(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-19
(45)【発行日】2022-07-27
(54)【発明の名称】画像形成装置、装置設定方法および装置設定プログラム
(51)【国際特許分類】
B41J 29/38 20060101AFI20220720BHJP
G06F 3/12 20060101ALI20220720BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20220720BHJP
【FI】
B41J29/38 301
G06F3/12 310
G06F3/12 334
G06F3/12 329
G06F3/12 330
H04N1/00 C
(21)【出願番号】P 2017203659
(22)【出願日】2017-10-20
【審査請求日】2020-09-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【氏名又は名称】中川 雅博
(72)【発明者】
【氏名】岩井 利通
(72)【発明者】
【氏名】久保田 博一
【審査官】加藤 昌伸
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-160860(JP,A)
【文献】特開2010-076190(JP,A)
【文献】特開2016-129945(JP,A)
【文献】特開2015-155205(JP,A)
【文献】特開2005-238484(JP,A)
【文献】特開2014-123317(JP,A)
【文献】特開平11-203078(JP,A)
【文献】国際公開第2011/087020(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/00 - 29/70
G06F 8/00 - 8/38
G06F 8/60 - 8/77
G06F 9/44 - 9/445
G06F 9/451
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定められた処理を実行するハードウェア資源の故障を検出する故障検出手段と、
前記ハードウェア資源の故障が検出される場合に、故障が検出された前記ハードウェア資源で実行される処理を定めた代替プログラムを外部から取得する取得手段と、
取得された前記代替プログラムを
自装置にインストールする代替手段と、を備えた画像形成装置。
【請求項2】
予め定められた処理を実行するハードウェア資源の故障を検出する故障検出手段と、
前記ハードウェア資源の故障が検出される場合に、故障が検出された前記ハードウェア資源で実行される処理を定めた代替プログラムをインストールする代替手段と、を備え、
前記ハードウェア資源で実行される処理は、処理対象となるデータを符号化する符号化処理、または、符号化されたデータを復号する復号処理である、画像形成装置。
【請求項3】
前記代替プログラムを、外部から取得する取得手段を、さらに備えた、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記取得手段は、通信可能なコンピューターから前記代替プログラムを取得する、請求項1または3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記取得手段は、前記代替プログラムが記憶された記録媒体から前記代替プログラムを読み出す、請求項1または3に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記取得手段は、前記代替プログラムが複数のバージョンからなる場合、前記複数のバージョンの代替プログラムのうち最新のバージョンの代替プログラムを取得する、請求項1、3~5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記ハードウェア資源で実行される処理は、画像データを処理対象とする画像処理である、請求項1~6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
予め定められた処理を実行するハードウェア資源の故障を検出する故障検出ステップと、
前記ハードウェア資源の故障が検出される場合に、故障が検出された前記ハードウェア資源で実行される処理を定めた代替プログラムを外部から取得する取得ステップと、
取得された前記代替プログラムを
自装置にインストールする代替ステップと、を画像形成装置に実行させる装置設定方法。
【請求項9】
予め定められた処理を実行するハードウェア資源の故障を検出する故障検出ステップと、
前記ハードウェア資源の故障が検出される場合に、故障が検出された前記ハードウェア資源で実行される処理を定めた代替プログラムをインストールする代替ステップと、を画像形成装置に実行させ
前記ハードウェア資源で実行される処理は、処理対象となるデータを符号化する符号化処理、または、符号化されたデータを復号する復号処理である、装置設定方法。
【請求項10】
予め定められた処理を実行するハードウェア資源の故障を検出する故障検出ステップと、
前記ハードウェア資源の故障が検出される場合に、故障が検出された前記ハードウェア資源で実行される処理を定めた代替プログラムを外部から取得する取得ステップと、
取得された前記代替プログラムを
自装置にインストールする代替ステップと、を画像形成装置を制御するコンピューターに実行させる装置設定プログラム。
【請求項11】
予め定められた処理を実行するハードウェア資源の故障を検出する故障検出ステップと、
前記ハードウェア資源の故障が検出される場合に、故障が検出された前記ハードウェア資源で実行される処理を定めた代替プログラムをインストールする代替ステップと、を画像形成装置を制御するコンピューターに実行させ、
前記ハードウェア資源で実行される処理は、処理対象となるデータを符号化する符号化処理、または、符号化されたデータを復号する復号処理である、装置設定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像形成装置、装置設定方法および装置設定プログラムに関し、特に、ハードウェア資源を用いて処理を実行する画像形成装置、その画像形成装置で実行される装置設定方法および装置設定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複合機(以下「MFP」という)で代表される画像形成装置は、画像を処理する機能を備えており、その画像処理を実行中にエラーが発生する場合がある。この場合におけるエラーは、MFPが備えるハードウェア資源で発生する不具合が原因の場合がある。ハードウェア資源で不具合が発生する場合には、その不具合の発生したハードウェア資源を、交換するなどして修理する必要がある。故障したハードウェア資源が交換されるまでの間に、故障していないハードウェア資源が存在するにも拘わらず、MFPを使用できなくなってしまう場合があるといった問題がある。
【0003】
特開2009-129463号公報には、車両制御装置におけるプログラムコードに基づいた動作フローが、シーケンス制御部により継続的に監視されている、車両制御装置のリアルタイムシステムにおける一時的エラーの処理方法であって、上記プログラムコードが、複数のランタイムオブジェクトに分割され、ランタイムオブジェクトにおいてエラーが確認された場合、上記シーケンス制御部により、該ランタイムオブジェクトが中断され、安全な状態を実現するための、上記ランタイムオブジェクトに割り当てられた処置を含む局所的なエラー処理が、上記動作フロー中の上記ランタイムオブジェクト内で実行され、上記エラー処理の終了後に、直近の後続のランタイムオブジェクトの実行が開始されることを特徴とする、車両制御装置のリアルタイムシステムにおける一時的エラーの処理方法が記載されている。しかしながら、特開2009-129463号公報に記載の処理方法では、プログラムコードのエラーに対応することができるが、ハードウェア資源が故障することにより発生するエラーに対応することができない。
【文献】特開2009-129463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明は上述した問題点を解決するためになされたもので、この発明の目的の一つは、ハードウェア資源が故障しても処理を実行可能な状態に設定することが可能な画像形成装置を提供することである。
【0005】
この発明の他の目的は、画像形成装置が有するハードウェア資源が故障しても処理を実行可能な状態に設定することが可能な装置設定方法を提供することである。
【0006】
この発明のさらに他の目的は、画像形成装置が有するハードウェア資源が故障しても処理を実行可能な状態に設定することが可能な装置設定プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は上述した問題点を解決するためになされたもので、この発明のある局面によれば、画像形成装置は、予め定められた処理を実行するハードウェア資源の故障を検出する故障検出手段と、ハードウェア資源の故障が検出される場合に、故障が検出されたハードウェア資源で実行される処理を定めた代替プログラムを外部から取得する取得手段と、取得された代替プログラムを自装置にインストールする代替手段と、を備える。
【0008】
この局面に従えば、故障が検出されたハードウェア資源で実行される処理を定めた代替プログラムがインストールされるので、故障が検出されたハードウェア資源で実行される処理を実行することができる。その結果、ハードウェア資源が故障しても処理を実行可能な状態に設定することが可能な画像形成装置を提供することができる。
この発明の他の局面によれば、画像形成装置は、予め定められた処理を実行するハードウェア資源の故障を検出する故障検出手段と、ハードウェア資源の故障が検出される場合に、故障が検出されたハードウェア資源で実行される処理を定めた代替プログラムをインストールする代替手段と、を備え、ハードウェア資源で実行される処理は、処理対象となるデータを符号化する符号化処理、または、符号化されたデータを復号する復号処理である。
この局面に従えば、データを符号化または復号する処理を実行するハードウェア資源の故障に対応することができる。
【0009】
好ましくは、代替プログラムを、外部から取得する取得手段を、さらに備える。
【0010】
この局面に従えば、代替プログラムが外部から取得されるので、ユーザーが使用中に発生する故障に対応することができる。
【0011】
好ましくは、取得手段は、通信可能なコンピューターから代替プログラムを取得する。
【0012】
この局面に従えば、通信可能なコンピューターから代替プログラムを取得するので、代替プログラムを容易に取得することができる。
【0013】
好ましくは、取得手段は、代替プログラムが記憶された記録媒体から代替プログラムを読み出す。
【0014】
この局面に従えば、記録媒体から代替プログラムを読み出すので、代替プログラムの取得が容易になる。
【0015】
好ましくは、取得手段は、代替プログラムが複数のバージョンからなる場合、複数のバージョンの代替プログラムのうち最新のバージョンの代替プログラムを取得する。
【0016】
この局面に従えば、最新のバージョンの代替プログラムを取得するので、ハードウェア資源で実行される処理を確実に実行することができる。
【0017】
ハードウェア資源で実行される処理は、画像データを処理対象とする画像処理である。
【0018】
この局面に従えば、画像処理を実行するハードウェア資源の故障に対応することができる。
【0021】
この発明の他の局面によれば、装置設定方法は、予め定められた処理を実行するハードウェア資源の故障を検出する故障検出ステップと、ハードウェア資源の故障が検出される場合に、故障が検出されたハードウェア資源で実行される処理を定めた代替プログラムを外部から取得する取得ステップと、取得された代替プログラムを自装置にインストールする代替ステップと、を画像形成装置に実行させる。
【0022】
この局面に従えば、画像形成装置が有するハードウェア資源が故障しても処理を実行可能な状態に設定することが可能な装置設定方法を提供することができる。
この発明のさらに他の局面によれば、装置設定方法は、予め定められた処理を実行するハードウェア資源の故障を検出する故障検出ステップと、ハードウェア資源の故障が検出される場合に、故障が検出されたハードウェア資源で実行される処理を定めた代替プログラムをインストールする代替ステップと、を画像形成装置に実行させ、ハードウェア資源で実行される処理は、処理対象となるデータを符号化する符号化処理、または、符号化されたデータを復号する復号処理である。
【0023】
この発明の他の局面によれば、装置設定プログラムは、予め定められた処理を実行するハードウェア資源の故障を検出する故障検出ステップと、ハードウェア資源の故障が検出される場合に、故障が検出されたハードウェア資源で実行される処理を定めた代替プログラムを外部から取得する取得ステップと、取得された代替プログラムを自装置にインストールする代替ステップと、を画像形成装置を制御するコンピューターに実行させる。
【0024】
この局面に従えば、画像形成装置が有するハードウェア資源が故障しても処理を実行可能な状態に設定することが可能な装置設定プログラムを提供することができる。
この発明のさらに他の局面によれば、装置設定プログラムは、予め定められた処理を実行するハードウェア資源の故障を検出する故障検出ステップと、ハードウェア資源の故障が検出される場合に、故障が検出されたハードウェア資源で実行される処理を定めた代替プログラムをインストールする代替ステップと、を画像形成装置を制御するコンピューターに実行させ、ハードウェア資源で実行される処理は、処理対象となるデータを符号化する符号化処理、または、符号化されたデータを復号する復号処理である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の実施の形態の1つにおけるMFPの外観を示す図である。
【
図2】MFPのハードウェア構成の概要の一例を示すブロック図である。
【
図3】本実施の形態におけるメイン基板の詳細な構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】本実施の形態におけるMFPが備えるCPUが有する機能の一例を示すブロック図である。
【
図5】装置設定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。以下の説明では同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。従ってそれらについての詳細な説明は繰り返さない。本実施の形態における画像形成装置の一例として、MFP(Multi Function Peripheral)100を例に説明する。
【0027】
図1は、本発明の実施の形態の1つにおけるMFPの外観を示す図である。
図2は、MFPのハードウェア構成の概要の一例を示すブロック図である。
図1および
図2を参照して、MFP(Multi Function Peripheral)100は、画像形成装置の一例であり、メイン基板111と、原稿を読み取るための原稿読取部130と、原稿を原稿読取部130に搬送するための自動原稿搬送装置120と、原稿読取部130が原稿を読み取って出力する画像データに基づいて用紙等に画像を形成するための画像形成部140と、画像形成部140に用紙を供給するための給紙部150と、通信インターフェース(I/F)部160と、ファクシミリ部170と、外部記憶装置180と、大容量記憶装置としてのハードディスクドライブ(HDD)113と、ユーザーインターフェースとしての操作パネル115とを含む。
【0028】
メイン基板111は、自動原稿搬送装置120、原稿読取部130、画像形成部140および給紙部150、通信I/F部160、ファクシミリ部170、外部記憶装置180、HDD113、および操作パネル115と接続され、MFP100の全体を制御する。
【0029】
自動原稿搬送装置120は、原稿トレイ上にセットされた複数枚の原稿を1枚ずつ自動的に原稿読取部130のプラテンガラス上に設定された所定の原稿読み取り位置まで搬送し、原稿読取部130により原稿に形成された画像が読み取られた原稿を原稿排紙トレイに排出する。原稿読取部130は、原稿読取位置に搬送されてきた原稿に光を照射する光源と、原稿で反射した光を受光する光電変換素子とを含み、原稿のサイズに応じた原稿画像を走査する。光電変換素子は、受光した光を電気信号である画像データに変換して、画像形成部140に出力する。
【0030】
給紙部150は、給紙トレイに収納された用紙を画像形成部140に搬送する。画像形成部140は、周知の電子写真方式により画像を形成するものであって、原稿読取部130から入力される画像データにシェーディング補正などの各種のデータ処理を施した、データ処理後の画像データまたは、外部から受信された画像データに基づいて、給紙部150により搬送される用紙に画像を形成し、画像を形成した用紙を排紙トレイに排出する。
【0031】
通信I/F部160は、ローカルエリアネットワーク(LAN)等のネットワークにMFP100を接続するためのインターフェースである。通信I/F部160は、TCP(Transmission Control Protocol)またはUDP(User Datagram Protocol)等の通信プロトコルで、ネットワークに接続された他のコンピューターと通信する。なお、通信のためのプロトコルは、特に限定されることはなく、任意のプロトコルを用いることができる。
【0032】
通信I/F部160は、ネットワークから受信されるデータをメイン基板111に出力し、メイン基板111から入力されるデータをネットワークに出力する。通信I/F部160は、ネットワークから受信されるデータのうちMFP100宛てのデータのみを、メイン基板111に出力し、ネットワークから受信されるデータのうちMFP100とは異なる装置宛てのデータを廃棄する。
【0033】
ファクシミリ部170は、公衆交換電話網(PSTN)に接続され、ファクシミリデータを送受信する。外部記憶装置180は、CD-ROM(Compact Disk ROM)181、または半導体メモリが装着される。外部記憶装置180は、CD-ROM181または半導体メモリに記憶されたデータを読み出す。外部記憶装置180は、CD-ROM181または半導体メモリにデータを記憶する。
【0034】
操作パネル115は、MFP100の上面に設けられ、表示部118と操作部119とを含む。表示部118は、液晶表示装置(LCD)、有機ELD(Electro-Luminescence Display)等の表示装置であり、ユーザーに対する指示メニューや取得した画像データに関する情報等を表示する。操作部119は、複数のハードキーと、タッチパネルと、を含む。タッチパネルは、表示部118の上面または下面に表示部に重畳して設けられたマルチタッチ対応のタッチパネルであり、表示部118の表示面中でユーザーにより指示された位置を検出する。
【0035】
図3は、本実施の形態におけるメイン基板の詳細な構成の一例を示すブロック図である。
図3を参照して、メイン基板111は、中央演算装置(CPU)171と、ROM(Read Only Memory)173と、RAM(Random Access Memory)175と、画像制御ASIC(Application Specific Integrated Circuit)177と、を含む。
【0036】
CPU171、ROM173、RAM175および画像制御ASIC177それぞれは、バス179に接続されており、データの転送が可能である。バス179には、原稿読取部130、画像形成部140、およびファクシミリ部170が接続される。なお、
図4には示していないが、バス179には、自動原稿搬送装置120、給紙部150、通信I/F部160、外部記憶装置180、HDD113および操作パネル115が接続される。
【0037】
CPU171は、MFP100の全体を制御する。具体的には、CPU171は、バス179を介して、画像制御ASIC177、原稿読取部130、画像形成部140、ファクシミリ部170、自動原稿搬送装置120、給紙部150、通信I/F部160、外部記憶装置180、HDD113および操作パネル115を制御する。ROM173は、CPU171が実行するプログラムを記憶する。RAM175は、揮発性の半導体メモリである。
【0038】
CPU171は、HDD113に記憶されたプログラムをRAM175にロードして実行する。CPU171が実行するプログラムは、ハードウェア資源を制御するための制御プログラム、およびアプリケーションプログラムを含む。ハードウェア資源は、RAM175、画像制御ASIC177、自動原稿搬送装置120、原稿読取部130、画像形成部140、給紙部150、通信I/F部160、ファクシミリ部170、外部記憶装置180、HDD113および操作パネル115を含む。アプリケーションプログラムは、例えば、ファクシミリ部170を制御してファクシミリデータを送信するファクシミリ送信プログラム、ファクシミリ部170を制御してファクシミリデータを受信するファクシミリ受信プログラム、通信I/F部160を制御してプリントジョブを受信し、画像形成部140および給紙部150を制御してプリントジョブに基づいて画像を形成するプリントプログラム、原稿読取部130を制御して原稿を読み取る原稿読取プログラムを含む。また、アプリケーションプログラムは、MFP100が備える消耗品を管理するメンテナンスプログラム、エラー状態を通知するエラー状態通知プログラムを、含んでもよい。なお、CPU171が実行するアプリケーションプログラムを、これらに限定するものではない。
【0039】
また、CPU171が実行するプログラムは、CD-ROM181に記録されたプログラムに限られず、HDD113に記憶されたプログラムをRAM175にロードして実行するようにしてもよい。この場合、ネットワークに接続された他のコンピューターが、HDD113に記憶されたプログラムを書き換える、または、新たなプログラムを追加して書き込むようにしてもよい。さらに、ネットワークに接続された他のコンピューターからプログラムをダウンロードして、そのプログラムをHDD113に記憶するようにしてもよい。ここでいうプログラムは、CPU171が直接実行可能なプログラムだけでなく、ソースプログラム、圧縮処理されたプログラム、暗号化されたプログラム等を含む。
【0040】
画像制御ASIC177は、原稿読取部130、画像形成部140およびファクシミリ部170と接続され、CPU171によって制御される。画像制御ASIC177は、複数のDMA(Direct Memory Access)チャンネルを有する。ここでは、画像制御ASIC177は、チャンネル番号がDMA-00~DMA07の8個のDMAチャンネルを有する。
【0041】
チャンネル番号がDMA-00のDMAチャンネルは、スキャン処理が割り当てられており、原稿読取部130と接続される。画像制御ASIC177は、原稿読取部130が原稿を読み取って出力する画像データが原稿読取部130から入力されると、画像データを画像処理し、RAM175に記憶する処理を実行する。
【0042】
チャンネル番号がDMA-01のDMAチャンネルは、プリント出力処理が割り当てられており、画像形成部140と接続される。画像制御ASIC177は、RAM175に記憶されたデータを読み出して、画像形成部140がプリントするためのラスターデータに変換し、ラスターデータを画像形成部140に出力する処理を実行する。
【0043】
チャンネル番号がDMA-02のDMAチャンネルは、FAX転送処理が割り当てられており、ファクシミリ部170と接続される。画像制御ASIC177は、ファクシミリ部170が受信したファクシミリデータが入力されると、ファクシミリデータを画像処理した後のデータをRAM175に記憶する処理を実行する。また、画像制御ASIC177は、RAM175に記憶されたデータを読み出して、ファクシミリデータに変換し、ファクシミリ部170に出力する処理を実行する。
【0044】
また、チャンネル番号がDMA-03のDMAチャンネルは、データの圧縮処理および伸長処理が割り当てられる。画像制御ASIC177は、RAM175に記憶されたデータを読み出して、圧縮または伸長し、処理後のデータをRAM175に記憶する処理を実行する。チャンネル番号がDMA-04のDMAチャンネルは、データの暗号化処理および復号処理が割り当てられる。画像制御ASIC177は、RAM175に記憶されたデータを読み出して、暗号化または復号し、処理後のデータをRAM175に記憶する処理を実行する。チャンネル番号がDMA-05のDMAチャンネルは、画像データを合成する処理が割り当てられる。画像制御ASIC177は、RAM175に記憶された画像データを読み出して合成し、合成した画像データをRAM175に記憶する処理を実行する。チャンネル番号がDMA-06のDMAチャンネルは、色変換処理が割り当てられる。画像制御ASIC177は、RAM175に記憶された画像データを読み出して色変換し、変換後の画像データをRAM175に記憶する処理を実行する。チャンネル番号がDMA-07のDMAチャンネルは、変倍処理が割り当てられる。画像制御ASIC177は、RAM175に記憶された画像データを読み出してサイズを変更し、処理後の画像データをRAM175に記憶する処理を実行する。
【0045】
図4は、本実施の形態におけるMFPが備えるCPUが有する機能の一例を示すブロック図である。
図4に示す機能は、MFP100が備えるCPU171が、ROM173、HDD113またはCD-ROM181に記憶された装置設定プログラムを実行することにより、CPU171により実現される機能である。
図3を参照して、CPU171は、処理データを受け付けるデータ受付部51と、データに対して画像処理を実行する画像処理部53と、画像処理部53による画像処理の不具合を検出する不具合検出部55と、不具合の原因となるハードウェア資源の故障個所を検出する故障検出部57と、取得部59と、代替部61と、を含む。
【0046】
データ受付部51は、MFP100が処理の対象とする処理データを受け付ける。データ受付部51は、処理データを受け付けることに応じて、その処理データを画像処理部53に出力する。データ受付部51は、原稿読取部130が原稿を読み取って出力する画像データを処理データとして受け付ける。データ受付部51は、通信I/F部160が、ネットワークに接続されたパーソナルコンピューター(以下PCという)からプリントジョブを受信する場合、プリントジョブに含まれるプリントデータを処理データとして受け付ける。データ受付部51は、通信I/F部160がインターネットに接続されたウェブ(Web)サーバーからWebデータを受信する場合、Webデータを処理データとして受け付ける。また、データ受付部51は、HDD113に記憶されたデータをプリントする指示を受け付ける場合、HDD113に記憶されたデータを処理データとして受け付ける。さらに、データ受付部51は、ファクシミリ部170がファクシミリデータを受信する場合、ファクシミリデータを処理データとして受け付ける。
【0047】
画像処理部53は、データを画像処理し、画像データを生成する。画像処理部53は、データ受付部51から処理データが入力されることに応じて、処理データを画像処理する。例えば、処理データがプリントデータの場合、プリントジョブによって定められた条件に従ってプリントデータを画像処理する。画像処理部53は、処理データが、原稿読取部130が出力する画像データ、WebデータまたはHDD113に記憶されたデータの場合、ユーザーが操作部119に入力するプリント条件に従って処理データを画像処理する。処理データがファクシミリデータの場合、予め定められた条件に従ってファクシミリデータを画像処理する。画像処理部53が処理データに対して実行する画像処理は1以上である。1つの処理データに対して画像処理部53が実行する1以上の画像処理をまとめたものをジョブという。
【0048】
不具合検出部55は、画像処理部53が画像処理を実行中に発生する不具合を検出する。画像処理部53は、CPU171が画像処理プログラムを実行する画像処理タスクである。不具合検出部55は、画像処理タスクが、画像処理プログラムにより予め定められたエラーを検出する場合に、不具合を検出する。画像処理プログラムにより予め定められたエラーは、画像処理部53が画像処理を開始してから予め定められた時間が経過するタイムアウトエラーを含む。予め定められた時間は、例えば、画像処理の対象となるデータのデータ量に比例する時間としてもよい。また、不具合検出部55は、CPU171の使用率が所定の値以上となる状態を不具合として検出するようにしてもよい。また、バス179が単位時間に使用される時間が占める割合である使用率が所定の値以上となる状態を不具合として検出するようにしてもよい。不具合検出部55は、不具合を検出する場合、検出された不具合を特定するための不具合情報を故障検出部57に出力する。
【0049】
故障検出部57は、不具合情報が入力されることに応じて、不具合情報で特定される不具合の原因となるハードウェア資源とその故障個所を特定する。故障検出部57は、特定されたハードウェア資源および故障個所を示すエラー情報を生成し、エラー情報を取得部59に出力する。
【0050】
不具合は、画像処理タスクが検出するエラーであり、画像処理に対応する。このため、例えば、画像処理と、その画像処理を実行するために用いられるハードウェア資源とを対応付けたテーブルを予め準備しておき、不具合情報に対して、その不具合情報で特定される不具合が発生した画像処理に対応するハードウェア資源を特定する。ハードウェア資源は、RAM175、画像制御ASIC177、自動原稿搬送装置120、原稿読取部130、画像形成部140、給紙部150、通信I/F部160、ファクシミリ部170、外部記憶装置180、HDD113および操作パネル115を含む。故障検出部57は、不具合の原因となるハードウェア資源として、RAM175、自動原稿搬送装置120、原稿読取部130、画像形成部140、給紙部150、通信I/F部160、ファクシミリ部170、外部記憶装置180、HDD113および操作パネル115を特定する場合、それらを識別するための装置識別情報を含むエラー情報を生成する。
【0051】
故障検出部57は、不具合の原因となるハードウェア資源として、画像制御ASIC177を特定する場合、故障個所を特定する。画像処理タスクは、画像制御ASIC177に画像制御ASIC177が実行可能な複数の処理の一部を依頼する場合がある。故障検出部57は、画像制御ASIC177が有する複数のDMAチャンネルのうち不具合が発生した画像処理が割り当てられたDMAチャンネルについて、動作チェックを実行する。動作チェックは、例えば、予め定められたデータを入力し、出力値を期待値と照合する処理である。故障検出部57は、動作チェックで、出力値が期待値以下となるDMAチャンネルを故障個所として特定する。故障検出部57は、画像制御ASIC177において故障個所を特定する場合、特定されたDMAチャンネルを示すチャンネル識別情報を含むエラー情報を生成する。なお、故障検出部57は、画像制御ASIC177が有する複数のDMAチャンネルそれぞれについて、動作チェックを実行するようにし、動作チェックでエラーが発生したDMAチャンネルを故障個所として特定するようにしてもよい。この場合には、画像制御ASIC177が有する複数のDMAチャンネルの全てを動作チェックするので、動作チェックの対象となるDMAチャンネルを特定する必要がない。
【0052】
取得部59は、故障検出部57からエラー情報が入力される場合、エラー情報で特定されるハードウェア資源で実行される処理を定めた代替プログラムを、取得し、代替プログラムを代替部61に出力する。具体的には、取得部59は、エラー情報が画像制御ASIC177において故障個所として特定されたDMAチャンネルを識別するためのチャンネル識別情報を含む場合、そのDMAチャンネルに対して割り当てられた処理を定めた代替プログラムを取得する。取得部59は、外部記憶装置180に装着されたCD-ROM181または半導体メモリに代替プログラムが記憶されている場合、CD-ROM181または半導体メモリに記憶された代替プログラムを取得する。また、取得部59は、代替プログラムを記憶するサーバーのネットワークアドレスが予め記憶されている場合、通信I/F部160を制御して、ネットワークに接続されたサーバーに代替プログラムを要求し、そのサーバーから代替プログラムを取得する。取得部59は、複数のバージョンの代替プログラムが存在する場合、最新のバージョンの代替プログラムを取得する。最新バージョンの代替プログラムは、旧バージョンの代替プログラムのバグを改善したプログラムである場合があり、また、旧バージョンの代替プログラムが対応していない処理を実行可能である場合があるからである。
【0053】
代替部61は、取得部59から代替プログラムが入力される場合、代替プログラムを、CPU171が実行可能な状態となるようにインストールする。代替部61は、取得部59から複数の代替プログラムが入力される場合、複数の代替プログラムをCPU171にインストールする。また、代替部61は、代替プログラムをインストールする場合、画像処理部53に対して、エラー情報で特定されるハードウェア資源を駆動するのに代えて、そのハードウェア資源を代替する代替プログラムを実行するように設定する。これにより、画像処理部53がジョブを実行する場合であって、そのジョブで定められる処理に、故障したハードウェア資源に実行させる処理が含まれる場合に、画像処理部53はその処理をハードウェア資源に実行させることなく、画像処理部53に含まれる代替プログラムを実行するタスクがその処理を実行する。このため、CPU171は、ハードウェア資源が故障している場合であってもジョブを実行することができる。
【0054】
図5は、装置設定処理の流れの一例を示すフローチャートである。装置設定処理は、MFP100が備えるCPU171が装置設定プログラムを実行することにより、CPU171により実行される処理である。
図5を参照して、CPU171は、画像処理の対象となる処理データを取得する(ステップS01)。通信I/F部160が、ネットワークに接続されたPCからプリントジョブを受信する場合、プリントジョブに含まれるプリントデータを処理データとして受け付ける。通信I/F部160がインターネットに接続されたWebサーバーからWebデータを受信する場合、Webデータを処理データとして受け付ける。ファクシミリ部170がファクシミリデータを受信する場合、ファクシミリデータを処理データとして受け付ける。また、HDD113に記憶されたデータをプリントする指示を受け付ける場合、HDD113に記憶されたデータを処理データとして受け付ける。
【0055】
次のステップS02においては、処理データを画像処理する。そして、画像処理の不具合を検出したか否かを判断する(ステップS03)。画像処理プログラムを実行するタスクが、画像処理プログラムにより予め定められたエラーを検出する場合に、不具合を検出する。不具合を検出したならば処理をステップS04に進めるが、そうでなければ処理をステップS12に進める。ステップS12においては、画像形成部140を制御して、処理データを画像処理した画像データの画像を用紙に形成し、処理を終了する。
【0056】
ステップS04においては、故障箇所を特定し、処理をステップS05に進める。ステップS03において検出された不具合の原因となるハードウェア資源とその故障個所を特定する。不具合の原因となるハードウェア資源として画像制御ASIC177を特定する場合、故障箇所を特定するために画像制御ASIC177の動作をチェックし、複数のDMAチャンネルのうち故障したDMAチャンネルを特定する。ステップS05においては、故障したDMAチャンネルに対応する代替プログラムを決定する。画像制御ASIC177が有する複数のDMAチャンネルのうちこそ付したDMAチャンネルに割り当てられた処理を特定し、特定された処理を定める代替プログラムを決定する。複数のDMAチャンネルが故障している場合、複数のDMAチャンネルにそれぞれ対応する複数の代替プログラムを決定する。
【0057】
ステップS06においては、1以上の代替プログラムのうちから処理対象となる1つの代替プログラムを選択し、処理をステップS07に進める。ステップS07においては、処理対象に選択された代替プログラムが外部記録媒体に記憶されているか否かを判断する。外部記憶装置180に装着されたCD-ROM181または半導体メモリに記憶されていれば処理をステップS08に進めるが、そうでなければ処理をステップS09に進める。
【0058】
ステップS08においては、外部記憶装置180を制御して、最新バージョンの代替プログラムを取得し、処理をステップS10に進める。CD-ROM181または半導体メモリに記憶された代替プログラムのうち最新バージョンの代替プログラムを読み出すことにより、代替プログラムを取得する。一方、ステップS09においては、予めネットワークアドレスが記憶されたサーバーを特定し、通信I/F部160を制御して、特定されたサーバーから最新バージョンの代替プログラムを取得し、処理をステップS10に進める。
【0059】
ステップS10においては、ステップS08またはステップS09において取得された代替プログラムをインストールし、処理をステップS11に進める。ステップS11においては、処理対象に選択されていない代替プログラムが存在するか否かを判断する。未選択の代替プログラムが存在すれば処理をステップS06に戻すが、存在しなければ処理を終了する。
【0060】
なお、上述した実施の形態においては、画像形成装置の一例としてMFP100を例に示したが、
図5に示した装置設定処理をMFP100に実行させる装置設定方法、また、その装置設定方法をMFP100が備えるCPU171に実行させる装置設定プログラムとして発明を捉えることができるのは言うまでもない。
【0061】
以上説明したように、本実施の形態におけるMFP100は、画像形成装置として機能し、画像制御ASIC177の故障を検出する場合に、故障が検出された画像制御ASIC177で実行される処理を定めた代替プログラムをインストールする。このため、画像制御ASIC177が故障しても、その画像制御ASIC177で実行される処理を、代替プログラムを実行することにより実行することができる。したがって、画像制御ASIC177が故障しても処理を実行可能な状態に設定することができる。
【0062】
また、MFP100は、代替プログラムを、外部から取得するので、MFP100をユーザーに販売された後にユーザーが使用する状態で発生する故障に対応することができる。
【0063】
また、MFP100は、代替プログラムを通信可能なコンピューターから取得するので、代替プログラムを容易に取得することができる。また、MFP100を直接操作することなく、遠隔に配置されたコンピューターからMFP100を遠隔操作して、代替プログラムをMFP100にインストールすることができる。
【0064】
また、MFP100は、CD-ROM181または半導体メモリに記憶された代替プログラムを取得するので、代替プログラムを容易にインストールすることができる。
【0065】
また、MFP100は、代替プログラムが複数のバージョンからなる場合、最新のバージョンの代替プログラムを取得するので、バグが改善された代替プログラム、または新たな機能が追加された代替プログラムをインストールすることができる。
【0066】
また、代替プログラムで実行される処理は、画像データを処理対象とする画像処理、処理対象となるデータを符号化する符号化処理、または、符号化されたデータを復号する復号処理を含むので、画像制御ASIC177の故障に対応することができる。
【0067】
なお、上述した実施の形態においては、画像形成装置の一例としてMFP100を説明したが、
図5に示した装置設定処理をMFP100に実行させる装置設定方法、また、その装置設定方法をMFP100が備えるCPU171に実行させる装置設定プログラムとして発明を捉えることができるのは言うまでもない。
【0068】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0069】
100 MFP、111 メイン基板、115 操作パネル、118 表示部、119 操作部、120 自動原稿搬送装置、130 原稿読取部、140 画像形成部、150 給紙部、160 通信I/F部、170 ファクシミリ部、171 CPU、173 ROM、175 RAM、177 画像制御ASIC、179 バス、180 外部記憶装置、51 データ受付部、53 画像処理部、55 不具合検出部、57 故障検出部、59 取得部、61 代替部。