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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-15
(45)【発行日】2022-07-26
(54)【発明の名称】カードリーダ及び異物検知方法
(51)【国際特許分類】
   G06K 13/06 20060101AFI20220719BHJP
【FI】
G06K13/06 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018115615
(22)【出願日】2018-06-18
(65)【公開番号】P2019219825
(43)【公開日】2019-12-26
【審査請求日】2021-05-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】特許業務法人航栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】百瀬 宗政
(72)【発明者】
【氏名】北澤 康博
【審査官】小林 紀和
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-174164(JP,A)
【文献】特開平11-039434(JP,A)
【文献】特開2015-032004(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0140366(US,A1)
【文献】特許第3850595(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 13/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿入口から挿入されたカードが搬送されるカード搬送路を含む本体部と、
前記本体部よりも前記カードの挿入方向の反対方向に配置された、前記カードを検知するための第一のカード検知機構と、
前記第一のカード検知機構に対し前記カードの前記挿入方向の長さ未満の距離を空けて前記本体部に配置された、前記カードを検知するための第二のカード検知機構と、
前記第一のカード検知機構と前記第二のカード検知機構の間に配置され、前記カード搬送路を閉鎖する閉鎖位置と前記カード搬送路を開放する開放位置との間で移動するシャッタ部材と、
前記シャッタ部材の状態を検出するシャッタ状態検出部と、
前記挿入口から挿入された挿入物が前記第一のカード検知機構によって検知された後に、前記第二のカード検知機構によって前記挿入物が検知され、その後、前記第一のカード検知機構によって前記挿入物が検知されなくなったタイミングにて、前記第二のカード検知機構によって前記挿入物が検知されていない場合に、前記シャッタ部材を前記閉鎖位置へと移動させる制御を行い、前記制御の後に前記シャッタ状態検出部によって前記シャッタ部材が前記閉鎖位置に移動されていないことが検出された場合に、前記カード以外の物体が挿入されたことを検知する制御部と、を備えるカードリーダ。
【請求項2】
請求項1記載のカードリーダであって、
前記制御部は、前記制御の後に前記シャッタ状態検出部によって前記シャッタ部材が前記閉鎖位置に移動されていることが検出された場合に、前記カードの引き抜きが行われたと判定するカードリーダ。
【請求項3】
請求項1又は2記載のカードリーダであって、
前記制御部は、前記タイミングにて、前記第二のカード検知機構によって前記挿入物が検知されている場合には、前記挿入物の搬送を継続し、前記タイミングから前記第二のカード検知機構によって前記挿入物が検知されなくなるまでの期間における前記挿入物の移動距離が所定値未満の場合に、前記カード以外の物体が挿入されたことを検知するカードリーダ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項記載のカードリーダであって、
前記制御部は、前記挿入口から挿入された挿入物が前記第一のカード検知機構によって検知された後に、前記第二のカード検知機構によって前記挿入物が検知され、その後、前記第一のカード検知機構によって前記挿入物が検知されている状態にて、前記第二のカード検知機構によって前記挿入物が検知されなくなった場合に、前記カード以外の物体が挿入されたことを検知するカードリーダ。
【請求項5】
挿入口から挿入されたカードが搬送されるカード搬送路を含む本体部と、前記本体部よりも前記カードの挿入方向の反対方向に配置された、前記カードを検知するための第一のカード検知機構と、前記第一のカード検知機構に対し前記カードの前記挿入方向の長さ未満の距離を空けて前記本体部に配置された、前記カードを検知するための第二のカード検知機構と、前記第一のカード検知機構と前記第二のカード検知機構の間に配置され、前記カード搬送路を閉鎖する閉鎖位置と前記カード搬送路を開放する開放位置との間で移動するシャッタ部材と、を有するカードリーダにおける異物検知方法であって、
前記挿入口から挿入された挿入物が前記第一のカード検知機構によって検知された後に、前記第二のカード検知機構によって前記挿入物が検知され、その後、前記第一のカード検知機構によって前記挿入物が検知されなくなったタイミングにて、前記第二のカード検知機構によって前記挿入物が検知されていない場合に、前記シャッタ部材を前記閉鎖位置へと移動させる制御を行い、前記制御の後に前記シャッタ部材が前記閉鎖位置に移動されていないことが検出された場合に、前記カード以外の物体が挿入されたことを検知する異物検知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カードに記録されたデータの読取やカードへのデータの記録を行うカードリーダに関する。また、本発明は、かかるカードリーダにおける異物検知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カードに記録された磁気データの読取やカードへの磁気データの記録を行うカードリーダが広く利用されている。カードリーダが利用される金融機関等の業界では、犯罪者がカードリーダのカード挿入部に磁気ヘッドを取り付けて、この磁気ヘッドでカードの磁気データを不正に取得するいわゆるスキミングが大きな問題となっている。犯罪者によるスキミングの手口は年々巧妙化しており、カードリーダの内部に、カードの磁気データを読み取るためのスキミング用磁気ヘッド等のスキミング用の装置(以下、「インサートスキマー」と言う。)が取り付けられるといった事態が生じている。特許文献1には、カードリーダの内部にインサートスキマーが挿入されたことを検知する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-174164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
インサートスキマーの挿入を検知する技術は、特許文献1に記載されているものに限らず、複数の技術を組み合わせて実施できるようにしておくことが防犯上有利である。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、特許文献1とは異なる方法にて、特定形状のインサートスキマー等の異物がカードリーダの内部に挿入されたことを検知することが可能なカードリーダ及び異物検知方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のカードリーダは、挿入口から挿入されたカードが搬送されるカード搬送路を含む本体部と、前記本体部よりも前記カードの挿入方向の反対方向に配置された、前記カードを検知するための第一のカード検知機構と、前記第一のカード検知機構に対し前記カードの前記挿入方向の長さ未満の距離を空けて前記本体部に配置された、前記カードを検知するための第二のカード検知機構と、前記第一のカード検知機構と前記第二のカード検知機構の間に配置され、前記カード搬送路を閉鎖する閉鎖位置と前記カード搬送路を開放する開放位置との間で移動するシャッタ部材と、前記シャッタ部材の状態を検出するシャッタ状態検出部と、前記挿入口から挿入された挿入物が前記第一のカード検知機構によって検知された後に、前記第二のカード検知機構によって前記挿入物が検知され、その後、前記第一のカード検知機構によって前記挿入物が検知されなくなったタイミングにて、前記第二のカード検知機構によって前記挿入物が検知されていない場合に、前記シャッタ部材を前記閉鎖位置へと移動させる制御を行い、前記制御の後に前記シャッタ状態検出部によって前記シャッタ部材が前記閉鎖位置に移動されていないことが検出された場合に、前記カード以外の物体が挿入されたことを検知する制御部と、を備えるものである。
【0007】
本発明の異物検知方法は、挿入口から挿入されたカードが搬送されるカード搬送路を含む本体部と、前記本体部よりも前記カードの挿入方向の反対方向に配置された、前記カードを検知するための第一のカード検知機構と、前記第一のカード検知機構に対し前記カードの前記挿入方向の長さ未満の距離を空けて前記本体部に配置された、前記カードを検知するための第二のカード検知機構と、前記第一のカード検知機構と前記第二のカード検知機構の間に配置され、前記カード搬送路を閉鎖する閉鎖位置と前記カード搬送路を開放する開放位置との間で移動するシャッタ部材と、を有するカードリーダにおける異物検知方法であって、前記挿入口から挿入された挿入物が前記第一のカード検知機構によって検知された後に、前記第二のカード検知機構によって前記挿入物が検知され、その後、前記第一のカード検知機構によって前記挿入物が検知されなくなったタイミングにて、前記第二のカード検知機構によって前記挿入物が検知されていない場合に、前記シャッタ部材を前記閉鎖位置へと移動させる制御を行い、前記制御の後に前記シャッタ部材が前記閉鎖位置に移動されていないことが検出された場合に、前記カード以外の物体が挿入されたことを検知するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、特定形状のインサートスキマー等の異物がカードリーダの内部に挿入されたことを検知することが可能なカードリーダ及び異物検知方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明のカードリーダの一実施形態であるカードリーダ1の構成を説明するための平面図である。
図2図1に示すカード挿入検知機構14の構成を説明するための正面図である。
図3図1に示すプリヘッド10、ICチップセンサ9、カード検知機構15aおよび搬送ローラ26の構成を説明するための側面図である。
図4図1に示すカードリーダ1が搭載される上位装置3およびカードリーダ1のブロック図である。
図5】(a)は、カードリーダ1の内部に挿入されると想定されるインサートスキマーの第一の構成例を示す図であり、(b)は、カードリーダ1の内部に挿入されると想定されるインサートスキマーの第二の構成例を示す図である。
図6図5(a)に示すインサートスキマー50がカードリーダ1の本体部6に挿入された状態を示す平面図である。
図7】インサートスキマー50が挿入口4に挿入されてシャッタ部材13が開放位置になった状態を示す図である。
図8図7の状態からインサートスキマー50が前後方向の奥側に更に押し込まれた状態を示す図である。
図9図8の状態からインサートスキマー50が前後方向の奥側に更に押し込まれた状態を示す図である。
図10】カード2がカード搬送路7まで移動した状態を示す図である。
図11図10の状態からカード2が前後方向の手前側に引き抜かれた状態を示す図である。
図12】インサートスキマー50がカード搬送路7に到達してから、カード挿入検知機構14がオフ状態となったタイミングで、カード検知機構15aがオン状態となっている例を示す図である。
図13】カード2がカード搬送路7に到達してから、カード挿入検知機構14がオフ状態となったタイミングで、カード検知機構15aがオン状態となっている例を示す図である。
図14】カードリーダ1の動作例の詳細を説明するためのフローチャートである。
図15図14に示すステップS11の強制排出処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(カードリーダの構成)
図1は、本発明のカードリーダの一実施形態であるカードリーダ1の構成を説明するための平面図である。図2は、図1に示すカード挿入検知機構14の構成を説明するための正面図である。図3は、図1に示すプリヘッド10、ICチップセンサ9、カード検知機構15aおよび搬送ローラ26の構成を説明するための側面図である。図4は、図1に示すカードリーダ1が搭載される上位装置3およびカードリーダ1のブロック図である。
【0011】
カードリーダ1は、カード2に記録されたデータの読取やカード2へのデータの記録を行うための装置であり、ATM(Automated Teller Machine)等の上位装置3(図4参照)に搭載されて使用される。図1に示すように、カードリーダ1は、カード2が挿入される挿入口4が形成されるカード挿入部5と、本体部6とを備えている。カードリーダ1の本体部6の内部には、挿入口4から挿入されたカード2が搬送されるカード搬送路7が形成されており、カードリーダ1は、カード搬送路7でカード2を搬送するカード搬送機構8(図3参照)を備えている。
【0012】
カードリーダ1では、図1等に示すX方向でカード2が搬送される。また、カード2は、図1等のX1方向に挿入され、X2方向に排出される。すなわち、X1方向は、挿入口4へのカード2の挿入方向であり、X2方向は、挿入口4からのカード2の排出方向である。また、X方向に直交する図1等のZ方向は、挿入口4に挿入されたカード2の厚さ方向であり、X方向とZ方向とに直交する図1等のY方向は、カード2の幅方向である。以下の説明では、X方向を前後方向とし、Y方向を左右方向とし、Z方向を上下方向とする。また、前後方向のうちの、挿入口4が形成される側(X2方向側)を「手前」側とし、その反対側(X1方向側)を「奥(後ろ)」側とする。また、上下方向のうちの、一方側(Z1方向側)を「上」側とし、その反対側(Z2方向側)を「下」側とする。
【0013】
カード2は、例えば、厚さが0.7~0.8mm程度の長方形状の塩化ビニール製のカードである。また、カード2は、国際規格(ISO/IEC7811)やJIS規格(JISX6302)に準拠した磁気ストライプ付きの接触式ICカードである。図1に示すように、カード2の裏面(下面)には、磁気データが記録される磁気ストライプ2aが形成されている。また、カード2には、ICチップが内蔵されており、カード2のおもて面(上面)には、ICチップの外部接続端子2bが形成されている。磁気ストライプ2aおよび外部接続端子2bは、国際規格やJIS規格で規定された所定の位置に形成されている。
【0014】
カードリーダ1は、磁気ストライプ2aに記録された磁気データの読取および磁気ストライプ2aへの磁気データの記録の少なくともいずれか一方を行う磁気ヘッド24(図1参照)と、カード2の外部接続端子2bに接触する複数のIC接点バネ11を有するIC接点ブロック12とを本体部6の内部に備えている。
【0015】
また、カードリーダ1は、カード搬送路7を閉鎖するためのシャッタ部材13と、挿入口4にカード2が挿入されたことを検知するためのカード挿入検知機構14と、プリヘッド10と、ICチップセンサ9と、カード搬送路7におけるカード2の有無を検知するためのカード検知機構15a、15b、15c、15dと、カードリーダ1を制御する制御部17とを備えている。制御部17は、上位装置3の制御部である上位制御部18に接続されている(図4参照)。
【0016】
カード挿入部5は、本体部6の前端に繋がっている。カード搬送路7は、図3に示すように、カード搬送路7の上面を構成する上ガイド部材19と、カード搬送路7の下面を構成する下ガイド部材20とを備えている。上ガイド部材19および下ガイド部材20は、絶縁性を有する樹脂材料で形成されている。図1に示すように、磁気ヘッド24およびIC接点ブロック12は、本体部6の内部に配置されている。磁気ヘッド24は、磁気ヘッド24のギャップ部がカード搬送路7に下側から臨むように配置されている。IC接点ブロック12は、磁気ヘッド24よりも奥側に配置されている。また、IC接点ブロック12は、上側からカード搬送路7に臨むように配置されている。磁気ヘッド24は、制御部17に電気的に接続されている(図4参照)。なお、IC接点ブロック12は、磁気ヘッド24よりも手前(例えば、シャッタ部材13に近い方から数えて2つ目の搬送ローラ26と1つ目の搬送ローラ26の間)に配置される構成であってもよい。
【0017】
IC接点ブロック12には、IC接点バネ11がカード2の外部接続端子2bに接触可能な接触可能位置と、IC接点バネ11がカード2の外部接続端子2bに接触しないように退避する(具体的には、上側へ退避する)退避位置との間でIC接点ブロック12を移動させる移動機構21(図4参照)が連結されている。移動機構21は、ソレノイド等の駆動源と、駆動源の動力をIC接点ブロック12に伝達するリンク機構等の動力伝達機構とを備えている。移動機構21は、制御部17に接続されている。具体的には、移動機構21の駆動源が制御部17に電気的に接続されている。IC接点バネ11は、制御部17に電気的に接続されている。制御部17は、IC接点バネ11に電流を供給する。移動機構21としては、例えば、国際公開第2018/61685号パンフレットに記載されている構造、国際公開第2016/158946号パンフレットに記載されている構造、又はカム溝を用いて移動させる構造等を用いることができる。
【0018】
カード挿入検知機構14は、挿入口4の奥側に配置されており、挿入口4に挿入されたカード2を検知する。カード挿入検知機構14は、挿入口4に挿入されたカード2の幅(左右方向の幅)を検知することで、挿入口4にカード2が挿入されたことを検知する第一のカード検知機構である。このカード挿入検知機構14は、図2に示すように、左右方向の両側のそれぞれに配置される2個のレバー部材22と、2個のセンサ23とを備えている。カード挿入検知機構14は、カード挿入部5の前端側部分に配置されている。また、カード挿入検知機構14は、制御部17に電気的に接続されている。具体的には、2個のセンサ23が制御部17に電気的に接続されている。センサ23は、互いに対向するように配置される発光部と受光部とを有する透過型の光学式センサである。このセンサ23は、発光部と受光部とが前後方向で対向するようにカード搬送路7の上側に配置されている。なお、図1では、センサ23の図示を省略している。
【0019】
レバー部材22は、前後方向から見たときの形状が略L形状となるように形成されており、左右方向におけるカード搬送路7の両端側のそれぞれに配置されるカード接触部22aと、カード接触部22aの上端から左右方向の内側へ伸びる遮光部22bとから構成されている。このレバー部材22は、カード接触部22aと遮光部22bとの境界部分を回動の中心にするとともに前後方向を回動の軸方向とする回動が可能となるように、カード挿入部5のフレームに回動可能に保持されている。遮光部22bは、カード搬送路7の上側に配置されている。また、レバー部材22は、カード接触部22aの下端側がカード搬送路7の中に配置されるように、図示を省略するバネ部材によって付勢されている。
【0020】
挿入口4にカード2が挿入される前の待機時には、図2の実線で示すように、カード接触部22aの下端側がカード搬送路7の中に配置されており、2個の遮光部22bのそれぞれは、センサ23の発光部と受光部との間を遮っている。このときには、カード挿入検知機構14は、オフ状態になっている。この状態で、短手方向の幅が所定の幅となっているカード2が挿入口4に挿入されると、図2の二点鎖線で示すように、カード2の左右の両端が2個のカード接触部22aの下端側のそれぞれに接触して、センサ23の発光部と受光部との間から2個の遮光部22bのそれぞれが外れるまで、2本のレバー部材22が回動する。2個のセンサ23の発光部と受光部との間から2個の遮光部22bのそれぞれが外れると、カード挿入検知機構14は、オン状態になる。
【0021】
一方、挿入口4に挿入されたカード2の幅が所定の幅よりも狭くなっており、2個のセンサ23のうちの少なくともいずれか一方のセンサ23の発光部と受光部との間から遮光部22bが外れない場合には、カード挿入検知機構14は、オフ状態のままである。このように、カード挿入検知機構14は、挿入口4に挿入されたカード2の左右方向の幅が所定の幅である場合にオフ状態からオン状態に切り替わることで、カード2を検知する。なお、挿入口4にカード2が挿入される前の待機時に、2個の遮光部22bのそれぞれがセンサ23の発光部と受光部との間から外れていることで、カード挿入検知機構14がオフ状態になっていても良い。この場合には、所定の幅のカード2が挿入口4に挿入されて、センサ23の発光部と受光部との間が2個の遮光部22bのそれぞれに遮られると、カード挿入検知機構14がオン状態になる。カード挿入検知機構14の構成は、図2に示したものには限定されない。例えば、カード接触部22aがカードの幅方向の一方側のみに配置され、他方はカードの搬送路の側面となっていいてもよい。この場合は、カード接触部22aとカードの搬送路の側面との距離が(カードの幅より僅かに狭い)所定の幅に設定されていることで、カードが挿入されると、その挿入が検出されることになる。
【0022】
シャッタ部材13は、カード挿入部5と本体部6との境界部分、言い換えると、カード挿入部5の奥端側部分に配置されている。シャッタ部材13には、シャッタ駆動機構25(図4参照)が連結されている。シャッタ駆動機構25は、ソレノイド等の駆動源と、駆動源の動力をシャッタ部材13に伝達するリンク機構等の動力伝達機構とを備えている。シャッタ駆動機構25は、制御部17に接続されている。具体的には、シャッタ駆動機構25の駆動源が制御部17に電気的に接続されている。
【0023】
シャッタ部材13は、カード搬送路7を閉鎖する閉鎖位置(図3の二点鎖線で示す位置)とカード搬送路7から退避してカード搬送路7を開放する開放位置(図3の実線で示す位置)との間で移動可能となっている。シャッタ部材13の近傍には、シャッタ部材13の状態を検出するためのシャッタ状態検出部であるシャッタセンサ25a(図4参照)が設けられている。シャッタセンサ25aは、例えば、シャッタ部材13が閉鎖位置にあるとオン(又はオフ)し、シャッタ部材13が閉鎖位置にない場合にオフ(又はオン)するスイッチや、シャッタ部材13が閉鎖位置にあるときにシャッタ部材13と接触して接触検知信号を出力し、シャッタ部材13が閉鎖位置にないときにはシャッタ部材13と接触せずに接触検知信号を出力しない接触センサ等により構成される。シャッタセンサ25aは、シャッタ部材13が閉鎖位置にあるときには閉鎖位置にあることを示す閉鎖状態信号を制御部17に出力し、シャッタ部材13が閉鎖位置にないときには閉鎖位置にないことを示す非閉鎖状態信号を制御部17に出力する。
【0024】
プリヘッド10は、挿入口4から挿入されたカード2の磁気ストライプ2aに、規格で決められた所望の磁気データが記録されているのか否かを検知するための磁気ヘッドである。プリヘッド10は、カード挿入部5においてカード挿入検知機構14とシャッタ部材13の間に配置されており、挿入口4に挿入されたカード2の磁気ストライプ2aが形成されるべき位置から磁気を検出する。プリヘッド10は磁気検出部として機能する。プリヘッド10は、左右方向において、本体部6内の磁気ヘッド24とほぼ同じ位置に配置されている。図3に示すように、プリヘッド10は、プリヘッド10のギャップ部が挿入口4に挿入されたカード2に対し下側から臨むように配置されている。
【0025】
ICチップセンサ9は、挿入口4から挿入されたカード2にICチップが搭載されているか否かを検知するためのセンサである。具体的には、ICチップセンサ9は、挿入口4から挿入されたカード2の外部接続端子2bに含まれる金属を検出する金属センサである。ICチップセンサ9は、カード挿入部5においてカード挿入検知機構14とシャッタ部材13の間に配置されており、挿入口4に挿入されたカード2の外部接続端子2bが形成されるべき位置から金属を検出する。ICチップセンサ9は金属検出部として機能する。ICチップセンサ9は、前後方向における位置がプリヘッド10と同じであり、左右方向において、本体部6内のIC接点ブロック12とほぼ同じ位置に配置されている。図3に示すように、ICチップセンサ9は、挿入口4に挿入されたカード2に対し上側から臨むように配置されている。
【0026】
カード検知機構15a、15b、15c、15dは、本体部6の内部に配置されている。すなわち、カード検知機構15a、15b、15c、15dは、カード挿入検知機構14とプリヘッド10とICチップセンサ9よりも奥側に配置されている。また、カード検知機構15a、15b、15c、15dは、それぞれ前後方向にずれた状態で配置されている。カード検知機構15aよりも奥側にカード検知機構15bが配置され、カード検知機構15bよりも奥側にカード検知機構15cが配置され、カード検知機構15cよりも奥側にカード検知機構15dが配置されている。カード検知機構15a、15b、15c、15dのうちの最も手前側にあるカード検知機構15aは、第二のカード検知機構を構成している。図1に示すように、カード挿入検知機構14とカード検知機構15aとの間の前後方向の距離Lは、カードリーダ1が読み取り対象としている正規のカード2の前後方向の長さ未満となっている。図4に示すように、カード検知機構15a、15b、15c、15dは、制御部17に電気的に接続されている。また、図3に示すように、カード検知機構15a、15b、15c、15dは、それぞれ、互いに対向するように配置される発光部15Aと受光部15Bとを有する透過型の光学式センサである。なお、図3では、カード検知機構15b、15c、15dについては図示を省略している。図3に示すように、発光部15Aと受光部15Bとは、上下方向でカード搬送路7を挟んだ状態で配置されている。
【0027】
発光部15Aと受光部15Bとの間にカード2がない場合には、受光部15Bは、発光部15Aからの光を受光している。このときには、カード検知機構15a、15b、15c、15dは、オフ状態になっている。この状態で、発光部15Aと受光部15Bとの間にカード2が入ると、発光部15Aから受光部15Bに向かう光が遮られて、カード検知機構15a、15b、15c、15dがオン状態になる。このように、カード検知機構15a、15b、15c、15dは、オフ状態からオン状態に切り替わることでカード2を検知する。
【0028】
なお、カード検知機構15a、15b、15c、15dは、反射型の光学式センサであっても良い。この場合には、カード検知機構15a、15b、15c、15dの発光部からの光を受光部が受光していない場合に、カード検知機構15a、15b、15c、15dがオフ状態になり、カード検知機構15a、15b、15c、15dの発光部から射出されカード2で反射された光を受光部が受光すると、カード検知機構15a、15b、15c、15dがオン状態になる。
【0029】
図3に示すように、カード搬送機構8は、カード2に接触してカード搬送路7でカード2を搬送する3つの搬送ローラ26(図1参照。図3では最も手前側のもののみを図示)と、各搬送ローラ26を駆動するモータ28(図4参照)と、モータ28の動力を各搬送ローラ26に伝達する動力伝達機構(図示省略)とを備えている。各搬送ローラ26は、本体部6の内部に配置されている。すなわち、搬送ローラ26は、カード挿入検知機構14よりも奥側に配置されている。
【0030】
図3に示すように、各搬送ローラ26には、パッドローラ29が対向配置されている。各搬送ローラ26とパッドローラ29とは上下方向で対向している。また、パッドローラ29は、搬送ローラ26に向かって付勢されており、カード2は、搬送ローラ26とパッドローラ29との間に挟まれた状態で搬送される。
【0031】
モータ28には、モータ28の回転を検知するためのエンコーダ30が取り付けられている(図4参照)。本形態では、モータ28が停止している状態でも、搬送ローラ26を回転させることが可能になっており、モータ28が停止している状態で搬送ローラ26が回転すると、エンコーダ30でモータ28の回転が検知される。すなわち、モータ28が停止している状態で搬送ローラ26が回転すると、エンコーダ30で搬送ローラ26の回転が検知される。モータ28およびエンコーダ30は、制御部17に電気的に接続されている。
【0032】
(想定されるインサートスキマーの構成例)
図5(a)は、カードリーダ1の内部に挿入されると想定されるインサートスキマーの第一の構成例を示す図である。図5(b)は、カードリーダ1の内部に挿入されると想定されるインサートスキマーの第二の構成例を示す図である。図6は、図5(a)に示すインサートスキマー50がカードリーダ1の本体部6に挿入された状態を示す平面図である。
【0033】
図5(a)、(b)に示すインサートスキマー50は、左右方向の幅がカード2の幅と略同じである長方形の平板状且つ導電性を有する導電性材料で形成された本体部を有している。具体的には、インサートスキマー50の本体部は、金属で形成されている。図5(a)、(b)に示すインサートスキマー50の本体部には、カードリーダ1の本体部6内の最も手前側にある搬送ローラ26との接触を回避するための切欠き部50a又は開口部50dが形成されている。また、図5(a)、(b)に示すインサートスキマー50の本体部には、カードリーダ1の本体部6にインサートスキマー50が取り付けられたときに、カード検知機構15aの発光部15Aから受光部15Bへ向かう光が遮られないように、貫通孔50bが形成されている。また、図5(b)に示すインサートスキマー50の本体部には、カードリーダ1の本体部6にインサートスキマー50が取り付けられたときに、カード検知機構15bの発光部15Aから受光部15Bへ向かう光が遮られないように、切欠き部50cが形成されている。図5(a)に示すインサートスキマー50は、切欠き部50aが大きく、搬送ローラ26と接触し得る本体部の面積が少ないため、手で押し込むことで本体部6に挿入される。図5(b)に示すインサートスキマー50は、搬送ローラ26と接触し得る本体部の面積が多いため、挿入口4に挿入されると、搬送ローラ26によって搬送されることで、本体部6に挿入される。
【0034】
図5(a)、(b)に示すインサートスキマー50の本体部の前後方向の奥側の端部(先端)には、偽造の磁気ストライプ51が形成されており、この磁気ストライプ51の左隣には、正規のカード2の磁気ストライプから磁気情報を読み取るための磁気ヘッド52が形成されている。この磁気ストライプ51には、正規のカード2の磁気ストライプ2aの先端に記録されている情報と同じ情報が記録されている。インサートスキマー50の本体部における左右方向の磁気ストライプ51と同じ位置に貫通孔50bと磁気ヘッド52を形成しなければならないため、磁気ストライプ51の前後方向の長さは、正規のカード2の磁気ストライプ2aの前後方向の長さよりも十分に短くなっている。なお、磁気ヘッド52の位置は、例えば貫通孔50bの左側になることも想定される。また、貫通孔50bの前後方向の幅は、カード検知機構15aを確実に避けるためにある程度大きくなっていることが想定される。
【0035】
図4に示したカードリーダ1の制御部17は、カードリーダ1の全体を統括制御するものであり、具体的には、プログラムを実行して処理を行う各種のプロセッサと、RAM(Ramdom Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)と、を含む。各種のプロセッサとしては、プログラムを実行して各種処理を行う汎用的なプロセッサであるCPU(Central Prosessing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が含まれる。これら各種のプロセッサの構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。制御部17は、各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせ又はCPUとFPGAの組み合わせ)で構成されてもよい。
【0036】
制御部17は、カード2が挿入口4に挿入されてカード挿入検知機構14によりカード2の挿入が検知されると、プリヘッド10とICチップセンサ9を作動させる。そして、プリヘッド10によってカード2の磁気ストライプ2aの先端から所望の情報の読み取りが成功され、ICチップセンサ9によってICチップの検出がなされると、制御部17は、シャッタ部材13を閉鎖位置から開放位置へ移動させる。これにより、カード2が本体部6の内部に取り込み可能な状態となる。
【0037】
また、制御部17は、図5に示す磁気ストライプ51を持つインサートスキマー50が挿入口4に挿入されてカード挿入検知機構14によりインサートスキマー50の挿入が検知された場合も、プリヘッド10とICチップセンサ9を作動させる。そして、プリヘッド10によってインサートスキマー50の磁気ストライプ51から所望の情報の読み取りが成功され、ICチップセンサ9によってインサートスキマー50の本体部の金属の検出がなされると、制御部17は、シャッタ部材13を閉鎖位置から開放位置へ移動させる。これにより、図7に示すように、インサートスキマー50が本体部6の内部に挿入可能な状態となる。図7において、シャッタ部材13は破線にて示されており、開放位置にあることを示している。
【0038】
制御部17は、カード挿入検知機構14がオン状態となり、続いてカード検知機構15aがオン状態となり、その後に、カード挿入検知機構14がオフ状態となったタイミングにて、カード検知機構15aがオフ状態となっている場合に、シャッタ部材13を閉鎖位置に移動させる制御を行う。そして、この制御を行った後、シャッタセンサ25aから出力される信号に基づいて、カード2以外の物体(例えばインサートスキマー50)の挿入を検知する。
【0039】
挿入物がインサートスキマー50であった場合、図7の状態からインサートスキマー50がカード搬送路7に押し込まれて、カード検知機構15aによってインサートスキマー50が検知される(図8参照)。その後、インサートスキマー50が更に奥側に押し込まれると、カード挿入検知機構14がオン状態からオフ状態になる(図9参照)。
【0040】
図9の例では、カード挿入検知機構14がオフ状態になったタイミングにて、カード検知機構15aがオフ状態となっている。このため、制御部17は、シャッタ駆動機構25によってシャッタ部材13を閉鎖位置へ移動させる制御を行う。図9の例では、シャッタ部材13とインサートスキマー50とが重なっている。このため、シャッタ部材13は閉鎖位置まで移動することができず、インサートスキマー50に接触して停止した状態になる。したがって、この例では、シャッタセンサ25aから非閉鎖状態信号が出力される。
【0041】
挿入物がカード2であり、カード2がカード搬送路7まで挿入された後に、引き抜かれた場合を想定する。この場合は、カード2がカード搬送路7に押し込まれて、カード検知機構15aによってカード2が検知される(図10参照)。その後、図11に示すように、カード2が引き抜かれると、カード挿入検知機構14がオン状態からオフ状態になる。図11の例では、カード挿入検知機構14がオフ状態になったタイミングにて、カード検知機構15aがオフ状態となっている。このため、制御部17は、シャッタ駆動機構25によってシャッタ部材13を閉鎖位置へ移動させる制御を行う。図11の例では、シャッタ部材13は閉鎖位置まで移動することができる。したがって、この例では、シャッタセンサ25aから閉鎖状態信号が出力される。
【0042】
このように、インサートスキマー50が本体部6に挿入される場合のカード挿入検知機構14及びカード検知機構15aの挙動と、カード2が本体部6に挿入されてから引き抜かれる場合のカード挿入検知機構14及びカード検知機構15aの挙動とは一致する。
【0043】
インサートスキマー50が本体部6に挿入されている場合には、カード挿入検知機構14がオフ状態になったタイミングでシャッタ部材13を閉鎖位置に移動させたときに、シャッタ部材13が閉鎖位置に移動できない。一方で、カード2が本体部6に挿入されて引き抜かれた場合には、カード挿入検知機構14がオフ状態になったタイミングでシャッタ部材13を閉鎖位置に移動させたときに、シャッタ部材13が閉鎖位置に移動できる。したがって、制御部17は、上記タイミングにて非閉鎖状態信号が出力された場合には、インサートスキマー50が挿入されたと判定してカード2以外の物体の挿入を検知し、上記タイミングにて閉鎖状態信号が出力された場合には、挿入物の引き抜きがなされたと判定する。
【0044】
なお、図12に示すように、カードリーダ1に挿入されるインサートスキマー50の形状によっては、カード挿入検知機構14がオン状態となり、続いてカード検知機構15aがオン状態となり、その後に、カード挿入検知機構14がオフ状態となったタイミングにて、カード検知機構15aがオン状態を維持している場合も考えられる。この場合には、制御部17は、挿入物(インサートスキマー50)の搬送(モータ28の駆動)を継続し、このタイミングからカード検知機構15aによって該挿入物が検知されなくなるまでの期間における該挿入物の移動距離が予め決められた所定値未満の場合に、カード2以外の物体が挿入されたことを検知する。
【0045】
図13は、カード2がカード搬送路7に挿入されてからカード挿入検知機構14がオフ状態になった状態を示す図である。カード2がカード搬送路7に挿入されて搬送される通常動作においては、図13の状態を起点にして、カード2が、カード検知機構15aとカード2の前後方向の手前側端部との間の距離Lxだけ搬送されると、カード検知機構15aがオフ状態に変化する。一方、図12に示す形状のインサートスキマー50がカード搬送路7に挿入されて押し込まれる動作においては、図12の状態を起点にして、インサートスキマー50が距離Lxを移動するよりも先に、カード検知機構15aがオフ状態に変化する。
【0046】
したがって、制御部17は、図12又は図13の状態になった場合には、挿入物(カード2又はインサートスキマー50)の搬送を継続し、この状態になったタイミングからカード検知機構15aによって該挿入物が検知されなくなるまでの期間における該挿入物の移動距離が距離Lx未満の場合に、カード2以外の物体が挿入されたことを検知する。この期間における挿入物の移動距離は、例えば、モータ28の回転量を検出するエンコーダ30の出力から求めることが可能である。
【0047】
(カードリーダの動作の具体例)
図14は、カードリーダ1の動作例の詳細を説明するためのフローチャートである。制御部17は、挿入物(インサートスキマー50又はカード2)が挿入口4に挿入されてカード挿入検知機構14により挿入物が検知されると、プリヘッド10とICチップセンサ9を作動させる。そして、プリヘッド10によって挿入物の磁気ストライプの先端から所望の情報の読み取りが成功され、ICチップセンサ9によって金属の検出がなされると、制御部17は、シャッタ部材13を閉鎖位置から開放位置へ移動させる。そして、搬送ローラ26の駆動を開始して挿入物の取り込み搬送を開始する(ステップS1)。
【0048】
次に、制御部17は、カード検知機構15aの状態を判定し(ステップS2)、カード検知機構15aがオフ状態の場合(ステップS2:NO)には、ステップS1の取り込み搬送開始の時点からの経過時間が所定時間となるタイムアウトの状態か否かを判定する(ステップS3)。
【0049】
制御部17は、タイムアウトとなってない場合(ステップS3:NO)には、ステップS2に処理を戻す。制御部17は、タイムアウトとなった場合(ステップS3:YES)には、挿入物の取り込み失敗と判断し(ステップS14)、搬送ローラ26の駆動を停止して挿入物の取り込み搬送を終了する。
【0050】
ステップS2の判定の結果、カード検知機構15aがオン状態となった場合(ステップS2:YES)には、制御部17は、カード挿入検知機構14の状態を判定し(ステップS4)、カード挿入検知機構14がオン状態であった場合(ステップS4:NO)には、タイムアウトの状態か否かを判定する(ステップS5)。そして、制御部17は、タイムアウトとなってない場合(ステップS5:NO)にはステップS4に処理を戻し、タイムアウトとなった場合(ステップS5:YES)にはステップS14に処理を移行する。
【0051】
ステップS4の判定の結果、カード挿入検知機構14がオフ状態であった場合(ステップS4:YES)には、制御部17は、カード検知機構15aの状態を判定し(ステップS6)、カード検知機構15aがオフ状態の場合(ステップS6:NO、図9又は図11に例示した状態に相当)には、搬送ローラ26の駆動を停止し、シャッタ部材13を閉鎖位置へと移動させる(ステップS7)。その後、制御部17は、シャッタセンサ25aからの信号に基づいてシャッタ部材13が閉鎖位置に移動できたかどうかを判定する(ステップS8)。
【0052】
制御部17は、シャッタ部材13が閉鎖位置に移動できたと判定した場合(ステップS8:YES)には、挿入物の引き抜きが行われたと判断し(ステップS9)、搬送ローラ26の駆動を停止して、挿入物の取り込み動作を終了する。
【0053】
制御部17は、シャッタ部材13が閉鎖位置に移動できていないと判定した場合(ステップS8:NO)には、挿入物がインサートスキマー50であると判断し、カード2以外の物体の挿入を検知する(ステップS10)。そして、制御部17は、挿入物をカード搬送路7から強制的に排出する強制排出処理を行う(ステップS11)。
【0054】
ステップS6の判定の結果、カード検知機構15aがオン状態であった場合(ステップS6:YES、図12又は図13に例示する状態に相当)には、制御部17は、挿入物の搬送を継続し、挿入物の移動距離が上述した距離Lxに達したか否かを判定する(ステップS12)。
【0055】
移動距離が距離Lx未満であった場合(ステップS12:NO)には、制御部17は、カード検知機構15aの状態を判定し(ステップS13)、カード検知機構15aがオン状態の場合(ステップS13:YES)には、ステップS12に処理を戻す。制御部17は、カード検知機構15aがオフ状態の場合(ステップS13:NO、図12の状態からインサートスキマー50が更に奥に移動した状態に相当)には、ステップS10に処理を移行する。
【0056】
ステップS12の判定の結果、移動距離が距離Lxに達した場合(ステップS12:YES)には、制御部17は、挿入物を更に奥側へと搬送し、情報の読み取りが行った後、挿入物を排出する。
【0057】
(強制排出処理の具体例)
図15は、図14に示すステップS11の強制排出処理を説明するためのフローチャートである。まず、制御部17は、搬送ローラ26による挿入物の前後方向の奥側への搬送を停止し(ステップS31)、搬送ローラ26を逆回転させて挿入物を前後方向の手前側に搬送する排出搬送を開始する(ステップS32)。
【0058】
ステップS32の後、制御部17は、カード検知機構15aがオン状態となっているかどうか判定し(ステップS33)、オフ状態となっていた場合(ステップS33:NO)には、ステップS32の処理開始の時点からの経過時間が所定時間となるタイムアウトの状態か否かを判定する(ステップS34)。
【0059】
制御部17は、タイムアウトとなってない場合(ステップS34:NO)には、ステップS33に処理を戻す。制御部17は、タイムアウトとなった場合(ステップS34:YES)には、ステップS39にて、インサートスキマー50が挿入されたことを示すエラー情報をROMに記憶する。ステップS39の後、制御部17は、搬送ローラ26の駆動を停止する(ステップS40)。
【0060】
ステップS39の処理が行われると、ROMに記憶されたエラー情報が削除されるまでは、制御部17は、上位装置3からの要求に対してエラーを返し、カード2の取り込み動作は行わない。制御部17は、上位装置3からエラー解除要求を受けると、ROMに記憶されているエラー情報を削除し、通常の動作モードに戻る。
【0061】
ステップS33においてカード検知機構15aがオン状態となっていると判定された場合(ステップS33:YES)には、制御部17は、カード検知機構15aがオフ状態になったかどうか判定し(ステップS35)、オン状態が継続されている場合(ステップS35:NO)には、タイムアウトの状態か否かを判定する(ステップS36)。制御部17は、タイムアウトでない場合(ステップS36:NO)にはステップS35に処理を戻し、タイムアウトであった場合(ステップS36:YES)にはステップS39の処理を行う。
【0062】
ステップS35においてカード検知機構15aがオフ状態になっていると判定された場合(ステップS35:YES)には、制御部17は、カード挿入検知機構14がオン状態であるかどうかを判定し(ステップS37)、カード挿入検知機構14がオフ状態である場合(ステップS37:NO)には、タイムアウトの状態か否かを判定する(ステップS38)。制御部17は、タイムアウトでない場合(ステップS38:NO)にはステップS37に処理を戻し、タイムアウトであった場合(ステップS38:YES)にはステップS39の処理を行う。
【0063】
ステップS37にて、カード挿入検知機構14がオン状態であると判定された場合(ステップS37:YES)には、制御部17は、ステップS40にて搬送ローラ26の駆動を停止する。インサートスキマー50が図5(b)に示すようなものであった場合には、ステップS37の判定がYESとなって、このインサートスキマー50が強制的に排出された状態となる。インサートスキマー50が図5(a)に示すようなものであった場合には、ステップS34からステップS38のいずれかの判定がYESとなって、このインサートスキマー50が本体部6内部に収容された状態となる。
【0064】
(実施形態のカードリーダの効果)
カードリーダ1によれば、インサートスキマー50が挿入された図9に示す状態と、カード2が挿入後に引き抜かれた図11に示す状態とを区別することができるため、インサートスキマー50の挿入を高い精度にて検知することができる。これにより防犯効果を高めることができる。
【0065】
また、カードリーダ1によれば、図12に示したように、カード挿入検知機構14がオフ状態となったタイミングにてカード検知機構15aがオン状態を維持するような形状のインサートスキマー50が挿入された場合であっても、このインサートスキマー50の挿入を検知することができる。このため、様々な形状のインサートスキマーに対し防犯効果を得ることができる。
【0066】
(実施形態のカードリーダの変形例)
制御部17は、挿入口4から挿入された挿入物がカード挿入検知機構14によって検知された後に、カード検知機構15aによって該挿入物が検知され、その後、カード挿入検知機構14によって該挿入物が検知されている状態が続いているときに、カード検知機構15aによって該挿入物が検知されなくなった場合に、カード2以外の物体が挿入されたことを検知してもよい。
【0067】
例えば、インサートスキマー50の本体部の前後方向の長さがカード2よりも大きい場合を想定する。この場合には、挿入口4から挿入されたインサートスキマー50がカード挿入検知機構14によって検知された後に、カード検知機構15aによってインサートスキマー50の先端が検知され、その後、カード挿入検知機構14がオフ状態となる前に、カード検知機構15aがオフ状態になる可能性がある。カード2が挿入された場合には、カード挿入検知機構14がオフ状態となる前に、カード検知機構15aがオフ状態に変わることはないため、上記のような検知処理を更に組み合わせることで、異物の検知精度を高めることができる。
【0068】
以上説明してきたように、本明細書には以下の事項が開示されている。
【0069】
(1)
挿入口から挿入されたカードが搬送されるカード搬送路を含む本体部と、
前記本体部よりも前記カードの挿入方向の反対方向に配置された、前記カードを検知するための第一のカード検知機構と、
前記第一のカード検知機構に対し前記カードの前記挿入方向の長さ未満の距離を空けて前記本体部に配置された、前記カードを検知するための第二のカード検知機構と、
前記第一のカード検知機構と前記第二のカード検知機構の間に配置され、前記カード搬送路を閉鎖する閉鎖位置と前記カード搬送路を開放する開放位置との間で移動するシャッタ部材と、
前記シャッタ部材の状態を検出するシャッタ状態検出部と、
前記挿入口から挿入された挿入物が前記第一のカード検知機構によって検知された後に、前記第二のカード検知機構によって前記挿入物が検知され、その後、前記第一のカード検知機構によって前記挿入物が検知されなくなったタイミングにて、前記第二のカード検知機構によって前記挿入物が検知されていない場合に、前記シャッタ部材を前記閉鎖位置へと移動させる制御を行い、前記制御の後に前記シャッタ状態検出部によって前記シャッタ部材が前記閉鎖位置に移動されていないことが検出された場合に、前記カード以外の物体が挿入されたことを検知する制御部と、を備えるカードリーダ。
【0070】
(1)のカードリーダにおいて、例えば第二のカード検知機構を避ける貫通孔を有するインサートスキマーが挿入口から挿入されると、第一のカード検知機構によってインサートスキマーが検知された後に、第二のカード検知機構によってインサートスキマーが検知され、その後、第一のカード検知機構によってインサートスキマーが検知されなくなる。このタイミングで、インサートスキマーの貫通孔が第二のカード検知機構を避ける位置にあると、第二のカード検知機構によってインサートスキマーが検知されなくなる。このとき、シャッタ部材が閉鎖位置に移動するよう制御されるが、第一のカード検知機構がオフになったタイミングでは、シャッタ部材とインサートスキマーとが重なっていると考えられるため、シャッタ部材がインサートスキマーに当接して、シャッタ部材が閉鎖位置には移動できない状態になる。一方、カードが挿入口から挿入されてから引き抜かれる場合を想定すると、カードの挿入によって第一のカード検知機構によってカードが検知された後に、第二のカード検知機構によってカードが検知される。その後、カードが引き抜かれると、第一のカード検知機構によってカードが検知されなくなるタイミングでは、第二のカード検知機構によってカードが検知されていない状態となる。このとき、シャッタ部材が閉鎖位置に制御されるが、カードは既に引き抜かれているため、シャッタ部材がカードに当接することなく、シャッタ部材は閉鎖位置に移動する。したがって、上記の制御後にシャッタ部材が閉鎖位置にない場合には、インサートスキマーが挿入されたことを検知することができ、異物の検知を高精度に行うことができる。
【0071】
(2)
(1)記載のカードリーダであって、
前記制御部は、前記制御の後に前記シャッタ状態検出部によって前記シャッタ部材が前記閉鎖位置に移動されていることが検出された場合に、前記カードの引き抜きが行われたと判定するカードリーダ。
【0072】
(2)によれば、カードの引き抜きが行われたことを検知できるため、搬送停止や再挿入を促す等の必要な処理を行うことができる。
【0073】
(3)
(1)又は(2)記載のカードリーダであって、
前記制御部は、前記タイミングにて、前記第二のカード検知機構によって前記挿入物が検知されている場合には、前記挿入物の搬送を継続し、前記タイミングから前記第二のカード検知機構によって前記挿入物が検知されなくなるまでの期間における前記挿入物の移動距離が所定値未満の場合に、前記カード以外の物体が挿入されたことを検知するカードリーダ。
【0074】
(3)のカードリーダにおいて、インサートスキマーの形状によっては、カードが正常に挿入されている場合と同様に、上記タイミングにて第二のカード検知機構によって挿入物が検知されていることが考えられる。この場合でも、挿入物がインサートスキマーであれば、カードを搬送するときよりも早いタイミングにて第二のカード検知機構によって挿入物が検知されなくなる。このため、挿入物の移動距離が正規のカード搬送時の搬送距離である所定値未満の場合には、インサートスキマーが挿入されたことを検知することができ、防犯性能を更に高めることができる。
【0075】
(4)
(1)から(3)のいずれか1つに記載のカードリーダであって、
前記制御部は、前記挿入口から挿入された挿入物が前記第一のカード検知機構によって検知された後に、前記第二のカード検知機構によって前記挿入物が検知され、その後、前記第一のカード検知機構によって前記挿入物が検知されている状態にて、前記第二のカード検知機構によって前記挿入物が検知されなくなった場合に、前記カード以外の物体が挿入されたことを検知するカードリーダ。
【0076】
(4)によれば、挿入方向の幅の長いインサートスキマーが挿入された場合でもこれを検知することができる。
【0077】
(5)
挿入口から挿入されたカードが搬送されるカード搬送路を含む本体部と、前記本体部よりも前記カードの挿入方向の反対方向に配置された、前記カードを検知するための第一のカード検知機構と、前記第一のカード検知機構に対し前記カードの前記挿入方向の長さ未満の距離を空けて前記本体部に配置された、前記カードを検知するための第二のカード検知機構と、前記第一のカード検知機構と前記第二のカード検知機構の間に配置され、前記カード搬送路を閉鎖する閉鎖位置と前記カード搬送路を開放する開放位置との間で移動するシャッタ部材と、を有するカードリーダにおける異物検知方法であって、
前記挿入口から挿入された挿入物が前記第一のカード検知機構によって検知された後に、前記第二のカード検知機構によって前記挿入物が検知され、その後、前記第一のカード検知機構によって前記挿入物が検知されなくなったタイミングにて、前記第二のカード検知機構によって前記挿入物が検知されていない場合に、前記シャッタ部材を前記閉鎖位置へと移動させる制御を行い、前記制御の後に前記シャッタ部材が前記閉鎖位置に移動されていないことが検出された場合に、前記カード以外の物体が挿入されたことを検知する異物検知方法。
【符号の説明】
【0078】
1 カードリーダ
2 カード
4 挿入口
6 本体部
7 カード搬送路
13 シャッタ部材
14 カード挿入検知機構(第一のカード検知機構)
15a カード検知機構(第二のカード検知機構)
17 制御部
25a シャッタセンサ(シャッタ状態検出部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15