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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-15
(45)【発行日】2022-07-26
(54)【発明の名称】モデルレス燃焼ダイナミクス自動調整
(51)【国際特許分類】
   F02C 9/34 20060101AFI20220719BHJP
   F02C 7/00 20060101ALI20220719BHJP
   F02C 7/228 20060101ALI20220719BHJP
   F23R 3/28 20060101ALI20220719BHJP
   F23N 5/00 20060101ALI20220719BHJP
【FI】
F02C9/34
F02C7/00 A
F02C7/228
F23R3/28 A
F23N5/00 K
【請求項の数】 7
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017224122
(22)【出願日】2017-11-22
(65)【公開番号】P2018100661
(43)【公開日】2018-06-28
【審査請求日】2020-11-09
(31)【優先権主張番号】201641040986
(32)【優先日】2016-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100151286
【弁理士】
【氏名又は名称】澤木 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ・ハーパー
(72)【発明者】
【氏名】アキレツクリシュナムーシー・アルシャナリ
(72)【発明者】
【氏名】ミハイル・ラル
(72)【発明者】
【氏名】ダグラス・エドワード・ディーン
【審査官】北村 一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0217672(US,A1)
【文献】特開平06-010711(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0265487(US,A1)
【文献】特開2009-024669(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02C 1/00- 9/58
F23R 3/00- 7/00
F23N 1/02- 1/06; 3/00- 5/00; 5/18; 5/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼器(105)と、
前記燃焼器(105)に燃料を供給するように構成された少なくとも2つの燃料回路(120、125)と、
前記燃焼器(105)と関連する燃焼ダイナミクス振幅データを検出して提供するため少なくとも1つのセンサ(130)と、
前記少なくとも1つのセンサ(130)と通信可能に結合した機器制御器(1000)であって、
前記燃焼ダイナミクス振幅データを分析して、前記燃焼器(105)の燃焼と関連する音響圧力振幅の少なくとも1つの変化を検出し、
音響圧力振幅の前記少なくとも1つの変化に応答して、
前記少なくとも2つの燃料回路(120、125)に対する流量比の変更である燃料分割の変更(510)を決定し、
前記燃料分割の変更(510)を前記燃焼器(105)に適用する
ように構成された機器制御器(1000)と
を備え
前記音響圧力振幅の前記少なくとも1つの変化の検出が、一組の周波数域のうちの少なくとも1つの振動周波数帯域に対する既定のダイナミクス振幅閾レベル(505)を前記音響圧力振幅が超えたことを判定するステップを含み、
前記燃料分割の変更(510)が、既定の分割の変更の方向、および前記少なくとも1つの振動周波数帯域と関連するデフォルトの振幅からの振幅の変化に基づいて決定される、燃焼ダイナミクスの調整のためのシステム(100)。
【請求項2】
前記分割の変更の方向が、前記組の周波数域と関連する既定の分割の変更のうちの最小のものに基づいて決定され、
前記組の周波数域が、低周波数域から高周波数域までの周波数域を含み、
前記既定のダイナミクス振幅閾レベルが、前記燃焼器(105)のタイプ、前記燃焼器(105)内の音響状態、および前記燃焼器(105)の幾何学的形状のうちの少なくとも1つに基づく、請求項記載のシステム(100)。
【請求項3】
前記燃焼器と関連するエミッションレベルを検出して提供するために、前記機器制御器に結合された少なくとも1つの他のセンサ(135)をさらに備える請求項1記載のシステム(100)であって、前記機器制御器が、
前記エミッションレベルが既定のエミッション閾値を超えたことを判定し、
前記エミッションレベルが前記既定のエミッション閾値を越えたことを判定するステップに基づいて、前記エミッションレベルを修正するように前記燃焼器の制御パラメータを調節するようにさらに構成される、請求項1又は2に記載のシステム(100)。
【請求項4】
前記燃焼器の音響圧力振幅の前記少なくとも1つの変化が除去されるまで、ある時間、前記燃料分割の変更(510)が漸増的に適用され、
前記機器制御器が、
前記燃焼ダイナミクスの振幅が既定の許容限度内であることを判定し、
前記判定に応答して、
燃焼ダイナミクスレベル(505)を低減させるように前記燃料分割の変更(510)を漸増させ、
前記燃焼器のエミッションを制御するように構成されたエミッションアルゴリズムに前記漸増させた燃料分割の変更を提供して、前記エミッションアルゴリズムに前記エミッションを許容エミッション限度内に維持させ
ようにさらに構成される、請求項1記載のシステム(100)。
【請求項5】
燃焼器(105)の燃焼ダイナミクスの調整のための方法(300)であって、
少なくとも1つのセンサ(130)によって、燃焼器(105)と関連する燃焼ダイナミクス振幅データを提供するステップと、
前記少なくとも1つのセンサに通信可能に結合した機器制御器(1000)によって、前記燃焼ダイナミクス振幅データを監視して前記燃焼器(105)の燃焼と関連する音響圧力振幅の少なくとも1つの変化を検出するステップと、
音響圧力振幅の少なくとも1つの変化を検出するステップに応答して、前記機器制御器(1000)によって、前記燃焼器に燃料を供給するように構成された少なくとも2つの燃料回路(120、125)に対する流量比の変更である燃料分割の変更(510)を決定するステップと、
前記機器制御器(1000)によって、前記燃料分割の変更(510)を前記燃焼器(105)に適用するステップと
を含み、
前記音響圧力振幅の少なくとも1つの変化を検出するステップが、一組の周波数域のうちの少なくとも1つの振動周波数帯域に対する既定のダイナミクス振幅閾レベルを前記少なくとも1つの音響圧力振幅が超えたことを判定するステップを含み、
前記既定のダイナミクス振幅閾レベルが、前記燃焼器のタイプ、前記燃焼器内の音響状態、および前記燃焼器(105)の幾何学的形状のうちの少なくとも1つに基づくものであり、
前記一組の周波数域が、低周波数域から高周波数域までの周波数域を含み、
前記燃料分割の変更(510)を決定することが、既定の分割の変更の方向、および前記少なくとも1つの振動周波数帯域と関連するデフォルトの振幅からの振幅の変化に基づいており、
前記既定の分割の変更の方向が、前記一組の周波数域と関連する既定の分割の変更のうちの最小のものに基づいて決定される、方法(300)。
【請求項6】
前記機器制御器(1000)に結合された少なくとも1つの他のセンサ(135)によって、前記燃焼器(105)と関連するエミッションレベルを提供するステップと
前記機器制御器(1000)によって、前記エミッションレベルが既定のエミッション閾値を超えたことを判定するステップと、
前記判定に基づいて、前記機器制御器(1000)によって、前記エミッションレベルに基づいて前記燃料分割の変更(510)を調節するステップと
をさらに含む請求項記載の方法(300)。
【請求項7】
前記燃焼器の音響圧力振幅の前記少なくとも1つの変化が除去されるまで、前記機器制御器(1000)によって、既定の時間、前記燃料分割の変更を前記燃焼器に漸増的に適用するステップと、
前記機器制御器(1000)によって、前記燃焼ダイナミクス振幅データの振幅が既定の許容限度内であることを判定するステップと、
前記判定に応答して、
前記機器制御器(1000)によって、燃焼ダイナミクスレベルを低減させるように前記燃料分割の変更(510)を漸増させるステップと、
前記機器制御器(1000)によって、前記燃焼器のエミッションを制御するように構成されたエミッションアルゴリズムに前記漸増させた燃料分割の変更を提供して、前記エミッションアルゴリズムに前記エミッションを許容エミッション限度内に維持させるステップと
をさらに含む請求項記載の方法(300)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示はターボ機械に関し、より詳細には、燃焼システムの燃焼ダイナミクスを調整するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
燃焼ダイナミクス振幅の保護は、ガスタービン運転時に必要とされる。比較的高いレベルの圧力振幅が燃焼器内に存在すると、燃焼器に損傷が生じる場合がある、かつ/または燃焼器が取り付けられた機械の部品(例えば、ガスタービン)に損傷が生じる場合がある。燃焼ダイナミクスの振幅が高いと、燃焼器および機械に損傷を生じさせる、またはそれらを完全に停止させる比較的高い振動を生じさせる場合がある。例えば、燃焼ダイナミクスの振幅が高いと、非定常な火炎となる場合があり、それによって、火炎の吹き消えが生じて機械を停止させる場合がある。
【0003】
従来のほとんどの燃焼システムは、突然の高い燃焼ダイナミクスに対して能動的に制御しない、かつ/または瞬間的な燃焼ダイナミクスのしっかりとした保護に欠けている。許容できない燃焼ダイナミクスを見出した場合に典型的な解決策としては、監視すること、負荷を変えること、および機械を停止することに限定される場合がある。現地でのコミッショニング中、制御器は、比較的高い燃焼ダイナミクスを避けるように調整されるが、短いコミッショニングのプロセスでは、すべての条件を試験することはできない。典型的なコミッショニングのプロセスでは、通常、周囲条件、燃料の変更、および他の項目は監視されない、または、試験されない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
この開示は、燃焼システムの燃焼ダイナミクスを調整するためのシステムおよび方法に関する。本開示の特定の実施形態は、燃焼器の燃焼ダイナミクス振幅の変化を容易に検出することができ、燃焼器の燃料回路に対する分割の変更を決定して燃焼ダイナミクス振幅レベルを調節することができる。
【0005】
本開示の一実施形態によれば、燃焼ダイナミクスの調整のためのシステムが提供される。システムは、燃焼器と、燃焼器に燃料を供給するように構成された少なくとも2つの燃料回路とを含むことができる。システムはまた、燃焼器と関連する燃焼ダイナミクス振幅データを検出して提供するために、少なくとも1つのセンサを含むことができる。システムはさらに、少なくとも1つのセンサと通信可能に結合した機器制御器を含むことができる。機器制御器は、燃焼ダイナミクス振幅データを分析して、燃焼器の燃焼と関連する音響圧力振幅の少なくとも1つの変化を検出するように構成することができる。音響圧力振幅の変化に応答して、2つの燃料回路に対する流量比の変更である燃料分割の変更を決定することができる。機器制御器はさらに、燃料分割の変更を燃焼器に適用することができる。
【0006】
本開示のいくつかの実施形態では、音響圧力振幅の変化の検出は、一組の周波数域のうちの少なくとも1つの振動周波数帯域に対する既定のダイナミクス振幅閾レベルを音響圧力振幅が超えたことを判定するステップを含む。
【0007】
本開示の特定の実施形態では、燃料分割の変更は、既定の分割の変更の方向、および少なくとも1つの振動周波数帯域と関連するデフォルトの振幅からの振幅の変化に基づいて決定される。本開示の特定の実施形態では、分割の変更の方向は、その組の周波数域と関連する既定の分割の変更のうちの最小のものに基づいて決定される。その組の周波数域は、比較的低周波数域から比較的高周波数域までの周波数域を含むことができる。既定のダイナミクス振幅閾レベルは、燃焼器のタイプ、燃焼器内の音響状態、および燃焼器の幾何学的形状のうちの少なくとも1つに基づくことができる。
【0008】
本開示のいくつかの実施形態では、システムは、燃焼器と関連するエミッションレベルを検出して提供するために、少なくとも1つのセンサをさらに備える。この少なくとも1つのセンサは、機器制御器に結合することができる。機器制御器は、エミッションレベルが既定のエミッション閾値を超えたことを判定するようさらに構成することができる。エミッションレベルが既定のエミッション閾値を越えたことを判定するステップに基づいて、機器制御器は、エミッションレベルを修正するように燃焼器の制御パラメータを調節することができる。
【0009】
いくつかの実施形態では、燃焼器の音響圧力振幅の少なくとも1つの変化が除去されるまで、ある時間、燃料分割の変更が漸増的に適用される。その時間は、燃焼器と関連する設置場所の条件、ならびに燃焼器と関連する機械のニーズおよびばらつきに基づいて決定することができる。機器制御器は、燃焼ダイナミクスの振幅が既定の許容限度内であることを判定し、その判定に基づいて、燃焼ダイナミクスレベルを低減させるように燃料分割の変更を漸増させるようにさらに構成することができる。機器制御器はさらに、燃焼器のエミッションを制御するように構成されたエミッションアルゴリズムに漸増させた燃料分割の変更を提供して、エミッションアルゴリズムにエミッションを許容エミッション限度内に維持させることができる。
【0010】
本開示の一実施形態によれば、燃焼ダイナミクスの調整の方法が提供される。本方法は、少なくとも1つのセンサによって、燃焼器と関連する燃焼ダイナミクス振幅データを提供するステップを含むことができる。本方法によって、さらに、少なくとも1つのセンサに通信可能に結合した機器制御器によって、燃焼ダイナミクス振幅データを監視して燃焼器内の燃焼と関連する音響圧力振幅の少なくとも1つの変化を検出することができる。音響圧力振幅の少なくとも1つの変化を検出するステップに応答して、本方法は、機器制御器によって、燃焼器に燃料を供給するように構成された少なくとも2つの燃料回路に対する流量比の変更である燃料分割の変更を決定することができる。本方法はさらに、機器制御器によって、燃料分割の変更を燃焼器に適用するステップを含むことができる。
【0011】
他の実施形態、システム、方法、特徴、および態様は、以下の図面と併せて以下の説明から明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示のいくつかの実施形態による、例示的な燃焼システムを示すブロック図である。
図2】本開示の実施形態による、例示的な修正パラメータ制御(CPC:corrected parameter control)システムを示すブロック図である。
図3】本開示のいくつかの実施形態による、燃焼ダイナミクスを調整するための例示的な方法を示すフロー図である。
図4】本開示の実施形態による、燃焼ダイナミクスを調整するための例示的な方法を示すフロー図である。
図5】例示的な実施形態による、ダイナミクス振幅レベルに基づく燃料分割の変更の選択のための表を示すブロック図である。
図6】本開示の別の実施形態による、燃焼ダイナミクスを調整するための例示的な方法を示すフロー図である。
図7】本開示のいくつかの例示的な実施形態による、燃料分割の計算のための論理を示すブロック図である。
図8】燃焼器の燃焼温度の関数としてのいくつかの周波数域での燃焼圧力振幅およびNOxエミッションの例示的なプロットである。
図9】一次燃料分割と最適な一次燃料分割との間の差の関数としての最適な一次燃料分割でのダイナミクス振幅に対するダイナミクス振幅およびNOxエミッションの比の例示的なプロットである。
図10】本開示の実施形態による、燃焼器の動作を制御するための例示的な制御器を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の詳細な説明は、この詳細な説明の一部を形成する添付図面を参照することを含む。図面は、例示的な実施形態による例示を表す。これらの例示的な実施形態は、本明細書では「例」とも称せられ、当業者が本主題を実施することができるよう十分詳細に説明される。特許請求される主題の範囲から逸脱することなく、これらの例示的な実施形態を組み合わせることができ、他の実施形態を使用することができ、または構造的、論理的、および電気的な変更を行うことができる。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味で解釈されるべきではなく、その範囲は、添付の特許請求の範囲およびそれらの等価物によって規定される。
【0014】
本開示の特定の実施形態は、燃焼システムの燃焼ダイナミクスを調整するためのシステムおよび方法を含むことができる。開示されるシステムおよび方法は、周囲条件、燃料の変更、および/または燃焼システムの使用期間を考慮することができる。本明細書で説明する技術は、新規または既存の制御アーキテクチャ内で使用して燃焼ダイナミクスの不安定現象を緩和することができる。
【0015】
本開示のいくつかの実施形態では、ダイナミクスの保護は、燃焼システムの既存の制御の論理に一体化され、したがって、NOxエミッションもまた適合範囲内に保つことができる。本明細書で説明するダイナミクスの保護技術は、複数の周波数域のダイナミクス振幅の許容レベルに合致させるために、測定燃焼ダイナミクスを使用して燃焼システムを調整することができる。説明する技術は、特異性および正確性の高いモデルの必要性を除去して、素早いダイナミクスの保護を提供することができる。本明細書で説明する燃焼ダイナミクスを調整するための方法は、所望の分割の変更を計算して、エミッション基準に適合することを確実にするエミッション制御論理にこれらの所望の変更を提供するように、燃料回路分割の変更の比率を使用することができる。
【0016】
本開示のいくつかの例示的な実施形態では、機器プロセッサは、燃焼ダイナミクス振幅データを監視して、燃焼器内の燃焼ダイナミクスに関連する音響圧力振幅の少なくとも1つの変化を検出することができる。音響圧力振幅の少なくとも1つの変化を検出したことに応答して、機器制御器は、燃料を燃焼器に供給するように構成された少なくとも2つの燃料回路への燃料分割の変更を決定することができる。機器制御器は、燃料分割の変更を燃焼器に適用することができる。
【0017】
本開示の特定の実施形態の技術的な効果は、燃焼器を手動で再調整するプロセスを除去することを含むことができる。本開示の特定の実施形態によって、望むように、比較的高いダイナミクスを防ぐ能動的なダイナミクス制御を有する、より積極的な燃料分割のスケジューリングが可能となり、それによって、最悪のダイナミクスの場合に対して推定する必要性を最小化または低減することができる。本開示の特定の実施形態のさらなる技術的効果によって、自動の燃焼ダイナミクスの保護が可能となる。本開示の特定の実施形態のさらなる技術的効果によって、ヒートレートおよびエミッション適合ターンダウンに対してよりよい部分負荷運転にすることができる。本開示の特定の実施形態のさらなる技術的効果は、エミッション制御を改善し、燃焼に関するトリップ、強制停止時間、およびが計画外コストを低減することができる。
【0018】
以下では、燃焼システムの燃焼ダイナミクスを調整するシステムおよび方法に関する様々な例示的な実施形態を詳細に説明する。
【0019】
次に、図面を参照すると、図1は、本開示の例示的な実施形態による燃焼システム100を示すブロック図である。システム100は、燃焼器105、タービン110、排気部115、機器制御器1000、一次燃料回路120、二次燃料回路125、圧力センサ130、窒素酸化物(NOx)センサ、および温度センサ145を含むことができる。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のタイプのセンサ(圧力、NOx、および温度)を単一の計器および/または一体化したセンサ装置内に結合することができる。一次燃料回路120および二次燃料回路125は両方とも、燃焼器105内に配置された燃料ノズルを経て燃料を燃焼器105に供給するように構成することができる。燃料(液体燃料または気体燃料)は空気と混合され、燃焼器105内の燃焼室で燃焼され、それによって、高温の加圧排出ガスを生成することができる。燃焼器105は、タービン110を通って排気システム115の方へ向かうように排出ガスを導く。図1には1つしか燃焼器105が示されていないが、特定の実施形態では、複数または多数の燃焼器105をタービン110の周りに周方向に配置することができる。複数または多数の燃焼器105のそれぞれは、別々の燃料回路を経て燃料を供給することができ、また、別々の燃料ノズルを含むことができる。本開示のいくつかの実施形態では、排出ガスがタービン110を通過すると、排出ガスはタービンブレードを押してタービン110の軸心に沿ってシャフトを回転させる。シャフトは負荷に接続することができる。負荷は、乗り物、または発電所の発電機、シャフト駆動圧縮機などの定置負荷を含むことができる。
【0020】
本開示のいくつかの実施形態では、機器制御器1000は、一次燃料回路120、二次燃料回路125、音響圧力センサ130、エミッションセンサ135、および温度センサ145に通信可能に接続することができる。圧力センサ130は、燃焼器105に関する燃焼ダイナミクスデータを検出し、提供するように構成することができる。いくつかの実施形態では、圧力センサは、燃焼器105内に配置されたプローブを含むことができる。プローブは燃焼動的監視を行うように構成することができる。具体的には、プローブは、燃焼動圧を電気信号に変換するように構成することができる。連続ダイナミクス監視(CDM:Continuous Dynamics Monitoring)信号とも称する電気信号は、分析のために機器制御器1000に提供することができる。エミッションセンサ135は、排気ガス中の窒素酸化物および炭素酸化物のエミッションレベルを検知するように構成することができる。温度センサ145は、排気ガスのエミッション温度を検知するように構成することができる。機器制御器1000は、燃焼ダイナミクスデータ、エミッションレベル、排気温度を受信するように構成することができる。機器制御器1000は、修正パラメータ制御(CPC)システム140を含むことができる。本開示のいくつかの実施形態では、CPCシステム140は、燃焼ダイナミクスデータ、エミッションレベル、排気温度を分析し、一次燃料回路120および二次燃料回路125の燃料流量を制御することによって燃焼器の性能を調節するように構成される。
【0021】
図2は、本開示の例示的な実施形態による例示的なCPCシステム140を大まかに示すブロック図である。例示的なCPCシステム140は、目標エミッションモジュール205、分割制御器210、排気温度モジュール215、および予測エミッションモジュール220を含むことができる。
【0022】
本開示のいくつかの実施形態では、目標エミッションモジュール205は、負荷の選択、周囲条件、タービン110のサイクル、および燃焼システム100の測定エミッションに基づいて燃焼システム100の目標エミッションを見積もるように構成される。本開示のいくつかの実施形態では、目標エミッションは、規制限度、および燃焼システム100のバイアス調整に基づいて見積もられる。目標エミッションは、分割制御器210および排気温度モジュール215に提供することができる。
【0023】
本開示のいくつかの実施形態では、分割制御器は、目標エミッションに基づいて一次燃料回路と二次燃料回路との間で燃料を分割するように構成される。本開示のいくつかの実施形態では、燃料分割はダイナミクス分割に基づいて調節される。いくつかの実施形態では、燃料分割は、NOx分割およびダイナミクス分割に基づいて調節される。NOx分割はNOxエミッションの関数である。本開示のいくつかの実施形態によれば、ダイナミクス分割は、燃焼器105の燃焼ダイナミクス振幅の関数とすることができる。
【0024】
本開示のいくつかの実施形態では、排気温度モジュール215は、燃焼システム100の排気温度を提供するように構成される。予測エミッションモジュール220は、排気温度、エミッション伝達関数、および性能サイクル分析に基づいて燃焼システム100のエミッションを予測するように構成することができる。予測エミッションは、目標エミッションモジュール205にフィードバックすることができる。
【0025】
図3は、本開示のいくつかの実施形態による、燃焼ダイナミクスの自動調整のための例示的な方法300を示すフロー図である。方法300の動作は、図1を参照して上記で説明した燃焼システム100によって行うことができる。
【0026】
方法300は、ブロック302において、音響圧力センサ130によって、燃焼器105の燃焼ダイナミクス振幅データを提供するステップで始めることができる。ブロック304において、方法300は、機器制御器1000(図1を参照して下記で詳細に説明する)によって、燃焼ダイナミクス振幅データを監視して燃焼器105の燃焼ダイナミクスと関連する音響圧力振幅の少なくとも1つの変化を検出するステップに進むことができる。機器制御器1000は、音響圧力センサ130に通信可能に結合して、燃焼器105の燃焼ダイナミクス振幅データを提供することができる。
【0027】
ブロック306において、方法300は、音響圧力振幅の少なくとも1つの変化を検出したことに応答して、機器制御器1000によって燃料分割の変更を決定するステップに進むことができる。いくつかの実施形態では、燃料分割の変更は、燃焼器105に燃料を供給するように構成された少なくとも2つの燃料回路(例えば、一次燃料回路120および二次燃料回路125)への流量の比率の変更を含む。
【0028】
ブロック308において、方法300は、機器制御器1000によって、燃料分割の変更を燃焼器に適用するステップを含むことができる。
【0029】
図4は、本開示の実施形態による、燃焼ダイナミクスの調整のための例示的な方法400を示すフロー図である。方法400の動作は、図1を参照して上記で説明した燃焼システム100によって行うことができる。ブロック402において、方法400は、CDM信号を処理してCDM入力を得るステップで始めることができる。ブロック404において、方法400は、CDM入力をフィルタリングして、CDM信号の各周波数域に対して最大振幅を選択するステップに進むことができる。特定の実施形態では、最大振幅は、いくつかの周波数域に対して決定することができる。
【0030】
ブロック406において、方法400は、選択された最大振幅に基づいて、各周波数域に対して分割を決定するステップに進むことができる。本開示のいくつかの実施形態によれば、図5の表500に示すように、CDM信号の広帯域スペクトルは、いくつかの振動周波数域に分割することができる。ダイナミクスレベル505は、振動周波数域のそれぞれに予め決めることができる。最大振幅は、ダイナミクスレベル505に比較されて、最大振幅が特定のダイナミクスレベルに達したときに使われるべき方向(増加または減少)および分割の変更510の値を決定することができる。振動周波数域の数と間隔、ダイナミクスレベル505、ならびに特定のダイナミクスレベルおよび振動周波数域に対応する分割の変更510の値は、燃焼システム100、設置場所の条件、およびその燃焼システム100が取り付けられた機械の詳細に基づいて選択することができる。いくつかの実施形態によれば、ダイナミクスレベル505は、分割を増大することができる低振幅レベル(各周波数域に対して異なる)を含むことができる。分割が増大されると、燃焼器のエミッションを改善することができる。
【0031】
ダイナミクスレベルは、分割の変更が必要でない許容低振幅レベルおよび許容高振幅レベルを含むことができる。ダイナミクスレベル505は比較的高い振幅レベルを含むことができる。最大振幅が高振幅レベルに達した場合、分割の変更は小さな減少を含む。ダイナミクスレベル505は、かなり高い振幅レベルを含むことができる。最大振幅がかなり高い振幅レベルに達した場合、分割の変更は中ぐらいの減少とすることができる。ダイナミクスレベル505はまた、最高の振幅レベルを含むことができる。最大振幅が最高の振幅レベルに達した場合、分割の変更は大きな減少が必要である。
【0032】
図4に戻って参照すると、ブロック408において、方法400は、最小の分割のバイアスの変更となる各周波数域での分割を選択することができる。ブロック410において、その選択に基づいて、方法400は燃焼システム100の燃料回路間の分割を設定することができる。分割の減少は、一次燃料回路120の燃料流量の減少と二次燃料回路125の燃料流量の増加となることができることを留意すべきである。その結果、燃焼器内の火炎を安定させることができる。火炎の安定によって、ダイナミクス振幅をより小さな値にすることができる。しかしながら、火炎が安定すると、燃焼器のエミッション値は悪化する場合がある。本開示のいくつかの実施形態では、燃焼ダイナミクスの調整の間、分割の変更と共に、エミッションを維持するために燃焼温度を下げる。本開示のいくつかの実施形態では、ダイナミクス振幅が許容振幅レベルに戻ると、燃焼器105のエミッション値を改善するために燃料分割を増大させることができる。
【0033】
図6は、本開示の別の実施形態による、燃焼ダイナミクスの調整のための例示的な方法600を示すフロー図である。方法600の動作は、燃焼システム100によって行うことができる。方法600は、ブロック602において、燃焼ダイナミクスが、ある時間の間、安定であることを判定するステップで始めることができる。この時間は、設置場所の条件、および燃焼システム100が取り付けられた機械の特定の必要性に依存する場合がある。
【0034】
ブロック604において、方法600は、燃焼ダイナミクスが比較的安定していると判定したステップに基づいて、CDM調整を可能にするステップに進むことができる。ブロック606において、方法600は、最終のダイナミクス分割の変更およびNOx分割の変更のうちの最小のものに分割の変更のバイアスを加えることができる。分割の変更のバイアスは、上記で図4を参照して説明したように、方法400によって決定することができる。NOx分割の変更は、ベース負荷の選択、タービンサイクル、測定エミッションレベル、目標エミッションレベルを決定するCPCシステム140のいくつかの制御パラメータの1つである。
【0035】
ブロック608において、方法600は、燃料回路間の分割および比率の限度を設定するステップに進むことができる。本開示のいくつかの実施形態では、ブロック602から604の動作は、燃焼器105のダイナミクス振幅が、すべての振動周波数域に対して許容振幅レベル内になるまで、再帰的に繰り返すことができる。
【0036】
図7は、本開示のいくつかの例示的な実施形態による、燃料分割の計算のための論理700を示すブロック図である。論理700は、CPCシステム140に組み入れることができる。論理700は、分割計算モジュール705およびNOx温度調節モジュール710を含むことができる。
【0037】
本開示のいくつかの実施形態では、分割計算モジュール705は、燃料回路間の(燃料)分割を決定するように構成される。燃料回路は、燃料を燃焼器105に供給する一次燃料回路120および二次燃料回路を含むことができる。本開示のいくつかの実施形態では、分割は、最終のダイナミクス分割の変更にのみ基づいて決定することができる。最終のダイナミクス分割は、燃焼ダイナミクス振幅の変化に基づいて決定された分割のバイアスに基づいて調節することができる。本開示の他の実施形態では、分割は、最終のダイナミクス分割およびNOxエミッション分割の変更の両方に基づいて決定することができる。NOxエミッション分割の変更は、CPCシステム140によって、エミッション制御ループを用いて決定することができる。
【0038】
本開示のさらに別の実施形態では、最終のダイナミクス分割の変更は、NOx温度調節モジュール710にパラメータとして与えることができる。モジュール710は、NOx温度基準および予測NOxエミッションレベルを決定するように構成することができる。CPCシステム140は、NOx温度基準および予測NOxエミッションレベルを用いて燃焼システム100の制御パラメータを調節することができる。
【0039】
図8は、本開示の実施形態による、燃焼温度の関数としてのいくつかの周波数域での燃焼圧力振幅およびNOxエミッションの例示的なプロット800である。燃焼温度は、燃焼器への全燃料流量を設定することによって制御することができる。約50ヘルツでのダイナミクス振幅は、比較的弱い二次火炎、低燃焼温度、低NOxエミッション、および低い二次燃料/高い一次燃料の分割の作用によるものである。約70ヘルツでのダイナミクス振幅は、比較的高い一次燃料分割(主にガス燃料に関する火炎)、高燃焼温度、および高NOxエミッションの作用によるものである。約2400ヘルツでのダイナミクス振幅は、比較的低い二次燃料/高い一次燃料の分割、低燃焼温度、および低燃焼周波数の作用によるものである。他の燃焼パラメータからダイナミクス振幅の依存性に関するデータを使用して各周波数域に対する分割の選択を決定することができる。
【0040】
図9は、本開示の実施形態による、一次燃料分割と最適な分割との間の差の関数としての最適な分割に対するNOxエミッションおよびダイナミクス振幅の比の例示的なプロット900である。最適な分割は、NOxエミッションが最小値に達したときの一次燃料分割として定義することができる。プロット900で分かるように、ダイナミクス振幅は、一次燃料分割を減少させることによって下げることができるが、一次燃料分割が減少すると、NOxエミッションが増大する場合がある。
【0041】
図10は、本開示の実施形態による例示的な制御器1000を示すブロック図である。より詳細には、制御器1000の要素は、所定の燃焼動作境界内で、燃焼システム100の作動中に燃焼システム100と関連する運転データを自動的に収集し、運転データを保存し、運転データに基づいて1つまたは複数の所定の燃焼伝達関数に対する一組の定数を生成し、かつ燃焼燃料システムのコミッショニング中に使用するためにCPCシステム140内にその定数の組を保存しながら、複数の運転条件の下で燃焼システム100を作動させるために使用することができる。制御器1000は、プログラム論理1020(例えば、ソフトウェア)を記憶し、燃焼燃料システム、定数の組などと関連する運転データなどのデータ1030を記憶することができるメモリ1010を含むことができる。メモリ1010はまた、オペレーティングシステム1040を含むことができる。
【0042】
プロセッサ1050は、オペレーティングシステム1040を使用してプログラム論理1020を実行し、そうする際にデータ1030を使用することもできる。データバス1060によって、メモリ1010とプロセッサ1050との間の通信が可能になる。使用者は、キーボード、マウス、制御盤、または、データを制御器1000へ、かつ制御器1000から通信することができる任意の他の装置などの少なくとも1つのユーザインターフェース装置1070を介して制御器1000と接続することができる。制御器1000は、入出力(I/O)インターフェース1080を介して、燃焼器システム100と作動中に通信することができ、かつ、作動中でないときは、CPCシステム140とオフラインで通信することができる。さらに、他の外部装置あるいは複数の他の燃焼システムまたは燃焼器が、I/Oインターフェース1080を介して制御器1000と通信することができることを理解すべきである。本開示の図示の実施形態では、制御器1000は、タービンシステムに対して離れて配置することができるが、燃焼システム100と共に配置する、または一体化することさえできる。さらに、制御器1000、およびそれによって実行されるプログラム論理1020は、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、またはそれらを任意に組み合わせたものを含むことができる。複数の制御器1000を使用することができ、それによって本明細書に説明される様々な特徴を1つまたは複数の様々な制御器1000で実行することができることもまた理解すべきである。
【0043】
本開示の例示的な実施形態によるシステム、方法、装置、およびコンピュータプログラム製品のブロック図が参照される。ブロック図のブロックの少なくともいくつか、およびブロック図のブロックを組み合わせたものは、コンピュータプログラム命令によって、少なくとも部分的に実行することができることが理解されるであろう。これらのコンピュータプログラム命令は、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、専用ハードウェアベースのコンピュータ、または他のプログラム可能なデータ処理装置にロードされて、コンピュータおよび他のプログラム可能なデータ処理装置で実行する命令が、ブロック図のブロックの少なくともいくつか、または論じたブロック図のブロックを組み合わせたものの機能を実行するための手段となるように機械を生成することができる。
【0044】
これらのコンピュータプログラム命令はまた、コンピュータ読込可能なメモリに記憶することができ、コンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理装置に特定の方法で機能するよう指示することができ、その結果、コンピュータ読込可能なメモリに記憶された命令は、ブロックで指定された機能を実行する命令手段を含む製品を生成する。コンピュータプログラム命令はまた、コンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理装置にロードされ、コンピュータまたは他のプログラム可能な装置で実行する命令が、ブロックで指定された機能を実施するためのステップを提供するように、一連の動作ステップをコンピュータまたは他のプログラム可能な装置で実行させて、コンピュータ実施プロセスを生成することができる。
【0045】
本明細書で説明したシステムの1つまたは複数の構成部品、および方法の1つまたは複数の要素は、コンピュータのオペレーティングシステムで動作するアプリケーションプログラムによって実施することができる。それらはまた、ハンドヘルド装置、マルチプロセッサシステム、マイクロプロセッサベースまたはプログラム可能な民生用電子機器、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータなどを含む他のコンピュータシステム構成で実施することができる。
【0046】
本明細書で説明したシステムおよび方法の構成要素であるアプリケーションプログラムは、ルーチン、プログラム、コンポーネント、データ構造などを含むことができ、特定の抽象データ型を実施し、特定のタスクまたはアクションを実行する。分散コンピューティング環境では、アプリケーションプログラム(全体または一部)は、ローカルメモリ内、または他の記憶装置内に配置することができる。これに加えて、またはこれに代えて、アプリケーションプログラム(全体または一部)は、遠隔メモリ内、または記憶装置内に配置され、通信ネットワークを通じてリンクされた遠隔処理装置によってタスクを実行する環境を可能とすることができる。
【0047】
これらの説明に関して本明細書に記載した例示的説明の多くの修正および他の実施形態は、上記の説明および関連図面に提示した教示の利点を有することが想到されるであろう。したがって、本開示は、多くの形態で具現化することができ、上記の例示的な実施形態に限定すべきではないことは理解される。
【0048】
したがって、本開示は、開示した特定の実施形態に限定されるものではなく、修正および他の実施形態が、添付の特許請求の範囲に含まれることを意図することが理解されよう。本明細書では特定の用語を使用したが、それらは、一般的で、説明的な意味のみで使用し、限定するためのものではない。
【0049】
最後に、代表的な実施態様を以下に示す。
[実施態様1]
燃焼器(105)と、
前記燃焼器(105)に燃料を供給するように構成された少なくとも2つの燃料回路(120、125)と、
前記燃焼器(105)と関連する燃焼ダイナミクス振幅データを検出して提供するために、少なくとも1つのセンサ(130)と、
前記少なくとも1つのセンサ(130)と通信可能に結合した機器制御器(1000)であって、
前記燃焼ダイナミクス振幅データを分析して、前記燃焼器(105)の燃焼と関連する音響圧力振幅の少なくとも1つの変化を検出し、
音響圧力振幅の前記少なくとも1つの変化に応答して、
前記少なくとも2つの燃料回路(120、125)に対する流量比の変更である燃料分割の変更(510)を決定し、
前記燃料分割の変更(510)を前記燃焼器(105)に適用する
ように構成された機器制御器(1000)と
を備える燃焼ダイナミクスの調整のためのシステム(100)。
[実施態様2]
前記音響圧力振幅の前記少なくとも1つの変化の検出が、一組の周波数域のうちの少なくとも1つの振動周波数帯域に対する既定のダイナミクス振幅閾レベル(505)を前記音響圧力振幅が超えたことを判定するステップを含む、実施態様1に記載のシステム(100)。
[実施態様3]
前記燃料分割の変更(510)が、既定の分割の変更の方向、および前記少なくとも1つの振動周波数帯域と関連するデフォルトの振幅からの振幅の変化に基づいて決定される、実施態様2に記載のシステム(100)。
[実施態様4]
前記分割の変更の方向が、前記組の周波数域と関連する既定の分割の変更のうちの最小のものに基づいて決定される、実施態様3に記載のシステム(100)。
[実施態様5]
前記組の周波数域が、低周波数域から高周波数域までの周波数域を含む、実施態様2に記載のシステム(100)。
[実施態様6]
前記既定のダイナミクス振幅閾レベルが、前記燃焼器(105)のタイプ、前記燃焼器(105)内の音響状態、および前記燃焼器(105)の幾何学的形状のうちの少なくとも1つに基づく、実施態様2に記載のシステム(100)。
[実施態様7]
前記燃焼器と関連するエミッションレベルを検出して提供するために、前記機器制御器に結合された少なくとも1つの他のセンサ(135)をさらに備える実施態様1に記載のシステム(100)であって、前記機器制御器が、
前記エミッションレベルが既定のエミッション閾値を超えたことを判定し、
前記エミッションレベルが前記既定のエミッション閾値を越えたことを判定するステップに基づいて、前記エミッションレベルを修正するように前記燃焼器の制御パラメータを調節する
ようにさらに構成される、システム(100)。
[実施態様8]
前記燃焼器の音響圧力振幅の前記少なくとも1つの変化が除去されるまで、ある時間、前記燃料分割の変更(510)が漸増的に適用される、実施態様1に記載のシステム(100)。
[実施態様9]
前記機器制御器が、
前記燃焼ダイナミクスの振幅が既定の許容限度内であることを判定し、
前記判定に応答して、
燃焼ダイナミクスレベル(505)を低減させるように前記燃料分割の変更(510)を漸増させ、
前記燃焼器のエミッションを制御するように構成されたエミッションアルゴリズムに前記漸増させた燃料分割の変更を提供して、前記エミッションアルゴリズムに前記エミッションを許容エミッション限度内に維持させる
ようにさらに構成される、実施態様8に記載のシステム(100)。
[実施態様10]
前記時間が、前記燃焼器(105)と関連する設置場所の条件、ならびに前記燃焼器(105)と関連する機械のニーズおよびばらつきに基づいて決定される、実施態様8に記載のシステム(100)。
[実施態様11]
燃焼器(105)の燃焼ダイナミクスの調整のための方法(300)であって、
少なくとも1つのセンサ(130)によって、燃焼器(105)と関連する燃焼ダイナミクス振幅データを提供するステップと、
前記少なくとも1つのセンサに通信可能に結合した機器制御器(1000)によって、前記燃焼ダイナミクス振幅データを監視して前記燃焼器(105)の燃焼と関連する音響圧力振幅の少なくとも1つの変化を検出するステップと、
音響圧力振幅の少なくとも1つの変化を検出するステップに応答して、前記機器制御器(1000)によって、前記燃焼器に燃料を供給するように構成された少なくとも2つの燃料回路(120、125)に対する流量比の変更である燃料分割の変更(510)を決定するステップと、
前記機器制御器(1000)によって、前記燃料分割の変更(510)を前記燃焼器(105)に適用するステップと
を含む方法(300)。
[実施態様12]
前記音響圧力振幅の少なくとも1つの変化を検出するステップが、一組の周波数域のうちの少なくとも1つの振動周波数帯域に対する既定のダイナミクス振幅閾レベルを前記少なくとも1つの音響圧力振幅が超えたことを判定するステップを含む、実施態様11に記載の方法(300)。
[実施態様13]
前記燃料分割の変更(510)が、既定の分割の変更の方向、および前記少なくとも1つの振動周波数帯域と関連するデフォルトの振幅からの振幅の変化に基づいて決定される、実施態様12に記載の方法(300)。
[実施態様14]
前記燃料分割の変更の方向が、前記組の周波数域と関連する既定の分割の変更のうちの最小のものに基づいて決定される、実施態様13に記載の方法(300)。
[実施態様15]
前記組の周波数域が、低周波数域から高周波数域までの周波数域を含む、実施態様12に記載の方法(300)。
[実施態様16]
前記既定の振幅閾レベルが、前記燃焼器のタイプ、前記燃焼器内の音響状態、および前記燃焼器(105)の幾何学的形状のうちの少なくとも1つに基づく、実施態様12に記載の方法(300)。
[実施態様17]
前記機器制御器(1000)に結合された少なくとも1つの他のセンサ(135)によって、前記燃焼器(105)と関連するエミッションレベルを提供するステップと
前記機器制御器(1000)によって、前記エミッションレベルが既定のエミッション閾値を超えたことを判定するステップと、
前記判定に基づいて、前記機器制御器(1000)によって、前記エミッションレベルに基づいて前記燃料分割の変更(510)を調節するステップと
をさらに含む実施態様11に記載の方法(300)。
[実施態様18]
前記燃焼器の音響圧力振幅の前記少なくとも1つの変化が除去されるまで、既定の時間、前記分割の変更が漸増的に適用される、実施態様11に記載の方法(300)。
[実施態様19]
前記機器制御器(1000)によって、前記燃焼ダイナミクスデータの振幅が既定の許容限度内であることを判定するステップと、
前記判定に応答して、
前記機器制御器(1000)によって、燃焼ダイナミクスレベルを低減させるように前記燃料分割の変更(510)を漸増させるステップと、
前記機器制御器(1000)によって、前記燃焼器のエミッションを制御するように構成されたエミッションアルゴリズムに前記漸増させた燃料分割の変更を提供して、前記エミッションアルゴリズムに前記エミッションを許容エミッション限度内に維持させるステップと
をさらに含む実施態様18に記載の方法(300)。
[実施態様20]
燃焼器(105)と、
前記燃焼器に燃料を供給するように構成された少なくとも2つの燃料回路(120、125)と、
前記燃焼器と関連する燃焼ダイナミクス振幅データを検出して提供するために、少なくとも1つのセンサ(130)と、
前記少なくとも1つのセンサ(130)と通信可能に結合した機器制御器(1000)であって、
前記燃焼ダイナミクス振幅データを監視し、
前記燃焼ダイナミクスデータに基づいて、前記振動ダイナミクスの少なくとも1つの振幅が、一組の周波数域のうちの少なくとも1つの振動周波数帯域に対する既定のダイナミクス振幅閾レベルを超えたことを検出し、
前記検出に応答して、前記少なくとも1つの振動帯域に基づいて、一次燃料回路(120)と二次燃料回路(125)との間の燃料分割に対する第1の分割の変更(510)を決定し、
前記最終の分割の変更(510)を前記燃料分割に適用し、
前記燃焼ダイナミクスの振幅が既定の許容限度内にあることを判定し、
前記判定に応答して、
燃焼ダイナミクスレベルを低減させるように前記燃料分割の変更を漸増させ、
前記燃焼器のエミッションを制御するように構成されたエミッションアルゴリズムに前記漸増させた燃料分割の変更を提供して、前記エミッションアルゴリズムに前記エミッションを許容エミッション限度内に維持させる
ように構成された機器制御器(1000)と
を備える燃焼ダイナミクスの調整のためのシステム(100)。
【符号の説明】
【0050】
100 燃焼システム
105 燃焼器
110 タービン
115 排気部
120 一次燃料回路
125 二次燃料回路
130 圧力センサ
135 エミッションセンサ
140 修正パラメータ制御(CPC)システム
145 温度センサ
1000 機器制御器
205 システムモジュール
210 システムモジュール
215 システムモジュール
220 システムモジュール
300 方法
302 方法のブロック
304 方法のブロック
306 方法のブロック
308 方法のブロック
400 方法
402 方法のブロック
404 方法のブロック
406 方法のブロック
408 方法のブロック
410 方法のブロック
500 表
505 ダイナミクスレベル
510 分割の変更
600 方法
602 方法のブロック
604 方法のブロック
606 方法のブロック
608 方法のブロック
700 論理
705 論理モジュール
710 論理モジュール
800 プロット
900 プロット
1000 機器制御器
1010 メモリ
1020 プログラム論理
1030 データ
1040 オペレーティングシステム
1050 プロセッサ
1060 データバス
1070 ユーザインターフェース装置
1080 入力/出力インターフェース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10