IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝エレベータ株式会社の特許一覧

特許7106590群管理制御方法及びエレベータ制御システム
<>
  • 特許-群管理制御方法及びエレベータ制御システム 図1
  • 特許-群管理制御方法及びエレベータ制御システム 図2
  • 特許-群管理制御方法及びエレベータ制御システム 図3
  • 特許-群管理制御方法及びエレベータ制御システム 図4
  • 特許-群管理制御方法及びエレベータ制御システム 図5
  • 特許-群管理制御方法及びエレベータ制御システム 図6
  • 特許-群管理制御方法及びエレベータ制御システム 図7
  • 特許-群管理制御方法及びエレベータ制御システム 図8
  • 特許-群管理制御方法及びエレベータ制御システム 図9
  • 特許-群管理制御方法及びエレベータ制御システム 図10
  • 特許-群管理制御方法及びエレベータ制御システム 図11
  • 特許-群管理制御方法及びエレベータ制御システム 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-15
(45)【発行日】2022-07-26
(54)【発明の名称】群管理制御方法及びエレベータ制御システム
(51)【国際特許分類】
   B66B 1/18 20060101AFI20220719BHJP
   B66B 13/14 20060101ALI20220719BHJP
【FI】
B66B1/18 K
B66B13/14 M
B66B1/18 N
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020038656
(22)【出願日】2020-03-06
(65)【公開番号】P2021138512
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2020-03-06
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】槇岡 良祐
(72)【発明者】
【氏名】門馬 直秀
【審査官】吉川 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-073776(JP,A)
【文献】特開平11-209010(JP,A)
【文献】再公表特許第99/036340(JP,A1)
【文献】特開2011-255991(JP,A)
【文献】特開2018-076161(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/00-1/52
B66B 13/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準階に設置された乗場行先階登録装置と、各エレベータ号機を制御する各エレベータ制御装置と、各エレベータ制御装置を群管理する群管理制御装置とを備えたエレベータ制御システムにおける群管理制御方法であって、
エレベータ利用の混雑時間帯であるピーク時間帯が到来すると、ピーク時運転に移行して、呼び登録されていないフリー状態のカゴの有無を判定し、
フリー状態のカゴが有る場合には、当該カゴを基準階に呼び戻して戸閉待機させ、
その後、前記基準階から呼び登録がされた場合には、基準階で戸閉待機中のカゴを戸開させ、さらに、
ピーク時運転の実施時、前記基準階の行先呼びが割当てられて戸開待機しているカゴ内の戸閉ボタンを無効とし、
カゴ内の人数を検出して、前記基準階の行先呼びが割当てられて戸開待機しているカゴ内の乗車人数が基準階の行先呼びで登録されている乗車人数以上となった場合、又は、前記基準階の行先呼びが最後に登録されてから一定時間以上経過した場合には、無効としていた前記戸閉ボタンを有効とする、群管理制御方法。
【請求項2】
基準階に設置された乗場行先階登録装置と、各エレベータ号機を制御する各エレベータ制御装置と、各エレベータ制御装置を群管理する群管理制御装置とを備えたエレベータ制御システムにおける群管理制御方法であって、
エレベータ利用の混雑時間帯であるピーク時間帯が到来すると、ピーク時運転に移行して、呼び登録されていないフリー状態のカゴの有無を判定し、
フリー状態のカゴが有る場合には、当該カゴを基準階に呼び戻して戸閉待機させ、
その後、前記基準階から呼び登録がされた場合には、基準階で戸閉待機中のカゴを戸開させ、さらに、
ピーク時運転の実施時、基準階に呼び戻して戸閉待機させるカゴが複数台有る場合には、戸閉待機を開始した順番を基準階戸閉待機開始順番情報として記憶させ、
基準階に戸閉待機しているカゴへ基準階以外の行先呼び又は上下呼びを割当てないための禁止値を算出し、算出された禁止値を、記憶した前記基準階戸閉待機開始順番情報に基づくカゴ順に設定することで割当てカゴを決定する、群管理制御方法。
【請求項3】
ピーク時運転の実施時、基準階の行先呼びの需要に基づき、前記基準階へ引戻すカゴの台数を算出し、
算出された台数のカゴを引戻して、戸閉待機させる、請求項2に記載の群管理制御方法。
【請求項4】
ピーク時運転の実施時、前記基準階の行先呼びが割当てられて戸開待機しているカゴが有る場合、前記基準階に引戻され戸閉待機しているカゴに対しては、基準階以外の階床で発生した行先呼び又は上下呼びを割当てにくく調整することにより、前記基準階で戸開待機中のカゴに基準階以外の階床で発生した前記行先呼び又は上下呼びを優先的に割当てる、請求項1~3の何れか1項に記載の群管理制御方法。
【請求項5】
複数の階床をサービスする複数台のエレベータを有し、基準階には乗場行先階登録装置が設置され、他階には上下呼びボタンが設置されるエレベータ制御システムであって、
前記乗場行先階登録装置からの行先呼び登録情報に基づき、前記乗場行先階登録装置の設置階から出発する需要および各階への交通需要を示す需要情報を算出する行先呼び需要算出部と、
前記乗場行先階登録装置からの前記行先呼び登録情報と前記上下呼びボタンで登録された上下呼び情報を含む応答情報、カゴ方向性、カゴ荷重を含む各エレベータ情報と、前記行先呼び需要算出部からの需要情報とに基づき、登録された行先階呼び毎に最適な割当て号機を決定する行先呼び割当て制御部と、
前記上下呼びボタンで登録された上下呼び情報と前記各エレベータのエレベータ情報出力部からの前記各エレベータ情報とに基づき、最適な上下呼び割当て号機を決定する上下呼び割当て制御部と、
前記行先呼び割当て制御部及び前記上下呼び割当て制御部からの割当て号機情報に基づき、前記各エレベータへ割当て指令を出力すると共に、前記割当て号機情報が前記行先呼び割当て制御部から入力された場合は前記割当て号機へ行先階登録指令を出力する割当て指令出力部と、
前記割当て指令出力部からの前記割当て指令により前記各エレベータを行先呼び又は上下呼びの登録階へ応答させ、戸開させる割当て応答制御部と、
前記割当て指令出力部からの前記行先階登録指令により前記各エレベータに行先階のカゴ呼びを登録するカゴ呼び登録部と、
エレベータ利用の混雑時間帯であるピーク時を判断するピーク需要判断部と、
前記ピーク需要判断部によりピーク時と判断され、各カゴが応答すべき呼びが無いフリーな状態となった場合にフリーのカゴを前記基準階に引戻し戸閉待機させるための引戻し戸閉待機指令を前記フリーのカゴに出力する基準階引戻し戸閉待機指令出力部と、
前記基準階引戻し戸閉待機指令出力部から出力された基準階引戻し戸閉待機指令を受信して前記各カゴを前記基準階に引戻すと共に前記基準階に戸閉待機させる基準階引戻し戸閉待機制御部と、
ピーク時運転の実施の際、前記基準階の行先呼びが割当てられ戸開待機しているカゴが有る場合、基準階戸開待機カゴに基準階以外の階床で発生した上下呼びを割当てられやすくするため、前記基準階に引戻され戸閉待機している前記カゴに対して基準階以外の階床で発生した前記上下呼びを割当てにくくするための重み値情報を前記行先呼び割当て制御部と上下呼び割当て制御部に出力する戸閉待機カゴ重み値設定部と、を備え、
前記行先呼び割当て制御部及び上下呼び割当て制御部は、前記戸閉待機カゴ重み値設定部で設定された前記重み値を加味して割当て号機を決定する、エレベータ制御システム。
【請求項6】
カゴ内の人数を荷重から検出するカゴ内乗車人数検出部と、
ピーク時運転の実施の際、前記基準階の行先呼びが割当てられて前記基準階で戸開待機している前記カゴ内の戸閉ボタンを無効とし、前記カゴ内乗車人数検出部により算出した前記基準階の行先呼びが割当てられて前記基準階で戸開待機している前記カゴ内の乗車人数が前記基準階の行先呼びで登録されている乗車人数以上となった場合、又は前記基準階の行先呼びが最後に登録されてから一定時間以上経過した場合に無効としていた戸開待機カゴ内の戸閉ボタンを有効とするカゴ内戸閉ボタン有効/無効指令を出力するカゴ内戸閉ボタン有効/無効指令出力部と、
前記カゴ内戸閉ボタン有効/無効指令出力部からのカゴ内戸閉ボタン有効/無効指令に基づき、カゴ内戸閉ボタンの有効/無効を切替えるカゴ内戸閉ボタン有効/無効切替部と、を備える請求項5に記載のエレベータ制御システム。
【請求項7】
ピーク時運転の実施の際、前記行先呼び需要算出部により算出した前記基準階の需要に基づき前記基準階で戸閉拘束する前記カゴの台数を算出する基準階戸閉拘束台数算出部と、
前記基準階で戸閉待機を開始した順番を基準階戸閉待機開始順番情報として記憶する基準階戸閉待機開始順記憶部と、
前記基準階に戸閉待機しているカゴへ基準階以外の前記上下呼びを割当てないための禁止値を、前記基準階戸閉待機開始順記憶部で記憶した前記基準階戸閉待機開始順番情報に基づく号機順に、前記基準階戸閉拘束台数算出部により算出された台数分、前記行先呼び割当て制御部及び前記上下呼び割当て制御部に出力する基準階戸閉拘束禁止値設定部と、を備え、
前記行先呼び割当て制御部及び上下呼び割当て制御部は、前記基準階戸閉拘束禁止値設定部で設定された前記禁止値を加味して割当て号機を決定する、請求項5又は6に記載のエレベータ制御システム。
【請求項8】
ピーク時運転の実施の際、前記行先呼び需要算出部により算出した前記基準階の需要に基づき前記基準階へ引戻すカゴの台数を算出し、基準階引戻し戸閉待機指令出力部に引戻しカゴ台数を出力する基準階引戻し台数算出部と、を備え、
前記基準階引戻し戸閉待機指令出力部は、前記基準階引戻し台数算出部から入力された引戻しカゴ台数に設定された台数分にのみ引戻し戸閉待機指令を出力する、請求項5~7の何れか1項に記載のエレベータ制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、群管理制御方法及びエレベータ制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上下呼びの群管理システムにおける出勤時運転では、乗車するカゴを指定していないことから、バンク全号機を基準階(出入口等があるメインの階床)に引戻した後、予め先発号機、次発号機等を決定して戸開待機させ、一定人数が乗車して一定時間経過後に出発させる出発間隔制御を実施する。これにより、エレベータの輸送効率の向上を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-170037号公報
【文献】特開2014-101187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、基準階に乗場行先階登録装置が設置されるDCS(Destination Control System)」と称するシステムでは、乗車するカゴが予め決められていることから上記のようにむやみに戸開待機させてしまうと、利用者が誤乗車してしまうといる問題がある。
【0005】
本発明は上記事情に鑑み、ピーク需要時における利用者へのサービス向上を図ることができる群管理制御方法及びエレベータ制御システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための実施形態は、基準階に設置された乗場行先階登録装置と、各エレベータ号機を制御する各エレベータ制御装置と、各エレベータ制御装置を群管理する群管理制御装置とを備えたエレベータ制御システムにおける群管理制御方法であって、
エレベータ利用の混雑時間帯であるピーク時間帯が到来すると、ピーク時運転に移行して、呼び登録されていないフリー状態のカゴの有無を判定し、フリー状態のカゴが有る場合には、当該カゴを基準階に呼び戻して戸閉待機させ、その後、前記基準階から呼び登録がされた場合には、基準階で戸閉待機中のカゴを戸開させる、群管理制御方法である。
【0007】
また、他の実施形態は、複数の階床をサービスする複数台のエレベータを有し、基準階には乗場行先階登録装置が設置され、他階には前記乗場行先階登録装置又は上下呼びボタンが設置されるエレベータ制御システムであって、前記乗場行先階登録装置からの行先呼び登録情報に基づき、前記乗場行先階登録装置の設置階から出発する需要および各階への交通需要を示す需要情報を算出する行先呼び需要算出部と、前記乗場行先階登録装置からの前記行先呼び登録情報と前記各エレベータのエレベータ情報出力部からの上下呼び情報を含む応答情報、カゴ方向性、カゴ荷重を含む各エレベータ情報と前記行先呼び需要算出部からの需要情報とに基づき、登録された行先階呼び毎に最適な割当て号機を決定する行先呼び割当て制御部と、前記上下呼びボタンで登録された上下呼び情報と前記各エレベータの前記エレベータ情報出力部からの前記各エレベータ情報とに基づき、最適な上下呼び割当て号機を決定する上下呼び割当て制御部と、前記行先呼び割当て制御部及び前記上下呼び割当て制御部からの割当て号機情報に基づき、前記各エレベータへ割当て指令を出力すると共に、前記割当て号機情報が前記行先呼び割当て制御部から入力された場合は前記割当て号機へ行先階登録指令を出力する割当て指令出力部と、前記割当て指令出力部からの前記割当て指令により前記各エレベータを行先呼び又は上下呼びの登録階へ応答させ、戸開させる割当て応答制御部と、前記割当て指令出力部からの前記行先階登録指令により前記各エレベータに行先階のカゴ呼びを登録するカゴ呼び登録部と、エレベータ利用の混雑時間帯であるピーク時を判断するピーク需要判断部と、前記ピーク需要判断部によりピーク時と判断され、各カゴが応答すべき呼びが無いフリーな状態となった場合にフリーのカゴを前記基準階に引戻し戸閉待機させるための引戻し戸閉待機指令を前記フリーのカゴに出力する基準階引戻し戸閉待機指令出力部と、前記基準階引戻し戸閉待機指令出力部から出力された前記基準階引戻し戸閉待機指令を受信して前記各カゴを前記基準階に引戻すと共に前記基準階に戸閉待機させる基準階引戻し戸閉待機制御部と、を備えるエレベータ制御システムである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施形態のエレベータ制御システムの構成を示すブロック図。
図2】第1実施形態の処理手順を示すフローチャート。
図3】第1実施形態の動作例を示す説明図。
図4】本発明の第2実施形態のエレベータ制御システムの構成を示すブロック図。
図5】第2実施形態の処理手順を示すフローチャート。
図6】本発明の第3実施形態のエレベータ制御システムの構成を示すブロック図。
図7】第3実施形態の処理手順を示すフローチャート。
図8】本発明の第4実施形態のエレベータ制御システムの構成を示すブロック図。
図9】第4実施形態の処理手順を示すフローチャート。
図10】第4実施形態の処理手順における基準階戸閉待機開始順記憶処理を示すフローチャート。
図11】本発明の第5実施形態のエレベータ制御システムの構成を示すブロック図。
図12】第5実施形態の処理手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第1実施形態>
以下、図1図12を参照して本発明の実施形態を説明する。なお、本明細書では、エレベータを「カゴ」又は「号機」あるいは「エレベータ号機」と称するが基本的には同一のものを指している。
【0010】
図1は本発明の第1実施形態の構成を示すブロック図である。
【0011】
図1に示すように第1実施形態のエレベータ制御システム100は、群管理制御装置10aと、この群管理制御装置10aの制御下において、A号機制御装置30Aと、B号機を制御するB号機制御装置30Bと、C号機を制御するC号機制御装置30Cとを備えている。A号機制御装置30Aはカゴ40Aの運転制御を、B号機制御装置30Bはカゴ40Bの運転制御を、C号機を制御するC号機制御装置30Cはカゴ40Cの運転制御を実行する。
【0012】
また、基準階(例えば、1階)には、乗場行先階登録装置50が設置されており、他階の乗場には、上下呼びボタン60,70が設置されている。
【0013】
群管理制御装置10aは、ピーク需要判断部11aと、基準階引戻し戸閉待機指令出力部と12aと、行先呼び需要算出部13aと、行先呼び割当て制御部14aと、上下呼び割当て制御部15aと、割当て指令出力部16aとを備えている。行先呼び割当て制御部14aと上下呼び割当て制御部15aとから割当て制御部20aが構成されている。
【0014】
各号機制御装置30A,30B,30Cは同一の機能構成を有しており、それぞれ、割当て応答制御部31と、基準階引戻し戸閉待機制御部32と、エレベータ情報出力部33と、カゴ呼び登録部34と、上下呼び登録部35とを備えている。
【0015】
群管理制御装置10aのピーク需要判断部11aは、出勤時間帯等のピーク時であることを曜日・時刻やカゴ内荷重等から判断する。
【0016】
基準階引戻し戸閉待機指令出力部12aは、ピーク需要判断部11aによりピーク時と判断され、各カゴが応答すべき呼びが無いフリーな状態となった場合にフリーカゴを基準階に引戻し戸閉待機させるための引戻し戸閉待機指令をフリーカゴに出力する。
【0017】
行先呼び需要算出部13aは、乗場行先階登録装置50からの行先呼び登録情報に基づき、乗場行先階登録装置50の設置階である基準階から出発する需要および各階への交通需要を算出する。
【0018】
行先呼び割当て制御部14aは、乗場行先階登録装置からの前記行先呼び登録情報と前記各エレベータのエレベータ情報出力部からの上下呼び情報を含む応答情報、カゴ方向性、カゴ荷重等の各エレベータ情報と、前記行先呼び需要算出部からの前記需要情報とから前記各エレベータを評価し、前記登録された行先階呼び毎に最適な割当て号機を決定する。
【0019】
上下呼び割当て制御部15aは、上下呼びボタンで登録された上下呼び情報と前記各エレベータの前記エレベータ情報出力部からの前記各エレベータ情報とから、前記各エレベータを評価し、最適な上下呼び割当て号機を決定する。
【0020】
割当て指令出力部16aは、行先呼び割当て制御部と前記上下呼び割当て制御部からの割当て号機情報に基づき、前記各エレベータへ割当て指令を出力すると共に、前記割当て号機情報が前記行先呼び割当て制御部から入力された場合は前記割当て号機へ行先階登録指令を出力する。
【0021】
各号機制御装置30A,30B,30Cの割当て応答制御部31は、割当て指令出力部16aからの割当て指令により前記各エレベータを行先呼び又は上下呼びの登録階へ応答させ、戸開させる。
【0022】
基準階引戻し戸閉待機制御部32は、基準階引戻し戸閉待機指令出力部12aから出力された基準階引戻し戸閉待機指令を受信してカゴを基準階に引戻すと基準階にて戸閉待機させる。
【0023】
エレベータ情報出力部33は、上下呼び情報を含む応答情報、カゴ方向性、カゴ荷重等の各エレベータ情報を群管理制御装置10aに出力する。
【0024】
カゴ呼び登録部34は、群管理制御装置10aの割当て指令出力部16aからの行先階登録指令に基づき行先階のカゴ呼びを登録する。
【0025】
上下呼び登録部35は、上下呼びボタン60,70からの上下呼び情報を登録する。
【0026】
次に、図2のフローチャートに基づいて第1実施形態の動作を説明する。
【0027】
ピーク需要判断部11aは、各号機のピーク需要を判断する(ステップS1)。ピーク需要か否かの判断は、予め設定されている時間帯、例えば、朝の出勤時間帯、昼食時間帯、退勤時間帯が挙げられる。又は、エレベータ情報出力部33から出力される各号機の荷重等から混雑状況を把握することで判断できる。
【0028】
ピーク時間帯であると判断された場合(ステップS1YES)には、ステップS2~S7の号機ループが開始される。この号機ループでは、先ず、カゴがフリー状態であるか否かが判断される。すなわち、応答すべき呼びが無いか否かを判断する(ステップS3)。
【0029】
カゴがフリーであると判断された場合(ステップS3YES)には、基準階引戻し戸閉待機指令出力部12aは、該当するカゴを制御する号機制御装置30A~30Cに対して、該当号機を基準階へ戻すように指示する(ステップS4)。
【0030】
そして、カゴが基準階に到着すると、引き戻されたカゴを基準階で戸閉待機させる(ステップS5,S6)。
【0031】
次に、図3に示す具体例を用いて説明する。
【0032】
図3から理解できるように、A号機は、7階でフリー状態であり、基準階である1階に引き戻され、戸閉待機となる。同様に、D号機は6階でフリー状態であり、基準階である1階に引き戻される状態を示している。B号機は基準階に引き戻され、戸閉待機となる。C号機は、2階から3階に向けて走行しており、7階及び8階へのかご呼びが登録されており、また、4階で受け方向の行先階が登録されている。さらに、E号機は、基準階で待機中であるが、乗場行先階登録装置50から6階への行先階呼びが割当てられたため、戸開待機している状態を示している。
【0033】
このように、第1実施形態では、基準階に乗場行先階登録装置50が設置されるDCSシステムにおいて、出勤時間帯等のピーク時にカゴを基準階に引戻しはするが戸開待機させるのではなく戸閉待機させるようにしている。これにより、利用者の誤乗車を防止することができる。その後、基準階で乗場行先階登録装置50により行先呼びが登録され、号機が割当てられると、割当て号機を戸開待機させるようにする。これにより、ピーク需要時における利用者へのサービス向上を図ることができる。
【0034】
<第2実施形態>
図4は本発明の第2実施形態の構成を示すブロック図である。
【0035】
第2実施形態におけるエレベータ制御システム200の群管理制御装置10bは、ピーク需要判断部11bと、基準階引戻し戸閉待機指令出力部と12bと、行先呼び需要算出部13bと、行先呼び割当て制御部14bと、上下呼び割当て制御部15bと、割当て指令出力部16bとを備えている。行先呼び割当て制御部14bと上下呼び割当て制御部15bとから割当て制御部20bが構成されている。特に、第2実施形態の群管理制御装置10bは、戸閉待機カゴ重み値設定部17bを備えることを特徴としている。他の構成は第1実施形態と同様である。
【0036】
戸閉待機カゴ重み値設定部17bは、ピーク時運転の実施の際、基準階の行先呼びが割当てられ戸開待機しているカゴがいる場合、基準階戸開待機カゴに基準階以外の階床で発生した乗場呼び(行先呼び又は上下呼び)を割当てられやすくするため、基準階に引戻され戸閉待機しているカゴに対して基準階以外の階床で発生した乗場呼びを割当てにくくするための重み値情報を行先呼び割当て制御部14bと上下呼び割当て制御部15bに出力する。
【0037】
次に、図5のフローチャートに基づいて第2実施形態の動作を説明する。
【0038】
ピーク時間帯であると判断された場合(ステップS11YES)には、基準階以外で乗場呼びが発生したか否かが判断される(ステップS12)。基準階以外で乗場呼びが発生した場合(ステップS12YES)には、ステップS13~S16の号機ループが開始される。
【0039】
基準階で行先呼びが登録され戸開待機しているカゴがいる場合に他の基準階戸閉待機号機に基準階以外の階床の乗場呼び(行先呼び又は上下呼び)が割当てられて他階へ移動してしまうと、次に発生する基準階の行先呼びへの応答性が悪くなってしまうことが懸念される。このため、基準階で戸閉待機しているカゴ(ステップS14YES)に対して、基準階以外の乗場呼びに対しる重み値を設定して加算する(ステップS15)。そして、重み値を加味して最適号機を割当てる(ステップS17)。これにより、他階の乗場呼び割当てを抑制し、基準階の行先呼びが割当てられて戸開待機しているカゴに基準階以外の階床の乗場呼びを割当てられ易くする。
【0040】
このように、第2実施形態では、基準階で戸閉待機カゴを温存することができ、ピーク需要時における利用者へのサービス向上を図ることができる。
【0041】
<第3実施形態>
図6は本発明の第3実施形態の構成を示すブロック図である。
【0042】
第3実施形態におけるエレベータ制御システム300の群管理制御装置10cは、ピーク需要判断部11cと、基準階引戻し戸閉待機指令出力部12cと、行先呼び需要算出部13cと、行先呼び割当て制御部14cと、上下呼び割当て制御部15cと、割当て指令出力部16cとを備えている。行先呼び割当て制御部14cと上下呼び割当て制御部15cとから割当て制御部20cが構成されている。特に、第3実施形態の群管理制御装置10cは、カゴ内乗車人数検出部18cと、カゴ内戸閉ボタン有効/無効出力部19cとを備えることを特徴している。他の構成は第1実施形態と同様である。
【0043】
カゴ内乗車人数検出部18cは、エレベータカゴ内の人数を荷重から検出する。
【0044】
カゴ内戸閉ボタン有効/無効出力部19cは、ピーク時運転の実施の際、前記基準階の行先呼びが割当てられて前記基準階で戸開待機している前記カゴ内の戸閉ボタンを無効とし、前記カゴ内乗車人数検出部により算出した前記基準階の行先呼びが割当てられて前記基準階で戸開待機している前記カゴ内の乗車人数が前記基準階の行先呼びで登録されている乗車人数以上となった場合、又は前記基準階の行先呼びが最後に登録されてから一定時間以上経過した場合に無効としていた前記戸開待機カゴ内の戸閉ボタンを有効とする。
【0045】
次に、図7のフローチャートに基づいて第3実施形態の動作を説明する。
【0046】
ピーク時間帯であると判断された場合(ステップS21YES)には、基準階で行先呼びが登録されたか否かが判断される(ステップS22)。基準階の行先呼びが割当てられて基準階で戸開待機しているカゴが有る場合には、カゴ内戸閉ボタンを無効とする(ステップS23)。次いで、割当号機に行先呼びで登録されている乗車人数が乗車したか否かが判断される(ステップS24)。乗車人数分が乗車した場合(ステップS24YES)、又は最後に基準階で行先登録されてから一定時間が経過している場合(ステップS25YES)には、割当号機のかご内戸閉ボタンを有効とする(ステップS26)。
【0047】
このように、第3実施形態では、基準階の行先呼びが割当てられて基準階で戸開待機しているカゴのカゴ内戸閉ボタンの有効/無効を切替える機能を有している。カゴ内戸閉ボタンを戸開待機開始時に無効としておき、カゴ内の乗車人数が行先呼びで登録された乗車人数以上となった場合、又は最後に基準階で行先呼びが登録されてから一定時間以上経過した場合に有効とすることで利用者が乗車し損なうことを防止する。また、基準階からの出発間隔を適正化することができる。これにより、ピーク需要時における利用者へのサービス向上を図ることができる。
【0048】
<第4実施形態>
図8は本発明の第4実施形態の構成を示すブロック図である。
【0049】
第4実施形態におけるエレベータ制御システム400の群管理制御装置10dは、ピーク需要判断部11dと、基準階引戻し戸閉待機指令出力部12dと、行先呼び需要算出部13dと、行先呼び割当て制御部14dと、上下呼び割当て制御部15dと、割当て指令出力部16dとを備えている。行先呼び割当て制御部14dと上下呼び割当て制御部15dとから割当て制御部20dが構成されている。特に、第4実施形態の群管理制御装置10dは、基準階戸閉拘束台数算出部21dと、基準階戸閉待機開始順記憶部22dと、基準階戸閉拘束禁止値設定部23dとを備えることを特徴としている。他の構成は第1実施形態と同様である。
【0050】
基準階戸閉拘束台数算出部21dは、ピーク時運転の実施の際、行先呼び需要算出部により算出した基準階の需要に基づき基準階で戸閉拘束するカゴの台数を算出する。
【0051】
基準階戸閉待機開始順記憶部22dは、基準階で戸閉待機を開始した順番を基準階戸閉待機開始順番情報として記憶する。
【0052】
基準階戸閉拘束禁止値設定部23dは、基準階に戸閉待機しているカゴへ基準階以外の乗場呼びを割当てないための禁止値を、基準階戸閉待機開始順記憶部で記憶した基準階戸閉待機開始順番情報に基づく号機順に基準階拘束台数算出部により算出された台数分、行先呼び割当て制御部14dと上下呼び割当て制御部15dに出力する。
【0053】
次に、図9図10のフローチャートに基づいて第4実施形態の動作を説明する。
【0054】
ピーク時間帯であると判断された場合(ステップS31YES)には、基準階の需要に基づき、基準階に戸閉拘束する台数を算出する(ステップS32)。次いで、図10に示す基準階戸閉待機開始順記憶処理が実行される(ステップS33)。
【0055】
図10におけるステップS41~S44の号機ループでは、カゴが基準階に到着し、戸閉待機開始したか否かが判定される(ステップS42)。戸閉待機開始したカゴが有る場合(ステップS42YES)には、基準階戸閉待機開始順情報に保存する処理が実行される(ステップS43)。
【0056】
こうして、基準階戸閉待機開始順記憶処理が実行されると、次に、基準階以外で乗場呼びが発生したか否かが判定される(ステップS34)。基準階以外で乗場呼びが発生した場合(ステップS34YES)には、ステップS35~S39)の基準階戸閉待機開始順情報による号機ループが開始される。先ず、基準階以外の乗場呼びに対する禁止値が設定される(ステップS36)。全ての基準階戸閉待機中号機に対する禁止値が設定される(ステップS37YES、S38YES)と、重み値を加味して最適号機が割当てられる(ステップS)。
【0057】
このように、第4実施形態では、基準階の需要に基づき基準階に戸閉したまま拘束する号機(他階の乗場呼びに応答させず温存する号機)と拘束しない号機(他階の乗場呼びに応答させる号機)の台数を決定する。そして、基準階に戸閉待機した号機から順に他階の乗場呼びに応答させないようにする禁止値を設定する。これにより、基準階の需要に即した台数を基準階に温存することができ、ピーク需要時における利用者へのサービス向上を図ることができる。
【0058】
<第5実施形態>
図11は本発明の第5実施形態の構成を示すブロック図である。第5実施形態は第4実施形態の変形例である。
【0059】
第5実施形態におけるエレベータ制御システム500の群管理制御装置10eは、ピーク需要判断部11eと、基準階引戻し戸閉待機指令出力部12eと、行先呼び需要算出部13eと、行先呼び割当て制御部14eと、上下呼び割当て制御部15eと、割当て指令出力部16eとを備えている。行先呼び割当て制御部14eと上下呼び割当て制御部15eとから割当て制御部20eが構成されている。特に、第5実施形態の群管理制御装置10eは、基準階引戻し台数算出部24eを備えることを特徴としている。他の構成は第1実施形態と同様である。
【0060】
基準階引戻し台数算出部24eは、ピーク時運転の実施の際、行先呼び需要算出部により算出した基準階の需要に基づき基準階へ引戻すカゴの台数を算出し、基準階引戻し戸閉待機指令出力部12eに引戻しカゴ台数を出力する。
【0061】
次に、図12のフローチャートに基づいて第5実施形態の動作を説明する。第5実施形態の処理は、基本的に第4実施形態に準じる。
【0062】
ピーク時間帯であると判断された場合(ステップS51YES)には、基準階の需要に基づき、基準階に戸閉拘束する台数を算出する(ステップS52)。次いで、ステップS53~S55の号機ループが開始される。この処理では、図2のステップS3~S6のカゴ引戻し処理が実行される。
【0063】
すなわち、フリー状態のカゴが有る場合(ステップS3YES)には、基準階引戻し戸閉待機指令出力部12eは、該当するカゴを制御する号機制御装置30A~30Cに対して、該当号機を基準階へ戻すように指示する(ステップS4)。そして、カゴが基準階に到着すると、引き戻されたカゴを基準階で戸閉待機させる(ステップS5,S6)。カゴ引戻し処理を、引戻し台数が算出台数に達するまで実行する(ステップS55YES)。
【0064】
このように、第5実施形態では、基準階の需要に基づき、基準階に引戻す必要があるカゴの台数を算出し、基準階の需要に即した台数のみを引戻すようにしている。これにより、無駄な引戻し動作を防止することで、ピーク需要時における利用者へのサービス向上を図ることができる。
【0065】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0066】
100,200,300,400,500…エレベータ制御システム、10a,10b,10c,10d,10e…群管理制御装置、11a,11b,11c,11d,11e…ピーク需要判断部、12a,12b,12c,12d,12e…基準階引戻し戸閉待機指令出力部、13a,13b,13c,13d,13e…行先呼び需要算出部、14a,14b,14c,14d,14e…行先呼び割当て制御部、15a,15b,15c,15d,15e…上下呼び割当て制御部、16a,16b,16c,16d,16e…割当て指令出力部、17b…戸閉待機カゴ重み値設定部、18c…カゴ内乗車人数検出部、19c…カゴ内戸閉ボタン有効/無効指令出力部、20a,20b,20c,20d,20e…割当て制御部、21d…基準階戸閉拘束台数算出部、22d…基準階戸閉待機開始順記憶部、23d…基準階戸閉拘束禁止値設定部、24e…基準階引戻し台数算出部、30A…A号機制御装置、30B…B号機制御装置、30C…C号機制御装置、31…割当て応答制御部、32…基準階引戻し戸閉待機制御部、33…エレベータ情報出力部、34…カゴ呼び登録部、35…上下呼び登録部、36…戸閉ボタン有効/無効切替部、40A,40B,40C…カゴ、50…乗場行先階登録装置、60,70…上下呼びボタン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12