(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-15
(45)【発行日】2022-07-26
(54)【発明の名称】衝突防止の制御方法及び軌道走行車制御システム
(51)【国際特許分類】
G05D 1/02 20200101AFI20220719BHJP
B61B 13/00 20060101ALI20220719BHJP
【FI】
G05D1/02 S
B61B13/00 V
G05D1/02 P
(21)【出願番号】P 2021017315
(22)【出願日】2021-02-05
【審査請求日】2021-02-05
(32)【優先日】2020-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】517224908
【氏名又は名称】盟立自動化股▲フン▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100122471
【氏名又は名称】籾井 孝文
(72)【発明者】
【氏名】林 士偉
(72)【発明者】
【氏名】▲黄▼ 星陸
(72)【発明者】
【氏名】魏 文健
【審査官】黒田 暁子
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-002908(JP,A)
【文献】特開平05-066822(JP,A)
【文献】特開昭59-119414(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0361464(US,A1)
【文献】特開2005-284779(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/02
B61B 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御デバイス、複数の搬送車及び複数のレールを備える軌道走行車制御システムに適用される、衝突防止の制御方法であって、
前記制御デバイスは、前記搬送車のそれぞれが前記複数のレールの中の1つ前記レールを走行するように前記搬送車を駆動し得て、前記制御デバイスは、複数の前記レールを走行する複数の前記搬送車が互いに衝突することから回避するために、前記衝突防止の制御方法を実行し得て、前記衝突防止の制御方法は、
移載要求情報を受信する移載要求受信ステップと、
前記移載要求情報に基づいて、複数の前記搬送車の中のどれが、複数の前記レールの中のどれを走行するかを決める決定ステップであって、複数の前記レールの中の1つ前記レールに沿って移動するように決まった前記搬送車は、指定搬送車として定義され、前記指定搬送車が走行する少なくとも1つの前記レールは指定レールとして定義される決定ステップと、
前記移載要求情報及び前記指定搬送車の搬送車サイズデータに基づいて、移動経路及び移動空間を計画する経路計画ステップであって、前記移動空間は、前記指定搬送車が前記移動経路に沿って前記指定レールを走行する過程において、前記指定搬送車が占める空間の総和となる経路計画ステップと、
前記移動空間に確保された部分があるか否かを判断する判断ステップと、
を含み、
前記判断ステップにおいて、前記移動空間に確保された部分があった場合、前記指定搬送車が移動しないように制御する停止ステップを実行し、
前記移動空間に確保された部分がなかった場合、前記移動空間を確保する確保ステップと、前記指定搬送車が前記移動経路に沿って、少なくとも1つの前記指定レールを走行するように制御する移動ステップとを行い、
前記指定搬送車が前記移動経路に沿って、指定位置まで移動したとき、前記制御デバイスは、前記移動空間が確保できるようにするために、前記移動空間を解放
し、
前記経路計画ステップにおいて、前記制御デバイスは、前記移動経路及び搬送車姿勢情報に基づいて、前記移動空間を計画し、
前記移動空間は、前記指定搬送車が前記移動経路に沿って前記指定レールを走行する時、前記指定搬送車及び前記指定搬送車に配置された補助装置が走行する過程において占める空間の総和である、ことを特徴とする、衝突防止の制御方法。
【請求項2】
前記移動経路は、複数の走行路区間を含み、前記移動ステップの後、解放ステップをさらに含み、
前記解放ステップは、前記指定搬送車がフィードバックした現在位置情報に基づいて、前記移動空間における、前記指定搬送車が既に通過した前記走行路区間と対応する部分の確保を解放する、請求項1に記載の衝突防止の制御方法。
【請求項3】
前記軌道走行車制御システムは、複数のレール検知ユニット及び複数の搬送車検知ユニットを含み、複数の前記レール検知ユニットは互いに間隔をあけて前記レールのそれぞれに隣接するように位置され、前記レールのそれぞれは、複数の前記レール検知ユニットによって、複数の前記走行路区間に区画され、前記搬送車のそれぞれに、少なくとも1つの前記搬送車検知ユニットが配置され、
前記移動ステップにおいて、前記搬送車検知ユニットが複数の前記レール検知ユニットの中のいずれか1つを検出した時、或いは、複数の前記レール検知ユニットの中のいずれか1つが前記搬送車検知ユニットを検出した時、前記制御デバイスは、前記搬送車又は前記レール検知ユニットからの前記現在位置情報を受信する、請求項2に記載の衝突防止の制御方法。
【請求項4】
前記経路計画ステップにおいて、前記制御デバイスは、前記移動空間における複数のエンドポイント座標を記録し、
前記確保ステップにおいて、前記制御デバイスは、前記移動空間に対応する複数の前記エンドポイント座標を複数の確保済座標として記録し、
前記判断ステップにおいて、前記制御デバイスは、複数の前記エンドポイント座標及び複数の前記確保済座標に基づいて、前記移動空間のいずれか一部が確保された空間の一部と重ねるか否かについて判断する、請求項1に記載の衝突防止の制御方法。
【請求項5】
前記移載要求情報は、搬送車サイズデータを含み、
前記経路計画ステップにおいて、前記制御デバイスは、前記移動経路及び前記搬送車サイズデータに基づいて、前記移動空間を計画する、請求項1に記載の衝突防止の制御方法。
【請求項6】
前記補助装置は、検知器及び保持手段の少なくとも一方を含み、前記検知器は、前記搬送車の周囲環境を検出するために用いられ、前記保持手段は、移載対象物を保持又は移載するために用いられる、請求項
1に記載の衝突防止の制御方法。
【請求項7】
補助装置情報は、緊急停止距離データを含み、前記経路計画ステップにおいて、前記移動経路、前記搬送車サイズデータ、及び前記緊急停止距離データに基づいて、前記移動空間を計画する、請求項
1に記載の衝突防止の制御方法。
【請求項8】
前記移載要求情報は、移載対象物データを含み、前記移動空間は、前記指定搬送車が前記移動経路に沿って、前記指定レールを移動する過程において、前記指定搬送車及び前記指定搬送車に置かれた前記移載対象物が占める空間の総和である、請求項1に記載の衝突防止の制御方法。
【請求項9】
制御デバイス、複数の搬送車及び複数のレールを備える軌道走行車制御システムであって、
前記制御デバイスは、前記搬送車のそれぞれが前記複数のレールの中の1つ前記レールを走行するように前記搬送車を駆動し得て、前記制御デバイスは、複数の前記レールを走行する複数の前記搬送車が互いに衝突することから回避するために、移載要求情報を受信すると、前記移載要求情報に基づいて、複数の前記搬送車の中のどれが、複数の前記レールの中のどれを走行するかを決め、複数の前記レールの中の1つ前記レールに沿って移動するように決まった前記搬送車は、指定搬送車として定義され、前記指定搬送車が走行する少なくとも1つの前記レールは指定レールとして定義され、
前記制御デバイスは、前記移載要求情報及び前記指定搬送車の搬送車サイズデータに基づいて、移動経路及び移動空間を計画し、前記移動空間は、前記指定搬送車が前記移動経路に沿って前記指定レールを走行する過程において、前記指定搬送車が占める空間の総和となり、
前記制御デバイスは、前記移動空間に確保された部分があるか否かを判断し、前記移動空間に確保された部分があった場合、前記指定搬送車が移動しないように制御し、前記移動空間に確保された部分がなかった場合、前記移動空間を確保してから、前記指定搬送車が前記移動経路に沿って、少なくとも1つの前記指定レールを走行するように制御し、
前記指定搬送車が前記移動経路に沿って、指定位置まで移動したとき、前記制御デバイスは、前記移動空間が確保できるようにするために、前記移動空間を解放
し、
前記経路計画ステップにおいて、前記制御デバイスは、前記移動経路及び搬送車姿勢情報に基づいて、前記移動空間を計画し、
前記移動空間は、前記指定搬送車が前記移動経路に沿って前記指定レールを走行する時、前記指定搬送車及び前記指定搬送車に配置された補助装置が走行する過程において占める空間の総和である、ことを特徴とする、軌道走行車制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衝突防止の制御方法及び軌道走行車制御システムに関し、特に、軌道走行車システムに適用する衝突防止の制御方法、及び半導体製造分野に適用する軌道走行車制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
軌道走行車には様々な種類があり、様々な工場で物資を運ぶために広く使われている。工場内の複数の軌道走行車は無線通信により中央制御装置に接続されており、中央制御装置は、物を搬送するために利用者の要求に応じて各軌道走行車を特定された軌道に沿って走行させる。従来技術では、中央制御装置が、軌道走行車が走行するレールに他の軌道走行車が存在しないと判断した場合、中央制御装置は、そのレールに沿って走行するように車両を制御する。なお、実際には、レールに沿って移動する過程で、他のレールの軌道搬送車と衝突したり、他のレールの軌道搬送車が運搬している物品と衝突したりすることがしばしば発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、衝突防止の制御方法及び軌道走行車制御システムを開示する。主には、既存技術において、軌道走行車がレールに沿って移動する過程で、他のレールの軌道搬送車と衝突したり、他のレールの軌道搬送車が運搬している物品と衝突したりする課題を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に係る特定の実施形態において、下記のような衝突防止の制御方法が開示されている。該衝突防止の制御方法は、軌道走行車の制御システムに適用され、軌道走行車制御システムは、制御デバイス、複数の搬送車及び複数のレールを含む。制御デバイスは、搬送車のそれぞれが複数のレールにおける1つのレールに沿って走行するように、搬送車をそれぞれ制御し得る。制御デバイスは、複数のレールで走行する複数の搬送車が互いに衝突するのを避けるための衝突防止の制御方法を実行できる。衝突防止の制御方法は、移載要求情報を受信する移載要求受信ステップと、移載要求情報に基づいて、搬送車のそれぞれがどのレールに沿って走行するかについて決める、決定ステップであって、なかでも、所定のレールに沿って移動するように決まった搬送車は、指定搬送車とされ、指定搬送車が走行する少なくとも1つのレールとして決まったレールは、指定レールとされる決定ステップと、移載要求情報及び指定搬送車の搬送車サイズデータに基づいて、移動経路及び移動空間を計画する経路計画ステップであって、なかでも、移動空間は、指定搬送車が移動経路に沿って指定レールを走行する過程において、指定搬送車が占める空間の総和である経路計画ステップと、移動空間は一部が確保したか否かについて判断して、移動空間に確保された部分があった場合、指定搬送車を移動させない停止ステップを実行し、移動空間において確保された部分がなかった場合、移動空間を確保する確保ステップを実行する、判断ステップと、指定搬送車が移動経路に沿って少なくとも1つの指定レールを走行するように指定搬送車を制御する移動ステップであって、なかでも、指定搬送車が移動経路に沿って指定位置に移動した時、制御デバイスは、移動空間が確保できるようにするために移動空間を解放する移動ステップ、を含む。
【0005】
本発明に係る特定の実施形態は、下記のような軌道走行車制御システムを開示する。軌道走行車制御システムは、制御デバイス、複数の搬送車及び複数のレールを含む。制御デバイスは、搬送車が複数のレールにおける1つのレールを走行するように搬送車を制御し得る。制御デバイスは複数のレールで走行する複数の搬送車が互いに衝突するのを避けるための衝突防止の制御方法を実行することができる。衝突防止の制御方法は、移載要求情報を受信する移載要求受信ステップと、移載要求情報に基づいて、搬送車のそれぞれがどのレールに沿って走行するかについて決める、決定ステップであって、なかでも、所定のレールに沿って移動するように決まった搬送車は、指定搬送車とされ、指定搬送車が走行する少なくとも1つのレールとして決まったレールは、指定レールとされる決定ステップと、少なくとも指定搬送車の搬送車サイズデータに基づいて、移動経路及び移動空間を計画する経路計画ステップであって、なかでも、移動空間は、指定搬送車が移動経路に沿って少なくとも1つのレールを走行する場合、指定搬送車が走行する過程において占める空間の総和である、経路計画ステップと、移動空間は確保された部分があるか否かについて判断して、移動空間に確保された部分があった場合、指定搬送車を移動経路に沿って移動させない停止ステップを実行し、移動空間において確保された部分がなかった場合、移動空間を確保する確保ステップを実行する、判断ステップと、指定搬送車が移動経路に沿って少なくとも1つの指定レールを走行するように指定搬送車を制御する移動ステップであって、なかでも、指定搬送車が移動経路に沿って指定位置に移動した時、制御デバイスは、移動空間が確保できるようにするために移動空間を解放する移動ステップ、を含む。
【発明の効果】
【0006】
上記を踏まえて、本発明に係る衝突防止の制御方法及び軌道走行車制御システムは、移動経路及び移動空間を計画するには、指定搬送車の搬送車サイズデータを参照し、移動空間が確保された時、該移動空間が解放されるまで該移動空間を再度確保することができないため、指定搬送車が指定レールに沿って走行する過程において、指定搬送車が、互いに隣接して配置されたレール上の他の搬送車と衝突するという問題が生じない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明に係る軌道走行車制御システムを示すブロック模式図である。
【
図2】本発明に係る衝突防止の制御方法を示すフロチャートである。
【
図3】搬送車、レール及び移動空間にかかる特定の実施形態を示す上面模式図である。
【
図4】搬送車、レール及移動空間にかかる特定の実施形態を示す斜視模式図である。
【
図5】搬送車、レール及び移動空間にかかる特定の実施形態を示す上面模式図である。
【
図6】搬送車、レール及び移動空間にかかる特定の実施形態を示す上面模式図である。
【
図7】搬送車及び単位移動空間を示す斜視模式図である。
【
図8】搬送車、レール及び移動空間にかかる特定の実施形態を示す上面模式図である。
【
図9】搬送車、レール及び移動空間にかかる特定の実施形態を示す上面模式図である。
【
図10】搬送車、レール及び移動空間にかかる特定の実施形態を示す上面模式図である。
【
図11】搬送車、レール及び移動空間にかかる特定の実施形態を示す上面模式図である。
【
図12】搬送車、レール及び移動空間にかかる特定の実施形態を示す上面模式図である。
【
図13】搬送車、レール及び移動空間にかかる特定の実施形態を示す上面模式図である。
【
図14】搬送車、レール及び移動空間にかかる特定の実施形態を示す上面模式図である。
【
図15】搬送車、レール及び移動空間にかかる特定の実施形態を示す上面模式図である。
【
図16】搬送車、レール及び移動空間にかかる特定の実施形態を示す上面模式図である。
【
図17】搬送車、レール及び移動空間にかかる特定の実施形態を示す上面模式図である。
【
図18】本発明に係る衝突防止の制御方法の他の実施形態を示すフロチャートである。
【
図19】為搬送車、レール及び移動空間にかかる特定の実施形態を示す上面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の特徴及び技術内容がより一層分かるように、以下の本発明に関する詳細な説明と添付図面を参照する。しかし、提供される添付図面は参考と説明のために提供するものに過ぎず、本発明の請求の範囲を制限するためのものではない。
【0009】
図1を参照されたい。
図1は、本発明に係る軌道走行車制御システムを示すブロック模式図である。軌道走行車制御システム100は、制御デバイス1、複数の搬送車2及び複数のレール3を含む。制御デバイス1は、複数の搬送車2と通信接続される。制御デバイス1としては、例えば、ここでは特に限定されず、コンピューター機器、サーバー等であればどのようなものであってもよい。各搬送車2は、主に移載対象物(図示されない)を搬送するために用いられる。各搬送車2は、少なくとも1つのレール3を走行するように、制御デバイス1に制御される。各レール3の構成は、実際のニーズに応じて変更できる。例えば、一部のレール3が直線セクションのみを含み、一部のレール3が直線セクション及び湾曲セクションを含み、一部のレール3が互いに交差して連通されるように構成されてもよい。即ち、搬送車2は、特定のレール3に沿って、他のレール3に移動し得る。例えば、前記軌道走行車制御システム100としては、例えば、半導体製造工場においての天井式無人搬送設備(OHT)や、半導体製造工場においてのウェハ搬送用のレール式搬送システムが挙げられる。前記移載対象物としては、ウェハ用の密閉型カセット(FOUP)であってもよいが、本発明はこの例に制限されない。ところで、本発明に係る軌道走行車制御システム100は、磁気誘導式無人搬送車システムにも適用できる。
【0010】
制御デバイス1は、本発明に係る複数のレール3で走行する複数の搬送車2が互いに衝突するのを避けるための衝突防止の制御方法を実行できる。
図1及び
図2を一緒に参照されたい。
図2は、本発明に係る衝突防止の制御方法を示すフロチャートである。衝突防止の制御方法は、
移載要求情報を受信する移載要求受信ステップS1と、
移載要求情報を基づいて、どの搬送車がどのレールに沿って走行するかを決める決定ステップS2であって、なかでも、複数のレールの中における1つのレールに沿って走行するように決まった搬送車は、指定搬送車として定義され、指定搬送車が走行すると決まった少なくとも1つのレールは、指定レールとして定義される決定ステップS2と、
移載要求情報及び指定搬送車の搬送車サイズデータに基づいて、移動経路及び移動空間を計画する経路計画ステップS3であって、なかでも、移動空間は、指定搬送車が移動経路に沿って指定レールを走行する過程において、指定搬送車が占める空間の総和である経路計画ステップS3と、
移動空間に確保された部分があるか否かについて判断する判断ステップS4と、
を含む。
【0011】
移動空間に確保された部分があったと判断された場合、指定搬送車を移動させない停止ステップSXを実行する。
【0012】
移動空間に確保された部分がなかったと判断された場合、
移動空間を確保する確保ステップS5と、
指定搬送車が移動経路に沿って指定レールを走行するように指定搬送車を制御する移動ステップS6と、
を実行する。
【0013】
なかでも、指定搬送車が移動経路に沿って、指定位置まで走行した時、制御デバイスは移動空間を再確保できるように、その移動空間を解放する。
【0014】
実用上では、前記移載要求受信ステップS1において、制御デバイス1は、無線又は有線の形で外部の電子装置(例えば、あらゆる種類のコンピューター、サーバー、スマートフォン、タブレット等)から送信した移載要求情報を受信してもよい。或いは、制御デバイス1は、利用者の操作に応じて前記移載要求情報111を生成し得る入力装置11を含んでもよい。
【0015】
前記移載要求情報111は、例えば、移載対象物データ1111、起点位置データ1112及び終点位置データ1113を含んでもよい。前記移載対象物データ1111は、例えば、移載対象物の長さ、幅、高さ、シリアルナンバー、類型等を含んでもよい。前記起点位置データ1112は、例えば、移載対象物の現在の位置情報(例えば、3次元座標)であってもよい。前記終点位置データ1113は、移載対象物の搬送先の3次元座標であってもよい。別の実施形態において、起点位置データ1112及び終点位置データ1113はそれぞれ、2つのワークステーションの3次元座標とされてもよい。
【0016】
決定ステップS2において、制御デバイス1は、例えば移載対象物データ1111に基づいて、どの種類の搬送車2が該移載対象物の搬送に向いているかを決めて、さらに、制御デバイス1は、起点位置データ1112に基づいて、起点位置の周りにアイドル状態にある搬送車2があるか否かについて判断し、起点位置の最寄りのアイドル状態にある搬送車2を指定搬送車とする。最後に、制御デバイス1は、さらに起点位置データ1112、終点位置データ1113及び指定搬送車の現在位置に基づいて、複数のレール3において、どれ、又はどれとどれを指定レールとするかに決める。実用上では、工場ではサイズ又は外形が様々な複数の搬送車2が設けられてもよい。決定ステップS2において、制御デバイス1は、移載対象物のサイズ、外形に基づいて、どの搬送車2で指定搬送車とするかについて決めてもよい。
【0017】
実用上では、移載要求情報111は、搬送車サイズデータ1114を含んでもよいが、その例には制限されない。別の実施形態において、搬送車サイズデータ1114は、制御デバイス1が移載要求情報111に基づいて、関わるデータベースから調べるものであってもよい。即ち、従業員が入力装置11に介して、搬送しようとする移載対象物、搬送起点、及び搬送終点等のデータを入力することで、制御デバイス11は、従業員が入力装置11に介して入力したデータに基づいて、前記移載要求情報111を生成してもよい。
【0018】
図2及び
図3に示すように、
図3は、搬送車、レール及びワークステーションを示す上面模式図である。制御デバイス1が受信した移載要求情報111が、移載対象物を載置するために搬送車2をまず隣接のワークステーションAに移動させ、さらに、前記移載対象物をワークステーションBに隣接する位置に移動させる。そのように、制御デバイス1が前記決定ステップS2を実行する時、レール31、レール32及びレール33を前記指定レールにしてもよい。かつ、制御デバイス1が前記経路計画ステップS3を実行する時、制御デバイス1は、レール31のセクション311、レール32のセクション321、及びレール33のセクション331を前記移動経路にしてもよい。その後、制御デバイス1が移動ステップS6を実行する時、指定搬送車2がワークステーションAに隣接する位置に移動させてから、制御デバイス1は、移載対象物を指定搬送車2に移載するように、ワークステーションAの機械アーム又は関連する移載用設備を制御する。その後、制御デバイス1は、移載対象物を載置している指定搬送車2がワークステーションAに隣接する位置から出発して、順序にレール31のセクション311、レール32のセクション321、及びレール33のセクション331に沿ってワークステーションBに隣接する位置まで移動吸うように、移載対象物を載置している指定搬送車2を制御する。指定搬送車2がワークステーションBに隣接する位置に移動した時、制御デバイス1は、ワークステーションBの関連移載用設備(例えば、機械アーム)によって、移載対象物を指定搬送車2から卸す。
【0019】
ところで、制御デバイス1は、さらに表示装置(例えば、各種のモニター)を含んでもよい。従業員は、表示装置を介して、制御デバイス1が実行する最中のステップがどれかを監視することができる。例えば、制御デバイス1が移載要求受信ステップS1を実行する時、従業員は、表示装置に表示された画面に移載要求情報に含まれる内容を確認することができる。制御デバイス1が決定ステップS2を実行する時、従業員は、表示装置に表示される画面に工場でのレール部分図及び搬送車の位置を確認できるし、複数のレールにおいてどれとどれが指定レールであり、どの搬送車が指定搬送車であることも確認できる。
【0020】
図3乃至
図5を一緒に参照されたい。
図4及び
図5はそれぞれ、搬送車、レール及び移動空間を示す斜視模式図及び上面模式図である。前記経路計画ステップS3における移動空間SPとは、搬送車2が指定レール31のセクション331、指定レール32のセクション321、指定レール33のセクション331に沿って、ワークステーションAに隣接する位置からワークステーションBに隣接する位置まで移動する過程において、搬送車2が立体空間で占める空間の総和である(即ち、図面において網点パターンで示した領域)。
【0021】
実用上では、制御デバイス1が前記移動空間SPを計画する時、搬送車サイズデータ1114の他、移動経路及び指定レールなどのデータによって、現実空間において搬送車2の移動方式を判断することによって、現実空間において、搬送車2に適合する移動方式となる前記移動空間SPを計画することができる。具体的に、
図4及び
図5に示すように、搬送車2がワークステーションAに隣接する位置から、レール31に沿ってワークステーションBに隣接する位置まで移動する過程において、搬送車2は2回の曲がりをする。なお、制御デバイス1が移動空間SPを計画する時、移動経路及び搬送車サイズデータ1114に基づいて、搬送車2が曲がる時に必要な曲がり角をまず算出してから、それによって、対応する移動空間SPを計画する。
【0022】
即ち、本発明に係る衝突防止の制御方法における前記経路計画ステップS3では、指定レールに湾曲セクションがある実施形態に向いている。制御デバイス1が経路計画ステップS3を実行する時、さらに搬送車2が指定経路に沿って移動する過程において、曲がりをするか否かについて判断する。制御デバイス1が、搬送車2が指定経路に沿って走行する過程において曲がりをすると判断した場合、移動空間SPを計画する時、制御デバイス1は、搬送車2が曲がるセクションに対して追加の計画及び計算を行い、それにより、搬送車2が指定レールに沿って移動する過程において占める現実的に占用する空間と一層一致するように、移動空間SPを計画し得る。
【0023】
制御デバイス1が、搬送車2が移動過程において曲がりをすると判断した場合、制御デバイス1はどのように追加の計画及び計算を行うかについては、実際のニーズに応じて変更できるため、ここでは制限されない。例えば、
図6は、搬送車、レール及び移動空間の他の実施形態を示す上面模式図である。制御デバイス1が、搬送車2が指定レールに沿って移動する過程において曲がりをすると判断した時、制御デバイス1は、移動空間を計画する時、移動経路Pにおける直線セクションP1、P3、P5、及び移動経路Pにおける湾曲セクションP2、P4を別々で計画を作るようにしてもよい。制御デバイス1が移動経路Pにおける直線セクションP1、P3、P5について計画を作る時、搬送車2の長さ、幅、高さに基づいて計画するのに対して、制御デバイス1が移動経路Pにおける湾曲セクションP2、P4について計画する時、ここではただの例であり、この方法に限らないが、搬送車2の例えば、2倍の長さ、2倍の幅、及び1倍の高さに基づいて計画してもよい。そのように、計画した移動空間が、現実状況で搬送車2が移動または曲がる時に占める範囲をちゃんとカバーすることができる。前記に踏まえて、制御デバイス1はついに二種類の移動空間SP1、SP2を作り出し、その中、移動空間SP1のカバー範囲は、およそ搬送車2のサイズに等しい、移動空間SP2のカバー範囲は、およそ搬送車2よりも大きいとなり、そのように、搬送車2が曲がる時に占める空間をカバーする。
【0024】
図7は、指定搬送車及び一部の移動空間を示す模式図である。特定の実施形態において、制御デバイス1が経路計画ステップS3を実行する時、制御デバイス1が、静止している指定搬送車2に対して計画した移動空間SPにおける長さD1、幅D2及び高さD3のいずれも指定搬送車2の長さD4、幅D5及び高さD6の所定倍数(実際の数はニーズに応じて変更でき、ここでは制限されない)にされてもよい。即ち、制御デバイス1が計画した移動空間SPの体積は、指定搬送車2が空間で実際に占用する空間の体積よりも大きくなる。そのように、指定搬送車2が移動経路に沿って移動する過程において、他の搬送車と互いに衝突することをよりうまく避けることができる。
【0025】
実用上では、移動空間SPの長さD1と指定搬送車2の長さD4との倍数関係、移動空間SPの幅D2と指定搬送車2の幅D5との倍数関係、及び移動空間SPの高さD3と指定搬送車2の高さD6との倍数関係は、完全に一致してもよいか、一部が同じであってもよいが、完全に異なりであってもよい。例えば、長さD1、幅D2及び高さD3は、ずれも長さD4、幅D5及び高さD6の1.5倍であってもよいが、或いは、長さD1、幅D2が長さD4、幅D5の1.5倍となり、高さD3が高さD6の1倍となるか、また、長さD1が長さD4の1.5倍となり、幅D2が幅D5の2倍となり、高さD3が高さD6の1倍となってもよい。
【0026】
図1及び
図8を一緒に参照されたい。
図8は、搬送車、レール及び移動空間にかかる特定の実施形態を示す上面模式図である。
図1に示すように、制御デバイス1が移動空間SPを計画する時、搬送車サイズデータ1114、移動経路及び搬送車姿勢情報12に基づいて計画をしてもよい。具体的に、搬送車2がレール3に沿って工場で走行する過程において、搬送車2は、レール3周辺の機械や設備と衝突しないために、工場内のいくつかの機械の配置に合わせて、各種の姿勢でレール3を走行しなければならない場合もある。例えば、
図8に示すように、搬送車2がレール31のセクション311を走行する過程において、搬送車2の長辺21はレール31に実質的に平行となり、なお、搬送車2がレール32のセクション321を走行する過程において、搬送車2の長辺21がレール32に実質的に垂直となるように姿勢を変更する場合もある。この例では、制御デバイス1が計画した移動空間は、2つの第1の空間セクションSP3、及び第2の空間セクションSP4を含み、第1の空間セクションSP3は搬送車2の長辺21がレール31に実質的に平行となる姿勢で計画を作った。一方、第2の空間セクションSP4は、搬送車2の長辺21がレール32に実質的に垂直となる姿勢で計画を作った。
【0027】
図1及び
図9を一緒に参照されたい。
図9は、搬送車、レール及び移動空間にかかる特定の実施形態を示す上面模式図である。特定の実施形態において、前記経路計画ステップS3において、制御デバイス1が移動経路及び移動空間SPを計画する時、制御デバイス1は、移載対象物データ1111及び搬送車サイズデータ1114を共に使って計画を作ってもよい。具体的に、移載対象物4が搬送車2に配置された時、移載対象物4の一部が搬送車2における長さ方向、幅方向、高さ方向のいずれかの方向から搬送車2の範囲から突き出す場合もあるため、制御デバイス1が移動経路及び移動空間SPを計画する時、搬送車サイズデータ1114及び移載対象物データ1111を共に参考して計画を作るようになってもよい。なお、制御デバイス1が最後作り出した移動空間SPは、指定搬送車及び指定搬送車に載せた移載対象物4が指定レールを走行する過程において占める空間の総和となる。
【0028】
実用上では、工場中における各レールと工場における他の設備との間の距離は定値とは限らないため、移載対象物4が搬送車2に置かれる時搬送車2から突き出す実施形態において、制御デバイス1が移動経路及び移動空間SPを計画する時、移載対象物データ1111及び搬送車サイズデータ1114を共に参照しないと、搬送車2及びそれに載せた移載対象物4が指定レールに沿って移動する時、搬送車2及びそれに載せた移載対象物4と、指定レールの周りに配置された関連設備とが衝突してしまう等の問題が起きる。勿論、工場は空間が相対的に広い時、制御デバイス1が移動経路及び移動空間SPを計画する時、移載対象物データ1111を参照しなくてもよい。
【0029】
特定の実施形態において、制御デバイス1が経路計画ステップS3を実行する時、制御デバイス1は、移動経路における異なる走行路区間において搬送車2が移載対象物4を載置するかに基づいて、移動空間の計画を作ってもよい。即ち、制御デバイス1は、搬送車2が移載対象物を載置する走行路区間に対して計画した移動空間が、搬送車2が移載対象物を載置しない走行路区間に対して計画した移動空間よりも大きくなるようにしてもよい。
【0030】
図1及び
図10を一緒に参照されたい。
図10は、搬送車、レール及び移動空間にかかる特定の実施形態を示す上面模式図である。
図10に示すように、制御デバイス1は、前記経路計画ステップS3を実行する時、制御デバイス1は、少なくとも指定搬送車の搬送車サイズデータ1114及び補助装置情報13に基づいて、移動経路及び移動空間SPを計画する。移動空間SPは、指定搬送車が移動経路に沿って指定レール3を走行する時、指定搬送車、及び指定搬送車に配置された補助装置5が移動の過程において占用する空間の総和である。前記補助装置情報13は、少なくとも補助装置5のサイズデータ(例えば、長さ、幅、高さ等)を含み、かつ、補助装置情報13は、例えば、制御デバイス1のデータベース又は関連メモリに予め格納されるものであってもよい。
【0031】
補助装置5とは、搬送車2に配置されて、搬送車2から突き出す装置、構造、部材等の総称であり、即ち、補助装置5は、搬送車2の幅、長さまたは高さを増加する装置、構造、部材等という。例えば、補助装置5は、検知器51又は保持手段52の少なくとも一方を含んでもよい。検知器51は、搬送車2の周囲環境を検知するために用いられる。保持手段52は、移載対象物(図示されない)を保持または移載するために用いられる。前記検知器51としては、例えば、周囲環境を判断するために搬送車2をサポートするものであればよい、例えば、レーザー送信機、レーザー受信機、超音波送信機、超音波受信機等が挙げられる。前記保持手段52としては、移載対象物を挟持できるいずれの関連構成であってもよい、例えば、各種の機械アームが挙げられるが、本発明は上記の例に制限されない。
【0032】
ところで、特定の実施形態において、補助装置情報13はさらに緊急停止距離データ131(例えば、
図1に示すように)を含んでもよい。搬送車2がレール3を走行する過程において、検知器51は、緊急停止距離データ131に基づいて、搬送車2が停止するかと選択的に搬送車2を制御し、それにより、搬送車2が予期外のものと衝突するのを防止するようになる。例えば、検知器51が搬送車2のいずれか一側の直前の50センチ以内(即ち、緊急停止距離)に何かが現れる時、検知器51は即刻搬送車2を停止させる。そのように、補助装置情報13が前記緊急停止距離データ131を含む実施形態において、制御デバイス1が移動空間SPの計画を作る時、さらに緊急停止距離データ131を参照することになる。それで、搬送車2が移動経路を走行する過程において、検知器51がレールに位置しない物を検出することで、搬送車2が停止されてしまう状況を防止することができる。
【0033】
例えば、
図11に示すように、
図11は、搬送車、レール及び移動空間にかかる特定の実施形態を示す上面模式図である。制御デバイス1が計画した移動空間SPは、搬送車2の走行方向でない方向にカバーした範囲は、検知器51の緊急停止距離Lよりも大きい。そのため、移動空間SPが確保された上に、搬送車2が移動経路を走行する過程において、移動空間SPが既に確保されたため、他の搬送車2は該移動空間SPの一部を確保できない。そのため、搬送車2に配置された検知器51は、基本的に、搬送車2の走行方向でない方向における緊急停止距離L内に検知を行うことはしないのが好ましい。
【0034】
図12を参照されたい。特定の実施形態において、移動経路Pは、第1の平面走行路区間P6、縦方向走行路区間P7及び第2の平面走行路区間P8を含んでもよい。搬送車2は、まず第1の平面M1(即ち、図面に示したX-Y平面にかかる特定の平面に平行となる平面)で移動してから、さらに縦方向(即ち、図面に示したZ軸方向)に沿って移動して、最後に第2の平面M2(即ち、図面に示したX-Y平面にかかる特定の平面に平行となる平面)で移動するようになる。なかでも、第1の平面M1及び第2の平面M2としては、例えば、異なるフローア、や同じフローアが異なる高さの平面であってもよい。搬送車2が縦方向走行路区間P7に沿って走行する方式は、レール3そのものが縦方向に沿って配置されるようになってもよいか、或いは、エレベーターの形で行ってもよい。
【0035】
図13を参照されたい。
図13は、搬送車、レール及び移動空間にかかる特定の実施形態を示す模式図である。指定搬送車2AがワークステーションAに隣接する位置からワークステーションBに隣接する位置まで移動するための移動空間SP5の何れか一部が確保されたか否かについて判断するために、制御デバイス1が判断ステップS4を行う時に、他の搬送車2BがワークステーションCに隣接する位置からワークステーションDに隣接する位置に移動するための移動空間SP6は既に確保されているため、制御デバイス1は、指定搬送車2AがワークステーションAに隣接する位置からワークステーションBに隣接する位置まで移動するための移動空間SP5の一部が、他の搬送車2BがワークステーションCに隣接する位置からワークステーションDに隣接する位置まで移動するための移動空間SP6の部分と互いに重ねるかについて判断を行う。移動空間SP5、SP6では重ねる部分がない場合、制御デバイス1は、指定搬送車2AがワークステーションAに隣接する位置からワークステーションBに隣接する位置まで移動するための移動空間SP5を確保して、さらに指定搬送車2AをワークステーションAに隣接する位置からワークステーションB隣接する位置まで移動させるように、確保ステップS5及び移動ステップS6を続いて実行する。
【0036】
図2及び
図14を一緒に参照されたい。
図14は、搬送車、レール及び移動空間にかかる特定の実施形態を示す模式図である。制御デバイス1が判断ステップS4を実行して、指定搬送車2AがワークステーションAに隣接する位置からワークステーションBに隣接する位置まで移動するための移動空間SP5の一部が、他の搬送車2CがワークステーションDに隣接する位置からワークステーションEに隣接する位置まで移動するための移動空間SP7と互いに重ねていると判断した時、即ち、制御デバイス1が移動空間SP5の何れか一部が他の確認された空間と重ねていると判断した場合、制御デバイス1は、指定搬送車2Aを移動させないように、停止ステップSXを実行する。制御デバイス1が停止ステップSXを実行した後、制御デバイス1は、所定時間を待機した後、再び判断ステップS4を実行してもよい。実用上では、制御デバイス1が経路計画ステップS3を実行する時は、前記指定搬送車が指定経路を走行するために必要な時間を同時に記録するようになってもよい。そのように、制御デバイス1は正確な時間で、判断ステップS4を再実行することができる。
【0037】
例えば、制御デバイス1は、指定搬送車2AがワークステーションAに隣接する位置からワークステーションBに隣接する位置まで移動するための移動空間SP5の一部が、他の搬送車2CがワークステーションDに隣接する位置からワークステーションEに隣接する位置まで移動するための移動空間SP7の一部と互いに重ねると判断した時、制御デバイス1は、データベースにおいて、搬送車2CがワークステーションDに隣接する位置からワークステーションEに隣接する位置まで移動するために必要な時間を調べる。搬送車2CがワークステーションDに隣接する位置からワークステーションEに隣接する位置までに移動するために必要な時間が10分である場合、制御デバイス1は、10分を経た後、判断ステップS4を改めて実行する。
【0038】
ところで、制御デバイス1が停止ステップSXを実行する時、制御デバイス1は、指定搬送車が起点位置に停止するように指定搬送車を制御する。かつ、制御デバイス1は、指定搬送車が前記起点位置にあるときに占める空間を確保することにより、他の搬送車2はその空間を確保できない。例えば、
図15を参照されたい。
図15は、搬送車、レール及び移動空間にかかる特定の実施形態を示す上面模式図である。指定搬送車がワークステーションAに隣接する位置に停められるために、制御デバイス1が判断ステップS4を実行した後、停止ステップSXを実行する。そして、他の搬送車2DがワークステーションEに隣接する位置からワークステーションAに隣接する位置まで移動する過程において占める移動空間SP8が確保されたかどうかについて判断するために、制御デバイス1は他の判断ステップS4を行う。制御デバイス1は、ワークステーションAに隣接する位置に搬送車2Aが停まっているため、搬送車2DがワークステーションEに隣接する位置からワークステーションAに隣接する位置まで移動するための移動空間SP8の一部が確保されたと判断するため、さらに、停止ステップSXを実行するようになる。
【0039】
実用上では、制御デバイス1の制御によって、指定搬送車が指定レールに沿って、指定位置に移動したとき、制御デバイス1は、対応する移動空間を解放し、それで、該移動空間は再び確保できるようになる。例えば、
図14及び
図16を参照されたい。
図16は、搬送車、レール及び移動空間にかかる特定の実施形態を示す上面模式図である。指定搬送車2AがワークステーションAに隣接する位置からワークステーションBに隣接する位置(即ち、指定位置)まで移動した後、元々指定搬送車2AがワークステーションAに隣接する位置からワークステーションBに隣接する位置まで移動するために占めている移動空間SP5は、確保された状態と示されないようになる。この場合、制御デバイス1は、他の搬送車2DがワークステーションEに隣接する位置からワークステーションAに隣接する位置まで移動するために必要な移動空間SP8を確保できるようになる。
【0040】
具体的な応用では、経路計画ステップS3において、制御デバイス1は、移動空間における複数のエンドポイント座標を記録するように実行されてもよい。確保ステップS5において、制御デバイス1は、移動空間に対応する複数のエンドポイント座標を確保済座標として記録する。なお、他の判断ステップS4において、制御デバイス1は、移動空間における複数のエンドポイント座標及び複数の確保済座標に基づいて、プログラムに介して、移動空間におけるいずれか一部が確保された空間の一部と重ねるか否かについて判断することができる。
【0041】
図1、
図2、
図17及び
図18を参照されたい。
図17は、局部的なレール及び搬送車を示す上面模式図である。
図18は、本発明に係る衝突防止の制御方法の他の実施形態を示すフロチャートである。軌道走行車制御システム100はさらに複数のレール検知ユニット6及び複数の搬送車検知ユニット7を含んでもよい。複数のレール検知ユニット6は互いに間隔をあけて各レール3に隣り合うように配置される。レール3のそれぞれは、複数のレール検知ユニット6によって、複数の走行路区間Rに区画される。搬送車2のそれぞれは、少なくとも1つの搬送車検知ユニット7が配置される。制御デバイス1が移動ステップS6を実行する時に、搬送車検知ユニット7がいずれか1つのレール検知ユニット6を検出したとき、或いは、いずれか1つのレール検知ユニット6が搬送車検知ユニット7を検出したとき、制御デバイス1は、搬送車2又はレール検知ユニット6が送信する現在位置情報8を受信する。
【0042】
具体的に、レール検知ユニット6としては、例えば、一次元バーコード、二次元バーコードまたは無線周波数(RFID)タグが挙げられる。搬送車検知ユニット7としては、対応的に、バーコードスキャナー(barcode reader)または無線周波数リーダー(RFID reader)が挙げられる。搬送車2がレール3を走行する時、搬送車検知ユニット7は、レール検知ユニット6に格納されたデータ(例えば、立体座標データを含むデータ)を読み込んで、そのデータに基づいて、搬送車2自身に関するデータを前記現在位置情報8として、制御デバイス1に送信する。なお、制御デバイス1は、現在位置情報8に基づいて、現在、どの搬送車2がどのレール検知ユニット6を通過しているかについて認識することができる。
【0043】
複数のレール検知ユニット6及び搬送車検知ユニット7を配置することによって、制御デバイス1が前記移動ステップS6を行った後、さらに、解放ステップS7を実行してもよい。解放ステップS7では、指定搬送車がフィードバックした現在位置情報に基づいて、移動空間において、指定搬送車がすでに通過した走行路区間に対応する部分の確保を解放するステップである。即ち、制御デバイス1は、指定搬送車がフィードバックした現在位置情報8に基づいて、指定搬送車がすでに通過した走行路区間Rに対応する空間の確保を解放することによって、指定搬送車がすでに通過した走行路区間Rの空間が確保できる空間とするというステップである。
【0044】
具体的に、
図17に示すように、指定搬送車2Aが既にレール検知ユニット6Aを通過したとき、制御デバイスは、指定搬送車2Aを介して発信された現在位置情報に基づいて、指定搬送車2Aが既にレール検知ユニット6Aを通過したことを認識できる。なお、制御デバイス1は、それに基づいてレール検知ユニット6Aの周りの空間の確保を解放する。そのように、制御デバイスは、他の移載要求情報に基づいて、他の搬送車2EがワークステーションFに隣接する位置からワークステーションGに隣接する位置まで移動するための移動空間SP9を確保できる。
【0045】
特定の実施形態において、制御デバイス1は、指定搬送車2Aが所定数量のレール検知ユニット6を通過した後、それらのレール検知ユニット6における少なくとも1つの対応的な空間を解放するようにしてもよい。例えば、
図19を参照されたい。
図19は、搬送車、レール及び移動空間にかかる特定の実施形態を示す上面模式図である。指定搬送車2Aがレール検知ユニット6A、6Bを順序に通過した場合、制御デバイス1は、指定搬送車2Aが順序に送信された2つの現在位置情報8A、8Bを受信した。その時、制御デバイス1は、指定搬送車2Aが後ろから2番目のレール検知ユニット6Aが対応する空間SP10のみを解放して、指定搬送車2Aがレール検知ユニット6Bを通過した直後に対応する空間SP11を解放しないようにしてもよい。そのように、指定搬送車2Aが他の搬送車との衝突をよりうまく回避できる。
【0046】
制御デバイス1が表示装置を備える実施形態において、表示装置としては、工場にあるすべてのレール、各搬送車の現在位置、及び現在確保された移動空間の範囲を示すものであってもよい。従業員は、表示装置を見ることによって、各搬送車の現在位置、及び各搬送車の移動経路、及び対応的な移動空間などの情報を確認できる。
【0047】
実用上では、搬送車2と制御デバイス1との間に同期定位・マッピング(simultaneous localization and mapping, SLAM)技術、磁気ストライプ誘導技術等が利用され、TCP、UDP、メッセージキュー等の伝送の連携、通信に各種無線通信技術(例えば、5G、WiFi(登録商標)等)が運用されることにより、制御装置1は、各搬送車2の現在位置をリアルタイムで知ることができる。
【0048】
上記を踏まえて、本発明に係る衝突防止の制御方法及び軌道走行車制御システムは、レールを走行する搬送車が互いに衝突する確率を大幅に減少できる。
【0049】
以上に開示される内容は、好ましい本発明の可能な実施形態に過ぎず、発明の範囲を限定することを意図していない。そのため、本発明の明細書及び図面でなされた均等的な技術的変形は、全て本発明の請求の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0050】
100 軌道走行車制御システム
1 制御デバイス
11 入力装置
111 移載要求情報
1111 移載対象物データ
1112 起点位置データ
1113 終点位置データ
1114 搬送車サイズデータ
12 搬送車姿勢情報
13 補助装置情報
131 緊急停止距離データ
2 搬送車
21 長辺
2A 搬送車
2B 搬送車
2C 搬送車
2D 搬送車
2E 搬送車
3 レール
31 レール
311 セクション
32 レール
321 セクション
33 レール
331 セクション
4 移載対象物
5 補助装置
51 検知器
52 保持手段
6、6A、6B レール検知ユニット
7 搬送車検知ユニット
8、8A、8B 現在位置情報
A、B、C、D、E、F、G ワークステーション
D1、D4 長さ
D2、D5 幅
D3、D6 高さ
P 移動経路
P1、P3、P5 直線セクション
P2、P4 湾曲セクション
P6 第1の平面走行路区間
P7 縦方向走行路区間
P8 第2の平面走行路区間
R 走行路区間
SP、SP1、SP2、SP5~SP11 移動空間
SP3 第1の空間セクション
SP4 第2の空間セクション
S1~S7、SX ステップ
M1 第1の平面
M2 第2の平面