IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ カーステン マニュファクチュアリング コーポレーションの特許一覧

特許7106519最適化特性を備えたゴルフクラブヘッド及び関連方法
<>
  • 特許-最適化特性を備えたゴルフクラブヘッド及び関連方法 図1
  • 特許-最適化特性を備えたゴルフクラブヘッド及び関連方法 図2
  • 特許-最適化特性を備えたゴルフクラブヘッド及び関連方法 図3
  • 特許-最適化特性を備えたゴルフクラブヘッド及び関連方法 図4
  • 特許-最適化特性を備えたゴルフクラブヘッド及び関連方法 図5
  • 特許-最適化特性を備えたゴルフクラブヘッド及び関連方法 図6
  • 特許-最適化特性を備えたゴルフクラブヘッド及び関連方法 図7
  • 特許-最適化特性を備えたゴルフクラブヘッド及び関連方法 図8
  • 特許-最適化特性を備えたゴルフクラブヘッド及び関連方法 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-15
(45)【発行日】2022-07-26
(54)【発明の名称】最適化特性を備えたゴルフクラブヘッド及び関連方法
(51)【国際特許分類】
   A63B 53/04 20150101AFI20220719BHJP
【FI】
A63B53/04 A
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2019503295
(86)(22)【出願日】2017-07-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-07-25
(86)【国際出願番号】 US2017043142
(87)【国際公開番号】W WO2018017871
(87)【国際公開日】2018-01-25
【審査請求日】2020-07-20
(31)【優先権主張番号】62/365,133
(32)【優先日】2016-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/404,602
(32)【優先日】2016-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/413,684
(32)【優先日】2017-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591086452
【氏名又は名称】カーステン マニュファクチュアリング コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ライアン エム. ストック
【審査官】安田 明央
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-512153(JP,A)
【文献】米国特許第07413520(US,B1)
【文献】特開2011-083540(JP,A)
【文献】特開2011-200709(JP,A)
【文献】米国特許第09186561(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 53/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフクラブヘッドであって、
ヘッド前部、ヘッド後部、ヘッドヒール部、ヘッドトウ部、ヘッド上部及びヘッドソール部によって境界付けられたヘッド内部を備えるヘッド本体と、
幾何学中心を有する打撃フェースと、
ヘッドCG深さ及びヘッドCG高さを有するヘッド重心と、を備え、
前記クラブヘッドが、ドライバー型本体を備え、
前記ヘッドCG高さが、0mmから5.08mmであり、
前記ヘッドCG深さが、41mmから102mmであり、
前記ゴルフクラブヘッドのヘッド容量が、420cc(420立方センチメートル)から470cc(470立方センチメートル)であり、
前記ゴルフクラブヘッドのヘッド重量が、185グラムから225グラムであり、
前記クラブヘッドの15%を上回る質量が、前記クラブヘッドの長さの最後尾20%内に配置され、
前記クラブヘッドの5%を上回る質量が、前記クラブヘッドの長さの最後尾10%内に配置され
前記ゴルフクラブヘッドは、さらに、クラウン角を備え、
前記クラウン角が前記打撃フェースの前記幾何学中心を通って切断された前記クラブヘッドの側断面図において測定される場合、前記クラウン角は70度未満であり、
前記クラウン角が前記打撃フェースの前記幾何学中心から前記ヘッドトウ部に1.0インチ(2.54cm)寄って配置された点を通って切断された前記クラブヘッドの側断面図で測定される場合、前記クラウン角は79度未満である、ゴルフクラブヘッド。
【請求項2】
前記クラブヘッドの20%を上回る質量が、前記クラブヘッドの長さの最後尾20%内に配置される、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項3】
前記クラブヘッドの25%を上回る質量が、前記クラブヘッドの長さの最後尾20%内に配置される、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項4】
前記クラブヘッドの10%を上回る質量が、前記クラブヘッドの長さの最後尾10%内に配置される、請求項1から3のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項5】
前記クラブヘッドの15%を上回る質量が、前記クラブヘッドの長さの最後尾10%内に配置される、請求項1から3のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項6】
前記ゴルフクラブヘッドは、さらに、前記ヘッド本体の前記ヘッドソール部及び前記ヘッド後部の付近に配置された錘構造体であって、時計盤の5時線と8時線との間に配置された錘構造体重心を備える前記錘構造体を備え、
前記時計盤は、
12時線、
3時線、
4時線、
5時線、
8時線、及び
9時線を備え、
前記ゴルフクラブヘッドの底面から見て前記ゴルフクラブヘッドがアドレス部にあるとき、前記12時線は、前記打撃フェース中心点と位置合わせされ、ロフト面と地面との間の前部交線に直交しており、
前記時計盤が、前記ヘッド前部の前端と前記ヘッド後部の後端の間の中点において、前記12時線に沿って中央に配置され、
前記3時線が、前記ヘッドヒール部に向かって延び、
前記9時線が、前記ヘッドトウ部に向かって延びる、請求項1から5のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項7】
前記錘構造体が、前記ヘッドソール部の外部輪郭から少なくとも部分的に突出する、請求項6に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項8】
前記ゴルフクラブヘッドは、さらに、前記ヘッド上部上に位置決めされた1つ以上の細領域であって、0.020インチ(0.051cm)未満の厚さを備える前記1つ以上の細領域を備える、請求項1から7のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項9】
前記ゴルフクラブヘッドは、さらに、前記クラブヘッドの前記ヘッド後部の縁部の1.0インチ(2.54cm)以内に位置決めされた錘であって、10.0より大きい比重及び10グラムより大きい質量を有する前記錘を備える、請求項1から8のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項10】
前記錘が、前記ヘッド重心から1.5インチ(3.81cm)を超えて位置決めされる、請求項9に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項11】
ゴルフクラブヘッドであって、
ヘッド前部、ヘッド後部、ヘッドヒール部、ヘッドトウ部、ヘッド上部及びヘッドソール部によって境界付けられたヘッド内部を備えるヘッド本体と、
幾何学中心を有する打撃フェースと、
ヘッドCG深さ及びヘッドCG高さを有するヘッド重心と、を備え、
前記クラブヘッドが、フェアウェイ型本体を備え、
前記CG高さが、0mmから12.8mmであり、
前記ヘッドCG深さが、35mmから90mmであり、
前記ゴルフクラブヘッドのヘッド容量が、300cc(300立方センチメートル)から400cc(400立方センチメートル)であり、
前記ゴルフクラブヘッドのヘッド重量が、190グラムから240グラムであり、
前記クラブヘッドの15%を上回る質量が、前記クラブヘッドの長さの最後尾20%内に配置され、
前記クラブヘッドの5%を上回る質量が、前記クラブヘッドの長さの最後尾10%内に配置され
前記ゴルフクラブヘッドは、さらに、クラウン角を備え、
前記クラウン角が前記打撃フェースの前記幾何学中心を通って切断された前記クラブヘッドの側断面図において測定される場合、前記クラウン角は70度未満であり、
前記クラウン角が前記打撃フェースの前記幾何学中心から前記ヘッドトウ部に1.0インチ(2.54cm)寄って配置された点を通って切断された前記クラブヘッドの側断面図で測定される場合、前記クラウン角は79度未満である、ゴルフクラブヘッド。
【請求項12】
前記クラブヘッドの20%を上回る質量が、前記クラブヘッドの長さの最後尾20%内に配置される、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項13】
前記クラブヘッドの25%を上回る質量が、前記クラブヘッドの長さの最後尾20%内に配置される、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項14】
前記クラブヘッドの10%を上回る質量が、前記クラブヘッドの長さの最後尾10%内に配置される、請求項1から1のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項15】
前記クラブヘッドの15%を上回る質量が、前記クラブヘッドの長さの最後尾10%内に配置される、請求項1から1のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項16】
前記ゴルフクラブヘッドは、さらに、前記ヘッド本体の前記ヘッドソール部及び前記ヘッド後部の付近に配置された錘構造体であって、時計盤の5時線と8時線との間に配置された錘構造体重心を備える前記錘構造体を備え、
前記時計盤は、
12時線、
3時線、
4時線、
5時線、
8時線、及び
9時線を備え、
前記ゴルフクラブヘッドの底面から見て前記ゴルフクラブヘッドがアドレス部にあるとき、前記12時線は、前記打撃フェース中心点と位置合わせされ、ロフト面と地面との間の前部交線に直交しており、
前記時計盤が、前記ヘッド前部の前端と前記ヘッド後部の後端の間の中点において、前記12時線に沿って中央に配置され、
前記3時線が、前記ヘッドヒール部に向かって延び、
前記9時線が、前記ヘッドトウ部に向かって延びる、請求項1から1のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項17】
前記錘構造体が、前記ヘッドソール部の外部輪郭から少なくとも部分的に突出する、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項18】
前記ゴルフクラブヘッドは、さらに、前記ヘッド上部上に位置決めされた1つ以上の細領域であって、0.020インチ(0.051cm)未満の厚さを備える前記1つ以上の細領域を備える、請求項1から1のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項19】
前記ゴルフクラブヘッドは、さらに、前記クラブヘッドの前記ヘッド後部の縁部の1.0インチ(2.54cm)以内に位置決めされた錘を備える、請求項1から1のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本発明は、2016年7月21日出願の米国仮特許出願第62/365,133号、2016年10月5日出願の米国仮特許出願第62/404,602号の利益を主張するものであり、2013年3月14日出願の米国特許出願第13/826,111号の継続出願である、2015年8月26日出願の米国特許出願第14/836,729号の一部継続出願である、2017年1月24日出願の米国特許出願第15/413,684号の一部継続出願である。米国特許出願第15/413,684号は、2016年1月25日出願の米国仮特許出願第62/286,899号の利益を主張するものでもある。上記で説明された開示の全ての内容は、参照によって本明細書に全て組み込まれる。
【0002】
本開示は、全体としてスポーツ用品に関し、より具体的には、最適化特性を備えたゴルフクラブヘッド及び関連方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ゴルフクラブヘッドは、多くの場合、種々の特徴を備えており、ゴルフクラブヘッドの1つ以上の性能特性を向上させるように、これらの特徴を設計または設定することが可能である。しかしながら、このような種々の特徴は本質的に作用し合っていることが多いため、ある特徴を調整または設定すると、別の特徴が本質的に変わる恐れがあり、不利となる場合が多い。ある例として、インパクト領域をより大きくするためにゴルフクラブの打撃フェースを広げると、ゴルフクラブの重心位置が不利に変化する可能性があり、種々の特徴間の相互作用を把握して各特徴をバランスよく設定または設計していない場合、結果として意図しない性能が生じる恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記を踏まえて、ゴルフクラブの特徴に関してさらなる進展を図り、互いに関してこれらの特徴のバランスを取ることにより、ゴルフクラブの性能を向上させる。
【0005】
本開示は、添付図面と併せて、各実施形態の例に関する以下の詳細な説明を読むことによってさらに理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本開示に係るゴルフクラブヘッドの正面図を示している。
図2図1の線II-IIに沿ったゴルフクラブヘッドの側断面図を示している。
図3図1~2のゴルフクラブヘッドの下面図を示している。
図4】本開示に係るゴルフクラブヘッドを提供、形成及び/または製造するのに利用可能な方法のフローチャートを示す図である。
図5図1の線II-IIに沿ったゴルフクラブヘッドの上部遷移境界の側断面図を示している。
図6図1の線II-IIに沿ったゴルフクラブヘッドの後部遷移境界の側断面図を示している。
図7図1の線II-IIに沿ったゴルフクラブヘッドの側断面図を示している。
図8】本開示に係るゴルフクラブヘッドの後斜視図を示している。
図9図8の線IX-IXに沿ったゴルフクラブヘッドの側断面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図示を簡単かつ明瞭にするため、各図面は、構成の一般的な様態を示しており、周知の特徴及び技法に関する説明及び詳細は、本開示が必要以上に分かりにくくならないようにするために省略される場合がある。さらに、図面の各要素は、必ずしも縮尺に合わせて描かれたものではない。例えば、図面の各要素の一部については、本開示の実施形態を理解しやすくするため、他の要素に比べて寸法が誇張されている場合がある。
【0008】
本明細書及び特許請求の範囲において、「第1の」、「第2の」、「第3の」、「第4の」などの用語は、適宜、同様の要素間で区別するために使用されるものであり、必ずしも特定の順序または時系列的順序を説明するために使用されるものではない。そのように使用される用語は、適当な状況下で入れ替え可能であるため、本明細書で説明された実施形態は、例えば、ここに説明または図示されたものと異なる順序でも実施可能であることを理解すべきである。さらに、「含む」及び「有する」並びにこれらのあらゆる変形は、非排他的包含を含むことを意図しているため、列挙された要素を含むプロセス、方法、システム、物品、機器または装置は、必ずしもこれらの要素に限定されるわけではなく、明示的に列挙されていないか、またはこのようなプロセス、方法、システム、物品、機器もしくは装置に本来備わっている他の要素が含まれていてもよい。
【0009】
本明細書及び特許請求の範囲において、「左」、「右」、「前」、「後」、「上」、「下」、「上部」、「下部」などの用語は、もしあれば、説明のために使用されるものであり、必ずしも永続的な相対位置を説明するためのものではない。そのように使用される用語は、適当な状況下で入れ替え可能であるため、本明細書で説明された装置、方法及び/または製造品の実施形態は、例えば、本明細書に説明または図示されたものと異なる方向でも実施可能であることを理解すべきである。
【0010】
「連結する」「連結される」「連結」「連結している」などの用語は、幅広く解釈されるべきであり、2つ以上の要素を機械的に、または別の方法で結合することを指す。連結は(機械的でも別の方法でも)、例えば、永続的もしくは半永続的、または瞬間のみといった任意の期間にわたってよい。
【0011】
「連結される」などの用語の近くに「着脱可能に」、「着脱可能な」などの用語がない場合でも、当該連結などが着脱可能か否かを意味するものではない。
【0012】
本明細書に定められるように、2つ以上の要素は、これらが同じ材料片で構成されている場合は「一体型」である。本明細書に定められるように、2つ以上の要素は、それぞれが異なる材料片で構成されている場合は「非一体型」である。
【0013】
一例では、ゴルフクラブヘッドは、ヘッド内部及びホーゼル構造体を備えるヘッド本体を備えることができる。ヘッド内部は、ヘッド前部、ヘッド後部、ヘッドヒール部、ヘッドトウ部、ヘッド上部及びヘッドソール部によって境界付けることができる。ホーゼル構造体は、ゴルフクラブシャフトを受け入れるための内径部を有することができ、この構造体では、上記内径部はホーゼル軸を有することができる。ゴルフクラブヘッドは、ヘッド重心、ヘッド重心を通ってヘッドヒール部からヘッドトウ部まで延び、ゴルフクラブヘッドが地面に対してアドレス位置にあるときは地面と平行なヘッド水平軸、ホーゼル軸周りのホーゼル慣性モーメント、及びヘッド水平軸周りの水平慣性モーメントも有することができる。水平慣性モーメントは、ホーゼル慣性モーメントの39%以上とすることができる。
【0014】
一例では、ゴルフクラブヘッドは、ヘッド内部及びホーゼル構造体を備えるヘッド本体を備えることができる。ヘッド内部は、ヘッド前部、ヘッド後部、ヘッドヒール部、ヘッドトウ部、ヘッド上部及びヘッドソール部によって境界付けることができる。ホーゼル構造体は、ゴルフクラブシャフトを受け入れるための内径部を有することができ、この構造体では、上記内径部はホーゼル軸を有することができる。ゴルフクラブヘッドは、ヘッド重心、ヘッド重心を通ってヘッド上部からヘッドソール部まで延びるヘッド垂直軸であって、ゴルフクラブヘッドが地面に対してアドレス位置にあるときは地面に垂直なヘッド垂直軸、ホーゼル軸周りのホーゼル慣性モーメント、及びヘッド垂直軸周りの垂直慣性モーメントも有することができる。水平慣性モーメントは、ホーゼル慣性モーメントの59%以上とすることができる。
【0015】
一実施態様では、ゴルフクラブヘッドの提供方法は、ヘッド内部及びホーゼル構造体を備えるヘッド本体を提供することを備えることができる。ヘッド内部は、ヘッド前部、ヘッド後部、ヘッドヒール部、ヘッドトウ部、ヘッド上部及びヘッドソール部によって境界付けることができる。ホーゼル構造体は、ゴルフクラブシャフトを受け入れるための内径部を有することができ、この構造体では、上記内径部はホーゼル軸を有することができる。この方法は、ゴルフクラブのシャフトをホーゼル構造体に連結することも備えることができる。ヘッド水平軸は、ゴルフクラブヘッドのヘッド重心を通ってヘッドヒール部からヘッドトウ部まで延びると共に、ゴルフクラブヘッドが地面に対してアドレス位置にあるときは地面と平行になることができる。ヘッド垂直軸は、ヘッド重心を通ってヘッド上部からヘッドソール部まで延びると共に、ゴルフクラブヘッドが地面に対してアドレス位置にあるときは地面に垂直となることができる。加えて、ヘッド本体を提供することは、(a)ヘッド水平軸周りの水平慣性モーメントがホーゼル軸周りのホーゼル慣性モーメントの39%以上になるように設定すること、または(b)ヘッド垂直軸周りの垂直慣性モーメントがホーゼル軸周りのホーゼル慣性モーメントの59%以上になるように設定することの少なくとも一方を備えることができる。
【0016】
一例では、ゴルフクラブヘッドは、ヘッド前部、ヘッド後部、ヘッドヒール部、ヘッドトウ部、ヘッドソール部、ヘッド上部及びホーゼル構造体を備えるヘッド本体を備えることができる。上記ホーゼル構造体は、ゴルフクラブのシャフトを受け入れるための内径部を有し、この構造体では、上記内径部はホーゼル軸を有することができる。ゴルフクラブヘッドは、ヘッド前部にあり、打撃フェース中心点を有する打撃フェース、立方センチメートル(cubic centimeter:cc)で測定されたヘッド容量であって、その大きさが420よりも大きいヘッド容量、ヘッド重心及び最適化特性も備えることができる。ゴルフクラブヘッドが地面に対してアドレス位置にあるとき、ヘッド垂直軸は、ヘッド重心を通って延びると共に地面に垂直であり、ヘッド水平軸は、ヘッド重心を通って延びると共にヘッド垂直軸に直交している。ゴルフクラブヘッドのロフト面は、打撃フェース中心点に接することができる。ゴルフクラブヘッドの前面は、打撃フェース中心点を通ってホーゼル軸と平行に延びることができる。ヘッド奥行き面は、打撃フェース中心点を通ってヘッド水平軸と平行かつロフト面に垂直に延びることができる。重心(Center of Gravity:CG)高さの軸は、ヘッド重心を通って延びると共に、第1交点でヘッド奥行き面に垂直に交差することができる。ヘッド重心のヘッドCG高さは、CG高さの軸に沿って、ヘッド重心と第1交点の間で測定することができる。ヘッド重心のヘッドCG深さは、(a)前面と地面の交差部に位置する第2交点と、(b)ヘッド垂直軸と地面の交差部に位置する第3交点の間で、地面と平行かつ前面に垂直に測定することができる。最適化特性は、(a)ヘッド容量の大きさを、(b)ヘッドCG深さをヘッドのCG高さの絶対値で割った比に加えることによって定めることができる。この最適化特性は、425以上とすることができる。
【0017】
一例では、ゴルフクラブヘッドは、ヘッド前部、ヘッド後部、ヘッドヒール部、ヘッドトウ部、ヘッドソール部、ヘッド上部及びホーゼル構造体を備えるヘッド本体を備えることができる。上記ホーゼル構造体は、ゴルフクラブのシャフトを受け入れるための内径部を有し、この構造体では、上記内径部はホーゼル軸を有することができる。ゴルフクラブヘッドは、ヘッド前部にあり、打撃フェース中心点を有する打撃フェース、及びヘッド重心も備えることができる。ゴルフクラブヘッドが地面に対してアドレス位置にあるとき、ヘッド垂直軸は、ヘッド重心を通って延びると共に地面に垂直であり、ヘッド水平軸は、ヘッド重心を通って延びると共にヘッド垂直軸に直交している。ゴルフクラブヘッドのロフト面は、打撃フェース中心点に接することができる。ゴルフクラブヘッドの前面は、打撃フェース中心点を通ってホーゼル軸と平行に延びることができる。ゴルフクラブヘッドの上面は、打撃フェース中心点を通って地面に平行に延びることができる。ヘッド奥行き面は、打撃フェース中心点を通ってヘッド水平軸と平行かつロフト面に垂直に延びることができる。CG高さの軸は、ヘッド重心を通って延びることができ、第1交点でヘッド奥行き面に垂直に交差することができる。ヘッド重心のヘッドCG高さは、CG高さの軸に沿って、ヘッド重心と第1交点の間で測定することができる。ヘッド重心のヘッドCG深さは、(a)前面と地面の交差部に位置する第2交点と、(b)ヘッド垂直軸と地面の交差部に位置する第3交点の間で、地面と平行かつ前面に垂直に測定することができる。ヘッドCG上部境界は、ヘッド垂直軸に沿って、ヘッド重心と、ヘッド垂直軸と上面の交差点に位置する第4交点の間で測定することができる。ヘッドCG高さの絶対値は、2.54mm以下とすることができる。ヘッドCG深さは、40.64mm以上とすることができる。他の実施形態では、ヘッドCG深さは、約41mmよりも大きく、かつ約102mm未満することができる。さらなる実施形態では、ヘッドCG深さは、約42mm、約43mm、約44mm、約45mm、約46mm、約47mm、約48mm、約49mm、約50mm、約55mm、約60mm、約65mm、または約70mmよりも大きくすることができる。ヘッドCG上部境界は、約0mm~約30mmとすることができる。他の実施形態では、ヘッドCG上部境界は、約8mm、約9mm、約10mm、約11mm、約12mm、約13mm、約14mm、約15mm、約20mm、または約25mm未満とすることができる。
【0018】
一実施態様では、ゴルフクラブヘッドの提供方法は、ヘッド前部、ヘッド後部、ヘッドヒール部、ヘッドトウ部、ヘッドソール部、ヘッド上部及びホーゼル構造体を備えるヘッド本体を提供することを含むことができる。上記ホーゼル構造体は、ゴルフクラブのシャフトを受け入れるための内径部を有し、この内径部はホーゼル軸を有する。上記方法は、打撃フェースをヘッド前部に連結すること、及びゴルフクラブヘッドの最適化特性を設定することも含むことができる。打撃フェースは、打撃フェース中心点を有する。ゴルフクラブヘッドのヘッド容量は、立方センチメートル(cc)で測定することができ、その大きさを420よりも大きくすることができる。ゴルフクラブヘッドが地面に対してアドレス位置にあるとき、ヘッド垂直軸は、ヘッド重心を通って延びると共に地面に垂直となることができる。ヘッド水平軸は、ヘッド重心を通って延びると共にヘッド垂直軸に直交することができる。ゴルフクラブヘッドのロフト面は、打撃フェース中心点に接することができる。ゴルフクラブヘッドの前面は、打撃フェース中心点を通ってホーゼル軸と平行に延びることができる。ヘッド奥行き面は、打撃フェース中心点を通ってヘッド水平軸と平行かつロフト面に垂直に延びることができる。CG高さの軸は、ヘッド重心を通って延びることができ、第1交点でヘッド奥行き面に垂直に交差することができる。ヘッド重心のヘッドCG高さは、CG高さの軸に沿って、ヘッド重心と第1交点の間で測定することができる。ヘッド重心のヘッドCG深さは、(a)前面と地面の交差部に位置する第2交点と、(b)ヘッド垂直軸と地面の交差部に位置する第3交点の間で、地面と平行かつ前面に垂直に測定することができる。最適化特性は、(a)ヘッド容量の大きさを、(b)ヘッドCG深さをヘッドのCG高さの絶対値で割った比に加えることによって設定することができ、ここでは上記最適化特性を425以上とすることができる。
【0019】
一例では、ゴルフクラブヘッドは、ヘッド本体、フェース部及びヘッド重心、並びに第1の性能特性または第2の性能特性のうちの少なくとも1つを備えることができる。ヘッド本体は、ヘッド前部、ヘッド後部、ヘッドヒール部、ヘッドトウ部、ヘッドソール部、ヘッド上部、及びホーゼル構造体を含むことができる。このホーゼル構造体は、ゴルフクラブのシャフトを受け入れるための内径部を有し、この内径部はホーゼル軸を有する。フェース部は、ヘッド前部に存在することができ、打撃フェース中心点、打撃フェース縁部、及び打撃フェース縁部によって制限されるフェース高さを有することができる。ゴルフクラブヘッドが地面に対してアドレス位置にあるとき、ヘッド垂直軸は、ヘッド重心を通って延びると共に地面に垂直であり、ヘッド水平軸は、ヘッド重心を通って延びると共にヘッド垂直軸に直交している。ゴルフクラブヘッドのロフト面は、打撃フェース中心点に接することができる。ゴルフクラブヘッドの前面は、打撃フェース中心点を通ってホーゼル軸と平行に延びることができる。ヘッド奥行き面は、打撃フェース中心点を通ってヘッド水平軸と平行かつロフト面に垂直に延びることができる。CG高さの軸は、ヘッド重心を通って延びることができ、第1交点でヘッド奥行き面に垂直に交差することができる。ヘッド重心のヘッドCG高さは、CG高さの軸に沿って、ヘッド重心と第1交点の間で測定することができる。ヘッド重心のヘッドCG深さは、(a)前面と地面の交差部に位置する第2交点と、(b)ヘッド垂直軸と地面の交差部に位置する第3交点の間で、地面と平行かつ前面に垂直に測定することができる。フェース高さは、ロフト面と平行に測定して、約33mm~約71mmとすることができる。第1の性能特性は、約5.08mm以下のヘッドCG高さを有することができる。第2の性能特性は、(a)76.2mmからフェース高さを引き、(b)ヘッドCG深さで割ることによって定められるCG性能比を0.56以下で有することができる。
【0020】
一例では、ゴルフクラブヘッドは、ヘッド本体、フェース部及びヘッド重心を備えることができる。ヘッド本体は、ヘッド前部、ヘッド後部、ヘッドヒール部、ヘッドトウ部、ヘッドソール部、ヘッド上部、及びホーゼル構造体を含むことができる。このホーゼル構造体は、ゴルフクラブのシャフトを受け入れるための内径部を有し、この内径部はホーゼル軸を有する。ホーゼル構造体は、ホーゼル直径を備えることができる。フェース部は、ヘッド前部に連結することができ、打撃フェース中心点、打撃フェース縁部及びフェース高さを有する打撃フェースを備えることができる。ゴルフクラブヘッドが地面に対してアドレス位置にあるとき、ヘッド垂直軸は、ヘッド重心を通って延びると共に地面に垂直であり、ヘッド水平軸は、ヘッド重心を通って延びると共にヘッド垂直軸に直交している。ゴルフクラブヘッドのロフト面は、打撃フェース中心点に接することができる。ゴルフクラブヘッドの前面は、打撃フェース中心点を通ってホーゼル軸と平行に延びることができる。ゴルフクラブの上面は、打撃フェース中心点を通って地面と平行に延びることができる。ヘッド奥行き面は、打撃フェース中心点を通ってヘッド水平軸と平行かつロフト面に垂直に延びることができる。CG高さの軸は、ヘッド重心を通って延びることができ、第1交点でヘッド奥行き面に垂直に交差することができる。ヘッド重心のヘッドCG高さは、CG高さの軸に沿って、ヘッド重心と第1交点の間で測定することができる。ヘッド重心のヘッドCG深さは、(a)前面と地面の交差部に位置する第2交点と、(b)ヘッド垂直軸と地面の交差部に位置する第3交点の間で、地面と平行かつ前面に垂直に測定することができる。ヘッドCG上部境界は、ヘッド垂直軸に沿って、ヘッド重心と、ヘッド垂直軸と上面の交差部に位置する第4交点の間で測定することができる。フェース高さは、打撃フェース縁部によって定められており、ロフト面と平行に測定して約33mm~約71mmとすることができる。(a)76.2mmからフェース高さを引いたものと(b)ヘッドCG深さのCG性能比は、0.56以下である。ヘッド本体は、ドライバー型本体で構成することができる。ゴルフクラブヘッドのヘッド容量は、約420cc~約470ccとすることができる。ゴルフクラブヘッドのヘッド錘は、約185グラム~約225グラムとすることができる。ヘッドCG高さは、約0mm~約3.18mmとすることができる。ヘッドCG深さは、約25mm~約102mmとすることができる。他の実施形態では、ヘッドCG深さは、約41mmよりも大きく、かつ約102mm未満することができる。さらなる実施形態では、ヘッドCG深さは、約42mm、約43mm、約44mm、約45mm、約46mm、約47mm、約48mm、約49mm、約50mm、約55mm、約60mm、約65mm、または約70mmよりも大きくすることができる。ヘッドCG上部境界は、約0mm~約30mmとすることができる。他の実施形態では、ヘッドCG上部境界は、約8mm、約9mm、約10mm、約11mm、約12mm、約13mm、約14mm、約15mm、約20mm、または約25mm未満とすることができる。ヘッド本体は、ヘッド本体のソール部及び後部の付近に配置された錘構造体を備えることができる。
【0021】
一実施態様では、ゴルフクラブヘッドの提供方法は、ヘッド前部、ヘッド後部、ヘッドヒール部、ヘッドトウ部、ヘッドソール部、ヘッド上部、及びホーゼル構造体を含むヘッド本体を提供することを備えることができる。このホーゼル構造体は、ゴルフクラブのシャフトを受け入れるための内径部を有し、この内径部はホーゼル軸を有する。上記方法は、フェース部をヘッド前部に連結することも備えることができ、このフェース部は、打撃フェース中心点、打撃フェース縁部、及び打撃フェース縁部によって制限されるフェース高さを有する打撃フェースを備える。この方法は、ゴルフクラブヘッドの第1の性能特性またはゴルフクラブヘッドの第2の性能特性の少なくとも一方を設定することをさらに備える。ゴルフクラブヘッドが地面に対してアドレス位置にあるとき、ヘッド垂直軸は、ゴルフクラブヘッドのヘッド重心を通って延びると共に地面に垂直であり、ヘッド水平軸は、ヘッド重心を通って延びると共にヘッド垂直軸に直交している。ゴルフクラブヘッドのロフト面は、打撃フェース中心点に接することができる。ゴルフクラブヘッドの前面は、打撃フェース中心点を通ってホーゼル軸と平行に延びることができる。ヘッド奥行き面は、打撃フェース中心点を通ってヘッド水平軸と平行かつロフト面に垂直に延びることができる。CG高さの軸は、ヘッド重心を通って延びることができ、第1交点でヘッド奥行き面に垂直に交差することができる。ヘッド重心のヘッドCG高さは、CG高さの軸に沿って、ヘッド重心と第1交点の間で測定することができる。ヘッド重心のヘッドCG深さは、(a)前面と地面の交差部に位置する第2交点と、(b)ヘッド垂直軸と地面の交差部に位置する第3交点の間で、地面と平行かつ前面に垂直に測定することができる。フェース高さは、ロフト面と平行に測定して、約33mm~約71mmとすることができる。第1の性能特性は、約5.08mm以下のヘッドCG高さを有することができる。第2の性能特性は、(a)76.2mmからフェース高さを引き、(b)ヘッドCG深さで割ることによって定められるCG性能比を0.56以下で有することができる。
【0022】
その他の例及び実施形態も、本明細書でさらに開示される。こうした例及び実施形態は、図面、特許請求の範囲及び/または本説明に見られ得る。
【0023】
図面に目を向けると、図1は、ゴルフクラブヘッド1000の正面図を示しており、このゴルフクラブヘッドは、ヘッド本体1100及びフェース部1200を備える。フェース部1200は、打撃フェース1210を含む。図2は、図1の線II-IIに沿ったゴルフクラブヘッド1000の側断面図を示している。図3は、ゴルフクラブヘッド1000のゴルフクラブヘッド1000の下面図を示している。図1~3は、地面1010に対してアドレス位置にあるゴルフクラブヘッド1000を表している。これらの図において、ゴルフクラブヘッド1000の正面図(図1)に関しては、ホーゼル軸1710は、地面1010との角度が60度であり、ゴルフクラブヘッド1000の側面図(図2)に関しては、ホーゼル軸1710は、地面1010と実質的に垂直である。
【0024】
本実施形態では、ヘッド本体1100及びフェース部1200は、例えば、溶接法によって接合された異なる材料片で構成されている。しかしながら、他の例では、フェース部1200は、ヘッド前部1110、ヘッド上部1120、ヘッドソール部1130、ヘッドヒール部1140、ヘッドトウ部1150及び/またはヘッド後部2160などのヘッド本体1100の1つ以上の各部と共に単一の材料片で構成されてよい。ゴルフクラブヘッド1000のヘッド前方面1160は、打撃フェース1210、フェース部1200及びヘッド前部1110の少なくとも一部を含む。一部の実施形態では、ヘッド前方面1160は、ヘッドソール部1130の少なくとも一部も含むことができる。同一または異なる実施形態では、ヘッド前部1110は、打撃フェース1210及び/またはフェース部1200を含むことができる。
【0025】
フェース部1200は、打撃フェース中心点1211、打撃フェース縁部1212及びフェース高さ1213を有する打撃フェース1210を含む。打撃フェース中心点1211は、本例の打撃フェース縁部1212の幾何学中心に配置され、かつフェース高さ1213の中点に配置されている。同一または他の例では、打撃フェース中心点1211は、設計されたインパクト領域1250に対して中心に配置することができるが、このインパクト領域は、打撃フェース1210の溝1259の範囲によって画定することができる。別のアプローチとして、打撃フェース中心点1211は、全米ゴルフ協会(United States Golf Association:USGA)などのゴルフ管理団体の規定に従って配置することができる。例えば、打撃フェース中心点1211は、USGAによるゴルフクラブヘッドの可撓性を測定するための手順(「Flexibility Procedure」)(USGA-TPX3004, Rev. 1.0.0, 2008年5月1日)(http://www.usga.org/equipment/testing/protocols/Procedure-For-Measuring-The-Flexibility-Of-A-Golf-Club-Head/で入手可能)のセクション6.1に従って決めることができる。
【0026】
ゴルフクラブヘッド1000は、ロフト面2270(図2)を備えており、この面は、打撃フェース1210の打撃フェース中心点1211に少なくとも接している。フェース高さ1213は、打撃フェース縁部1212の打撃フェース上端1215と打撃フェース下端1216の間でロフト面2270と平行に測定することができ、本例または他の例では約33ミリメートル(mm)~約71mmとすることができる。
【0027】
打撃フェース縁部1212は、フェース高さ1213を画定する打撃フェース上端1215及び打撃フェース下端1216を含むが、フェース部1200の全体を境界付ける必要はない。例えば、図1から理解できるように、打撃フェース1210は、打撃フェース縁部1212によって境界付けられるが、フェース部1200の一部にすぎない。一部の例では、打撃フェース1210は、ロール半径及び/またはバルジ半径を有することができる。打撃フェース縁部1212は、フェース部1200の輪郭が打撃フェース1210のロール半径及び/またはバルジ半径から離れる箇所である遷移境界に沿って画定することができる。例えば、図2は、ゴルフクラブヘッド1000の上部遷移境界の一部を拡大表示したものを含んでおり、打撃フェース1210に沿って延びる垂直ロール半径2170を強調すると共に、ヘッド前方面1160が垂直ロール半径2170から離れる箇所である上部遷移境界において、打撃フェース上端1215がどのように位置しているかを示している。図2は、ゴルフクラブヘッド1000の下部遷移境界の一部を拡大表示したものも含んでおり、打撃フェース1210に沿って垂直に延びる垂直ロール半径2170を強調すると共に、ヘッド前方面1160が垂直ロール半径2170から離れる箇所である下部遷移境界において、打撃フェース下端1216がどのように位置しているかを示している。
【0028】
同一または他の実施形態では、打撃フェース縁部1212は、打撃フェースを含む打撃板の端部に対して画定することができる。例えば、フェース部1200は打撃板1220を含んでおり、この場合、打撃フェース1210は、打撃板1220の外観面を形成し、打撃板1220は、打撃板端部1221に沿ってヘッド前部1110に接合されている。本例では、打撃板端部1221は、打撃フェース縁部1212の少なくとも一部を画定する。このように画定される部分には、打撃フェース縁部1212の上部及び下部が含まれており、これらの各部には打撃フェース上端1215及び打撃フェース下端1216がそれぞれ位置して、フェース高さ1213を画定する。上記以外にも他の例が可能であり、その場合には、打撃板の打撃板端部が、打撃フェースの打撃フェース縁部の大部分または全てを画定することができる。
【0029】
図2に示すように、ゴルフクラブヘッド1000は、ヘッド重心(CG)2500、ヘッド奥行き面2310及びCG高さの軸2320も備える。図中、ヘッド奥行き面2310は、打撃フェース中心点1211を通って延びると共にロフト面2270に直交しており、CG高さの軸2320は、ヘッド重心2500を通って延びると共に交点2801でヘッド奥行き面2310に垂直に交差している。ゴルフクラブヘッド1000はまた、打撃フェース中心点1211を通って地面1010と平行に延びる上面2330を備える。
【0030】
ヘッド重心2500は、CG高さ2520及びCG深さ2510を備えるが、これらにより、ゴルフクラブヘッド1000に対してヘッド重心2500が位置付けられる。本例では、CG高さ2520は、CG高さの軸2320に沿ってヘッド重心2500と交点2801の間で測定することができる。CG深さ2510は、図2から理解できるように、地面1010と平行に、かつ交点2802と交点2803の間で測定することができる。本例では、交点2802は、地面1010と前面2280の交差部によって定められるが、ここで、前面2280は、打撃フェース中心点1211を通って延びると共にホーゼル軸1710と平行であり、さらに、ゴルフクラブヘッド1000がアドレス位置にあるときは地面1010に垂直である。加えて、交点2803は、地面1010とヘッド垂直軸1610の交差部によって定められるが、ここで、ヘッド垂直軸1610は、ヘッド重心2500を通って延びると共に、ゴルフクラブヘッド1000がアドレス位置にあるときは地面1010に垂直である。ヘッド重心2500は、地面1010に対して位置付けることも可能であり、この場合、ヘッド重心2500のヘッドCG垂直距離2530は、ヘッド垂直軸1610に沿って錘中心2750と地面1010の間で測定することができる。ヘッド重心2500はまた、ヘッドCG上部境界2540に対して位置づけられるが、ここで、ヘッド垂直軸1610に沿って、ヘッド重心2500と、ヘッド垂直軸1610と上面2330との交差部に位置づけられる第4の交点2805との間で測定することができる。ヘッドCG上部境界2540は、上面2330より上に測定されるとき、正の値であり、上面2330よりも下に測定されるとき、負の値であってもよい。
【0031】
ゴルフクラブヘッド1000のヘッド本体1100は、ホーゼル構造体1217(図1)、及びホーゼル構造体の内径部1217の中心に沿って延びるホーゼル軸1710も備える。本例では、ゴルフクラブヘッド1000のホーゼル連結機構は、ホーゼル構造体1217及びシャフトスリーブ1411を備えており、この機構では、ゴルフシャフト1410の端部にシャフトスリーブ1411を連結することができる。シャフトスリーブ1411は、複数の構成でホーゼル構造体1217と連結することができる。それにより、ホーゼル軸1710に対して複数の角度で、ゴルフシャフト1410をホーゼル構造体1217に固定することが可能となる。ただし、他の例も可能であり、その場合、シャフト1410は、ホーゼル構造体1217に調整不可能に固定することができる。
【0032】
本開示に係るゴルフクラブヘッドは、その性能を最適化し、またはバランスさせる1つ以上の最適化特性を呈するように構成することができる。例えば、本設計によって最適化を求めるゴルフクラブヘッドのある特性は、フェース高さ及び/またはフェースサイズの特性である。ゴルフクラブヘッドのフェース高さ及び/またはフェースサイズを最大化すると、いくつかの利点を得ることができる。こうした利点としては、打撃フェースにおける対象物とのインパクト領域が拡大されて、より許容性のあるクラブヘッドが得られることなどがあり、このようなクラブヘッドを用いると、打撃フェース中心点から外れて打撃されたゴルフショットに対しても良好な結果が得られる。加えて、打撃フェースの高さをより高くし、かつ/またはそのサイズをより大きくすると、ゴルフボールとのインパクト時に、ゴルフボールにエネルギーをより適切に移動させることができる。従って、ゴルフクラブヘッドの特性時間または「スプリング効果」が増して、より長い距離のゴルフショットが実現し得る。一部の例では、ゴルフ管理団体によって決められた特性時間の制限値(USGAによって団体自体の「Flexibility Procedure」で決められた特性時間の制限値239マイクロ秒(μs)など)を達成するために、打撃フェースの高さまたはサイズを増加させてよい。
【0033】
ただし、フェース高さ及び/またはフェースサイズを見境なく増加させると、他の領域の性能(打撃フェースとのインパクト時のゴルフボールの打ち出し角、ボールスピン及び/またはボールスピードに関してなど)に悪影響を及ぼす可能性がある。例えば、フェース高さ及び/またはフェースサイズを増加させると、重心が前方に移動するためにゴルフクラブヘッドの重心と打撃フェース中心点の間のCG深さが浅くなる可能性がある。それにより、ゴルフクラブヘッドのダイナミックロフトが減少するため、ゴルフボールの打ち出し角が低下する。別の例では、フェース高さ及び/またはフェースサイズを増加させると、重心とヘッド奥行き面の間のCG高さが上昇してゴルフクラブヘッドのソールから離れるように重心が持ち上がる可能性がある。それにより、打撃フェースとゴルフボールの間のギア効果が抑制されるため、そのゴルフクラブヘッドではインパクト時に生じるゴルフボールのバックスピン量が減少しにくくなり、従って、このバックスピンの影響を受けてボールの飛ぶ距離が短くなる。
【0034】
上記を考慮すると、ゴルフクラブヘッドのフェース高さまたはフェースサイズは、重心位置に対してバランスを取る必要がある。ゴルフクラブヘッド1000に関しては、打撃フェース1210を拡大して、フェースサイズ及び/またはフェース高さ1213を増加させたことにより、インパクト領域をより大きくし、かつゴルフボール2900にエネルギーをより多く移動させるようにしている。特に、ゴルフクラブヘッド1000は、インパクト領域をより大きくし、かつゴルフボール2900とのインパクト時にエネルギーをより多く移動させるために、フェース高さ1213を約33mm~約71mmとすることができるように構成可能である。一部の例では、打撃フェース1210の面積(増加させたフェース面積を含む)は、約23.6平方センチメートル(cm)~約45.2cmとすることができる。
【0035】
上記のようにフェースサイズ及び/またはフェース高さ1213を増加させたにもかかわらず、ゴルフクラブヘッド1000は、依然として、CG高さ2520がヘッド上部1120に向かって上昇し、かつ/またはヘッド奥行き面2310から離れすぎるのを制限している。例えば、ゴルフクラブヘッド1000は、以下の関係1を満たす第1の最適化特性を備える。
|CG高さ2520|≦5.08mm [関係1]
CG高さ2520を約0mmから関係1の制限値5.08mmまでとすることができる例も可能である。他の例では、CG高さ2520は、最大で約4.45mm、3.81mmまたは3.18mmまでとすることもできる。一部の実施態様では、第1の最適化特性は、良好な性能を得るために、打撃フェース1210とゴルフボール2900の間のギア効果を介してゴルフボール2900のバックスピンを減少させることができる。図2では、ヘッド重心2500は、奥行き面2310の下にあり、CG高さ2520が奥行き面2310とヘッドソール部1130の間で延びるように示されている。しかしながら、上記の関係1を依然として満たしつつ、CG高さ2520が奥行き面2310とヘッド上部1120の間に延びるように、ヘッド重心2500が上記の奥行き面2310の上に存在することができる実施形態も可能である。一部の実施形態では、ヘッドCG上部境界2540は、約0mm~約30mmとすることができる。他の実施形態では、ヘッドCG上部境界2540は、約8mm、約9mm、約10mm、約11mm、約12mm、約13mm、約14mm、約15mm、約20mm、または約25mm未満とすることができる。
【0036】
加えて、さらに上述のようにフェースサイズ及び/またはフェース高さ1213を増加させることを考慮して、ゴルフクラブヘッド1000は、重心2500が打撃フェース1212に向かって移動するのを依然として制限し、それによってCG深さ2510が過度に浅くならないようにしている。例えば、ゴルフクラブヘッド1000は、以下の関係2を満たす第2の最適化特性を備える。
【0037】
【数1】
【0038】
そのため、フェース高さ1213とCG深さ2510の関係は、関係2に従って、第2の最適化特性が0.56以下を維持するようにバランスが取られており、それによってCG深さ2510が打撃フェース1210に向かって浅くなり得る量を制限している。CG深さ2510を約25mm~約102mmとすることができる例も可能である。同一または他の例では、CG深さ2510は、少なくとも約39mmとすることができる。同一または他の例では、CG深さ2510は、約41mmよりも大きく、かつ約102mm未満することができる。さらなる実施形態では、CG深2510さは、約42mm、約43mm、約44mm、約45mm、約46mm、約47mm、約48mm、約49mm、約50mm、約55mm、約60mm、約65mm、または約70mmよりも大きくすることができる。一部の実施態様では、第2の最適化特性により、インパクト時のゴルフクラブヘッド1000のダイナミックロフトまたはゴルフボール2900の打ち出し角の少なくとも一方を向上または最適化させることができる。
【0039】
一部の例では、ゴルフクラブヘッド1000は、上述した第1または第2の最適化特性の一方のみを備えるように構成されてよい。例えば、ゴルフクラブヘッド1000は、第1の最適化特性を備えるが、第2の最適化特性を備えないようにしてよく、従って、関係2を満たさずに関係1を満たしている。別の例として、ゴルフクラブヘッド1000は、第2の最適化特性を備えるが、第1の最適化特性を備えないようにしてよく、従って、関係1を満たさずに関係2を満たしている。加えて、ゴルフクラブヘッド1000が関係1及び関係2の両方を満たし、従って、第1及び第2の最適化特性を備える実施形態も可能である。
【0040】
ゴルフクラブヘッド1000は、そのヘッド容量(head volume:HV)2600に関する第3の最適化特性を備えることもできる。本例では、ゴルフクラブヘッド1000のヘッド本体1000は、420立方センチメートル(cc)以上のヘッド容量を有するドライバー型本体で構成されているため、ヘッド容量の大きさは420以上である。例えば、ヘッド本体1000は、420ccのヘッド容量を有することができるため、ヘッド容量の大きさは420である。別の例として、ゴルフクラブヘッド1000は、460ccのヘッド容量を有することができるため、ヘッド容量の大きさは460である。ゴルフクラブヘッド1000は、一部の実施態様では、約470ccまでのヘッド容量を有することができ、かつ/または約185グラム~約225グラムの全ヘッド錘を有することができる。一部の具体的な例では、全ヘッド錘を約202グラムとすることができ、かつ/または、ヘッド容量を約460ccとすることができる。
【0041】
第3の最適化特性は、ヘッド容量2600と重心2500の位置の関係を制御することが可能であり、以下の関係3を満たすように定めることができる。
【0042】
【数2】
【0043】
一部の事例では、ヘッド容量2600を増加させて、例えば、ゴルフクラブヘッド1000の慣性モーメント(moment of inertia:MOI)を調整することができる。ただし、ヘッド容量を無制限に増加させると、ゴルフクラブヘッドの他の特性に関して好ましくない影響が生じる可能性がある。例えば、ヘッド容量2600を増加させると、ヘッド前部1110に向かって、ヘッド上部1120に向かって、他の望ましくない方向に向かって、かつ/または所望の重心位置もしくは1つ以上の方向から離れるように、ヘッド重心2500を移動させる可能性があり、それによってゴルフクラブヘッド1000の性能が阻害される。こうした望ましくない重心位置の変化により、ゴルフクラブヘッドの1つ以上の特性(打ち出し速度、打ち出し角、ギア効果、バックスピン及び/またはショット距離など)に悪影響を与える可能性がある。そのため、ヘッド容量2600とヘッド重心2500の位置との関係をバランスさせるのに用いられる第3の最適化特性を設定することにより、ゴルフクラブヘッド1000にとって望ましく、かつバランスの取れた属性が得られる。例えば、ゴルフクラブヘッド1000の錘分布は、ゴルフクラブヘッド1000が第3の最適化特性を発揮できるようにするため、関係3を満たすように構成することが可能であり、それによってヘッド容量2600を増加させて、慣性モーメントをより大きくし、かつ打撃フェース1210とゴルフボール2900のゴルフインパクト時にゴルフボール2900により多くのエネルギーを移動させることができる。同一または他の実施態様では、ゴルフクラブヘッド1000の錘分布により、ヘッド容量2600を増加させたためにCG深さ2510がヘッド前部1110に向かって浅くなるのを制限するように構成することが可能であり、従って、ゴルフインパクト時に打撃フェース1210のダイナミックロフトまたはゴルフボール2900の打ち出し角の少なくとも一方が向上する。加えて、ゴルフクラブヘッド1000の錘分布は、ヘッド容量2600を増加させた結果としてCG高さ2520がヘッド上部1120に向かって上昇するのを制限するように構成することが可能であり、それにより、ゴルフインパクト時に打撃フェース1210とゴルフボール2900の間のギア効果によってゴルフボール2900のバックスピンを減少させる。
【0044】
上記を考慮して、関係3に従って第3の最適化特性を達成するために、CG深さ2510は、40.64mm以上となるように構成することができる。他の実施形態では、CG深さ2510は、約41mmよりも大きく、かつ約102mm未満することができる。さらなる実施形態では、CG深さ2510は、約42mm、約43mm、約44mm、約45mm、約46mm、約47mm、約48mm、約49mm、約50mm、約55mm、約60mm、約65mm、または約70mmよりも大きくすることができる。同一または他の実施形態では、CG高さの絶対値は、2.54mm以下とすることができる。一部の実施形態では、ヘッド重心2500はヘッド奥行き面2310よりも上または下とすることができることを考慮して、CG高さ2520は絶対値として特徴付けられることを記載する。ヘッドCG上部境界2540は、約0mm~約30mmとすることができる。他の実施形態では、ヘッドCG上部境界2540は、約8mm、約9mm、約10mm、約11mm、約12mm、約13mm、約14mm、約15mm、約20mm、または約25mm以下とすることができる。第3の最適化特性は、少なくとも425の下限値を有するが、第3の最適化特性が他の下限値に対して定められることができる他の実施形態とすることができる。例えば、一部の実施形態では、第3の最適化特性は、少なくとも435または445の下限値を備えることができる。他の例では、第3の最適化特性は、少なくとも460、少なくとも470、少なくとも480、少なくとも490、または少なくとも500の下限値を備えることができる。ヘッド重心2500の位置は、関係3を満たすために、かつ/または第3の最適化特性を達成するために、ゴルフクラブヘッド1000の他の特徴に関して設計または設定することもできる。例えば、ヘッド重心2500の位置は、CG深さ2510がヘッド奥行き長2312の約25%~約80%を有するように構成することができる。なお、上記においてヘッド奥行き長2312は、打撃フェース中心点1211からヘッド後部2160の外面と奥行き面2310の交点までの寸法となる。別の例として、ヘッド重心2500の位置は、CG高さ2520がCG高さの軸長2322の約0%~約13%を有するように構成することができる。なお、上記においてCG高さの軸長2322は、ヘッド上部1120の外面とCG高さの軸2320の交点から、ヘッドソール部1130の外面とCG高さの軸2320の交点までの寸法となる。
【0045】
上記に説明されたヘッドCG深さ2510及びヘッドCG高さ2520は、ドライバー型クラブヘッドに関係する。クラブヘッドがフェアウェイウッド型クラブヘッドである実施形態では、ヘッドCG深さ2510は、35mm以上となるように構成することができる。フェアウェイウッド型クラブヘッドの他の実施形態では、CG深さ2510は、約35mmより大きく、かつ約90mm未満とすることができる。フェアウェイウッド型クラブヘッドのさらなる実施形態では、CG深さ2510は、約34.5mm、35mm、36mm、37mm、38mm、39mm、40mm、41mm、42mm、43mm、44mm、45mm、または46mmより大きくすることができる。さらに、クラブヘッドがフェアウェイウッド型クラブヘッドである実施形態では、ヘッドCG高さ2520またはその絶対値は、12.8mm以下となるように構成することができる。フェアウェイウッド型クラブヘッドの他の実施形態では、CG高さ2520、またはその絶対値は、約13.0mm、12.8mm、12.6mm、12.4mm、12.2mm、12.0mm、11.8mm、11.6mm、11.4mm、11.2mm、または11.0mm未満とすることができる。これらの実施形態では、フェアウェイウッド型クラブヘッドの容量は、300ccから400ccの間とすることができ、フェアウェイウッド型クラブヘッドの質量は、190グラムから240グラムの間とすることができる。
【0046】
ゴルフクラブヘッド1000はまた、ホーゼル構造体1217のホーゼル直径を含むこともできる。ホーゼル直径は、最小限に維持することができ、及び/または対応する標準のゴルフクラブヘッドのホーゼル直径から比較的変わらないままとすることができる。一部の例では、ホーゼル直径は、約0.78インチ(20mm)未満とすることができる。例えば、ホーゼル直径は、約0.78インチ未満、かつ約0.50インチより大きくすることができる。この範囲内のホーゼル直径は、ゴルフクラブヘッド1000に性能の利点を付与することができる。ホーゼル直径がこの範囲内にあるとき、ホーゼルは、より大きい構造的完全性を有することができ、ゴルフクラブのスイング中にホーゼルに係る応力を減少させることができる。この範囲内のホーゼル直径を有することに加えて、ゴルフクラブヘッド1000は、本明細書に説明されるような重心(CG)及び慣性モーメント(MOI)に関連する最適化特性もさらに備えることができる。
【0047】
さらなる例では、ホーゼル直径は、約0.50インチ、0.49インチ、0.48インチ、0.47インチ、0.46インチ、0.45インチ、0.44インチ、0.43インチ、0.42インチ、0.41インチ、または0.40インチ未満とすることができる。0.50インチ未満のホーゼル直径は、ゴルフクラブヘッド1000に追加の性能利点を付与することができる。ホーゼル直径が上記で説明されたように最小限であるとき、ゴルフクラブヘッド1000の空気力学特性を、ホーゼル構造体1217からの空力抵抗が減少した結果、向上させることができる。この範囲内のホーゼル直径を有することに加えて、ゴルフクラブヘッド1000は、本明細書に説明されるような重心(CG)及び慣性モーメント(MOI)に関連する最適化特性もさらに備えることができる。
【0048】
ゴルフクラブヘッド1000は、ホーゼルMOI1711(図1)と水平MOI1811(図1)のバランスに関する第4の最適化特性も備えることができる。ホーゼルMOI1711は、ホーゼル軸1710周りで定められる。水平MOI1811は、ヘッド水平軸1810周りで定められる。この軸は、ヘッド重心2500を通ってヘッドヒール部1140からヘッドトウ部1150まで延びると共に、ゴルフクラブヘッド1000が地面1010に対してアドレス位置にあるときは地面1010と平行である。
【0049】
一部の例では、水平MOI1811を増加させることにより、打撃フェース1210が中心から外れてヘッド上部1120またはヘッドソール部1130に寄ってゴルフボール2600に当たる時に、ヘッド水平軸1810周りのゴルフクラブヘッド1000の回転を制限することができる。それにより、上記のような上または下の打ち損ないに対してゴルフクラブヘッド1000の許容性が向上する。例えば、水平MOI1811を増加させるために、ヘッド前部1110及び/またはヘッド後部2160の付近に錘を追加または再配置してよい。同一または他の例では、ヘッド前部1110及び/またはヘッド後部2160に向かってゴルフクラブヘッド1000を延長することができる。
【0050】
ただし、水平MOI1811を増加させるためのこうした調整または変更は、これらが他のゴルフクラブヘッドの特性に影響を及ぼし始める前に、ある程度まで行うことができる。例えば、水平MOI1811を増加させるために制限なく調整を行うと、適切にバランスが取れていない場合、ホーゼルMOI1711が過度に増加する可能性がある。それにより、ゴルフクラブヘッド1000をホーゼル軸1710周りに回転させるための抵抗が増加するため、ある人にとっては、ゴルフボール2600とのインパクト時にゴルフクラブヘッド1000を適切に位置決めするために(または「スクエアにする」ために)、ゴルフスイング中にゴルフクラブを「回転させる」のが難しくなる。ホーゼルMOI1711を増加させることにより、ゴルフボール2600と打撃フェース1210の間のギア効果を制限または抑制することもできる。さもなければ、このギア効果により、中心から外れたインパクトにおいてゴルフボール2600のスピンが多少矯正されることになる。
【0051】
ホーゼルMOI1711を減少させるために、ホーゼル軸1710と、ゴルフクラブヘッド1000に対する追加的または選択的な任意の質量との間の距離を制限するようにゴルフクラブヘッド1000を設計することができる。ホーゼルMOI1711を減少させるための上記アプローチは、適切にバランスが取れていない場合、水平MOI1811を増加させるための上記アプローチの一部と矛盾する可能性がある。そのため、ゴルフクラブヘッド1000に錘を追加または再分配して水平MOI1811を増加させる際には、ホーゼルMOI1711の増加を維持または制限することに関してバランスを取る必要がある。
【0052】
上記の観点から、ゴルフクラブヘッド1000の第4の最適化特性は、水平MOI1811とホーゼルMOI1711の関係を制御して、以下の関係4を満たすようにする。
(水平MOI1811)≧39%(ホーゼルMOI1711) [関係4]
【0053】
ゴルフクラブヘッド1000に対し、その第4の最適化特性が関係4の要件を上回ることができるように構成できる例が可能である。ある例として、一部の実施態様では、ゴルフクラブヘッド1000の第4の最適化特性は、水平MOI1811が、ホーゼルMOI1711の40%以上、ホーゼルMOI1711の45%以上、またはホーゼルMOI1711の50%以上となるように構成することができる。本例では、水平MOI1811は、約3740グラム平方センチメートル(g・cm)であるが、これを約2800g・cm~約4300g・cmの範囲とすることができる例も可能である。多くの実施形態では、水平MOIは、約2800g・cmよりも大きく、約3000g・cmよりも大きく、約3200g・cmよりも大きく、約3400g・cmよりも大きく、約3600g・cmよりも大きく、約3800g・cmよりも大きく、約4000g・cmよりも大きく、または約4200g・cmよりも大きくすることができる。ホーゼルMOI1711は、本例では約9370g・cmであるが、同一または他の例では約7000g・cm~約11,000g・cmの範囲とすることもできる。多くの実施形態では、ホーゼルMOI1711は、約7000g・cmよりも大きく、約7500g・cmよりも大きく、約8000g・cmよりも大きく、約8500g・cmよりも大きく、約9000g・cmよりも大きく、約9500g・cmよりも大きく、約10,000g・cmよりも大きく、約10,500g・cmよりも大きく、または約11,000g・cmよりも大きくすることができる。
【0054】
ゴルフクラブヘッド1000は、ホーゼルMOI1711と垂直MOI1611(図1)のバランスに関する第5の最適化特性も備えることができる。垂直MOI1611は、ヘッド垂直軸1610周りで定められる。この軸は、ヘッド重心2500を通ってヘッド上部1120からヘッドソール部1130まで延びると共に、ゴルフクラブヘッド1000がアドレス位置にあるときは地面1010に垂直である。垂直MOI1611は、本例では約5300g・cmであるが、同一または他の例では約4700g・cm~約6000g・cmの範囲とすることもできる。多くの実施形態では、垂直MOI1611は、約4700g・cmよりも大きく、約4900g・cmよりも大きく、約5100g・cmよりも大きく、約5300g・cmよりも大きく、約5500g・cmよりも大きく、約5700g・cmよりも大きく、または約5900g・cmよりも大きくすることができる。
【0055】
一部の例では、垂直MOI1611を増加させることにより、打撃フェース1210が中心から外れてヘッドヒール部1140に寄って(またはヘッドトウ部1150に寄って)ゴルフボール2600と当たる時に、ヘッド垂直軸1610周りのゴルフクラブヘッド1000の回転を制限することができる。それにより、上記のようなヒール側またはトウ側の打ち損ないに対してゴルフクラブヘッド1000の許容性が向上する。例えば、垂直MOI1611を増加させるために、ヘッドヒール部1140及び/またはヘッドトウ部1150の付近に錘を追加または再配置することができる。同一または他の例では、ヘッドヒール部1140及び/またはヘッドトウ部1150に向かってゴルフクラブヘッドを延長することができる。
【0056】
ただし、垂直MOI1611を増加させるためのこうした調整または変更は、これらが他のゴルフクラブヘッドの特性に影響を及ぼし始める前に、ある程度まで行うことができる。例えば、垂直MOI1611を増加させるために制限なく調整を行うと、適切にバランスが取れていない場合、ホーゼルMOI1711が過度に増加する可能性があるが、それにより、上記のようにゴルフクラブヘッド1000をホーゼル軸1710周りに回転させるための抵抗が増加する。加えて、ホーゼルMOI1711を減少させるための一部のアプローチは、適切にバランスが取れていない場合、垂直MOI1611を増加させるための上記アプローチの一部と矛盾する可能性がある。そのため、ゴルフクラブヘッド1000に錘を追加または再分配して垂直MOI1611を増加させる際には、ホーゼルMOI1711の増加を維持または制限することに関してバランスを取る必要がある。
【0057】
上記の観点から、ゴルフクラブヘッド1000の第5の最適化特性は、垂直MOI1611とホーゼルMOI1711の関係を制御して、以下の関係5を満たすようにする。
(垂直MOI1611)≧59%(ホーゼルMOI1711) [関係5]
【0058】
ゴルフクラブヘッド1000に対し、その第5の最適化特性が関係5の要件を上回ることができるように構成できる例が可能である。ある例として、一部の実施態様では、ゴルフクラブヘッド1000の第5の最適化特性は、垂直MOI1611が、ホーゼルMOI1711の60%以上、ホーゼルMOI1711の65%以上、またはホーゼルMOI1711の70%以上となるように構成することができる。一部の例では、ゴルフクラブヘッド1000は、その第4の最適化特性が関係4を満たすと共に、その第5の最適化特性も関係5を満たすように構成することができる。
【0059】
(錘構造体)
一部の実施態様では、ゴルフクラブヘッド1000の質量分布、またはゴルフクラブヘッド1000の種々の要素間の関係を調整することにより、上述したヘッドCG深さ、ヘッドCG高さ、第1、第2、第3、第4及び/または第5の最適化特性を発揮するようにゴルフクラブヘッド1000を構成することができる。このような目的のために、図2~3から理解できるように、ゴルフクラブヘッド1000は、ヘッドソール部1130及びヘッド後部2160の付近に配置された錘構造体2700を備えることができる。一部の構成では、関係1、関係2、関係3、関係4及び/または関係5によって課された制約を満たすように、錘構造体2700を設計及び/または配置することが可能であり、それにより、打撃フェース1210のフェース高さもしくはフェースサイズ、ゴルフクラブヘッド1000のヘッド容量2600、重心2500の位置及び/または種々の慣性モーメントのバランスを取る。
【0060】
図3から理解できるように、時計盤3500に対して錘構造体2700を配置することが可能であるが、この時計盤は、打撃フェース1210に関して位置合わせすることができる。例えば、時計盤3500は、12時線3512を含むが、この線は、本実施形態の打撃フェース中心点1211に位置合わせされている。12時線3512は、前部交線3271に直交しているが、この交線は、ロフト面2270(図2~3)と地面1010(図1~2)の交差部によって定められる。時計盤3500は、前部1110の前端と後部2160の後端の間の中点において、12時線3512に沿って中央に配置されている。同一または他の例では、ゴルフクラブヘッド1000の幾何学中心に近接するように時計盤中心点3515を位置決めすることができる。時計盤3500は、ヘッドヒール部1140に向かって延びる3時線3503及びヘッドトウ部1150に向かって延びる9時線3509も含む。
【0061】
錘構造体2700の錘縁部2705は、本実施形態では、時計盤3500の4時線3504と8時線3508の間に少なくとも部分的に制限されてヘッド後部2160付近に配置されており、それと共に5時線3505と7時線3507の間に錘中心2750が配置されている。本時計盤などの例では、錘縁部2705は、4時線3504と8時線3508の間に完全に制限されている。本例では、錘縁部2705は、ゴルフクラブヘッド1000の外面で定められているが、他の例も可能であり、その場合、錘縁部は、ゴルフクラブヘッド1000の内側に延びてよい(または、ゴルフクラブヘッド1000内部で定められてよい)。一部の例では、より広い領域について錘2700の位置を設定することができる。例えば、上記例では、錘構造体2700の錘縁部2705は、時計盤3500の4時線3504と9時線3509の間に少なくとも部分的に制限されてヘッド後部2160付近に配置することが可能であり、それと共に5時線3505と8時線3508の間に錘中心2750を配置することができる。
【0062】
同一または他の実施形態では、ヒール部1140に向かって錘構造体2700を延長または移動させることかできる。例えば、9時線3509に向かってではなく4時線3504に向かって、錘縁部2705及び/または錘中心2750を移動させることができる。錘構造体2700をヘッドヒール部1140付近に偏らせると、ホーゼル軸1710と錘構造体2700の間の距離が制限されることにより、ホーゼル軸1710周りのホーゼルMOI1711を減少させることができる。それにより、スイング中にゴルフクラブヘッド1000をホーゼル軸1710周りにより回転しやすくすることができる。
【0063】
一部の例では、錘構造体2700は、約2グラム~約50グラムの質量及び/または約1cc~約30ccの体積を有することができる。本例では、錘構造体2700は、ヘッドソール部1130の外部輪郭から突出しているため、少なくとも部分的には外部にあり、それによってヘッド重心2500をより大きく調整することができる。
【0064】
錘構造体2700は、同一または他の例では、着脱式錘2790を備えることができる。この場合、着脱式錘2790は、約0.5グラム~約30グラムの質量を有することができ、関係1、関係2、関係3、関係4及び/または関係5を満たすのに必要であれば、この錘を1つ以上の他の類似の錘と置き換えることにより、ヘッド重心2500の位置を調整することができる。同一または他の例では、錘中心2750は、錘構造体2700の重心、着脱式錘2790の重心、錘構造体2700の幾何学中心及び/または着脱式錘2790の幾何学中心のうちの少なくとも1つを有する。
【0065】
錘中心2750は、地面1010及び錘中心垂直距離の軸2340に対して配置することができ、この軸は、錘中心2750と地面1010の間に延びている。錘中心垂直距離の軸2340は、ゴルフクラブヘッド1000が地面に対してアドレス位置にあるときは地面1010に垂直である。従って、錘中心2750の錘中心垂直距離2730は、錘中心垂直距離の軸2340に沿って錘中心2750と地面1010の間で測定することができる。加えて、錘中心2750の錘中心深さ2710は、交点2802と交点2804の間で地面1010と平行に測定することができる。本例では、交点2804は、ゴルフクラブヘッド1000がアドレス位置にあるときに、地面1010と錘中心垂直距離の軸2340の間の交差部によって定められる。同一または他の実施形態では、ヘッド重心2500を錘中心2750から隔てる錘距離2751(図2)が約25mm~約102mmとなることができるように、錘中心2750を配置することができる。
【0066】
フェース部1200の厚みを薄化させることができる実施形態も可能であるが、必要に応じて、1つ以上の補強構造体を用いて打撃フェース1210の背面及び/またはフェース部1200とヘッド前部1110の接合部においてフェース部1200を補強してよい。関係1、関係2、関係3、関係4及び/または関係5を満たすのに望ましいのであれば、他の質量再分配機構を利用することもできる。
【0067】
一部の実施態様では、ヘッド重心2500と錘中心2750の関係または比は、関係1、関係2、関係3、関係4及び/または関係5の1つ以上を満たすことができるように構成可能である。例えば、ヘッドCG垂直距離2530に対する錘中心垂直距離2730の比によって定められる垂直距離比を0.44よりも大きくして、ヘッド重心2500がヘッドソール部1130により近い状態を維持する効果を得ることができる。別の例では、ヘッドCG深さ2510に対する錘中心深さ2710の比によって定められる深さ比を2.54未満として、CG深さ2510がヘッド前部1110に向かって過度に浅くならないようにすることができる。ヘッドCG垂直距離2530を約28.5mm未満とすることができる一部の実施態様も可能であり、その場合、錘中心垂直距離2730を約12.5mm未満とすることができ、かつ/または錘中心深さ2710を約99.7mmよりも大きくすることができる。
【0068】
同一または他の実施形態では、ゴルフクラブヘッド1000内の質量分布は、上述した第1、第2、第3、第4、及び/または第5の最適化特性を発揮するようにゴルフクラブヘッド1000を構成するようにさらに調整することができる。このような目的のために、ゴルフクラブヘッド1000は、ヘッドソール部1130付近に分配された、接着材料から構成される1つ以上の錘部材を備えることができる。1つ以上の錘部材は、ヘッドソール部1130の内面上に配設することができる。一部の構成では、関係1、2、3、4、及び/または5によって課された制約を満たすように、1つ以上の錘部材を設計及び/または配置することが可能であり、それにより、打撃フェース1210のフェース高さもしくはフェースサイズ、ゴルフクラブヘッド1000のヘッド容量2600、重心2500の位置及び/または種々の慣性モーメントのバランスを取る。
【0069】
一部の例では、1つ以上の錘部材のそれぞれは、約2グラムから約50グラムの質量及び/または約1ccから約30ccの容量を含むことができる。一部の構成では、1つ以上の錘部材は、アクリル接着剤またはエポキシ系樹脂接着剤などの粘着剤を含むことができる。1つ以上の錘部材は、任意選択により、粘着剤及び金属粉末の混合物から構成することもできる。あるいは、1つ以上の錘部材は、接着剤及び1つ以上の質量要素の組み合わせを含むことができる。1つ以上の質量要素のそれぞれは、約0.5グラムから約30グラムの間の重さとすることができる。一部の例では、1つ以上の質量要素のそれぞれは、金属、金属合金、または高密度を有するいくつかの他の材料を含むことができる。
【0070】
上述した第1、第2、第3、第4、及び/または第5の最適化特性を発揮するようにゴルフクラブヘッド1000を構成するようにゴルフクラブヘッド1000内の質量分布を調整することに加えて、1つ以上の錘部材は、ゴルフクラブヘッド1000に追加の性能利点を付与することができる。一部の例では、1つ以上の錘部材を構成する接着材料がその粘着特性または接着特性を維持することができることにより、ゴルフクラブヘッド1000の使用中、クラブヘッド1000内の緩い断片が1つ以上の錘部材に接着するようになる。同一または他の例では、ヘッドソール部1130の内面上に配設された1つ以上の錘部材は、ゴルフクラブヘッド1000とゴルフボール2900とのインパクト中、振動減衰及び/または音波減衰をもたらすことができる。同一またはさらなる例では、1つ以上の錘部材は、特定の位置及び特定の量でヘッドソール部1130の内面上に配置することができ、それによってゴルフボール2900とのインパクト中、ゴルフクラブ1000の所望の音響特性を達成することができる。
【0071】
(細領域)
一部の実施形態では、ゴルフクラブヘッド1000の質量分布、またはゴルフクラブヘッド1000の種々の要素間の関係を調整することにより、上述したヘッドCG深さ、第1、第2、第3、第4及び/または第5の最適化特性を発揮するようにゴルフクラブヘッド1000を構成することができる。このような目的のために、ゴルフクラブヘッド1000は、クラブヘッド1000の様々な領域内に配置された、1つ以上の細領域を備えることができる。クラブヘッド1000は、錘構造体2700の代わりに、またはこれに加えて細領域を備えることができる。細領域がゴルフクラブヘッド1000の裁量重量を増加させることにより、追加の裁量重量を錘構造体内、クラブヘッド1000の内周面または外周面上、及び/またはクラブヘッド1000の他の領域に位置決めして第1、第2、第3、第4、及び/または第5の性能特性を達成することができる。
【0072】
細領域は、クラブヘッド1000の任意の領域上に位置決めされることができる。例えば、細領域は、ヘッド上部1120、ヘッドソール部1130、ヘッドヒール部1140、ヘッドトウ部1150、ヘッド後部2160、またはフェース部1200の1つ以上に位置決めされることができる。
【0073】
多くの実施形態では、細領域は、約0.020インチ未満の厚みを備える。他の実施形態では、細領域は、0.025インチ未満、0.020インチ未満、0.015インチ未満、または0.010インチ未満の厚みを備える。例えば、細領域は、約0.010~約0.025インチ、約0.015~約0.020インチ、約0.016~約0.020インチ、約0.017~約0.020インチ、または約0.018~約0.020インチの厚みを備えることができる。
【0074】
図示する実施形態では、細領域は、形状及び位置を可変であり、クラブヘッド1000の表面積の約25%を覆う。他の実施形態では、細領域は、クラブヘッド1000の表面積の約20~約30%、約15~約35%、約15~約25%、約10~約25%、約15~約30%、または約20~約50%を覆うことができる。さらに、他の実施形態では、細領域は、クラブヘッド1000の表面積の最大5%、最大10%、最大15%、最大20%、最大25%、最大30%、最大35%、最大40%、最大45%、または最大50%を覆うことができる。
【0075】
多くの実施形態では、ヘッド上部1120の表面積の約51%が細領域を備えるように、細領域の一部がヘッド上部1120上に位置決めされる。他の実施形態では、ヘッド上部1120の最大20%、最大25%、最大30%、最大35%、最大40%、最大45%、最大50%、最大55%、最大60%、最大65%、最大70%、または最大75%が細領域を備えるように、細領域の少なくとも一部を位置決めすることができる。例えば、一部の実施形態では、ヘッド上部1120の約40~60%が、細領域を備えることができる。さらなる例の場合、他の実施形態では、ヘッド上部1120の約35~65%、約30~70%、または約25~75%が、細領域を備えることができる。
【0076】
多くの実施形態では、ヘッドソール部1130の表面積の約64%が細領域を備えるように、細領域の一部がヘッドソール部1130上に位置決めされる。他の実施形態では、ヘッドソール部1130の最大20%、最大25%、最大30%、最大35%、最大40%、最大45%、最大50%、最大55%、最大60%、最大65%、最大70%、または最大75%が細領域を備えるように、細領域の少なくとも一部がヘッドソール部1130上に位置決めされることができる。例えば、一部の実施形態では、ヘッドソール部1130の約40~約60%が細領域を備えることができる。さらなる例の場合、他の実施形態では、ヘッドソール部1130の約35~約65%、約30~約70%、または約25~75%が細領域を備えることができる。
【0077】
多くの実施形態では、細領域を有するクラブヘッド1000は、遠心鋳造を使用して製造することができる。他の実施形態では、細領域を有するクラブヘッド1000の部分は、打ち抜き加工、鍛造、または機械加工などの他の適切な方法を使用して製造することができる。細領域を有するクラブヘッド1000の部分が打抜き加工、鍛造、または機械加工を使用して製造される実施形態では、クラブヘッド1000のその部分は、エポキシ、テープ、溶接、メカニカルファスナ、または他の適切な方法を使用して連結することができる。
【0078】
(固定錘)
一部の実施形態では、ゴルフクラブヘッド1000の質量分布、またはゴルフクラブヘッド1000の種々の要素間の関係を調整することにより、上述したヘッドCG深さ、ヘッドCG高さ、第1、第2、第3、第4及び/または第5の最適化特性を発揮するようにゴルフクラブヘッド1000を構成することができる。このような目的のために、ゴルフクラブヘッド1000は、図8及び9に示すように、本体の比重より大きい比重を有する1つ以上の固定錘3100を備えることができる。クラブヘッド1000は、錘構造体2700の代わりに、またはこれに加えて1つ以上の固定錘3100を含むことができる。さらに、クラブヘッド1000は、細領域の代わりに、またはこれに加えて1つ以上の固定錘3100を含むことができる。さらに、クラブヘッドが錘構造体2700に加えて1つ以上の固定錘3100を含む実施形態では、1つ以上の固定錘3100を錘構造体2700内に配置することができ、または1つ以上の固定錘3100を錘構造体2700の外側に、または別々にして配置することができる。
【0079】
これらのまたは他の実施形態では、図8及び9を参照すれば、1つ以上の固定錘3100は、クラブヘッド1000のヘッド後部2160の縁部2162近くのクラブヘッドのソール上に位置決めされる。例えば、多くの実施形態では、1つ以上の固定錘3100は、ヘッド後部2160の縁部2162から1.0インチ以内に位置決めされる。他の実施形態では、1つ以上の固定錘3100は、ヘッド後部2160の縁部2162から0.25、0.5、0.75、1.0、1.25、1.5、1.75、または2.0インチ以内に位置決めされることができる。
【0080】
さらに、これらまたは他の実施形態では、1つ以上の固定錘3100は、クラブヘッド1000の前面2280から3.75インチより大きく、4.0インチより大きく、4.25インチより大きく、4.50インチより大きく、または4.75インチより大きく距離を離して位置決めされることができる。さらに、これらまたは他の実施形態では、1つ以上の固定錘3100は、クラブ1000のヘッドCG2500から、1.5インチより大きく、1.75インチより大きく、2.0インチより大きく、2.25インチより大きく、または2.5インチより大きく距離を離して位置決めされることができる。
【0081】
クラブヘッド1000の本体1100は、第1の材料を含む。1つ以上の固定錘3100は、タングステン、金、ハフニウム、イリジウム、水銀、ネプツニウム、オスミウム、パラジウム、プラチナ、プルトニウム、プロトアクチニウム、レニウム、ロジウム、ルテニウム、タンタル、ウラニウム、または任意の他の高密度材料などの第2の高密度材料を含む。多くの実施形態では、第2の材料は、12.0より大きい比重を有する。他の実施形態では、第2の材料は、10.0より大きい、11.0より大きい、12.0より大きい、13.0より大きい、14.0より大きい、15.0より大きい、16.0より大きい、17.0より大きい、または18.0より大きい比重を有することができる。例えば、一部の実施形態では、第2の材料は、10.0から18.0の間、12.0から18.0の間、または14.0から18.0の間の比重を有することができる。
【0082】
多くの実施形態では、固定錘3100の1つ以上は、12グラムより大きい質量を含むことができる。他の実施形態では、固定錘3100の1つ以上は、8グラムより大きい、9グラムより大きい、10グラムより大きい、11グラムより大きい、または12グラムより大きい質量を含むことができる。
【0083】
一部の実施形態では、固定錘3100は、鋳造、共成形、または任意の他の適切な方法によってクラブヘッドの本体と一体的に形成されることができる。他の実施形態では、固定錘3100は、クラブヘッドの本体とは別個に形成され、(例えば固定錘を低密度の溶接可能な材料に焼結した)溶接、ろう付け、接着剤(エポキシなど)、リベット、ねじ、または任意の他の適切な方法によってクラブヘッドに連結されることができる。多くの実施形態では、1つ以上の固定錘は、クラブヘッドに永続的に連結される。他の実施形態では、1つ以上の固定錘は、クラブヘッドに着脱可能に連結されることができる。
【0084】
(相対的質量特性)
以下では、上述したヘッドCG深さ、ヘッドCG高さ、第1、第2、第3、第4、及び/または第5の最適化特性を達成するために、ゴルフクラブヘッド1000の質量特性の様々な実施形態を例示的なドライバー、フェアウェイウッド、及びハイブリッド型のゴルフクラブヘッドに関して説明する。
【0085】
多くの実施形態では、ゴルフクラブヘッド1000は、クラブヘッド1000の長さ2910の最後または最後尾20%以内に配置されたクラブヘッド1000の後端の一部を含む第1の後領域を含むことができる。さらに、ゴルフクラブヘッド1000は、クラブヘッド1000の長さ2910の最後または最後尾10%以内に配置されたクラブヘッド11000の後端の一部を含む第2の後領域を含むことができる。これらまたはその他の実施形態では、クラブヘッド1000の長さ2910は、前面2280に垂直にフェース部1200からヘッド後部2160の方向に先縁2912からクラブヘッドの後端まで、測定される最大距離である。
【0086】
例示的なドライバー型クラブヘッド1000は、約400ccより大きい容量、及び44インチより大きいゴルフクラブ長さを有することができる。他の実施形態では、例示的なドライバー型クラブヘッドは、400ccより大きい、410ccより大きい、420ccより大きい、430ccより大きい、440ccより大きい、または450ccより大きい容量を含むことができる。さらに、他の実施形態では、例示的なドライバー型クラブヘッドは、44インチより大きい、45インチより大きい、46インチより大きい、または47インチより大きいゴルフクラブ長さを含むことができる。さらに、他の実施形態では、例示的なドライバー型クラブヘッドは、44~48インチの間、45~48インチの間、または46~48インチの間のゴルフクラブ長さを含むことができる。
【0087】
例示的なドライバー型クラブヘッドの多くの実施形態では、本体1100の第1の材料は、Ti-6-4またはTi-9sなどのチタン合金を含む。その他の実施形態では、本体1100の第1の材料は、5.0未満の比重を有する任意の適切な材料を含むことができる。例えば、本体1100の第1の材料は、チタン、アルミニウム、バリウム、ベリリウム、スカンジウム、ストロンチウム、またはイットリウムを含むことができる。例示的なドライバー型クラブヘッドの多くの実施形態では、本体の第1の材料の比重と錘の第2の材料の比重との比は、約0.4未満である。例示的なドライバー型クラブヘッドの他の実施形態では、本体の第1の材料の比重と錘の第2の材料の比重との比は、約0.6未満、約0.5未満、約0.4未満、約0.3未満、または約0.2未満とすることができる。さらに、例示的なドライバー型クラブヘッドの他の実施形態では、本体の第1の材料の比重と錘の第2の材料の比重との比は、約0.35~0.45、約0.35~0.5、または約0.2~0.6の範囲とすることができる。
【0088】
例示的なドライバー型クラブヘッドの図示する実施形態では、第1の後領域は、クラブヘッド1000の総質量の約20.6%を含む。その他の実施形態では、ドライバー型クラブヘッド1000の第1の後領域は、クラブヘッド1000の総質量の15%より大きく、約16%より大きく、約17%より大きく、約18%より大きく、約19%より大きく、約20%より大きく、約22.5%より大きく、または約25%より大きく含むことができる。さらに、その他の実施形態では、ドライバー型クラブヘッドの第1の後領域は、クラブヘッド1000の総質量の15~20%の間、17.5~25%の間、または20~30%の間で含むことができる。
【0089】
例示的なドライバー型クラブヘッドの図示する実施形態では、第2の後領域は、クラブヘッド1000の総質量の約10.0%を含む。他の実施形態では、ドライバー型クラブヘッド1000の第2の後領域は、クラブヘッド1000の総質量の約5%より大きく、約6%より大きく、約7%より大きく、約8%より大きく、約9%より大きく、約10%より大きく、約12.5%より大きく、または約15%より大きく含むことができる。さらに、その他の実施形態では、ドライバー型クラブヘッドの第2の後領域は、クラブヘッド1000の総質量の5~10%の間、7.5~15%の間、または10~20%の間を含むことができる。
【0090】
例示的なフェアウェイウッドまたはハイブリッド型クラブヘッドは、約400cc未満の容量、及び44インチ未満のゴルフクラブ長さを有することができる。その他の実施形態では、例示的なフェアウェイウッドまたはハイブリッド型クラブヘッドは、420cc未満、410cc未満、400cc未満、390cc未満、380cc未満、または370cc未満の容量を含むことができる。例示的なフェアウェイウッド型クラブヘッドの一部の実施形態では、クラブヘッドの容量は、約300cc~400cc、約325cc~400cc、約350cc~400cc、約250cc~400cc、約250~350cc、または約275~375ccとすることができる。例示的なハイブリッド型クラブヘッドの一部の実施形態では、クラブヘッドの容量は、約100cc~150cc、約75cc~150cc、約100cc~125cc、または約75cc~125ccとすることができる。さらに、その他の実施形態では、例示的なフェアウェイウッドまたはハイブリッド型クラブヘッドは、45インチ未満、44インチ未満、43インチ未満、または42インチ未満のゴルフクラブ長さを含むことができる。さらに、他の実施形態では、例示的なフェアウェイウッドまたはハイブリッド型クラブヘッドは、40~44インチの間、37~40インチの間、または35~40ccインチの間のゴルフクラブ長さを含むことができる。
【0091】
例示的なフェアウェイウッドまたはハイブリッド型クラブヘッドの多くの実施形態では、本体1100の第1の材料は、鋼合金を含む。他の実施形態では、本体1100の第1の材料は、10.0未満の比重を有する任意の適切な材料を含むことができる。例えば、本体1100の第1の材料は、チタン、アルミニウム、バリウム、ビスマス、カドミウム、セリウム、クロミウム、コバルト、銅、ジスプロシウム、ユウロピウム、ガドリニウム、ガリウム、ホルミウム、インジウム、鉄、鋼、鋼合金、ランタン、ルテチウム、ネオジム、ニッケル、ニオビウム、ポロニウム、プラセオジム、プロメチウム、テルビウム、ツリウム、スズ、バナジウム、亜鉛、ジルコニウム、ベリリウム、スカンジウム、ストロンチウム、またはイットリウムを含むことができる。例示的なフェアウェイウッドまたはハイブリッド型クラブヘッドの多くの実施形態では、本体の第1の材料の比重と錘の第2の材料の比重との比は、約0.8未満である。例示的なフェアウェイウッドまたはハイブリッド型クラブヘッドの他の実施形態では、本体の第1の材料の比重と錘の第2の材料の比重との比は、約0.9未満、約0.8未満、約0.7未満、約0.6未満、または約0.5未満とすることができる。さらに、例示的なフェアウェイウッドまたはハイブリッド型クラブヘッドの他の実施形態では、本体の第1の材料の比重と錘の第2の材料の比重との比は、約0.7~0.85、約0.7~0.9、または約0.3~0.9の範囲とすることができる。
【0092】
フェアウェイウッド型クラブヘッドを含むクラブヘッド1000の実施形態では、第1の後領域は、クラブヘッド1000の総質量の約13%より大きく、約14%より大きく、約15%より大きく、約16%より大きく、約17%より大きく、約18%より大きく、約19%より大きく、約20%より大きく、約22.5%より大きく、約25%より大きく含むことができる。さらに、その他の実施形態では、フェアウェイウッド型クラブヘッドの第1の領域は、クラブヘッド1000の総質量の13~20%の間、17.5~25%の間、または20~30%の間で含むことができる。例えば、フェアウェイウッド型クラブヘッドの一実施形態では、第1の後領域は、クラブヘッド1000の総質量の約20.0%を含む。
【0093】
フェアウェイウッド型クラブヘッドを含むクラブヘッド1000の同一または他の実施形態では、第2の後領域は、クラブヘッド1000の総質量の約5%より大きく、約6%より大きく、約7%より大きく、約8%より大きく、約9%より大きく、約10%より大きく、約11%より大きく、約12%より大きく、約15%より大きく、約18%より大きく、約21%より大きく含むことができる。さらに、他の実施形態では、フェアウェイウッド型クラブヘッドの第2の後領域は、クラブヘッド1000の総質量の5~10%の間、7.5~15%の間、12.5~20%の間、または17.5~25%の間で含むことができる。例えば、フェアウェイウッド型クラブヘッドの一実施形態では、第2の後領域は、クラブヘッド1000の総質量の約8%を含む。
【0094】
ハイブリッド型クラブヘッドを含むクラブヘッド1000の実施形態では、第1の後領域は、クラブヘッド1000の総質量の約12.5%より大きく、約15%より大きく、約16%より大きく、約17%より大きく、約18%より大きく、約19%より大きく、約20%より大きく、約22.5%より大きく、約25%より大きく含むことができる。さらに、その他の実施形態では、ハイブリッド型クラブヘッドの第1の後領域は、クラブヘッド1000の総質量の12.5~20%の間、15~20%の間、17.5~25%の間、または20~30%の間で含むことができる。例えば、ハイブリッド型クラブヘッドの一実施形態では、第1の後領域は、クラブヘッド1000の総質量の約17.5%を含む。
【0095】
ハイブリッド型クラブヘッドを含むクラブヘッド1000の同一または他の実施形態では、第2の後領域は、クラブヘッド1000の総質量の約3%より大きく、約4%より大きく、約5%より大きく、約6%より大きく、約7%より大きく、約8%より大きく、約9%より大きく、約12%より大きく、約15%より大きく含むことができる。さらに、他の実施形態では、ハイブリッド型クラブヘッドの第2の後領域は、クラブヘッド1000の総質量の3~7.5%の間、5~10%の間、7.5~15%の間、または12~20%の間で含むことができる。例えば、ハイブリッド型クラブヘッドの一実施形態では、第2の後領域は、クラブヘッド1000の総質量の約6%を含む。
【0096】
(クラウン角)
一部の実施形態では、ゴルフクラブヘッド1000の質量分布、またはゴルフクラブヘッド1000の種々の要素間の関係を調整することにより、上述したヘッドCG深さ、ヘッドCG高さ、第1、第2、第3、第4及び/または第5の最適化特性を発揮するようにゴルフクラブヘッド1000を構成することができる。このような目的のために、ゴルフクラブヘッド1000は、クラブヘッド1000の中心領域、ヒール部1140、及び/またはトウ部1150近くに急勾配のクラン角1660を含むことができる。多くの実施形態では、急勾配のクラウン角1660は、ヘッドCG高さ2510の位置を低くし、及び/またはヘッドCG深さ2520を増加させることを助けることができる。
【0097】
クラブヘッド1000は、錘構造体2700の代わりに、またはこれに加えて急勾配のクラウン角1660を含むことができる。さらに、クラブヘッド1000は、細領域の代わりに、またはこれに加えて急勾配のクラウン角1660を含むことができる。さらに、クラブヘッド1000は、1つ以上の固定錘3100の代わりに、またはこれに加えて急勾配のクラウン角1660を含むことができる。
【0098】
急勾配のクラウン角1660は、以下に説明されるように、クラブヘッドの上部遷移境界及び後部遷移境界上の様々な点及び軸に対して定められる。図5を参照すれば、上部遷移境界は、ゴルフクラブヘッド1000の打撃フェース縁部1212とヘッド上部1120との間を、ヘッドヒール部1140近くからヘッドトウ部1150近くまで延びる。打撃フェース縁部1212は、フェース部1200の輪郭が打撃フェース1210のロール半径及び/またはバルジ半径から離れる箇所である遷移境界に沿って画定することができる。上部遷移境界は、側断面図から見ると、上部遷移境界形状1500を含む。これらの実施形態では、上部遷移境界形状1500の側断面図は、クラブヘッド1000の任意の点に沿ってヘッドヒール部1140近くからヘッドトウ部1150近くまで切断され得る。
【0099】
上部遷移境界形状1500は、上部曲率半径1515を含む。上部曲率半径1515は、第1の上部遷移点1510及び第2の上部遷移点1520によって定められる。第1の上部遷移点1510は、クラブヘッド1000の輪郭が打撃フェース1210のロール半径及び/またはバルジ半径から離れる箇所である上部遷移境界上(すなわち打撃フェース縁部1212上)に位置決めされる。第2の上部遷移点1520は、上部遷移境界に沿って形状が上部曲率半径1515から逸脱する箇所に位置決めされる。第1の上部曲率半径1515は、第1の上部遷移点1510から第2の上部遷移点1520まで延びる。
【0100】
図5を参照すれば、図示する実施形態では、上部曲率半径1515は、クラブヘッド1000のヘッドヒール部1140からヘッドトウ部1150まで実質的に一定である。その他の実施形態では、上部曲率半径1515は、クラブヘッド1000のヒール部1140からトウ部1150にかけて可変となり得る。例えば、上部曲率半径1515は、クラブヘッド1000のヘッドヒール部1140に向かって、クラブヘッド1000のヘッドトウ部1150に向かって、クラブヘッド1000の中心内で、または上述した位置の任意の組み合わせにおいてより大きくすることができる。上部曲率半径1515は、例えば線形形状、放物線形状、二次方程式形状、指数関数形状、または任意の他の形状などの任意の形状にしたがって、ヘッドヒール部1140からヘッドトウ部1150にかけて可変となり得る。
【0101】
図示する実施形態では、上部遷移境界形状1500は、2つの遷移点及び1つの曲率半径を有する。他の実施形態では、上境界遷移形状1500は、任意の数の遷移点及び任意の数の曲率半径を含むことができる。例えば、上部遷移境界形状1500は、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、または任意の数の遷移点を含むことができる。さらなる例の場合、上部遷移境界形状1500は、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、または任意の数の曲率半径を含むことができる。
【0102】
図6を参照すれば、後部遷移境界は、ゴルフクラブヘッド1000のヘッド後部2160とヘッド上部1120との間を、ヘッドヒール部1140近くからヘッドトウ部1150近くまで延びる。後部遷移境界は、側断面図から見ると、後部遷移境界形状1600を含む。これらの実施形態では、後部遷移境界形状1600の側断面図は、クラブヘッド1000の任意の点に沿ってヘッドヒール部1140近くからヘッドトウ部1150近くまで切断され得る。
【0103】
後部遷移形状1600は、第1の後部遷移点1610と第2の後部遷移点1620との間に位置決めされた後曲率半径1615をさらに含む。図示する実施形態では、第1の後部遷移点1610は、断面図ではヘッド上部1120の曲率が逸脱する箇所であるヘッド後部2160近くのヘッド上部1120の端部に配置される。同一または他の実施形態では、第1の後部遷移点1610は、後曲率半径1615が始まる箇所である、断面図ではクラブヘッド1000の後部遷移形状上に配置することができる。第2の後部遷移点1620は、後曲率半径1615が終わる箇所である、断面図ではクラブヘッド1000のヘッド後部2160上に配置される。
【0104】
図示する実施形態では、後曲率半径1615は、ヘッドヒール部1140からヘッドトウ部1150まで、ゴルフクラブヘッド1000のヘッド後部2160に沿って実質的に一定である。他の実施形態では、後曲率半径1615は、ヘッドヒール部1140からヘッドトウ部1150にかけて、ゴルフクラブヘッド1000のヘッド後部2160に沿って可変となり得る。後曲率半径は、ヘッドヒール部1140近く、ヘッドトウ部1150近く、ゴルフクラブヘッド1000の中心近く、または上述した位置の任意の組み合わせにおいてより大きくすることができる。例えば、後曲率半径1615は、ゴルフクラブヘッド1000のヘッド後部2160の中心内より、ヘッドヒール部1140及びヘッドトウ部1150近くの方でより大きくすることができる。後曲率半径1615は、例えば線形形状、放物線形状、二次方程式形状、指数関数形状または任意の他の形状などの任意の形状にしたがって、ヘッドヒール部1140からヘッドトウ部1150にかけて可変となり得る。
【0105】
図示する実施形態では、後部遷移形状1600は、2つの後部遷移点、1つの曲率半径を有する。他の実施形態では、後部遷移形状は、任意の数の後部遷移点、及び任意の数の曲率半径を含むことができる。例えば、後部遷移形状1600は、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個または任意の数の後部遷移点を含むことができる。さらなる例の場合、後部遷移形状1600は、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個または任意の数の曲率半径を含むことができる。
【0106】
図7を参照すれば、ゴルフクラブヘッド1000のヘッド上部1120は、側断面図から見ると、クラウン軸1650をさらに含む。これらの実施形態では、側断面図は、クラブヘッド1000の任意の点に沿ってヘッドヒール部1140近くからヘッドトウ部1150近くまで切断され得る。クラウン軸1650は、第2の上部遷移点1520及び第1の後部遷移点1610を通って延びる。
【0107】
クラウン軸1650は、ゴルフクラブヘッド1000の正面の一点において前面2280と交差する。クラウン角1660は、クラウン軸1650と前面2280との間の鋭角として定められる。側断面図がヘッドヒール部1140及び/またはヘッドトウ部1150に対する種々の位置において切断される場合、クラウン角1660は可変であることができる。
【0108】
図示する実施形態では、ヘッドトウ部1150近くのクラウン角1660は、約72.25度であり、ヘッドヒール部1140近くのクラウン角1660は、約64.5度であり、ゴルフクラブヘッド1000の中心近くのクラウン角1660は、約64.2度である。その他の実施形態では、クラブヘッド1000のヘッドトウ部1150近くのクラウン角1660は、約79度未満、約78度未満、約77度未満、約76度未満、約75度未満、約74度未満、約73度未満、約72度未満、約71度未満、約70度未満、約69度未満、または約68度未満とすることができる。例えば、打撃フェースの幾何学中心からヘッドトウ部1150に約1.0インチ寄って位置決めされた点を通って切断されたクラブヘッドの側断面図において測定されるクラウン角1660は、79度未満、78度未満、77度未満、76度未満、75度未満、74度未満、73度未満、72度未満、71度未満、70度未満、69度未満、または68度未満とすることができる。
【0109】
一部の実施形態では、ヘッドヒール部1140の近くのクラウン角1660は、約70度未満、約69度未満、約68度未満、約67度未満、約66度未満、約65度未満、約64度未満、約63度未満、約62度未満、約61度未満、約60度未満、約59度未満とすることができる。例えば、打撃フェースの幾何学中心からヘッドヒール部1140に約1.0インチ寄って位置決めされた点を通って切断されたクラブヘッドの側断面図において測定されるクラウン角1660は、約70度未満、約69度未満、約68度未満、約67度未満、約66度未満、約65度未満、約64度未満、約63度未満、約62度未満、約61度未満、約60度未満、約59度未満とすることができる。
【0110】
一部の実施形態では、クラブヘッド1000の中心近くのクラウン角1660は、約70度未満、約69度未満、約68度未満、約67度未満、約66度未満、約65度未満、約64度未満、約63度未満、約62度未満、約61度未満、約60度未満、約59度未満とすることができる。例えば、打撃フェースの幾何学中心を通って切断されたクラブヘッドの側断面図において測定されるクラウン角1660は、約70度未満、約69度未満、約68度未満、約67度未満、約66度未満、約65度未満、約64度未満、約63度未満、約62度未満、約61度未満、約60度未満、約59度未満とすることができる。
【0111】
多くの実施形態では、現存のクラブヘッドと比べてクラウン角1660を減少させることにより、より急勾配のヘッド上部1120または地面のより近くに位置決めされたヘッド上部1120が生成される。したがって、クラウン角1660を減少させた結果、ヘッドCG位置をより低くすることができる。
【0112】
一部の実施形態では、クラウン角1660を減少させてより急勾配のヘッド上部1120及びより低いヘッドCG位置を形成した結果、空力抗力に望ましくない増加を生じさせる場合がある。より急勾配のヘッド上部1120に関連する抗力の増大を防止するために、最大ヘッド上部高さ1670を増加させることができる。図7を再度参照すれば、最大のヘッド上部高さ1670は、任意の側断面図において切断された、ヘッド上部1120とクラウン軸1650との間の最大距離として定められる。多くの実施形態では、ヘッド上部高さ1670をより大きくした結果、ヘッド上部1120はより大きい曲率を有する。ヘッド上部1120内の曲率が大きくなると、スイング中の空流分離の位置はクラブヘッド1000上でさらに後に移動する。換言すれば、曲率がより大きくなることにより、クラブをスイングするときにヘッド上部1120にわたってより長い距離の間、空流をクラブヘッド1000に付着させたままにできる。空流分離点をゴルフクラブヘッド1000上で後に移動させた結果、抗力をより小さくし、クラブヘッド速度をより高速にすることができる。
【0113】
一部の実施形態では、最大ヘッド上部高さ1670は、約16.5mm(または約0.65インチ)とすることができる。他の実施形態では、最大ヘッド上部高さ1670は、約5mmよりも大きく、約7.5mmよりも大きく、約10mmよりも大きく、約12.5mmよりも大きく、約15mmよりも大きく、約17.5mmよりも大きく、約20mmよりも大きく、約22.5mmよりも大きく、または約25mmよりも大きくすることができる。さらに、他の実施形態では、最大ヘッド上部高さ1670は、5mm~15mm、10mm~20mm、または15mm~25mmの範囲内にすることができる。
(クラブヘッドを製造する方法)
図4は、本開示に係るゴルフクラブヘッドを提供、形成及び/または製造するのに利用可能な方法4000のフローチャートを示す図である。一部の例では、ゴルフクラブヘッドは、上記で提示されたゴルフクラブヘッド1000(図1~3)と同様とすることができる。
【0114】
方法4000は、ヘッド前部を含むゴルフクラブヘッドのヘッド本体を提供するブロック4100を含む。一部の例では、ヘッド本体は、ヘッド本体1100(図1~3)と同様とすることができ、ヘッド前部は、ヘッド前部1110(図1~3)と同様とすることができる。
【0115】
方法4000のブロック4200は、フェース部をヘッド前部に連結することを含み、このヘッド前部は、フェースサイズを増加させた打撃フェースを含む。一部の例では、フェース部は、フェース部1200(図1~2)と同様とすることができるが、これは、増加させたフェースサイズ(フェース部に関して上述した)を有する打撃フェース1210を含む。例えば、打撃フェースのフェースサイズを増加させると、一部の例では、そのフェース高さを約71mmまでにすることが可能となり得る。
【0116】
方法4000は、第1の最適化特性を備えるようにゴルフクラブヘッドを構成するブロック4300を含むことができ、その場合、ゴルフクラブヘッドの重心とゴルフクラブヘッドの奥行き面の間のCG高さは、約0mm~約5.08mm(または0.200インチ)とすることができる。一部の例では、第1の最適化特性は、重心に対してゴルフクラブヘッドのフェース高さまたはフェースサイズのバランスを取る関係1に関して上述したものと同様とすることができる。一部の例では、CG高さは、CG高さ2520(図2)と同様としてよく、重心は、ヘッド重心2500(図2)と同様としてよく、ヘッド奥行き面は、ヘッド奥行き面2310(図2)と同様とすることができる。
【0117】
方法4000が、第2の最適化特性を備えるようにゴルフクラブヘッドを構成するブロック4400を含むことができる実施態様も可能であり、その場合、(a)76.2mm(または約3.0インチ)からフェース高さを引いたものと、(b)打撃フェース中心点と重心の間のCG深さとの比は、0.56未満である。一部の例では、第2の最適化特性は、重心深さに対してゴルフクラブヘッドのフェース高さまたはフェースサイズのバランスを取る関係2に関して上述したものと同様とすることができる。例えば、フェース高さは、フェース高さ1213と同様とすることができ、CG深さは、CG深さ2510と同様とすることができる。
【0118】
一部の例では、方法4000は、第3の最適化特性を備えるようにゴルフクラブヘッドを構成するブロック4500を含むことができ、その場合、ヘッド容量の大きさにCG深さとCG高さの比を加えたものは425以上となる。一部の実施態様では、第3の最適化特性は、重心位置に対してヘッド容量のバランスを取る関係3に関して上述したものと同様とすることができる。例えば、ヘッド容量の大きさは、ヘッド容量2600の大きさ(図2)と同様とすることができ、CG深さは、CG深さ2510と同様とすることができ、CG高さは、CG高さ2520と同様とすることができる。
【0119】
方法4000は、第4の最適化特性を備えるようにゴルフクラブヘッドを構成する一部の実施形態において方法4600を含むことができ、その場合、ゴルフクラブヘッドの水平慣性モーメントは、そのホーゼル慣性モーメントの39%以上である。一部の実施態様では、第4の最適化特性は、ホーゼルMOI1711(図1)に対して水平MOI1811のバランスを取る関係4に関して上述したものと同様とすることができる。同一または他の例では、水平慣性モーメントの大きさは、水平MOI1811に関して上述したものと同様とすることができる。加えて、ホーゼル慣性モーメントの大きさは、ホーゼルMOI1711に関して上述したものと同様とすることができる。水平慣性モーメント及び/またはホーゼル慣性モーメントが他の特徴に対して(ゴルフクラブヘッドの垂直慣性モーメントに対してなど)バランスを取ることができる例も可能である。
【0120】
方法4000のブロック4700は、第5の最適化特性を備えるようにゴルフクラブヘッドを構成する一部の実施態様において実施することができ、その場合、ゴルフクラブヘッドの垂直慣性モーメントは、そのホーゼル慣性モーメントの59%以上である。一部の実施態様では、第5の最適化特性は、ホーゼルMOI1711(図1)に対して垂直MOI1611のバランスを取る関係5に関して上述したものと同様とすることができる。同一または他の例では、垂直慣性モーメントの大きさは、垂直MOI1611に関して上述したものと同様とすることができる。加えて、ホーゼル慣性モーメントの大きさは、ホーゼルMOI1711に関して上述したものと同様とすることができる。垂直慣性モーメント及び/またはホーゼル慣性モーメントが他の特徴に対して(ブロック4500の水平慣性モーメントに対してなど)バランスを取ることができる例も可能である。
【0121】
本例では、方法4000は、ゴルフクラブヘッドの重心を調整するために、質量再配置機構を提供するブロック4800も含む。一部の例では、ゴルフクラブヘッドが方法4000のブロック4300、ブロック4400、ブロック4500、ブロック4600及び/またはブロック4700に関する各要件を達成できるように、質量再配置機構を構成することができる。質量再配置機構は、錘構造体2700(図2~3)などの錘構造体を備えることができ、これにより、所望の場合には、ゴルフクラブヘッドのソール部及び/または後部の付近に重心位置を調整することができる。同一または他の実施形態では、質量再配置機構は、ゴルフクラブヘッドのフェース部の厚みを薄化させることが可能であるが、このとき、必要に応じて、打撃フェースの背面及び/またはゴルフクラブヘッドのフェース部とヘッド本体の接合部などにおいて、1つ以上の補強構造体を用いてゴルフクラブヘッドのフェース部を補強してよい。
【0122】
一部の例では、方法4000の異なるブロックの1つ以上を1つのブロックに統合し、もしくは同時に行うことができ、かつ/または、こうした各ブロックの順序を変更することができる。例えば、一部の実施形態(フェース部及びヘッド本体の少なくとも一部が単一の材料片で構成されている場合など)では、ブロック4100とブロック4200を組み合わせてよい。同一または他の例では、ブロック4800は、ブロック4100、ブロック4300、ブロック4400、ブロック4500、ブロック4600及び/またはブロック4700の1つ以上と組み合わされてよく、ブロック4800の質量再配置機構を用いるなどして、ゴルフクラブヘッドの重心、フェース高さ、フェースサイズ、ヘッド容量及び/または1つ以上の慣性モーメントを調整することにより、同時に実現されてよい。同一または他の例では、方法4000の各ブロックの一部をいくつかのサブブロックに細分化することができる。例えば、ブロック4100は、ゴルフクラブヘッドのヘッド本体の異なる部分を提供するいくつかのサブブロックに細分化することができる。方法4000がさらなるブロックまたは異なるブロックを含むことができる例も可能である。ある例として、方法4000は、ゴルフクラブシャフトをブロック4100のヘッド本体に提供または連結する別のブロックを含んでよい。加えて、上述した各ブロックの一部のみを方法4100が含むことができる例であってもよい。例えば、ブロック4300、ブロック4400、ブロック4500、ブロック4600及び/またはブロック4700の1つ以上を一部の実施態様で任意としてよく、かつ/または、ブロック4300、ブロック4400、ブロック4500、ブロック4600及び/またはブロック4700の要件を達成するのに必要でなければ、ブロック4800を省略してよい。本開示の範囲から逸脱することなく、方法4000に対して他の変形例を実施することができる。
【0123】
本明細書では、特定の実施形態を参照して、最適化特性を備えたゴルフクラブヘッド及び関連方法について説明してきたが、本開示の概念または範囲を逸脱せずに、各種の変更をなすことが可能である。例えば、ドライバー型のゴルフクラブに関連して上記の例を説明することが可能であるが、本明細書で説明された装置、方法及び製造品は、他の型のゴルフクラブ(フェアウェイウッド型のゴルフクラブ、ハイブリッド型のゴルフクラブ、アイアン型のゴルフクラブ、ウェッジ型のゴルフクラブまたはパター型のゴルフクラブなど)に適用可能であってもよい。あるいは、本明細書で説明された装置、方法及び製造品は、他の種類のスポーツ用品(ホッケースティック、テニスラケット、釣り竿、スキーストックなど)に適用可能であってもよい。
【0124】
こうした変更及び他のものの別の例は、上記の説明で与えられてきた。様々な特徴の1つ以上の特徴を有する種々の実施形態の他の置き換えも同様に企図されている。従って、本明細書、本特許請求の範囲及び本明細書の図面は、本開示の範囲の例示となることを意図したものであり、限定することを意図するものではない。本出願の範囲は、添付された特許請求の範囲によって要求される範囲にのみ限定されるべきであることが意図される。
【0125】
本明細書で述べた最適化特性を備えたゴルフクラブヘッド及び関連方法は、様々な実施形態で実施されてよく、これらの実施形態のあるものに関する前述の議論は、必ずしも全ての可能な実施形態の完全な記述を表すものではない。むしろ、図面についての詳細な説明及び図面自体は、少なくとも1つの好ましい実施形態を開示しており、代替実施形態を開示している場合もある。
【0126】
1つ以上の特許請求される要素の置き換えは、再構築を構成するものであり、修復とはならない。さらに、利益、他の利点、及び問題に対する解決策を特定の実施形態に関して説明してきた。しかし、利益、利点、問題に対する解決策、及び利益、利点、または解決策を生じさせ、またはより明白にする任意の要素または複数の要素は、請求項の一部または全ての重要な、必要とされる、または必須の特徴または要素として解釈されるべきではないが、そのような利益、利点、解決策、または要素がそのような請求項内で明示的に述べられている場合を除く。
【0127】
ゴルフのルールは時々変化することがあるので(例えば、全米ゴルフ協会(USGA)、英国ゴルフ協会(Royal and Ancient Golf Club of St. Andrews:R&A)などのゴルフ標準化組織及び/またはゴルフ管理団体により、新しい規定が採用される場合があり、または旧いルールが廃止もしくは変更される場合がある)、本明細書で説明された装置、方法及び製造品に関するゴルフ用具は、任意の特定の時点においては、ゴルフのルールに適合している場合もあり、または適合していない場合もある。 従って、本明細書で説明された装置、方法及び製造品に関するゴルフ用具は、適合または不適合のゴルフ用具として広告され、売りに出され、かつ/または販売される場合がある。本明細書で説明された装置、方法及び製造品は、この点に関して限定されない。
【0128】
さらに、本明細書で開示された実施形態及び限定は、その実施形態及び/または限定が、(1)請求項において明示的に特許請求されておらず、(2)均等論の下で請求項中の明示的な要素及び/または限定の均等物であり、または潜在的な均等物である場合、公有の原則(doctrine of dedication)の下で公共用として提供されることはない。
以下の項目は、国際出願時の特許請求の範囲に記載の要素である。
(項目1)
ゴルフクラブヘッドであって、
ヘッド前部、ヘッド後部、ヘッドヒール部、ヘッドトウ部、ヘッド上部及びヘッドソール部によって境界付けられたヘッド内部を備えるヘッド本体と、
幾何学中心を有する打撃フェースと、
ヘッドCG深さ及びヘッドCG高さを有するヘッド重心と、を備え、
前記クラブヘッドが、ドライバー型本体を備え、
前記ヘッドCG高さが、約0mmから約5.08mmであり、
前記ヘッドCG深さが、約41mmから約102mmであり、
前記ゴルフクラブヘッドのヘッド容量が、約420ccから約470ccであり、
前記ゴルフクラブヘッドのヘッド重量が、約185グラムから約225グラムであり、
前記クラブヘッドの15%を上回る質量が、前記クラブヘッドの長さの最後尾20%内に配置され、
前記クラブヘッドの5%を上回る質量が、前記クラブヘッドの長さの最後尾10%内に配置される、ゴルフクラブヘッド。
(項目2)
前記クラブヘッドの20%を上回る質量が、前記クラブヘッドの長さの最後尾20%内に配置される、項目1に記載のゴルフクラブヘッド。
(項目3)
前記クラブヘッドの25%を上回る質量が、前記クラブヘッドの長さの最後尾20%内に配置される、項目1に記載のゴルフクラブヘッド。
(項目4)
前記クラブヘッドの10%を上回る質量が、前記クラブヘッドの長さの最後尾10%内に配置される、項目1に記載のゴルフクラブヘッド。
(項目5)
前記クラブヘッドの15%を上回る質量が、前記クラブヘッドの長さの最後尾10%内に配置される、項目1に記載のゴルフクラブヘッド。
(項目6)
前記ゴルフクラブヘッドは、さらに、前記ヘッド本体の前記ヘッドソール部及び前記ヘッド後部の付近に配置された錘構造体であって、時計盤の5時線と8時線との間に配置された錘構造体重心を備える前記錘構造体を備え、
前記時計盤は、
12時線、
3時線、
4時線、
5時線、
8時線、及び
9時線を備え、
前記ゴルフクラブヘッドの底面から見て前記ゴルフクラブヘッドがアドレス部にあるとき、前記12時線は、前記打撃フェース中心点と位置合わせされ、ロフト面と地面との間の前部交線に直交しており、
前記時計盤が、前記ヘッド前部の前端と前記ヘッド後部の後端の間の中点において、前記12時線に沿って中央に配置され、
前記3時線が、前記ヘッドヒール部に向かって延び、
前記9時線が、前記ヘッドトウ部に向かって延びる、項目1に記載のゴルフクラブヘッド。
(項目7)
前記錘構造体が、前記ヘッドソール部の外部輪郭から少なくとも部分的に突出する、項目6に記載のゴルフクラブヘッド。
(項目8)
前記ゴルフクラブヘッドは、さらに、前記ヘッド上部上に位置決めされた1つ以上の細領域であって、0.020インチ未満の厚さを備える前記1つ以上の細領域を備える、項目1に記載のゴルフクラブヘッド。
(項目9)
前記ゴルフクラブヘッドは、さらに、前記クラブヘッドの前記ヘッド後部の縁部の1.0インチ以内に位置決めされた錘であって、10.0より大きい比重及び10グラムより大きい質量を有する前記錘を備える、項目1に記載のゴルフクラブヘッド。
(項目10)
前記錘が、前記ヘッド重心から1.5インチを超えて位置決めされる、項目9に記載のゴルフクラブヘッド。
(項目11)
前記ゴルフクラブヘッドは、さらに、クラウン角を備え、
前記クラウン角が前記打撃フェースの前記幾何学中心を通って切断された前記クラブヘッドの側断面図において測定される場合、前記クラウン角は70度未満であり、
前記クラウン角が前記打撃フェースの前記幾何学中心から前記ヘッドトウ部に約1.0インチ寄って配置された点を通って切断された前記クラブヘッドの側断面図で測定される場合、前記クラウン角は79度未満である、項目1に記載のゴルフクラブヘッド。
(項目12)
ゴルフクラブヘッドであって、
ヘッド前部、ヘッド後部、ヘッドヒール部、ヘッドトウ部、ヘッド上部及びヘッドソール部によって境界付けられたヘッド内部を備えるヘッド本体と、
幾何学中心を有する打撃フェースと、
ヘッドCG深さ及びヘッドCG高さを有するヘッド重心と、を備え、
前記クラブヘッドが、ドライバー型本体を備え、
前記CG高さが、約0mmから約12.8mmであり、
前記ヘッドCG深さが、約35mmから約90mmであり、
前記ゴルフクラブヘッドのヘッド容量が、約300ccから約400ccであり、
前記ゴルフクラブヘッドのヘッド重量が、約190グラムから約240グラムであり、
前記クラブヘッドの15%を上回る質量が、前記クラブヘッドの長さの最後尾20%内に配置され、
前記クラブヘッドの5%を上回る質量が、前記クラブヘッドの長さの最後尾10%内に配置される、ゴルフクラブヘッド。
(項目13)
前記クラブヘッドの20%を上回る質量が、前記クラブヘッドの長さの最後尾20%内に配置される、項目12に記載のゴルフクラブヘッド。
(項目14)
前記クラブヘッドの25%を上回る質量が、前記クラブヘッドの長さの最後尾20%内に配置される、項目12に記載のゴルフクラブヘッド。
(項目15)
前記クラブヘッドの10%を上回る質量が、前記クラブヘッドの長さの最後尾10%内に配置される、項目12に記載のゴルフクラブヘッド。
(項目16)
前記クラブヘッドの15%を上回る質量が、前記クラブヘッドの長さの最後尾10%内に配置される、項目12に記載のゴルフクラブヘッド。
(項目17)
前記ゴルフクラブヘッドは、さらに、前記ヘッド本体の前記ヘッドソール部及び前記ヘッド後部の付近に配置された錘構造体であって、時計盤の5時線と8時線との間に配置された錘構造体重心を備える前記錘構造体を備え、
前記時計盤は、
12時線、
3時線、
4時線、
5時線、
8時線、及び
9時線を備え、
前記ゴルフクラブヘッドの底面から見て前記ゴルフクラブヘッドがアドレス部にあるとき、前記12時線は、前記打撃フェース中心点と位置合わせされ、ロフト面と地面との間の前部交線に直交しており、
前記時計盤が、前記ヘッド前部の前端と前記ヘッド後部の後端の間の中点において、前記12時線に沿って中央に配置され、
前記3時線が、前記ヘッドヒール部に向かって延び、
前記9時線が、前記ヘッドトウ部に向かって延びる、項目12に記載のゴルフクラブヘッド。
(項目18)
前記錘構造体が、前記ヘッドソール部の外部輪郭から少なくとも部分的に突出する、項目17に記載のゴルフクラブヘッド。
(項目19)
前記ゴルフクラブヘッドは、さらに、前記ヘッド上部上に位置決めされた1つ以上の細領域であって、0.020インチ未満の厚さを備える前記1つ以上の細領域を備える、項目12に記載のゴルフクラブヘッド。
(項目20)
前記ゴルフクラブヘッドは、さらに、前記クラブヘッドの前記ヘッド後部の縁部の1.0インチ以内に位置決めされた錘を備える、項目12に記載のゴルフクラブヘッド。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9