IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エフ ホフマン−ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフトの特許一覧

特許7106615体外診断システム用のデータキャリアを備えたサンプル容器キャリア
<>
  • 特許-体外診断システム用のデータキャリアを備えたサンプル容器キャリア 図1
  • 特許-体外診断システム用のデータキャリアを備えたサンプル容器キャリア 図2
  • 特許-体外診断システム用のデータキャリアを備えたサンプル容器キャリア 図3
  • 特許-体外診断システム用のデータキャリアを備えたサンプル容器キャリア 図4
  • 特許-体外診断システム用のデータキャリアを備えたサンプル容器キャリア 図5
  • 特許-体外診断システム用のデータキャリアを備えたサンプル容器キャリア 図6
  • 特許-体外診断システム用のデータキャリアを備えたサンプル容器キャリア 図7
  • 特許-体外診断システム用のデータキャリアを備えたサンプル容器キャリア 図8
  • 特許-体外診断システム用のデータキャリアを備えたサンプル容器キャリア 図9
  • 特許-体外診断システム用のデータキャリアを備えたサンプル容器キャリア 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-15
(45)【発行日】2022-07-26
(54)【発明の名称】体外診断システム用のデータキャリアを備えたサンプル容器キャリア
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/04 20060101AFI20220719BHJP
   G01N 35/02 20060101ALI20220719BHJP
【FI】
G01N35/04 G
G01N35/02 C
【請求項の数】 19
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020178197
(22)【出願日】2020-10-23
(65)【公開番号】P2021067693
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2020-11-17
(31)【優先権主張番号】19204997.1
(32)【優先日】2019-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】501205108
【氏名又は名称】エフ ホフマン-ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】特許業務法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リッカルド ベネデッティ
【審査官】岡村 典子
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-354333(JP,A)
【文献】特開2019-158875(JP,A)
【文献】特開2007-156953(JP,A)
【文献】国際公開第2010/086596(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/099647(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00-35/10
G01N 1/00-1/44
H01Q 1/00-1/10,1/27-1/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
体外診断システムの自動化トラックに沿ってサンプル容器(18)を運ぶためのサンプル容器キャリア(1)であって、
サンプル容器(18)を受け入れ、保持するための保持部(3)であって、前記保持部(3)が、前記サンプル容器キャリア(1)の上部(7)を画定する、保持部(3)と、
前記保持部(3)を支持し、前記サンプル容器キャリア(1)の底部(6)を画定する基部(2)であって、前記基部(2)が、磁力によって搬送面(21)内の搬送レーン(22)に沿って前記サンプル容器キャリア(1)を移動させるために、自動化トラックの搬送機構(20)の電磁装置によって生成される動的磁場と相互作用するように構成された金属材料または永久磁石を備える、基部(2)と、
識別電子情報を含むデータキャリア(5)であって、前記データキャリアが、前記識別電子情報を読み取るために前記体外診断システムの読み取り装置との無線データ通信のためのアンテナ(12)を備え、前記データキャリアが、前記サンプル容器キャリア(1)の上部(7)に隣接して、かつ、前記基部(2)から離間して、前記保持部(3)上に配置され、前記アンテナ(12)が、前記保持部(3)の外周に沿った方向に延在する、データキャリア(5)と
を備えるサンプル容器キャリア。
【請求項2】
前記アンテナ(12)が前記保持部(3)の前記外周に沿って延在する前記方向が、前記サンプル容器キャリア(1)の底部(6)によって画定される平面に平行な平面内に延びる、請求項1記載のサンプル容器キャリア。
【請求項3】
前記保持部(3)が、サンプル容器(18)を受け入れ、保持するためのホルダ(4)を備え、前記ホルダ(4)は、前記ホルダ(4)に受け入れられるサンプル容器(18)から半径方向に前記データキャリア(5)が離間するように、前記保持部(3)の中心に配置される、請求項1または2記載のサンプル容器キャリア。
【請求項4】
前記保持部(3)は、前記アンテナ(12)が前記保持部(3)の外周面(8)によって画定される円形平面に配置されるように、円筒形を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載のサンプル容器キャリア。
【請求項5】
前記データキャリア(5)が、前記識別電子情報を記憶した集積回路(IC)(11)を含み、前記アンテナ(12)が、第1の自由端(14)を有する第1の部分(13)、および第2の自由端(16)を有する第2の部分(15)を備え、前記第1および第2の部分(13、15)が、前記データキャリア(5)の前記IC(11)から離れる方向に延在する、請求項1~4のいずれか1項に記載のサンプル容器キャリア。
【請求項6】
前記第1および第2の自由端(14、16)が、ギャップ(10)によって離間して互いに向き合うように、前記データキャリア(5)が、前記保持部(3)の前記外周に沿って、外周長さの少なくとも90%だけ延在する、請求項5記載のサンプル容器キャリア。
【請求項7】
前記第1および第2の自由端(14、16)が、ギャップ(10)によって離間して互いに向き合うように、前記データキャリア(5)が、前記保持部(3)の前記外周に沿って、外周長さの少なくとも95%だけ延在する、請求項5記載のサンプル容器キャリア。
【請求項8】
前記第1および第2の自由端(14、16)が、ギャップ(10)によって離間して互いに向き合うように、前記データキャリア(5)が、前記保持部(3)の前記外周に沿って、外周長さの99%だけ延在する、請求項5記載のサンプル容器キャリア。
【請求項9】
前記データキャリア(5)の前記アンテナ(12)が、ダイポールアンテナを備える、請求項1~8のいずれか1項に記載のサンプル容器キャリア。
【請求項10】
前記データキャリア(5)が、前記識別電子情報を記憶した集積回路(IC)(11)を含み、前記アンテナが、閉ループで前記IC(11)から延びる中央部分(17)をさらに備える、請求項1~9のいずれか1項に記載のサンプル容器キャリア。
【請求項11】
前記データキャリア(5)が配置される前記保持部(3)の少なくとも一部が非金属材料で形成される、請求項1~10のいずれか1項に記載のサンプル容器キャリア。
【請求項12】
体外診断システムのための装置であって、
請求項1~11のいずれか1項に記載の複数のサンプル容器キャリア(1)と、
前記複数のサンプル容器キャリア(1)を少なくとも1つの搬送レーン(22)に沿って移動させるための搬送機構(20)を備える自動化トラックであって、前記搬送機構(20)が、前記複数のサンプル容器キャリア(1)が沿って移動可能な搬送面(21)を画定し、前記搬送機構(20)が、磁力により前記搬送レーン(22)に沿って前記サンプル容器キャリア(1)を移動するために、前記サンプル容器キャリア(1)の前記基部(2)と相互作用する動的磁場を生成するように構成された電磁装置を備える、自動化トラックと、
前記サンプル容器キャリア(1)の前記データキャリア(5)から前記識別電子情報を読み取るように構成された少なくとも1つの読み取り装置であって、前記読み取り装置が、前記サンプル容器キャリア(1)の前記データキャリア(5)の前記アンテナ(12)との無線データ通信用の読み取り場を生成および放出するように構成された少なくとも1つの読み取りアンテナ(23)を備え、前記少なくとも1つの読み取りアンテナ(23)が、前記搬送面(21)の上に配置される、少なくとも1つの読み取り装置と
を備える装置。
【請求項13】
前記少なくとも1つの読み取りアンテナ(23)が、電場を生成および放出するように構成される、請求項12記載の装置。
【請求項14】
前記電場が、極超短波(UHF)範囲の周波数を有する、請求項13記載の装置。
【請求項15】
前記電場が、少なくとも850MHzの周波数を有する、請求項13記載の装置。
【請求項16】
前記少なくとも1つの読み取りアンテナが、前記搬送レーン(22)の対向する側に配置された少なくとも2つの読み取りアンテナ(23)を備える、請求項12~15のいずれか1項に記載の装置。
【請求項17】
前記少なくとも1つの読み取りアンテナ(23)は、前記サンプル容器キャリア(1)の前記データキャリア(5)の前記アンテナ(12)と整列するように、前記搬送面(21)から垂直方向に離れた位置で前記搬送面(21)の上に配置される、請求項12~16のいずれか1項に記載の装置。
【請求項18】
体外診断システムにおける装置を操作するための方法であって、
請求項12~17のいずれか1項に記載の装置を提供することと、
前記少なくとも1つの読み取りアンテナ(23)によって読み取り場を生成および放出するように前記少なくとも1つの読み取り装置を操作することと、
前記サンプル容器キャリア(1)の前記データキャリア(5)の前記アンテナ(12)が、前記データキャリア(5)と前記読み取り装置との間の無線データ通信接続を確立するために、前記少なくとも1つの読み取りアンテナ(23)によって放出された前記読み取り場にもたらされるよう、前記複数のサンプル容器キャリア(1)のうちの少なくとも1つを搬送レーン(22)に沿って移動させるように前記搬送機構(20)を操作することと、
確立されたデータ通信接続を介して前記データキャリア(5)から前記識別電子情報を読み取るように前記少なくとも1つの読み取り装置を操作することと
を含む方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つの読み取り装置に、前記搬送レーン(22)の対向する側に配置された少なくとも2つの読み取りアンテナ(23)が設けられ、
前記少なくとも1つの読み取り装置が、前記少なくとも2つの読み取りアンテナ(23)によって前記読み取り場を生成および放出するように操作され、
前記データキャリア(5)の前記アンテナ(12)が、前記データキャリア(5)と前記読み取り装置との間のデータ通信接続を確立するために、前記少なくとも2つの読み取りアンテナ(23)によって生成され、放出された前記読み取り場にもたらされるよう、前記少なくとも2つの読み取りアンテナ(23)の間で前記搬送レーン(22)に沿って前記サンプル容器キャリア(1)を移動させるように前記搬送機構(20)が操作され、
前記識別電子情報が、前記読み取りアンテナ(23)のうちの少なくとも1つによって前記データキャリア(5)から読み取られる、
請求項18記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、体外診断システムの自動化トラックに沿ってサンプル容器を運ぶためのサンプル容器キャリア、体外診断システムのための装置、およびそれを操作するための方法に言及する。
【背景技術】
【0002】
体外診断システムは、人体から採取された血液や組織サンプルなどの試験サンプルに適用される。体外診断は、病気やその他の状態を検出し、病気の治癒、治療、予防に役立つ人の全体的な健康状態を監視するために使用することができる。体外診断はまた、特定の処置または治療から利益を得る可能性が高い患者を特定するために精密医療に適用され得る。いくつかの体外診断試験は、検査室またはその他の医療専門家のセッティングで使用される。
【0003】
(通常は液体の)サンプルは、管や他の容器などのサンプル容器に含まれるか、挿入される。サンプル容器を取り扱うために、管サンプルホルダー(TSH)などのサンプル容器キャリア(SCC)が、試験サンプルを有する1つまたは複数のサンプル容器を運ぶために、たとえばキャリアを使用して自動化トラックの搬送レーンに沿ってサンプル容器を移動させるために提供される。サンプル容器キャリアは、たとえば適切な開口部、クランプ機構などによって、サンプル容器を受け入れ、保持するための保持部を有し得る。サンプル容器キャリアは、サンプル容器キャリアを平面上で支持し、自動化トラックなどの搬送機構と相互作用するための基部を有し得る。基部は、磁気浮上を含む搬送機構の電磁装置と相互作用して、磁力によってサンプル容器キャリアを移動させる金属構造を含み得る。基部はまた、それぞれのコンベヤ機構と係合するような大きさおよび形状であり得る。
【0004】
サンプル容器キャリアは通常、サンプル容器キャリア、サンプル容器、運搬容器に含まれる試験サンプルを識別するための識別情報、または識別もしくは割り当てを可能にするその他の情報を含むバーコードや無線周波数識別(RFID)タグなどの識別要素を有している。識別情報は、適切な読み取り装置によって読み取ることができる一意のIDであり得る。RFIDタグは、基部に配置され得るが、読み取り装置の読み取りアンテナは、RFIDタグとの無線データ通信接続を確立するために、搬送面の中または下に含まれる。しかし、基部の金属構造または電磁装置は、RFIDタグにエネルギーを供給し、RFIDタグを読み取るために使用される磁場を乱す可能性がある。さらに、サンプル容器キャリアが搬送レーンに沿って移動すると、誘導結合に使用される閉ループアンテナは、さまざまなフェーズを通過し、読み取りアンテナの読み取り場に完全に配置され、部分的に配置され、またはまったく配置されない場合がある。さらに、特に、サンプル容器キャリアが自動化トラックの搬送レーンに沿って自由に浮遊している装置では、サンプル容器キャリアの向きも不明であり、識別情報を読み取る際の比較的高い失敗率にもつながる。
【0005】
特許文献1および特許文献2は、複数の容器キャリアを備える検査室サンプル分配システムを開示している。容器キャリアはそれぞれ、たとえば少なくとも1つの永久磁石などの少なくとも1つの磁気活性デバイスを備え、サンプルを含むサンプル容器を運ぶ。このシステムは、複数の容器キャリアを運ぶための搬送面と、搬送面の下に静止して配置された複数の電磁アクチュエータとをさらに備える。電磁アクチュエータは、容器キャリアに磁力を加えることにより、搬送面の上部の上で容器キャリアを移動させる。RFIDタグは、永久磁石の間に配置されたリング状のアンテナを備えた各容器キャリアの基部に提供され得る。
【0006】
特許文献3は、様々な種類の試験管を実質的に垂直に保持することができる試験管ホルダーを開示している。試験管ホルダーには、底部に中空部を有するハウジング部と、ハウジング部の上側に配置され、試験管を受け入れるための開口部を有する保持部とが設けられる。保持部の内側に形成された弾性部は、収容された試験管と接触するように設けられる。試験管ホルダーは、中空の底部に収容される金属製の重りを有し得る。また、中空の底部には、RFIDタグなどの識別タグが設けられ得る。
【0007】
特許文献4は、試験管を解放可能に保持するためのデバイスを開示している。把持要素に結合されたアクチュエータ要素は、試験管の端部を受け入れることができる拡張された構成への、把持要素の円周方向の拡張をもたらすように構成される。アクチュエータ要素に結合されたロック機構は、アクチュエータ要素をロックするように構成される。デバイスおよびそれによって保持された対象物は、コンベヤ上で運ぶことができる。デバイスの基部は、円形のRFID要素を含み得る保持プレートを有し得る。RFID要素を含むベースプレートを備えた管ホルダーもまた、特許文献5に開示されている。
【0008】
特許文献6は、検体ケースホルダーの存在を検出できる検体選別システムを開示しており、検体ケースホルダーに保持される検体ケース内の検体に関する検体関連情報は、同時に得ることができる。この検体選別システムでは、検体ケースホルダーに情報送受信タグが装着され、検体ケースホルダーを運搬するコンベヤレーンの側部付近に情報送受信タグが配置される。
【0009】
特許文献7は、概して円筒形の対象物に取り付けられたRFIDタグを備えたRFIDタグ装置を開示している。RFIDタグは、アンテナと、アンテナに結合された集積回路とを備える。RFIDタグ装置では、RFIDタグは、アンテナの少なくとも一部が円筒形対象物の円周の周りに、たとえばらせん方向に沿って延びるように、円筒形対象物に取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】国際公開第2013/064662号
【文献】国際公開第2013/064665号
【文献】国際公開第2013/099647号
【文献】国際公開第2016/025656号
【文献】米国特許第6,343,690号明細書
【文献】米国特許出願公開第2004/267403号明細書
【文献】国際公開第2010/086596号
【発明の概要】
【0011】
本開示の目的は、体外診断システムの自動化トラックに沿ってサンプル容器を運ぶためのサンプル容器キャリア、体外診断システムのための装置、およびそれを操作するための方法を提供することであり、自動化トラックに沿った搬送中に、サンプル容器キャリア上のデータキャリアからの識別電子情報の信頼性の高い読み取りを提供する。
【0012】
課題を解決するために、体外診断システムの自動化トラックに沿ってサンプル容器を運ぶためのサンプル容器キャリア、体外診断システムのための装置、およびそれを操作するための方法が、独立請求項に従って提供される。さらなる実施形態は、従属請求項に開示されている。
【0013】
一態様によれば、体外診断システムの自動化トラックに沿ってサンプル容器を運ぶためのサンプル容器キャリアが提供される。サンプル容器キャリア(以下、「SCC」または単に「キャリア」とも呼ぶ)は、サンプル容器を受け入れ、保持するための保持部と、保持部を支持するための基部とを備える。サンプル容器キャリアは、識別情報を含むデータキャリアをさらに備える。データキャリアは、読み取り装置との無線データ通信用のアンテナを備え、データキャリアは、保持部上に配置される。
【0014】
識別情報は、サンプル容器キャリア、サンプル容器、およびサンプル容器に含まれるサンプルのうちの少なくとも1つに関する識別情報、またはサンプル容器キャリアが自動化トラックを通過するときにサンプル容器キャリアを追跡するために要求に応じてもしくは必要に応じて識別または割り当てを可能にする他の情報を含み得る。保持部は、たとえば、管などのサンプル容器を受け入れるための開口部または空洞を有し得る。保持部において容器を保持、クランプまたは締め付けるための手段が提供され得る。基部は、以下でより詳細に例示的に説明されるように、自動化システムの搬送機構と結合するように構成された結合部として機能するか、またはそれを含み得る。
【0015】
別の態様によれば、体外診断システムのための装置が提供される。この装置は、少なくとも1つ、特に上記および以下に記載の複数のサンプル容器キャリアと、サンプル容器キャリアを少なくとも1つの搬送レーンに沿って移動させるための搬送機構を備えた自動化トラックとを備え、搬送機構は、複数のサンプル容器キャリアがそれに沿って移動可能である搬送面を画定する。たとえば、搬送面は、搬送モジュールまたはコンベヤベルトの表面であり得る。概して、搬送面は、サンプル容器キャリアの下端面が搬送中に移動する面として画定され得る。この装置は、サンプル容器キャリアのデータキャリアから識別電子情報を読み取るように構成された少なくとも1つの読み取り装置をさらに含み、読み取り装置は、サンプル容器キャリアのデータキャリアのアンテナとの無線データ通信用の読み取り場を生成および放出するように構成された少なくとも1つの読み取りアンテナをさらに備える。少なくとも1つの読み取りアンテナは、搬送面の上に配置される。特に、少なくとも1つの読み取りアンテナは、(1つまたは複数の)サンプル容器キャリアのデータキャリアが、搬送レーンに沿って移動される間に読み取り場にもたらされ得るように、搬送面の上に、および搬送レーンに沿って配置される。
【0016】
さらに別の態様によれば、体外診断システムの装置を操作するための方法が提供される。上記および以下に記載の、特に複数の記載されたサンプル容器キャリアを含む装置が提供または設定される。この方法は、特に(1つまたは複数の)サンプル容器キャリアの搬送中にデータキャリアを読み取ることに関して、この装置を操作するための以下のステップを含む。少なくとも1つの読み取り装置は、少なくとも1つの読み取りアンテナによって読み取り場を生成および放出するように操作される。搬送機構は、サンプル容器キャリアのデータキャリアのアンテナが、データキャリアと読み取り装置との間の無線データ通信接続を確立するために、少なくとも1つの読み取りアンテナによって放出される読み取り場にもたらされるように、複数のサンプル容器キャリアのうちの少なくとも1つを搬送レーンに沿って移動させるように操作される。少なくとも1つの読み取り装置は、確立されたデータ通信接続を介してデータキャリアから識別電子情報を読み取るように操作される。
【0017】
サンプル容器キャリアのデータキャリアが、基部ではなく保持部に配置されているため、データキャリアが基部から離れており、キャリアの下の搬送機構と、搬送機構と相互作用するために提供される基部のそれぞれの結合構造と読み取り場が干渉しないため、データキャリアの読み取りを改善することができる。言い換えれば、データキャリアの読み取りは、搬送機構から独立して行なわれる。
【0018】
一例では、データキャリアには、RFIDタグが設けられ得る。データキャリアについては、1つまたは複数のアンテナが設けられる。
【0019】
基部は、サンプル容器キャリアの底部または下端を画定し、保持部は、サンプル容器キャリアの上部または上端を画定する。データキャリアは、サンプル容器キャリアの上部に隣接して、あるいはキャリアの上端に配置される。言い換えれば、データキャリアは、代替的に、キャリアの上端に近い、またはキャリアの上端にある、またはキャリアの上端と重なるキャリアの高さに配置される。データキャリアのこの位置は、サンプル容器キャリアの底部から(軸方向または垂直方向に)データキャリアの最大距離を提供し、したがって搬送機構の考えられる妨害構造からデータキャリアの最大距離を提供する。
【0020】
データキャリアのアンテナは、保持部の外周に沿った方向に延在し、その方向は、サンプル容器キャリアの底部によって画定される平面に平行な平面内に延び得る。(少なくとも1つの)アンテナは、保持部の外周面に配置され得る。データキャリアを外周面に配置すると、キャリアの中心から(半径方向に)最大距離が得られ、したがってサンプル容器から最大距離が得られる。サンプル容器内のサンプルは通常液体であるため、データキャリアを液体サンプルから離して配置すると、液体の妨害効果をさらに低減でき、データキャリアの読み取りをさらに改善できる。特に、保持部は、保持部の中心に配置された、サンプル容器を受け入れ、保持するためのホルダーを備えてもよく、それによって、データキャリアは、ホルダーに受け入れられたサンプル容器から半径方向に離間される。たとえば、ホルダーは、上部からアクセス可能な中央穴であってもよく、そのような穴と保持部の外周との間の壁の厚さは、サンプル容器からのデータキャリアの半径方向の距離を画定する。サンプル容器を受け入れ、保持するために、他の保持手段、たとえば、クランプホルダーなどが設けられてもよい。
【0021】
有利には、少なくとも保持部は、アンテナが円筒形保持部の外周面によって画定される円形平面に配置されるように、円筒形(外側)形状を有する。この回転対称形状は、角度方向の影響を低減する。サンプル容器キャリアは、単一のサンプル容器のみを受け取り、保持するように構成され得るが、それによってサンプルとともにサンプル容器を運ぶそれぞれのサンプル容器キャリア上に明確に割り当てられたデータキャリアによってサンプルを一意に識別することができる。
【0022】
データキャリアは、識別電子情報を記憶した集積回路(IC)(すなわち、「チップ」)を含んでもよく、アンテナは、第1の開放端を有する第1の部分および第2の開放端を有する第2の部分を備えてもよく、第1および第2の部分は、データキャリアのICから離れる方向に、あるいは対向する方向に延在する。
【0023】
データキャリアは、実質的に保持部の全周に沿って、すなわち、保持部の外周に沿って、少なくとも90%、あるいは少なくとも95%、別の代替の98%または99%だけ延在し得る。第1および第2の自由端は互いに向き合うが、ギャップまたは他の絶縁手段によって離間されている。言い換えれば、アンテナの第1の端部および第2の端部は互いに近接し得るが、それらは互いに接触せず、アンテナは閉じたリングを形成することがない。サンプル容器キャリアの実質的に全周を覆うアンテナをデータキャリアに設けることにより、一部のRFID検出は、搬送中のキャリアの向きに実質的に依存しない。特に磁気浮上などの自由浮遊搬送機構だけでなく、キャリアが特定の方向に固定されていないコンベヤベルトでも、キャリアは搬送中に中心軸を中心に任意に回転する。データキャリアが小さく、キャリアの片側にのみ配置される場合、信号強度が低すぎるためにデータキャリアがアンテナの反対側を向いていると、データキャリアの読み取りに失敗することになる。キャリアの周囲にある細長いアンテナにより、360度の任意の方向でのデータキャリアの読み取りが可能になる。
【0024】
データキャリアのアンテナは、(電気)ダイポールアンテナを備え得る。ダイポールアンテナは、閉ループアンテナとは対照的に、電場を受けるように構成される。その第1および第2の部分は、データキャリアのICから対称的に延在し得る。ダイポールアンテナは、一方の自由端から他方の自由端までのアンテナの長さに比べて低い高さの蛇行形状に配置され得る。この形状により、保持部の上部領域にデータキャリアを容易に配置することができる。したがって、少なくとも1つの読み取りアンテナは、代替的に、極超短波範囲の周波数を有する電場を、より好ましくは、少なくとも850MHzの周波数を有する電場を生成および放出するように構成され得る。データキャリアは、「UHFタグ」と呼ばれ得るが、これは一種のRFIDタグとして理解され得る。波長は、サンプル容器キャリアの寸法の大きさ(デシメートル範囲)のオーダーである必要がある。特に、一般的なデータキャリアと閉ループまたはリング状アンテナとの誘導結合に使用される磁場(H場)と比較すると、電場(E場)の効率が高いため、必要なエネルギーがより少ない。極超短波(UHF)は、高周波(HF)または低周波(LF)と比較して高いデータ転送速度も提供する。
【0025】
データキャリアの少なくとも1つのアンテナは、閉ループでデータキャリアのICから延びる中央部分をさらに備えていてもよい。閉ループの中央部分は、ダイポールアンテナの第1の部分と第2の部分との間に配置され、磁場を受け取るように構成され得る。これは、短距離誘導結合に使用され得る。より具体的には、前述のダイポールアンテナに加えて、閉ループアンテナが設けられ得る。言い換えれば、UHFタグに、磁場による短距離範囲での通信も可能にするための追加のアンテナが設けられ得る。
【0026】
保持部の少なくとも一部は非金属材料でできていてもよく、より具体的には、データキャリアが配置されている保持部の部分は、金属材料によって引き起こされる妨害効果を回避するために非金属材料でできていてもよい。
【0027】
一実施形態では、基部は、金属材料または永久磁石を備える。たとえば、磁気浮上を含む磁力による搬送を可能にするために、金属底板または他の金属もしくは磁気構造が基部に設けられてもよい。搬送機構は、磁力によって搬送レーンに沿ってサンプル容器キャリアを移動させるために、サンプル容器キャリアの基部と相互作用する動的磁場を生成するように構成される電磁装置を備える。キャリアの上部に近いデータキャリアの配置と、搬送面の上の読み取りアンテナのそれぞれの配置により、読み取り場は、搬送面の上にあり、したがって、搬送機構の磁場に干渉しない。他の搬送機構の場合も同様に、読み取り場は、搬送機構に干渉しない。
【0028】
特に、少なくとも1つの読み取りアンテナは、データキャリアのアンテナと整列されるように、搬送面から垂直方向に離れた位置で搬送面の上に配置され得る。言い換えると、少なくとも1つのアンテナによって生成および放出される読み取り場は、サンプル容器キャリアのデータキャリアと位置合わせされ、このことは、読み取り場はデータキャリアをターゲットにして、無線通信中に最大の信号強度を達成することを意味する。特に、サンプル容器キャリアの底部に平行な平面、すなわち搬送平面に平行な平面に延在するデータキャリアのアンテナと組み合わせれば、読み取りアンテナとデータキャリアのアンテナとの位置合わせは、サンプル容器キャリアの回転方向とは無関係である。
【0029】
この装置は、搬送レーンの対向する側に配置された少なくとも2つの読み取りアンテナ、または搬送レーンの一方側または対向する側に配置された複数の読み取りアンテナを備え得る。データキャリアが「ゲート」を通過するときにデータキャリアを読み取るための搬送レーンの「ゲート」を形成するように複数の読み取りアンテナが配置される、複数の並列搬送レーンを提供することが想定され得る。保持部の周囲の細長いアンテナは、すでに読み取りをサンプル容器キャリアの角度方向から実質的に独立させているが、搬送レーンの対向する側に読み取りアンテナを設けることは、読み取りをさらに改善する。少なくとも1つの読み取り装置は、少なくとも2つの読み取りアンテナにより読み取り場を生成および放出するように操作され得る。搬送機構は、データキャリアの少なくとも1つのアンテナが、データキャリアと読み取り装置との間のデータ通信接続を確立するために、少なくとも2つの読み取りアンテナにより生成および放出される読み取り場にもたらされるように、少なくとも2つの読み取りアンテナの間で搬送レーンに沿ってサンプル容器キャリアを移動させるように操作され得る。次に、識別情報は、読み取りアンテナの少なくとも1つによって、あるいは搬送レーンの対向する側にある読み取りアンテナの少なくとも2つによって、データキャリアから読み取られ得る。読み取りは、読み取りアンテナの選択された1つまたはすべての読み取りアンテナによって行われてもよく、キャリアの向きとアンテナからの距離に依存し得る。アンテナを制御し、読み取り信号を処理するために、それぞれの制御装置が設けられてもよい。
【0030】
さらに別の態様によれば、体外診断システムの自動化トラックに沿ってサンプル容器を運ぶためのサンプル容器キャリアが提供される。サンプル容器キャリアは、サンプル容器を受け入れ、保持するための保持部と、保持部を支持するための基部とを備える。サンプル容器キャリアは、識別電子情報を含むデータキャリアをさらに備える。データキャリアは、読み取り装置との無線データ通信のためのアンテナ装置を備え、アンテナ装置は、ダイポールアンテナを備える。
【0031】
上記のサンプル容器キャリアに関して開示された実施形態は、必要な変更を加えて、装置および装置を操作するための方法に適用することができる。同様に、上記の装置に関して開示された実施形態は、必要な変更を加えて、装置を操作するための方法に適用することができ、逆もまた同様である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
以下、実施形態は、例として、図を参照して説明される。
【0033】
図1】異なる視点でのサンプル容器キャリアの概略図である。
図2】RFIDタグとして設けられたデータキャリアの概略図である。
図3】RFIDタグの例示的な実施形態である。
図4】異なる視点での、サンプル容器を有するサンプル容器キャリアの例示的な実施形態である。
図5】体外診断システムのための装置の例示的な実施形態である。
図6】読み取りアンテナの近くに異なる方向で配置されたサンプル容器キャリアの概略図である。
図7】異なる読み取り位置にあるサンプル容器キャリアの概略図である。
図8】異なる非読み取り位置にあるサンプル容器キャリアの概略図である。
図9】RFID読み取り装置の異なる実施形態の概略図である。
図10】サンプル容器キャリアの向きに応じたRFID読み取り中の信号強度を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は、サンプル容器キャリア1(「SCC」)の異なる概略図を示しており、サンプル容器キャリア1は、特にサンプル容器が管の形態である場合、管サンプルホルダと呼ばれることもある。SCC1は、以下でより詳細に説明する磁石搬送機構と相互作用するための基部2、より具体的には金属性基部2を有する。磁気浮上を使用するそのような搬送機構は、たとえば、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2013/064662号から既知である。SCC1は、プラスチック材料で形成された保持部3を有し、保持部3は、直立位置で、液体試験サンプルを有する管を受け入れるための穴4などの、サンプル容器(図1には示されていない容器)を保持するための手段を有している(図1aに示される側面図では破線で示されている)。たとえばクランプ手段など、管を確実に保持するための任意の手段が提供されてもよいし、フォームフィット(form fit)またはプレスフィット(press fit)によって単純に管が保持されてもよい。
【0035】
RFIDタグ5の形態のデータキャリアは、上端7、すなわち下端6から最大距離で、保持部3の周面8の周りに配置され、または巻き付けられる。これにより、金属性基部2のRFIDタグ5への影響を回避することができるか、または少なくとも最小限に抑えることができる。同時に、RFIDタグ5は、保持部の中心軸9から最大距離に配置され、したがってサンプル容器から最大距離に配置され、サンプル容器に含まれる液体試験サンプルの影響を低減する。RFIDタグ5は、周囲の周りのほぼ全体、すなわち周囲の約95%から99%まで延在し、リングの閉鎖を回避するために小さなギャップ10のみを残している。
【0036】
RFIDタグ5の概略図が図2に示される。RFIDタグ5は、中央にRFID IC11(集積回路またはチップ)を有している。RFIDタグ5はさらに、RFID IC11から対向する方向に対称的に延びる、自由端14を備えた第1の部分13と、自由端16を備えた第2の部分15とを有するダイポールアンテナ12を備えている。SCC1に取り付けられる場合、前述のギャップ10は、自由端14と自由端16との間にある。RFIDタグ5の長さLは、上記のように、保持部3のほぼ全周を覆うように選択される。RFIDタグの高さHは、基部2の上端からRFIDタグ5の下端の最大距離を達成するために小さい。
【0037】
図3は、上記のRFIDタグ5の例示的な実施形態を示している。この実施形態では、追加の磁気ループアンテナ17が、ダイポールアンテナ12の部分13と部分15との間に設けられる。電気ダイポールアンテナ12の長さは、電場およびSCC1の周囲に適合される。RFIDタグ5は、たとえば接着剤によりSCC1に取り付けられるフラットラベルまたは円形スリーブとして設けられてもよいし、SCC1の保持部3に(外周面8上、または外周面8の近くで)一体化されてもよい。SCC1の洗浄および場合によっては滅菌に関しては、一体化または埋め込まれたタグが有利であり得るが、一方で、個別で取り付け可能および取り外し可能なタグは、タグが壊れたとき、柔軟性を高め、交換を可能にし得ることが理解されよう。
【0038】
図4は、RFIDタグ5が取り付けられ、サンプル容器18が保持部3に保持されたSCC1の例示的な実施形態の2つの異なる図を示す。ここで、追加の保持構造19は、保持部から延在して、サンプル容器18を保持する。図4aに見られるように、RFIDタグ5のキャリアフィルムは、保持部3を越えて上方に延在し、金属性基部2から最大距離にアンテナ12を配置する。
【0039】
図5は、体外診断システムのための自動化トラックの装置の一実施形態を示している。自動化トラックは、たとえば、人体から採取された血液などの試験サンプルに適用される体外診断システムに提供され得る。体外診断試験は、検査室または他の医療専門家のセッティングで使用され得る。
【0040】
自動化トラックは、(破線で示される)搬送レーン22に沿ってキャリア1を移動させるように構成された搬送機構20が設けられている。搬送機構20は、磁力によってキャリア1を移動させるための動的磁場を生成し得る。非接触運動は、磁気浮上によって達成され得る。キャリア1は、搬送面21内を移動する。キャリア1を自動化トラックに沿って移動させることにより、キャリア1は、体外診断システムの異なる処理ステーションまたは操作ステーション(図示せず)に移動され得る。異なる処理ステーションまたは操作ステーションでは、複数の適用ステップがサンプルに適用され得る。たとえば、光学分析が、サンプル容器18の1つに提供されたサンプルに適用され得る。自動化トラックが設けられた体外診断システムの異なる装置は、そのように既知である。
【0041】
RFIDタグ5から識別情報を読み取るために、複数の読み取りアンテナ23が搬送面21上に設けられている。それらは、電場を生成および放出して、RFIDタグ5のダイポールアンテナ12にエネルギーを与える。RFIDタグ5を、放出された読み取り場に移動できるようにするために、読み取りアンテナ23は、RFIDタグ5のそれぞれの高さに対応する搬送面21の上の高さに配置される。複数の読み取りアンテナ23は、複数の搬送レーン22の対向する側に配置されている。これにより、複数のサンプルを同時に並列処理することができる。
【0042】
キャリア1の自由浮遊搬送のために、すなわち、キャリア1が、それぞれの(機械的)係合手段によって搬送機構20にロックされていないが、搬送機構20に磁気的に結合されているために、キャリア1は、搬送レーン22に沿った移動中にそれらの中心軸の周りを回転し得る。読み取りアンテナ23に対する異なる例示的な角度方向(0°、90°、180°、270°)が、図6a)、b)、c)、d)に示されている。RFIDタグ5の周方向の延在により、より具体的には、小さなギャップ10(対称性のためにRFID IC11と正反対)のみを残すダイポールアンテナ12により、十分な無線データ通信接続を、キャリア1の向きとは無関係に達成することができる(図10も参照)。
【0043】
したがって、キャリア1が読み取りアンテナ23を通過するとき、キャリア1は常に、RFIDタグ5からの情報を首尾よく読み取るのに十分な信号強度を備えた「読み取り位置」にある(図7)。同様に、キャリア1がアンテナ23の範囲外にあるとき、RFIDタグ5の意図しない読み取りは起こらない(図8)。1つの読み取りアンテナ23(図9a)および2つの読み取りアンテナ(図9b)を有する実施形態について示される図9の指定された「読み取りゾーン」24および「非読み取りゾーン」25も参照されたい。
【0044】
図10は、キャリア1の角度方向(x軸26)に応じた信号強度(y軸27)を概略的に示しており、信号強度が、RFIDタグの検出に必要な最小信号強度28を常に上回っていること、すなわち、角度方向に依存しない正常な読み取り(キャリア1が読み取りゾーン24にある場合)を示している。信号強度は小さい範囲でのみ変化する。それとは対照的に、たとえば周囲に比べて短すぎる別のRFIDタグの信号強度が破線で示されている。RFIDタグが読み取りアンテナの反対側を向いている場合(90°から270°の回転範囲で例示的に示されている)、信号強度が最小信号強度を下回っていることが分かる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10