(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-19
(45)【発行日】2022-07-27
(54)【発明の名称】文字入力装置、文字入力方法、及び、文字入力プログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/023 20060101AFI20220720BHJP
G06F 3/04886 20220101ALI20220720BHJP
【FI】
G06F3/023 470
G06F3/023 460
G06F3/04886
(21)【出願番号】P 2018038933
(22)【出願日】2018-03-05
【審査請求日】2021-01-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 堂弘
【審査官】三吉 翔子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0067372(US,A1)
【文献】特開2011-192063(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/023
G06F 3/04886
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
文字入力に係る入力操作を受け付ける操作部と、
前記入力操作の操作速度を検知する検知部と、
前記操作速度
に応じて、前記文字入力
に対する予測候補を
並び替えて出力する予測候補作成部と、
を備え、
前記操作速度は、アプリケーションの起動に係る操作から、文字入力に係る入力操作までの速度である、
文字入力装置。
【請求項2】
前記予測候補作成部は、
前記操作速度が閾値よりも速い場合に、前記予測候補を文字数が多い順序で並び替える、
請求項
1に記載の文字入力装置。
【請求項3】
前記操作速度と、前記操作速度から算出された前記閾値と、を保存する保存部を備えた、
請求項
2に記載の文字入力装置。
【請求項4】
前記操作速度と、前記閾値と、を比較する速度推定部を備えた、
請求項
2または請求項
3に記載の文字入力装置。
【請求項5】
コンピュータが、
文字入力を受け付けるステップと、
前記文字入力の操作速度を検知するステップと、
前記操作速度
に応じて、前記文字入力
に対する予測候補を
並び替えて出力するステップと、
を実行し、
前記操作速度は、アプリケーションの起動に係る操作から、文字入力に係る入力操作までの速度である、
文字入力方法。
【請求項6】
コンピュータに、
文字入力を受け付けるステップと、
前記文字入力の操作速度を検知するステップと、
前記操作速度
に応じて、前記文字入力
に対する予測候補を
並び替えて出力するステップと、
を実行させ、
前記操作速度は、アプリケーションの起動に係る操作から、文字入力に係る入力操作までの速度である、
文字入力プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、タッチパネル式入力デバイスの文字入力技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の構成では、文字入力時における予測処理を行い、入力した文字の一部から推測された候補を表示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の構成における、文字入力時の候補を表示する際には、利用者の状況が反映されず、望ましい予測処理の結果を出力することができない虞がある。
【0005】
したがって、本発明の目的は、利用者の状況に対応した文字入力を行うことである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この文字入力装置は、文字入力に係る入力操作を受け付ける操作部と、入力操作の操作速度を検知する検知部と、操作速度を用いて、文字入力の予測候補を出力する予測候補作成部とを備える。
【0007】
この構成では、利用者の操作速度に対応した、文字入力の予測候補を出力できる。すなわち、利用者の利便性が向上する。
【0008】
この文字入力装置は、操作速度に応じて、予測候補を並び替えて出力してもよい。
【0009】
この構成では、予測候補の出力順序を、利用者の操作状況に応じて決定できる。
【0010】
この文字入力装置の予測候補作成部は、操作速度が閾値よりも速い場合に、予測候補を文字数が多い順序で並び替えてもよい。
【0011】
この構成では、予測候補を利用者のニーズに応じた順序で表示できる。
【0012】
この文字入力装置は、操作速度と、操作速度から算出された閾値とを保存する保存部を備えていてもよい。
【0013】
この構成では、利用者の実際の利用状況を保存することができる。
【0014】
この文字入力装置は、操作速度と、閾値とを比較する速度推定部を備えていてもよい。
【0015】
この構成では、現在の操作速度と、閾値とを比較することができ、効果的に利用者の実際の利用状況に対応できる。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、利用者の状況に対応した文字入力を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る文字入力装置のブロック図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る文字入力装置の概要図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係る文字入力装置の動作を表すフローチャートである。
【
図4】本発明の第2の実施形態に係る文字入力装置の動作を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態について、幾つかの図を参照して説明する。
【0019】
・適用例
まず、
図1を用いて、本発明が適用される一例について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る文字入力装置のブロック図である。文字入力装置10は、例えば、スマートフォン等の携帯通信端末等に備えられており、タッチパネル式の表示画面を操作することで、文字入力を行える機器で使用される。
【0020】
文字入力装置10は、操作部100と、検知部200と、制御部300と、保存部400と、文字出力部500とを備える。制御部300は、速度推定部310と、予測候補調整部320と、予測候補作成部330とを備える。文字出力部500は、予測候補出力部510と、確定出力部520とを備える。文字出力部500は、例えば、ソフトウェアキーボードである。
【0021】
保存部400には、例えば、辞書情報、利用者の固有情報が保存されている。なお、利用者の固有情報とは、例えば、利用頻度の高い変換候補、利用者が操作を行う際の速度(以下、操作速度)の閾値である。閾値の詳細については、後述する。
【0022】
操作部100は、利用者の操作を受け付ける。検知部200は、操作部100における、利用者の操作を検知する。検知部200は、操作速度を算出する。
【0023】
速度推定部310は、検知部200で検知した操作速度と、保存部400に保存されている、閾値とを比較する。速度推定部310は、現在の操作速度が、閾値よりも速いと検知する。このとき、速度推定部310は、利用者が、「急いでいる」状態であると判断する。速度推定部310は、利用者が急ぎモードで文字入力を行っている状態を予測候補調整部320に出力する。
【0024】
予測候補調整部320は、急ぎモードを受信し、予測候補の出力する順序の基準を決定し、予測候補作成部330に、該基準を出力する。なお予測候補調整部320は、急ぎモードである時は、文字数が多い順序で並び替える。
【0025】
予測候補作成部330は、保存部400から予測候補を取得し、該基準に基づく順序で並び替えを行う。予測候補作成部330は、並び替えられた予測候補を予測候補出力部510に出力する。
【0026】
予測候補出力部510は、予測候補を表示する。利用者が予測候補出力部510に出力された予測候補を選択すると、予測候補出力部510は、確定出力部520に文字を出力する。
【0027】
このことによって、利用者の操作速度に応じて、文字入力を行うことができ、利用者の利便性が向上する。また、利用者が急いでいる場合、すなわち、文字を速く入力したい場合には、文字数が比較的多い文字入力を行いたい、もしくは、文字入力をできるだけ省略したいことが考えられる。このことから、利用者は、文字数が多い予測候補を選択し易くなる。したがって、利用者の状況に応じた文字入力を行うことができ、利用者の利便性が向上する。
【0028】
・構成例1
図1は、本発明の第1の実施形態に係る文字入力装置のブロック図である。
図2は、本発明の第1の実施形態に係る文字入力装置の概要図である。
図3は、本発明の第1の実施形態に係る文字入力装置の動作を表すフローチャートである。
【0029】
上述の
図1の文字入力装置10の構成に基づき、
図2を用いて、より具体的な構成例を説明する。
【0030】
図1、
図2に示すように、文字入力装置10は、操作部100と、文字出力部500とを備えている。文字出力部500は、予測候補出力部510と、該予測候補を選択して確定表示する確定出力部520とを備える。
【0031】
利用者が、急いで「ありがとうございます」と文字入力を行いたい場合を例として、以下に具体的な例を説明する。利用者は、操作部100を用いて、「あり」と入力する。
【0032】
このとき、検知部200は、「あり」という文字を入力する際の操作速度を検知する。検知部200は、操作速度を速度推定部310に出力する。速度推定部310は、この操作速度(以下、現在の操作速度)と、保存部400に保存されている閾値との比較を行う。
【0033】
速度推定部310は、現在の操作速度が閾値よりも速いことを検出し、急ぎモードであると判定する。速度推定部310は、急ぎモードを予測候補調整部320に出力する。
【0034】
なお、閾値とは、例えば、過去に文字入力を行った際の操作速度の平均値である。もしくは、閾値は、過去に文字入力を行った際の操作速度の最速の操作速度であっても、過去に文字入力を行った操作速度を統計的に取得した値であっても良い。
【0035】
予測候補調整部320は、急ぎモードを受信し、予測候補を文字数が多い順序で並び替える基準を決定し、予測候補作成部330に、該基準を出力する。
【0036】
例えば、予測候補作成部330は、保存部400から予測候補の、「有り」、「蟻」、「ありがとうございます」を取得する。通常モードである場合、予測候補作成部330は、「有り」、「蟻」、「ありがとうございます」の順序で予測候補を表示する。
【0037】
一方、急ぎモードである場合は、文字数の多い順序で並び替えることにより、「ありがとうございます」、「有り」、「蟻」の順序で並び替える。
【0038】
予測候補調整部320は、「ありがとうございます」、「有り」、「蟻」の順序で、予測候補出力部510に出力する。利用者が予測候補出力部510の「ありがとうございます」を選択することによって、予測候補出力部510は、確定出力部520に「ありがとうございます」を出力する。
【0039】
上述の構成をもとに、
図3を用いて、文字入力装置を用いた具体的な動作について説明する。
図3は、本発明の第1の実施形態に係る文字入力装置の動作を表すフローチャートである。
【0040】
操作部100は、文字入力操作を受け付ける(S101)。
【0041】
検知部200は、文字入力の操作速度を算出する(S102)。
【0042】
速度推定部310は、操作速度と、保存部400に保存された閾値と、を比較する。このことよって、急ぎモードであるかどうかを判断する(S103)。
【0043】
速度推定部310は、急ぎモードであると判断した場合(S103:Yes)、現在の文字入力を急ぎモードに設定する(S104)。
【0044】
予測候補調整部320は、文字数が多い順序で並び替える設定を行い、予測候補作成部330は、保存部400から取得した予測候補を文字数が多い順序で並び替える(S105)。
【0045】
保存部400は、次回以降の閾値を設定するために、操作速度を保存する(S106)。
【0046】
文字出力部500は、予測候補を出力する(S107)。
【0047】
また、速度推定部310は、急ぎモードではないと判断した場合(S103:No)、現在の文字入力を通常モードに設定する(S114)。文字出力部500は、通常モードで予測候補を出力する(S107)。
【0048】
このように構成することによって、利用者の操作速度に応じた文字入力を行うことができる。また、操作速度を保存することにより、閾値を実際の操作速度に応じて決定することができる。すなわち、利用者の実環境に応じた文字入力を行うことができ、利用者の利便性が向上する。
【0049】
・構成例2
次に、
図4を用いて、文字入力装置を用いた具体的な動作について説明する。
図4は、本発明の第2の実施形態に係る文字入力装置の動作を表すフローチャートである。
【0050】
第2の実施形態においては、第1の実施形態と比較して、操作速度を判定する方法が異なる。その他の点については、第1の実施形態と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0051】
なお、本実施形態においては、文字入力装置10Aには、例えばメールを送受信、および、閲覧するためのメールアプリケーションがインストールされている。利用者は、メールを受信し、該メールに返信を行う。利用者は、メールアプリケーションの操作部100を用いて、メールへの返信(文字入力)を行う。
【0052】
利用者は、文字入力装置10Aのメールアプリケーションを起動する。利用者は、操作部100を用いて文字入力を行う。この際、検知部200は、メールアプリケーションを起動して、操作部100を用いて文字を入力するまでの速度(以下、起動速度)を検知する(S201)。
【0053】
検知部200は、起動速度を算出する(S202)。
【0054】
速度推定部310は、起動速度と、保存部400に保存された閾値と、を比較する。このことよって、急ぎモードであるかどうかを判断する(S203)。
【0055】
速度推定部310は、急ぎモードであると判断した場合(S203:Yes)、現在の文字入力を急ぎモードに設定する(S204)。
【0056】
予測候補調整部320は、文字数が多い順序で並び替える設定を行い、予測候補作成部330は、保存部400から取得した予測候補を文字数が多い順序で並び替える(S205)。
【0057】
保存部400は、次回以降の閾値を設定するために、起動速度を保存する(S206)。
【0058】
文字出力部500は、予測候補を出力する(S207)。
【0059】
また、速度推定部310は、急ぎモードではないと判断した場合(S203:No)、現在の文字入力を通常モードに設定する(S214)。文字出力部500は、通常モードで予測候補を出力する(S207)。
【0060】
このように構成することによって、利用者がアプリケーションの起動速度に応じた文字入力を行うことができる。また、起動速度を保存することにより、閾値を実際の起動速度に応じて決定することができる。すなわち、利用者のアプリケーション起動等の操作において、実環境に応じた文字入力を行うことができ、利用者の利便性が向上する。
【0061】
なお、上述の例では、操作速度、または起動速度に基づく、ソフトウェアキーボードの操作を説明した。しかしながら、文字入力装置における、加速度センサや、位置情報や、所定時間内にアプリケーションが起動された回数を元に閾値を設定してもよい。
【符号の説明】
【0062】
1…構成例
2…構成例
10、10A…文字入力装置
100…操作部
200…検知部
300…制御部
310…速度推定部
320…予測候補調整部
330…文字出力部
330…予測候補作成部
400…保存部
500…文字出力部
510…予測候補出力部
520…確定出力部