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▶ メニコン シンガポール ピーティーイー. リミテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-15
(45)【発行日】2022-07-26
(54)【発明の名称】眼用レンズ
(51)【国際特許分類】
   G02C 7/04 20060101AFI20220719BHJP
【FI】
G02C7/04
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020171343
(22)【出願日】2020-10-09
(62)【分割の表示】P 2019153003の分割
【原出願日】2015-03-24
(65)【公開番号】P2021009408
(43)【公開日】2021-01-28
【審査請求日】2020-11-09
(31)【優先権主張番号】10201400920R
(32)【優先日】2014-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SG
(73)【特許権者】
【識別番号】508055973
【氏名又は名称】メニコン シンガポール ピーティーイー. リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083895
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100175983
【弁理士】
【氏名又は名称】海老 裕介
(72)【発明者】
【氏名】ニューマン, ステファン ディー.
【審査官】吉川 陽吾
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-540373(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0293834(US,A1)
【文献】特表2011-518355(JP,A)
【文献】特表2011-510798(JP,A)
【文献】特表2007-511803(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02C 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズ本体を有するコンタクトレンズであって、
前記レンズ本体が、
中心光を前記レンズ本体の装着者の目の網膜の中央領域に向かって指向させるようにされた光学部と、
前記光学部の外側において前記レンズ本体から突出して複数の互いに間隔を空けて配置された半球形又は六角形の光学的特徴部であって、周辺光を前記中央領域から離して前記目の中に指向させて、前記周辺光が前記網膜上でない位置に複数の焦点を有するようにする、複数の互いに間隔を空けて配置された半球形又は六角形の光学的特徴部と、
を含む、コンタクトレンズ。
【請求項2】
前記複数の互いに間隔を空けて配置された半球形又は六角形の光学的特徴部が前記レンズ本体の前側表面に形成されている、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項3】
前記複数の互いに間隔を空けて配置された半球形又は六角形の光学的特徴部が前記網膜の周辺領域で異なる光の強さをもたらすようにされた、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項4】
前記複数の互いに間隔を空けて配置された半球形又は六角形の光学的特徴部が前記レンズ本体の前記光学部における材料とは異なる屈折率を有する、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項5】
前記複数の互いに間隔を空けて配置された半球形又は六角形の光学的特徴部が前記レンズ本体の前記光学部における材料と同じ屈折率を有する、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項6】
前記コンタクトレンズが、ソフトコンタクトレンズ、又はガス透過性ハードコンタクトレンズである、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項7】
前記複数の互いに間隔を空けて配置された半球形又は六角形の光学的特徴部の少なくとも一部がさまざまな合焦能力を有する、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項8】
前記複数の互いに間隔を空けて配置された半球形又は六角形の光学的特徴部が前記周辺光を異なる焦点で前記網膜の周辺領域内に指向させるようにされた、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項9】
前記複数の互いに間隔を空けて配置された半球形又は六角形の光学的特徴部が六角形である、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項10】
前記複数の互いに間隔を空けて配置された半球形又は六角形の光学的特徴部が前記目の軸方向成長率を修正するようにされた、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項11】
前記複数の互いに間隔を空けて配置された半球形又は六角形の光学的特徴部が近視の発達を制御するようにされた、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項12】
前記複数の互いに間隔を空けて配置された半球形又は六角形の光学的特徴部が、前記周辺光が前記網膜の前記中央領域から離れるように指向されて前記網膜の手前に焦点を有するようにする、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項13】
前記複数の互いに間隔を空けて配置された半球形又は六角形の光学的特徴部の少なくとも1つが、前記複数の互いに間隔を空けて配置された半球形又は六角形の光学的特徴部の別の1つとは異なる大きさを有する、請求項12に記載のコンタクトレンズ。
【請求項14】
前記複数の互いに間隔を空けて配置された半球形又は六角形の光学的特徴部が六角形であり、前記複数の互いに間隔を空けて配置された半球形又は六角形の光学的特徴部の少なくとも1つが、前記複数の半球形又は六角形の光学的特徴部の別の1つとは異なる大きさを有する、請求項12に記載のコンタクトレンズ。
【請求項15】
目に対して配置されたときに中心光を前記目の網膜の中央領域の中心焦点に向かって指向させるように形作られた光学部を含むレンズ本体と、
それぞれが半球形又は六角形であり、前記レンズ本体上の前記光学部の外側において前記レンズ本体から突出していて、前記レンズ本体が目に対して配置されたときに周辺光を前記網膜の前記中央領域から離して前記目の中に指向する、第1のレンズ特徴部及び第2のレンズ特徴部であって、前記光学部における前記レンズ本体の材料とは異なる屈折率を有し、周辺光が前記網膜の前記中央領域から離れて指向して前記網膜上でない位置に焦点を有するようにする、第1のレンズ特徴部及び第2のレンズ特徴部と、
を有する、コンタクトレンズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
正視は、見る人が近い距離にある物体と遠い距離にある物体の両方とも明瞭に見える、視覚の状態である。角膜と水晶体が一体として、目に入る光の焦点を網膜の中央部に合わせる。正視は、角膜と水晶体の総合屈折力が光の焦点を網膜の中央の領域の上に厳密に合わせるときに得られる。
【0002】
近視は、見る人に近い物体は明瞭に見えるが、見る人からより遠くに引き離された物体は次第に不鮮明になる視覚の状態である。近視は近眼と呼ばれることもある。近視は幾つもの条件や原因によって引き起こされる。近視の多くの症例の優位な因子としては目の引き伸ばしたような眼軸長がある。目に入った集束した光の焦点が網膜より前に形成されるとき近視が起きる。言い換えれば、目に入る光線が網膜の手前で集束する。
【0003】
眼軸長によって影響されるもう一つの状態は遠視である。この状態は見る人に離れた場所にある物体を明瞭に見えるようにし、一方で見る人に近い物体は次第に不鮮明になる。この状態も同様に複数の原因によって起こりうるが、目に入った光の焦点が網膜の後ろに形成されると、人は一般的に遠視になる。
【0004】
眼軸長は子供の時期に伸びる。若い人たちが青年期を迎えるにつれて、目は一般的に成長を止めて、眼軸長はより不変となる。従って、子供の若さの間に眼軸長の成長を制御することができれば、子供の成人時代の近視や遠視を少なくし、又は撲滅することさえ可能である。必要なのは、眼軸長が成長することのできる人生の任意の時期に眼軸長を制御するための装置、システム、及び方法である。
【発明の概要】
【0005】
幾つかの代表的な実施形態が、開示された主題の種々の特徴、特性、及び利点を説明するために提供される。一つの実施形態に関連して記述された特徴、特性、利点などは、単独で、又は他の実施形態に関連して記述された他の特徴と種々の組み合わせ及び部分的組み合わせで使用することができることを理解されたい。
【0006】
ここに記載される原理の一つの実施形態において、眼用レンズは目に接触するように構成されたレンズ本体を含む。レンズ本体は光を目の網膜の中央部へ指向させるように構成された光学部を含む。レンズ本体の少なくとも一つの光学的特徴部(feature)は、目に入る光を選択的に網膜の中央部から離れた所へ向ける。眼用レンズはコンタクトレンズ、ソフトコンタクトレンズ、ガス透過性ハードコンタクトレンズ、移植用レンズ、又はそれらの組み合わせであってもよい。
【0007】
ある場合には光学的特徴部は印刷された特徴部である。そのような印刷された特徴部はパッド印刷法、銅板印刷法、食刻印刷法、ドットマトリックス印刷法、レーザー印刷法、タンプ(tamp)印刷法、液体噴射(liquid jet)印刷法、他の印刷法、又はそれらの組み合わせを用いて形成することができる。
【0008】
光学的特徴部は眼用レンズの前方の表面に形成することができる。例えばレンズ本体が複数の層で作られている場合には、光学的特徴部はそれらの層のうちの何れか一つの内側又は外側の面に形成することができる。そのような内側又は外側の面とは、中間層、又は前層もしくは後層の面のことであってもよい。
【0009】
光学的特徴部はシリコーン材、ヒドロゲル材、光学材料、着色物質、又はそれらの組み合わせで作ることができる。光学的特徴部は、当該特徴部が中心光を網膜の中央部に集光することを妨げることによってレンズの光学的透明度を減ずることのないように、眼用レンズの任意の適当な場所に形成してもよい。ある場合には光学的特徴部は眼用レンズの非光学領域に形成される。幾つかの例において、光学的特徴部は六角形、フレネル型形状、又は半球形を有しているが、当該光学的特徴部は任意の適当な形状を有していてもよい。
【0010】
ある場合には、光学的特徴部はレンズ本体を構成する材料と同じ屈折率を有する。他の例では、光学的特徴部はレンズ本体の材料とは異なる屈折率を有する。光学的特徴部は光を網膜の周辺領域へ指向させる特性、光を網膜の周辺領域に正確に集光する特性、光を網膜の周辺領域の手前で集光する特性、光を網膜の周辺領域の後ろで集光する特性、又はそれらを組み合わせた特性を有することができる。当該特性は目の眼軸長の成長を制御する効果、近視を制御する効果、近視を防ぐ効果、遠視を制御する効果、遠視を防ぐ効果、その他の効果、又はそれらを組み合わせた効果を有することができる。
【0011】
光学的特徴部は眼用レンズの湾曲の領域に影響することなくレンズ本体に組み込むことができる。光学的特徴部は又、網膜の特定の部位に光を指向させるように別々に調整された、眼用レンズに組み込まれた複数の光学的特徴部のうちの一つであってもよい。そのような光学的特徴部は、お互いに異なる大きさ、形状、屈折率、合焦能力、もしくは他の特性、又はそれらの組み合わせを有することができる。幾つかの例において、光学的特徴部は、例えば六角形の小型レンズ、半球形の小型レンズ、他の形状の小型レンズ、又はそれらの組み合わせなどの小型レンズである。別な例において、光学的特徴部はフレネル型形状、円環形状、他の型の形状、又はそれらの組み合わせを含む。
【0012】
ここに記載される原理のもう一つの実施形態において、眼用レンズは目に接触するように構成された本体を有する。レンズ本体は網膜の中央部の中心焦点に光を指向させるように成形された光学部を有する。レンズ本体の少なくとも一つの独立した特徴部は、目に入る光を網膜の中央部から離れた所へ向ける特性を有する。
【0013】
当該独立した特徴部は、眼用レンズに一体的に形成された成型の特徴部であってもよい。他の例において、独立した特徴部は印刷された特徴部である。独立した特徴部は眼用レンズの前方の表面又は複数の層で作られたレンズ本体の層の内側面に形成することができる。
【0014】
ここに記載される原理の更に別の実施形態において、眼用レンズを作製する方法は、型材の第一の側に少なくとも一つの凹部を含む輪郭を形成することによってレンズの嵌合面を有するスピンキャスティング型を形成するステップと、液状レンズ材料をスピンキャスティング型の第1の側に塗布するステップと、当該液状レンズ材料が、スピンキャスティング型の第1の側の全域にわたって遠心力で流れて輪郭の凹部を満たすように、スピンキャスティング型を回転させるステップと、スピンキャスティング型が回転している間に、当該少なくとも一つの凹部によって形成される少なくとも一つの突起部を有する眼用レンズを形成するために、液状レンズ材料を少なくとも部分的に硬化させるステップと、を含む。
【0015】
ここに記載される原理の更に別の実施形態において、眼用レンズを作製する方法は、型材の第一の側に輪郭を形成することによってレンズの嵌合面を有するスピンキャスティング型を形成するステップであって、該輪郭が少なくとも一つの突起部を含む、ステップと、液状レンズ材料をスピンキャスティング型の第1の側に塗布するステップと、当該液状レンズ材料が、スピンキャスティング型の第1の側の全域にわたって遠心力で流れて輪郭の突起部を覆うように、スピンキャスティング型を回転させるステップと、スピンキャスティング型が回転している間に、当該少なくとも一つの突起部によって形成される少なくとも一つの凹部を有する眼用レンズを形成するために、液状レンズ材料を少なくとも部分的に硬化させるステップと、を含む。
【0016】
ここに記載される原理の更に別の実施形態において、眼用レンズを作製する方法は、型材の第一の側に少なくとも一つの凹部を含む輪郭を形成することによってレンズの嵌合面を含むキャスティング型を形成するステップと、液状レンズ材料をキャスティング型の第1の側に塗布するステップと、当該液状レンズ材料が、キャスティング型の第1の側の全域にわたって流れて輪郭の凹部に入るように、型の裏を固定するステップと、当該少なくとも一つの凹部によって形成される少なくとも一つの突起部を有する眼用レンズを形成するために、液状レンズ材料を少なくとも部分的に硬化させるステップと、を含む。他の実施形態においては、光学材料を眼用レンズの支持面の上に配置するステップを有し、当該眼用レンズは使用者の目に装着されたときに網膜の中央部の中心焦点に光を指向させるように成形された光学部を含み、当該配置された光学材料は目に入った光を網膜の中央部から離れた所へ指向させる特性を有する。
【0017】
発明の概要は概念から選択したものを簡略化した形式で紹介するために準備されたものであり、以下の発明を実施するための形態で更に記述される。発明の概要及び背景技術は、開示された主題の主要な概念又は本質的な側面を特定することを意図したものではなく、特許請求の範囲を制限したり限定したりするために使用すべきでもない。例えば、特許請求の範囲は、引用された主題が発明の概要に記載された側面の一部又は全てを含んでいるかどうか、及び/又は背景技術に記載された重要な問題の何れかを扱っているかどうかに基づいて制限されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
添付の図面はここに記載される原理の種々の実施形態を説明し、明細書の一部をなす。説明された実施形態は単なる例にすぎず、特許請求の範囲を制限するものではない。
【0019】
図1図1は本開示の原理による、光を目の中に指向させる眼用レンズの一つの実施形態の断面図である。
【0020】
図2図2は本開示の原理による、光を目の中に指向させる眼用レンズの一つの実施形態の断面図である。
【0021】
図3図3は本開示の原理による、光を目の中に指向させる眼用レンズの一つの実施形態の断面図である。
【0022】
図4A図4Aは本開示の原理による、眼用レンズを作るためのスピンキャスティング型を形成するように構成された射出成形機の一つの実施形態の断面図である。
【0023】
図4B図4Bは本開示の原理による、眼用レンズを作るためのスピンキャスティング型の形成の一つの実施形態の断面図である。
【0024】
図5図5は本開示の原理による、眼用レンズのためのスピンキャスティング型を作るために使用される型の一つの実施形態の断面図である。
【0025】
図6図6は本開示の原理による、眼用レンズのためのスピンキャスティング型の一つの実施形態の断面図である。
【0026】
図7図7は本開示の原理による、スピンキャスティング型を液状レンズ材料と共に示す一つの実施形態の断面図である。
【0027】
図8図8は本開示の原理による、液状レンズ材料がスピンキャスティング型の輪郭の全域にわたって遠心力で広がった状態のスピンキャスティング型を示す一つの実施形態の断面図である。
【0028】
図9図9は本開示の原理による、眼用レンズを作るためのスピンキャスティング型を成形し、硬化させることに使用される回転構造体の一つの実施形態の断面図である。
【0029】
図10図10は本開示の原理による、眼用レンズを作る方法の一つの実施形態のブロック線図である。
【0030】
図11図11は本開示の原理による、眼用レンズを作る方法の一つの実施形態のブロック線図である。
【0031】
図12図12は本開示の原理による、軸外の光を網膜の周辺領域へ指向させるための特徴部を有する眼用レンズの一つの実施形態の部分断面斜視図である。
【0032】
図13図13は本開示の原理による、光を網膜の周辺領域へ指向させるための特徴部の一つの実施形態の拡大図である。
【0033】
図14図14は本開示の原理による、光を網膜の周辺領域へ指向させるための特徴部の一つの実施形態の拡大図である。
【0034】
図15図15-18は本開示の原理による、眼用レンズの代表的な実施形態の正面図である。
図16図15-18は本開示の原理による、眼用レンズの代表的な実施形態の正面図である。
図17図15-18は本開示の原理による、眼用レンズの代表的な実施形態の正面図である。
図18図15-18は本開示の原理による、眼用レンズの代表的な実施形態の正面図である。
【0035】
図19図19-21は本開示の原理による、眼用レンズの特徴部の代表的な実施形態の断面図である。
図20図19-21は本開示の原理による、眼用レンズの特徴部の代表的な実施形態の断面図である。
図21図19-21は本開示の原理による、眼用レンズの特徴部の代表的な実施形態の断面図である。
【0036】
図22図22は本開示の原理による、光を網膜の周辺領域へ指向させるための特徴部を有するレンズ本体の複数の層の代表的な実施形態の分解斜視図である。
【0037】
図23図23は本開示の原理による、光を網膜の周辺領域へ指向させるための特徴部を有するレンズ本体の一つの層の実施形態の斜視図である。
【0038】
図24図24は本開示の原理による、能力の異なる特徴部を含むレンズ本体の一部分の斜視図である。
【0039】
図25図25は本開示の原理による、能力の異なる特徴部を含むレンズ本体全体の斜視図である。
【0040】
図26図26は本開示の原理による、異なる能力を有する特徴部の群列(array)のクローズアップである。
【0041】
図27図27は本開示の原理による、さまざまな焦点で光を目の中に指向させる眼用レンズの断面図である。
【0042】
図28図28は本開示の原理による、レンズ本体の上に形成された複数の半球形小型レンズを含むレンズ本体である。
【0043】
図29図29は本開示の原理による、フレネル型部分を含むレンズ本体の一部分の断面図である。
【0044】
図30図30は本開示の原理による、内部フレネル型レンズの背面図である。
【0045】
図31図31は本開示の原理による、内部フレネル型円環体レンズの背面図である。
【0046】
図面全体を通して、同一の参照番号が同様ではあるが必ずしも同一ではない要素を指す。
【発明を実施するための形態】
【0047】
目の眼軸長の成長は網膜で受け取られた視覚フィードバックの影響を受ける可能性がある。視覚フィードバックは目の眼軸長と角膜及び水晶体の総合屈折力との釣り合いを取ることに使用することができる。目は、網膜上に集束した光の焦点を、目の眼軸長がいつ釣り合ったかを決定することに使用する。そのような視覚フィードバックは中心視専用の網膜の中央部分だけでなく、網膜の全表面積に基づいている可能性がある。従って、もし網膜の中央部よりも大きな表面積を有する周辺領域が眼軸長を引き延ばす視覚フィードバックを受け取ると、目は眼軸長を増加させるように成長して対応する可能性がある。このことは中央視が既に釣り合っている場合に生じる可能性がある。従って、そのような視覚フィードバックは中心視に焦点外れとさせる可能性がある。
【0048】
本開示の中で記述される原理は網膜の周辺領域に指向された光を制御するための眼用レンズを含む。また、ここに記載される原理は、そのような眼用レンズを作るための方法及び関連する構成要素を含む。
【0049】
網膜の周辺領域に指向された光は、目の成長速度を決定する視覚フィードバックであると目が解釈しうる刺激をもたらす可能性がある。幾つかの例において、網膜の周辺領域に指向された光は、網膜の周辺領域に正確に集光する。周辺部に指向された光の焦点が正確に網膜の上にあるようにすることによって、目の眼軸長が目の合焦能力との一貫した釣り合いを維持することができるように目は成長速度を変えることができる。これによって、目がよりゆっくりと成長したり完全に成長を止めたりするようにすることができる。
【0050】
他の例においては、光が網膜の周辺領域の手前で集束する可能性がある。結果として、指向された光の焦点は網膜の手前にある。そのような刺激が目の周辺近視を引き起こす可能性がある。これには、目をゆっくりと成長させたり完全に成長を止めさせたりする効果がある。
【0051】
一般的に、幼児は焦点が網膜の後ろに形成される遠視の状態から始まる。従って、目は目の合焦能力と眼軸長との釣り合いを修正するように成長させる初期刺激を有する。幼児が中心部遠視(central hyperopic)の状態を有する場合には、意図的に網膜の後ろに焦点を合わせるために光を網膜の周辺領域に指向されてもよい。これにより目の中心視を修正するような目の成長及び/又は形を調整する付加的な刺激を与えることができる。
【0052】
図1は本開示の原理による、光を目12の中に指向させる眼用レンズ10の一つの実施形態の断面図である。この例において、眼用レンズ10は目12の表面に配置される。環境光線14、16、18は眼用レンズ10を通過した後に目12に入る。これらの光線は眼用レンズ10の光学部20によって網膜24の中央部22に向けて集束される。光線14、16、18の焦点25は網膜24の中央部22に形成され、これにより目に対して近い物体と遠い物体の両方とも明瞭に見えるようにする。
【0053】
他の環境光線26、28、30もまた眼用レンズ10の中を通って目12に入る。これらの光線26、28、30は光線14、16、18とは異なった屈折をする。光線26、28、30は網膜24の周辺領域32に指向される。図1の例において、光線26、28、30は網膜24の周辺領域32に集束する。これにより目12に目の合焦能力と眼軸長34とが釣り合っていることを表す刺激を与えることができる。従って、目12は合焦能力と眼軸長34との現在の比率を維持することを誘発される
【0054】
光線26、28、30は、眼用レンズ10を眼用レンズ10の光学部20の屈折特性とは異なる屈折特性を有する例示的な特徴部36を通過するため、光線14、16、18とは異なった屈折をする。一つの代表的な実施形態によれば、特徴部36は眼用レンズ10の光学部20を組成する材料とは異なる屈折率を有する材料で作られた特徴部であってもよい。特徴部は、シリコーン材、ヒドロゲル材、テフイルコン(tefilcon)、テトラフイルコン(tetrafilcon)A、クロフイルコン(crofilcon)、ヘルフイルコン(helfilcon)A及びB、マフイルコン(mafilcon)、ポリマコン(polymacon)、ヒオキシフィルコン(hioxifilcon)B、ロトラフィルコン(lotrafilcon)A、ロトラフィルコン(lotrafilcon)B、ガリフィルコン(galyfilcon)A、セノフィルコン(senofilcon)A、シフィルコン(sifilcon)A、コムフィルコン(comfilcon)A、エンフィルコン(enfilcon)A、リドフィルコン(lidofilcon)B、サーフィルコン(surfilcon)A、リドフィルコン(lidofilcon)A、アルファフィルコン(alfafilcon)A、オマフィルコン(omafilcon)A、バサーフィルコン(vasurfilcon)A、ヒオキシフィルコンA、ヒオキシフィルコンD、ネルフィルコン(nelfilcon)A、ヒラフィルコン(hilafilcon)A、アコフィルコン(acofilcon)A、ブフィルコン(bufilcon)A、デルタフィルコン(deltafilcon)A、フェムフィルコン(phemfilcon)A、ブフィルコンA、パーフィルコン(perfilcon)、エタフィルコン(etafilcon)A、フォコフィルコン(focofilcon)A、オキュフィルコン(ocufilcon)B、オキュフィルコンC、オキュフィルコンD、オキュフィルコンE、オキュフィルコンF、フェムフィルコン(phemfilcon)A、メタフィルコン(methafilcon)A、メタフィルコンB、ビルフィルコン(vilfilcon)A、他の型のポリマー又はそれらの組み合わせを含んでいてもよい。これらの材料は最終的なポリマーを形成するために種々のモノマー、ポリマー及び他の材料を含んでいてもよい。例えば、これらの材料の共通成分がHEMA、HEMA‐GMA及び同類のものを含んでいてもよい。
【0055】
幾つかの実施形態において、眼用レンズ10は約0.01mm乃至約0.14mmの厚さを有する。眼用レンズ10の厚さは眼用レンズ10の異なる位置で相違してもよい。例えば、眼用レンズ10は眼用レンズ10の外縁部の近くでは光学部20よりも厚くてもよい。幾つかの例において、特徴部36は眼用レンズ10の厚さを増加させる付加的な特徴部であってもよい。他の例において特徴部36は、レンズの厚さを減少させる除去式(subtractive)の特徴部である。更に別の例においては、特徴部36は眼用レンズを構成する材料を置き換える。例えば、眼用レンズの一部分が特徴部36を構成する材料で置き換えられても良い。
【0056】
特徴部36はいくつもの方法で形成することができ、それには、何ら限定するわけではないが、注型成形のコンタクトレンズを形成するように構成された鋳込型又はスピンキャストのコンタクトレンズを形成するために使用されるスピンキャスト型に特徴部を設計することと、特徴部を複合型のレンズの中間層に形成することと、印刷工程又は多段式の硬化工程による堆積その他同種類のものによって眼用レンズ10の外面38の上に材料を加えることと、を含む幾つもの方法で形成することができる。特徴部の印刷工程を含む代表的な実施形態において、この印刷工程は、パッド印刷法、銅板印刷法、食刻印刷法、ドットマトリックス印刷法、レーザー印刷法、タンプ印刷法、液体噴射印刷法、他の印刷法、又はそれらの組み合わせを含んでもよい。他の例においては、特徴部は眼用レンズの表面に、吹付法、蒸着法、液滴法、塗布法、他の種類の方法、又はそれらの組み合わせなど、その他の方法を使って付加される。
【0057】
代表的な実施形態によれば、光を網膜の周辺領域に指向させるように構成された特徴部36は、眼用レンズ10と一体的に形成することができる。このような例において、特徴部36は眼用レンズのその他の部分を形成する材料と同じ材料で作られている。この実施形態によれば、特徴部36の屈折率は眼用レンズ10の材料の屈折率と同じである。しかしながら、特徴部36の形状、特徴部36の増加した厚み、特徴部36の屈折特性、又は特徴部36のその他の特性が、結果的に光線26、28、30を選択的に網膜24の周辺領域32に指向させる。
【0058】
幾つかの例において、眼用レンズ10はコンタクトレンズ、ソフトコンタクトレンズ、ガス透過性ハードコンタクトレンズ、移植用レンズ、別の形式のレンズ又はそれらの組み合わせであってもよい。図1の例においては、光学部20には特徴部36が無い。結果として、特徴部からの目の中心視への影響は皆無かそれに近い。しかし、多数の独立した特徴部36は、本来なら目に入らないかまたは異なる様態で目に入るはずであった、眼用レンズ10の非光学領域に接触する光の一部分の向きを変える。従って、光学的な特徴部36の軸外の配置に起因して、増量された光が目12に入る。少なくとも、特徴部36がない場合に目に入って目12の周辺領域32に向かって進むはずの光線の大部分は、特徴部36の補助なしで目12に入り続ける。この光は既に目の成長に影響する視覚フィードバックを与えている。しかしながら、特徴部36によって目の中に再指向された追加の光は、その視覚フィードバックを弱めたり、その視覚フィードバックを強めたり、その視覚フィードバックを修正したり、または別なふうに目の成長に影響する刺激を与えたりするように制御することができる。追加の視覚フィードバックは近視の進行の制御、またある場合には、近視の発生を防ぐために使用することができる。網膜24の周辺領域32に向けられる光の量は、目の成長への望ましい影響を得るために必要な光の量に基づいて選択することができる。ある場合には、特徴部36から再指向された追加の光が少量でも、望ましい結果を達成するのに十分である。また一方、他の場合には、より多くの光を指向させることが、望ましくない眼軸長の成長を引き起こす強い自然の刺激を克服するのに有益である可能性がある。
【0059】
図2は本開示の原理による、光を目12の中に指向させる眼用レンズ10の一つの実施形態の断面図である。この例において、特徴部36が光を網膜の周辺領域32に指向させているが、当該指向された光の焦点25は網膜24の手前に形成されている。従って、特徴部36によって指向された光線26、28、30は周辺近視(peripheral myopic)状態の原因となる。そのような刺激は目12の軸方向成長(axial growth)の成長を止めるか又は遅くする兆候を示す可能性がある。幾つかの例においては、光学部に入った光が網膜の上に正しく焦点を結んでいるので使用者の視覚に悪影響を及ぼすことはなく、そのような周辺近視の刺激は、目の成長を変化させるようなより強い刺激を与えることができる。幾つかの例においては、そのような刺激は眼軸長34が長すぎることを示唆しているので、再指向された光線26、28、30を網膜24の周辺領域32の手前で集束するように指向させることが近視の症例を手当てするのに望ましい可能性がある。
【0060】
図3は本開示の原理による、光を目12の中に指向させる眼用レンズ10の一つの実施形態の断面図である。この例において、特徴部36は光を網膜の周辺領域32に指向させるが、当該指向された光の焦点25は網膜24の後ろに形成される。従って、特徴部36によって指向された光線26、28、30は周辺遠視(peripheral hyperopic)状態の原因となる。そのような刺激は、目12の軸方向成長を増加する兆候を示す可能性がある。幾つかの例においては、そのような周辺遠視の刺激は、目の成長率を変化させるような刺激を与えることができる。幾つかの例において、そのような刺激は眼軸長34が短すぎることを示唆しているので、指向された光線26、28、30を網膜24の周辺領域32の後ろで集束するように指向させることが遠視の症例を手当てするのに望ましい可能性がある。図2に示される実施形態と同様に、図3の望ましい刺激は光学部の外に与えられ、使用者の直接の視体験は悪影響を受けない。
【0061】
図1~3は網膜24を基準にした3次元空間の中に、再指向された光を集束することに関連して説明されてきたが、特徴部36は再指向された光を何らかの適切な理由で目12の硝子体腔(vitreous chamber)40の周辺空間の中に指向させてもよい。例えば、光を予め焦点を定めずに周辺空間の中に指向させてもよい。他の例において、図1-3で説明されている通り、光は所定の焦点で周辺空間の中に向けられる。幾つかの例においては、光は近視及び遠視以外の状態を手当てするために硝子体腔40の周辺空間の中に送ることができる。例えば、他の状態を手当てするために、娯楽としての用途のために、目に埋め込まれた機器との通信のために、その他の用途のために、又はそれらの組み合わせのために、光は周辺空間に向けられてもよい。
【0062】
更に、図1~3は図示のために光を網膜の限られた領域に指向させている限られた数の特徴部とともに描かれている。複数の独立した特徴部は網膜の複数の領域に光を集束させることができる。独立した特徴部のそれぞれは、目の特定の状況に合わせて作ることができる。例えば、特徴部の幾つかは程度の異なる合焦能力、屈折特性、形状、大きさ、材料、厚さ、その他の物理的特性、他の化学的特性、その他の特性、又はそれらの組み合わせを含むことができる。同一の眼用レンズの異なる光学的な特徴部が、独立して光を網膜の手間、網膜の上、網膜の後ろに集束させてもよい。他の例において、網膜の異なる領域は、相互に異なる強さの再指向された光を受ける。
【0063】
幾つかの例において、特徴部は再指向された光の波長が分離されないように構成されている。言い換えると、特徴部は可視光線のスペクトルに含まれる全ての波長を指向させる。その一方、幾つかの例においては、特徴部は選択された光の波長のみを網膜の周辺領域へ再指向させるように構成されていてもよい。
【0064】
図4A~9は、特徴部36を有する眼用レンズ10を作るある種の例において使用することのできる種々の構成要素を示す。目下の代表的なシステム及び方法は、主として射出成形のスピンキャスト型42で形成されたスピンキャストのコンタクトレンズとの関連で以下に記載されるが、目下のシステム及び方法は、スピンキャスト法、注型成形法及び/又はターニング法で製造されるレンズにも又同様に適用することができる。
【0065】
スピンキャストのコンタクトレンズに関して、レンズの前方の表面にある特徴部は一般的にレンズの製造に使用される型の中に設計される。図4Aは本開示の原理による、眼用レンズ10の製造のための型42を作る一つの実施形態の断面図である。この例において、射出成形工程が型42を形成するために使用される。図示の通り、一般的な射出成形機を型42を形成するために使用することができる。具体的には、型の材料が漏斗を通ってシリンダー152に供給される。シリンダー152はスクリュー154又は成形材料をシリンダー152の長手方向に移動させるように構成された他の形式の機構を含むことができる。更に、成形材料がシリンダー152を通り抜けるときに、成形材料を融解させるか又は少なくとも軟化させるために加熱装置156がシリンダーに利用される。シリンダー152のノズル158において、第1の部分162と第2の部分164とが合わさって形成された空洞160の中に成形材料が押し出される。
【0066】
図4A及び4Bに図示する通り、空洞160は、それぞれ相互に整列した雄型工具48と雌型工具47を含む。空洞160に入る成形材料の押し出し圧力は、成形材料が雄型工具48と雌型工具47との間の空間を含む空洞160の中の何もない空間の全てを満たすようにさせる。雄型工具48と雌型工具47の形状が、結果として生じる眼用レンズ10をスピンキャストするためのスピンキャスティング型に転写される。図4B及び5に示す通り、スピンキャスティング型42の雄型工具48は、特徴部36の所望の形状及び大きさに類似の突起部49を含むことができる。
【0067】
所望の光学特性を有する特徴部36を生成するために、目下の代表的なシステム及び方法に従って製造される最終的な眼用レンズに望まれる特徴部と一致するように、雄型工具48は精密に加工される。雄型工具を形成するために、何ら限定するわけではないが、DAC眼科用旋盤、Optoform眼科用旋盤、FTSツーリング、5軸ダイヤモンドミリング加工機、3次元ナノプリンティング、ナノリソグラフィー、溶融堆積などを含む幾つもの精密な機械加工及び成形の方法を使用することができる。成形材料が空洞160の中で硬化するのに十分な時間を経過した後、第1の部分162と第2の部分164は分離され、型が突き出しピン166によって取り外される。
【0068】
液体レンズ材料52を雄型工具48によって形成されたスピンキャスティング型42の輪郭部54に塗りつけることができる。液体レンズ材料52の入ったスピンキャスティング型42は、液体レンズ材料52が、所望の眼用レンズの形に輪郭54の凹部55を満たすことを含めて、輪郭の全域にわたって遠心力で広がるように、スピンキャスティング型42を回転するように構成された回転構造体68又は回転管に装着することができる。スピンキャスティング型42が回転している間に液体レンズ材料52を硬化作用因子(すなわち、温度、化学線、又はその他の種類の硬化作用因子)に晒す。その結果、液体レンズ材料52は、眼用レンズの前方の表面38に形成された特徴部36を有する眼用レンズ10を形成する。
【0069】
図6は本開示の原理による、眼用レンズのためのスピンキャスティング型の一つの実施形態の断面図である。この例において、スピンキャスティング型42は、回転及び硬化の行程中に型と型の間を不活性ガスが通過することを可能にするように構成された複数の切り欠き58、60、62を有する基台56を有する。スピンキャスティング型42の輪郭54は眼用レンズ10の前方の表面を形成するように形作られている。輪郭54に形成された凹部55は雌型工具46に形成された突起部に対応する。
【0070】
図7は本開示の原理による、スピンキャスティング型12を液状レンズ材料52と共に示す一つの実施形態の断面図である。この例において、液状レンズ材料52はスピンキャスティング型の輪郭54の中に留まっている。
【0071】
液体レンズ材料52はコンタクトレンズに使用するのに適した任意の材料で作ることができる。例えば、液体レンズ材料52は、任意のシリコーン材及び/又はヒドロゲル材で作られていてもよい。それらの材料は例えば、テフイルコン(tefilcon)、テトラフイルコン(tetrafilcon)A、クロフイルコン(crofilcon)、ヘルフイルコン(helfilcon)A及びB、マフイルコン(mafilcon)、ポリマコン(polymacon)、ヒオキシフィルコン(hioxifilcon)B、ロトラフィルコン(lotrafilcon)A、ロトラフィルコン(lotrafilcon)B、ガリフィルコン(galyfilcon)A、セノフィルコン(senofilcon)A、シフィルコン(sifilcon)A、コムフィルコン(comfilcon)A、エンフィルコン(enfilcon)A、リドフィルコン(lidofilcon)B、サーフィルコン(surfilcon)A、リドフィルコン(lidofilcon)A、アルファフィルコン(alfafilcon)A、オマフィルコン(omafilcon)A、バサーフィルコン(vasurfilcon)A、ヒオキシフィルコンA、ヒオキシフィルコンD、ネルフィルコン(nelfilcon)A、ヒラフィルコン(hilafilcon)A、アコフィルコン(acofilcon)A、ブフィルコン(bufilcon)A、デルタフィルコン(deltafilcon)A、フェムフィルコン(phemfilcon)A、ブフィルコンA、パーフィルコン(perfilcon)、エタフィルコン(etafilcon)A、フォコフィルコン(focofilcon)A、オキュフィルコン(ocufilcon)B、オキュフィルコンC、オキュフィルコンD、オキュフィルコンE、オキュフィルコンF、フェムフィルコン(phemfilcon)A、メタフィルコン(methafilcon)A、メタフィルコンB、ビルフィルコン(vilfilcon)A、他の型のポリマー、モノマー、又はそれらの組み合わせなど、ポリマーから形成することができる。これらの材料は、モノマー、ポリマー及び液体レンズを作るための他の材料の種々の組み合わせを含んでいてもよい。
【0072】
一つの実施形態においては、液体レンズ材料はいかなるシリコーンも含まないヒドロゲルポリマーで作られている。このことは眼用レンズの湿潤性を増すために望ましい。他の実施形態においては、液体レンズ材料はシリコーンヒドロゲル材で作られている。
【0073】
眼用レンズ10は、使用者の目の大きさ及び眼用レンズの光学部によって達成しなければならない種々の光学特性を含む様々な要因に基づいて形状及び寸法にすることができる。眼用レンズ10の全厚さは約0.1mmから約0.14mmとすることができる。眼用レンズ10の厚さは、眼用レンズ10の異なる場所において徐々に変化することができる。例えば、眼用レンズ10は、光学部におけるよりも眼用レンズ10の外縁の近くで厚くてもよい。また一方で、特徴部36は眼用レンズ10の断面の厚さを、眼用レンズ10の前方の表面38にわたって独立した場所で急に変化するようにさせることができる。
【0074】
図8は本開示の原理による、液状レンズ材料52がスピンキャスティング型42の輪郭54の全域にわたって遠心力で広がった状態のスピンキャスティング型42を示す一つの実施形態の断面図である。この例において、スピンキャスティング型42は回転構造体(68、図9)又は回転管の中心軸線66の周りで回転される。回転構造体68はある速度で、眼用レンズ10の所望の後部の表面70を形成するように回転される。
【0075】
図9に示された回転構造体68は、液体レンズ材料52を収容しているスピンキャスティング型42を受け入れるように構成された中央の装着領域72を含む。中央の装着領域72はガラス管、金属管、又はスピンキャスティング型42を積み重ねられた方向に保持することのできる別の種類の構造体で形成することができる。化学線が硬化作用因子として使用される例において、回転構造体68は中央の装着領域72の中に化学線を入れるのに十分な開口を含む不透明材料である。図の例において、回転構造体68はスピンキャスティング型42を積み重ねられた方向で保持しているガラス製側壁74を含む。回転構造体68は又、モーターなど回転駆動体に取り付けるのに使用することのできる領域76も含んでいる。
【0076】
回転構造体68は、眼用レンズ10の、目に接触することを目的とする眼用レンズの表面である、所望の後部の表面70を形成するように正確に回転するようにプログラムされる。回転構造体68を回転させるプログラムは、個別の処方箋に合わせて望ましい輪郭を作り出すために修正することができる。硬化作用因子は回転構造体68がスピンキャスティング型42を回転させている間に液体レンズ材料52に適用される。その結果、回転構造体が回転している間に眼用レンズ10が形成される。幾つかの例において、眼用レンズは回転構造体の中で完全に硬化する。その一方、他の例においては、眼用レンズ10は多数の硬化段階の間に完全に硬化するかもしれない。例えば、眼用レンズは、液体レンズ材料52がそれ自体の形状を保持はするものの完全には硬化していないという程度まで回転構造体68の中で硬化してもよい。この段階で、より費用効率が高い環境の中で硬化を完了するために、スピンキャスティング型は眼用レンズと共に回転構造体から外されてもよい。ここに記載される原理と互換性がある回転構造体は、ステファン ディー. ニューマン(Stephen D. Newman)に交付された米国特許出願公開第2012/0133064号に記載されている。米国特許出願公開第2012/0133064号は記載された全体を参照することによってここに組み入れる。
【0077】
図10は本開示の原理による、眼用レンズを作る方法78の一つの実施形態のブロック線図である。この例において、方法78は、型材の第一の面に輪郭であって、当該輪郭が光学的特徴部の少なくとも一つの陰画(negative)を含む、輪郭を形成することによって、レンズと一致する表面を有する型を形成することを含む(ステップ80)。一つの代表的な実施形態においては、図4A-5を参照して記載された通り、輪郭は雌型工具48を用いて射出成形することができる。この方法は又、レンズ材料を型の第一の側に塗布すること(ステップ82)と、液状レンズ材料が、スピンキャスティング型の第1の側の全域にわたって遠心力で流れて輪郭に形成された光学的特徴部の少なくとも一つの陰画を満たすように、スピンキャスティング型を回転させること(ステップ84)を含む。液体レンズ材料は次いで、スピンキャスティング型の中で回転している間に、少なくとも一つの凹部によって形成された少なくとも一つの突起部を備える眼用レンズを形成するように、少なくとも一部分が硬化される(ステップ86)。光学的特徴部は、目に装着されたとき光を目の硝子体腔の周辺空間の中に周辺網膜に向けて再指向させる任意の特徴部であってもよい。
【0078】
上記の図4A~10を参照して記載された例は、特に眼用レンズの前方の表面に特徴部を作るために突起部を形成することに関連して記載したが、眼用レンズ及びそれに関連する特徴部を形成するための任意の適切な方法を、本開示に記載された原理に従って使用してもよい。例えば、液体レンズ材料を塗布するのに先立って突起部を形成するために、スピンキャスティング型の凹部の中だけに別の材料を塗布して硬化してもよい。そのような例においては、突起部がレンズ本体の残りの部分とは異なる材料で形成される。後の硬化工程の間に、そのような突起部はレンズ本体の残りの部分と接合される。更に、突起部は回転工程の外で形成されてから、眼用レンズ本体の硬化工程、接合工程を使って、又はコンタクトレンズに光学的特徴部を付加するための任意の適切な工程を使って接合されてもよい。
【0079】
更に別な例においては、特徴部はレンズ本体上に配置される。そのような例が図11に示されている。この例において方法88は、眼用レンズであって、光学材料を当該眼用レンズの支持面上に配置させるステップ90を含んでおり、眼用レンズは使用者の目に装着されたとき光を網膜の中央領域の中心焦点に向かって指向させるように形作られた光学部を含み、配置された光学材料は眼用レンズが目に装着されたとき周辺光を選択的に網膜の中央領域から離して目の中に指向させる特性を有する。
【0080】
そのような例において、光学材料はレンズ本体と同じ材料で作られていてもよく、又は光学材料は異なる屈折率の異なる種類の材料で作られていてもよい。いずれの場合も、特徴部は光を網膜の周辺領域へ向けて指向させる。特徴部は印刷法の使用によってレンズ本体の前側、後側又は中間の面に配置させることができる。そのような印刷法は、パッド印刷法、銅板印刷法、食刻印刷法、ドットマトリックス印刷法、昇華法及びキャリアシート(レーザー印刷)法、後続のレーザー処理を受ける感光性要素を使用する方法、他の種類の印刷法又はそれらの組み合わせを含むがこれに限定されるものではない。
【0081】
一つの実施形態において、印刷方法はタンプ印刷法である。タンプ印刷法はレーザーエッチングされたパッドを、特徴部を眼用レンズに形成するための材料を転写するために使用する方法であるパッド印刷の一つの方法を含む。当該パッドは、眼用レンズを押し付ける前に毎回材料溜を押し付ける。このやり方で印刷することができる装置はTAMPOPRINT AG社から入手可能で、同社の本社はドイツのコーンタール・ミュンヒンゲン(Korntal-Munchingen)に所在する。
【0082】
別の実施形態においては、そのような材料は液体ジェット印刷システムを使って眼用レンズに印刷することができる。一つの実施形態において、材料は圧力式インクジェットカートリッジ、サーマルインクジェットカートリッジ、別の種類インクカートリッジ又はそれらの組み合わせから噴射することができる、液体の特性を有している。
【0083】
図12は本開示の原理による、軸外の光を網膜の周辺領域へ指向させるための特徴形状36を有する眼用レンズ10の一つの実施形態の斜視図である。この例において、眼用レンズ10は光学部20及び非光学領域92を含む。特徴部36は非光学領域に形成されている。図13~14は六角形に形成された特徴部36を示す。
【0084】
図12に示すように、光学部20は中心光96を、光学部を通過させて眼用レンズ10が装着されている目の網膜24の中央部22に集束させるように構成されている。光学部20は目の瞳孔の前に位置している。多くの場合、非光学領域92は光学部20を取り囲んで眼用レンズ10の残余となっている。この非光学領域92は目の光彩と、幾つかの場合には結膜及び強膜も覆うように位置することができる。慣習上、眼用レンズ10の非光学領域92を通過する光は、そのような光線が光彩や強膜のようには光が入ることを可能にしない領域に接触するはずであるため、目に入ることはない。しかしながら、昔ながらのレンズとは対照的に、眼用レンズ10に組み入れられた特徴部36は(もしそうでなければ目に入る軌道に乗るはずのない)周辺光線98を瞳孔に、意図的に、周辺光を網膜24の周辺領域32に向けて指向させる角度で、指向させる。
【0085】
目の中に再指向された周辺光98は、周辺光98が周辺視野を処理する網膜の周辺領域32に指向されるために、目の中心視に影響を与えない。その結果として、網膜4の周辺領域32に向けて再指向された周辺光98は、目に所望の刺激を与えるために意図的に焦点をぼかされる。例えば、再指向された周辺光98は網膜に正確に集束することができる。幾つかの場合に、そのような刺激は目の眼軸長が目の合焦能力に正しく比例していることを示すことができる。別な例では、再指向された光線98は網膜に達しないで集束する。幾つかの場合に、そのような刺激は目の眼軸長が目の合焦能力に対して長すぎることを示し、それによって目の軸方向成長を遅くするか又は止める。更に別な場合には、再指向された光線98が網膜の後ろで集束し、そのことは目の合焦能力に対して目の眼軸長が短すぎることを示す刺激を生成することができる。目の成長能力に応じて、目は当該刺激に基づいて、目の眼軸長と目の合焦能力との釣り合いを少なくとも部分的に改善する可能性がある。
【0086】
網膜24の周辺領域に再指向された光の量は、特徴部36の数、特徴部36の屈折率、特徴部36の形状、その他の因子、及びそれらの組み合わせに基づく。眼用レンズは目の状態に合わせてカスタマイズすることができる。例えば、専門家が強い刺激が望ましいと感じた場合、光をより多く再指向するためにより多くの特徴部36を眼用レンズに付加してもよく、又は選択された特徴部の合焦能力を高めてもよい。別な例において、一定の屈折率を有する材料又は別な形状の特徴部が、所定の強さの刺激を得るために使用されてもよい。同様に、別な目の状態に基づいて要求されるように、これらのパラメータが刺激の強さを弱めるために縮小されてもよい。
【0087】
特徴部の六角形94が、更に図13及び14に示されている。図示の通り、一つの代表的な実施形態において、六角形94は中央の面102に隣接する6面の連続する側面100を含むことができる。側面100は光線を目の硝子体腔の所望の部分に指向させるために正確に角度を決めることができる。六角形94の高さは側面100の望ましい角度に依存する。更に、側面100の角度は又、特徴部36の幅、長さ及びその他の寸法を決定する。特徴部の密度及び間隔は又、所望の刺激の強さによって決定することができる。側面100同士の接合部及び、側面100と中央の面102との接合部は、所望の光学特性を備えるため又は製造の便宜のために、丸みを帯びていても、面取りしてあっても、尖っていても、又は別な曲線を付けられていてもよい。
【0088】
この例は六角形94を備えた特徴部36に関連して記載されたが、ここに記載された原理に従って任意の適切な形状を使用してもよい。例えば、図15‐18は、網膜24の周辺領域32に向けて光を再指向させるのに使用することのできる、別な形状の特徴部の配列を図示している。図15の例において、特徴部はダイヤモンド形状104を含む。図16の例において、特徴部は三角形106を含む。図17の例において、特徴部は円形状108を含む。図18は非光学部110の大部分を取り囲む単一の特徴部36を図示している。この例において、当該形状部は眼用レンズの前側の面38又はレンズの中間層に配置されたか他の方法で形成されたリングであってもよい。そのような例において、固体形状110を有する特徴部36を形成するのに用いられる材料は、そのような眼用レンズ10を装着した目が特徴部36の目の色を有しているように見えるようにさせる染料、顔料、別な種類の着色剤を含んでいてもよい。そのような眼用レンズ10は、自分の目の色を変えたいと望む人々に装着されるかもしれない。
【0089】
図19‐21は本開示に記載された原理による、特徴部36の種々の断面図を示す。例えば、図19は眼用レンズの前側表面38上に配置された特徴部36を開示している。この例において、配置された特徴部36の材料とレンズ本体114との間に接合部分112がある。配置された材料は、レンズ本体114に付着する特性を有していてもよい。そのような特性は静電引力、接着成分、ポリマーの架橋結合、他の種類の特性、又はそれらの組み合わせを含んでいてもよい。そのような特徴部は図11と関連して記載された工程により作製することができる。
【0090】
図20はレンズ本体114と一体的に形成された特徴部36を図示する。そのような特徴部は、図4A~10と関連して記載された工程により作製することができる。そのような例において、眼用レンズ10断面の厚さ113は眼用レンズの孤立した場所111において増加している。図21は複合レンズの中に形成された中間層のために、前側表面38の緩やかな曲線の中の孤立した変化を含んでいる。図21に示す通り、複合レンズは前側表面38、特徴部36を含む中間層115、及び後側表面70を形成する後層を含んで描画されている。複数の層を含む複合レンズの更なる詳細は図22‐31と関連して以下で示される。
【0091】
図22は本開示に記載された原理による、網膜の周辺領域に向けて光を指向するための特徴部36を備えた複合レンズ本体114の複数の層の分解斜視図である。この例において、レンズ本体114は前層116、中間層118及び後層120を含む。中間層118は光を再指向するための特徴部36を含むことができる。そのような特徴部36は中間層118の上に配置されるか、又は中間層と一体的に形成することができる。各層116、118、120はそれぞれ相互に架橋結合することができる。幾つかの例において、中間層118は、特徴部36を形成するか否かにかかわらず、明らかな光彩の色の変化など、目に異なった外見を持たせるための色彩強調材料を含んでもよい。
【0092】
代表的な実施形態によれば、前層116は、何ら限定するものではないが、スピンキャスト法、注型成形法及び/又はターニング法を含む任意の適切なコンタクトレンズ製造工程を用いて形成することができる。一つの実施形態において、第一のレンズ層は型と回転及び硬化技術を使用して形成される。第一のレンズの層を形成するために液体高分子材料の一部が型に注入され、回転され、そして硬化される。中間層の挿入の前に第一のレンズの層が完全に硬化しないようにするために、回転及び硬化のステップは不完全であってもよい。
【0093】
第一のレンズの層を形成するために使用される型は、コンタクトレンズの形成に使用するのに適した任意の型であってもよい。一つの実施形態において、最終的なコンタクトレンズに所望の光学特性を付与するために、型はレーザーエッチングされる。型は、最終的なコンタクトレンズ製品の所望の光学特性を得るために、種々の方法のいずれかで設計され形成してもよい。更に、型に注入される液体高分子材料の量は概して限定されず、厚さや種々の光学特性などの物理的性質を含むコンタクトレンズの所望の最終的な特性に基づいて調整することができる。
【0094】
前層116を形成するために用いられる高分子材料は上述の何れの材料であってもよい。一つの実施形態において、第一のレンズの層を形成するのに用いられる高分子材料は、少なくとも実質的に完全にHEMA‐GMAなどのヒドロゲルポリマーである。他の実施形態において高分子材料はシリコーンヒドロゲル材料を含んでもよい。
【0095】
回転及び硬化のステップは、コンタクトレンズの所望の最終的な特性に基づいて、前層116の形成の間に変更してもよい。例えば、第一のレンズの層を、中間層118及び後層120を支持することができるように十分に硬化させることが概して望ましいが、中間層及び後層が付加されたとき十分に接合することができないため、硬化しすぎるのはよくない。
【0096】
一つの代表的な実施形態において、中間層118は、所望の特徴部36を含めて単独に形成されて、型の中に前層116の上に挿入される。この代表的な実施形態によれば、中間層118は前層116に隣接して配置されて、後層120を形成するために追加の高分子材料の封入とその後の回転及び硬化の工程が続く。あるいは、部分硬化の後、所望の特徴部36が部分硬化した前層116の後ろにその場で形成され、高分子材料の二次的な投入と後層120の形成が続く。特徴部は、何ら限定するものではないが、スタンピング、エッチング、材料追加工程、又はパッド印刷法、タンプ印刷法、銅板印刷法、食刻印刷法、ドットマトリックス印刷法、液体噴射印刷法、昇華法及びキャリアシート(レーザー印刷)法、及び後続のレーザー処理を受ける感光性要素を使用する方法など、コンタクトレンズへの印刷への使用に適した任意の印刷法を含む幾つもの形成方法を用いて、前層の後面に形成することができる。
【0097】
一つの実施形態において、同一の型が前層116、中間層118及び後層120の形成に使用される。代わりに、別個の型を一つ又は複数の層を形成するのに使用してもよい。型はコンタクトレンズの形成において好適な型であれば何でも使用することができる。
【0098】
図23は本開示の原理による、光を網膜の周辺領域へ指向させるための特徴部36を有するレンズ本体114の前層116を含む、組み立てられた複合コンタクトレンズの斜視図である。この例において、層116は印刷、型押し、又はスタンピング(stamping)の後に前層116の後側表面70に組み入れられた特徴部を含む。そのような例において、後層120は前層116に接合することができる。他の例では、後層120が前側表面38に形成された特徴部36を有して、特徴部36が前層116と後層120の間にあるように、前層116が後層120の前側表面38を覆って位置してもよい。
【0099】
図24~26は複合レンズに中間層を組み込むことによって完成することのできる、設計の融通性を図示する。図24に示すように、例えば中央の面102及び側面100を含む六角形94を有する複数の小型レンズの特徴部36が、複合レンズの中間層の非光学部に形成されている。図示の通り、三次元(3D)ナノプリンティング及びナノリソグラフィーなどの精密工具作製技法は、精密な設計及び中間層へ小型レンズの特徴部36を配列することを可能にする。図24に示す通り、小型レンズの特徴部36は1~4の範囲に広がる能力を有する。一つの代表的な実施形態によれば、小型レンズの特徴部36によって表される能力の領域は所定の能力の範囲の中で無作為であっても、又は明確に希望する効果のために連続的に設計されてもよい。図25は本開示の原理による能力が一様でない小型レンズの特徴部36を有するレンズ本体全体の斜視図である。同様に、図26はより密集した群の六角形94と仮定した小型レンズの特徴部36を示す。図26に示す通り、本システム及び方法は、所望の処置のためのレンズを設計する際に高水準の精密さと融通性をもたらす。
【0100】
図27は本開示の原理による、さまざまな焦点及び強さで光を目の中に指向させる眼用レンズの断面図である。図27に示す通り、高精度の製造技術及び六角形の小型レンズの特徴部36を用いることにより、単一のレンズで種々の焦点位置と強さを有する光を生成することができる。図示の通り、複数の六角形の小型レンズの特徴部36を含む眼用レンズ10は、異なる焦点271を有する光を網膜の周辺領域に指向させることができる。図示の通り、眼用レンズ10は明瞭な中心視を実現するためにレンズの光学部を通過する中心光96を網膜24の中央領域22に向けて適正に集束するように構成されている。更に、平行光270及び周辺光272は六角形の小型レンズの特徴部36を通過して網膜の周辺領域に進む。個々の六角形の小型レンズの特徴部36の焦点を変えることにより、異なる強さの光276、277、278が網膜の周辺領域に達する。その結果として、光学レンズは所望の異なる刺激を網膜の周辺領域に誘発することができる。
【0101】
上述の中間レンズは、周辺光の選択的集束のための六角形の小型レンズの特徴部36を有しているとして説明されたが、目下の代表的なシステム及び方法に従って幾つものレンズ及び小型レンズの形状を使用してもよい。図28に示す通り、レンズ本体は眼用レンズ10の前側表面に形成された複数の半球形小型レンズの特徴部36を含むことができる。上述の通り、眼用レンズ10の前側表面は、スピンキャスト用レンズ型の精密注型成形法によりそのような小型レンズを含むように選択的に修正することができる。一つの代表的な実施形態によれば、小型レンズの特徴部36は、それらが疑似視覚シェル(pseudo vision shell)を網膜の手間に形成するために、同様の能力及びプリズムを備えるように設計されている。代わりに、小型レンズの特徴部36は、選択的に網膜の周辺領域に達する光の強さを変えるために、異なる能力及びプリズムを備えてもよい。
【0102】
代わりに、周辺光を網膜の周辺領域に選択的に指向させるためにフレネル型の部分(sections)を使用することができる。図29~31に示す通り、フレネル型レンズ290は、フレネルプリズム292が形成されている、眼用レンズ10の少なくとも一つの層を含む。一つの代表的な実施形態によれば、フレネルプリズム292を使用することによって、上述のような周辺光を再指向する眼用レンズの製造を、削減された材料の質量と体積で可能にする。
【0103】
図30は本開示の原理による、内部フレネル型レンズ(inner Fresnel type lens)の背面図である。図示の通り、フレネル型レンズ290は明瞭な中心視を実現するためにレンズの光学部20を通過する中心光96を網膜24の中央領域22に向けて適正に集束するように構成することができる。更に、多数のフレネルプリズム292が、眼用レンズ10の光学部20の外側において非光学領域92に形成されてもよい。図示した実施形態によれば、当該レンズは一つおきにフレネルプリズム292を含む八分円を備える八分円に分割されている。結果的にフレネルプリズム292は網膜の周辺領域に高水準の所望の異なる刺激を与えるように設計することができる。
【0104】
同様に、目下の代表的なシステム及び方法は、円環体レンズに組み入れることができる。例えば、図31は本開示の原理による、内部フレネル型円環体レンズの背面図である。図示の通り、内部フレネルプリズム292は円環体レンズの標準的な方向に対応した3分の1ずつに配置されている。
【0105】
上記の例は、特定の形式の眼用レンズに関連して説明されたが、特徴部の形、特徴部の材料、層及びその他のパラメータ、任意の適切なパラメータが、本開示の原理に従ってレンズに組み入れられてもよい。従って、任意の数の特徴部、形状、又は層が本開示の原理に従って用いられてもよい。更に、異なる光学的屈折特性を備えた複数のタイプの材料が特徴部を作るのに用いられてもよい。更に、特徴部は、最適な接合、間隔、接着、光学、又はその他のタイプの特性を得るための材料で作られてもよい。
【0106】
特許請求の範囲の中に記載されている用語は、広く使用されている一般辞書及び/又は関連技術辞書の中の関連項目を参照することによって判断されるそれらの通常且つ慣用の意味、当業者によって一般に理解されている意味、など、を与えられるべきであり、理解しておきたいこととして、これらの出典の何れか1つ又は何れかの組合せによって付与される最も広範な意味が特許請求の範囲の用語に与えられるべき(例えば、2つ又はそれ以上の関連辞書項目を組み合わせて項目の組合せの最も広範な意味が提供されるようにすべき、など)ものとするが、但し、(a)用語がその通常且つ慣用の意味より拡張的な使われ方をしている場合、当該要素はその通常且つ慣用の意味に当該追加の拡張的な意味を足した意味を与えられるものとすること、又は(b)「ここでの使用に際し~を意味するものとする」という語句若しくは同様の言い回し(例えば、「ここでは本用語は~を意味する」、「ここで定義されている様に」、「本開示の解釈上、本用語は~を意味するものとする」、など)を後に続けて用語を記載することによって用語が異なる意味を持つことを明示的に定義されていた場合、は例外とされることを条件とする。
【0107】
具体例への言及、「即ち」の使用、「発明」という語の使用、などは、例外(b)を発動しようとするものでもなければ、叙述されている特許請求の範囲の用語の範囲を制限しようとするものでもない。例外(b)が適用される状況以外、特許範囲の否認又は否定と見なされるべきものは何一つここには含まれていない。
【0108】
特許請求の範囲に記載されている主題は、ここに示されている何れかの特定の実施形態、特徴、又は特徴の組合せと同一の広がりを有しているわけではなく、それらと同一の広がりを有するものと解釈されてはならない。このことは、当該特定の特徴又は特徴の組合せから成る単一の実施形態しかここに示され説明されていないとしても当て嵌まる。従って、付随の特許請求の範囲は、先行技術及び特許請求の範囲の用語の意味に照らしそれらの最も広範な解釈を与えられるべきである。
【0109】
ここで使用されているように、「左」、「右」、「前」、「後」、などの様な空間又は方向を表す用語は、図面に示されている状態での主題に関する。但し、説明されている主題は様々な配置向きを取ることができ、従ってその様な用語は限定を課すものと考えられてはならないことを理解されたい。
【0110】
英語の冠詞「the」、「a」、又は「an」の対訳である「当該」、「或る」、又は「一」は、単数又は複数を暗示し得る。更に、「又は」という語は、先行詞である「どちらか」(又は、「又は」が排他的であることを明確に意味している旨を示唆する他の同様の言い回し―例えば、x又はyの一方のみ、など)無しに使用されている場合は、包含的である(例えば、「x又はy」はx又はyの一方又は両方を意味する)と解釈されるべきである。
【0111】
「及び/又は」という用語も包含的である(例えば、「x及び/又はy」はx又はyの一方又は両方を意味する)と解釈されるべきである。「及び/又は」又は「又は」が3つ又はそれ以上の品目から成る群について接続詞として使用されている状況では、当該群は、1つの品目を単独で含んでいる、それら品目全てを纏めて含んでいる、又はそれら品目の任意の組合せ又はそれら品目のうちの任意の数の品目を含んでいる、と解釈されるべきである。また、明細書及び特許請求の範囲の中で使用されている「有する」、「有している」、「含む」、及び「含んでいる」の様な用語は、「備える」及び「備えている」という用語と同義であると見なすものとする。
【0112】
別段の指示がない限り、本明細書(特許請求の範囲以外)の中で使用されている寸法、物理的特性、など、を表している様な全ての数及び表現は、どんな場合も「大凡」という用語によって修飾されているものと理解している。最低限として、また特許請求の範囲と同等の教義の出願を制限しようとしてではなしに、本明細書又は特許請求の範囲の中に「大凡」という用語によって修飾されて叙述されている各数的パラメータは、少なくとも叙述されている有効桁数に照らし又は通常の丸め技法を適用することによって解釈されるべきである。
【0113】
ここに開示されている全ての範囲は、その中のありとあらゆる部分的範囲又はその中に包摂されるありとあらゆる個別値を網羅するものであって、特許請求の範囲が当該部分的範囲又は個別値を叙述しているものとして支援を提供するものであると理解されたい。例えば、1から10という記載範囲は、最小値1と最大値10の間の及び/又はそれらを包含するありとあらゆる部分的範囲又は個別値、即ち最小値1以上で始まり最大値10以下で終わっている全ての部分的範囲(例えば、5.5から10、2.34から3.56、など)又は1から10までの任意の値(例えば、3、5.8、9.9994、など)を含むものであって、特許請求の範囲が当該部分的範囲又は個別値を叙述しているものとして支援を提供するものであると考えられるべきである。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
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図8
図9
図10
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