(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-15
(45)【発行日】2022-07-26
(54)【発明の名称】デュアルモーター式洗浄ブラシ
(51)【国際特許分類】
A46B 15/00 20060101AFI20220719BHJP
A46B 7/08 20060101ALI20220719BHJP
A46B 13/02 20060101ALI20220719BHJP
A61C 17/34 20060101ALI20220719BHJP
【FI】
A46B15/00 K
A46B7/08
A46B13/02
A46B15/00 Z
A61C17/34 C
(21)【出願番号】P 2018560951
(86)(22)【出願日】2017-06-19
(86)【国際出願番号】 US2017038197
(87)【国際公開番号】W WO2017201549
(87)【国際公開日】2017-11-23
【審査請求日】2020-03-31
(73)【特許権者】
【識別番号】518408198
【氏名又は名称】チャープ プロダクツ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110001656
【氏名又は名称】特許業務法人谷川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パウエル,スティーブン ディー.
(72)【発明者】
【氏名】マッケイー,マイケル,チャド
【審査官】新井 浩士
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0045081(US,A1)
【文献】特開2015-213557(JP,A)
【文献】特表2017-514613(JP,A)
【文献】特開2009-207537(JP,A)
【文献】特開2008-194401(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A46B 7/08-15/00
A61H 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽歯車と、内歯歯車と、遊星歯車とを含む遊星歯車装置と、
洗浄ブラシの本体における第1のモーターであって、前記遊星歯車装置内の前記太陽歯車の動きを駆動するように該太陽歯車に結合されて、ブラシヘッドの回転を制御する、第1のモーターと、
前記洗浄ブラシの本体における第2のモーターであって、前記遊星歯車装置内の前記内歯歯車の動きを駆動するように該内歯歯車に結合されて、前記ブラシヘッドの振動を制御する、第2のモーターと、
可動部
分と前記遊星歯車とに結合する担体であって、当該ブラシヘッドを動かす担体とを含むものであって、
前記太陽歯車及び前記内歯歯車が前記遊星歯車を駆動し、そして前記遊星歯車が、前記第1のモーターからの回転と前記第2のモーターからの振動とを組み合わせて、当該組み合わせた回転と振動とが、前記ブラシヘッドに微小回転を生じさせる、
ブラシ。
【請求項2】
前記第1のモーターと前記第2のモーターとを調整して、毎分の回転数(RPM)での回転の速度と毎分のパルス数(PPM)での振動の速度との間の比を制御する制御部をさらに含む、請求項1に記載のブラシ。
【請求項3】
使用者が前記比を設定できるようにするユーザーインターフェースをさらに含む、請求項2に記載のブラシ。
【請求項4】
前記ユーザーインターフェースが、ひと組の事前設定された回転/振動の比の一つを使用者が選択できるようにした事前設定調整部と、回転/振動の比を使用者が選択できるようにした比調整部と、回転速度および振動レベルを使用者が選択できるようにした直接調整部とのうちの一つを含む、請求項3に記載のブラシ。
【請求項5】
前記回転の速度が、0RPM~4000RPMの範囲である、請求項1に記載のブラシ。
【請求項6】
ブラシが使用されていない場合に前記ブラシヘッドを覆うキャップをさらに含む、請求項1に記載のブラシ。
【請求項7】
前記キャップが、前記ブラシヘッドの保護、前記ブラシヘッドの周りに空気を循環させてそれを乾燥させること、あたりを汚さずに前記ブラシから水を排出させること、および前記ブラシヘッドを消毒することの一つまたは複数を提供する、請求項6に記載のブラシ。
【請求項8】
取り外し可能に取り付けられたブラシヘッドを受容するブラシヘッド取り付け部をさらに含む、請求項1に記載のブラシ。
【請求項9】
前記取り外し可能に取り付けられたブラシヘッドのタイプを識別するブラシヘッド識別機構と、
前記ブラシヘッドのタイプに基づいて、毎分の回転数(RPM)での回転の速度と毎分のパルス数(PPM)での振動の速度との間の比を調整する制御部とをさらに含む、請求項8に記載のブラシ。
【請求項10】
前記ブラシヘッド識別機構が、無線周波数識別タグ(RFID)、機械的接続の判別、重量、および使用者入力の1つを含む、請求項9に記載のブラシ。
【請求項11】
使用者の顔に対する前記ブラシの位置および使用を検出するセンサーと、
前記センサーからのデータに基づいて前記ブラシヘッドの動きを調整する制御部とをさらに含む、請求項1に記載のブラシ。
【請求項12】
前記ブラシが前記使用者の顔に接触していない場合に、前記制御部が前記回転および前記振動をオフにする、請求項11に記載のブラシ。
【請求項13】
前記ブラシと共に使用されている調製物のタイプを識別する調製物識別部と、
前記調製物のタイプに基づいて、前記回転と前記振動との間の比を調節する制御部とをさらに含む、請求項2に記載のブラシ。
【請求項14】
身体部分、前記ブラシの動きの方向、ブラッシングされている
領域の形状、および圧力の一つまたは複数を含む使用データを検出するセンサーと、前記使用データに基づいて、前記ブラシヘッドの回転の方向を調整する制御部とをさらに含む、請求項2に記載のブラシ。
【請求項15】
前記ブラシを携帯装置に結合させるネットワーク接続部をさらに含み、前記携帯装置が、改良されたユーザーインターフェースを提供する、請求項1に記載のブラシ。
【請求項16】
遊星歯車装置を備えた顔洗浄ブラシを使用する方法であって、
太陽歯車の動きを駆動するように該太陽歯車に結合される第1のモーターを用いて回転の速度を設定することと、
内歯歯車の動きを駆動するように該内歯歯車に結合される第2のモーターを用いて振動の速度を設定することと、
前記太陽歯車からの回転と前記内歯歯車からの振動とを組み合わせて、ブラシヘッドに微小回転を生じさせる遊星歯車によって、前記回転と前記振動とを組み合わせることとを含み、前記ブラシヘッドは、前記遊星歯車と前記ブラシヘッドとに結合した担体が動かすものである、方法。
【請求項17】
使用者が毎分の回転数(RPM)での前記回転の速度と毎分のパルス数(PPM)での前記振動の速度との間の比を選択することができることをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ブラシヘッド、および前記
顔洗浄ブラシと共に使用される調製物のうちの一つまたは複数に関するパッシブIDの表示を検出することと、
前記パッシブIDに基づいて微小回転を調整することとをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記
顔洗浄ブラシがどのように使用されているかを、一つまたは複数のセンサーを利用して検出することと、
前記検出に基づいて、前記微小回転の速度、比、および方向の一つまたは複数を調整することとを含む、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラシに関に関するものであり、より詳細には、音波および回転の運動を含むデュアルモーター式ブラシに関する。
【背景技術】
【0002】
ブラシは、様々な目的に使用されている。顔用ブラシは、男性や女性が洗顔に使用することが多い。顔用ブラシは、肌の色つやを良くし、吹き出物や傷を軽減し、保湿剤やクリームの付きを良くするのに役立つ。清掃ブラシは、家庭やオフィスなどの様々な環境において清掃に使用されている。
【0003】
現在、剛毛を円運動で回転させて洗浄を改善させる回転式ブラシがある。回転する剛毛は、使用者の顔の隅々に石鹸を入り込ませるのに有用である。剛毛は、石鹸を泡立てるのに長けている。
【0004】
回転するのではなく振動する剛毛を有するソニックブラシもある。ソニックブラシは、詰まった垢を浮かせ、ローションを塗るのに長けている。
【0005】
本発明は、添付図面の図中に例示されているが、これは例としてであって限定するものとしてではなく、図面中、類似の参照番号は類似の構成要素を指し、さらに図中:
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1はブラシおよび排出キャップと、関連する調製物と、このシステムに付属する可能性のある携帯装置との一実施形態の例示である。
【
図2-1】
図2Aはブラシの一実施形態の様々な内部図である。
図2Bはブラシの一実施形態の様々な内部図である。
【
図2-2】
図2Cはブラシの一実施形態の様々な内部図である。
図2Dはブラシの一実施形態の様々な内部図である。
図2Eはブラシの一実施形態の様々な内部図である。
【
図2-3】
図2Fはブラシ基台または排出キャップの一実施形態の様々な図である。
図2Gはブラシ基台または排出キャップの一実施形態の様々な図である。
図2Hはブラシ基台または排出キャップの一実施形態の様々な図である。
【
図3】
図3はブラシの構成要素のブロック図である。
【
図4A】
図4Aは複合式ブラシのユーザーインターフェースの様々な実施形態の図である。
【
図4B】
図4Bは複合式ブラシのユーザーインターフェースの様々な実施形態の図である。
【
図4C】
図4Cは複合式ブラシのユーザーインターフェースの様々な実施形態の図である。
【
図4D】
図4Dは複合式ブラシのユーザーインターフェースの様々な実施形態の図である。
【
図5】
図5はブラシを使用する一実施形態のフローチャートであり、排出キャップを伴う場合である。
【
図6】
図6はブラシを使用する一実施形態のフローチャートであり、センサーを伴う場合である。
【
図7】
図7は接続された調製物を伴うブラシを使用する一実施形態のフローチャートである。
【
図8】
図8は携帯装置を伴うブラシを使用する一実施形態のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
回転と音波振動とを組み合わせたブラシを記載する。一実施形態では、回転は微小回転であり、ブラシヘッドの回転を音波振動と組み合わせている。ブラシは回転と振動の間の比を設定することができるようになっている。一実施形態では、回転と振動の両方とも、0%と100%の間で変化してもよい。一実施形態では、音波振動は、毎分0~50,000パルスの間で調整してもよく、回転は毎分0~2000回転(RPM)の間で調整してもよい。一実施形態では、使用者は、回転と振動との間の比を調節してもよい。一実施形態では、振動の速度および回転の速度もまた調整してもよい。デュアルモーター式ブラシを提供することにより、使用者の体験が改善される。一実施形態では、ブラシは、使用されていない場合にブラシ用の定位置を与えるキャップも備えている。一実施形態では、このキャップは、ブラシを乾燥させることのできる保管位置である。一実施形態では、キャップはまた、水および残った調製物をブラシから流しに導く方法を提供して、あたりを汚さないようにしている。一実施形態では、キャップはまた、ブラシを維持するための消毒を提供する。
【0008】
一実施形態では、ブラシはまた、ブラシヘッドと通信して、ブラシヘッドの速度および/または比を、使用中のブラシのタイプに基づいて調節してもよい。ブラシは、使用中の洗浄剤またはローションの種類に基づいて調節してもよい。一実施形態では、この通信は、ブラシヘッド上および/または洗浄剤/ローションの瓶上のRFIDタグまたはその他のパッシブ情報を使用し、これは、顔用ブラシによって読み取る。一実施形態では、ブラシ内のセンサーは、動きの速度を制御し、ブラシが使用者の顔(または手)と接触していない場合、またはその他の適切な使用を感知し、回転を自動的にオフにして、飛沫を低減させる。一実施形態では、ブラシ内のセンサーは、検知に応答して、動きの速度、方向、および比を調整することができる。一実施形態では、この複合式ブラシと通信可能な携帯装置を使用して、さらに豊かなユーザーインターフェースが提供される。
【0009】
本発明の実施形態の以下の詳細な記載は、同様の参照符号が類似の構成要素を示す添付図面を参照し、本発明を実施する特定の実施形態を例示によって示す。これらの実施形態の記載は、当業者が本発明を実施できるようにするには充分に詳細である。当業者には、その他の実施形態を利用してもよいこと、ならびに、本発明の範囲から逸脱することなく、論理的、機械的、電気的、機能的、およびその他の変更を行ってもよいことは理解される。したがって、以下の詳細な記載は、限定する意味で解釈されず、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ規定されるものとする。
【0010】
図1は、ブラシおよび排出キャップと、関連する調製物と、このシステムに関連する可能性のある携帯装置との一実施形態の例示である。ブラシ110は、一実施形態では、清掃のため、回転と音波振動の組み合わせを提供する。ブラシ110は、一実施形態では、顔用ブラシである。あるいは、ブラシは、歯ブラシ、清掃ブラシ、摺洗ブラシ、食器洗浄ブラシ、またはその他の種類のブラシであってもよい。示されたブラシ110についての構成は、単に代表的なものであり、外観は全く異なっていてもよい。ブラシは、一実施形態では、本体と、取り外し可能に取り付けられたブラシヘッドとを含む。
【0011】
一実施形態では、ブラシ110は、一つまたは複数のタイプの調製物120と共に使用されるように設計される。調製物120は、ローション、石鹸、洗浄剤、クリーム、または、ブラシと共に使用してもよいその他の材料であってもよい。一実施形態では、調製物120は、瓶または他の容器125に分配されてもよい。この容器は、RFIDなどの、容器125内の特定の調製物120を識別することのできるパッシブ表示部を含んでいてもよい。一実施形態では、これをブラシ110によって読み取って、回転/振動の比、またはその他の設定を調整するのに使用してもよい。
【0012】
一実施形態におけるブラシ110は、排出キャップ130内に置くようにしてもよく、キャップは、残った水または調製物があたりを汚さないように設計されている。一実施形態では、排出キャップ130は、消毒機能を含むことができる。一実施形態では、消毒機能は、消毒を行うUV構成要素である。一実施形態では、ブラシ110はまた、これを排出キャップ130内に置いた場合、低周波数で振動できることを利用して、ブラシヘッド上に残った水および/または調製物を「振り払う」ようにしてもよい。これは、充電構成要素が排出キャップ130に接続されたのをきっかけにして自動的に始まるようにしてあってもよい。
【0013】
一実施形態では、ブラシ110は、複数の異なるブラシヘッド140を含む。ブラシヘッドは、剛毛、マッサージ具、粗面、小隆起、シリコーン、繊維を有していても、シリコン、ナイロン、絹、またはその他の材料を含む様々な材料でできた剛毛を有してもよい、または円板、パッド、もしくは別の形態を有してもよい。ブラシヘッド140は、調製物、角質除去、マイクロダーマブレーション(microdermabrasion)、マッサージ、ニキビ処置などを適用するのに最適化されてもよい。
【0014】
一実施形態では、ブラシヘッド140は、RFIDまたはその他の自動認識およびデータ取得(AIDC(Automatic Identification and Data Capture))機構などのパッシブ表示部を含んでいてもよい。これにより、ブラシ110を調整して特定のブラシヘッド140にし、例えば、振動に対する回転の比の変更、RPMもしくは周波数の変更、または回転方向の変更などを行うことができる。例えば、ブラシヘッドにとって動きの最適パターンは、マイクロダーマブレーション対マッサージ対肌の清掃によって異なることがある。その他の調整もまた行ってもよい。一実施形態では、使用されているブラシヘッド140と調製物120との組み合わせを使用して、ブラシ110向けに使用者または対象の状態を識別してもよい。これを使用して、ブラシの挙動を調整してもよい。例えば、ブラシヘッド140および/または調製物120から、使用者にニキビのあることが示されるならば、ブラシ110は、ニキビを減少させるようにそのルーチンを最適化してもよい。
【0015】
一実施形態では、ブラシ110は携帯装置150と通信してもよい。一実施形態では、ブラシ110および携帯装置150は、ネットワーク接続、例えばブルートゥース(BLUETOOTH)(商標)などのローカルエリアネットワークを介して結合させてもよい。携帯装置150は、使用者がブラシ110と通信できるようにするユーザーインターフェースを提供してもよい。一実施形態では、携帯装置150はまた、使用者が自分のブラシ体験を他者と共有したり、製造者にフィードバックを提供したりできるようになっていてもよい。
【0016】
図2Aは、ブラシの一実施形態の内部図である。代表的なブラシ本体210の概略を示す。内部の歯車装置220は、回転モーター230と音波振動モーター240からの運動を組み合わせるのに使用される。一実施形態では、遊星歯車装置が使用され、この中では歯車装置が、回転モーター230からの回転と振動モーター240からの振動とを組み合わせて微小回転を生成する。一実施形態では、振動モーター240は内歯歯車を駆動する。回転モーター230は太陽歯車を駆動する。遊星歯車はこれらの運動を足し合わせて、ブラシの取り付いた担体を動かす。
【0017】
一実施形態では、遊星歯車装置により、回転および振動、ならびにそれらの比の調整ができる。
図2Aに、モーターのない状態で、代表的な歯車装置を示す。
図2Bに、モーター230、240を示す。
図2Cに、異なる視点からの歯車装置およびモーターを示す。
図2Dに、下からの歯車装置を示すが、これは、代表的な遊星歯車装置を示ものである。
図2Eに、異なる角度からの歯車装置およびモーターを示す。示された構成が単なる代表的な構成であることは理解されるものとする。ブラシ、ブラシヘッド、歯車装置、モーターの外観を変更してもよい。
【0018】
図2F~2Gに、充電スタンドおよび消毒部を含む排出キャップの実施形態を示す。排出キャップは、ブラシが嵌まるように設計されており、直立している。一実施形態では、起立用アームは、ブラシを直立状態で支持しているので、ブラシを濡れた状態で吊り下げて乾燥させることができる。一実施形態では、引き出しに水が取り込まれる。別の実施形態では、流しへの排出経路を設けてもよい。ブラシヘッドは排出カップのカップ部分内にある可能性がある。一実施形態では、一つまたは複数のLEDを通して提供されるUVを使用して、ブラシヘッドを消毒してもよい。一実施形態では、排出キャップは、簡単な誘導充電ステーションも提供して、ブラシが排出キャップ内にある場合にブラシが充電されるようになっている。
【0019】
図3は、ブラシ、排出キャップ、および携帯装置の構成要素の一実施形態のブロック図である。このシステムは、ブラシ310と、排出キャップ340と、携帯装置360とを含む。またこのシステムは、一実施形態では、調製物瓶(図示せず)と対話する。
【0020】
一実施形態におけるブラシ310は、ブラシヘッド取り付け部317を有し、これにブラシヘッドが取り付けられる。これは、ソニックモーター312と、回転モーター314とを含み、それらの動きは、遊星歯車装置320によって組み合わされ、ブラシヘッドの回転および振動を制御する。モーターは、一実施形態では、モーター制御部216によって制御され、この制御部は、音波および回転の速度どうしの間の比を設定する。一実施形態では、モーター制御部316は、使用者の設定に基づいた比を設定し、この設定は、ブラシユーザーインターフェース318を介して入力されることがある、またはネットワーク接続326を介して受信されことがある、または自動的に設定されることがあり、これは後述するとおりである。
【0021】
一実施形態では、ブラシ310は、パッシブセンサー読み取り部324を介して、ブラシヘッドまたは調製物内のパッシブ識別機構と通信する。パッシブセンサー読み取り部324の受信したデータは、ブラシヘッド識別機構315または調製物識別部325によって使用される。一実施形態では、ブラシヘッド識別機構315は、ブラシ受信インターフェース328からデータを受信してもよく、識別は、RFIDまたは類似の電子データではなく、機械的な嵌まりに基づいてなされてもよい。例えば、ブラシヘッドは、「隆起」または他の構造を符号化した一組を有することができる。一実施形態では、同じRFID読み取り部が、ブラシヘッド識別機構315および調製物識別部325として働いてもよい。一実施形態では、この識別は、使用可能なブラシヘッドまたは調製物に関するメモリ322内のデータに基づく。一実施形態では、このデータは、製造時にブラシ310のメモリ322に最初に加えられる。一実施形態では、このデータは、新しい調製物および/またはブラシヘッドが使用可能になると、ネットワーク接続326を用いて、携帯装置360を介して更新されることがある。一実施形態では、ブラシ310は、ネットワーク接続326を介してサーバと直接通信してもよい。一実施形態では、ネットワーク接続は、ブルートゥース、その他の近距離ネットワーク接続、無線接続、携帯電話接続等の一つまたは複数を含んでいてもよい。
【0022】
誘導充電器334により、ブラシ310をコンセントに差さずに充電できる。一実施形態では、排出キャップ340は、誘導充電器プラグを提供してもよく、これにより、ブラシ310が排出キャップ340内にある場合にこれを自動的に充電することができる。
【0023】
一実施形態では、ブラシ310はまた、モーションセンサー330を含んでいてもよく、このモーションセンサーには、一つまたは複数のジャイロスコープ、加速度計、および/またはその他のセンサー332などを挙げてもよい。その他のセンサー332には、圧力センサー、接触センサー、および、ブラシがいかに使用されているかに関するデータを提供することができるその他のタイプのセンサーなどを挙げてもよい。センサー330、332を使用して、ブラシ310の使用を検出してもよい。例えば、モーションセンサー330は、使用者がどのようにブラシを利用しているかを検出してもよい。その他のセンサー332には、自身がどのように使用されているかブラシが検出することを可能にする近接センサー、接触センサー、圧力センサーおよび他のセンサー等を挙げてもよい。一実施形態では、センサーデータをプロセッサー336が使用して、ブラシヘッドの回転および/または振動を調整してもよい。例えば、このシステムは、使用者の状況が、顔面、例えば鼻の皺の場合であることを検出し、回転の方向、または振動に対する回転の比を変化させて、検出された位置とってブラシの動きが最適化になるようにしてもよい。一実施形態では、センサー330、332を使用して、使用者が瓶または手の中の発泡洗浄剤を泡立てようとしている場合を検出し、発泡作用が最適となるように動きを変更してもよい。その他の調整を、センサーデータに基づいて行ってもよい。
【0024】
一実施形態では、ブラシヘッド識別機構315はまた、使用者がブラシを新しくすべきであるという通知を、ユーザーインターフェース318またはモバイルプロセッサー360を介して送達するきっかけとして使用してもよい。その他の判定、例えば使用パターン、圧力レベル等に示唆される変更もまた提供されてもよい。
【0025】
上述したように、ブラシ310は、使用されていない場合に排出キャップ340内に静止するように設計されている。保管位置352は、ブラシ310を中に置いてもよい「キャップ」を提供する。一実施形態では、さらに排出キャップは、排出機構354を含む、ブラシから水を取り込んでもよい、または、ブラシが保管論理(storage logic)352にある場合に、またはブラシがどこに保管されていても、台の上を汚すことなしにあらゆる水分または残った調製物をブラシから流しに導いてもよい。排出キャップ340は、携帯可能に設計されていてもよく、その結果、移動にはブラシをしっかりと保管できる。一実施形態では、排出キャップ340は、複数の別個の部品でできていてもよく、その結果、保管位置352は、残りの構成要素の一部または全部と共に移動させてもよい。
【0026】
一実施形態における排出キャップ340は、電源342を含んでおり、この電源は、誘導充電ステーション344をブラシ310に提供可能にする電池、または壁コンセント、またはバッテリと壁コンセントの組み合わせであってもよいものである。ブラシが排出キャップ340内に置かれる場合、一実施形態では、ステーション344の充電器部分の位置取りは、それがブラシ310内の誘導充電器334に自動的に結合され、ブラシの充電が可能になるような位置である。
【0027】
一実施形態では、排出キャップ340は、ブラシ310が排出キャップに置かれた場合を感知するドッキングセンサー348を含む。これは、別個のセンサーを介して、または誘導充電ステーション344がブラシを充電し始めたことを感知することを通じて行ってもよい。
【0028】
一実施形態では、排出キャップ340は、ブラシヘッドを消毒する消毒部346を含む。消毒部346は、当技術分野で知られているように、紫外線(UV)システムであってもよい。その他のタイプの消毒機構を使用してもよい。
【0029】
一実施形態では、消毒に先立って、排出キャップは、残った水および/または調製物をブラシに「振り払わ」せる。これは、ブラシヘッドを一時的に起動させるようにモーター制御部316に命令するブラシ制御部350を介して行ってもよい。別の実施形態では、ブラシ310は、排出キャップ340内の配置を検出するためにセンサー330、332を利用し、自己起動して、残った水を振り払ってもよい。この実例では、排出キャップ340はブラシ制御部350を有する必要はない。
【0030】
一実施形態では、ブラシ310は携帯装置360と通信する。携帯装置360は、スマートフォン、タブレット、または類似の装置であってもよい。一実施形態では、携帯装置360は、プロセッサー368、ユーザーインターフェース364、およびネットワーク接続部362を含む。これらの構成要素は、ブラシアプリケーション372によって使用されてもよい。ブラシアプリケーション372は、一実施形態では、ネットワーク接続を介してブラシ310と対話する。一実施形態では、ブラシアプリケーション372は、様々な使用データを使用者に表示する。一実施形態では、使用者はまた、ブラシアプリケーション372を使用して、ブラシ310上のデータを更新してもよい。上述したように、一実施形態では、ブラシの回転および振動は、様々な比に設定してもよい。
【0031】
一実施形態では、ブラシ制御部366により、携帯装置360はブラシ310を更新することができる。一実施形態では、ブラシ310は、使用者が選択することができる5~15とおりの事前設定された速度および比を有していてもよい。これらの事前設定された比は、顔用ブラシの場合、様々なタイプの調製物、肌、および使用者用に最適化してもよい。清掃ブラシの場合、比は、様々なタイプの清掃用に最適化してもよい。一実施形態では、使用可能な事前設定された比を、ブラシアプリケーション372を介して更新してもよい。一実施形態では、使用者は、ユーザーインターフェース364を介してこれらの比を手動で設定してもよい。一実施形態では、これらの比は、携帯装置360によって受信された使用者データ、例えば使用者の肌タイプ、肌の養生法、習慣、および年齢に関するデータに基づいて再設定してもよい。一実施形態では、使用者データに基づく好ましい設定は、多くの使用者からの集約データおよび様々な設定の見直し結果を収集するサーバ(図示せず)によって送信されてもよい。
【0032】
一実施形態では、携帯装置360は、サーバと通信してもよい。一実施形態では、更新機構370により、携帯装置360がサーバから更新を受信し、ブラシ310における設定を更新することができる。これは、例えば、ブラシ310のメモリ322における調製物およびブラシヘッドのタイプを更新するには、またはそうでなければ制御を設定するには、有用となることがある。別の実施形態では、ブラシ310は、ネットワーク接続部326を介して、またはコンピュータシステムへのプラグイン接続を介して、サーバと直接通信してもよい。ブラシ設定を更新するその他の機構を利用してもよい。
【0033】
図4A~4Dは、複合式ブラシ用ユーザーインターフェースの実施形態の図である。このブラシインターフェースにより、使用者が様々な方法で回転および振動を設定できるようになることがある。一実施形態では、ユーザーインターフェースは、複数の事前設定を有してもよく、各事前設定は、特定の回転速度と振動レベル、および回転と振動との比に関連付けられて、事前設定調整部と称される。一実施形態では、ユーザーインターフェースは、回転速度/振動の比を調整できるようになっていてもよく、比調整部と称される。一実施形態では、ユーザーインターフェースは、回転速度の、そしてこれとは別個に振動レベルの連続調整ができるようになっていてもよく、直接調整部と称される。
【0034】
一実施形態では、ブラシ用に複数の事前設定された速度/比の設定があってもよい。
図4Aに示す構成では、6とおりの設定がある。設定は、例えば、比250p/rに対して、回転速度400rpm(回転数/分)、振動速度10,000ppm(パルス/分)であってもよい。異なる設定は、比1に対して、2000rpm、振動速度は2000ppmであってもよい。一実施形態では、これらの設定は、携帯装置またはコンピュータアプリケーションを介して構成されていてもよい。
【0035】
図4Bに、20とおりの別個の設定を有する別のユーザーインターフェースを示す。一実施形態では、これらの設定は、速度/比を表してもよい。
【0036】
図4Cに別のユーザーインターフェースを例示するが、これは、一方の側に「音波」に着目した設定を示し、もう一方の側には「回転」に着目した設定を示している。一実施形態では、回転の速度は音波側では一定に維持され、振動の速度は、回転側では一定に維持されており、これは、もう一方の態様を調整するからである。別の実施形態では、音波と回転の両方を両側で調整するが、ブラシの両側で音波と回転の相対的な割合が異なっている。
【0037】
図4Dに、使用者が回転速度と振動速度を別個に調整することを可能にする、二重スライダーを示す別のユーザーインターフェースを示す。これにより、使用者に完全な制御が提供される。ユーザーインターフェースを実装するその他の方法を利用してもよい。一実施形態において、一貫して要因となっているのは、回転速度および音波振動レベルの両方を調整して複数の設定にすることができるということである。使用者は、実際の速度/レベルに基づいて、比、または組み合わせに基づいて、調整することができる。
【0038】
図5は、ブラシを排出キャップと共に使用する一実施形態のフローチャートである。このプロセスはブロック510で開始する。一実施形態では、このプロセスは、使用者が最初に新しいブラシを購入すると開始する。ブロック520で、新しいブラシがデフォルトの比、およびその比に関するデフォルトの設定をもちいて初期化される。一実施形態では、これは工場で行ってもよい。一実施形態では、これは、使用者が新しいブラシを携帯アプリケーションに接続する際に自動的に行われるようになっていてもよい。その場合、使用者の以前の好みを、新しいブラシ用の「デフォルト」の比と見なしてもよい。これにより、使用者は新しいブラシを購入することができるが、好ましい設定は維持される。
【0039】
ブロック530では、プロセスは、使用者が比を変更したかどうかを判定する。そうである場合、ブロック540において、設定が調整される。上述したように、モーター制御部は、振動および回転の相対的な設定を制御する。プロセスは次に、続けてブロック550に進む。使用者が設定を変更しない場合、プロセスは続けて直接にブロック550に進む。
【0040】
ブロック550では、使用者は、事前設定された比でブラシを利用することができる。ブラシを使用することは、一実施形態では、それを調製物とともに、乾燥状態で、または水とともに使用することを意味する。一実施形態では、顔用ブラシ用に、システムはタイマーを有していてもよく、これにより、特定の時間の間だけ使用するよう促される。
【0041】
ブロック560では、使用者は使用後にブラシを排出カップ内に置く。一実施形態では、誘導充電器は自動接続される。
【0042】
ブロック570では、ブラシは、一実施形態において、振動モーターのみオンにして、水および残ったあらゆる調製物をブラシヘッドから振り払う。これにより、乾燥が速くなり、次回に使用者がこのブラシを使用したいときにすぐに使用可能な状態が保証される。
【0043】
ブロック580では、消毒をオンにする。これにより、長期間に亘って肌に損傷を与える、そしてブラシヘッドに悪臭を生じさせる可能性のある細菌をブラシヘッドが有することのないよう保証される。一実施形態では、消毒はUVまたはマイクロ波である。一実施形態では、消毒は、ブラシヘッドが清浄であることを保証するのに充分長い間オンになる。代替実施形態では、消毒は、アルコールのような液体を用いて行ってもよい。次に、プロセスはブロック530に戻って、使用者がブラシを取り上げて比を調整するか、使用のためにブラシをオンにするかどうかを監視する。このように、システムは、ブラシの最適な清掃、肌への刺激、角質除去、またはその他の適切な使用のために正しいレベルの回転および振動を提供する、常時使用可能なデュアルモーター式ブラシを提供する。
【0044】
図6は、センサーと共に、デュアルモーター式ブラシを使用する一実施形態のフローチャートである。プロセスはブロック610で開始する。一実施形態では、プロセスは、ブラシが起動している場合に開始され、これは、ブラシが電力の供給を受けて使用可能な状態になっていることを意味する。ブロック620において、一実施形態では、システムは、ブラシが持ち上げられていることを検出する。これは、モーションセンサー、気圧計からのデータに基づいて、または充電ステーションからブラシが切り離されたことに基づいて検出してもよい。
【0045】
ブロック625では、システムは、ブラシがオンになったことを検出する。一実施形態では、これは、一実施形態において使用者が「開始」ボタンを押すことによってブラシを起動させることに基づいて検出される。
【0046】
ブロック630では、プロセスは、身体に触れている顔用ブラシについて、そして、別のタイプのブラシの場合には、使用対象の表面に触れるそのブラシについて、ブラシが使用中であるかどうか判定する。そうでない場合、ブロック635でブラシは「オフ」(回転または振動していない)を維持して、飛沫を低減させるようにする。一実施形態では、ブラシが身体に触れていなくても、システムは、音波振動をオフにしなくともよく、その理由は、回転により生じる広範囲の飛沫は音波振動よっては生じないからである。その後、プロセスはブロック630に戻り、監視を続ける。一実施形態では、これは、あたりを大きく汚すことなくブラシを顔(またはそれを使用することになるあらゆる箇所)に当てるのに先立って、使用者がユーザーインターフェースを見つつブラシをオンにすることができるように設計されている。
【0047】
ブロック640において、一実施形態では、プロセスは、ブラシが使用者の手、または石鹸の払い出し機といった泡立て用の別の位置に触れているかどうかを判定する。これは、顔に洗浄の泡を付けるのに先立って、泡立ちを生成するために概して行われる。泡立ちを生成するにはブラシの運動が必要である。ブラシが使用者の手に触れているのであれば、ブロック645で、ブラシをオンにして「高」にし、軽く泡立つ泡を速やかに生成する。一実施形態では、ブラシをオンして振動のみにしてもよい。一実施形態では、ブラシをオンにして回転のみにして、泡立ちを生成してもよい。その後、プロセスは続いてブロック630に進み、監視を続ける。
【0048】
ブロック650では、プロセスは、ブラシが使用者の顔に触れているか、または、流し、床等のブラシが使用される可能性のある別の位置に触れているかどうかを判定する。もしそうであれば、ブロック655でブラシをオンにして、事前設定された振動/回転の比にする。上に考察したように、速度および比は、使用される調製物に基づいて、使用者の特性データに基づいて、またはデフォルトとして、使用者が設定してもよい。その後、プロセスはブロック630に戻り、監視を続ける。
【0049】
ブロック660では、プロセスは、ブラシが特定顧客向け設定を有する位置にあるかどうかを判定する。一実施形態では、これは、圧力センサー、加速度計、接触センサー、および/またはその他のセンサーデータの組み合わせに基づいて検出してもよい。一実施形態では、顔の一部には特定顧客向け設定がある。例えば、鼻の皺は、顔から外向きに遠ざかるような回転により最も良好に洗浄される。顎領域の下の敏感肌は、回転にはあまり耐性がない一方で、額は耐性がある。一実施形態では、いくつかの身体部分には、モーターの速度および比について、関連する特定顧客向け設定があってもよい。顔用でないブラシの場合、システムは、湾曲領域、隅といった位置を検出する可能性がある、または、特定顧客向け設定が有用であり得る類似の形状が検出される可能性がある。ブラシがこのような身体部分に接していることをシステムが検出するならば、ブロック665において、速度、方向、比、および/またはその他の設定が調整される。その後、プロセスはブロック630に戻り、監視を続ける。
【0050】
ブロック670では、プロセスは、ブラシがオフになったかどうかを判定する。一実施形態では、ブラシは使用者がオフにしてもよい。一実施形態では、ブラシはタイマーを有していて、事前設定された期間の後に自動的にオフになってもよい。ブラシがオフになっていないならば、プロセスはブロック630に戻る。そうでなければ、プロセスはブロック675で終了する。
【0051】
もちろん、これはフローチャートとして示されているものの、一実施形態では、これは割り込み駆動型システムとして実装されており、定義されたいずれの出来事の発生も装置が認識し、それに応じて調整するようになっている。さらに、そのような発生のいずれもその評価の順序は任意である。これは明確な依存関係が定義されていない限り、本出願におけるその他のフローチャートにも当てはまる。
【0052】
図7は、接続された調製物瓶および/またはブラシヘッドを伴うブラシを使用する一実施形態のフローチャートである。プロセスはブロック710で開始する。
【0053】
ブロック720では、プロセスは、ブラシヘッド識別部があるかどうかを判定する。一実施形態では、ブラシヘッドは、RFID、機械的識別、または、どんな種類のブラシヘッドであるかをブラシに対して表示するその他の方法を有していてもよい。ブラシヘッド識別部があるならば、ブロック730で、システムはブラシヘッドデータを使用して設定(速度、方向、比)を調整する、および/または特定のブラシヘッドに推奨された設定を使用者に知らせる。プロセスは次に、引き続きブロック740に進む。ブラシヘッド識別部がないならば、プロセスはブロック740に直接続く。
【0054】
ブロック740では、プロセスは、調製物瓶が識別部を有するかどうかを判定する。一実施形態では、調製物瓶は、パッシブ識別部を有する可能性があり、これは、ブラシが調製物中に浸漬されたときに、ブラシ内の読み取り部によって読み取ることのできるものである。一実施形態では、排出キャップは読み取り部を含んでいてもよく、そして識別結果をブラシヘッドに伝えてもよい。調製物が識別部を有さないならば、または調製物がないならば、プロセスはブロック750で終了する。一実施形態では、追跡目的のためにブラシヘッド識別情報が記憶される。
【0055】
調製物識別部があるならば、ブロック760で特定の調製物が識別される。一実施形態では、様々なローション、洗浄剤、収斂剤、および、その他のタイプの調製物を、顔用ブラシであれば、そのブラシと共に使用してもよい。清掃ブラシの場合、様々なタイプの清掃剤、消毒剤、およびブラシと共に使用される可能性のあるその他のタイプの材料を識別してもよい。
【0056】
ブロック770では、プロセスは、推奨された設定を調製物が有しているかどうかを判定する。一実施形態では、いくつかの調製物が、関連付けられた「最良の」設定を有する。例えば、敏感肌用に設計された濃いローションの場合、より高回転およびより低振動の速度を有する発泡洗浄剤と比較して、回転の速度を非常に低くして音波振動レベルを比較的高くしてもよい。
【0057】
調製物用の推奨された設定があるならば、ブロック780で、設定を調整する、または調製用に推奨された設定を使用者に通知する。一実施形態では、システムは、ブラシヘッドおよび調製物に基づいて組み合わせの推奨を生成する。その後、プロセスは続けてブロック790に進む。
【0058】
ブロック790では、調製物データ、および、利用可能な場合にはブラシヘッドデータが、追跡目的で記憶される。一実施形態では、システムは、使用者の利用を追跡して、その使用が自分の肌にどのように影響するか使用者に見せることができる。一実施形態では、様々な調製物の使用も同様に追跡される。これにより、使用者は、自身の特定の状況について、ブラシの速度/比、ブラシヘッド、および調製物の最適な組み合わせに到達することができることもある。一実施形態では、使用者は、携帯アプリケーションまたはウェブサイトを介して、このデータを互いに共有してもよい。プロセスはブロック750で終了する。
【0059】
図8は、携帯装置を伴うブラシを使用する一実施形態のフローチャートである。プロセスは、ブロック810で開始する。ブロック820では、携帯装置とブラシとの間の接続が確立される。一実施形態では、これは、携帯装置がブラシと同期するよう使用者が手動で指示する場合に発生する。一実施形態では、これは、携帯装置がブラシの範囲内にあって、同期するのに十分な電力を両方が有するときには、いつでも発生する可能性がある。一実施形態では、これは、使用者が携帯装置上のブラシアプリケーションを開いて、携帯装置がブラシの範囲内にある場合に発生する。
【0060】
ブロック830では、データは、ブラシと携帯装置/アプリケーションとの間で同期される一実施形態では、サーバからのいずれの更新も、携帯装置によってブラシに送信される。このような更新は、新しい調製物および/またはブラシヘッド、回転または振動についての比または速度の制限または変更、およびその他のあらゆる更新の識別を含む。一実施形態では、このような更新はサーバから取得される。
【0061】
ブロック840では、一実施形態においては、使用データ、ブラシヘッドデータ、および調製物データが、ブラシによって携帯装置に送信される。これは、あらゆる設定と、ブラシによって収集され特定の時間に関連付けられた使用データとを含んでいてもよい。これにより、一実施形態では、携帯装置がブラシ使用の時系列を出力できるようになる。
【0062】
ブロック850では、携帯装置のより豊かなユーザーインターフェースを利用して、グラフィックディスプレイを使用することにより関連データを使用者に示す。一実施形態では、グラフィックディスプレイは、使用の規則性、ブラシが使用された長さがどれだけか、使用された調製物およびブラシヘッドのタイプ等を示してもよい。一実施形態では、使用者は、所見データ、例えば、観察された改良点または問題を加えてもよい。
【0063】
ブロック860では、システムは、使用または設定を使用者が調整すべきかどうかを分析する。使用の調整には、より長いまたはより短い時間の間、異なる日時に、より高いまたはより低い圧力等を使用してブラシを使用することが含まれていてもよい。設定には、異なるブラシヘッドの使用、異なる調製物の使用が含まれていてもよい。一実施形態では、この判定は、携帯装置上でなされる。一実施形態では、この判定は、アプリケーションを介して、携帯装置によってサーバに提供される匿名化されたデータに基づいて、サーバ上でなされる。一実施形態では、この判定は、対象となっている使用者の使用者特性を有する者に対して推奨された挙動に基づいている。一実施形態では、推奨は、使用者からの推奨に基づいている。例えば、使用者は、設定、ブラシヘッド、および調製物の特定の組み合わせを使用した後にニキビが減少するという経験をしたことを示してもよい。ニキビのあることを示す使用者は、以前に他の使用者が推奨した経路に従うよう示唆されることがある。
【0064】
挙動を変更するよう示唆がある場合、ブロック870において、使用または構成の調整または変更が使用者に示唆される。一実施形態では、この示唆が速度/比の変更であるならば、システムは、更新された設定を代わりにブラシに自動的に送信してもよい。
【0065】
ブロック880では、プロセスは、使用者がブラシの設定を変更したかどうかを判定する。一実施形態では、ブラシユーザーインターフェースは、選択された組の速度/比の設定のみを二つのモーター用に提供する。例えば、インターフェースは、60rpmと1000rpmの間の範囲の回転、および1000ppmと40,000ppmと間の範囲の振動の、6とおりの設定を提供してもよい。設定された数の事前に選択された速度/比の設定しか使用者が使用できない場合、一実施形態では、使用者は携帯装置を使用してこれらの事前設定を変更してもよい。一実施形態では、これは、使用者が振動および回転の速度を入力することによって手動で行ってもよい。一実施形態では、これは、上記の分析に基づいて、一つまたは複数の推奨を受け入れることによって行ってもよい。使用者が設定を変更するならば、ブロック890において、新しい設定がブラシに送られる。一実施形態では、これは、同じ設定が、それに関連する異なる速度および比を引き続き有していてもよいことを意味する。
【0066】
ブロック895では、データがサーバに送信され、適宜、データがサーバから取得される。一実施形態では、使用データをサーバに送信して、サーバが集約データを収集できるようにする。一実施形態では、推奨を生成する処理をサーバが提供してもよい。上述したように、サーバはまた、ブラシメモリ用の新しいデータ、例えば、新しい調製物またはブラシヘッドの識別情報、新しい設定の推奨等を送信してもよい。この構成要素はフローチャートの終わりに向かっているが、アプリケーションが携帯装置上で開いていて、ネットワークが利用可能である場合、携帯装置とサーバの通信はつながったままであってもよい。プロセスはその後、ブロック988で終了する。
【0067】
前述の明細書では本発明を、その特定の代表的な実施形態を参照して記載してきた。しかしながら、添付の特許請求の範囲に記載された本発明のより広い趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な修正および変更を行ってもよいことは明らかであろう。したがって、本明細書および図面は、限定するものではなく例示的なものであるとみなされるものとする。