(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-15
(45)【発行日】2022-07-26
(54)【発明の名称】光ロータリージョイントを提供するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
G02B 6/36 20060101AFI20220719BHJP
G02B 6/26 20060101ALI20220719BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20220719BHJP
【FI】
G02B6/36
G02B6/26 301
A61B1/00 523
A61B1/00 681
(21)【出願番号】P 2019540454
(86)(22)【出願日】2018-01-29
(86)【国際出願番号】 US2018015735
(87)【国際公開番号】W WO2018140875
(87)【国際公開日】2018-08-02
【審査請求日】2020-12-25
(32)【優先日】2017-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592017633
【氏名又は名称】ザ ジェネラル ホスピタル コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】ティアニー ギレルモ ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ピャオ ヂョンリィ
【審査官】坂上 大貴
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/137375(WO,A1)
【文献】米国特許第08909008(US,B1)
【文献】特開昭57-188005(JP,A)
【文献】特開2015-216978(JP,A)
【文献】米国特許第08953911(US,B1)
【文献】特表2008-521022(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101986176(CN,A)
【文献】国際公開第2010/029935(WO,A1)
【文献】Gangjun Liu et al.,Rotational multiphoton endoscopy with a 1 μm fiber laser system,Optics Letters,Vol.34, No.15,2009年08月01日,2249-2251,https://www.ncbi.nlm.nih.bov/pmc/atticles/PMC3058363/pdf/nihms157790.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/24
6/255-6/27
6/30-6/34
6/36-6/43
A61B 1/00-1/32
G01N 21/00-21/01
21/17-21/61
JSTPlus(JDreamIII)
JST7580(JDreamIII)
JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガイドフェルールと、
回転可能フェルールと、
回転可能光ファイバーと、
カプラと、を備え、
前記回転可能光ファイバーは、前記回転可能フェルール及び前記ガイドフェルール内に挿通され、
前記回転可能光ファイバーは、前記回転可能フェルール内に固定され、
前記回転可能光ファイバーは、前記ガイドフェルール内で自由に回転可能であり、
前記カプラは、前記ガイドフェルールを固定するとともに、静止光ファイバーの面が前記回転可能光ファイバーの面に近接するよう前記静止光ファイバーを含む静止フェルールを収容するよう構成されている
ことを特徴とするレンズレス光ロータリージョイント。
【請求項2】
前記静止光ファイバーの前記面と前記回転可能光ファイバーの前記面との間のギャップをさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載のレンズレス光ロータリージョイント。
【請求項3】
前記静止光ファイバーの前記面と前記回転可能光ファイバーの前記面との間のギャップは幅が50μm未満であることを特徴とする請求項2に記載のレンズレス光ロータリージョイント。
【請求項4】
前記ガイドフェルールは、前記静止フェルールと合わせられる端部を有し、
前記ガイドフェルールの前記端部は、
前記静止光ファイバーの前記面と前記回転可能光ファイバーの前記面との間の前記ギャップの
幅を決定するリファレンス面を有する
ことを特徴とする請求項2又は3に記載のレンズレス光ロータリージョイント。
【請求項5】
前記リファレンス面の面積は、前記静止フェルールの断面積よりも小さいことを特徴とする請求項4に記載のレンズレス光ロータリージョイント。
【請求項6】
前記回転可能光ファイバーはマルチモード光ファイバーであり、
前記レンズレス光ロータリージョイントは、マルチモード光ファイバー及びシングルモード光ファイバーと互換性を有する
ことを特徴とする請求項1~5の何れか1項に記載のレンズレス光ロータリージョイント。
【請求項7】
前記回転可能フェルールを少なくとも部分的に取り囲む回転可能シャフトをさらに備え、
前記回転可能シャフトの前記回転可能光ファイバーにより定義される中心軸の周りの回転によって、前記回転可能フェルールが前記中心軸の周りで回転するように構成されている
ことを特徴とする請求項1~6の何れか1項に記載のレンズレス光ロータリージョイント。
【請求項8】
回転可能光学素子を含む光干渉断層撮影プローブと、
静止イメージング装置と、をさらに備え、
前記光干渉断層撮影プローブは前記回転可能光ファイバーに結合され、
前記静止イメージング装置は前記静止光ファイバーに結合され、
前記回転可能光学素子の回転中に、前記静止イメージング装置と前記光干渉断層撮影プローブとの間に
、少なくとも2つの連続的な光接続
を備える1つの連続的な光路が形成されるよう構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載のレンズレス光ロータリージョイント。
【請求項9】
前記回転可能フェルール及び前記ガイドフェルールはスペースによって離隔していることを特徴とする請求項1~8の何れか1項に記載のレンズレス光ロータリージョイント。
【請求項10】
前記ギャップは、前記ギャップ内に配置されたトランスミッション流体を有することを特徴とする請求項2~9の何れか1項に記載のレンズレス光ロータリージョイント。
【請求項11】
前記トランスミッション流体は屈折率整合ゲルを含むことを特徴とする請求項10に記載のレンズレス光ロータリージョイント。
【請求項12】
第1端部から第2端部に延びる長い本体を有する第1フェルールと、
第3端部から第4端部に延びる長い本体を有する第2フェルールと、
前記第3端部と前記第4端部の間を通る第2貫通孔と、前記第1端部と前記第2端部の間を通る第1貫通孔と、を通る第1光ファイバーと、
前記第1フェルール及び第3フェルールを収容するガイドと、
前記第2フェルールに結合されたロータリーシャフトと、を備え、
前記第1光ファイバーは前記第
2貫通孔内に固定され、
前記第1光ファイバーは前記第
1貫通孔内で自由に回転可能であり、
前記第3フェルールは、前記第3フェルール内に挿通された第2光ファイバーを有し、
前記ガイドは、前記第3フェルールが前記ガイド内に挿入された時に、前記第2光ファイバーと前記第1光ファイバーとの間に光接続を形成するために前記第2光ファイバーを前記第1光ファイバーと同軸に整列させるよう構成され、
前記ロータリーシャフトは前記第1光ファイバーによって定義される軸の周りで回転可能であり、
前記ロータリーシャフトの前記軸の周りの回転によって、前記第2フェルール
が前記軸の周りに回転し、かつ、前記第1光ファイバーが前記第1フェルール内で回転するよう構成されている
ことを特徴とするロータリージョイント。
【請求項13】
前記第3フェルールを収容するよう構成されたアダプタをさらに備え、
前記アダプタは、ファイバー光ケーブルコネクタを前記ガイドと整列させるよう構成されたコネクタ位置決めシステムを有し、
前記ファイバー光ケーブルコネクタは前記第3フェルールを有する
ことを特徴とする請求項12に記載のロータリージョイント。
【請求項14】
前記ファイバー光ケーブルコネクタに結合されるよう構成された静止コネクタと、
イメージング装置に結合されるよう構成された回転可能コネクタと、をさらに備え、
前記イメージング装置は回転可能光学素子を有する
ことを特徴とする請求項13に記載のロータリージョイント。
【請求項15】
前記ロータリーシャフト及び前記回転可能コネクタは結合されており、
前記回転可能コネクタによって、前記回転可能光学素子が前記ロータリーシャフトと同じ速度で回転するよう構成されている
ことを特徴とする請求項14に記載のロータリージョイント。
【請求項16】
前記ロータリーシャフトに結合されたモータをさらに備え、
前記モータの回転によって前記第2フェルールが回転するよう構成されている
ことを特徴とする請求項12~15の何れか1項に記載のロータリージョイント。
【請求項17】
前記第1光ファイバーと前記第2光ファイバーとの間のギャップをさらに備え、
前記ギャップはトランスミッション流体を含む
ことを特徴とする請求項12~16の何れか1項に記載のロータリージョイント。
【請求項18】
前記ギャップは50μm未満であることを特徴とする請求項17に記載のロータリージョイント。
【請求項19】
前記第1光ファイバーの外径と前記第
1貫通孔の内径との間のバッファスペースをさらに備え、
前記バッファスペースにはトランスミッション流体が充填されている
ことを特徴とする請求項12~16の何れか1項に記載のロータリージョイント。
【請求項20】
前記トランスミッション流体は屈折率整合ゲルを含むことを特徴とする請求項17~19の何れか1項に記載のロータリージョイント。
【請求項21】
前記第1光ファイバーはダブルクラッドファイバーであることを特徴とする請求項12~20の何れか1項に記載のロータリージョイント。
【請求項22】
前記ロータリーシャフトに隣接する少なくとも1つのベアリングをさらに備えることを特徴とする請求項12~21の何れか1項に記載のロータリージョイント。
【請求項23】
前記第1フェルール、前記第2フェルール、前記ガイド及び前記ロータリーシャフトを少なくとも部分的に取り囲むとともに軸方向に整列させるハウジングをさらに備え、
前記ハウジングは、前記第2フェルール及び前記ロータリーシャフトを少なくとも部分的に取り囲む第1コンポーネントと、前記第1フェルール及び前記ガイドを少なくとも部分的に取り囲む第2コンポーネントと、を備え、
前記第1コンポーネントに対する前記第2コンポーネントの位置は、前記第1フェルール及び前記第2フェルールが軸方向に整列するように調整可能である
ことを特徴とする請求項12~22の何れか1項に記載のロータリージョイント。
【請求項24】
静止イメージング装置から回転可能光学素子を有するイメージングプローブにロータリージョイントを用いて光信号を伝送する方法であって、
前記ロータリージョイントは、
第1端部から第2端部に延びる長い本体を有する第1フェルールと、
第3端部から第4端部に延びる長い本体を有する第2フェルールと、
前記第3端部と前記第4端部の間を通る第2貫通孔を通るとともに、前記第1端部と前記第2端部の間を通る第1貫通孔の少なくとも一部を通る第1光ファイバーと、
ガイドと、
ロータリーシャフトと、を備え、
前記第1光ファイバーは、前記第
2貫通孔内に固定されかつ前記第
1貫通孔内で自由に回転可能であり、
前記ガイドは、前記第1フェルールを収容するよう構成されるとともに、前記
第3フェルールが前記ガイド内に挿入された時に、
前記第3フェルールの少なくとも一部を通る第2光ファイバーを前記第1光ファイバーと同軸に整列させて、前記第1光ファイバーと前記第2光ファイバーとの間に第1光接続を形成するよう構成され、
前記ロータリーシャフトは、前記第2フェルールに結合されるとともに、前記第1光ファイバーによって定義される軸の周りで回転するよう構成され、
前記ロータリーシャフトの前記軸の周りの回転によって、前記第2フェルール及び前記第1光ファイバーが前記第1フェルール内で回転するよう構成され、
前記方法は、
前記第1光接続を形成するために、静止光コネクタ容器内に前記第3フェルールを挿入することで、前記第2光ファイバーを前記ロータリージョイントに接続することと、
前記回転可能光学素子の少なくとも一部を回転可能光コネクタ容器内に挿入することによって、前記イメージングプローブの前記回転可能光学素子を前記第1光ファイバーに接続
して第2光接続を形成することと、
モータを用いて前記第1光ファイバー及び前記回転可能光学素子を回転させることと、
前記静止イメージング装置から第1光信号を受信することと、
前記第1光ファイバーの回転中に、前記静止イメージング装置からの前記第1光信号を前記第1光接続及び前記第2光接続を介して前記回転可能光学素子に伝送することと、
前記イメージングプローブから第2光信号を受信することと、
前記第1光ファイバーの回転中に、前記イメージングプローブからの前記第2光信号を前記第1光接続及び前記第2光接続を介して前記静止イメージング装置に伝送することと、を含む
ことを特徴とする方法。
【請求項25】
前記
ロータリージョイントが、前記第1光ファイバーと前記第2光ファイバーとの間のギャップをさらに備えたことを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記ギャップは、前記ギャップ内に配置された屈折率整合ゲルを含むことを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記ギャップは幅が50μm未満であることを特徴とする請求項25又は26に記載の方法。
【請求項28】
前記第1フェルール及び前記第2フェルールはスペースによって離隔していることを特徴とする請求項24~27の何れか1項に記載の方法。
【請求項29】
静止イメージング装置から回転可能光学素子を有するイメージングプローブにレンズレス光ロータリージョイントを用いて光信号を伝送する方法であって、
前記レンズレス光ロータリージョイントは、
ガイドフェルールと、
回転可能フェルールと、
前記回転可能フェルール及び前記ガイドフェルールに挿通される回転可能光ファイバーと、
スリーブと、を備え、
前記回転可能光ファイバーは、前記回転可能フェルール内に固定されるとともに、前記ガイドフェルール内で自由に回転するよう構成され、
前記スリーブは、前記ガイドフェルールを固定するとともに、静止光ファイバーの面が前記回転可能光ファイバーの面に近接するよう前記静止光ファイバーを含む静止フェルールを収容するよう構成されており、
前記方法は、
第1接続を形成するために、前記スリーブ内に前記静止フェルールを挿入することで、前記静止光ファイバーを前記レンズレス光ロータリージョイントに接続することと、
第2接続を形成するために、前記回転可能光学素子を回転可能光コネクタ内に結合することで、前記イメージングプローブの前記回転可能光学素子を前記回転可能光ファイバーに接続することと、
前記回転可能光ファイバー及び前記回転可能光学素子を回転させることと、
前記静止イメージング装置から第1信号を受信することと、
前記回転可能光ファイバーの回転中に、前記第1信号を、前記第1接続及び前記第2接続を介して前記回転可能光学素子に伝送することと、
前記イメージングプローブから第2信号を受信することと、
前記回転可能光ファイバーの回転中に、前記第1信号の伝送と同時に、前記第2信号を、前記第1接続及び前記第2接続を介して前記静止イメージング装置に伝送することと、を含む
ことを特徴とする方法。
【請求項30】
前記レンズレス光ロータリージョイントが、前記回転可能光ファイバーと前記静止光ファイバーとの間のギャップをさらに備えたことを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記ギャップは、前記ギャップ内に配置された屈折率整合ゲルを含むことを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記ギャップは幅が50μm未満であることを特徴とする請求項30又は31に記載の方法。
【請求項33】
前記ガイドフェルール及び前記回転可能フェルールはスペースによって離隔していることを特徴とする請求項29~32の何れか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
本出願は、2017年1月27に出願された米国仮出願番号第62/451,511号に基づくとともにその利益を主張し、当該仮出願の内容は全てあらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれているものとする。
【0002】
<連邦政府の支援による研究に関する言明>
該当せず。
【背景技術】
【0003】
光ファイバーロータリージョイント(光ファイバーロータリージャンクションとも称される)は、回転する光学素子を利用するスキャニングイメージングプローブ(例えばカテーテル、内視鏡又は針)と静止イメージング装置との間で光パワー及び/又は信号を伝送するために、内視鏡/血管内イメージングにおいて幅広く用いされている。例えば、冠動脈疾患、胃腸がん診断及び肺疾患などの広範囲に拡散した疾病の診断で使用するために、内視鏡光学イメージング手法(例えば光干渉断層撮影、分光法、ラマン分光法、蛍光イメージング及び光音響)が提案されている。
【0004】
光ファイバーロータリージョイントを実施するために多くの異なるデザインが提案されており、これらは多様なタイプの光学素子、機構及び光ファイバーを含む。そのような光ファイバーロータリージョイントは、一方の光ファイバーを他方に対して回転又はスピンさせながらも回転中に2つのファイバー間で常に光接続を与えるようデザインされている。
【0005】
しかしながら、速い回転速度(例えば毎分数千回転のオーダーの速度)を達成することは困難である。光学レンズベースのロータリージョイントが提案されているものの、そのデザインは、一般的に要求されるレンズ(例えばグリンレンズ又は非球面レンズ)の単純さによって通常は制限されることから、このタイプのロータリージョイントはダブルクラッドファイバー(DCF)及びマルチクラッドファイバー(MCF)などの複雑な光学ファイバーとの併用には不適切である。例えば、DCF及びMCFファイバーなどの複雑な光ファイバーを用いて最適な光伝送(及び最適な画質)を達成するためには、一方のファイバーの端面から他方のファイバーに光を低損失で伝送するためにロータリージョイントを通り得る異なる波長についてコア・ツー・コア及びクラッド・ツー・クラッド光学結合を最適化することが重要である。現在のレンズベースロータリージョイントは、レンズの中心と縁の両方で複数の波長を有する光を集光することが困難なことから、密接なコア・ツー・コア及びクラッド・ツー・クラッド光学結合を達成することができない。
【0006】
したがって、光ロータリージョイントを提供するための新たなシステムが所望される。
【発明の概要】
【0007】
開示された発明の対象の一部の実施形態によれば、光ロータリージョイントを提供するためのシステムが提供される。
【0008】
開示された発明の対象の一部の実施形態によれば、レンズレス光ロータリージョイントが提供され、レンズレス光ロータリージョイントは、ガイドフェルールと、回転可能フェルールと、回転可能光ファイバーと、カプラと、を備え、前記回転可能光ファイバーは、前記回転可能フェルール及び前記ガイドフェルール内に挿通され、前記回転可能光ファイバーは、前記回転可能フェルール内に固定され、前記回転可能光ファイバーは、前記ガイドフェルール内で自由に回転可能であり、前記カプラは、前記ガイドフェルールを固定するとともに、静止光ファイバーの面が前記回転可能光ファイバーの面に近接するよう前記静止光ファイバーを含む静止フェルールを収容するよう構成されている。
【0009】
一部の実施形態では、レンズレス光ロータリージョイントは、前記静止光ファイバーの前記面と前記回転可能光ファイバーの前記面との間のギャップをさらに備える。
【0010】
一部の実施形態では、前記静止光ファイバーの前記面と前記回転可能光ファイバーの前記面との間のギャップは幅が50μm未満である。
【0011】
一部の実施形態では、前記ガイドフェルールは、前記静止フェルールと合わせられる端部を有し、前記ガイドフェルールの前記端部は、前記ギャップの前記幅を決定するリファレンス面を有する。
【0012】
一部の実施形態では、前記リファレンス面の面積は、前記静止フェルールの断面積よりも小さい。
【0013】
一部の実施形態では、前記回転可能光ファイバーはマルチモード光ファイバーであり、 前記レンズレス光ロータリージョイントは、マルチモード光ファイバー及びシングルモード光ファイバーと互換性を有する。
【0014】
一部の実施形態では、レンズレス光ロータリージョイントは、前記回転可能フェルールを少なくとも部分的に取り囲む回転可能シャフトをさらに備え、前記回転可能シャフトの前記回転可能光ファイバーにより定義される中心軸の周りの回転によって、前記回転可能フェルールが前記中心軸の周りで回転するように構成されている。
【0015】
一部の実施形態では、レンズレス光ロータリージョイントは、回転可能光学素子を含む光干渉断層撮影プローブと、静止イメージング装置と、をさらに備え、前記光干渉断層撮影プローブは前記回転可能光ファイバーに結合され、前記静止イメージング装置は前記静止光ファイバーに結合され、前記回転可能光学素子の回転中に、前記静止イメージング装置と前記光干渉断層撮影プローブとの間に複数の連続的な光接続が形成されるよう構成されている。
【0016】
一部の実施形態では、前記回転可能フェルール及び前記ガイドフェルールはスペースによって離隔している。
【0017】
一部の実施形態では、前記ギャップは、前記ギャップ内に配置されたトランスミッション流体を有する。
【0018】
一部の実施形態では、前記トランスミッション流体は屈折率整合ゲルを含む。
【0019】
開示された発明の対象の一部の実施形態によれば、ロータリージョイントが提供され、ロータリージョイントは、第1端部から第2端部に延びる長い本体を有する第1フェルールと、第3端部から第4端部に延びる長い本体を有する第2フェルールと、前記第3端部と前記第4端部の間を通る第2貫通孔と、前記第1端部と前記第2端部の間を通る第1貫通孔と、を通る第1光ファイバーと、前記第1フェルール及び第3フェルールを収容するガイドと、前記第2フェルールに結合されたロータリーシャフトと、を備え、前記第1光ファイバーは前記第1貫通孔内に固定され、前記第1光ファイバーは前記第2貫通孔内で自由に回転可能であり、前記第3フェルールは、前記第3フェルール内に挿通された第2光ファイバーを有し、前記ガイドは、前記第3フェルールが前記ガイド内に挿入された時に、前記第2光ファイバーと前記第1光ファイバーとの間に光接続を形成するために前記第2光ファイバーを前記第1光ファイバーと同軸に整列させるよう構成され、前記ロータリーシャフトは前記第1光ファイバーによって定義される軸の周りで回転可能であり、前記ロータリーシャフトの前記軸の周りの回転によって、前記第2フェルール及び前記第1光ファイバーが前記第1フェルール内で回転するよう構成されている
【0020】
一部の実施形態では、ロータリージョイントは、前記第3フェルールを収容するよう構成されたアダプタをさらに備え、前記アダプタは、ファイバー光ケーブルコネクタを前記ガイドと整列させるよう構成されたコネクタ位置決めシステムを有し、前記ファイバー光ケーブルコネクタは前記第3フェルールを有する。
【0021】
一部の実施形態では、ロータリージョイントは、前記ファイバー光ケーブルコネクタに結合されるよう構成された静止コネクタと、イメージング装置に結合されるよう構成された回転可能コネクタと、をさらに備え、前記イメージング装置は回転可能光学素子を有する。
【0022】
一部の実施形態では、前記ロータリーシャフト及び前記回転可能コネクタは結合されており、前記回転可能コネクタによって、前記回転可能光学素子が前記ロータリーシャフトと同じ速度で回転するよう構成されている。
【0023】
一部の実施形態では、ロータリージョイントは、前記ロータリーシャフトに結合されたモータをさらに備え、前記モータの回転によって前記第2フェルールが回転するよう構成されている。
【0024】
一部の実施形態では、ロータリージョイントは、前記第1光ファイバーと前記第2光ファイバーとの間のギャップをさらに備え、前記ギャップはトランスミッション流体を含む。
【0025】
一部の実施形態では、前記ギャップは50μm未満である。
【0026】
一部の実施形態では、ロータリージョイントは、前記第1光ファイバーの外径と前記第2貫通孔の内径との間のバッファスペースをさらに備え、前記バッファスペースにはトランスミッション流体が充填されている。
【0027】
一部の実施形態では、前記トランスミッション流体は屈折率整合ゲルを含む。
【0028】
一部の実施形態では、前記第1光ファイバーはダブルクラッドファイバーである。
【0029】
一部の実施形態では、ロータリージョイントは、前記ロータリーシャフトに隣接する少なくとも1つのベアリングをさらに備える。
【0030】
一部の実施形態では、ロータリージョイントは、前記第1フェルール、前記第2フェルール、前記ガイド及び前記ロータリーシャフトを少なくとも部分的に取り囲むとともに軸方向に整列させるハウジングをさらに備え、前記ハウジングは、前記第2フェルール及び前記ロータリーシャフトを少なくとも部分的に取り囲む第1コンポーネントと、前記第1フェルール及び前記ガイドを少なくとも部分的に取り囲む第2コンポーネントと、を備え、 前記第1コンポーネントに対する前記第2コンポーネントの位置は、前記第1フェルール及び前記第2フェルールが軸方向に整列するように調整可能である。
【0031】
開示された発明の対象の一部の実施形態によれば、静止イメージング装置から回転可能光学素子を有するイメージングプローブにロータリージョイントを用いて光信号を伝送する方法が提供され、前記ロータリージョイントは、第1端部から第2端部に延びる長い本体を有する第1フェルールと、第3端部から第4端部に延びる長い本体を有する第2フェルールと、前記第3端部と前記第4端部の間を通る第2貫通孔を通るとともに、前記第1端部と前記第2端部の間を通る第1貫通孔の少なくとも一部を通る第1光ファイバーと、 ガイドと、ロータリーシャフトと、を備え、前記第1光ファイバーは、前記第1貫通孔内に固定されかつ前記第2貫通孔内で自由に回転可能であり、前記ガイドは、前記第1フェルールを収容するよう構成されるとともに、前記第3フェルールが前記ガイド内に挿入された時に、第3フェルールの少なくとも一部を通る第2光ファイバーを前記第1光ファイバーと同軸に整列させて、前記第1光ファイバーと前記第2光ファイバーとの間に第1光接続を形成するよう構成され、前記ロータリーシャフトは、前記第2フェルールに結合されるとともに、前記第1光ファイバーによって定義される軸の周りで回転するよう構成され、前記ロータリーシャフトの前記軸の周りの回転によって、前記第2フェルール及び前記第1光ファイバーが前記第1フェルール内で回転するよう構成され、前記方法は、前記第1光接続を形成するために、静止光コネクタ容器内に前記第3フェルールを挿入することで、前記第2光ファイバーを前記ロータリージョイントに接続することと、前記回転可能光学素子の少なくとも一部を回転可能光コネクタ容器内に挿入することによって、前記イメージングプローブの前記回転可能光学素子を前記第1光ファイバーに接続することと、 モータを用いて前記第1光ファイバー及び前記回転可能光学素子を回転させることと、前記静止イメージング装置から第1光信号を受信することと、前記第1光ファイバーの回転中に、前記静止イメージング装置からの前記第1光信号を前記第1光接続及び前記第2光接続を介して前記回転可能光学素子に伝送することと、前記イメージングプローブから第2光信号を受信することと、前記第1光ファイバーの回転中に、前記イメージングプローブからの前記第2光信号を前記第1光接続及び前記第2光接続を介して前記静止イメージング装置に伝送することと、を含む。
【0032】
一部の実施形態では、ロータリージョイントは、前記第1光ファイバーと前記第2光ファイバーとの間のギャップをさらに備える。
【0033】
一部の実施形態では、前記ギャップは、前記ギャップ内に配置された屈折率整合ゲルを含む。
【0034】
一部の実施形態では、前記ギャップは幅が50μm未満である。
【0035】
一部の実施形態では、前記第1フェルール及び前記第2フェルールはスペースによって離隔している。
【0036】
開示された発明の対象の一部の実施形態によれば、静止イメージング装置から回転可能光学素子を有するイメージングプローブにレンズレス光ロータリージョイントを用いて光信号を伝送する方法が提供され、前記レンズレス光ロータリージョイントは、ガイドフェルールと、回転可能フェルールと、前記回転可能フェルール及び前記ガイドフェルールに挿通される回転可能光ファイバーと、スリーブと、を備え、前記回転可能光ファイバーは、前記回転可能フェルール内に固定されるとともに、前記ガイドフェルール内で自由に回転するよう構成され、前記スリーブは、前記ガイドフェルールを固定するとともに、静止光ファイバーの面が前記回転可能光ファイバーの面に近接するよう前記静止光ファイバーを含む静止フェルールを収容するよう構成されており、前記方法は、第1接続を形成するために、前記スリーブ内に前記静止フェルールを挿入することで、前記静止光ファイバーを前記レンズレス光ロータリージョイントに接続することと、第2接続を形成するために、前記回転可能光学素子を回転可能光コネクタ内に結合することで、前記イメージングプローブの前記回転可能光学素子を前記回転可能光ファイバーに接続することと、前記回転可能光ファイバー及び前記回転可能光学素子を回転させることと、前記静止イメージング装置から第1信号を受信することと、前記回転可能光ファイバーの回転中に、前記第1信号を、前記第1接続及び前記第2接続を介して前記回転可能光学素子に伝送することと、前記イメージングプローブから第2信号を受信することと、前記回転可能光ファイバーの回転中に、前記第1信号の伝送と同時に、前記第2信号を、前記第1接続及び前記第2接続を介して前記静止イメージング装置に伝送することと、を含む。
【0037】
一部の実施形態では、前記レンズレス光ロータリージョイントが、前記回転可能光ファイバーと前記静止光ファイバーとの間のギャップをさらに備える。
【0038】
一部の実施形態では、前記ギャップは、前記ギャップ内に配置された屈折率整合ゲルを含む。
【0039】
一部の実施形態では、前記ギャップは幅が50μm未満である。
【0040】
一部の実施形態では、前記ガイドフェルール及び前記回転可能フェルールはスペースによって離隔している。
【0041】
開示された発明の対象の一部の実施形態によれば、レンズレス光ロータリージョイントが提供され、レンズレス光ロータリージョイントは、位置決めする手段内で回転可能光ファイバーが自由に回転するよう前記回転可能光ファイバーを位置決めする手段と、前記回転可能光ファイバーを固定する手段と、前記第1光ファイバーの面を第2光ファイバーの面に近接させるために、位置決め手段を固定する手段内に前記第2光ファイバーが挿入されたときに前記第1光ファイバーが前記第2光ファイバーと同軸に整列するよう前記位置決めする手段を固定する手段と、を備える。
【0042】
開示された発明の対象の種々の目的、特徴及び利点は、同様の構成要素に同様の参照符号が付された以下の図面も考慮しながら開示された発明の対象に関する以下の詳細な説明を参照することによって、より十分に明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】開示された発明の対象の一部の実施形態に係る光ロータリージョイントを提供するためのシステムの例を示す。
【
図2A】開示された発明の対象の一部の実施形態に係る光ロータリージョイントの一部の実施に用いることができるフェルールを用いて実施される結合ジョイントの例を示す。
【
図2B】開示された発明の対象の一部の実施形態に係る
図2Aに示される結合ジョイントの一部の拡大図の例を示す。
【
図3】開示された発明の対象の一部の実施形態に係る光ロータリージョイントの断面図の例を示す。
【
図4】開示された発明の対象の一部の実施形態に係るモータに接続された光ロータリージョイントの例を示す。
【
図5A】開示された発明の対象の一部の実施形態に係る光ロータリージョイントと静止イメージング装置との間の接続の例を示す。
【
図5B】開示された発明の対象の一部の実施形態に係る光ロータリージョイントと静止イメージング装置との間の接続の別の例を示す。
【
図6A】開示された発明の対象の一部の実施形態に係る光ロータリージョイントのためのハウジングの一部の例を示す。
【
図6B】開示された発明の対象の一部の実施形態に係る光ロータリージョイントのためのハウジングの一部の別の例を示す。
【
図7A1】開示された発明の対象の一部の実施形態に係る、リファレンス面を設定するために除去された角度のついた部分を有するガイドフェルールと静止フェルールとの間の物理的インターフェースの例を示す。
【
図7B1】開示された発明の対象の一部の実施形態に係る、リファレンス面を設定するために除去された角度のついた部分を有するガイドフェルールと静止フェルールとの間の物理的インターフェースの別の例を示す。
【
図7C1】開示された発明の対象の一部の実施形態に係る、リファレンス面を設定するために除去されたノッチを有するガイドフェルールと静止フェルールとの間の物理的インターフェースの例を示す。
【
図7D1】開示された発明の対象の一部の実施形態に係る、リファレンス面を設定するために除去されたノッチを有するガイドフェルールと静止フェルールとの間の物理的インターフェースの別の例を示す。
【
図7E1】開示された発明の対象の一部の実施形態に係る、連結部を有するガイドフェルールと静止フェルールとの間の物理的インターフェースの例を示す。
【
図7F1】開示された発明の対象の一部の実施形態に係る、連結部を有するガイドフェルールと静止フェルールとの間の物理的インターフェースの別の例を示す。
【
図7A2】開示された発明の対象の一部の実施形態に係る、ガイドフェルールと静止フェルールとの間の代替的な物理的インターフェースの例を示す。
【
図7B2】開示された発明の対象の一部の実施形態に係る、ガイドフェルールと静止フェルールとの間の代替的な物理的インターフェースの例を示す。
【
図7C2】開示された発明の対象の一部の実施形態に係る、ガイドフェルールと静止フェルールとの間の代替的な物理的インターフェースの例を示す。
【
図7D2】開示された発明の対象の一部の実施形態に係る、ガイドフェルールと静止フェルールとの間の代替的な物理的インターフェースの例を示す。
【
図7E2】開示された発明の対象の一部の実施形態に係る、ガイドフェルールと静止フェルールとの間の代替的な物理的インターフェースの例を示す。
【
図7F2】開示された発明の対象の一部の実施形態に係る、ガイドフェルールと静止フェルールとの間の代替的な物理的インターフェースの例を示す。
【
図8A】開示された発明の対象の一部の実施形態に係る光ロータリージョイント内に作成することができるダブルクラッド光ファイバーとシングルモード光ファイバーとの間のインターフェースの例を示す。
【
図8B】開示された発明の対象の一部の実施形態に係る光ロータリージョイント内に作成することができる2つのダブルクラッド光ファイバー間のインターフェースの例を示す。
【
図9】開示された発明の対象の一部の実施形態に係る光ロータリージョイントを用いて静止イメージング装置と回転可能光学素子を有するプローブとを光接続するためのプロセスの例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0044】
開示された発明の対象の一部の実施形態によれば、ロータリー光ジョイントを提供するためのメカニズム(システム及び方法を含むことができる)が提供される。
【0045】
一部の実施形態では、本明細書に記載のメカニズムはマルチチャネル光ロータリージョイントを実施するために用いることができる。例えば、一部の実施形態では、比較的高い回転速度(例えば毎分数千回転のオーダー)において向かい合った位置を維持するために一対のファイバーが正確に整列された「接触」光ファイバーロータリージョイントを実施するために比較的高度な公差のフェルール(relatively high tolerance ferrules)を用いることができる。そのような光ファイバーロータリージョイントでは、回転可能光ファイバーと静止光ファイバーとの間の平行オフセット、傾斜不整合及び軸方向の位置ずれを回転中に最小化することができる。一部の実施形態では、本明細書に記載のメカニズムによって、回転中に比較的低い挿入損失及び角度リップル(angular ripple)で、回転可能光ファイバーと静止光ファイバーとの間のファイバーコア及び内側クラッドを通じて光パワー(信号)を高効率で伝送することが可能となる。
【0046】
一部の実施形態では、本明細書に記載のメカニズムは、例えばマルチモダリティ光干渉断層法(OCT)イメージングにおいて使用することができるマルチクラッドファイバー(例えばダブルクラッドファイバー、トリプルクラッドファイバー)を要する用途において使用することができる。例えば、シングルモードファイバーコアを、1以上のアドオンイメージングモダリティ(例えば蛍光分子イメージング、蛍光寿命イメージング、多光子顕微鏡法又はラマン分光法)のOCT信号及び/又は励起光を伝送するために使用することができる。そのような例では、ファイバーの大きな表面積/高開口数マルチモード内側クラッドを、励起光の伝送及び/又はプローブによって取得された信号の収集に使用することができ、結果として光損傷閾値が比較的高くなるとともに信号収集効率が向上する。多くの場合、マルチモダリティOCTイメージングにおける光ファイバーロータリージョイントの使用は、比較的高い回転速度において、安定した高いコア・ツー・コア及びクラッド・ツー・クラッド効率並びに低いコア-クラッドクロストーク伝送を必要とする。一部の実施形態では、本明細書に記載のメカニズムを用いて実施される光ロータリージャンクションは、通常シングルモードファイバー及び/又はマルチモードファイバーを使用し得る例えばOCT、OCT+NIRS、OCT+NIRF、OCT+NIRAF、OCT+ラマンなどの各種OCTとの互換性を有することができる。
【0047】
図1は開示された発明の対象の一部の実施形態に係る光ロータリージョイントを提供するためのシステムの例100を示す。
図1に示すように、ロータリージョイント102は、サンプル120(例えば、対象の食道、対象の消化管の別の部分、血管、腎臓系の一部などの対象の解剖部位の一部)のイメージデータを取得するために回転可能光ファイバー及び/又は光学素子を用いて、静止イメージング装置112とイメージングプローブ116との間で光情報を伝えるために用いることができる。静止イメージング装置112は、スキャン情報を収集し画像生成のためにこの情報を処理するタイムベース検出器を含んでもよい。一部の実施形態では、イメージングプローブ116は、(例えばイメージングプローブ116から周辺情報を集めるために)サンプル120に対する位置を変更できる回転可能(又は移動可能)なファイバー素子を含んでもよい。一部の実施形態では、開示された発明の対象の一部の実施形態に従って実施されたロータリージョイントは、幅広い波長域(例えば信号の伝送に用いられるファイバーによってサポートされるいかなる波長)、例えば約200ナノメートル(nm)から約1800nmの波長域で動作することができる。加えて、一部の実施形態では、複数の波長を含む信号をフォーカスさせようとするためにレンズを用いた場合に生じる損失又は収差を生じさせずに、複数の波長を同時に伝送することができる。
【0048】
一部の実施形態では、ロータリージョイント102は、静止ファイバー106と動いているファイバー108との間で結合ジョイント104を介して情報を伝えることができる(
図2A及び2Bに関して以下に説明する)。一部の実施形態では、ロータリージョイント102は、静止光ファイバーコネクタ110を介して静止イメージング装置112とインターフェースをとることができるとともに、動いている光ファイバーコネクタ114を介してイメージングプローブ116とインターフェースをとることができる。
【0049】
一部の実施形態では、静止イメージング装置112内の(又はこれに結合された)1以上の光源によって、(例えば静止光ファイバーコネクタ110と、静止イメージング装置112をロータリージョイント102に接続する光ファイバーとを介して)静止ファイバー106に光が提供される。静止ファイバー106に提供された光は静止ファイバー106から動いているファイバー108に結合ジョイント104を介して伝えることができ、次に、(例えば動いている光ファイバーコネクタ114と、回転するよう構成されたイメージングプローブ116内の光ファイバーとを介して)動いているファイバー108からイメージングプローブ116に提供することができる。種々の実施形態において、イメージングプローブ116は、光学素子118を用いてサンプル120上に光を収束させることができ、そしてサンプル120により反射及び/又は発せされた光を取得し、この光を同じ経路で静止イメージング装置112(及び/又は戻ってくる光を異なる行き先に伝えるために静止イメージング装置112に結合された光スプリッター及び/又は他の光学素子を介して別の装置)に戻すことができる。特定の実施形態では、ロータリージョイント104は、回転中の摩擦を低減する及び/又はファイバーの面における反射を低減することができる液体122によって少なくとも部分的に滑りやすくすることができる。
【0050】
図2Aは、開示された発明の対象の一部の実施形態に係る光ロータリージョイントの一部の実施に用いることができるフェルールを用いて実施される結合ジョイントの例200を示す。
図2Aに示すように、開示された発明の対象の一部の実施形態に係るロータリージョイントは、結合ジョイント(例えば結合ジョイント104)を実施するために(ロータリージョイントの動作中に)3つのフェルールを用いることができる。一部の実施形態では、結合ジョイント200は、静止フェルール202、ガイドフェルール204及び回転可能フェルール208を含むことができる。一部の実施形態では、静止フェルール202は、ロータリージョイントと静止イメージング装置との間の光接続を形成するために用いられる光ファイバーコネクタの一部とすることができる。
【0051】
一部の実施形態では、静止光ファイバー210は、静止フェルール202の端部の略付近で静止光ファイバー210の面を露出するように静止フェルール202の少なくとも一部を通過してもよい。本明細書に記載するように、静止光ファイバー210は、回転するようには構成されていないものの、ロータリージョイント及び/又は静止イメージング装置に対して接続及び/又は接続解除するよう構成されてもよいことに留意されたい。加えて、一部の実施形態では、回転可能光ファイバー212は、ガイドフェルール204の端部の略付近で静止光ファイバー210の面を露出するように回転可能フェルール208及びガイドフェルール204の少なくとも一部を通過してもよい。
【0052】
特定の実施形態では、静止フェルール202及びガイドフェルール204を合わせカプラ206によって軸方向に整列させることができる。一部の実施形態では、合わせカプラ206は、合わせスリーブ又は比較的高度な公差の(即ち、少なくとも内径が静止フェルール202とガイドフェルール204の外径にほぼ一致する)他の装置として実施することができる。一部の実施形態では、合わせカプラ206はあらゆる適切な形状又は形状の組み合わせを有することができる。例えば、合わせカプラ206は、円筒状の本体を有するフェルールの外径と一致する内径を有する円筒を形成することができる。別の例として、合わせカプラ206は、断面形状が長方形のフェルールの外側寸法に一致する内側寸法を有する長方形直方体を形成することができる。さらに別の例として、合わせカプラ206は、ガイドフェルール204とは異なる外形を有する静止フェルール202を収容する複数の形状を有することができる。一部の実施形態では、合わせカプラ206は、比較的厳しい公差要求(例えば凡そ1μm)で製造することができる。
【0053】
図2Aに示すように、静止フェルール202及びガイドフェルール204は、フェルール内に挿通される光ファイバー(例えば静止光ファイバー210及び/又は回転可能光ファイバー212)の外径とほぼ同じ内径を有する貫通孔を含むことができる。例えば、各フェルールは、約0.5から1.0マイクロメートル(μm)のバッファを残す内径を有する貫通孔を有することができる(例えば、静止フェルール202及び/又はガイドフェルール204の内径をフェルールに挿通される光ファイバーの外径よりも約0.5から1.0μm大きくすることができる)。例えば、ガイドフェルール204によって回転可能光ファイバー212の周囲にバッファ218を設けることができる。そのような例では、径の比較的小さい差によって静止光ファイバー210と回転可能光ファイバー212との間の整列を容易にすることができる。上述のように、静止フェルール202及びガイドフェルール204は合わせカプラ206を用いて軸方向に整列させることができる。一部の実施形態では、
図2Aに示す配置の実施に用いられるフェルールは、合わせカプラ206の内部に比較的に密に嵌合する高度公差フェルール(即ち比較的厳しい公差要求で製造されたフェルール)である。ガイドフェルール204は合わせカプラ206内に(例えばエポキシを用いて接着することで)恒久的に又は(例えばねじなどの固定具を用いて)一時的に固定してもよい。
【0054】
一部の実施形態では、静止光ファイバー210は(例えば、ケーブルジャケット、補強部材、被覆などの1以上の層を除去するために)剥かれて、あらゆる適切な手法又は手法の組み合わせを用いて静止フェルール202内に固定されてもよい。例えば、静止光ファイバー210をエポキシ214を用いて静止フェルール202内に固定することができる。一部の実施形態では、静止光ファイバー210と静止フェルール202とを組み立てた後、ガイドフェルール204とぴったり合う平坦表面を提供するために、組み合わされた静止光ファイバー210と静止フェルール202の端部を研磨してもよい。
【0055】
種々の実施形態では、回転可能光ファイバー212を、回転可能フェルール208の長さよりもほぼ長い長さとなるまで剥くことができる。このような実施形態では、回転可能光ファイバー212を、回転可能フェルール208に挿通してあらゆる適切な手法又は手法の組み合わせを用いて回転可能フェルール208内に固定することができる。例えば、回転可能光ファイバー212を、エポキシ216を用いて回転可能フェルール208内に固定することができる。一部の実施形態では、回転可能光ファイバー212の端部を、回転可能光ファイバーがガイドフェルール204に対して自由に回転できるように固定されることなく、ガイドフェルール204の少なくとも一部に挿通することができる。
【0056】
一部の実施形態では、ガイドフェルール204と回転可能フェルール208との間の間隔220(例えば、約50μmよりも小さい幅Wを有する)によって、回転可能光ファイバー212が間隔220のポイントにおいてわずかに曲がる(同時に依然として回転可能である)ことができることから、ガイドフェルール204と回転可能フェルール208との間のいくらかの軸方向ミスアライメントが可能となる。例えば、間隔220をより大きくすることによって、ガイドフェルール204と回転可能フェルール208との間の回転可能光ファイバー212の傾斜は任意の量のミスアライメントについて小さい為に許容できない量の収差を生じさせずに、さらなるミスアライメントが可能となる。したがって、間隔220がより小さいほどより一貫性のある光伝送(例えば、回転可能光ファイバー212の振動によって生じる収差が少ない)を提供できるものの、間隔220がより小さいと高度な公差の部品が必要となり得、及び/又はガイドフェルール204と回転可能フェルール208とがより厳密に軸方向に整列することを保証するために組み立てにおいてより慎重さを要し得る/時間がかかり得る。一方で、より大きいギャップを有する間隔220によってより低度の公差の部品とすることができるものの、回転可能光ファイバー212で送られた画像データにおいていくらかの追加の歪曲が生じ得る(例えば、ミスアライメントによって生じた回転可能光ファイバー212の振動に起因する)。一部の実施形態では、間隔220は、マイクロメートルのオーダーからミリメートルのオーダーまでのあらゆる適切なギャップとすることができる。例えば、一部の実施形態では、間隔220は数十マイクロメートルのオーダーとすることができる。別の例として、間隔220は数千マイクロメートル(即ち数ミリメートル)とすることができる。より詳細な例では、間隔220は約10μmから約5mmとすることができる。別のより詳細な例では、間隔220は約10μmから約50μmとすることができる。さらに別のより詳細な例では、間隔220は約50μmから約1mmとすることができる。さらに別のより詳細な例では、間隔220は約1mmから約5mmとすることができる。さらにより詳細な例では、間隔220は約1.5mmから約3.5mmとすることができる。
【0057】
一部の実施形態では、フェルール202、204及び208は、ジルコニア(及び/又は他のセラミック材料)、ステンレススチール、ルビー、サファイア、低損耗係数を示すあらゆる硬質材料(例えば前記の材料と同等のオーダーの硬度をゆうするもの)又はこれらの組み合わせなどのあらゆる適切な材料から作成することができる。
【0058】
図2Bは、開示された発明の対象の一部の実施形態に係る
図2Aに示される結合ジョイントの一部(
図2Aに点線ボックスで示す)の拡大図の例230を示す。
図2Bに示すように、一部の実施形態では、回転可能光ファイバー212は、動作中に回転可能光ファイバー212の面と静止光ファイバー210の面との間に約10μmから約50μmのギャップ232が設けられるように、ガイドフェルール204を通って進ませることができる。即ち、回転可能光ファイバー212の面は静止光ファイバー210の面に近接するが、2つの対向するファイバーの面同士は接触していない。回転可能光ファイバー212の面と静止光ファイバー210の面との間のギャップ232がより小さいと、一般的には回転可能光ファイバー212と静止光ファイバー210との間の光接合がより良くなることに留意されたい。上ではギャップは約10μmから約50μmの間であると記載したが、ギャップはあらゆる適切な長さ、例えば約5μmから約100μmの間、約10μmから約75μmの間、約25μmから約50μmの間、約100μm未満、75μm未満、100μm未満などでもよい。
【0059】
一部の実施形態では、ギャップ232にはトランスミッション流体234が充填されてもよく、一部の実施形態ではトランスミッション流体234は回転可能光ファイバー212の回転中に摩擦を低減するためにバッファ218にも充填されてもよい。一部の実施形態では、トランスミッション流体234は、ギャップ232を通る光のスループットを増大させる光伝送特性を有する流体とすることができる。例えば、トランスミッション流体234は、光ファイバーとギャップ232との間の境界面における反射を、ギャップ232が空気又は他の媒体が充填されている際に存在し得る反射よりも低減する屈折率整合ゲルとすることができる。より詳細な例では、ファイバーコアに比較的近い屈折率を有するとともに蛍光発光が小さい屈折率整合ゲルを用いることができる。加えて又は代替的に、一部の実施形態では、静止光ファイバー210及び回転可能光ファイバー212の一方又は両方の露出面に1以上の反射防止コーティングを施すことができる。
【0060】
一部の実施形態では、例えば
図7Aから7Fに関して以下により詳細に記載するように、ガイドフェルール204は、リファレンス縁236などの1以上のリファレンス縁を含むことができ、このリファレンス縁のサイズ及び/又は形状を用いてギャップ232の幅を設定することができる。例えば、そのようなリファレンス縁を用いることで、一貫した性能に寄与できる一貫したギャップ幅を提供しながら、異なる静止コネクタを異なるフェルールアセンブリと使用すること並びに/又は静止フェルール202の取り外し及び再接続が容易になる。場合によっては、静止フェルールの取り外しはメンテナンスを容易にすることができる。一部の実施形態では、トランスミッション流体234は、周期的に(例えば静止フェルール202が合わせカプラ206内に導入されたときに)補充することができることに留意されたい。例えば、トランスミッション流体234は比較的高い粘性を有してもよく、静止フェルール202が取り外されたときに少なくとも一部のトランスミッション流体234がガイドフェルール204の面の近くに残存できる。しかしながら、トランスミッション流体234の一部は静止フェルール202とともに除去されてもよい。一部の実施形態では、回転可能光ファイバー及び/又は静止光ファイバーの1以上の面に、2つの光ファイバー間のあらゆる境界面における摩擦を低減するために低摩擦材料(例えばTeflon(登録商標)のブランド名称で販売されているポリテトラフルオロエチレン)をコーティングしてもよい。一部の実施形態では、回転可能光ファイバー212及び静止光ファイバー210の面の近くにおけるファイバーの直径を、より大きい光インターフェースを作り出すためにわずかに拡大することができ、これによりミスアライメントに起因する可能性のある損失が低減され得る。
【0061】
図3は、開示された発明の対象の一部の実施形態に係る光ロータリージョイントの断面図の例300を示す。
図3に示すように、例えば
図2A及び2Bに関して上で説明した結合ジョイント200を用いて実施できる光ロータリージョイント300内において中央部302(点線ボックスで示す)内で光結合が起こることが可能である。
【0062】
一部の実施形態では、回転可能ファイバー212を回転可能フェルール(例えば
図2Aに関して上で記載したような回転可能フェルール208)内に固定することができ、この回転可能フェルールを、シャフト304の回転によって(回転可能フェルール208を介して)回転可能光ファイバー212が回転するようシャフト304に結合させることができる。あるいは、一部の実施形態では、回転可能ファイバー212を他の適切な手法又は手法の組み合わせを用いてシャフト304に結合させることができる。例えば、回転可能ファイバー212をシャフト304内の貫通孔(例えば、回転可能フェルール208内の貫通孔と同様のサイズを有するもの)に固定することができる。これには例えばシャフト304をより厳しい公差で製造することが必要となる。
【0063】
一部の実施形態では、シャフト304は、シャフト304の回転中の摩擦を十分に低減するベアリング308及び/又は他の適切なコンポーネントを用いて、静止ハウジング306(即ちハウジング306はシャフト304とともに回転しないよう構成されている)内で回転することができる。
【0064】
図3に示すように、静止光ファイバー210をフェルール(例えば静止フェルール202)を含むコネクタ312内に固定することができ、コネクタ312を用いて静止光ファイバー210を含むファイバー光ケーブル324と光ロータリージョイント300との間にインターフェースを設けることができる。一部の実施形態では、コネクタ312をコネクタ位置決めシステムを介して光ロータリージョイント300に物理的に結合することができ、コネクタ位置決めシステムは、アダプタコンポーネント310によって光ロータリージョイント300に物理的に結合されたアダプタプレート314を介して結合ジョイント302と特定の関係にあるように維持されている。一部の実施形態では、アダプタコンポーネント310及び/又はアダプタプレート314は、異なる接続メカニズムを用いるよう構成されたファイバー光コネクタの使用を容易にするために交換可能である。
【0065】
一部の実施形態では、アダプタコンポーネント310は、例えば静止フェルール202とガイドフェルール204とを正確に整列させることで静止光ファイバー210と回転可能光ファイバー212とを軸方向に整列させることができる。一部の実施形態では、合わせカプラ206を、アダプタコンポーネント310及び/若しくはアダプタプレート314内に組み込むことができる並びに/又はアダプタコンポーネント310及び/若しくはアダプタプレート314に(例えば1以上の固定具によって、エポキシなどの1以上の物質によって、摩擦によって、連結コンポーネントによってなどで)しっかりと結合することができる。
【0066】
一部の実施形態では、シャフト304をモーション結合装置316に結合することができ、モーション結合装置316はモータに、例えばタイミングベルトプーリ、Vベルトプーリ又はモータ若しくはその他の運動発生装置からのトルクをモーション結合装置316に伝えるのに用いることができる他のコンポーネントを介して結合することができる。
【0067】
一部の実施形態では、回転可能ファイバー212は、ファイバードラム318を通って回転可能フェルール208から回転可能光ファイバーコネクタ320まで延びて、面322で終了することができる。一部の実施形態では、ファイバードラム318は、動作中(即ち回転可能光ファイバー212の回転中)に回転可能光ファイバー212を光ロータリージョイント300の他の部分から保護することができる。一部の実施形態では、回転可能光ファイバーを含むイメージング装置(例えばプローブ116)からのコネクタを、面322におけるプローブと回転可能光ファイバー212との間の光接続を提供するために、回転可能ファイバー光コネクタ320を介して回転可能光ファイバー212に光学的に結合させることができる。加えて、一部の実施形態では、シャフト304の回転によって回転可能光ファイバー212とプローブに含まれる回転可能光ファイバーとが同じ速度で回転するように、回転可能光コネクタ320をシャフト304に結合させることができる。一部の実施形態では動作中に回転可能光ファイバー212を保護するために、そして一部の実施形態ではシャフト304と回転可能光ファイバーコネクタ320との間に機械的なリンクを提供するために、ファイバードラム318は回転可能光ファイバー212と同じ速度で回転することができる。一部の実施形態では、ドラム318は概して中が空洞でもよい。図示はしていないが、開示された発明の対象の一部の実施形態に応じて実施された光ロータリージョイントは、1以上の回転可能電気接続を含むことができることに留意されたい。例えば、回転可能光学素子を有する一部のイメージングプローブは、回転可能テザーを介して接続される電子機器も含んでもよく、そして、イメージングプローブに及び/又はイメージングプローブから電子的手段で発生する信号を送るために光ロータリージョイントを回転可能電気接続を提供するように構成することができる。
【0068】
図4は、開示された発明の対象の一部の実施形態に係るモータに接続された光ロータリージョイントの例400を示す。
図4に示すように、モータ402をタイミングベルト404を介して光ロータリージョイント300に結合することができる。一部の実施形態では、モータ402が回転可能光ファイバー(例えば回転可能光ファイバー212)を回転させるために動作している時に、シャフト及びベアリングアセンブリ(例えばシャフト304とベアリング308を含むもの)がハウジング306内で回転する間、ハウジング306の外部は静止したままとすることができる。
【0069】
図4に示すように、そして
図3に関して上に記載したように、コネクタ312をアダプタプレート314を介して光ロータリージョイント300に物理的に結合することができる。
図4では特定のタイプの光コネクタを示しているが、これは単なる例に過ぎず、アダプタプレート314はあらゆる適切な光コネクタ(例えば標準規格型光コネクタ、カスタムされた光コネクタ及び/又は未来型光コネクタなど)に結合するよう構成することができる。
【0070】
図4では、モータ402と光ロータリージョイント304とがタイミングベルト404を介して結合された別個の装置であることが示されているが、これは単なる例に過ぎず、ある実施形態では、モータ402は、回転可能光ファイバー212が挿通される中空コアモータなどの直接駆動モータとして構成することができることに留意されたい。
【0071】
一部の実施形態では、モータ402は静止イメージングシステムによって制御することができる。例えば、モータ402の回転速度(例えば1分間当たりの回転数で表される)は、静止イメージング装置との電気的(又は無線)接続で受信された電圧信号に基づいて制御することができる。加えて又は代替的に、モータ402を、静止イメージング装置とは別のコントロール(例えば、光ロータリージョイント300及び/又はモータ402内に内蔵されたコントロールや、スマートフォン、タブレット、ラップトップコンピュータなどの演算装置によって実行されているアプリケーションを介して提供され、有線及び/又は無線リンクを介してモータ402に伝えられるコントロールなど)を介して制御可能とすることができる。一部の実施形態では、開示された発明の対象の一部の実施形態に応じて実施された光ロータリージョイントは、幅広い範囲の回転速度で動作させることができ、例えば1分間当たりの回転数(RPM)が1桁以下から数万の間で動作させることができ、これは、ベアリングの公差、使用されているその他の摩擦低減素子及びコンポーネント間のアライメントによって制限され得るが、回転可能光ファイバーと静止光ファイバーとの間の摩擦によっては制限されない場合もある。例えば、開示された発明の対象の一部の実施形態に応じて実施された光ロータリージョイントは、6,000RPM、12,000RPM、18,000RPM又は24,000RPMで動作することができる。
【0072】
図5Aは、開示された発明の対象の一部の実施形態に係る光ロータリージョイントと静止イメージング装置との間の接続の例500を示す。
図5Aに示すように、コネクタ312を、FC/PCレセプタクル502などのねじ状のねじ込み接続などの標準規格コネクタを介してアダプタコンポーネント310に結合することができ、これによって、種々の静止イメージング装置(例えば静止イメージング装置112)に対して光ロータリージョイントが容易に接続及び接続解除される。
図5Aに示す例では、静止ファイバー(例えばファイバー光ケーブル324内の静止ファイバー210)が回転可能光ファイバーと軸方向に整列するように、FC/PCレセプタクル502によってコネクタ312を光ロータリージョイントと整列させることができる。
図5Aに示す例では、コネクタは比較的低コストであり、そして標準規格ファイバー光コネクタであることからコネクタ又はケーブルが損傷した際に容易に交換することができる。しかしながら、
図5Aに示す例は、不十分なアライメント、結合装置316への異物(例えば塵)の侵入又はその他の問題に対してより敏感な可能性があるが、これらの多くはオペレータによる意図しない使用によってもたらされるものである。
【0073】
したがって、
図5Bは、開示された発明の対象の一部の実施形態に係る光ロータリージョイントと静止イメージング装置との間の接続の別の例510を示す。
図5Bに示すように、中間コネクタ514を、アダプタコンポーネント310に結合されたアダプタプレート512を介して光ロータリージョイントにより恒久的に結合させることができる。
図5Bに示す例では、情報(例えば光情報)を、静止光ファイバー(例えばファイバー光ケーブル516に含まれる静止光ファイバー210)と回転可能光ファイバー212との間の結合装置316内に形成された光接続を介して伝えることができる。後のミスアライメントの可能性又は光ロータリージョイント内への異物の侵入を低減するために、
図5Bのコネクタ514を光ロータリージョイント内で隔離することができる。一部の実施形態では、コネクタ514は、比較的容易に取りつけ及び取り外しできるよう構成されたコネクタ312を用いずに、恒久的又は半恒久的に(例えば固定具を介して)光ロータリージョイント510に結合させることができる。
【0074】
図6Aは、開示された発明の対象の一部の実施形態に係る光ロータリージョイントのためのハウジングの一部の例600を示す。
図6Aに示すように、単一片ハウジング604を用いて光ロータリージョイントの種々のコンポーネントを固定及び整列させてもよい。例えば、ハウジング604は比較的厳しい公差を用いて製造することができ、これによりハウジング604は製造コストが比較的高くなる可能性がある。一部の実施形態では、シャフト602(例えばシャフト304)は、(例えば高精度ベアリングを用いて実施される)ベアリング606を介してハウジング604内で回転することができる。一部の実施形態では、ベアリング606は、ボールベアリング又はローラーベアリングなどのあらゆる適切なタイプのベアリングとして実施することができる。
図6Aに示す例では、シャフト602/回転可能フェルール208がガイドフェルール204と軸方向に整列することを保証するために、シャフト602及びハウジング604の両方を比較的厳しい公差で製造する必要があり得る。シャフト602は、ベアリング606と合うとともに回転可能フェルール208と合うクリティカル面608を有し、ハウジング604は、ベアリング606と合うとともに合わせカプラ206と合うクリティカル面612を有する。一部の実施形態では、ハウジング604、シャフト602並びにフェルール204及び208は、種々のクリティカル面について比較的厳しい寸法公差で、そして特徴部について同心性を有するように製造する必要があり得る(例えば1μmのオーダーで)。
【0075】
図6Bは、開示された発明の対象の一部の実施形態に係る光ロータリージョイントのためのハウジングの一部の別の例620を示す。
図6Bに示すように、ハウジング620は、シャフトハウジング624及び光ジョイントハウジング622などの複数の部分を用いて実施することができ、これらを用いて光ロータリージョイントの種々のコンポーネントを固定及び整列させることができる。
図6Bに示す例では、ハウジング620は比較的厳しくない公差を用いて作成することができ、これによりハウジング620の製造コストを比較的低くすることができる。一部の実施形態では、ガイドフェルール204を光ジョイントハウジング622に結合させることができ、これをシャフトハウジング624に対して調整可能に構成することができる。
【0076】
一部の実施形態では、
図6Bに示す例におけるシャフト602はベアリング606と合うクリティカル面608しか有しておらず、回転可能フェルール208は、比較的大きい穴626内にセットすることでシャフト602内で積極的に整列させることができる。一部の実施形態では、そのような積極的な整列プロセスにより回転可能フェルール208がベアリングと同軸でスピンすることを保証することができる(即ち、その回転可能フェルール208はベアリング606内で中央に位置付けられるとともにベアリング606の回転軸と平行である)。一部の実施形態では、ハウジング620は、ハウジング624を2つの別個の調整可能な部品に分けること又はベアリング606を固定するためにv字状溝を用いてハウジング624を実施することなどにより、比較的高い公差を有する部品を用いずに製造することができる。
【0077】
一部の実施形態では、ハウジング620を用いて実施される光ロータリージョイントのための光結合は光ジョイントハウジング622内で起こることができ、これは回転可能フェルール208の真の中心と整列させることを容易にする素子を用いて実施することができる。一部の実施形態では、調整ねじを用いて(例えば高精度調整ねじを用いて)ハウジング620の部品を整列させることができる。
【0078】
一部の実施形態では、大きな穴628内で合わせカプラ206を位置決めすることでガイドフェルール204を積極的に整列されることによって、光ジョイントハウジング622の公差をより厳しくなくすることができる。ハウジング620のコンポーネントの製造コストは通常ハウジング600のコンポーネントの製造コストよりも低くなるものの、ハウジング620のコンポーネントの組み立てはより時間がかかる及び/又はより複雑となり得ることに留意されたい。例えば組み立てには多くの冶具の使用が必要となり得る。
【0079】
図7A1~
図7F2は、開示された発明の対象の一部の実施形態に係るガイドフェルールと静止フェルールとの間の物理的インターフェースの例を示す。上に記載したように、本明細書に記載のメカニズムを用いて実施される光ロータリージョイントは、結合ジョイント内におけるコリーメーション又は他のレンズ素子の必要性を除去することができる。一部の実施形態では、静止光ファイバー210と回転可能光ファイバー212との間で十分な結合を達成するために、静止光ファイバー210及び回転可能光ファイバー212の平坦面間のギャップ(例えばギャップ232)を最小化することができる。非常に硬質なモーションシステムではギャップは理論的には厚さをゼロにまで小さくすることができるものの、実際にはファイバーの面間でのわずかな軸方向移動を許容するためにいくらかのスペース(例えば20~50μmのオーダーのもの)があることが望ましい。一部の実施形態では、光ロータリージョイントの組み立て/再組み立て及び修理を容易にするためにファイバー面間で繰り返し可能なギャップを設けるためにあらゆる手法又は手法の組み合わせを用いることができる。例えば、
図7A1に示すように、例示的な構成700では、静止フェルール202及び/又はガイドフェルール204の角度がついた部分を(例えば研磨によって)除去することができる。そのような例では、研磨によって、静止フェルール202がガイドフェルール204と接触するリファレンス面704を作成することができ、これにより組み立てたときに空洞702を作成することができる。別の例として、
図7B1は、ガイドフェルール204のより大きい部分が(例えば研磨によって)除去された別の例示的な構成710を示す。そのような例では、研磨によって静止フェルール202がガイドフェルール204と接触するリファレンス面714を作成することができ、これにより組み立てたときにより大きい空洞712を作成することができる。そのような例では、より大きい研磨によって回転可能光ファイバー212が回転中に曲がることができるとともに、より多くのトランスミッション流体を結合ジョイント内で用いることもでき、これは一部のケースでは望ましい場合がある。
【0080】
さらに別の例として、
図7C1は、リファレンス面724を作成するためにガイドフェルール204から(例えばフライス加工又はボーリングによって)ノッチ722を除去した例示的な構成720を示す。
図7C1に示すように、ノッチ722は階段状とすることができ、これにより、
図7A1及び
図7B1に示したリファレンス面と比べて静止フェルール202とガイドフェルール204との間に比較的より一様な参照を設けることができるが、これには
図7A1及び
図7B1に示した角度のついた部分の除去よりも正確さが要求され得る。
【0081】
さらに別の例として、
図7D1は、ガイドフェルール204の周縁の周りにリファレンス面734を作成するためにガイドフェルール204から(例えばフライス加工又はボーリングによって)ノッチ732を除去した例示的な構成730を示す。
図7D1に示すように、ノッチ732はスロット/穴とすることができ、これにより、
図7A1及び
図7B1に示したリファレンス面と比べて静止フェルール202とガイドフェルール204との間に比較的より一様な参照を設けることができるが、これには
図7A1及び
図7B1に示した角度のついた部分の除去よりも正確さが要求され得る。
【0082】
さらに別の例として、
図7E1及び
図7F1は、ガイドフェルール204と静止フェルール202との間に連結部が作成された例示的な構成740及び750を示す。
図7E1及び
図7F1に示すように、そのような連結部はガイドフェルール204及び静止フェルール202の配向に基づいて異なるリファレンス面744又は754を作成することができ、これを用いて静止フェルールの角度にインデックスをつけることで回転可能光ファイバー212と静止光ファイバー210との間のギャップを変更することができる。一部の実施形態では、ギャップを比較的大きく(742)又はより近く(752)設定することができ、あるいは連結配置によって設定可能な他の距離に設定することができる。一部の実施形態では、より細いざらざらとした(more finely grained)ギャップの調整を容易にするためにより多数のリファレンス面のセットを用いることができるが、製造がより複雑となり得る。
図7A1~
図7F1はガイドフェルール204の面を変更することによって設けられるものとして概して上で説明したものの、これは単なる例でしかなく、
図7A2~
図7F2に示すように、ガイドフェルール204の面を変更することに加えて又は替えて、対応する変更を静止フェルール202の面に対して行ってもよい。
【0083】
図8Aは、開示された発明の対象の一部の実施形態に係る光ロータリージョイント内に作成することができるダブルクラッド光ファイバーとシングルモード光ファイバーとの間のインターフェースの例800を示す。一部の実施形態では、回転可能光ファイバー212は、コア804、内側クラッド806及び(場合によっては)バッファ808を含むダブルクラッドファイバー(DCF)802を用いて実施することができる。一部の実施形態では、コア804及び内側クラッド806を用いて別々の信号を送ることができる。しかしながら、
図8Aに示すように、静止光ファイバー210を、コア812及び光を透過させないクラッド814を含むシングルモードファイバー810として実施することができる。そのようなシングルモードファイバーでは、情報は、マッチしたコア間(例えばコア804とコア812との間)でしか送ることができない。回転可能光ファイバー212は
図8AにおいてDCFとして示されているものの、DCF802は信号伝達のためにコア804のみを用いることでSMFとして機能することができることから、シングルモードファイバーのみを用いるよう構成された静止イメージング装置を光ロータリージョイントと併用することができることに留意されたい。一部のそのような実施形態では、光ロータリージョイントの信号伝達に関する潜在能力をフルで利用してもよく、それでもなおSMFだけを使用するレンズベースのロータリージャンクションと比べて効率は損なわれない。
【0084】
図8Bは、開示された発明の対象の一部の実施形態に係る光ロータリージョイント内に作成することができる2つのダブルクラッド光ファイバー間のインターフェースの例820を示す。一部の実施形態では、回転可能光ファイバー212及び静止光ファイバー210はDCF802を用いて実施することができ、静止光ファイバー210はコア824、内側クラッド826及び(場合によっては)バッファ828を含むDCF822を用いて実施することができる。一部の実施形態では、コア804及び824並びに内側クラッド806及び826を用いて別々の信号を送ることができる。
【0085】
図9は、開示された発明の対象の一部の実施形態に係る光ロータリージョイントを用いて静止イメージング装置と回転可能光学素子を有するプローブとを光接続するためのプロセスの例900を示す。
図9に示すように、902において、プロセス900は、開示された発明の対象の(例えば
図1~
図8Bに関して記載されたような)一部の実施形態に基づいて実施される光ロータリージョイントを、第1光ファイバー(例えばシングルモードファイバー、ダブルクラッドファイバーなどを含むファイバー光ケーブル)を用いて、光ロータリージョイント内の回転可能光ファイバーと第1光ファイバーとを光接続するために第1コネクタを介して、静止イメージング装置に接続することを含むことができる。
図2A及び
図2Bに関して上で記載したように、例えば、2つの光ファイバーは、第1の光ファイバーを包むフェルールの端部と回転可能光ファイバーを位置決めする(しかし固定はしない)ガイドフェルールとを合わせることで、小さいギャップ(例えば数十マイクロメートルのオーダー)で光接続を形成することができる。
【0086】
904において、プロセス900は、プローブの回転可能光学素子と光ロータリージョイントの回転可能光ファイバーとを光接続するために、回転可能コネクタを用いて、回転可能光学素子を有するイメージングプローブに光ロータリージョイントを接続することを含むことができる。(例えば
図3に関して)上で説明したように、回転可能コネクタは、プローブの回転可能光学素子と光ロータリージョイントの回転可能光ファイバーとを、回転中に光接続が達成及び維持されるようにかつ回転可能光学素子が回転可能光ファイバーと同じ速度で回転するように、結合させることができる。
【0087】
906において、プロセス900は、回転可能光ファイバー及び回転可能光学素子を回転させることを含むことができる。例えば、
図3及び
図4に関して上で説明したように、モータを、モーション結合装置(例えばモーション結合装置316)、モーション結合装置に接続されたシャフト(例えばシャフト304)及びシャフト内に固定され内側に回転可能光ファイバーが固定されたフェルール(例えば回転可能フェルール208)を介して回転可能光ファイバーに結合させることができる。906において、モータの回転によって、モーション結合装置を介してプローブ内において回転可能光学素子の回転を生じさせることができるとともに、回転可能コネクタを回転させるためにモーション結合装置と回転可能コネクタとを物理的に結合するファイバードラム(例えばドラム318)の回転を生じさせることもでき、このファイバードラムの回転は回転可能光学素子の回転を生じさせるものである。
【0088】
908において、プロセス900は、光ロータリージョイントにおいて静止イメージング装置から光信号を受信することを含むことができる。例えば、静止イメージング装置は、第1光ファイバーを介して回転可能光ファイバーに光を投影する1以上の光源(及び/又は他の放射源)と、第1光ファイバーと回転可能光ファイバーとの間の光接続と、を含むことができる。
【0089】
910において、プロセス900は、第1光ファイバーと回転可能光ファイバーとの間の光接続を介して及び回転可能光ファイバーと回転可能光学素子との間の接続を介して、静止イメージング装置からプローブの回転可能光学素子に光信号を送ることを含むことができる。
【0090】
912において、プロセス900は、例えば対象の解剖部位のサンプル部位により反射された及び/又は発せられた光を含む、イメージングプローブからの戻り光信号を受信することができる。
【0091】
914において、プロセス900は、回転光ファイバーと回転可能光学素子との間の光接続を介して及び第1光ファイバーと回転可能光ファイバーとの間の接続を介して、プローブの回転可能光学素子から静止イメージング装置に光信号を送ることを含むことができる。一部の実施形態では、イメージング装置からの光信号とプローブからの光信号を同時に伝送する(例えば一方の信号を回転可能光ファイバーのコアを用いて伝送し、他方の信号を回転可能光ファイバーの内側クラッドを用いて伝送することによって伝送する)ことができることに留意されたい。
【0092】
開示された発明の対象について特定の実施形態及び例に関して記載したものの、本発明はそのように限定される必要はないこと、そして多数の他の実施形態、例、使用並びに実施形態、例及び使用に対する変更及びこれらからの発展が、本明細書に添付された特許請求の範囲に含まれることを意図していることは、当業者であれば理解できることである。本明細書に引用した各特許文献及び刊行物の全開示内容は、それら各特許文献又は刊行物が個別に参照により本明細書に組みこまれているものとして、参照により本明細書に組み込まれている。
【0093】
本発明の種々の特徴及び利点が特許請求の範囲に記載されている。