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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-15
(45)【発行日】2022-07-26
(54)【発明の名称】内視鏡および内視鏡の接地確認方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/04 20060101AFI20220719BHJP
   G02B 23/24 20060101ALI20220719BHJP
【FI】
A61B1/04 530
G02B23/24 B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021518238
(86)(22)【出願日】2019-05-07
(86)【国際出願番号】 JP2019018297
(87)【国際公開番号】W WO2020225858
(87)【国際公開日】2020-11-12
【審査請求日】2021-07-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】特許業務法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】籏野 慶佑
(72)【発明者】
【氏名】有吉 拓也
(72)【発明者】
【氏名】永水 裕之
【審査官】▲高▼木 尚哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-198566(JP,A)
【文献】特開2015-016240(JP,A)
【文献】国際公開第2016/203830(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/084548(WO,A1)
【文献】特開2017-209278(JP,A)
【文献】特開2014-132923(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00-1/32
G02B 23/24-23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿入部の先端に設けられた内部材と、
前記内部材の外側に嵌合され、電気的な基準となるグラウンドと電気的に接続される導電性の外部材と、
前記内部材に固定された撮像ユニットと、
前記撮像ユニットに設けられた導電部材と、
前記導電部材に第1の端部が接続され、前記外部材に前記第1の端部の反対側の第2の端部が接続されて、前記導電部材と前記外部材とを電気的に接続する導通部と、
第3の端部と第4の端部とを有し、前記第1の端部と前記第3の端部が電気的に接続される導線と、
前記内部材と前記外部材が嵌合された状態において、前記外部材に形成されて、前記導線の前記第4の端部を導出入させる開口と、
を有することを特徴とする内視鏡。
【請求項2】
前記内部材は、非導電性であることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【請求項3】
前記導線は、絶縁体で被覆された被覆導線であることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【請求項4】
前記導電部材は、前記撮像ユニットの観察光学系を保持する保持枠であることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【請求項5】
挿入部の先端に設けられた内部材と、
前記内部材の外側に嵌合され、電気的な基準となるグラウンドと電気的に接続される導電性の外部材と、
前記内部材に固定された撮像ユニットと、
前記撮像ユニットに設けられた導電部材と、
前記導電部材に第1の端部が接続され、前記外部材に前記第1の端部の反対側の第2の端部が接続されて、前記導電部材と前記外部材とを電気的に接続する導通部と、
前記第1の端部と一端が電気的に接続される導線と、
前記内部材と前記外部材が嵌合された状態において、前記外部材に形成されて、前記導線の他端部を導出入させる開口と、
を有する内視鏡の接地確認方法であって、
前記導通部が前記第2の端部が前記内部材の外面と前記外部材の内面の間に挟まれるようにすると共に、前記開口から前記導線の前記他端が導出するように前記内部材と前記外部材を嵌合するステップと、
前記導線の他端と前記外部材にテスターを当てて前記導通部によって前記撮像ユニットと前記外部材の導通検査をするステップと、
を含むことを特徴とする内視鏡の接地確認方法。
【請求項6】
前記導通検査後に前記導線を前記開口から前記外部材内に収容するステップと、をさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の内視鏡の接地確認方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、挿入部の先端部に設けられた非導電性の枠部品に撮像ユニットが搭載された内視鏡であって、特に撮像ユニットの接地の導通性を確認する構成を備えた内視鏡および内視鏡の接地確認方法に関する。
【背景技術】
【0002】
周知の如く、内視鏡は、生体の体内(体腔内)の観察、処置など、または工業用のプラント設備内の検査、修理などのため広く用いられている。このような、内視鏡は、屈曲する管路に挿入するための挿入部を有している。
【0003】
このような内視鏡には、挿入部の先端部に撮像ユニットが設けられた構成が知られている。内視鏡は、先端部に印加された静電気、高周波電流などが撮像ユニットに流れることで不具合が生じないように装置のグラウンド(GND)に逃がす必要がある。
【0004】
先端硬質部材を絶縁体で形成した場合における静電気、高周波のリークを、先端部を細径化とともに実現する。
【0005】
例えば、国際特許特開WO2012-124526号報には、挿入部に設けられた絶縁性の先端硬質部に観察光学系の枠部材とグランドに接続されたコネクタ部材とを有し、コネクタ部材側から、挿入部の構造を形成する接地金属部材と導電接続部の順に接続した内視鏡が開示されている。
【0006】
国際特許特開WO2012-124526号報に記載されるように、挿入部の先端部を絶縁性部材で形成したときに、撮像ユニットの接地方法としては、撮像ユニットの外装金属と内視鏡のグランド(GND)とを導電体を介して電気的に接続する必要がある。
【0007】
このとき、撮像ユニットと導電体の導通検査を行い接地確認する必要がある。しかしながら、従来の構成では、撮像ユニットが設けられた先端部を組付後に、挿入部の内部にテスターなどの検査機器を入れることができず、撮像ユニットと導電体が本当に電気的に導通して接地されているかの確認ができなくなってしまうという課題があった。
【0008】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みなされたものあり、挿入部の先端部に設けられた撮像ユニットをグラウンドと導通する導電部に容易、かつ確実に電気的に接続することができ、撮像ユニットの接地確認を簡易に行えるようにした内視鏡および内視鏡の接地確認方法を実現することを目的とする。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様における内視鏡は、挿入部の先端に設けられた内部材と、前記内部材の外側に嵌合され、電気的な基準となるグラウンドと電気的に接続される導電性の外部材と、前記内部材に固定された撮像ユニットと、前記撮像ユニットに設けられた導電部材と、前記導電部材に第1の端部が接続され、前記外部材に前記第1の端部の反対側の第2の端部が接続されて、前記導電部材と前記外部材とを電気的に接続する導通部と、第3の端部と第4の端部とを有し、前記第1の端部と前記第3の端部が電気的に接続される導線と、前記内部材と前記外部材が嵌合された状態において、前記外部材に形成されて、前記導線の前記第4の端部を導出入させる開口と、を有する。
【0010】
本発明の一態様における内視鏡の接地確認方法は、挿入部の先端に設けられた内部材と、前記内部材の外側に嵌合され、電気的な基準となるグラウンドと電気的に接続される導電性の外部材と、前記内部材に固定された撮像ユニットと、前記撮像ユニットに設けられた導電部材と、前記導電部材に第1の端部が接続され、前記外部材に前記第1の端部の反対側の第2の端部が接続されて、前記導電部材と前記外部材とを電気的に接続する導通部と、前記第1の端部と一端が電気的に接続される導線と、前記内部材と前記外部材が嵌合された状態において、前記外部材に形成されて、前記導線の他端部を導出入させる開口と、を有する内視鏡の接地確認方法であって、前記導通部が前記第2の端部が前記内部材の外面と前記外部材の内面の間に挟まれるようにすると共に、前記開口から前記導線の前記他端が導出するように前記内部材と前記外部材を嵌合するステップと、前記導線の他端と前記外部材にテスターを当てて前記導通部によって前記撮像ユニットと前記外部材の導通検査をするステップとを含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、挿入部の先端部に設けられた撮像ユニットをグラウンドと導通する導電部に容易、かつ確実に電気的に接続することができ、撮像ユニットの接地確認を簡易に行えるようにした内視鏡および内視鏡に設けられる撮像ユニットの接地確認方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】同、本発明の一態様の内視鏡の外観を示す図
図2】同、挿入部の先端部分の構成を示す斜視図
図3】同、挿入部の先端部分の構成を示す断面図
図4】同、先端硬質部と最先端の湾曲駒の嵌合状態を示す分解斜視図
図5】同、先端硬質部と最先端の湾曲駒が嵌合された状態を示す斜視図
図6】同、先端硬質部と最先端の湾曲駒が嵌合されテスターによって導通検査する状態を示す図
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
ここでは、本発明である内視鏡を例に挙げて説明する。なお、以下の説明において、各実施の形態に基づく図面は、模式的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、夫々の部分の厚みの比率などは現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面の相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
また、以下の構成説明における内視鏡は、気管支鏡、泌尿器鏡などの挿入部が細径の内視鏡を例示しているが、これに限定されることなく、生体の上部または下部の消化器官に挿入するため挿入部が可撓性のある所謂軟性鏡、外科用に用いられる挿入部が硬質な所謂硬性鏡にも適用できるものである。
【0014】
以下、本発明の一態様の内視鏡について、図面に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施形態の電子内視鏡である内視鏡1は、細長管状に形成される挿入部2と、この挿入部2の基端に連設される操作部3と、この操作部3から延設される内視鏡ケーブルであるユニバーサルコード4と、このユニバーサルコード4の先端に配設される内視鏡コネクタ5などによって主に構成されている。
【0015】
挿入部2は、先端側から順に、先端部6、湾曲部7および可撓管部8が連設されて形成され可撓性を備えた管状部材である。このうち、先端部6には、内部に撮像手段を備えた後述の撮像装置である撮像ユニット、照明手段などが収納配置されている。
湾曲部7は、操作部3の操作部材のうち湾曲レバー13の回動操作によって、挿入部2の上下2方向(UP-DOWN)へと能動的に湾曲させ得るように構成される機構部位である。
【0016】
なお、湾曲部7は、上下2方向へ能動的に湾曲するタイプのものに限定されることはなく、上下方向に加えて左右方向をも含めた4方向(上下左右の操作によって軸回りの全周方向、UP-DOWN/LEFT-RIGHT)に湾曲し得るタイプのものであっても良いし、上(UP)方向の1方向にのみ湾曲し得るタイプのものでもよく、さらに湾曲レバー13による能動的に湾曲する機構を有しておらず、単に受動的に湾曲するタイプのものであってもよい。
【0017】
可撓管部8は、受動的に可撓可能となるように柔軟性を持たせて形成される管状部材である。この可撓管部8の内部には、後述する処置具挿通チャンネルのほか、先端部6に内蔵される撮像装置から延出し、さらに操作部3からユニバーサルコード4の内部へと延設される後述の信号ケーブル束、光源装置からの照明光を導光し先端部6から出射させるための後述するライトガイドバンドルなどが挿通している(ここでは、何れも不図示)。
【0018】
操作部3は、先端側に設けられ可撓管部8の基端を覆って可撓管部8と接続される折れ止め部9と、この折れ止め部9に連設され使用者が内視鏡1を使用する時に手によって把持する把持部10と、この把持部10の外表面に設けられる各種内視鏡機能を操作する操作手段と、処置具挿通部11と、吸引バルブ15などによって構成される。
【0019】
操作部3に設けられる操作手段としては、例えば湾曲部7の湾曲操作を行う湾曲レバー13、送気送水操作または吸引操作、撮像手段、照明手段などの各対応する操作を行うための複数の操作部材14などがある。
【0020】
処置具挿通部11は、各種の処置具(不図示)を挿入する処置具挿通口を備え、操作部3の内部で、分岐部材を介して処置具挿通チャンネル(不図示)に連通する構成部である。
【0021】
この処置具挿通部11には、処置具挿通口を開閉するための蓋部材であって、この処置具挿通部11に対して着脱自在(交換可能)に構成される鉗子栓12が配設されている。なお、処置具挿通チャンネルは、操作部3の内部において、分岐部材によって吸引バルブ15とも連通した構成となっている。
【0022】
ユニバーサルコード4は、挿入部2の先端部6から、この挿入部2内部を挿通して操作部3に至り、信号ケーブル束、光源装置(不図示)からの照明光を伝送するライトガイドバンドルなどが挿通された複合ケーブルである。
【0023】
内視鏡コネクタ5は、外部機器のビデオプロセッサ(不図示)との間を接続する信号ケーブルが接続される電気コネクタ部16を側面部に有すると共に、外部機器である光源装置との間を接続する後述のライトガイドバンドルおよび電気ケーブル(不図示)が接続される光源コネクタ部17と、外部機器の送気送水装置(不図示)からの送気送水用チューブ(不図示)を接続する送気送水プラグ18などを有して構成されている。
【0024】
ここで、本実施の形態の内視鏡1の挿入部2の先端部分の構成について、図2および図3に基づき、以下に説明する。なお、以下の説明において、挿入部2の周知の構成に関しては、説明を省略する。
【0025】
挿入部2の先端部6は、図2に示すように、観察窓21、照明窓22およびチャンネル開口部23が設けられた絶縁性を有する非導電性の略円柱状ブロック体の枠部品である内部材となる先端硬質部20を備えている。この先端硬質部20は、中途から基端側に向けて湾曲ゴム25が被覆しており、この湾曲ゴム25の先端が糸巻接着部24によって固着されている。
【0026】
先端部6には、図3に示すように、先端硬質部20に形成された嵌合孔28に撮像ユニット30が挿嵌して設けられている。この撮像ユニット30は、接着剤などの充填剤36によって先端硬質部20に固定されている。
【0027】
撮像ユニット30は、観察窓21を含む対物レンズ群33を保持する導電性の金属などから形成された導電部である2つのレンズ枠31,32を有している。また、撮像ユニット30は、CCD、CMOSなどの固体撮像素子、駆動回路基板などが設けられた図示しない素子枠を基端側のレンズ枠32の基端外周部分と共に覆う熱収縮チューブ34を有している。
【0028】
この熱収縮チューブ34からは、撮像ケーブル35が基端側に延設している。なお、熱収縮チューブ34内には、水密保持のため接着剤などが充填されている。
【0029】
撮像ユニット30のレンズ枠31,32は、導通部としてのジャンパー線50の先端およびテスターケーブルとしてのエナメル線、ビニール被覆線などの絶縁性の外皮を有する被覆導線の絶縁ケーブル54の先端側の芯線が半田などの電気接続部55により電気的に接続されている。
【0030】
ジャンパー線50の基端は、先端硬質部20の基端側の外周部26に外嵌合する導電性を有する環状の外装部材である外部材としての最先端の湾曲駒41と電気的に接続される。
【0031】
これにより、レンズ枠31,32に印加された電流(電荷)がジャンパー線50および湾曲駒41へと流れるように導通した構成となっている。
【0032】
ジャンパー線50は、基端部分が先端硬質部20の外面である外周部26と最先端の湾曲駒41の内面42に挟まれた状態で保持されている。これにより、ジャンパー線50は、湾曲駒41と電気的に導通し、撮像ユニット30のレンズ枠31,32がジャンパー線50を介して電気的に接続される。
なお、絶縁ケーブル54の基端は、挿入部2に内包された状態で収容されている。
【0033】
湾曲駒41は、複数に連設され、枢支部43によって互いが回動自在となるように軸支されている。これら複数の湾曲駒41は、湾曲レバー13の操作により湾曲操作ワイヤー44,45が牽引弛緩される。
【0034】
これにより、複数の湾曲駒41が枢支部43回りに回動され、湾曲部7が湾曲操作される。なお、湾曲操作ワイヤー44,45は、複数の湾曲駒41の内面側に設けられたワイヤガイド46に固定または挿通保持されている。
【0035】
これら複数の湾曲駒41は、それぞれが電気的に導通しており、最基端の湾曲駒41が可撓管部8の図示しない金属ブレードと電気的に導通するように接続されている。なお、可撓管部8の金属ブレードは、操作部3の金属製のフレームおよびユニバーサルコード4を介して内視鏡コネクタ5とも電気的に導電通している。
【0036】
そして、内視鏡コネクタ5は、外部機器と接続されて、内視鏡の電気的な基準となる患者グラウンド(GND)が撮像ユニット30と電気的に導通する構成となっている。
【0037】
即ち、内視鏡1は、湾曲駒41、可撓管部8の金属ブレード、操作部3のフレーム、ユニバーサルコード4および内視鏡コネクタ5まで、グラウンド(GND)の電気的な導通路が形成され、内視鏡コネクタ5が外部機器と接続されて接地される構成となっている。
【0038】
これにより、非導電性の先端硬質部20に嵌合された撮像ユニット30も、最先端の湾曲駒41に電気的に接続されたジャンパー線50を介して挿通しているため、内視鏡コネクタ5が外部機器と接続されて接地された構成となる。
【0039】
なお、先端硬質部20に嵌合する最先端の湾曲駒41は、図4および図5に示すように、先端開口部47(図6参照)が設けられた先端側の端部から基端側に向けて一部が切り欠かれた導通部カット孔部である開口51が形成されている。この開口51は、先端硬質部20の外周面の一部を露出している。
【0040】
開口51は、図5に示すように、湾曲駒41の端部にある先端開口部47から基端側に切り欠かれた直線状の溝部52と、この溝部52に連通する三角形の導通部カット部53と、を有している。
【0041】
さらに、先端硬質部20に嵌合する最先端の湾曲駒41は、先端開口部47から基端側に切り欠かれた所定の長さの切欠部56が形成されている。この切欠部56は、絶縁ケーブル54を最先端の湾曲駒41から導出させるためのものである。
【0042】
切欠部56は、先端硬質部20と最先端の湾曲駒41とが嵌合した状態において、先端硬質部20の基端よりも長い所定の長さが設定されている。
【0043】
即ち、切欠部56は、最先端の湾曲駒41への先端硬質部20の嵌合長よりも長く、絶縁ケーブル54を導出させる開口のケーブル導出口が形成されるように所定の長さが設定されている。
【0044】
なお、絶縁ケーブル54を導出させる構成は、最先端の湾曲駒41の先端開口部47から切り欠いたものでなくてもよく、先端硬質部20の嵌合部と重ならない最先端の湾曲駒41の外周部に絶縁ケーブル54を導出させるための孔部状のケーブル導出口を形成してもよい。
【0045】
ここで、図4から図5に示すように、先端硬質部20に最先端の湾曲駒41が嵌合されて、開口51から延出するジャンパー線50をカットする構成について説明する。
先端硬質部20と最先端の湾曲駒41を嵌合するとき、図4に示すように、ジャンパー線50が湾曲駒41の開口51の溝部52から導通部カット部53に通される。
【0046】
なお、湾曲駒41の開口51の導通部カット部53にジャンパー線50を通すことができるため、必ずしも湾曲駒41の先端開口部47と開口51とを繋ぐように連通する溝部52が無くてもよい。
【0047】
そして、図5に示すように、先端硬質部20と最先端の湾曲駒41が嵌合される。このとき、ジャンパー線50は、先端硬質部20の外面である外周部26と最先端の湾曲駒41の内面42に挟まれて固定され、開口51の導通部カット部53から延出した状態となる。
【0048】
この導通部カット部53から延出した余分なジャンパー線50は、デザインナイフなどの切断具(不図示)によって、図6に示すように、導通部カット部53内に収まるように切断される。
【0049】
即ち、先端硬質部20と最先端の湾曲駒41とを嵌合するときに、撮像ユニット30の導電部であるレンズ枠31,32に接続されたジャンパー線50は、先端硬質部20と湾曲駒41の間に挟み込んで導電性の湾曲駒41と容易、かつ確実に電気的に接続することができる構成となっている。
【0050】
これにより、内視鏡1は、非導電性の先端硬質部20が設けられた挿入部2の先端部6に静電気、処置具などから発生する高周波電流などが印加されて、撮像ユニット30のレンズ枠31,32に流れてもジャンパー線50から湾曲駒41を介してグラウンド(GND)に落とされる。
【0051】
即ち、先端部6に発生した電荷は、レンズ枠31,32に流れ、ジャンパー線50から湾曲駒41を介してグラウンド(GND)へとリークされる。従って、内視鏡1の撮像ユニット30は、静電気、高周波電流などによる不具合が防止される。
【0052】
したがって、内視鏡1は、撮像ユニット30を接地するために、導線であるジャンパー線50の一端の近傍部分を、撮像ユニット30を外部から絶縁する先端枠部品である先端硬質部20と、グラウンド(GND)に接続された外装部材である湾曲駒41によって挟み込んだ簡単な構造を有した構成となる。
【0053】
なお、先端硬質部20は、非導電性が望ましいが、これに限定されることなく導電性であってもよい。
【0054】
ところで、先端硬質部20と最先端の湾曲駒41が嵌合されて、最先端の湾曲駒41に形成された切欠部56から導出された絶縁ケーブル54は、導出端部からエナメル、シースなどの被覆が剥ぎ取られた銅線などの導線54aにテスター100の一方のテスター棒101が当てられる。一方、テスター100の他方のテスター棒102は、最先端の湾曲駒41の外周部に当てられて、撮像ユニット30と最先端の湾曲駒41との導通検査が行われる。
【0055】
即ち、撮像ユニット30は、ジャンパー線50を介して最先端の湾曲駒41と電気的に接続されており、ジャンパー線50および絶縁ケーブル54の一端がレンズ枠31,32に電気接続部55によって接続されている。
【0056】
そのため、絶縁ケーブル54の導線54aと最先端の湾曲駒41にテスター100のテスター棒101,102を当てることで、撮像ユニット30のレンズ枠31,32と最先端の湾曲駒41とを電気的に接続するジャンパー線50の導通検査を行うことができ、ジャンパー線50に断線などの不具合が生じていないか検査することができる。
【0057】
なお、テスター100による導通検査後、絶縁ケーブル54は、切欠部56によって形成されたケーブル導出口から最先端の湾曲駒41内に収容される。このとき、絶縁ケーブル54は、被覆されていない導線54aを切り落としてもよいし、端部に絶縁スリーブを設けてもよい。
【0058】
以上のように構成された内視鏡1は、最先端の湾曲駒41に先端硬質部20を嵌合した後でも、撮像ユニット30とグラウンド(GND)と導通する湾曲駒41との導通検査を容易に行えて、撮像ユニット30の接地確認をすることができる。
【0059】
従って、内視鏡1は、挿入部2の先端部6に内蔵された撮像ユニット30をグラウンド(GND)と導通する導電部である湾曲駒41にジャンパー線50によって容易、かつ確実に電気的に接続することができ、湾曲駒41と絶縁ケーブル54にテスター100を当てて導通検査することで、撮像ユニット30の接地確認を簡易に行える構成とすることができる。
【0060】
以上の実施の形態および変形例に記載した発明は、それら実施の形態および変形例に限ることなく、その他、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々の変形を実施し得ることが可能である。さらに、上記実施の形態および変形例には、種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組合せにより種々の発明が抽出され得るものである。
【0061】
例えば、実施の形態および変形例に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、述べられている課題が解決でき、述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得るものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6