(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-15
(45)【発行日】2022-07-26
(54)【発明の名称】脂肪族/芳香族オレフィンブロックコポリマー
(51)【国際特許分類】
C08F 297/00 20060101AFI20220719BHJP
C08L 53/00 20060101ALI20220719BHJP
【FI】
C08F297/00
C08L53/00
(21)【出願番号】P 2019534349
(86)(22)【出願日】2017-12-19
(86)【国際出願番号】 US2017067180
(87)【国際公開番号】W WO2018118834
(87)【国際公開日】2018-06-28
【審査請求日】2019-08-21
(32)【優先日】2017-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2016-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509004675
【氏名又は名称】エクソンモービル ケミカル パテンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100212509
【氏名又は名称】太田 知子
(72)【発明者】
【氏名】トリパシー ランジャン
【審査官】佐藤 のぞみ
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-141750(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 293/00-297/08
C08L 53/00-53/02
C08F 240/00
C09J
WPI
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)C8-C12オレフィン由来単位を含む少なくとも1つのブロック及び(B)C4-C6オレフィン由来単位を含む少なくとも1つのブロックを含み、ここでC4-C6オレフィンはピペリレンであり、かつ、コポリマーは、(A)又は(B)のいずれかの場所に含まれるC5又はC10環状オレフィン由来単位を含んでよく、各ブロックは数平均分子量(Mn)が少なくとも300g/molであり、該コポリマーは2つのガラス転移温度(T
g)を有し、Mw/Mn値が少なくとも1.5であり、ここでC8-C12オレフィン由来単位は少なくとも1つの芳香族部分を含む、コポリマー。
【請求項2】
第1T
g1及び第2T
g2を有し、T
g2がT
g1よりも少なくとも5℃高い、請求項1に記載のコポリマー。
【請求項3】
T
g1が-30℃から60℃の範囲内にあり、T
g2が-10℃から120℃の範囲内にある、請求項2に記載のコポリマー。
【請求項4】
少なくとも1つのC8-C12オレフィンブロックの質量平均分子量(Mw)が、600g/molから40,000g/molの範囲内にある、請求項1に記載のコポリマー。
【請求項5】
少なくとも1つのC4-C6オレフィンブロックの質量平均分子量(Mw)が、600g/molから40,000g/molの範囲内にある、請求項1に記載のコポリマー。
【請求項6】
質量平均分子量(Mw)が、1,000g/molから80,000g/molの範囲内にある、請求項1に記載のコポリマー。
【請求項7】
Mz/Mwが少なくとも2.0である、請求項1に記載のコポリマー。
【請求項8】
サイズが少なくとも0.5μmの不連続ドメインを有する、請求項1に記載のコポリマー。
【請求項9】
(i)請求項1に記載のコポリマー及び(ii)C4-C6ホモポリマー、C8-C12ホモポリマー又はそれらの組合せを含む、組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権の主張)
本願は、2016年12月22日に出願された米国仮特許出願第62/437,992号及び2017年2月3日に出願された欧州特許出願第17154543.7号の優先権の利益を主張し、前記開示は参照により本明細書に組み込まれる。
(発明分野)
本願発明は、少なくとも脂肪族C4-C6オレフィンブロック、少なくとも1つのC8-C12芳香族オレフィンブロック及び/又は少なくとも1つの環状C5/C10オレフィンブロックを含むオレフィンベースブロックコポリマーに関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
ブロックコポリマーは、同じ又は類似のモノマーの複数配列、またはブロックが、他の異なるモノマーブロックと交互に連続して成るポリマーである。ブロックは互いに、例えば、AAABBBAAAのように共有結合している(A及びBは異なるタイプのモノマーであり、それぞれの一続きが「ブロック」である)。ブロックコポリマーの重要性は、部分的には異なるブロックが一つのポリマー中に存在することにより可能となるその多数の性質から来るものである。
ブロックコポリマーの主要な用途は、工業用溶融接着剤である。スチレンブロックコポリマーはそのような役割を果たす。一方でゴムのような性質を、他方で接着剤のような性質を示すブロックを組み合わせることによって、有用な加熱活性化組成物を形成することができる。熱が適用されると、ポリスチレン部分は溶融し、限定された液体のような流れを可能とする。中央の脂肪族部分は接着を引き起こし、温度が下がるとポリスチレンの強度が復元する。この性質は、ベースブロックコポリマーとその他のポリマーの組合せによって強化され、このスチレンブロックコポリマーを有用な接着剤としている。
【0003】
スチレンブロックコポリマーの性質を特定の接着剤用途に適合するようにするため、粘着付与剤のようなその他の成分が典型的には用いられる。「粘着付与剤」は接着剤の処方において接着剤表面の粘着度、あるいは粘着性を増加させるために用いられる化学化合物である。現在、多くの粘着付与剤は、ランダム炭化水素及び/又はフェノール樹脂又は合成ランダムコポリマーのいずれかである。ランダムコポリマーであるため、そのような化合物は典型的にはスチレンブロックコポリマーベースを分割し、それによってスチレンブロックコポリマーベースの脂肪族又は芳香族部分のいずれかを修飾する。そのような分割には複数の粘着付与剤の使用が必要となる。ベースポリマーの両方のブロックの性質を修飾することができる粘着付与剤を有することは有用であろう。
典型的には、粘着付与剤は、異常に高いガラス転移温度及び軟化点を有する樹脂を生成するために選択される、精製された芳香族モノマーから作られる。これらの特有の性質から、そのような樹脂は、特にスチレンブロックコポリマーのエンドブロックのための修飾剤として用いるのに適している。スチレンよりも高いガラス転移温度及び軟化点を有する樹脂は、ブロックコポリマーに基づく化合物を強化し、高い凝集力及び高温に対する耐性を与える。しかしながら、そのような樹脂は、ブロックコポリマーの非弾性スチレン部分のみと結合する(即ち、それらは通常粘着特性に影響しない)。したがって、エンドブロックを修飾することができ、高温における凝集力を改善すると同時に粘着度を改善する粘着付与剤に対するニーズがある。
【0004】
この粘着付与力はまた、粘着性と柔軟性の両方が求められる複層フィルムにおいて有用であろう。例えば、複層フィルム技術により、2以上のポリマーを層構造に組合せ、幅広く望ましい性質を与えることができる。用途によって、層の数は2から100までの範囲とすることができる。例えば包装材は、典型的には3-7層のポリマー材料を含む。各層は異なる機能を果たし、例えば、機械的強度、浸透バリア、又は表面濡れ性を提供する。そのような複数層の問題は、そのようなフィルムを作るプロセス、典型的には、高いせん断応力がポリマー溶融によって経験される共押出が、しばしば、非混和性ポリマー層の間の接着が弱いフィルムを結果としてもたらすことである。フィルムの両方のポリマー層に影響を与え及び接着性を改善することのできる添加剤が求められよう。
米国特許第2,317,859号 は、液体コーティングに適した樹脂を調製し、酸作用金属ハライド触媒を用いてあらかじめ触媒的に部分重合したピペリレン部分とともにスチレンを重合することによって成形するプロセスを開示している。
【0005】
欧州特許第0183448 B1号は、ホットメルト感圧接着剤として有用なブロックコポリマー石油樹脂を調製するプロセスを記載している。とりわけ、フリーデル・クラフツ触媒の存在下で完全に重合するC4又はC5フィードを用いる反応混合物から樹脂を調製し、更なる重合のためC8又はC9フィードを反応混合物に添加し、単一軟化点(すなわち単一のTg)を有する粘着付与剤を形成するプロセスを記載している。
したがって、分子レベルでドメインを形成することができるオレフィンブロックコポリマーに対するニーズがある。本発明の粘着付与剤は2つの異なるガラス転移温度(Tg)を有し、本願明細書において、二重Tg粘着付与剤として参照され、脂肪族及び芳香族ドメインを含み、界面における鎖の絡み合いを改善し、それにより複数層フィルムの接着剤成分又は層の間の接着性を改善する。二重Tg粘着付与剤は、また、粘着性を改善すると同時に高温における凝集力を改善するであろう。
【0006】
参照文献としては以下を含む:
・Ren, L.; Liu, K.; He, Q.; Ou, E.; Lu, Y.; and Xu, W., 6 Royal Soc. Chem. 51533-51543 (2016).
・Gillard, T. M.; Phelan, D.; Leighton, C.; Bates, F.S., 48(13) Macromolecules 4733-4741 (2015).
・Hillmyer, M. A.; Maurer, W. W; Lodge, T. P.; Bates, F. S., 103 J. Phys. Chem. B 4814-4824 (1999).
・Morris, K. F.; Stilbs, P.; Johnson Jr, C. S., 66(2) Anal. Chem. 211-215 (1994).
・Lucasa, L. H.; Ottoa, W.H.; Lariveb, C. K., 156(1) J. of Magnetic Resonance 138-145 (2002).
・Sagdon, A.; Kim, E-H; Lee, C., 26(2) Bull. Korean Chem. Soc. 331 (2005).
【発明の概要】
【0007】
(発明の概要)
本明細書に開示されるのは、オレフィンブロックコポリマーであって、少なくとも1つのブロックがC8-C12オレフィン由来単位を含み、少なくとも1つのブロックがC4-C6オレフィン由来単位及び/又はC5/C10環を含み、ここで各ブロックは、少なくとも300g/molの数平均分子量を有し、該コポリマーは2つのガラス転移温度(Tg)及びMw/Mnの値として少なくとも1.5を有する。
また開示されるのは、オレフィンブロックコポリマーを形成する方法であって、C8-C12オレフィンを触媒と少なくとも第1ステージで組み合わせてC8-C12オレフィンブロックを形成すること、及びC4-C6オレフィンを同じ又異なる触媒と少なくとも第2ステージで組み合わせてC4-C6オレフィンブロックを形成することを含み、ここで第2ステージはC8-C12オレフィンブロックの存在下で行われ、又は第1ステージがC4-C6オレフィンブロックの存在下で行われる。
【0008】
本発明はまた、二重Tg粘着付与剤(即ち、2つの異なるTgを有する粘着付与剤)を第1オレフィンを触媒と少なくとも第1ステージにおいて組み合わせて第1オレフィンブロックを形成すること、及び第2オレフィンを同じ又は異なる触媒と少なくとも第2ステージにおいて組み合わせて第2オレフィンブロックを形成することによって生成する方法を記載している。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施例1に示される本発明のオレフィンブロックコポリマーのDSCトレースであり、始点、変曲点(I)及び終点温度が示され、(I)がT
gである。
【
図2】
図2は実施例1に示される本発明のオレフィンブロックコポリマーのDMTAトレースである。
【
図3】
図3は、実施例2のC8-C12オレフィンブロック(「C9」)を生成する第1ステージ重合のGPC IRトレースであり、本発明のオレフィンブロックコポリマーを生成する実施例1の第2ステージのオーバーレイ・トレースである。
【
図4】
図4は、C8-C12ホモポリマースペクトル(「Prod1」)及びオレフィンブロックコポリマースペクトル(「Prod2」)のSAXSトレースを示す。
【
図5】
図5は、実施例1の反応生成物(中央のトレース)の
13C NMRスペクトルであり、上方のトレースはC4-Cホモポリマー、下方のトレースはC8-C12ホモポリマーである。
【
図6】
図6は、実施例1の反応生成物(中央のトレース)の
1H NMRスペクトルであり、上方のトレースはC8-C12ホモポリマー、下方のトレースはC4-C6ホモポリマーである。
【
図7】
図7は、C4-C6ホモポリマー及びC8-C12ホモポリマーの混合物のDOSY法NMRスペクトルによる二次元トレースである。
【
図8】
図8は、オレフィンブロックコポリマー反応生成物のDOSY法NMRスペクトルによる二次元トレースである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(発明の詳細な説明)
本明細書に開示されるのは、接着剤、フィルム及びその他の用途に有用なオレフィンブロックコポリマーである。本明細書に記載される本発明のオレフィンブロックコポリマーは、一般的な炭化水素クラッキングプロセスのC5ストリーム、C5/C10環状ストリーム及びC9ストリームと呼ばれるものに由来するモノマーを含む。「C5ストリーム」はC4からC6のオレフィン及び/又はジオレフィンを含み、多くはピペリレンを含み、「C9ストリーム」は、少なくとも1つの芳香族部分(多くはインデン、ビニルトルエン及びスチレンを含む)を含有するC8-C12炭化水素を含む。「C5/C10環状ストリーム」は、オレフィン及び/又はジオレフィンを含み、多くの場合シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン又はそれらの誘導体を含む。ランダムC5/C9オレフィンコポリマーは既知であり、あらかじめ混合されたC5/C9ストリームを適切な触媒を用いて重合することによって調製される。しかしながら、発明者は、類似のモノマー由来単位を含むブロックを形成する連続的なモノマーの添加が、少なくとも2つのガラス転移温度を有するブロック化オレフィンコポリマーの合成に好ましいことを発見した。選択された触媒及び温度条件において、「C9ストリーム」は、鎖の末端の活性を維持しつつ管理された方法で重合する。重合の第1ステージの最後において、C5又はC5/C10環状モノマーストリームが導入され、ポリマー鎖は成長を続ける。この順番は逆にすることもできる。
【0011】
本明細書において用いられる場合、「モノマー由来単位」又は単に「単位」とは、重合可能なモノマーに由来するポリマーバックボーン中の「メル(mer)」基である。モノマーは互いに反応し、モノマー由来単位を含むポリマーを形成する。ポリマーは、モノマーを有する又は含むと称されることもあるが、ポリマーがこれらモノマー由来単位を含むことを意味する。
そのようなオレフィンブロックコポリマーは、接着剤組成物中の有用な粘着付与樹脂であり、及び/又は複数層フィルム又はシート中のそれ自身の層であるか又は層成分であるかのいずれかであるフィルム成分である。本発明の脂肪族/芳香族オレフィンブロックコポリマー(又は単に「オレフィンブロックコポリマー」という)は、少なくとも1つの脂肪族又は「C4-C6ブロック」(多くはその他のC4-C6脂肪族オレフィンを伴うピペリレン)、又は「C5/C10ブロック」(多くはシクロペンタジエンのその他の誘導体を伴うジシクロペンタジエン)及び少なくとも1つの芳香族又は「C8-C12ブロック」(少なくとも1つの芳香族部分を含むC6-C8オレフィン)であって、共有結合しており、そのためミクロ相ドメインを形成するものを含有する。各個別のドメインは選択的に界面で適切なスチレンベースホットメルト接着剤と、又は非混和性複数層フィルムと相互作用し、それにより、層間接着性を改善し、各ブロックを粘着化して有用な接着剤を生成する。環状C5/C10ストリームの使用はまた、スチレンベースホットメルト接着剤の高温における凝集力を強化及び増加させるように働くことが可能である。本明細書において、2つのガラス転移温度を有するオレフィンブロックコポリマーを連続モノマー添加を用いて調製するための特有のアプローチが開示される。
【0012】
一貫して用いられるように、オレフィンブロックコポリマーは、全ては互いに共有結合している、少なくとも2つのブロック、C4-C6オレフィンブロック(又は「C5ブロック」)、C5/C10環状及びC8-C12オレフィンブロック(又は「C9ブロック」)を含有するものとして参照されてよい。別々のC4-C6ポリマーは、「ホモポリマー」として参照されてよく、別々のC5/C10環状ポリマー、C8-C12ポリマーについても同様である。オレフィンブロックコポリマーを生成する一般的な反応スキームは以下に示すとおりであり、ここで「a」及び「b」は整数で、C8-C12オレフィンブロック及びC4-C6オレフィンブロックの数をそれぞれ示し、「A」及び「B」は、反応物質及び反応ステージ又はステップの両方を指し、任意の順番であることが可能である。本発明は、下記スキーム図に限定されるものではない、例えば、発明者は、C5/C10環状ブロックが下記A又はBのいずれの場所に含まれてもよいことを理解している。
【0013】
【0014】
したがって、生成するのは、少なくともAAABBBタイプのブロックコポリマーである。整数「a」及び「b」は、独立して、1又は2又は5から10又は20又はそれより多い範囲にあってよい。ここで示される反応物質(スチレン、インデン、ピペリレン)は限定的なものではなく、他の反応物質であってよく、同様に各ブロックのアイデンティティも反応物質の量及び/又はタイプに依って変化してもよい。
【0015】
任意の実施形態において、本明細書に記載されるC8-C12オレフィンブロックは、C8-C12芳香族含有オレフィンに由来する単位を含み、少なくとも1つのC8-C12芳香族含有オレフィンは少なくとも1つの芳香族部分を含み、上記反応式の(A)である。「芳香族含有オレフィン」は、少なくとも1つの芳香族部分を含むオレフィンであり、例えば、インデン、メチルインデン、ビニルトルエン、メチルスチレン、ジシクロペンタジエン、ナフタレン及び/又はスチレンである。任意の実施形態において、C8-C12オレフィンブロックは、インデン、スチレン及びそれらの組合せに由来する単位を含む。任意の実施形態において、C8-C12オレフィンブロックは、インデン、メチルインデン、ビニルトルエン、メチルスチレン、ジシクロペンタジエン、ナフタレン又はスチレン及びそれらの組合せに由来する単位を含む。
任意の実施形態において、本明細書に記載のC4-C6オレフィンブロックは、線状及び/又は環状脂肪族C4-C6オレフィン及び/又はジオレフィンに由来する単位を含み、上記反応式の(B)である。任意の実施形態において、C4-C6オレフィンブロックは、ピペリレンに由来する単位を含む。任意の実施形態において、C5/C10環状オレフィンブロックは、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン又はシクロペンテン及びそれらの組合せに由来する単位を含む。
【0016】
任意の実施形態において、C4-C6オレフィンブロック中の全ての単位の質量に対して少なくとも80、又は85、又は90、又は95、又は98質量%がC4-C6オレフィン-及び/又はジオレフィン-由来単位であり;少量(20、又は15、又は10、又は5、又は2質量%またはそれ未満)がより低級(C3以下)又はより高級(C7以上)オレフィン及び/又はジオレフィンに由来する単位であってよい。任意の実施形態において、C8-C12オレフィンブロック中の全ての単位の質量に対して少なくとも80、又は85、又は90、又は95、又は98質量%がC8-C12芳香族含有オレフィン由来単位であり、少量(20、又は15、又は10、又は5、又は2質量%またはそれ未満)が、より低級(C7以下)又はより高級(C13以上)オレフィン、ジオレフィン及び/又は芳香族含有オレフィン由来単位であってよい。
したがって任意の実施形態において、コポリマーは、C8-C12オレフィン由来単位を含む少なくとも1つのブロック及びC4-C6オレフィン由来単位を含む少なくとも1つのブロックを含み(又は本質的にから成り、又はから成り)、各ブロックは数平均分子量(Mn)が少なくとも300、又は400、又は600g/molであり、2つのガラス転移温度(Tg)を有する。任意の実施形態において、少なくとも2つのガラス転移温度は、本明細書に記載のDSCにより決定される第1Tg1及び第2Tg2を含み、Tg2はTg1よりも少なくとも5、又は10、又は20℃大きく、又は5、又は10又は20℃から30、又は50又は60℃の範囲内である。任意の実施形態において、Tg1は、-30、又は-20℃から40、又は60℃の範囲内であり、Tg2は、-10、又は0、又は10℃から60、又は80、又は120℃の範囲内である。別途記載がない限り、Tgの値は本明細書に記載のDSC法によって±0.5℃の値で決定された。
【0017】
本発明のコポリマーは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で説明される特定の分子量特性を有する。任意の実施形態において、少なくとも1つのC8-C12オレフィンブロックの数平均分子量(Mn)は、300、又は400、又は600g/molから1,000、又は2,000、又は3,000又は4,000又は6,000又は10,000又は20,000g/molの範囲内である。任意の実施形態において、少なくとも1つのC8-C12オレフィンブロックは、質量平均分子量(Mw)は、600、又は800、又は1,000g/molから2,200、又は2,600、又は3,000又は4,000又は6,000又は10,000、又は20,000、又は40,000g/molの範囲内である。
【0018】
任意の実施形態において、少なくとも1つのC4-C6オレフィンブロックは、Mnが300、又は400、又は600g/molから1,000、又は2,000、又は3,000、又は4,000、又は6,000、又は10,000、又は20,000g/molの範囲内である。任意の実施形態において、少なくとも1つのC4-C6オレフィンブロックは、Mwが600、又は800、又は1,000g/molから2,200、又は2,600、又は3,000、又は4,000、又は6,000、又は10,000、又は20,000、又は40,000g/molの範囲内である。
任意の実施形態において、少なくとも1つのC5/C10環状オレフィンブロックは、Mnが300、又は400、又は600g/molから1,000、又は2,000、又は3,000、又は4,000、又は6,000、又は10,000、又は20,000g/molの範囲内である。任意の実施形態において、少なくとも1つのC5/C10環状オレフィンブロックは、Mwが600、又は800、又は1,000g/molから2,200、又は2,600、又は3,000、又は4,000、又は6,000、又は10,000、又は20,000、又は40,000g/molの範囲内である。
【0019】
任意の実施形態において、コポリマー自身は、Mnが500、又は800、又は1,000g/molから2,000、又は4,000、又は6,000、又は10,000、又は20,000、又は40,000g/molの範囲内である。任意の実施形態においてコポリマー自身は、Mwが1,000、又は2,000、又は2,500、又は5,000g/molから6,000、又は8,000、又は10,000、又は30,000、又は40,000、又は60,000、又は80,000g/molの範囲である。任意の実施形態においてコポリマーは、z-平均分子量(Mz)が3,000、又は4,000g/molから16,000、又は20,000、又は40,000、又は60,000、又は80,000、又は100,000g/molの範囲内である。コポリマーのMz/Mw値は、少なくとも2.0、又は2.2、又は2.4、又は2.8、又は3.0、又は2.0、又は2.2、又は2.4、又は2.8、又は3.0から5、又は6、又は7、又は8、又は10の範囲内である。コポリマーのMw/Mn値は任意の実施形態において、少なくとも1.5、又は1.6、又は1.7、又は1.8;又はMw/Mnが1.5、又は1.6、又は1.7、又は1.8から2.5、又は3、又は4、又は6、又は8、又は10の範囲内である。
コポリマーの性質はまた、原子間力顕微鏡観察(AFM)及びその他の本明細書に記載の方法によって、「ナノスケール」構造又は分離を有すると説明することができる。任意の実施形態において、コポリマーは、少なくとも0.5、又は1、又は2μmのサイズ、又は0.5、又は1、又は2μmから3、又は4、又は6μmの範囲の不連続なドメインを有する。
【0020】
また、開示されるのは、任意の実施形態において、本明細書に記載のコポリマーを形成する方法であって、C8-C12オレフィンを触媒と少なくとも第1ステージにおいて組み合わせてC8-C12オレフィンブロックを形成すること、及びC5/C10環状オレフィン又はC4-C6オレフィンを同じ又は異なる触媒と少なくとも第2ステージにおいて組み合わせてC5/C10環状オレフィン又はC4-C6オレフィンブロックを形成することを含み(又は本質的にから成り、又はから成り)、ここでC5/C10又はC4-C6オレフィンブロック形成ステージは、C8-C12オレフィンブロックの存在下で行われ、又はC8-C12オレフィンブロック形成ステージは、C5/C10又はC4-C6オレフィンブロックの存在下で行われる。任意の実施形態において、第2ステージは少なくとも1つのC8-C12オレフィンブロックの存在下で行われ、又は第1ステージは少なくとも1つのC5/C10又はC4-C6オレフィンブロックの存在下で行われる。したがって、重合は、C8-C12オレフィンブロック又はC5/C10環状又はC4-C6オレフィンブロックのいずれからも開始することが可能であり、好ましくは、作られる第1ブロックが次のブロックが生成するときに存在するような連続的なやり方で行われ、それにより連続的な共有結合で結びつけられたブロックを形成する。
【0021】
任意の実施形態において、触媒はルイス酸触媒であり、-10、又は0、又は10℃から20、又は30、又は40、又は50℃の範囲の温度で成分を組み合わせる。有用なルイス酸のカテゴリーとしては、Al3+、Cu2+、Fe2+、Fe3+、Ti2+、Sn2+及びこれらに類似するものを含むもの、BF3、AlF3、AlCl3及びこれらに類似するものなどの電子欠損化合物、中心の原子が8価を超える殻電子を有する例えば、SiBr4、SiF4及びこれに類似するものなどの酸及び/又は異なる電気陰性度の2原子の間に複数の結合を有する化合物、例えば、CO2、SO2及びこれらに類似するものが挙げられる。任意の実施形態において、反応はリビング重合反応であることが可能であるが、またそのような反応の変化形であってもよい。任意の実施形態において、反応は、いわゆる「管理されたブロック共重合」または、フリーデル・クラフツ型反応であってよく、該反応はまた管理されたアニオン重合であって、n-ブチルリチウムのような薬剤によって触媒されることができ、又は管理されたカチオン重合プロセスであってもよい。任意の場合において、反応は好ましくは連続重合プロセスである。反応は好ましくは、非プロトン性溶媒、最も好ましくは、脂肪族及び/又は芳香族溶媒であって、例えば、ヘキサン及び又はトルエンのようなものの中で行われる。好ましくは、触媒反応を円滑化するため、残留水分が存在する。
【0022】
したがって、任意の実施形態において、触媒はインデン、及び/又はスチレン含有オレフィンと1つのステップで組み合わされ、芳香族C8-C12オレフィンブロックを形成し、続くステップにおいて、同じ又は異なる触媒がC8-C12オレフィンブロック(又は、この時点ではC8-C12ホモポリマー)の存在下でピペレリンを含むオレフィンと組み合わされ、C8-C12ブロックに共有結合した脂肪族、又はC4-C6オレフィンブロックを形成し、オレフィンブロックコポリマーを形成する。これは例えば、AAABBBAAA又はAAABBBAAABBB等のブロックコポリマーのように、ブロックの数を増やすため繰り返すことが可能である。
また任意の実施形態において、触媒は、ピペレリンを含むオレフィンと1つのしてステップで組み合わされて、脂肪族C4-C6オレフィンブロックを形成し、続くステップにおいて同じ又は異なる触媒をC4-C6オレフィンブロック(又はこの時点ではC4-C6ホモポリマー)の存在下でインデン及び/又はスチレンを含むオレフィンと組み合わされて、C4-C6ブロックに共有結合した芳香族又はC8-C12オレフィンブロックを形成し、オレフィンブロックコポリマーを形成する。これは、例えばBBBAAABBB又はBBBAAABBBAAA等のブロックコポリマーのようにブロックの数を増やすために繰り返すことができる。
【0023】
また、任意の実施形態において、触媒は、シクロペンタジエン又はジシクロペンタジエンを含む環状オレフィンと1つのステップで組合せられ、C5/C10オレフィンブロックを形成し、続くステップにおいて、同じ又は異なる触媒をC5/C10オレフィンブロック(又はこの時点ではC5/C10ホモポリマー)の存在下でインデン及び/又はスチレンを含むオレフィンと組合せ、芳香族、又はC5/C10ブロックと供給結合したC8-C12オレフィンブロックを形成し、オレフィンブロックコポリマーを形成する。これは、例えばCCCAAACCC又はCCCAAACCCAAA等のブロックコポリマーであって、「C」がC5/C10環状成分であるもののブロックの数を増加させるため繰り返すことができる。
【0024】
本明細書に記載のコポリマーは、数多くの用途及び例えば単層フィルム、複数層フィルム及び接着組成物の一部又はタイヤトレッド及び/又はタイヤ側壁組成物のような物品において有用である。タイヤに適用する場合、本発明のコポリマーは独立してトレッドの2つの重要なパラメーターを変えることができた:転がり抵抗(RR)及び湿潤牽引力(WT)である。本発明の粘着付与剤はまた、粘着度を改善すると同時に高温における凝集力を改善するためにも用いることができる。コポリマーは、望ましくは、オレフィンブロックコポリマーのみを含んでもよいが、また、それを作るために用いられた反応からの他の成分、例えばC4-C6ホモポリマー及び/又はC5/C10及び/又はC8-C12ホモポリマーの副生成物であってブロックを形成しなかったものを含んでもよい。したがって、任意の実施形態において、本明細書に記載のコポリマー及びC4-C6ホモポリマー、C8-C12ホモポリマー、C5-C10ホモポリマーまたはそれらの組合せを含む(又は本質的にから成る、又はから成る)組成物である。
【0025】
ある特定の実施形態は、本明細書に記載のコポリマーを含む接着組成物又は複数層フィルムである。特に、好ましい組成物は、エチレン-ビニル-アセタート(EVA)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、スチレン-イソプレン-スチレン(SIS)コポリマー、及び/又はスチレン-ブタジエン-スチレンコポリマー(SBS)、及びこれらの内の任意の水素化されたものを有するオレフィンブロックコポリマーを含む。オレフィンブロックコポリマーは好ましくはこれらの組成物中に、組成物の質量に対して0.5、又は1、又は5質量%から10、又は20、又は30質量%の範囲内で存在する。
本発明のオレフィンブロックコポリマーについて本明細書に開示された様々な記載要素及び数値範囲は、他の記載要素及び数値範囲と組み合わせて本発明を記載することが可能である;更に、所与の要素について、本明細書に記載の任意の上限数値は任意の下限数値と組み合わせることが可能であり、そのような組み合わせを許す管轄内の実施例を含む。
【実施例】
【0026】
本発明の特性は、以下の非限定的実施例によって示される。第一に試験法及び実験手順がここに記載される。
DSC測定法:以下のDSC手続が、2重Tg粘着付与剤のガラス転移温度(Tg)を決定するために用いられた。概ね6mgの材料をマイクロリットルアルミサンプルパンに置いた。本明細書に記載のコポリマー及びホモポリマーのアモルファス的性質から、サンプルはアニールしなかった。サンプルを、示差走査熱量計(Perkin Elmer又はTA Instrument Thermal Analysis System)に配置し、23℃から120℃に10℃/分で加熱し、120℃で5分間保持した。その後、サンプルを-50℃まで10℃/分で冷却した。サンプルを-50℃で5分間保持し、-50℃から210℃に10℃/分で第2の加熱サイクルのため加熱した。Tgは、TA Universal Analysisの第2加熱サイクルで決定された。TA Universal Analysis装置の「ガラス転移」メニューアイテムを用いて、始点、終点、変曲点、及びTgのシグナル変化をDSC中で計算した。プログラムは、第1及び第2接線の交点である始点を決定することを可能とし、変曲点は最も急な傾きを有する第1及び第3接線の間の曲線部分であり、終点は第2及び第3接線の交点である。
【0027】
ゲル浸透クロマトグラフィー:分子量の分布及びモーメント(Mw、Mn、Mw/Mn等)を室温(20℃)でゲル浸透クロマトグラフィーを用い、東ソーEcoSEC HLC-8320GPCの屈折率(RI)、紫外及び(UV)検出器を備えたものを用いることによって決定した。
の4つのアジレントPLgelを連続して用いた。アルドリッチ試薬グレードのテトラヒドロフラン(THF)を移動相に用いた。100mLの溶媒あたり1mLの硫黄溶液を、内部フローマーカーに用いた。ポリマー混合物は0.45μmテフロン(登録商標)フィルターで濾過され、GPC装置に入れる前にオンライン脱ガス機で脱ガスした。公称流速は1.0mL/分であり、公称注入量は200μLであった。分子量分析は、EcoSECソフトウェアで行った。
【0028】
クロマトグラムの各点における濃度(C)をベースラインを差し引いたIR5広域帯シグナルL強度(I)から、下記の式を用いて算出した。c=βI、式中「β」はポリスチレン標準で決定される質量定数。質量回収率は、溶出体積に対する濃縮クロマトグラフィーの積分面積比及びあらかじめ定められた濃度に注入ループ体積を乗じたものと等しい注入量から計算される。
【0029】
従来の分子量は、400から35,000kg/molの範囲の一連の単分散ポリスチレン(PS)標準で行われたポリスチレン較正のカラム較正との関係を用いて決定された。各溶出体積における分子量「M」が次の式から計算された。
ここで、下付き文字「PS」を伴う変数はポリスチレンを意味し、下付き文字がない変数はテストサンプルに対応する。この方法においてa
PS=0.67及びK
PS=0.000175であり、「a」及び「K」は一連の実験式から計算される(T. Sun, P. Brant, R. R. Chance, and W. W. Graessley, 34(19) Macromolecules 6812-6820 (2001))。とりわけ、ポリエチレンについてa/K =0.695/0.000579であり、ポリプロピレンについて0.705/0.0002288である。断りのない限り、全ての濃度はg/cm
3で表され、分子量はg/molで表され、固有粘度はdL/gで表される。Mnの値は、±50g/mol、Mwについては±100g/mol、及びMzについては±200である.
【0030】
動的機械的熱分析(DMTA):歪み制御レオメーターARES-G2 (TA Instruments) が、8mm径のパラレルプレートを用いて熱測定のために用いられた。サンプルを130℃で平衡にした後、温度を-50℃まで、冷却速度2℃/分で下げた。温度傾斜の間、動的振動を周波数1Hz及び歪み振幅0.1%でサンプルにかけた。弾性率及び粘性率(G’及びG”)は、tanδ=G”/G’の値と同様、試験中に記録された。
NMR測定:500MHzNMR測定装置、TCE-d2又はCDCl3溶媒、25℃、及び120スキャン。オレフィンブロックコポリマーのNMRデータは、20±1mgのサンプルを0.7mlのd-溶媒に溶解することによって測定された。サンプルは、5mmNMRチューブ内、25℃で、サンプルが溶解するまでTCE-d2に溶解された。標準は用いられなかった。TCE-d2/CDCl3は5.98又は7.24ppmにピークを示し、サンプルのための参照ピークとして用いられた。
【0031】
SAX/MAXS/WAXS測定:全ての小角又は広角X線散乱分析(SAXS/WAXS)をSAXSLAB Ganesha 300XL+装置を用いて行った。サンプルは2つカプトン・フィルムの間に挟まれ、マルチサンプルステージホルダーに取り付けられた。全てのサンプルデータがサンプル-検出器位置91mm(WAXS)及び1041mm(SAXS)において収集され、空気散乱を最小化するために真空に保持された。SAXS及びWAXSは、Dectris Pilatusを用いて記録された。サンプル-検出器の距離はベヘン酸銀標準を用いて較正した。0-360°統合を2D散乱パターンで行い、1DI(q)対q散乱プロファイルを得た。
【0032】
原子間力顕微鏡:原子間力顕微鏡(AFM)は、形態学的画像化技術であり、アサイラム・リサーチのCypher原子間力顕微鏡を用いて行った。サンプルは、-120℃で滑らかな表面をつくるため、スキャンの前にクライオミクロトームした。ミクロトーム後、サンプルは、評価前にデシケーター中でN2パージされた。画像化は次のように行われた:装置をカンチレバーの基本(1st)モードに合わせ、振幅を1.0Vに、駆動周波数をカンチレバーの自由空気共鳴周波数の約5%下にセットした。複数周波数モードで運転する場合、より高いモード(カンチレバー及びホルダーによって、2nd、3rd又は4th)が選択され、振幅を100mVに、駆動周波数を共振にセットした。セットポイントを640mV、スキャンレートを1Hz及びスキャン角度を90°にセットした。アサイラム・リサーチの参照標準(10μm×10μmピッチ格子、深度×200nmピット)をAFM SQC及びX、Y及びZ較正に用いた。該装置は、X-Yについては真の値から2%以内又はよりよく、Zについては5%以内又はよりよく正確になるよう較正された。代表的なスキャンサイズは、10x10μm、5x5μm、1x1μm及び500x500nmである。
【0033】
オレフィンブロックコポリマーの特定の実施例及びその合成については以下のとおりである。選択された触媒及び温度条件下で、C4-C6オレフィンは管理された方法でありながら鎖末端の活性を維持したままで重合された。第1ステージの重合の最後で、C8-C12オレフィンを導入し、ポリマー鎖は引き続き実施例1において成長させる。実施例2においては、反応順序を逆にした。両方の重合の最後に、メタノール又はイソブロパノールのようなアルコールを加えることで反応はクエンチされた。2つの特定の実施例について本明細書において議論する。反応生成物は、オレフィンブロックコポリマーの存在及び性質を説明する様々な技術によって特徴づけられた。
【0034】
(実施例1(最初にC5ストリーム、続いてC9ストリーム))
連続的モノマー添加による第1オレフィンブロックコポリマーの合成は以下の通りである。C8-C12及びC4-C6フィードをモレキュラーシーブ中で重合前に乾燥させた。C4-C6ストリームを最初に連続撹拌反応槽(CSTR)に導入した。C4-C6カチオン性重合が、システム中に存在する残留湿気とルイス酸(AlCl3)とともに開始された。反応温度及び触媒濃度は、連鎖移動及び環化を最小化するため30℃及び触媒の0.3質量%に維持された。3時間後、全てのC4-C6オレフィンが反応し、重合したC4-C6オレフィンを含有する同じ反応槽にC8-C12ストリームが導入され、温度及び触媒濃度を一定に維持した。反応は続いて、全てのC8-C12ストリームが反応するまで、2時間行われた。反応の最後に、イソブロパノールで重合をクエンチした。オレフィンブロックコポリマーを窒素及び蒸気下で蒸留し、未反応のオレフィン及びその他の炭化水素を除去した。
【0035】
このように生成されたオレフィンブロックコポリマーは、分子量をGPCによって、構造特性を
1H及び
13C NMR分光法によって特徴づけられた。DSC及びDMTAはオレフィンブロックコポリマーの熱分析のために測定された。小角X線散乱及び原子間力顕微鏡法はオレフィンブロックコポリマーの形態を解析するために測定した。結果として得られた生成物、オレフィンブロックコポリマーは、Mnが1165g/mol、Mwが2078g/mol、及びMzが4148g/moleであり、したがってMz/Mwが2.0、及びMw/Mnが1.79であった。
実施例1のオレフィンブロックコポリマーのDSC及びDMTAのプロットはそれぞれ
図1及び
図2に示され、2つの転移を示し、低い方の転移は、56℃(DSC)及び貯蔵弾性率(G’)及び損失弾性率(G”)の交点で、70℃(DMTA)である。高い方の、あるいは第2段階の転移はtanδのピークの105℃で認められ、DSC及びDMTAで同様である。
【0036】
実施例1のオレフィンブロックコポリマーの構造の特徴づけは、
1H及び
13C NMR分光法技術の両方を用いて行われた。
図5はC4-C6ホモポリマー(上部)、C8-C12ホモポリマー(下部)及びオレフィンブロックコポリマー ポリ(C9-b-C5)反応生成物(中央)の
13C NMR分光法トレースである。δが45ppmにおける
13C共鳴のクロスオーバー周波数は、ホモポリマーのシグナルの下に埋もれている。しかしながら、次の炭素共鳴がδ=53ppmに存在することは、クロスオーバー、したがってブロックコポリマーの存在を示唆する。
実施例1の
1H NMR分光法の結果が、C8-C12ホモポリマー(上部)、C4-C6ホモポリマー(下部)、及びオレフィンブロックコポリマー ポリ(C9-b-C5)(中央)のトレースとして
図6に示される。
1H NMR分光法の全体を統合すると、ブロックの組成物は、57質量%の脂肪族及び43質量%の芳香族成分を含有することが示唆される。全てのオレフィン成分は、脂肪族C4-C6モノマー単位からである。
1H NMRスペクトルがホモポリマーブレンド又は混合物のそれと同様であることから、クロスオーバー周波数を確認することは困難であった。したがって、
1H NMR分光法のみでは、観察されたものが2つのホモポリマーなのか1つのオレフィンブロックコポリマーなのか明確ではない。
【0037】
(実施例2(最初にC9ストリーム、続いてC5ストリーム))
連続モノマー添加による第2オレフィンブロックコポリマーの合成は以下の通りである。C8-C12及びC4-C6オレフィンをモレキュラーシーブを通すことによって反応前に乾燥させた。C8-C12オレフィンストリームは最初のモノマーとしてCSTRに導入され、重合がルイス酸(AlCl3)の添加により開始された。反応温度及び触媒濃度は、連鎖移動及び環化を最小化するため10℃°及び0.2質量%の触媒に維持された。3時間後、全てのC8-C12オレフィンの反応成分が重合した時、C4-C6オレフィンが第2モノマーとして重合したC8-C12オレフィンを含有する同じ反応槽に導入された。第2モノマーの添加前、第1重合分画(アリコート)が最初のブロックの分析のため取り出された。温度及び触媒濃度は一定に維持した。反応は、全てのC4-C6オレフィンが反応するまで、2時間維持された。反応の最後に、イソブロパノールで重合をクエンチした。オレフィンブロックコポリマーは窒素下250℃で蒸留し、未反応の炭化水素を除去した。C8-C12オレフィン及びC4-C6オレフィンの量は、最終的なオレフィンブロックコポリマー中、50%の脂肪族及び50%の芳香族の組成が結果として得られるように調整した。
【0038】
このように生成されたオレフィンブロックコポリマーは、分子量をGPCによって、構造特性を1H及び13C NMR分光法によって特徴づけられた。DSC及びDMTA技術は反応生成物の熱分析のために使用された。実施例2のオレフィンブロックコポリマーのNMRによる特徴づけは、実施例1のそれと整合的であった。
GPCから、実施例1のC8-C12オレフィンブロックの数平均分子量(Mn)は760g/mol、質量平均分子量(Mw)は1820g/mol、及びMzは3400g/molであった。最終オレフィンブロックコポリマーは、Mnが953g/mol、Mwが4611g/mol、及びMzが12,000g/molであり、したがって、Mz/Mwが2.6及びMw/Mnが4.8であった。
【0039】
図3のGPCトレースは、実施例2のオレフィンブロックコポリマー生成物及びその前駆体(C8-C12ホモポリマー)のGPCトレースである。屈折率(RI)(図に示されている)及びUVシグナル(図に示されていない)の両方が樹脂を特徴付けるために用いられた。C8-C12(「C9」)である第1ブロックはUVで検知可能であったが、C4-C6(「C5」)はUVで検知不可能であった。第2ブロックの添加によるRI-シグナルのシフトは、分子量の変化の明らかな証拠であり、これはブロックコポリマーの形成による。しかしながら、UVシグナルの中には、第2ブロックの添加によっても変化しなかったものがあり、これはC8-C12分子による鎖の数が一定であることを証明する。C4-C6オレフィンブロックを既に開始したC8-C12鎖に添加し、それによってブロックコポリマーを形成する。UVトレースの量は増加し、このことは既に開始していたC8-C12鎖にC4-C12分子が添加されたことを更に示唆する。しかしながら、GPC RIトレースの小さなこぶが観察され、これはC4-C12モノマーの添加後存在し、ホモポリマーC4-C12の存在によるものと解釈される。GPC解析は、ブロック-C9-C9-C9-ブロック-C5-C5-C5のブロックコポリマー及びいくつかのC4-C12ホモポリマーの証拠を提供する。
【0040】
実施例2のDSC及びDMTA調査はまた、C8-C12ホモポリマー及び結果として得られるオレフィンブロックコポリマー反応生成物を含めて行われた。C8-12ホモポリマーだけのDMTAプロットは、40℃でtanδのピークで1つの大きな転位を示し、これはDSC測定とも相関する。第2DMTAプロットは実施例2の反応からの生成物のものであり、複数の転移を示す:1つは低温、-22℃(C4-C6オレフィンブロック)及びもう一つは高温、12℃(C8-C12オレフィンブロック)である。これら転位の両方が、同じ反応生成物についてDSC測定と整合的であり、複数のガラス転移温度を示す。オレフィンブロックコポリマーのtanδの検討は、明らかに低温でショルダーと、より高温でピークを示す。例えばインデン、スチレン及びスチレンの誘導体のようなC8-C12ストリーム中に存在する反応混合物のために、第2の転移がまた損失弾性率(G”)プロットで認められた。
【0041】
これらデータは、複数のガラス転移温度がオレフィンブロックコポリマーに帰因し、別々のホモポリマーに帰因するものではないことの証拠である。しかしながら、実施例2のオレフィンブロックコポリマーについてのSAXS及びAFM測定を行うことによって、オレフィンブロックコポリマーの存在及び「ブロック性(blockiness)」を証明するために更なる調査を行った。好ましくは、もしオレフィンブロックコポリマーがブロッキーな構造であれば、分子レベルでマイクロ相ドメインを形成するため相分離すべきである。
SAXS測定は両実施例の反応生成物がオレフィンブロックコポリマーをもたらすことについての証拠を提供する。散乱パターンを一次ビーム強度で規格化し、バックグラウンド散乱を修正した。実施例2の反応生成物のSAXS(
図4)は、低-q領域で傾き-4を示し、このことは、0.5μmより大きいドメインの存在を示す。オレフィンブロックコポリマーサンプル(Prod2)のみで観察される中間のq-領域(0.01Å-1<q<0.04Å-1)における余分なショルダーは、ホモポリマー混合物のスペクトル(Prod1)とは反対に、20-60nmの長さが特徴的なナノ分離を示す。
【0042】
実施例2の反応生成物のAFM画像の高さは、約50nmの同形のドメインの存在の証拠であり、当該構造の特徴的な距離に対応する散乱ピーク(又はショルダー)と相関する。AFM画像は、少なくとも0.5μmの分子レベルで異なるマイクロ相ドメインを示す、ブロッキーなコポリマー組成物と整合的である。
AFM画像及びSAXSは、ブロックコポリマーの形成を支持する。ブロックコポリマーをみる一つの方法は、混合しないような共有結合を通じて異なるポリマーが結合していることから、ブロックは互いに反発し、各ブロックの分子量及び化学的性質に依る「ナノスケール」構造の分離したドメインを形成する。上述の場合、類似のドメインがSAXS中で観察される。
【0043】
C8-12ホモポリマー及びC4-C6ホモポリマーの混合物とは区別されるオレフィンブロックコポリマーの更なる特徴付けのため、2次元NMR分光法(diffusion-ordered NMR spectroscopy)(2D-DOSY)実験が行われた。2D-DOSY NMRは、並進拡散係数がポリマーの形及び/又はサイズの変化を反映するためブロックコポリマとその成分のポリマーブレンドとを区別する貴重な技術である。DOSYは異なる核種のNMRシグナルをそれらの拡散係数に従って分離することを模索する。一連のスピンエコースペクトルが異なるパルス磁場勾配強度とともに測定され、DOSYスペクトルの拡散ドメインをともに合成する拡散係数のセットを抽出するため、シグナルの減衰が解析される。
【0044】
C8-C12及びC4-C6ホモポリマーの混合物について2D-DOSY NMR実験が行われ、その結果を
図7に、オレフィンブロックコポリマー反応生成物を
図8に示す。
図7の混合物の組成は、
図8のオレフィンブロックコポリマーから推論されるブロック組成と同じように作られ、ここで、C8-C12含有量は43質量%でMnは760g/mol、Mwは1820g/molであり:C4-C6含有量は57質量%でMnは2,000g/mol及びMwは14,000 g/molであった(GPCでの測定による)。2つの各ポリマーは異なる分子量及び流体力学半径を有することから、DOSY分光法におけるNMR共鳴は、等高線図の特定の拡散係数とともに配列したピークを注意深く調べることで見分けることができる。
【0045】
オレフィンブロックコポリマーの場合、全てのNMRシグナルは同じ減衰パターンを有し、単一の拡散係数を結果として与え、これは両方の単位-C4-C6オレフィンブロック及びC8-C12オレフィンブロック-が一つの分子中に存在するためである。
図8中のデータは、ブロックコポリマーからの全てのNMRピークがX軸に平行に拡散係数8.0x10
-7m
2s
-1で現われたことを示す。ポリマー混合物及びブロックコポリマーの1次元
1H NMRスぺクトルは、互いに区別できないほど似ているが、ポリマーの異なる並進拡散係数は最終的には各ポリマー単位構成成分の異なる拡散係数に現れた。
加えて、2D-DOSY分光法はまた、ブロックコポリマーの一部ではないC4-C6及びC8-C12の両方についていくつかのホモポリマーの存在を確認する。このことは、システムがリビング重合というよりもむしろ管理された重合システムであるという事実によって説明することができる。したがって、最初のC8-C12オレフィンブロックのいくつかの鎖は終点となり、いくつかの望まれない連鎖移動、及び停止反応はC4-C6ホモポリマーを形成する。
【0046】
様々な方法が、C4-C6及びC8-C12オレフィンの管理されたカチオン性重合を用いるオレフィンブロックコポリマーの調製を証明する。このように生成したオレフィンブロックコポリマーは、DSC及びDMTAによって認められるような複数の熱転移を有する。GPC、SAXS及び2D-DOSY NMR分光法技術が用いられ、オレフィンブロックコポリマーの特徴づけに成功した。これらのオレフィンブロックコポリマーはスチレンベースブロックホットメルト接着剤又は非混和性複層フィルムに用いられ、したがって、層間接着性を改善するとともに、各ブロックに粘着性を付与して有用な接着剤を生成する。
オレフィンブロックコポリマーは、上述のベースポリマーと混合されると、好ましくは相分離を溶融状態で起こし、界面でC4-C6オレフィンブロックで分割し、ベースポリマーの脂肪族部分に留まり、C8-C12オレフィンブロックはベースポリマーの芳香族部分に留まる。ベースポリマーの熱及びフロー特性は、ベースポリマーの各ブロック中のオレフィンブロックコポリマーの質量%によっても影響される。既存技術のランダムコポリマータイプの粘着付与剤が用いられる場合、典型的にはそれはベースポリマーの一つの相に帰属し、それによって他のブロックに影響を与えることなくそのブロックのみついて熱特性を変化させる。スチレン-イソプレン-スチレン(SIS)トリブロックコポリマー(Vector(商標)4111)とのブレンドにおける、本発明のブロックコポリマー次の実施例は、既存技術のランダムコポリマーの粘着付与剤と比較した場合、このことを証明する。
【0047】
(実施例3(オレフィンブロックコポリマー対ブレンド及び市販の粘着付与剤)
SISブロックコポリマーVector(商標)4111(Dexcoより)のブレンドの質量に対する30質量%のブレンドを、70質量%の下記の表1に記載のEscorez(商標)粘着付与剤(全てExxonMobilから)、及び本発明のブロックコポリマーであって、表2のとおり番号を付けたもの:(2)E5400;(3)E5600;(4)E7105及びE1102の混合物;(5)C8-C12ホモポリマー;(6)ポリ(C9-b-C5)(本発明のオレフィンブロックコポリマー);(7)C8-C12及びC4-C6 ホモポリマー混合物とともに調製した。均質なブレンドをブロックコポリマー及び粘着付与剤を190℃で高速ミキサー中で加熱することによって作った。ポリマーブレンドは冷却され、サンプルは上述のとおりDMTA測定のために調製された。表2は、DMTAで観察された各セグメントのTgを記載し、フォックス-フローリ-の式を用いて計算されたTg(理論値)と比較した。
【0048】
【0049】
【0050】
サンプル1はSISブロックコポリマーVector(商標)4111で粘着付与剤を伴わないものであり、2つのTgを示し、最初のTgは-50℃でブロックコポリマー中に存在するイソプレン相に対応し、第2のTgは100℃で硬スチレン相に対応する。市販の粘着付与剤は次のように選択された:例えばE5400及びE1102は、ブロックコポリマーの脂肪族相(ミッドブロック粘着付与剤)に残り、一方でその他、例えばE5600及びE7105はより極性のスチレン相(エンドブロック)に残る。
サンプル2は、30質量%のVector4111及び70質量%のE5400を含有する。フォックス-フローリーの式を用いて、計算されたミッドブロックのTgは1℃であるが、DMTAは-6℃を示した。この観察された不整合は、全てのE5400粘着付与剤がイソプレン相に移動するわけではないという事実によって説明することができる。サンプル2のDMTAデータには2つの転移が観察され、1つは硬スチレンドメイン(100℃)に対応し、もう一方の50℃におけるその他のマイナーな転位はE5400に対応し、E5400が分離層として存在することを示唆している。
【0051】
予期されたように、サンプル3のDMTAは、芳香族E5600がSISブロックコポリマーのスチレン相と結合し、そのTgを変化させることを示し、これは表2の「成分」Tgと「測定」Tgの値を比較することによって認めることができる。しかしながら、イソプレン相は影響を受けない。
サンプル4において、E1102及びE7105の50/50混合物はVector4111とブレンドされた。理論的には、粘着付与剤E1102は、弾性のイソプレン相に、E7105は芳香族相に移動し、対応する転移を変化させる。しかしながら、40から60℃の間に唯一の幅広い転移が認められるだけである。
サンプル5はSISブロックコポリマーとC8-C12ホモポリマーのブレンドであり、予想されるように、ホモポリマーはポリマーの芳香族相と相溶性でそのTgを脂肪族相のTgに影響を与えることなく変化させる。
【0052】
サンプル6は Vector 4111と実施例2のオレフィンブロックコポリマーとのブレンドである。溶融状態において、それは異なるドメインに相分離する。オレフィンブロックコポリマーのC4-C6部分はSISブロックコポリマーのイソプレンブロックと相溶性であり、そのTgを変化させる。同様に、オレフィンブロックコポリマーのC8-C12部分はスチレンドメインのTgを変化させる。計算された理論値は、測定値と一致する。
サンプル7中のC8-C12及びC4-C6ホモポリマーの物理的混合物の場合、これらは、ベースSISブロックコポリマーとある程度混和性である。しかし、それらは実施例2のように相分離はしない。したがって、予見されたTgは測定値と合わない。物理的ブレンドは、ベースブロックコポリマーのフローパターンを変えるほどには効果的ではない。
【0053】
本明細書で用いられる場合、「本質的にから成る」は、特許請求の範囲に記載のポリマー又はポリマーブレンドが、名指しされた成分のみを含み、測定された特性を10%又は20%を超えるほど変えるような追加的成分を含まないことを意味し、最も好ましくは、追加的な成分が組成物の質量に対して、5、又は4、又は3、又は2質量%を下回る程度存在することを意味する。そのような追加的な成分は、例えば、充填剤、着色剤、酸化防止剤、抗UV添加剤、医薬、架橋剤、しばしば炭化水素ポリエチレンとして参照される脂肪族及び/又は環含有オリゴマー又はポリマー、及び当該技術分野で公知であるその他の添加剤を含むことが可能である。プロセスに関連する場合、「本質的にから成る」というフレーズは、ポリマー、ポリマーブレンド又はそれらから生産される製品の特許請求の範囲に記載の性質を10または20%を超えて変えるようなその他のプロセスが存在しないことを意味する。
【0054】
「参照により組み込まれる」の方針が適用される全ての管轄内において、全ての試験方法、特許公報、特許及び参照文献は、ここに、本明細書において、その全体又はそれらが参照される関連性のある部分が参照により組み込まれる。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕少なくとも1つのC8-C12オレフィン由来単位を含むブロック及び少なくとも1つのC4-C6オレフィン由来単位を含むブロック及び/又はC5/C10環状オレフィン由来単位を含み、各ブロックは数平均分子質量(Mn)が少なくとも300g/molであり、該コポリマーは2つのガラス転移温度(T
g
)を有し、Mw/Mn値が少なくとも1.5である、コポリマー。
〔2〕第1T
g1
及び第2T
g2
を有し、T
g2
がT
g1
よりも少なくとも5℃高い、前記〔1〕に記載のコポリマー。
〔3〕T
g1
が-30℃から60℃の範囲内にあり、T
g2
が-10℃から120℃の範囲内にある、前記〔2〕に記載のコポリマー。
〔4〕少なくとも1つのC8-C12オレフィンブロックの質量平均分子質量(Mw)が、600g/molから40,000g/molの範囲内にある、前記〔1〕から〔3〕のいずれか1項に記載のコポリマー。
〔5〕少なくとも1つのC4-C6オレフィンブロックの質量平均分子質量(Mw)が、600g/molから40,000g/molの範囲内にある、前記〔1〕から〔4〕のいずれか1項に記載のコポリマー。
〔6〕少なくとも1つのC5/C10オレフィンブロックの質量平均分子質量(Mw)が、600g/molから40,000g/molの範囲内にある、前記〔1〕から〔5〕のいずれか1項に記載のコポリマー。
〔7〕Mwが、1,000g/molから80,000g/molの範囲内にある、前記〔1〕から〔6〕のいずれか1項に記載のコポリマー。
〔8〕Mz/Mwが少なくとも2.0である、前記〔1〕から〔7〕のいずれか1項に記載のコポリマー。
〔9〕サイズが少なくとも0.5μmの不連続ドメインを有する、前記〔1〕から〔8〕のいずれか1項に記載のコポリマー。
〔10〕C4-C6オレフィンブロックが線状又は環状C5/C10オレフィン及び/又はジオレフィンに由来する単位を含む、前記〔1〕から〔9〕のいずれか1項に記載のコポリマー。
〔11〕C4-C6オレフィンブロックがピペリレンに由来する単位を含む、前記〔1〕から〔10〕のいずれか1項に記載のコポリマー。
〔12〕C5/C10環状オレフィンブロックがシクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン及びそれらの誘導体に由来する単位を含む、前記〔1〕から〔11〕のいずれか1項に記載のコポリマー。
〔13〕C8-C12オレフィンブロックがインデン、スチレン及びそれらの組合せに由来する単位を含む、前記〔1〕から〔12〕のいずれか1項に記載のコポリマー。
〔14〕C4-C6オレフィンブロック中の全ての単位の質量に対して、少なくとも80質量%がC4-C6オレフィン及び/又はジオレフィン由来単位である、前記〔1〕から〔13〕のいずれか1項に記載のコポリマー。
〔15〕C5/C10環状オレフィンブロック中の全ての単位の質量に対して、少なくとも80質量%がC5又はC10シクロペンタジエン又はジシクロペンタジエン由来単位である、前記〔1〕から〔14〕のいずれか1項に記載のコポリマー。
〔16〕C8-C12オレフィンブロック中の全ての単位の質量に対して、少なくとも80質量%がC8からC12芳香族含有オレフィン由来単位である、前記〔1〕から〔13〕のいずれか1項に記載のコポリマー。
〔17〕前記〔1〕から〔16〕のいずれか1項に記載のコポリマー及びC4-C6ホモポリマー、C8-C12ホモポリマー、C5/C10環状ホモポリマー、又はそれらの組合せを含む、組成物。
〔18〕前記〔1〕から〔17〕のいずれか1項に記載のコポリマーを形成する方法であって、少なくとも第1ステージで第1オレフィンブロックを形成するため第1オレフィンを触媒を組み合わせるステップと、第2オレフィンを同じ又は異なる触媒と少なくとも第2ステージで第2オレフィンブロックを形成するために組み合わせるステップを含み、ここで第1オレフィンは、C4-C6、C5/C10及びC8-C12オレフィンのグループから選択され、第2オレフィンは、C4-C6、C5/C10及びC8-C12オレフィンのグループから選択され、第1オレフィンと第2オレフィンとが同じではない、方法。
〔19〕触媒がルイス酸触媒であり、成分が-10℃から50℃の温度範囲内で組み合わせられる、前記〔18〕に記載の方法。
〔20〕前記〔1〕から〔15〕のいずれか1項に記載のコポリマー、又は前記〔16〕に記載の組成物を含む、接着組成物又は複数層フィルム又はポリマー組成物。