(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-15
(45)【発行日】2022-07-26
(54)【発明の名称】許容値設定システム、基板検査機、許容値設定方法、基板検査方法
(51)【国際特許分類】
H05K 13/08 20060101AFI20220719BHJP
【FI】
H05K13/08 D
(21)【出願番号】P 2021528630
(86)(22)【出願日】2019-06-21
(86)【国際出願番号】 JP2019024830
(87)【国際公開番号】W WO2020255412
(87)【国際公開日】2020-12-24
【審査請求日】2021-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】100115646
【氏名又は名称】東口 倫昭
(74)【代理人】
【識別番号】100115657
【氏名又は名称】進藤 素子
(74)【代理人】
【識別番号】100196759
【氏名又は名称】工藤 雪
(72)【発明者】
【氏名】横井 勇太
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 光孝
(72)【発明者】
【氏名】小谷 一也
(72)【発明者】
【氏名】小野 恵市
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-72035(JP,A)
【文献】特開2002-84097(JP,A)
【文献】国際公開第2015/011753(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の部品搭載面に対する電子部品の正規の搭載位置を正規位置、
前記正規位置に対する前記電子部品の実際の前記搭載位置の、前記部品搭載面の面方向のズレを面方向ズレ、
前記正規位置に対する前記電子部品の実際の前記搭載位置の、前記部品搭載面内における回転方向のズレを角度ズレとして、
リフロー前の基板検査において前記面方向ズレを評価する面方向検査許容値を、前記角度ズレに応じて、複数設定する許容値設定システム。
【請求項2】
前記角度ズレが大きいほど、前記面方向検査許容値は小さい請求項1に記載の許容値設定システム。
【請求項3】
前記電子部品は、前記基板の前記部品搭載面に対するはんだの印刷位置を基準に、前記基板に搭載される請求項1または請求項2に記載の許容値設定システム。
【請求項4】
リフロー前の前記基板に搭載された前記電子部品の前記面方向ズレと前記角度ズレとを取得し、
取得された前記面方向ズレと、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の許容値設定システムで設定された複数の前記面方向検査許容値と、を比較し、合否判定を行う基板検査機。
【請求項5】
基板の部品搭載面に対する電子部品の正規の搭載位置を正規位置、
前記正規位置に対する前記電子部品の実際の前記搭載位置の、前記部品搭載面の面方向のズレを面方向ズレ、
前記正規位置に対する前記電子部品の実際の前記搭載位置の、前記部品搭載面内における回転方向のズレを角度ズレとして、
リフロー前の基板検査において前記面方向ズレを評価する面方向検査許容値を、前記角度ズレに応じて、複数設定する許容値設定方法。
【請求項6】
リフロー前の前記基板に搭載された前記電子部品の前記面方向ズレと前記角度ズレとを取得するズレ取得ステップと、
取得された前記面方向ズレと、請求項5に記載の許容値設定方法で設定された複数の前記面方向検査許容値と、を比較し、合否判定を行う判定ステップと、
を有する基板検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、リフロー前の基板検査に用いられる検査許容値を設定する許容値設定システムおよび許容値設定方法、当該検査許容値を用いて基板を検査する基板検査機および基板検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示すように、基板の生産ラインには、電子部品実装機と、リフロー前基板外観検査機と、リフロー炉と、が配置されている。電子部品実装機は、基板の部品搭載面の所定の搭載座標に、電子部品を搭載する。リフロー前基板外観検査機は、所定の検査許容値を用いて、正規位置(正規の搭載位置)に対する電子部品の位置ズレを検査する。
【0003】
電子部品実装機は、所定の搭載基準に基づいて、電子部品の搭載座標を決定する。基板のパッド(ランド)に対するはんだの印刷ズレがある場合、リフロー時に、溶融はんだの表面張力により、電子部品がパッドの中心に移動する現象(セルフアライメント)が発生する場合がある。セルフアライメント効果が大きい電子部品(例えば、自重が軽い電子部品)を基板に搭載する場合、電子部品実装機は、基板に印刷されたはんだを搭載基準として、電子部品の搭載座標を決定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2014/080502A1号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、セルフアライメントによる電子部品の移動量(セルフアライメント量)は、電子部品固有の特性(例えば電子部品の自重)だけにより、決定される訳ではない。セルフアライメント量は、電子部品の角度ズレ(基板の部品搭載面内における電子部品の回転方向のズレ)の程度により異なる。ところが、リフロー前基板外観検査機の検査許容値は、電子部品の種類ごとに設定されている。当該検査許容値には、セルフアライメント量に及ぼす角度ズレの影響が加味されていない。このため、適切な検査許容値を設定することは困難である。そこで、本開示は、適切な検査許容値を設定することが可能な許容値設定システム、基板検査機、許容値設定方法、基板検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の許容値設定システムは、基板の部品搭載面に対する電子部品の正規の搭載位置を正規位置、前記正規位置に対する前記電子部品の実際の前記搭載位置の、前記部品搭載面の面方向のズレを面方向ズレ、前記正規位置に対する前記電子部品の実際の前記搭載位置の、前記部品搭載面内における回転方向のズレを角度ズレとして、リフロー前の基板検査において前記面方向ズレを評価する面方向検査許容値を、前記角度ズレに応じて、複数設定する。
【0007】
本開示の基板検査機は、リフロー前の前記基板に搭載された前記電子部品の前記面方向ズレと前記角度ズレとを取得し、取得された前記面方向ズレと、前記許容値設定システムで設定された複数の前記面方向検査許容値と、を比較し、合否判定を行う。
【0008】
本開示の許容値設定方法は、基板の部品搭載面に対する電子部品の正規の搭載位置を正規位置、前記正規位置に対する前記電子部品の実際の前記搭載位置の、前記部品搭載面の面方向のズレを面方向ズレ、前記正規位置に対する前記電子部品の実際の前記搭載位置の、前記部品搭載面内における回転方向のズレを角度ズレとして、リフロー前の基板検査において前記面方向ズレを評価する面方向検査許容値を、前記角度ズレに応じて、複数設定する。
【0009】
本開示の基板検査方法は、リフロー前の前記基板に搭載された前記電子部品の前記面方向ズレと前記角度ズレとを取得するズレ取得ステップと、取得された前記面方向ズレと、前記許容値設定方法で設定された複数の前記面方向検査許容値と、を比較し、合否判定を行う判定ステップと、を有する。
【発明の効果】
【0010】
本開示の許容値設定システム、許容値設定方法によると、面方向検査許容値を、角度ズレに応じて、複数設定することができる。このため、電子部品のセルフアライメント量に及ぼす角度ズレの影響が加味された、適切な面方向検査許容値を設定することができる。また、本開示の基板検査機、基板検査方法によると、角度ズレに対応した適切な面方向検査許容値を用いて、基板を検査することができる。このため、検査精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】
図2は、リフロー前の基板の部分上面図である。
【
図3】
図3は、検査許容値データのテーブル形式の模式図である。
【
図4】
図4は、検査許容値データのグラフ形式の模式図である。
【
図5】
図5は、基板検査方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の許容値設定システム、基板検査機、許容値設定方法、基板検査方法の実施の形態について説明する。
【0013】
(生産システム)
まず、本実施形態の生産システムの構成について説明する。
図1に、生産システムの模式図を示す。
図1に示すように、生産システム1は、管理コンピュータ2と、生産ライン3と、を備えている。管理コンピュータ2は、本開示の「許容値設定システム」の概念に含まれる。
【0014】
管理コンピュータ2は、制御装置20を備えている。制御装置20は、演算部(例えばCPUなど)200と、記憶部(例えばROM、RAMなど)201と、を備えている。記憶部201には、基板関連データ(例えば、基板の種類、寸法に関するデータ、基板のパッドの位置に関するデータ、電子部品の種類、寸法、搭載位置に関するデータ、複数の電子部品の装着順序に関するデータ、電子部品の端子位置に関するデータ、リフロー前の基板検査の際に使用される検査許容値データなど)が格納されている。基板関連データのうち、検査許容値データについては、後述する。
【0015】
生産ライン3は、はんだ印刷機30と、はんだ印刷検査機31と、複数の電子部品実装機32と、リフロー前基板外観検査機33と、リフロー炉34と、リフロー後基板外観検査機35と、を備えている。リフロー前基板外観検査機33は、本開示の「基板検査機」の概念に含まれる。
【0016】
管理コンピュータ2と生産ライン3を構成する各装置(はんだ印刷機30、はんだ印刷検査機31、複数の電子部品実装機32、リフロー前基板外観検査機33、リフロー炉34、リフロー後基板外観検査機35)とは、電気的に接続されている。管理コンピュータ2と上述の各装置とは、双方向に通信可能である。上述の各装置は、基板搬送方向に並んでいる。基板は、上流側(はんだ印刷機30側)から下流側(リフロー後基板外観検査機35側)に向かって、搬送される。
【0017】
リフロー前基板外観検査機33は、制御装置330と、画像処理装置331と、撮像装置(例えばCCDカメラ、CMOSカメラなど)332と、を備えている。制御装置330は、演算部330aと、記憶部330bと、を備えている。撮像装置332は、リフロー前における基板の上面(部品搭載面)を撮像し、画像データを取得する。画像処理装置331は、当該画像データに所定の画像処理を施す。演算部330aは、当該画像データを基に、電子部品の搭載状態を検査する。
【0018】
(許容値設定方法)
次に、本実施形態の許容値設定方法について説明する。以下の許容値設定方法において設定される検査許容値は、リフロー前基板外観検査機33において、電子部品の搭載位置の位置ズレを検査する際に用いられる。許容値設定方法は、管理コンピュータ2において実行される。
図2に、リフロー前の基板の部分上面図を示す。なお、説明の便宜上、はんだ92にハッチングを施す。
図2に示すように、基板9の上面(部品搭載面)のパッド90に対する電子部品91の正規の搭載位置を正規位置A、正規位置Aに対する電子部品91の実際の搭載位置の、水平方向(基板9の上面の面方向)のズレをX方向ズレBXおよびY方向ズレBY、正規位置Aに対する電子部品91の実際の搭載位置の、基板9の上面内におけるθ方向(回転方向)のズレを角度ズレBθとする。X方向ズレBX、Y方向ズレBYは、本開示の「面方向ズレ」の概念に含まれる。
【0019】
図1に示す電子部品実装機32は、はんだ92を搭載基準として、電子部品91を基板9の上面に搭載する。
図1に示すリフロー炉34を
図2に示す基板9が通過する際、
図2に矢印Dで示すセルフアライメント効果により、電子部品91は正規位置Aに移動する。X方向ズレBX、Y方向ズレBY、角度ズレBθは修正される。
【0020】
図3に、検査許容値データのテーブル形式の模式図を示す。
図4に、同検査許容値データのグラフ形式の模式図を示す。
図1に示す管理コンピュータ2は、記憶部201に、
図3に示す検査許容値データを格納する。検査許容値データは、はんだ92を搭載基準として搭載される複数の電子部品91に対して、個別に設定されている。検査許容値データは、複数(i=1~3)の許容値セット(角度検査許容値Cθと、X方向検査許容値CXと、Y方向検査許容値CYと、のセット)を備えている。X方向検査許容値CX、Y方向検査許容値CYは、本開示の「面方向検査許容値」の概念に含まれる。
【0021】
図2に示す電子部品91の角度ズレBθが大きいほど、リフロー時に電子部品91が移動しにくくなる。このため、
図2に示す電子部品91の角度ズレBθが大きいほど、X方向のセルフアライメント量、Y方向のセルフアライメント量は小さくなる。したがって、
図4に示すように、角度検査許容値Cθが大きいほどX方向検査許容値CX、Y方向検査許容値CYが小さくなるように、言い換えると角度検査許容値Cθが大きいほど許容エリアCが小さくなるように、検査許容値データは設定されている。
【0022】
(基板検査方法)
次に、本実施形態の基板検査方法について説明する。なお、以下に示すのは、
図1に示すリフロー前基板外観検査機33において、
図2に示す電子部品91の搭載状態を検査する場合である。
図5に、基板検査方法のフローチャートを示す。なお、
図5のS(ステップ)2は、本開示の「ズレ取得ステップ」に対応する。
図5のS4~S10は、本開示の「判定ステップ」に対応する。
【0023】
まず、リフロー前基板外観検査機33の演算部330aは、
図1に示す管理コンピュータ2の記憶部201から、検査対象となる電子部品91の部品寸法データ、検査許容値データ(
図3参照)を取得する(
図5のS1)。次に、演算部330aは、撮像装置332を駆動し、基板9における電子部品91の正規位置A付近を撮像し、画像データを取得する。画像処理装置331は、当該画像データに所定の画像処理を施す。演算部330aは、当該画像データを基に、電子部品91の実際の搭載位置を計測する(
図5のS2)。演算部330aは、例えば、電子部品91の四隅のXY座標を認識し、電子部品91の輪郭を特定する。演算部330aは、電子部品の輪郭を基に、電子部品91のX方向ズレBX、Y方向ズレBY、角度ズレBθを計測する。演算部330aは、i=1を計数し(
図5のS3)、電子部品91の実際の角度ズレBθと、
図3のi=1の角度検査許容値Cθ(0°以上1°未満)と、を比較する(
図5のS4)。
【0024】
図5のS4における比較の結果、角度ズレBθが角度検査許容値Cθ未満の場合(Cθ>Bθの場合 角度ズレBθが角度検査許容値Cθの範囲内の場合)、演算部330aは、電子部品91の実際のX方向ズレBXと、
図3のi=1のX方向検査許容値CX(200μm以内)と、を比較する。並びに、電子部品91の実際のY方向ズレBYと、
図3のi=1のY方向検査許容値CY(100μm以内)と、を比較する(
図5のS5)。
【0025】
図5のS5において、X方向ズレBXがX方向検査許容値CX未満であって、Y方向ズレBYがY方向検査許容値CY未満である場合(CX>BX AND CY>BY)、演算部330aは、電子部品91について、合格判定を出す(
図5のS6)。その後、演算部330aは、当該判定結果を管理コンピュータ2に送信する(
図5のS7)。
図5のS5において、X方向ズレBXがX方向検査許容値CX以上の場合やY方向ズレBYがY方向検査許容値CY以上などの場合(CX≦BX AND/OR CY≦BY)、演算部330aは、電子部品91について、不合格判定を出す(
図5のS9)。
【0026】
なお、
図2に示す電子部品91は、X方向ズレBXがX方向検査許容値CX未満であるものの(CX>BX)、Y方向ズレBYがY方向検査許容値CYを超えているので(CY<BY)、演算部330aは不合格判定を出す(
図5のS9)。
【0027】
図5のS4における比較の結果、角度ズレBθが角度検査許容値Cθ以上の場合(Cθ≦Bθの場合 角度ズレBθが角度検査許容値Cθの範囲外の場合)、演算部330aは、i=2を計数し(
図5のS8、S10)、角度ズレBθと、
図3のi=2の角度検査許容値Cθ(1°以上5°未満)と、を比較する(
図5のS4)。その後の処理は上述したとおりである。
【0028】
i=2の場合の
図5のS4における比較の結果、角度ズレBθが角度検査許容値Cθ以上の場合(Cθ≦Bθの場合 角度ズレBθが角度検査許容値Cθの範囲外の場合)、演算部330aは、i=3を計数し(
図5のS8、S10)、角度ズレBθと、
図3のi=3の角度検査許容値Cθ(5°以上10°未満)と、を比較する(
図5のS4)。その後の処理は上述したとおりである。
【0029】
i=3の場合の
図5のS4における比較の結果、角度ズレBθが角度検査許容値Cθ以上の場合(Cθ≦Bθの場合 角度ズレBθが角度検査許容値Cθの範囲外の場合)、演算部330aは、電子部品91について、不合格判定を出す(
図5のS8、S9)。
【0030】
このように、本実施形態の基板検査方法においては、電子部品91に対して、i=1~3の許容値セットが、i=1から順番に適用される。基板9の他の電子部品91に対しても、同様に検査が実行される。基板9の全ての電子部品91に対して演算部330aが合格判定を出した場合、基板9は
図1に示すリフロー炉34に搬送される。
【0031】
(作用効果)
次に、本実施形態の管理コンピュータ2、リフロー前基板外観検査機33、許容値設定方法、基板検査方法の作用効果について説明する。
図3に示すように、本実施形態の管理コンピュータ2、許容値設定方法によると、許容エリアC(X方向検査許容値CX、Y方向検査許容値CY)を、角度ズレ(角度検査許容値Cθ)に応じて、複数設定することができる。このため、
図2に示す電子部品91のセルフアライメント量に及ぼす角度ズレの影響が加味された、適切な許容エリアCを設定することができる。また、本実施形態のリフロー前基板外観検査機33、基板検査方法によると、角度ズレに対応した適切な複数の許容エリアCを用いて、基板9を検査することができる。このため、検査精度を向上させることができる。
【0032】
図3に示すように、検査許容値データは、複数(i=1~3)の許容値セット(角度検査許容値Cθと、X方向検査許容値CXと、Y方向検査許容値CYと、のセット)を備えている。角度検査許容値Cθ(
図2に示す電子部品91の角度ズレBθ)が大きいほどX方向検査許容値CX、Y方向検査許容値CYが小さくなるように、検査許容値データは設定されている。このため、電子部品91の角度ズレBθが大きくなるのに従ってセルフアライメント量が小さくなるという現象に、対応することができる。
【0033】
(その他)
以上、本開示の許容値設定システム、基板検査機、許容値設定方法、基板検査方法の実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
【0034】
許容値設定システムは、生産ライン3内に配置されていても、生産ライン3外に配置されていてもよい。単一の許容値設定システムを、複数の生産ライン3で共用化してもよい。許容値設定システムは、基板検査機と一体でも、別体でもよい。
図1に示すリフロー前基板外観検査機33の制御装置330で、本実施形態の許容値設定方法および基板検査方法を実行してもよい。この場合、リフロー前基板外観検査機33は、本開示の許容値設定システムおよび基板検査機の概念に含まれる。また、
図1に示すはんだ印刷機30、はんだ印刷検査機31、複数の電子部品実装機32、リフロー後基板外観検査機35のうち少なくとも一つが備える制御装置で、本実施形態の許容値設定方法を実行してもよい。この場合、当該制御装置を備える装置は、本開示の許容値設定システムの概念に含まれる。
【0035】
図3に示す検査許容値データについて、許容値セットの数は特に限定しない。セット数は2つ以上であればよい。
図4に相関線(一点鎖線)L1~L3で示すように、角度検査許容値Cθつまり角度ズレBθに応じて、X方向検査許容値CXを連続的に変化させてもよい。角度ズレBθとX方向検査許容値CXとの相関線の形状は特に限定しない。直線状であっても(L1)、凹状の曲線状であっても(L2)、凸状の曲線状であってもよい(L3)。Y方向検査許容値CYについても同様である。角度ズレBθに応じて複数設定される面方向検査許容値は、X方向検査許容値CXおよびY方向検査許容値CYのうち、少なくとも一方であればよい。例えば、X方向検査許容値CXだけを複数設定し、Y方向検査許容値CYを一定値としてもよい。勿論、その逆であってもよい。
【0036】
電子部品91の寸法公差を加味して、
図2に示すX方向検査許容値CX、Y方向検査許容値CYを設定してもよい。電子部品91の寸法公差を、
図5のS1に示す部品寸法データから取得してもよい。
図3に示す検査許容値データ、
図5のS1に示す部品寸法データの格納場所は、例えば、管理コンピュータ2の記憶部201、生産ライン3を構成する各装置(はんだ印刷機30、はんだ印刷検査機31、複数の電子部品実装機32、リフロー前基板外観検査機33、リフロー炉34、リフロー後基板外観検査機35)の記憶部などであってもよい。検査許容値データと部品寸法データとが別々の装置の記憶部に格納されていてもよい。
【0037】
本開示の許容値設定システム、基板検査機、許容値設定方法、基板検査方法が適用される電子部品91の種類は特に限定しない。自重が軽い電子部品91(例えば、長さ1mm以下であって幅0.5mm以下の電子部品)は、セルフアライメント効果が大きい。このため、自重が軽い電子部品91は、はんだ92を搭載基準として、基板9の上面に搭載される場合が多い。本開示の許容値設定システム、基板検査機、許容値設定方法、基板検査方法は、このような自重が軽い電子部品91に適用されてもよい。基板検査機の種類は特に限定しない。例えば、レーザを用いて基板検査を行うタイプの基板検査機であってもよい。
【符号の説明】
【0038】
1:生産システム、2:管理コンピュータ(許容値設定システム)、3:生産ライン、9:基板、20:制御装置、30:はんだ印刷機、31:はんだ印刷検査機、32:電子部品実装機、33:リフロー前基板外観検査機(基板検査機)、34:リフロー炉、35:リフロー後基板外観検査機、90:パッド、91:電子部品、92:はんだ、200:演算部、201:記憶部、330:制御装置、330a:演算部、330b:記憶部、331:画像処理装置、332:撮像装置、A:正規位置、Bθ:角度ズレ、BX:X方向ズレ(面方向ズレ)、BY:Y方向ズレ(面方向ズレ)、C:許容エリア、Cθ:角度検査許容値、CX:X方向検査許容値(面方向検査許容値)、CY:Y方向検査許容値(面方向検査許容値)