(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-15
(45)【発行日】2022-07-26
(54)【発明の名称】切削ローラ支承部、切削ローラ支承部を備えた切削ローラホルダ、切削ローラホルダを備えた切削ホイール、及び切削ホイールを備えたトンネル掘進機
(51)【国際特許分類】
E21D 9/10 20060101AFI20220719BHJP
E21D 9/087 20060101ALI20220719BHJP
【FI】
E21D9/10 K
E21D9/10 G
E21D9/087 A
(21)【出願番号】P 2021549552
(86)(22)【出願日】2020-03-12
(86)【国際出願番号】 EP2020056703
(87)【国際公開番号】W WO2020193164
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2021-11-01
(31)【優先権主張番号】102019108002.9
(32)【優先日】2019-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516300597
【氏名又は名称】ヘーレンクネヒト アクツィエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】HERRENKNECHT AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】ヒメルズバッハ、クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】クソー、フレデリック
(72)【発明者】
【氏名】ブラント、イェンス
【審査官】荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-124467(JP,A)
【文献】特開2016-130407(JP,A)
【文献】独国特許発明第102011114830(DE,B3)
【文献】米国特許出願公開第2009/0297273(US,A1)
【文献】中国実用新案第203772472(CN,U)
【文献】特表2017-511436(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D 9/10
E21D 9/087
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷重測定ユニットと、前記荷重測定ユニットを受容するために構成されている受容空間構成部とを備えた、トンネル掘進機の切削ホイール(103)用の切削ローラホルダのための切削ローラ支承部であって、
前記荷重測定ユニットは、少なくとも1つの荷重センサ(612、615)としてひずみゲージ装置を有し、前記ひずみゲージ装置は、前記切削ローラ支承部(306)
の内部に構成された前記受容空間構成部の少なくとも1つのセンサ受容空間(603、606)の底部に配設されていること、
前記荷重測定ユニットには、信号処理電子装置(624)が具備されており、前記信号処理電子装置(624)は、前記受容空間構成部の電子装置受容空間(621)内に配設されていること、
前記受容空間構成部は、1つの又は各々の前記センサ受容空間(603、606)を前記電子装置受容空間(621)と接続するための連絡路(618)を有すること、
1つの又は各々の前記センサ受容空間(603、606)と、前記連絡路(618)と、前記電子装置受容空間(621)とは、外側でハーメチックに密封されていること、及び、
前記電子装置受容空間(621)は、通過ラインを有する密封体(636)を用い、内側でハーメチックに外側雰囲気に対して密封されていること、
を特徴とする切削ローラ支承部。
【請求項2】
前記荷重測定ユニットは、2つの荷重センサ(612、615)を有し、これらの荷重センサ(612、615)は、それぞれ、前記受容空間構成部のセンサ受容空間(603、606)内に配設されており、前記センサ受容空間(603、606)は、前記受容空間構成部のセンサ受容空間接続路(609)を介して互いに接続されていること、
を特徴とする、請求項1に記載の切削ローラ支承部。
【請求項3】
前記切削ローラ支承部は、C字形部材(306)として構成されており、前記C字形部材(306)は、測定頬部(409)と、前記測定頬部(409)に向き合って位置し且つベース部分(415)を介して前記測定頬部(409)と接続された対向頬部(412)とを有するようにC字状に構成されていること、
を特徴とする、請求項2に記載の切削ローラ支承部。
【請求項4】
前記荷重センサ(612、615)は、前記測定頬部(409)の中央面の両側に配設されていること、
を特徴とする、請求項3に記載の切削ローラ支承部。
【請求項5】
前記密封体(636)は、前記電子装置受容空間(621)と、前記受容空間構成部のアウトカップル空間(633)との間に配設されており、前記密封体(636)は、外側では金属壁部を有するように且つ内側では通過ラインを取り囲むガラス体を有するように構成されていること、
を特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の切削ローラ支承部。
【請求項6】
前記アウトカップル空間(633)は、ケーブル通過閉鎖部(524)を介して外側雰囲気と接続状態にあること、
を特徴とする、請求項5に記載の切削ローラ支承部。
【請求項7】
前記アウトカップル空間(633)は、誘導型結合ユニット(803)が組み込まれたアウトカップル閉鎖部(518)を用い、外側で外側雰囲気からハーメチックに密封されていること、
を特徴とする、請求項
5に記載の切削ローラ支承部。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の切削ローラ支承部(306)を少なくとも1つ具備した、トンネル掘進機の切削ホイール(103)のための切削ローラホルダ。
【請求項9】
更なる誘導型結合ユニット(812)が、切削ローラ支承部(306)が取り付けられた切削ローラハウジング(203)の対向支承台部(903)内に配設されていること、
を特徴とする、請求項7に記載の切削ローラ支承部(306)を具備した、請求項8に記載の切削ローラホルダ。
【請求項10】
請求項8又は9に記載の切削ローラホルダを少なくとも1つ具備した、トンネル掘進機のための切削ホイール。
【請求項11】
請求項10に記載の切削ホイール(103)を具備したトンネル掘進機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に記載した切削ローラ支承部に関する。
【0002】
更に本発明は、そのような切削ローラ支承部を備えた切削ローラホルダ(切削ローラ保持機構)に関する。
【0003】
更に本発明は、そのような切削ローラホルダを備えた切削ホイールに関する。
【0004】
更に本発明は、そのような切削ホイールを備えたトンネル掘進機に関する。
【背景技術】
【0005】
そのような切削ローラ支承部は、下記特許文献1(DE 10 2014 105 014 A1)から公知であり、下記特許文献1は、それに関連する切削ローラホルダと、それに関連する切削ホイールと、それに関連するトンネル掘進機も開示している。トンネル掘進機の切削ホイール用の切削ローラホルダのためのこの公知の切削ローラ支承部は、多数の荷重測定ユニットと、これらの荷重測定ユニットが配設された受容空間構成部とを具備している。この切削ローラ支承部において、それらの荷重測定ユニットは、少なくとも1つの荷重感知要素が取り付けられたスリーブとして構成されており、この際、これらのスリーブは、受容空間構成部において少なくとも半径方向で形状結合式のスリーブ受容穴部内に配設されている。スリーブに取り付けられた荷重感知要素は、切削ローラ支承部から引き出されたセンサラインを介して外部の評価ユニットに接続されており、この評価ユニットを用い、荷重感知要素から出された信号は、特に切削ローラ支承部に作用する負荷荷重を決定するために更に処理可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】独国特許出願公開第102014105014号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の基礎を成す課題は、切削ローラ支承部に作用する負荷荷重を比較的正確に且つ長期安定的に決定することのできる、冒頭に記載した形式の切削ローラ支承部と、それに関連する切削ローラホルダと、それに関連する切削ホイールと、それに関連するトンネル掘進機を提示することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題は、冒頭に記載した形式の切削ローラ支承部において、本発明に従い、請求項1の特徴を有する切削ローラ支承部により解決される。
即ち本発明の第1の視点により、
荷重測定ユニットと、前記荷重測定ユニットを受容するために構成されている受容空間構成部とを備えた、トンネル掘進機の切削ホイール用の切削ローラホルダのための切削ローラ支承部であって、
前記荷重測定ユニットは、少なくとも1つの荷重センサとしてひずみゲージ装置を有し、前記ひずみゲージ装置は、前記切削ローラ支承部内に構成された前記受容空間構成部の少なくとも1つのセンサ受容空間の底部に配設されていること、
前記荷重測定ユニットには、信号処理電子装置が具備されており、前記信号処理電子装置は、前記受容空間構成部の電子装置受容空間内に配設されていること、
前記受容空間構成部は、1つの又は各々の前記センサ受容空間を前記電子装置受容空間と接続するための連絡路を有すること、
1つの又は各々の前記センサ受容空間と、前記連絡路と、前記電子装置受容空間とは、外側でハーメチックに密封されていること、及び、
前記電子装置受容空間は、通過ラインを有する密封体を用い、内側でハーメチックに外側雰囲気に対して密封されていること、
を特徴とする切削ローラ支承部が提供される。
より詳しくは、前記第1の視点において、
荷重測定ユニットと、前記荷重測定ユニットを受容するために構成されている受容空間構成部とを備えた、トンネル掘進機の切削ホイール用の切削ローラホルダのための切削ローラ支承部であって、
前記荷重測定ユニットは、少なくとも1つの荷重センサとしてひずみゲージ装置を有し、前記ひずみゲージ装置は、前記切削ローラ支承部の内部に構成された前記受容空間構成部の少なくとも1つのセンサ受容空間の底部に配設されていること、
前記荷重測定ユニットには、信号処理電子装置が具備されており、前記信号処理電子装置は、前記受容空間構成部の電子装置受容空間内に配設されていること、
前記受容空間構成部は、1つの又は各々の前記センサ受容空間を前記電子装置受容空間と接続するための連絡路を有すること、
1つの又は各々の前記センサ受容空間と、前記連絡路と、前記電子装置受容空間とは、外側でハーメチックに密封されていること、及び、
前記電子装置受容空間は、通過ラインを有する密封体を用い、内側でハーメチックに外側雰囲気に対して密封されていること、
を特徴とする。
【0009】
前記課題は、請求項8に記載した切削ローラホルダにおいて、本発明による切削ローラ支承部を少なくとも1つ具備することにより解決される。
即ち本発明の第2の視点により、
上記本発明の第1の視点に記載の切削ローラ支承部を少なくとも1つ具備した、トンネル掘進機の切削ホイールのための切削ローラホルダが提供される。
【0010】
前記課題は、請求項10に記載した切削ホイールにおいて、本発明による切削ローラホルダを少なくとも1つ具備することにより解決される。
即ち本発明の第3の視点により、
上記本発明の第2の視点に記載の切削ローラホルダを少なくとも1つ具備した、トンネル掘進機のための切削ホイールが提供される。
【0011】
前記課題は、請求項11に記載したトンネル掘進機において、本発明による切削ホイールを具備することにより解決される。
即ち本発明の第4の視点により、
上記本発明の第3の視点に記載の切削ホイールを具備したトンネル掘進機が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明において、以下の形態が可能である。
(形態1)
荷重測定ユニットと、前記荷重測定ユニットを受容するために構成されている受容空間構成部とを備えた、トンネル掘進機の切削ホイール用の切削ローラホルダのための切削ローラ支承部であって、
前記荷重測定ユニットは、少なくとも1つの荷重センサとしてひずみゲージ装置を有し、前記ひずみゲージ装置は、前記切削ローラ支承部内に構成された前記受容空間構成部の少なくとも1つのセンサ受容空間の底部に配設されていること、
前記荷重測定ユニットには、信号処理電子装置が具備されており、前記信号処理電子装置は、前記受容空間構成部の電子装置受容空間内に配設されていること、
前記受容空間構成部は、1つの又は各々の前記センサ受容空間を前記電子装置受容空間と接続するための連絡路を有すること、
1つの又は各々の前記センサ受容空間と、前記連絡路と、前記電子装置受容空間とは、外側でハーメチックに密封されていること、及び、
前記電子装置受容空間は、通過ラインを有する密封体を用い、内側でハーメチックに外側雰囲気に対して密封されていること。
(形態2)
前記荷重測定ユニットは、2つの荷重センサを有し、これらの荷重センサは、それぞれ、前記受容空間構成部のセンサ受容空間内に配設されており、前記センサ受容空間は、前記受容空間構成部のセンサ受容空間接続路を介して互いに接続されていること、が好ましい。
(形態3)
前記切削ローラ支承部は、C字形部材として構成されており、前記C字形部材は、測定頬部と、前記測定頬部に向き合って位置し且つベース部分を介して前記測定頬部と接続された対向頬部とを有するようにC字状に構成されていること、が好ましい。
(形態4)
前記荷重センサは、前記測定頬部の中央面の両側に配設されていること、が好ましい。
(形態5)
前記密封体は、前記電子装置受容空間と、前記受容空間構成部のアウトカップル空間との間に配設されており、前記密封体は、外側では金属壁部を有するように且つ内側では通過ラインを取り囲むガラス体を有するように構成されていること、が好ましい。
(形態6)
前記アウトカップル空間は、ケーブル通過閉鎖部を介して外側雰囲気と接続状態にあること、が好ましい。
(形態7)
前記アウトカップル空間は、誘導型結合ユニットが組み込まれたアウトカップル閉鎖部を用い、外側で外側雰囲気からハーメチックに密封されていること、が好ましい。
(形態8)
形態1~7のいずれか1つに記載の切削ローラ支承部を少なくとも1つ具備した、トンネル掘進機の切削ホイールのための切削ローラホルダ。
(形態9)
形態7に記載の切削ローラ支承部を具備した、形態8に記載の切削ローラホルダにおいて、更なる誘導型結合ユニットが、切削ローラ支承部が取り付けられた切削ローラハウジングの対向支承台部内に配設されていること、が好ましい。
(形態10)
形態8又は9に記載の切削ローラホルダを少なくとも1つ具備した、トンネル掘進機のための切削ホイール。
(形態11)
形態10に記載の切削ホイールを具備したトンネル掘進機。
尚、本願の特許請求の範囲に付記された図面参照符号は、専ら本発明の理解の容易化のためのものであり、図示の形態への限定を意図するものではないことを付言する。
【0013】
本発明による切削ローラ支承部において、1つの又は各々の荷重測定ユニットが荷重センサとしてひずみゲージ装置(伸び測定帯状装置)を有し、該ひずみゲージ装置は、受容空間構成部の特定的に配向されたセンサ受容空間の底部に配設されていること、及び信号処理電子装置が、ハーメチック(封止状態)にカプセル化されて、1つの又は各々のセンサ受容空間と接続された受容空間構成部の領域内に配設されていることにより、1つの又は各々の荷重測定ユニットと、信号処理電子装置とは、外側雰囲気に対し、特に気密、蒸気密、水密の意味において、ハーメチックに閉じられており、並びに直接的に互いに接続可能である。それにより切削ローラ支承部に作用する負荷荷重の測定において十分な感度で高い再現性と高い耐久性が得られ、このことは、本発明に基づく切削ローラ支承部を有する切削ローラホルダにより保持された切削ローラに作用する負荷荷重について、信頼性のある測定を可能にする。
【0014】
本発明の目的に適う更なる構成は、従属請求項の対象である。
【0015】
本発明の目的に適う更なる構成と利点は、図面の各図に関する実施例の以下の説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】所定数の切削ローラ装置を具備した、トンネル掘進機の切削ホイールの例示の一実施形態を正面図として示す図である。
【
図2】
図1の切削ホイールで縁部側に取り付けられた切削ローラ装置の例示の一実施形態を斜視図として示す図である。
【
図3】切削ローラを保持し且つ外側の切削ローラハウジングを有する切削ローラホルダを備えた切削ローラ装置の例示の一実施形態を斜視図として示す図である。
【
図4】切削ローラハウジングを伴わない状態で、
図3の切削ローラホルダとともに切削ローラを斜視図として示す図である。
【
図5】特に
図2から
図4の切削ローラホルダで目的に適って使用されるような、接続ケーブルを具備した本発明による切削ローラ支承部の一実施例を斜視図として示す図である。
【
図6】段付き第1切断面において、
図5の切削ローラ支承部の実施例を断面図として示す図である。
【
図7】他の切断面において、
図5の切削ローラ支承部の実施例を断面図として示す図である。
【
図8】誘導型アウトカップル機構が具備された切削ローラ支承部の他の一実施例を
図6に対応する断面図として示す図である。
【
図9】誘導型アウトカップル機構が具備された切削ローラ支承部を有する切削ローラホルダの一実施例を断面図として示す図である。
【実施例】
【0017】
図1は、
図1では非図示のトンネル掘進機における切削ホイール103の一実施例を正面図として示しており、切削ホイール103は、十字状の配設構成として及び周部に沿って縁部側で所定数の切削ローラ装置106を有する。切削ローラ装置106は、トンネル掘進機の掘進方向で切削ホイール103に接して切羽(掘削面)で露出する物質を掘削するために用いられる。
【0018】
図2は、切削ホイール103において、
図1の図面では上部右側の四分円内で縁部側に配設された切削ローラ装置106の例示の一実施形態を斜視図として示している。切削ローラ装置106は、切削ホイール103の切削ローラボックス206内に取り付けられている切削ローラハウジング203を備えた切削ローラホルダ(切削ローラ保持機構)を有する。切削ローラハウジング203は、切削ローラ209を取り囲み、切削ローラ209は、
図2の図面では観察者の方向を向いた掘進方向において、切削ローラハウジング203から突出し、また切削ローラボックス206から突出している。
【0019】
図3は、切削ローラ209を保持している
図2の切削ローラホルダの切削ローラハウジング203の例示の実施形態を斜視図として示している。切削ローラ209を切削ローラ軸の終端部分303を用いて保持するために、各終端部分303に対しては、それぞれ、金属から製造されたC字形部材306が切削ローラ支承部(切削ローラベアリングパート)として設けられ、C字形部材306の対向側には、楔状支承部材309が設けられており、これらの間に切削ローラ軸のそれぞれの終端部分303が配置されて相対回転不能に固定されている。C字形部材306と楔状支承部材309は、切削ローラハウジング203内で縁部側に形成された軸支承空間312内に配置されて固定されている。楔状支承部材309を位置固定するために、楔状支承部材309とは反対側で切削ローラハウジング203に支持されている対向支承部材315が設けられている。
【0020】
図4は、切削ローラハウジング203を伴わない状態で、
図3の切削ローラホルダとともに切削ローラ209を斜視図として示している。
図4から、各楔状支承部材309と、該当の楔状支承部材309に割り当てられた各対向支承部材315とが、締付ボルト403を介して互いに連結されていることが見てとれ、この際、締付ボルト403は、軸方向において楔状支承部材309に固定的に取り付けられており、対向支承部材315において楔状支承部材309の反対側には、下方に位置する締付ナットを備えた締付ボルトキャップ406を有し、それにより該当の対向支承部材315を
図4では非図示の切削ローラハウジング203に当てた状態で締付ナットを締めることにより、楔状支承部材309は、C字形部材306と切削ローラ209とともに、遊びのない状態で切削ローラハウジング203内に位置固定されていることになる。また固定ねじ(固定ボルト)407が、C字形部材306の測定頬部(測定アーム部)409と接続されており、C字形部材306は、固定ねじ407を介して切削ローラハウジング203に位置固定される。
【0021】
更に
図4の図面から、各C字形部材306は、規定通りの取り付けにおいて掘進方向で背面側に位置する測定頬部409と、測定頬部409と比べてより短い対向頬部412とを有することが見てとれ、対向頬部412は、測定頬部409に対して掘進方向で前面側に位置している。各C字形部材306は、測定頬部409と対向頬部(対向アーム部)412の間にベース部分415を有し、それにより切削ローラ軸の終端部分303の対応の形状結合式(ありつぎ形合式)の構成により、切削ローラ軸は、相対回転不能にC字形部材306(の凹所)内に保持され、ベース部分415に向き合って位置する楔状支承部分309により、C字形部材306からの逸脱に対しても保護されている。
【0022】
図5は、特に
図2から
図4の切削ローラ装置で目的に適って使用され、既に
図3と
図4に関する説明で述べたC字形部材306の形態であり、接続ケーブル503が具備された本発明による切削ローラ支承部の一実施例を斜視図として示している。測定頬部409は、対向頬部412の方を向いた平坦な荷重受け面506を有し、荷重受け面506には、規定通りの配設構成において、切削ローラ209の切削ローラ軸の終端部分303が接し、トンネル掘進機の掘進時には、切削ローラ209に作用する力が、次のようにC字形部材306に導入され、即ち切削ローラ209に負荷荷重が作用することで測定頬部409も測定技術的に検出可能に弾性変形されるように、C字形部材306に導入される。
【0023】
測定頬部409内には、後続段落で詳しく説明するように、受容空間構成部(受容空間アレンジメント)が形成されており、この受容空間構成部は、同様に後続段落で詳しく説明される荷重測定ユニットのコンポーネントを受容する。受容空間構成部を閉鎖するために、測定頬部409の自由端部には端面側に連絡路閉鎖部509が設けられ、測定頬部409の両方の側面部には、
図5の図面では観察者の方を向いた第1センサ受容空間閉鎖部512と、
図5の図面では観察者から離れる方を向いて第1センサ受容空間閉鎖部512とは反対側の第2センサ受容空間閉鎖部515(矢印で示す)とが設けられ、
図5による図面では観察者の方を向いたアウトカップル空間閉鎖部518が設けられ、
図5の図面では観察者から離れる方を向いてアウトカップル空間閉鎖部518とは反対側の電子装置受容空間閉鎖部521(矢印で示す)が設けられ、そして対向頬部412から離れる方を向いた測定頬部409の背面部(
図5の右側面)にはケーブル通過閉鎖部524が設けられている。
【0024】
更に
図5の実施例において、対向頬部412から離れる方を向いた測定頬部409の背面部には、ブラインド空間(有底孔)527が設けられており、ブラインド空間527は、受容空間構成部とは別個であり、固定ねじ407をアンカ固定するために設けられている。
【0025】
図6は、
図5のC字形部材306の形態の切削ローラ支承部の実施例を、
図5の図面においてVI-VIで特徴付けられた段付き第1切断面として示しており、この際、段付き第1切断面の各部分面(2つの部分面)は、荷重受け面506と平行に配向されており、また段付き第1切断面は、測定頬部409の(壁厚の)ほぼ中央に位置している。
図6から、受容空間構成部は、第1センサ受容空間閉鎖部512により外側に向かって閉鎖されている第1センサ受容空間603と、第2センサ受容空間閉鎖部515により外側に向かって閉鎖されている第2センサ受容空間606とを有することが見てとれる。それぞれ外側から互いに向かって延在すべきであり且つ有底孔状に底部を有するように構成されたそれらのセンサ受容空間603、606の間には、それぞれそれらのセンサ受容空間603、606の底部に通じるセンサ受容空間接続路609が延在している。
【0026】
第1センサ受容空間603の底部には、第1荷重センサ612が取り付けられ、第2センサ受容空間606の底部には、第2荷重センサ615が取り付けられており、この際、これらの荷重センサ612、615は、荷重測定ユニットのコンポーネントとして、それぞれ、ひずみゲージ支持フィルム上に取り付けられた4つのひずみゲージグリッドを有するホイートストーンフルブリッジ回路の形式で構成されたひずみゲージ装置(伸び測定帯状装置)を用いて構成されている。この相互接続により、(C字形部材の)ベース部分415の方向に位置する主伸び方向に対する横方向(左右方向)において比較的大きく十分に伸び比例する電気信号が得られる。
【0027】
更に受容空間構成部は、連絡路(移行路)618を有し、連絡路618は、その主部分をもって第2センサ受容空間606と電子装置受容空間621の間に延在し、この際、その主部分とは反対側に位置する副部分は、第2センサ受容空間606から離れて測定頬部409の自由端部の端面部の方向に延在し、外側に向かって連絡路閉鎖部509により閉鎖されている。
【0028】
電子装置受容空間621内には、荷重測定ユニットの更なるコンポーネントとして、信号処理電子装置624が配設されており、信号処理電子装置624は、連絡路618の主部分内に延在するセンサ接続ケーブル630と、センサ受容空間接続路609内に延在するセンサ接続ケーブル627とを介し、第1荷重センサ612及び第2荷重センサ615と電気的に接続されている。信号処理電子装置624を用い、それらの荷重センサ612、615の出力信号は、デジタル式のデータストリームに変換可能である。
【0029】
更に受容空間構成部は、アウトカップル空間(取出空間)633を有するように構成されており、アウトカップル空間633は、外側に向かってアウトカップル空間閉鎖部518により閉鎖されている。アウトカップル空間633は、アウトカップル空間閉鎖部518とは反対側で電子装置受容空間621に隣接し、この際、電子装置受容空間621とアウトカップル空間633の間には、ハーメチックに、この際、特に気密、蒸気密、水密に、密封する密封体636が設けられている。
【0030】
密封体636は、通過ラインとして所定数の接続ピン639が通された内側に位置するガラス体を備えるとともに、電子装置受容空間621とアウトカップル空間633の間の移行領域内で受容空間構成部の壁部と溶接固定された外側の金属壁部から構成されている。それにより電子装置受容空間621と、連絡路618と、センサ受容空間接続路609を双方の間に備えたセンサ受容空間603、606とは、ハーメチックに、この際、特に気密、蒸気密、水密に、外部雰囲気から分離されており、それにより荷重センサ612、615並びに信号処理電子装置624の正確で且つ長期安定的な機能性が得られる。
【0031】
接続ピン639は、電子装置受容空間621の方を向いた側では、エナメル線642を介して信号処理電子装置624と接続されており、また接続ピン639は、アウトカップル空間633の方を向いた側では、同様にエナメル(被覆)線(複数)645を介し、
図6の切断面に対して直角に延在する受容空間構成部の接続路648内に位置する多線式の接続ケーブル503と接続されている。
【0032】
図7は、
図6においてVII-VIIで特徴付けられた更なる切断面において、
図5のC字形部材306の形態の切削ローラ支承部の実施例を断面図として示しており、当該切断面は、
図6の切断面に対して直角に位置し且つ測定頬部409の中央面(上下方向の中央面)に対してずらされてケーブル通過閉鎖部524の領域に位置している。
図7から、接続路648が、アウトカップル空間633とは反対側で、受容空間構成部の接続ケーブル受容空間703内に通じ、接続ケーブル受容空間703は、外側に向かい、接続ケーブル503を取り囲み且つ機械的に測定頬部409内にアンカ固定するケーブル通過閉鎖部524を用い、ある程度の範囲内で蒸気密に且つ水密に閉鎖されいることが見てとれる。
【0033】
ケーブル通過閉鎖部524は、例えば、外側に位置し且つ測定頬部409内に回転可能に備えられた中空ねじ706を有するそれ自体既知の閉鎖部であり、中空ねじ706は、軸方向内側に向かって拡開していくテーパスリーブ709を取り囲み、また半径方向内側に向かって嵌入する肩状部により軸方向外側でテーパスリーブ709に係合している。またテーパスリーブ709は、半径方向内側で、相補的に形成された円錐形シール712に接し、円錐形シール712は、軸方向端部側で案内スリーブ715に当接し、また案内スリーブ715は、接続ケーブル受容空間703の手前に設けられた環状段部(肩部)に当接することにより、接続ケーブル受容空間703内へのケーブル通過閉鎖部524の移動を阻止している。従って中空ねじ706をねじ込むことでテーパスリーブ709には、接続ケーブル受容空間703の方向で内側に向かって軸方向の運動がもたらされ、それによりテーパスリーブ709と円錐形シール712の間のくさび状の形状結合(はめ合い結合)に基づき、円錐形シール712は、密封式で接続ケーブル503に対して押し付けられる。
【0034】
更に
図7の図面から、C字形部材306が取り付けられた配設状態においてケーブル通過閉鎖部524の周りの領域をある程度の範囲内で保護的に密封するために、ケーブル通過閉鎖部524の周りには、所定の溝部内にOリング718が配設されていることを見ることができる。
【0035】
図8は、
図6に対応する断面図として、
図5のC字形部材306の形態の切削ローラ支承部の他の一実施例を示しており、このC字形部材306は、誘導型アウトカップル機構(誘導型取出機構)を具備しており、接続ケーブル503とケーブル通過閉鎖部524を除き、
図6と
図7に基づいて説明された切削ローラ支承部の実施例のように構成されている。従って
図6、
図7、
図8の図面では、互いに対応する要素には同じ参照符号が付けられており、それらについて以下では詳細に説明されないものとする。
図8の実施例において、アウトカップル空間閉鎖部518内には、エナメル線(複数)806を介して密封体636のアウトカップル空間側の接続ピン639と接続されている第1誘導型結合(カップリング)ユニット803が組み込まれている。信号処理電子装置624には、第1誘導型結合ユニット803を用いて電気エネルギーが供給可能である。更に第1誘導型結合ユニット803を用い、信号処理電子装置624からのデジタル式のデータストリームがC字形部材306から取り出し可能(アウトカップル可能)である。
【0036】
デジタル式のデータストリームを受け取るために、所定の受容体809内に組み込まれた第2誘導型結合(カップリング)ユニット812が設けられている。
【0037】
勿論、受容空間構成部の受容空間603、606、621、633、648、703と、連絡路618が、
図6から
図8に基づいて説明された実施例と異なり、本発明により鏡面反転的に配設されていることも可能であることが理解される。
【0038】
図9は、誘導型アウトカップル機構を具備した切削ローラ支承部としてC字形部材306を有する切削ローラホルダの一実施例を断面図として示しており、この際、
図6から
図8に基づいて既に説明された実施例と、
図9の実施例において、互いに対応する要素には同じ参照符号が付けられており、説明の繰り返しを避けるために、それらについて部分的には再度詳細に説明されないものとする。
【0039】
図9の実施例において、C字形部材306は、切削ローラハウジング203の対向支承台部903と接した状態で図示されており、C字形部材306は、固定ねじ(固定ボルト)407を用いて取り外し可能に対向支承台部903と結合されている。対向支承台部903内には、第1誘導型結合ユニット803に向き合って位置し且つ対向支承台部903を横切る受容穴部906内に第2誘導型結合ユニット812が配設されている。対向支承台部903においてC字形部材306とは反対側で、受容穴部906には、液圧式のねじ込み接続部材909が備えられており、ねじ込み接続部材909を通り、この実施例では第2誘導型結合ユニット812と接続された接続ケーブル503が引き出されている。この実施例は、切削ローラハウジング203とC字形部材306の機械的に簡単であり荷重に耐えることができ且つ電気的に信頼性のある結合により傑出している。
【符号の説明】
【0040】
103 切削ホイール
106 切削ローラ装置
203 切削ローラハウジング
206 切削ローラボックス
209 切削ローラ
303 切削ローラ軸の終端部分
306 C字形部材
309 楔状支承部材
312 軸支承空間
315 対向支承部材
403 締付ボルト
406 締付ボルトキャップ
407 固定ねじ
409 測定頬部(測定アーム部)
412 対向頬部(対向アーム部)
415 ベース部分
503 接続ケーブル
506 荷重受け面
509 連絡路閉鎖部
512 第1センサ受容空間閉鎖部
515 第2センサ受容空間閉鎖部
518 アウトカップル空間閉鎖部
521 電子装置受容空間閉鎖部
524 ケーブル通過閉鎖部
527 ブラインド空間(有底孔)
603 第1センサ受容空間
606 第2センサ受容空間
609 センサ受容空間接続路
612 第1荷重センサ
615 第2荷重センサ
618 連絡路
621 電子装置受容空間
624 信号処理電子装置
627 センサ接続ケーブル
630 センサ接続ケーブル
633 アウトカップル空間
636 密封体
639 接続ピン
642 エナメル線(被覆線)
645 エナメル線(被覆線)
648 接続路
703 接続ケーブル受容空間
706 中空ねじ
709 テーパスリーブ
712 円錐形シール
715 案内スリーブ
718 Oリング
806 エナメル線(被覆線)
803 第1誘導型結合ユニット
809 受容体
812 第2誘導型結合ユニット
903 対向支承台部
906 受容穴部
909 ねじ込み接続部材