(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-15
(45)【発行日】2022-07-26
(54)【発明の名称】車両用サンバイザ
(51)【国際特許分類】
B60J 3/02 20060101AFI20220719BHJP
【FI】
B60J3/02 J
(21)【出願番号】P 2018201611
(22)【出願日】2018-10-26
【審査請求日】2021-08-05
(73)【特許権者】
【識別番号】599041329
【氏名又は名称】共和産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原口 貴史
【審査官】上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】実開平03-128511(JP,U)
【文献】実開平01-068915(JP,U)
【文献】特開2001-294039(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用サンバイザであって、
板状でかつ一辺に凹部を有するバイザ本体と、
前記凹部に位置するシャフトと、
前記シャフトの第1シャフト端が挿入される前記バイザ本体の第1取付部と、
前記シャフトの第2シャフト端が挿入される前記バイザ本体の第2取付部を有し、
前記第1取付部は、前記第1シャフト端が挿入される入口と、前記入口にて前記第1シャフト端に向けて突出する入口凸部と、前記入口における前記入口凸部の径方向反対位置にて前記第1シャフト端から離間する入口凹部と、前記入口凹部から前記第1シャフト端に沿って奥側へ延出しかつ前記第1シャフト端へ突出する奥側凸部と、前記奥側凸部の径方向反対位置にて前記入口凸部より奥側に延びる奥側平坦部と、前記奥側凸部よりもさらに奥側位置にて前記バイザ本体から前記第1シャフト端の長手軸方向先端に対向するように突出する第1ストッパを有し、
前記第2取付部は、前記第2シャフト端が挿入される入口と、前記入口にて前記第2シャフト端へ突出する第1入口凸部と、前記入口における前記第1入口凸部の径方向反対位置から前記第2シャフト端へ突出する第2入口凸部と、前記第2入口凸部よりも奥側位置にて前記バイザ本体から前記第2シャフト端の長手軸方向先端に対向するように突出する第2ストッパを有する車両用サンバイザ。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用サンバイザであって、
前記第1取付部は、前記入口凹部と前記入口凸部によって決定される入口開口径と、前記奥側凸部と前記奥側平坦部によって決定される奥側開口径を有し、
前記入口開口径と前記奥側開口径は、前記第1取付部と前記第1シャフト端が弾性変形することなく、前記第1シャフト端が前記入口凹部側から前記奥側平坦部に向け斜めに前記第1取付部に挿入されることを許容する大きさである車両用サンバイザ。
【請求項3】
請求項2に記載の車両用サンバイザであって、
前記シャフトが前記第1ストッパに当接する第1限界位置に位置する際に、前記第2シャフト端が前記第2取付部に対して長手軸方向に離脱するように、前記シャフトが長手方向長さを有し、
前記シャフトが前記第1限界位置で前記第1取付部を中心に傾き、前記第2シャフト端が前記第2取付部から前記長手軸方向と直交する径方向に離脱するように、前記第1取付部の前記入口凹部が形成されている車両用サンバイザ。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1つに記載の車両用サンバイザであって、
前記シャフトは、前記第1ストッパに当接する第1限界位置と、前記第2ストッパに当接する第2限界位置の間で長手軸方向にスライド可能であり、
前記第1取付部の前記奥側凸部は、前記シャフトが前記第1ストッパに当接する第1限界位置から前記シャフトが前記第2ストッパに当接する第2限界位置の間のいずれの位置においても前記第1シャフト端を支持するように前記第1シャフト端に当接する長手軸方向長さを有する車両用サンバイザ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の天井等に移動可能に装着される車両用サンバイザに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示された車両用サンバイザは、板状のバイザ本体と、バイザ本体の凹部(7)に設置される棒状の係合具(30)を有する。バイザ本体は、フロントガラスの上領域を覆うフロント位置と、サイドガラスの上領域を覆うサイド位置に移動できるように車両天井に回転可能に取付けられる。バイザ本体がフロント位置に位置する際に、係合具(30)がフロントガラスの上方に設けられたフックに対して取外し可能に保持される。
【0003】
バイザ本体の上縁に凹部(7)が形成され、凹部(7)の各肩部に係合具(30)を支持する支持部(5)が設けられる。両支持部(5)は、他方の支持部(5)に対向する係合具受入開口(5a)を有する。係合具(30)をバイザ本体に取付ける場合は、係合具(30)の一端部に形成された係合脚(31)を弾性変形させつつ係合具受入開口(5a)に挿入する。続いて係合具(30)の他端部に形成された係合脚(31)を他方の係合具受入開口(5a)に挿入する。係合具(30)の両端に形成された突起(32)が支持部(5)に引っ掛かることで係合具(30)がバイザ本体に取付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
引用文献1のサンバイザによると、係合具(30)を弾性変形させつつバイザ本体に挿入するため、係合具(30)をバイザ本体に取付けることが容易でない。あるいは係合具(30)を大きく変形させつつバイザ本体に取付けるために係合具(30)が塑性変形または経時的に変形するおそれがある。その結果、係合具(30)がバイザ本体に対してガタ付くおそれがある。したがって係合具(シャフト)をバイザ本体に挿入しやすい構造等を有する車両用サンバイザが従来必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の1つの特徴によると、車両用サンバイザは、板状でかつ一辺に凹部を有するバイザ本体と、凹部に位置するシャフトを有する。さらに車両用サンバイザは、シャフトの第1シャフト端が挿入されるバイザ本体の第1取付部と、シャフトの第2シャフト端が挿入されるバイザ本体の第2取付部を有する。第1取付部は、第1シャフト端が挿入される入口と、入口にて第1シャフト端に向けて突出する入口凸部を有する。さらに第1取付部は、入口における入口凸部の径方向反対位置にて第1シャフト端から離間する入口凹部と、入口凹部から第1シャフト端に沿って奥側へ延出しかつ第1シャフト端へ突出する奥側凸部を有する。さらに第1取付部は、奥側凸部の径方向反対位置にて入口凸部より奥側に延びる奥側平坦部と、奥側凸部よりもさらに奥側位置にてバイザ本体から第1シャフト端の長手軸方向先端に対向するように突出する第1ストッパを有する。第2取付部は、第2シャフト端が挿入される入口と、入口にて第2シャフト端へ突出する第1入口凸部を有する。さらに第2取付部は、入口における第1入口凸部の径方向反対側位置から第2シャフト端へ突出する第2入口凸部と、第2入口凸部よりも奥側位置にてバイザ本体から第2シャフト端の長手軸方向先端に対向するように突出する第2ストッパを有する。
【0007】
したがって第1取付部に入口凹部が形成されるため、第1シャフト端を第1取付部に対して斜めに挿入できる。詳しくは第1シャフト端を入口凹部側から入口凸部の奥側の奥側平坦部に向けて挿入できる。したがって例えば第1シャフト端と第1取付部を変形させることなく、第1シャフト端を第1取付部に挿入することができる。第1シャフト端を第1取付部に斜めに挿入した後、第1シャフト端を第1取付部に対して平行にする。これにより第1シャフト端が入口凸部と奥側凸部によって径方向両側から支持される。その後、シャフトを長手方向にスライドさせて、第2シャフト端を第2取付部に挿入する。これにより第2シャフト端が第1入口凸部と第2入口凸部によって径方向両側から支持される。シャフトの長手方向の移動は、第1ストッパと第2ストッパによって規制される。そのためシャフトをバイザ本体へ取付ける際に、シャフトがバイザ本体の内部に想定以上に入り込むことが抑制される。これによりシャフトをバイザ本体に確実に取付けることができる。
【0008】
本開示の他の1つの特徴によると、第1取付部は、入口凹部と入口凸部によって決定される入口開口径と、奥側凸部と奥側平坦部によって決定される奥側開口径を有する。さらに入口開口径と奥側開口径は、第1取付部と第1シャフト端が弾性変形することなく、第1シャフト端が入口凹部側から奥側平坦部に向け斜めに第1取付部に挿入されることを許容する大きさである。即ち第1シャフト端の挿入軌跡上に構造物が無い。
【0009】
したがって第1シャフト端を第1取付部に対して斜めに挿入する際、第1取付部または第1シャフト端を弾性変形させる力が不要である。そのため第1シャフト端を第1取付部に対して小さな力で挿入できる。仮に第1取付部または第1シャフト端を大きく弾性変形させると、第1取付部または第1シャフト端が塑性変形する、または経時的に変形しやすくなる。本特徴によると、この現象を抑制することができる。かくして第1取付部または第1シャフト端の塑性変形によって生じるシャフトのバイザ本体に対するガタつきを抑制することができる。さらにバイザ本体とシャフトの耐久性を向上させることができる。
【0010】
本開示の他の1つの特徴によると、シャフトが第1ストッパに当接する第1限界位置に位置する際に、第2シャフト端が第2取付部に対して長手軸方向に離脱するように、シャフトが長手方向長さを有する。さらに、シャフトが第1限界位置で第1取付部を中心に傾き、第2シャフト端が第2取付部から長手軸方向と直交する径方向に離脱するように、第1取付部の入口凹部が形成されている。
【0011】
したがって第1シャフト端を第1取付部に挿入する際、第2取付部に邪魔されることなく、第1シャフト端を斜めに第1取付部に挿入できる。そして第1シャフト端を第1取付部に対して奥側に挿入しつつ、シャフトを第1取付部に対して平行にすることができる。その後、シャフトを長手方向にスライドさせることで、第2シャフト端を第2取付部に挿入することができる。かくしてシャフトを容易にバイザ本体に取付けることができる。
【0012】
本開示の他の1つの特徴によると、シャフトは、第1ストッパに当接する第1限界位置と、第2ストッパに当接する第2限界位置の間で長手軸方向にスライド可能である。さらに、第1取付部の奥側凸部は、シャフトが第1ストッパに当接する第1限界位置からシャフトが第2ストッパに当接する第2限界位置の間のいずれの位置においても第1シャフト端を支持するように第1シャフト端に当接する長手軸方向長さを有する。
【0013】
したがって第1取付部の奥側凸部が第1シャフト端を支持するため、シャフトを第1取付部に対して傾けることなくスライドさせることができる。これによりシャフトを容易にバイザ本体に取付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】車両の内部の一部と車両に取付けられたサンバイザの斜視図である。
【
図4】シャフトの正面図と第1取付部と第2取付部の断面図である。
【
図5】第1シャフト端をバイザ本体の第1取付部に斜めに挿入した状態におけるシャフトの正面図およびバイザ本体の断面図である。
【
図6】第1シャフト端を第1取付部に対して奥側に挿入した状態におけるシャフトの正面図およびバイザ本体の断面図である。
【
図8】
図4のVIII-VIII線断面矢視図である。
【
図12】
図4のXII-XII線断面矢視図である。
【
図13】
図4のXIII-XIII線断面矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の1つの実施形態について図面を用いて説明する。
図1に示すように車両用サンバイザ1は、バイザ本体2とミラーユニット12と支軸10を備える。ミラーユニット12は、バイザ本体2に取付けられた矩形状のミラー枠12aと、ミラー枠12aに取付けられたミラー板(図示せず)を有する。ミラー枠12aには、ミラー板を覆う閉じ位置と、ミラー板を開く開き位置にスライド可能にミラー蓋12bが取付けられる。車両用サンバイザ1は、車室内においてフロントガラス41近傍の天井面43に装着される。
【0016】
図1に示すように車両用サンバイザ1は、バイザ本体2に装着された支軸10を備える。支軸10は、略L字状の棒であって、バイザ本体2から側方に延出する横軸10aと、横軸10aの先端から上方に延出する縦軸10bを有する。縦軸10bの先端に装着されたブラケット11が車室の天井面43に取付けられる。バイザ本体2は、横軸10a回りに回転することで、天井面43に沿う格納位置Kとフロントガラス41に沿う使用位置P間で回転する。さらにバイザ本体2は、縦軸10b回りに回転することで、ドア窓42に沿うサイド位置に移動する。
【0017】
図1に示すように車両用サンバイザ1はシャフト3を有する。シャフト3は、天井面43に固定されたフック6に取外し可能に保持される。シャフト3がフック6に取付けられることで、シャフト3と横軸10aを中心としてバイザ本体2が使用位置Pと格納位置Kとの間で回転する。シャフト3がフック6から取外されることで、バイザ本体2を使用位置Pからサイド位置へ回転させることができる。
図1,2に示すようにシャフト3は、横軸10aと同軸の位置にバイザ本体2に設けられる。バイザ本体2には、上辺に凹部2cが形成され、凹部2cにシャフト3が設置される。
図3に示すようにシャフト3は、バイザ本体2の第1取付部4に挿入される第1シャフト端3bと、バイザ本体2の第2取付部5に挿入される第2シャフト端3cを有する。
【0018】
図4に示すようにシャフト3は、中央に直径r1の大径部3aを備える。大径部3aより細い直径r2の第1シャフト端3bと第2シャフト端3cが大径部3aの両端に設けられる。大径部3aと各シャフト端3b,3cの間にはテーパ状の遷移部分が形成される。各シャフト端3b,3cは、それぞれ先端付近に環状の第1溝3dと第2溝3eを有する。第1溝3dと第2溝3eに対応するシャフト3の径は、直径r2よりも小さい直径r3である。各シャフト端3b,3cは、各溝3d,3eより先端に凸面形状の末端部3f,3gを有する。
【0019】
図3に示すようにバイザ本体2は、中空板状であって、厚み方向に重ねられた第1殻体2aと第2殻体2bを備える。バイザ本体2の表面には、表皮2fが被せられる。
図7に示すように第1殻体2aと第2殻体2bは、第1殻体2aの内面から突出する複数の取付部2gと第2殻体2bの内面から突出する複数の取付部2hを嵌合することで連結される。取付部2gと取付部2hは、例えば円筒状であって、取付部2gが取付部2hに挿入される。
図2に示すようにバイザ本体2は、一辺(上辺)に凹部2cを有する。凹部2cは、バイザ本体2の上辺の左側に形成され、下辺に向けて凹んでいる。凹部2cの左側面に第2取付部5が設けられ、右側面に第1取付部4が設けられる。
【0020】
図3に示すように第1取付部4は、第1殻体2aと第2殻体2bの間に第1シャフト端3bが挿入される構成である。第1取付部4は、入口20と、入口20の近傍に位置する入口凸部21と入口凹部22を有する。第1取付部4は、奥側に奥側凸部23と奥側平坦部24を有し、さらにその奥側に奥側凹部26と第1ストッパ25を有する。
【0021】
図3,10に示すように入口20は、第1殻体2aに形成された蓋部2dに形成される。蓋部2dは、
図2に示す凹部2cの右側面を形成するように、第1殻体2aから第2殻体2bに延出する。入口20は、第1円弧20aと第2円弧20bを有する。第1円弧20aと第2円弧20bは、それぞれ略半円状である。第1円弧20aの半径は、第2円弧20bの半径より大きい。したがって第1シャフト端3bを第1円弧20a側から入口20に斜めに挿入しやすい。
【0022】
図3,4,10に示すように入口凸部21は、第2殻体2b側から第1殻体2a側に向けて突出する。入口凸部21は、入口20あるいは入口20に挿入されたシャフト3の中心軸CからR1の距離まで突出する。入口凸部21は、入口20に隣接し、入口20の第2円弧20bに沿う円弧形状を有する。入口凸部21は、第1シャフト端3bを支持する。
【0023】
図3,4,10に示すように入口凹部22は、入口凸部21の径方向反対側の位置において第1殻体2aに凹設される。入口凹部22は、入口20の第1円弧20aに沿う円弧形状を有する。入口凹部22の円弧形状は、中心軸Cから半径R3を有する。したがって第1シャフト端3bを入口凹部22から入口20に斜めに挿入しやすい。
【0024】
図3,4,11,12に示すように奥側凸部23は、第1殻体2aから突出する第1奥側凸部23aと第2奥側凸部23bを有する。奥側凸部23は、シャフト3の中心軸CからR2の距離まで突出する。なおR1とR2は等しい。奥側凸部23a,23bの先端には、シャフト3の外周面に対応する形状に抉れた抉れ部23d,23eが形成される。第1奥側凸部23aと第2奥側凸部23bは、間に隙間を有して相互に対向する。第1奥側凸部23aと第2奥側凸部23bは、入口凹部22に隣接しかつ入口凸部21よりも奥側に位置し、入口凹部22から奥側へ延出する。第1奥側凸部23aと第2奥側凸部23bの長手方向の長さは、第1シャフト端3bと略同じ長さである。奥側凸部23は、
図6に示すようにシャフト3をバイザ本体2に取付ける際に第1シャフト端3bを支持する。
【0025】
図3,10に示すように奥側平坦部24は、入口凸部21の奥側に位置し、奥側凸部23に対向する。奥側平坦部24は、入口凸部21に隣接する先端凸部24aを有する。先端凸部24aは、入口凸部21よりも低く、奥側平坦部24は、全体的に入口凸部21よりも低い。したがって
図5に示すように第1シャフト端3bが奥側平坦部24に向けて入口20に斜めに挿入されやすい。
【0026】
図3に示すように第1ストッパ25は、奥側凸部23の奥側に位置する。第1ストッパ25は、第1殻体2aから第2殻体2bに向けて突出し、第1シャフト端3bに対面可能な突出量を有する。好ましくは、第1ストッパ25はシャフト3の中心軸Cを超えて突出する。第1ストッパ25は、下方から見た際に略直角三角柱形状であって、垂直面25aと斜面25bを有する。垂直面25aは、第1殻体2aの内周面に対して略垂直に延出し、斜面25bは、第1殻体2aの内周面に対して斜めに延出する。第1ストッパ25は、先端に垂直面25aと斜面25bを連結する平面25cを有する。
【0027】
図13に示すように垂直面25aは、側面視において略五角形状を有する。これにより第1ストッパ25は、第1殻体2aと第2殻体2bの連結部近傍において第2殻体2bに近接され得る。
図5,6に示すように第1ストッパ25は、シャフト3の第1シャフト端3bを第1取付部4に取り付けるとき、第1シャフト端3bの長手方向の移動を規制する。かくして第1ストッパ25は、第1シャフト端3bがバイザ本体2の内部に想定以上に入ることを防止する。
図3に示すように第1ストッパ25と奥側凸部23の間には、奥側凹部26が設けられる。これにより第1ストッパ25が受けた力が奥側凸部23に伝わることが防止される。
【0028】
図3に示すように第2取付部5は、第1殻体2aと第2殻体2bの間に第2シャフト端3cが挿入される構成である。第2取付部5は、入口30と、入口30の近傍に位置する第1入口凸部31と第2入口凸部32を有する。さらに第2取付部5は、第2入口凸部32の奥側に第2ストッパ33を有し、第1入口凸部31の奥側に奥側平坦部35を有する。
【0029】
図3,9に示すように入口30は、第1殻体2aに形成された蓋部2eに形成される。蓋部2eは、
図2に示す凹部2cの左側面を形成するように、第1殻体2aから第2殻体2bに延出する。入口30は、円形の中心孔30aと、中心孔30aから径方向に凹む凹部30b,30c,30dを有する。凹部30b,30c,30dは、周方向に略等間隔で配置される。
【0030】
図3,4,9に示すように第1入口凸部31は、第2殻体2b側から第1殻体2a側に向けて、シャフト3の中心軸CからR4の距離まで突出する。第1入口凸部31は、入口30に隣接し、入口30の中心孔30aに沿う円弧形状を有する。第1入口凸部31は、第2シャフト端3cを支持する。
【0031】
図3,4,9に示すように第2入口凸部32は、第1入口凸部31に対向して位置する。第2入口凸部32は、第1殻体2aから第2殻体2bに向けて、シャフト3の中心軸CからR5の距離まで突出する。なお、R4とR5は等しい。第2入口凸部32は、入口30に隣接し、入口30の中心孔30aに沿う円弧形状を有する。第2入口凸部32は、第2シャフト端3cを支持する。また第2入口凸部32は、先細り形状の先端を有する。したがって第2入口凸部32の先端は、第2シャフト端3cの第2溝3eに嵌まりやすい。第2入口凸部32の先端が第2シャフト端3cの第2溝3eに嵌まることで、シャフト3の長手方向の移動が規制される。
【0032】
図3に示すように第2ストッパ33は、第2入口凸部32の奥側に位置する。第2ストッパ33は、第1殻体2aから第2殻体2bに向けて突出し、第2シャフト端3cに対面可能な突出量を有する。好ましくは、シャフト3の中心軸Cを超えて突出する。
図3,7に示すように第2ストッパ33は、略板状であり、シャフト3の軸方向に長い。第2ストッパ33は、シャフト3の第2シャフト端3cを第2取付部5に取り付けるとき、第2シャフト端3cがバイザ本体2の内部に想定以上に入り込むことを防止する。
【0033】
図3,8に示すように第2取付部5は、第1入口凸部31の奥側に奥側平坦部35を有し、第2ストッパ33と第2入口凸部32の間に奥側凹部37を有する。奥側平坦部35は、第1入口凸部31に隣接する先端凸部35aを有する。先端凸部35aは、第1入口凸部31よりも低く、奥側平坦部35は、全体的に第1入口凸部31よりも低い。
図3,8に示すように奥側凹部37は、第2ストッパ33と第2入口凸部32の間に位置する。これにより第2ストッパ33が受けた力が第2入口凸部32に伝わることが防止される。
【0034】
図3,4に示すように第1取付部4は、入口凸部21と入口凹部22によって決定される自由状態における入口開口径(R1+R3)と、奥側凸部23と奥側平坦部24によって決定される自由状態における奥側開口径(R1+R2+R7)を有する。さらに第1取付部4は、入口凸部21と奥側凸部23の左側先端部によって決定される斜め入口開口径R6を有する。斜め入口開口径R6は第1シャフト端3bの直径r2より大きい。これらは、(R1+R2)≦r2の関係を有する。したがって
図6に示すように第1シャフト端3bを第1取付部4に対して平行にしたとき、第1取付部4が変形しない、あるいは少し変形する。そして入口凸部21と奥側凸部23が協働して第1シャフト端3bを径方向に隙間なく支持できる。かくしてシャフト3が第1取付部4に対して半径方向にガタつくことが抑えられる。
【0035】
図3に示すように第2取付部5は、第1入口凸部31と第2入口凸部32によって決定される入口開口径(R4+R5)を有する。入口開口径(R4+R5)は、自由状態において第2シャフト端3cの直径r2より小さい。したがって第2シャフト端3cを第2取付部5に挿入したとき、第2取付部5が少し変形する。したがって第2シャフト端3cを隙間なく支持できる。かくしてシャフト3が第2取付部5に対して半径方向にガタつくことが抑えられる。
【0036】
次に、シャフト3をバイザ本体2に取り付ける手順について説明する。まず
図5に示すように第1シャフト端3bを第1取付部4に対して斜めに挿入する。詳しくは入口凹部22から奥側平坦部24に向けて第1シャフト端3bを第1取付部4に対して斜め(矢印A方向)に挿入する。
図4,5に示すように入口凹部22が設けられているため、入口開口径(R1+R3)が第1シャフト端3bの直径r2よりも大きい。また奥側平坦部24が設けられているため、奥側開口径(R1+R2+R7)は、第1シャフト端3bの直径r2より大きい。したがって第1取付部4と第1シャフト端3bが弾性変形することなく、第1シャフト端3bを斜めに第1取付部4に挿入できる。したがって小さな力で第1シャフト端3bを第1取付部4に挿入できる。
【0037】
図5に示すように第1シャフト端3bの末端部3fが第1ストッパ25の垂直面25aに当接する。これによりシャフト3が第1ストッパ25を超えてバイザ本体2の奥に挿入されることが防止される。
図6に示すようにシャフト3を第1取付部4の入口20近傍を中心として傾け、第1取付部4と平行にする。
図4に示すように自由状態における(R1+R2)は、第1シャフト端3bの直径r2と同じまたは少し小さい。したがって、入口凸部21と奥側凸部23が協働して第1シャフト端3bを径方向に隙間なく支持する。なお(R1+R2)がr2より小さい場合は、シャフト3は中実であるため変形せず、バイザ本体2が変形する。バイザ本体2は、シャフト3に比べて体積が大きいため、シャフト3に比べて応力集中を受け難い。
【0038】
次にシャフト3を
図6の位置から
図3の位置にシャフト3の中心軸Cと平行に長手方向(矢印B方向)にスライドさせる。
図3に示すように、第2シャフト端3cの末端部3gが第2ストッパ33の右端面33aに当接する。これによりシャフト3が第2ストッパ33を超えてバイザ本体2の奥に挿入されることが防止される。第2取付部5の入口開口径(R4+R5)は、自由状態において第2シャフト端3cの直径r2より少し小さい(R4+R5<r2)。したがって第2シャフト端3cが第1入口凸部31と第2入口凸部32によって径方向両側から支持される。さらに第2入口凸部32の先端が第2シャフト端3cの第2溝3eに嵌まる。これによりシャフト3がバイザ本体2に対してスライドすることが防止される。
【0039】
上述するように車両用サンバイザ1は、
図2,3に示すように板状でかつ一辺に凹部2cを有するバイザ本体2と、凹部2cに位置するシャフト3を有する。さらに車両用サンバイザ1は、シャフト3の第1シャフト端3bが挿入されるバイザ本体2の第1取付部4と、シャフト3の第2シャフト端3cが挿入されるバイザ本体2の第2取付部5を有する。第1取付部4は、第1シャフト端3bが挿入される入口20と、入口20にて第1シャフト端3bに向けて突出する入口凸部21を有する。さらに第1取付部4は、入口20における入口凸部21の径方向反対位置にて第1シャフト端3bから離間する入口凹部22と、入口凹部22から第1シャフト端3bに沿って奥側へ延出しかつ第1シャフト端3bへ突出する奥側凸部23を有する。さらに第1取付部4は、奥側凸部23の径方向反対位置にて入口凸部21より奥側に延びる奥側平坦部24と、奥側凸部23よりもさらに奥側位置にてバイザ本体2から第1シャフト端3bの長手軸方向先端に対向するように突出する第1ストッパ25を有する。第2取付部5は、第2シャフト端3cが挿入される入口30と、入口30にて第2シャフト端3cへ突出する第1入口凸部31を有する。さらに第2取付部5は、入口30における第1入口凸部31の径方向反対側位置から第2シャフト端3cへ突出する第2入口凸部32と、第2入口凸部32よりも奥側位置にてバイザ本体2から第2シャフト端3cの長手軸方向先端に対向するように突出する第2ストッパ33を有する。
【0040】
したがって第1取付部4に入口凹部22が形成されるため、
図5に示すように第1シャフト端3bを第1取付部4に対して斜めに挿入できる。詳しくは第1シャフト端3bを入口凹部22側から入口凸部21の奥側の奥側平坦部24に向けて挿入できる。したがって例えば第1シャフト端3bと第1取付部4を変形させることなく、第1シャフト端3bを第1取付部4に挿入することができる。第1シャフト端3bを第1取付部4に斜めに挿入した後、
図6に示すように第1シャフト端3bを第1取付部4に対して平行にする。これにより第1シャフト端3bが入口凸部21と奥側凸部23によって径方向両側から支持される。その後、シャフト3を長手方向(矢印B方向)にスライドさせて、
図3に示すように第2シャフト端3cを第2取付部5に挿入する。これにより第2シャフト端3cが第1入口凸部31と第2入口凸部32によって径方向両側から支持される。シャフト3の長手方向の移動は、第1ストッパ25と第2ストッパ33によって規制される。そのためシャフト3をバイザ本体2へ取付ける際に、シャフト3がバイザ本体2の内部に想定以上に入り込むことが抑制される。これによりシャフト3をバイザ本体2に確実に取付けることができる。
【0041】
図4に示すように第1取付部4は、入口凹部22と入口凸部21によって決定される入口開口径(R1+R3)と、奥側凸部23と奥側平坦部24によって決定される奥側開口径(R1+R2+R7)を有する。入口開口径と奥側開口径は、第1取付部4と第1シャフト端3bが弾性変形することなく、
図5に示すように第1シャフト端3bが入口凹部22側から奥側平坦部24に向け斜め(矢印A方向)に第1取付部4に挿入されることを許容する大きさである。即ち第1シャフト端3bの挿入軌跡上に構造物が無い。
【0042】
したがって
図5に示すように第1シャフト端3bを第1取付部4に対して斜めに挿入する際、第1取付部4または第1シャフト端3bを弾性変形させる力が不要である。そのため第1シャフト端3bを第1取付部4に対して小さな力で挿入できる。仮に第1取付部4または第1シャフト端3bを大きく弾性変形させると、第1取付部4または第1シャフト端3bが塑性変形する、または経時的に変形しやすくなる。本特徴によると、この現象を抑制することができる。かくして第1取付部4または第1シャフト端3bの塑性変形によって生じるシャフト3のバイザ本体2に対するガタつきを抑制することができる。さらにバイザ本体2とシャフト3の耐久性を向上させることができる。
【0043】
図5に示すようにシャフト3が第1ストッパ25に当接する第1限界位置に位置する際に、第2シャフト端3cが第2取付部5に対して長手軸方向に離脱するように、シャフト3が長手方向長さを有する。さらに、シャフト3が第1限界位置で第1取付部4を中心に傾き、第2シャフト端3cが第2取付部5から長手軸方向と直交する径方向に離脱するように、第1取付部4の入口凹部22が形成されている。
【0044】
したがって
図5に示すように第1シャフト端3bを第1取付部4に挿入する際、第2取付部5に邪魔されることなく、第1シャフト端3bを斜めに第1取付部4に挿入できる。そして第1シャフト端3bを第1取付部4に対して奥側に挿入しつつ、
図6に示すようにシャフト3を第1取付部4に対して平行にすることができる。その後、シャフト3を長手方向(矢印B方向)にスライドさせることで、
図3に示すように第2シャフト端3cを第2取付部5に挿入することができる。かくしてシャフト3を容易にバイザ本体2に取付けることができる。
【0045】
図3,6に示すようにシャフト3は、第1ストッパ25に当接する第1限界位置と、第2ストッパ33に当接する第2限界位置の間で長手軸方向にスライド可能である。さらに、第1取付部4の奥側凸部23は、シャフト3が第1ストッパ25に当接する第1限界位置からシャフト3が第2ストッパ33に当接する第2限界位置の間のいずれの位置においても第1シャフト端3bを支持するように第1シャフト端3bに当接する長手軸方向長さを有する。
【0046】
したがって
図3,6に示すように第1取付部4の奥側凸部23が第1シャフト端3bを支持するため、シャフト3を第1取付部4に対して傾けることなくスライドさせることができる。これによりシャフト3を容易にバイザ本体2に取付けることができる。
【0047】
図3,4に示すように第2取付部5は、第1入口凸部31と第2入口凸部32によって決定される入口開口径(R4+R5)を有する。入口開口径(R4+R5)は、自由状態において第2シャフト端3cの直径r2より小さい。したがって第2シャフト端3cを第2取付部5に挿入したとき、第2取付部5が少し変形する。そして第1入口凸部31と第2入口凸部32が第2シャフト端3cを隙間なく支持できる。かくしてシャフト3が第2取付部5に対して半径方向にガタつくことが抑えられる。
【0048】
図3,4に示すように第1取付部4は、入口凸部21と奥側凸部23によって決定される自由状態における径方向幅(R1+R2)が第1シャフト端3bの直径r2と同じまたは小さい。したがって
図5に示すように第1シャフト端3bを第1取付部4に斜めに挿入した後、
図6に示すように第1シャフト端3bを第1取付部4に平行にしたとき、第1取付部4が変形しない、あるいは少し変形する。そして入口凸部21と奥側凸部23が協働して第1シャフト端3bを径方向に隙間なく支持できる。かくしてシャフト3が第1取付部4に対して半径方向にガタつくことが抑えられる。
【0049】
図3,4に示すようにシャフト3は、第1シャフト端3bに形成された第1溝3dと、第2シャフト端3cに形成された第2溝3eを有する。第2溝3eに第2取付部5の第1入口凸部31と第2入口凸部32の少なくとも1つが嵌合される。したがって第2溝3eに嵌合した第1入口凸部31または第2入口凸部32によってシャフト3が長手方向に移動することが抑えられる。
【0050】
本発明は、上述した実施形態で説明した外観、構成に限定されず、本考案の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。例えばバイザ本体2は、
図2に示すように使用位置における上辺左側に凹部2cを有する。これに代えてバイザ本体2は、上辺中央、上辺右側に凹部2cを有していても良い。
【0051】
シャフト3は、
図3に示すように大径部3aよりも径の細い第1シャフト端3bと第2シャフト端3cを有する。これに代えてシャフト3は、大径部3aと径が同じまたは太い第1シャフト端3bと第2シャフト端3cを有していても良い。
【0052】
第1取付部4は、
図2,3に示すように凹部2cの右側に第1取付部4を有し、凹部2cの左側に第2取付部5を有する。これに変えて第1取付部4は、凹部2cの左側に第1取付部4を有し、凹部2cの右側に第2取付部5を有していても良い。
【0053】
第1取付部4の入口凸部21は、
図3に示すように第1シャフト端3bの第1溝3dの幅よりも広い幅の先端部を有する。これに代えて入口凸部21は、第1溝3dの幅と同じまたは狭い幅の先端部を有していても良い。
【0054】
第1ストッパ25は、
図3に示すように下方から見た際に略直角三角柱形状である。これに代えて第1ストッパ25は、下方から見た際に矩形または板状である形状を有していてもよい。第1ストッパ25は、第1殻体2aから第2殻体2bに向けて突出する。これに代えて第1ストッパ25は、第2殻体2bから第1殻体2aに向けて突出しても良い。
【0055】
第2取付部5の第1入口凸部31は、
図3に示すように第2シャフト端3cの第2溝3eの幅よりも広い先端部を有する。これに代えて入口凸部31は、第2溝3eの幅と同じまたは狭い幅の先端部を有していても良い。
【0056】
第2ストッパ33は、
図3,7に示すように略板形状を有する。これに代えて第2ストッパ33は柱状または第1ストッパ25と同様の形状を有していてもよい。第2ストッパ33は、第1殻体2aから第2殻体2bに向けて突出する。これに代えて第2ストッパ33は、第2殻体2bから第1殻体2aに向けて突出しても良い。
【0057】
バイザ本体2は、
図2,3に示すように
図1に示す使用状態において第1殻体2aを車両室内側に有し、第2殻体2bをフロントガラス41側に有する。これに代えてバイザ本体2は、第2殻体2bを車両室内側に有し、第1殻体2aをフロントガラス41側に有していてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1 車両用サンバイザ
2 バイザ本体
2a 第1殻体
2b 第2殻体
2c 凹部
3 シャフト
3b 第1シャフト端
3c 第2シャフト端
4 第1取付部
5 第2取付部
20 入口
21 入口凸部
22 入口凹部
23 奥側凸部
24 奥側平坦部
25 第1ストッパ
30 入口
31 第1入口凸部
32 第2入口凸部
33 第2ストッパ