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特許7106743グラフ計算技術に基づく請求不正防止方法、装置、機器及び記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-15
(45)【発行日】2022-07-26
(54)【発明の名称】グラフ計算技術に基づく請求不正防止方法、装置、機器及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/08 20120101AFI20220719BHJP
   G06F 16/28 20190101ALI20220719BHJP
【FI】
G06Q40/08
G06F16/28
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021504213
(86)(22)【出願日】2019-11-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-25
(86)【国際出願番号】 CN2019117708
(87)【国際公開番号】W WO2020151321
(87)【国際公開日】2020-07-30
【審査請求日】2021-01-25
(31)【優先権主張番号】201910064223.7
(32)【優先日】2019-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517406065
【氏名又は名称】平安科技(深▲せん▼)有限公司
【氏名又は名称原語表記】PING AN TECHNOLOGY (SHENZHEN) CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】23F,Ping’an Financial Center,No.5033 Yitian Road,Fu’an Community of Futian Street,Futian District Shenzhen,Guangdong 518000 China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】王 健宗
(72)【発明者】
【氏名】黄 章成
【審査官】牧 裕子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0267224(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0278479(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
G06F 16/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリと、プロセッサと、を含むコンピュータ機器により、グラフ計算技術に基づく請求不正を防止する方法であって、
前記メモリには、それぞれテーブルの形態で統計的に提示された、患者基本情報、医師基本情報及び医師オーダ情報を含む医療データが格納され、
前記プロセッサにより、前記メモリから医療データを引き出し、グラフ計算技術に基づいて、前記医療データから、医師患者サブグラフ及び医師オーダサブグラフを生成し、前記医師患者サブグラフ及び医師オーダサブグラフから融合マクログラフを生成するステップと、
前記プロセッサにより、複数のコミュニティ閉ループを含む患者関係ネットワークを生成するように、前記融合マクログラフに基づいて前記医師患者サブグラフを投影するステップと、
前記プロセッサにより、前記患者関係ネットワーク内の任意の2つのノードに対応する患者の属性パラメータに基づいて、類似度計算式を用いて前記患者関係ネットワーク内の任意の2つのノード間の類似度を計算し、前記メモリに格納するステップと、
前記プロセッサにより、前記メモリに格納された平均類似度計算式を引き出し、前記平均類似度計算式に基づいて、前記類似度から各前記コミュニティ閉ループに対応する平均類似度を計算し、前記メモリに格納するステップと、
前記プロセッサにより、前記メモリに格納された前記平均類似度を引き出し、前記平均類似度に基づいて保険金詐欺行為を決定するステップと、を含み、
ここで、前記医師患者サブグラフは、患者と医師をノードとし、医師の所属している診療科番号をノードの属性とし、診察時間および料金種別を含む患者の情報をエッジ属性とし、
医師オーダサブグラフは、医師と医師オーダをノードとし、医師の所属している診療科番号をノードの属性とし、医師オーダの他の情報をエッジ属性とし、
前記プロセッサによって実現される、グラフ計算技術に基づいて、医療データから医師患者サブグラフ及び医師オーダサブグラフを生成し、前記医師患者サブグラフ及び医師オーダサブグラフから融合マクログラフを生成する前記ステップは、
医療データを取得し、前記医療データを分類して分類データを得るステップと、
前記分類データの関連関係に基づいて患者医師関係テーブルと医師オーダ関係テーブルとを含む分類関係テーブルを生成するステップと、
グラフ計算技術に基づいて、前記分類関係テーブルから医師患者サブグラフと医師オーダサブグラフとを含む2部グラフを生成するステップと、
グラフ計算技術におけるモデル融合技術に基づいて、前記医師患者サブグラフと医師オーダサブグラフとを融合して融合マクログラフを生成するステップと、を含み、
前記プロセッサによって実現される、前記患者関係ネットワークを生成するように、前記融合マクログラフに基づいて前記医師患者サブグラフを投影する前記ステップは、
前記融合マクログラフに基づいて患者間に存在する、同一医師への受診経験による類似受診行為を決定するステップと、
患者関係ネットワークを生成するように、前記患者間に存在する類似受診行為に基づいて前記医師患者サブグラフを投影するステップと、を含み、
前記プロセッサによって実現される、前記患者関係ネットワークを生成するように、前記患者間に存在する類似受診行為に基づいて前記医師患者サブグラフを投影する前記ステップは、
複数の患者関係ネットワークを得るように、前記患者間に存在する類似受診行為に基づいて、前記医師患者サブグラフを投影するステップと、
前記患者関係ネットワーク内の関係する医師をクラスタリングして医師クラスタ関係を得るステップと、
患者関係ネットワークを生成するように、前記医師クラスタ関係に基づいて、複数の前記患者関係ネットワークを接続するステップと、を含み、
前記類似度計算式は以下のようになり、

【請求項2】
前記プロセッサによって実現される、前記患者関係ネットワーク内の任意の2つのノード間の類似度を計算する前記ステップは、
類似度計算式に基づいて、前記患者関係ネットワーク内の任意の2つのノードに対応する患者の特徴属性及び受診行為属性から前記患者関係ネットワーク内の任意の2つのノード間の類似度を計算するステップを含む、請求項1に記載の請求不正防止方法。
【請求項3】
前記患者関係ネットワーク内の任意の2つのノード間の類似度を計算する前記ステップの後、前記類似度に基づいて前記プロセッサにより、前記患者関係ネットワーク内の各エッジに対応する重み値を更新するステップをさらに含み、
前記類似度から各前記コミュニティ閉ループに対応する平均類似度を計算する前記ステップは、平均類似度計算式に基づいて、患者関係ネットワークにおける更新後の重み値から各前記コミュニティ閉ループに対応する平均類似度を計算するステップを含む、請求項に記載の請求不正防止方法。
【請求項4】
メモリと、プロセッサと、を含むコンピュータ機器であって、
前記メモリは、それぞれテーブルの形態で統計的に提示された、患者基本情報、医師基本情報及び医師オーダ情報を含む医療データとコンピュータプログラムとを記憶するために用いられ、
前記プロセッサは、前記コンピュータプログラムを実行し、かつ前記コンピュータプログラムを実行するときに、
グラフ計算技術に基づいて、前記医療データから医師患者サブグラフ及び医師オーダサブグラフを生成し、前記医師患者サブグラフ及び医師オーダサブグラフから融合マクログラフを生成するステップと、
複数のコミュニティ閉ループを含む患者関係ネットワークを生成するように、前記融合マクログラフに基づいて前記医師患者サブグラフを投影するステップと、
前記患者関係ネットワーク内の任意の2つのノードに対応する患者の属性パラメータに基づいて、類似度計算式を用いて前記患者関係ネットワーク内の任意の2つのノード間の類似度を計算するステップと、
平均類似度計算式に基づいて、前記類似度から各前記コミュニティ閉ループに対応する平均類似度を計算するステップと、
前記平均類似度に基づいて保険金詐欺行為を決定するステップと、を実現するために用いられ、
ここで、前記医師患者サブグラフは、患者と医師をノードとし、医師の所属している診療科番号をノードの属性とし、診察時間および料金種別を含む患者の情報をエッジ属性とし、
医師オーダサブグラフは、医師と医師オーダをノードとし、医師の所属している診療科番号をノードの属性とし、医師オーダの他の情報をエッジ属性とし、
グラフ計算技術に基づいて、医療データから医師患者サブグラフ及び医師オーダサブグラフを生成し、前記医師患者サブグラフ及び医師オーダサブグラフから融合マクログラフを生成する前記ステップは、
医療データを取得し、前記医療データを分類して分類データを得るステップと、
前記分類データの関連関係に基づいて患者医師関係テーブルと医師オーダ関係テーブルとを含む分類関係テーブルを生成するステップと、
グラフ計算技術に基づいて、前記分類関係テーブルから医師患者サブグラフと医師オーダサブグラフとを含む2部グラフを生成するステップと、
グラフ計算技術におけるモデル融合技術に基づいて、前記医師患者サブグラフと医師オーダサブグラフとを融合して融合マクログラフを生成するステップと、を含み、
前記患者関係ネットワークを生成するように、前記融合マクログラフに基づいて前記医師患者サブグラフを投影する前記ステップは、
前記融合マクログラフに基づいて患者間に存在する、同一医師への受診経験による類似受診行為を決定するステップと、
患者関係ネットワークを生成するように、前記患者間に存在する類似受診行為に基づいて前記医師患者サブグラフを投影するステップと、を含み、
前記患者関係ネットワークを生成するように、前記患者間に存在する類似受診行為に基づいて前記医師患者サブグラフを投影する前記ステップは、
複数の患者関係ネットワークを得るように、前記患者間に存在する類似受診行為に基づいて、前記医師患者サブグラフを投影するステップと、
前記患者関係ネットワーク内の関係する医師をクラスタリングして医師クラスタ関係を得るステップと、
患者関係ネットワークを生成するように、前記医師クラスタ関係に基づいて、複数の前記患者関係ネットワークを接続するステップと、を含み、
前記類似度計算式は以下のようになり、

【請求項5】
前記プロセッサによって実現される、前記患者関係ネットワーク内の任意の2つのノード間の類似度を計算する前記ステップは、
類似度計算式に基づいて、前記患者関係ネットワーク内の任意の2つのノードに対応する患者の特徴属性及び受診行為属性から前記患者関係ネットワーク内の任意の2つのノード間の類似度を計算するステップを含む、請求項に記載のコンピュータ機器。
【請求項6】
前記プロセッサによって実現される、前記患者関係ネットワーク内の任意の2つのノード間の類似度を計算する前記ステップの後のステップは、前記類似度に基づいて前記患者関係ネットワーク内の各エッジに対応する重み値を更新するステップをさらに含み、
前記プロセッサによって実現される、前記類似度から各前記コミュニティ閉ループに対応する平均類似度を計算する前記ステップは、平均類似度計算式に基づいて、患者関係ネットワークにおける更新後の重み値から各前記コミュニティ閉ループに対応する平均類似度を計算するステップを含む、請求項に記載のコンピュータ機器。
【請求項7】
コンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、前記コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に、それぞれテーブルの形態で統計的に提示された、患者基本情報、医師基本情報及び医師オーダ情報を含む医療データとコンピュータプログラムが記憶されており、前記コンピュータプログラムがプロセッサによって実行されると、
グラフ計算技術に基づいて、前記医療データから医師患者サブグラフ及び医師オーダサブグラフを生成し、前記医師患者サブグラフ及び医師オーダサブグラフから融合マクログラフを生成するステップと、
複数のコミュニティ閉ループを含む患者関係ネットワークを生成するように、前記融合マクログラフに基づいて前記医師患者サブグラフを投影するステップと、
前記患者関係ネットワーク内の任意の2つのノードに対応する患者の属性パラメータに基づいて、類似度計算式を用いて前記患者関係ネットワーク内の任意の2つのノード間の類似度を計算するステップと、
平均類似度計算式に基づいて、前記類似度から各前記コミュニティ閉ループに対応する平均類似度を計算するステップと、
前記平均類似度に基づいて保険金詐欺行為を決定するステップと、を前記プロセッサに実現させ、
ここで、前記医師患者サブグラフは、患者と医師をノードとし、医師の所属している診療科番号をノードの属性とし、診察時間および料金種別を含む患者の情報をエッジ属性とし、
医師オーダサブグラフは、医師と医師オーダをノードとし、医師の所属している診療科番号をノードの属性とし、医師オーダの他の情報をエッジ属性とし、
グラフ計算技術に基づいて、医療データから医師患者サブグラフ及び医師オーダサブグラフを生成し、前記医師患者サブグラフ及び医師オーダサブグラフから融合マクログラフを生成する前記ステップは、
医療データを取得し、前記医療データを分類して分類データを得るステップと、
前記分類データの関連関係に基づいて患者医師関係テーブルと医師オーダ関係テーブルとを含む分類関係テーブルを生成するステップと、
グラフ計算技術に基づいて、前記分類関係テーブルから医師患者サブグラフと医師オーダサブグラフとを含む2部グラフを生成するステップと、
グラフ計算技術におけるモデル融合技術に基づいて、前記医師患者サブグラフと医師オーダサブグラフとを融合して融合マクログラフを生成するステップと、を含み、
前記患者関係ネットワークを生成するように、前記融合マクログラフに基づいて前記医師患者サブグラフを投影する前記ステップは、
前記融合マクログラフに基づいて患者間に存在する、同一医師への受診経験による類似受診行為を決定するステップと、
患者関係ネットワークを生成するように、前記患者間に存在する類似受診行為に基づいて前記医師患者サブグラフを投影するステップと、を含み、
前記患者関係ネットワークを生成するように、前記患者間に存在する類似受診行為に基づいて前記医師患者サブグラフを投影する前記ステップは、
複数の患者関係ネットワークを得るように、前記患者間に存在する類似受診行為に基づいて、前記医師患者サブグラフを投影するステップと、
前記患者関係ネットワーク内の関係する医師をクラスタリングして医師クラスタ関係を得るステップと、
患者関係ネットワークを生成するように、前記医師クラスタ関係に基づいて、複数の前記患者関係ネットワークを接続するステップと、を含み、
前記類似度計算式は以下のようになり、

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
本願は、2019年1月23日に中国国家知識産権局に提出された、出願番号201910064223.7、発明の名称「グラフ計算技術に基づく請求不正防止方法、装置、機器及び記憶媒体」の中国特許出願の優先権を主張し、その内容の全てが参照によって本願に組み込まれる。
【0002】
本願は、インターネット金融分野に関し、特に、グラフ計算技術に基づく請求不正防止方法、装置、機器及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0003】
現在、金融社会保障分野では、データ量が膨大であり、データの複雑さが非常に高い。グラフ計算技術は、従来のデータベース技術と比較して、データ間の関連価値をより効率的にマイニングすることができる。グラフデータでは、一般に、ノード(Vertex)でエンティティオブジェクトを表し、エッジ(Edge)でエンティティオブジェクト間のコネクションを表し、異なるアプリケーションシナリオに応じて異なるタイプのグラフデータを構築し、このようなグラフデータは複雑な現実ネットワークやモデルを構築し、現実問題を完全にマッピングすることができる。金融社会保障の安全をよりよく維持し、金融システムを保障し、保険金詐欺などの違法犯罪行為、特に患者団体の保険金詐欺行為を取り締まることを目的とする。しかし、現在の保険金詐欺行為の決定には全て人手による調査が必要であり、人手による調査は迅速かつ正確に保険金詐欺行為を決定することが困難であり、時間と労力がかかる。したがって、患者団体の保険金詐欺行為を見分けるために、グラフ計算技術に基づく請求不正防止方法を提供する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願は、保険金詐欺を見分けるための重要な参考となる、グラフ計算技術に基づく請求不正防止方法、装置、機器及び記憶媒体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様によれば、本願は、
グラフ計算技術に基づいて、医療データから医師患者サブグラフ及び医師オーダサブグラフを生成し、前記医師患者サブグラフ及び医師オーダサブグラフから融合マクログラフを生成するステップと、
複数のコミュニティ閉ループを含む患者関係ネットワークを生成するように、前記融合マクログラフに基づいて前記医師患者サブグラフを投影するステップと、
前記患者関係ネットワーク内の任意の2つのノードに対応する患者の属性パラメータに基づいて、前記患者関係ネットワーク内の任意の2つのノード間の類似度を計算するステップと、
前記類似度から各前記コミュニティ閉ループに対応する平均類似度を計算するステップと、
前記平均類似度に基づいて保険金詐欺行為を決定するステップと、を含むグラフ計算技術に基づく請求不正防止方法を提供する。
【0006】
第2の態様によれば、本願は、
グラフ計算技術に基づいて、医療データから医師患者サブグラフ及び医師オーダサブグラフを生成し、前記医師患者サブグラフ及び医師オーダサブグラフから融合マクログラフを生成するために用いられるグラフ生成ユニットと、
複数のコミュニティ閉ループを含む患者関係ネットワークを生成するように、前記融合マクログラフに基づいて前記医師患者サブグラフを投影するために用いられるネットワーク生成ユニットと、
前記患者関係ネットワーク内の任意の2つのノードに対応する患者の属性パラメータに基づいて、前記患者関係ネットワーク内の任意の2つのノード間の類似度を計算するために用いられる第1の計算ユニットと、
前記類似度から各前記コミュニティ閉ループに対応する平均類似度を計算するために用いられる第2の計算ユニットと、
前記平均類似度に基づいて保険金詐欺行為を決定するために用いられる保険金詐欺決定ユニットと、を含むグラフ計算技術に基づく請求不正防止装置をさらに提供する。
【0007】
第3の態様によれば、本願は、コンピュータプログラムを記憶するために用いられるメモリと、前記コンピュータプログラムを実行し、前記コンピュータプログラムを実行するときに上記のような請求不正防止方法を実現するために用いられるプロセッサと、を含むコンピュータ機器をさらに提供する。
【0008】
第4の態様によれば、本願は、プロセッサによって実行されると、上記のような請求不正防止方法を前記プロセッサに実現させるコンピュータプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体をさらに提供する。
【発明の効果】
【0009】
本願は、グラフ計算技術に基づく請求不正防止方法、装置、機器及び記憶媒体を開示し、医療データの採用に応じて医師患者サブグラフ、医師オーダサブグラフ及び融合マクログラフを生成し、複数のコミュニティ閉ループを含む患者関係ネットワークを生成するように前記融合マクログラフに基づいて前記医師患者サブグラフを投影し、前記患者関係ネットワーク内の任意の2つのノード間の類似度及び各前記コミュニティ閉ループに対応する平均類似度を計算し、前記平均類似度に基づいて保険金詐欺行為を決定する。さらに、保険金詐欺の疑いの高い患者団体を見つけ出し、保険金詐欺を迅速に見分ける上で重要な参考となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本願の実施例の技術的解決手段をより明確に説明するために、以下では、実施例の説明において使用する必要がある添付の図面を簡単に説明するが、以下の説明における添付の図面は、本願のいくつかの実施例であり、当業者が創造的な労力を払うことなく、これらの図面から他の添付の図面を得ることができることは自明である。
図1】本願の実施例によって提供されるグラフ計算技術に基づいてグラフデータを構築するステップの概略的なフローチャートである。
図2】本願の実施例によって提供される医師患者サブグラフの構造概略図である。
図3】本願の実施例によって提供される医師オーダサブグラフの構造概略図である。
図4a】本願の実施例によって提供されるサブグラフをマクログラフに融合する原理概略図である。
図4b】本願の実施例によって提供される融合マクログラフの構造概略図である。
図5】本願の実施例によって提供されるグラフ計算技術に基づく請求不正防止方法の概略的なフローチャートである。
図6図5で提供される請求不正防止方法のサブステップの概略的なフローチャートである。
図7】本願の実施例によって提供される患者関係ネットワークの概略図である。
図8図5で提供される請求不正防止方法のサブステップの概略的なフローチャートである。
図9】本願の実施例によって提供される医師クラスタリングの結果概略図である。
図10】本願の実施例によって提供されるクラスタリング後の患者関係ネットワークの概略図である。
図11】本願の実施例によって提供される重み値を更新した後の患者関係ネットワークの概略図である。
図12】本願の実施例によって提供される別のグラフ計算技術に基づく請求不正防止方法の概略的なフローチャートである。
図13図12で提供される請求不正防止方法のサブステップの概略的なフローチャートである。
図14】本願の実施例によって提供される医師関係ネットワークの構造概略図である。
図15図12で提供される請求不正防止方法のサブステップの概略的なフローチャートである。
図16】本願の実施例によって提供されるグラフ計算技術に基づく請求不正防止装置の概略ブロック図である。
図17】本願の実施例によって提供される別のグラフ計算技術に基づく請求不正防止装置の概略ブロック図である。
図18】本願の一実施例によって提供されるコンピュータ機器の構造の概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下では、本願の実施例の図面を参照して、本願の実施例の技術的解決手段を明確かつ完全に説明し、説明された実施例は本願の全ての実施例ではなく、本願の一部の実施例であることは明らかである。本願の実施例に基づいて、当業者が創造的な労力を行なわないで得た他の全ての実施例は、本願の保護の範囲に属する。
【0012】
図面に示されたフローチャートは単なる例示であり、全てのコンテンツ及び操作/ステップを含む必要はなく、記載された順序で実行される必要もない。例えば、いくつかの操作/ステップは、分解、組み合わせ、又は部分的に統合することもできるので、実際に実行される順序は、状況に応じて変わる可能性がある。
【0013】
本願の実施例は、グラフ計算技術に基づく請求不正防止方法、装置、コンピュータ機器及び記憶媒体を提供する。グラフ計算技術に基づく請求不正防止方法は、患者及び/又は医師の保険金詐欺行為に使用でき、患者又は医師の保険金詐欺を迅速に発見するための重要な参考となる。
【0014】
以下、添付の図面に関連して、本願のいくつかの実施形態を詳細に説明する。以下の実施例及び実施例における特徴は、競合することなく相互に組み合わせることができる。
【0015】
図1を参照すると、図1は、本願の実施例によって提供されるグラフ計算技術に基づいてグラフデータを構築するステップの概略的なフローチャートである。従来のデータベースに記憶されている構造化データに対して、グラフ計算技術を利用して、エンティティとコネクションを切り離し、ノードとエッジにマッピングし、さらにグラフデータに変換してネットワークに記憶するグラフデータ構築方法である。このうち、従来のデータベースは、構造化照会言語(Structured Query Language、SQL)データベースなどである。
【0016】
図1に示すように、グラフ計算技術に基づいてグラフデータを構築する該ステップは、医療データから医療グラフデータを作成し、該医療グラフデータに基づいて請求不正防止を実現する。このうち、グラフ計算技術に基づいてグラフデータを構築する該ステップは、具体的には以下を含む。
【0017】
S101、医療データを取得し、前記医療データを分類して分類データを得る。
【0018】
本実施例では、前記分類データは、患者基本情報と、医師基本情報と、医師オーダ情報とを含む。もちろん、他のタイプの情報も含めてもよい。
【0019】
具体的には、患者基本情報、医師基本情報及び医師オーダ情報はいずれも、テーブルの形態で統計的に提示され、すなわち、患者基本情報テーブル、医師基本情報テーブル及び医師オーダ情報テーブルである。
【0020】
このうち、患者基本情報テーブルは、患者番号、性別、年齢及び医療保険カード番号などの情報を含み、医師基本情報テーブルは、医師番号及び所属する診療科番号などの情報を含み、医師オーダ情報テーブルは、医師オーダ項目、医師オーダ単価及び医師オーダサブクラスなどの情報を含む。具体的には、テーブル1、テーブル2及びテーブル3に示すとおりである。
【0021】
【0022】
テーブル1において、ID1欄には、患者の一意の識別子であり、アラビア数字で表示されてもよいし、他のアルファベットで表示されてもよい。患者番号欄には、患者番号が一連の数字で表示されており、患者の識別にも使用でき、性別欄には、1は男性を表し、2は女性を表し、死亡か否かの欄には、0は死亡していないことを表し、1は死亡していることを表し、医療保険カード番号欄には、1は医療保険カードがないことを示し、残りは正常であることを示し、医療保険カード番号を示すために使用される。
【0023】
【0024】
テーブル2において、ID2欄には、医師の一意の識別子であり、アラビア数字で表示されてもよいし、他のアルファベットで表示されてもよい。医師番号欄には、医師番号が一連の数字で表示されており、患者の識別にも使用でき、診療科欄には、診療科番号は、医師が具体的にどの診療科に所属しているかを示す。
【0025】
【0026】
テーブル3において、ID3欄には、医師オーダの一意の識別子であり、アラビア数字で表示されてもよいし、他のアルファベットで表示されてもよい。医師オーダ項目欄には、一連の符号化数字で表示されており、異なる医師オーダ項目内容を表し、単価欄には、診察に必要な金額を表し、単位は元であり、医師オーダサブクラス欄には、医師オーダ情報のカテゴリを表す。
【0027】
なお、上記テーブル中の患者番号、医師番号、診療科又は医師オーダ項目は、病院又は医療機関によって、対応する番号の表示形態が異なる場合がある。
【0028】
S102、前記分類データの関連関係に基づいて分類関係テーブルを生成する。
【0029】
このうち、患者基本情報、医師基本情報及び医師オーダ情報から関連情報を抽出して前記分類データのコネクションである関連関係を生成し、前記分類データの関連関係に基づいて患者医師関係テーブルと医師オーダ関係テーブルとを含む分類関係テーブルを生成する。
【0030】
ここで、関連関係とは、分類データ間のコネクションであり、例えば、患者が医師に診察してもらうことによって形成される患者医師関連関係、医師が患者を診察して作成した医師オーダ情報からさらに生成された医師オーダ関連関係である。さらに例えば、2人の異なる患者が同じ病院に行ったり、同じ医師に診察してもらったりしたことがあり、又は、2人の異なる医師が同じ患者を診察したことがある。これらのコネクションは全て関連関係である。
【0031】
具体的には、患者基本情報、医師基本情報及び医師オーダ情報から関連情報を抽出し、該関連情報はテーブルの形で表現し、すなわち分類関係テーブルである。本実施例では、該分類関係テーブルは、主に患者医師関係テーブルと、医師オーダ関係テーブルとを含む。
【0032】
患者医師関係テーブルはテーブル4に示すように、具体的には、診察日時と、料金種別と、請求書番号とを含み、医師オーダ関係テーブルは、テーブル5に示すように、具体的には、医師オーダ出し時間と、医師オーダ出し数と、請求書番号とを含む。
【0033】
【0034】
テーブル4において、ID1欄には、患者識別子が表示され、ID2欄には、医師識別子が表示され、診察日時欄には、患者の診察日時が表示され、料金種別欄には、1は患者が自費で診察を受けることを示し、2、3はいずれも医療保険カードによる精算であり、請求書番号欄には、異なる患者の請求書が請求書番号で表示される。
【0035】
【0036】
テーブル5において、ID2欄には、医師識別子が表示され、ID3欄には、医師オーダが表示され、医師オーダ出し時間欄には、医師が患者にオーダを出した日時を表し、数量には、具体的な数字が医師オーダ数を表し、請求書番号欄には、異なる患者の請求書が請求書番号で表示される。
【0037】
S103、グラフ計算技術に基づいて、前記分類関係テーブルから2部グラフを生成する。
【0038】
ここで、前記2部グラフは、医師患者サブグラフと、医師オーダサブグラフとを含む。具体的には、グラフ計算技術に基づいて、前記患者医師関係テーブルから医師患者サブグラフを生成し、医師オーダ関係テーブルから医師オーダサブグラフを生成する。
【0039】
医師患者サブグラフは、図2に示すように、患者と医師をノードとし、具体的には、患者ID1と医師ID2を用いて識別し、医師の所属している診療科番号をノードの属性とし、患者の他の情報を属性とし、例えば診察時間、料金種別などの情報をエッジ属性とする。
【0040】
医師オーダサブグラフは、図3に示すように、医師と医師オーダをノードとし、具体的には医師ID2と医師オーダID3を用いて識別し、医師の所属している診療科番号をノードの属性とし、医師オーダの他の情報を属性とし、例えば医師オーダ出し時間、医師オーダ出し数などの情報をエッジ属性とする。
【0041】
S104、グラフ計算技術におけるモデル融合技術に基づいて、前記医師患者サブグラフと医師オーダサブグラフとを融合して融合マクログラフを生成する。
【0042】
具体的には、図4a及び図4bに示すように、図4a及び図4bに、グラフ計算技術におけるモデル融合技術の原理を示す。2つのサブグラフ(医師患者サブグラフと医師オーダサブグラフ)の共通ノード、例えば図4aの破線枠の2つの同じ医師ノード、すなわち医師ノード2と医師ノード3を図4aで探し、該医師ノードと関連のある他のノード、すなわち患者ノード1、患者ノード3、患者ノード4、医師オーダノード1及び医師オーダノード2を残し、サブグラフの連結を行って融合マクログラフを得る。ここで、融合マクログラフは、図4bに示すように、モデル融合技術により医師患者サブグラフと医師オーダサブグラフを融合したマクログラフである。
【0043】
なお、上記の図2図3及び図4bは、医師患者サブグラフ、医師オーダサブグラフ及び融合マクログラフの形式的な限定を構成しているわけではなく、医師患者サブグラフ、医師オーダサブグラフ及び融合マクログラフノードの数及びノード間のコネクション(エッジ)も実際の状況に応じて決定される。
【0044】
上記実施例は、グラフ計算技術を利用して医療グラフデータを作成し、具体的には従来のデータベースに記憶されている構造化データに対してエンティティとコネクションを切り離し、ノードとエッジにマッピングし、さらにグラフデータに変換し、そしてネットワークに記憶し、これにより該医療グラフデータに基づいて請求不正防止方法を実現する。
【0045】
図5を参照すると、図5は、本願の実施例によって提供されるグラフ計算技術に基づく請求不正防止方法の概略的なフローチャートである。該請求不正防止方法は、患者を対象とし、請求不正防止方法によって患者の保険金詐欺、特に患者集団の保険金詐欺行為を見分けることにより、保険金詐欺などの違法犯罪行為を取り締まり、金融安全をよりよく維持する。
【0046】
図5に示すように、該グラフ計算技術に基づく請求不正防止方法は、具体的には、ステップS201~ステップS205を含む。
【0047】
S201、グラフ計算技術に基づいて、医療データから医師患者サブグラフ及び医師オーダサブグラフを生成し、前記医師患者サブグラフ及び医師オーダサブグラフから融合マクログラフを生成する。
【0048】
具体的には、グラフ計算技術に基づいて、前記患者医師関係テーブルから医師患者サブグラフを生成し、医師オーダ関係テーブルから医師オーダサブグラフを生成し、グラフ計算技術におけるモデル融合技術に基づいて、前記医師患者サブグラフと医師オーダサブグラフとを融合して融合マクログラフを生成する。
【0049】
S202、患者関係ネットワークを生成するように、前記融合マクログラフに基づいて前記医師患者サブグラフを投影する。
【0050】
ここで、前記患者関係ネットワークは複数の患者及び医師を含む異なるコミュニティを表す複数のコミュニティ閉ループを含む。
【0051】
一実施例では、図6に示すように、患者関係ネットワークを生成するように、前記融合マクログラフに基づいて前記医師患者サブグラフを投影するステップは、具体的にはサブステップS202a及びS202bを含む。
【0052】
S202a、前記融合マクログラフに基づいて患者間に存在する類似受診行為を決定する。
【0053】
ここで、類似受診行為とは、医師の患者コミュニティ内にいる複数の患者が同じ医師を訪問したことがあるか否かを意味し、複数の患者が同じ医師を訪問したことがある場合は、複数の患者間に存在する類似受診行為を意味する。
【0054】
例えば、図4bに示すように、融合マクログラフに基づいて患者間に存在する類似受診行為を決定し、具体的には、患者1及び患者3の両方が医師2に診察してもらったことがあり、患者1及び患者4の両方が医師3に診察してもらったことがあり、したがって患者1と患者3及び患者4は類似受診行為を有するが、患者3と患者4が同じ医師に診察してもらったことがないため、類似受診行為はない。
【0055】
S202b、患者関係ネットワークを生成するように、前記患者間に存在する類似受診行為に基づいて前記医師患者サブグラフを投影する。
【0056】
具体的には、前記患者間に存在する類似受診行為に基づいて、2人の患者が同じ医師に診察してもらったことがある回数をカウントすることができる。例えば、図2の医師患者サブグラフでは、患者2と患者4は両方とも医師1と医師2の診察を受けたことがあるので、患者2と患者4の受診回数は2回であり、患者3と患者7は両方とも医師4の診察を受けたことがあるので、患者3と患者7の受診回数は1回である。
【0057】
したがって、患者関係ネットワークを生成するように、グラフ計算技術に基づいて前記医師患者サブグラフを投影し得る。投影によって生成された患者関係ネットワークは図7のようになり、図7には、患者1、患者2、患者3、患者4、患者5、患者6及び患者7の7つのノードが含まれており、患者ノード間の接続線は患者間に存在する類似受診行為を表し、接続線上の数字は重みを表し、該重みは患者間が同じ医師を訪問した受診回数を表し、例えば、患者2と患者4の間が同じ医師を訪問した回数は2回である。
【0058】
一実施例では、請求不正防止方法の精度を向上させるために、患者関係ネットワークを改善するように医師をクラスタリングする必要がある。これに基づいて、図8に示すように、ステップS202bはサブステップS202b1~S202b3を含む。
【0059】
S202b1、複数の患者関係ネットワークを得るように、前記患者間に存在する類似受診行為に基づいて前記医師患者サブグラフを投影する。S202b2、前記患者関係ネットワーク内の関係する医師をクラスタリングして医師クラスタ関係を得る。S202b3、前記医師クラスタ関係に基づいて、複数の前記患者関係ネットワークを接続して患者関係ネットワークを生成する。
【0060】
複数の患者関係ネットワークを得るように、前記患者間に存在する類似受診行為に基づいて前記医師患者サブグラフを投影する。例えば、図7に示すように、該グラフには、患者1、患者2、患者4及び患者6からなる患者関係ネットワークと、患者3、患者5及び患者7からなる患者関係ネットワークの2つの患者関係ネットワークが含まれている。
【0061】
前記患者関係ネットワーク内の関係する医師をクラスタリングして医師クラスタ関係を得ることは、医師の所属している診療科を考慮する必要があり、医師と診療科は多対一のマッピング関係にあるため、診療科の状況に応じて医師をクラスタリングし、医師をクラスタリングした結果を図9に示す。例えば、医師4、医師5、医師8及び医師9は同じ診療科に属しており、医師2、医師3及び医師7は別の診療科に属しており、具体的にどの診療科に属するかは得られた医師クラスタ関係である。
【0062】
なお、図9の医師クラスタリングには10人の医師が含まれているので、図7の医師に対してクラスタリングを行っているわけではなく、図9では単に医師クラスタリングについて説明している。図7における医師のクラスタリングについては、上述のクラスタリング方式が参考になる。
【0063】
前記医師クラスタ関係に基づいて、複数の前記患者関係ネットワークを接続して最終的な患者関係ネットワークを生成し、最終的な患者関係ネットワークを図10又は図11に示し、最終的な患者関係ネットワークには複数のコミュニティ閉ループが含まれており、該コミュニティ閉ループは強接続構造(すなわち複数の頂点が1つの閉ループ構造を構成し、かつループ内の任意の2つのノードの間にエッジが存在し、図10に示すように、1-2-4ループ、2-3-4-5-6ループ及び3-5-7ループの3つの閉ループ構造を含む)であり、異なる閉ループ構造は異なるコミュニティを表し、コミュニティ内の「居住者」はすべて同じ医師(又は同じクラスの医師)を訪問したことがあり、すなわち類似受診行為を有する。
【0064】
S203、前記患者関係ネットワーク内の任意の2つのノードに対応する患者の属性パラメータに基づいて、前記患者関係ネットワーク内の任意の2つのノード間の類似度を計算する。
【0065】
ここで、患者関係ネットワーク内の任意の2つのノードに対応する患者の属性パラメータは、特徴属性と、受診行為属性とを含む。特徴属性は患者の年齢を含み、受診行為属性は患者の医師オーダ数と診察費用を含む。
【0066】
任意の一実施例では、特徴属性及び受診行為属性は、患者の性別、医師オーダのカテゴリなどの他のパラメータも含むことができる。
【0067】
具体的には、類似度計算式に基づいて、前記患者関係ネットワーク内の任意の2つのノードに対応する患者の特徴属性及び受診行為属性から、前記患者関係ネットワーク内の任意の2つのノード間の類似度を計算する。
【0068】
ここで、前記類似度計算式は以下のようになる。
【0069】
【0070】
これにより、式1に基づいて、前記患者関係ネットワーク内の任意の2つのノードに対応する患者の特徴属性及び受診行為属性から、前記患者関係ネットワーク内の任意の2つのノード間の類似度を計算することができる。
【0071】
S204、前記類似度から各前記コミュニティ閉ループに対応する平均類似度を計算する。
【0072】
具体的には、平均類似度計算式に基づいて、前記類似度から各前記コミュニティ閉ループに対応する平均類似度を計算する。
【0073】
ここで、前記平均類似度計算式は以下のようになる。
【0074】
【0075】
一実施例では、計算の便宜上、各前記コミュニティ閉ループに対応する平均類似度を計算する前に、前記類似度から前記患者関係ネットワーク内の各エッジに対応する重み値を更新することができる。
【0076】
具体的には、式1を用いて各コミュニティ内の任意の2人の患者間の類似度計算式を計算し、該計算式1に基づいて図10の各コミュニティ内の任意の2人の患者間の類似度を計算し、計算された類似度に基づいて図10の患者関係ネットワーク内の任意の2人の患者間の重み値を更新し、重み更新後の患者関係ネットワークを得て、具体的には図11に示される。
【0077】
これに応じて、ステップS204では、具体的には、平均類似度計算式に基づいて、患者関係ネットワークにおける更新後の重み値から各前記コミュニティ閉ループに対応する平均類似度を計算する。もちろん、同様に式2を用いて平均類似度計算を行う。重み更新後の患者関係ネットワークでは、異なるコミュニティの平均類似度、すなわちコミュニティ行為一致性を定量的に計算することができる。
【0078】
【0079】
【0080】
S205、前記平均類似度に基づいて保険金詐欺行為を決定する。
【0081】
具体的には、平均類似度に基づいて全てのコミュニティを順位付けし、順位付けの大きさに応じて疑いの高い保険金詐欺団体を容易に見つけ出すことができ、詐欺のさらなる見分けに重要な参考となる。患者集団の詐欺はよく行為の一致性が高いという典型的な特徴がある。コミュニティクラスタリングによる被疑集団発掘は、主として患者の受診行為によって異なるコミュニティを区分し、コミュニティ内の患者間の受診行為の類似度を用いて該コミュニティの平均類似度を計算することにより、平均類似度に基づいてコミュニティ全体の行為一致性を測り、保険金詐欺行為であるか否かを迅速に確認することができる。
【0082】
上述の実施例によって提供されるグラフ計算技術に基づく請求不正防止方法は、医療データの採用に応じて医師患者サブグラフ、医師オーダサブグラフ及び融合マクログラフを生成し、複数のコミュニティ閉ループを含む患者関係ネットワークを生成するように前記融合マクログラフに基づいて前記医師患者サブグラフを投影し、前記患者関係ネットワーク内の任意の2つのノード間の類似度及び各前記コミュニティ閉ループに対応する平均類似度を計算し、前記平均類似度に基づいて保険金詐欺行為を決定する。さらに、保険金詐欺の疑いの高い患者団体を見つけ出し、保険金詐欺を迅速に見分ける上で重要な参考となる。
【0083】
図12を参照すると、図12は、本願の実施例によって提供される別のグラフ計算技術に基づく請求不正防止方法のステップの概略的なフローチャートである。該請求不正防止方法は、医師を対象とし、請求不正防止方法によって医師の保険金詐欺を見分けることにより、保険金詐欺などの違法犯罪行為を取り締まり、金融安全をよりよく維持する。
【0084】
図12に示すように、該グラフ計算技術に基づく請求不正防止方法は、具体的には、ステップS301~ステップS306を含む。
【0085】
S301、グラフ計算技術に基づいて、医療データから医師患者サブグラフ及び医師オーダサブグラフを生成し、前記医師患者サブグラフ及び医師オーダサブグラフから融合マクログラフを生成する。
【0086】
具体的には、グラフ計算技術に基づいて、前記患者医師関係テーブルから医師患者サブグラフを生成し、医師オーダ関係テーブルから医師オーダサブグラフを生成し、グラフ計算技術におけるモデル融合技術に基づいて、前記医師患者サブグラフと医師オーダサブグラフとを融合して融合マクログラフを生成する。
【0087】
S302、医師関係ネットワークを生成するように、前記融合マクログラフに基づいて前記医師患者サブグラフを投影する。
【0088】
その中で、患者が保険金を詐取する可能性以外に、医師も自分の影響力を利用して保険金を詐取する可能性があり、主な表現形式は患者訪問数が多いこと、医師オーダ出し数が多いこと、薬を処方する金額が多いことなどである。医師の影響力の重要な要素は医師が受け入れている患者の数、医師のオーダ出し数及び金額を含む。
【0089】
医師が受け入れている患者の数は、1人の医師が一定期間内に受け入れている患者が多ければ多いほど、該医師が専門分野で影響力を持っていることを示している。医師のオーダ出し数及び金額は、医師1人の仕事量を定量化でき、該医師の影響力を側面から反映している。したがって、医師関係ネットワークを介して医師の影響力を計算し、さらに保険金詐欺行為の有無を見分けることができる。
【0090】
具体的には、図13に示すように、患者関係ネットワークを生成するように、前記融合マクログラフに基づいて前記医師患者サブグラフを投影するステップは、サブステップS302a及びS302bを含む。
【0091】
S302a、前記融合マクログラフに基づいて医師間に存在する類似診察行為を決定する。S302b、医師関係ネットワークを生成するように、前記患者間に存在する類似診察行為に基づいて前記医師患者サブグラフを投影する。
【0092】
このうち、類似診察行為とは、2人の医師が同じ患者を診察したことがあることを指すが、もちろん、同じ家族の患者や、同じコミュニティ内の患者を診察したことがある他の行為でもあり得る。前記患者間に存在する類似診察行為に基づいて、医師関係ネットワークを生成するようにグラフ計算技術を用いて前記医師患者サブグラフを投影し、生成された医師関係ネットワークを図14に示し、例えば、医師4及び医師3が同じ患者を診察したことがある。
【0093】
ここで、医師関係ネットワークから医師ネットワークモデルを生成し、該医師ネットワークモデルはG=<V,E>で表され、Vは医師ノード集合を表し、Eは2人の医師が同じ患者を診察して形成したエッジを表す。具体的には、14に示すような医師関係ネットワークである。
【0094】
S303、前記医師関係ネットワーク内の各ノードの近隣ノードを決定し、前記近隣ノードの前記ノードに対する影響力尺度を計算する。
【0095】
具体的には、図15に示すように、前記医師関係ネットワーク内の各ノードの近隣ノードを決定し、前記近隣ノードの前記ノードに対する影響力尺度を計算する前記ステップは、サブステップS303a~S303dを含む。
【0096】
S303a、前記医師関係ネットワーク内の各ノードの近隣ノードを、ノード間のエッジに基づいて決定する。
【0097】
例えば、図14では、ノード4は、ノード1、ノード2、ノード3及びノード6との間にエッジが存在しているので、ノード4が4つの近隣ノードを含んでいることが分かり、同様に、ノード1が2つの近隣ノードを含み、ノード2が3つの近隣ノードを含み、ノード3が3つの近隣ノードを含み、ノード5が2つの近隣ノードを含み、ノード6が2つの近隣ノードを含み、及びノード7が2つの近隣ノードを含むことが分かる。
【0098】
S303b、受け入れ患者数、医師オーダ出しデータ及び医師オーダ出し金額における前記近隣ノードの前記ノードに対する影響程度を計算する。
【0099】
具体的には、影響程度計算式により、受け入れ患者数、医師オーダ出しデータ及び医師オーダ出し金額における前記近隣ノードの前記ノードに対する影響程度を計算する。ここで、影響程度計算式は3つの式を含み、以下のようになる。
【0100】
【0101】
S303c、前記影響程度から前記近隣ノードの前記ノードに対する影響率を計算する。
【0102】
【0103】
具体的には、前記影響程度から前記近隣ノードの前記ノードに対する影響率を計算するステップは、前記影響率計算式に基づいて、前記影響程度から前記近隣ノードの前記ノードに対する影響率を計算するステップを含む。
【0104】
前記影響率計算式は以下のようになる。
【0105】
【0106】
S303d、前記影響率から前記近隣ノードの前記ノードに対する影響力尺度を計算する。
【0107】
具体的には、前記影響率から前記近隣ノードの前記ノードに対する影響力尺度を計算する前記ステップは、影響力尺度計算式に基づいて、前記影響率から前記近隣ノードの前記ノードに対する影響力尺度を反復的に計算する。
【0108】
ここで、前記影響力尺度計算式は以下のようになる。
【0109】
【0110】
本実施例では、減衰係数dを0.85に設定し、全てのノードDIR値を0.1に初期化し、反復して全ての医師ノードのDIR値を得ることができる。
【0111】
S304、各前記ノードの影響力尺度に基づいて、影響力尺度モデルを構築する。
【0112】
具体的には、各前記ノードの影響力尺度に基づいて、影響力尺度モデルを構築するステップは、各前記ノードの影響力尺度に基づいて前記医師関係ネットワーク内の各エッジの影響力重み値を計算するステップと、計算された影響力重み値からノード活性化を決定するための線形閾値モデルを構築するステップと、を含む。
【0113】
ここで、影響力最大化問題は、最終的な伝播影響範囲を最大化するように、K個の初期ノードをどのように選択するかと定義され、医師の影響力尺度(DIR値)を計算することで医師の影響力ランキングを得ることができ、DIR値の上位のK個のノードを初期ノードとして直接選択すると、最終的な影響範囲が最大となる保証はないが、ある診療科の人気が高いため、K個のノードが同じクラスタ内に集まる可能性が高く、ネットワーク構造の弱い接続ノードを見落としてしまうからである。そのため、DIR値の順位付けは人気のある診療科の医師を上位に順位付けしやすいが、影響範囲を最大化することはできない。
【0114】
本実施例では、影響範囲が最大化されるK個のノードを正確に決定するために、影響力伝播モデル、具体的には線形閾値モデルを構築する。もちろん、独立したカスケードモデルを構築するなど、他のモデルを構築することも可能である。
【0115】
医師関係ネットワークでは、影響力の高い医師は近隣医師に影響を与えるが、その影響の伝播は近隣医師ノードが活性化されているか否かに依存する。計算された影響力重み値から線形閾値モデルを構築して影響伝播状況を予測する。
【0116】
【0117】
【0118】
【0119】
S305、前記影響力尺度モデルに基づいてシードノード集合を決定する。
【0120】
ここで、前記シードノード集合は伝播範囲が最も広いK個のシードノードを含み、Kは正の整数であり、伝播範囲が最も広いK個のシードノードとは、K個のシードノードの伝播影響範囲が最大化され、他のノードに比べて伝播範囲が広いことを意味する。
【0121】
具体的には、前記影響力尺度モデルに基づいてシードノード集合を決定するステップは、貪欲アルゴリズムに基づいて、前記影響力尺度モデルから伝播影響範囲の増分が最大のノードを1ステップごとに選んで循環計算を行い、シードノード集合を得るステップを含む。
【0122】
貪欲アルゴリズムを用いて医師関係ネットワークへの影響力最大化アルゴリズムを実現し、伝播方位が最も広いK個のシードノードを決定する。ここで、該アルゴリズムのコアステップは、構築された線形閾値モデルに基づいて、貪欲計算を用いて、伝播影響範囲の増分が最大となるノードを1ステップごとに選んで循環計算を行い、最終的にシードノード集合を掘り出す。
【0123】
例えば、医師ネットワークG=<V,E>を定義し、SはK個のノードを含むシード集合であり、Svはvの一次拡散による伝播範囲であり、IS{S}はシード集合Sの最終的な影響範囲である。
【0124】
貪欲計算を用いて、最終的にシードノード集合を掘り出した擬似コードは、次のようになる。
入力:医師ネットワークG=<V,E>
出力:K個のシードノード
初期化 S=φ,R=1000
for v in V:
return DIR(v)
for edge(u,v) in E:
return buv
for i in range(K):
for v in V:
sv=0
for j in range(R):
sv += |IS{v}|
sv=sv/R
return S=S{argvmax{sv}}
【0125】
伝播影響範囲の増分が最大となるノードを選んで循環計算を行うことにより、最終的には伝播範囲が最も広いK個のシードノードを含むシードノード集合をフィードバックする。
【0126】
S306、伝播範囲が最も広いK個のシードノードから保険金詐欺行為を決定する。
【0127】
ここで、医療保険詐欺の事例では、一部の医師は保険金詐欺にかかわっており、医師の影響力伝播の観点から医師関係ネットワークをモデリングし、さらに影響力が高くネットワーク上で最も広く伝播しているK個のシードノードを見つけ出し、これらのK個のシードノードに対応する医師の行為が保険金詐欺行為である可能性があることから、これらの医師が保険金詐欺医師である可能性があり、医師詐欺を見分ける上で重要な参考となる。
【0128】
上述の実施例によって提供されるグラフ計算技術に基づく請求不正防止方法は、医療データの採用に応じて医師患者サブグラフ、医師オーダサブグラフ及び融合マクログラフを生成し、医師関係ネットワークを生成するように前記融合マクログラフに基づいて前記医師患者サブグラフを投影し、かつ該医師関係ネットワークを用いて影響力尺度モデルを構築し、影響力尺度モデルによって保険金詐欺行為を決定する。さらに、保険金詐欺の疑いの高い医師を見つけ出し、保険金詐欺を迅速に見分ける上で重要な参考となる。
【0129】
なお、図5及び図12によって提供される請求不正防止方法は、患者又は医師の保険金詐欺行為を見分けるために単独で使用することが可能である。もちろん、患者と医師の保険金詐欺行為を見分けるためにも併用することができ、保険金詐欺などの違法犯罪行為を取り締まり、金融安全をよりよく維持する。
【0130】
例えば、本願の実施例は、さらに、
グラフ計算技術に基づいて、医療データから医師患者サブグラフ及び医師オーダサブグラフを生成し、前記医師患者サブグラフ及び医師オーダサブグラフから融合マクログラフを生成するステップと、複数のコミュニティ閉ループを含む患者関係ネットワーク、及び医師関係ネットワークを生成するように、前記融合マクログラフに基づいて前記医師患者サブグラフを投影するステップと、前記患者関係ネットワーク内の任意の2つのノードに対応する患者の属性パラメータに基づいて、前記患者関係ネットワーク内の任意の2つのノード間の類似度を計算するステップと、前記類似度から各前記コミュニティ閉ループに対応する平均類似度を計算するステップと、前記医師関係ネットワーク内の各ノードの近隣ノードを決定し、前記近隣ノードの前記ノードに対する影響力尺度を計算するステップと、各前記ノードの影響力尺度に基づいて、影響力尺度モデルを構築するステップと、前記影響力尺度モデルに基づいてシードノード集合を決定し、ここで、前記シードノード集合に伝播範囲が最も広いK個のシードノードを含み、Kが正の整数であるステップと、前記平均類似度及び/又は伝播範囲が最も広いK個のシードノードから保険金詐欺行為を決定するステップと、を含む別のグラフ計算技術に基づく請求不正防止方法を提供する。
【0131】
図16を参照すると、図16は、本願の実施例によってさらに提供されるグラフ計算技術に基づく請求不正防止装置の概略ブロック図である。該請求不正防止装置は、前述したグラフ計算技術に基づく請求不正防止方法を実行するために用いられる。ここで、該請求不正防止装置は、サーバ又は端末に配置され得る。
【0132】
ここで、サーバは独立したサーバであってもよいし、サーバクラスタであってもよい。該端末は、携帯電話、タブレット、ノートパソコン、デスクトップパソコン、携帯情報端末、ウエアラブル機器などの電子機器であってもよい。
【0133】
図16に示すように、請求不正防止装置400は、グラフ生成ユニット401と、ネットワーク生成ユニット402と、第1の計算ユニット403と、第2の計算ユニット404と、保険金詐欺決定ユニット405とを含む。
【0134】
グラフ生成ユニット401は、グラフ計算技術に基づいて、医療データから医師患者サブグラフ及び医師オーダサブグラフを生成し、前記医師患者サブグラフ及び医師オーダサブグラフから融合マクログラフを生成するために用いられる。
【0135】
ここで、グラフ生成ユニット401は、取得分類サブユニット4011と、関係テーブル生成サブユニット4012と、2部グラフ生成サブユニット4013と、マクログラフ生成サブユニット4014とを含む。
【0136】
具体的には、取得分類サブユニット4011は、医療データを取得し、前記医療データを分類して分類データを得るために用いられ、関係テーブル生成サブユニット4012は、前記分類データの関連関係に基づいて分類関係テーブルを生成するために用いられ、2部グラフ生成サブユニット4013は、グラフ計算技術に基づいて、前記分類関係テーブルから2部グラフを生成するために用いられ、マクログラフ生成サブユニット4014は、グラフ計算技術におけるモデル融合技術に基づいて、前記医師患者サブグラフと医師オーダサブグラフとを融合して融合マクログラフを生成するために用いられる。
【0137】
ネットワーク生成ユニット402は、複数のコミュニティ閉ループを含む患者関係ネットワークを生成するように、前記融合マクログラフに基づいて前記医師患者サブグラフを投影するために用いられる。
【0138】
ここで、ネットワーク生成ユニット402は、行為決定サブユニット4021と、ネットワーク生成サブユニット4022とを含み、行為決定サブユニット4021は、前記融合マクログラフに基づいて患者間に存在する類似受診行為を決定するために用いられる。ネットワーク生成サブユニット4022は、患者関係ネットワークを生成するように、前記患者間に存在する類似受診行為に基づいて前記医師患者サブグラフを投影するために用いられる。
【0139】
一実施例では、ネットワーク生成サブユニット4022は、具体的には、複数の患者関係ネットワークを得るように、前記患者間に存在する類似受診行為に基づいて、前記医師患者サブグラフを投影することと、前記患者関係ネットワーク内の関係する医師をクラスタリングして医師クラスタ関係を得ることと、患者関係ネットワークを生成するように、前記医師クラスタ関係に基づいて、複数の前記患者関係ネットワークを接続することとに用いられる。
【0140】
第1の計算ユニット403は、前記患者関係ネットワーク内の任意の2つのノードに対応する患者の属性パラメータに基づいて、前記患者関係ネットワーク内の任意の2つのノード間の類似度を計算するために用いられる。
【0141】
具体的には、第1の計算ユニット403は、類似度計算式に基づいて、前記患者関係ネットワーク内の任意の2つのノードに対応する患者の特徴属性及び受診行為属性から前記患者関係ネットワーク内の任意の2つのノード間の類似度を計算するために用いられる。
【0142】
一実施例では、第1の計算ユニット403はさらに、前記類似度に基づいて前記患者関係ネットワーク内の各エッジに対応する重み値を更新するために用いられる。
【0143】
第2の計算ユニット404は、前記類似度から各前記コミュニティ閉ループに対応する平均類似度を計算するために用いられる。
【0144】
具体的には、第2の計算ユニット404は、平均類似度計算式に基づいて、前記類似度から各前記コミュニティ閉ループに対応する平均類似度を計算するために用いられる。
【0145】
それに応じて、第2の計算ユニット404は、平均類似度計算式に基づいて、患者関係ネットワークにおける更新後の重み値から各前記コミュニティ閉ループに対応する平均類似度を計算するために用いられる。
【0146】
保険金詐欺決定ユニット405は、前記平均類似度に基づいて保険金詐欺行為を決定するために用いられる。
【0147】
図17を参照すると、図17は、本願の実施例によってさらに提供される別のグラフ計算技術に基づく請求不正防止装置の概略ブロック図である。該請求不正防止装置は、前述したグラフ計算技術に基づく請求不正防止方法を実行するために用いられる。ここで、該請求不正防止装置は、サーバに配置され得る。
【0148】
図17に示すように、該請求不正防止装置500は、グラフ生成ユニット501と、ネットワーク生成ユニット502と、影響計算ユニット503と、モデル構築ユニット504と、ノード決定ユニット505と、保険金詐欺決定ユニット506とを含む。
【0149】
グラフ生成ユニット501は、グラフ計算技術に基づいて、医療データから医師患者サブグラフ及び医師オーダサブグラフを生成し、前記医師患者サブグラフ及び医師オーダサブグラフから融合マクログラフを生成するために用いられる。
【0150】
ここで、一実施例では、グラフ生成ユニット501は、取得分類サブユニット5011と、関係テーブル生成サブユニット5012と、2部グラフ生成サブユニット5013と、マクログラフ生成サブユニット5014とを含む。
【0151】
具体的には、取得分類サブユニット5011は、医療データを取得し、前記医療データを分類して分類データを得るために用いられ、関係テーブル生成サブユニット5012は、前記分類データの関連関係に基づいて分類関係テーブルを生成するために用いられ、2部グラフ生成サブユニット5013は、グラフ計算技術に基づいて、前記分類関係テーブルから2部グラフを生成するために用いられ、マクログラフ生成サブユニット5014は、グラフ計算技術におけるモデル融合技術に基づいて、前記医師患者サブグラフと医師オーダサブグラフとを融合して融合マクログラフを生成するために用いられる。
【0152】
ネットワーク生成ユニット502は、医師関係ネットワークを生成するように、前記融合マクログラフに基づいて前記医師患者サブグラフを投影するために用いられる。
【0153】
具体的には、一実施例では、ネットワーク生成ユニット502は、具体的には、前記融合マクログラフに基づいて医師間に存在する類似診察行為を決定することと、医師関係ネットワークを生成するように、前記患者間に存在する類似診察行為に基づいて前記医師患者サブグラフを投影することとに用いられる。
【0154】
影響計算ユニット503は、前記医師関係ネットワーク内の各ノードの近隣ノードを決定し、前記近隣ノードの前記ノードに対する影響力尺度を計算するために用いられる。
【0155】
ここで、一実施例では、影響計算ユニット503は、ノード決定サブユニット5031と、程度計算サブユニット5032と、影響率計算サブユニット5033と、尺度計算サブユニット5034とを含む。
【0156】
具体的には、ノード決定サブユニット5031は、前記医師関係ネットワーク内の各ノードの近隣ノードを、ノード間のエッジに基づいて決定するために用いられ、程度計算サブユニット5032は、受け入れ患者数、医師オーダ出しデータ及び医師オーダ出し金額における前記近隣ノードの前記ノードに対する影響程度を計算するために用いられ、影響率計算サブユニット5033は、前記影響程度から前記近隣ノードの前記ノードに対する影響率を計算するために用いられ、尺度計算サブユニット5034は、前記影響率から前記近隣ノードの前記ノードに対する影響力尺度を計算するために用いられる。
【0157】
モデル構築ユニット504は、各前記ノードの影響力尺度に基づいて、影響力尺度モデルを構築するために用いられる。
【0158】
具体的には、一実施例では、モデル構築ユニット504は、具体的には、各前記ノードの影響力尺度に基づいて前記医師関係ネットワーク内の各エッジの影響力重み値を計算することと、計算された影響力重み値からノード活性化を決定するための線形閾値モデルを構築することとに用いられる。
【0159】
ノード決定ユニット505は、前記影響力尺度モデルに基づいてシードノード集合を決定するために用いられ、ここで、前記シードノード集合は伝播範囲が最も広いK個のシードノードを含み、Kは正の整数である。
【0160】
具体的には、ノード決定ユニット505は、具体的には、貪欲アルゴリズムに基づいて、前記影響力尺度モデルから伝播影響範囲の増分が最大のノードを1ステップごとに選んで循環計算を行い、シードノード集合を得るために用いられる。
【0161】
保険金詐欺決定ユニット506は、伝播範囲が最も広いK個のシードノードから保険金詐欺行為を決定するために用いられる。
【0162】
説明の便宜性や簡潔性のために、上述したグラフ計算技術に基づく請求不正防止装置及び各ユニットの具体的な動作プロセスが、前述したグラフ計算技術に基づく請求不正防止方法の実施例における対応するプロセスを参照できることを当業者は明確に理解できることに留意されたく、ここでは説明を省略する。
【0163】
上述した請求不正防止装置は、図18に示すようなコンピュータ機器上で動作可能なコンピュータプログラムの形態で実装することができる。
【0164】
図18を参照すると、図18は、本願の実施例によって提供されるコンピュータ機器の構造の概略ブロック図である。該コンピュータ機器は、サーバ又は端末であり得る。
【0165】
図18を参照すると、該コンピュータ機器は、システムバスを介して接続されたプロセッサと、メモリと、ネットワークインタフェースと、を含み、ここで、メモリは、不揮発性記憶媒体と内部メモリとを含み得る。
【0166】
不揮発性記憶媒体は、オペレーティングシステム及びコンピュータプログラムを記憶できる。該コンピュータプログラムは、実行されると、プロセッサに請求不正防止方法のいずれかを実行させることができるプログラム命令を含む。
【0167】
プロセッサは、計算及び制御能力を提供し、コンピュータ機器全体の動作を支援するために使用される。
【0168】
内部メモリは、不揮発性記憶媒体内のコンピュータプログラムの動作環境を提供し、該コンピュータプログラムがプロセッサによって実行されると、プロセッサに請求不正防止方法のいずれかを実行させることができる。
【0169】
該ネットワークインタフェースは、割り当てられたタスクの送信などのネットワーク通信を行うために使用される。当業者に理解されるように、図18に示された構造は、本願の手段に関連する部分的な構造のブロック図にすぎず、本願の手段が適用されるコンピュータ機器を限定するものではなく、具体的なコンピュータ機器は、図示する数よりも多くの又は少ない構成要素を含むことができるか、いくつかの構成要素を組み合わせることができるか、又は異なる構成要素の配置を有することができる。
【0170】
プロセッサは中央処理装置(Central Processing Unit、CPU)であってもよく、該プロセッサは他の汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(Digital Signal Processor、DSP)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit、ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field-Programmable Gate Array、FPGA)又は他のプログラマブル論理デバイス、ディスクリート・ゲート、又はトランジスタ論理デバイス、ディスクリート・ハードウェア・コンポーネントなどであってもよいことが理解されるべきである。ここで、汎用プロセッサは、マイクロプロセッサであってもよく、又は、該プロセッサは、任意の従来のプロセッサなどであってもよい。
【0171】
本願の実施例では、プログラム命令を含むコンピュータプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体をさらに提供し、前記プロセッサは、前記プログラム命令を実行して、本願の実施例によって提供されるグラフ計算技術に基づく請求不正防止方法のいずれかを実現する。
【0172】
ここで、前記コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、前述した実施例に記載のコンピュータ機器の内部記憶ユニットであってもよく、例えば前記コンピュータ機器のハードディスクやメモリである。前記コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、前記コンピュータ機器の外部記憶機器であってもよく、例えば前記コンピュータ機器上に搭載されているプラグインハードディスク、スマートメディアカード(Smart Media(登録商標) Card、SMC)、セキュアデジタル(Secure Digital、SD)カード、フラッシュメモリカード(Flash Card)などであってもよい。
【0173】
上記は、本願の具体的な実施形態のみであるが、本願の保護範囲はこれに限定されるものではなく、当業者であれば、本願に開示された技術的範囲内において、様々な等価修正又は置換が容易に想到され、これらの修正又は置換は、本願の保護範囲内に含まれるべきである。したがって、本願の保護範囲は、特許請求の範囲の保護範囲に準ずるものとする。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18