号受信に関する処理を行う。例えば、受信部215は、制御部201に制御されて、アンテナ選択部212により選択されたアンテナ211を介して受信され、アンテナ選択部212および処理選択部213を介して供給された受信信号に対して復調等の所定の処理を行い、送信装置101から送信されたデータ(例えば識別情報や位置情報等)を取得する。
【0079】
このような高感度受信装置102において、制御部201は、キャリアセンス部214等を制御し、信号受信に利用する周波数帯をキャリアスキャンさせ、各チャンネルの受信電力を測定させる。制御部201は、このようなキャリアスキャンを各アンテナ211について行わせる。そして、制御部201は、各アンテナの測定結果(各チャンネルの受信電力)に基づいて、アンテナ選択部212を制御してアンテナ211を選択させる。つまり、アンテナ選択部212は、信号受信に利用する周波数帯の受信電力に基づいて信号受信に使用するアンテナを選択する。そして、制御部201は、処理選択部213を制御して受信部215を選択させ、その受信部215を制御して、アンテナ211を介して受信された受信信号に対する復調等の処理を実行させる。つまり、受信部215は、アンテナ選択部212により選択されたアンテナ211を介して信号を受信する。
【0080】
このようにすることにより、受信電力に応じて選択されたアンテナを利用して信号受信を行うことができるので、高感度受信装置102は、性能のより良いアンテナを用いて信号受信を行うことができる。したがって、高感度受信装置102は、データ受信をより高感度に行うことができ、通信品質の低減を抑制することができる。なお、高感度受信装置102は、通信相手(送信装置101)から送信された信号を受信することなしにアンテナを選択することができるので、通信相手からの信号を待たずに(すなわちより高速に)アンテナを選択することができる。つまり、より高速に通信品質の低減を抑制することができる。
【0081】
なお、制御部201が、各アンテナの測定結果(各チャンネルの受信電力)の積算値(全チャンネル分の受信電力の総和)に基づいてアンテナ選択部212を制御してアンテナ211を選択させるようにしてもよい。つまり、アンテナ選択部212が、信号受信に使用する周波数帯の各チャンネルの受信電力の総和の大きさに基づいてアンテナを選択するようにしてもよい。このようにすることにより、特性がより良いアンテナ211を選択させることができるので、高感度受信装置102は、データ受信をより高感度に行うことができ、通信品質の低減を抑制することができる。
【0082】
なお、制御部201が、その積算値(全チャンネル分の受信電力の総和)を算出するようにしてもよい。高感度受信装置102の各処理部を制御する制御部201において、積算値を算出することにより、より容易に積算値を算出し、その算出した積算値を利用することができる。
【0083】
また、例えば、制御部201が、アンテナ選択部212を制御して受信電力の総和が最大のアンテナ211を選択させるようにしてもよい。つまり、アンテナ選択部212が、受信電力の総和が最大のアンテナ211を選択するようにしてもよい。このようにすることにより、特性が最良のアンテナ211を選択させることができるので、高感度受信装置102は、データ受信をより高感度に行うことができ、通信品質の低減を抑制することができる。
【0084】
<受信処理の流れ>
図6のフローチャートを参照して、高感度受信装置102により実行される受信処理の流れの例を説明する。受信処理が開始されると、処理選択部213は、ステップS131において、制御部201に制御されて、アンテナ211への接続をキャリアセンス側に切り替える。つまり、処理選択部213は、キャリアセンス部214をアンテナ選択部212に接続させる。
【0085】
ステップS132において、アンテナ選択部212は、制御部201に制御されて、使用するアンテナ211を選択する。つまり、アンテナ選択部212は、アンテナ211-1またはアンテナ211-2を処理選択部213に接続する。これにより、キャリアセンス部214がアンテナ211-1またはアンテナ211-2に接続される。
【0086】
ステップS133において、キャリアセンス部214は、制御部201に制御されて、信号受信に使用する周波数帯の複数のチャンネルの中から、処理対象とするチャンネルを選択する。ステップS134において、キャリアセンス部214は、制御部201に制御されて、処理対象チャンネルの受信電力を測定する。制御部201は、キャリアセンス部214が測定した受信電力を取得し、積算する。つまり、制御部201は、各チャンネルの受信電力を積算する。
【0087】
ステップS135において、制御部201は、全てのチャンネルについて処理したか否かを判定する。未処理のチャンネルが存在すると判定された場合、処理はステップS133に戻る。つまり、ステップS133乃至ステップS135の各処理が各チャンネルについて実行される。そして、ステップS135において、信号受信に使用する周波数帯の全てのチャンネルについて受信電力を測定し積算したと判定された場合、処理はステップS136に進む。
【0088】
ステップS136において、制御部201は、全てのアンテナ211について処理したか否かを判定する。未処理のアンテナ211が存在すると判定された場合、処理はステップS132に戻る。ステップS132において未処理のアンテナが選択され、そのアンテナについて、ステップS133乃至ステップS135の処理が実行される。つまり、ステップS132乃至ステップS136の各処理が各アンテナについて実行される。そして、ステップS136において、全てのアンテナについて処理が行われたと判定された場合、処理はステップS137に進む。
【0089】
ステップS137において、アンテナ選択部212は、制御部201に制御されて、制御部201により算出された受信電力の総和が最大のアンテナ211を選択する。つまり、アンテナ選択部212は、アンテナ211-1およびアンテナ211-2の内、受信電力が大きい方を処理選択部213に接続する。
【0090】
ステップS138において、処理選択部213は、制御部201に制御されて、アンテナ211への接続を受信側に切り替える。つまり、処理選択部213は、受信部215をアンテナ選択部212に接続させる。これにより、受信部215と、アンテナ211-1およびアンテナ211-2の内の受信電力が大きい方とが接続される。
【0091】
ステップS139において、受信部215は、制御部201に制御されて受信を行う。つまり、受信部215は、アンテナ選択部212により選択されたアンテナ211を介して信号を受信し、その受信信号をアンテナ選択部212および処理選択部213を介して取得し、その取得した受信信号に対して、復調等の所定の処理を施して、送信装置101より供給されたデータを取得する。信号受信が終了すると、受信処理が終了する。
【0092】
以上のように各処理を実行することにより、高感度受信装置102は、受信電力がより大きなアンテナを用いて信号受信を行うことができる。受信電力が大きいということはアンテナのインピーダンスが50Ωによりマッチングしており、アンテナの性能が良好であることを示している。つまり、高感度受信装置102は、性能がより良好なアンテナを選択することができる。したがって、例えば、アンテナの位置が人体近傍に位置したり、アンテナ自体が故障していたりするような状況であっても、高感度受信装置102は、複数のアンテナを切り替えてデータ受信をより高感度に行うことができる。つまり、高感度受信装置102は、データ受信成功率を向上させることができ、通信品質の低減を抑制することができる。
【0093】
なお、高感度受信装置102は、通信相手(送信装置101)から送信された信号を受信することなしにアンテナを選択することができるので、通信相手からの信号を待たずに(すなわちより高速に)アンテナを選択することができる。つまり、より高速に通信品質の低減を抑制することができる。
【0094】
なお、アンテナ選択に利用する受信電力は、信号受信に使用する周波数帯の全チャンネルのものでなくてもよい。例えば、一部のチャンネルの受信電力(の積算値)に基づいてアンテナ選択が行われるようにしてもよい。
【0095】
また、アンテナ選択は受信電力に基づいて行われればよく、アンテナ間で比較される受信電力に関するパラメータは任意である。例えば、各チャンネルの受信電力に重み係数が乗算され、その重み係数が乗算された受信電力の積算値が比較されるようにしてもよい。また、例えば、受信電力の積算値の代わりに、受信電力の最大値、平均値、または中央値等が比較されるようにしてもよい。なお、比較するパラメータの値が最大でないアンテナが選択されるようにしてもよい。
【0096】
<4.第3の実施の形態>
<筐体姿勢による受信側のアンテナダイバシティ>
以上においては、キャリアセンスにより測定した受信電力に基づいてアンテナ選択を行うように説明したが、通信相手から送信された信号を受信することなしに得られる情報であれば、どのような情報に基づいてアンテナ選択を行うようにしてもよい。例えば、送信装置101について、送信装置101の筐体の姿勢に基づいて複数のアンテナ中から送信に使用するアンテナを選択し、その選択されたアンテナを用いて信号を送信するようにしてもよい。
【0097】
例えば、
図2を参照して説明したように、送信装置101が人体(例えば高齢者111)の近傍で使用される場合、より人体に近いアンテナの方が動作利得の低減が大きい。したがって、人体からより遠いアンテナ(より空間側のアンテナ)を選択することにより、通信品質の低減を抑制することができる。また、例えば、送信装置101を地面等に設置する場合も同様であり、地面側のアンテナの方が動作利得の低減が大きい。したがって、地面からより遠いアンテナ(より空間側のアンテナ)を選択することにより、通信品質の低減を抑制することができる。
【0098】
このように、電波の放射パタンが、送信装置101の筐体の姿勢(周辺の物体との関係)によって決定する場合は少なくない。そして、一般的に、各アンテナの送信装置101における位置は固定的であり、既知である。したがって、送信装置101の筐体の姿勢(周辺の物体との関係)に基づいて、信号送信に用いるアンテナを選択することにより、性能のより良いアンテナを選択することができる。したがって、信号受信機能を有していない送信装置101であっても、データをより高品質に送信することができ、通信品質の低減を抑制することができる。
【0099】
<送信装置の構成>
図7は、その場合の送信装置101の主な構成例を示すブロック図である。
図7に示される例の場合、送信装置101は、
図3の場合の構成に加え、3軸電子コンパス251を有する。
【0100】
3軸電子コンパス251は、空間における送信装置101の筐体の向きを計測する。つまり、3軸電子コンパス251は、空間における送信装置101の筐体の姿勢を検出する姿勢検出部として機能する。3軸電子コンパス251は、計測した送信装置101の筐体の姿勢(向き)を示す情報を制御部151に供給する。
【0101】
制御部151は、3軸電子コンパス251より供給された情報、すなわち、送信装置101の筐体の姿勢に基づいて、アンテナ選択部162を制御してアンテナ161を選択させる。つまり、アンテナ選択部162は、送信装置101の筐体の姿勢に基づいて信号送信に使用するアンテナを選択する。そして、制御部151は、処理選択部163を制御して送信部165を選択させ、送信部165を制御して送信信号を生成させ、それを、アンテナ選択部162により選択されたアンテナ161を介して送信させる。つまり、送信部165は、アンテナ選択部162により選択されたアンテナ161を介して信号を送信する。
【0102】
このようにすることにより、送信装置101の筐体の姿勢に応じて選択されたアンテナを利用して信号送信を行うことができるので、送信装置101は、通信相手から送信された信号を受信することなしに、性能のより良いアンテナを用いて信号送信を行うことができる。したがって、信号受信機能を有していない送信装置101であっても、データをより高品質に送信することができ、通信品質の低減を抑制することができる。
【0103】
なお、アンテナ選択部162が、送信装置101の筐体の姿勢に基づいて、空間側に配置されるアンテナを選択するようにしてもよい。なお、ここで「空間」とは、他の物体等が存在しない状態を示す。一般的に、周囲に他の物体が存在しない場合の方がアンテナの特性は向上する。したがって、このようにすることにより、送信装置101は、性能のより良いアンテナを用いて信号送信を行うことができる。
【0104】
例えば、送信装置101の周辺の状況(近傍の物体の存在等)が既知である場合は、その状況に対する送信装置101の筐体の姿勢に基づいて、アンテナが選択されるようにすればよい。例えば、高齢者111が送信装置101を携帯している状態において、送信装置101からみて所定の方向に人体(高齢者111)が位置することが明らかである場合、送信装置101の筐体の姿勢に基づいて、人体と逆の方向のアンテナを選択することにより、空間側に配置されるアンテナを選択することができる。
【0105】
また、例えば、送信装置101の周辺の状況が未知である場合は、送信装置101の筐体の上側(空側、地面の反対側)のアンテナが選択されるようにしてもよい。一般的に、送信装置101の筐体の下側には地面が存在するため、上側よりも空間が狭く、電波の放射効率が低減する場合が多い。したがって、送信装置101の筐体の姿勢に基づいて、送信装置101の筐体の上側のアンテナを選択するようにすることにより、性能のより良いアンテナを選択する可能性が高くなり、通信品質の低減を抑制することができる。
【0106】
なお、姿勢検出部は、例えば加速度センサにより検出するようにしてもよい。3軸電子コンパス以外であってもよい。また、他の装置により検出するようにしてもよい。例えば、撮像装置によって送信装置101を撮像し、その撮像画像に基づいて送信装置101の筐体の姿勢を検出するようにしてもよい。また、複数の方法により送信装置101の筐体の姿勢を検出するようにしてもよい。つまり、送信装置101の筐体の姿勢の検出方法は任意である。
【0107】
<送信処理の流れ>
図8のフローチャートを参照して、送信装置101により実行される送信処理の流れの例を説明する。送信処理が開始されると、3軸電子コンパス251は、制御部151に制御されて、ステップS161において、送信装置101の筐体の姿勢を検出する。制御部151は、その情報を取得し、送信装置101の筐体の姿勢を把握する。
【0108】
ステップS162において、アンテナ選択部162は、制御部151に制御されて、ステップS161において検出された送信装置101の筐体の姿勢に応じて、アンテナ161-1およびアンテナ161-2の内、性能の良い方を選択する。
【0109】
ステップS163において、処理選択部163は、制御部151に制御されて、アンテナ161への接続をキャリアセンス側に切り替える。つまり、処理選択部163は、キャリアセンス部164をアンテナ選択部162に接続させる。
【0110】
ステップS164において、キャリアセンス部164は、制御部151に制御されて、キャリアセンスを行い、信号送信に使用する周波数帯が空いているか否かを確認する。
【0111】
周波数帯が空いていることが確認されると、ステップS165において、処理選択部163は、制御部151に制御されて、アンテナ161への接続を送信側に切り替える。つまり、処理選択部163は、送信部165をアンテナ選択部162に接続させる。これにより、送信部165と、アンテナ161-1およびアンテナ161-2の内のステップS162において選択された方とが接続される。
【0112】
ステップS166において、送信部165は、制御部151に制御されて送信を行う。つまり、送信部165は、送信信号を生成し、その送信信号を、アンテナ選択部162により選択されたアンテナ161を介して送信する。信号送信が終了すると、送信処理が終了する。
【0113】
以上のように各処理を実行することにより、送信装置101は、送信装置101の筐体の姿勢に応じたアンテナを用いて信号送信を行うことができる。つまり、送信装置101は、通信相手から送信された信号を受信することなしに、性能がより良好なアンテナを選択することができる。したがって、例えば、アンテナの位置が人体近傍に位置するような状況であっても、送信装置101は、複数のアンテナを切り替えてより高品質にデータ送信を行うことができる。このように、本技術を適用することにより、信号受信機能を有していない送信装置101であっても、受信側におけるデータ受信成功率を向上させるようにデータ送信を行うことができる。つまり、通信品質の低減を抑制することができる。
【0114】
なお、姿勢検出およびアンテナ選択のタイミングは任意である。上述のようにキャリアセンスを行う前に行われるようにしてもよいし、キャリアセンスや信号送信と並行して常時行われるようにしてもよいし、所定の時刻に行われるようにしてもよいし、所定の時間間隔で定期的に繰り返し行われるようにしてもよいし、不定期に繰り返し行われるようにしてもよい。
【0115】
<5.第4の実施の形態>
<筐体姿勢による受信側のアンテナダイバシティ>
なお、受信側において本技術を適用するようにしてもよい。つまり、筐体の姿勢に基づいて複数のアンテナ中から受信に使用するアンテナを選択し、選択されたアンテナを用いて信号を受信するようにしてもよい。例えば、高感度受信装置102について、高感度受信装置102の筐体の姿勢に基づいて複数のアンテナ中から受信に使用するアンテナを選択し、その選択されたアンテナを用いて信号を受信するようにしてもよい。
【0116】
例えば、
図2を参照して説明したように、高感度受信装置102が何らかの物体(例えば、建造物112)の近傍で使用される場合、より物体に近いアンテナの方が動作利得の低減が大きい。したがって、物体からより遠いアンテナ(より空間側のアンテナ)を選択することにより、通信品質の低減を抑制することができる。また、例えば、高感度受信装置102を地面等に設置する場合も同様であり、地面側のアンテナの方が動作利得の低減が大きい。したがって、地面からより遠いアンテナ(より空間側のアンテナ)を選択することにより、通信品質の低減を抑制することができる。
【0117】
このように、電波の放射パタンが、高感度受信装置102の筐体の姿勢(周辺の物体との関係)によって決定する場合は少なくない。そして、一般的に、各アンテナの高感度受信装置102における位置は固定的であり、既知である。したがって、高感度受信装置102の筐体の姿勢(周辺の物体との関係)に基づいて、信号受信に用いるアンテナを選択することにより、高感度受信装置102は、データ受信をより高感度に行うことができるので、通信品質の低減を抑制することができる。なお、この場合、高感度受信装置102は、通信相手(送信装置101)から送信された信号を受信することなしにアンテナを選択することができるので、通信相手からの信号を待たずに(すなわちより高速に)アンテナを選択することができる。つまり、より高速に通信品質の低減を抑制することができる。
【0118】
<受信装置の構成>
図9は、その場合の高感度受信装置102の主な構成例を示すブロック図である。
図9に示される例の場合、高感度受信装置102は、
図5の場合の構成に加え、3軸電子コンパス281を有する。
【0119】
3軸電子コンパス281は、3軸電子コンパス251と同様の処理部であり、空間における高感度受信装置102の筐体の向きを計測する。つまり、3軸電子コンパス281は、空間における高感度受信装置102の筐体の姿勢を検出する姿勢検出部として機能する。3軸電子コンパス281は、計測した高感度受信装置102の筐体の姿勢(向き)を示す情報を制御部201に供給する。
【0120】
制御部201は、3軸電子コンパス281より供給された情報、すなわち、高感度受信装置102の筐体の姿勢に基づいて、アンテナ選択部212を制御してアンテナ211を選択させる。つまり、アンテナ選択部212は、高感度受信装置102の筐体の姿勢に基づいて信号受信に使用するアンテナを選択する。そして、制御部201は、処理選択部213を制御して受信部215を選択させ、その受信部215を制御して、アンテナ211を介して受信された受信信号に対する復調等の処理を実行させる。つまり、受信部215は、アンテナ選択部212により選択されたアンテナ211を介して信号を受信する。
【0121】
このようにすることにより、高感度受信装置102の筐体の姿勢に応じて選択されたアンテナを利用して信号受信を行うことができるので、高感度受信装置102は、性能のより良いアンテナを用いて信号受信を行うことができる。したがって、高感度受信装置102は、データ受信をより高感度に行うことができ、通信品質の低減を抑制することができる。なお、高感度受信装置102は、通信相手(送信装置101)から送信された信号を受信することなしにアンテナを選択することができるので、通信相手からの信号を待たずに(すなわちより高速に)アンテナを選択することができる。つまり、より高速に通信品質の低減を抑制することができる。
【0122】
なお、アンテナ選択部212が、高感度受信装置102の筐体の姿勢に基づいて、空間側に配置されるアンテナを選択するようにしてもよい。一般的に、周囲に他の物体が存在しない場合の方がアンテナの特性は向上する。したがって、このようにすることにより、高感度受信装置102は、性能のより良いアンテナを用いて信号受信を行うことができる。
【0123】
例えば、高感度受信装置102の周辺の状況(近傍の物体の存在等)が既知である場合は、その状況に対する高感度受信装置102の筐体の姿勢に基づいて、アンテナが選択されるようにすればよい。例えば、高感度受信装置102が建造物112に設置されている状態において、高感度受信装置102からみて所定の方向に建造物112の屋根や壁等が位置することが明らかである場合、高感度受信装置102の筐体の姿勢に基づいて、建造物112と逆の方向のアンテナを選択することにより、空間側に配置されるアンテナを選択することができる。
【0124】
また、例えば、高感度受信装置102の周辺の状況が未知である場合は、高感度受信装置102の筐体の上側(空側、地面の反対側)のアンテナが選択されるようにしてもよい。一般的に、高感度受信装置102の筐体の下側には地面が存在するため、上側よりも空間が狭く、電波の放射効率が低減する場合が多い。したがって、高感度受信装置102の筐体の姿勢に基づいて、高感度受信装置102の筐体の上側のアンテナを選択するようにすることにより、性能のより良いアンテナを選択する可能性が高くなり、通信品質の低減を抑制することができる。
【0125】
なお、姿勢検出部は、例えば加速度センサにより検出するようにしてもよい。3軸電子コンパス以外であってもよい。また、他の装置により検出するようにしてもよい。例えば、撮像装置によって高感度受信装置102を撮像し、その撮像画像に基づいて高感度受信装置102の筐体の姿勢を検出するようにしてもよい。また、複数の方法により高感度受信装置102の筐体の姿勢を検出するようにしてもよい。つまり、高感度受信装置102の筐体の姿勢の検出方法は任意である。
【0126】
<受信処理の流れ>
図10のフローチャートを参照して、この場合の高感度受信装置102により実行される受信処理の流れの例を説明する。受信処理が開始されると、3軸電子コンパス281は、制御部201に制御されて、ステップS191において、高感度受信装置102の筐体の姿勢を検出する。制御部201は、その情報を取得し、高感度受信装置102の筐体の姿勢を把握する。
【0127】
ステップS192において、アンテナ選択部212は、制御部201に制御されて、ステップS191において検出された高感度受信装置102の筐体の姿勢に応じて、アンテナ211-1およびアンテナ211-2の内、性能の良い方を選択する。
【0128】
ステップS193において、処理選択部213は、制御部201に制御されて、アンテナ211への接続をキャリアセンス側に切り替える。つまり、処理選択部213は、キャリアセンス部214をアンテナ選択部212に接続させる。
【0129】
ステップS194において、キャリアセンス部214は、制御部201に制御されて、キャリアセンスを行い、信号受信に使用する周波数帯が空いているか否かを確認する。
【0130】
周波数帯が空いていることが確認されると、ステップS195において、処理選択部213は、制御部201に制御されて、アンテナ211への接続を受信側に切り替える。つまり、処理選択部213は、受信部215をアンテナ選択部212に接続させる。これにより、受信部215と、アンテナ211-1およびアンテナ211-2の内のステップS192において選択された方とが接続される。
【0131】
ステップS196において、受信部215は、制御部201に制御されて受信を行う。つまり、受信部215は、アンテナ選択部212により選択されたアンテナ211を介して信号を受信し、その受信信号をアンテナ選択部212および処理選択部213を介して取得し、その取得した受信信号に対して、復調等の所定の処理を施して、送信装置101より供給されたデータを取得する。信号受信が終了すると、受信処理が終了する。
【0132】
以上のように各処理を実行することにより、高感度受信装置102は、高感度受信装置102の筐体の姿勢に応じたアンテナを用いて信号受信を行うことができる。つまり、高感度受信装置102は、性能がより良好なアンテナを選択することができる。したがって、例えば、アンテナの位置が物体近傍に位置するような状況であっても、高感度受信装置102は、複数のアンテナを切り替えてデータ受信をより高感度に行うことができる。つまり、高感度受信装置102は、データ受信成功率を向上させることができ、通信品質の低減を抑制することができる。
【0133】
なお、高感度受信装置102は、通信相手(送信装置101)から送信された信号を受信することなしにアンテナを選択することができるので、通信相手からの信号を待たずに(すなわちより高速に)アンテナを選択することができる。つまり、より高速に通信品質の低減を抑制することができる。
【0134】
なお、姿勢検出およびアンテナ選択のタイミングは任意である。上述のようにキャリアセンスを行う前に行われるようにしてもよいし、キャリアセンスや信号受信と並行して常時行われるようにしてもよいし、所定の時刻に行われるようにしてもよいし、所定の時間間隔で定期的に繰り返し行われるようにしてもよいし、不定期に繰り返し行われるようにしてもよい。
【0135】
<6.その他>
<盗難防止システム>
以上においては、位置通知システム100を例に説明したが、本技術は、任意の通信システムに適用することができる。例えば、送信装置101は、人物だけでなく、移動体等に設置するようにしてもよい。
【0136】
例えば、本技術は、
図11に示されるような自動車やバイク等の盗難を防ぐための盗難防止システム800に適用することもできる。この盗難防止システム800の場合、送信装置101は、ユーザが位置を監視する対象物、例えばユーザが所有する自動車801やバイク802に設置される。送信装置101は、位置通知システム100の場合と同様に、自身の位置情報(すなわち、自動車801やバイク802の位置情報)を、適宜、高感度受信装置102に通知する。つまり、ユーザは、位置通知システム100の場合と同様に、端末装置105からサーバ104にアクセスして、自動車801やバイク802の位置を把握することができる。したがって、ユーザは、盗難にあった場合であっても、自動車801やバイク802の位置を把握することができるので、その自動車801やバイク802を容易に取り戻すことができる。
【0137】
このような盗難防止システム800の場合も、送信装置101や高感度受信装置102に対して各実施の形態において上述した本技術を適用することにより、通信品質の低減を抑制することができ、自身の位置情報(すなわち、自動車801やバイク802の位置情報)を、より正確に高感度受信装置102に通知することができる。つまり、ユーザは、盗難にあった場合であっても、自動車801やバイク802の位置をより容易かつ正確に把握することができる。
【0138】
<その他の通信システム>
なお、送信装置101と高感度受信装置102との間で送受信される情報は任意である。例えば送信装置101が、画像、音声、測定データ、機器等の識別情報、パラメータの設定情報、または指令等の制御情報等を含む送信情報を送信するようにしてもよい。また、この送信情報には、例えば、画像と音声、識別情報と設定情報と制御情報等のように、複数種類の情報が含まれるようにしてもよい。
【0139】
また、送信装置101が、例えば、他の装置から供給される情報を含む送信情報を送信することができるようにしてもよい。例えば、送信装置101が、画像、光、明度、彩度、電気、音、振動、加速度、速度、角速度、力、温度(温度分布ではない)、湿度、距離、面積、体積、形状、流量、時刻、時間、磁気、化学物質、または匂い等、任意の変数について、またはその変化量について、検出または計測等を行う各種センサから出力される情報(センサ出力)を含む送信情報を生成し、送信するようにしてもよい。
【0140】
つまり、本技術は、例えば、立体形状計測、空間計測、物体観測、移動変形観測、生体観測、認証処理、監視、オートフォーカス、撮像制御、照明制御、追尾処理、入出力制御、電子機器制御、アクチュエータ制御等、任意の用途に用いられるシステムに適用することができる。
【0141】
また、本技術は、例えば、交通、医療、防犯、農業、畜産業、鉱業、美容、工場、家電、気象、自然監視等、任意の分野のシステムに適用することができる。例えば、本技術は、ディジタルカメラや、カメラ機能付きの携帯機器等を用いる、鑑賞の用に供される画像を撮影するシステムにも適用することができる。また、例えば、本技術は、自動停止等の安全運転や、運転者の状態の認識等のために、自動車の前方や後方、周囲、車内等を撮影する車載用システム、走行車両や道路を監視する監視カメラシステム、車両間等の測距を行う測距システム等の、交通の用に供されるシステムにも適用することができる。さらに、例えば、本技術は、防犯用途の監視カメラや、人物認証用途のカメラ等を用いる、セキュリティの用に供されるシステムにも適用することができる。また、例えば、本技術は、ウェアラブルカメラ等のようなスポーツ用途等向けに利用可能な各種センサ等を用いる、スポーツの用に供されるシステムにも適用することができる。さらに、例えば、本技術は、畑や作物の状態を監視するためのカメラ等の各種センサを用いる、農業の用に供されるシステムにも適用することができる。また、例えば、本技術は、豚や牛等の家畜の状態を監視するための各種センサを用いる、畜産業の用に供されるシステムにも適用することができる。さらに、本技術は、例えば火山、森林、海洋等の自然の状態を監視するシステムや、例えば天気、気温、湿度、風速、日照時間等を観測する気象観測システムや、例えば鳥類、魚類、ハ虫類、両生類、哺乳類、昆虫、植物等の野生生物の生態を観測するシステム等にも適用することができる。
【0142】
<通信装置>
さらに、送受信される無線信号や情報の仕様は任意である。また、以上においては、本技術を送信装置101や高感度受信装置102に適用する例を説明したが、本技術は、任意の送信装置、任意の受信装置、任意の送受信装置にも適用することができる。つまり、本技術は、任意の通信装置や通信システムに適用することができる。
【0143】
<コンピュータ>
上述した一連の処理は、ハードウエアにより実行させることもできるし、ソフトウエアにより実行させることもできる。また、一部の処理をハードウエアにより実行させ、他の処理をソフトウエアにより実行させることもできる。一連の処理をソフトウエアにより実行する場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、コンピュータにインストールされる。ここでコンピュータには、専用のハードウエアに組み込まれているコンピュータや、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータ等が含まれる。
【0144】
図12は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するコンピュータのハードウエアの構成例を示すブロック図である。
【0145】
図12に示されるコンピュータ900において、CPU(Central Processing Unit)901、ROM(Read Only Memory)902、RAM(Random Access Memory)903は、バス904を介して相互に接続されている。
【0146】
バス904にはまた、入出力インタフェース910も接続されている。入出力インタフェース910には、入力部911、出力部912、記憶部913、通信部914、およびドライブ915が接続されている。
【0147】
入力部911は、例えば、キーボード、マウス、マイクロホン、タッチパネル、入力端子などよりなる。出力部912は、例えば、ディスプレイ、スピーカ、出力端子などよりなる。記憶部913は、例えば、ハードディスク、RAMディスク、不揮発性のメモリなどよりなる。通信部914は、例えば、ネットワークインタフェースよりなる。ドライブ915は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリなどのリムーバブルメディア921を駆動する。
【0148】
以上のように構成されるコンピュータでは、CPU901が、例えば、記憶部913に記憶されているプログラムを、入出力インタフェース910およびバス904を介して、RAM903にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。RAM903にはまた、CPU901が各種の処理を実行する上において必要なデータなども適宜記憶される。
【0149】
コンピュータ(CPU901)が実行するプログラムは、例えば、パッケージメディア等としてのリムーバブルメディア921に記録して適用することができる。その場合、プログラムは、リムーバブルメディア921をドライブ915に装着することにより、入出力インタフェース910を介して、記憶部913にインストールすることができる。また、このプログラムは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供することもできる。その場合、プログラムは、通信部914で受信し、記憶部913にインストールすることができる。その他、このプログラムは、ROM902や記憶部913に、あらかじめインストールしておくこともできる。
【0150】
<補足>
本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0151】
例えば、本技術は、装置またはシステムを構成するあらゆる構成、例えば、システムLSI(Large Scale Integration)等としてのプロセッサ、複数のプロセッサ等を用いるモジュール、複数のモジュール等を用いるユニット、ユニットにさらにその他の機能を付加したセット等(すなわち、装置の一部の構成)として実施することもできる。
【0152】
なお、本明細書において、システムとは、複数の構成要素(装置、モジュール(部品)等)の集合を意味し、全ての構成要素が同一筐体中にあるか否かは問わない。したがって、別個の筐体に収納され、ネットワークを介して接続されている複数の装置、及び、1つの筐体の中に複数のモジュールが収納されている1つの装置は、いずれも、システムである。
【0153】
また、例えば、1つの装置(または処理部)として説明した構成を分割し、複数の装置(または処理部)として構成するようにしてもよい。逆に、以上において複数の装置(または処理部)として説明した構成をまとめて1つの装置(または処理部)として構成されるようにしてもよい。また、各装置(または各処理部)の構成に上述した以外の構成を付加するようにしてももちろんよい。さらに、システム全体としての構成や動作が実質的に同じであれば、ある装置(または処理部)の構成の一部を他の装置(または他の処理部)の構成に含めるようにしてもよい。
【0154】
また、例えば、本技術は、1つの機能を、ネットワークを介して複数の装置で分担、共同して処理するクラウドコンピューティングの構成をとることができる。
【0155】
また、例えば、上述したプログラムは、任意の装置において実行することができる。その場合、その装置が、必要な機能(機能ブロック等)を有し、必要な情報を得ることができるようにすればよい。
【0156】
また、例えば、上述のフローチャートで説明した各ステップは、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。さらに、1つのステップに複数の処理が含まれる場合には、その1つのステップに含まれる複数の処理は、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。換言するに、1つのステップに含まれる複数の処理を、複数のステップの処理として実行することもできる。逆に、複数のステップとして説明した処理を1つのステップとしてまとめて実行することもできる。
【0157】
コンピュータが実行するプログラムは、プログラムを記述するステップの処理が、本明細書で説明する順序に沿って時系列に実行されるようにしても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで個別に実行されるようにしても良い。つまり、矛盾が生じない限り、各ステップの処理が上述した順序と異なる順序で実行されるようにしてもよい。さらに、このプログラムを記述するステップの処理が、他のプログラムの処理と並列に実行されるようにしても良いし、他のプログラムの処理と組み合わせて実行されるようにしても良い。
【0158】
本明細書において複数説明した本技術は、矛盾が生じない限り、それぞれ独立に単体で実施することができる。もちろん、任意の複数の本技術を併用して実施することもできる。例えば、いずれかの実施の形態において説明した本技術の一部または全部を、他の実施の形態において説明した本技術の一部または全部と組み合わせて実施することもできる。また、上述した任意の本技術の一部または全部を、上述していない他の技術と併用して実施することもできる。
【0159】
本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1) 複数のアンテナのそれぞれの送信に使用する周波数帯の全チャンネルの受信電力に基づいて、前記複数のアンテナ中から送信に使用するアンテナを選択する選択部と、
前記選択部により選択されたアンテナを用いて信号を送信する送信部と
を備える信号処理装置。
(2) 前記選択部は、前記周波数帯の各チャンネルの受信電力の総和の大きさに基づいてアンテナを選択する
(1)に記載の信号処理装置。
(3) 前記選択部は、前記受信電力の総和が最大のアンテナを選択する
(2)に記載の信号処理装置。
(4) 各アンテナについて、前記周波数帯の各チャンネルで受信電力を測定し、全チャンネル分の受信電力の総和を算出する受信電力算出部をさらに備え、
前記選択部は、前記受信電力算出部により算出された前記受信電力の総和の大きさが最大のアンテナを選択するように構成される
(3)に記載の信号処理装置。
(5) 複数のアンテナのそれぞれの送信に使用する周波数帯の全チャンネルの受信電力に基づいて、前記複数のアンテナ中から送信に使用するアンテナを選択し、
選択されたアンテナを用いて信号を送信する
信号処理方法。
【0160】
(6) 複数のアンテナのそれぞれの受信に使用する周波数帯の全チャンネルの受信電力に基づいて、前記複数のアンテナ中から受信に使用するアンテナを選択する選択部と、
前記選択部により選択されたアンテナを用いて信号を受信する受信部と
を備える信号処理装置。
(7) 前記選択部は、前記周波数帯の各チャンネルの受信電力の総和の大きさに基づいてアンテナを選択する
(6)に記載の信号処理装置。
(8) 前記選択部は、前記受信電力の総和が最大のアンテナを選択する
(7)に記載の信号処理装置。
(9) 各アンテナについて、前記周波数帯の各チャンネルで受信電力を測定し、全チャンネル分の受信電力の総和を算出する受信電力算出部をさらに備え、
前記選択部は、前記受信電力算出部により算出された前記受信電力の総和の大きさが最大のアンテナを選択するように構成される
(8)に記載の信号処理装置。
(10) 複数のアンテナのそれぞれの受信に使用する周波数帯の全チャンネルの受信電力に基づいて、前記複数のアンテナ中から受信に使用するアンテナを選択し、
選択されたアンテナを用いて信号を受信する
信号処理方法。
【0161】
(11) 筐体の姿勢に基づいて複数のアンテナ中から送信に使用するアンテナを選択する選択部と、
前記選択部により選択されたアンテナを用いて信号を送信する送信部と
を備える信号処理装置。
(12) 前記選択部は、空間側に配置されるアンテナを選択する
(11)に記載の信号処理装置。
(13) 前記筐体の姿勢を検出する姿勢検出部をさらに備え、
前記選択部は、前記姿勢検出部により検出された前記筐体の姿勢に基づいて、前記空間側に配置されるアンテナを選択するように構成される
(12)に記載の信号処理装置。
(14) 前記姿勢検出部は、前記筐体が向く方向を検出する3軸電子コンパスである
(13)に記載の信号処理装置。
(15) 筐体の姿勢に基づいて複数のアンテナ中から送信に使用するアンテナを選択し、
選択されたアンテナを用いて信号を送信する
信号処理方法。
【0162】
(16) 筐体の姿勢に基づいて複数のアンテナ中から受信に使用するアンテナを選択する選択部と、
前記選択部により選択されたアンテナを用いて信号を受信する受信部と
を備える信号処理装置。
(17) 前記選択部は、空間側に配置されるアンテナを選択する
(16)に記載の信号処理装置。
(18) 前記筐体の姿勢を検出する姿勢検出部をさらに備え、
前記選択部は、前記姿勢検出部により検出された前記筐体の姿勢に基づいて、前記空間側に配置されるアンテナを選択するように構成される
(17)に記載の信号処理装置。
(19) 前記姿勢検出部は、前記筐体が向く方向を検出する3軸電子コンパスである
(18)に記載の信号処理装置。
(20) 筐体の姿勢に基づいて複数のアンテナ中から受信に使用するアンテナを選択し、
選択されたアンテナを用いて信号を受信する
信号処理方法。
【符号の説明】
【0163】
100 位置通知システム, 101 送信装置, 102 高感度受信装置, 103 ネットワーク, 104 サーバ, 111 高齢者, 151 制御部, 161 アンテナ, 162 アンテナ選択部, 163 処理選択部, 164 キャリアセンス部, 165 送信部, 201 制御部, 211 アンテナ, 212 アンテナ選択部, 213 処理選択部, 214 キャリアセンス部, 215 受信部, 251 3軸電子コンパス, 281 3軸電子コンパス, 800 盗難防止システム