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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-19
(45)【発行日】2022-07-27
(54)【発明の名称】回転電機
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/20 20060101AFI20220720BHJP
   H02K 9/19 20060101ALI20220720BHJP
【FI】
H02K5/20
H02K9/19 Z
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018040026
(22)【出願日】2018-03-06
(65)【公開番号】P2019154208
(43)【公開日】2019-09-12
【審査請求日】2021-01-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】王 冬▲ジュイ▼
(72)【発明者】
【氏名】溝上 良一
(72)【発明者】
【氏名】早川 裕一
【審査官】佐藤 彰洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-023837(JP,A)
【文献】特許第5624667(JP,B2)
【文献】特開2008-301646(JP,A)
【文献】特開2011-004488(JP,A)
【文献】特開2010-273423(JP,A)
【文献】特開2014-007952(JP,A)
【文献】特開平09-093871(JP,A)
【文献】特開2011-036024(JP,A)
【文献】国際公開第2017/203562(WO,A1)
【文献】特開2014-110705(JP,A)
【文献】特開2006-006047(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/00-5/26
H02K 9/00-9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータと、前記ロータを取り囲むように配置されたステータと、前記ロータ及び前記ステータを収容するハウジングと、を備える回転電機であって、
前記ステータは前記ハウジングに固定され、
前記ハウジングは、冷却用油路及び冷却用水路を備え、
前記冷却用油路と前記冷却用水路は、 前記ハウジングの内部全体に渡って形成され、
前記冷却用油路と前記冷却用水路は、前記冷却用油路を流れる冷却オイルと前記冷却用水路を流れる冷却水との間で熱交換可能なように隣接して設けられる、
ことを特徴とする回転電機。
【請求項2】
前記冷却用油路及び前記冷却用水路は、前記ハウジングの軸方向一端から他端に渡って周方向に螺旋状に形成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の回転電機。
【請求項3】
前記冷却用油路及び前記冷却用水路は、前記ハウジングの軸方向に隣接して設けられる、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の回転電機。
【請求項4】
前記冷却用油路及び前記冷却用水路は、前記ハウジングの径方向に隣接して設けられる、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の回転電機。
【請求項5】
前記ハウジングは、前記ロータ及び前記ステータを収容する第1のハウジングと、前記第1のハウジングの外側に、前記第1のハウジングの外周面に当接して設けられる第2のハウジングと、前記第2のハウジングの外側に、前記第2のハウジングの外周面に当接して設けられる第3のハウジングから構成され、
前記冷却用油路及び前記冷却用水路の一方は、前記第1のハウジングの外周面に設けられた溝により形成され、
前記冷却用油路及び前記冷却用水路の他方は、前記第2のハウジングの外周面に設けられた溝により形成される、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の回転電機。
【請求項6】
前記ハウジングは、前記ロータ及び前記ステータを収容する第1のハウジングと、前記第1のハウジングの外側に、前記第1のハウジングの外周面に当接して設けられる第2のハウジングから構成され、
前記冷却用油路は、前記第1のハウジングの内周面に設けられた溝により形成され、
前記冷却用水路は、前記第1のハウジングの外周面に設けられた溝により形成される、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の回転電機。
【請求項7】
前記第1のハウジングに形成される前記冷却用油路と前記冷却用水路は、前記ハウジングの軸方向に隣接して設けられる、
ことを特徴とする請求項6に記載の回転電機。
【請求項8】
前記冷却用水路は、前記ハウジングの軸方向の略中央位置から冷却水が流入するように構成され、前記ハウジングの軸方向一端と、前記ハウジングの軸方向他端とに向かう2つの水路に分岐している、
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか一つに記載の回転電機。
【請求項9】
前記冷却用油路は、前記ハウジングの軸方向の略中央位置から冷却オイルが流入するよ
うに構成され、前記ハウジングの軸方向一端と、前記ハウジングの軸方向他端とに向かう2つの油路に分岐している、
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか一つに記載の回転電機。
【請求項10】
前記冷却用油路が前記第1のハウジングの外周面に形成される場合には、
前記冷却用油路の流出口は、前記ハウジングの軸方向両端近傍において、前記流出口の一部または全部が、前記ハウジングの内周面から前記ステータのコイルエンドに臨むように形成される、
ことを特徴とする請求項5に記載の回転電機。
【請求項11】
前記冷却用油路の流出口は、前記ハウジングの軸方向両端近傍において、前記流出口の一部または全部が、前記ハウジングの内周面から前記ステータのコイルエンドに臨むように形成される、
ことを特徴とする請求項6に記載の回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、モータをハウジング内に収容した駆動装置が開示されている。駆動装置のハウジングは、モータの一部を浸漬させた状態で冷却オイルを貯留する下部貯留部と、モータの上部に配置された上部貯留部と、を備えている。下部貯留部に貯留されている冷却オイルは、モータ外部に設置されたオイルクーラによって冷却され、上部貯留部に供給される。この駆動装置では、オイルクーラにより冷却された冷却オイルを上部貯留部の流出口からモータにかけることで、モータが冷却される(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-117790号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された駆動装置では、モータ冷却用オイルを効率よく冷却するために、モータ外部に設置されたオイルクーラによって冷却オイルを冷却している。しかし、オイルクーラを設置するためには、大きなスペースが必要になるという問題がある。また、オイルクーラは、例えば冷却水などで冷却用オイルを冷却する場合、冷却水用の放熱器がさらに必要となる。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑み、大きなスペースを必要とせずに、冷却オイルを冷却可能な回転電機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、ロータと、ロータを取り囲むように配置されたステータと、ロータ及びステータを収容するハウジングと、を備える回転電機において、ステータはハウジングに固定されるモータの冷却構造が提供される。ハウジングは、冷却用油路及び冷却用水路を備え、冷却用油路と冷却用水路は、ハウジングの内部全体に渡って形成され、冷却用油路と冷却用水路は、冷却用油路を流れる冷却オイルと冷却用水路を流れる冷却水との間で熱交換可能なように隣接して設けられる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、冷却用油路と冷却用水路は、ハウジング内部全体に渡って、冷却用油路を流れる冷却オイルと冷却用水路を流れる冷却水との間で熱交換可能なように隣接して設けられる。これにより、オイルクーラのようなオイル冷却装置を別途設けることなく、冷却オイルを冷却することができ、省スペース化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態のモータを示す概略構成図である。
図2図2は、ステータとハウジングの接触部分の断面模式図である。
図3図3は、冷却用油路及び冷却用水路の全体構造を示す概略構成図である。
図4図4は、第1実施形態のモータの変形例を示すステータとハウジングの接触部分の断面模式図である。
図5図5は、第2実施形態のモータにおけるステータとハウジングの接触部分の断面模式図である。
図6図6は、第3実施形態のモータにおけるステータとハウジングの接触部分の断面模式図である。
図7図7は、第4実施形態のモータの全体構造を示す断面模式図である。
図8図8は、第5実施形態のモータの全体構造を示す断面模式図である。
図9図9は、その他の実施形態の冷却用油路及び冷却用水路の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
【0010】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係るモータ1を示す概略構成図である。図1に示すモータ1は、バッテリ等の電源から電力の供給を受けて回転し、車両の車輪を駆動する電動機として機能する。また、モータ1は、外力により駆動されて発電する発電機としても機能する。従って、モータ1は、電動機及び発電機として機能する、いわゆる回転電機(モータジェネレータ)として構成されている。なお、モータ1は、車両駆動用のモータではなく、車両以外のシステムの駆動源として用いられてもよい。
【0011】
図1に示すように、モータ1は、ロータ10と、ロータ10の外周側に配置されるステータ20と、ロータ10及びステータ20を収容するハウジング30と、を備えている。
【0012】
ロータ10は、ステータ20の内部に、当該ステータ20に対して回転可能に配置されている。ロータ10は、回転軸としてのシャフト11を有している。シャフト11は、ハウジング30に設けられた軸受111,112により回転自在に支持されている。
【0013】
ステータ20は、複数枚の電磁鋼板を積層して形成された円筒状部材であるステータコア21と、ステータコア21のティースに巻き回されているステータコイルから構成されている。巻回されたステータコイルの端部(以下、コイルエンド22という)は、ステータコア21よりもモータ1の軸方向外側に突出している。ステータコア21の外周面は、ハウジング30の内周面に面接触した状態でハウジング30に固定されている。
【0014】
ハウジング30は、ロータ10及びステータ20を収容可能な円筒状部材として構成されている。ハウジング30の内周面は、ステータ20が設置される平坦な設置面として形成されている。ハウジング30の内部には、後述する冷却用油路40及び冷却用水路50が形成されている。
【0015】
図2はステータ20とハウジング30の接触部分の断面模式図であり、図3は冷却用油路40及び冷却用水路50の全体構造を示す概略構成図である。
【0016】
図2及び図3に示すように、ハウジング30の内部には、主にモータ1を冷却するための冷却オイルが流れる通路である冷却用油路40と、主に冷却オイルと熱交換するための冷却水が流れる通路である冷却用水路50が形成されている。冷却用油路40は、ハウジング30の軸方向(図2の両矢印で示す方向)一方の端部33近傍からハウジング30の軸方向他方の端部34近傍まで、ハウジング30内部全体に渡って周方向に螺旋状に形成されている。同様に、冷却用水路50も、ハウジング30の軸方向一方の端部33近傍からハウジング30の軸方向他方の端部34近傍まで、ハウジング30内部全体に渡って周方向に螺旋状に形成されている。そして冷却用油路40と冷却用水路50とは、ハウジング30の軸方向に隣り合うように配置されており、図2に示すように、ハウジング30の軸方向に沿う断面において、冷却用油路40と冷却用水路50とが、軸方向に交互に並んで位置するように形成されている。
【0017】
ハウジング30内部全体に形成された冷却用油路40内を冷却オイルが流れることで、ハウジング30が冷却され、ハウジング30を通じてステータコア21及びステータコイルが冷却される。冷却オイルは、ハウジング30の軸方向一方の端部33近傍から冷却用油路40に流入し、ハウジング30の軸方向他方の端部34近傍まで流れた後、ハウジング30の外部へと流出される。なお、端部34近傍から流出した冷却オイルが再び端部33近傍から冷却用油路40に流入するように、端部33近傍の冷却オイル流入口と端部34近傍の冷却オイル流出口を繋ぐ通路をハウジング30外部に設け、冷却オイルを循環させてもよい。
【0018】
また、冷却用油路40に隣接して設けられた冷却用水路50内を冷却水が流れることで、冷却水と冷却オイルとの間で熱交換が起こり、冷却オイルが冷却される。冷却水は、冷却オイルと同様に、ハウジング30の軸方向一方の端部33近傍から冷却用水路50に流入し、ハウジング30の軸方向他方の端部34近傍まで流れた後、ハウジング30の外部へと流出される。端部34近傍から流出した冷却水が再び端部33近傍から冷却用水路50に流入するように、端部33近傍の冷却水流入口と端部34近傍の冷却水流出口を繋ぐ通路をハウジング30外部に設け、冷却水を循環させてもよい。冷却水は、ハウジング外部に放熱部を設けて冷却してもよい。
【0019】
なお、冷却用水路50内を流れる冷却水は、冷却オイルを冷却するだけでなく、冷却オイルと同様にハウジング30も冷却し、ハウジング30を通じてステータコア21及びステータコイルも冷却する。即ち、モータは冷却オイル及び冷却水という2つの冷媒によって冷却される。
【0020】
上記した第1実施形態のモータによれば、以下の効果を得ることができる。
【0021】
モータ1は、ハウジング30内部全体に渡って冷却用油路40と冷却用水路50が形成され、冷却用油路40と冷却用水路50は隣接して設けられる。これにより、冷却用油路40内を流れる冷却オイルと冷却用水路50を流れる冷却水との間で熱交換が起こるため、冷却オイルをハウジング30内部で冷却することが可能となる。従って、オイルクーラのような大きなスペースが必要となるオイル冷却装置を別途設けることなく冷却オイルを冷却することができ、省スペース化が可能となる。また、冷却オイルを冷却するための冷却装置をモータ1の外部に別途設ける必要がないため、コストダウンを図ることができる。
【0022】
また、冷却用油路40及び冷却用水路50が隣接して設けられているため、冷却用油路40を流れる冷却オイルは、冷却用水路50を流れる冷却水によって常に冷却されながらモータ1を冷却する。そのため、モータ1の冷却効率が向上する。
【0023】
また、冷却用水路50を流れる冷却水は、冷却用油路40を流れる冷却オイルを冷却するだけでなくハウジング30も冷却し、ハウジング30を通じてステータコア21及びステータコイルも冷却される。このように、モータ1は冷却オイル及び冷却水という2つの冷媒により冷却されるため、モータ1の冷却効率が向上する。
【0024】
また、モータ1は、冷却用油路40及び冷却用水路50がハウジング30の軸方向に隣接して設けられる。これにより、冷却用油路40及び冷却用水路50をハウジング30の径方向や斜めに隣接して設けた場合に比べ、ハウジング30の厚さを抑えることができ、省スペース化が可能となる。
【0025】
(第1実施形態の変形例)
図4を参照して、第1実施形態のモータの変形例を説明する。
【0026】
本変形例では、冷却用油路40及び冷却用水路50がハウジング30の径方向に隣接して設けられている点が、第1実施形態と異なる。なお、その他の構成は、第1実施形態と同様である。
【0027】
図4に示すように、冷却用油路40はハウジング30内部の内周側に形成され、冷却用水路50はハウジング30内部の外周側に形成される。つまり、図4に示すように、ハウジング30の軸方向に沿う断面において、冷却用油路40と冷却用水路50とは、ハウジング30の径方向に隣接して設けられている。
【0028】
このような構成によっても、冷却用油路40を流れる冷却オイルと冷却用水路50を流れる冷却水との間で熱交換が起こるため、冷却オイルをハウジング30内部で冷却することが可能となる。従って、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0029】
なお、本変形例では、冷却用油路40を内周側に、冷却用水路50を外周側に形成しているが、冷却用油路40と冷却用水路50の位置関係はこれに限らず、冷却用油路40をハウジング30内部の外周側に、冷却用水路50をハウジング30内部の内周側に形成してもよい。
【0030】
(第2実施形態)
図5を参照して、第2実施形態のモータを説明する。
【0031】
図5は、第2実施形態のモータ1におけるステータ20とハウジング30の接触部分の断面模式図である。第2実施形態では、ハウジング30が3層構造であり、第1層に冷却用油路40、第2層に冷却用水路50が形成されている点が、第1実施形態と異なる。なお、以下の実施形態では第1実施形態と同じ機能を果たす構成には同一の符号を用い、重複する記載を適宜省略して説明する。
【0032】
本実施形態では、ハウジング30は、ロータ10及びステータ20を収容する第1のハウジング31、第1のハウジング31の外側の第2のハウジング32、第2のハウジング32の外側の第3のハウジング33からなる3層構造を備える。第1のハウジング31、第2のハウジング32及び第3のハウジング33は、それぞれ円筒状部材として構成される。
【0033】
第1のハウジング31はロータ10及びステータ20を収容し、第1のハウジング31の内周面がステータコア21の外周面と面接触した状態で、第1のハウジング31にステータコア21が固定されている。第2のハウジング32は、第1のハウジング31の外側に、第1のハウジング31の外周面に当接した状態で外嵌めされ、第3のハウジング33は、第2のハウジング32の外側に、第2のハウジング32の外周面に当接した状態で外嵌めされる。
【0034】
図5に示すように、第1のハウジング31は、第1のハウジング31の外周面に設けられた溝により形成される冷却用油路40を有している。冷却用油路40は、第1のハウジング31の外周面において、第1のハウジング31の軸方向(図5の両矢印で示す方向)一方の端部331近傍から第1のハウジング31の軸方向他方の端部341近傍まで、第1のハウジング31の周方向に螺旋状に形成される。冷却用油路40の上部41は、第2のハウジング32が第1のハウジング31の外周面に当接することにより閉じられている。
【0035】
次に、図5に示すように、第2のハウジング32は、第2のハウジング32の外周面に設けられた溝により形成される冷却用水路50を有している。冷却用水路50は、第2のハウジング32の外周面において、第2のハウジング32の軸方向一方の端部332近傍から第2のハウジング32の軸方向他方の端部342近傍まで、第2のハウジング32の周方向に螺旋状に形成されている。冷却用水路50の上部51は、第3のハウジング33が第2のハウジング32の外周面に当接することにより閉じられている。
【0036】
第1のハウジング31の軸方向両端部331,341近傍における第1のハウジング31の外周面には、シール溝35a,35bが設けられ、シール溝35a,35bにはOリング60が嵌め込まれている。これにより、第1のハウジング31の外周面と第2のハウジング32の内周面がシールされている。同様に、第2のハウジング32の軸方向両端部332,342近傍における第2のハウジング32の外周面には、シール溝36a,36bが設けられ、シール溝36a,36bにはOリング61が嵌め込まれている。これにより、第2のハウジング32の外周面と第3のハウジング33の内周面がシールされている。
【0037】
図5に示すように構成された冷却用油路40によれば、冷却用油路40内を冷却オイルが流れることで、ハウジング30が冷却され、ハウジング30を通じてステータコア21及びステータコイルが冷却される。冷却オイルは、第1のハウジング31の軸方向一方の端部331近傍から冷却用油路40に流入し、第1のハウジング31の軸方向他方の端部341近傍まで流れた後、ハウジング30の外部へと流出される。端部341近傍から流出した冷却オイルが再び端部331近傍から冷却用油路40に流入するように、端部331近傍の冷却オイル流入口と端部341近傍の冷却オイル流出口を繋ぐ通路をハウジング30外部に設け、冷却オイルを循環させてもよい。
【0038】
また、第1のハウジング31の外周面に当接する第2のハウジング32の外周面に形成された冷却用水路50内を冷却水が流れることで、冷却水と冷却オイルの間で熱交換が起こり、冷却オイルが冷却される。冷却水は、第2のハウジング32の軸方向一方の端部332近傍から冷却用水路50に流入し、第2のハウジング32の軸方向他方の端部342近傍まで流れた後、ハウジングの外部へと流出される。端部342近傍から流出した冷却水が再び端部332近傍から冷却用水路50に流入するように、端部332近傍の冷却水流入口と端部342近傍の冷却水流出口を繋ぐ通路をハウジング30外部に設け、冷却水を循環させてもよい。冷却水は、ハウジング30外部に放熱部を設けて冷却してもよい。なお、冷却水は、冷却オイルを冷却するだけでなく、ハウジング30も冷却し、ハウジング30を通じてステータコア21及びステータコイルも冷却する。
【0039】
上記した第2実施形態のモータ1によれば、第1実施形態のモータ1により得られる効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
【0040】
モータ1のハウジング30は3層構造を有し、第1のハウジング31に冷却用油路40が、第2のハウジング32に冷却用水路50が設けられている。そして、冷却用油路40は第1のハウジング31の外周面に設けられた溝により形成され、冷却用水路50は第2のハウジング32の外周面に設けられた溝により形成されている。このため、油路及び水路を1つのハウジングの内周面と外周面の間に設ける場合と異なり、冷却用油路40及び冷却用水路50を設ける際に、ハウジング30内部に水路や油路を形成するためのパイプを鋳込む必要がない。従って、ハウジング30を機械加工するだけで冷却用油路40及び冷却用水路50を形成することができるため、製造工程を簡素化でき、コストダウンを図ることができる。
【0041】
なお、本実施形態では、冷却用油路40を第1のハウジング31に、冷却用水路50を第2のハウジング32に設けているが、冷却用油路40と冷却用水路50の位置関係はこれに限らず、冷却用水路50を第1のハウジング31の外周面に、冷却用油路40を第2のハウジング32の外周面に設けてもよい。
【0042】
(第3実施形態)
図6を参照して、第3実施形態のモータを説明する。
【0043】
図6は、第3実施形態のモータ1におけるステータ20とハウジング30の接触部分の断面模式図である。第3実施形態では、ハウジング30が2層構造であり、第1層に冷却用油路40及び冷却用水路50が形成されている点が、他の実施形態と異なる。
【0044】
本実施形態では、ハウジング30は、ロータ10及びステータ20を収容する第1のハウジング301、及び第1のハウジング301の外側の第2のハウジング302からなる2層構造を備える。第1のハウジング301及び第2のハウジング302は、それぞれ円筒状部材として構成される。
【0045】
第1のハウジング301はロータ10及びステータ20を収容し、第1のハウジング301の内周面がステータコア21の外周面と面接触した状態で、第1のハウジング301にステータコア21が固定されている。第2のハウジング302は、第1のハウジング301の外側に、第1のハウジング301の外周面に当接した状態で外嵌めされる。
【0046】
図6に示すように、第1のハウジング301は、第1のハウジング301の内周面に設けられた溝により形成される冷却用油路40及び第1のハウジング301の外周面に設けられた溝により形成される冷却用水路50を有している。
【0047】
冷却用油路40は、第1のハウジング301の軸方向(図6の両矢印で示す方向)一方の端部331近傍からハウジング30の軸方向他方の端部341近傍まで、第1のハウジング301の内周面を周方向に螺旋状に形成されている。冷却用油路40の底部42は、ステータコア21が第1のハウジング301の内周面に当接することにより閉じられている。
【0048】
冷却用水路50は、第1のハウジング301の軸方向一方の端部331近傍からハウジング30の軸方向他方の端部341近傍まで、第1のハウジング301の外周面を周方向に螺旋状に形成されている。冷却用水路50の上部51は、第2のハウジング302が第1のハウジング301の外周面に当接することにより閉じられている。
【0049】
冷却用油路40と冷却用水路50とは、第1のハウジング301の軸方向に隣り合うように配置されており、図6に示すように、第1のハウジング301の軸方向に沿う断面において、冷却用油路40と冷却用水路50とが、軸方向に交互に並んで位置するように形成されている。なお、冷却用油路40と冷却用水路50とは、ハウジング30の径方向に隣接していてもよい。
【0050】
第1のハウジング301の軸方向両端部331,341近傍における第1のハウジング301の外周面には、シール溝351a,351bが設けられ、シール溝35a,35bにはOリング60が嵌め込まれている。これにより、第1のハウジング301の外周面と第2のハウジング302の内周面がシールされている。
【0051】
図6のように構成された冷却用油路40によれば、冷却用油路40内を冷却オイルが流れることで、ハウジング30、ステータコア21及びステータコイルが冷却される。本実施形態では、冷却用オイルがステータコア21に直接触れているため、ステータコア21の冷却効率が向上する。
【0052】
冷却オイルは、第1のハウジング301の軸方向一方の端部331近傍からハウジング30の軸方向他方の端部341近傍まで、ステータコア21の外周上を流れた後、ハウジング30の外部へと流出される。なお、端部341近傍から流出した冷却オイルが再び端部331近傍から冷却用油路40に流入するように、端部331近傍の冷却オイル流入口と端部341近傍の冷却オイル流出口を繋ぐ通路をハウジング30外部に設け、冷却オイルを循環させてもよい。
【0053】
また、第1のハウジング301の外周面に形成された冷却用水路50内を冷却水が流れることで、冷却水と冷却オイルとの間で熱交換が起こり、冷却用オイルが冷却される。冷却水は、第1のハウジング30の軸方向一方の端部331近傍から冷却用水路50に流入し、第1のハウジング301の軸方向他方の端部341近傍まで流れた後、ハウジング30の外部へと流出される。端部341近傍から流出した冷却水が再び端部331近傍から冷却用水路50に流入するように、端部331近傍の冷却水流入口と端部341近傍の冷却水流出口を繋ぐ通路をハウジング30外部に設け、冷却水を循環させてもよい。冷却水は、ハウジング外部に放熱部を設けて冷却してもよい。なお、他の実施形態と同様に、冷却水は、冷却オイルを冷却するだけでなく、ハウジング30も冷却し、ハウジング30を通じてステータコア21及びステータコイルも冷却する。
【0054】
上記した第3実施形態のモータ1によれば、第1実施形態のモータにより得られる効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
【0055】
モータ1は、第1のハウジング301に冷却用油路40及び冷却用水路50を有し、冷却用油路40は第1のハウジング301の内周面に設けられた溝により形成され、冷却用水路50は第1のハウジング301の外周面に設けられた溝により形成されている。そして、冷却用油路40の底部42はステータコア21により閉じられ、冷却用水路50の上部51は第2のハウジング302の外周面によって閉じられている。このように、ステータコア21の外周面を冷却用油路40の一部としているため、2層構造のハウジングによっても、冷却用油路40及び冷却用水路50を形成する際にハウジング内部に水路や油路のパイプを鋳込む必要がない冷却構造を提供することができる。即ち、ハウジング30を2層構造にしつつ、且つハウジング30を機械加工するだけで冷却用油路40及び冷却用水路50を形成することができる。このため、製造工程をより簡素化でき、さらにコストダウンを図ることができる。また、ハウジング30が3層構造を有する場合に比べ、ハウジング30全体の厚さを抑えることができ、省スペース化が可能となる。
【0056】
また、冷却用油路40の底部42はステータコア21により閉じられているため、冷却用油路40を流れる冷却オイルはステータコア21に直接触れる。このため、ステータコア21及びステータコア21のティースに巻き回されているステータコイルの冷却効率が向上する。
【0057】
(第4実施形態)
図7を参照して、第4実施形態のモータを説明する。
【0058】
図7は、第4実施形態のモータ1の全体構造を示す断面模式図である。第4実施形態では、第3実施形態と同様にハウジング30が2層構造を有するが、冷却用水路50が、第1のハウジング301の軸方向の略中央位置から冷却水が流入するように形成されている点が、第3実施形態と異なる。
【0059】
図7に示すように、第1のハウジング301の外周面に設けられた溝により形成される冷却用水路50は、第1のハウジング301の軸方向の略中央位置に、冷却水が流入する冷却水入口52を備える。冷却用水路50は、第1のハウジング301の軸方向の略中央位置において、第1のハウジング301の軸方向一端331に向かう第1冷却用水路501と、第1のハウジング301の軸方向他端341に向かう第2冷却用水路502に分岐している。
【0060】
第1冷却用水路501は第1のハウジング301の軸方向の略中央位置から第1のハウジング301の軸方向一端331近傍まで、第1のハウジング301の外周面を周方向に螺旋状に形成されている。第2冷却用水路502は第1のハウジング301の軸方向の略中央位置から第1のハウジング301の軸方向他端341近傍まで、第1のハウジング301の外周面を周方向に螺旋状に形成されている。第3実施形態と同様に、冷却用油路40及び冷却用水路50は、第1のハウジング301の軸方向に沿う断面において、冷却用油路40と冷却用水路50とが、軸方向に交互に並んで位置するように形成されている。なお、冷却用油路40と冷却用水路50とは、ハウジング30の径方向に隣接していてもよい。
【0061】
冷却水入口52から冷却用水路50に冷却水が流入すると、第1のハウジング301の軸方向の略中央位置で第1冷却用水路501を流れる冷却水と、第2冷却用水路502を流れる冷却水とに分流される。第1冷却用水路501側に分流された冷却水は、隣接する冷却用油路40を流れる冷却用オイルを冷却しながら、第1のハウジング301の軸方向一端331近傍まで流れる。同様に、第2冷却用水路502に分流された冷却水は、隣接する冷却用油路40を流れる冷却オイルを冷却しながら、第1のハウジング301の軸方向他端341近傍まで流れる。
【0062】
両端部331,341近傍から流出した冷却水が再び第1のハウジング301の軸方向の略中央位置の冷却水入口52から冷却用水路50に流入するように、両端部331,341近傍の冷却水出口と冷却水入口52を繋ぐ通路をハウジング30外部に設け、冷却水を循環させてもよい。冷却水は、ハウジング外部に放熱部を設けて冷却してもよい。なお、他の実施形態と同様に、冷却水は、冷却オイルを冷却するだけでなく、ハウジング30も冷却し、ハウジング30を通じてステータコア21及びステータコイルも冷却する。
【0063】
上記した第4実施形態のモータ1によれば、第3実施形態のモータ1により得られる効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
【0064】
冷却用水路50は、第1のハウジング301の軸方向の略中央位置に、冷却水が流入する冷却水入口52を備え、第1のハウジング30の軸方向の略中央位置から第1のハウジング301の軸方向一端331と、軸方向他端341とに向かう2つの水路に分岐している。このため、冷却水を第1のハウジング301の軸方向の略中央位置から両端部331,341近傍まで2系統に分けて流すことが可能となる。このように、冷却水を第1のハウジング301の軸方向の略中央位置から2系統に分けて流すことで、冷却水が流れる距離は短くなる。これにより、冷却用水路50による圧力損失を低減することができ、冷却水をハウジング30内に供給するために用いるポンプ等を小型化することが可能となる。また、冷却水が流れる距離が短くなるため、冷却水をハウジング30の軸方向一端から他端まで流す場合に比べ、冷却水の温度上昇を抑えることができ、冷却用オイル及びモータの冷却効率が向上する。
【0065】
なお、図7においては、第1のハウジング301の軸方向の中央位置から冷却水を流入しているが、必ずしもこれに限られず、冷却水は中央に近い位置から流入されればよい。例えば図6の斜線で示した冷却用水路の位置のように、中央からややずれた位置から流入されるような構成であってもよい。
【0066】
また、本実施形態では、第1のハウジング301の内周面に冷却用油路40、外周面に冷却用水路50を形成しているがこれに限らない。即ち、第1実施形態のようにハウジング30内部に冷却用水路50を設けた場合や、第2実施形態のように第2のハウジング32の外周面に冷却用水路50を設けた場合にも、軸方向の略中央位置から冷却水が流入するように冷却用水路50を構成することができる。
【0067】
(第5実施形態)
図8を参照して、第5実施形態のモータを説明する。
【0068】
図8は、第5実施形態のモータ1の全体構造を示す断面模式図である。第5実施形態では、冷却用油路40が、第1のハウジング301の軸方向の略中央位置から冷却オイルが流入するように形成されている点、及び第1のハウジング301の軸方向両端近傍から冷却オイルがコイルエンド22に向かって流出するように形成されている点が、第3実施形態と異なる。
【0069】
図8に示すように、第1のハウジング301の内周面に設けられた溝により形成される冷却用油路40は、第1のハウジング30の軸方向の略中央位置に、冷却用オイルが流入する冷却オイル入口43を備える。冷却用油路40は、第1のハウジング301の軸方向の略中央位置において、第1のハウジング301の軸方向一端331に向かう第1冷却用油路401と、第1のハウジング301の軸方向他端341に向かう第2冷却用油路402とに分岐している。
【0070】
図8に示すように、第1のハウジング301の軸方向の略中央位置から分岐した第1冷却用油路401は、第1のハウジング301の軸方向の略中央位置から第1のハウジング301の軸方向一端331近傍まで形成される。同様に、第1のハウジング301の軸方向の略中央位置から分岐した第2冷却用油路402は、第1のハウジング301の軸方向の略中央位置から第1のハウジング301の軸方向他端341近傍まで形成される。なお、第3、第4実施形態と同様に、冷却用油路40及び冷却用水路50は、第1のハウジング301の軸方向に沿う断面において、冷却用油路40と冷却用水路50とが、軸方向に交互に並んで位置するように形成されている。また、冷却用油路40と冷却用水路50とは、ハウジング30の径方向に隣接していてもよい。
【0071】
第1冷却用油路401及び第2冷却用油路402は、底部42の全体がステータコア21によって閉じられているが、第1のハウジング30の軸方向両端部331,341近傍においては底部42の一部のみが閉口されており、それぞれ冷却用油路40の底部42に開口部(冷却油路の流出口)421,422が形成されている。
【0072】
第1のハウジング301の軸方向両端部331,341近傍に位置する冷却用油路40の開口部411,412は、それぞれ第1のハウジング301の内周面からステータ20のコイルエンド22に臨むように形成されている。
【0073】
冷却オイル入口43から冷却用油路40に冷却オイルが流入されると、冷却オイルは、第1のハウジング301の軸方向の略中央位置で第1冷却用油路401を流れる冷却オイルと、第2冷却用油路402を流れる冷却オイルとに分流される。第1冷却用油路401側に分流された冷却オイルは、ハウジング30、ステータコア21及びステータコイルを冷却しながら、第1のハウジング301の軸方向一端331近傍まで流れる。同様に、第2冷却用油路402に分流された冷却オイルは、ハウジング30、ステータコア21及びステータコイルを冷却しながら、第1のハウジング301の軸方向他端341近傍まで流れる。なお、他の実施形態と同様に、冷却用オイルは冷却用油路40を流れる間、冷却用油路40に隣接する冷却用水路50を流れる冷却水によって冷却される。
【0074】
第1冷却用油路401を流れる冷却オイルは、第1のハウジング301の軸方向一端331近傍まで到達すると、冷却用油路40の開口部411から流出し、コイルエンド22に滴下され、コイルエンド22が冷却される。同様に、第2冷却用油路402を流れる冷却オイルは、第1のハウジング301の軸方向他端341近傍まで到達すると、冷却用油路40の開口部412から流出し、コイルエンド22に滴下され、コイルエンド22が冷却される。
【0075】
上記した第5実施形態のモータ1によれば、第3実施形態のモータ1により得られる効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
【0076】
モータ1の冷却用油路40は、第1のハウジング301の軸方向の略中央位置に、冷却用オイルが流入する冷却オイル入口43を備え、第1のハウジング301の軸方向の略中央位置から第1のハウジング301の軸方向一端331と、第1のハウジング301の軸方向他端341とに向かう2つの冷却用油路401,402に分岐している。このため、冷却オイルを第1のハウジング301の軸方向の略中央位置から両端部331,341近傍まで2系統に分けて流すことが可能となる。このように、冷却オイルを第1のハウジング301の軸方向の略中央位置から2系統に分けて流すことで、冷却オイルが流れる距離は短くなる。これにより、冷却用油路40による圧力損失を低減することができ、冷却オイルをハウジング30内に供給するために用いるポンプ等を小型化することが可能となる。また、冷却オイルが流れる距離が短くなるため、冷却オイルをハウジング30の軸方向一端から他端まで流す場合に比べ、冷却オイルの温度上昇を抑えることができ、モータ1の冷却効率が向上する。
【0077】
また、モータ1は、第1のハウジング301の軸方向両端近傍に第1のハウジング301の内周面からステータ20のコイルエンド22に臨むように形成された冷却用油路40の開口部411,412を備える。これにより、冷却水によって冷却された冷却オイルを直接コイルエンド22に滴下してコイルエンド22を冷却することができ、コイルエンド22の冷却効率が向上する。また、第1のハウジング301の軸方向両端近傍の冷却用油路40に形成された開口部411,412から、冷却オイルを滴下してコイルエンド22を冷却するため、冷却オイルをコイルエンド22に導く通路を別途設ける必要がない。従って、製造工程を簡素化でき、コストダウンを図ることができる。
【0078】
なお、図8においては、第1のハウジング301の軸方向の中央位置から冷却オイルを流入しているが、必ずしもこれに限られず、冷却オイルは中央に近い位置から流入されればよい。例えば図6の斜線で示した冷却用油路の位置のように、中央からややずれた位置から流入されるような構成であってもよい。
【0079】
また、本実施形態では、第1のハウジング301の軸方向両端近傍において、冷却用油路40の底部42の一部が開口している構成としたが、これに限らず、冷却用油路40の底部42の全部が開口した構成としてもよい。
【0080】
また、本実施形態では、第1のハウジング301の内周面に冷却用油路40、外周面に冷却用水路50を形成しているがこれに限らない。即ち、第1実施形態のようにハウジング30内部に冷却用油路40を設けた場合や、第2実施形態のように第1のハウジング31の外周面に冷却用油路40を設けた場合にも、軸方向の略中央位置から冷却オイルが流入するように冷却用油路40を構成することができる。また、ハウジング30内部に冷却用油路40を設けた場合や、第1のハウジング31の外周面に冷却用油路40を設けた場合にも、ハウジングの軸方向両端近傍にステータ20のコイルエンド22に臨む開孔部を設けて、開孔部から冷却オイルを滴下してコイルエンド22を冷却する構造としてもよい。
【0081】
また、本実施形態では、第1のハウジング301の軸方向両端近傍の開口部411,412から冷却オイルが流出するように構成されているが、開口部411,412を設けずに、軸方向の略中央位置から流入した冷却オイルが、ハウジングの軸方向両端近傍からモータ1外部へと流出されるように冷却用油路40を構成してもよい。このような構成であっても、冷却オイルが流れる距離が短くなることによる効果を得ることができる。
【0082】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0083】
なお、いずれの実施形態においても、冷却用油路40及び冷却用水路50は、ハウジング30内部全体に渡って周方向に螺旋状に形成されるとしたが、冷却用油路40及び冷却用水路50は、ハウジング30内部全体に渡って隣接して形成されていれば、必ずしもこれに限られない。例えば、図9に示すように、冷却用油路40及び冷却用水路50を、ステータコア21の外周を取り囲む複数の通路と、該複数の通路のそれぞれと連結するハウジング30の軸方向に延びるハウジング30上下の通路と、によって構成してもよい。
【0084】
また、いずれの実施形態においても、冷却オイルの冷却効率を向上させるため、冷却用水路50の断面積は冷却用油路40の断面積より大きいことが好ましいが、必ずしもこれに限らず、水路及び油路の断面積は任意の大きさに設定してよい。
【0085】
また、いずれの実施形態においても、冷却用水路50を流れる冷却水で冷却用油路40を流れる冷却オイルを冷却する構成としたが、これを逆にして、冷却水を冷却用オイルで冷却する構成にしてもよい。その場合、冷却用オイルを冷却するためのオイルクーラが別途必要となるが、冷却水を冷却するためのラジエータ等冷却装置が不要となるため、同様に省スペース化が可能となる。
【0086】
上述した各実施形態は、それぞれ単独の実施形態として説明したが、適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0087】
1 モータ
10 ロータ
20 ステータ
21 ステータコア
22 コイルエンド
30 ハウジング
40 冷却用油路
50 冷却用水路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9