(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-15
(45)【発行日】2022-07-26
(54)【発明の名称】足場パネル用連結具
(51)【国際特許分類】
E04G 7/08 20060101AFI20220719BHJP
E04G 7/28 20060101ALI20220719BHJP
F16B 2/10 20060101ALI20220719BHJP
F16B 7/04 20060101ALI20220719BHJP
【FI】
E04G7/08 A
E04G7/28
F16B2/10 B
F16B7/04 301G
(21)【出願番号】P 2018159505
(22)【出願日】2018-08-28
【審査請求日】2021-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】592123923
【氏名又は名称】株式会社タカミヤ
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100153006
【氏名又は名称】小池 勇三
(74)【代理人】
【識別番号】100095212
【氏名又は名称】安藤 武
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼宮 一雅
(72)【発明者】
【氏名】高草木 正彦
【審査官】荒井 隆一
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-106126(JP,A)
【文献】実開昭49-087738(JP,U)
【文献】実開昭49-018325(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 7/08、7/28、7/34
F16B 2/00-2/26
F16B 7/00-7/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮設足場を形成するために左右方向と前後方向のうち、互いに一方の方向に隣接配置される2個の足場パネルを連結するための連結具であって、前記2個の足場パネルのそれぞれに長さ方向が前記左右方向と前記前後方向のうち、他方の方向となって設けられている横架部材を保持するための2個の保持手段を有する足場パネル用連結具において、
前記2個の保持手段のうち、少なくとも一方の保持手段は、この
保持手段により保持される前記横架部材の少なくとも一部が嵌入可能となっている凹部が下向きに開口して形成されていて、この嵌入により前記横架部材に係止されるフック部材と、このフック部材に、前記凹部の開口部の少なくとも一部を閉じ、かつこの開口部を開けるために遊動自在に配置されていて、前記開口部の少なくとも一部を閉じることにより前記凹部で前記横架部材を係止ロック状態で保持させるためのロック部材とを含んで構成されていることを特徴とする足場パネル用連結具。
【請求項2】
請求項1に記載の足場パネル用連結具において、前記フック部材と前記ロック部材のそれぞれは、前記横架部材の前記長さ方向に複数個設けられ、複数個の前記ロック部材は、前記横架部材の前記長さ方向の寸法を有する架け渡し部材により連結されていることを特徴とする足場パネル用連結具。
【請求項3】
請求項2に記載の足場パネル用連結具において、前記複数個のロック部材を連結している前記架け渡し部材は、それぞれのロック部材の下部を連結していることを特徴とする足場パネル用連結具。
【請求項4】
請求項3に記載の足場パネル用連結具において、前記架け渡し部材は、厚さ方向が上下方向であって、幅方向が前記2個の足場パネルの隣接配置方向になっているものであることを特徴とする足場パネル用連結具。
【請求項5】
請求項3に記載の足場パネル用連結具において、前記架け渡し部材は、厚さ方向が前記2個の足場パネルの隣接配置方向であって、幅方向が上下方向となっているものであることを特徴とする足場パネル用連結具。
【請求項6】
請求項5に記載の足場パネル用連結具において、前記架け渡し部材の前記幅方向の上側の端部は、前記横架部材に接触可能となっていることを特徴とする足場パネル用連結具。
【請求項7】
請求項2~6のいずれかに記載の足場パネル用連結具において、前記フック部材と前記ロック部材のそれぞれの個数は2個であり、2個の前記ロック部材と前記架け渡し部材は、金属板の打ち抜き及び折り曲げ加工により形成された1個の製品となっており、前記ロック部材と前記架け渡し部材との接続部がこの製品の折り曲げ部となっていることを特徴とする足場パネル用連結具。
【請求項8】
請求項1~7のいずれかに記載の足場パネル用連結具において、前記2個の保持手段のうち、他方の保持手段は、前記2個の足場パネルのうち、一方の足場パネルに設けられている前記横架部材に取り付け、取り外し可能となっている挟着部になっていることを特徴とする足場パネル用連結具
【請求項9】
請求項1~7のいずれかに記載の足場パネル用連結具において、前記2個の保持手段のうち、他方の保持手段は、前記2個の足場パネルのうち、一方の足場パネルに設けられている前記横架部材に結合一体化された結合部となっていることを特徴とする足場パネル用連結具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮設足場を形成するための足場パネル同士を連結するための連結具に係り、例えば、高速道路や橋などの橋梁や建物等の補修、点検作業等に用いられる仮設吊り足場を形成するための足場パネルに利用できるものである。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1及び特許文献2には、高速道路などの橋梁や建物等の補修、点検のための作業等を実施するために、作業現場で仮設吊り足場が構築されることが示されている。このような仮設吊り足場は、それぞれが吊り下げ部材によって吊り下げられる複数個の足場パネルを左右方向や前後方向に並設することで形成されるとともに、左右方向と前後方向のうち、一方の方向に隣接配置される足場パネル同士は、これらの足場パネルに左右方向と前後方向のうち、他方の方向が長さ方向となって設けられた横架部材を保持するための2個の保持手段を有する連結具により連結されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平4-140363号公報
【文献】特開2015-81456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように左右方向と前後方向のうち、一方の方向に隣接配置される足場パネル同士を、これらの足場パネルに左右方向と前後方向のうち、他方の方向が長さ方向となって設けられた横架部材を保持するための2個の保持手段を有する連結具により連結する場合には、連結具を上から降ろす作業を行うことによって足場パネル同士を連結することができれば、この連結作業を短時間で容易に行える。
【0005】
本発明の目的は、上から降ろす作業を行うことで足場パネル同士を連結することができて、この連結作業を短時間で容易に行えるようになる足場パネル用連結具を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る足場パネル用連結具は、仮設足場を形成するために左右方向と前後方向のうち、互いに一方の方向に隣接配置される2個の足場パネルを連結するための連結具であって、前記2個の足場パネルのそれぞれに長さ方向が前記左右方向と前記前後方向のうち、他方の方向となって設けられている横架部材を保持するための2個の保持手段を有する足場パネル用連結具において、前記2個の保持手段のうち、少なくとも一方の保持手段は、この保持手段により保持される前記横架部材の少なくとも一部が嵌入可能となっている凹部が下向きに開口して形成されていて、この嵌入により前記横架部材に係止されるフック部材と、このフック部材に、前記凹部の開口部の少なくとも一部を閉じ、かつこの開口部を開けるために遊動自在に配置されていて、前記開口部の少なくとも一部を閉じることにより前記凹部で前記横架部材を係止ロック状態で保持させるためのロック部材とを含んで構成されていることを特徴とするものである。
【0007】
このように本発明に係る足場パネル用連結具は、2個の足場パネルのそれぞれに設けられている横架部材を保持するための2個の保持手段を有しており、これらの保持手段のうち、少なくとも一方の保持手段は、この保持手段により保持される横架部材の少なくとも一部が嵌入可能となっている凹部が下向きに開口して形成されていて、この嵌入により横架部材に係止されるフック部材と、このフック部材に、凹部の開口部の少なくとも一部を閉じ、かつこの開口部を開けるために遊動自在に配置されていて、開口部の少なくとも一部を閉じることにより凹部で横架部材を係止ロック状態で保持させるためのロック部材とを含んで構成されているため、フック部材とロック部材とを含んで構成されている保持手段に横架部材を保持させて足場パネル同士を連結するための作業を、連結具を上から降ろす作業によって行えることになり、このため、足場パネル同士を連結する作業を短時間で容易に実施することができる。
【0008】
なお、以上の本発明に係る足場パネル用連結具は、2個の保持手段のそれぞれを、前記フック部材と前記ロック部材とを含んで構成されたものとしてもよく、あるいは、2個の保持手段のうちの1個の保持手段だけを、前記フック部材と前記ロック部材とを含んで構成されたものとしてもよい。
【0009】
また、上から降ろす作業が行われるときにおける本発明に係る足場パネル用連結具は、この足場パネル用連結具により連結される前記2個の足場パネルのうちの1個の足場パネルに予め取り付けられるものとなっていて、この足場パネルと共に上から降ろされるようになっていてもよく、あるいは、本発明に係る足場パネル用連結具だけを上から降ろすようにしてもよい。
【0010】
さらに、本発明に係る足場パネル用連結具において、前記フック部材と前記ロック部材のそれぞれの個数は、1個でもよく、あるいは、これらのそれぞれの個数を、横架部材の長さ方向に設けられた複数個としてもよい。
【0011】
後者のようにフック部材とロック部材のそれぞれの個数を、横架部材の長さ方向に設けられた複数個とする場合には、複数個のロック部材を、横架部材の長さ方向の寸法を有する架け渡し部材により連結してもよい。
【0012】
これによると、ロック部材の個数を、横架部材の長さ方向に設けられた複数個としても、これらのロック部材は、横架部材の長さ方向の寸法を有する架け渡し部材により連結されているため、1個のロック部材を操作すると、他のロック部材は連動することになり、このため、それぞれのロック部材をフック部材に対して遊動させるためのロック部材の操作を容易に行えるようになる。
【0013】
なお、このような作用効果を得られる架け渡し部材は、複数個のロック部材の下部を連結するものでもよく、複数個のロック部材の上部を連結するものでもよい。
【0014】
架け渡し部材を、複数個のロック部材の下部を連結するものとする場合には、この架け渡し部材を、厚さ方向が上下方向であって、幅方向が前記2個の足場パネルの隣接配置方向になっているものとしてもよく、あるいは、厚さ方向が前記2個の足場パネルの隣接配置方向であって、幅方向が上下方向となっているものとしてもよい。
【0015】
そして、後者のように架け渡し部材を、厚さ方向が前記2個の足場パネルの隣接配置方向であって、幅方向が上下方向となっているものとする場合には、この架け渡し部材の幅方向の上側の端部が前記横架部材に接触可能となっていてもよい。
【0016】
このように架け渡し部材の幅方向の上側の端部が前記横架部材に接触可能となっていると、架け渡し部材は横架部材の長さ方向の寸法を有しているため、この寸法分だけロック部材による横架部材の係止ロック状態を一層強固にして実現できることになる。
【0017】
また、ロック部材の個数を、横架部材の長さ方向に設けられた2個とする場合であって、これらのロック部材を、横架部材の長さ方向の寸法を有する架け渡し部材により連結する場合には、これらのロック部材と架け渡し部材を溶接等で結合された複数の製品からなるものとしてもよいが、2個のロック部材と架け渡し部材を、金属板の打ち抜き及び折り曲げ加工により形成された1個の製品とし、ロック部材と架け渡し部材との接続部をこの製品の折り曲げ部とすることが好ましい。
【0018】
これによると、2個のロック部材と架け渡し部材を容易に製造することができる。
【0019】
また、以上の本発明に係る足場パネル用連結具において、前記2個の保持手段のうち、他方の保持手段は、前記2個の足場パネルのうち、一方の足場パネルに設けられている前記横架部材に取り付け、取り外し可能となっている挟着部としてもよく、あるいは、前記2個の足場パネルのうち、一方の足場パネルに設けられている横架部材に溶接等で結合一体化された結合部としてもよい。
【0020】
以上説明した本発明に係る足場パネルは、吊り下げ部材により吊り下げられることにより仮設吊り足場を形成するものでもよく、あるいは、支柱や建枠等で形成された枠状構造体に載置されることにより仮設足場を形成するものでもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によると、連結具を上から降ろす作業を行うことで足場パネル同士をこの連結具により連結することができて、この連結作業を短時間で容易に行えるという効果を得られる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、それぞれが吊り下げ部材で吊り下げられる複数個の足場パネルによって形成される仮設吊り足場の全体概略を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1の仮設吊り足場を、吊り下げ部材を省略して示した全体概略の平面図である。
【
図3】
図3は、開口部が形成されたときの仮設吊り足場を示す
図2と同様の図である。
【
図4】
図4は、第1足場パネルを示す平面図である。
【
図5】
図5は、第2足場パネルを示す平面図である。
【
図6】
図6は、第3足場パネルを示す平面図である。
【
図7】
図7は、第4足場パネルを示す平面図である。
【
図9】
図9は、それぞれの足場パネルに開閉自在に設けられている蓋部材を閉じたときにロックするためのロック具を示す縦断面図である。
【
図10】
図10は、第1足場パネルと第2足場パネルに設けられている第1接続部材を示す正面図である。
【
図11】
図11は、第1足場パネルと第3足場パネルに設けられている第2接続部材を示す正面図である。
【
図12】
図12は、第1接続部材の上に第2接続部材を載置したときの状態を示す縦断面図である。
【
図13】
図13は、2個の第1足場パネルを、第1接続部材の上に第2接続部材を載置して左右方向に隣接配置したときの状態を示す平面図である。
【
図14】
図14は、2個の第1足場パネルを接続するための接続具を示す図であって、この接続具により、左右方向に隣接配置された2個の第1足場パネルを接続したときの状態を示す縦断面図である。
【
図15】
図15は、前後方向に配置される2個の第1足場パネルや、第1足場パネルと第2足場パネル、第1足場パネルと第3足場パネルを連結するための第1連結具を、2個の第1足場パネルを連結したときの状態で示した縦断面図である。
【
図16】
図16は、第1足場パネルと第4足場パネルを連結するための第2連結具を示す全体斜視図である。
【
図19】
図19は、第2連結具の第1作動時の状態を示す正面図である。
【
図20】
図20は、第2連結具の第2作動時の状態を示す正面図である。
【
図21】
図21は、左右方向に配置される第2足場パネルと第3足場パネルと第4足場パネルの位置関係を示す平面図である。
【
図22】
図22は、第1足場パネルと第4足場パネルが第2連結具により前後方向に連結されたときの状態を示す斜視図である。
【
図23】
図23は、2個の第1足場パネルの間に配置された第4足場パネルが、これらの第1足場パネルに第2連結具により前後方向に連結されたときの状態を示す要部の拡大縦断面図である。
【
図24】
図24は、複数個の第4足場パネルを上下に段積みしたときの状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
図1には、それぞれがチェーン等による吊り下げ部材5により吊り下げられてそれぞれ水平方向である左右方向及び前後方向に並設されることで仮設吊り足場6を形成している複数個の足場パネルが示されている。これらの足場パネルには、第1足場パネル1と、第2足場パネル2と、第3足場パネル3と、第4足場パネル4とがある。
図2には、これらの足場パネル1~4により形成された仮設吊り足場6の全体概略の平面図が、吊り下げ部材5が省略されて示されており、また、
図3には、
図2の仮設吊り足場6から3個の第4足場パネル4が取り外されることにより、仮設吊り足場6に、建材や機材等の物品を通す等のために用いることが可能となった開口部7が上下に貫通して形成されている状態の全体概略の平面図が示されている。
【0024】
図4は、第1足場パネル1の平面図であり、
図5~
図7には、第2~第4足場パネル2~4の平面図が示されている。これらの第1~第4足場パネル1~4は、後述する第1接続部材35と第2接続部材36及び第1連結具
45と第2連結具55を除いたパネル本体についての平面視での全体形状の外輪郭部が矩形の形状となっているものであり、一層具体的には、これらの足場パネル1~4のパネル本体についての平面視での全体形状の外輪郭部は、足場パネル1~4により
図1及び
図2の仮設吊り足場6が形成されたときにおいて、この仮設吊り足場6の左右方向となる方向が短辺部となっていて、仮設吊り足場6の前後方向となる方向が長辺部となっている長方形をなすものとなっており、また、これらの足場パネル1~4のパネル本体についての平面視での大きさは、それぞれ同じになっている。このため、それぞれの足場パネル1~4のパネル本体において、平面視での全体形状の外輪郭部における短辺部の長さ寸法は同じであり、長辺部の長さ寸法も同じである。また、これらの足場パネル1~4における上下方向の厚さ寸法も同じになっている。
【0025】
このため、これらの足場パネル1~4を左右方向及び前後方向に並設することにより形成される仮設吊り足場6を、それぞれの足場パネル1~4を左右方向と前後方向に一致させ、また、上下方向にも一致させて形成できるようになっている。
【0026】
第1~第4足場パネル1~4の基本構造は同じであるため、次に、第1~第4足場パネル1~4についての共通している構造を
図4~
図7より説明する。
【0027】
第1~第4足場パネル1~4の長辺部は、開口側を互いに向かい合う内側としている2本のチャンネル材による長辺部材11,12により形成されており(
図9も参照)、
図4~
図7に示されているように、これらの長辺部材11,12の長さ方向の両端部同士の間又は両端部の近傍同士の間には、上記長辺部と直角をなす短辺部の長さ方向がそれぞれの長さ寸法の方向となっている横架部材13,14が架け渡され、長辺部材11,12と横架部材13,14との接続は、横架部材13,14の長さ方向の両端部に溶接で結合された端部部材15を長辺部材11,12に溶接で接合することにより行われている。これらの横架部材13,14の間には、丸パイプ材による架け渡し部材16が長辺部材11,12と平行に架け渡され、この架け渡し部材16の両端部は、横架部材13,14に溶接で結合された端部部材17となっており、これらの架け渡し部材16と端部部材17は、足場パネル1~4の短辺部の長さ方向の中央部に配置されている。
【0028】
なお、上記短辺部での水平方向の長さを有するそれぞれの横架部材13,14は、直径が同じになっている2本の丸パイプ材で形成されているため、これらの横架部材13,14は、長さ方向と直交する方向の断面が円形となった円形断面部材となっている。
【0029】
それぞれの足場パネル1~4の長辺部材11,12の上面には、足場パネル1~4の長辺部よりも長さ寸法が短い長方形の金属板で形成されている表面部材18が被せられ、この表面部材18の短辺部の長さ方向の両端部が長辺部材11,12の上面に溶接又はビス等で結合されているとともに、表面部材18の長辺部の長さ方向の両端部は、横架部材13,14よりも足場パネル1~4の内側において、長辺部材11,12と架け渡し部材16との間に固定配置されたチャンネル材等によるバー状の中間部材19に溶接又はビス等で結合されている。これにより、表面部材18が配置されている足場パネル1~4の上面は、作業者が乗って作業等を行うための水平の作業面となっている。
【0030】
中間部材19には、ヒンジ20により蓋部材21が開閉自在に取り付けられ、それぞれの足場パネル1~4の長辺部の長さ方向の両端側に配置されているこれらの蓋部材21が閉じられることにより、表面部材18によって覆われていない足場パネル1~4の長辺部の長さ方向の両端側の開口部が蓋部材21により覆われるようになっており、これらの開口部を覆った蓋部材21は、架け渡し部材16の両端部に設けられている端部部材17によって下側から支持されて、蓋部材21の上にも作業者が乗って作業等を行えるようになる。なお、蓋部材21についての足場パネル1~4の短辺部の長さ方向の寸法を大きくすることにより、蓋部材21を閉じときに、長辺部材11,12の上面によっても蓋部材21を下側から支持できるようにしてもよい。
【0031】
蓋部材21を開けたときに露出する足場パネル1~4の内部には、長辺部材11側の2個の保持部材22と、長辺部材12側の2個の保持部材23とが中間部材19に取り付けられて配置されており、それぞれが角パイプ材で形成されていて、互いに足場パネル1~4の長辺部の長さ方向における同じ位置に配置されているこれらの保持部材22,23の外面には、長寸法ナット24が鉛直の向きとなって溶接で結合され、それぞれの蓋部材21には、これらの蓋部材21を閉じたときに長寸法ナット24を露出させるための孔21Aが形成されている。また、表面部材18には、架け渡し部材16に結合されている吊りリング部材25を露出させるための長孔18Aが形成されている。さらに、それぞれの蓋部材21には、蓋部材21を閉じたときに、蓋部材21をロック状態とするためのロック具26が設けられている。
【0032】
このロック具26は、
図9に示されている。ロック具26は、蓋部材21を貫通した回動自在の軸部材29と、蓋部材21の表裏両面側において、軸部材29の両端部にそれぞれの長さ方向の一端部が結合されている2個の挟着部材30,31とを含んで構成されている。蓋部材21の表側に配置されている挟着部材30の操作により軸部材29を回動させると、2個の挟着部材30,31も回動し、これらの挟着部材30,31が、チャンネル材で形成されている長辺部材11,12の上側フランジ部11A,12Aを上下から挟着することにより、長辺部材11,12に対して閉じられている蓋部材21は、ロック具26によりロックされた状態となる。
【0033】
図1~
図3で示されている第1~第4足場パネル1~4のうち、2個の第1足場パネル1Aと、これらの第1足場パネル1Aの間に配置されている1個の第3足場パネル3は、仮設吊り足場6を形成する際に、吊り下げ部材5で吊り下げられて最初に配置されるスターターパネルである。これらのスターターパネルにおける閉じた蓋部材21の孔21Aから露出した長寸法ナット24には、パイプ材による棒状部材27を挟持するためのクランプ28に結合されている雄ねじ棒が螺入され、これらのクランプ28によりスターターパネルに取り付けられた棒状部材27に
図1の吊り下げ部材5が掛け回されることにより、スターターパネルは仮設吊り足場6の設置現場に吊り下げられる。
図1~
図3で示されている第1~第4足場パネル1~4のうち、スターターパネルを除く足場パネルの表面部材18の長孔18Aから露出している吊りリング部材25にも、吊り下げ部材5が掛け回され、これにより、スターターパネルを除く足場パネルも仮設吊り足場6の設置現場で吊り下げられて、仮設吊り足場6を形成するようになっている。
【0034】
また、足場パネル1~4のそれぞれについて、
図10に示されているように、長辺部材11には、角パイプ材で形成されている前述の保持部材22の端部を露出させるための孔11Bが形成されており、
図11に示されているように、長辺部材12にも、角パイプ材で形成されている保持部材23の端部を露出させるための孔12Bが形成されている。
【0035】
次に、第1~第4足場パネル1~4のそれぞれについての特有の構造を説明する。
【0036】
最初に
図4に示されている第1足場パネル1についての特有の構造を説明すると、第1足場パネル1の内部において、1本の長辺部材11側に2個設けられた保持部材22のそれぞれと一致する箇所には、第1接続部材35が配置されているとともに、1本の長辺部材12側に2個設けられた保持部材23のそれぞれと一致する箇所には、第2接続部材36が配置されている。このため、第1足場パネル1における互い平行となっている2個の長辺部のうち、一方の長辺部には2個の第1接続部材35が設けられているとともに、他方の長辺部には2個の第2接続部材36が設けられており、このため、第1足場パネル1は、接続部材付き足場パネルとなっている。これらの第1及び第2接続部材35,36についての第1足場パネル1における配置は、第1及び第2接続部材35,36を、前述したように、第1及び第2接続部材35,36を除くと平面視での全体形状が矩形となっている第1足場パネル1のパネル本体の外輪郭部から外部へ水平方向に突出させて行われており、このために、第1接続部材35の基部を保持部材22の内部で保持部材22に固定しており、また、第2接続部材36の基部を保持部材23の内部で保持部材23に固定しており、第1及び第2接続部材35,36の先端側は、これらの接続部材35,36を除くと平面視での全体形状が長方形となっている第1足場パネル1のパネル本体の外輪郭部から外部へ突出している。
【0037】
図10には、保持部材22の内部で基部が保持部材22に固定されていることで長辺部材11に設けられている第1接続部材35の正面図が示されており、この
図10に示されているように、第1接続部材35は、上部において、上向きに開いたV字状の溝部35Aを有するものとなっている。また、
図11には、保持部材23の内部で基部が保持部材23に固定されていることで長辺部材12に設けられている第2接続部材36の正面図が示されており、この
図11に示されているように、第2接続部材36は、下部において、下向きにV字状となった突部36Aを有するものとなっている。
【0038】
このため、
図1~
図3の仮設吊り足場6を形成するために、
図1の吊り下げ部材5で吊り下げされた2個の第1足場パネル1を、
図13で示されているように、これらの第1足場パネル1の短辺部の長さ方向である左右方向に並設するときには、
図12に示されているように、一方の第1足場パネル1に設けられている第1接続部材35の溝部35Aの上に、他方の第1足場パネル1に設けられた第2接続部材36の突部36Aを載置する。そして、これらの第1足場パネル1を近づけることにより、第2接続部材36の突部36Aを第1接続部材35の溝部35Aの上に載置した状態を維持させて、第2接続部材36の先部を上記一方の第1足場パネル1の内部に挿入し、これにより、2個の第1足場パネル1をすき間がない又は殆どない状態で左右方向に隣接配置する。
【0039】
なお、本実施形態の第1足場パネル1に設けられている第1及び第2接続部材35,36は、前述したように、これらの接続部材35,36を除くと平面視での全体形状が長方形となっている第1足場パネル1のパネル本体の外輪郭部から外部へ突出しているため、上述したように、それぞれの第1足場パネル1をこれらの第1足場パネル1の短辺部の長さ方向である左右方向に並設する作業を行う際に、一方の第1足場パネル1に設けられた第1接続部材35の上に、他方の第2足場パネル1に設けられた第2接続部材36を載置することができる。これにより、上記他方の第1足場パネル1の重量を上記一方の第1足場パネル1で支持させることができるため、これらの第1足場パネル1をすき間がない又は殆どない状態で左右方向に隣接配置するための作業を容易に行える。
【0040】
図14には、以上のようにして2個の第1足場パネル1をすき間がない又は殆どない状態で左右方向に隣接配置した後に、これらの第1足場パネル1同士を接続するための接続具37が示されている。この接続具37は、
図13に示されているように、それぞれの第1足場パネル1の長辺部材11において、それぞれの第1接続部材35の配置箇所と対応する箇所に配置されている。
図14により接続具37を説明すると、接続具37は、長辺部材11の上側フランジ部11Aに形成された孔11Cに上下に挿入された回動中心軸38と、ボルトで形成されているこの回動中心軸38が孔11Cから抜け出すことを防止するために、回動中心軸38の下部の雄ねじ部に螺合されたナット39と、長辺部材11の上側フランジ部11Aから突出している回動中心軸38の上部に長さ方向の一方の端部が溶接等で結合されているアーム部材40と、このアーム部材40の長さ方向の他方の端部に形成された孔40Aに上から挿入され、頭部41Aがアーム部材40の上面に当接しているボルト41と、このボルト41が孔40Aから抜け出すことを防止するために、ボルト41に係止されたE型リング等による係止部材42とを含んで構成されたものとなっている。このため、接続具37は、回動中心軸38の長さ方向におけるナット39とアーム部材40との間隔分だけ、長辺部材11の上側フランジ部11Aに対して上下方向に移動可能となっている。
【0041】
前述したように、2個の第1足場パネル1をすき間がない又は殆どない状態で左右方向に隣接配置する以前における接続具37は、回動中心軸38を中心に回動操作されることにより、ボルト41の位置が第1及び第2接続部材35,36から離れた位置となった回動退避状態にある。接続具37がこの回動退避状態にあるとき、ボルト41の雄ねじ軸部41Bを挿入できる孔を長辺部材11の上側フランジ部11Aに設けることにより、接続具37を、アーム部材40がこの上側フランジ部11Aの上に載せられる下降状態にできるようにしてもよい。
【0042】
前述したように、第2接続部材36の突部36Aを第1接続部材35の溝部35Aの上に載置した状態を維持させて、この第2接続部材36の先部を、前記一方の第1足場パネル1の内部に挿入し、これにより、2個の第1足場パネル1をすき間がない又は殆どない状態で左右方向に隣接配置した後に、
図14の二点鎖線で示されているように、アーム部材40を長辺部材11よりも上側に上昇させて、接続具37を回動中心軸38を中心に回動させる。これにより、ボルト41の雄ねじ軸部41Bの位置を長辺部材11の上側フランジ部11Aに形成された孔11Dの位置と一致させた後に、接続具37を下降させ、これにより、雄ねじ軸部41Bを孔11Dに上から挿入して、前述の保持部材22の上面に形成されている孔22Aにも上から挿入し、さらに、第2接続部材36に形成されている雌ねじ孔36Bに到達させる。この後に、ボルト41を頭部41Aに係合させた工具等で回転させると、雄ねじ軸部41Bは雌ねじ孔36Bに螺入する。
【0043】
これにより、すき間がない又は殆どない状態で左右方向に隣接配置された2個の足場パネル1は、第1接続部材35の上に載置された第2接続部材36と、この第2接続部材36の雌ねじ孔36Bに螺入された雄ねじ軸部41Bを有するボルト41が設けられている接続具37とにより接続されることになる。もちろん、ボルト41を頭部41Aに係合させた工具等で逆回転させると、雄ねじ軸部41Bを雌ねじ孔36Bから脱出させることができるため、2個の足場パネル1を分離させることもできる。
【0044】
次に、
図5により第2足場パネル2についての特有の構造を説明すると、この第2足場パネル2は、
図4に示されている第1足場パネル1と比較すると、第1接続部材35は設けられているが、第2接続部材36は設けられておらず、また、接続具37も設けられていないものとなっている。また、
図6により第3足場パネル3についての特有の構造を説明すると、この第3足場パネル3は、第1足場パネル1と比較すると、第2接続部材36は設けられているが、第1接続部材35は設けられておらず、また、接続具37も設けられていないものとなっている。さらに、
図7により第4足場パネル4についての特有の構造を説明すると、この第4足場パネル4は、第1足場パネル1と比較すると、第1接続部材35と第2接続部材36の両方が設けられておらず、接続具37も設けられていないものとなっている。このため、第4足場パネル4は、接続部材無し足場パネルとなっており、このような第4足場パネル4についての全体斜視図は、
図8に示されている。
【0045】
以上の説明から分かるように、本実施形態に係る第1~第4足場パネル1~4は、第1及び第2接続部材35,36と接続具37とを除くと、基本構造は同じである。また、これらの足場パネル1~4は、前述したように、第1及び第2接続部材35,36を除くパネル本体についての平面視での全体形状が矩形の長方形となっているとともに、この長方形の長辺部の長さ寸法は、それぞれの足場パネル1~4について同じであって、短辺部の長さ寸法も、それぞれの足場パネル1~4について同じであり、しかも、上下方向の厚さ寸法も、それぞれ足場パネル1~4について同じになっているため、第1~第4足場パネル1~4を、長辺部材11,12や横架部材13,14等の構成部材を共通化して安価に多数製造することができる。
【0046】
図15には、
図1~
図3の仮設吊り足場6を形成するために、2個の第1足場パネル1をこれらの第1足場パネル1の長辺部の長さ方向である前後方向に並設し、かつ、これらの第1足場パネル1同士を第1連結具45により連結したときの状態が示されている。この第1連結具45は、前後方向に並設される2個の足場パネル1のうち、前側の第1足場パネル1に設けられている横架部材14と、後側の第1足場パネル1に設けられている横架部材13とを連結するものとなっており、一層具体的には、第1連結具45は、横架部材13,14を挟着、保持するための2個のクランプ46が結合部材47で結合されたものとなっている。それぞれのクランプ46は、互いに結合部材47で結合された第1挟着部材48と、これらの第1挟着部材48の一方の端部に基端部が軸49で回動自在に連結されたボルト50と、第1挟着部材48の他方の端部に基端部が軸51で回動自在に連結された第2挟着部材52と、これらの第2挟着部材52の先端部に形成されている二股部に挿入されるボルト50に螺合され、締め付けられることにより、第1挟着部材48と第2挟着部材52とによって横架部材13,14を挟着させるためのナット53とを含んで構成されている。
【0047】
このような第1連結具45は、横架部材13,14の長さ方向となっている第1足場パネル1の短辺部の長さ方向に複数個、例えば、
図4で示されている架け渡し部材16の端部部材17の両側において、2個配置され、これにより、前後方向に並設される2個の足場パネル1が連結される。
【0048】
また、
図15では、2個の第1足場パネル1をこれらの第1足場パネル1の長辺部の長さ方向である前後方向に並設したときに、これらの第1足場パネル1同士を第1連結具45によって連結したときの状態が示されているが、第1連結具45は、
図1~
図3の仮設吊り足場6を形成するために、それぞれの足場パネルの長辺部の長さ方向である前後方向に並設される第1足場パネル1と第2足場パネル2とを連結するためにも、また、第1足場パネル1と第3足場パネル3とを連結するためにも用いられる。もちろん、この第1連結具45は、ナット53を緩めることにより、2個のクランプ46の第1挟着部材48と第2挟着部材52による横架部材13,14の挟着、保持を解除することができるため、この第1連結具45で連結された2個の足場パネルを分離することもできる。
【0049】
図16には、
図1~
図3の仮設吊り足場6を形成するために、それぞれが水平方向となっている左右方向と前後方向のうち、それぞれの足場パネルの長辺部の長さ方向である前後方向に隣接配置される第1足場パネル1と第4足場パネル4とを連結するための第2連結具55の全体斜視図が示され、
図17には、この第2連結具55の正面図が示され、
図18には、第2連結具55の平面図が示されている。
【0050】
後述する挟着部58により第4足場パネル4に対して取り付け、取り外し可能となっている第2連結具55は、第1足場パネル1と第4足場パネル4の長辺部の長さ方向が長さ寸法の方向となっている本体部材56を有するものとなっており、この本体部材56は、第1足場パネル1と第4足場パネル4の短辺部の長さ方向に平行に2個設けられている。これらの本体部材56は、本体部材56の長さ方向の一方の側において、底面部材57により連結されており、そして、これらの本体部材56と底面部材57は、金属板の打ち抜き及び折り曲げ加工により形成された1個の製品となっていて、本体部材56と底面部材57との接続部がこの製品の折り曲げ部となっている。また、それぞれの本体部材56の長さ方向における底面部材57が設けられている側は、第4足場パネル4の横架部材13,14を挟着するための挟着部58となっており、また、それぞれ本体部材56の長さ方向における底面部材57が設けられている側とは反対側は、第1足場パネル1の横架部材13,14を係止してロックするためのフック部59となっている。
【0051】
第2連結具55の挟着部58は、2個の本体部材56による下側の第1挟着部材60と、この第1挟着部材60に、フック部59側の基端部が軸61で上下に回動自在に連結された上側の第2挟着部材62と、第1挟着部材60に下端部が軸63で回動自在に連結された雄ねじ軸部材64と、第2挟着部材62の先端部に形成された二股部62Bに挿入される雄ねじ軸部材64に螺合されたナット65とを含んで構成され、軸63は、底面部材57に固定されている軸受け部材66によっても支持されている。
図17に示されているように、第1挟着部材60と第2挟着部材62との間に第4足場パネル4の横架部材13,14を挿入した後に、雄ねじ軸部材64を第2挟着部材62の二股部62Bに挿入してナット65を締め付けることにより、横架部材13,14を、丸パイプ材で形成されているこれらの横架部材13,14の外面形状と対応して第1挟着部材60と第2挟着部材62とに形成されている湾曲状の凹部60A,62Aによって挟着して保持することができる。このため、第2連結具55における挟着部58は、横架部材13,14を保持することができる保持手段ともなっている。
【0052】
なお、上述のようにして第1挟着部材60と第2挟着部材62とにより第4足場パネル4の横架部材13,14を挟着、保持するための挟着部58には、底面部材57に上向きに突設されて固定されたピン73が設けられており、このピン73の先部が、後述する
図23に示されているように、第4足場パネル4の横架部材13,14の下部に形成されている孔13A,14Aに挿入されて、第1挟着部材60と第2挟着部材62とがこれらの横架部材13,14を挟着、保持するようになっている。
【0053】
図16及び
図17に示されているように、第2連結具55のフック部59は、それぞれの本体部材56によるフック部材67と、これらのフック部材67に下向きに開口して形成され、第1足場パネル1の横架部材13,14の少なくとも一部が内部に嵌入可能となっている凹部67Aと、これらの横架部材13,14の外面形状と対応して湾曲状に形成されたそれぞれの凹部67Aの下側の最大開口幅となっている開口部の一部又は全部を閉じるための部材であって、横架部材13,14を凹部67Aの内部で係止ロック状態とするために、それぞれのフック部材67ごとに設けられたロック部材68とを含んで構成されている。それぞれのロック部材68は、これらのロック部材68に湾曲状に形成された長孔68Aと、この長孔68Aに挿入されてフック部材67に固定されている2個のピン69,70とによる案内作用により、フック部材67に対して遊動自在となっており、また、長孔68Aの一部には、2個のピン69,70のうち、下側のピン70が挿入可能となっている凹部68Bが、長孔68Aからフック部材67の凹部67Aとは反対側へ突出した状態で設けられている。そして、ピン69,70には、長孔68Aと凹部68Bからの抜け出し防止のための大径頭部69A,70Aが設けられている。
【0054】
このため、それぞれのロック部材68は、凹部67Aの下側の開口部の一部又は全部を閉じるための位置から、この開口部の全部を開けるための位置との間において、フック部材67に対して遊動可能となっている。
【0055】
また、本実施形態では、それぞれのフック部材67ごとに設けられていて、第1足場パネル1と第4足場パネル4の短辺部の長さ方向である横架部材13,14の長さ方向に2個設けられているロック部材68は、これらのロック部材68の下部において、架け渡し部材71により連結されている。このような2個のロック部材68と架け渡し部材71は、金属板の打ち抜き及び折り曲げ加工により形成された1個の製品となっており、ロック部材68と架け渡し部材71との接続部がこの製品の折り曲げ部となっている。そして、2個のロック部材68を連結するために、第1足場パネル1と第4足場パネル4とに設けられている横架部材13,14の長さ方向の寸法を有している架け渡し部材71は、厚さ方向が上下方向であって、幅方向が第1足場パネル1と第4足場パネル4の隣接配置方向になったものとなっている。
【0056】
また、本実施形態の第2連結具55には、2個の本体部材56をフック部59側の端部で連結することで第2連結具55の強度を大きくするための連結手段72が設けられ、この連結手段72は、軸部が2個の本体部材56に形成された孔に挿入されたボルト72Aと、一方の本体部材56の孔から突出した軸部の端部に螺合されたナット72B(
図18を参照)と、2個の本体部材56の間に挿入され、ボルト72Aの軸部の外周に嵌合された筒状のスペース部材72Cとを含んで構成されたものになっている。
【0057】
図19と
図20には、ロック部材68を操作することによってロック部材68がフック部材67に対して遊動したときの第1作動時の状態と、第2作動時の状態とが示されている。
図19の第1作動時には、2本のピン69,70のうち、ピン69が湾曲状の長孔68Aに挿入しており、ピン70は凹部68Bに挿入しているため、架け渡し部材71が設けられているロック部材68の下部により、フック部材67に形成されている凹部67Aの下側の開口部のうち、半分又は略半分が閉じられており、これにより、第2連結具55を、第1足場パネル1の横架部材13,14の上に載せることができる。この後にロック部材68を操作すると、ロック部材68は
図20の第2作動時の状態になり、この第2作動時には、2本のピン69,70は湾曲状の長孔68Aに挿入しているため、ロック部材68と架け渡し部材71は、凹部67Aの下側の開口部の全体を開放し、このため、第2連結具55の落下により、第1足場パネル1の横架部材13,14をフック部材67の凹部67Aの内部に嵌入させることができる。この後にロック部材68は、自身の重量と架け渡し部材71の重量とにより、2本のピン69,70が湾曲状の長孔68Aに挿入された状態を維持して、回動しながら下降するため、
図17に示されている状態となる。
【0058】
このときには、架け渡し部材71が設けられているロック部材68の下部により、フック部材67に形成されている凹部67Aの下側の開口部の一部が塞がれるため、第1足場パネル1の横架部材13,14は、フック部材67の凹部67Aの内部において、ロック部材68により係止ロックされた状態となる。このため、第2連結具55におけるフック部59は、前述した挟着部58と同様に、横架部材13,14を保持することができる保持手段ともなっている。
【0059】
このため、水平方向である前後方向に互いに隣接配置される第1足場パネル1と第4足場パネル4とを連結するための本実施形態の第2連結具55には、第1足場パネル1と第4足場パネル4とに長さ方向が水平方向の左右方向となって設けられている横架部材13,14を保持することができる2個の保持手段が、挟着部58及びフック部59として設けられていることになる。
【0060】
なお、本実施形態の第2連結具55におけるフック部59は、2個設けられているフック部材67のそれぞれにロック部材68を遊動自在に配置したものとなっているが、これらのロック部材68は架け渡し部材71により連結されているため、2個のロック部材68うち、一方のロック部材68を操作すると、他方のロック部材68は連動して遊動することになり、このため、これらのロック部材68についての操作を容易に行える。このような作用効果を得るための架け渡し部材は、本体部材56の上側を越えて2個のロック部材68の上部を連結するものとしてもよい。
【0061】
図21には、
図1及び
図2の仮設吊り足場6を形成するための第1~第4足場パネル1~4のうち、第2~第4足場パネル2~4についての配置の位置関係が示されており、これらの第2~第4足場パネル2~4を含む
図1及び
図2で示されている第1~第4足場パネル1~4が
図1及び
図2のように配置されることにより、仮設吊り足場6が形成される。この仮設吊り足場6を形成するためには、前述したスターターパネルとなっている第1足場パネル1Aと第3足場パネル3とを、後述するように第1連結具45により連結する作業と、それぞれの足場パネルの短辺部の長さ方向である左右方向に並設される複数個の第1足場パネル1を、第1接続部材35と第2接続部材36と接続具37により接続する作業と、第4足場パネル4を、それぞれの足場パネルの長辺部の長さ方向となっている前後方向における第4足場パネル4の前後両側に配置された第1足場パネル1に第2連結具55により連結する作業と、第4足場パネル4に対し、スターターパネルとなっている第1足場パネル1A及び第3足場パネル3とは反対側に配置される第1足場パネル1と第2足場パネル2とを第1連結具45により連結する作業とが実施される。
【0062】
以上の作業を次に詳細に説明すると、本実施形態では、
図1及び
図2の仮設吊り足場6に
図3の開口部7を形成するための前述した接続部材無し足場パネルとなっている第4足場パネル4は、合計3個用いられる。これらの第4足場パネル4は、第4足場パネル4の短辺部の長さ方向である左右方向に並設されるとともに、3個の第4足場パネル4についての上記短辺部の長さ方向両側には、第2足場パネル2と第3足場パネル3が配置され、この配置作業は、第2足場パネル2に設けられている第1接続部材35を第4足場パネル4の側とは反対側に向けて、また、第3足場パネル3に設けられている第2接続部材36を第4足場パネル4の側とは反対側に向けて、それぞれ行われる。これにより、上記左右方向に配置される第2~第4足場パネル2~4は、第2足場パネル2と第3足場パネル3との間に3個の第4足場パネル4が入れられて配置されることになり、そして、これらの第2~第4足場パネル2~4は、
図1の吊り下げ部材5で吊り下げられながら、上述の左右方向にすき間がない又は殆どない状態で隣接配置される。
【0063】
また、それぞれの第4足場パネル4について、第4足場パネル4の長辺部の長さ方向となっている前後方向における第4足場パネル4の前後両側には、
図1に示されているように、2個の第1足場パネル1が配置され、さらに、1個の第3足場パネル3の前後両側にも、2個の第1足場パネル1が配置されるとともに、1個の第2足場パネル2の前後方向の両側にも、2個の第1足場パネル1が配置される。それぞれの足場パネルの短辺部の長さ方向となっている左右方向に並設される第1足場パネル1同士は、第1接続部材35と第2接続部材36と接続具37で接続され、また、前後方向に並設される第1足場パネル1と第2足場パネル2、及び第1足場パネル1と第3足場パネル3は、
図15で示した第1連結具45により連結され、また、前後方向に並設される第1足場パネル1と第4足場パネル4は、
図16等で示した第2連結具55により、
図22に示されているように連結される。
【0064】
第2連結具55によって第1足場パネル1と第4足場パネル4とを連結することは、
図7、
図8及び
図21に示されているように、第4足場パネル4の長辺部の長さ方向の両端部の箇所又は両端部に近い箇所に設けられている横架部材13,14のそれぞれに第2連結具55を2個ずつ配置し、これらの第2連結具55の横架部材13,14での配置を、
図23に示されているように、それぞれの第2連結具55の挟着部58で第4足場パネル4の横架部材13,14を挟着、保持して行うとともに、横架部材13に配置された前側の第2連結具55のフック部59に、第4足場パネル4の前後両側に配置された2個の第1足場パネル1のうち、前側に配置された第1足場パネル1の横架部材14をロック部材68により係止ロックし、横架部材14に配置された後側の第2連結具55のフック部59に、第4足場パネル4の前後両側に配置された2個の第1足場パネル1のうち、後側に配置された第1足場パネル1の横架部材13をロック部材68により係止ロックして行う。
【0065】
なお、上述したように第4足場パネル4の横架部材13,14のそれぞれに2個ずつの第2連結具55を配置し、これらの第2連結具55の横架部材13,14での配置を、
図23に示されているように、それぞれの第2連結具55の挟着部58で第4足場パネル4の横架部材13,14を挟着、保持して行う際には、それぞれの第2連結具55の挟着部58にはピン73が立設されていて、これらのピン73は、第4足場パネル4の横架部材13,14の下部に形成されている孔13A,14Aに挿入されるため、横架部材13,14が、前述したように、これらの横架部材13,14の長さ方向と直交する方向の断面が円形の円形断面部材となっている丸パイプ材で形成されていても、ピン73と孔13A,14Aとによって形成された回動阻止手段75により、それぞれの第2連結具55が挟着部58で挟着、保持された横架部材13,14を中心に上下方向に回動することは阻止される。
【0066】
なお、第2連結具55に設けられたピン73と、第4足場パネル4の横架部材13,14に設けられた孔13A,14Aとにより形成される回動阻止手段75は、第2連結具55に前述したように2個設けられている保持手段のうちの1個の保持手段となっている挟着部58と、第4足場パネル4に前述したように円形断面部材として設けられている横架部材13,14とを、凸部と凹部により凹凸嵌合させるための凹凸嵌合手段ともなっている。そして、ピン73は、この凹凸嵌合手段のうちの凸部として、挟着部58を構成する下側の第1挟着部材60に設けられ、孔13A,14Aは、凸部が嵌合するために、凹凸嵌合手段に設けられた凹部として、断面円形部材となっている横架部材13,14の下部に設けられている。そして、挟着部58を構成する上側の第2挟着部材62を下側の第1挟着部材60に対して軸61を中心に回動させた後に、雄ねじ軸部材64に螺合されたナット65の締め付けを行うことにより、ピン73と孔13A,14Aとを確実に凹凸嵌合させて、挟着部58により横架部材13,14を挟着、保持できる。
【0067】
以上の説明から分かるように、第4足場パネル4に、第1足場パネル1と異なり、第4足場パネル4の短辺部の長さ方向に隣接配置される第2足場パネル2や第3足場パネル3と接続される第1及び第2接続部材35,36が設けられていなくても、第4足場パネル4が、この第4足場パネル4の上に載った作業者等の重量によって第1足場パネル1との間で上下の段差が生ずる回動の動きをすることは、上述の凹凸嵌合手段となっている回動阻止手段75により阻止できることになる。
【0068】
また、第2連結具55のフック部59において、第1足場パネル1の横架部材13,14を係止ロック状態としているロック部材68を操作することでこの係止ロック状態を解除すると、第4足場パネル4を第2連結具55により第1足場パネル1から分離することができる。また、この分離を行うと、上述したように第4足場パネル4には、第4足場パネル4の短辺部の長さ方向に隣接配置される第2足場パネル2や第3足場パネル3と接続される第1及び第2接続部材35,36が設けられていないため、第4足場パネル4を
図1及び
図2の仮設吊り足場6から上側へ取り外すための作業を、第1及び第2接続部材35,36の影響を受けることなく、実施することができ、このため、第4足場パネル4のこの取り外し作業を行うことにより、仮設吊り足場6に
図3で示した開口部7を上下に貫通させて形成することができ、この開口部7を通して、建材や機材の物品等を地上から仮設吊り足場6まで持ち上げたり、仮設吊り足場6から地上に降ろしたりする作業を行うことが可能となる。
【0069】
また、仮設吊り足場6から取り外された第4足場パネル4を、開口部7の箇所において、上から下へ降ろして、第4足場パネル4を第1足場パネル1に第2連結具55で再び連結することにより、開口部7を第4足場パネル4により塞ぐことができる。
【0070】
以上のように仮設吊り足場6に
図3の開口部7を形成するために第4足場パネルを上側へ取り外すための作業や、開口部7を第4足場パネル4により塞ぐためにこの第4足場パネル4を上から下に降ろすための作業は、第4足場パネル4の横架部材13,14を、第2連結具55に保持手段として設けられている挟着部58により挟着、保持したままの状態で行われるため、上述の作業は第2連結具55を第4足場パネル4に取り付けた状態で行われる。
【0071】
このため、開口部7を第4足場パネル4により塞ぐためにこの第4足場パネル4を上から下に降ろすための作業を行う際に、第2連結具55のロック部材68を
図19で示した第1作動時の状態にしておき、次いで、ロック部材68を
図20で示した第2作動時の状態とすることにより、第2連結具55を第4足場パネル4と共に上から降ろす作業を行うことによって開口部7を第4足場パネル4により塞いで、第2連結具55により第1足場パネル1と第4足場パネル4とを連結する作業を行うことができ、この連結作業は、第2連結具55のフック部材67に下向きに開口して形成された凹部67Aに第1足場パネル1の横架部材13,14を嵌入する作業であるため、第2連結具55により第1足場パネル1と第4足場パネル4とを連結する作業を短時間で容易に行える。
【0072】
このように第2連結具55を第4足場パネル4に取り付けておくことで実施する第2連結具55と第4足場パネル4とを上から降ろす作業は、
図1及び
図2で示した仮設吊り足場6を第1~第4足場パネル1~4により形成するときも行われ、このため、この仮設吊り足場6を形成するための作業も短時間で容易に実施することができる。
【0073】
また、前述したように本実施形態の第2連結具55では、ロック部材68は2個設けられていて、これらのロック部材68は架け渡し部材71により連結されているため、2個のロック部材68のうち、一方のロック部材68を操作すると、他方のロック部材68は連動して遊動するため、それぞれのロック部材68を
図19の第1作動時の状態と
図20の第2作動時の状態にするための操作を容易に行える。
【0074】
なお、
図23に示されているように、第4足場パネル4において、横架部材13,14は、下部が長辺部材11,12の下端部から下方へ突出して第4足場パネル4に配置されている。また、横架部材13,14の両端部を長辺部材11,12に結合するためにこれらの横架部材13,14に両端部に設けられている端部部材15の上面には、丸パイプ材で形成される横架部材13,14の外面形状と対応した湾曲状の凹部15Aが設けられている。このような構成は、第1足場パネル1が示されている
図15から分かるように、第1~第3足場パネル1~3についても共通している。
【0075】
本実施形態の第4足場パネル4は、
図7、
図8及び
図21に示されているように、第4足場パネル4の横架部材13,14のそれぞれに、この第4足場パネル4に対して取り付け、取り外し可能となっている2個の第2連結具55が予め取り付けられて、
図1の仮設吊り足場6が構築される作業現場に運ばれている。このように第4足場パネル4の横架部材13,14のそれぞれに2個の第2連結具55が予め取り付ける作業は、例えば、仮設足場のための各種の部材を貯溜する場所等において、それぞれの第2連結具55の挟着部58で横架部材13,14を挟着、保持させる作業を実施することにより行われ、この作業は、第2連結具55の挟着部58に上向きに立設されたピン73を横架部材13,14の下部に形成された孔13A,14Aに挿入して実施されるため、ピン73と孔13A,14Aとによる回動阻止手段75により、それぞれの第2連結具55は、第4足場パネル4に対して平行状態又は略平行状態の姿勢を維持した状態となって、この第4足場パネル4の横架部材13,14に取り付けられることになる。
【0076】
このため、
図1の仮設吊り足場6を構築する作業現場では、第2連結具55は、吊り下げ部材5で吊り下げされた第4足場パネル4と一体化されているとともに、この第4足場パネル4に対して平行状態又は略平行状態の姿勢を維持した状態となって、吊り下げ部材5による下降作業によって降ろされることになり、このため、第2連結具55により第1足場パネル1と第4足場パネル4とを連結する作業を、第2連結具55のロック部材68が配置されているフック部59において、第1足場パネル1の横架部材13,14をロック部材68の操作により係止ロック状態とするだけの作業を実施することにより行うことができ、このため、この作業を短時間で簡単に行える。
【0077】
なお、仮設吊り足場6を構築する作業現場において、上述したように第2連結具55を、吊り下げ部材5で吊り下げされた第4足場パネル4と一体化させ、この第4足場パネル4に対する平行状態又は略平行状態の姿勢を維持させた状態とさせて、吊り下げ部材5による下降作業によって降ろすときには、ロック部材68は、
図19で示した第1作動時の状態となっているため、第4足場パネル4の横架部材13,14に予め取り付けられているそれぞれの第2連結具55は、第1足場パネル1の横架部材13,14の上に乗り、この後に、前述したようにロック部材68を操作すると、ロック部材68は
図20で示した第2作動時の状態になり、次いで、ロック部材68は
図17で示した状態になるため、第2連結具55を第4足場パネル4と共に下降させることにより、第2連結具55のフック部59で第1足場パネル1の横架部材13,14を自ずと係止ロック状態とすることができる。
【0078】
また、前述したように仮設吊り足場6に
図3の開口部7を形成するために、この仮設吊り足場6から第4足場パネル4を取り外すための作業は、第2連結具55のフック部59での第1足場パネル1の横架部材13,14の係止ロック状態をロック部材68の操作により解除し、第2連結具55を、吊り下げ部材5による上昇作業によって吊り上げられる第4足場パネル4と一体化させて仮設吊り足場6から取り外すことにより実施できる。このため、この作業も短時間で簡単に行える。
【0079】
さらに、この後に、第4足場パネル4によって開口部7を再び塞ぐための作業も、第2連結具55を、吊り下げ部材5による下降作業により第4足場パネル4と一体化させて上から下に降ろすことにより実施できるため、この作業も短時間で簡単に行える。
【0080】
なお、上述したように第4足場パネル4の取り外しにより仮設吊り足場6に
図3の開口部7を形成したときには、この開口部7の全部又は一部を囲む手摺りを、第1~第3足場パネル1~3に設けられている
図4~
図6の長寸法ナット24を利用して仮設足場パネル6に設置してもよい。このような手摺りは、例えば、ナット24に螺合された雄ねじ棒が下端に結合されている複数本の支柱を足場パネル1~3に立設し、これらの支柱にチェーンやロープ等の紐状部材や、棒状部材、又はパネルを架け渡すことにより形成することができる。
【0081】
前述したように、第4足場パネル4の横架部材13,14には予め第2連結具55が取り付けられており、このように第2連結具55が横架部材13,14に予め取り付けられた第4足場パネル4を
図1及び
図2で示されている仮設吊り足場6の構築作業現場へ輸送車両で搬送等するときには、
図24に示されているように、複数個の第4足場パネル4が、前述した蓋部材21を開けた状態にして又は閉じた状態にして、上下に段積みされた状態で搬送等されるため、複数個の第4足場パネル4を上下に段積みした段積み構造体の全体の上下寸法を小さくすることが求められる。
【0082】
ところで、それぞれの第4足場パネル4での横架部材13,14の高さ方向における配置位置は、
図23で説明したように、横架部材13,14の下部が長辺部材11,12の下端部から下方へ突出した位置となっている。しかし、横架部材13,14の両端部を長辺部材11,12に結合するためにこれらの横架部材13,14の両端部に設けられている端部部材15の上面には、丸パイプ材で形成される横架部材13,14の外面形状と対応した湾曲状の凹部15Aが設けられている。このため、複数個の第4足場パネル4を上下に段積みする際には、
図24に示されているように、それぞれの第4足場パネル4を上下を逆にして上下に段積みすることにより、下段の第4足場パネル4の横架部材13,14の一部を、上段の第4足場パネル4の端部部材15の上面に形成された凹部15Aに嵌入させることができ、これにより、複数個の第4足場パネル4を上下に段積みした段積み構造体の全体の上下寸法を小さくすることができる。
【0083】
また、
図23には、第4足場パネル4の横架部材13,14に取り付けられることにより、第1足場パネル1と第4足場パネル4とを連結しているときの第2連結具55についての第4足場パネル4での高さ位置が示されており、このときの第2連結具55、及び第4足場パネル4の横架部材13,14に予め取り付けられていて、第1足場パネル1と第4足場パネル4とを連結する以前における第2連結具55は、前述した回動阻止手段75により第4足場パネル4に対して平行状態又は略平行状態の姿勢を維持した状態となっている。第4足場パネル4の高さ寸法はH1であり、雄ねじ軸部材64を含む第2連結具55の高さ寸法はH2であり、第4足場パネル4に取り付けられたときの第2連結具55の上端の高さ位置は、第4足場パネル4の上端よりも低い位置となっているため、第2連結具55の下端は、第4足場パネル4の下端から上下寸法H3分だけ下方へ突出している。
【0084】
このような第4足場パネル4における第2連結具55の高さ位置を考慮して、本実施形態に係る第4足場パネル4では、
図7に示されているように、横架部材13に2個配置される第2連結具55についての配置位置を、第4足場パネル4の短辺部の長さ方向である左右方向の中央部の位置Nから左右方向に寸法W1と寸法W2の分だけずれた位置としており、また、横架部材14に2個配置される第2連結具55について配置位置も、第4足場パネル4の左右方向の中央部の位置Nから左右方向に寸法W1と寸法W2の分だけずれた位置としている。そして、
図7に示されているように、第4足場パネル4に合計4個配置されている第2連結具55のうち、一方の長辺部材11に近い位置に配置されている2個の第2連結具55の配置位置は、上記左右方向における同じ位置であり、他方の長辺部材12に近い位置に配置されている2個の第2連結具55の配置位置も、上記左右方向における同じ位置であり、そして、横架部材13,14のそれぞれに2個ずつ配置されている第2連結具55は、上記左右方向の中央部の位置Nの両側に配置されている。
【0085】
このような横架部材13,14における第2連結具55の配置位置は、第2連結具55に設けられているピン73と共に前述した回動阻止手段75を構成するために横架部材13,14に設ける孔13A,14Aの位置を、これらの横架部材13,14の長さ方向のどの位置に設けるかにより設定することができる。
【0086】
本実施形態の上述した寸法W1と寸法W2は、第4足場パネル4の表裏を変えずに、この第4足場パネル4について、第4足場パネル4の長辺部の長さ方向となっている前後方向における前後の向きを逆とする変更を行ったときに、4個の第2連結具55の配置位置が、変更前の4個の第2連結具55の配置位置と同じにならない寸法に設定されている。
【0087】
このため、
図24で示されているように、複数個の第4足場パネル4を上下に段積みする際に、上下に隣接する2個の第4足場パネル4について、前後方向における前後の向きを互いに逆とした向きにして、これらの第4足場パネル4を段積みすると、上下に隣接する2個の第4足場パネル4において、前述したように、これらの第4足場パネル4に予め取り付けられているそれぞれの第2連結具55に第4足場パネル4からの上下寸法H3分だけの突出量があっても、これらの第4足場パネル4における第2連結具55が上記左右方向にずれることになって、互いに干渉しないことになり、このため、上下寸法H3の影響を受けることなく、複数個の第4足場パネル4を上下に段積みした段積み構造体の全体の上下寸法を小さくすることができる。
【0088】
また、上下に段積みされたそれぞれの第4足場パネル4では、それぞれの第2連結具55は、前述の回動阻止手段75により第4足場パネル4に対して平行状態又は略平行状態の姿勢を維持した状態となっているため、この点でも上記段積み構造体の全体の上下寸法を小さくすることができる。
【0089】
図25には、別実施形態に係る第2連結具155が示されている。この第2連結具155でも、フック部59を形成するために、2個のフック部材67のそれぞれについてロック部材168が設けられているとともに、これらのロック部材168は、ロック部材168の下部において、架け渡し部材171により連結されているが、第1足場パネル1と第4足場パネル4とに設けられている横架部材13,14の長さ方向の寸法を有しているこの架け渡し部材171は、厚さ方向が第1足場パネル1と第4足場パネル4の隣接配置方向となっていて、幅方向が上下方向となっているものである。そして、2個のロック部材168と架け渡し部材171は、金属板の打ち抜き及び折り曲げ加工により形成された1個の製品となっており、ロック部材168と架け渡し部材171との接続部がこの製品の折り曲げ部となっている。
【0090】
この実施形態の第2連結具55によると、ロック部材168が、横架部材13,14が嵌入されたフック部材67の凹部67Aの下側の開口部の少なくとも一部を閉じたときに、架け渡し部材171の上端部を横架部材13,14に当接させることが可能となり、この架け渡し部材171は、第1足場パネル1と第4足場パネル4とに設けられている横架部材13,14の長さ方向の寸法を有しているため、この寸法分だけ、前記実施形態の第2連結具55よりもロック部材168による横架部材13,14の係止ロック状態を一層強固にして実現できることになる。
【0091】
なお、前述したピン73を省略した第2連結具55,155は、仮設吊り足場6を形成するために前述した第1連結具45を用いる箇所に、この第1連結具45の代わりとして用いることもでき、また、
図15の第1連結具45を構成している2個のクランプ46のうち、一方のクランプ46に、第2連結具55,155のピン73と同様のピンを設けた第1連結具を、第2連結具55,155を用いる箇所に、第2連結具55,155の代わりとして用いてもよい。
【0092】
図26には、さらに別実施形態に係る第2連結具255が示されている。この第2連結具255も、
図23等で示した第2連結具55と同様に、第1足場パネル1の横架部材13,14の少なくとも一部が内部に嵌入可能となっている凹部67Aが形成されていて、ロック部材68と共に横架部材13,14を係止ロック状態とするためのフック部材67を有するものとなっているが、この実施形態の第2連結具255では、フック部材67のためのフック部59は、第4足場パネル4の長辺部の長さ方向が長さ寸法の方向となっている本体部材256に形成されている。この本体部材256は第4足場パネル4の短辺部の長さ方向に平行に2個設けられていて、これらの本体部材256は互いに底面部材257により連結されており、そして、これらの本体部材256と底面部材257は、金属板の打ち抜き及び折り曲げ加工により形成された1個の製品となっていて、本体部材256と底面部材257との接続部が折り曲げ部となっている。
【0093】
また、それぞれの本体部材256には、第4足場パネル4の横架部材13,14を貫通させた孔256Aが設けられており、これらの孔256Aに横架部材13,14が溶接で結合されている。このため、この実施形態の第2連結具255は、第4足場パネル4に結合一体化されたものとなっている。
【0094】
したがって、この実施形態の第2連結具255では、この第2連結具255により連結される第1足場パネル1と第4足場パネル4とのうち、第4足場パネル4の横架部材13,14を保持する保持手段は、これらの横架部材13,14に溶接で結合された本体部材256における溶接結合部となっている。
【0095】
また、
図16等で示した第2連結具55は、この第2連結具55を第4足場パネル4の横架部材13,14に対して取り付け、取り外し可能とするために、第1挟着部材60と第2挟着部材62により横架部材13,14を挟着するための挟着部58を備えたものとなっていたが、第2連結具を、第4足場パネル4の横架部材13,14に溶接等で固定された取付部材にボルト、ナット等による止着具で取り付けられるものとするとともに、この止着具の取り外しにより、横架部材13,14から取り外すこともできるようにしたものとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明は、高速道路などの橋梁や建物等の補修、点検作業等のために、吊り下げ部材によって吊り下げされる複数の足場パネルにより形成される仮設吊り足場を含む仮設足場に利用することができる。
【符号の説明】
【0097】
1 接続部材付き足場パネルである第1足場パネル
2 第2足場パネル
3 第3足場パネル
4 接続部材無し足場パネルである第4足場パネル
5 吊り下げ部材
6 仮設吊り足場
11,12 足場パネルの長辺部を形成している長辺部材
13,14 横架部材
45 第1連結具
55,155,255 第2連結具
58 保持手段である挟着部
59 保持手段であるフック部
67 フック部材
67A 凹部
68,168 ロック部材
68A ガイド長孔
69,70 ガイドピン
71,171 架け渡し部材