(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-15
(45)【発行日】2022-07-26
(54)【発明の名称】飲料を調製するための装置及び方法並びに該装置及び交換可能なカプセルを含むシステム
(51)【国際特許分類】
A47J 31/34 20060101AFI20220719BHJP
【FI】
A47J31/34
(21)【出願番号】P 2019505159
(86)(22)【出願日】2017-08-03
(86)【国際出願番号】 NL2017050509
(87)【国際公開番号】W WO2018026269
(87)【国際公開日】2018-02-08
【審査請求日】2020-07-30
(32)【優先日】2016-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】512164779
【氏名又は名称】コーニンクラケ ダウ エグバート ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100085545
【氏名又は名称】松井 光夫
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【氏名又は名称】村上 博司
(72)【発明者】
【氏名】リジスカンプ,ピーター
(72)【発明者】
【氏名】オジンク,ジューディス マーグリート ハネケ
(72)【発明者】
【氏名】コーイケル,クラース
(72)【発明者】
【氏名】ビークマン,ジャーノ
【審査官】根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-533565(JP,A)
【文献】特表2013-507211(JP,A)
【文献】特表2009-545412(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/00-31/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
消費するのに適量の飲料を調製するための装置(2)であって、
交換可能なカプセル(4A、4B)を保持するための淹出チャンバ(22A、22B)を形成する
ところの第1の淹出チャンバ部分(18)および第2の淹出チャンバ部分(20)と、
ここで、前記第1の淹出チャンバ部分(18)は空洞(24)を規定し、及び、前記第1の淹出チャンバ部分(18)の底部表面には、前記底部表面から離れた方向に突出する穿孔手段(44)が設けられており、
並びに、
前記交換可能なカプセルに、圧力下で、所定量の流体、例えば水を供給するための流体分注デバイス
とを備え、
前記第1の淹出チャンバ部分
(18)と前記第2の淹出チャンバ部分(20)は、第1の相対位置と第2の相対位置の間を互いに移動可能であり、
前記第1の相対位置は、前記カプセルを前記淹出チャンバ
(22A、22B)に挿入することが可能な開状態を規定しており、前記第2の相対位置は、前記淹出チャンバ
(22A、22B)が前記カプセルを取り囲む閉状態を規定しており、
第1の付勢部材(42)が、前記第2の淹出チャンバ部分
(20)の方に前記カプセルを付勢するように、および前記開状態では、前記交換可能なカプセルの底部を前記穿孔手段から離れるように付勢するように、前記空洞(24)の内部にある前記第1の淹出チャンバ部分(18)の底部表面に配置されており、第2の付勢部材(82、84)が、前記第1の淹出チャンバ部分
(18)と前記第2の淹出チャンバ部分
(20)とを相互の方向に付勢するように配置されており、
前記第1の付勢部材(42)は、前記第2の付勢部材(82、84)よりも高い剛性を有する、
前記装置(2)。
【請求項2】
前記第1の淹出チャンバ部分
(18)は、第2の淹出チャンバ部分
(20)との前記第1の相対位置であると想定されるローディング位置を規定する第1の絶対位置と、第2の淹出チャンバ部分
(20)との前記第2の相対位置であると想定される淹出位置を規定する第2の絶対位置との間を移動可能である、請求項1に記載の装置(2)。
【請求項3】
前記第2の淹出チャンバ部分
(20)は、第1の淹出チャンバ部分
(18)との前記第1の相対位置であると想定されるローディング位置を規定する第1の絶対位置と、第1の淹出チャンバ部分
(18)との前記第2の相対位置であると想定される淹出位置を規定する第2の絶対位置との間を移動可能である、請求項1または2に記載の装置(2)。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の装置と、少なくとも1つの交換可能なカプセル(4A、4B)とを備える、消費するのに適量の飲料を調製するためのシステム(1)。
【請求項5】
前記少なくとも1つの交換可能なカプセル(4A)は、第1の交換可能なカプセルであり、
前記システムは、前記第1の交換可能なカプセルとは異なる第2の交換可能なカプセルを少なくとも含み、
前記淹出チャンバ
(22A、22B)は、前記第1の交換可能なカプセルおよび前記第2の交換可能なカプセルのうち1つを選択的に保持するためのものである、請求項4に記載のシステム(1)。
【請求項6】
前記第1の交換可能なカプセルと前記第2の交換可能なカプセルは、前記第1および前記第2の交換可能なカプセルの一方の底部が前記第1および前記第2の交換可能なカプセルの他方の底部よりも穿孔に対する抵抗が小さいという点で、互いに異なっている、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1の付勢部材は、前記第1の淹出チャンバ部分
(18)の空洞に挿入された交換可能なカプセルの底部によって少なくとも部分的に形成されており、最も弱いカプセルの底部を含む前記第1の付勢部材は、前記第2の付勢部材より高い剛性を有する、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記第2のカプセルの軸方向の長さは、前記第1のカプセルの軸方向の長さより長い、請求項5~7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記第2の交換可能なカプセルは、前記第1の交換可能なカプセル(4A)が第1のフランジ(14A)を備える第1の本体を有し、前記第2の交換可能なカプセル(4B)が第2のフランジ(14B)を備える第2の本体を有し、前記第2のフランジが前記第1のフランジより直径が大きいという点で、前記第1の交換可能なカプセルとは異なっている、請求項5~8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記第1の
淹出チャンバ部分(18)は、前記第1および前記第2の交換可能なカプセルのうちの1つを選択的に保持するための空洞(24)を有し、
前記
第1の淹出チャンバ部分
(18)は、
前記空洞内に第1の実質的に環状の隣接面(26)と、第2の実質的に環状の隣接面(28)とを有しており、
ここで、前記第1の隣接面(26)は、前記空洞が前記第1の交換可能なカプセル(4A)を保持するときに、前記第1の隣接面に対して前記第1のフランジ(14A)を接触させるように配置されており、前記第2の隣接面(28)は、前記空洞が前記第2の交換可能なカプセル(4B)を保持するときに、前記第2の隣接面に対して前記第2のフランジ(14B)を接触させるように配置されている、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記第1の実質的に環状の隣接面(26)は、前記第1の淹出チャンバ部分(18)の軸方向に、第2の実質的に環状の隣接面(28)から空間的に離れており、前記第1の実質的に環状の隣接面(26)と前記第2の実質的に環状の隣接面(28)とは、互いに固定されている、
請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記第2の淹出チャンバ部分(20)は、前記第1の交換可能なカプセル(4A)の第1の出口領域(13A)または前記第2の交換可能なカプセル(4B)の第2の出口領域(13A)に接触するための抽出プレート(30)を備えており、前記抽出プレート(30)は、中央部分(32)と周辺部分(34)とを備えており、前記中央部分(32)は、前記周辺部分(34)に対して、例えば、軸方向に移動可能である、請求項10または11に記載のシステム。
【請求項13】
前記空洞(24)が淹出中に前記第2のカプセル(4B)を保持しているとき、前記周辺部分(34)が前記第2の出口領域(13B)に対して接触するように配置されており、前記空洞が淹出中に前記第1のカプセル(4A)を保持しているとき、前記周辺部分(34)が前記第1の淹出チャンバ部分(18)に対して接触するように配置されている、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記第2の交換可能なカプセルは、前記第1の交換可能なカプセルより大きく、
前記第1の淹出チャンバ部分
(18)は、前記淹出チャンバ
(22A、22B)が前記第1の交換可能なカプセルを保持するときに、前記第1の交換可能なカプセルによって占められていない第1のボリューム部を有しており、
前記第1のボリューム部は、前記淹出チャンバ
(22A、22B)が前記第2のカプセルを保持するときに、前記第2の交換可能なカプセルの一部を保持するように配置されており、
前記第1の淹出チャンバ部分
(18)は、前記淹出チャンバ
(22A、22B)が前記第2のカプセルを保持するときに、前記第2の交換可能なカプセルによって占められていない第2のボリューム部を有しており、
前記第2のボリューム部は、前記淹出チャンバ
(22A、22B)が前記第1のカプセルを保持するときに、前記第2の淹出チャンバ部分
(20)を受け入れるように配置されている、請求項5~13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記第1のカプセルと前記第2のカプセルは、直径に対する長さの比率が実質的に同じである、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記第2の交換可能なカプセルは、前記第1の交換可能なカプセルより大きく、
前記第1の淹出チャンバ部分
(18)と前記第1の交換可能なカプセルは、前記第1の交換可能なカプセルを前記第1の淹出チャンバ部分
(18)にロードするときに、前記第1の交換可能なカプセルのフランジ状のリムが前記第1の淹出チャンバ部分
(18)の内側円周方向壁と係合するように互いに適合されており、
前記第1の淹出チャンバ部分
(18)と前記第2の交換可能なカプセルは、前記第2の交換可能なカプセルを前記第1の淹出チャンバ部分
(18)にロードするときに、前記第2の交換可能なカプセルの外側部分が前記第1の淹出チャンバ部分
(18)の内側円周方向壁と係合するように互いに適合されている、請求項5~15のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
前記第1の淹出チャンバ部分
(18)は、前記空洞の底部にセンタリング手段を含み、
前記第1のカプセルおよび前記第2のカプセルは、前記第1のカプセルおよび前記第2のカプセルを前記空洞の底部付近にセンタリングするために、前記センタリング手段と協働するように配置されている、請求項16に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、飲料を調製するためのシステムに関する。本発明は、飲料を調製するための装置および方法にも関する。より特定的には、本発明は、カプセルを用いて飲料を調製するためのシステムに関する。
【0002】
交換可能なカプセルと、第1の淹出チャンバ部分と第2の淹出チャンバ部分を有し、交換可能なカプセルを保持するための淹出チャンバを形成する装置と、交換可能なカプセルに圧力を加えて所定量の流体(例えば水)を供給するための流体分注デバイスとを備える飲料調製システムが知られている。第1の淹出チャンバ部分と第2の淹出チャンバ部分は、相互に移動可能であるため、交換可能なカプセルを淹出チャンバ部分に挿入することが可能な開位置と、第1の淹出チャンバ部分と第2の淹出チャンバ部分が淹出チャンバを形成し、交換可能なカプセルを取り囲む閉位置を提供することができる。典型的には、開位置から閉位置への移動を利用し、淹出プロセスで使用するための交換可能なカプセルを調製する。例えば、この移動の間に、交換可能なカプセルは、ユーザによって挿入されるその元々の位置から、形成される淹出チャンバの内部の最終位置まで強制的に移動されてもよい。また、流体分注デバイスが所定量の流体を供給することができるように、交換可能なカプセルは、この移動中に穿孔されてもよい。交換可能なカプセルが調製される様式が、交換可能なカプセルに使用される材料に依存することが、既知の飲料調製システムの欠点である。例えば、アルミニウム製の交換可能なカプセルは、ポリマー製の交換可能なカプセルと比較すると、穿孔するのが比較的容易な傾向がある。一方で、ポリマー製の交換可能なカプセルは、柔軟性が高く、配置するのがより簡単な場合がある。したがって、交換可能なカプセルが準備される様式は、作製される物質に依存してもよい。
【発明の概要】
【0003】
本発明の目的は、交換可能なカプセルの物質が、淹出のための調製プロセスに影響を与えることを避ける、飲料を調製するための装置を提供することである。
【0004】
本発明のさらなる目的は、交換可能なカプセルの物質が、淹出のための調製プロセスに影響を与えることを避ける、飲料を調製するための方法を提供することである。
【0005】
本発明のなおさらなる目的は、交換可能なカプセルの物質が、淹出のための調製プロセスに影響を与えることを避ける、飲料を調製するためのシステムを提供することである。
【0006】
本発明の第1の態様では、交換可能なカプセルを保持するための淹出チャンバを形成する第1の淹出チャンバ部分と第2の淹出チャンバ部分とを含む、消費するのに適量の飲料を調製するための装置が提供される。装置は、さらに、所定量の流体(例えば水)を交換可能なカプセルに圧力を加えて供給するための流体分注デバイスを備えている。淹出チャンバ部分の第1の相対位置は、カプセルを淹出チャンバに挿入することができる開位置を規定する。第2の相対位置は、淹出チャンバがカプセルを取り囲む閉状態を規定する。第2の付勢部材によって、淹出チャンバ部分が相互に移動することができるが、それぞれの他の淹出チャンバ部分に向かう方向に淹出チャンバ部分を付勢する。外的なアクチュエーション機構(例えば、ユーザが駆動するアクチュエータ、例えば、ハンドルまたは電気仕掛けのアクチュエータ)を用い、淹出チャンバ部分を第1の相対位置から第2の相対位置まで移動するとき、第2の付勢部材によって、淹出チャンバ部分の間の隣接力が、付勢部材の付勢力を超え、ただし、付勢部材の動的範囲を超えない場合には、淹出チャンバ部分は、相互に降伏する。また、第1の相対位置から第2の相対位置へのこの移動中に、第1の付勢部材は、第2の淹出チャンバ部分に向かうようにカプセルを付勢する。第1の付勢部材が第2の付勢部材より高い剛性を有するため、第2の付勢部材が、その動的範囲を超えるか、または機械的な停止が行われるまで、カプセルは、閉じる移動中に第2の淹出チャンバ部分に向かうように付勢されたままであろう。
【0007】
結果として、カプセルが第1の淹出チャンバ部分に完全に挿入されるまでは、淹出チャンバは、まず、その閉状態が前提となる。付勢部材(例えば、第1または第2の付勢部材)は、種々の様式で提供されてもよい。例えば、板バネまたはコイルバネなどの弾性要素として、付勢部材は、付勢される部分に対して、押したり、または引っ張ったりする力を加えてもよい。付勢部材の他の例は、空気式バネ、磁気要素の対である。
【0008】
ある態様によれば、消費するのに適量の飲料を調製する方法が提供される。この方法は、
-第1の淹出チャンバ部分と第2の淹出チャンバ部分とを提供し、ただし、第1の淹出チャンバ部分と第2の淹出チャンバ部分は、交換可能なカプセルを挿入することのできる開状態と、第1の淹出チャンバ部分および第2の淹出チャンバ部分が、交換可能なカプセルを保持するための淹出チャンバを形成する閉状態との間を、相互に移動可能であり、
-所定量の流体、例えば水を、閉状態にある交換可能なカプセルに圧力を加えて供給するための流体分注デバイスを提供し、
-交換可能なカプセルに、第1の淹出チャンバ部分から離れるように(第1の付勢方向に)第1の力を付勢し、第2の淹出チャンバ部分に、第1の淹出チャンバ部分に向かうように(第2の付勢方向に)第2の力を付勢し、ただし、第1の淹出チャンバ部分に向かう交換可能なカプセルの第1の位置移動の際に及ぼされる第2の力は、第2の淹出チャンバ部分に向かう第1の淹出チャンバ部分の第1の位置移動と同大きさ有する位置移動の際に及ぼされる第1の力よりも強い、方法。
【0009】
用途に応じて、第1の相対位置と第2の相対位置との間の移動は、淹出チャンバ部分の一方が、装置内の所定の絶対位置を有し、淹出チャンバ部分の他方が、装置内を移動可能であるようにして、達成可能であろう。一実施形態では、第1の淹出チャンバ部分は、第2の淹出チャンバ部分との第1の相対位置であると想定されるローディング位置を規定する第1の絶対位置と、第2の淹出チャンバ部分との第2の相対位置であると想定される淹出位置を規定する第2の絶対位置との間を移動可能である。代替的な実施形態では、第2の淹出チャンバ部分は、第1の淹出チャンバ部分との第1の相対位置であると想定されるローディング位置を規定する第1の絶対位置と、第1の淹出チャンバ部分との第2の相対位置であると想定される淹出位置を規定する第2の絶対位置との間を移動可能である。比較的安い製造コストという観点から、たった1個の移動可能な淹出チャンバ部分を有する実施形態が望ましい。
【0010】
または、両淹出チャンバ部分が、装置内に移動可能に配置されていてもよい。ここで、第1の淹出チャンバ部分は、装置内で、適切なローディング位置と適切な淹出位置の間を移動可能である。これに加えて、第2の淹出チャンバ部分は、装置内で、適切なローディング位置と適切な淹出位置の間を移動可能である。両方の淹出チャンバ部分が装置内に移動可能に配置される実施形態によって、この装置は、より広い範囲の交換可能なカプセルにとって許容されるものとなる。
【0011】
淹出チャンバ部分がそれぞれ、装置内を移動可能であるか、またはたった1個だけが移動可能であるかにかかわらず、淹出チャンバ部分を互いに向けて付勢させるための種々の選択肢が可能である。ある実施形態では、第2の付勢部材は、第2の淹出チャンバ部分に向かう方向に第1の淹出チャンバ部分を付勢するための付勢部材を備えている。別の実施形態では、第2の付勢部材は、第1の淹出チャンバ部分に向かう方向に第2の淹出チャンバ部分を付勢するための付勢部材を備えている。また、これら両方の種類の付勢要素の組み合わせを適用してもよい。付勢要素は、さらなる目的のために機能してもよく、例えば、ロッキング部材または密封部材の位置決めのために機能してもよい。
【0012】
ある態様によれば、淹出チャンバは、第1の交換可能なカプセルおよび第2の交換可能なカプセルを交換可能なカプセルとして選択的に保持するように配置され、第2の交換可能なカプセルは、第1の交換可能なカプセルとは異なっている。第2の淹出チャンバ部分は、その淹出位置としての第1の淹出位置および第2の淹出位置のうち1つに移動可能であってもよい。淹出位置にある第1の淹出チャンバ部分が、第1の淹出位置にある第2の淹出チャンバ部分と共に、第1の交換可能なカプセルが淹出チャンバ内に収まる閉位置を規定する。淹出位置にある第1の淹出チャンバ部分が、第2の淹出位置にある第2の淹出チャンバ部分と共に、第2の交換可能なカプセルが淹出チャンバ内に収まる閉位置を規定する。淹出チャンバを開状態から閉状態まで移動する間の第1の交換可能なカプセルの調製プロセスは、その移動中の第2の交換可能なカプセルの調製プロセスと同様に達成することができる。
【0013】
場合により、第1の淹出チャンバ部分の空洞は、第1のカプセルまたは第2のカプセルを受け入れるように配置されている。第1の淹出チャンバ部分の空洞は、第1のカプセルまたは第2のカプセルを保持するように配置された所定の空洞であってもよい。空洞は、第1または第2のカプセルを保持するために不変の形状を有していてもよい。第1の淹出チャンバ部分は、第1の淹出チャンバ部分の構造を変えることなく第1のカプセルまたは第2のカプセルを保持するように配置されていてもよい。第1の淹出チャンバ部分は、モノリス部分であってもよい。
【0014】
ある態様によれば、システムは、第1の淹出位置で、または第1の淹出位置付近で、第2の淹出チャンバ部分を選択的にロックするように配置されたロッキングユニットを備えている。第2の淹出チャンバ部分の第1の淹出位置は、そのローディング位置と一致していてもよい。第1の交換可能なカプセルがロードされ、その後に、淹出チャンバを第2の相対位置にするとき、第2の淹出チャンバ部分の位置を変える必要がないことが利点である。この場合、第1の淹出チャンバ部分と第2の淹出チャンバ部分の互いに対する付勢は、第1の淹出チャンバ部分に連結した付勢部材によって与えられてもよい。
【0015】
ある態様によれば、装置によって選択的に使用される第1および第2の交換可能なカプセルは、第1の交換可能なカプセルが、第1のフランジを備える第1の本体を有し、第2の交換可能なカプセルは、第2のフランジを備える第2の本体を有し、第2のフランジが、第1のフランジより直径が大きいという点で、互いに異なっていてもよい。これらの相互に異なる第1のカプセルおよび第2のカプセルを用いる装置の実施形態では、第1の淹出チャンバ部分は、第1および第2の交換可能なカプセルのうち1つを選択的に保持するための空洞を有する。この実施形態の淹出チャンバ部分は、空洞内に第1の実質的に環状の隣接面と第2の実質的に環状の隣接面とを有していてもよく、ここで、第1の隣接面は、空洞が第1の交換可能なカプセルを保持するときに、これに対して第1のフランジを隣接させるように配置され、第2の隣接面は、空洞が第2の交換可能なカプセルを保持するときに、これに対して第2のフランジを隣接させるように配置される。これと共に、装置は、フランジの大きさは異なるが、両方のカプセルと適切に協働することができる。この態様のある実施形態では、第1の実質的に環状の隣接面は、第1の淹出チャンバ部分の軸方向に、第2の実質的に環状の隣接面から空間的に離れている。これと共に、第1の淹出チャンバ部分にロードされたときに、第1の交換可能なカプセルの底部と、第2の交換可能なカプセルの底部が、第1の淹出チャンバ部分の空洞の底部に対して所定の位置を有することを達成可能である。これと共に、これらの第1および第2の交換可能なカプセルの調製プロセスを同調させてもよい。
【0016】
ある態様によれば、第2の淹出チャンバ部分の抽出プレートは、中央部分と周辺部分とを備えていてもよく、中央部分は、周辺部分に対して軸方向に移動可能である。これと共に、第1の交換可能なカプセルが保持されているか、または第2の交換可能なカプセルが保持されているかにかかわらず、第1の淹出チャンバ部分は、淹出チャンバの閉状態において同じ位置にあると想定することができる。
【0017】
ある実施形態では、中央部分は、第1の密封部材を備えており、周辺部分は、第2の密封部材を備えている。第1の密封部材は、第1の交換可能なカプセルを保持するための淹出チャンバが形成されると、中央部分と第1の淹出チャンバ部分との間に流体を密封する係合部を提供するように配置されている。第2の交換可能なカプセルを保持するための淹出チャンバが形成されると、第2の密封部材は、周辺部分と第1の淹出チャンバ部分との間に流体を密封する係合部を提供する。
【0018】
代替的な実施形態では、淹出チャンバが第1の交換可能なカプセルを保持すると、第1の密封部材は、中央部分と、第2の淹出チャンバ部分に面する第1のカプセルの一部との間に流体を密封する係合部を提供する。周辺部分は、淹出チャンバが第2の交換可能なカプセルを保持すると、周辺部分と、第2の淹出チャンバ部分に面する第2のカプセルの一部との間に流体を密封する係合部を提供する第2の密封部材を備えている。
【0019】
廃液を最小限にするための態様によれば、淹出チャンバが第1の交換可能なカプセルを保持するとき、第1の淹出チャンバ部分が、第1の交換可能なカプセルによって占められていない第1のボリューム部を有し、第1のボリューム部は、淹出チャンバが第2のカプセルを保持するときに、第2の交換可能なカプセルの一部を保持するように配置される、実施形態が提供される。同様に、淹出チャンバが第2の交換可能なカプセルを保持するとき、第1の淹出チャンバ部分は、第2の交換可能なカプセルによって占められていない第2のボリューム部を有し、第2のボリューム部は、淹出チャンバが第1のカプセルを保持するときに、第2の淹出チャンバ部分を受け入れるように配置されている。
【0020】
ある態様によれば、装置が小さな交換可能なカプセルを使用するか、または大きな交換可能なカプセルを使用するかにかかわらず、同様の操作条件を有するために、装置が、小さな交換可能なカプセルによって規定される第1の出口領域と大きな交換可能なカプセルによって規定される第2の出口領域のうち1つと選択的に係合する複数の除去要素を備える抽出プレートを備える、実施形態が提供される。淹出するとき、装置の流体分注デバイスは、出口領域を開けるために、出口領域を除去要素に対して押すように、交換可能なカプセルの選択した1つに対し、所定量の流体(例えば水)を圧力を加えて供給する。抽出プレートと第2の出口領域は、第2の出口領域の開放したときの流れ抵抗が、第1の出口領域の開放したときの流れ抵抗より小さくなるように互いに適合される実施形態が想定されてもよい。
【0021】
ある態様によれば、第1の淹出チャンバ部分と第1の交換可能なカプセルは第1の交換可能なカプセルを第1の淹出チャンバ部分にロードしたときに、第1の交換可能なカプセルのフランジ状のリムが、第1の淹出チャンバ部分の内側円周方向壁と係合するように互いに適合される。さらに、第1の淹出チャンバ部分と第2の交換可能なカプセルは、第2の交換可能なカプセルを第1の淹出チャンバ部分にロードしたときに、第2の交換可能なカプセルの外側部分が、第1の淹出チャンバ部分の内側円周方向壁と係合するように互いに適合される。これにより、相互に異なる第1および第2の交換可能なカプセルを含むシステムの一部としての装置の操作をさらに容易にする。
【0022】
ある態様によれば、消費するのに適量の飲料を調製するためのシステムであって、上に明記した第1の態様および/または他の態様のいずれか、またはこのような態様の組み合わせに係る装置を含み、さらに少なくとも1つの交換可能なカプセルを含む、システムが提供される。
【0023】
少なくとも1つの交換可能なカプセルが第1の交換可能なカプセルであるシステム、第1の交換可能なカプセルとは異なる第2の交換可能なカプセルを少なくとも含むシステムの一態様によれば、淹出チャンバは、第1の交換可能なカプセルおよび第2の交換可能なカプセルのうち1つを選択的に保持するためのものである。
【0024】
装置の観点で記載される実施形態、態様、特徴および選択肢のいずれかを、システム、カプセルおよび方法に等しく適用することが理解されるだろう。上述の実施形態、態様、特徴および選択肢のうち任意の1つ以上を組み合わせてもよいことも明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本発明は、図面に表される例示的な実施形態を基礎にしてさらに明らかになるだろう。例示的な実施形態は、非限定的な例示によって与えられる。なお、図面は、非限定例として与えられる本発明の実施形態の単なる模式的な代表例である。
【
図1A】
図1Aおよび1Bは、システムの模式的な代表図を示し、ここで、
図1Aは、装置と第1の交換可能なカプセルとで形成されるシステムを示す。
【
図1B】
図1Aおよび1Bは、システムの模式的な代表図を示し、ここで、
図1Bは、装置と第2の交換可能なカプセルとで形成されるシステムを示す。
【
図3A】
図3Aおよび3Bは、第1の交換可能なカプセルと協働するときの装置のロッキング機構の機能を示し、ここで、
図3Aは、第1の交換可能なカプセルについて準備位置にある装置を示す。
【
図3B】
図3Aおよび3Bは、第1の交換可能なカプセルと協働するときの装置のロッキング機構の機能を示し、ここで、
図3Bは、第1の交換可能なカプセルについて淹出位置にある装置を示す。
【
図4A】
図4Aおよび4Bは、第2の交換可能なカプセルと協働するときの装置のロッキング機構の機能を示し、ここで、
図4Aは、第2の交換可能なカプセルについて準備位置にある装置を示す。
【
図4B】
図4Aおよび4Bは、第2の交換可能なカプセルと協働するときの装置のロッキング機構の機能を示し、ここで、
図4Bは、第2の交換可能なカプセルについて淹出位置にある装置を示す。
【
図5A】
図5A~5Cは、抑止リングの機能を示し、ここで、
図5Aは、第1の交換可能なカプセルに関連して準備位置の抑止リングを示す。
【
図5B】
図5A~5Cは、抑止リングの機能を示し、ここで、
図5Bは、第1の交換可能なカプセルに関連して準備位置と淹出位置の中間の位置の抑止リングを示
【
図5C】
図5A~5Cは、抑止リングの機能を示し、ここで、
図5Cは、第1の交換可能なカプセルに関連して淹出位置の抑止リングを示す。
【
図6A】
図6Aは、抽出中の淹出チャンバ内の第1の交換可能なカプセルを示す。
【
図6B】
図6Bは、抽出中の淹出チャンバ内の第2の交換可能なカプセル4Bを示す。
【
図7A】
図7Aは、第1の交換可能なカプセルに対する第1の淹出チャンバ部分の放出位置を示す。
【
図7B】
図7Bは、第2の交換可能なカプセルに対する第1の淹出チャンバ部分の放出位置を示す。
【
図8A】
図8Aは、第1の淹出チャンバ部分と第2の淹出チャンバ部分によって形成された淹出チャンバに挿入される第1の交換可能なカプセルの一例を示す。
【
図8B】
図8Bは、第1の淹出チャンバ部分と第2の淹出チャンバ部分によって形成された淹出チャンバに挿入される第2の交換可能なカプセルの一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1Aおよび1Bは、飲料を調製するための装置2の模式的な断面図を示す。装置2は、交換可能なカプセル(例えば、第1の交換可能なカプセル4Aおよび第2の交換可能なカプセル4B)と協働するような構成である。装置2と、交換可能なカプセル4Aおよび4Bのいずれか1つとで、飲料を調製するためのシステム1を形成する。したがって、装置2は、第1のカプセル4Aと協働し、システム1を形成するような構成であるだけではなく、第2の交換可能なカプセル4Bと協働し、システムを形成するような構成である。
図1Aと
図1Bに示される装置2は、1つであり、同じ装置である。装置2は、第1のカプセル4Aと選択的に協働するように配置される(
図1Aを参照)か、または第2のカプセル4Bと選択的に協働するように配置される(
図1Bを参照)。システム1は、装置2と、第1のカプセル4Aと、第2のカプセル4Bとを含んでいてもよいことが理解されるだろう。
【0027】
または、装置は、たった1種類の交換可能なカプセル(例えば第2の交換可能なカプセル)とシステムを形成するような構成であってもよい。
【0028】
第1のカプセル4Aと第2のカプセル4Bは、異なる種類のカプセルである。この例では、第2のカプセル4Bは、第1のカプセル4Aより大きい。第2のカプセル4Bの軸方向の長さLBは、第1のカプセル4Aの軸方向の長さLAより長い。第2のカプセル4Bの直径DBは、第1のカプセル4Aの直径DAより大きい。この違いにもかかわらず、この例では、第1のカプセル4Aと第2のカプセル4Bは、同様の視覚的印象を与えるように設計されている。第1のカプセル4Aと第2のカプセル4Bは、同じ系統の見た目と触感を有するように設計されている。ここで、第1のカプセル4Aの軸方向の長さと直径の比率LA/DAは、第2のカプセル4Bの軸方向の長さと直径の比率LB/DBと実質的に同じである。好ましくは、第1のカプセルおよび第2のカプセルの直径に対する長さの比率は、20%以内、好ましくは10%以内で同一であり、例えば、同一である。
【0029】
同様であることから、カプセル4A、4Bを両方とも同時に記載する。この例では、カプセル4A、4Bは、両方ともカップ型の本体6A、6Bを備えている。ここで、カップ型の本体6A、6Bは、底部8A、8Bと、円周方向壁10A、10Bとを有している。底部8A、8Bと円周方向壁10A、10Bは、モノリス部分を形成していてもよい。カプセル4A、4Bは、両方とも蓋12A、12Bを備えている。蓋12A、12Bは、カップ型の本体6A、6Bの開放端を閉じる。蓋12A、12Bは、出口領域13A、13Bを含み、以下に説明するように、この出口領域を通り、飲料をカプセルから放出することができる。この例では、蓋12A、12Bは、カプセル4A、4Bのフランジ状のリム14A、14Bに接続している。ここで、リム14A、14Bは、外側に延びているリムである。底部8A、8B、円周方向壁10A、10Bおよびリム14A、14Bは、モノリス部分を形成していてもよい。ここで、出口領域13A、13Bは、蓋12A、12Bの領域のうち、飲料が潜在的にカプセル4A、4Bから出て行くことができる領域を規定する。したがって、リム14A、14Bに対して密封された蓋12A、12Bの領域は、出口領域13A、13Bの部分を構成しない。この例では、カプセル4A、4Bは、蓋12A、12Bの底部8A、8Bから延びる軸に沿って実質的に回転対称である。カップ型の本体6A、6Bと蓋12A、12Bは、カプセルの内部空間16A、16Bを取り囲む。内部空間16A、16Bは、多量の飲料成分(例えば、抽出可能な物質または可溶性物質)を含む。飲料成分は、例えば、ローストし、粉砕したコーヒー、紅茶などであってもよい。飲料成分は、粉末状コーヒーであってもよい。飲料成分は、液体であってもよい。カプセル4A、4Bの大きさが異なるという観点で、第2のカプセル4Bは、第1のカプセル4Aよりも大量の飲料成分を含んでいてもよいことが理解されるだろう。この例では、第2のカプセル4Bの内部空間16Bは、第1のカプセル4Aの内部空間16Aの約2倍である。例えば、第1のカプセル4Aは、4~8グラム、例えば、約6グラムの粉砕したコーヒーを含んでいてもよい。例えば、第2のカプセル4Bは、8~16グラム、例えば、約12グラムの粉砕したコーヒーを含んでいてもよい。
【0030】
カップ型の本体6A、6Bは、金属箔(例えば、アルミニウム箔)、プラスチック材料(例えば、ポリプロピレンまたはポリエチレン)、またはこれらの組み合わせから製造されていてもよい。カップ型の本体6A、6Bは、プレス加工、深絞り、真空成形、射出成形などによって製造されてもよい。カプセル4A、4Bがいわゆる閉じたカプセルである場合に、蓋は、金属箔(例えば、アルミニウム箔)、プラスチック材料(例えば、ポリプロピレンまたはポリエチレン)、またはこれらの組み合わせから製造されていてもよい。このことは、装置に挿入される前は、カプセルが密封した状態で閉じられていることを示す。この閉じたカプセルは、以下に記載するように、装置によって開けることができる。または、密封されていないカプセルまたは再充填可能なカプセルも使用可能である。交換可能なカプセルは、製造する材料とその厚みに依存して、異なる機械特性を有していてもよい。例えば、アルミニウム製の交換可能なカプセルは、ポリマー製の交換可能なカプセルと比較すると、穿孔するのが比較的容易な傾向がある。一方で、ポリマー製の交換可能なカプセルは、柔軟性が高く、配置するのがより簡単な場合がある。
【0031】
装置は、相互に移動可能な第1の淹出チャンバ部分18と第2の淹出チャンバ部分20とを備えている。
図1Aおよび
図1Bにおいて、第1の相対位置にある第1の淹出チャンバ部分18と第2の淹出チャンバ部分20が示されている。この第1の相対位置では、第1の淹出チャンバ部分と第2の淹出チャンバ部分は、装置に交換可能なカプセルをロードすることが可能な開状態を規定している。
図1Aでは、第1の淹出チャンバ部分18には、第1の交換可能なカプセル4Aが入っている。
図1Bでは、第1の淹出チャンバ部分18には、第2の交換可能なカプセル4Bが入っている。図示される実施形態では、淹出チャンバ部分18、20は、それぞれ、装置に対して移動可能である。
【0032】
第1の淹出チャンバ部分18および第2の淹出チャンバ部分20は、第1の相対位置から第2の相対位置まで移動可能である。この実施形態では、第1の淹出チャンバ部分18および第2の淹出チャンバ部分20は、それぞれ、第2の相対位置においてそれぞれの淹出位置にあることを前提としており、これらのチャンバ部分は、互いに閉じて淹出チャンバ22A、22Bを形成する。一例として、
図6Aは、第1の淹出チャンバ部分18および第2の淹出チャンバ部分20が淹出チャンバ22Aを形成し、交換可能なカプセル4Aを取り囲む閉状態を示す。
図6Bは、第1の淹出チャンバ部分18および第2の淹出チャンバ部分20が淹出チャンバ22Bを形成し、交換可能なカプセル4Bを取り囲む閉状態を示す。
【0033】
この実施形態では、第1の淹出チャンバ部分18のローディング位置(
図1A、1B)は、第1の淹出チャンバ部分の淹出位置(
図6A、6B)とは異なっており、淹出位置では、第1の淹出チャンバ部分18は、第2の淹出チャンバ部分20に対して配置されており、一方、ローディング位置では、一定の距離で配置されており、その結果、第1の淹出チャンバ部分18の空洞24が、交換可能なカプセルをロードするために接近可能である。ローディングをさらに容易にするために、そのローディング位置では、第1の淹出チャンバ部分18は、上から接近可能な空洞24と共に回転する。
【0034】
第2の淹出チャンバ部分20のローディング位置(
図1A、1B)は、第2の淹出チャンバ部分のそれぞれの淹出位置(
図6A、6B)とは異なっており、淹出位置では、第2の淹出チャンバ部分20は、第2の淹出チャンバ部分20に対して配置されており、一方、ローディング位置では、一定の距離で配置されており、その結果、第1の淹出チャンバ部分18の空洞24が、交換可能なカプセルをロードするために接近可能である。
【0035】
図示される実施形態では、淹出チャンバ部分18、20は、それぞれ移動可能である。すなわち、第1の淹出チャンバ部分18は、紙面において左右方向に移動可能であり、さらに、紙面において、回転によって移動可能である。第2の淹出チャンバ部分20は、紙面において左右方向に移動可能である。
【0036】
ここで、第1の淹出チャンバ部分18の空洞24は、第1または第2のカプセル4A、4Bを保持するように配置された所定の空洞24である。ここで、空洞24は、第1または第2のカプセル4A、4Bを保持するために不変の形状を有している。ここで、第1の淹出チャンバ部分18は、第1の淹出チャンバ部分18の構造を変えることなく第1のカプセルまたは第2のカプセル4A、4Bを保持するように配置されている。この例では、第1の淹出チャンバ部分18は、モノリス部分である。
【0037】
第1の淹出チャンバ部分18は、第2の淹出チャンバ部分20に向かう方へカプセル4A、4Bを付勢するように配置された第1の付勢部材を備えている。図示される実施形態では、付勢部材は、らせん形のコイル42によって形成される。または、付勢部材は、板バネまたは別の種類のバネとして与えられてもよい。付勢部材を空気式付勢要素として提供することも想定されていてもよい。
【0038】
そのローディング位置に向かう方に第2の淹出チャンバ部分20を付勢するように配置される第2の付勢部材が与えられる。図示される実施形態では、第2の付勢部材は、コイルバネ84によって形成される。コイルバネ84は、第1の淹出チャンバ部分18の方に向かって付勢するように、第2の淹出チャンバ部分20に力を加える。例えば、板バネまたは空気式要素など、他の手段を使用して付勢力を与えてもよい。
【0039】
また、装置は、所定量の流体(例えば水)を、淹出チャンバ22A、22B中に取り囲まれている交換可能なカプセルに圧力を加えて供給するための流体分注デバイス(図示せず)を備えている。流体分注デバイスは、淹出チャンバの入口(例えば、第1の淹出チャンバ部分18の入口47)に連結していてもよい。
【0040】
第1の淹出チャンバ部分18は、空洞24を有している。空洞24は、交換可能なカプセルを受け入れるように配置される。図示される実施形態では、空洞は、第1の交換可能なカプセル4Aおよび第2の交換可能なカプセル4Bのいずれか1つを交換可能なカプセルとして受け入れるように配置される。この例では、第1の淹出チャンバ部分18は、第1の隣接面26を有している。第1の隣接面は、空洞24の内部に配置される。ここで、第1の隣接面26は、第1のほぼ環状の隣接面である。第1のほぼ環状の隣接面26は、連続して環状であってもよく、または中断された環状、例えば、環に沿って複数のセグメントを含むものであってもよい。第1の隣接面26は、例えば、空洞24の中に突出する1つ以上の弓状の縁部を有する形状をしていてもよい。ここで、第1の隣接面26は、階段形状を有する空洞24を提供する。この例では、第1の淹出チャンバ部分18は、第2の隣接面28を有している。第2の隣接面は、空洞24の開放端付近に配置されている。ここで、第2の隣接面28は、第2のほぼ環状の隣接面である。第2のほぼ環状の隣接面28は、連続して環状であってもよく、または中断された環状、例えば、環に沿って複数のセグメントを含むものであってもよい。第2の隣接面28は、例えば、1つ以上の弓状の縁部を有する形状をしていてもよい。第1の隣接面26と第2の隣接面28は、第1の淹出チャンバ部分18の軸方向に、互いに一定距離をあけて配置されていることが理解されるだろう。第1の隣接面26と第2の隣接面28は、所定の空間をあけて配置されている。第1の隣接面26と第2の隣接面は、互いに固定されている。ここで、第1の淹出チャンバ部分18は、エジェクタ38を備えている。この例では、エジェクタ38は、カプセルに面する弾性要素42の末端に配置された円錐形リング40を備えている。第1の淹出チャンバ部分18は、カプセルの底部を穿孔するための穿孔手段44を備えている。ここで、穿孔手段は、複数のナイフ、例えば、3個のナイフを備えている。これに代えて、またはこれに加えて、穿孔手段は、1つ以上のドリル要素として与えられてもよい。
【0041】
上述のように、代替的な実施形態では、装置2は、1種類の交換可能なカプセル(例えば、交換可能なカプセル4Bのみ)と協働するような構成であってもよい。このような代替的な実施形態では、たった1つの隣接面(例えば隣接面28)で十分である。
【0042】
第2の淹出チャンバ部分20は、抽出プレート30を備えている。
図8Aおよび8Bから最も良くわかるように、この例では、抽出プレート30は、中央部分32と周辺部分34とを備えている。中央部分32は、周辺部分34に対して移動可能である。ここで、中央部分32は、第2の淹出チャンバ部分20の軸方向に移動可能である。相互に移動可能な中央部分32と周辺部分34と共に提供される抽出プレート30は、以下にさらに詳細に記載するように、第1の交換可能なカプセル4Aおよび第2の交換可能なカプセル4Bのいずれか1つの使用をさらに容易にする。それにもかかわらず、他の実施形態では、装置の第2の淹出チャンバ部分20は、たった1つの部分を有するか、または相互に固定された状態で配置された部分を有する抽出プレートを用いて提供されてもよい。
【0043】
したがって、今までに記載したようなシステム1を、以下のように飲料を調製するために使用することができる。システム1のさらなる特徴を、様式に沿って説明する。
【0044】
図1Aおよび1Bの例では、装置2は、カプセルを受け入れるための準備ができた状態である。
図1Aおよび1Bでは、カプセル4A、4Bは、第1の淹出チャンバ部分の空洞18にちょうど挿入されたところである。第1の淹出チャンバ部分18は、傾いた位置にある。空洞24の開放端は、上側を向いている。
【0045】
図1Aに示されるように、第1のカプセル4Aは、重力の影響により、空洞24の中に入り込むことができる。ここで、第1のカプセル4Aのリム14Aは、第1の淹出チャンバ部分18の内部表面36によって導かれる。第1のカプセル4Aの底部8Aは、エジェクタ38に隣接するまで、空洞24の中を下がっていく。ここで、第1のカプセル4Aの底部8Aは、エジェクタ38に対して中央にある。第1のカプセル4Aのリム14Aが、第1の隣接面26と第2の隣接面28との間に配置されていることが理解されるだろう。第1のカプセル4Aの底部8Aは、この段階ではまだ穿孔されていない。装置が、第2のカプセル4Bと共に使用することのみを意図している場合には、第1の隣接面26は、存在しなくてもよい。または、装置が、第1のカプセル4Aと共に使用することのみを意図している場合には、第2の隣接面28は、存在しなくてもよい。
【0046】
図1Bに示されるように、第2のカプセル4Bも、重力の影響により、空洞24の中に入り込むことができる。ここで、第2のカプセル4Bの円周方向壁10Bは、第1の淹出チャンバ部分18の内部表面46によって導かれる。第2のカプセル4Bの底部8Bは、エジェクタ38に隣接するまで、空洞24の中を下がっていく。ここで、第2のカプセル4Bの底部8Bは、エジェクタ38に対して中央にある。穿孔手段44からみると、第2のカプセル4Bのリム14Bが、第2の隣接面28より下に配置されることが理解されるだろう。第2のカプセル4Bの底部8Bは、この段階ではまだ穿孔されていない。
【0047】
図1Aおよび
図1Bに示されるように、カプセル4A、4Bが空洞24に挿入されると、カプセル4A、4Bの周囲で淹出チャンバを閉じるために、第1の淹出チャンバ部分18は、第2の淹出チャンバ部分20の方に向かって動くことができる。第1の淹出チャンバ部分18は、装置のフレーム48内を導かれる。
【0048】
この例では、第1の淹出チャンバ部分18は、
図2Aおよび2Bに示されるように、第1のボス50と、第2のボス52とを備えている。第1のボス50は、フレーム48の第1の溝54の中を導かれる。第2のボス52は、フレーム48の第2の溝56の中を導かれる。ボス50、52と、溝54、56は、第1の淹出チャンバ部分18の後の経路を決定づけることが理解されるだろう。ここで、第1の溝54と第2の溝56は、フレーム48の側壁57に与えられる。第1の溝54は、第1の深さまで側壁57へ延びている。第2の溝56は、第2の深さまで側壁へ延びている。第2の深さは、第1の深さよりも深い。第1のボス50は、第2のボス52よりも大きな直径を有する。第1の溝54は、第2の溝56よりも大きな幅を有する。第1の溝54の幅は、第1のボス50の直径に対応する。第2の溝56の幅は、第2のボス52の直径に対応する。第1の溝54が、第2の溝56とは異なる軌道に沿って延びていることが理解されるだろう。これらの溝の幅および深さが異なることによって、第1および第2のボス50、52は異なる軌道に従う。この構成によって、第1および第2のボス50、52を導くための非常に小型の構造が可能になる。
【0049】
装置2は、レバー58を備えている。レバーは、ユーザによって手動で動かされてもよい。レバーは、レバー軸60の周囲でフレーム48に枢動可能に接続している。第1の淹出チャンバ部分18は、ニージョイント62を介し、フレーム48に接続している。ニージョイント62は、プッシュロッド64とクランク66とを備えている。プッシュロッド64は、ニー軸68で、クランク66に枢動可能に接続している。クランク66は、クランク軸70でフレーム48に枢動可能に接続している。レバー58は、第1の淹出チャンバ部分18を作動状態にアクチュエートするためにニージョイント62に接続している。ここで、レバー58は、レバーリンク74を介し、ニージョイント62に接続している。レバーリンク74は、レバーリンク軸76で、レバー58に枢動可能に接続している。レバーリンク74は、ニーリンク軸78で、プッシュロッド74に枢動可能に接続している。
【0050】
抑止リング80は、第1の淹出チャンバ部分18の周囲に配置されている。
図5A~5Cからさらに詳細にわかるように、抑止リング80は、第1の淹出チャンバ部分18に対し、軸方向に移動可能である。ここで、抑止リング80は、第1の淹出チャンバ部分18の外側表面によって導かれる。抑止リングは、1つ以上の弾性要素82(ここではコイルバネ)を介し、第1の淹出チャンバ部分に接続する。プッシュロッドは、プッシュロッド軸72で、抑止リング80に枢動可能に接続している。したがって、ここでは、ニージョイント62は、抑止リング80および1つ以上の弾性要素82を介し、第1の淹出チャンバ部分18に間接的に接続する。抑止リングの機能を以下に記載する。
【0051】
レバー58を下方向に動かすと、ニージョイント62は、第1の淹出チャンバ部分18を、第2の淹出チャンバ部分20の方に押す。同時に、第1および第2の溝54、56の形状に起因して、第1の淹出チャンバ部分18は、上側に傾いた向きから、第1の淹出チャンバ部分18の軸方向が第2の淹出チャンバ部分20の軸方向と整列するような整列した向きへと回転する。
【0052】
上述のように、装置2は、第1のカプセル4Aまたは第2のカプセル4Bのいずれかと選択的に協働するように配置される。ここで、システム1は、第1のカプセルが挿入されたか、または第2のカプセルが挿入されたかに応じて、淹出チャンバを自動的に調整するように配置される。このことは、第1または第2のカプセルの適切な取り扱いを選択するのにユーザの入力が必要ではないという利点を提供する。したがって、エラーのリスクが大きく減る。
【0053】
上述のように、特に
図1A、1Bおよび
図8A、8Bを参照すると、第2の淹出チャンバ部分20は、中央部分32および周辺部分34と共に抽出プレート30を備えている。ここで、中央部分32は、第2の淹出チャンバ部分20の軸方向に移動可能である。中央部分32は、この例では、フレーム48に対して軸方向にスライドして移動可能なシャフト32’を備えている。中央部分32は、弾性部材84(ここではコイルバネ)として形成された付勢部材を介して、フレーム48に接続する。弾性部材84は、
図1Aおよび1Bの準備位置に向かう方に中央部分を付勢する。これに代えて、またはこれに加えて、1つ以上の他の付勢部材(例えば、中央部分をその準備位置に向かって引っ張る弾性要素)が与えられてもよい。準備位置は、この例では、延びた位置である。これは、第2の淹出チャンバ部分のローディング位置である。中央部分32は、第1のカプセル4Aと協働するために第1の淹出位置に位置していてもよい。中央部分は、第2のカプセル4Bと協働するために第2の淹出位置に位置していてもよい。この例では、システム1は、空洞24が第1のカプセル4Aを保持するとき、中央部分32を第1の淹出位置に、または第1の淹出位置付近にロックするように配置されたロッキング機構86を備えている。付勢部材(例えば、弾性部材84)は、第2の淹出チャンバ部分に向かう方にカプセルを付勢する付勢部材(例えば、弾性要素42)よりも低い剛性を有する。したがって、準備位置では、カプセル4A、4Bの出口領域12A、12Bは、抽出プレート30に隣接するが、カプセルを第2の淹出チャンバ部分に向かう方に付勢する付勢部材は、穿孔部材44がこの段階でカプセルの底部8A、8Bを穿孔することを防ぐ。このことは、例えば、弾性要素42が、カプセルの底部8A、8Bを、穿孔部材44から所定の位置に保持するという点で、または例えば、弾性要素42が、穿孔部材44によって加えられる力にカプセルが耐えるのを補助するという点で達成されてもよい。したがって、この場合には、弾性要素または他の付勢要素およびカプセルの底部の弾性部分によって形成される全弾性を用い、装置およびカプセルを含むシステムが準備位置に達するまで、カプセルの穿孔の延期が達成される。再現可能な操作を提供するために、付勢力を加える少なくとも弾性カプセルと、別個の弾性要素または装置の他の要素の弾性を合わせると、第2の淹出チャンバ部分20をその準備位置に付勢する付勢部材の弾性を超えるはずである。
【0054】
淹出位置の方にさらに位置を変えると、抽出プレート30または中央部分32がロックされ、第2の付勢部材(例えば、弾性要素84)の動的範囲を効果的に終了させる。この観点で、第1の付勢部材(例えば、弾性要素42)または他の付勢手段に対し、可能ならばカプセルの弾性と組み合わせると、もはやカプセルの出口領域12A、12Bで抽出プレート30またはその一部によって加えられる力に耐えることはできない。カプセルの底部8A、8Bが穿孔部材44によって穿孔された結果、流体分注デバイスは、交換可能なカプセルに圧力下で所定量の流体(例えば水)を供給することができる。
【0055】
なお、第2の付勢部材の動的範囲の終了を規定するために、別個の要素が提供される必要はない。第2の付勢部材(例えば、弾性要素84)は、装置を操作するのに必要な動的範囲と適合する、動的範囲の固有の終了を有していてもよい。例えば、弾性要素84は、
図3Aまたは
図4Aに示される準備位置で、完全に圧縮された状態であってもよく、その結果、本体94が第1の淹出チャンバ部分18の方に向かってさらに進み、第1の付勢部材(例えば、弾性要素42)が降伏し、カプセルの底部8A、8Bが穿孔される。
【0056】
なお、1種類の交換可能なカプセルのみを使用することを意図した実施形態では、第2の淹出チャンバ部分が、ローディング位置/準備位置に加えて、1つの蒸留位置のみを有していれば十分である。上に示したように、抽出プレート30が、相互に固定した状態で配置されるたった1つの部分または複数の部分を有していれば十分である。また、たった1種類のカプセルを使用するこのような実施形態では、ロッキング機構で十分である。装置2と異なる種類の交換可能なカプセルとの協働を容易にするためのロッキング機構の一例は、
図3A、3Bおよび
図4A、4Bを参照しつつ、以下に記載する。
【0057】
ここで、ロッキング機構86は、ロッカー88を備えている。ここで、ロッカー88は、枢動軸90の周囲を枢動可能な、枢動可能なフィンガーとして設計される。ロッカー88は、シャフト32’から枢動して離れる位置に向かって付勢される。ロッカーは、任意の他の適切な位置に向かって付勢されてもよい。ロッキング機構86は、さらに、プッシャー92を備えている。プッシャーは、第2の淹出部分20の本体94内をスライドしつつ導かれる。プッシャー92は、弾性部材96(ここではコイルバネ)を介し、本体94に接続する。弾性部材96は、延びた位置でプッシャーを付勢する。第1の淹出チャンバ部分18は、アクチュエータ98を備えている。ここで、アクチュエータは、第1の淹出チャンバ部分18の前側表面によって形成されている。
【0058】
図3Aおよび3Bは、空洞24が第1のカプセル4Aを保持しているときのロッキング機構86の機能を示す。この例では、第1のカプセル4Aの最外部分(ここでは蓋12Aによって形成される)、出口領域13Aおよび/またはリム14Aは、後方に(すなわち、アクチュエータ98に対し、さらに穿孔手段44に向かう方に)位置している。結果として、第1のカプセル4Aが第2の淹出チャンバ部分20の方に向かって進むと、第1のカプセル4Aの最外部分が中央部分32に触れる前に、アクチュエータ98は、プッシャー92に触れるだろう。プッシャーは、弾性部材96の付勢力に対して押される。プッシャー92のリップ100は、ロッカー88のスロープ表面102に沿ってスライドし、ロッカー88が、シャフト32’に対して枢動する。結果として、ロッカー88のサム104は、中央部分32の部分106の移動経路に配置される(
図3Bを参照)。第1のカプセル4Aが、第2の淹出チャンバ部分20の方に向かってさらに進むと、第1のカプセル4Aが、中央部分32に隣接するだろう。(
図3A)これにより、中央部分が、弾性部材84の付勢力に対して押される。枢動するロッカー88が、部分106がサム104と隣接する位置を超えて中央部分が移動するのを防ぐ。これは、本明細書では、第1の淹出位置と定義される。したがって、第1のカプセル4Aは、中央部分32をその準備位置(
図3A)から第1の淹出位置(
図3B)まで動かすように配置される。第1のカプセル4Aは、淹出の間、第1の淹出チャンバ部分18と第2の淹出チャンバ部分20の間に保持され、中央部分32は、第1の淹出位置にある。
【0059】
図4Aおよび4Bは、空洞24が第2のカプセル4Bを保持しているときのロッキング機構86の機能を示す。この例では、第2のカプセル4Bの最外部分(ここでは蓋12Bによって形成される)、出口領域13Bおよび/またはリム14Bは、前方に(すなわち、アクチュエータ98に対し、さらに第2の淹出チャンバ部分20に向かう方に)位置している。結果として、第2のカプセル4Bが、第2の淹出チャンバ部分20の方に進むと、アクチュエータ98がプッシャー92に触れる前に、第2のカプセル4Bの最外部分が中央部分32に隣接するだろう。ロッカー88が、シャフト32’から離れて枢動している間、中央部分32は、弾性部材84の付勢力に対して押される。結果として、部分106は、サム104の下を通る。部分106がサム104を通過した後にのみ、プッシャーは、アクチュエータ98によって、弾性部材96の付勢力に対して押される。プッシャー92のリップ100は、ロッカー88のスロープ表面102に沿ってスライドし、ロッカー88が、シャフト32’に対して枢動する。しかし、部分106は、この時点では既にサム104を通過しており、この例では、第2のカプセル4Bが、中央部分32を本体94と隣接するように押す。これは、本明細書では、第2の淹出位置と定義される。したがって、第2のカプセル4Bは、中央部分32をその準備位置から第2の淹出位置まで動かすように配置される。第2のカプセル4Bは、淹出の間、第1の淹出チャンバ部分18と第2の淹出チャンバ部分20の間に保持され、中央部分32は、第2の淹出位置にある。
【0060】
したがって、ロッキング機構86は、空洞24が第1のカプセル4Aを保持するとき、中央部分32を第1の抽出位置にロックするように配置される。なお、ロッキングは、片側であってもよい。ロッキング機構は、空洞24が第1のカプセル4Aを保持するときに、中央部分32が第1の抽出位置を超えて移動するのを防いでもよい。しかし、第1の抽出位置から準備位置への中央部分32の移動は、妨げられないだろう。ロッキングユニット86は、第2のカプセル4Bが淹出チャンバに入ったときに、中央部分32が、第1の淹出位置に、または第1の淹出位置付近にロックされるのを選択的に防ぐように配置される。ロッキングユニット86は、第2のカプセルが淹出チャンバに入ったときに、中央部分32が第2の淹出位置へと選択的に移動するように配置される。
【0061】
図3Aと4Aを比較すると、第1の淹出チャンバ部分18が第2の淹出チャンバ部分20の方へ向かう間、第2のカプセル4Bではなく、第1のカプセル4Aは、第1の淹出チャンバ部分の中にさらに押し込まれる。次いで、第2の蓋12B、出口領域13Bおよび/またはリム14Bではなく、第1の蓋12A、出口領域13Aおよび/またはリム14Bは、第1の淹出チャンバ部分18にさらに押し込まれる。
【0062】
図3Bと4Bを比較すると、淹出チャンバが第1のカプセル4Aを保持するとき、中央部分32が空洞24へと延びていることが理解されるだろう。中央部分32は、第2のカプセル4Bの蓋12B、出口領域13Bおよび/またはリム14Bが第1の淹出チャンバ部分18の中にある位置、または第1の淹出チャンバ部分18に含まれる第2のカプセルを有する位置を超えて、第1の淹出チャンバ部分18へと延びる。
【0063】
上述のように、ニージョイント62は、抑止リング80および1つ以上の弾性要素82を介し、第1の淹出チャンバ部分18に間接的に接続する。
図5A~5Cは、抑止リング80の機能を示す。
【0064】
図5Aでは、第1のカプセル4Aは、その第1の淹出位置での中央部分である中央部分32に隣接している。第1の淹出チャンバ部分18は、そのローディング位置とその淹出位置の中間の位置にある。第1の淹出チャンバ部分の第1の付勢部材42は、カプセル4Aを、第2の淹出チャンバ部分32に向かう方に付勢し、この段階で、穿孔部材44がカプセル4Aの底部8Aを穿孔するのを避ける。
【0065】
抑止リング80は、まだ後方位置にある。レバー58は、その終了位置にまだ達していないことが理解されるだろう。第1の淹出チャンバ部分18は、突出部108を有している。ここで、突出部108は、実質的に環状の突出部である。突出部108は、外側に延びている。ここで、突出部108は、第1の淹出チャンバ部分18の最外縁部を形成する。第2の淹出チャンバ部分20は、リテーナ110を備えている。ここで、リテーナ110は、リテーナリップの円周リングとして設計される。リテーナ110は、本体94に枢動可能に接続する。ここで、リテーナ110は、本体94に弾性的に枢動可能に接続する。リテーナ110は、歯部112を有している。ここで、歯部は、第1の傾斜面114と第2の傾斜面116を有している。
【0066】
レバー58を下げると、抑止リング80は、第2の淹出チャンバ部分20の方に向かって進む。1つ以上の弾性要素82は、第1の淹出チャンバ部分が、第2の淹出チャンバ部分20と隣接し、例えば、カプセル4A、4Bがその間に固定される淹出位置に到着するまで、第1の淹出チャンバ部分18を抑止リング80の前に押す。これにより、リテーナ110が外側に枢動する(
図5Aを参照)。第1の淹出チャンバ部分18がこのように移動している間、突出部108は、第1の傾斜面114に対して進む。
【0067】
この段階で、第2の淹出チャンバ部分20によって加えられる力は、弾性部材42によって加えられる付勢力を超える。その結果、穿孔手段44が、カプセル4Aの底部8Aの中に強制的に入り、これと共に、所定量の流体(例えば水)を交換可能なカプセルに圧力を加えて供給するための入口を提供する。同時に、カプセル4Aは、空洞の中に強制的に入る。さらに進むと、突出部108が第2の傾斜面116を超えて通過し、リテーナ110を内部に枢動させる(
図5Bを参照)。レバー58をさらに下げると、第1の淹出チャンバ部分は、第2の淹出チャンバ部分20に隣接し、1つ以上の弾性要素82が圧縮される。結果として、抑止リング80は、第2の淹出チャンバ部分20の方に向かって進む。レバー58を完全に下げると、抑止リング80は、リテーナ110とロッキングリング118の間に挟まれる(
図5Cを参照)。リテーナ110の周囲にある抑止リング80は、リテーナ110が外側に枢動するのを防ぐ。したがって、第1の淹出チャンバ部分は、第2の淹出チャンバ部分20に対してロックされる。第1の淹出チャンバ部分は、第2の淹出チャンバ部分20の上でロックされる。
【0068】
装置は、流体(例えば、液体、例えば、熱水)を第1の淹出チャンバ部分18に圧力を加えて供給するための流体供給システムを備えていてもよい。淹出チャンバが、飲料を淹出するための流体により加圧される場合、第1の淹出チャンバ部分18と第2の淹出チャンバ部分20は、流体圧力によって互いに離れる方向へ押圧される。リテーナ110および抑止リング80と、場合によりロッキングリング118には、流体圧力によって発揮される力の全てまたは一部がかかるだろう。リテーナ110とロッキングリング118との間に挟まれる抑止リング80は、機械的な安定性を高める。抑止リング80は、ロッキングリング118に隣接し、ロッキングリング118に力の少なくとも一部が伝わるため、リテーナ110によって発揮される全ての力を受ける必要はない。ロッキングリング118は、固定されていてもよく、そのため、容易に強化することができる。第1の淹出チャンバ部分が第2の淹出チャンバ部分20に対してロックされているため、フレーム48とアクチュエーション機構(例えば、ニージョイント)は、この力、またはその少なくとも小さな一部を受ける必要はない。したがって、フレームおよび/またはアクチュエーション機構は、さらに弱く、および/またはさらに安価になるように設計することができる。
【0069】
抑止リング80の機能を、
図5A~5Cで第1のカプセル4Aの観点で示してきたが、抑止リング80が、第2のカプセル4Bに対して同じように機能し得ることは理解されるだろう。
図6Aは、抽出中の淹出チャンバ内の第1のカプセル4Aを示す。
図6Bは、抽出中の淹出チャンバ内の第2のカプセル4Bを示す。
【0070】
穿孔部材44は、カプセル4A、4Bの底部8A、8Bを穿孔するために配置されている。また、
図5A~5Cからわかるように、この例では、カプセル4A、4Bの蓋12A、12Bが、第1の淹出位置または第2の淹出位置にある中央部分32に隣接するようになるまでは、穿孔部材44は、底部8A、8Bを穿孔しない。これに対し、弾性要素42と弾性部材84の剛性を選択することができる。この例では、弾性要素42の剛性は、弾性部材84の剛性よりも大きくなるように選択される。
【0071】
カプセル4A、4Bが淹出チャンバ内に入り、底部8A、8Bが穿孔されたら、流体(この例では熱水)を、淹出チャンバに圧力を加えて供給することができる。したがって、淹出チャンバが気密性であることが望ましい。これに対し、中央部分32が、第1の密封部材120と共に与えられている。周辺部分34は、第2の密封部材122と共に与えられている。飲料調製装置2は、第1のカプセル4Aまたは第2のカプセル4Bのいずれかを用い、摂取に適した多量の飲料を調製するために配置されている。この量は、所定の量であってもよい。この量は、ユーザが選択可能な量、ユーザが設定可能な量、またはユーザがプログラミング可能な量であってもよい。
【0072】
図3Bを参照すると、第1のカプセル4Aの観点での密封が記載されている。第1の密封部材120は、第1のカプセル4Aを保持するための淹出チャンバが形成されると、中央部分32と第1の淹出チャンバ部分18との間に流体を密封する係合部を提供するように配置されている。この例では、第1の密封部材120は、第1のカプセル4Aが淹出チャンバに入っているときに、第1の淹出チャンバ部分18に隣接する。これにより、カプセル4Aの外側の空洞24に存在する水が密封される。このように、淹出チャンバ22Aに注入される淹出液は、カプセル4Aの外側を迂回することが防止されている。
図3Bの例では、第1の密封部材120は、弾性リップ121を備えている。弾性リップ121は、淹出チャンバ内の液体圧力の影響下、中央部分32と第1の淹出チャンバ部分18との間に自己強化性の密封係合部を提供するように配置されている。この例では、第1の密封部材120は、第1のカプセル4Aのリム14Aに隣接している。リム14Aは、第1の隣接面26によって、第1の密封部材120に対して押されている。これにより、出口領域13Aを介してカプセル4Aを出て行く飲料に対し、中央部分32とカプセル4Aとの間に密封する係合が与えられる。リム14Aのうち、カップ型の本体6Aから離れる方向に面する側が、第2の淹出チャンバ部分20に対して密閉されることが理解されるだろう。これに代えて、またはこれに加えて、リム14Aのうち、カップ型の本体6Aの方に面する側が、第1の淹出チャンバ部分18に対して密封されてもよい。これに対し、第1の淹出チャンバ部分18に、例えば、第1の隣接面26に、および/またはカプセル4Aに、例えば、リム14Aに対し、さらなる密封が与えられてもよい。カプセルに対する密封は、第1の淹出チャンバ部分18と第2の淹出チャンバ部分20との間の密封に対して追加であってもよいことは明らかであろう。これにより、第1の密封部材120によって密封する労力が減るだろう。
【0073】
図4Bを参照すると、第2のカプセル4Bの観点での密封が記載されている。第2の密封部材122は、第2のカプセル4Bを保持するための淹出チャンバが形成されると、周辺部分34と第1の淹出チャンバ部分18との間に流体を密封する係合部を提供するように配置されている。この例では、第2の密封部材122は、第2のカプセル4Bが淹出チャンバに入っているときに、第1の淹出チャンバ部分18に隣接する。これにより、カプセル4Bの外側の空洞24に存在する水が密封される。
図4Bの例では、第2の密封部材122は、弾性リップ123を備えている。弾性リップ123は、淹出チャンバ内の液体圧力の影響下、周辺部分34と第1の淹出チャンバ部分18との間に自己強化性の密封係合部を提供するように配置されている。この例では、第2の密封部材122は、第2のカプセル4Bのリム14Bに隣接する。リム14Bは、第2の隣接面28によって、第2の密封部材122に押される。これにより、出口領域13Bを介してカプセル4Bを出て行く飲料に対し、周辺部分34とカプセル4Bとの間に密封する係合が与えられるだろう。
図4Bにおいて、第1の密封部材120は、第2のカプセル4Bを保持するための淹出チャンバが形成されると、中央部分32と周辺部分34との間に密封係合部を提供する。この中央部分32と周辺部分34との間の密封する係合は、自己強化性であってもよい。これに対し、周辺部分34と第2のカプセル4Bとの間の係合によって、淹出液が第1の密封部材120に向かって流れるだろう。したがって、第1の密封部材120は、出口領域13Bを介してカプセル4Bを出て行く飲料に対し、中央部分32とカプセル4Bとの間に密封係合部を提供する。ここで、リム14B(リムは、蓋によって、例えば箔によって覆われていてもよく、または覆われていなくてもよい)のうち、カップ型の本体6Bから離れる側が、第2の淹出チャンバ部分20に対して密封されてもよい。これに代えて、またはこれに加えて、リム14Bのうち、カップ型の本体6Bの方に面する側が、第1の淹出チャンバ部分18に対して密封されてもよい。これに対し、第1の淹出チャンバ部分18に、例えば、第2の隣接面28に、および/またはカプセル4Bに、例えば、リム14Bに対し、さらなる密封が与えられてもよい。カプセルに対する密封は、第1の淹出チャンバ部分18と第2の淹出チャンバ部分20との間の密封に対して追加であってもよいことは明らかであろう。これにより、第2の密封部材122によって密封する労力が減るだろう。
【0074】
流体が淹出チャンバ内のカプセル4A、4Bに圧力下で供給される場合、出口領域13A、13Bは、抽出プレート30に対して開放していてもよい。抽出プレート30は、この例では、複数の除去要素124を備えている。ここで、除去要素124は、先端が切り取られたピラミッドである。カプセル4A、4Bの内圧上昇によって、出口領域13A、13Bが除去要素に対して裂け、飲料がカプセル4A、4Bから出てしまうことがある。
【0075】
飲料は、抽出プレート内の開口部を介し、抽出プレート30を通って流れることができる。次に、飲料は、出口126へと流れてもよい。出口126から、飲料は、容器(例えばカップ)へと流れてもよい。
【0076】
以前の章で、第1の交換可能なカプセル4Aおよび第2の交換可能なカプセル4Bのいずれかを含む装置2の操作を容易にする態様が開示されている。装置2が第1の交換可能なカプセル4Aを用いて操作するのに特に適している実施形態、または第2の交換可能なカプセル4Bを用いて操作するのに特に適している実施形態など、他の実施形態が想定可能である。
【0077】
第1の交換可能なカプセル4Aを用いて操作することが特に適している装置2において、第2の隣接面28、抽出プレート30の周辺部分34、ロッカー88、プッシャー92、弾性要素96、アクチュエータ98などの要素のうち1つ以上を除外することも考えられてもよい。
【0078】
第2の交換可能なカプセル4Bを用いて操作することが特に適している装置2において、第1の隣接面26、ロッカー88、プッシャー92、弾性要素96、アクチュエータ98などの要素のうち1つ以上を除外することも考えられてもよい。抽出プレート30は、1つの部分として与えられてもよく、または相互に剛性に連結した中央部分と周辺部分として与えられてもよい。
【0079】
飲料が淹出されたら、レバー58を上側に移動することができる。これにより、抑止リング80がリテーナ110から離れるように移動する。次に、第1の淹出チャンバ部分18を後方に移動する。リテーナ110の第2の傾斜面116によって、リテーナが突出部108を通過することができる。第1の淹出チャンバ部分18は、第2の淹出チャンバ部分20から離れる方に移動する。中央部分32は、準備位置に戻るだろう。ボス50、52と、溝54、56は、第1の淹出チャンバ部分18の後の経路を決定づける。
図7Aおよび7Bに示されるように、第1の淹出チャンバ部分は、下方向に旋回するだろう。これにより、重力の影響下、空洞24からの使用済みのカプセル4A、4Bの取り出しが促進される。エジェクタ38は、カプセル4A、4Bを穿孔部材44から離れ、空洞24から出るように押すのを補助し得る。使用されるカプセル4A、4Bは、装置の廃棄バスケット内に落ちてもよい。
【0080】
この例では、第1のカプセルおよび第2のカプセル4A、4Bは、同様の視覚的印象を与えるように設計されている。
図8Aは、第1の淹出チャンバ部分18と第2の淹出チャンバ部分20によって形成された淹出チャンバ22Aに挿入される第1のカプセル4Aの一例を示す。円周方向壁10Aは、この位置で、空洞24よりも狭くなっていることが理解されるだろう。その結果、空洞24の内部の第1のカプセル4Aの周囲に、第1のボリューム部126が存在する。
図8Bは、第1の淹出チャンバ部分18と第2の淹出チャンバ部分20によって形成された淹出チャンバ22Bに挿入される第2のカプセル4Bの一例を示す。円周方向壁10Bの部分128は、この位置で、空洞24よりも狭くなっていることが理解されるだろう。この部分128は、第1の隣接面26を超えて延びる円周方向壁10Bの部分によって形成される。その結果、空洞24の内部の第2のカプセル4Bの周囲に、第2のボリューム部130が存在する。
【0081】
なお、淹出チャンバが第1のカプセル4Aを保持するとき、第1のボリューム部126は、第1のカプセル4Aによって占められていない。しかし、この第1のボリューム部126は、淹出チャンバが第2のカプセル4Bを保持するとき、第2のカプセル4Bの一部によって占められる。淹出チャンバが第2のカプセル4Bを保持するとき、第2のボリューム部130は、第2のカプセル4Bによって占められていない。この第2のボリューム部130は、淹出チャンバが第1のカプセル4Aを保持するとき、抽出プレート30の中央部分32を受け入れる。
【0082】
カプセル4Aを用いて飲料を淹出するとき、第1のボリューム部126は、飲料の淹出には使用されない流体(例えば水)で満たされる。この流体は、淹出後、廃棄バスケットに廃水されてもよい。カプセル4Bを用いて飲料を淹出するとき、第2のボリューム部130は、飲料の淹出には使用されない流体(例えば水)で満たされる。この流体は、淹出後、容器(例えば廃棄バスケット)に廃水されてもよい。この例では、第1のボリューム部126は、第2のボリューム部130と実質的に等しい。したがって、廃棄バスケットに向かう流体のボリューム部は、第1のカプセル4Aを用いて飲料を淹出するとき、第2のカプセル4Bを用いて飲料を淹出するときと実質的に等しい。
【0083】
本明細書では、本発明を、本発明の実施形態の具体例を参照しつつ説明してきた。しかし、本発明の本質から逸脱することなく、種々の改変および変更がなされてもよいことは明らかであろう。明確さと正確な記載のために、同じ実施形態または異なる実施形態の一部として本明細書に特徴を記載してきたが、これらの別個の実施携帯に記載される特徴の全てまたは一部の組み合わせを有する代替的な実施形態も想定される。
【0084】
この例では、抽出プレートの中央部分は、複数の除去要素を備えている。周辺部分は、除去要素を備えていない。しかし、周辺部分も除去要素を備えていてもよいことが理解されるだろう。抽出プレートと第2の出口領域は、第2の出口領域の開放したときの流れ抵抗が、第1の出口領域の開放したときの流れ抵抗より小さくなるように互いに適合してもよい。抽出プレートと第2の出口領域は、第2の出口領域が、第1の出口領域よりも大きな表面積にわたって、抽出プレートで引き裂けるように互いに適合されてもよい。抽出プレートと第2の出口領域は、第2の出口領域が、第1の出口領域よりも多くの箇所で、抽出プレートで引き裂かれるよう互いに適合してもよい。外側除去要素は、第1および第2の出口領域を裂くように設計されていてもよく、第2の出口領域は、第1の出口領域よりも大きな表面積にわたって、外側除去要素で引き裂かれる。抽出プレートは、第1の種類の除去要素と、第2の種類の少なくとも1つの除去要素とを含んでいてもよく、第1の種類の除去要素は、第1の出口領域に対応する領域内に配置されており、第2の種類の少なくとも1つの除去要素は、第2の出口領域に対応する領域の内側に配置され、かつ第1の出口領域に対応する領域の外側に配置される。第2の種類の除去要素は、第1の種類の除去要素よりも鋭い縁部を有していてもよい。第2の出口領域は、弱化された領域を含んでいてもよい。弱化された領域は、第2の出口領域の周辺領域に配置されてもよい。
【0085】
この例では、第1のカプセルおよび第2のカプセルは、実質的に同じ形状を有している。異なる形状を有する第3のカプセルを提供することも可能である。第3のカプセルは、例えば、中央部分が第1の抽出位置にあるときに、淹出チャンバを実質的に満たすような形状であってもよい。異なる形状を有する第4のカプセルを提供することも可能である。第4のカプセルは、例えば、中央部分が第2の抽出位置にあるときに、淹出チャンバを実質的に満たすような形状であってもよい。
【0086】
この例では、第1のカプセルは、外側に延びるフランジ状のリムを有している。第1のカプセルが、外側に延びるリムを備えていないことも可能であると理解されるだろう。この例では、第2のカプセルは、外側に延びるフランジ状のリムを有している。第2のカプセルが、外側に延びるリムを備えていないことも可能であると理解されるだろう。
【0087】
この例では、カプセル本体と蓋は、本体に蓋を容易に溶接するために、アルミニウム箔、好ましくは、ポリマーコーティングされたアルミニウム箔から形成される。カプセル本体および/または蓋が、当業者によって適していると考えられ、押出成形、同時押出成形、射出成形、吹き込み成形、真空成形などの当該技術分野で従来から知られている技術を用い、シート、フィルムまたは箔に加工することができる多種多様な材料から作製されていてもよいことが理解されるだろう。カプセル本体および/または蓋に適した材料としては、限定されないが、プラスチック材料、特に、熱可塑性材料、例えば、ポリオレフィンポリマー、例えば、ポリエチレンまたはポリプロピレン、PVC、ポリエステル、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、金属箔、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、金属アロイなど、または織布または不織布のシートまたは他の処理された繊維材料、例えば紙、ポリエステルなど、またはこれらの、例えば、多層が挙げられる。カプセルの材料は、生分解性ポリマーまたは別の生分解性材料であってもよい。当業者は、食品材料およびカプセルを使用中に任意の他の関連する状況での想定される使用を考慮し、適切な材料を選択することができるだろう。シートまたは箔の厚みは、安定なカプセルの形態が与えられるように選択されてもよい。シートまたは箔の厚みは、材料の性質によってさまざまであってもよい。
【0088】
この例では、カプセルは、閉じたカプセルである。開放したカプセルを用いるシステムを提供することも可能である。開放したカプセルは、装置に挿入される前に開放している。開放したカプセルは、あらかじめ穴が開けられていてもよい。開放したカプセルは、開放したカプセルを装置に挿入する前に除去されなければならない密封により閉じられたパッケージの中に入れられてもよい。この例では、カプセルは、穿孔手段によって穿孔される。穿孔手段によって穿孔されないカプセルを備えたシステムを提供することも可能である。このようなカプセルは、例えば、入口フィルターを備えていてもよい。この例では、カプセルは、抽出プレートに対して開放している。抽出プレートに対して開放していないカプセルを備えたシステムを提供することも可能である。このようなカプセルは、例えば、出口フィルターを備えていてもよい。
【0089】
この例では、カプセル自体は、密封部材を備えていない。密封部材、例えば、弾性密封部材を有するカプセルを提供することが可能なことが理解されるだろう。密封部材は、例えば、リムに配置されていてもよく、例えば、カップ型の本体に面する側に、またはカップ本体から離れる方の側に配置されてもよい。これに代えて、またはこれに加えて、密封部材は、円周方向壁および/または底部に与えられてもよい。
【0090】
この例では、抑止リングとリテーナは、第1および第2の淹出チャンバ部分の実質的に周囲全体に沿って延びている。これにより、2つの淹出チャンバ部分が互いに特に良好にロッキングされる。しかし、抑止リングとリテーナが、円周に沿って、1つ以上の別個の位置に、例えば、2箇所、3箇所、4箇所、6箇所または8箇所の位置に、抑止手段と保持手段を含んでいてもよいことが理解されるだろう。
【0091】
第1のカプセルを用い、飲料の淹出のために配置されるが、第2のカプセルを用いて飲料を淹出することはできない第1の装置を提供することも可能であると理解されるだろう。このような第1の装置は、図に関連して記載される装置と、第1のカプセルと、場合により第2のカプセルとを含むシステムに含まれていてもよい。
【0092】
第2のカプセルを用い、飲料の淹出のために配置されるが、第1のカプセルを用いて飲料を淹出することはできない第2の装置を提供することも可能であると理解されるだろう。このような第2の装置は、図に関連して記載される装置と、第2のカプセルと、場合により第1のカプセルとを含むシステムに含まれていてもよい。
【0093】
しかし、他の改変、変形および変更も可能である。したがって、明細書、図面および例は、制限された意味ではなく、例示の意味であるとみなされるべきである。
【0094】
明確さと正確な記載のために、同じ実施形態または別個の実施形態の一部として本明細書に特徴を記載しているが、本発明の範囲は、記載される特徴の全てまたは一部の組み合わせを有する実施形態を含んでいてもよいことが理解されるだろう。
【0095】
特許請求の範囲において、括弧内に置かれた任意の参照記号は、特許請求の範囲を限定すると解釈すべきではない。「~を含む(comprising)」との用語は、特許請求の範囲に列挙されるもの以外の他の特徴または工程の存在を除外しない。さらに、「1つの(a)」および「1つの(an)」との用語は、「1つだけ」に限定すると解釈すべきではなく、「少なくとも1つ」を意味するために用いられ、複数個を除外しない。特定の測定値が互いに異なる請求項で引用されているという単なる事実は、これらの測定値の組み合わせが有利に使用され得ないことを示すものではない。