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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-19
(45)【発行日】2022-07-27
(54)【発明の名称】ガラスコアデバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/02 20060101AFI20220720BHJP
   H05K 3/00 20060101ALI20220720BHJP
   H05K 3/28 20060101ALI20220720BHJP
   H05K 3/42 20060101ALI20220720BHJP
【FI】
H05K1/02 D
H05K3/00 N
H05K3/28 Z
H05K3/42 630Z
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018013620
(22)【出願日】2018-01-30
(65)【公開番号】P2019134016
(43)【公開日】2019-08-08
【審査請求日】2020-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】特許業務法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古賀 修
(72)【発明者】
【氏名】櫃岡 祥之
(72)【発明者】
【氏名】芥川 泰人
【審査官】鹿野 博司
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-318058(JP,A)
【文献】特開2017-143140(JP,A)
【文献】特開2015-156427(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/02
H05K 3/42
H05K 3/00
H05K 3/28
H05K 1/03
H05K 1/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する第1面と第2面とを備えたガラスコアに貫通孔を形成するステップと、
前記ガラスコアの第1面および前記貫通孔内に配線を形成してスルーガラスビアを形成し、前記第1面を絶縁樹脂で封止するステップと、
前記ガラスコアの第1面にキャリア基板を貼り合わせるステップと、
前記ガラスコアの第2面に対してライン状にレーザー光を照射することで、前記ガラスコアを変質させるステップと、
薬液処理により前記ガラスコアの変質部分をエッチングすることにより、前記ガラスコアを分断する溝を形成するステップと、
前記ガラスコアの第2面に配線を形成し、保護樹脂を前記溝内に充填するとともに、前記保護樹脂で前記第2面を封止するステップと、
前記溝に充填された前記保護樹脂を切断するステップとを有する、
ことを特徴とするガラスコアデバイスの製造方法。
【請求項2】
前記ガラスコアを分断する溝を、薬液処理により前記ガラスコアの変質部分をエッチングする前記ステップにおいて、
前記ガラスコアの第2面の露出した面もエッチングすることで、前記ガラスコアを薄化させ、前記第2面から、前記スルーガラスビアの前記配線を突出させるステップを有し、
突出した前記スルーガラスビアの前記配線と接続するように前記第2面の配線形成が行われる、
ことを特徴とする請求項に記載のガラスコアデバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラスコアデバイス製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォン等に代表される電子機器においては、小型化・省電力化・高性能化の要求が高まり、それに伴い電子機器に搭載される半導体パッケージ基板や、キャパシター、インダクター、抵抗体等の受動部品を搭載する電子デバイスも、高い性能を維持しつつ一層の小型化、省電力化が望まれている。一方で、電子機器のコンシューマーに対する訴求力を高めるべく、その低価格化も望まれている。
【0003】
小型化、消費電力化を図る方策として、シリコン材をコアとするスルーシリコンビア(以下TSVという)や、ガラス材をコアとするスルーガラスビア(以下TGVという)を用いて、層間接続を行う多層配線工法が開発されている。しかしながら、シリコン材をコアとするTSVは、一般的には材料コスト、製造コストが高く、低価格化が難しい。これに対してガラスコアは、比較的安価なコア材料を用いて、大型四角パネルにより大量生産が可能なため、コスト問題を解決できると期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2015-513820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1は、ガラスコアに、TSV内の配線とガラスコアの両面の配線をらせん状に形成し、受動部品であるLCバンドパスフィルターのインダクターを形成する工法を示している。かかる従来例では、ガラスコアをインダクターのコアとしている。また、ガラスコア上の配線で誘電体をサンドイッチして、キャパシターを形成する工法も示されている。
【0006】
しかしながら、実際にガラスコアにTGVを形成するには、克服すべき課題も多い。例えば、TGVを形成するためにガラスコアに貫通孔を形成しなくてはならないが、その貫通方法としては、ドリルやブラストを用いる物理的な加工法、反応性ガスや弗酸によるエッチング法、レーザー光照射による加工法が挙げられる。
しかるに、ガラスコアは非晶質の材料であり、比較的弾性が低く、引張応力に対し割れ易いなどの特性を持つ材料であるため、ドリルやブラストなどの物理的な加工方法で生じるマイクロクラックをきっかけに、ガラスコアが割れてしまうなどの問題がある。
【0007】
また、フッ素系の反応性ガスによるドライエッチング法では、ガラス分解速度が遅いため貫通孔の加工に時間がかかり、また弗酸によるウエットエッチング法では等方的に反応が進む為、微小径の貫通孔の加工に対応できない、などの問題がある。これに対し、上述した工法の中でも、YAGレーザー、COレーザーなど高エネルギーレーザー光の照射による加工法は、加工速度が比較的速く、微小径の貫通孔の加工が可能であることから、TGV形成に適している。
【0008】
しかし、加工速度と加工品質とはトレードオフの関係にあり、例えば加工速度を上げるため、高エネルギーレーザーを使用して貫通孔を形成すると、照射レーザー光の加熱によりガラスコア表面にガラス材が溶融飛散し、あるいは貫通孔の回りに土手状に堆積してノジュール(凹凸部分)が生じ、それによりガラスコア表面の平坦性が悪化してしまう。このようにガラスコア表面の平坦性が悪化すると、表面に微細配線を形成する際の障害となったり、また凹凸部分上に無理に配線を形成すると、その配線に応力が集中し、断線を招いたりする。
【0009】
また、TGVに導電性金属材料を埋め込んだ後に、ガラスコア表面に余分に形成された導電性金属材料を、CMP(Chemical Mechanical Polishing)による研磨や、ダイヤモンド砥石による研削で除去することがある。その際、ガラスコア表面の非晶質の弱い部分も研磨/研削されてしまい、それによりガラスコア表面に微細なマイクロクラックが生じてしまうという問題がある。また、強酸、強アルカリの薬液処理によっても前述したようなマイクロクラックが発生することがあり、このようなマイクロクラックをきっかけとしてガラス基板が割れてしまうという問題がある。
【0010】
発明は、TGVを形成したガラスコアの表面を平坦にし、かつガラスコアの表面を保護することにより十分な機械的強度を備えたガラスコアデバイスの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のガラスコアデバイスの製造方法は、
互いに対向する第1面と第2面とを備えたガラスコアに貫通孔を形成するステップと、
前記ガラスコアの第1面および前記貫通孔内に配線を形成してスルーガラスビアを形成し、前記第1面を絶縁樹脂で封止するステップと、
前記ガラスコアの第1面にキャリア基板を貼り合わせるステップと、
前記ガラスコアの第2面に対してライン状にレーザー光を照射することで、前記ガラスコアを変質させるステップと、
薬液処理により前記ガラスコアの変質部分をエッチングすることにより、前記ガラスコアを分断する溝を形成するステップと、
前記ガラスコアの第2面に配線を形成し、保護樹脂を前記溝内に充填するとともに、前記保護樹脂で前記第2面を封止するステップと、
前記溝に充填された前記保護樹脂を切断するステップとを有する、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
発明によれば、TGVを形成したガラスコアの表面を平坦にし、かつガラスコアの表面を保護することにより十分な機械的強度を備えたガラスコアデバイスの製造方法を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】TGVを形成したガラスコアにシード層まで形成した状態を示す断面図である。
図2】ドライフィルムレジストパターンの間隙に、電解銅めっきを形成した状態を示す断面図である。
図3】ガラスコアの第1面に配線保護樹脂を形成し、その上に支持体基板を仮貼りした状態を示す断面図である。
図4】ガラスコアの第2面側からCOレーザー光を照射し、ガラスコアの一部が変質した状態を示す断面図である。
図5】ガラスコアの第2面側からガラスを溶解させた状態を示す断面図である。
図6】ガラスコアの第2面に配線形成した後、配線保護樹脂を形成した状態を示す断面図である。
図7】ガラスコアデバイスの外周サイズに配線保護樹脂をダイシングし、キャリア基板から分離したガラスコアデバイスの断面図である。
図8】ガラスコアの第1面に配線保護樹脂を形成したものを2個準備し、キャリア基板を介して、その両面へ向かい合わせに仮貼りした断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。図1~7は、第1の実施の形態にかかるガラスコアデバイスの製造工程を示す図である。本明細書において、スルーガラスビア(TGV)とは、ガラスコアを貫通して形成された配線をいうが、ここでは配線形成前の貫通孔の状態も含めるものとする。
【0016】
(第1の実施形態)
(工程1)
まず、図1に示すようなガラスコア10にTGV11を形成する。TGV11の形成方法としては、レーザー光の照射及び弗酸による薬液処理があるが、それに限られない。TGV11が形成された300μm厚のガラスコア10の表面に、電気めっき給電用のシード層12を形成する。ここで給電用のシード層12は、Ti/Cuスパッタや、無電解銅めっきにて形成することができる。少なくともガラスコア10の第1面10aとTGV11内に、シード層12を形成する。内径が小さいTGV11内にTi/Cuスパッタでシード層12を形成する場合、ガラスコア10の両面からスパッタ処理を行うと、TGV内周全体にわたってシード層12を形成できるので好ましい。
【0017】
(工程2)
次に、図2に示すように、ガラスコア10の第1面10aと第2面10bに、所望するパターンのフォトレジスト21を形成する。フォトレジスト21としては、一般的にはドライフィルムレジストを用いることが多いが、ここでは直接描画タイプである日立化成株式会社製の製品名RD-1225をガラスコア10の両面にラミネートする。続いて所望するパターンを第1面10aに描画後現像することにより、工程1で形成したシード層12を露出させ、この露出したシード層に給電し、2~10μm厚の電解銅めっき22を形成する。
【0018】
(工程3)
次に図3に示すように、不要となったドライフィルムレジストを剥離し、シード層12をエッチングすることにより、ガラスコア10の第1面10aに所望する銅配線パターンを形成した後、その上から配線保護絶縁樹脂33をコートする。更にガラスコア10の第1面10aに、キャリア基板31を仮貼り用の接着剤32を介して貼り合わせる。
【0019】
本実施形態では、図3に示すように単層の銅配線パターンを形成しているが、配線保護絶縁樹脂33にビアを形成し、その上に更に銅配線パターンを形成することによりビルドアップ多層配線を形成しても良い。また本実施形態では、キャリア基板31として別途用意したエポキシ基板を用いて説明するが、リジッドで平滑な基板であれば良く、キャリア基板はガラス基板や、SUSなどの金属板でも構わない。
【0020】
(工程4)
次に図4に示すように、ガラスコア10をガラスコアデバイスとして必要なサイズに切断するために、XYマトリクス状にフェムト秒レーザー光LBを照射し、ガラスコア10の照射した部分を先細の溝状に変質させる。フェムト秒レーザー光LBが照射されたガラス部分(溝状に変質した部分)41は、弗酸等のガラス溶解液での溶解性が向上される。ここで用いられるフェムト秒レーザーの出力は、0.1μJ以上であれば良く、より好ましくは0.4μJ以上が望ましい。また、本実施形態では、フェムト秒レーザーで説明したが、パルスレーザーであれば良く、ピコ秒レーザーを用いることも可能である。
【0021】
(工程5)
ガラスコア10の第2面10bを100~150μm追い込むように平坦に研削する。これにより薄形のガラスコアデバイスを形成できる。さらに、このガラスコア10を弗酸等のガラス溶解液へ浸漬し又はガラス溶解液を第2面10bにスプレーし、工程4のフェムト秒レーザー加工で変質したガラス部分41を優先的に溶解させると同時に、ガラスコアの第2面10bを更に1~5μm溶解させ、図5に示すように第2面10cを形成する。これにより、TGV11に埋め込まれていた銅配線の先端が1~5μm突出する。この工法によれば、ガラス溶解液による有効な副次効果として、フェムト秒レーザー加工面と第2面10bの研削面に生じたマイクロクラックを溶解除去した第2面10cを形成するため、次工程以降でガラスコア10の割れを防止することができる。
【0022】
(工程6)
次に図6に示すように、工程1、工程2と同様に、ガラスコア10の第2面10cに、また給電用のシード層12を形成後、ガラスコア10の第2面10cにおいて突出した銅配線を繋ぐため、ドライフィルムレジスト(不図示)のパターンを形成する。更に、シード層12に給電し、2~10μm厚の電解銅めっき61を形成した後、不要になったドライフィルムレジストを剥離し、露出するシード層12をエッチングする。
【0023】
電解銅めっき61は、ガラスコア10の第2面10cから突出した銅配線を覆うような銅めっき構造であり、電解銅めっき61がガラスコア10の第2面10cと同一面ではないシード層12及び銅配線から析出するので、ガラスコア10の第2面10cから銅パターンが剥離することはない。さらに、ガラスコア10の第2面10cを保護するソルダーレジスト等の外層保護層(保護樹脂)62をコートする。外部接続端子などの必要がある場合、開口部63を設けて銅パターンを露出してもよい。
【0024】
(工程7)
次に図6に一点鎖線で示す位置(レーザー光で変質した溝中心)で、ソルダーレジスト等の外層保護層62をXYマトリクス状にダイシングし、ガラスコアデバイスを個片化させた後、工程3で仮貼りしていたキャリア基板31から剥離して取り出し、図7に示すようにガラスコアデバイスを完成させる。このとき、図6に示したガラスコア10の側面10dにシード層12と電解銅めっき61が残るようにすると好ましい。ここでは、キャリア基板31と共にガラスコアデバイスをダイシングしたが、キャリア基板31を切断することなくガラスコアデバイスのみをダイシングしてもよい。これにより、個片化されたガラスコアデバイスはキャリア基板31に付着したままとなり、搬送や保管上において取扱い性が向上する。
【0025】
(第2の実施形態)
第1の実施形態と同様な工程で、図2を参照して同サイズの中間生成品を2個製作し、更に図3に示すようにシード層12をエッチングすることにより、2つのガラスコア10の第1面10aに所望する銅配線パターンを形成し、配線保護絶縁樹脂33を被覆する。次いで本実施形態では、図8に示すように、キャリア基板31の両面に仮貼り用の接着剤32を塗布して、向かい合わせに2つのガラスコア10の第1面10aへ貼り合わせる。その後は、上述した実施の形態と同様である。
【0026】
上述した第1の実施形態では、キャリア基板31の数に対応するガラスコアデバイスの製作例を示しているが、第2の実施形態では、工程4から工程7の工程を両面で処理することで、キャリア基板31の数の2倍のガラスコアデバイスを製造可能であり、すなわち単純計算で生産効率を約2倍に向上できる。
【0027】
また、本実施形態ではキャリア基板31を介して、中間生成品を貼り合わせることを説明したが、キャリア基板を使用せず仮貼り用の接着層1層だけを介して、2個の中間生成品を貼り合わせて処理してもよい。
【0028】
本実施形態によれば、TGVを形成したガラスコアの表面を平坦にし、かつガラスコアの表面を保護することにより機械的強度が充分であり、低コストで信頼性のあるガラスコアデバイスおよびその製造方法を提供することができる。また本実施形態によれば、研磨/研削、ガラスコアデバイスの製造装置での搬送時やラック収納時の接触や、強酸、強アルカリの薬液処理によって、ガラスコア表面に生じたマイクロクラックをガラス溶解液で溶解除去した後、露出するガラスコアと配線上へ、絶縁性の液状樹脂やドライフィルム材等の保護樹脂をコートすることにより、外部にガラスコアが露出しないようにできるため、製品品質が向上する。
【0029】
更に本実施形態によれば、800μm以上のガラス素材を薄化処理することで、最終的なガラスコアの厚さが20μm以上、800μm以下となると好ましい。このようなガラスコアの厚さであれば、ガラスコア上に形成される銅配線や絶縁樹脂形成時に生じる応力を、緩やかな除加熱処理により緩和できる。なお、上記厚みのガラスコアの材料単体では、製造工程で割れることがあるため、本実施形態のようにガラスコアの第1面に、剥離可能な接着剤を用いてキャリア基板を貼り合わせ、ガラスコアデバイス製造後に剥離することが望ましい。
【0030】
更に本実施形態によれば、ガラスコアの第2面を弗酸処理するため、ガラス薄化の研削工程や、搬送接触、ラック収納時接触、強酸・強アルカリ薬液処理等によって生じたマイクロクラックを除去することが可能である。弗酸処理によれば、ガラスコアの表面粗さRa値(ISO25178-604、Zygo corporation製の製品名NewView8200により測定可)を20nm以下にすることが可能であり、マイクロクラックを起点とするガラスコアの割れを予防することができる。なお、ガラスコアの表面粗さRa値は、製品としてのガラスコアデバイスから保護樹脂層を剥離することで測定可能である。
【0031】
更に本実施形態によれば、少なくともガラスコアの第1面の外周端部と、ガラスコア側面とを、金属膜で覆っており、更に保護樹脂でコートしている。仮にガラスコアデバイスにおいてガラスコアが露出していると、能動部品や受動部品をガラスコアデバイスへ実装する工程や、マザーボードへの実装工程でのはんだ接続工程、例えばリフロー工程等における急激な加熱処理による熱衝撃や、物に当たるなどの機械的衝撃により、ガラスコアの割れが生じる虞れがある。これに対し、本実施の形態によれば、ガラスコアの側面(レーザー光の照射によりガラスが変質し、弗酸により除去された溝内)に、スパッタや蒸着によるドライ成膜や、金属めっきによるウエット成膜を行うことにより、容易に金属膜を覆うことができるから、ガラスコアの側面からの割れを防ぐことができる。更にガラスコアの側面を保護樹脂でコートすることにより、金属膜の腐食防止を実現できる。
【0032】
更に本実施形態によれば、まずガラスコアの第1面側に弗酸耐性の保護フィルムをラミネートし、ガラスコアの第2面を、弗酸処理することでガラスコア厚さを薄化すると同時に、ガラスコアを所望のガラスコアデバイスサイズに個片化することができる。ガラスコアデバイスは、一般的に2mm四方、乃至50mm四方の底面を有する直方体であるが、内包するガラスコアは、第2面から薄化処理されるため、第1面の辺よりも第2面の辺が短い四角錐台形状となる(すなわち側面がテーパ状面となる)。なお本実施形態のガラスコアデバイスは、生産性向上のため300mm四方以上のガラス素材を用いて、ガラスコアデバイスをマトリクス状に配置し、一括して複数個のガラスコアデバイスを製造することにより、製造コストを削減させている。
【0033】
更に本実施形態によれば、TGV内に配線を形成するとともに、第1面に所望する多層配線層を形成したガラスコアを用いる。前記したようにガラスコア材料は、製造工程途中で割れやすい等の問題があるため、ガラスコアの第1面に剥離可能な接着剤によりキャリア基板を貼り合わせている。
【0034】
更に、ガラスコアデバイスのサイズに合わせて分割するラインに沿って、第2面側から制御されたフェムト秒レーザー光をライン照射することで、ガラスコアを溶解しないように変質させると、このガラスコアの変質したライン部分が、弗酸処理でレーザー光の未照射部分より優先的にエッチングされる。ガラスコアの第2面を薄化エッチングしている間に、レーザー光が照射されて変質した部分がエッチング除去され、これによりガラスコアを所望のサイズに個片化することができる。
【0035】
更に本実施形態によれば、まずガラスコアの第1面側に弗酸耐性の保護フィルムをラミネートし、ガラスコアの第2面を、弗酸処理することでガラスコアを薄化する。このときガラスコアの第2面から、TGV内部に形成されていた銅配線の先端が突出し、後の工程でのガラスコアの第2面に配線との接続信頼性向上に寄与する。このため弗酸処理は、ガラスコアの第2面表面からTGVの配線先端が1μm~15μm高さ露出する程度に行うことが好ましい。
【0036】
更に本実施形態によれば、ガラスコアの第2面に配線を形成する際に、第2面から突出したTGV埋め込み配線の先端を結ぶ金属配線を形成するとともに、前述したレーザー光の照射で変質エッチング除去された溝にも金属膜を形成する。外周縁部分に金属膜を形成することにより、ガラスコアの四角錐台側面から発生するガラス破壊を防ぐことができる。仮に金属配線をガラスコアの第1面及び第2面だけ形成すると、セルフアニールによる引っ張り応力や、実装時のリフロー加熱処理による伸縮でガラス破壊が、ガラスコアの四角錐台側面から発生しやすいが、本実施の形態によればかかる不具合を解消できる。
【0037】
ガラスコアの外周縁部分に、スパッタリングや蒸着、または無電解めっきにて金属密着性向上層を形成し、更に電解めっきで覆うように厚膜化することにより、ガラス破壊を抑制することができる。この金属密着性向上層は、Ti,Ni,Cuなどを成膜し、電解めっきのシード層とすると好ましい。また電解めっき浴は、ガラスコアの第2面配線と四角錐台側面とを同時成膜することができるという作業効率向上の観点から、電解銅めっき浴とするのが好ましい。
【0038】
更に本実施形態によれば、ガラスコアデバイスは、個片サイズまで分断したガラスコアの第2面、及び四角錐台側面を、樹脂、セラミック等で被膜し外層保護膜とすると好ましい。この外層保護膜は、ガラスコアの第2面及び四角錐台側面の合計5面を被膜保護している。ガラスコアの一部をフェムト秒レーザー光の照射で変質させ、弗酸で除去されて形成されたガラスコアの溝中心に沿って、埋め込まれた外層保護膜の一部をダイシングすることにより、最終的な個片化を行っており、個片化されたガラスコアデバイスは、ガラスコアを外部に露出しない直方体となる。
【0039】
なお、ガラスコアの第1面または第2面にビルドアップ樹脂をラミネート(絶縁樹脂積層を形成)し、ビア形成、配線層形成を繰り返して多層配線を行うこともできる。また、ガラスコアデバイスは、高誘電体を埋め込んだキャパシター形成や、抵抗体形成などにより受動部品を内蔵しても良い。更にまた、ガラスコアデバイスにコイル状の配線を形成することにより、インダクターを内蔵しても良い。
【符号の説明】
【0040】
10:ガラスコア
10a:第1面
10b:第2面
11:TGV
12:シード層
21:フォトレジスト
22:電解銅めっき
31:キャリア基板
32:接着剤
33:配線保護絶縁樹脂
41:変質したガラス部分
61:電解銅めっき
62:外層保護層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8