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特許7106765自動搬送装置とそれを備えた生産システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-15
(45)【発行日】2022-07-26
(54)【発明の名称】自動搬送装置とそれを備えた生産システム
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20220719BHJP
   H05K 13/00 20060101ALI20220719BHJP
【FI】
H05K13/02 Z
H05K13/00 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021536568
(86)(22)【出願日】2019-08-01
(86)【国際出願番号】 JP2019030166
(87)【国際公開番号】W WO2021019755
(87)【国際公開日】2021-02-04
【審査請求日】2021-10-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村井 正樹
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/127965(WO,A1)
【文献】特開2017-45805(JP,A)
【文献】特開平7-125836(JP,A)
【文献】特開平3-124700(JP,A)
【文献】特開2007-45600(JP,A)
【文献】国際公開第2017/208287(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から供給される部材を載置する載置台と、前記載置台に載置された前記部材を使用して特定物を生産する生産装置と、ともに採用され、
前記載置台に使用前の前記部材を受け渡すとともに、前記載置台から使用済みの前記部材の引き取りを行う自動搬送装置であって、
前記部材を載置可能な第1載置面と、
前記部材が載置される前記載置台に設けられた第2載置面の高さ位置及び傾き位置に合わせて、前記第1載置面の高さ及び傾きを調整する調整装置と、
前記部材を前記第1載置面から前記第2載置面及び/又は前記第2載置面から前記第1載置面に移動させる移動装置と、
前記自動搬送装置が前記部材の受け渡し及び/又は引き取りを行う部材受け渡し及び/又は引き取り位置に位置し、且つ、前記調整装置によって前記第2載置面の高さ位置及び傾き位置に合わせて前記第1載置面の高さ及び傾きが調整されたときに、前記移動装置を駆動して、前記第1載置面と前記第2載置面との間で前記部材を移動させる制御部と、を備え、
前記部材受け渡し及び/又は引き取り位置を含む複数の所定の位置間を走行可能に構成されている、
自動搬送装置。
【請求項2】
前記第2載置面の高さ位置及び傾き位置に合わせて前記第1載置面の高さ及び傾きが前記調整装置によって調整されると、前記移動装置は、前記第1載置面及び前記第2載置面に沿って前記部材をスライド移動させる、請求項1に記載の自動搬送装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の前記自動搬送装置と、
前記部材を載置可能な前記第2載置面が設けられた載置台と、
前記載置台に載置された前記部材を使用して特定物を生産する生産装置と、
予め設定された基準面に対する前記第2載置面の基準高さ位置及び基準傾き位置を含む基準位置データを記憶する記憶部と、
前記基準面に対する前記第1載置面の高さ位置及び傾き位置を計測する計測部と、を備え、
前記調整装置は、前記記憶部に記憶された前記基準位置データと前記計測部で計測された前記第1載置面の高さ位置及び傾き位置に基づいて、前記第1載置面の高さ及び傾きを調整する、生産システム。
【請求項4】
前記生産システムは、前記部材を載置可能な前記第2載置面が設けられた複数の前記載置台を備えており、
前記記憶部は、前記複数の載置台のそれぞれについて、当該載置台の前記第2載置面の前記基準位置データを記憶しており、
前記自動搬送装置が前記複数の載置台のうち特定の載置台の前記部材受け渡し及び/又は引き取り位置に位置したときに、前記調整装置は、前記特定の載置台の前記基準位置データと前記計測部で計測された前記第1載置面の高さ位置及び傾き位置に基づいて、前記第1載置面の高さ及び傾きを調整する、請求項3に記載の生産システム。
【請求項5】
前記載置台は、前記生産装置及び/又は、前記部材を少なくとも一時的に保管する保管庫に設けられている、請求項3又は4に記載の生産システム。
【請求項6】
前記生産装置は、基板に部品を実装する部品実装装置であり、
前記部材は、前記部品実装装置に前記部品を供給する部品供給フィーダである、請求項3~5のいずれか一項に記載の生産システム。
【請求項7】
外部から供給される部材を載置可能な載置台と、
前記載置台に載置された前記部材を使用して特定物を生産する生産装置と、
前記載置台に、使用前及び/又は使用済みの前記部材を受け渡すとともに、使用前及び/又は使用済みの前記部材の引き取りを行う自動搬送装置と、を備える生産システムであって、
前記自動搬送装置は、前記部材を載置可能な第1載置面を備えており、部材受け渡し及び/又は引き取り位置を含む複数の所定の位置間を走行可能に構成されており、
前記載置台は、前記部材を載置可能な第2載置面を備えており、
前記生産システムは、さらに、
前記第2載置面の高さ位置及び傾き位置に合わせて、前記第1載置面の高さ及び傾きを調整する調整装置と、
前記部材を前記第1載置面から前記第2載置面及び/又は前記第2載置面から前記第1載置面に移動させる移動装置と、
前記自動搬送装置が前記部材受け渡し及び/又は引き取り位置に位置し、且つ、前記調整装置によって前記第2載置面の高さ位置及び傾き位置に合わせて前記第1載置面の高さ及び傾きが調整されたときに、前記移動装置を駆動して、前記第1載置面と前記第2載置面との間で前記部材を移動させる制御部と、を備える、
生産システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する技術は、自動搬送装置とそれを備えた生産システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(国際公開第2018/173204号)には、自動搬送装置として使用される移動ロボットが開示されている。この移動ロボットは、特定物を生産する複数の生産装置が備えられた工場内で使用される。移動ロボットは、生産装置で用いられる部材を移動ロボット内の載置面(以降、第1載置面と称する)に載置した状態で搬送し、搬送した部材を第1載置面から、例えば生産装置に設けられた供給面(以降、第2載置面と称する)へ受け渡すとともに、生産装置で使用された部材を第2載置面から第1載置面へ引き取ることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1の移動ロボットは、例えば部材の受け渡し時には、生産装置の前方に停止し、第1載置面上を前後方向に部材を移動させて供給面に受け渡す。しかしながら、特許文献1の移動ロボットでは、前後方向に部材を移動させるだけで、第1載置面の高さや傾きは変化しない。従って、例えば、生産装置が配備される工場の床面が平坦でない場合には、第2載置面と第1載置面との高さや傾きが必ずしも一致しないため、部材を第1載置面から第2載置面に移動させることが難しいことがある。同じことは、第2載置面から第1載置面への部材の引き取り時にもいえる。本明細書では、自動搬送装置の第1載置面から生産装置の第2載置面及び/又は生産装置の第2載置面から自動搬送装置の第1載置面に部材を確実に移動させる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書は、自動搬送装置を開示する。自動搬送装置は、外部から供給される部材を載置する載置台と、載置台に載置された部材を使用して特定物を生産する生産装置と、ともに採用され、載置台に使用前の部材を受け渡すとともに、載置台から使用済みの部材の引き取りを行う。自動搬送装置は、第1載置面と、調整装置と、移動装置と、制御部とを備える。第1載置面は、部材を載置することができる。調整装置は、部材が載置される載置台に設けられた第2載置面の高さ位置及び傾き位置に合わせて、第1載置面の高さ及び傾きを調整する。移動装置は、部材を第1載置面から第2載置面及び/又は第2載置面から第1載置面に移動させる。制御部は、自動搬送装置が部材の受け渡し及び/又は引き取りを行う部材受け渡し及び/又は引き取り位置に位置し、且つ、調整装置によって第2載置面の高さ位置及び傾き位置に合わせて第1載置面の高さ及び傾きが調整されたときに、移動装置を駆動して、第1載置面と第2載置面との間で部材を移動させる。自動搬送装置は、部材受け渡し及び/又は引き取り位置を含む複数の所定の位置間を走行可能に構成されている。
【0005】
上記した自動搬送装置は、部材が載置される載置台の第2載置面における高さ位置及び傾き位置に合わせて自動搬送装置の第1載置面の高さ及び傾きを調整する調整装置を備えている。従って、自動搬送装置は、例えば、工場の床面が平坦でなくても、調整装置によって第2載置面に合わせて、第1載置面の高さ及び傾きを調整することができる。これにより、自動搬送装置は、第1載置面から第2載置面及び/又は第2載置面から第1載置面に部材を確実に移動させることができる。
【0006】
本明細書は、生産システムを開示する。生産システムは、外部から供給される部材を載置可能な載置台と、載置台に載置された部材を使用して特定物を生産する生産装置と、載置台に、使用前及び/又は使用済みの部材を受け渡すとともに、使用前及び/又は使用済みの部材の引き取りを行う自動搬送装置とを備える。自動搬送装置は、部材を載置可能な第1載置面を備えており、部材受け渡し及び/又は引き取り位置を含む複数の所定の位置間を走行可能に構成されている。載置台は、部材を載置可能な第2載置面を備える。生産システムは、調整装置と移動装置と制御部とをさらに備える。調整装置は、第2載置面の高さ位置及び傾き位置に合わせて、第1載置面の高さ及び傾きを調整する。移動装置は、部材を第1載置面から第2載置面及び/又は第2載置面から第1載置面に移動させる。制御部は、自動搬送装置が部材受け渡し及び/又は引き取り位置に位置し、且つ、調整装置によって第2載置面の高さ位置及び傾き位置に合わせて第1載置面の高さ及び傾きが調整されたときに、移動装置を駆動して、第1載置面と第2載置面との間で部材を移動させる。
【0007】
上記した生産システムは、部材が載置される載置台の第2載置面における高さ位置及び傾き位置に合わせて自動搬送装置の第1載置面の高さ及び傾きを調整する調整装置を備えている。これにより、自動搬送装置は、例えば、工場の床面が平坦でなくても、第1載置面から第2載置面及び/又は第2載置面から第1載置面に部材を確実に移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例のAGV10を備える生産システム100の構成を模式的に示す平面図。AGV10が走行する走行経路の一例を矢印で示す。
図2】AGV10の構成の詳細を示すブロック図。
図3】部品実装機30の構成を模式的に示す図。
図4図3のIV-IV線における断面図。
図5】デバイスパレット42を示す斜視図。
図6】AGV10の外観を示す斜視図。フィーダ移動装置16は、シリンダ部16aのみを図示し、他の構成については図示を省略している。図7、9、11、12、14、15、16についても図6と同様にフィーダ移動装置16は、部分的に図示する。
図7】AGV10の構成を示す側面図。
図8】保管庫50のフィーダ設置台52に部品供給フィーダ40及びデバイスパレット42が載置された状態を示す図。保管庫50のフィーダ設置台52以外の他の構成については図示を省略している。
図9】基準面に対するフィーダ設置台44、52の上面44a、52aの高さ位置及び傾き位置を計測する計測手順を説明する図。
図10】AGV10が部品供給フィーダ40を部品実装機30に受け渡す手順を示すフローチャート。
図11】AGV10の載置面13aの傾きと高さを調整することを説明する図。
図12】AGV10から部品実装機30へ部品供給フィーダ40を受け渡すことを説明する図。
図13】部品供給フィーダ40の一変形例を示す斜視図。
図14】AGV10の載置面13aに部品供給フィーダ140が設置された状態を示す図。
図15】フィーダ設置台144に部品供給フィーダ140が設置された状態を示す図。
図16】変形例の部品供給フィーダ140を用いた場合の、基準面に対するAGV10の載置面13aの高さ位置及び傾き位置の計測について説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本技術の一実施形態では、第2載置面の高さ位置及び傾き位置に合わせて第1載置面の高さ及び傾きが調整装置によって調整されると、移動装置は、第1載置面及び第2載置面に沿って部材をスライド移動させてよい。このような構成によると、部材をスライドさせるだけで第1載置面及び第2載置面の間を移動させることができ、自動搬送装置(特に、移動装置)の構成を簡素化することができる。
【0010】
本技術の一実施形態では、生産システムが、上記した自動搬送装置と、部材を載置可能な第2載置面が設けられた載置台と、載置台に載置された部材を使用して特定物を生産する生産装置と、予め設定された基準面に対する第2載置面の基準高さ位置及び基準傾き位置を含む基準位置データを記憶する記憶部と、基準面に対する第1載置面の高さ位置及び傾き位置を計測する計測部とを備えてよい。調整装置は、記憶部に記憶された基準位置データと計測部で計測された第1載置面の高さ位置及び傾き位置に基づいて、第1載置面の高さ及び傾きを調整してもよい。このような構成によると、生産装置側となる載置台の基準高さ位置及び基準傾き位置を記憶しておくため、自動搬送装置側となる第1載置面の高さ位置及び傾き位置を計測することで、これらのデータに基づいて第1載置面の高さ及び傾きを調整することができる。
【0011】
本技術の一実施形態では、生産システムが、部材を載置可能な第2載置面が設けられた複数の載置台を備えていてよい。この場合に、記憶部が、複数の載置台のそれぞれについて、当該載置台の第2載置面の基準位置データを記憶しており、自動搬送装置が複数の載置台のうち特定の載置台の部材受け渡し及び/又は引き取り位置に位置したときに、調整装置は、特定の載置台の基準位置データと計測部で計測された第1載置面の高さ位置及び傾き位置に基づいて、第1載置面の高さ及び傾きを調整してもよい。このような構成によると、複数の載置台の基準位置データを記憶することで、各々の載置台に対して第1載置面の高さ及び傾きを調整することができる。
【0012】
本技術の一実施形態では、載置台は、生産装置及び/又は、部材を少なくとも一時的に保管する保管庫に設けられていてよい。ここでの保管庫には、部材を一時的に保管することで、工場におけるバッファ機能を有する保管庫が含まれてもよい。
【0013】
本技術の一実施形態では、生産装置は、基板に部品を実装する部品実装装置であってよく、部材は、部品実装装置に部品を供給する部品供給フィーダであってもよい。部品供給フィーダの具体的構成は特に限定されず、巻テープ上に複数の部品を収容するテープ式フィーダ、トレイ上に複数の部品を収容するトレイ式フィーダ、又は容器内に複数の部品をランダムに収容するバルク式フィーダであってもよい。
【実施例
【0014】
図面を参照して、本実施例の無人搬送車(Automated Guided Vehicle, AGV)10と、それを備えた生産システム100について説明する。一例ではあるが、生産システム100は、部品実装機30が配備される工場内に採用することができる。部品実装機30は、電子部品(以降、部品4と称する)4を回路基板(以降、基板2と称する)に実装する。部品実装機10は、電子部品装着装置やチップマウンタとも称される。部品実装機10は、はんだ印刷機及び基板検査機といった他の基板作業機とともに併設され、一連の実装ラインを構成する。
【0015】
図1、2に示すように、生産システム100は、管理装置6と、複数の部品実装機30と、複数のAGV10と、保管庫50とを備える。管理装置6は、各々の部品実装機30、各々のAGV10及び保管庫50とそれぞれ双方向に通信可能に接続されている。管理装置6は、複数の部品実装機30と複数のAGV10及び保管庫50の動作を制御し、実装ライン全体を管理する。AGV10は、本明細書が開示する技術に係る自動搬送装置の一例であり、複数の部品実装機30と保管庫50の間で部品供給フィーダ40を搬送する。また、生産システム100では、各々の部品実装機30及び保管庫50に部品供給フィーダ40を受け渡し及び/又は引き取りするための複数の受け渡し位置/引き取り位置を含む複数の停止位置P1~P5が設定されている。AGV10は、設定された複数の停止位置(P1~P5)の間を走行可能に構成されており、部品実装機30や保管庫50に部品供給フィーダ40の受け渡し及び/又は引き取りを行う(図1参照)。なお、複数の部品実装機30はx方向に並んで配置されているが、配置される部品実装機30の数や配置は特に限定されない。
【0016】
図3及び図4を参照して、部品供給フィーダ40が設置される部品実装機30について説明する。部品実装機30は、図3及び図4に示すように、複数の部品供給フィーダ40と、デバイスパレット42と、フィーダ設置台44と、装着ヘッド34と、ヘッド移動装置36と、基板コンベア38と、タッチパネル46と、実装機制御装置48を備える。各々の部品供給フィーダ40は、複数の部品4を収容している。図5に示すように、デバイスパレット42は、概して板形状を有し、上面42aとその反対側に位置する下面42bを有する。デバイスパレット42の上面42aは、複数の部品供給フィーダ40を着脱可能に設置することができる。デバイスパレット42は、フィーダ設置台44の上面44aに着脱可能に取り付けられる。部品供給フィーダ40が設置されたデバイスパレット42がフィーダ設置台44の上面44aに取り付けられることで、部品供給フィーダ40は、装着ヘッド34へ部品4を供給可能となる。ここで、フィーダ設置台44の上面44aは、本明細書が開示する技術に係る第2載置面の一例である。
【0017】
装着ヘッド34は、一又は複数の吸着ノズル32を着脱可能に保持し、吸着ノズル32を用いて部品供給フィーダ40が供給する部品4を取り上げ、当該部品4を基板2上へ装着する。このとき、ヘッド移動装置36が、部品供給フィーダ40及び基板2に対して、装着ヘッド34を移動させる。これによって、複数の部品供給フィーダ40のうち特定の部品供給フィーダ40から部品4が取り上げられ、基板2の予め定められた位置に部品4が装着される。基板コンベア38は、x方向に沿って基板2の搬入、支持及び搬出を行う。タッチパネル46は、作業者に部品実装機30の各種の情報を提供する表示装置であるとともに、作業者からの指示や情報を受け付ける入力装置である。実装機制御装置48は、CPU及び記憶装置を備えるコンピュータを用いて構成されている。実装機制御装置48は、管理装置6と通信可能に接続されている。実装機制御装置48は、管理装置6から送信される生産プログラムに基づいて、部品実装機30の各部の動作を制御する。
【0018】
図2、6、7を参照して、部品供給フィーダ40を搬送するAGV10について説明する。AGV10は、保管庫50から使用前の複数の部品供給フィーダ40を引き取り、部品実装機30(即ちフィーダ設置台44)にその使用前の部品供給フィーダ40を受け渡す。あるいは、AGV10は、部品実装機30のフィーダ設置台44から使用済みの部品供給フィーダ40を引き取る。図6、7に示すように、AGV10は、車体11と、車輪17と、調整装置14と、フィーダ移動装置16と、駆動装置18と、AGV10の各部を制御する制御装置12とを備える。車体11は、車輪17を回転可能に支持する車体本体11aと、車体本体11a上に調整装置14を介して配置されたパレット保持部13を備えている。パレット保持部13は、車体11の幅方向に間隔を空けて配置された一対の載置面13aを有している。一対の載置面13a上には、デバイスパレット42とともに部品供給フィーダ40が載置可能に構成されている。すなわち、一対の載置面13aは、デバイスパレット42の下面42bの両端42cを支持する。また、各々の載置面13a上にはフィーダ移動装置16が設けられている。
【0019】
フィーダ移動装置16は、部品供給フィーダ40を載置面13aから、例えば部品実装機30のフィーダ設置台44の上面44aに移動させる装置であり、制御装置12によって駆動される。具体的には、移動装置は、一対の載置面13a及びフィーダ設置台44の上面44aに沿って部品供給フィーダ40をスライド移動させる。フィーダ移動装置16は、一対のシリンダ部16aを有する。一対のシリンダ部16aのそれぞれはピストン機構が設けられている。各シリンダ部16aの先端16bには、図示しないキャッチ機構が設けられている。キャッチ機構は、デバイスパレット42の端部42dを把持可能となっている。フィーダ移動装置16は、デバイスパレット42を把持した状態でピストン機構を作動させることによって、デバイスパレット42、即ち部品供給フィーダ40を車体11の前後方向に移動させることができる。デバイスパレット42が一対の載置面13a上の所定の位置、あるいはフィーダ設置台44の上面44a上の所定位置に移動した後は、フィーダ移動装置16によるデバイスパレット42の把持は解除され、デバイスパレット42はフィーダ移動装置16から解放される。これにより、AGV10は、部品供給フィーダ40を部品実装機30又は保管庫50に受け渡し、あるいは部品実装機30又は保管庫50から部品供給フィーダ40を引き取ることができる。本実施例では、フィーダ移動装置16は、部品供給フィーダ40(詳細には、デバイスパレット42)を載置面13a及びフィーダ設置台44の上面44aの間をスライド移動させる。このため、部品供給フィーダ40を小さな動力で移動させることができ、AGV10の構成を簡素化することができる。
【0020】
調整装置14は、車体本体11aとパレット保持部13の間に配置され、例えば部品実装機30のフィーダ設置台44の上面44aの高さ位置及び傾き位置に合わせて、パレット保持部13の載置面13aの高さ及び傾きを調整する装置であって、制御装置12によって駆動される。調整装置14は、図示しないアクチュエータを備えており、一対の載置面13aの上下方向の位置及び傾き(車体11の前後方向の傾き(図6のθ)及び左右方向の傾き)を調整することができる。調整装置14は、アクチュエータの駆動量を検出する検出部を備えており、検出部で検出された駆動量を目標駆動量に制御することで、一対の載置面13aを所望の高さ位置及び所望の傾き位置に調整することができる。従って、調整装置14のアクチュエータの駆動量を検出する検出部が、載置面13aの高さ及び傾きを計測する計測部として機能する。なお、調整装置14としては、載置面の高さ及び傾きを調整する公知の機構を用いることができる
【0021】
駆動装置18は、車輪17を駆動し、AGV10を走行させる装置であり、制御装置12によって駆動される。駆動装置18は、左右の車輪17を独立して駆動可能となっており、AGV10を前後に走行可能とするとともに、AGV10の進行方向を自在に調整可能としている。従って、AGV10は、指定された任意の位置に、任意の向きで停止させることができる。
【0022】
制御装置12は、フィーダ移動装置16と、調整装置14と、駆動装置18とを制御する。制御装置12は、CPU、ROM、RAMを備えたコンピュータによって構成される。制御装置12は、制御部12aと記憶部12bを備えており、予めインストールされたプログラムを実行することで様々な機能が付与される。一例であるが、制御装置12は、フィーダ移動装置16を駆動し、載置面13aから部品供給フィーダ40を移動させる処理と、調整装置14を駆動し、載置面13aの高さ及び傾き位置を調整する処理と、駆動装置18を駆動し、AGV10を任意の位置まで走行させる処理とを実行する制御部12aとして機能する。制御装置12は、例えば管理装置6から送信された指示を記憶し、また、工場内の地図を記憶する記憶部12bとして機能する。ここでいう地図には、部品実装機30毎に設定された停止位置P1-P4及び保管庫50に設定された停止位置P0や使用済みの部品供給フィーダ40を排出場54へ排出するための停止位置P5(排出位置P5ともいう)が含まれている(図1参照)。
【0023】
なお、AGV10は、インタフェース20を備えている。AGV10は、管理装置6と双方向に通信可能に(例えば無線によって)接続されており、インタフェース20を介して、管理装置6からの指示を受信することができる。
【0024】
図8を参照して、保管庫50について説明する。保管庫50は、部品実装機30で使用される前の複数の部品供給フィーダ40を保管する。図8に示すように保管庫50は、フィーダ設置台52を備える。フィーダ設置台52の上面52aには、複数の部品供給フィーダ40が取り付けられたデバイスパレット42が載置可能に構成されている。保管庫50は、管理装置6と通信可能に接続されている。一例ではあるが、保管庫50は、管理装置6からの指示に従って指定された部品供給フィーダ40が取り付けられたデバイスパレット42をフィーダ設置台52の上面52aに設置する。また、保管庫50は、保管庫50内の部品供給フィーダ40の在庫状況を管理装置6へ報告する。
【0025】
図2を参照して、管理装置6について説明する。管理装置6は、各々の部品実装機30と、各々のAGV10と、保管庫50とそれぞれ通信可能に接続されており、これらの装置全てを管理する。管理装置6は、CPU、ROM、RAMを備えたコンピュータによって構成されている。図2に示すように、管理装置6は、記憶部6aと指令部6bを備えており、予めインストールされたプログラムを実行することで様々な機能が付与される。一例ではあるが、管理装置6は、予め設定された基準面に対する各々の部品実装機30の基準位置データを記憶し、また、工場内の生産計画を記憶する記憶部6aとして機能する。基準位置データには、各部品実装機30のフィーダ設置台44の上面44aについての基準面に対する基準高さ位置及び基準傾き位置が含まれる。管理装置6は、記憶された生産計画に基づいて各部品実装機30、各AGV10、及び保管庫50を制御するための指示を各々に送信する指令部6bとして機能する。
【0026】
上記した生産システム100が配備される工場の床面は凸凹している場合がある。このため、部品実装機30のフィーダ設置台44の上面44aと、AGV10の載置面13aとの高さや傾きは必ずしも一致しない。そのため、載置面13aから部品供給フィーダ40を前後方向にスライド移動させただけでは部品供給フィーダ40を部品実装機30のフィーダ設置台44の上面44aに受け渡すことが難しいことがある。フィーダ設置台44の上面44aからAGV10の載置面13aへの部材の引き取り時にも同じことがいえる。
【0027】
本実施例では、AGV10は、例えば部品実装機30のフィーダ設置台44の上面44aの高さ位置及び傾き位置に合わせてAGV10の載置面13aの高さ及び傾きを調整する調整装置14を備えている。従って、AGV10は、工場の床面が凹凸していたとしても、調整装置14によって、フィーダ設置台44の上面44aに合わせてAGV10の載置面13aの高さ及び傾きを調整することができる。これにより、AGV10は、載置面13aから部品実装機30のフィーダ設置台44の上面44a及び/又はフィーダ設置台44の上面44aからAGV10の載置面13aに部材を確実に移動させることができる。部品実装機30のフィーダ設置台52の上面44aは、本明細書が開示する技術における載置台の第2載置面の一例である。載置台の第2載置面は、これに限定されず、例えば保管庫50のフィーダ設置台52の上面52aであってもよい。
【0028】
本実施例の生産システム100は、管理装置6が計測部6cを備えるとともに、計測装置60を備えている。計測部6c及び計測装置60を用いて、AGV10がデバイスパレット42の受け渡し及び引き渡しをする前に事前準備をする。図9を参照して、事前準備について説明する。計測装置60は、各受け渡し/引き取り位置におけるAGV10の載置面13aの高さ位置、傾き位置を計測するために用いられる装置である。管理装置6の計測部6cは、計測装置60で計測したデータを基に、予め設定された基準面に対する各AGV10の載置面13aの目標高さ位置及び目標傾き位置を算出する。図9に示すように、計測装置60は、車体11の幅方向に設置された一対の高さ計測用装置62と、デバイスパレット42の中央に設置された傾き計測用装置64とを備える。一例ではあるが、高さ計測用装置62は、レーザを発光するレーザ投光器62aと、そのレーザを受光するレーザ受光器62bとで構成することができる。傾き計測用装置64は、傾きを計測するセンサ64aとセンサ64aで測定したデータを送信する送信機64bと送信機64bからのデータを受信する受信機(不図示)とを有する。但し、計測装置60の具体的構成や計測する手段はこれに限定されず、他の手段を用いて基準面に対する載置面13aの計測をおこなってもよい。
【0029】
以下に、計測手順について説明する。ここでは、基準面(本実施例では、各停止位置P0~P5に位置決めしたAGV10の初期状態における載置面13a)に対するフィーダ設置台44の上面44a及びフィーダ設置台52の上面52aの高さ位置及び傾き位置を計測する手順を一例に説明する。特に限定されないが、本実施例では、この計測装置60を用いた一連の作業は作業者が行う。まず、AGV10を保管庫50の停止位置P0に位置決めする。このとき、AGV10の載置面13aは初期状態としておく。次に、AGV10の載置面13a上及び保管庫50のフィーダ設置台52の上面52aにそれぞれデバイスパレット42を設置する。デバイスパレット42を設置後、AGV10に設置されたデバイスパレット42の上面42aのそれぞれ所定の位置に傾き計測用装置64及びレーザ投光器62aを設置する。また、フィーダ設置台52の上面52aに設置されたデバイスパレット42の所定の位置に、傾き計測用装置64及びレーザ受光器62bを設置する。次いで、AGV10の調整装置14を初期状態から手動で駆動し、フィーダ設置台52に設置されたデバイスパレット42に対して、AGV10に設置されたデバイスパレット42の高さ位置及び傾きが一致するように調整する。具体的には、レーザ投光器62aの光をレーザ受光器62bで受光できるように位置を調整し、また、2つの傾き計測用装置64が同一の値となるように調整する。2つのデバイスパレット42の調整が終了すると、調整装置14の初期状態からの駆動量(すなわち、アクチュエータの駆動量)を管理装置6に送信する。管理装置6の計測部6cは、受信した調整装置14の駆動量から、停止位置P0における基準面に対するフィーダ設置台52の上面52aの高さ位置及び傾き位置を計算する。計算されたフィーダ設置台52の上面52aの高さ位置及び傾き位置は、記憶部6aに記憶される。上述した計測を各停止位置P1~P5について実行する。これによって、各停止位置P0~P5におけるフィーダ設置台44の上面44a及びフィーダ設置台52の上面52aの高さ位置及び傾き位置が計測され、記憶部6aに記憶される。なお、管理装置6は、各停止位置P0~P5におけるフィーダ設置台44の上面44a及びフィーダ設置台52の上面52aの高さ位置及び傾き位置をAGV10に送信しておいてもよい。
【0030】
本実施例の生産システム100では、AGV10が各停止位置P0~P5におけるフィーダ設置台44の上面44a及びフィーダ設置台52の上面52aの高さ位置及び傾き位置を記憶しており、記憶した高さ位置及び傾き位置に応じて調整装置14の駆動量を調整する。これによって、フィーダ設置台44の上面44a及びフィーダ設置台52の上面52aに応じて、AGV10の載置面13aの高さ及び傾きを調整することができる。このため、(走行面の状況が異なる)様々な使用環境において、部品供給フィーダ40の自動交換を好適に行うことができる。
【0031】
図10図12を参照して、AGV10が部品供給フィーダ40を受け渡す手順について説明する。管理装置6は、各部品実装機30の生産状況を管理しており、各々の部品実装機30において部品供給フィーダ40の交換が必要か否かを判断することができる。管理装置6は、特定の部品実装機30(例えば、図1の部品実装機#4)において、部品供給フィーダ40を交換する必要があることを判断すると、保管庫50に対して、使用前の部品供給フィーダ40が設置されたデバイスパレット42をフィーダ設置台52上に準備することを指示する。保管庫50では、フィーダ設置台52上に指示された部品供給フィーダ40をセットする。管理装置6は、選択した1台のAGV10に対して、部品実装機30(#4)に部品供給フィーダ40を受け渡す指示をする。なお、管理装置6は、記憶する工場内の地図と各々のAGV10の位置情報に基づいて、複数のAGV10のうち保管庫50の近傍で待機していたAGV10が動作するように指示をしてもよい。
【0032】
ステップS12では、AGV10は、管理装置6から、部品供給フィーダ40を特定の部品実装機30(例えば、図1の部品実装機#4)に受け渡す指示を受け取る。このとき、制御装置12は、管理装置6からの指示を記憶する。具体的には、AGV10は、管理装置6から、部品実装機30の識別番号(#4)と、部品実装機30の基準位置データ(調整装置14の駆動量)と、保管庫50の基準位置データ(調整装置14の駆動量)とを受信し、記憶する。
【0033】
ステップS14では、AGV10は、保管庫50の引き取り位置P0へ移動する。具体的には、AGV10が管理装置6からの指示を受け取ると、制御装置12が記憶する工場の地図に基づいて駆動装置18を駆動し、AGV10は保管庫50の引き取り位置P0に移動する。AGV10が引き取り位置P0に位置決めされると、次のステップS16へ移る。
【0034】
図11に示すように、ステップS16では、AGV10は、保管庫50の引き取り位置P0における基準位置データ(調整装置14の駆動量)に基づいて調整装置14の駆動量を制御し、AGV10の載置面13aの傾きと高さを調整する。載置面13aの調整が完了すると、次のステップS18へ移る。
【0035】
ステップS18では、AGV10は、保管庫50のフィーダ設置台52の上面52aから載置面13aに部品供給フィーダ40を引き取る。具体的には、制御装置12がフィーダ移動装置16を駆動し、フィーダ移動装置16の一対のシリンダ部16aをフィーダ設置台52上のデバイスパレット42に向かって移動させる。一対のシリンダ部16aの先端16bがデバイスパレット42に当接すると、フィーダ移動装置16は、デバイスパレット42の端部42dをキャッチ機構により把持し、デバイスパレット42を前後方向にスライド移動させて引き出す。デバイスパレット42がAGV10の載置面13aの所定の載置位置に位置決めされると、次のステップS20へ移る。ここで、デバイスパレット42が載置位置に位置決めされた後、載置面13aも初期状態の位置に戻る。
【0036】
ステップS20では、指示された部品実装機30(#4)の受け渡し位置P4に移動する。具体的には、AGV10は、制御装置12が記憶する工場の地図に基づいて、駆動装置18を駆動し、指示された部品実装機30(#4)の受け渡し位置P4へ移動する。AGV10が受け渡し位置P4に位置決めされると、次のステップS22へ移る。
【0037】
ステップS22では、指示された部品実装機30(#4)の受け渡し位置P4における基準位置データに基づいて調整装置14の駆動量を制御し、AGV10の載置面13aの傾きと高さを調整する。載置面13aの調整が完了すると、次のステップS24へ移る。
【0038】
図12に示すように、ステップS24では、AGV10は、載置面13aから部品実装機30のフィーダ設置台52の上面52aに部品供給フィーダ40を受け渡す。具体的には、制御装置12がフィーダ移動装置16を駆動し、フィーダ移動装置16の一対のシリンダ部16aはデバイスパレット42を把持したまま、デバイスパレット42をフィーダ設置台44に押し出す方向に向かって移動させる。デバイスパレット42が設置位置に位置決めされると、一対のシリンダ部16aの先端16bがデバイスパレット42の端部42dを把持した状態を解除する。制御装置12は、フィーダ移動装置16を駆動し、シリンダ部16aを載置面13a上の元の位置に移動させる。シリンダ部16aが載置面13a上に位置決めされると、載置面13aも初期状態の位置に戻る。
【0039】
以上のステップにより、AGV10の部品供給フィーダ40を受け渡す手順は完了する。なお、管理装置6は、特定の部品実装機30(例えば部品実装機#2)において部品供給フィーダ40の交換が必要であると判断し、特定の部品実装機30から使用済みの部品供給フィーダ40の引き取りが必要な場合には、AGV10に特定の部品実装機30から使用済の部品供給フィーダ40を引き取る指示をする。以下に、その引き取り手順について説明する。
【0040】
AGV10は、管理装置6からの部品供給フィーダ40を引き取る指示を受け取る。このとき、制御装置12は、管理装置6からの指示を記憶する。具体的には、AGV10は、管理装置6から、部品実装機30の識別番号(#2)と、その部品実装機30の基準位置データと、排出場54の停止位置P5における基準位置データとを受信し、記憶する。
【0041】
次いで、AGV10は、部品実装機30(#2)の引き取り位置P2へ移動する。AGV10が引き取り位置P2に位置決めされると、AGV10は、部品実装機30(#2)の引き取り位置P2における基準位置データに基づいて調整装置14を駆動し、AGV10の載置面13aの傾きと高さを調整する。制次いで、AGV10は、フィーダ移動装置16を駆動して、部品実装機30(#2)のフィーダ設置台44の上面44aから載置面13aに部品供給フィーダ40を引き取る。
【0042】
なお、以上で部品供給フィーダ40を引き取る手順は完了する。なお、AGV10は、使用済みの部品供給フィーダ40を引き取った後、排出場54の排出位置P5に移動して、使用済みの部品供給フィーダ40を排出場54へ排出する。排出場54における動作は、部品実装機30に部品供給フィーダ40を受け渡す動作と同様に行われる。
【0043】
図13図16を参照して、本実施例のAGV10を備えた生産システム100の他の実施形態について説明する。上記の実施例では、部品供給フィーダ40は、巻テープ上に複数の部品4を収容するテープ式フィーダを採用したが、部品供給フィーダ40の形状や形式は、特に限定されず、他にも様々に変更可能である。また、部品供給フィーダ40に合わせて、生産システム100の各部の構成を適宜変更することができる。例えば、図13に示すように、部品供給フィーダ140は、トレイ141上に複数の部品4が収容されたトレイ式フィーダであってもよい。この複数の部品供給フィーダ140は、トレイマガジン142内に収容される。複数の部品供給フィーダ140(詳細にはトレイマガジン142)は、一対の載置面13a上に着脱可能に設置される。従って、複数の部品供給フィーダ140では、先の実施例で用いたデバイスパレット42は必要としない。また、これに合わせて部品実装機30のフィーダ設置台144の位置や形状が異なっていてよい。以下に、変更となるフィーダ設置台144について説明する。生産システム100の変形例の他の構成については、実施例と同様のため、重複する説明は省略する。
【0044】
図14に示すように、部品実装機30のフィーダ設置台144は、部品実装機30に隣接する位置に、部品実装機30とは別個に設けられていてよい。フィーダ設置台144の上面144aは、部品供給フィーダ140が載置可能に構成されている。この場合、AGV10から部品実装機30に部品供給フィーダ140を受け渡すときに、フィーダ設置台144の上面144aに部品供給フィーダ140が載置される。
【0045】
また、図14、15に示すように、フィーダ移動装置16は、各シリンダ部16aの先端16bにおいてトレイマガジン142の枠部142aをキャッチ機構により把持するようにも構成されていてよい。フィーダ移動装置16は、枠部142aを把持した後、ピストン機構によって、部品供給フィーダ140(詳細には、トレイマガジン142)を移動させてもよい。これにより、このような部品供給フィーダ140であっても、AGV10は、載置面13aから部品実装機30のフィーダ設置台144の上面144a及び/又はフィーダ設置台144の上面144aからAGV10の載置面13aに部品供給フィーダ140を確実に移動させることができる。
【0046】
なお、部品供給フィーダ140では、事前準備についても、実施例とは一部異なる。図16に示すように、計測装置60は、二つの計測用パレット143を備えてもよい。デバイスパレット42を用いないため、基準面に対するフィーダ設置台52、144の上面52a、144aの高さ位置及び傾き位置を計測する際には、二つの計測用パレット143を用いて実施してもよい。例えば、保管庫50のフィーダ設置台52の上面52aにおける高さ位置及び傾き位置の計測を行うときには、各計測用パレット143は、AGV10の載置面13a上と、保管庫50のフィーダ設置台52の上面52a上とにそれぞれ設置されてよい。また、各計測用パレット143の上面143aには、計測装置60を各所定の位置に設置し、作業者は実施例と同様の手順で計測を行うことができる。
【0047】
本実施例の生産システム100が備える保管庫50の数は特に限定されない。生産システム100は複数の保管庫50を備えていてもよい。この場合に、複数の保管庫50には、部品供給フィーダ40を一時的に保管することで、実装ラインにおけるバッファ機能を有する保管庫が含まれてもよい。
【0048】
本実施例の生産システム100では、AGV10が調整装置14とフィーダ移動装置16と制御装置12とを備えていたが、AGV10の外部(例えば、部品実装機30側)にこれらの装置が設けられていてもよい。これにより、AGV10は、例えば工場の床面が平坦でなくても、載置面13aから例えば部品実装機30のフィーダ設置台44の上面44a、及び/又は部品実装機30のフィーダ設置台44の上面44aから載置面13aに部品供給フィーダ40を確実に移動させることができる。
【0049】
以上、本明細書が開示する技術の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書、又は、図面に説明した技術要素は、単独で、あるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。本明細書又は図面に例示した技術は、複数の目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0050】
2:基板
4:部品
6:管理装置
6a:記憶部
6b:指令部
6c:計測部
10:部品実装機
11:車体
12:制御装置
12a:制御部
12b:記憶部
13:パレット保持部
13a:載置面
14:調整装置
16:フィーダ移動装置
17:車輪
18:駆動装置
20:インタフェース
30:部品実装機
40、140:部品供給フィーダ
42:デバイスパレット
42a:上面
44、144:フィーダ設置台
44a、144a:上面
48:実装機制御装置
50:保管庫
52:フィーダ設置台
52a:上面
60:計測装置
62:高さ計測用装置
64:傾き計測用装置
64a:センサ
64b:送信機
100:生産システム
141:トレイ
142:トレイマガジン
142a:枠部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16