(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-15
(45)【発行日】2022-07-26
(54)【発明の名称】船舶スクリュー、ポンプスクリュー、またはタービンスクリュー
(51)【国際特許分類】
F03B 13/26 20060101AFI20220719BHJP
F03B 3/04 20060101ALI20220719BHJP
【FI】
F03B13/26
F03B3/04
(21)【出願番号】P 2018243950
(22)【出願日】2018-12-27
(62)【分割の表示】P 2015515976の分割
【原出願日】2013-06-05
【審査請求日】2019-01-25
(32)【優先日】2012-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】514309516
【氏名又は名称】ジー.エイ.エム.マンスハンデン・マネジメント・ベスローテン・フェンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100169018
【氏名又は名称】網屋 美湖
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】マンスハンデン,ヘラルドゥス・アウグスティヌス・マリア
【審査官】田谷 宗隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-234555(JP,A)
【文献】特開2007-170298(JP,A)
【文献】特開平07-004336(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02295808(EP,A2)
【文献】特表2012-525536(JP,A)
【文献】特表2008-540928(JP,A)
【文献】特開昭52-59242(JP,A)
【文献】特表2007-529662(JP,A)
【文献】特開2009-121241(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03B 13/26
F03B 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
潮流から電気エネルギーを生成するために水中において使用するためのタービンスクリューを有する水中タービンであって、
前記タービンスクリューにおける船舶の前後方向の前方側に位置する前方側部と、
前記タービンスクリューにおける前記前後方向の後方側に位置する後方側部と、
ハブと、
前記ハブから延在する少なくとも2つのブレードであって、らせん形状であるブレードと
を備え、
前記タービンスクリューは、使用時に前記水が前記前方側部から前記後方側部へまたは逆方向へ押しやられるように構成され、
前記タービンスクリューは、前記前方側部および前記後方側部が同一形状となるよう対称であり、両方向の前記潮流から前記電気エネルギーを生成可能に構成され、
前記ブレード
の径方向内側端は、前記ハブの外周面に対して径方向に間隔を空けて対向する部分を有し、前記間隔の径方向寸法は、前記ハブの軸方向中間部から軸方向端部に向かうに従い大きくなるように設定され、前記ブレードの軸方向端部が先細りしており、
管状のハウジングが前記ブレードの周囲に設けられている水中タービン。
【請求項2】
前記ブレードの前端が前記ハブの端部の前部に延在している、請求項1に記載の水中タービン。
【請求項3】
前記ハウジングは固定され、前記ブレードは前記ハウジング内で回転する、請求項1または請求項2に記載の水中タービン。
【請求項4】
前記ハウジングの前方側部は円すい台形の形状を有し、前記ハウジングの幅広部分は該前方側部の方に向けられている、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の水中タービン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前方側部および後方側部を備え、使用時には、水または別の液体が前方側部
から後方側部へと押しやられ、また、ハブと、前記ハブから延在する少なくとも2つのブ
レードとを備える、水中において使用するための船舶スクリュー、ポンプスクリュー、ま
たはタービンスクリューに関する。
【背景技術】
【0002】
かかるスクリューは、一般的に知られている。スクリューは、魚の死亡要因の1つであ
ることが知られている。さらに、かかるスクリューは、乱流により引き起こされる多大な
騒音を生じさせる。血液ポンプによる血液の処理においては、例えば空洞現象が問題とな
り得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、効率的であり、および/または魚の死亡率をより低下させ、および/
または騒音をより低下させ、および/または空洞現象をより軽減する、スクリューを提供
することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的を達成するために、ブレードは、実質的にらせん/渦巻き形状であり、それら
の有効表面積は、前方側部から後方側部に向かって増大している。さらに、ブレードは、
好ましくは、大部分において魚がブレードに接触することなくハブに沿って誘導されるよ
うに、形作られている。
【0005】
好ましくは、ブレードは、前方側部において、スクリューの外周の点(point)に向か
って先細りしている。
【0006】
好ましくは、ハブにおいてブレードが取り付けられている部分が、円すい形または円す
い台形(frustoconical)の形状を有する。
【0007】
好ましくは、ブレードの前方端部が、ハブの端部の前部に延在する。
【0008】
好ましくは、管状ハウジングが、ブレードの周囲に設けられる。
【0009】
第1の実施形態においては、ハウジングは、ブレードとともに回転するようにブレード
に装着される。
【0010】
第2の実施形態においては、ハウジングは固定され、ブレードはハウジング内で回転す
る。
【0011】
好ましくは、ハウジングの前方側部は円すい台形の形状を有し、ハウジングの幅広部分
が前方側部の方に向けられている。
【0012】
好ましくは、使用時に押しやられる水が通過する空間の断面積は、ブレードの前方側部
とブレードの後方側部との間において縮小する。
【0013】
別の好ましい実施形態においては、固定ガイドブレードが、ブレードの後方において、
ハウジング内のシリンダ上に取り付けられる。
【0014】
好ましくは、ガイドブレードは、前方側部において若干らせん状に湾曲し、それにより
、使用時には、ハブに沿ってらせん状に押しやられる水は、ガイドブレードの前方側部に
おいてはガイドブレードに沿ってガイドブレードに対して平行に流れ、ガイドブレードの
後方側部においては後方へと実質的に直線状に流れる。
【0015】
好ましくは、実質的に円すい台形の要素が、ハウジング内においてガイドブレードの後
方側部に設けられ、要素の幅狭側部が、後方に向かって延在する。
【0016】
好ましい実施形態においては、ハブは、船舶のエンジンにより駆動されるように設計さ
れたドライブシャフトに連結され、ドライブシャフトは、ハブの回転軸に対して横方向に
延在し、ドライブシャフトは、ガイドブレードの近傍でシリンダの壁部を貫通して延在し
、伝動機構が、ドライブシャフトの回転をハブに伝達するためにシリンダ内に配置される
。また、スクリューは、船首スクリューとして使用され得るものであり、主な利点は、低
騒音型である点である。
【0017】
好ましくは、ブレードの有効表面積は、前方側部から、ブレードが取り付けられるハブ
上の箇所まで、連続的に増大する。
【0018】
スクリューが、水中タービンにおいて使用されるように意図される場合には、スクリュ
ーは、前方側部および後方側部が同一形状になるように対称である。その結果、タービン
は、潮流の両方の流れ方向から利益を享受し得る。
【0019】
以下、図面に示す実施形態に関連する本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明による船舶スクリューの第1の実施形態が装着された船舶の斜視図である。
【
図3】本発明による船舶スクリューの第2の実施形態の斜視図である。
【
図4】水中で使用するためのスクリューを有するタービンの斜視図である。
【
図5】
図4に示すスクリューを有するタービンの正面図である。
【
図6】
図4に示すスクリューを有するタービンの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、船舶のエンジンによりドライブシャフトを介して駆動される船舶スクリュー2
を有する船舶1を示す。
図2に示すように、船舶スクリュー2は、ドライブシャフト上に
取り付けられ得る円すい台形ハブ3を備え、このハブ上に、2枚のブレード4が取り付け
られている。ハウジング5が、2枚のブレード4の外周に装着されている。代替的には、
ハウジング5は、船舶1に固定されてもよく、これにより、ハウジング5はブレード4と
ともには回転しない。ハウジング5は、円すい台形の形状であり、これにより、前部から
後部へと押しやられる水が通過する断面積が、縮小する。
【0022】
ブレード4は、組み合わされたらせん/渦巻きの形状で、ハブ3から船舶スクリュー2
の外周方向および前方側部の方向に延在する。したがって、船舶スクリュー2の前方側部
は、点に向かって先細っているブレード4の前方側部により形成される。ブレード4の有
効面積、少なくともその前方部分は、船舶スクリュー2の後方側部の方向に向かって見た
場合に、次第に大きくなる。
【0023】
ハウジング5が固定された、
図3に示すような代替的な実施形態によれば、ハウジング
5の前方端部は、円すい台形の形状であるが、ブレード4が延在する部分は、円筒形の形
状である。ブレードの後方には、円すい台形の流通開口7が配置され、その円すい台形部
分の後には、ハウジングの円筒形部分が連結され、この円筒形部分内には、ガイドブレー
ド9を備えるシリンダ8が存在する。ガイドブレード9の前方側部は、若干らせん状に湾
曲し、それにより、ハブ3に沿ってらせん状に押される水は、ガイドブレード9に沿って
、ガイドブレード9の前方側部ではガイドブレード9に対して平行に流れ、ガイドブレー
ド9の後方側部では後方へと直線状にハウジング5から流出する。ほぼ円すい台形状の部
分10が、流出における真空発生を防止するために、シリンダ8の後方側部に取り付けら
れる。ドライブシャフト11は、ハブ3と船舶のエンジンとの間において、シリンダ8の
壁部を貫通して延在し、シリンダ8内において、(例えば円すい歯車による)90度の伝
動による連結を実現する。
【0024】
図3、
図4、および
図5は、潮流による発電が可能となるように海で水中に配置される
ように意図されたタービン13を示す。スクリュー2は、3つのブレード4が取り付けら
れたハブ3を備える。3つのブレード4を有するハブ3は、固定ハウジング5内に取り付
けられて、前方側部/後方側部の支持ビーム12中でシャフト11を介して軸受上に取り
付けられている。ハウジング5は、前方側部/後方側部においてトランペット形状にテー
パ形状を成している。スクリュー2は、スクリュー2の前方側部および後方側部が同一形
状となるように、対称を成している。
【0025】
ブレード4は、組み合わされたらせん/渦巻き形状で、ハブ3からスクリュー2の外囲
方向および前方側部/後方側部の方向に延在する。したがって、スクリュー2の前方側部
/後方側部は、点に向かって先細りしているブレード4の前方側部により形成される。ブ
レード4の有効面積は、スクリュー2の対称面の方向において次第に大きくなる。
【0026】
このように、本発明を好ましい実施形態に基づき記載した。しかし、本記載は本質的に
例示的なものであることは理解されるべきである。構造および機能の様々な詳細が提示さ
れたが、それらに対してなされ、添付の請求項において使用される用語の一般的意味によ
って十分に拡張される変更は、本発明の原理に包含されるものと見なされるべきである。
これらの記載および図面は、請求項を解釈するために使用されるべきである。請求項は、
要求される保護範囲が、請求項において使用される用語の厳密で文字通りの意味によって
規定されるものとして見なされるようには解釈されるべきでなく、記載および図面は、請
求項において見受けられるかもしれない曖昧さを解消する役割を果たすに過ぎない。請求
項を通して要求される保護範囲を判定するためには、本明細書において具体的に示された
要素と同等である各要素および任意の要素が、適切に考慮されなければならない。