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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-19
(45)【発行日】2022-07-27
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
   F21V 8/00 20060101AFI20220720BHJP
   F21V 15/01 20060101ALI20220720BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20220720BHJP
【FI】
F21V8/00 330
F21V15/01 530
F21V8/00 360
F21Y115:10
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019147135
(22)【出願日】2019-08-09
(65)【公開番号】P2021028868
(43)【公開日】2021-02-25
【審査請求日】2021-07-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】特許業務法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】早川 諒
(72)【発明者】
【氏名】小島 英司
(72)【発明者】
【氏名】松井 達也
(72)【発明者】
【氏名】福井 弘貴
【審査官】下原 浩嗣
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-157876(JP,A)
【文献】特開2013-012369(JP,A)
【文献】中国実用新案第203810205(CN,U)
【文献】特開2011-147105(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 8/00
F21V 15/01
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を発する発光素子と、
棒状に形成された導光体であって、前記発光素子から入射する前記光を内部に伝播させる導光領域と、前記導光領域に連続して形成され前記導光領域の内部を伝播する前記光を外部に取り出すレンズ領域と、前記導光領域において前記レンズ領域の方向に前記光を取り出すように前記レンズ領域と反対の領域に凹形状として前記棒状の方向に連続して形成されたスリット領域と、を有する導光体と、
前記導光領域から前記レンズ領域までの表面を空気層を介して覆うように前記導光体の表面に成形により形成された第1のカバーと、を有し、
前記導光体又は前記第1のカバーは、前記スリット領域又は前記第1のカバーの前記スリット領域に対応した領域が、前記導光体又は前記第1のカバーが前記棒状の方向と交差する方向へソリ変形するのを抑制するためのソリ抑制領域として設定されている、発光装置。
【請求項2】
前記第1のカバーは、外側において、前記第1のカバーを覆い前記空気層を密閉するように前記レンズ領域の側面に密着する第2のカバーを有している、請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記第1のカバーにおいて、前記スリット領域を覆う厚さが前記ソリ抑制領域として設定されて形成されている、請求項1又は2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記導光体において、前記スリット領域の深さが前記ソリ抑制領域として設定されて形成されている、請求項1から3のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項5】
前記第1のカバーは、前記スリット領域を覆う領域と異なる領域に他のソリ抑制領域を有する、請求項1から4のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項6】
前記第1のカバーは、発泡成形されている、請求項1から5のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項7】
前記第1のカバーは、前記導光体を構成する材料とは異なる材料で形成されている、請求項1から6のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項8】
前記発光素子は、前記導光体の前記棒状の端部に対向して配置されている、請求項1から7のいずれか1項に記載の発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、棒状の導光体を用いた、線状光源としての発光装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の発光装置は、車両の外部を照明するための車輌用灯具であり、例えば、車両前面のフロントグリルの縁部に沿って組み付けられる。
【0003】
また、特許文献1に記載の発光装置は、連結されたケースとレンズの内部に棒状の導光体が収容されており、ケースとレンズの間に防水材を設置することにより、雨水などの水の内部への侵入を防いでいる。ケースとレンズは、レンズに設けられた爪部をケースに設けられた被係合部に係合させることにより連結される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-4755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された発光装置においては、レンズの爪部、ケースの被係合部、防水材の設置領域を確保する必要があり、また、導光体と空気層の界面で光を全反射させるために、ケースと導光体の間に隙間を設ける必要がある。ケースと導光体の間に隙間を設けた状態で防水性を確保するために、レンズとケース、また、棒状の導光体とケースを溶着する方法が考えられるが、この方法を用いる場合には、成形時の熱により棒状の導光体又はケースにソリ変形が発生しやすいという問題がある。
【0006】
本発明の目的の1つは、棒状の導光体を用いた線状光源としての発光装置であって、棒状の形状精度に優れた発光装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、上記目的を達成するために、下記[1]~[8]の発光装置を提供する。
【0008】
[1]光を発する発光素子と、棒状に形成された導光体であって、前記発光素子から入射する前記光を内部に伝播させる導光領域と、前記導光領域に連続して形成され前記導光領域の内部を伝播する前記光を外部に取り出すレンズ領域と、前記導光領域において前記レンズ領域の方向に前記光を取り出すように前記レンズ領域と反対の領域に凹形状として前記棒状の方向に連続して形成されたスリット領域と、を有する導光体と、前記導光領域から前記レンズ領域までの表面を空気層を介して覆うように前記導光体の表面に成形により形成された第1のカバーと、を有し、前記導光体又は前記第1のカバーは、前記スリット領域又は前記第1のカバーの前記スリット領域に対応した領域が、前記導光体又は前記第1のカバーが前記棒状の方向と交差する方向へソリ変形するのを抑制するためのソリ抑制領域として設定されている、発光装置。
[2]前記第1のカバーは、外側において、前記第1のカバーを覆い前記空気層を密閉するように前記レンズ領域の側面に密着する第2のカバーを有している、上記[1]に記載の発光装置。
[3]前記第1のカバーにおいて、前記スリット領域を覆う厚さが前記ソリ抑制領域として設定されて形成されている、上記[1]又は[2]に記載の発光装置。
[4]前記導光体において、前記スリット領域の深さが前記ソリ抑制領域として設定されて形成されている、上記[1]から[3]のいずれか1項に記載の発光装置。
[5]前記第1のカバーは、前記スリット領域を覆う領域と異なる領域に他のソリ抑制領域を有する、上記[1]から[4]のいずれか1項に記載の発光装置。
[6]前記第1のカバーは、発泡成形されている、上記[1]から[5]のいずれか1項に記載の発光装置。
[7]前記第1のカバーは、前記導光体を構成する材料とは異なる材料で形成されている、上記[1]から[6]のいずれか1項に記載の発光装置。
[8]前記発光素子は、前記導光体の前記棒状の端部に対向して配置されている、上記[1]から[7]のいずれか1項に記載の発光装置。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、棒状の導光体を用いた線状光源としての発光装置であって、棒状の形状精度に優れた発光装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る発光装置の上面図である。
図2図2(a)は、図1の切断線A-Aにおいて切断された発光装置の縦断面図であり、図2(b)は、棒状の発光装置が中心軸に対してソリ変形した場合を示す縦断面図である。
図3図3は、図2(a)を部分的に拡大した発光装置の縦断面図である。
図4図4は、本発明の第1の実施の形態に係り、図1の切断線B-Bにおいて切断された発光装置の横断面図である。
図5図5は、本発明の第2の実施の形態に係り、図1の切断線B-Bにおいて切断された発光装置の横断面図である。
図6図6は、本発明の第3の実施の形態に係り、図1の切断線B-Bにおいて切断された発光装置の横断面図である。
図7図7は、本発明の第4の実施の形態に係り、図1の切断線B-Bにおいて切断された発光装置の横断面図である。
図8図8(a)は、発光装置1を車両に適用した場合の、発光装置1の取り付け対象の部材(意匠部材)の一例であって、車両のフロントグリル20の模式図である。図8(b)は、フロントグリル20に設置された発光装置1の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔第1の実施の形態〕
(本発明の実施の形態に係る発光装置の構成)
本発明の実施の形態に係る発光装置1は、線状の光を発することができる棒状、あるいは、長尺状の線状光源である。また、発光装置1は、それ自体の幅が小さいため、幅の小さい部材に取り付けることができるものである。
【0012】
本発明の実施の形態に係る発光装置1は、光14aを発する発光素子14と、棒状に形成された導光体10であって、発光素子14から入射する光14aを内部に伝播させる導光領域10aと、導光領域10aに連続して形成され導光領域10aの内部を伝播する光14aを外部に取り出すレンズ領域10bと、導光領域10aにおいてレンズ領域10bの方向に光14aを取り出すようにレンズ領域10bと反対の領域に凹形状として棒状の方向に連続して形成されたスリット領域10eと、を有する導光体10と、導光領域10aからレンズ領域10bまでの表面を覆うように導光体10の表面に成形により形成された第1のカバー11と、を有し、導光体10又は第1のカバー11は、スリット領域10e又は第1のカバー11のスリット領域10eに対応した領域が、導光体10又は第1のカバー11が棒状の方向と交差する方向へソリ変形するのを抑制するためのソリ抑制領域として設定されて構成されている。
【0013】
上記構成において、導光体10は図1図2(a)に示すように、棒状、あるいは、長尺状であり、発光素子14は導光体10の棒状の端部に対向して配置されている。図2(b)に示すように、導光体10又は第1のカバー11は、棒状の導光体10の中心軸CL方向と交差する方向、すなわち、中心軸CL方向と略直交する方向へソリ変形しやすい。
【0014】
第1の形態に係る発光装置1は、第1のカバー11のスリット領域10eに対応した領域において、スリット領域10eを覆う厚さを変化させてソリ変形を低減させるための、ソリ抑制領域11aとして設定されて形成されている。
【0015】
(導光体10)
導光体10は、導光領域10a及びレンズ領域10bを有する。導光領域10a及びレンズ領域10bは、導光体10の長さ方向の両端の間に連続する。図1図2(a)に示す、棒状の延びる方向に中心軸CLをとると、中心軸CLに直交する断面は、図4に示すように、導光領域10a及びレンズ領域10bで形成される形状が、中心軸CLの方向に所定の棒状の長さだけ連続する。すなわち、導光領域10a及びレンズ領域10bの形状も棒状であり、導光領域10a及びレンズ領域10bの長さ方向は導光体10の長さ方向と一致又はほぼ一致する。
【0016】
なお、導光体10の形状である棒状の「棒」は、一直線状の棒だけでなく、折れ線状の棒や曲線状の棒も含み、導光体10は、発光装置1の取り付け対象の部材の形状に応じた長尺状の形状をとることができる。
【0017】
発光素子14から出射し、光取込面10cから導光体10内に取り込まれた光14aは、光取込面10cと導光領域10aをつなぐ領域10jを通って導光領域10aへ入射し、導光領域10aの内部をその長さ方向に沿って伝播する。光取込面10cは、典型的には、図2(a)に示されるように、導光体10の長さ方向の一端に、導光領域10aとほぼ同じ高さ(図2(a)における上下方向の位置)に設けられる。
【0018】
導光領域10aの形状は、例えば、円筒形又は角筒形(例えば直方体)であるが、発光装置1の発光強度の経時的変化を抑えるため、図4に示されるように、断面が円形の円筒形であることが好ましい。なお、導光領域10aの断面は円形の一部において、後述する凹形状のスリット領域10eを有している。
【0019】
導光領域10aが円筒形である場合、導光領域10a内で反射した光は導光領域10aの中心軸を通るため、導光距離が一定となり、発光装置1の発光強度の経時的変化が小さくなる。一方で、導光領域10aが角筒形である場合、導光領域10a内で反射した光は必ずしも導光領域10aの中心を通らないため、導光距離が一定とならず、発光装置1の発光強度が経時的に増減しやすい。なお、導光領域10aが円筒形と角筒形のいずれであっても、発光装置1の発光強度分布の均一性(均斉度)については、後述のように、スリット領域10e上に形成されたステップ10gにより補正することができる。
【0020】
レンズ領域10bは、導光領域10aの内部を伝播する光を外部に取り出すための光取出面10dを導光領域10aの反対側に有する領域である。レンズ領域10bの形状は、典型的には、図1図2(a)、図4に示されるように、直方体である。
【0021】
また、導光領域10a内に効率的に導光させるために、レンズ領域10bの幅(図1における上下方向、図4における左右方向の長さ)は、導光領域10aの幅よりも小さいことが好ましい。
【0022】
導光領域10aには、図2(a)、図3図4に示されるように、レンズ領域10bの反対側にスリット領域10eが形成されている。スリット領域10eは、導光領域10aにおいてレンズ領域10bの方向に光14aを取り出すようにレンズ領域10bと反対の領域にステップ10gを有して、断面が凹形状で棒状の方向に溝形状として連続して形成されている。
【0023】
スリット領域10eの表面には、図3に示すように、導光領域10aの長さ方向に沿って連続的に複数のステップ10gが設けられている。ステップ10gは、例えば、図3に示すように、光取出面10dと反対側に位置するスリット領域10eの表面において、外側から内側に向けて、連続する凹凸形状として形成されている。凹凸形状は、例えば、山型形状、円筒形状、角錐形状等の種々の形状が可能である。
【0024】
ステップ10gは、導光領域10a内を伝播する光14aをレンズ領域10bの光取出面10dへ向けて反射、乱反射しやすくする。これにより、光14aをレンズ領域10bの光取出面10dへ導光しやすくすることができる。また、光取込面10cから離れるほどステップ10gに反射される光が多くなるように複数のステップ10gの形状を調整することにより、発光装置1の発光強度分布の均一性(均斉度)を向上させることができる。
【0025】
導光体10は、ポリカーボネート(PC)やポリメチルメタクリレート(PMMA)などの、発光素子14から発せられる光14aを透過させることができる透明な材料で形成されている。
【0026】
(第1のカバー11)
第1のカバー11は、空気層18を介して導光領域10aの表面を覆う。このため、導光領域10aの表面は空気層18に覆われている。第1のカバー11は、図4に示されるように、導光領域10aの表面の全体、及び、導光領域10aから連続するレンズ領域10bの一部を覆う。
【0027】
空気の屈折率は1.0であり、導光体10の屈折率(例えば、PCからなる場合はおよそ1.6、PMMAからなる場合はおよそ1.5)よりも小さく、導光体と空気層18の界面で光を全反射させることにより、導光領域10a内を伝播する光の減衰を抑えることができる。また、空気の屈折率は第1のカバー11の屈折率(例えば、PPからなる場合はおよそ1.5)よりも小さいため、導光体10の屈折率との差が大きく、第1のカバー11が導光体10に密着している場合よりも臨界角が小さくなり、全反射の条件を満たし易くなる。そのため、光取込面10cから離れた領域における発光強度の低下を抑えることができる。
【0028】
第1のカバー11は、図4に示されるように、導光領域10aにおいて、スリット領域10eに対応した領域が、ソリ抑制領域11aとして形成されている。
【0029】
第1のカバー11は、図4に示されるように、基本の肉厚として厚さtで導光領域10aの表面の全体、及び、導光領域10aから連続するレンズ領域10bの一部を覆う。また、ソリ抑制領域11aは、基本の厚さtと異なる厚さtに設定されている。なお、厚さtは、導光体10のスリット領域10eの形状、寸法等の条件に基づいて設定される。
【0030】
第1のカバー11は、導光体10への密着性の悪い材料を用いて、導光体10をベース部材とするインサート成型又は二色成型により形成することができる。この方法によれば、導光体10と第1のカバー11が密着しないため、導光体10と第1のカバー11の間に隙間、すなわち空気層18が自然に形成される。
【0031】
導光体10への密着性の悪い材料は、例えば、導光体10を構成する材料とは異なる材料である。例えば、導光体10がPCやPMMAからなる場合は、密着性の悪さや、コストの観点から、ポリプロピレン(PP)を第1のカバー11の材料として用いることが好ましい。
【0032】
導光体10と空気層18との界面で反射されなかった光を効率的に反射するため、第1のカバー11は、酸化チタン等の白色染料を含む白色の部材であることが好ましい。なお、発光装置1の非点灯時に白色が見えることを避けたい場合には、第1のカバー11は、カーボンブラック等の黒色染料を含む黒色の部材などであってもよい。
【0033】
第1のカバー11は、前述したように、導光体10をベース部材としてインサート成型又は二色成型により形成される。この成形時において、図4に示すように、導光体10のスリット領域10eは凹形状とされているので、これに対応する領域の第1のカバー11は肉厚となって、熱だまりとなる。これにより、第1のカバー11の成形によって、図2(b)に示すように、棒状の導光体10又は第1のカバー11は、中心軸CLに対してソリ変形しやすい。
【0034】
第1の実施の形態では、第1のカバー11のスリット領域10eに対応した領域が、スリット領域10eを覆う厚さを変化させてソリ変形を低減させるための、ソリ抑制領域11aとして設定されて形成されている。ソリ抑制領域11aの厚さtを、導光体10のスリット領域10eの形状、寸法等の条件に基づいて変化させて、棒状の導光体10又は第1のカバー11のソリ変形を低減させることができる。
【0035】
ソリ抑制領域11aの厚さtは、例えば、第1のカバー11の基本の厚さtよりも小さい値に設定することにより、熱だまりによる熱的影響を低減して、棒状の導光体10又は第1のカバー11のソリ変形を低減させることができる。
【0036】
(第2のカバー12)
第2のカバー12は、第1のカバー11の外側において、第1のカバー11を覆い空気層18を密閉するようにレンズ領域10bの側面に密着するように形成されている。第2のカバー12は、第1のカバー11に覆われた導光体10をベース部材とするインサート成型により形成することができる。
【0037】
これにより、第2のカバー12は、レンズ領域10bの側面と密着して接続され、空気層18を密閉することができる。また、空気層18内への水の侵入を防ぐことができる。水は空気よりも屈折率が高いため、水が空気層18に浸入すると全反射の条件を満たしにくくなるが、上記した密閉構造により、全反射の条件を維持することができる。
【0038】
(発光素子14)
発光素子14としては、典型的には、LEDが用いられる。LEDは、小型の発光素子であり、また、消費電力、発熱量が小さく、かつ長寿命であるため、発光素子14としての使用に適している。なお、発光素子14は、導光体10の長さ方向の両端に設置されてもよい。その場合、導光体10の長さ方向の両端に光取込面10cが設けられる。
【0039】
発光素子14は、基板13上に搭載される。基板13は、発光素子14の電極に接続される配線を有する配線基板である。
【0040】
基板13は、位置決めのための孔13aを有する。孔13aには、導光体10の一部である突起10iが挿入され、導光体10に対する基板13の位置、すなわち導光体10に対する発光素子14の位置が決まる。導光体10に対する発光素子14の位置決めは、発光素子14から発せられる光を効率的に導光体10内へ導くために重要である。
【0041】
なお、基板13の位置決め用の、突起10iを第1のカバー11(の一部である筐体15)の一部として設けてもよいが、上述のように、導光体10に対する発光素子14の位置が重要であるため、突起10iは導光体10の一部であることが好ましい。
【0042】
発光素子14を収容する筐体15は、第1のカバー11の一部であり、外部への光漏れを防ぐ。
【0043】
ヒートシンク16は、発光素子14から発生する熱を放出するための放熱用部材であり、筐体15に固定される。基板13は、直接又は他の層を介してヒートシンク16に固定される。
【0044】
また、筐体15内の空間は、筐体15とヒートシンク16の間に設置される環状のシール部材17によって密閉されることが好ましい。シール部材17は、例えば、Oリングやパッキンであり、シール部材17を筐体15とヒートシンク16で挟み込んで適度に圧縮することにより、シール機能を発揮する。
【0045】
上記説明した導光体10に、発光素子14、ヒートシンク16等を装着することで、発光装置1として完成する。
【0046】
〔第2の実施の形態〕
第2の実施の形態は、図5に示すように、導光体10のスリット領域10eにおいて、スリット領域の深さtがソリ抑制領域10fとして設定されて形成されている。ソリ抑制領域10fの深さtを、導光体10のスリット領域10eの形状、寸法等の条件に基づいて変化させて、棒状の導光体10のソリ変形を低減させることができる。
【0047】
ソリ抑制領域10fの深さtは、例えば、スリット領域10eの表面が平面であって、その平面にステップ10gが形成できる程度に、小さく設定することが好ましい。これにより、ソリ抑制領域10fに発生する熱だまりによる熱的影響を低減して、棒状の導光体10又は第1のカバー11のソリ変形を低減させることができる。
【0048】
〔第3の実施の形態〕
第3の実施の形態は、図6に示すように、第1のカバー11は、第1の実施の形態で示したスリット領域10eを覆う領域と異なる領域に他のソリ抑制領域11bを有するように形成されている。
【0049】
ソリ抑制領域11bは、図6に示すように、レンズ領域10bにおいて、導光領域10aを覆う第1のカバー11の基本の厚さtと異なる厚く覆う領域とされている。ソリ抑制領域11bは、例えば、導光領域10aを覆う第1のカバー11の基本の厚さtからレンズ領域10bにかけて漸次厚くなって一定厚さtとなるように設定されている。これにより、スリット領域10eの第1のカバー11に発生する熱だまりに対抗する熱だまりを発生させて、棒状の導光体10又は第1のカバー11のソリ変形を低減させることができる。
【0050】
〔第4の実施の形態〕
第4の実施の形態は、図7に示すように、第1のカバー11は、発泡成形されている。
【0051】
発泡成形とは、射出成形のプロセスにおいて、発泡性を持った溶融樹脂を金型内に射出充填することによって気泡構造を持った成形体を得る成形技術である。成形用樹脂に発泡性を付与する方法には大きく分けて2つの方法がある。1つは、発泡剤を含んだ樹脂を原料として用いる方法、他の1つは成形機の中で樹脂と発泡剤を混ぜる方法である。発泡剤を含んだ樹脂には物理発泡剤が含浸された樹脂である場合と、樹脂と発泡剤(化学発泡剤やマイクロカプセル)が混合された場合がある。本実施の形態において、第1のカバー11は、どちらの発泡成形でも適用可能である。
【0052】
第1のカバー11の発泡成形である射出成形のプロセスにおいて、発泡作用によるガスの体積膨張により、保圧後の第1のカバー11の収縮が低減する。これにより、第1のカバー11及び導光体10のソリ変形を低減させることができる。
【0053】
(発光装置1の使用例)
図8(a)は、発光装置1を車両に適用した場合の、発光装置1の取り付け対象の部材(意匠部材)の一例であって、車両のフロントグリル20の模式図である。図8(b)は、フロントグリル20に設置された発光装置1の断面図である。
【0054】
フロントグリル20は、枠21と、枠内に設置されるメッシュ22を有する。メッシュ22の開口部は、車両のエンジンやラジエーターに空気を取り込むための吸気口として機能する。
【0055】
図8(a)に示される例では、メッシュ22は鉛直方向に伸びる線状部分22aと、水平方向に伸びる線状部分22bにより構成され、線状部分22aに発光装置1が設置される。図8(a)には、発光装置1の設置位置の例が点線で模式的に示されている。
【0056】
発光装置1は、メッシュ22の線状部分22aの裏側に設置され、線状部分22aに設けられた線状の開口部分から発光装置1の光取出面10dが露出する。これにより、線状部分22aを線状に発光させることができる。
【0057】
発光装置1がフロントグリル20に設置される場合、発光装置1の幅が小さいため、線状部分22aからはみ出て美観を低下させることがない。また、メッシュ22の開口面積を狭めることがないため、フロントグリルの吸気機能を低下させることがない。
【0058】
発光装置1は、例えば、図8(b)に示されるように、メッシュ22の線状部分22aと線状部分22bの交差部分にネジ止めにより固定される。具体的には、メッシュ22の線状部分22aと線状部分22bの交差部分の裏側に設けられたネジ固定部24と、第2のカバー12の一部であるネジ止め用の突出部12aとが、ネジ25により固定される。
【0059】
発光装置1は、防水性に優れるため、車両100の外装部品など、水が付着する場所に設置することができる。車両の設置場所の例としては、フロントグリルの他に、例えば、メッキモール、ガーニッシュなどの意匠部材や、ガーニッシュとボディの間の隙間などが挙げられる。
【0060】
(実施の形態の効果)
上記実施の形態の発光装置1によれば、第1、第2、第3の実施の形態で示したように、第1のカバー11にソリ抑制領域11a、11b、あるいは、導光体10にソリ抑制領域10fを設けることにより、第1のカバー11の成形時に発生する熱だまりによる熱的影響を低減して、棒状の導光体10又は第1のカバー11のソリ変形を低減させることができる。
【0061】
また、第4の実施の形態で示したように、第1のカバー11の発泡成形である射出成形のプロセスにおいて、発泡作用によるガスの体積膨張により、保圧後の第1のカバー11の収縮を低減させることができる。これにより、第1のカバー11及び導光体10のソリ変形を低減させることができる。
【0062】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されず、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施が可能である。また、上記の実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【符号の説明】
【0063】
1…発光装置
10…導光体、10a…導光領域、10b…レンズ領域、10c…光取込面、10d…光取出面、10e…スリット領域、10f…ソリ抑制領域、10g…ステップ、10i…突起、10j…領域
11…第1のカバー、11a、11b…ソリ抑制領域
12…第2のカバー、12a…突出部
13…基板、13a…孔
14…発光素子、14a…光
15…筐体
16…ヒートシンク
17…シール部材
18…空気層
19…密閉部材
20…フロントグリル、21…枠
22…メッシュ、22a…線状部分、22b…線状部分
24…ネジ固定部、25…ネジ
100…車両
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8