(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-15
(45)【発行日】2022-07-26
(54)【発明の名称】タービンによって化学処理ユニットの条件を調整するためのプロセス
(51)【国際特許分類】
F01D 17/16 20060101AFI20220719BHJP
F01D 15/10 20060101ALI20220719BHJP
【FI】
F01D17/16 A
F01D15/10 B
F01D15/10 A
(21)【出願番号】P 2020547110
(86)(22)【出願日】2019-03-15
(86)【国際出願番号】 US2019022449
(87)【国際公開番号】W WO2019178467
(87)【国際公開日】2019-09-19
【審査請求日】2020-10-19
(32)【優先日】2018-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598055242
【氏名又は名称】ユーオーピー エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100147991
【氏名又は名称】鳥居 健一
(72)【発明者】
【氏名】フレイ、スタンレー ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】ハリス、ジェームズ ダブリュー.
【審査官】北村 一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0326443(US,A1)
【文献】米国特許第06354084(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0291201(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0284961(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 13/00-13/12;23/00-25/36
F01D 17/00-21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学処理ユニットの少なくとも1つの定常プロセス条件を制御するためのプロセスであって、
水素化処理
反応器の少なくとも1つの
定常状態プロセス条件に関連付けられた流れを流体に付与するために、前記流体を
前記水素化処理反応器のクエンチライン内のタービンに通すことと、
前記タービン内でタービンホイールを回転させることであって、前記タービンホイールは、発電機に回転運動を伝達するように構成されている、ことと、
前記タービンを用いて発電することと、
前記タービンを通る
前記クエンチライン内の前記流体の前記流れを調整するために、前記タービンの抵抗を調節することであって、新たな定常状態プロセス条件が元の定常状態プロセス条件から少なくとも10%変動する場合に、前記新たな定常状態プロセス条件と前記元の定常状態プロセス条件との間の変化の少なくとも50%を達成する応答時間が、少なくとも1秒である、ことと、を含
み、
前記水素化処理反応器の前記少なくとも1つの定常状態プロセス条件は温度である、プロセス。
【請求項2】
前記応答時間は、少なくとも10秒である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記応答時間は、少なくとも1分である、請求項1に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、プロセス条件を調整するためのプロセスに関し、より具体的には、定常状態プロセス条件がタービンによって、より具体的にはタービンの抵抗を調節することによって調整されるプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
化学的精製及び処理方法は多くの場合、制御弁に通されたガス又は蒸気ストリームを伴うことが多い。制御弁は、ガスストリームの圧力を低下させて、所望の特性、例えば、圧力、温度などをガスストリームに与えるために使用される。制御弁においては、機械的エネルギーが消散されて、流量及び圧力が低下する。圧力減少によって除去されるエネルギーは、回収されることなく制御弁によって散逸されるため、そのエネルギーは失われる。
【0003】
更に、エネルギーが除去されるのは多くの場合、システムにエネルギーが加えられた結果であるため、損失エネルギーは、より高い動作コストを表し得る。この損失エネルギーは、結果として、制御弁をまたぐ断熱的な圧力減少を経た圧力減少に対して温度低下を最小限にすることになる。したがって、エネルギーを供給して、結局はそのエネルギーを回収せずに除去することに関連するプロセスにおいて、固有の非効率性が存在する。しかしながら、エネルギーの供給コストは、全体的なプロセスの中では比較的小さいため、精製業者及び処理業者は多くの場合、処理/精製ユニットのスループットを維持するために、この非効率性を伴って処理/精製ユニットを動作させている。だが、この非効率性は、処理業者が操業コストを低下させ、したがって利益を増加させるための機会である。
【0004】
制御弁をタービンと置換することでこれらの問題に対処することができることが、最近になって本出願人によって発見された。タービンは、同じ圧力減少を生じさせることが可能である。しかしながら、制御弁とは異なり、タービンは、除去されたエネルギーを、他の場所で利用される電気エネルギーに変換する。したがって、タービンは、従来の制御弁に利点をもたらす。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、いくつかの化学処理ユニットにおいてタービンを使用するための装置及びプロセスを提供する。
【0006】
したがって、本発明では、処理ユニットのプロセス条件を調整するために制御弁が利用される。例えば、水素化処理反応器の場合、タービンは、クエンチストリームを供給して反応器内の所望の温度を得るために、水素含有蒸気ストリーム用のライン上で使用される。それに加えて、FCCユニットの場合、タービンは、FCCユニット内の炭化水素分圧を変化させる蒸気のストリームと共にライン上で使用される。これらのプロセス条件を変化させる際、その変化は、比較的遅いペースで所望の変化が生じる「低速制御」変化によって実現される。「低速制御」とは、新たな定常状態プロセス条件が開始(又は元の)定常状態プロセス条件から少なくとも10%変動する場合に、新たな定常状態プロセス条件と開始定常状態プロセス条件との間の変化の少なくとも50%を達成する応答時間が、少なくとも1秒、又は少なくとも10秒、又は少なくとも1分、又は少なくとも10分、又は1時間以上であることを意味する。
【0007】
タービンを使用して、制御弁の支援なしにフローストリームを制御することは、電力回収タービンからの回収電力の量を大幅に(最大30%以上)増加させることになり得、より多くの冷却がプロセスストリームにもたらされることになり得るが、これによって多くの場合、より多くのプロセス利点が提供され得る。タービンの制御応答が遅いことが問題である場合、タービン応答が過度に緩慢である高速制御システムよりも、タービンの使用を遅い、又は「緩い」制御点用途に限定することがより有利となる。タービンの抵抗を調節し(あるいは変化させ)、タービンを通る流体の流れを増加又は減少させるために、数例を挙げると、可変ノズルタービン、入口可変ガイドベーンを使用した流量制御タービン、又は直接結合された可変電気負荷を介して回転に対する電磁抵抗を変化させる流量制御タービンが使用される。その調節は、温度、液位、蒸留オーバーヘッドフライホイール制御などのカスケード型スレーブマスター制御システムなど、低速応答又は低要求精度の制御ループに適用されるべきである。
【0008】
したがって、少なくとも1つの態様では、本発明は、化学処理ユニットの少なくとも1つの定常プロセス条件に関連付けられた流れを流体に付与するために、流体をタービンに通すことと、タービン内でタービンホイールを回転させることであって、タービンホイールは、発電機に回転運動を伝達するように構成されている、ことと、タービンを用いて発電することと、タービンを通る流体の流れを調整するために、タービンの抵抗を調節することであって、少なくとも10%の差の新しい定常状態プロセス条件に対する少なくとも1つの定常状態プロセス条件の応答時間は、少なくとも1つの定常状態プロセス条件とタービンの抵抗を調節した後の新しい定常状態プロセス条件との差の50%に到達するまでの少なくとも1秒である、ことと、によって、化学処理ユニットの少なくとも1つの定常プロセス条件を制御するためのプロセスを提供するものとして特徴付けられ得る。
【0009】
別の態様では、本発明は、化学処理ユニットの少なくとも1つのプロセス条件に関連付けられた流れを流体に付与するために、流体をタービンに通すことと、流体によってタービン内のタービンホイールを回転させることによって、タービンを用いて発電することであって、タービンホイールは、発電機に回転運動を伝達するように構成されている、ことと、タービンを通る流体の流れを調整するために、タービンの抵抗を調節することであって、少なくとも10%の差の新しい定常状態プロセス条件に対する少なくとも1つの定常状態プロセス条件の応答時間は、少なくとも1つの定常状態プロセス条件とタービンの抵抗を調節した後の新しい定常状態プロセス条件との差の50%に到達するまでの少なくとも1秒である、ことと、によって、化学処理ユニットの少なくとも1つの定常状態プロセス条件を制御するためのプロセスを提供するものとして、特徴付けられ得る。
【0010】
それらの全てが任意の方式で組み合わせ可能となり得る、本発明の更なる態様、実施形態、及び詳細が、以下の本発明の詳細な説明に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明の1つ以上の例示的な実施形態について、以下の図面の各図と併せて以下に説明する。
【0012】
【
図1】本発明の1つ以上の実施形態に従って使用される水素化処理反応器である。
【0013】
【
図2】本発明の1つ以上の態様によるリボイラの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
上述のように、本発明は、定常状態プロセス条件を調整する際における「低速制御」を提供するために、1つ以上のタービンを利用する。定常状態プロセス条件を調整するために、タービンの抵抗が調節され、これによって、システムの応答が減速され、組成物、温度、プロセスレベル(供給物、最終生成物及び中間生成物の両方、反応物、及び/又は触媒)などの1つ以上のプロセス条件の制御が提供される。加えて、タービンは、処理ユニット内の他の場所で使用される電気エネルギーの形態でエネルギーを回収し得る。
【0015】
これらの一般原理を念頭に置いて、本発明の1つ以上の実施形態について、以下の説明が限定することを意図するものではないという理解の下で説明する。
【0016】
図1を参照すると、少なくとも1つの実施形態では、例えば、水素化処理反応器100において、タービンがクエンチストリームと共に使用される。本明細書で用いられるとき、用語「水素化処理」は、水素の存在下で1つ以上の炭化水素を処理することを指し得るものであり、水素化処理及び/又は水素化分解を含み得る。本明細書で用いられるとき、用語「水素化分解」は、水素及び少なくとも1つの触媒の存在下で、少なくとも1つの長鎖炭化水素の結合を破壊又は分解してより低分子量の炭化水素にするプロセスを指し得る。本明細書で用いられるとき、用語「水素化処理」は、炭化水素供給原料から硫黄、窒素及び金属などのヘテロ原子を除去するための1つ以上の好適な触媒の存在下で、炭化水素供給原料を水素ガスと接触させることを含むプロセスを指し得る。水素化処理では、二重及び三重結合を有する炭化水素が飽和されてもよく、また、いくつかの水素化処理プロセスは芳香族化合物を飽和させるように特別に設計されているので、芳香族化合物が飽和されてもよい。
【0017】
図1に示されるように、本発明に従って使用される水素化処理反応器100は、床が多数固定されている容器(multi-fixed bed vesse)101であり、これは既知のように、床前空間112、114、116(クエンチゾーンとも呼ばれるによって互いに分離された複数の触媒床102、104、106、108を含むものである。例示的な実施形態では、触媒床102、104、106、108の各々が水素化処理触媒を収容する。水素化処理触媒は周知であり、典型的には、γ-アルミナからなる支持体上のモリブデン(Mo)、タングステン(W)、コバルト(Co)、及び/又はニッケル(Ni)を含む。特定の種類の水素化処理触媒は、本発明の理解又は実践に必須ではない。
【0018】
図示のように、供給ストリーム118は、好ましくは容器101の上部において水素化処理反応器100に導入される。水素含有ストリーム120は、複数のストリームに分割されて、水素リッチストリーム122、124、126、128となる。好ましくは、水素含有ストリーム120は水素リッチストリームである。本明細書で用いられるとき、用語「リッチ」は、少なくとも50体積%、好ましくは70体積%のストリーム内の化合物又は化合物種の量を意味する。水素含有ストリーム120は、水素化処理反応器100からの再循環水素、補給水素、又は再循環水素と補給水素との組み合わせを含有してもよい。
【0019】
第1の水素リッチストリーム122は、好ましくは任意の熱交換器又は加熱炉の上流で供給ストリーム118と組み合わされる。残りの水素リッチストリーム124、126、128は、クエンチストリーム130、132、134として使用され、水素化処理反応器100の床前空間112、114、116内に注入される。圧力を減少させ、クエンチストリーム130、132、134の流れを制御するために、タービン60a、60b、60cが使用される。これらのタービン60a、60b、60cは、例えば、
図2に示されるタービン60(以下に記載)である。タービン60a、60b、60cはそれぞれ温度センサ136と通信してもよく、それらの温度センサは、床前空間112、114、116のうちの1つの温度を測定し、その温度をタービン60a、60b、60cに中継して、それぞれのクエンチストリーム130、132、134の流れを調整するように構成されている。
【0020】
したがって、水素リッチストリーム124、126、128は、タービン60a、60b、60cの各々に進入し、その中でタービンホイールを回転させ(
図2を参照)、それによって、水素リッチストリーム124、126、128の圧力及び温度を低下させ、水素リッチストリーム124、126、128からエネルギーを抽出する。より低い圧力及び温度のクエンチストリーム130、132、134が反応器100の床前空間112、114、116に注入され、反応器100内の触媒床104、106、108の温度を制御する。
【0021】
水素化処理反応器100では、水素化処理反応器100内のプロセス条件を変化させるために、タービン60から到来するストリームの流量が調整され得る。例えば、反応器100内の触媒床102、104、106、108の温度を変化させるために、クエンチストリーム130、132、134の流量が調整されてもよい。したがって、これらのプロセス条件を変化させる際、その変化は、所望の変化が比較的遅いペースで生じる「低速制御」であることが想到される。例えば、水素化処理反応器100に関して言えば、水素化処理反応器100内の新たな(又は目標)温度と水素化処理反応器100内の元の(又は出発)温度との中間(すなわち、差の50%)に達する応答時間は、所望の(又は目標)温度が元の(又は出発)温度と少なくとも10%異なる場合、少なくとも1秒、又は少なくとも10秒、又は少なくとも1分、又は少なくとも10分、又は1時間以上であることが想到される。換言すれば、反応器の新たな温度が反応器内の現在の温度と異なる場合、タービンは、変化の半分を完了するために少なくとも1秒、又は少なくとも10秒、又は少なくとも1分、又は少なくとも10分、又は1時間以上を要するプロセスを提供する。当業者であれば、本発明に関連する動的プロセスのプロセス条件及び応答時間を決定することが可能であろう。
【0022】
図2を参照すると、タービン60は、タービンホイール62を通過したストリームの流れによって生成された回転運動を発電機66に任意選択的に伝送又は伝達するように構成されたブレード64を有するタービンホイール62を含んでいる。発電機66は一般に、タービンホイール62と連通する第1の巻線68と、第1の巻線68を取り囲む第2の巻線70と、を含む。既知のように、第2の巻線70に対する第1の巻線68の回転が電流を発生させる。そのように図示されていないが、発電機66は、巻線68、70のうちの1つの代わりに永久磁石を含んでもよい。そのような発電機は、当該技術分野において知られている。
【0023】
追加的に、タービン60は、タービン60の発電量を計測するように構成されたプロセッサ72と、タービン60の発電量に関連する情報を制御センタ78のコンピュータ76に送信するように構成された送信機74と、を含んでもよい。タービン60が所望の圧力減少及び圧力減少から電力へのエネルギーの変換を可能にすることを条件として、タービン60の特定の構成は、本発明の実践にとって必須ではない。例示的なタービン及び更なる詳細が、米国特許第4,625,125号、同第4,694,189号、同第4,754,156号、及び同第9,203,969号に記載されており、これらは全て参照により本明細書に組み込まれる。
【0024】
したがって、
図1の水素リッチストリーム124、126、128のうちの1つは、入口において導管58を介してタービン60に進入し、タービンホイール62を回転させ、それによって、水素リッチストリームの圧力及び温度が低下し、好ましくは更に、水素リッチストリームからエネルギーが抽出される。タービン60の出口から取り出された、より低圧のストリーム59は、反応器100の床前空間112、114、116内に注入されて反応器100内の触媒床104、106、108の温度を制御するクエンチストリーム130、132、134のうちの1つである。(
図1を参照されたい。)本発明の様々なプロセスにおいて、タービン60を通る流体の流れを調整し、水素化処理反応器100などの化学処理ユニットの少なくとも1つの定常状態プロセス条件を調整するために、タービン60の抵抗が調節又は調整される。
【0025】
例えば、タービン60は、タービン60の入口に配設された複数の可変ガイドベーンを備えてもよい。タービン60の抵抗は、可変ガイドベーンの向きを変化させることによって調整される。同様に、複数の可変ガイドベーンがタービン60の出口に配設されてもよい。タービン60の抵抗は、可変ガイドベーンの向きを変化させることによって調整される。代替的に、タービン60が可変ノズルタービンであることも想到される。そのような実施形態では、タービン60の抵抗は、可変ノズルタービンの向きを変化させることによって調整される。タービンのベーンを調整することにより、(遮断するベーンの表面積を増大させるか、あるいはベーンの表面積を低減するかのいずれかによって)ベーンを通過するストリームの流れが調整されることが認識されよう。このことは、蒸気ストリームの流れを増加又は減少させる、すなわち、表面積を増加させて流れを遮断するか、あるいは表面積を減少させて流れとの干渉を低減することになる。調整可能なベーンを備えたタービンの例が米国特許第6,261,055号に記載されている。
【0026】
更に、例えば、タービンホイール62を回転させるのに必要なエネルギーを増大させる力をタービンホイール62に及ぼすことによって、タービン60の抵抗がタービンホイール62を用いて調整されることもまた想到される。同様に、ロータに電磁抵抗を加え、それによってタービンホイール62のロータトルクを変動させることによって、タービン60の抵抗が調整されることも更に想到される。この種の抵抗の調整の例が、米国特許第8,404,918号に記載されている。
【0027】
したがって、いくつかの実施形態では、本発明によるプロセスは、ガスプロセスストリームの流量を制御し、また任意選択的にガスプロセスストリームから電力を生成するために、ガスプロセスストリームの一部分を1つ以上の可変抵抗タービンを通るように方向付けることと、電力回収タービンを出たガスがガス相に残留するようにガスプロセスストリームの圧力及び温度を制御することと、タービンを通る流れに対する抵抗を変動させるために、数例を挙げると、可変ノズルタービン、入口可変ガイドベーン、又は直接結合された可変電気負荷を使用して、流量を測定するか若しくは流量を制御するか又はそれら両方を行うことと、を含む。また、可変抵抗タービンの回転に対する抵抗は、タービン上で回転している磁石(単数又は複数)の磁界内にある外部可変負荷電気回路によって変動され得る。より多くの負荷が回路に加わると、タービンの回転に対する抵抗もより大きくなる。次いでこのことにより、タービン全体の圧力降下がより大きくなり、プロセスストリームの流れが遅くなる。また装置内のアルゴリズムが、タービンの毎分回転数及び回路上の負荷を測定することによって、装置を通る実流量を計算し得る。回転流に対する抵抗もまた、可変位置入口ガイドベーンによって変動され得る。いくつかの実施形態では、電力は、ガイドベーン又は発電回路上の可変負荷のいずれかによって可能になる流れ動に対する可変抵抗を有する電力回収タービンを介して生成される。ガイドベーンの位置、電力出力及び毎分回転数を用いて実流動量を計算するためのアルゴリズムが用いられ得る。
【0028】
調整される少なくとも1つの定常状態プロセス条件は、化学処理ユニットで用いられる、温度、部分圧力などの圧力、液位又は反応物質、化学物質、触媒、又は供給物であってもよい。タービンの制御応答が遅いことが問題である場合、タービンの使用は、応答が遅い、若しくは「緩い」制御点用途に限定される。応答が遅い用途とは、新しい(又は標的)条件が元の(又は出発)条件と少なくとも10%異なる場合に、新しい(又は標的)定常状態条件(例えば、温度、圧力、流量)と元の(又は出発)定常状態との中間(すなわち、差の50%)に達する応答時間が、変化の半分を完了するために、少なくとも1秒か又はそれより更に長く、例えば10秒、少なくとも1分、少なくとも10分、又は1時間以上となることが想到される。
【0029】
タービン60を用いることによって調整することに加えて、本発明のプロセスは、タービン60内でのタービンホイール62の回転の結果として、電気を最適に生成する。電気の生成に関連する情報は、化学処理ユニットを制御するために利用されてもよい。更に、タービン以外の条件に関連付けられた情報が要因として考慮されてもよく、当該情報を用いて、タービン以外の条件に関連付けられた情報に部分的に基づいた発電目標を決定してもよい。化学処理ユニットのスループットに関連する情報が、発電目標値を決定するために利用されてもよい。いくつかのプロセスでは、処理ユニットのスループットは、タービンの抵抗が調整されている間も維持される。複数のタービンが化学処理ユニット内で利用されてもよく、したがって、そのプロセスは、タービンの発電量に基づいて総発電値を決定すること、並びに少なくとも1つの表示画面上にその総発電値を表示することを含んでもよい。
【0030】
上記の内容から分かるように、水素化処理反応器100などの、本プロセスで使用される化学処理ユニットは、プロセス制御システムを利用する。本明細書に開示される実施形態に関連して説明されるプロセス制御システムは、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)若しくは他のプログラム可能な論理デバイス、ディスクリートゲート若しくはトランジスタ論理、ディスクリートハードウェア構成要素、又は本明細書に記載される機能を実行するように設計されたそれらの任意の組み合わせを備えたコンピュータ上で実装又は実施され得る。汎用プロセッサはマイクロプロセッサであってもよく、あるいはプロセッサは、任意の従来のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、又はステートマシンであってもよい。プロセッサはまた、コンピューティングデバイスの組み合わせ、例えば、DSPとマイクロプロセッサとの組み合わせ、2つ以上のマイクロプロセッサ、又は前述の任意の他の組み合わせの組み合わせであってもよい。
【0031】
プロセス制御システムに関連付けられたプロセスのステップは、直接的にハードウェアに収容されたアルゴリズムとして、5つのプロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールとして、あるいはそれら2つの組み合わせとして具現化されてもよい。ソフトウェアモジュールは、RAMメモリ、フラッシュメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスタ、ハードディスク、取り外し可能ディスク、CD-ROM、又は当該技術分野において既知の任意の他の形態の記憶媒体内に存在してよい。例示的な記憶媒体は、記憶媒体から情報を読み取り、また記憶媒体に情報を書き込むプロセッサと通信する。これは、プロセッサに一体化されているか又はプロセッサと一体である記憶媒体を含む。プロセッサ及び記憶媒体は、ASIC内に存在してもよい。ASICは、ユーザ端末に存在してもよい。代替的に、プロセッサ及び記憶媒体は、ユーザ端末内の個別部品として存在してもよい。これらのデバイスは、単に、コンピュータ可読記憶媒体の例示的かつ非限定的な例とすることを意図したものである。プロセッサ及び記憶媒体又はメモリはまた、典型的には、入力チャネル、制御ロジックのプロセッサ、制御システム内の出力チャネル、及び制御センタ内のオペレータステーションの間など、異なる構成要素、コンピュータプロセッサなどの間の有線又は無線通信を可能にするハードウェア(例えば、ポート、インターフェース、アンテナ、増幅器、信号プロセッサなど)と通信する。
【0032】
コンピュータ及びプロセッサに対して通信しているとは、情報又はデータを送信及び受信する能力を指す。データ又は情報の送信は、(例えば、Wi-Fi又はBluetoothによる)無線送信又は(例えば、イーサネットRJ45ケーブル又はUSBケーブルを使用する)有線送信であり得る。無線送信の場合、無線送受信機(例えば、Wi-Fi送受信機)は、各プロセッサ又はコンピュータと通信する。送信は、コンピュータの要求を受けて、コンピュータからの要求に応じて、あるいは他の方式で自動的に実施され得る。データは、任意の組み合わせでプッシュ、プル、フェッチされてよく、あるいは任意の他の方式で送信及び受信されてもよい。
【0033】
したがって、本発明によれば、プロセス制御システムは、タービン60の発電量に関する情報を受信することが想到される。タービンの発電量をタービンが判定するか、あるいはそれに代わって、その情報を受信するプロセス制御システムが、発電量を判定することが想到される。いずれの構成においても、タービン60の発電量は、少なくとも1つの(例えば、制御センタ78内のコンピュータ76と通信する)表示画面80上に表示される。処理ユニットが複数のタービン60を備える場合、処理制御システムが、タービン60の各々の発電量に関連付けられた情報を受信することが更に想到される。処理制御システムは、タービン60の各々に関連付けられた情報に基づいて総発生電力を判定し、その総発生電力を表示する。総発生電力は、個々のタービン60が発電した電力の表示の代わりに表示されても、あるいはそれと共に表示されてもよい。
【0034】
上述のように、電気の回収は多くの場合、処理ユニット内のストリームに既に加えられているエネルギーをストリームから除去する必要性に基づいたものである。したがって、本発明によるプロセスは、最初に蒸気に加えられたエネルギーを低下させるために、調整される処理ユニットに関連付けられた様々なプロセス条件を提供することが想到される。電気は、典型的には処理ユニット全体に加えられるエネルギーを表すので、プロセス制御システムは、処理ユニットのスループットに関連付けられた情報を受信し、タービン60の目標発電値を決定することが想到される。目標発電力値の決定は、電気が所定のレベル又はその付近にあるときに行われてもよい。したがって、プロセス制御システムは、処理ユニットに関連付けられた様々なプロセス条件への1つ以上の変更を分析して、タービン60によって回収されるエネルギーの量を低下させる。好ましくは、処理条件は、処理ユニットのスループットを調整することなく調整される。これにより、処理ユニットは、より低い動作入力で同じ出力を有することが可能になる。プロセス制御ソフトウェアは、目標発電値と総発生電力との間の差を計算し、少なくとも1つの表示画面80上に表示してもよい。
【0035】
タービンの抵抗を調節して1つ以上の定常状態プロセス条件を調整することを利用することによって、タービンは、定常状態プロセス条件の調整に対する「低速制御」を可能にする。
【0036】
弁、ポンプ、フィルタ、冷却器などの様々な他の構成要素は、それらの詳細が十分に当業者の知識の範囲内であり、またそれらの説明が、本発明の実施形態の実践又は理解に必須ではないため、図面には示されていないことが、当業者には認識及び理解されるべきである。
特定の実施形態
【0037】
以下を特定の実施形態と併せて説明するが、この説明は、前述の説明及び添付の特許請求の範囲を例示するものであり、限定するものではないことが理解されるであろう。
【0038】
本発明の第1の実施形態は、化学処理ユニットの少なくとも1つの定常プロセス条件を制御するためのプロセスであって、化学処理ユニットの少なくとも1つのプロセス条件に関連付けられた流れを流体に付与するために、流体をタービンに通すことと、タービン内でタービンホイールを回転させることであって、タービンホイールは、発電機に回転運動を伝達するように構成されている、ことと、タービンを用いて発電することと、タービンを通る流体の流れを調整するために、タービンの抵抗を調節することであって、少なくとも10%の差の新しい定常状態プロセス条件に対する少なくとも1つの定常状態プロセス条件の応答時間は、少なくとも1つの定常状態プロセス条件とタービンの抵抗を調節した後の新しい定常状態プロセス条件との差の50%に到達するまでの少なくとも1秒である、ことと、によって、化学処理ユニットの少なくとも1つの定常プロセス条件を制御するためのプロセスを提供するものとして特徴付けられ得る。本発明のある実施形態は、本項の先の実施形態から本項の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、定常状態プロセス条件が、少なくとも1つの定常状態プロセス条件とタービンの抵抗を調整した後の新しい定常状態プロセス条件との差の50%に達する応答時間は、少なくとも10秒である。本発明のある実施形態は、本項の先の実施形態から本項の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、定常状態プロセス条件が、少なくとも1つの定常状態プロセス条件とタービンの抵抗を調整した後の新しい定常状態プロセス条件との差の50%に達する応答時間は、少なくとも1分である。本発明のある実施形態は、本項の先の実施形態から本項の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、タービンは入口を有し、複数の可変ガイドベーンはタービンの入口に配設されており、タービンの抵抗は、可変ガイドベーンの向きを変更することによって調節される。本発明のある実施形態は、本項の先の実施形態から本項の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、タービンは出口を有し、複数の可変ガイドベーンはタービンの出口に配設されており、タービンの抵抗は、可変ガイドベーンの向きを変えることによって調節される。本発明のある実施形態は、本項の先の実施形態から本項の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、タービンは可変ノズルタービンを含み、タービンの抵抗は、可変ノズルタービンの向きを変えることによって調節される。本発明のある実施形態は、本項の先の実施形態から本項の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、タービンの抵抗はタービンホイールを用いて調整される。本発明のある実施形態は、本項の先の実施形態から本項の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、タービンの抵抗は、ロータに加えられ、それによってロータトルクを変化させる電磁抵抗によって調整され、ロータはタービンホイールと連通している。本発明のある実施形態は、本項の先の実施形態から本項の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、化学処理ユニットの少なくとも1つの定常状態プロセス条件は温度を含む。本発明のある実施形態は、本項の先の実施形態から本項の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、化学処理ユニットの少なくとも1つの定常状態プロセス条件は圧力を含む。本発明のある実施形態は、本項の先の実施形態から本項の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、化学処理ユニットの少なくとも1つの定常状態プロセス条件は、化学処理ユニットにおいて用いられる化学物質の液位を含む。
【0039】
本発明の第2の実施形態は、化学処理ユニットの少なくとも1つの定常プロセス条件を制御するためのプロセスであって、化学処理ユニットの少なくとも1つのプロセス条件に関連付けられた流れを流体に付与するために、流体をタービンに通すことと、流体によってタービン内のタービンホイールを回転させることによって、タービンを用いて発電することであって、タービンホイールは、発電機に回転運動を伝達するように構成されている、ことと、タービンを通る流体の流れを調整するために、タービンの抵抗を調節することであって、少なくとも10%の差の新しい定常状態プロセス条件に対する少なくとも1つの定常状態プロセス条件の応答時間は、少なくとも1つの定常状態プロセス条件とタービンの抵抗を調節した後の新しい定常状態プロセス条件との差の50%に到達するまでの少なくとも1秒である、ことと、によって、化学処理ユニットの少なくとも1つの定常状態プロセス条件を制御するためのプロセスを提供するものとして、特徴付けられ得る。本発明のある実施形態は、本項の先の実施形態から本項の第2の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、タービンは入口を有し、複数の可変ガイドベーンはタービンの入口に配設されており、タービンの抵抗は、可変ガイドベーンの向きを変えることによって調節される。本発明のある実施形態は、本項の先の実施形態から本項の第2の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、タービンは出口を有し、複数の可変ガイドベーンはタービンの出口に配設されており、タービンの抵抗は、可変ガイドベーンの向きを変えることによって調節される。本発明のある実施形態は、本項の先の実施形態から本項の第2の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、タービンは可変ノズルタービンを含み、タービンの抵抗は、可変ノズルタービンの向きを変えることによって調節される。本発明のある実施形態は、本項の先の実施形態から本項の第2の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、タービンの抵抗はタービンホイールを用いて調整される。本発明のある実施形態は、本項の先の実施形態から本項の第2の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、タービンの抵抗は、ロータに加えられ、それによってロータトルクを変化させる電磁抵抗によって調整され、ロータはタービンホイールと連通している。本発明のある実施形態は、本項の先の実施形態から本項の第2の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、化学処理ユニットの少なくとも1つの定常状態プロセス条件は、温度と、圧力と、化学処理ユニットにおいて用いられる化学物質の液位とからなる群から選択される。本発明のある実施形態は、本項の先の実施形態から本項の第2の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、タービンの発電量に関する情報をタービンから受信することと、少なくとも1つの表示画面上に、タービンの発電量を表示することと、を更に含む。本発明のある実施形態は、本項の先の実施形態から本項の第2の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、タービン以外条件に関連付けられた情報を受信することと、タービン以外の条件に関連付けられた情報に部分的に基づいて、発電目標値を決定することと、を更に含む。本発明のある実施形態は、本項の先の実施形態から本項の第2の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、化学処理ユニットのスループットに関連付けられた情報を受信することを更に含み、発電力目標値は、化学処理ユニットのスループットに関連付けられた情報に部分的に基づいて決定される。本発明のある実施形態は、本項の先の実施形態から本項の第2の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、タービンの抵抗を調整している間も化学処理ユニットのスループットを維持することを更に含む。本発明のある実施形態は、本項の先の実施形態から本項の第2の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、化学処理ユニットは、電気を生成するようにそれぞれ構成された複数のタービンを備え、当該プロセスは、タービンの発電量に基づいて、総発電値を決定することと、少なくとも1つの表示画面上に総発電値を表示することと、を含む。
【0040】
更に説明することなく、前述の説明を用いて、当業者が、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく本発明を最大限に利用し、本発明の本質的な特性を容易に確認でき、本発明の様々な変更及び修正を行い、様々な使用及び条件に適合させることができると考えられる。したがって、先行する好ましい特定の実施形態は、単なる例示として解釈されるべきであり、いずれの方法によるかを問わず本開示の残りの部分を限定するものではなく、添付の特許請求の範囲内に含まれる様々な修正及び同等の構成を網羅することを意図するものである。
【0041】
上記では、全ての温度は摂氏度で記載され、全ての部及び百分率は、別途記載のない限り、重量基準である。
【0042】
本発明の前述の詳細な説明で、少なくとも1つの例示的な実施形態が提示されてきたが、膨大な数の変更例が存在することを理解されたい。例示的な実施形態又は複数の例示的な実施形態は、あくまで例であり、いかなるようにも本発明の範囲、適用性、又は構成を制限することを意図しないこともまた理解されるべきである。むしろ、前述の詳細な説明は、本発明の例示的な実施形態を実現するための便利な指針を当業者に提供するものであり、添付の特許請求の範囲及びそれらの法的均等物に記載される本発明の範囲から逸脱することなく、例示的な実施形態で説明される要素の機能及び配置において様々な変更がなされ得ることが理解される。