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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-15
(45)【発行日】2022-07-26
(54)【発明の名称】半導体装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/06 20060101AFI20220719BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20220719BHJP
   H01L 29/41 20060101ALI20220719BHJP
【FI】
H01L29/78 652P
H01L29/78 653A
H01L29/78 652D
H01L29/78 652M
H01L29/06 301F
H01L29/06 301V
H01L29/44 Y
H01L29/78 652K
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019051159
(22)【出願日】2019-03-19
(65)【公開番号】P2020155529
(43)【公開日】2020-09-24
【審査請求日】2021-03-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100157901
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 敬人
(74)【代理人】
【識別番号】100197538
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 功
(72)【発明者】
【氏名】菊地 拓雄
【審査官】杉山 芳弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-045776(JP,A)
【文献】特開平11-163323(JP,A)
【文献】特開2017-162909(JP,A)
【文献】特開2018-200919(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0319132(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/78
H01L 21/336
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電形の第1半導体層を含む半導体部と、
前記半導体部の裏面に設けられた第1電極と、
前記半導体部の表面に設けられた第2電極と、
前記第2電極と前記半導体部との間に配置された制御電極であって、前記半導体部の前記表面側に設けられたトレンチの内部に配置され、第1絶縁膜を介して前記半導体部から電気的に絶縁された制御電極と、
前記トレンチの内部に設けられ、前記第1電極と前記制御電極との間に位置し、第2絶縁膜と前記第1絶縁膜とを含む積層構造により前記半導体部から電気的に絶縁され、第3絶縁膜を介して前記制御電極から電気的に絶縁されたフィールドプレートと、
を備え、
前記半導体部は、前記第1半導体層と前記第2電極との間に設けられ、前記第1絶縁膜を介して前記制御電極に向き合う第2導電形の第2半導体層と、前記第2半導体層と前記第2電極との間に設けられた第1導電形の第3半導体層と、をさらに含み、
前記第1絶縁膜は、前記第1半導体層と前記第2絶縁膜との間に位置する部分を含み、前記第2絶縁膜は、前記第1絶縁膜と前記フィールドプレートとの間に位置し、前記第1絶縁膜の誘電率よりも低い誘電率を有した半導体装置。
【請求項2】
前記第2絶縁膜は、前記第1絶縁膜の原子密度よりも低い原子密度を有する請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第3絶縁膜は、前記第2絶縁膜と同じ材料を含む請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記フィールドプレートは、前記第1半導体層中に位置し、前記第1絶縁膜と前記第2絶縁膜とを含む前記積層構造を介して前記第1半導体層から電気的に絶縁される請求項1~3のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項5】
第1導電形の第1半導体層を含む半導体部の表面側にトレンチゲートを形成し、
前記トレンチゲートの内面を覆う第1絶縁膜を形成し、
前記第1絶縁膜を形成した後に、前記半導体部の前記表面側に第2導電形不純物を導入することにより、前記第2導電形の第2半導体層を形成し、
前記半導体部の前記表面側に第1導電形不純物を導入することにより、第1導電形の第3半導体層を形成し、
前記トレンチゲート中に、前記第1絶縁膜の誘電率よりも低い誘電率を有する第2絶縁膜を形成し、
前記第1絶縁膜および前記第2絶縁膜を介して前記第1半導体層に向き合うフィールドプレートを前記トレンチゲート内に形成し、
前記フィールドプレート上に第3絶縁膜を形成し、
前記第2絶縁膜および前記第3絶縁膜を部分的に除去し、前記トレンチゲート内において、前記第3絶縁膜を介して前記フィールドプレートから電気的に絶縁され、前記第1半導体層と前記第3半導体層との間に位置する前記第2半導体層に前記第1絶縁膜を介して向き合う制御電極を形成する半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記第1絶縁膜は、前記第1半導体層を熱酸化することにより形成される酸化膜である請求項記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、半導体装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の1つであるトレンチゲート型MOSFETには、ゲート電極およびフィールドプレートをゲートトレンチの内部に配置した構造を有するものがある。
【0003】
例えば、MOSFETのチャネル抵抗を低減するためにトレンチゲートを高密度化し、チャネル幅を広くすることが好ましいが、ドレイン・ソース間における電流の流路が狭くなり、オン抵抗の上昇を招く場合がある。これに対し、ドリフト層の不純物濃度を上げることによりオン抵抗の上昇を回避できるが、オフ耐圧が低下してしまう。そこで、ゲートトレンチの内部にフィールドプレートを配置したトレンチゲート構造が用いられる。これにより、低オン抵抗と高耐圧を両立させた構造を実現できる。しかしながら、フィールドプレートを配置すると、ドレイン・ソース間容量が大きくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-162909号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
実施形態は、フィールドプレートを含むトレンチゲート構造におけるソース・ドレイン間容量を低減できる半導体装置およびその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る半導体装置は、第1導電形の第1半導体層を含む半導体部と、前記半導体部の裏面に設けられた第1電極と、前記半導体部の表面に設けられた第2電極と、前記半導体部の前記表面側に設けられたトレンチの内部に配置された制御電極と、前記トレンチの内部に設けられ、前記第1電極と前記制御電極との間に位置するフィールドプレートと、を備える。前記制御電極は、前記第2電極と前記半導体部との間に位置し、第1絶縁膜を介して前記半導体部から電気的に絶縁される。前記フィールドプレートは、第2絶縁膜と前記第1絶縁膜とを含む積層構造により前記半導体部から電気的に絶縁され、第3絶縁膜を介して前記制御電極から電気的に絶縁される。前記半導体部は、前記第1半導体層と前記第2電極との間に設けられ、前記第1絶縁膜を介して前記制御電極に向き合う第2導電形の第2半導体層と、前記第2半導体層と前記第2電極との間に設けられた第1導電形の第3半導体層と、をさらに含む。前記第1絶縁膜は、前記第1半導体層と前記第2絶縁膜との間に位置する部分を含み、前記第2絶縁膜は、前記第1絶縁膜と前記フィールドプレートの間に位置し、前記第1絶縁膜の誘電率よりも低い誘電率を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係る半導体装置を示す模式断面図である。
図2】実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す模式断面図である。
図3図2に続く製造過程を示す模式断面図である。
図4図3に続く製造過程を示す模式断面図である。
図5図4に続く製造過程を示す模式断面図である。
図6図5に続く製造過程を示す模式断面図である。
図7図6に続く製造過程を示す模式断面図である。
図8】実施形態の変形例に係る半導体装置を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。図面中の同一部分には、同一番号を付してその詳しい説明は適宜省略し、異なる部分について説明する。なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
【0009】
さらに、各図中に示すX軸、Y軸およびZ軸を用いて各部分の配置および構成を説明する。X軸、Y軸、Z軸は、相互に直交し、それぞれX方向、Y方向、Z方向を表す。また、Z方向を上方、その反対方向を下方として説明する場合がある。
【0010】
図1は、実施形態に係る半導体装置1を示す模式断面図である。半導体装置1は、例えば、パワーMOSFETであり、トレンチゲート構造を有する。
【0011】
図1に示すように、半導体装置1は、半導体部10と、ドレイン電極20と、ソース電極30と、ゲート電極40と、フィールドプレート50と、を含む。半導体部10は、例えば、シリコンである。ドレイン電極20は、半導体部10の裏面上に設けられる。ソース電極30は、半導体部10の表面側に設けられる。
【0012】
ゲート電極40は、半導体部10とソース電極30との間に配置される。ゲート電極40は、半導体部10の表面側に設けられるゲートトレンチGTの内部に配置される。ゲート電極40は、絶縁膜45を介して半導体部10から電気的に絶縁される。また、ゲート電極40は、層間絶縁膜47を介してソース電極30から電気的に絶縁される。
【0013】
フィールドプレート50は、ゲートトレンチGTの内部に配置され、ドレイン電極20とゲート電極40との間に位置する。フィールドプレート50は、絶縁膜45と絶縁膜55を含む積層構造の絶縁膜により半導体部10から電気的に絶縁される。絶縁膜55は、絶縁膜45の誘電率よりも低い誘電率を有する。絶縁膜55は、絶縁膜45とフィールドプレート50との間に位置する。また、フィールドプレート50は、絶縁膜57を介してゲート電極40から電気的に絶縁される。
【0014】
図1に示すように、半導体部10は、n形ドリフト層11と、p形拡散層13と、n形ソース層15と、p形コンタクト層17と、n形ドレイン層19と、を含む。
【0015】
p形拡散層13は、n形ドリフト層11とソース電極30との間に設けられる。p形拡散層13は、絶縁膜45を介してゲート電極40に向き合うように設けられる。すなわち、p形拡散層13とゲート電極40との間に位置する絶縁膜45の一部は、ゲート絶縁膜として機能する。
【0016】
n形ソース層15は、p形拡散層13とソース電極30との間に選択的に設けられる。n形ソース層15は、n形ドリフト層11のn形不純物よりも高濃度のn形不純物を含む。
【0017】
p形コンタクト層17は、例えば、p形拡散層13の中に選択的に設けられる。p形コンタクト層17は、p形拡散層13のp形不純物よりも高濃度のp形不純物を含む。p形コンタクト層17は、p形拡散層13とソース電極30とを電気的に接続するように設けられる。
【0018】
この例では、ソース電極30は、層間絶縁膜47の上面からp形拡散層13に至る深さのコンタクトトレンチCTの内部に延伸するコンタクト部30eを有する。コンタクト部30eは、n形ソース層15およびp形コンタクト層17に接するように設けられる。ソース電極30は、コンタクト部30eを介してn形ソース層15およびp形コンタクト層17に電気的に接続される。
【0019】
n形ドレイン層19は、n形ドリフト層11とドレイン電極20との間に設けられる。n形ドレイン層19は、n形ドリフト層11のn形不純物よりも高濃度のn形不純物を含む。ドレイン電極20は、n形ドレイン層19に電気的に接続される。
【0020】
本実施形態では、フィールドプレート50は、n形ドリフト層11の中に位置し、例えば、図示しない部分でソース電極30に電気的に接続される。フィールドプレート50は、絶縁膜45と絶縁膜55とを含む積層構造の絶縁膜により、n形ドリフト層11から電気的に絶縁される。絶縁膜55は、絶縁膜45の誘電率よりも低い誘電率を有する。これにより、ドレイン電極20とソース電極30との間の寄生容量であるドレインソース間容量を小さくすることができる。
【0021】
絶縁膜45は、例えば、シリコン酸化膜である。絶縁膜55は、絶縁膜45のシリコン酸化膜よりも原子密度が低い多孔質のシリコン酸化膜、所謂ポーラスなシリコン酸化膜である。また、絶縁膜55は、例えば、SiOCなどのLow-k材料を含む。
【0022】
絶縁膜55は、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いた測定において、絶縁膜45よりも低輝度を示す材料を含む。
【0023】
図2(a)~図7(b)を参照して、半導体装置1の製造方法を説明する。図2(a)~図7(b)は、実施形態に係る半導体装置1の製造過程を順に示す模式断面図である。
【0024】
図2(a)に示すように、シリコンウェーハ100の表面側にゲートトレンチGTを形成する。ゲートトレンチGTは、例えば、図示しないエッチングマスクを用いて、RIE(Reactive Ion Etching)によりシリコンウェーハ100を選択的に除去することにより形成される。シリコンウェーハ100は、例えば、n形ドリフト層11のn形不純物と同じ濃度のn形不純物を含む。
【0025】
図2(b)に示すように、ゲートトレンチGTの内面を覆う絶縁膜45を形成する。絶縁膜45は、例えば、シリコン酸化膜であり、シリコンウェーハ100を熱酸化することにより形成される。
【0026】
図3(a)に示すように、シリコンウェーハ100の表面側に、p形拡散層13、n形ソース層15およびp形コンタクト層17を形成する。例えば、ゲートトレンチGTの内部を犠牲膜(図示しない)により埋め込んだ状態で、シリコンウェーハ100の表面側にp形不純物、例えば、ボロン(B)をイオン注入する。続いて、イオン注入されたp形不純物を熱処理により拡散させてp形拡散層13を形成する。
【0027】
さらに、n形ソース層15となる領域にn形不純物、例えば、リン(P)をイオン注入し、p形コンタクト層17となる領域にp形不純物、例えば、ボロン(B)を選択的にイオン注入する。その後、n形不純物およびp形不純物を熱処理により活性化させ、n形ソース層15およびp形コンタクト層17を形成する。この際、p形コンタクト層17の下端がp形拡散層13の下端よりも浅い位置になるように、短時間の熱処理を実施する。また、p形コンタクト層17は、高い加速エネルギー下のイオン注入によりn形ソース層15よりも深い位置に形成される。
【0028】
図3(b)に示すように、ゲートトレンチGTの内部に絶縁膜55を形成する。絶縁膜55は、例えば、図示しない犠牲膜を選択的に除去した後、CVD(Chemical Vapor Deposition)を用いて形成される。ゲートトレンチGTの内部において、絶縁膜55は、絶縁膜45の上に形成される。また、絶縁膜55は、ゲートトレンチGTの内部にスペースを残すように形成される。
【0029】
図4(a)に示すように、導電膜50fを、ゲートトレンチGTの内部のスペースを埋め込むように形成する。導電膜50fは、例えば、CVDを用いて形成されるポリシリコン膜である。
【0030】
図4(b)に示すように、導電膜50fをエッチバックすることにより、ゲートトレンチGTの下部にフィールドプレート50を形成する。フィールドプレート50は、例えば、その上端が、深さ方向(Z方向)におけるp形拡散層13の下端のレベルよりも低いレベルに位置するように形成される。
【0031】
図5(a)に示すように、ゲートトレンチGTの内部のスペースを埋め込むように、絶縁膜57を形成する。絶縁膜57は、例えば、CVDを用いて形成され、絶縁膜55と同じ材料を含む。
【0032】
図5(b)に示すように、ゲートトレンチGTの下部に絶縁膜55の一部および絶縁膜57の一部が残るように、絶縁膜55および絶縁膜57をエッチバックする。また、絶縁膜55および57のエッチバックは、絶縁膜45をエッチングしない条件下で実施される。
【0033】
ゲートトレンチGTの内部に残された絶縁膜55の上面および絶縁膜57の上面は、Z方向において、p形拡散層13の下端のレベルと同じ位置もしくはp形拡散層13の下端のレベルよりも深いレベルに位置するように形成される。絶縁膜57は、必ずしも絶縁膜55と同じ材料を含む必要はないが、絶縁膜55と同じエッチングレートを有する材料を用いることが望ましい。
【0034】
図6(a)に示すように、ゲートトレンチGTの内部のスペースを埋め込むように、導電膜40fを形成する。導電膜40fは、例えば、CVDを用いて形成される導電性のポリシリコン膜である。
【0035】
図6(b)に示すように、ゲートトレンチGTの上部にゲート電極40を形成する。ゲート電極40は、例えば、導電膜40fをエッチバックすることにより形成される。ゲート電極40は、絶縁膜45を介してp形拡散層13に向き合うように形成される。
【0036】
図7(a)に示すように、ゲート電極40を覆うように、層間絶縁膜47を形成する。層間絶縁膜47は、例えば、CVDを用いて形成されるシリコン酸化膜である。続いて、層間絶縁膜47の上面からp形コンタクト層17に至る深さを有するコンタクトトレンチCTを形成する。
【0037】
図7(b)に示すように、層間絶縁膜47の上にソース電極30を形成する。ソース電極30は、例えば、真空蒸着、もしくは、CVDを用いて形成される。ソース電極30は、コンタクトトレンチCTの内部に延伸し、n形ソース層15およびp形コンタクト層17に接するコンタクト部30eを有するように形成される。
【0038】
ソース電極30は、例えば、アルミニウムを含む。また、ソース電極30は、コンタクトトレンチCTの内部を埋め込んだタングステンと、その上に形成されるアルミニウムを含む2層構造であっても良い。
【0039】
続いて、シリコンウェーハ100の裏面側をエッチングもしくは研磨することにより、所定の厚さに薄層化する。さらに、シリコンウェーハ100の裏面側にn形不純物をイオン注入することにより、n形ドレイン層19を形成する(図1参照)。この際、シリコンウェーハ100の裏面側にイオン注入されたn形不純物は、例えば、レーザアニールなどの方法を用いて活性化される。これにより、表面側に設けられた絶縁膜55を熱変性させることなく、n形ドレイン層19を形成することができる。また、シリコンウェーハ100に代えて、高濃度のn形シリコンウェーハ上に低濃度のn形シリコン層を形成したエピタキシャルウェーハを用いても良い。
【0040】
続いて、n形ドレイン層19の上(シリコンウェーハ100の裏面上)にドレイン電極20を形成して、半導体装置1を完成させる(図1参照)。ドレイン電極20は、例えば、真空蒸着により形成され、金ゲルマニウム(AuGe)合金を含む。
【0041】
本実施形態に係る製造方法では、例えば、熱酸化およびイオン注入後の活性化などの900℃以上の高温処理を必要とする工程を、絶縁膜55を形成する前に実施する。絶縁膜55を形成した後の工程は、例えば、400℃程度の温度で実施できるCVDにより実施される。これにより、半導体装置1の製造過程における絶縁膜55の熱変性を回避することができる。
【0042】
図8は、実施形態の変形例に係る半導体装置2を示す模式断面図である。半導体装置2では、絶縁膜57は、ゲート電極40の中に延伸するように設けられる。絶縁膜57の上端は、Z方向におけるゲート電極40の下面のレベルよりも上のレベルに位置する。
【0043】
この例では、絶縁膜57は、絶縁膜55のエッチングレートよりも遅いエッチングレートを有する材料を含む。したがって、図5(b)に示す工程において、絶縁膜57は、絶縁膜55の上面よりも上に突き出た形状で残される。また、このような構造は、絶縁膜57を選択的にエッチバックした後、絶縁膜55をエッチバックすることにより形成することもできる。
【0044】
半導体装置2では、ゲートトレンチGTの内部に残る絶縁膜57のZ方向の厚さを厚くすることにより、ゲート・ソース間の寄生容量を低減することができる。
【0045】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0046】
1、2…半導体装置、 10…半導体部、 11…n形ドリフト層、 13…p形拡散層、 15…n形ソース層、 17…p形コンタクト層、 19…n形ドレイン層、 20…ドレイン電極、 30…ソース電極、 30e…コンタクト部、 40…ゲート電極、 40f、50f…導電膜、 45、55、57…絶縁膜、 47…層間絶縁膜、 50…フィールドプレート、 100…シリコンウェーハ、 CT…コンタクトトレンチ、 GT…ゲートトレンチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8