(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-15
(45)【発行日】2022-07-26
(54)【発明の名称】離着陸装置及び熱源機
(51)【国際特許分類】
B64F 1/36 20170101AFI20220719BHJP
B64C 27/08 20060101ALI20220719BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20220719BHJP
B64D 27/24 20060101ALI20220719BHJP
B64D 45/04 20060101ALI20220719BHJP
B64D 47/08 20060101ALI20220719BHJP
B64F 1/12 20060101ALI20220719BHJP
B64F 1/18 20060101ALI20220719BHJP
F24F 1/56 20110101ALI20220719BHJP
F24F 11/56 20180101ALI20220719BHJP
F24F 11/64 20180101ALI20220719BHJP
F24F 11/74 20180101ALI20220719BHJP
F24F 110/32 20180101ALN20220719BHJP
F24F 120/12 20180101ALN20220719BHJP
F24F 140/00 20180101ALN20220719BHJP
【FI】
B64F1/36
B64C27/08
B64C39/02
B64D27/24
B64D45/04 Z
B64D47/08
B64F1/12
B64F1/18
F24F1/56
F24F11/56
F24F11/64
F24F11/74
F24F110:32
F24F120:12
F24F140:00
(21)【出願番号】P 2021018509
(22)【出願日】2021-02-08
(62)【分割の表示】P 2017123174の分割
【原出願日】2017-06-23
【審査請求日】2021-02-25
(73)【特許権者】
【識別番号】505461072
【氏名又は名称】東芝キヤリア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】稲本 淳也
(72)【発明者】
【氏名】照井 一暉
(72)【発明者】
【氏名】小澤 哲朗
(72)【発明者】
【氏名】山田 好博
(72)【発明者】
【氏名】駒崎 就哉
【審査官】志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-085934(JP,A)
【文献】国際公開第2017/029611(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0039861(US,A1)
【文献】米国特許第04700912(US,A)
【文献】国際公開第2017/006421(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 27/00
B64C 39/00
B64D 45/00
B64D 47/00
B64F 1/00
F24F 1/00
F24F 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋外に設置され、自機の上方に送風するファンおよび
前記ファンの運転を制御す
る熱源機の上部に着脱可能
であり、無人航空機が離着陸可能なスペースを提供する離着陸部と、
複数の離着陸装置の中から前記無人航空機を着陸させる離着陸装置を決定する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記複数の離着陸装置の離着陸部が設置された複数の熱源機の運転に関する運転情報を取得し、取得した前記運転情報に基づいて、前記複数の離着陸装置の中から前記無人航空機を着陸させる離着陸装置
を決定
する、
離着陸装置。
【請求項2】
前記離着陸部に点灯によって前記無人航空機を誘導する誘導部を設け、
前
記制御部は、前記誘導部の点灯態様を制御することによって前記無人航空機の着陸を支援する、
請求項1に記載の離着陸装置。
【請求項3】
屋外に設置される熱源機であって、
自装置の上方に送風するファンおよび
前記ファンの運転を制御す
る室外機と、
前記室外機の上部に、無人航空機が離着陸可能なスペースを提供する離着陸部と、
複数の熱源機の中から前記無人航空機を着陸させる熱源機を決定する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記複数の熱源機の運転に関する運転情報を取得し、取得した前記運転情報に基づいて、前記複数の熱源機の中から前記無人航空機を着陸させる熱源機
を決定
する、
熱源機。
【請求項4】
前記離着陸部又は前記室外機付近に位置する人体を検出する検出部
と、
前記離着陸部に着陸した前記無人航空機を充電する充電部と、
をさらに備え、
前
記制御部は、前記検出部の検出結果に基づいて、前記無人航空機の離着陸及び充電に関する処理を中断又は中止する、
請求項3に記載の熱源機。
【請求項5】
前記離着陸部は、前記ファンの上部に設置され、前記離着陸可能なスペースとなる部材を備え、
前記部材は、板面を略垂直方向に貫通する複数の孔を有する板状部材を用いて構成される、
請求項3または4に記載の熱源機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、離着陸装置及び熱源機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ドローンと呼ばれるUAV(Unmanned Aerial Vehicle:無人航空機)が注目されている。そして、従来、このUAVの離着陸地である基地又は中継地として機能する装置(以下「UAVポート」という。)が開発されている。しかしながら、UAVポートは、UAVが着陸可能な広さを有し、かつ上空が広い空き空間となっている場所に設置される必要がある。また、UAVは、離着陸や充電等のため、さらにはUAVの所有者もしくは利用者によるコントロールのための通信も行う必要があり、そのための電源を置く必要がある。このような種々の設置条件面での制約から、UAVポートの設置場所の選択は容易ではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、最適なUAVポートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の離着陸装置は、屋外に設置される熱源機の上部に着脱可能な離着陸装置である。離着陸装置は、離着陸部を持つ。離着陸部は、無人航空機が離着陸可能なスペースを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1の実施形態の室外機1の構成の具体例を示す外観図。
【
図3】同室外機1におけるUAVポート部120を別の角度から見た外観図。
【
図4】同室外機1におけるUAVポート部120を横から見た外観図。
【
図5】同室外機1におけるUAVポート部120を上方から俯瞰した外観図。
【
図6】同室外機1及びUAV2の機能構成の具体例を示すブロック図。
【
図7】同室外機1の動作の概略を示すフローチャート。
【
図8】同実施形態における待機処理の流れを示すフローチャート。
【
図9】同実施形態における認証処理の流れを示すフローチャート。
【
図10】同実施形態における接続処理の流れを示すフローチャート。
【
図11】同実施形態における充電処理の流れを示すフローチャート。
【
図12】同実施形態における離脱処理の流れを示すフローチャート。
【
図13】同実施形態における室外機1の処理の流れを示すフローチャート。
【
図14】第2の実施形態の室外機1aの構成の具体例を示す外観図。
【
図15】同室外機1aの構成の具体例を示す外観図。
【
図16】同室外機1aの機能構成の具体例を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の離着陸装置及び熱源機の一例として、空気調和機の室外機1及び1aと、UAVポート部120及び120aとを、図面を参照して説明する。
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の室外機1の構成の具体例を示す外観図である。
図1(A)及び
図1(B)は、室外機1をそれぞれ異なる側面から見た外観を示す。例えば、室外機1は、空調機の室外機でありビルの屋上等の屋外に設置される。実施形態の室外機1は、筐体部110、UAVポート部120及び梯子130を備え、筐体部110の内部に排熱用のファンや室外熱交換器及び冷凍サイクルの一部として機能するコンプレッサ等(図示せず)を備える。
図1に例示する室外機1は、筐体部110の上方(図中の矢印方向)に吹き出すファンを備え、その吹き出し口DPを備える。ファンは、除霜運転時を除く圧縮機の運転中(すなわち冷凍サイクルの運転中)には、筐体部110側面の吸気口SPから外気を吸込み、熱交換器を通過させた後、吹き出し口DPから筐体部110の上方へと吹出す。
【0009】
室外機1の筐体部110は、縦長の角柱形状で、その内部には、4側面に対向してロ字状に熱交換器が配置される。ファンは、プロペラファンであり、このロ字状に配置された熱交換器の中央上部に、上面にある吹き出し口DPに対向して固定配置される。筐体部110の上面寸法は、プロペラファンの直径よりも大きく、ほぼ正方形もしくはわずかに奥行きよりも側方が長い長方形状である。
【0010】
UAVポート部120は、ファンの吹き出し口DPの上部に筐体部110と着脱可能に設置される。UAVポート部120は、離着陸部121及び固定部材122を備える。離着陸部121は、UAV(Unmanned Aerial Vehicle:無人航空機)2に対して離着陸可能なスペース(以下「離着陸スペース」という。)を提供する。例えば、離着陸部121は、UAVが離着陸可能な強度を備えた板状の部材を用いて構成され、その板面を離着陸スペースとして提供するものである。離着陸部121は、固定部材122によって筐体部110の上部に固定される。
【0011】
上述のように空気調和機の室外機1は、その内部の底部にコンプレッサを内蔵している。コンプレッサは、その内部にコンプレッサモータと圧縮機構部とを内蔵した密閉型の装置であり、圧縮機構部を潤滑する潤滑油がコンプレッサの底部に貯留される。底部に貯留される潤滑油を円滑に圧縮機構部に供給するためには、コンプレッサの底部を水平に保つ必要がある。このため、室外機1は、その底部が水平となるように設置される。離着陸部121は、このように設置された室外機1の上部に取り付けられるため、UAV2の着陸面(離着陸部121の上面)は重力方向に対して水平となり、UAV2の離着陸を容易にするとともに、安全性を高めることができる。また、このように設置された既設の室外機1にUAVポート部120を取り付ける場合、取り付け位置の水平度をそれほど気にする必要がなくなるため、UAVポート部120の取り付け作業を容易にすることができる。
【0012】
図1は、離着陸部121にUAV2が着陸している状況を表したものである。また、UAVポート部120は、UAVとの無線通信用にアンテナ123(無線通信部の一例)を備える。
図1は、アンテナ123が離着陸部121の上面に設置された例を示しているが、アンテナ123は図と異なる位置に取り付けられても良い。
【0013】
また、UAVポート部120は、自装置をUAVポートとして機能させる各種の制御処理を実行するUAVポート制御部140を備える。UAVポート制御部140は、室外機1内部のコントローラ(図示せず、後述する)と通信可能に接続され、自装置を室外機1の筐体部110と連携して動作させることによりUAV2の離着陸を支援する。また、UAVポート制御部140は、自装置を駐機中のUAV2と連携して動作させることにより、室外機1の筐体部110を経由して供給される電力をUAV2に供給する。
【0014】
梯子130(昇降手段の一例)は、室外機1の接地面から少なくとも離着陸部121上のUAV2を操作可能な高さまで、人の昇降を可能にする梯子である。
図1は、このような梯子130の一例として、筐体部110の上部に上段を固定して用いる梯子を示す。なお、梯子130は、人の昇降を可能にする手段であれば、他の手段に置き換えられてもよい。
【0015】
図2は、室外機1を上方から俯瞰した外観図である。
図2は、離着陸部121にUAV2が存在しない状況における室外機1の外観を示す。上述したとおり、室外機1内部のファンFは、吹き出し口DPから離着陸部121を構成する板面に垂直な方向(すなわち装置上方方向)に空気を吹き出す。そのため、離着陸部121は、極力ファンFが吹き出す空気の流れを阻害しない形状であることが望ましい。
図2は、離着陸部121が、板面を略垂直方向に貫通する複数の孔を有する板状部材を用いて構成された例を示す。離着陸部121がこのような板状部材を用いて構成されることで、ファンFから送り出された空気は板状部材の孔部を通過することができるようになり、離着陸部121がファンFの送風を極力阻害しないようにすることができる。離着陸部121の孔の形状としては、四角格子状や網目状等様々な形状が考えられ、UAV2が安定して着陸可能で、かつファンFの送風を極力阻害しない形状が望ましい。
【0016】
図3は、室外機1上のUAVポート部120を別の角度から見た外観図である。この図及び以降の図において、離着陸部121の孔は、図が煩雑となるため、省略している。この図に示すようにUAVポート部120は、離着陸スペース付近の風向又は風速を測定する風向風速計124(測定部の一例)を備える。また、離着陸部121を構成する板状部材は、例えば金属等の導電性を有する部材を用いて構成される。このような構成により、離着陸部121は、UAV2の着陸時にはUAV2に電力を供給する電極として機能する。具体的には、離着陸部121は、絶縁体INSによって絶縁分離された2つの平面電極TS1及びTS2を有し、離着陸スペースを提供するとともに正極又は負極として機能する。このように、離着陸スペースの大部分が電極として構成されることにより、UAV2が着陸する位置(充電を可能にする位置)決めの制限を緩和し、UAV2をより容易に着陸させることが可能となる。
【0017】
図4は、室外機1におけるUAVポート部120を横から見た外観図である。
図4に示すように、各平面電極TS1及びTS2は、導線L1及びL2を介して筐体部110内部の電源(図示せず、後述する)に接続される。室外機1は、UAV2の充電用の端子となる正極TU1及び負極TU2が、互いに異なる平面電極(TS1及びTS2)に接続した状態で各平面電極に電圧を印加することによりUAV2に対して電力を供給する。なお、UAV2の充電用の端子となる正極TU1及び負極TU2は、UAV2の着陸用脚部の先端底面部に設けられている。
【0018】
また、離着陸部121がUAV2の充電用電極として機能することから、UAVポート部120を筐体部110に固定する固定部材122も合成樹脂などの絶縁体を用いて構成されることが望ましい。なお、
図4では、離着陸部121が電極として機能する2つの金属板を用いて構成された例を示しているが、離着陸部121は必ずしも金属板を用いて構成される必要はない。例えば、離着陸部121は、非金属製の板部材の表面に電極として機能する金属板が貼り付けられたものであってもよい。
【0019】
図5は、室外機1に取り付けられたUAVポート部120を上方から俯瞰した外観図である。
図5に示すように、UAVポート部120は、離着陸部121の上面に、室外機1の上方を撮像するカメラのレンズとなる撮像部125と、点灯によってUAV2を誘導するためのLED(Light Emitting Diode)126-1~126-4(誘導部の一例)とを備える。以下、特に区別する必要がない場合、LED126-1~126-4をLED126と記載する。離着陸部121の上面に備えられる風向風速計124、撮像部125及びLED126は、UAVポート部120内部のコントローラ(図示せず、後述する)に接続される。風向風速計124は、測定情報をコントローラに送信し、撮像部125は撮像によって取得した画像情報をコントローラに送信する。LED126は、コントローラによって点灯及び消灯が制御される。
【0020】
また、UAVポート部120は、梯子130付近に位置する人体を検出可能な人体センサ127を備える。例えば、人体センサ127には、赤外線センサが用いられてもよい。
図5は、人体センサ127が梯子130の上部に位置する離着陸部121の側面に設置された例である。人体センサ127の設置位置は
図5の例に限定されず、少なくとも梯子130の接地面付近に位置する人体を検出可能な位置であればどのような位置に設置されてもよい。人体センサ127は、上記コントローラに接続され、検出結果をコントローラに送信する。
【0021】
図6は、第1の実施形態の室外機1、室外機1に着脱可能なUAVポート部120及びUAV2の機能構成の具体例を示すブロック図である。室外機1は、駆動部150及び室外制御部160を備える。駆動部150は、室外機1の空調動作に関する機能部品を駆動する部分である。例えば、室外機1は、室外駆動部150としてファンFを駆動するファンモータ151や冷凍サイクルを実現するためのコンプレッサ152を備える。室外制御部160は、駆動部150を制御する。例えば、室外制御部160は、ファンモータ151を制御するファンコントローラ161やコンプレッサ152を制御するコンプレッサコントローラ162、自装置及び室内機(図示せず)を空調機として機能させるためのメインコントローラ163(第一制御部の一例)等を備える。なお、これ以外にも室外機1には各種駆動部品、冷凍サイクル中の各種弁装置などもあるが、省略する。
【0022】
ファンコントローラ161及びコンプレッサコントローラ162は、いずれもファンモータ151とコンプレッサ152をそれぞれ可変速駆動するためのインバータを内部に備えている。メインコントローラ163は、図示しない室内機と通信(室内通信)を行い、ファンコントローラ161及びコンプレッサコントローラ162に対し、室内の空調状態に応じた適切なファンFの回転数とコンプレッサの回転数を決定し、これをファンコントローラ161及びコンプレッサコントローラ162に指示する。ファンコントローラ161及びコンプレッサコントローラ162は、メインコントローラ163から指示された回転数となるようにファンモータ151及びコンプレッサ152を駆動する。
【0023】
なお、室内機の停止に応じて空調を停止する場合、メインコントローラ163は、ファンコントローラ161及びコンプレッサコントローラ162に対して停止(OFF)を指示する。さらに、メインコントローラ163は、外部インタフェースを介してUAVポート制御部140と通信可能に構成され、上述の空調機としての動作に加え、UAVポート部120の動作に対応した制御を実行する。
【0024】
また、UAVポート部120は、離着陸部121やその周辺に設けられた各種機器及びUAVポート制御部140を備える。UAVポート制御部140は、UAVポート部120に備えられた各種機器を制御することによって、自装置に対するUAV2の離着陸を支援するとともに、着陸したUAV2に対して電力を供給する機能を有する。具体的には、UAVポート制御部140は、外部インタフェース141、電源コンバータ142、充電回路143及びポートコントローラ144(第二制御部の一例)を備える。
【0025】
外部インタフェース141は、ポートコントローラ144のための各種の通信インタフェースであり、室外機1及び他の各種機器の機能部との間で通信や各種情報の読み取りを行い、その結果をポートコントローラ144に送信する。具体的には、外部インタフェース141は、アンテナ123、風向風速計124、撮像部125、LED126及び室外機1のメインコントローラ163と接続され、これらの機器から取得した情報をポートコントローラ144に提供するとともに、ポートコントローラ144の指示に基づき、LED126の点消灯、アンテナ123を介した信号の送信等の各機器を制御する機能も備える。
【0026】
電源コンバータ142は、電源系統から供給される商用交流電力を入力可能な直流の電圧に変換して、充電回路143に出力する。電源コンバータ142は、この電力の変換及び出力をポートコントローラ144の制御に基づいて行う。具体的には、商用交流電源である電源系統の電源線は、室外機1に引き込まれ、その内部にある端子台170の一端に接続され、この端子台170の他端から筐体部110の各種機器に必要な電源を供給する電源線171が引き出される。UAVポート部120を室外機1の上部に取り付ける場合には、この端子台170の他端に別のポート用電源線175を接続(共締め)し、このポート用電源線175を室外機1内で引き回したうえで、適切な位置から上部に設置されたUAVポート部120の電源コンバータ142に接続する。これにより電源系統からUAVポート部120への新たな電源供給ライン173の敷設は不要となり、室外機1に接続される電源ライン173をUAVポート部120と共用することができる。
【0027】
充電回路143は、電源コンバータ142から供給される電力によって、平面電極TS1及びTS2に電圧を印加する。この電圧の印加により、駐機中のUAV2に電力が供給される。
【0028】
ポートコントローラ144は、バスで接続されたCPU(Central Processing Unit)やメモリや補助記憶装置などを備え、プログラムを実行する。ポートコントローラ144は、プログラムの実行によって、UAVポート部120に対するUAV2の離着陸の支援、及び着陸したUAV2に対する電力供給を行う。
【0029】
具体的には、ポートコントローラ144は、撮像部125からUAVポート部120上方が撮像された画像情報を取得し、風向風速計124から離着陸スペース付近の風向又は風速を示す測定情報を取得する。ポートコントローラ144は、取得した画像情報及び測定情報に基づいて、UAV2の離着陸を支援する支援情報を生成する。ポートコントローラ144は、生成した支援情報を、アンテナ123を介してUAV2に送信することでUAV2の離着陸を支援する。このような支援情報がUAVポート部120から送信されることにより、UAV2は、支援情報に基づいて自身の離着陸動作をより正確に制御することができる。また、ポートコントローラ144は、電源コンバータ142及び充電回路143を制御して平面電極に電圧を印加することにより、自装置に着陸したUAV2に対して電力を供給する。
【0030】
UAV2は、プロペラやモータ等の駆動部(図示せず)のほか、アンテナ21、バッテリー22、スイッチ23、BMS(Battery Management System)24及びUAVコントローラ25を備える。アンテナ21は、無線通信用のアンテナである。UAV2は、アンテナ21を介して室外機1上部のUAVポート部120と通信可能である。バッテリー22は、駆動部に電力を供給する。バッテリー22は、充電用の電極TU1及びTU2に接続される。スイッチ23は、バッテリー22及び電極TU1を接続状態(以下「ON状態」という。)又は非接続状態(以下「OFF状態」という。)に保つスイッチである。例えば、スイッチ23は、マグネットスイッチを用いて構成される。BMS24は、UAVコントローラ25の制御に基づいて、スイッチ23をON状態又はOFF状態のいずれかの状態に制御する。
【0031】
UAVコントローラ25は、バスで接続されたCPUやメモリや補助記憶装置などを備え、プログラムを実行する。UAVコントローラ25は、プログラムの実行によって自装置の各機能部を制御する。例えば、UAVコントローラ25は、駆動部の制御によって自装置を目的地点(中継地点を含む)まで飛行させることが可能である。また、例えば、UAVコントローラ25は、駆動部の制御によって自装置を所定位置に着陸させる、又は自装置を所定位置から離脱(離陸し他の地点に移動すること)させることが可能である。これらの機能は、一般的なUAV2が有する基本的な制御機能である。
【0032】
これらの一般的な制御機能に加え、UAVコントローラ25は、アンテナ21を介した無線通信により室外機1上部のUAVポート部120から支援情報を取得し、取得した支援情報に基づく駆動部の制御により精度の高い離着陸が可能である。
【0033】
また、UAVコントローラ25は、BMS24を介してスイッチ23の接続状態を制御することで、より安全にバッテリー22を充電することができる。例えば、UAVコントローラ25は、過充電などの異常が発生した場合にスイッチ23をOFF状態に制御することで室外機1から自装置を強制的に切り離し、保護することができる。
【0034】
なお、上述したポートコントローラ144及びUAVコントローラ25の各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されてもよい。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。プログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
【0035】
図7は、第1の実施形態のポートコントローラ144の動作の概略を示すフローチャートである。以後、説明簡素化のため、ステップS*は、S*に省略して表記する。ポートコントローラ144は、自装置であるUAVポート部120の起動に応じて初期化処理を実行し(S0)、初期化処理の実行後、以下のS1~S5に示す各処理を、順次繰り返す。S1は、自装置への着陸を要求するUAV2を待機する待機処理である。S2は、自装置への着陸を要求したUAV2を認証する認証処理である。S3は、認証されたUAV2が自装置に着陸することを支援する接続処理である。S4は、自装置に着陸したUAV2に対して電力を供給する給電処理である。S5は、充電が完了したUAV2が自装置から離脱することを支援する離脱処理である。
【0036】
このように、実施形態では、ポートコントローラ144が、S1に対応する第1の状態、S2に対応する第2の状態、S3に対応する第3の状態、S4に対応する第4の状態、S5に対応する第5の状態、の順に自装置の動作状態を遷移させることにより、UAV2の接近から離脱までに必要な処理を効率よく実行することができる。
【0037】
図8は、第1の実施形態における待機処理の流れを示すフローチャートである。待機処理の開始時の状況としては、室外機1にUAV2が着陸していない状況を想定する。まず、ポートコントローラ144は、UAV2に着陸可能であることを通知するためにLED126を点灯させる(S101)。
【0038】
続いて、ポートコントローラ144は、平面電極の短絡チェックを行う(S102)。平面電極に短絡が生じていると、所望する出力電圧が得られない場合や過電流が流れる場合がある。そのため、平面電極が短絡した状態でUAV2に電力を供給した場合、UAV2の充電に時間がかかったり、UAV2が故障してしまったりする可能性がある。ポートコントローラ144は、このような不具合を未然に防ぐため、平面電極の短絡チェックを定期的に実行する。なお、S102で平面電極の短絡が検出された場合、LED126を消灯させ、修理が完了するまでUAV2の受け入れは行わず、以後のステップには移行しない。
【0039】
続いて、ポートコントローラ144は、風向風速計124から離着陸スペース付近の風向又は風速を示す測定情報を取得する(S103)。ポートコントローラ144は、自装置付近のUAV2の検出を試みる(S104)。具体的には、ポートコントローラ144は、アンテナ123を介してUAV2が送信する無線信号を受信することで自装置に接近するUAV2を検出する。
【0040】
自装置付近にUAV2が検出された場合(S104-YES)、ポートコントローラ144は、検出したUAV2が自装置に対して着陸許可を要求しているか否かを判定する(S105)。具体的には、ポートコントローラ144は、検出したUAV2が着陸許可を要求する信号(以下「着陸要求信号」という。)を送信しているか否かによって要求の有無を判定する。検出したUAV2が自装置に対して着陸要求信号を送信している場合(S105-YES)、ポートコントローラ144は待機処理を終了し、次の認証処理に制御を移す。
【0041】
一方、自装置付近にUAV2が検出されなかった場合(S104-NO)、又は検出したUAV2が着陸要求信号を送信していない場合(S105-NO)、ポートコントローラ144は、S101に処理を移し、S101~S105を繰り返し実行して、着陸要求信号を送信するUAV2が接近するのを待機する。
【0042】
図9は、第1の実施形態における認証処理の流れを示すフローチャートである。認証処理は、待機処理において検出されたUAV2から着陸要求信号が送信されたことに応じて開始される。まず、ポートコントローラ144は、UAV2との無線通信により、UAV2から認証情報を取得する(S201)。認証情報は、室外機1上部のUAVポート部120が自装置を利用しようとしているUAV2を認証するために必要な情報である。例えば、認証情報には、利用者の識別情報やパスワードが含まれる。例えば、利用者の識別情報は、室外機1もしくはUAVポート部120の所有者と利用者との間で予め締結された利用契約の契約番号であってもよいし、利用者に割り当てられたユーザIDなどであってもよい。また、認証情報には、UAV2の機体情報が含まれても良い。機体情報は、UAV2の機体に関する情報である。例えば、機体情報は、UAV2の型式やシリアルコード、バッテリー形式、バッテリー残量、着陸位置補正の有無等を示す。
【0043】
ポートコントローラ144は、UAV2から取得した認証情報に基づいて、当該UAV2が認証可能であるか否かを判定する(S202)。例えば、ポートコントローラ144の記憶部等には、着陸要求信号を送信したUAV2が自装置を使用可能であるかを判定するために必要な情報(以下「設定情報」という。)が予め記憶されている。ポートコントローラ144は、UAV2から取得した認証情報と、自装置に予め記憶されている設定情報とに基づいてUAV2が認証可能であるかを判定する。例えば、ポートコントローラ144は、認証情報が示す利用者の識別情報及びパスワードが、予め設定情報として登録されている識別情報及びパスワードと一致する場合に当該UAV2を認証可能と判定してもよい。ここで、ポートコントローラ144は、認証情報に含まれる機体情報に基づいて当該UAV2が自装置の使用条件(例えば重量制限など)を満たしているか否かをさらに判定してもよい。この場合、ポートコントローラ144は、利用者の識別情報及びパスワードが設定情報に登録されているものと一致し、かつ機体が自装置の使用条件を満たしている場合に当該UAV2が認証可能であると判定してもよい。
【0044】
当該UAV2について認証可能であると判定した場合(S202-YES)、ポートコントローラ144は、当該UAV2に対して認証完了を応答する(S203)。一方、当該UAV2について認証不可と判定した場合(S202-NO)、ポートコントローラ144は、当該UAV2に対して認証不可を応答する(S204)。
【0045】
図10は、第1の実施形態における接続処理の流れを示すフローチャートである。接続処理は、認証処理においてUAV2の認証が完了したことに応じて開始される。まず、ポートコントローラ144は、自装置が、UAV2が着陸可能な状態にあるか否かを判定する(S301)。具体的には、ポートコントローラ144は、外部インタフェース141を介して、ファンFが停止中であるか否かを室外機1の室外制御部160のメインコントローラ163に問い合わせ、メインコントローラ163が、ファンFが停止中であることを応答した場合には着陸可能状態と判定し、ファンFが運転中であることを応答した場合には着陸不可状態と判定する。ファンFの運転・停止は、室外機1の運転状態に依存し、空調運転を行っていれば、原則としてファンFは運転中であり、空調運転が停止中であれば、ファンFは停止中となっている。
【0046】
ファンFが運転中であり、UAV2が着陸不可状態にあると判定した場合(S301-NO)、ポートコントローラ144は、外部インタフェース141を介して室外制御部160のメインコントローラ163に対し、ファンFの停止を要求する(S302)。その後、ポートコントローラ144は、UAV2に対して着陸許可通知を送信する(S303)。このS302からS303への移行は、ファンFへの停止指示から実際にファンFが停止するまでの遅れ時間に相当する10秒程度遅延させることが望ましい。
【0047】
なお、ファンFを強制的に停止させると空調運転も停止してしまうが、UAV2の着陸完了後に速やかにファンFの運転を再開させる(後述のS305a)ことで、空調運転の停止はせいぜい数分程度のごく短時間で済み、屋内の空調機の利用者への迷惑を極力少なくしている。
【0048】
一方、ファンFが停止中であり、そのまま着陸することが可能な状態にあると判定した場合(S301-YES)、ポートコントローラ144は、UAV2に対して着陸許可通知を送信する(S303)。
【0049】
以上のとおり、UAV2の着陸は、必ず室外機1のファンFを停止した状態で行うため、ファンFから上方に吹き上げられる風が阻害要因となってUAV2の着陸が困難になることはなく、安全かつ安定して着陸させることができるようになる。
【0050】
ポートコントローラ144は、着陸許可通知を送信したUAV2について支援情報を生成し、生成した支援情報を当該UAV2に送信する(S304)。例えば、ポートコントローラ144は、着陸目標位置とUAV2の現在位置とのズレを示す情報を支援情報として送信する。この場合、ポートコントローラ144は、自装置上方が撮像された画像情報からUAV2を識別することにより、UAV2の現在位置を取得することができる。また、例えば、ポートコントローラ144は、離着陸スペース付近の風向又は風速を示す測定情報を支援情報に含めて送信してもよい。UAV2は、このように送信される支援情報を用いて自装置の位置制御を補正することにより、より精度よく室外機1上部のUAVポート部120に着陸することが可能となる。
【0051】
続いて、ポートコントローラ144は、UAV2の着陸が完了したか否かを判定する(S305)。例えば、ポートコントローラ144は、撮像部125によって取得される画像情報や、平面電極の電圧値等に基づいて離着陸部121とUAV2との接触状態を識別し、識別した接触状態に基づいて着陸が完了したか否かを判定してもよい。また、例えば、ポートコントローラ144は、UAV2との無線通信によって着陸が完了したか否かを判定してもよい。
【0052】
UAV2の着陸が完了していないと判定した場合(S305-NO)、ポートコントローラ144はS304に処理を戻し、UAV2の着陸が完了するまで支援情報の取得及び送信を繰り返し実行する。一方、UAV2の着陸が完了したと判定した場合(S305-YES)、ポートコントローラ144は、即座に室外制御部160のメインコントローラ163に対し、ファンFの運転を許可する連絡を行う。この結果、UAV2が接近するまで室外機1が運転中であった場合には、空調運転が再開され、ファンFの運転が再開される(S305a)。続いて、ポートコントローラ144は、充電前処理を実行する(S306)。充電前処理は、着陸したUAV2に対して給電を開始する前に必要な各種の前処理である。
【0053】
例えば、ポートコントローラ144は、充電前処理において、後続の給電処理時において制御すべき平面電極TS1及びTS2の極性を識別する。例えば、ポートコントローラ144は、撮像部125によって取得される画像情報や、平面電極の電圧値等に基づいて離着陸部121とUAV2との接触状態を識別し、識別した接触状態に基づいて平面電極TS1及びTS2を正極又は負極のいずれに制御すべきかを決定する。
【0054】
また、例えば、ポートコントローラ144は、充電前処理において、平面電極の短絡チェックを再度行っても良い。また、ポートコントローラ144は、充電前処理において、平面電極の通電チェックを行っても良い。
【0055】
ポートコントローラ144は、充電前処理が完了すると、充電準備が完了したことをUAV2に通知する(S307)。充電準備完了の通知を受けたUAV2は、室外機1に充電要求を送信することにより、室外機1から電力供給を受け、充電を開始することができる。
【0056】
なお、
図10のフローチャートにおいて、ポートコントローラ144は、ファンFが運転中である場合に離着陸部121が着陸不可状態にあると判定したが、ポートコントローラ144は、ファンFが停止中である場合に加え、人体センサ127が梯子130付近の人体を検出した場合においても離着陸部121が着陸不可状態にあると判定してもよい。これにより、操縦ミス等によって落下したUAV2が人体を負傷させてしまうような事故を防止することができる。
【0057】
図11は、第1の実施形態における充電処理の流れを示すフローチャートである。充電処理は、接続処理において、UAV2に充電許可通知が送信されたことに応じて開始される。まず、ポートコントローラ144は、UAV2から充電要求が受信されたか否かを判定する(S401)。UAV2から充電要求が受信されていない場合(S401-NO)、ポートコントローラ144は、充電要求が受信されるまでS401を繰り返し実行する。一方、UAV2から充電要求が受信された場合(S401-NO)、ポートコントローラ144は、UAV2に対してスイッチ23をON状態に切り替えることを指示する(S402)。
【0058】
この指示に応じて、UAV2側では、BMS24がスイッチ23をON状態に切り替えることで、バッテリー22と電極TU1とが接続される。ポートコントローラ144は、スイッチ23の切り替えが完了すると、平面電極TS1及びTS2に電圧を印加し、UAV2に対する給電を開始する(S403)。UAV2は、室外機1の電力供給が開始されたことに応じてバッテリー22の充電を開始する。その後、バッテリー22の充電が完了すると、UAV2は充電完了通知をポートコントローラ144に送信する。
【0059】
ポートコントローラ144は、UAV2の充電が完了したか否かを判定する(S404)。UAV2の充電が完了していない場合(S404-NO)、ポートコントローラ144は、UAV2の充電が完了するまでS404を繰り返し実行する。一方、UAV2の充電が完了している場合(S404-YES)、ポートコントローラ144は、平面電極TS1及びTS2に対する電圧の印加を終了し、UAV2に対する給電を停止する(S405)。ポートコントローラ144は、UAV2に対してスイッチ23をOFF状態に切り替えることを指示する(S406)。この指示に応じて、UAV2側では、BMS24がスイッチ23をOFF状態に切り替えることで、バッテリー22と電極TU1とが分離される。
【0060】
なお、ポートコントローラ144は、人体センサ127による梯子130付近の人体の検出有無に基づいて以下のような制御を行ってもよい。例えば、S403において給電を開始する前に人体が検出された場合、ポートコントローラ144は、充電処理を中断又は中止してもよい。また、S403以後の給電中に人体が検出された場合、ポートコントローラ144は、充電回路143の電源をオフし、平面電極TS1及びTS2に対する通電を停止してもよい。
【0061】
図12は、第1の実施形態における離脱処理の流れを示すフローチャートである。離脱処理は、充電処理の完了に応じて開始される。まず、ポートコントローラ144は、UAV2から離脱要求が受信されたか否かを判定する(S501)。UAV2から離脱要求が受信されていない場合(S501-NO)、ポートコントローラ144は、離脱要求が受信されるまでS501を繰り返し実行する。一方、UAV2から離脱要求が受信された場合(S501-YES)、ポートコントローラ144は、室外制御部160に対してファンFの運転を要求する(S502)。
【0062】
この要求に従い、室外機1は、S502の処理時点において、ファンFが停止中であれば、ファンFの運転を開始し、ファンFが運転を行っていれば、そのまま運転を継続させる。ファンFを運転することでUAV2に向けて上方向への風が吹き付けられるため、UAV2は離陸しやすくなる。なお、このUAV2の離脱要求の際のファンFの回転数をUAV2が離陸しやすくなる特定の高回転数に制御しても良い。ファンFが運転中の場合でも、回転数を増加させる分には冷凍サイクルへの影響は少なく、かつ短時間であれば、その影響は無視することができる。
【0063】
ポートコントローラ144は、自装置から離脱するUAV2について支援情報を生成し、生成した支援情報を当該UAV2に送信する(S503)。例えば、ポートコントローラ144は、離着陸スペース付近の風向又は風速を示す情報を支援情報としてUAV2に送信する。また、ポートコントローラ144は、自装置に対してUAV2の離脱を補助する動作(以下「離脱補助動作」という。)を行わせる(S504)。例えば、ポートコントローラ144は、LED126を点灯させ、付近の明るさを確保することによってUAV2の離脱を補助してもよい。また、ポートコントローラ144は、LED126の点灯の態様によって予め定められた所定の情報をUAV2に通知してもよい。例えば、ポートコントローラ144は、画像情報に基づいて離脱経路付近の障害物を識別し、障害物の有無をLED126の点灯態様、例えば、LED126の点滅によって通知してもよい。
【0064】
続いて、ポートコントローラ144は、UAV2の離脱が完了したか否かを判定する(S505)。例えば、ポートコントローラ144は、撮像部125によって取得される画像情報に基づいてUAV2の離脱が完了したか否かを判定してもよい。また、例えば、ポートコントローラ144は、UAV2との無線通信によって離脱が完了したか否かを判定してもよい。UAV2の離脱が完了していない場合(S505-NO)、ポートコントローラ144は、UAV2の離脱が完了するまでS505を繰り返し実行する。一方、UAV2の離脱が完了した場合(S505-YES)、S502で要求したファンFの強制運転を終了するようポートコントローラ144から、室外制御部160にファン停止要求がなされる(S506)。これによりS502により停止中のファンFを強制的に運転していた場合には、ファンFは停止し、S502の処理時点で空調運転によってファンFが運転中であった場合には、そのままファンFの運転が継続される。
【0065】
なお、S502からS505のUAV2の離脱中におけるファンFの回転数は、空調運転を行っている場合でも、その空調運転に適切な回転数を無視して、UAV2の離脱を容易にするために最大回転数としても良い。
【0066】
続いて、ポートコントローラ144は、離脱処理を終了する。ポートコントローラ144は、離脱処理が終了すると、
図8に示す待機処理に制御を移す。
【0067】
図13は、ポートコントローラ144が接続される室外機1の室外制御部160内のメインコントローラ163の処理の流れを示すフローチャートである。室外機1では、メインコントローラ163が室内を空調する室内機と通信を行い、室内機の要求に応じてコンプレッサやファンFその他の冷凍サイクル機器の運転を行っている(S901)。続いて、メインコントローラ163は、室外機1の上部にUAVポート部120が設置されたか否かを判定する(S902)。
【0068】
ここで、室外機1の上部にUAVポート部120が設置された場合(S902-YES)、UAVポート制御部140内の外部インタフェース141と室外制御部160のメインコントローラ163とが通信線で接続される。この通信線を介した通信により、室外機1のメインコントローラ163は、自らの筐体上にUAVポート部120が設置されたことを認識するようになっている。S902では、外部インタフェース141からの初期通信信号を受信した場合、UAVポート部120の設置ありと判定し、以後はUAVポート部120の設置ありの判定を継続する。
【0069】
ここで、UAVポート部120の設置なし(S902-NO)と判定されれば、最初のS901に戻り、通常の空調運転を行う。一方、UAVポート部120の設置あり(S902-YES)と判定されると、空調運転中のファンFの回転数をαだけ増速するよう設定する(S903)。例えば、運転中のファンFの回転数がNである場合、α=50rpsほど上乗せする。これは、ファンFの上部に設置される離着陸部121を網目状等にすることでファンFの送風をできるだけ阻害しない形状とはしているが、どうしてもファンFの送風に抵抗が生じることは避けられないことから、その風量低下分を補填するために回転数を増速する。なお、当然であるが、ファンFが停止中の場合はファンFを停止させたままで増速のための回転数の加算は行わない。
【0070】
続いて、外部インタフェース141からUAV2の着陸準備のための室外ファン停止要求の信号(
図10中のS302)を受信したか否かが判定される(S904)。停止要求を受信していれば(S904-YES)、ファンFを停止、すなわち、ファンモータ151の回転数を「0」とする(S905)。なお、室外機1が空調運転を行っていない場合は、最初からファンFは停止しているため、そのままの状態が維持される。S905に続き、UAV2着陸完了後の室外ファン運転許可(
図10中のS305a)の信号を外部インタフェース141から受信したか否かが判定される(S906)。室外ファン運転許可を受信していれば(S906-YES)、最初のS901に戻り、室内機の要求に応じた室外機内の冷凍サイクル機器の運転を行なう。この結果、空調運転としてファンFの運転が必要であれば、ファンFの運転が再開される。
【0071】
一方、室外ファン運転許可を受信していなければ(S906-NO)、S905に戻り、ファンF停止を継続する。したがって、UAVポート部120におけるUAV2の着陸準備から着陸完了までの間、ファンFは停止状態を維持し、UAV2の着陸をサポートする。S904の判定において、外部インタフェース141から停止要求を受信していなければ(S904-NO)、室外機1は、特に動作を変更することなく、最初のS901に戻る。なお、S904のNO判定又はS906のYES判定後におけるS901の処理に続くS902の判定は、上述の通り、既に前回の判定で、UAVポート部120が設置されていると判断されているので、YESとなり、処理はS903へと移行する。
【0072】
このように構成された室外機1は、UAV2に対して離着陸スペースを提供する離着陸部と、自装置に着陸したUAV2に対して電力を供給する給電部とを備えたUAVポート部120を上部に配置することにより、利便性の高いUAVポートを提供することができる。一般に、ビル等の建物において室外機1は上空が広く開いた屋上等のスペースに設置されることが多い。そのため、実施形態の室外機1のように、UAV2の離着陸及び充電が可能な室外機1がビルの屋上等に設置されることで屋上等の設置スペースを有効活用することができる。
【0073】
また、室外機1の設置スペースは、ビルの屋上等のようにほぼ無人の場所であることが多い。そのため、そのような場所に設置されることを想定した実施形態の室外機1は、騒音等の環境問題を生じることなくUAVポートを提供することができる。
【0074】
このようにUAVポートの設置場所は人の活動の妨げにならない場所が望ましい。その意味で、従来は広い離着陸スペースを提供可能なUAVポートを設置することが難しい場合があった。しかしながら、実施形態の室外機1は、自身の設置スペースと同等の比較的広い離着陸スペースを提供することができる。そのため、UAV2は、より容易に離着陸を行うことができるようになり、落下や衝突等の事故が発生しにくくなる。このように、実施形態の室外機1は、より安全なUAVポートを実現することができる。
【0075】
また、ビルの屋上等のスペースは、高所かつ広い面積を有し、アクセス性も良く、UAVポートの設置場所としては非常にメンテナンス性が高い。このような場所に設置されることを想定した実施形態の室外機1は、ビルの屋上等のスペースを室外機の設置場所としてだけではなく、配送用途の倉庫として活用するという新たな流通形態の実現に大きく貢献することができる。
【0076】
さらに、内部にコンプレッサを収納する室外機1は、水平に設置されることから、その上部に設けられるUAV2が離着陸するための離着陸部121の面を水平に保つことが容易で、UAV2の離着陸スペースとして最適である。なお、上述の実施形態においては、既設の室外機1にUAVポート部120を取り付ける例で説明したが、工場での製造段階で室外機1の上部にUAVポート部120を据付け、一体化した状態で出荷しても良い。
【0077】
(第2の実施形態)
図14及び
図15は、第2の実施形態のUAVポート部120aの具体例を示す外観図である。
図14は室外機1aを斜め上方から見た場合の外観図であり、
図15は上方から見た場合の外観図である。第2の実施形態の室外機1aは、他の室外機1aと協調して動作することにより、複数のUAV2が同時に利用可能なUAVポートを実現することができる。
図14は、6基の室外機1aの各々の上部にUAVポート部120aを設け、これらが協調して動作することにより、最大6台のUAV2が同時に利用できるUAVポートの例を示す。
【0078】
一般に、ビルの屋上等には複数の室外機が設置されることが多く、ビルの空調状況に応じて各室外機の稼働量が制御される。第2の実施形態の室外機1aは、他の室外機1aとの協調動作によってファンを停止することが可能な室外機を選定し、選定した室外機1aがUAV2の離着陸スペースを提供する。なお、この場合、風向風速計124は必ずしも全ての室外機1aのUAVポート部120aに備えられる必要はなく、少なくともいずれか1つの室外機1a又はUAVポート部120aに備えられればよい。この場合、測定情報は通信によって各室外機1a及びUAVポート部120a間で共有されてもよい。
【0079】
図16は、第2の実施形態の室外機1a、室外機1aに着脱可能なUAVポート120a及びUAV2の機能構成の具体例を示すブロック図である。UAV2の機能構成は第1の実施形態と同様である。第2の実施形態の室外機1aは、ポートコントローラ144に代えてポートコントローラ144aを備える点、メインコントローラ163に代えてメインコントローラ163aを備える点で第1の実施形態の室外機1と異なる。他の機能部は、第1の実施形態と同様であるため、
図6と同じ符号を付すことにより説明を省略する。
【0080】
メインコントローラ163aは、室内機と通信するための第1の通信インタフェース(図の室内通信に対応)に加えて、他の室外機1aと通信するための第2の通信インタフェース(図の室外機間通信に対応)を備える。メインコントローラ163aは、第2の通信インタフェースを介して他の室外機1aと通信することにより、他の室外機1aとの間でファンFの動作に関する情報(以下「ファン情報」という。)を共有する。ファン情報は、自装置及び他の室外機1aのファンFについて動作の優先順位を決定することができる情報であればどのような情報であってもよい。
【0081】
ポートコントローラ144aは、メインコントローラ163aを介して自身が設置された室外機1a(以下「自室外機」という。)のファン情報と、他の室外機1aのファン情報とを取得する。ポートコントローラ144aは、取得したファン情報に基づいて、ファンFを停止させる室外機1a(以下「対象機」という。)を選定する。例えば、ポートコントローラ144aは、取得したファン情報に基づき、自室外機及び他の室外機1aについてファンFの動作に関する優先順位を決定し、優先順位が最も低い室外機1aを対象機として選定する。ポートコントローラ144aは、自装置を対象機として選定した場合、メインコントローラ163aにファンFの停止を指示し、第1の実施形態と同様の方法でUAV2の離着陸に関する支援及び給電を行う。
【0082】
なお、ポートコントローラ144aは、他の室外機1aに設置されたポートコントローラ144aとファン情報を共有することで全てのポートコントローラ144aで同じ対象機が選定されるように構成されてもよい。
【0083】
また、複数の室外機1aの制御方法として、主となる室外機1a(以下「センター機」という。)が従属する他の室外機1a(以下「ターミナル機」という。)を制御する方法がある。このような制御方法では、センター機は、ファン情報をはじめとする、ターミナル機の制御に必要な情報(以下「ターミナル情報」という。)を取得する機能を有し、取得した情報に基づいて自装置及びターミナル機の動作を制御する。この場合、センター機のポートコントローラ144aがターミナル情報に基づいて対象機を選定し、選定した対象機をターミナル機のポートコントローラ144aに通知されてもよい。また、ポートコントローラ144aは、対象機として選定可能な室外機1aが存在しない場合、その旨をUAV2に通知するように構成されてもよい。この場合、UAV2は、着陸可能となるまで待機するように構成されてもよいし、他ビルのUAVポートに向かうように構成されてもよい。
【0084】
なお、ポートコントローラ144aに代えてメインコントローラ163aが対象機の選定を行ってもよい。この場合、ポートコントローラ144aは、自装置への着陸を要求するUAV2を検出した場合、メインコントローラ163aに対して、そのUAV2を着陸させる対象機の選定、及び選定した対象機のファンFの停止を指示する。メインコントローラ163aは、この指示に応じて対象機を選定するとともに、対象機のメインコントローラ163aに対してファンFの停止を指示する。
【0085】
ここで、複数の室外機1aが冷凍サイクル上で接続されている構成においては、室外機1a間の通信を用いて、その内の1台にUAV2が着陸するためにファンを停止した場合、同一冷凍サイクルに接続されている他の室外機1aの能力を増大させることで、ファンを停止した室内機1aの冷凍能力を補う、いわゆるバックアップ運転も可能となる。
【0086】
このように構成された室外機1aは、他の室外機1aと協調して動作することにより、複数のUAV2が同時に利用可能なUAVポートを実現することができる。
【0087】
以下、上記の各実施形態に共通の変形例について説明する。
上記の各実施形態では、ビルの屋上等に設置される室外機を熱源機の一例として説明したが、上記のUAVポート機能の一部又は全部は室外機以外の熱源機に備えられてもよい。また、UAVポート部120は、室外機から独立した単体の装置として構成され、既存の室外機に着脱可能な装置としてUAVポート装置として構成されてもよい。
【0088】
また、上記の各実施形態では、ポートコントローラ144(又は144a)は、UAV2が着陸する際に室外制御部160(又は160a)に対してファンの停止を要求したが、ポートコントローラ144は、ファンの停止ではなく、UAV2が着陸可能な回転数までファンの回転数を低下させることを室外制御部160に要求してもよい。ファンの回転数を低下させながら、室外機1の空調運転を継続することで、ファンを停止する場合に比較し、最低限の空調能力を維持することができるため、室内の空調利用者の快適性の悪化を抑制することができる。
【0089】
また、上記の各実施形態では、人体センサ127がUAVポート部120に設置された例を示したが、人体センサ127は室外機1の筐体部110に設置されてもよい。この場合、人体センサ127は室外機1のメインコントローラ163(又は163a)に接続され、外部インタフェース141を介して検出結果をポートコントローラ144(又は144a)に通知するように構成されてもよい。
【0090】
また、上記の各実施形態では、UAVポート部120(又は120a)に1つの人体センサ127が設置された例を示したが、人体センサ127は複数個設置されても良い。例えば、梯子130付近の人体を検出する人体センサ127に加え、室外機1(又は1a)又はUAVポート部120の四方の側面ごとに付近の人体を検出する人体センサ127が設置されてもよい。ポートコントローラ144(又は144a)は、
図7に示す各処理を複数の人体センサ127の検出結果に基づいて制御することで、室外機1及びUAVポート部120の安全性を高めることができる。
【0091】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、屋外に設置される熱源機が、その上部に着脱可能な離着陸部であって、UAVに対して離着陸可能なスペースを提供する離着陸部を持つことにより、最適なUAVポートを提供することができる。
【0092】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0093】
1,1a…室外機、110…筐体部、120,120a…UAVポート部、121…離着陸部、122…固定部材、123…アンテナ、124…風向風速計、125…撮像部、126…LED(Light Emitting Diode)、130…梯子、140…ポート制御部、141…外部インタフェース、142…電源コンバータ、143…充電回路、144,144a…ポートコントローラ、150…室外駆動部、151…モータ、152…コンプレッサ、160…室外制御部、161…ファンコントローラ、162…コンプレッサコントローラ、163,163a…メインコントローラ、DP…吹き出し口、SP…吸気口、F…ファン、INS…絶縁体、L1,L2…導線、TS1,TS2…平面電極、2…UAV(Unmanned Aerial Vehicle:無人航空機)、21…アンテナ、22…バッテリー、23…スイッチ、24…BMS(Battery Management System:バッテリー管理システム)、25…UAVコントローラ、TU1…電極(正極)、TU2…電極(負極)