(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-15
(45)【発行日】2022-07-26
(54)【発明の名称】X線コンピュータ断層撮影装置、及び画像生成装置
(51)【国際特許分類】
A61B 6/03 20060101AFI20220719BHJP
【FI】
A61B6/03 350N
(21)【出願番号】P 2018051229
(22)【出願日】2018-03-19
【審査請求日】2020-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【氏名又は名称】鵜飼 健
(72)【発明者】
【氏名】潟山 一樹
【審査官】亀澤 智博
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-140965(JP,A)
【文献】特開2015-089469(JP,A)
【文献】国際公開第2015/186513(WO,A1)
【文献】特開2011-072825(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0124730(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0086357(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00 - 6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
実行範囲が設定されて要求される再構成処理に基づき、前記実行範囲を限定した再構成処理を表す第1タスクと、前記実行範囲のうち前記限定した範囲を除いた範囲の再構成処理を表す第2タスクとを発生するタスク管理部と、
前記第1タスク及び前記第2タスクが実行される順序を、前記第1タスクを前記第2タスクよりも優先して管理するキュー管理部と、
前記キュー管理部で管理される順序で前記第1タスク及び前記第2タスクを実行する再構成処理部と
を具備
し、
前記再構成処理は、複数の再構成要求について実行され、
前記キュー管理部は、前記複数の再構成要求のうちの2以上の再構成要求それぞれについて、前記第1タスクおよび前記第2タスクを発生し、
前記2以上の再構成要求それぞれの第1タスクの後に、前記2以上の再構成要求それぞれの第2タスクが実行されるように、当該複数の第1タスク及び当該複数の第2タスクの実行順序を管理するX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項2】
所定の要件を満たす再構成処理の要求に基づき、前記再構成処理から負荷を軽減させた処理を表す第1タスクと、前記要求された再構成処理を表す第2タスクとを発生するタスク管理部と、
前記第1タスク及び前記第2タスクが実行される順序を、前記第1タスクを前記第2タスクよりも優先して管理するキュー管理部
と、
前記キュー管理部で管理される順序で前記第1タスク及び前記第2タスクを実行する再構成処理部と
を具備
し、
前記再構成処理は、複数の再構成要求について実行され、
前記キュー管理部は、前記複数の再構成要求のうちの2以上の再構成要求それぞれについて、前記第1タスクおよび前記第2タスクを発生し、
前記2以上の再構成要求それぞれの第1タスクの後に、前記2以上の再構成要求それぞれの第2タスクが実行されるように、当該複数の第1タスク及び当該複数の第2タスクの実行順序を管理するX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項3】
前記タスク管理部は、前記第1タスクに対し、前記第2タスクよりも高い優先度を設定し、
前記キュー管理部は、前記第1タスク及び前記第2タスクが実行される順序を、前記優先度に基づいて管理する請求項1又は2記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項4】
前記第1タスクの実行により作成された画像データに基づく画像を、前記第2タスクの終了前にディスプレイに表示させる表示制御部をさらに具備する請求項1乃至3のいずれかに記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項5】
前記タスク管理部は、複数の再構成処理が要求されると、要求された再構成処理毎に前記第1タスク、及び前記第2タスクを発生し、
前記キュー管理部は、前記第1タスク及び前記第2タスクが実行される順序を、前記要求の発生順序にも基づいて管理する請求項1乃至3のいずれかに記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項6】
前記複数の第1タスクの実行により作成された画像データに基づく複数の画像を、前記複数の第2タスクのうち最初に実行される第2タスクの終了前にディスプレイに表示させる表示制御部をさらに具備し、
前記キュー管理部は、前記画像のいずれかを削除する旨の指示の入力に応じ、前記複数の第2タスクのうち、前記削除の対象となる画像と対応する第2タスクを削除する請求項5記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項7】
前記キュー管理部は、前記複数の第1タスクの実行により作成された画像データの画質が予め設定した条件を満たさない場合、前記条件を満たさない画像データを削除し、前記複数の第2タスクのうち、前記削除した画像データと対応する第2タスクを削除する請求項5記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項8】
前記複数の第1タスクの実行により作成された画像データに基づく複数の画像を、前記複数の第2タスクのうち最初に実行される第2タスクの終了前にディスプレイに表示させる表示制御部をさらに具備し、
前記キュー管理部は、前記画像のいずれかを選択する旨の指示の入力に応じ、前記複数の第2タスクのうち、前記選択の対象となる画像と対応する第2タスクを実行対象とする請求項5記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項9】
前記キュー管理部は、前記画像のいずれかを選択する旨の指示の入力に応じ、前記複数の第2タスクのうち、前記選択の対象となる画像と相関の高い第2タスクを、その他の第2タスクに対して優先させる請求項8記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項10】
前記第1タスクの実行により作成された画像データに基づく画像を、前記第2タスクの終了前にディスプレイに表示させる表示制御部と、
前記画像を転送させる転送要求が入力されると、前記第2タスクの終了後、前記第1タスク及び第2タスクにより作成された画像データを転送する制御部と
をさらに具備する請求項1記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項11】
前記第1タスクの実行により作成された画像データに基づく画像を、前記第2タスクの終了前にディスプレイに表示させる表示制御部と、
前記画像を転送させる転送要求が入力されると、前記第2タスクの終了後、前記第2タスクにより作成された画像データを転送する制御部と
をさらに具備する請求項2記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項12】
前記第1タスクの実行により作成された画像データに基づく画像を、前記第2タスクの終了前にディスプレイに表示させる表示制御部と、
前記画像を保護する保護要求が入力されると、前記第2タスクの終了後、前記第1タスク及び第2タスクにより作成された画像データを保護する制御部と
をさらに具備する請求項1記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項13】
前記第1タスクの実行により作成された画像データに基づく画像を、前記第2タスクの終了前にディスプレイに表示させる表示制御部と、
前記画像を保護する保護要求が入力されると、前記第2タスクの終了後、前記第2タスクにより作成された画像データを保護する制御部と
をさらに具備する請求項2記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項14】
前記表示制御部は、前記画像に対し、前記第2タスクの実行状況を表す情報を表示する請求項4記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項15】
前記タスク管理部は、前記要求される再構成処理が所定の要件を満たす場合、前記再構成処理から負荷を軽減させた処理を表す第3タスクと、前記要求された再構成処理を表す第4タスクとを発生し、
前記キュー管理部は、前記第1タスク乃至前記第4タスクが実行される順序を、前記第3タスクを前記第2タスク及び前記第4タスクよりも優先し、かつ、前記要求の発生順序に基づいて管理し、
前記再構成処理部は、前記キュー管理部で管理される順序で前記第1タスク乃至前記第4タスクを実行する請求項1記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項16】
前記再構成処理が要求されると、前記再構成処理を表す再構成タスクを発生するタスク発生部をさらに具備し、
前記タスク管理部は、前記再構成タスクに基づき、前記第1タスク及び前記第2タスクを発生する請求項1乃至14のいずれかに記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項17】
前記複数の再構成要求は、異なる対象部位に関する再構成要求である、請求項1から請求項16のいずれか1項に記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項18】
実行範囲が設定されて要求される再構成処理に基づいて発生される、前記実行範囲を限定した再構成処理を表す第1タスクと、前記実行範囲のうち前記限定した範囲を除いた範囲の再構成処理を表す第2タスクとが実行される順序を、前記第1タスクを前記第2タスクよりも優先して管理するキュー管理部と、
前記キュー管理部で管理される順序で前記第1タスク及び前記第2タスクを実行する再構成処理部と
を具備
し、
前記再構成処理は、複数の再構成要求について実行され、
前記キュー管理部は、前記複数の再構成要求のうちの2以上の再構成要求それぞれについて、前記第1タスクおよび前記第2タスクを発生し、
前記2以上の再構成要求それぞれの第1タスクの後に、前記2以上の再構成要求それぞれの第2タスクが実行されるように、当該複数の第1タスク及び当該複数の第2タスクの実行順序を管理する画像生成装置。
【請求項19】
前記要求される再構成処理に基づき、第1タスク及び第2タスクを発生するタスク管理部をさらに具備する請求項
18記載の画像生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、X線コンピュータ断層撮影装置、及び画像生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像再構成処理の実行が多数要求された場合、画像再構成処理についての再構成タスクは、再構成のキューに追加される。従来のシステムでは、キューに追加された再構成タスクは、追加された順序で逐次実行される。例えば、1つの再構成タスクがキューに追加され、その後に異なる再構成タスクが追加された場合、先頭の再構成タスクで設定される枚数の再構成画像が作成されるまで、次に追加された再構成タスクは実行されない。そのため、もし、先頭の再構成タスクが完了する前に、次に追加された再構成タスクにより作成される再構成画像を確認したい場合、ユーザは再構成のキューリストを開き、配列されている再構成タスクの順番及び優先度を変更する必要がある。
【0003】
このように、従来のシステムでは、待機中の再構成タスクをキューリストから確認することは可能であるものの、その再構成タスクが実行されて再構成画像が実際に出力されるまで、再構成タスクについて設定された再構成条件が適切であったかを確認することはできない。そのため、検査内で必要としている画像が全部キューイングされているかの確認、及び検査全体を俯瞰して見るには時間がかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで目的は、要求された再構成処理を効率的に実行することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、X線コンピュータ断層撮影装置は、タスク管理部、キュー管理部、及び再構成処理部を備える。タスク管理部は、実行範囲が設定されて要求される再構成処理に基づき、前記実行範囲を限定した再構成処理を表す第1タスクと、前記実行範囲のうち前記限定した範囲を除いた範囲の再構成処理を表す第2タスクとを発生する。キュー管理部は、前記第1タスク及び前記第2タスクが実行される順序を、前記第1タスクを前記第2タスクよりも優先して管理する。再構成処理部は、前記キュー管理部で管理される順序で前記第1タスク及び前記第2タスクを実行する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係るX線CT装置の構成を表す図である。
【
図2】
図2は、要求される再構成処理の例を表す図である。
【
図3】
図3は、
図1に示される処理回路が再構成キューに再構成タスクを追加する際の処理を表すフローチャートである。
【
図4】
図4は、
図1に示されるキュー管理機能により管理されるキューリストを表す図である。
【
図5】
図5は、
図1に示される処理回路が再構成キューに追加された再構成タスクを実行する際の処理を表すフローチャートである。
【
図6】
図6は、
図1に示される処理回路により実行される本再構成タスクを表す図である。
【
図7】
図7は、
図5に示される処理により実行される再構成処理の順序を表す図である。
【
図8】
図8は、
図1に示される処理回路が再構成キューから本再構成タスクを削除する際の処理を表す図である。
【
図9】
図9は、
図1に示される処理回路が再構成キュー内の本再構成タスクの順序を変更する際の処理を表す図である。
【
図10】
図10は、
図1に示される処理回路が再構成キュー内の本再構成タスクの順序を変更する際の処理を表すフローチャートである。
【
図11】
図11は、
図1に示される処理回路が外部からの要求に応じて再構成キュー内の本再構成タスクの順序を変更する処理を表す図である。
【
図12】
図12は、肺の再構成画像に表示される、処理完了のアイコンを表す図である。
【
図13】
図13は、軟組織の再構成画像に表示される、実行中のアイコンを表す図である。
【
図14】
図14は、肝臓の再構成画像に表示される、未実行のアイコンを表す図である。
【
図15】
図15は、
図1に示される処理回路がダミー画像を画像リストに追加する処理を表す図である。
【
図16】
図16は、その他の実施形態に係る画像生成装置を含む医用情報システムを表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るX線CT装置1の構成例を表す図である。第1の実施形態では、非チルト状態での回転フレーム13の回転軸又は寝台装置20の天板23の長手方向をZ軸方向、Z軸方向に直交し、床面に対し水平である軸方向をX軸方向、Z軸方向に直交し、床面に対し垂直である軸方向をY軸方向とそれぞれ定義する。
図1に示されるX線CT装置1は、架台装置10、寝台装置20、及びコンソール装置30を備える。なお、
図1では一管球型のX線CT装置を例として示しているが、これに限定されない。第1の実施形態に係るX線CT装置は、X線管と検出器との複数のペアを回転フレームに搭載した、いわゆる多管球型のX線CT装置であっても構わない。
【0010】
架台装置10は、被検体PにX線を照射してX線検出データを収集する装置である。架台装置10は、X線管11、X線検出器12、回転フレーム13、X線高電圧装置14、制御装置15、ウェッジ16、コリメータ17、及びデータ収集装置(DAS:Data Acquisition System)18を備える。
【0011】
X線管11は、X線高電圧装置14から印加される高電圧により、陰極(フィラメント)から陽極(ターゲット)に向けて熱電子を照射する真空管である。陰極から陽極へ向けて熱電子が照射されることにより、X線管11でX線が発生する。
【0012】
X線検出器12は、X線管11で発生され、ウェッジ16及びコリメータ17により調整されて、被検体Pを通過したX線を検出する。X線検出器12は、検出したX線の線量に対応した電気信号をデータ収集装置18へ出力する。
【0013】
X線検出器12は、例えば、X線管の焦点を中心として1つの円弧に沿ってチャネル方向に複数のX線検出素子が配列された複数のX線検出素子列を有する。X線検出器12は、例えば、X線検出素子列がスライス方向(列方向、row方向)に複数配列された構造を有する。
【0014】
また、X線検出器12は、例えば、グリッド、シンチレータアレイ、及び光センサアレイを有する間接変換型の検出器である。シンチレータアレイは、複数のシンチレータを有し、シンチレータは入射X線量に応じた光子量の光を出力するシンチレータ結晶を有する。グリッドは、シンチレータアレイのX線入射側の面に配置され、散乱X線を吸収する機能を有するX線遮蔽板を有する。光センサアレイは、シンチレータで発生された光を、その光量に応じた電気信号に変換する、例えば、光電子増倍管(PMT:フォトマルチプライヤー)等の光センサを有する。
【0015】
なお、X線検出器12は、入射したX線を電気信号に変換する半導体素子を有する直接変換型の検出器であっても構わない。
【0016】
回転フレーム13は、X線管11とX線検出器12とを対向支持し、後述する制御装置15からの制御に従い、X線管11とX線検出器12とを回転させる円環状のフレームである。回転フレーム13は、X線管11とX線検出器12とに加え、X線高電圧装置14及びデータ収集装置18をさらに支持する。データ収集装置18が生成した検出データは、回転フレーム13に設けられた発光ダイオードを有する送信機から光通信によって架台装置10の非回転部分に設けられた、フォトダイオードを有する受信機に送信される。架台装置10の非回転部分は、例えば、回転フレーム13を回転可能に支持する固定フレーム(図示せず)である。検出データは、受信機からコンソール装置30へ転送される。なお、回転フレーム13から架台装置10の非回転部分への検出データの送信方法は、光通信に限らず、非接触型のデータ伝送であれば如何なる方式を採用しても構わない。
【0017】
X線高電圧装置14は、高電圧発生装置及びX線制御装置を有する。高電圧発生装置は、変圧器(トランス)及び整流器等の電気回路を有し、X線管11に印加する高電圧を発生する機能を有する。高電圧発生装置が高電圧を発生する方式は、変圧器方式であっても、インバータ方式であっても構わない。X線制御装置は、X線管11が発生するX線に応じた電圧を供給するように高電圧発生装置を制御する。X線高電圧装置14は、回転フレーム13に設けられても、架台装置10の固定フレーム側に設けられても構わない。
【0018】
制御装置15は、架台装置10及び寝台装置20の動作を制御するプロセッサ、並びに、モータ及びアクチュエータ等の駆動機構を有する。制御装置15は、コンソール装置30に設けられている入力インタフェース33からの入力信号を受け、架台装置10及び寝台装置20の動作を制御する。例えば、制御装置15は、入力信号に応じ、架台装置10の回転フレーム13を回転させる制御、並びに、寝台装置20を動作させる制御を実施する。また、制御装置15は、架台装置10に設けられている入力インタフェースからの入力信号を受け、架台装置の動作を制御する。例えば、制御装置15は、架台装置10に設けられている入力インタフェースにから入力される傾斜角度(チルト角度)情報に従ってX軸方向に平行な軸を中心に回転フレーム13を回転させることで、架台装置10をチルトさせる制御を実施する。制御装置15は、架台装置10に設けられても、コンソール装置30に設けられても構わない。
【0019】
ウェッジ16は、X線管11から照射されたX線の線量を調節するためのフィルタである。具体的には、ウェッジ16は、X線管11から被検体Pへ照射されるX線が、予め定められた分布になるように、X線管11から照射されたX線を透過させて減衰させるフィルタである。例えば、ウェッジ16(ウェッジフィルタ(wedge filter)、ボウタイフィルタ(bow-tie filter))は、所定のターゲット角度、及び所定の厚みとなるようにアルミニウムを加工したフィルタである。
【0020】
コリメータ17は、ウェッジ16を透過したX線の照射範囲を絞り込むための鉛板等である。コリメータ17は、複数の鉛板等が組み合わされることによりスリットを形成する。
【0021】
データ収集装置18は、X線検出器12に設けられる各X線検出素子から出力される電気信号に対して増幅処理を行う増幅器と、電気信号をデジタル信号に変換するA/D変換器とを有し、検出データを生成する。データ収集装置18が生成した検出データは、回転フレーム13を経てコンソール装置30へ転送される。
【0022】
寝台装置20は、スキャン対象の被検体Pを載置し、移動させる装置である。寝台装置20は、基台21、寝台駆動装置22、天板23、及び支持フレーム24を備える。基台21は、支持フレーム24を鉛直方向に移動可能に支持する筐体である。寝台駆動装置22は、被検体Pが載置された天板23を、天板23の長軸方向に移動させるモータ又はアクチュエータである。天板23は、被検体Pが載置される板であり、支持フレーム24の上面に設けられる。なお、寝台駆動装置22は、天板23に加え、支持フレーム24も天板23の長軸方向に移動してもよい。
【0023】
コンソール装置30は、ユーザによるX線CT装置1の操作を受け付けると共に、架台装置10によって収集された検出データから再構成画像データを再構成する装置である。コンソール装置30は、
図1に示されるように、メモリ31、ディスプレイ32、入力インタフェース33、通信インタフェース34、及び処理回路35を備える。
【0024】
メモリ31は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、並びに、光ディスク等により実現される。メモリ31は、例えば、制御装置15がその機能を実現するためのプログラム、及び処理回路35がその機能を実現するためのプログラム等を記憶している。
【0025】
また、メモリ31は、例えば、検出データを収集する際のスキャン条件、再構成画像データを再構成する際の再構成条件、及び再構成画像データに対して画像処理を施す際の画像処理条件等を記憶する。また、メモリ31は、例えば、検出データに対して前処理が施されることで得られる投影データ、投影データに対して再構成処理が施されることで得られる再構成画像データ、及び再構成画像データを画像処理することで得られる医用画像データ等を記憶する。
【0026】
ディスプレイ32は、各種の情報を出力する出力インタフェースの一例である。例えば、ディスプレイ32は、医用画像データに基づく医用画像、及びユーザからの各種操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)等を、処理回路35からの指示に基づいて表示する。ディスプレイ32は、例えば、液晶ディスプレイ、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDディスプレイ、及びプラズマディスプレイ等である。
【0027】
入力インタフェース33は、ユーザからの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路35へ出力する。例えば、入力インタフェース33は、スキャン条件、再構成条件、及び画像処理条件等をユーザから受け付ける。入力インタフェース33は、例えば、マウス、キーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、及びジョイスティック等により実現される。
【0028】
通信インタフェース34は、例えば、病院内ネットワークと接続する。通信インタフェース34は、例えば、病院内ネットワークを介して画像保管装置と、投影データ及び再構成画像データ等を送受信する。
【0029】
処理回路35は、X線CT装置1全体の動作を制御するプロセッサである。処理回路35は、メモリ31に記憶されているプログラムを実行することで、実行したプログラムに対応する機能を実現する。例えば、処理回路35は、システム制御機能351、前処理機能352、タスク発生機能353、タスク管理機能354、キュー管理機能355、再構成処理機能356、画像処理機能357、及び表示制御機能358を実行する。
【0030】
システム制御機能351は、スキャンを実行するためにX線CT装置1を制御する機能である。このとき、処理回路35は、例えば、入力インタフェース33により入力されたスキャン条件に基づいてX線CT装置1を制御する。スキャン条件は、例えば、スキャン毎に設定され、管電圧、管電流、X線曝射時間等についての情報が含まれる。スキャン条件の設定の際に、例えば、再構成条件も設定される。再構成条件には、例えば、再構成関数の種類、フィルタのオン/オフ、スライス厚、再構成間隔、再構成範囲、表示FOV(表示視野)のサイズ、表示FOVの中心位置、及びこれらの設定値とスキャン範囲とから導かれる画像枚数等についての情報が含まれる。設定されたスキャン条件、及び再構成条件は、メモリ31に記憶される。
【0031】
前処理機能352は、データ収集装置18により生成された検出データを補正する機能である。この補正は、例えば、対数変換処理、オフセット補正処理、チャネル間の感度補正処理、及びビームハードニング補正処理等である。本実施形態では、前処理が施された検出データを投影データと称する。
【0032】
タスク発生機能353は、再構成タスクを発生する機能である。本実施形態において、再構成タスクとは、要求毎に対応する再構成処理を表す。処理回路35は、例えば、前処理機能352により投影データが生成され、入力インタフェース33を介してユーザから再構成処理が要求されると、タスク発生機能353を実行する。タスク発生機能353において処理回路35は、設定されている再構成条件等に基づき、再構成タスクを発生させる。処理回路35は、発生した再構成タスクに関する情報をメモリ31に記憶する。
【0033】
タスク管理機能354は、再構成タスクに基づき、リファレンスタスク、及び本再構成タスクを発生する機能である。本実施形態において、リファレンスタスクは、第1タスクであり、再構成タスクにより実行される再構成処理のうち、任意の位置の小範囲の再構成処理を表す。また、本再構成タスクは、第2タスクであり、再構成タスクにより実行される再構成処理のうち、リファレンスタスクにより実行される再構成処理を除く再構成処理を表す。処理回路35は、例えば、タスク発生機能353により再構成タスクが発生されると、タスク管理機能354を実行する。タスク管理機能354において処理回路35は、メモリ31に記憶されている再構成条件を参照し、発生された再構成タスクに基づき、リファレンスタスク、及び本再構成タスクを発生する。例えば、処理回路35は、再構成タスクの再構成条件の再構成範囲を所定の小範囲に書き換えることでリファレンスタスクを発生する。また、処理回路35は、再構成タスクの再構成条件の再構成範囲を、リファレンスタスクで設定した再構成範囲を除く範囲に書き換えることで本再構成タスクを発生する。処理回路35は、同一の再構成タスクに基づいて発生させたリファレンスタスク及び本再構成タスクに、同一の再構成タスクから発生したことを識別する識別情報を付すことで、リファレンスタスク及び本再構成タスクを互いに紐付ける。リファレンスタスクの優先度は、本再構成タスクの優先度よりも高く設定されている。すなわち、リファレンスタスクは、本再構成タスクよりも優先的に実行される。処理回路35は、再構成条件及び識別情報をリファレンスタスクに関する情報、及び本再構成タスクに関する情報としてメモリ31に記憶する。
【0034】
キュー管理機能355は、要求された再構成タスクの実行順序を、要求の発生順序とそれぞれの優先度とに基づいて決定する機能である。処理回路35は、例えば、リファレンスタスク、及び本再構成タスクが発生すると、キュー管理機能355を実行する。キュー管理機能355において処理回路35は、再構成キュー(待ち行列)を更新し、発生されたリファレンスタスク、及び本再構成タスクを再構成キューへ追加する。このとき、リファレンスタスクは、再構成キューに含まれるリファレンスタスクの最後尾に追加され、本再構成タスクは、再構成キューに含まれる本再構成タスクの最後尾に追加される。
【0035】
また、処理回路35は、キュー管理機能355において、再構成キュー内の先頭のタスクから順番に実行させる。処理回路35は、実行が終了したリファレンスタスク、及び本再構成タスクの状態を処理済みとする。
【0036】
再構成処理機能356は、前処理機能352で生成された投影データに対して、要求された再構成タスクを実行する機能である。処理回路35は、キュー管理機能355で管理される順序で、再構成タスクを実行する。処理回路35は、例えば、フィルタ補正逆投影法、及び逐次近似再構成法等を用い、投影データに基づいてCT画像データを生成する。
【0037】
画像処理機能357は、入力インタフェース33を介してユーザから受け付けた入力操作に従い、再構成処理機能356によって生成された再構成画像データに基づき、ユーザが所望する態様の医用画像データを生成する機能である。処理回路35は、例えば、公知の方法により、CT画像データを任意断面の断層像データ、及び3次元画像データに変換する。
【0038】
表示制御機能358は、画像処理機能357により生成された医用画像データに基づく画像を表示するようにディスプレイ32を制御する機能である。
【0039】
次に、上記のように構成されるX線CT装置1におけるタスク発生機能353、タスク管理機能354、キュー管理機能355、及び再構成処理機能356の処理について具体的に説明する。なお、以下の説明では、
図2に示されるように、X線CT装置1により、胸腹部の検査が実施され、肺(Lung)、軟組織(Soft tissue)、肝臓(Liver)、心臓(Cardiac)それぞれの再構成画像を取得するための要求が入力される場合を例に説明する。
【0040】
図3は、
図1に示される処理回路が再構成キューに再構成タスクを追加する際の処理の例を表すフローチャートである。
まず、胸腹部の撮影が完了すると、入力インタフェース33を介してユーザから再構成処理の要求が入力される(ステップS31)。再構成処理の要求が入力されると、処理回路35は、タスク発生機能353を実行する。タスク発生機能353において処理回路35は、スキャンと紐付けられている再構成条件をメモリ31から読み出し、再構成条件に従った再構成タスクを発生する(ステップS32)。例えば、再構成条件に従い、肺の再構成タスク、軟組織の再構成タスク、肝臓の再構成タスク、及び心臓の再構成タスクが、例えば、この順序で発生する。
【0041】
再構成タスクが発生すると処理回路35は、タスク管理機能354を実行する。タスク管理機能354において処理回路35は、要求された再構成タスクに基づき、リファレンスタスク、及び本再構成タスクを発生する(ステップS33)。具体的には、処理回路35は、ステップS2で、肺の再構成タスクが発生すると、肺の再構成タスクに関する再構成条件をメモリ31から読み出す。処理回路35は、再構成条件の一部、例えば、再構成範囲を書き換え、肺のリファレンスタスク、及び肺の本再構成タスクを発生させる。例えば、肺の再構成条件における再構成範囲を、この範囲の先頭から数mm、又は肺が含まれる位置から数mmへ書き換え、肺のリファレンスタスクを発生させる。また、肺の再構成条件における再構成範囲を、リファレンスタスクで設定した再構成範囲を除く範囲へ書き換え、肺の本再構成タスクを発生させる。また、処理回路35は、発生させた肺のリファレンスタスク及び肺の本再構成タスクを、それぞれに識別情報を付すことで紐付ける。
【0042】
処理回路35は、タスク管理機能354において、肺の再構成タスクの後に発生する軟組織の再構成タスク、肝臓の再構成タスク、及び心臓の再構成タスクに基づき、それぞれリファレンスタスク、及び本再構成タスクを発生させる。
【0043】
リファレンスタスク、及び本再構成タスクが発生すると処理回路35は、キュー管理機能355を実行する。キュー管理機能355において処理回路35は、リファレンスタスク及び本再構成タスクの発生順序と、リファレンスタスクと本再構成タスクとの優先度の差とに基づき、リファレンスタスク及び本再構成タスクの実行順序を決定する(ステップS34)。具体的には、処理回路35は、肺のリファレンスタスク、及び肺の本再構成タスクが発生すると、再構成キューを更新し、肺のリファレンスタスクを再構成キューの先頭に追加し、肺のリファレンスタスクの後に肺の本再構成タスクを追加する。続いて、軟組織、肝臓、及び心臓のリファレンスタスク及び本再構成タスクが発生すると、処理回路35は、肺のリファレンスタスクの後に、軟組織、肝臓、心臓の順にそれぞれのリファレンスタスクを追加する。そして、処理回路35は、肺の本再構成タスクの後に、軟組織、肝臓、心臓の順にそれぞれの本再構成タスクを追加する。
【0044】
図4は、
図1に示されるキュー管理機能355により管理されるキューリストの例を表す図である。
図4によれば、肺、軟組織、肝臓、及び心臓のリファレンスタスク及び本再構成タスクが、要求の発生順序、及びタスクの優先度に従って配列されている。なお、
図4によれば、再構成キューの先頭に配列される肺のリファレンスタスクが実行中(Active)となっている。
【0045】
図5は、
図1に示される処理回路が再構成キューに追加された再構成タスクを実行する際の処理の例を表すフローチャートである。
処理回路35は、キュー管理機能355により、再構成キューの先頭に配列されるリファレンスタスク又は本再構成タスクを実行対象とする(ステップS51)。処理回路35は、再構成処理機能356により、実行対象のリファレンスタスク又は再構成タスクに関する情報をメモリ31から読み出し、読み出した再構成条件に従い、投影データに対して再構成処理を実行する(ステップS52)。
【0046】
図4によれば、まず、再構成キューの先頭に配列される肺のリファレンスタスクが実行される。肺のリファレンスタスクが実行されることにより再構成画像データが順次作成され、作成された再構成画像データは、表示制御機能358により、再構成画像として順次画像リストに加えられる。再構成条件に基づいて導出される画像枚数、
図4によれば5枚に達すると、肺のリファレンスタスクは終了する。
【0047】
再構成処理が終了すると処理回路35は、キュー管理機能355により、終了したリファレンスタスク又は本再構成タスクの状態を処理済みとする(ステップS53)。
図4によれば、処理が終了した肺のリファレンスタスクの状態を処理済みとする。
【0048】
続いて、処理回路35は、キュー管理機能355により、再構成キューにリファレンスタスク又は本再構成タスクが残っているか否かを確認し(ステップS54)、残っている場合(ステップS54のYes)、残っているリファレンスタスク又は本再構成タスクの順序を一つ繰り上げる(ステップS55)。そして、処理回路35は、処理をステップS51から繰り返す。
【0049】
図4によれば、2番目に配列されていた軟組織のリファレンスタスクが先頭に繰り上げられる。そして、軟組織のリファレンスタスクを実行対象として再構成処理が実施される。
【0050】
軟組織、肝臓、及び心臓のリファレンスタスクが終了すると、次に肺の本再構成タスクが実行される。肺の本再構成タスクの実行により再構成画像データが順次作成される。作成された再構成画像データは、表示制御機能358により、再構成画像として、紐付けられているリファレンスタスクにより作成された再構成画像が管理される画像リストに順次追加される。このとき、本再構成タスクにより作成された再構成画像データと、リファレンスタスクにより作成された再構成画像データとには、作成されたタスクによる差はない。つまり、本再構成タスクにより作成された再構成画像は、リファレンスタスクにより作成された再構成画像と一体の画像となる。
図6は、
図1に示される処理回路35により実行される本再構成タスクの例を表す図である。
図6によれば、本再構成タスク処理中に作成される再構成画像は随時、先行作成された再構成画像のシリーズに連結される。再構成画像シリーズについては連続的なめくり表示、及びMPRの作成等が可能である。肺の本再構成タスクは、再構成条件に基づいて導出される画像枚数、
図4によれば635枚に達すると終了する。
【0051】
処理回路35は、再構成キュー内のリファレンスタスク及び本再構成タスクがなくなるまで
図5に示される処理を繰り返し、再構成キューからリファレンスタスク及び本再構成タスクがなくなった場合(ステップS54のNo)、処理を終了させる。
【0052】
図7は、
図5に示される処理により実行される再構成処理の順序の例を表す図である。
図7において、矢印は再構成処理の実行順序を表す。
図7によれば、
図5に示される処理により、画像枚数の少ないリファレンスタスクが最初に実行され、その後に本再構成タスクが実行されることがわかる。
【0053】
以上のように、本実施形態では、処理回路35は、再構成処理が要求されると、要求に基づき、再構成処理を実行する範囲が限定されたリファレンスタスクと、その他の範囲について再構成処理を実行する本再構成タスクとを発生させる。処理回路35は、リファレンスタスクを、本再構成タスクよりも高い優先度で、再構成キューに追加する。そして、処理回路35は、再構成キューに貯められるリファレンスタスクを、本再構成タスクよりも先に実行させるようにしている。これにより、各再構成画像の概要を、先行する再構成処理を待たずに確認することが可能となる。このように、逐次再構成処理を行うのに比べ、リファレンスタスクで生成された再構成画像を最初に確認できるので、全体の再構成処理を待つことなく、条件設定の誤り、及び撮影のやり直し等が判断できる。
【0054】
したがって、本実施形態に係るX線CT装置1によれば、要求された再構成処理を効率的に実行することができる。また、本再構成タスクが実施される前に、本再構成タスクの中止、及び再構成処理の再設定を行うことができるため、再構成処理機能356の効率的な稼働、及び検査トータルのスループットが向上し、ワークフローの改善につながる。
【0055】
また、リファレンスタスクが本再構成タスクよりも先に実行されることで、要求された再構成処理毎に少なくとも1枚以上の再構成画像が、本再構成タスクの実行よりも前に作成されることになる。つまり、リファレンスタスクが完了すれば、検査に必要な画像が全てキューイングされているか否かを確認でき、また、検査全体を俯瞰することができる。換言すると、再構成処理全体を待つことなく、検査全体の画像一覧を見ることができ、再構成要求を出した数等を容易に把握できるようになる。
【0056】
また、リファレンスタスクにより再構成画像が作成されると、処理回路35は、作成された再構成画像を利用し、以下の処理を実行する。
【0057】
(再構成キューからの本再構成タスクの削除)
処理回路35は、キュー管理機能355により、作成された再構成画像の良し悪しに応じ、再構成キューに蓄積されている本再構成タスクを削除するか否かを判断する。具体的には、リファレンスタスクが終了すると、リファレンスタスクで作成された所定枚数の再構成画像が画像リストにアップされる。ユーザは、画像リストに表示される再構成画像を確認する。なお、ユーザによる再構成画像の確認は、画像リスト上での確認に限定されない。ユーザは、再構成画像の詳細を表示させるためのビューポートで表示される再構成画像を確認してもよい。
【0058】
ユーザは、表示されている再構成画像が適切であるか否かを判断する。ユーザは、表示されている再構成画像が不適切であると判断すると、作成された再構成画像を画像リストから削除する指示を、入力インタフェース33を介して入力する。なお、再構成画像が不適切であるとは、例えば、画像中にノイズが存在する等、画質が悪いこと、及び、ROIの位置が正しくないこと等である。再構成画像が不適切であるとは、再構成条件が妥当でないと換言することも可能である。処理回路35は、ユーザからの入力に従い、表示制御機能358により、画像リストから再構成画像を削除する。画像リストから再構成画像を削除すると、処理回路35は、キュー管理機能355により、削除した再構成画像と対応する本再構成タスクを検索する。ここで、対応するとは、例えば、リファレンスタスクと本再構成タスクとが紐付けられていることを表す。なお、本再構成タスクの再構成条件と、リファレンスタスクの再構成条件とがほぼ同一であることを表しても構わない。処理回路35は、検索により発見した本再構成タスクが、実行中であるか否かを判断する。処理回路35は、発見した本再構成タスクが実行中である場合、実行中の本再構成タスクを停止させた後、その本再構成タスクを再構成キューから削除する。発見した本再構成タスクが実行中でない場合、処理回路35は、発見した本再構成タスクを再構成キューから削除する。
【0059】
図8は、
図1に示される処理回路が再構成キューから本再構成タスクを削除する際の処理の例を表す模式図である。
図8によれば、肺の本再構成タスクの実行中に、画像リストに表示されている、軟組織について作成された再構成画像を削除するようにユーザから指示が入力される。処理回路35は、軟組織の再構成画像に対して削除指示が入力されると、画像リストから軟組織の再構成画像を削除し、再構成キューから軟組織の本再構成タスクを削除する。これにより、再構成キューには、実行中の肺の本再構成タスクと、未実行の肝臓、及び心臓の本再構成タスクとが配列されることになる。
【0060】
このように、画像リストからの再構成画像の削除と連結し、この再構成画像と対応する本再構成タスクが再構成キューから削除される。再構成画像と本再構成タスクとを連動して処理することにより、ユーザがキューリストを使用する頻度が少なくなる。このため、ユーザは、再構成キューに蓄積されているタスクを直感的に操作することが可能となる。また、キューの概念を理解しなくとも、アウトプットデータを基に操作することが可能になるため、作業者の経験によらず、分かりやすい操作性を提供できる。
【0061】
なお、再構成キューから本再構成タスクを削除する処理は上記に限定されない。例えば、リファレンスタスクの実行により作成された再構成画像を、画像リストに表示しなくても構わない。具体的には、処理回路35は、キュー管理機能355により、リファレンスタスクの実行により作成された再構成画像データに基づき、画像SD等の画質を表す情報を取得する。処理回路35は、画質を表す情報が予め設定した条件を満たさない場合、再構成画像の画質が悪い、すなわち、再構成画像が適切でないと判断し、作成された再構成画像データを削除すると共に、削除した再構成画像データと対応する本再構成タスクを検索する。処理回路35は、検索により発見した本再構成タスクが、実行中であるか否かを判断する。処理回路35は、発見した本再構成タスクが実行中である場合、実行中の本再構成タスクを停止させた後、その本再構成タスクを再構成キューから削除する。発見した本再構成タスクが実行中でない場合、処理回路35は、発見した本再構成タスクを再構成キューから削除する。
(再構成キュー内の本再構成タスクの順序変更)
処理回路35は、キュー管理機能355により、作成された再構成画像に対するユーザの行動に応じ、再構成キューに蓄積されている本再構成タスクの順序を変更する。具体的には、全てのリファレンスタスクが終了すると、各リファレンスタスクで作成された所定枚数の再構成画像が画像リストにアップされる。ユーザは、画像リストに表示される再構成画像のいずれかを選択する指示を、入力インタフェース33を介して入力する。なお、表示される再構成画像のいずれかを選択する指示には、例えば、表示される再構成画像のいずれかをビューポートで表示させる指示が含まれる。再構成画像をビューポートで表示させる指示は、例えば、画像リストに表示される再構成画像をドラッグし、ビューポート領域でドロップする行為によっても実現される。
【0062】
処理回路35は、表示される再構成画像のいずれかが選択されると、キュー管理機能355により、選択された再構成画像と対応する本再構成タスクを検索する。処理回路35は、検索により発見した本再構成タスクが、実行中であるか否かを判断する。処理回路35は、発見した本再構成タスクが実行中である場合、そのままの状態を維持する。発見した本再構成タスクが実行中でない場合、処理回路35は、実行中の本再構成タスクを停止した後、発見した本再構成タスクを再構成キューの先頭へ移動させる。
【0063】
図9は、
図1に示される処理回路35が再構成キュー内の本再構成タスクの順序を変更する際の例を表す模式図である。
図9によれば、肺の再構成画像がビューポートで表示される場合、肺の本再構成タスクの実行が継続される。一方、肝臓の再構成画像がビューポートで表示される場合、肺の本再構成タスクが途中で停止され、肝臓の本再構成タスクが再構成キューの先頭へ移動され、優先して実行されることになる。
【0064】
このように、画像リストに表示される再構成画像が選択されると、対応する本再構成タスクの優先度が上がる。このため、ユーザは、再構成キューに蓄積されているタスクを直感的に操作することが可能となる。
【0065】
なお、画像リストに表示される再構成画像の選択は、上記に限定されない。例えば、ビューポートに表示される再構成画像に対して所定のアクションが加えられた際に、再構成画像が選択されたと扱うようにしても構わない。ビューポートに表示される再構成画像に対するアクションには、例えば、ビューポートで表示される再構成画像に対するめくる等の行為が含まれる。
図10は、
図1に示される処理回路がビューポートで表示される再構成画像に対するアクションに応じ、再構成キュー内の本再構成タスクの順序を変更する際の処理の例を表すフローチャートである。
【0066】
処理回路35は、再構成画像をビューポートで表示させる指示を受け付けると、表示制御機能358により、再構成画像をビューポートで表示する(ステップS101)。処理回路35は、ビューポートで表示される再構成画像に対してめくる等のアクションがユーザから与えられたか否かを判断する(ステップS102)。処理回路35は、ビューポートで表示される再構成画像に対して所定のアクションがユーザから与えられると(ステップS102のYes)、キュー管理機能355により、選択された再構成画像と対応する本再構成タスクを検索する(ステップS103)。一方、処理回路35は、ビューポートで表示される再構成画像に対するユーザのアクションがない場合(ステップS102のNo)、処理を終了させる。
【0067】
処理回路35は、検索により発見した本再構成タスクが、実行中であるか否かを判断する(ステップS104)。処理回路35は、発見した本再構成タスクが実行中である場合(ステップS104のYes)、処理を終了させる。一方、処理回路35は、発見した本再構成タスクが実行中でない場合(ステップS104のNo)、実行中の本再構成タスクを停止した後、発見した本再構成タスクを再構成キューの先頭へ移動させる(ステップS105)。
【0068】
また、処理回路35は、ユーザから画像リストに表示される再構成画像のいずれかを選択する指示が入力されると、選択された再構成画像と相関の高い本再構成タスクを再構成キューの上位へ移動させるようにしてもよい。具体的には、処理回路35は、画像リストに表示される再構成画像のいずれかが選択されると、キュー管理機能355により、選択された再構成画像と対応する第1の本再構成タスクを検索し、かつ、この第1の本再構成タスクと相関の高い第2の本再構成タスクを検索する。処理回路35は、相関が高いか否かを、例えば、再構成条件の類似度に基づいて判断する。また、処理回路35は、再構成タスクの再構成条件に含まれる特定のパラメータの関連性に基づいて相関が高いか否かを判断してもよい。特定パラメータの関連性は、例えば、メモリ31に記憶されているルックアップテーブル(LUT)等に予め登録されており、処理回路35が必要に応じて参照可能とすると好適である。処理回路35は、検索により発見した第1の本再構成タスクを再構成キューの先頭へ移動させ、第2の本再構成タスクを再構成キューの上位、例えば、2番目へ移動させる。例えば造影前後の再構成画像のように、画像間の相関が高い場合、臨床アプリケーション及び読影でペアとして扱われる可能性が高い。注目する再構成画像と相関の高い本再構成タスクの実行を早めることで、臨床アプリケーションの実行、及び読影の開始等、次の行動を迅速に開始することが可能となる。
【0069】
なお、処理回路35は、相関の高い第2の本再構成タスクを自身で検索しなくても構わない。例えば、処理回路35は、再構成画像に対して所定の臨床アプリケーションを実行する外部の解析装置と、通信インタフェース34を介して接続している。解析装置は、臨床アプリケーションを実行するのに、例えば造影前後等の、2つの再構成画像が必要であるにも関わらず、一方の再構成画像しか受信できていない場合、他方の再構成画像の要求信号を送信する。処理回路35は、キュー管理機能355により、解析装置からの要求信号を受信すると、要求された再構成画像についての本再構成タスクの再構成キュー内の順序を変更する。
【0070】
図11は、
図1に示される処理回路が外部からの要求に応じ、再構成キュー内の本再構成タスクの順序を変更する際の処理の例を表す模式図である。
図11によれば、外部に存在する、例えば解析装置から、心臓の再構成画像が要求される。処理回路35は、要求された心臓の本再構成タスクを再構成キューの先頭へ移動させ、心臓の本再構成タスクを優先して実行させる。
【0071】
(再構成画像の転送設定及び保護設定)
処理回路35は、システム制御機能351において、本再構成タスクにより作成される再構成画像に対して転送設定及び保護設定を行う。具体的には、全てのリファレンスタスクが終了すると、各リファレンスタスクで作成された所定枚数の再構成画像が画像リストにアップされる。ユーザは、画像リストに表示される再構成画像を確認し、再構成画像が適切であれば、本再構成タスクの実行中、及び未実行に関わらず、適切な再構成画像に対して転送要求を、入力インタフェース33を介して入力する。処理回路35は、同一の本再構成タスクにより作成される再構成画像が画像リストに追加される度に、追加される再構成画像に対して転送フラグを立てる。処理回路35は、当該本再構成タスクが終了すると、転送フラグが付されている再構成画像をまとめて送信先へ転送する。
【0072】
また、ユーザは、画像リストに表示される再構成画像を確認し、再構成画像が適切であれば、本再構成タスクの実行中、及び未実行に関わらず、適切な再構成画像に対して保護要求を、入力インタフェース33を介して入力する。処理回路35は、同一の本再構成タスクにより作成される再構成画像が画像リストに追加される度に、追加される再構成画像に対して保護フラグを立てる。処理回路35は、当該本再構成タスクが終了すると、保護フラグが付されている再構成画像に対してまとめてプロテクト処理を実施する。
【0073】
このように、リファレンスタスクにより作成された再構成画像に対し、転送要求及びプロテクト要求等を行うことで、本再構成タスクの終了後に転送処理及びプロテクト処理等の後処理が実行されることになる。これにより、特殊なオブジェクト又は連動を行わずに、作業待ちを低減することが可能となる。
【0074】
(本再構成タスクの実施状況の表示)
処理回路35は、表示制御機能358により、リファレンスタスクにより作成されて画像リストに表示されている再構成画像に対し、本再構成タスクの実行状況を表す情報を表示する。具体的には、全てのリファレンスタスクが終了すると、各リファレンスタスクで作成された再構成画像が画像リスト上で表示される。処理回路35は、対応する本再構成タスクが完了、実行中、又は未実行であることを表すアイコンを、リファレンスタスクで作成された再構成画像上に表示する。
図12は、肺の再構成画像に表示される、処理完了のアイコンの例を表す図である。
図13は、軟組織の再構成画像に表示される、実行中のアイコンの例を表す図である。
図14は、肝臓の再構成画像に表示される、未実行のアイコンの例を表す図である。
【0075】
なお、再構成画像に表示される情報はアイコンに限定されない。本再構成タスクの実行状況を表す数値、及び実行状況に応じて変化するアイコン等であっても構わない。
【0076】
(その他の実施形態)
第1の実施形態では、リファレンスタスクで作成された再構成画像と、本再構成タスクで作成された再構成画像とは、同一の画像再構成手法により再構成される場合を例に説明した。しかしながら、これに限定されない。画像再構成手法には、逐次近似再構成法(IR)、及び金属アーチファクト除去処理(MAR)等、処理に時間のかかる手法がある。また、再構成処理を実行するのに、予め設定された所定の範囲のデータが必要となる手法もある。これらのような手法が再構成条件で設定されている場合、再構成処理の範囲を制限したリファレンスタスクであっても、再構成画像を作成するのに時間がかかってしまう。そこで、処理回路35は、タスク管理機能354において、リファレンスタスクの処理に一定以上の時間がかかると予想される場合、要求される再構成条件とは異なる条件のリファレンスタスクを発生させる。
具体的には、撮影が完了すると、入力インタフェース33を介してユーザから再構成処理の要求が入力される。再構成処理の要求が入力されると、処理回路35は、タスク発生機能353により、スキャンと紐付けられている再構成条件をメモリ31から読み出し、再構成条件に従った再構成タスクを発生する。再構成タスクが発生すると処理回路35は、タスク管理機能354により、発生した再構成タスクの再構成条件をメモリ31から読み出す。処理回路35は、読み出した再構成条件に、予め設定される手法、例えばIR及びMARが含まれているか否かを判断する。再構成条件に予め設定される手法が含まれている場合、処理回路35は、再構成タスクに関する再構成条件の再構成範囲を限定された範囲に書き換えると共に、画像再構成手法を負荷が軽い、例えばフィルタ補正逆投影法に書き換えることで、リファレンスタスク(第3タスク)を発生させる。また、処理回路35は、再構成タスクと同一の再構成条件の本再構成タスク(第4タスク)を発生させる。リファレンスタスク、及び本再構成タスクが発生すると処理回路35は、キュー管理機能355により、リファレンスタスク及び本再構成タスクを再構成キューに追加する。
【0077】
リファレンスタスクが実行されると、処理を軽減させたダミー画像が画像リストに暫定的に追加される。リファレンスタスクの後に実行される本再構成タスクでは、要求された再構成手法に則った再構成画像が最初から作成され、作成された再構成画像が画像リストに追加される。そして、ダミー画像は、本再構成タスクが終了すると画像リストから削除される。
【0078】
図15は、
図1に示される処理回路35がダミー画像を画像リストに追加する処理の例を表す模式図である。
図15によれば、軟組織について、画像再構成手法が変更されたリファレンスタスクが再構成キューに蓄積されている。処理回路35は、軟組織のリファレンスタスクを実行することでダミー画像を作成する。処理回路35は、ダミー画像と、本再構成タスクを実行することで作成された再構成画像とを区別して管理する。処理回路35は、本再構成タスクが終了すると、ダミー画像を削除する。
【0079】
なお、処理回路35で発生されるリファレンスタスクは、予め設定される代替画像を生じさせるものであってもよい。こうすることで、リファレンスタスクが実行されることにより、代替画像としてのダミー画像が画像リストに暫定的に追加されることになる。
【0080】
リファレンスタスクの実行によりダミー画像が作成されるように設定することにより、時間がかかる画像再構成手法が設定されている場合であっても、その再構成処理の完了を待たずに、各再構成画像の概要を確認することが可能となる。
また、第1の実施形態では、例えば、ヘリカルスキャンモードにおける再構成処理を想定し、タスク管理機能354における処理回路35は、再構成タスクの再構成条件の再構成範囲を所定の小範囲に書き換えることでリファレンスタスクを発生し、再構成タスクの再構成条件の再構成範囲を、リファレンスタスクで設定した再構成範囲を除く範囲に書き換えることで本再構成タスクを発生するとの具体例を挙げている。しかしながら、第1の実施形態に係るX線CT装置1で設定可能なスキャンモードには、例えば、位置をずらしながらコンベンショナルスキャンを複数回行うS&S(Step and Shoot)スキャンがある。このようなスキャンモードでは、1つの再構成タスクは、再構成処理の実行範囲がそれぞれ規定されている複数の再構成サブタスクが統合されて管理されている。
処理回路35は、リファレンスタスク、及び本再構成タスクの発生方法を、スキャンモードに応じて切り替えても構わない。具体的には、処理回路35は、S&Sスキャンにおいて、再構成タスクの再構成条件の一部、例えば、一部の再構成サブタスクを抜き出すことによりリファレンスタスクを発生させる。また、処理回路35は、一部の条件が抜き出された再構成条件、例えば、その他の再構成サブタスクに基づいて本再構成タスクを発生させる。
より具体的には、例えば、胸腹部のS&Sスキャンについて、処理回路35は、S&Sスキャンの対象範囲の先頭から数mm、又は所定の臓器が含まれる位置から数mmを再構成範囲として含む再構成サブタスクを抜き出す。処理回路35は、抜き出した再構成サブタスクに基づき、所定臓器についてのリファレンスタスクを発生させる。また、再構成サブタスクが抜き出された残りの再構成サブタスクに基づき、所定臓器についての本再構成タスクを発生させる。
【0081】
また、第1の実施形態では、X線CT装置1での動作を例に説明した。しかしながら、これに限定されない。再構成処理は、画像生成装置2で実行されても構わない。
【0082】
図16は、その他の実施形態に係る画像生成装置2を含む医用情報システムの例を表す図である。
図16に示される医用情報システムは、X線CT装置1a、画像生成装置2、及び画像保管装置3を備える。X線CT装置1a、画像生成装置2、及び画像保管装置3は、例えば、病院内に設置された院内LAN(Local Area Network)により、直接的、又は間接的に相互に通信可能に接続されている。
【0083】
X線CT装置1aは、被検体を撮影することで、投影データを生成する装置である。X線CT装置1aは、ユーザから再構成処理の要求が入力されると、投影データ及び再構成処理の要求信号を画像生成装置2へ送信する。
【0084】
画像生成装置2は、X線CT装置1aで生成された投影データに対して画像再構成処理を施す装置である。
図16に示される画像生成装置2は、メモリ41、出力インタフェース42、入力インタフェース43、通信インタフェース44、及び処理回路45を有する。
【0085】
処理回路45は、画像生成装置2全体の動作を制御するプロセッサである。処理回路45は、メモリ41に記憶されているプログラムを実行することで、実行したプログラムに対応する機能を実現する。例えば、処理回路45は、システム制御機能451、タスク発生機能452、タスク管理機能453、キュー管理機能454、再構成処理機能455、画像処理機能456、及び表示制御機能457を実行する。システム制御機能451、タスク発生機能452、タスク管理機能453、キュー管理機能454、再構成処理機能455、画像処理機能456、及び表示制御機能457は、第1の実施形態に係るタスク発生機能353、タスク管理機能354、キュー管理機能355、再構成処理機能356、画像処理機能357、及び表示制御機能358と同様の処理を実行する。
【0086】
なお、処理回路45は、タスク発生機能452及びタスク管理機能453を有していなくても構わない。このとき、X線CT装置1aがタスク発生機能及びタスク管理機能を有している。処理回路45は、X線CT装置1aから送信される、リファレンスタスクに関する情報及び本再構成タスクに関する情報を受信する。処理回路45は、キュー管理機能454により、再構成キューにリファレンスタスク及び本再構成タスクを追加する。
【0087】
また、上記実施形態では、再構成処理が要求されると、タスク発生機能353,452で再構成タスクが発生され、タスク管理機能354,453で、再構成タスクに基づいてリファレンスタスク及び本再構成タスクが発生される場合を例に説明した。しかしながら、これに限定されない。タスク管理機能354,453において、再構成処理の要求に応じ、リファレンスタスク及び本再構成タスクが発生されても構わない。
【0088】
実施形態の説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(central processing unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC))、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、上記各実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、上記各実施形態における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
【0089】
上記実施形態におけるシステム制御機能351,451、タスク発生機能353,452、タスク管理機能354,453、キュー管理機能355,454、及び再構成処理機能356,455は、それぞれ対応する制御部、タスク発生部、タスク管理部、キュー管理部、及び再構成処理部によって実現されるものであってもよい。なお、本実施形態において「部」として説明した構成要素は、その動作がハードウェアによって実現されるものであってもよいし、ソフトウェアによって実現されるものであってもよいし、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせによって実現されるものであってもよい。
【0090】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0091】
1,1a…X線CT装置、2…画像生成装置、3…画像保管装置、10…架台装置、11…X線管、12…X線検出器、13…回転フレーム、14…X線高電圧装置、15…制御装置、16…ウェッジ、17…コリメータ、18…データ収集装置、20…寝台装置、21…基台、22…寝台駆動装置、23…天板、24…支持フレーム、30…コンソール装置、31,41…メモリ、351,411…システム制御機能、352…前処理機能、353,452…タスク発生機能、354,453…タスク管理機能、355,454…キュー管理機能、356,455…再構成処理機能、357,456…画像処理機能、358,457…表示制御機能、32…ディスプレイ、33,43…入力インタフェース、34,44…通信インタフェース、35,45…処理回路、42…出力インタフェース。