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特許7106703タンク、チューブ及びリテーナを備える熱交換器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-15
(45)【発行日】2022-07-26
(54)【発明の名称】タンク、チューブ及びリテーナを備える熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28F 9/013 20060101AFI20220719BHJP
【FI】
F28F9/013 C
F28F9/013 F
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021046187
(22)【出願日】2021-03-19
(62)【分割の表示】P 2018539901の分割
【原出願日】2017-01-26
(65)【公開番号】P2021099219
(43)【公開日】2021-07-01
【審査請求日】2021-03-19
(31)【優先権主張番号】15/008,505
(32)【優先日】2016-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509298492
【氏名又は名称】エル アンド エム ラジエーター インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】L&M Radiator, Inc.
【住所又は居所原語表記】1414 East 37th Street, Hibbing, MN 55746 USA
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】ジャネジック、 ロバート
(72)【発明者】
【氏名】モーガン、 アーロン パトリック
(72)【発明者】
【氏名】シダー、 チャールズ ユージーン
(72)【発明者】
【氏名】ドーセン、 トッド グレゴリー
(72)【発明者】
【氏名】シューイ、 ポール
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0120625(US,A1)
【文献】特開2002-174498(JP,A)
【文献】特開昭62-213692(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0377560(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0081795(US,A1)
【文献】中国実用新案第204373487(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 9/013
F28F 9/02
F28F 9/06
F28F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換装置であって、
第1チューブ側壁と、前記第1チューブ側壁の内部に形成され前記第1チューブ側壁の長手方向に沿って延びる二つの貯蔵区画を備える第1貯蔵部と、前記第1チューブ側壁を貫通する第1開口部とを有する第1タンクと、
外表面上の複数のフィンと、第1端部と、第2端部とを含み、前記第1端部が前記第1タンクの前記第1開口部内に受容されるフローチューブと、
前記フローチューブと前記第1開口部の内表面との間に位置する第1シールと、
前記フローチューブと前記第1開口部の前記内表面との間、かつ前記第1シールと前記フローチューブ上の前記フィンとの間に位置し、リテーナの外周縁部から延在する肩部を有し、前記第1開口部内に完全に挿入される前記リテーナと、
前記第1タンクと前記フローチューブ上の前記フィンとの間に位置し、前記第1タンクに固定された取付けブロックと、
第2チューブ側壁と、前記第2チューブ側壁の内部に形成され前記第2チューブ側壁の長手方向に沿って延びる二つの貯蔵区画を備える第2貯蔵部と、前記第2チューブ側壁を貫通する第2開口部とを有し、前記フローチューブの前記第2端部が前記第2開口部に受容される第2タンクと、
前記フローチューブと前記第2開口部の内表面との間に位置する第2シールと、を含む熱交換装置。
【請求項2】
前記第1開口部の前記内表面から内側に延在する第1肩部をさらに含む、請求項1に記載の熱交換装置。
【請求項3】
前記第1シールは、前記リテーナと前記第1肩部との間に位置する、請求項2に記載の熱交換装置。
【請求項4】
前記第1開口部のチューブ側は面取りされる、請求項1に記載の熱交換装置。
【請求項5】
前記第1開口部の前記チューブ側は、約45°の角度で面取りされる、請求項4に記載の熱交換装置。
【請求項6】
前記取付けブロックはT字形である、請求項1に記載の熱交換装置。
【請求項7】
前記取付けブロックはL字形である、請求項1に記載の熱交換装置。
【請求項8】
前記第2開口部の前記内表面に形成される凹部をさらに含み、
前記第2シールは、前記凹部内に設置されている、請求項1に記載の熱交換装置。
【請求項9】
前記凹部と前記第2開口部のタンク側との間の位置において、前記第2開口部の前記内表面から内側に延在する第2肩部をさらに含む、請求項8に記載の熱交換装置。
【請求項10】
前記第2開口部のチューブ側は面取りされる、請求項1に記載の熱交換装置。
【請求項11】
前記第2開口部の前記チューブ側は、約45°の角度で面取りされる、請求項10に記載の熱交換装置。
【請求項12】
前記第1シール及び第2シールはOリングである、請求項1に記載の熱交換装置。
【請求項13】
前記Oリングはエラストマーで形成されている、請求項12に記載の熱交換装置。
【請求項14】
前記リテーナは、軸方向に延在する隙間を含む、請求項1に記載の熱交換装置。
【請求項15】
熱交換装置であって、
第1タンクと、複数のフローチューブと、複数の第1シールと、複数のリテーナと、複数の取付けブロックと、第2タンクと、複数の第2シールとを含み、
前記第1タンクは、第1チューブ側壁と、前記第1チューブ側壁の内部に形成され前記第1チューブ側壁の長手方向に沿って延びる二つの貯蔵区画を備える第1貯蔵部と、前記第1チューブ側壁を貫通する複数の第1開口部とを有し、
前記フローチューブの各々は、その外表面上の複数のフィンと、第1端部と、第2端部とを含み、
前記第1端部は、前記第1タンクの、対応する第1開口部内に受容され、
前記第1シールの各々は、前記フローチューブのうちの1つと前記対応する第1開口部の内表面との間に位置し、
前記リテーナの各々は、前記フローチューブのうちの1つと前記対応する第1開口部の前記内表面との間、かつ前記第1シールと前記フローチューブのうちの1つの上の前記フィンとの間に位置し、前記リテーナの外周縁部から延在する肩部を各々有し、前記対応する第1開口部内に完全に挿入され、
前記取付けブロックの各々は、前記第1タンクと前記フローチューブのうちの1つの上の前記フィンとの間に位置するとともに前記第1タンクに固定され、
前記第2タンクは、第2チューブ側壁と、前記第2チューブ側壁の内部に形成され前記第2チューブ側壁の長手方向に沿って延びる二つの貯蔵区画を備える第2貯蔵部と、前記第2タンクの前記第2チューブ側壁を貫通する複数の第2開口部とを有し、
前記フローチューブの各々の前記第2端部は、前記第2タンクの、対応する第2開口部に受容され、
前記第2シールの各々は、前記フローチューブのうちの1つと対応する第2開口部の内表面との間に位置する熱交換装置。
【請求項16】
少なくとも1つの前記取付けブロックはT字形である、請求項15に記載の熱交換装置。
【請求項17】
少なくとも1つの前記取付けブロックはL字形である、請求項15に記載の熱交換装置。
【請求項18】
第2開口部の各々の前記内表面に形成された凹部をさらに含み、
凹部の各々内には、対応する第2シールが設置されている、請求項15に記載の熱交換装置。
【請求項19】
前記第1シール及び第2シールはOリングである、請求項15に記載の熱交換装置。
【請求項20】
第1開口部及び第2開口部の各々のチューブ側は面取りされる、請求項15に記載の熱交換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2016年1月28日に出願された米国実用特許出願第15/008,505号の優先権を主張するものであり、これによりその全文が全ての目的の参照により本明細書に組み込まれる。本発明の態様は、一般に熱交換器に関し、特に、タンク及びチューブアンドフィン装置を備え、改良されたタンク構造及び改良されたチューブとタンクのシーリング装置とを有する熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
熱交換器は、一般的に、一対の対向するタンクに取り付けられて相互に接続された複数のチューブアンドフィン装置から形成される。油、空気等の加熱または冷却流体が一方のタンクからチューブを通って流れた後、他方のタンクを通って流出する。空気は、チューブ及びフィンを通過し、チューブを通過する流体に熱を加え又はそこから熱を除去する。熱交換器は漏れることなくシステム作動圧力に耐えることができなければならない。エラストマーシールまたは他の材料のシールは、熱交換器内においてチューブとタンクとを適切にシーリングするために使用されることがある。
【0003】
先行する既知の装置に固有の困難の一部または全部を軽減、克服する熱交換器を提供することが望ましいであろう。この技術分野に精通しまたは経験を積んでいる当業者は、本発明の以下の開示及び特定の実施形態の詳細な説明を考慮すれば、特別な利点が明らかになるだろう。
【0004】
この技術分野に精通しまたは経験を積んでいる当業者は、本発明の以下の開示や特定の望ましい実施形態の詳細な説明を考慮すれば、本発明の特別な目的及び利点が明らかになるだろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の態様は、有利な圧力機能と改善された性能を有する熱交換器を有利に提供するために使用できるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様では、熱交換装置は、チューブ側壁と、内部に形成された貯蔵部と、前記チューブ側壁を貫通する開口部とを有する第1タンク及び第2タンクを含む。フローチューブは、その外表面上の複数のフィン、第1端部及び第2端部を有し、前記第1端部が前記第1タンクの開口部に受容される。第1シールは、前記フローチューブと前記第1開口部との間に位置する。リテーナは、前記フローチューブと前記第1開口部との間、かつ前記第1シールと前記チューブ上の前記フィンとの間に位置する。取付けブロックは、前記第1タンクと前記チューブ上の前記フィンとの間に位置するとともに、前記第1タンクに固定される。第2シールは、前記フローチューブと前記第2開口部との間に位置する。
【0007】
本発明の別の態様では、熱交換器装置は、チューブ側壁と、内部に形成された貯蔵部と、前記チューブ側壁を貫通する複数の開口部とを有する第1タンク及び第2タンクを含む。複数のフローチューブの各々は、その外表面上の複数のフィンと、第1端部と、第2端
部とを有し、これらの端部が前記第1タンク及び前記第2タンクの、対応する開口部に受容される。複数の第1シールの各々は、前記フローチューブのうちの1つと、前記第1タンク内の対応する開口部の内表面との間に位置する。複数のリテーナの各々は、前記フローチューブのうちの1つと前記第1タンク内の対応する開口部の内表面との間、かつ前記第1シールと前記フローチューブのうちの1つの上の前記フィンとの間に位置する。複数の取付けブロックの各々は、前記第1タンクと前記フローチューブのうちのひとつの上のフィンとの間に位置するとともに、前記第1タンクに固定される。複数の第2シールの各々は、前記フローチューブのうちの1つと前記第2タンク内の対応する開口部の内表面との間に位置する。
【0008】
上記開示から、本明細書で開示される熱交換器の好ましい実施形態が高い作動圧力でのシーリングや性能の改善の面での顕著な技術的進歩を提供することは、本技術分野に精通し経験を有する当業者にとって容易に明らかであろう。これら及び追加の特徴や利点は、特定の好ましい実施形態の以下の詳細な開示によりさらに理解されるであろう。
【0009】
上記の図面は必ずしも縮尺通りに描かれておらず、関連する原理を例示する本発明の表現を提供することを理解されたい。図面に示されている熱交換器のいくつかの特徴は、説明及び理解を容易にするために、他のものに対して拡大または変形されている。様々な代替実施形態に示された類似または同一の構成要素及び特徴については、図面で同じ参照符号を使用する。本明細書で開示されている熱交換器は、ある程度、使用される意図された適用及び環境によって決められる形状や構成要素を有するだろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】熱交換器の対向するタンクの間に取り付けられたチューブアンドフィン装置を部分破断で示す概略斜視図である。
図2】チューブアンドフィン装置のチューブが第1タンクに挿入される前の、図1の熱交換器の第1タンクを部分破断で示す概略斜視図である。
図3】チューブの第1端部が第1タンクに挿入されている状態の、図1の熱交換器の第1タンク及びチューブアンドフィン装置を部分破断で示す概略斜視図である。
図4】チューブの第1端部が挿入される前の、図1の熱交換器の第1タンク内の第1開口部の断面図である。
図5】第2シールが設置された場合かつチューブの第2端部が挿入される前の、図1の熱交換器の第2タンク内の第2開口部の断面図であり、チューブの溝に設置されたバッフルプレートを含む図4のチューブアンドフィン装置の別の実施形態の平面図である。
図6】チューブの第2端部が第2タンクに挿入されている状態の、図1の熱交換器の第2タンク及びチューブアンドフィン装置を部分破断で示す概略斜視図である。
図7】チューブの第2端部が挿入されている状態の、図1の熱交換器の第2タンク内の第2開口部の断面図である。
図8】リテーナがチューブの第1端部上に部分的に位置する状態の、図1の熱交換器の第1タンクを部分破断で示す概略斜視図である。
図9】リテーナがチューブの第1端部上に完全に位置する状態の、図1の熱交換器の第1タンクを部分破断で示す概略斜視図である。
図10図9のリテーナの断面図である。
図11】リテーナ及び第1シールが第1タンクの第1開口部に完全に挿入されている状態の、図1の熱交換器の第1タンクを部分破断で示す概略斜視図である。
図12】チューブの第1端部が挿入されている状態の、図1の第1タンク内の第1開口部の断面図である。
図13】複数のチューブアンドフィン装置が挿入されているとともに取付けブロックが熱交換器内に位置する状態の、図1の熱交換器の第1タンクを部分破断で示す概略斜視図である。
図14】複数の取付けブロックが隣接するチューブアンドフィン装置の間に位置する状態の、図1の熱交換器の第1タンクを部分破断で示す概略斜視図である。
図15】取付けブロックが最端部のチューブアンドフィン装置に隣接して位置する状態の、図1の熱交換器の第1タンクを部分破断で示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は数々の形態で具体化されることが可能である。熱交換器10の一実施形態は図1で示され、一部が組み立てられて一部が切り取られ、油圧トランスミッション、圧縮機やターボチャージャー等の産業機械(図示せず)の使用に際して生じる油または空気等の熱流体を冷却するために使用される。熱交換器10は、特定の実施形態において冷却流体を加熱するために使用しうることを認識されるべきである。典型的な適用例において、熱流体は熱交換器10の内部を貫流し、一方、空気または他の適切な冷却流体等の冷却流体は熱交換器10の外側と接触することで熱流体を冷却する。
【0012】
しかしながら、熱交換器は、産業機械において熱流体を冷却するために限られず、他の領域において液体や気体と容易に使用されてもよい。例えば、本発明の実施形態は、エンジンを冷却するためのラジエーター等の熱交換器に適用される場合、水や不凍剤等の冷却剤がフローチューブを貫流するとともに、空気または適切な液体等の流体がフローチューブの外側の周りを流れる。便宜上、ここでは、「上部」、「下部」、「頂部」、「底部」という用語が熱交換器の上端部、下端部と他の要素を区別するために使用される。「上部」、「下部」、「頂部」、「底部」は、記述、理解を容易にするためにのみ使用され、組み立て中や使用中の熱交換器またはその構成要素の可能な空間的方位を制限することに意図をしていることを認識されるべきである。
【0013】
熱交換器10は、第1貯蔵部14が内部に形成される第1タンク12を含む。図示された実施形態では、第1タンク12は、熱交換器10の下部タンクまたは底部タンクである。第2貯蔵部18が内部に形成される第2タンク16は、第1タンク12から離れて第1タンク12と対向して位置し、図示された実施形態において熱交換器10の上部タンクまたは頂部タンクとして示される。
【0014】
複数のチューブアンドフィン装置19の各々は、フローチューブ20と、各フローチューブ20の外表面に固定された複数のフィン材またはフィン22とを含む。フローチューブ20は、第1タンク12と第2タンク16との間に延在する。フィン22は、フローチューブ20の外側に溶接または固定されてもよい。熱交換器10は、任意の所望数のチューブアンドフィン装置19を有することができるのを認識されるべきである。
【0015】
以下により詳細に説明する通り、各チューブ20の第1端部(下端部)24は、第1タンク12に形成される第1開口部25に受容される(図2図3に示される)。以下により詳細に説明する通り、図6に示すように、各チューブ20の第2端部(上端部)26は第2タンク16に形成される第2開口部27に受容される。
【0016】
チューブ20の第1端部24は、取付けブロック28で第1タンク12内に固定される。取付けブロック28は、第1タンク12に固定される。図示された実施形態では、図2及び図3に示すように、取付けブロック28は、ネジ状凹部32に受容されるボルト30等の留め金具によって第1タンク12に固定される。取付けブロック28は、他の留め金具や他の留め手段によって第1タンク12に固定されうることを認識されるべきである。この開示の利益を考慮すると、他の適切な留め手段は当業者にとって容易に明らかになるだろう。
【0017】
隣接する取付けブロック28は、第1タンク12の側面に沿って互いに当接するように第1タンク12に取付けられて構成されることで、このような熱交換器10の中でしばしば生じる高い圧力を受けた際の取り付けブロック28の位置保持に有利である。取付けブロック28を当接させて位置させることは、熱交換器10に構造上の利点を提供する。その理由としては、後述するように、取付けブロックが貫通する開口部を含むとともに、互いに当接する複数の取付けブロックを設けることにより、熱交換器の高い作動圧力に耐えられるよう互いに強度を与えることである。
【0018】
図1に示すように、説明のために、チューブ20の長さは、第1タンク12、第2タンク16の高さ及び取付けブロック28の高さの各々に対して相対的に短い。これらの比率が必ずしもすべての場合に適用可能であるとは限らず、チューブ20は任意の所望の長さを有することができ、実際に、多くの適用例において、第1タンク12、第2タンク16の高さ及び取付けブロック28の高さよりもかなり長いことを認識されるべきである。この開示の利益を考慮すると、チューブ20の適切な長さは当業者にとって容易に明らかになるだろう。
【0019】
図2に示すように、第1タンク12は複数の第1開口部25を含む。各開口部25は、チューブ20の、対応する第1端部24を受容する。ここに示すように、チューブ20及び第1開口部25と同様に、図6に示す第2開口部27も、長手方向軸線Lを備えるレーストラック断面形状を有する。特定の実施形態において、チューブ20、第1開口部25及び第2開口部27は、図2に示すレーストラック形状チューブ以外の断面形状を有してもよいことを認識されるべきである。たとえば、チューブ20、第1開口部25及び第2開口部27は、円形または楕円形の断面を有してもよい。この開示の利益を考慮すると、チューブ20、第1開口部25及び第2開口部27の他の適切な断面形状は当業者にとって容易に明らかになるだろう。
【0020】
図2に示すように、チューブ20が取付けられる前に、第1シール34がチューブ20の第1端部24に設置される。チューブ20は、次に長手方向軸線Lに沿って傾けられ、第1端部24は、この角度で第1開口部25に挿入される。第1開口部25の段付き開口は、以下により詳細に説明される通り、第1開口部25内へのチューブ20の傾斜挿入を可能にする。特定の実施形態において、チューブ20は、垂直に対して約10°~約15°の角度αで傾けられる。
【0021】
本明細書で使用されるように、「約」という用語は、実用で商業的なエンジニアリング目的、コスト、製造公差及び熱交換器の製造や使用の分野における性能の制約範囲内の特定の値に「近い」または「およそ」を意味することを意図している。
【0022】
次いで、チューブ20は、図3に示すように垂直に向けられて第1端部24が第1開口部25に受容されるまで傾けられる。ここに見られるように、設置中のこの時点で、第1シール34は、第1タンク12のチューブ側38及び第1開口部25の上方に配置される。
【0023】
以下より詳細に説明される通り、図4に示すように、第1タンク12のチューブ側38において、第1開口部25は、その縁部36で傾斜角を付けられたり面取りされたりし、それによってチューブ20の第1端部24を第1開口部25に挿入することがより容易になる。特定の実施形態では、傾斜縁部36は、約45°の角度で面取りされる。第1肩部40は、傾斜縁部36から離れて第1タンク12のタンク側42に近い位置で第1開口部25の内表面から内側に延在する。以下より詳細に説明される通り、第1肩部40は、チューブ20の第1端部24が第1開口部25に挿入されたときに第1シール34と係合する。
【0024】
以下より詳細に説明される通り、図5に示すように、第2タンク16のチューブ側46において、第2開口部27もその縁部44で傾斜角を付けられたり面取りされたりし、それによってチューブ20の第2端部26を第2開口部27に挿入することがより容易になる。特定の実施形態では、傾斜縁部44は、約45°の角度で面取りされる。通路、溝、または凹部48は、傾斜縁部44に隣接し第2タンク16のタンク側50に近い第2開口部27の内表面に形成される。第2シール52は、凹部48内に設置され、チューブ20が第2開口部27に挿入されたときにチューブ20の第2端部26をシーリングする働きをする。第2肩部54は、凹部48から内側への、第2タンク16のタンク側50に近い位置で第2開口部27の内表面から内側に延在する。
【0025】
チューブ20が垂直位置に傾けられると、図6に示すように、最上端のフィン22が第2タンク16のチューブ側36に接触するまで、第2端部26は、上向きに第2タンク16の第2開口部27内に移動する。図7に示すように、第2端部26が第2開口部27に受容されると、第2シール52が凹部48内に位置するとともに凹部48内においてチューブ20によって圧縮される。この時点で、チューブ20の第1端部24は、依然として第1タンク12の第1開口部25内に設置されている。
【0026】
図8に示すように、リテーナ56は、次に、チューブ20の第1端部24の周りかつ第1シール34の上方に位置する。図示された実施形態では、リテーナ56は、第1シール34のようなレーストラック形状を有するが、垂直方向に分割されることで、第1シール34の上方において、チューブ20の第1端部24の外側の上に広がって摺動することができる。図9に示すように、リテーナ56は、チューブ20の第1端部24の周りに完全に設置されていることが分かる。
【0027】
特定の実施形態では、図10に示すように、リテーナ56は、リテーナ56の外周縁部60に形成された肩部58を有してもよい。図示された実施形態では、係合面58は、外周縁部60の中心部からある角度で上方及び外側に延在する肩部として形成される。チューブ20の第1端部24が第1開口部25に挿入されると、肩部58は第1開口部25内において傾斜縁部36と係合することができる。特定の実施形態では、肩部58は約45°の角度で延在している。他の実施形態では、リテーナ56が長方形の断面を有することを認識されるべきである。
【0028】
特定の実施形態では、リテーナ56は、例えば、ナイロンプラスチック等のプラスチックで形成される。リテーナ56は、例えば、アルミニウム等の金属で形成されうることを認識されるべきである。今回の開示の利益を考慮すると、リテーナ56用の他の適切な材料は当業者にとって容易に明らかになるだろう。
【0029】
リテーナ56がチューブ20の第1端部24に完全に係合した後、第1端部24は、次に、下向きに第1開口部25内に押圧される。図11図12に示すように、リテーナ56は、下向きに第1開口部25内に移動すると、第1シール34を第1タンク12の第1開口部25内に押し込む。
【0030】
次に、取付けブロック62は、図13に示すように、最下部のフィン22と第1タンク12との間のチューブ20に隣接する位置に滑り込む。ここに図示されているように、複数のチューブ20の第1端部24は、第1タンク12内の、対応する第1開口部25に挿入されている。ここに示すように、隣接するチューブ20の間の位置に滑り込まれる取付けブロック62は実質的にT字形である。特定の実施形態では、アーム64とベース66との間の交差部は、チューブ20の湾曲した端部に嵌め込まれるように湾曲している。図14は、所定の位置にある複数のT字形取付けブロック62を示し、各取付けブロック62が隣接するチューブ20の間に設置されている。
【0031】
特定の実施形態では、図15に示すように、単一のチューブ20の外表面に対向して配置された最端部の取付けブロック62は、実質的にL字形である。L字形の長いアーム68と短いアーム70との交差部は、チューブ20の湾曲した端部に嵌め込まれるように湾曲している。
【0032】
図1に示すように、取付けブロック62は、ボルト30が取付けブロック62に形成された開口部72を貫通して第1タンク16の凹部32内に螺合されることで、第1タンクに固定される。
【0033】
使用時には、第1シール34と第2シール52とは、所定の量で圧縮されてチューブ20、第1タンク12、及び第2タンク16の間を適切にシーリングする。シール34,52が異なるサイズ及び形状を有することができることを認識されるべきである。例えば、これらのシールは、一般的に「Oリング」として知られている円形断面を有するシールであってもよい。他の有用なシールは、正方形の断面、長方形の断面または「X」に類似する断面を有するものを含む。この開示の利益を考慮すると、他の適切なシール形状及びシールが設置される部材の構成が当業者にとって容易に明らかになるだろう。
【0034】
特定の実施形態では、シール34,52はエラストマー材料から形成される。特定の実施形態では、シール34,52は、例えば、フルオロカーボン、シリコン、ニトリル、エチレンプロピレン、またはフルオロシリコンで形成されてもよい。特定の適用例では、シール34,52は、エラストマー材料を劣化させる可能性のある高温での長期間露出に適した材料で形成される。例えば、可撓性グラファイト型材料は、高温に露出した場合に長寿命を実現する。有用なシールは、所定の熱交換器の作動圧力及び作動温度に耐えることができ、所定の熱交換器で使用される流体による劣化に対しても耐性がある。これらのシールは、手動または適切な器具によって取り付けられて所定の場所に設置されてもよい。この開示の利益を考慮すると、シール34,52を形成するための他の適切な材料は当業者にとって容易に明らかになるであろう。
【0035】
このように、様々な実施形態の基本的な新規な特徴が示され、記載され、指摘されてきたが、説明された装置の形態や詳細、その操作について、様々な省略、置換や変更が、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく当業者によって実施されてもよいことを理解されたい。例えば、同じ結果を達成するための、実質的に同じ方法で実質的に同じ機能を果たすこれらの要素及び/またはステップの全ての組み合わせが、本発明の範囲内にあることは明確に意図されている。記載された実施形態から別の実施形態への要素の置換も充分に意図、熟慮されている。したがって、添付の特許請求の範囲によって示されるところにのみ限定されることを意図している。
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