IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 市光工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-車両用灯具 図1
  • 特許-車両用灯具 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-19
(45)【発行日】2022-07-27
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   H05B 45/50 20220101AFI20220720BHJP
   B60Q 1/04 20060101ALI20220720BHJP
【FI】
H05B45/50
B60Q1/04 D
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018086208
(22)【出願日】2018-04-27
(65)【公開番号】P2019192565
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2021-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145908
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 信雄
(74)【代理人】
【識別番号】100136711
【弁理士】
【氏名又は名称】益頭 正一
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 勤
【審査官】安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-005185(JP,A)
【文献】特開2018-055545(JP,A)
【文献】特開2012-064339(JP,A)
【文献】特開2012-174518(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 45/50
B60Q 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
定電流回路から出力される電流により駆動される車両用灯具において、
直列に接続された複数の発光素子からなる光源回路が複数並列に接続され、一の光源回路をマスター光源回路として備えるとともに残余の光源回路を一つ以上のスレーブ光源回路として備える光源ユニットと、
前記マスター光源回路に流れる電流に応じて、前記一つ以上のスレーブ光源回路のそれぞれに電流を流す第1カレントミラー回路と、
前記光源回路のそれぞれについて断線を検出する断線検出部と、を有し、
前記断線検出部は、
前記マスター光源回路に流れる電流に応じて、前記マスター光源回路及び前記一つ以上のスレーブ光源回路に並列接続され前記マスター光源回路及び前記一つ以上のスレーブ光源回路の断線を検出するための単一の断線検出ラインに検出用電流を流す第2カレントミラー回路と、
前記検出用電流の変動に基づいて断線を判断する判断部と、
を有する車両用灯具。
【請求項2】
前記一つ以上のスレーブ回路のいずれかが断線した場合、前記検出用電流は当該断線したスレーブ回路に流れていた電流に応じて増加し、
前記マスター光源回路が断線した場合、前記検出用電流は停止する
請求項1記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記断線検出ラインは、前記検出用電流の変動を検出電圧の変動に変換する抵抗を備え、
前記判断部は、前記検出電圧の変動に基づいて断線を判断する
請求項1又は2記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
高い発光効率及び優れた意匠性を備えることから、LED等の半導体素子を光源として用いた車両用灯具が提案されている。この類の車両用灯具においては、直列に接続された複数の発光素子からなる光源回路を複数並列に接続した構成を採用した光源部が知られている。
【0003】
例えば特許文献1には、定電流回路から出力される定電流により、内蔵する発光素子を発光させる電流駆動回路が開示されている。この電流駆動回路は、複数の発光素子を直列に接続した直列発光回路を、複数並列接続した発光部と、複数の直列発光回路のうちの1の直列発光回路を流れる電流を、残余の直列発光回路に入力するカレントミラー回路とを備えている。
【0004】
また、例えば特許文献2には、光源ユニットが複数並列に設けられた光源ユニット群を入力部から入力される点灯指示信号により点灯させる光源ユニット群点灯装置が開示されている。この光源ユニット群点灯装置は、光源ユニット群への通電を制御する点灯スイッチ部と、各光源ユニットの断線の有無を検出する断線検出部と、断線の有無の情報に基づいて点灯スイッチ部を制御するスイッチ制御部とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-5185号公報
【文献】特開2008-168706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された手法によれば、断線を検出する機能がなく、光源回路(直列発光回路)が断線したことを認識することができないという問題ある。また、断線しても回路が停止せず、光源回路が点灯し続けるため、異常時に消灯するという要求がある場合に、これに応えることができない。さらに、断線した系統分の電流が他の光源回路に流れるため、光量が変動するが、その変動に対応することができない。
【0007】
一方、特許文献2に開示された手法には、各光源回路(光源ユニット)の断線を検出する機能が開示されている。しかしながら、この手法によれば、各光源回路に対して電子部品及び信号配線を設ける必要があり、光源回路の数に応じてコストが増加してしまうという不都合がある。
【0008】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、互いに並列接続された複数の光源回路の断線を簡素な構成で検出することができる車両用灯具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる課題を解決するために、本発明は、定電流回路から出力される電流により駆動される車両用灯具を提供する。この車両用灯具は、直列に接続された複数の発光素子からなる光源回路が複数並列に接続され、一の光源回路をマスター光源回路として備えるとともに残余の光源回路を一つ以上のスレーブ光源回路として備える光源ユニットと、マスター光源回路に流れる電流に応じて、一つ以上のスレーブ光源回路のそれぞれに電流を流す第1カレントミラー回路と、光源回路のそれぞれについて断線を検出する断線検出部と、を有している。そして、断線検出部は、マスター光源回路に流れる電流に応じて、マスター光源回路及び一つ以上のスレーブ光源回路に並列接続され前記マスター光源回路及び前記一つ以上のスレーブ光源回路の断線を検出するための単一の断線検出ラインに検出用電流を流す第2カレントミラー回路と、検出用電流の変動に基づいて断線を判断する判断部と、を有している。
【0010】
ここで、本発明は、一つ以上のスレーブ回路のいずれかが断線した場合、検出用電流は当該断線したスレーブ回路に流れていた電流に応じて増加し、マスター光源回路が断線した場合、検出用電流は停止することが好ましい。
【0011】
また、本発明において、断線検出ラインは、検出用電流の変動を検出電圧の変動に変換する抵抗を備え、判断部は、検出電圧の変動に基づいて断線を判断することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る車両用灯具によれば、互いに並列接続された複数の光源回路の断線を簡素な構成で検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態に係る車両用灯具を模式的に示す構成図
図2】検出電圧の電圧変動を示すタイミングチャート
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本実施形態に係る車両用灯具1について説明する。ここで、図1は、本実施形態に係る車両用灯具1を模式的に示す構成図である。
【0015】
車両用灯具1は、光源ユニット10と、電源回路20と、第1カレントミラー回路30と、断線検出部40とを主体に構成されている。この車両用灯具1は、電源回路20からの電流を光源ユニット10へと供給することで点灯する。
【0016】
光源ユニット10は、互いに並列接続された複数の光源回路、本実施形態では4つの光源回路11を備えている。個々の光源回路11は、それぞれ直列接続された複数の発光素子、例えばLEDから構成されている。各光源回路11のアノード側は、電源ラインLpに共通接続され、そのカソード側は、第1カレントミラー回路30にそれぞれ接続されている。本実施形態において、これらの4つの光源回路11のうち、一の光源回路11をマスター光源回路12といい、残余の光源回路11をそれぞれスレーブ光源回路13という。
【0017】
電源回路20は、定電流を出力する回路であり、出力電圧を変化させることができる。電源回路20には、例えば定電流出力型DC/DCコンバータ等を用いることができる。電源回路20には、車両に搭載されたバッテリー等の直流電源(図示せず)が接続されている。また、電源回路20には、光源ユニット10に入力電流を供給するための電源ラインLpが接続されている。
【0018】
第1カレントミラー回路30は、各光源回路11を流れる電流が等しくなるように、各光源回路11に対して電源回路20から供給される電流を分配する。具体的には、第1カレントミラー回路30は、マスター光源回路12に流れる電流に応じて、3つのスレーブ光源回路13のそれぞれに電流を流す機能を備えている。第1カレントミラー回路30は、各光源回路11に直列に接続されたトランジスタQ1~Q4を備えている。
【0019】
トランジスタQ1~Q4は、NPN型のバイポーラトランジスタであり、マスター光源回路12及び3つのスレーブ光源回路13のそれぞれに直列接続されている。具体的には、トランジスタQ1は、マスター光源回路12に接続されている。残余のトランジスタQ2~Q4は、3つのスレーブ光源回路13にそれぞれ接続されている。
【0020】
トランジスタQ1~Q4のコレクタ端子は、マスター光源回路12及びスレーブ光源回路13のカソード側に接続されている。
【0021】
トランジスタQ1~Q4のエミッタ端子は、抵抗R1~R4を介して接地ラインLgに接続されている。抵抗R1~R4は、エミッタ抵抗として機能する。抵抗R1~R4は、その両端電圧が所定の電圧となるように抵抗値が選定されている。抵抗R1~R4を設けることで、抵抗R1~R4に流れる電流により電位差が生じる。これにより、トランジスタQ1~Q4のベース-エミッタ間電圧のばらつきを吸収し、各光源回路11に流れる電流を安定させることができる。
【0022】
トランジスタQ1~Q4のベース端子は、共通接続されている。
【0023】
また、第1カレントミラー回路30には、トランジスタQ5が接続されている。トランジスタQ5は、電源ラインLpと、トランジスタQ1~Q4との間に接続されており、個々のトランジスタQ1~Q4に対してダーリントン接続されている。トランジスタQ5のコレクタ端子は、電源ラインLpに接続され、そのエミッタ端子は、個々のトランジスタQ1~Q4のベース端子に共通接続されている。また、トランジスタQ5のベース端子は、後述するトランジスタQ6のエミッタ端子とトランジスタQ1のコレクタ端子との接続点Aに接続されている。
【0024】
断線検出部40は、光源回路11のそれぞれについて断線を検出する。この断線検出部40は、第2カレントミラー回路41と、判断部42とで構成されている。
【0025】
第2カレントミラー回路41は、マスター光源回路12に流れる電流に応じて、マスター光源回路12に並列接続された断線検出ラインLdに検出用電流を流す機能を備えている。第2カレントミラー回路41は、トランジスタQ6,Q7を備えている。トランジスタQ6,Q7は、NPN型のバイポーラトランジスタである。
【0026】
トランジスタQ6のコレクタ端子は、マスター光源回路12のカソード側に接続され、そのエミッタ端子は、トランジスタQ1のコレクタ端子に接続されている。トランジスタQ6のベース端子は、トランジスタQ7のベース端子と共通接続されている。
【0027】
トランジスタQ7のコレクタ端子は、電源ラインLpに接続され、そのエミッタ端子は、抵抗R5を介して接地ラインLgに接続されている。電源ラインLpとの接続点から、トランジスタQ7のコレクタ端子、トランジスタQ7のエミッタ端子及び抵抗R5を介して、接地ラインLgへと至る経路により、断線検出ラインLdが構成される。
【0028】
第2カレントミラー回路41には、トランジスタQ8が接続されている。トランジスタQ8は、電源ラインLpと、トランジスタQ6,Q7との間に接続されており、個々のトランジスタQ6,Q7に対してダーリントン接続されている。トランジスタQ8のコレクタ端子は、電源ラインLpに接続され、そのエミッタ端子は、トランジスタQ6,Q7のベース端子に共通接続されている。また、トランジスタQ8のベース端子は、マスター光源回路12のカソード側とトランジスタQ6のコレクタ端子との接続点Bに接続されている。
【0029】
判断部42は、検出用電流の変動による断線検出ラインLdの電圧変動、すなわち、検出電圧Vaの変動に基づいて、光源ユニット10の断線を判断する。判断部42は、抵抗R5と、第1コンパレータ43と、第2コンパレータ44とで構成されている。
【0030】
抵抗R5は、光源ユニット10の非断線時に、その両端電圧が所定の電圧となるように抵抗値が選定されている。抵抗R5を設けることで、断線検出ラインLdを流れる電流(検出用電流)により電位差(検出電圧Va)が生じる。この際、検出用電流の電流変化は、検出電圧Vaの電圧変化として現れる。抵抗R5は、検出用電流の電流変化を、検出電圧Vaの電圧変化へと変換する機能を備えている。この電位差(検出電圧Va)を通じて、断線検出ラインLdの電圧変化を認識することができる。
【0031】
第1コンパレータ43の非反転入力端(+)、及び第2コンパレータ44の反転入力端子(-)は、トランジスタQ7のエミッタ端子と抵抗R5との接続点にそれぞれ接続されている。
【0032】
第1コンパレータ43は、非反転入力端(+)に入力される検出電圧Vaと、反転入力端(-)に入力される第1判定電圧Vref1とを比較することにより、第1断線検出信号S1を生成する。第1断線検出信号S1は、検出電圧Vaが第1判定電圧Vref1よりも高ければハイレベルとなり、検出電圧Vaが第1判定電圧Vref1よりも低ければローレベルとなる。
【0033】
第2コンパレータ44は、非反転入力端(+)に入力される第2判定電圧Vref2と、反転入力端(-)に入力される検出電圧Vaとを比較することにより、第2断線検出信号S2を生成する。第2断線検出信号S2は、第2判定電圧Vref2が検出電圧Vaよりも高ければハイレベルとなり、第2判定電圧Vref2が検出電圧Vaよりも低ければローレベルとなる。
【0034】
判断部42による判断結果、すなわち、第1断線検出信号S1及び第2断線検出信号S2は、電源回路20の出力電流を設定したり、光源ユニット10の状況を報知したりする上位の制御部(図示せず)に対して出力される。
【0035】
以下、本実施形態に係る車両用灯具1における断線検出処理について説明する。ここで、図2は、検出電圧Vaの電圧変動を示すタイミングチャートである。同図において、(a)は光源回路11のいずれにも断線が発生していない状態を示すタイミングチャートである。(b)はスレーブ光源回路13のいずれかに断線が発生した状態を示すタイミングチャートであり、(c)はマスター光源回路12に断線が発生した状態を示すタイミングチャートである。
【0036】
まず、光源回路11のいずれにも断線が発生していない状態について説明する。電源回路20から供給される定電流は、第1カレントミラー回路30及び第2カレントミラー回路41によって均等に分配され、各光源回路11及び断線検出ラインLdをそれぞれ流れる。これにより、マスター光源回路12及び3つのスレーブ光源回路13のそれぞれが点灯する。電源回路20からの定電流は、断線検出ラインLd、マスター光源回路12及び3つのスレーブ光源回路13において均等に分流され、個々の回路に流れる電流ILEDは、電源回路20から出力される定電流の等分値(定電流の20%値)になる。
【0037】
ここで、トランジスタQ5のコレクタ端子へと入力される電流Ic5は、電流ILEDをトランジスタQ5の増幅率hfe5で除算した値(ILED/hfe5)となる。本実施形態において、トランジスタQ5の増幅率hfe5は、十分に大きなものが選択されており、トランジスタQ5のコレクタ端子へと入力される電流Ic5は十分に小さいものとなっている。
【0038】
同様に、トランジスタQ8のコレクタ端子へと入力される電流Ic8は、電流ILEDをトランジスタQ8の増幅率hfe8で除算した値(ILED/hfe8)となる。本実施形態において、トランジスタQ8の増幅率hfe8は、十分に大きなものが選択されており、トランジスタQ8のコレクタ端子へと入力される電流Ic8は十分に小さいものとなっている。
【0039】
断線検出部40の判断部42において、第1コンパレータ43の反転入力端(-)に入力される第1判定電圧Vref1は、非断線時の電流ILEDと抵抗R5とを基準に、以下の条件1を満たすように設定されている。
<条件1>
R5×ILED < Vref1 < R5×(ILED+ILED/4)
【0040】
また、第2コンパレータ44の非反転入力端(+)に入力される第2判定電圧Vref2は、非断線時の電流ILEDと抵抗R5とを基準に、以下に示す条件2を満たすように設定されている。
<条件2>
Vref2 < R5×ILED
【0041】
したがって、判断部42は、検出電圧Vaが第2判定電圧Vref2よりも大きく、かつ、第1判定電圧Vref1よりも小さいことを条件に、マスター光源回路12及び3つのスレーブ光源回路13のいずれも断線していないと判断することができる。この場合、判断部42から出力される第1断線検出信号S1及び第2断線検出信号S2は、それぞれローレベルとなる。判断部42に接続する上位の制御部は、第1断線検出信号S1及び第2断線検出信号S2がそれぞれローレベルであることを条件に、マスター光源回路12及び3つのスレーブ光源回路13のいずれも断線していないと認識することができる。
【0042】
一方、3つのスレーブ光源回路13のうち、いずれかのスレーブ光源回路13が断線したとする。この場合、断線したスレーブ光源回路13に流れていた電流が、断線検出ラインLd、マスター光源回路12、残余の2つのスレーブ光源回路13に分流される。
【0043】
検出電圧Vaは、断線前と断線後とで次のように変化する。
<断線前>
Va=R5×ILED
<断線後>
Va=R5×ILED+R5×ILED/4
【0044】
断線後の検出電圧Vaは、第1判定電圧Vref1よりも大きくなる。したがって、判断部42は、検出電圧Vaが第1判定電圧Vref1よりも大きいことを条件に、3つのスレーブ光源回路13のうちいずれかが断線したことを判断することができる。この場合、判断部42から出力される第1断線検出信号S1はハイレベルとなり、第2断線検出信号S2はローレベルとなる。判断部42に接続する上位の制御部は、第1断線検出信号S1がハイレベルで、第2断線検出信号S2がローレベルであることを条件に、3つのスレーブ光源回路13のいずれかに断線が生じたことを認識することができる。
【0045】
これに対して、マスター光源回路12が断線したとする。この場合、マスター光源回路12のカソード側に直列接続されたトランジスタQ6のコレクタ電流が停止する。このため、第2カレントミラー回路41の動作が停止する。そして、断線検出ラインLdの電流も停止する。
【0046】
断線後の検出電圧Vaは、第2判定電圧Vref2よりも小さくなる。したがって、判断部42は、検出電圧Vaが第2判定電圧Vref2よりも小さいことを条件に、マスター光源回路12が断線したことを判断することができる。この場合、判断部42から出力される第1断線検出信号S1はローレベルとなり、第2断線検出信号S2はハイレベルとなる。判断部42に接続する上位の制御部は、第1断線検出信号S1がローレベルで、第2断線検出信号S2がハイレベルであることを条件に、マスター光源回路12に断線が生じたことを認識することができる。
【0047】
このように本実施形態の車両用灯具1によれば、第1カレントミラー回路30を用いることで、複数の光源回路11に対して電源回路20からの定電流を均等に分配することができる。これにより、多数の光源回路11を並列接続することができるので、個々の光源回路11が備える発光素子の直列数を減らすことができ、個々の光源回路11に作用する電圧を低下させることができる。その結果、定格電圧が低い電子部品で車両用灯具1を構成することができる。
【0048】
また、本実施形態の車両用灯具1によれば、第2カレントミラー回路41により、マスター光源回路12の電流に応じて断線検出ラインLdに対して電流を分配している。これにより、マスター光源回路12の断線、及び3つのスレーブ光源回路13の断線により、断線検出ラインLdを流れる検出用電流が変動する。そのため、この断線検出ラインLdの検出用電流の変動を監視することで、マスター光源回路12及び3つのスレーブ光源回路13の断線をそれぞれ判断することができる。
【0049】
また、本実施形態の車両用灯具1によれば、断線検出部40を光源回路11のそれぞれに配置せずに、マスター光源回路12側に纏めることができる。これにより、部品点数の削減、及び回路構成の小型化を実現することができる。したがって、簡素な構成で断線検出を行うことができる。
【0050】
また、本実施形態の車両用灯具1によれば、断線検出部40を備えているので、その検出結果を有効に利用することができる。これにより、上位の制御部において、電源回路20の出力電流を調整したり、光源ユニット10の状況を報知したりすることができる。
【0051】
また、本実施形態では、ダーリントン接続されたトランジスタQ5及びトランジスタQ8を備えている。これにより、電流値のばらつきを抑制することができる。
【0052】
また、本実施形態において、断線検出ラインLdは、検出用電流の電流変化を検出電圧Vaの電圧変化へと切り替える抵抗R5を備えている。これにより、第1コンパレータ43及び第2コンパレータ44による電圧比較を通じて、断線を的確に検出することができる。
【0053】
以上、本発明の実施形態に係る車両用灯具について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、その発明の範囲内において種々の変形が可能であることはいうまでもない。
【0054】
例えば、本実施形態では、3系統のスレーブ光源回路を例示した。しかしながら、スレーブ光源回路は1系統以上であればよく、3系統に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0055】
1 車両用灯具
10 光源ユニット
11 光源回路
12 マスター光源回路
13 スレーブ光源回路
20 電源回路
30 第1カレントミラー回路
40 断線検出部
41 第2カレントミラー回路
42 判断部
43 第1コンパレータ
44 第2コンパレータ
Ld 断線検出ライン
Lg 接地ライン
Lp 電源ライン
Q1~Q8 トランジスタ
R1~R5 抵抗
図1
図2