(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-15
(45)【発行日】2022-07-26
(54)【発明の名称】温風供給システム
(51)【国際特許分類】
F24D 5/00 20220101AFI20220719BHJP
F24H 15/33 20220101ALI20220719BHJP
F23N 3/06 20060101ALI20220719BHJP
【FI】
F24D5/00 B
F24H15/33
F23N3/06
(21)【出願番号】P 2019226041
(22)【出願日】2019-12-16
【審査請求日】2020-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000111292
【氏名又は名称】ネポン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【氏名又は名称】大菅 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【氏名又は名称】天田 昌行
(72)【発明者】
【氏名】坂東 進
(72)【発明者】
【氏名】大武 正和
(72)【発明者】
【氏名】渡会 祐介
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 信克
(72)【発明者】
【氏名】池田 竜彦
【審査官】岩▲崎▼ 則昌
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-88266(JP,A)
【文献】特開平1-284254(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0028554(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24D 5/00
F24H 15/33
F23N 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
温風を発生させる温風暖房機と、
前記温風暖房機が発生させる温風を、収容空間に収容された対象物に吹き付けるメインダクトと、
前記温風暖房機が発生させる温風の一部を前記メインダクトから前記温風暖房機に循環させる第1ダクトと、
前記温風暖房機に外気を流す第2ダクトと、
前記第1ダクトにおける流量を調整するための第1ダンパと、
前記第2ダクトにおける流量を調整するための第2ダンパと、
前記温風暖房機、前記第1ダンパ、及び前記第2ダンパを制御する制御部とを備え、
前記制御部は、
前記第1ダンパを開状態、前記第2ダンパを閉状態として前記温風暖房機の運転を開始させ、
前記温風暖房機が発生させる温風が
前記収容空間の目標温度よりも高い第1温度まで上昇したときに前記第1ダンパにより前記第1ダクトを閉じ、
前記収容空間の温度が
前記目標温度よりも低い第2温度まで上昇したときに前記第2ダンパにより前記第2ダクトを開く
ことを特徴とする温風供給システム。
【請求項2】
前記収容空間から前記温風暖房機に気体を流す第3ダクトと、
前記第3ダクトにおける流量を調整するための第3ダンパとを更に備え、
前記制御部は、
前記第1ダンパ及び前記第3ダンパを開状態、前記第2ダンパを閉状態として前記温風暖房機の運転を開始させ、
前記収容空間の温度に基づいて前記第3ダンパにより前記第3ダクトの流量を調整する
ことを特徴とする請求項1記載の温風供給システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記収容空間の温度が
前記目標温度である第3温度まで上昇したときに前記第3ダンパにより前記第3ダクトの流量を減らし、前記収容空間の温度が前記第3温度よりも降下したときに前記第3ダンパにより前記第3ダクトの流量を増やす
ことを特徴とする請求項2記載の温風供給システム。
【請求項4】
前記制御部は、
前記温風暖房機の運転を、運転設定が強設定で開始させ、
前記収容空間の温度が
前記第2温度と同一の第4温度まで上昇したときに前記温風暖房機の前記運転設定を前記強設定から弱設定に切り替える
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の温風供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収容空間に収容された対象物に温風を吹き付ける温風供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両を収容する空間の温度を上昇させることで、車両の殺菌を行う手法が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-17846号公報
【文献】特表2018-516611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、養豚場において、豚流行性下痢(Porcine Epidemic Diarrhea:PED)などの豚への感染を防止するためには、豚を輸送する車両などの対象物の殺菌を行うことが望ましい。例えば、PEDの感染は、70℃以上10分の殺菌で防止することができると考えられる。
【0005】
このように対象物の殺菌を行う場合、車両等の対象物を収容する収容空間は、大きい空間となるため、所定の殺菌温度を維持するためには時間がかかる。また、過剰に高温の気体を対象物に吹き付けることは、例えば、対象物が車両であればタイヤなどの劣化を招くため、所定の温度範囲の温風を用いて対象物の殺菌を行うことが求められる。
【0006】
なお、対象物への温風の吹き付けは、対象物の殺菌に限らず、塗装された対象物の乾燥などの他の用途においても行われる。これらの他の用途においても、対象物を収容する収容空間は、大きい空間となりやすいため、温風の吹き付け時間が長くなる。また、部材の劣化を防ぐために、所定の温度範囲の温風を用いることが求められる。
【0007】
本発明の目的は、所定の温度範囲の温風を用いて対象物への温風の吹き付けを短時間で行うことができる温風供給システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
1つの態様では、温風供給システムは、温風を発生させる温風暖房機と、前記温風暖房機が発生させる温風を、収容空間に収容された対象物に吹き付けるメインダクトと、前記温風暖房機が発生させる温風の一部を前記メインダクトから前記温風暖房機に循環させる第1ダクトと、前記温風暖房機に外気を流す第2ダクトと、前記第1ダクトにおける流量を調整するための第1ダンパと、前記第2ダクトにおける流量を調整するための第2ダンパと、前記温風暖房機、前記第1ダンパ、及び前記第2ダンパを制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記第1ダンパを開状態、前記第2ダンパを閉状態として前記温風暖房機の運転を開始させ、前記温風暖房機が発生させる温風が第1温度まで上昇したときに前記第1ダンパにより前記第1ダクトを閉じ、前記収容空間の温度が第2温度まで上昇したときに前記第2ダンパにより前記第2ダクトを開く。
【発明の効果】
【0009】
前記態様によれば、所定の温度範囲の温風を用いて対象物への温風の吹き付けを短時間で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る温風供給システム、及び建屋を示す平面図である。
【
図2】本発明の一実施の形態に係る温風供給システムを示す平面図である。
【
図3】本発明の一実施の形態に係る温風供給システムを示す正面図である。
【
図4】本発明の一実施の形態に係る温風供給システムの動作を説明するための説明図である。
【
図5】本発明の一実施の形態における車両の荷台の各部の温度、殺菌室の室温、及び外気温の温度の変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施の形態に係る温風供給システムについて、図面を参照しながら説明する。
【0012】
図1は、温風供給システム1及び建屋100を示す平面図である。
【0013】
【0014】
【0015】
図1に示すように、建屋100は、殺菌室110と、機械室120とを備える。
【0016】
殺菌室110は、温風が吹き付けられる対象物の一例である車両200を収容する収容空間の一例である。殺菌室110内には、殺菌室110内の温度(室温)を測定するための室温センサ111が設けられている。また、殺菌室110には、殺菌室110内の気体を建屋100の外部に排出するための例えばシャッタ付きのインバータ有圧ファンである有圧ファン112が配置されている。この有圧ファン112は、殺菌室110(収容空間)内の気体を建屋100の外部に排出する換気手段の一例である。
【0017】
機械室120は、温風供給システム1の温風暖房機10等を収容する。
【0018】
車両200は、荷台210を殺菌するために、荷台210の後部が開放した状態で殺菌室110に収容されている。
【0019】
図1に示すように、温風供給システム1は、温風暖房機10と、メインダクト20と、第1ダクト31と、第2ダクト32と、第3ダクト33と、制御盤60とを備える。また、温風供給システム1は、
図2に示す第2ダンパ42及び第2ダンパ用温度センサ52と、
図3に示す第1ダンパ41、第3ダンパ43、第1ダンパ用温度センサ51、及び第3ダンパ用温度センサ53とを備える。
【0020】
温風暖房機10は、暖房機本体11と、バーナ12と、煙突13とを有し、温風を発生させる。例えば、温風暖房機10は、暖房機本体11内においてバーナ12や熱交換器を用いて温風を発生させ、煙突13から排ガスを排出する。
【0021】
メインダクト20は、機械室120と殺菌室110とに亘って配置され、殺菌室110側の先端に例えば5つの吹き出し口21を有する。これにより、メインダクト20は、温風暖房機10が発生させる温風を、殺菌室110に収容された車両200の荷台210に吹き付ける。なお、メインダクト20のうち殺菌室110と機械室120との間の仕切り部分には、所定の温度で閉じる防火ダンパが設けられているとよい。
【0022】
図3に示す第1ダクト31は、機械室120内に例えば鉛直方向に配置され、メインダクト20と第3ダクト33とに接続されている。この第3ダクト33は、機械室120内に例えば水平方向に配置され、殺菌室110から温風暖房機10に気体を流す。なお、第3ダクト33にも、上述のメインダクト20と同様に、殺菌室110と機械室120との間の仕切り部分に、所定の温度で閉じる防火ダンパが設けられているとよい。
【0023】
このように第3ダクト33が殺菌室110から温風暖房機10に気体を流すため、第1ダクト31は、メインダクト20を流れる温風の一部を第3ダクト33に流すことで、温風暖房機10が発生させる温風の一部をメインダクト20から温風暖房機10に循環させる。
【0024】
図3のA部拡大部分に示すように、第1ダンパ41は、例えば複数の羽根を有し、第1ダクト31における流量、すなわちメインダクト20から第1ダクト31及び第3ダクト33を介して温風暖房機10に流れる温風の流量を調整するために用いられる。第1ダンパ41は、第1ダクト31の流路を遮断する閉状態と、第1ダクト31の流路を遮断しない開状態とをとることができる。また、第1ダンパ41は、開状態においても開度を調整することで第1ダクト31における流量を調整することができるとよい。また、第1ダンパ41が全開状態であっても、メインダクト20から第1ダクト31に流れる温風の割合は、メインダクト20を流れる温風の半分未満である。
【0025】
図3のA部拡大部分に示すように、第3ダンパ43は、例えば複数の羽根を有し、第3ダクト33における流量、すなわち殺菌室110から温風暖房機10に流れる気体の流量を調整するために用いられる。第3ダンパ43は、第3ダクト33の流路を遮断する閉状態と、第3ダクト33の流路を遮断しない開状態とをとることができる。また、第3ダンパ43は、開状態においても開度を調整することで第3ダクト33における流量を調整することができるとよい。
【0026】
第1ダンパ用温度センサ51は、メインダクト20の内部に配置され、メインダクト20内の温度、すなわち温風暖房機10が発生させる温風の温度を測定するために用いられる。
【0027】
第3ダンパ用温度センサ53は、第3ダクト33の内部に配置され、第3ダクト33内の温度、すなわち、殺菌室110から温風暖房機10に流れる気体の温度を測定するために用いられる。なお、第3ダンパ用温度センサ53が所定温度以上の高温を検知した場合、第3ダンパ43が第3ダクト33を閉じるように制御盤60によって制御されるとよい。
【0028】
図2に示す第2ダクト32は、機械室120内に例えば水平方向に配置され、機械室120の外部と第3ダクト33とに接続されている。第2ダクト32は、第3ダクト33を介して外気を温風暖房機10に流す。
【0029】
第2ダンパ42は、例えば複数の羽根を有し、第2ダクト32における流量、すなわち温風暖房機10に流れる外気の流量を調整するために用いられる。第2ダンパ42は、第2ダクト32の流路を遮断する閉状態と、第2ダクト32の流路を遮断しない開状態とをとることができる。また、第2ダンパ42は、開状態においても開度を調整することで第2ダクト32における流量を調整することができるとよい。
【0030】
第2ダンパ用温度センサ52は、第2ダクト32の内部に配置され、第2ダクト32内の温度、すなわち温風暖房機10に流れる外気の温度を測定するために用いられる。但し、第2ダンパ用温度センサ52が第2ダクト32と第3ダクト33との合流部分に配置されている場合には、第2ダンパ用温度センサ52は、温風暖房機10に戻る気体の温度を測定するために用いられる。
【0031】
制御盤60は、温風供給システム1の各部の動作を制御する制御部の一例として機能し、殺菌開始ボタンなどのユーザによって操作される操作部などを有する。
【0032】
以下、温風供給システム1の動作について説明する。
【0033】
図4は、温風供給システム1の動作を説明するための説明図である。
【0034】
図5は、車両200の荷台210の各部(第1~第6の位置P1~P6)の温度、殺菌室110の室温、及び外気温の温度の変化を示すグラフである。
【0035】
まず、
図4に示すように、ユーザが制御盤60の殺菌開始ボタンを押下すると(ステップS1)、制御盤60は、温風暖房機10の運転を開始させる(ステップS2)。このときの温風暖房機10の運転設定は、強設定(Hi燃焼)である。
【0036】
なお、温風暖房機10の運転開始前の第1ダンパ41及び第3ダンパ43は、開状態であり、第2ダンパ42は、閉状態である。この開状態及び閉状態は、例えば全開状態及び全閉状態であるが、部分開状態及び部分閉状態であってもよい。
【0037】
その後、制御盤60は、例えば第1ダンパ用温度センサ51の測定結果である、温風暖房機10が発生させる温風の温度が90℃(第1温度の一例)まで上昇したときに(ステップS3)、第1ダンパ41により第1ダクト31を閉じることで、温風暖房機10が発生させる温風の温風暖房機10への循環を停止させる(ステップS4)。なお、制御盤60は、温風暖房機10が発生させる温風の温度が90℃(第1温度の一例)まで上昇したときに、第1ダンパ41により第1ダクト31の流路を完全に閉じずに一部を閉じるだけであってもよい。
【0038】
その後、制御盤60は、室温センサ111の測定結果である殺菌室110内の室温が60℃(第2温度及び第4温度の一例)まで上昇したときに(ステップS5)、第2ダンパ42を開くことで外気を温風暖房機10に取り込むとともに(ステップS6)、温風暖房機10の運転設定を、強設定(Hi燃焼)から弱設定(Lo燃焼)に切り替える(ステップS7)。なお、制御盤60は、外気が温風暖房機10に取り込まれた分の気体を有圧ファン112によって殺菌室110内の気体を建屋100の外部に排出することができる。また、制御盤60は、第2ダンパ42によって第2ダクト32の流路を全開にする必要はなく、第2ダクト32の流量を少なからず増やすだけでもよい。また、温風暖房機10の運転設定は、強設定及び弱設定の2つに限られず、制御盤60は、殺菌室110内の室温が60℃(第4温度の一例)まで上昇したときに3種類以上の設定の中から消費エネルギーが低い運転設定に切り替えてもよい。
【0039】
その後、制御盤60は、室温センサ111の測定結果である殺菌室110内の室温が70℃(第3温度の一例)まで上昇したときに(ステップS8)、第3ダンパ43により第3ダクト33の流量を減らす。また、制御盤60は、殺菌室110内の室温が70℃よりも降下したときに第3ダンパ43により第3ダクト33の流量を増やす。このように、第3ダンパ43が殺菌室110内の室温に基づいて開閉することで(ステップS9)、殺菌室110内の室温が70℃に保持される(ステップS10)。なお、制御盤60は、第3ダンパ43を開閉させても、上述のように有圧ファン112によって殺菌室110内の気体を建屋100の外部に排出することができるとともに、第2ダンパ42の開閉によって第2ダクト32からの外気の取り込み量を調整することができる。
【0040】
ところで、
図5に示すように、荷台210内には、床面前部の第1位置P1に配置された第1位置温度センサ211(グラフの太い1点鎖線)、床面中央の第2位置P2に配置された第2位置温度センサ212(グラフの2点鎖線)、床面後部の第3位置P3に配置された第3位置温度センサ213(グラフの細い1点鎖線)、壁面前部の第4位置P4に配置された第4位置温度センサ214(グラフの細い破線)、壁面左部の第5位置P5に配置された第5位置温度センサ215(グラフの細い実線)、及び壁面右部の第6位置P6に配置された第6位置温度センサ216(グラフの太い破線)が配置されている。なお、
図5のグラフの太い実線は、殺菌室110内の室温であり、
図5のグラフの点線は、外気温である。
【0041】
図5における12時から12時10分の間の10分間、第1~第6位置温度センサ211~216の測定結果は、すべて70℃を超えている。このように荷台210の各部(第1~第6位置P1~P6)の温度が70℃以上で10分間が経過すると(ステップS11)、制御盤60は、車両200(荷台210)の殺菌が完了したと判定し(ステップS12)、制御盤60の運転を停止させる(ステップS13)。
【0042】
これにより、殺菌室110内の室温は低下する(ステップS14)。また、制御盤60は、第1ダンパ41、第2ダンパ42、及び第3ダンパ43を初期状態、すなわち、第1ダンパ41及び第3ダンパ43が開状態、第2ダンパ42が閉状態となるように制御する(ステップS15)。
【0043】
以上説明した本実施の形態では、温風供給システム1は、温風を発生させる温風暖房機10と、この温風暖房機10が発生させる温風を、殺菌室110(収容空間の一例)に収容された車両200(対象物の一例)に吹き付けるメインダクト20と、温風暖房機10が発生させる温風の一部をメインダクト20から温風暖房機10に循環させる第1ダクト31と、温風暖房機10に外気を流す第2ダクト32と、第1ダクト31における流量を調整するための第1ダンパ41と、第2ダクト32における流量を調整するための第2ダンパ42と、温風暖房機10、第1ダンパ41、及び第2ダンパ42を制御する制御盤60(制御部の一例)とを備える。この制御盤60は、第1ダンパ41を開状態、第2ダンパ42を閉状態として温風暖房機10の運転を開始させ、温風暖房機10が発生させる温風が90℃(第1温度の一例)まで上昇したときに第1ダンパ41により第1ダクト31を閉じ、殺菌室110の温度が60℃(第2温度の一例)まで上昇したときに第2ダンパ42により第2ダクト32を開く。
【0044】
これにより、温風暖房機10が発生させる温風が90℃(第1温度の一例)に到達するまでは、温風暖房機10が発生させる温風の一部を第1ダクト31によってメインダクト20から温風暖房機10に循環させることで、温風暖房機10が発生させる温風の温度を高温にする時間を早めることができる。また、殺菌室110の温度が60℃(第2温度の一例)まで上昇したときには、第2ダンパ42により第2ダクト32を開いて外気を温風暖房機10に取り込むことによって、温風暖房機10が発生させる温風の温度、ひいては殺菌室110内の室温が過剰に高温になるのを防止することができる。
【0045】
よって、本実施の形態によれば、所定の温度範囲の温風を用いて対象物(例えば車両200)への温風の吹き付けを短時間で行うことができる。これにより、過剰に高温の温風が車両200などの対象物に吹き付けられるのを防止することで、対象物の劣化を防止することもできる。
【0046】
また、本実施の形態によれば、所定の温度範囲の温風を用いて対象物に温風を吹き付けることができるため、畜産業における殺菌、塗装物などの乾燥などの幅広い用途に本実施の形態を適用することができる。
【0047】
また、本実施の形態では、温風供給システム1は、殺菌室110から温風暖房機10に気体を流す第3ダクト33と、この第3ダクト33における流量を調整するための第3ダンパ43とを更に備える。制御盤60は、第1ダンパ41及び第3ダンパ43を開状態、第2ダンパ42を閉状態として温風暖房機10の運転を開始させ、殺菌室110の温度に基づいて第3ダンパ43により第3ダクト33の流量を調整する。
【0048】
これにより、第3ダンパ43の開閉によって殺菌室110の温度を調整することができるため、収容空間(例えば、殺菌室110)の温度を所望の温度に調整することができる。
【0049】
また、本実施の形態では、制御盤60は、殺菌室110の温度が70℃(第3温度の一例)まで上昇したときに第3ダンパ43により第3ダクト33の流量を減らし、殺菌室110の温度が70℃よりも降下したときに第3ダンパ43により第3ダクト33の流量を増やす。
【0050】
これにより、第3ダンパ43の開閉によって殺菌室110の温度を所定の第3温度(例えば70℃)に維持することができるため、収容空間(例えば、殺菌室110)の温度を所望の温度に維持することができる。
【0051】
また、本実施の形態では、制御盤60は、温風暖房機10の運転を、運転設定が強設定で開始させ、殺菌室110の温度が60℃(第4温度の一例)まで上昇したときに温風暖房機10の運転設定を強設定から弱設定に切り替える。
【0052】
これにより、収容空間の温度を所望の温度まで上昇した後に温度を維持するために温風暖房機10の運転設定を弱設定に切り替えることで、温風暖房機10の消費エネルギーを抑制し、ひいてはコストダウンを図ることができる。
【符号の説明】
【0053】
1 温風供給システム
10 温風暖房機
11 暖房機本体
12 バーナ
13 煙突
20 メインダクト
21 吹き出し口
31 第1ダクト
32 第2ダクト
33 第3ダクト
41 第1ダンパ
42 第2ダンパ
43 第3ダンパ
51 第1ダンパ用温度センサ
52 第2ダンパ用温度センサ
53 第3ダンパ用温度センサ
60 制御盤(制御部の一例)
100 建屋
110 殺菌室(収容空間の一例)
111 室温センサ
112 有圧ファン
120 機械室
200 車両(対象物の一例)
210 荷台
211 第1位置温度センサ
212 第2位置温度センサ
213 第3位置温度センサ
214 第4位置温度センサ
215 第5位置温度センサ
216 第6位置温度センサ
P1 第1位置
P2 第2位置
P3 第3位置
P4 第4位置
P5 第5位置
P6 第6位置