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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-15
(45)【発行日】2022-07-26
(54)【発明の名称】ビデ洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   E03D 9/08 20060101AFI20220719BHJP
   B05B 1/16 20060101ALI20220719BHJP
   B05B 1/30 20060101ALI20220719BHJP
【FI】
E03D9/08 D
E03D9/08 F
B05B1/16
B05B1/30
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018185250
(22)【出願日】2018-09-28
(65)【公開番号】P2020056159
(43)【公開日】2020-04-09
【審査請求日】2021-07-28
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】田村 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 弘明
【審査官】広瀬 杏奈
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-021378(JP,A)
【文献】特開2012-107476(JP,A)
【文献】特開平09-060088(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 9/00-9/16
B05B 1/16
B05B 1/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器後部に対して前後方向に進退可能に設けられ、前記前後方向を長手方向とする長尺のノズル部と、
前記ノズル部の先端側に配置され、使用者の身体局部に対して洗浄水を吐水する複数の吐水孔群と、を有するビデ洗浄装置であって、
前記複数の吐水孔群は、
前記身体局部近傍の所定の範囲に対して吐水する狭モード吐水用の狭域吐水孔と、
前記所定の範囲よりも広い範囲に吐水する広モード吐水用の広域吐水孔群と、を有し、
前記広域吐水孔群から吐水される洗浄水が前記使用者に着水する広モード着水範囲のうち、前記狭域吐水孔から吐水される洗浄水が前記使用者に着水する狭モード着水範囲と重なるコア着水部における着水力は、前記広モード着水範囲のうち、前記狭モード着水範囲と重ならない周辺着水部よりも高い、ビデ洗浄装置。
【請求項2】
前記狭モード着水範囲における着水力は、前記広モード着水範囲における前記周辺着水部の着水力よりも高い、請求項1に記載のビデ洗浄装置。
【請求項3】
前記狭モード着水範囲における着水力は、前記広モード着水範囲における前記コア着水部の着水力と略同一である、請求項1に記載のビデ洗浄装置。
【請求項4】
前記広モード吐水は、
前記広域吐水孔群及び前記狭域吐水孔の両方から同時に吐水される同時吐水モードを有し、
前記同時吐水モードにおいて、前記広域吐水孔群から吐水される洗浄水の着水力は、前記狭域吐水孔から吐水される洗浄水の着水力よりも小さく、
前記広域吐水孔群は、前記狭域吐水孔を取り囲むように吐水する、請求項1~3のいずれか1項に記載のビデ洗浄装置。
【請求項5】
前記着水力は、前記複数の吐水孔群を構成する吐水孔のそれぞれの口径を変更することで変更される、請求項1~4のいずれか1項に記載のビデ洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビデ洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、便器装置に取り付けられ、操作により作動時に伸長して女性身体の局部を洗浄するビデ洗浄装置が知られている。ビデ洗浄装置は、身体を洗浄するための洗浄水を吐水する吐水孔が設けられており、ノズル内を流通した洗浄水が局部に向けて吐水される。吐水範囲を広げて局部の周囲も洗浄することができるように、一つの吐水孔から、所定範囲に吐水する狭モード吐水と、狭モード吐水よりも広い範囲に吐水する広モード吐水を行うように構成されたビデ洗浄装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この技術では、狭モード吐水により吐水される範囲と、広モード吐水により吐水される範囲とを比べたときに、狭モード吐水により吐水される洗浄水の方が、広モード吐水により吐水される洗浄水も低い着水力で着水するように構成されている。また、狭モード吐水及び広モード吐水は、一つの吐水孔でなされているため、着水力の制御は、狭モード吐水全体、広モード吐水全体でそれぞれ行われていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5633867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
狭モードで吐水される範囲は、より汚れが多く付着する局部の周辺に対応する。狭モードで吐水される範囲の着水力が小さいと、最も汚れが多く付着する部分の汚れを十分に落としきれない懸念があった。また、汚れが多く付着する部分では、広モードで吐水している場合でも、効果的に洗浄を行うことが望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、便器(例えば、後述の便器71)後部に対して前後方向に進退可能に設けられ、前記前後方向を長手方向とする長尺のノズル部(例えば、後述のノズル部12)と、前記ノズル部の先端側に配置され、使用者の身体局部に対して洗浄水を吐水する複数の吐水孔群(例えば、後述の複数の吐水孔群2)と、を有するビデ洗浄装置(例えば、後述のビデ洗浄装置1)であって、前記複数の吐水孔群は、前記身体局部近傍の所定の範囲に対して吐水する狭モード吐水用の狭域吐水孔(例えば、後述の狭域吐水孔群21、狭域吐水孔21C)と、前記所定の範囲よりも広い範囲に吐水する広モード吐水用の広域吐水孔群(例えば、後述の広域吐水孔群22)と、を有し、前記広域吐水孔群から吐水される洗浄水が前記使用者に着水する広モード着水範囲(例えば、後述の広モード着水範囲W1)のうち、前記狭域吐水孔から吐水される洗浄水が前記使用者に着水する狭モード着水範囲(例えば、後述の狭モード着水範囲N1)と重なるコア着水部(例えば、後述のコア着水部221)における着水力は、前記広モード着水範囲のうち、前記狭モード着水範囲と重ならない周辺着水部(例えば、後述の周辺着水部222)よりも高い、ビデ洗浄装置に関する。
【0007】
前記狭モード着水範囲における着水力は、前記広モード着水範囲における前記周辺着水部の着水力よりも高いことが好ましい。
【0008】
前記狭モード着水範囲における着水力は、前記広モード着水範囲における前記コア着水部の着水力と略同一であることが好ましい。
【0009】
前記広モード吐水は、前記広域吐水孔群及び前記狭域吐水孔の両方から同時に吐水される同時吐水モードを有し、前記同時吐水モードにおいて、前記広域吐水孔群から吐水される洗浄水の着水力は、前記狭域吐水孔から吐水される洗浄水の着水力よりも小さく、前記広域吐水孔群は、前記狭域吐水孔を取り囲むように吐水することが好ましい。
【0010】
前記着水力は、前記複数の吐水孔群を構成する吐水孔(例えば、後述の吐水孔20)のそれぞれの口径を変更することで変更されることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、広モードで吐水している場合でも、汚れが多く付着する部分を効果的に洗浄可能なビデ洗浄装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態の便器装置の斜視図である。
図2】第1実施形態のビデ洗浄装置の斜視図である。
図3】第1実施形態のヘッド部の上面を示し、(a)図は、狭域吐水孔群を示し、(b)図は広域吐水孔群を示す。本実施形態のヘッド部の上面図である。
図4】第1実施形態の広モード吐水における着水力と、広モード着水範囲における前後方向の着水位置の関係を示す図である。
図5】第1実施形態のビデ洗浄装置の横断面図であり、(a)図は、狭モード吐水群の流路を示し、(b)図は広モード吐水群の流路を示す。
図6】第1実施形態の狭モードの着水力と、広モードの着水力との関係を示す図である。
図7】第2実施形態の狭モードの着水力と、広モードの着水力との関係を示す図である。
図8】第3実施形態に係るヘッド部の上面図である。
図9】第3実施形態に係るビデ洗浄装置の使用の状態を示す模式図である。
図10】第4実施形態に係るビデ洗浄装置のヘッド部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の第1実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1に示すように、本実施形態のビデ洗浄装置1は、便器装置7に取り付けられている。
便器装置7は、便器71と、便座72と、便蓋73と、機能部74と、操作パネル75と、を有する。
便器71は上部が開口した凹部を有する洋式便器である。便座72は、便器71の開口部の周囲に取り付けられる略環状の座面である。便蓋73は、便座72の開口を覆うように開閉可能な蓋である。機能部74は、便器71の上部後方に配置され、便器装置7の各種機能を実行する制御部が設けられた部分である。機能部74には、便座72及び便蓋73が取り付けられるとともに、内部にビデ洗浄装置1が配置される。
操作パネル75は、機能部74から延出して便座72の機能部74側の側部に配置される。操作パネル75には、機能部74と接続されている複数の操作部が設けられ、ビデ洗浄を行うように操作したり、ビデ洗浄の各種操作モードを選択したりすることができるように構成されている。
【0014】
ビデ洗浄装置1は、便座72の開口部における後方側で、機能部74の前端部側に配置される。ビデ洗浄装置1は、図示しない駆動機構により駆動されて、使用時には前方の斜め下方へ伸長する。ビデ洗浄装置1は、おしりを洗浄する他のノズルと隣接して取り付けられ、特に女性器を洗浄するために用いられるノズルである。
なお、本明細書において、前方とは、便器装置7に対して使用者が位置する側を言い、後方とは使用者が位置する側に対向する側を言う。
【0015】
図2(a)図は、ビデ洗浄装置1が狭モード吐水を行っている状態の斜視図であり、図2(b)は、広モード吐水を行っている状態の斜視図である。説明のため、ビデ洗浄装置1を吐水された洗浄水とともに示している。ビデ洗浄装置1は、使用者が操作パネル75を操作することによって、狭モード吐水及び広モード吐水のいずれかを選択的に行うことが可能である。
狭モード吐水とは、主に使用者の身体局部(以下単に局部とも言う)に向けて狭い範囲に吐水することである。
広モード吐水とは、狭モード吐水よりも広い範囲で局部の周囲及び前後を含む範囲に吐水することである。図2に示すように、ビデ洗浄装置1は、広モード吐水の着水範囲が長方形になるように構成されている。
なお、局部とは、女性身体の膣口近傍を意味する。
着水範囲とは、ビデ洗浄装置1から吐水された洗浄水が、使用者の身体に着水する範囲を意味する。また、洗浄水とは、温度に関わらず吐水される水を意味し、水及び湯のいずれをも含む。
【0016】
ビデ洗浄装置1は、ノズル部12と、ヘッド部11とを有する。
ノズル部12は、機能部74に収容されて、便器71後部に対して前後方向に進退可能に設けられている。ノズル部12は、前後方向を長手方向とする長尺に形成され、内部に洗浄水が流通可能な中空部を有する。ノズル部12の基端側は、ビデ洗浄装置1を駆動するモータや、給水源、給水源からビデ洗浄装置1への給水を制御する給水弁、給水ポンプ及び流路を切り替える流路切り替え弁等(図示省略)に接続されている。
【0017】
図3は、ヘッド部11の上面を示し、図3(a)は、狭域吐水孔群21を示し、図3(b)は広域吐水孔群22を示す。図3(a)及び図3(b)に示すように、ヘッド部11は、略直方体に形成され、ノズル部12の先端に配置されている。ヘッド部11は、その上面に、内部から貫通する複数の吐水孔群2が形成されている。複数の吐水孔群2は、使用者の局部及びその周辺に対して洗浄水を吐水するための孔である。複数の吐水孔群2は、ヘッド部11の前後方向に沿って間を空けて2列と、前後方向の中央部で幅方向の両外側に2つの吐水孔20を有する。複数の吐水孔群2は、これらの吐水孔20によって構成される狭域吐水孔群21と、広域吐水孔群22と、を有する。
【0018】
狭域吐水孔群21は、狭モード吐水の際に使用される。狭域吐水孔群21は、複数の吐水孔群2のうち、前後方向の略中央部における幅方向の内側に配置される4つの吐水孔20aにより構成され、使用者の局部近傍の所定の範囲に吐水する。図2(a)に示すように、狭域吐水孔群21から吐水される洗浄水が使用者に着水する範囲は、狭モード着水範囲N1となる。
【0019】
広域吐水孔群22は、広モード吐水の際に使用される。広域吐水孔群22は、狭域吐水孔群21が吐水する所定の範囲よりも広い範囲に吐水する。図2(b)に示すように、広域吐水孔群22から吐水される洗浄水が使用者に着水する範囲は、広モード着水範囲W1となる。広域吐水孔群22を構成する吐水孔20bの外径は、狭域吐水孔群21構成する吐水孔20aの外径よりも小さい。
【0020】
広域吐水孔群22は、コア部22aと、周辺部22bとを有する。
図3(b)に示すように、コア部22aは、広域吐水孔群22のうち、狭域吐水孔群21の幅方向の一方及び他方側に配置される2つずつの吐水孔201、202、203、204により構成される。コア部22aから吐水された洗浄水が着水するコア着水部221は、図2(a)~図3(b)に示されるように、狭モード着水範囲N1と重なる。
周辺部22bは、広域吐水孔群22のうち、狭域吐水孔群21の周囲に配置され、狭域吐水孔群21の前方の4つ及び後方の6つの吐水孔20bにより構成される。周辺部22bから吐水された洗浄水が着水する周辺着水部222は、図2(a)~図3(b)に示されるように、狭モード着水範囲N1と重ならない。
【0021】
図3(b)に示すように、広モード吐水の際の広域吐水孔群22のコア部22aと、広域吐水孔群22の周辺部22bと、を比較すると、周辺部22bを構成する吐水孔20の合計の開口面積の方が、コア部22aを構成する吐水孔20の合計の開口面積よりも大きくなっている。コア部22aから吐水される流速は、周辺部22bから吐水される流速と比べて速い。
【0022】
図4は、広モード吐水時における着水力と、広モード着水範囲W1における前後方向の着水位置の関係を示す図である。本明細書において、着水力とは、吐水孔20から吐水される水の質量と速度との積で求められる値である。図中の横軸は、広モード着水範囲W1における前後方向の着水位置を示し、縦軸は、着水力を示している。図4に示すように、広モード着水範囲W1における前後方向の中央部付近では、着水力は中央付近以外の部分よりも高くなっている。広モード着水範囲W1の前後方向の中央部付近は、コア部22aから吐水される洗浄水が着水するコア着水部221が位置しており、コア着水部221における着水力は、周辺部22bから吐水される洗浄水が着水する周辺着水部222における着水力よりも高い。
【0023】
図5(a)は、狭モード吐水群の流路を示し、図5(b)は広モード吐水群の流路を示す。
ノズル部12及びヘッド部11の内部には、給水源と連絡する洗浄水の流路が形成されている。ノズル部12及びヘッド部11は、狭域吐水孔群21に連通する狭モード流路13と、広域吐水孔群22に連通する広モード流路14とを有する。
【0024】
狭モード流路13及び広モード流路14は、具体的には同軸で二重の給水管により形成されており、中心側が狭モード流路13となり、狭モード流路13から隔壁を隔てた外側が広モード流路14となっている。ノズル部12の基端には、狭モード流路13及び広モード流路14それぞれに給水する2本の給水管が接続されている。
【0025】
図6は、洗浄水が着水した位置における狭モード吐水の着水力と、広モード吐水の着水力との関係を示す図である。図中の横軸は、広モード着水範囲W1及び狭モード着水範囲N1における前後方向の着水位置を示し、縦軸は、着水力を示し、図中、狭モード吐水をNで示し、広モード吐水をWで示している。
【0026】
狭モード流路13及び広モード流路14は、互いに流路が異なっているため、狭域吐水孔群21と広域吐水孔群22との口径差(開口面積の差)のみが着水力に影響すると考えることはできないが、狭モード吐水における着水力と、広モード吐水における着水力を比較すると、狭モード吐水における着水力が、広モード吐水の際に広域吐水孔群22における周辺部22bから吐水された洗浄水の着水力(周辺着水部222の着水力)よりも高くなるように流速が調整されている。また、狭モード吐水における着水力は、広モード吐水の際にコア部22aから吐水された洗浄水の着水力(コア着水部221の着水力)よりも高くなるように流速が調整されている。
【0027】
以上のビデ洗浄装置1は、便器装置7の操作パネル75等を操作することで、狭モード吐水を行うか、広モード吐水を行うかいずれかが選択され、作動する。
狭モード吐水を行うように操作された場合は、機能部74内の制御部により流路切り替え弁が操作され、狭モード流路13に給水される。狭モード流路13を流通する洗浄水は、狭域吐水孔群21の吐水孔20aから使用者の局部近傍に向けて吐水される。
広モード吐水を行うように操作された場合は、機能部74内の制御部により流路切り替え弁が操作され、広モード流路14に給水される。広モード流路14を流通する洗浄水は、広域吐水孔群22のコア部22a及び周辺部22bの吐水孔20bから使用者の局部の周囲及び局部の前方側及び後方側に向けて吐水される。このとき、広域吐水孔群22から吐水される洗浄水の着水範囲のうち、コア着水部221の着水力の方が、周辺着水部222の着水力よりも高くなっている。
【0028】
本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
本実施形態では、ビデ洗浄装置1を、便器71後部に対して前後方向に進退可能に設けられ、前後方向を長手方向とする長尺のノズル部12と、ノズル部12の先端側に配置され、使用者の身体局部に対して洗浄水を吐水する複数の吐水孔群2と、を含んで構成した。また、複数の吐水孔群2を、身体局部近傍の所定の範囲に対して吐水する狭モード吐水用の狭域吐水孔21と、記所定の範囲よりも広い範囲に吐水する広モード吐水用の広域吐水孔群22と、を有し、広域吐水孔群22から吐水される洗浄水が使用者に着水する広モード着水範囲のうち、狭域吐水孔21から吐水される洗浄水が使用者に着水する狭モード着水範囲と重なるコア着水部221における着水力を、広モード着水範囲のうち、前記狭モード着水範囲と重ならない周辺着水部222よりも高くした。
広域吐水孔群22が、複数の吐水孔20を有しているので、広域吐水孔群22内で着水力に高低の違いを有するように分布させることができる。具体的には、広モード着水範囲W1のうち、狭モード着水範囲N1と重なるコア着水部221の着水力を、広モード着水範囲W1のうち、狭モード着水範囲N1と重ならない周辺着水部222の着水力よりも高くすることができる。これにより、広モード吐水中に、最も汚れが付着しやすい部分を、効率良く効果的に洗浄することができる。
【0029】
本実施形態では、狭モード着水範囲N1における着水力を、広モード着水範囲W1における周辺着水部222の着水力よりも高くした。これにより、狭モード吐水を単独で行った場合でも、広モード吐水を単独で行った場合のいずれでも、最も汚れが付着しやすい部分を、効率良く効果的に洗浄することができる。
【0030】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
例えば、狭域吐水孔群21及び広域吐水孔群22の配置は例示であり、他の配置がなされてもよい。広域吐水孔群22のコア着水部221と、狭域吐水孔群21の狭モード着水範囲N1は、互いに重なっている部分が重ならない部分よりも多ければよい。一部に重ならない部分があっても、互いに重なっている部分が多くあれば、本発明の範囲内である。また、広域吐水孔群22の周辺着水部222と、狭域吐水孔群21狭モード着水範囲N1は、一部に重なる部分があっても、重ならない部分が、重なる部分よりも多ければ、本発明の範囲内である。
【0031】
図7は、第2実施形態の狭モードの着水力と、広モードの着水力との関係を示す図である。図中の横軸は、広モード着水範囲W1及び狭モード着水範囲N1における前後方向の着水位置を示し、縦軸は、着水力を示す。図中、狭モード吐水をNで示し、広モード吐水をWで示している。第2実施形態以降の説明において、第1実施形態と共通する部分については説明を省略する。
【0032】
第2実施形態では、狭モード吐水における狭モード着水範囲N1の着水力と、広モード吐水における広モード着水範囲W1のコア着水部221の着水力とが、略同一の着水力を有するように流量及び流速が調整されている。
第2実施形態によれば、狭モード吐水と広モード吐水とを使用者が切り替えた場合に、局部周辺にかかる刺激の強さに変化がないので、違和感のない快適な洗浄を行うことができる。
【0033】
図8は、第3実施形態に係るヘッド部11Bの上面図である。第3実施形態では、広モード吐水は、狭域吐水孔群21B及び広域吐水孔群22Bの両方から同時に吐水される同時吐水モードを有する。また、第3実施形態では、狭域吐水孔群21Bにおける吐水孔20aそれぞれの口径は、広域吐水孔群22Bにおける吐水孔20bそれぞれの口径よりも小さく形成されており、広域吐水孔群22Bを構成する吐水孔20bの開口面積は、狭域吐水孔群21Bにおける吐水孔20a開口面積よりも大きい。
【0034】
同時吐水モードにおいて、広域吐水孔群22Bから吐水される洗浄水の着水力は、狭域吐水孔群21Bから吐水される洗浄水の着水力よりも小さくなるように流速及び水量が調整されている。
【0035】
図9は、第3実施形態に係るビデ洗浄装置1Bの使用の状態を示す模式図である。図8及び図9に示すように、広域吐水孔群22Bは、狭域吐水孔群21Bを取り囲むように吐水する。広域吐水孔群22Bから吐水される洗浄水の方が、狭域吐水孔群21Bから吐水される洗浄水よりも流速が遅く、着水力が小さくなっている。このため、狭域吐水孔群21Bから吐水される水に勢いがあって局部の近傍に当たって跳ね返るようなことがあったとしても、その周囲の広域吐水孔群22Bから遅く吐水される洗浄水によって跳ね返った飛沫がブロックされ、洗浄水の飛び散りが防止される。
【0036】
図10は、第4実施形態に係るビデ洗浄装置1Cのヘッド部11Cの斜視図である。
図10に示すように、狭域吐水孔21Cは、吐水孔20a一つで構成されている。広域吐水孔群22Cは、狭域吐水孔21Cの前方に配置される4つの吐水孔20bと、狭域吐水孔21Cの後方に配置される10個の吐水孔20bとを含んでいる。第4実施形態では、第3実施形態と同様に、広モード吐水が同時吐水モードを有し、狭域吐水孔21Cは、狭モード吐水の場合にも、広モード吐水の場合にも使用される。
【0037】
第4実施形態において、広モード吐水範囲のうち、狭域吐水孔21Cから吐水される洗浄水の着水力は、狭域吐水孔21Cの周囲の広域吐水孔群22Cから吐水される洗浄水の着水力よりも高い着水力で吐水され、第1実施形態と同様の効果を奏する。狭域吐水孔21Cが一つで構成されていると、狭モード流路13に流通する洗浄水の水圧、流量及び流速の調整が容易であり、着水力を制御しやすい。
【0038】
第1~第4実施形態に例示されるように、狭域吐水孔は、一つであってもよく、複数の狭域吐水孔群を形成してもよい。
【0039】
また、第1記実施形態では、複数の吐水孔群2を、広域吐水孔群22及び狭域吐水孔群21を構成する各吐水孔20により構成し、各吐水孔20の口径(開口面積)に加えて、狭モード流路13及び広モード流路14を流通する洗浄水の流速を調整することで着水力を変化させているが、これに限られない。狭モード流路13及び広モード流路14を流通する洗浄水の流速を同じものとし、吐水孔20の口径のみによって着水力を変更させてもよい。
また、第1記実施形態では、広域吐水孔群22において、コア部22aと周辺部22bの吐水孔20の大きさが異なっているが、開口面積を変更する方法は、吐水口20の口径を変更するのみに限られない。吐水口20の数を変更して開口面積を変更し、着水力を変更させてもよい。
【0040】
また、第1~第3記実施形態では、ヘッド部11の形状は直方体として説明しているが、これに限定されない。ノズル部12の先端に複数の吐水孔群2が設けられていれば、第4実施形態のように円筒形であってもよく、ヘラ型等、その他の形状であってよい。
【符号の説明】
【0041】
1 ビデ洗浄装置
2 複数の吐水孔群
12 ノズル部
21 狭域吐水孔群(狭域吐水孔)
22 広域吐水孔群
22a コア部
22b 周辺部
71 便器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10