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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-19
(45)【発行日】2022-07-27
(54)【発明の名称】センサモジュール、血圧測定装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/022 20060101AFI20220720BHJP
【FI】
A61B5/022 300F
A61B5/022 100B
A61B5/022 B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018099726
(22)【出願日】2018-05-24
(65)【公開番号】P2019201980
(43)【公開日】2019-11-28
【審査請求日】2021-05-10
(73)【特許権者】
【識別番号】503246015
【氏名又は名称】オムロンヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【氏名又は名称】鵜飼 健
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(72)【発明者】
【氏名】中川 雄樹
(72)【発明者】
【氏名】北川 毅
(72)【発明者】
【氏名】間野 純平
(72)【発明者】
【氏名】山内 隆伸
【審査官】山口 裕之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0210956(US,A1)
【文献】特開昭63-100343(JP,A)
【文献】特開2016-212015(JP,A)
【文献】特開2008-61832(JP,A)
【文献】特開昭62-161344(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2006-0116635(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/022
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサベースと、
前記センサベースに固定された圧力センサ部と、
前記センサベースに固定され、外面の少なくとも生体に接触する領域を形成する、前記生体からの圧力を前記圧力センサ部側に伝達可能なゴム部を有し、かつ、前記生体側に突出し、端面が平面に形成され、少なくとも一部が前記ゴム部により構成される凸部を有し、前記ゴム部により少なくとも一部が構成された内表面と前記センサベース及び前記圧力センサ部との間に間隙部を形成するセンサヘッドカバーと、
前記間隙部内の、少なくとも前記ゴム部と前記圧力センサ部との間に設けられ、前記ゴム部よりも硬度が低く、かつ、前記ゴム部からの圧力を前記圧力センサ部に伝達可能な軟質部と、
を備え、
前記センサヘッドカバーは、
前記センサベースの前記圧力センサ部に対向する領域に形成された開口部と、
前記開口部の内に位置し、前記ゴム部と同じ材料から形成された第1の部分と、
前記開口部内の前記第1の部分の外側に位置し、前記軟質部と同じ材料から形成され、前記開口部の縁と前記第1の部分との間を閉塞する第2の部分と、
を備えるセンサモジュール。
【請求項2】
前記圧力センサ部は、感圧素子を具備し、
前記ゴム部の前記圧力センサ部側の内表面の前記感圧素子と対向する領域の少なくとも一部に、前記感圧素子に向かって突出した第1の凸部を備える
請求項1に記載のセンサモジュール。
【請求項3】
前記ゴム部の外面の前記圧力センサ部と対向する領域の少なくとも一部に、前記生体に向かって突出した第2の凸部を備える
請求項1に記載のセンサモジュール。
【請求項4】
前記圧力センサ部は、感圧素子を具備し、
前記第1の部分の前記圧力センサ部側の内表面の前記感圧素子と対向する領域の少なくとも一部に、前記感圧素子に向かって突出した第1の凸部をえる
請求項1に記載のセンサモジュール。
【請求項5】
前記第1の凸部は、前記感圧素子側に向かって断面積が漸次減少する、先細形状に構成される
請求項2または請求項4に記載のセンサモジュール。
【請求項6】
前記圧力センサ部は、複数の前記感圧素子が並んで構成された感圧素子列を具備し、
前記第1の凸部は、前記複数の感圧素子の並び方向に延びる形状に構成される
請求項2または請求項に記載のセンサモジュール。
【請求項7】
前記第1の部分は、前記生体に向かって突出した第2の凸部を備える
請求項に記載のセンサモジュール。
【請求項8】
センサベース、前記センサベースに固定された圧力センサ部、前記センサベースに固定され、外面の少なくとも生体に接触する領域を形成する、前記生体からの圧力を前記圧力センサ部側に伝達可能なゴム部を有し、かつ、前記生体側に突出し、端面が平面に形成され、少なくとも一部が前記ゴム部により構成される凸部を有し、前記ゴム部により少なくとも一部が構成された内表面と前記センサベース及び前記圧力センサ部との間に間隙部を形成するセンサヘッドカバー、及び前記間隙部内の、少なくとも前記ゴム部と前記圧力センサ部との間に設けられ、前記ゴム部よりも硬度が低く、かつ、前記ゴム部からの圧力を前記圧力センサ部に伝達可能な軟質部を具備したセンサモジュールと、
前記生体と対向する位置に設けられるとともに前記センサモジュールを配置する開口部を有し、前記生体の周方向の一部の形状に倣って湾曲する端面を有するアタッチ部と、
前記アタッチ部に設けられた固定具と、
前記アタッチ部に設けられるとともに、前記センサモジュールを収容するケースと、
を備え、
前記センサヘッドカバーは、
前記センサベースの前記圧力センサ部に対向する領域に形成された開口部と、
前記開口部の内に位置し、前記ゴム部と同じ材料から形成された第1の部分と、
前記開口部内の前記第1の部分の外側に位置し、前記軟質部と同じ材料から形成され、前記開口部の縁と前記第1の部分との間を閉塞する第2の部分と、
を備える血圧測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体の圧力を測定するセンサモジュール、及び血圧測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、血圧の測定に用いる血圧測定装置は、医療設備においてのみならず、家庭内においても、健康状態を確認する手段として利用されている。このような血圧測定装置は、例えば、オシロメトリック法を用いた技術や、トノメトリ法を用いた技術(例えば、特許文献1参照)が知られている。オシロメトリック法を用いた血圧測定装置は、生体の上腕又は手首等に巻き付けたカフの圧力を圧力センサにより検出することで、動脈壁の振動を検出して血圧を測定する。また、トノメトリ法を用いた血圧測定装置は、手首の動脈が存する領域に、複数の圧力センサを含むセンサモジュールを手首に接触させることで血圧を測定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平1-288228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
トノメトリ法を用いて血圧を測定する血圧測定装置のセンサモジュールのように、ユーザに接触させて使用されるセンサモジュールは、生体に接触する表面の保護強度を向上し、破損を防止することが求められている。
【0005】
そこで本発明は、使用時のユーザの感触を向上できるセンサモジュール、及び血圧測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様によれば、センサベースと、前記センサベースに固定された圧力センサ部と、前記センサベースに固定され、外面の少なくとも生体に接触する領域を形成する、前記生体からの圧力を前記圧力センサ部側に伝達可能なゴム部を有し、かつ、前記ゴム部により少なくとも一部が構成された内表面と前記センサベース及び前記圧力センサ部との間に間隙部を形成するセンサヘッドカバーと、間隙部内の、少なくとも前記ゴム部と前記圧力センサ部との間に設けられ、前記ゴム部よりも硬度が低く、かつ、前記ゴム部からの圧力を前記圧力センサ部に伝達可能な軟質部と、を備えるセンサモジュールが提供される。
【0007】
ここで、生体は、例えば手首である。ゴム部を形成する材料は、例えば、シリコーンゴムである。この態様によれば、センサモジュールのユーザに接触する表面がゴム部によって構成されるので、センサモジュールの生体に接触する表面の保護強度を向上し、破損を防止できる。さらに、センサヘッドカバーのゴム部が生体に接触することから、センサモジュールがユーザに接触したときのユーザの感触を向上できる。
【0008】
上記一態様センサモジュールにおいて、前記圧力センサ部は、感圧素子を具備し、前記ゴム部の前記圧力センサ部側の内表面の前記感圧素子と対向する領域の少なくとも一部に、前記感圧素子に向かって突出した第1の凸部を備える、センサモジュールが提供される。
【0009】
この態様によれば、ゴム部の一部が、感圧素子により近い位置に配置されることとなるので、生体からの圧力が、第1の凸部によって圧力センサに効率よく伝達される。
【0010】
上記一態様のセンサモジュールにおいて、前記ゴム部の外面の前記圧力センサ部と対向する領域の少なくとも一部に、前記生体に向かって突出した第2の凸部を備える、センサモジュールが提供される。
【0011】
この態様によれば、生体の圧力がより一層効率よく圧力センサに伝達される。
【0012】
上記一態様のセンサモジュールにおいて、前記センサヘッドカバーは、前記センサベースの前記圧力センサ部に対向する領域に形成された開口部と、前記開口部の内に位置し、前記ゴム部と同じ材料から形成された第1の部分と、前記開口部内の前記第1の部分の外側に位置し、前記軟質部と同じ材料から形成され、前記開口部の縁と前記第1の部分との間を閉塞する第2の部分と、を備えるセンサモジュールが提供される。
【0013】
この態様によれば、ゴム部の開口部の中央部を構成する第1の部分の周囲を、軟質部と同じ材料で形成された第2の部分で囲むように構成される。この構成によると、第1の部分は、第1の部分より硬度の低い第の部分に支持されることによって、圧力センサ部側に移動しやすくなる。この為、生体の圧力変化が圧力センサ部により一層伝わりやすくなる。
【0014】
上記一態様のセンサモジュールにおいて、前記圧力センサ部は、感圧素子を具備し、
前記第1の部分の前記圧力センサ部側の内表面の前記感圧素子と対向する領域の少なくとも一部に、前記感圧素子に向かって突出した第1の凸部を有備える、センサモジュールが提供される。
【0015】
この態様によれば、生体からの圧力が、第1の凸部によって圧力センサ部の感圧素子に集中する。この為、生体からの圧力が感圧素子に効率よく伝達される。
【0016】
上記一態様のセンサモジュールにおいて、前記第1の凸部は、前記感圧素子側に向かって断面積が漸次減少する、先細形状に構成される、センサモジュールが提供される。
【0017】
ここで、断面積が減少する先細形状は、感圧素子側に向かう方向に沿う断面形状が、例えば、三角形、台形状、または半円状となる形状である。
【0018】
この態様によれば、生体からの圧力が、第1の凸部によって圧力センサ部の感圧素子に、より集中する。この為、生体からの圧力が感圧素子により一層効率よく伝達される。
【0019】
上記一態様のセンサモジュールにおいて、前記圧力センサ部は、複数の前記感圧素子が並んで構成された感圧素子列を具備し、前記第1の凸部は、前記複数の感圧素子の並び方向に延びる形状に構成される、センサモジュールが提供される。
【0020】
この態様によれば、生体からの圧力が、第1の凸部によって圧力センサ部の感圧素子列に効率よく伝達される。
【0021】
上記一態様のセンサモジュールにおいて、前記第1の部分は、前記生体に向かって突出した第2の凸部を備える、センサモジュールが提供される。
【0022】
この態様によれば、生体からの圧力がより効率よく、圧力センサ部に伝達される。
【0023】
他の一態様によれば、センサベース、前記センサベースに固定された圧力センサ部、前記センサベースに固定され、外面の少なくとも生体に接触する領域を形成する、前記生体からの圧力を前記圧力センサ部側に伝達可能なゴム部を有し、かつ、前記ゴム部により少なくとも一部が構成された内表面と前記センサベース及び前記圧力センサ部との間に間隙部を形成するセンサヘッドカバー、及び前記間隙部内の、少なくとも前記ゴム部と前記圧力センサ部との間に設けられ、前記ゴム部よりも硬度が低く、かつ、前記ゴム部からの圧力を前記圧力センサ部に伝達可能な軟質部を具備したセンサモジュールと、前記生体と対向する位置に設けられるとともに前記センサモジュールを配置する開口部を有し、前記生体の周方向の一部の形状に倣って湾曲する端面を有するアタッチ部と、前記アタッチ部に設けられた固定具と、前記アタッチ部に設けられるとともに、前記センサモジュールを収容するケースと、を備える血圧測定装置が提供される。
【0024】
この態様によれば、センサヘッドカバーのゴム部が生体に接触することから、センサモジュールの生体に接触する表面の保護強度を向上し、破損を防止できる。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、センサモジュールの生体に接触する表面の保護強度を向上し、破損を防止できるセンサモジュール、及び血圧測定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一実施形態に係る血圧測定装置の構成を示す斜視図。
図2】同血圧測定装置の構成を示すブロック図。
図3】同血圧測定装置のセンサ装置の構成を示す斜視図。
図4】同血圧測定装置のセンサ装置の一部の構成を示す斜視図。
図5】同血圧測定装置のセンサユニットの構成を示す斜視図。
図6】同センサユニットの構成を示す平面図。
図7】同センサユニットのセンサモジュール及び空気袋の構成を、図6に示すVII-VII線断面に沿って切断した状態を示す断面図。
図8】同センサユニットのセンサモジュール及び空気袋の構成を、図6に示すVIII-VIII線断面に沿って切断した状態を示す断面図。
図9】同センサユニットのセンサモジュール及び空気袋の構成を、図6に示すIX-IX線断面に沿って切断した状態を示す断面図。
図10】同血圧測定装置の構成を示す断面図。
図11】同血圧測定装置の構成を示す断面図。
図12】同血圧測定装置の構成を示す断面図。
図13】同センサユニットのセンサモジュールの構成を示す断面図。
図14】同センサモジュールの構成を示す断面図。
図15】同センサモジュールのセンサベースを示す斜視図。
図16】同センサユニットのセンサモジュールの構成を示す平面図。
図17】同血圧測定装置のセンサユニットの位置調整を示す説明図。
図18】同センサモジュールの製造方法の一例を示す流れ図。
図19】同血圧測定装置を使用した血圧測定の一例を示す流れ図。
図20】同血圧測定装置を使用した血圧測定の一例を示す説明図。
図21】同血圧測定装置を使用した血圧測定の一例を示す説明図。
図22】同血圧測定装置を使用した血圧測定の一例を示す説明図。
図23】本発明の他の実施形態に係る血圧測定装置のセンサモジュールの構成を示す断面図。
図24】本発明の他の実施形態に係る血圧測定装置のセンサモジュールの構成を示す断面図。
図25】同センサモジュールの構成を示す断面図。
図26】本発明の他の実施形態に係る血圧測定装置のセンサモジュールの構成を示す断面図。
図27】本発明の他の実施形態に係る血圧測定装置のセンサモジュールの構成を示す断面図。
図28】本発明の他の実施形態に係る血圧測定装置のセンサモジュールの構成を示す断面図。
図29】本発明の他の実施形態に係る血圧測定装置のセンサモジュールの構成を示す断面図。
図30】本発明の他の実施形態に係る血圧測定装置のセンサモジュールの構成を示す断面図。
図31】本発明の他の実施形態に係る血圧測定装置のセンサモジュールの構成を示す断面図。
図32】本発明の他の実施形態に係る血圧測定装置の構成を示す斜視図。
図33】同血圧測定装置の構成を示すブロック図。
図34】本発明の他の実施形態に係る血圧測定装置の構成を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
[第1の実施形態]
以下、本発明の第1の実施形態に係る血圧測定装置1の一例について、図1乃至図16を用いて以下例示する。
【0028】
図1は、本発明の一実施形態に係る血圧測定装置1の構成を、本体固定具16を閉じた状態で示す斜視図である。図2は、血圧測定装置1の構成を示すブロック図である。図3は、血圧測定装置1のセンサ装置5の構成をセンシング本体42を開いた状態で示す斜視図である。図4は、血圧測定装置1のセンサ装置5からセンサユニット52を除いた構成を示す斜視図である。図5は、血圧測定装置1のセンサユニット52の構成を示す斜視図である。
【0029】
図6は、センサユニット52の構成を示す平面図である。図7は、センサユニット52のセンサモジュール63及び空気袋62の構成を、図6に示すVII-VII線断面に沿って切断した状態を示す断面図である。図8は、センサユニット52のセンサモジュール63及び空気袋62の構成を、図6に示すVIII-VIII線断面に沿って切断した状態を示す断面図である。図9は、センサユニット52のセンサモジュール63及び空気袋62の構成を、IX-IX線断面に沿って切断した状態を示す断面図である。
【0030】
図10は、血圧測定装置1の構成を示す断面図である。図11は、血圧測定装置1の構成を示す断面図である。図12は、血圧測定装置1の構成を示す断面図である。図13は、センサユニット52のセンサモジュール63の構成を、圧力センサ部71の感圧素子71cが並ぶ方向に沿う断面に沿って切断した状態を示す断面図である。図14は、センサモジュール63の構成を、感圧素子71cが並ぶ方向に直交する方向に沿う断面に沿って切断した状態を示す断面図である。図15は、センサモジュール63のセンサベース72を示す斜視図である。図16は、センサユニット52のセンサモジュール63の構成を示す平面図である。
【0031】
なお、各図面において、手首100の橈骨動脈を110、橈骨を111、尺骨動脈を112、尺骨を113、腱を114で示す。
【0032】
血圧測定装置1は、生体の手首100に装着し、橈骨動脈110の圧力から血圧値を算出する電子血圧測定装置である。図1乃至図16に示すように、血圧測定装置1は、装置本体4と、センサ装置5と、を備えている。例えば、血圧測定装置1は、手首100の橈骨動脈110が存する領域にセンサ装置5が装着され、そして、センサ装置5の肘側に隣接して装置本体4が手首100に装着される。
【0033】
このような血圧測定装置1は、センサ装置5で橈骨動脈110を圧扁することにより、橈骨動脈110の心拍に連動して変化する一心拍ごとの圧脈波の圧力を測定し、測定した圧力を装置本体4によってトノメトリ法に基づいて処理を行い、血圧を求める。
【0034】
図1及び図2に示すように、装置本体4は、本体ケース11と、操作部12と、表示部13と、ポンプ14と、制御基板15と、本体固定具16と、を備えている。また、例えば、装置本体4は、本体固定具16にカフを備え、血圧測定時に手首100を圧迫する構成であってもよい。
【0035】
本体ケース11は、操作部12の一部、表示部13の一部、制御基板15を収容するとともに、操作部12の一部及び表示部13の一部を外面から露出させる。また、本体ケース11は、本体固定具16が取り付けられる。
【0036】
操作部12は、使用者からの指令を入力可能に構成される。例えば、操作部12は、本体ケース11に設けられた複数の釦21と、釦21の操作を検出するセンサと、を備えている。なお、操作部12は、タッチパネルとし、表示部13に設けてもよい。操作部12は、使用者が操作することで、指令を電気信号に変換する。釦21の操作を検出するセンサは、電気的に制御基板15に接続され、電気信号を制御基板15へ出力する。
【0037】
表示部13は、本体ケース11に、本体ケース11の外面から露出して配置される。表示部13は、電気的に制御基板15に接続される。表示部13は、例えば、液晶ディスプレイ又は有機エレクトロルミネッセンスディスプレイである。表示部13は、日時や最高血圧及び最低血圧などの血圧値や心拍数等の測定結果を含む各種情報を表示する。
【0038】
ポンプ14は、例えば圧電ポンプである。ポンプ14は、センサ装置5に接続されるチューブ14aを有し、空気を圧縮し、チューブ14aを介して圧縮空気をセンサ装置5に供給する。ポンプ14は、電気的に制御基板15に接続される。
【0039】
図2に示すように、制御基板15は、例えば、通信部31と、記憶部32と、制御部33と、を備えている。制御基板15は、通信部31、記憶部32及び制御部33が基板に実装されることで構成される。また、制御基板15は、センサ装置5とケーブル15aを介して接続される。ケーブル15aは、本体ケース11内から本体ケース11の外面の一部を介して外部に配される。例えば、ケーブル15aは、本体ケース11内から本体ケース11の側面に設けられた開口を介してセンサ装置5に配される。
【0040】
通信部31は、外部の装置と無線又は有線によって情報を送受信可能に構成される。通信部31は、例えば、制御部33によって制御された情報や測定された血圧値及び脈拍等の情報を、ネットワークを介して外部の装置へ送信し、また、外部の装置からネットワークを介してソフトウェア更新用のプログラム等を受信して制御部に送る。
【0041】
本実施形態において、ネットワークは、例えばインターネットであるが、これに限定されず、病院内に設けられたLAN(Local Area Network)等のネットワークであってもよく、また、USB等の所定の規格の端子を有するケーブル等を用いた外部の装置と直接的な有線通信であってもよい。このため、通信部31は、無線アンテナ及びマイクロUSBコネクタ等の複数を含む構成であってもよい。
【0042】
記憶部32は、血圧測定装置1全体を制御するためのプログラムデータ、血圧測定装置1の各種機能を設定するための設定データ、感圧素子71cで測定された圧力から血圧値や脈拍を算出するための算出データ等を予め記憶する。また、記憶部32は、算出された血圧値、脈拍及びこれら算出されたデータと時間とを関連付けた時系列データ等の情報を記憶する。
【0043】
制御部33は、例えば、単数又は複数のCPU(Central Processing Unit)により構成され、血圧測定装置1全体の動作を制御するとともに、プログラムデータに基づいて各処理を行う。制御部33は、操作部12、表示部13、ポンプ14及びセンサ装置5に電気的に接続されるとともに、各構成の動作の制御、信号の送受信又は電力の供給を行う。
【0044】
本体固定具16は、例えば、一つ又は複数の帯状のバンドと、バンドを手首100に巻き付けて固定する面ファスナー等の固定部材と、を含み、本体ケース11を手首100に固定する。
【0045】
このような装置本体4は、記憶部32に記憶されたプログラムデータを用いて制御部33が処理を行うことで、センサ装置5で検出した橈骨動脈110の脈波から血圧データを連続的に生成する。血圧データは、測定した脈波の波形に対応する血圧波形のデータを含む。血圧データは、血圧特徴量(血圧値)の時系列データをさらに含んでもよい。血圧特徴量は、例えば、収縮期血圧(SBP;Systolic Blood Pressure)および拡張期血圧(DBP;Diastolic Blood Pressure)を含むが、これに限定されない。一心拍分の脈波波形における最大値は収縮期血圧に対応し、一心拍分の脈波波形における最小値は拡張期血圧に対応する。
【0046】
本実施形態では、装置本体4は、トノメトリ法により脈波としての圧脈波を測定する。ここで、トノメトリ法とは、皮膚の上から橈骨動脈110を適切な圧力で押圧して動脈に扁平部を形成し、橈骨動脈110の内部及び外部のバランスがとれた状態でセンサ装置5により圧脈波を計測する方法をいう。トノメトリ法によれば、一心拍ごとの血圧値を得ることができる。
【0047】
図1図3及び図4に示すように、センサ装置5は、アタッチ部41と、センシング本体42と、固定具43と、を備えている。
【0048】
アタッチ部41は、一方の主面が左手の手首100の橈骨動脈110が存する領域の手首100の周方向に倣った形状を有する。具体例として、アタッチ部41は、手首100と接する領域が手首100の周方向の形状に倣って湾曲する基部41aと、基部41aに形成された開口部41bと、基部41aに設けられ、センシング本体42を取り付ける取付部41cと、基部41aの手首100と当接する主面に設けられたクッション41dと、を含む。
【0049】
基部41aは、一方向に長く構成される。基部41aは、手首100の手の平側、及び、手首100の橈骨111側の側部側に配置され、手首100の手の平側、及び、手首100の橈骨111側の側部側の周方向の形状に倣って手首100側に配置される主面が湾曲する。また、基部41aは、少なくとも外周縁側の主面がセンシング本体42と当接する。
【0050】
開口部41bは、基部41aの中央側に設けられ、指を単数又は複数本配置できる大きさに形成される。即ち、開口部41bは、センサ装置5が手首100に装着されたときに、指により開口部41bから露出する手首100の橈骨動脈110が存する領域を触診可能、且つ、センシング本体42の一部が手首100に接触できる大きさに形成される。
【0051】
取付部41cは、基部41aの手首100と対向する面と反対の主面であって、且つ、基部41aの長手方向で一端側に設けられる。取付部41cは、センシング本体42を保持するとともに、基部41aから離間する方向及び基部41aへ近接する方向に、センシング本体42を移動可能に構成される。具体例として、取付部41cは、センシング本体42を一軸周りで回転可能に軸支する軸支部である。例えば、取付部41cは、基部41aに一体に形成される。
【0052】
クッション41dは、例えば、基部41aの手首100と当接する主面に設けられた発泡性樹脂材料によりシート状に構成された弾性体である。クッション41dは、例えば、血圧測定装置1を手首100に装着したときに、弾性変形することで、手首100を保護する。
【0053】
図2乃至図12に示すように、センシング本体42は、ケース51と、センサユニット52と、センサユニット52の位置を調整する調整手段53と、を備えている。
【0054】
ケース51は、例えば、アタッチ部41に対向する面が開口する矩形箱状に構成される。ケース51は、センサユニット52及び調整手段53を保持する。また、ケース51は、基部41aから離間する方向に往復動可能に、取付部41cに取り付けられる。具体例として、ケース51は、取付部41cに回転可能に設けられる回転軸51aを有する。また、ケース51は、基部41aに当接したときに、ケース51を基部41aに固定する係合部51bを有する。係合部51bは、例えば、基部41aに設けられた開口と係合する突起であり、操作されることで、基部41aの開口と係合が解除可能に構成される。
【0055】
さらに、ケース51は、チューブ14aを配置する第1孔部51cと、ケーブル15aを配置する第2孔部51dと、調整手段53の一部を移動可能に支持する第3孔部51eと、センサユニット52の移動を案内する案内溝51fと、を備えている。
【0056】
第1孔部51c及び第2孔部51dは、手首100に装着したときに装置本体4と隣接するケース51の同じ側壁に設けられる。
【0057】
第3孔部51eは、第1孔部51c及び第2孔部51dが設けられるケース51の側壁と対向する側壁に設けられる。第3孔部51eは、ケース51の長手方向、換言すると、手首100にセンサ装置5が装着されたときに手首100の周方向に直線状に延びる矩形状の開口である。
【0058】
案内溝51fは、第3孔部51eが設けられるケース51の側壁の内面側に設けられる。案内溝51fは、ケース51の開口する端部から当該開口と対向する天壁に向かって中途部まで延設された第1溝51f1と、第1溝51f1と直交する方向に延設された第2溝51f2と、を含む。第2溝51f2は、一端が第1溝51f1と連続し、この一端から他端までがケース51の長手方向一方側へ向かって延びる。
【0059】
センサユニット52は、可動ケース61と、空気袋62と、センサモジュール63と、センサモジュール63を可動ケース61に対して一方向に沿って移動可能に保持する可動ベース64と、を備えている。センサユニット52は、調整手段53によってケース51の長手方向に沿って所定の範囲で移動可能にケース51に保持される。
【0060】
可動ケース61は、センサモジュール63及び可動ベース64を収容し、且つ、センサモジュール63が保持された可動ベース64をアタッチ部41の開口部41bに向かって移動可能に保持する。可動ケース61は、ケース51内に、ケース51の長手方向に沿って移動可能に保持される。
【0061】
具体例として、可動ケース61は、空気袋62及びセンサモジュール63を収容するアタッチ部41に対向する面が開口する矩形箱状に構成される。可動ケース61は、空気袋62、及びセンサモジュール63及び可動ベース64を収容する。可動ケース61は、天壁及び可動ベース64の間に空気袋62を配置する。可動ケース61は、センサモジュール63が可動ケース61の開口から出没可能に、可動ベース64を一方向に移動可能に保持する。
【0062】
可動ケース61は、ケース51の案内溝51fが設けられる側壁と対向する側壁の外面に、案内溝51fを移動可能に配置される案内突起61aと、調整手段53の一部が固定される固定部61bと、を含む。案内突起61aが第2溝51f2に沿って移動することで、可動ケース61がケース51の長手方向に沿って移動する。
【0063】
空気袋62は、蛇腹構造を有する。空気袋62は、チューブ14aを介してポンプ14に流体的に接続される。空気袋62は、図7乃至図12に示すように、可動ケース61の天壁から開口へ向かう方向へ膨張する。空気袋62は、膨張することで、センサモジュール63が可動ケース61内に収容された位置から、センサモジュール63が可動ケース61の開口から突出してアタッチ部41の開口部41bから手首100に触れる位置まで、センサモジュール63を移動させる。空気袋62は、例えば、ポリウレタンにより成形される。
【0064】
センサモジュール63は、図13図14及び図16に示すように、圧力センサ部71と、圧力センサ部71を保持するセンサベース72と、センサベース72を覆うセンサヘッドカバー73と、軟質部74と、を備えている。
【0065】
センサモジュール63は、可動ケース61内に配置され、可動ケース61の天壁及び開口の対向方向に沿って所定の移動範囲内で移動可能に可動ケース61に保持される。即ち、センサモジュール63は、可動ケース61内で移動可能に保持されるとともに、可動ケース61の開口から一定以上突出する位置まで移動したときにストッパー等の規制手段によってその移動が規制される。
【0066】
圧力センサ部71は、フレキシブル基板71aと、フレキシブル基板71aに搭載された基板71bと、基板71b上に搭載された複数の感圧素子71cと、を備える。圧力センサ部71は、センサベース72の一方の主面上に固定されている。
【0067】
フレキシブル基板71aは、例えば接着シート71fを介してセンサベース72上に接着されて固定されている。フレキシブル基板71aの一方の主面上には、所定の回路パターンが形成されている。フレキシブル基板71a上には、基板71bが搭載されている。フレキシブル基板71aの回路パターンには、ケーブル15aが接続されている。ケーブル15aは、例えばフレキシブル基板で構成されている。すなわち、フレキシブル基板71aは、ケーブル15aを介して制御基板15に電気的に接続されている。
【0068】
基板71bは、フレキシブル基板71aに電気的に接続されている。基板71bは、フレキシブル基板71a、及びケーブル15aを介して制御基板15に電気的に接続される。基板71bは矩形の板状に構成されている。
【0069】
複数の感圧素子71cは、基板71b上に搭載されている。複数の感圧素子71cは、フレキシブル基板71a上の回路パターンに電気的に接続されている。すなわち、複数の感圧素子71cは、基板71b、フレキシブル基板71a、及びケーブル15aを介して制御基板15に電気的に接続されている。
【0070】
基板71b及び複数の感圧素子71cは、センサチップを構成する。複数の感圧素子71cが一方向に配置されることで感圧素子列71dを構成する。
【0071】
感圧素子列71dは、単数又は複数設けられる。感圧素子列71dが複数設けられる場合には、複数の感圧素子列71dは、複数の感圧素子列71dの並び方向に直交する方向に所定の間隔を開けて配置される。感圧素子列71dは、本実施形態では一例として、2列形成されている。
【0072】
また、圧力センサ部71は、複数の感圧素子71cが配置される一方向が手首100の幅方向なるように、センサベース72に配置される。圧力センサ部71は、ケーブル15aを介して、複数の感圧素子71cで測定した圧力値を制御基板15に送信する。
【0073】
センサベース72は、例えば合成樹脂で構成されている。センサベース72は、支持壁部72aと、支持壁部72aの外周縁から生体とは反対側の裏面側に立設される周壁部72bと、を一体に有している。センサベース72は、圧力センサ部71及び圧力センサ部71に接続されるケーブル15aを保持する。
【0074】
支持壁部72aは所定の厚さを有した矩形の板状に構成されている。ここで、支持壁部72aの手首100側を、表面側とする。支持壁部72aは、表面側の主面72a1に、圧力センサ部71を保持している。
【0075】
支持壁部72aの手首100側の主面72a1の外周縁部には、支持壁部72aが手首100側に凸となる溝部76が形成されている。溝部76は、センサヘッドカバー73が嵌合可能に構成されている。主面72a1には、接着シート71fを介して圧力センサ部71が固定されている。
【0076】
支持壁部72aには、図15に示すように、孔(流通孔)72dが例えば複数形成されている。複数の孔72dは、支持壁部72aを厚み方向に貫通しており、主面72a1及び他方の主面72a2に開口している。複数の孔72dは、それぞれ、軟質部74を形成する材料が流動可能に形成されている。孔72dは、後述する間隙部79と連通する。複数の孔72dは、例えば4つ形成されている。
【0077】
なお、本実施形態では、支持壁部72aの主面72a1には、圧力センサ部71が固定されており、圧力センサ部71の一部は、孔72dに対向している。この為、本実施形態では、圧力センサ部71において孔72dに対向する位置には、孔72d及び間隙部79に連通する連通部71gが形成されている。連通部71gは、例えば、孔である。連通部71gは、本実施形態では、接着シート71fに形成された71f1と、フレキシブル基板71aに形成された孔71a3と、を有している。なお、連通部71gは、孔に限定されない。例えば切り欠きであってもよい。または、孔72dは、主面72a1の、圧力センサ部71を避けた位置に開口してもよい。この場合、連通部71gは形成されない。このように、孔72dが間隙部79と連通することは、連通部71gを介して連通すること、及び、直接連通することを含む。
【0078】
周壁部72bは、支持壁部72aの外周から、生体とは反対側に立設されている。周壁部72bは、可動ベース64に固定されている。
【0079】
センサヘッドカバー73は、手首100側の端面と、この端面に交差する周面の一部とが、手首100に接触する。センサヘッドカバー73は、例えば、合成樹脂材料で形成されている。
【0080】
センサヘッドカバー73は、凸部73bと、凸部73bの周縁からセンサベース72側に立設されたフレーム部73cと、を一体に有している。センサヘッドカバー73とセンサベース72の対向面同士の少なくとも一部が離間し、センサヘッドカバー73の内表面73gとセンサベース72及び圧力センサ部71との間には、間隙部79が形成されている。
【0081】
本実施形態では、図13及び図14に示すように、圧力センサ部71が搭載された支持壁部72aの主面72a1と凸部73bの圧力センサ部71側の内面との間、及び支持壁部72aの外周面とフレーム部73cの内周面との間に、間隙部79が形成されている。間隙部79は、複数の孔72dのそれぞれに連通する。
【0082】
凸部73bは、例えば矩形の板状に構成されている。凸部73bの生体側の主面である端面(平面部)73dは、平面に形成されている。凸部73bは、端面73dと、端面73dに連続する周面73eと、を有している。周面73eは、凸部73bの厚み方向に沿う。端面73dと、周面73eの一部とは、血圧測定装置1の使用時に、センサモジュール63の外面の手首100に接触する領域となる。
【0083】
フレーム部73cのセンサベース72側の一端には、センサベース72の溝部76に嵌合する嵌合部73fが設けられている。
【0084】
センサヘッドカバー73の内表面73gは、凸部73bの圧力センサ部71側の内表面と、フレーム部73cの内表面とにより構成されている。内表面73gは、圧力センサ部71との間、及び、センサベース72との間に、間隙部79を有している。間隙部79は、複数の孔72dに連通している。
【0085】
このように構成されたセンサヘッドカバー73は、血圧測定装置1の使用時に手首100に接触する領域がゴム部材から形成される。本実施形態では、凸部73bの端面73dと、厚み方向に沿う周面73eの一部とが、手首100に接触する領域となることから、凸部73bの手首100側の一部が、ゴム材料から形成されたゴム部75に構成されている。換言すると、凸部73bの手首100に接触する外面を形成する手首100側の一部は、ゴム部材から形成されたゴム部75に構成されている。さらに換言すると、ゴム部75は、手首100に接触する、端面73dと、周面73eの一部と、を有している。
【0086】
さらに、内表面73gの一部は、ゴム部75により構成されている。具体的には、ゴム部75の圧力センサ部71側の内表面75aは、ゴム部75の厚み方向に圧力センサ部71の全ての感圧素子71cに対向する面積及び形状を有している。
【0087】
ゴム部75は、手首100からの圧力を圧力センサ部71側に伝達可能なゴム材料から形成されている。このゴム材料の一例としては、100Hz~200Hzの周波数特性を有するゴム材料である。本実施形態では、これらの条件を満たすゴム材料として、シリコーンゴムを材料として、ゴム部75を形成している。
【0088】
センサヘッドカバー73のゴム部75以外の部分は、例えば樹脂から形成される。ゴム部75は、ゴム部75以外の部分に一体に形成されている。ゴム部75は、圧力センサ部71で橈骨動脈110の圧力を検出可能な材料で形成されていればよく、ゴム部75の材料は適宜設定可能である。
【0089】
軟質部74は、間隙部79内に設けられている。軟質部74は、少なくとも、間隙部79内のゴム部75と圧力センサ部71の感圧素子71cとの間に設けられており、ゴム部75からの圧力を感圧素子71cに伝達可能に構成されている。すなわち、軟質部74は、ゴム部75から伝達された橈骨動脈110の圧力を、感圧素子71cに伝達可能に構成される。
【0090】
軟質部74は、本実施形態では、図13に示すように、一例として、ゴム部75の圧力センサ部71側の面から接着シート71fまでの範囲に充填されている。なお、センサベース72の一部は、図13に示すように、接着シート71fに当接しており、他の一部は、図14に示すように、接着シート71fに当接していない。この為、軟質部74の一部は、図14に示すように、接着シート71fを越えた位置に位置している。
【0091】
軟質部74が、ゴム部75の圧力センサ部71側の面から接着シート71fまでの範囲に充填されることによって、圧力センサ部71のフレキシブル基板71a、基板71b、及び全ての感圧素子71cが軟質部74に覆われ、かつ、内表面73gのうち、圧力センサ部71に対向する範囲に軟質部74が密着される。
【0092】
軟質部74は、例えば、図15に示すように、主面72a2側から孔72dを通して間隙部79内にシリコーン樹脂等の比較的軟質な樹脂材料が注入されることで成形される。軟質部74の硬度は、ゴム部75の硬度よりも低い。換言すると、ゴム部75の硬度は、軟質部74の硬度よりも高い。
【0093】
なお、軟質部74は、圧力センサ部71で橈骨動脈110の圧力を検出可能な材料で形成されていればよく、軟質部74の厚さや手首100に接触する形状や材料は適宜設定可能である。
【0094】
調整手段53は、図17に示すように、ケース51に対してセンサユニット52の位置を、手首100の周方向で調整可能に構成される。調整手段53は、ケース51の外面に位置するとともに、一部が第3孔部51eを介して可動ケース61の固定部61bに固定される調整用摘まみ53aを有する。また、調整手段53は、ケース51の第3孔部51eに隣接して設けられた目盛53bと、調整用摘まみ53aに設けられ、目盛53bを指し示す指示部53cと、を有する。
【0095】
調整用摘まみ53aは、可動ケース61に固定されることで、センサユニット52に接続される。調整用摘まみ53aは、センサユニット52を移動可能に構成される。即ち、調整手段53は、調整用摘まみ53aを第3孔部51eの長手方向に移動させることで、センサユニット52を、第2溝51f2に沿って移動させて、ケース51に対する位置を調整する調整機構である。
【0096】
目盛53b及び指示部53cは、調整用摘まみ53aの位置、即ち、調整用摘まみ53aに接続されたセンサユニット52の位置を視認可能に表示する表示部である。
【0097】
固定具43は、例えば、一つ又は複数の帯状のバンドと、バンドを手首100に巻き付けて固定する面ファスナー等の固定部材と、を含み、アタッチ部41及びセンシング本体42を手首100に固定する。なお、固定具43は、尾錠を有する親と呼ばれる第1ベルト、及び、尾錠に固定される剣先と呼ばれる第2ベルトにより構成されていてもよい。また、固定具43は、ケース51に巻き付けられることで、ケース51をアタッチ部41に固定する構成をさらに有していても良い。
【0098】
即ち、固定具43は、空気袋62の膨張によってセンサモジュール63が手首100を押圧したときの反発力が可動ケース61に加わり、可動ケース61により直接的に又は可動ケース61から調整用摘まみ53aを介して間接的にケース51が押圧されて、ケース51がアタッチ部41から離間する方向に移動することを防止可能であってもよい。
【0099】
次に、センサモジュール63の製造方法の一例について、図18を用いて説明する。図18は、センサモジュール63の製造方法の一例を示す流れ図である。センサモジュール63の製造方法は、圧力センサ部71をセンサベース72上にセットするセンサセット工程(ステップST11)と、センサベース72にセンサヘッドカバー73を組付けるカバー組付工程(ステップST12)と、軟質部74を形成する材料を供給する充填工程(ステップST13)と、を備える。
【0100】
まずセンサセット工程(ステップST11)として、複数の感圧素子71cを、基板71bに搭載する。次ぎに、複数の感圧素子71cが搭載された基板71bをフレキシブル基板71aに実装する。これにより、圧力センサ部71が完成する。次に、圧力センサ部71を、接着シート71fを介してセンサベース72上に固定する。
【0101】
続いて、カバー組付工程(ステップST12)として、センサベース72上にセンサヘッドカバー73を被せる。このとき、センサベース72とセンサヘッドカバー73との間に間隙部79が形成される。
【0102】
つづいて、充填工程(ステップST13)を行う。充填工程としては、まず、センサベース72とセンサヘッドカバー73とが組付けられた状態で、この一体物を凸部73bが重力方向に下となる姿勢にする。この状態で、軟質樹脂を流出するノズル82を、主面72a2側から孔72dに挿入し、軟質部74の材料を所定量、孔72dから供給する。材料は、例えば自重により、孔72dから材料が間隙部79に流れ込み、間隙部79内の一部を満たす。この一部は、本実施形態では、上述の通り、凸部73bの圧力センサ部71側の面から接着シート71fまでの範囲である。
【0103】
間隙部79に供給された軟質部74の材料が、軟質部74を成形する。なお、軟質部74の材料の種類に応じて、冷却処理や加熱処理行うことで軟質部74を成形してもよい。
以上によりセンサモジュール63が完成する。
【0104】
次に、血圧測定装置1を使用した血圧値の測定の一例について、図19乃至図22を用いて説明する。図19は、血圧測定装置1を用いた血圧測定の一例を示す流れ図であり、ユーザの動作及び制御部33の動作の双方を示す。図20乃至図22は、血圧測定装置1を使用した血圧測定の一例を示す説明図である。
【0105】
先ず、ユーザは、手首100に橈骨動脈110の位置を触診で探す(ステップST21)。例えば、このとき、橈骨動脈110上の皮膚にペンで線を引くことで目印を付けてもよい。
【0106】
次に、ユーザは、センサ装置5のセンシング本体42をアタッチ部41から離間させる。本実施形態においては、ユーザは、係合部51bを操作してケース51及び基部41aの固定を解除し、回転軸51aを中心に、アタッチ部41から離間する方向にセンシング本体42を回転させる。
【0107】
次にユーザは、図20に示すように、装置本体4及びセンサ装置5を装着する(ステップST22)。具体例として、先ず、ユーザは、装置本体4の本体固定具16及びセンサ装置5の固定具43に手首100を通し、装置本体4及びセンサ装置5を手首100の所定の位置に配置する。次いで、装置本体4の本体固定具16を締め付けて、手首100に装置本体4を固定する。このとき、装置本体4の本体固定具16にカフを設ける構成である場合には、手首100の皮膚が本体固定具16(カフ)に挟まっていないか、及び、本体固定具16(カフ)が緩まっていないかを確認する。次いで、センサ装置5のアタッチ部41の開口部41bが手首100の橈骨動脈110に位置するように、センサ装置5の位置を調整する。さらに、ユーザは、開口部41bに橈骨動脈110が位置した状態を維持しながら、センサ装置5の固定具43を締め付けて、手首100にセンサ装置5を固定する。
【0108】
次いで、ユーザは、図21に示すように、アタッチ部41の開口部41bから手首100の触診を行い(ステップST23)、橈骨動脈110が開口部41bに位置することを再度確認する。次いで、ユーザは、図22に示すように、センシング本体42をアタッチ部41に近接する方向に回転させて、係合部51bによりセンシング本体42をアタッチ部41に固定する。なお、センシング本体42の位置が橈骨動脈110からずれている場合には、調整用摘まみ53aを操作して、センシング本体42の位置を調整する。
【0109】
次いで、ユーザは、操作部12を操作して、血圧測定の指令を行う。制御部33は、血圧測定の指令に基づいて、血圧を測定する(ステップST24)。このとき、制御部33は、ポンプ14を駆動制御し、空気袋62を膨張させることで、図7乃至図12に示すように、センサモジュール63が可動ケース61内に収容された状態から漸次手首100に向かって移動し、センサモジュール63のセンサヘッドカバー73及び軟質部74が手首100の橈骨動脈110が存する領域を押圧する。センサヘッドカバー73及び軟質部74が手首100の当該領域を押圧することで、橈骨動脈110が適切な圧力で押圧されることから橈骨動脈110に扁平部が形成される。この状態で、圧力センサ部71の各感圧素子71cが圧脈波を測定する。
【0110】
なお、制御部33は、圧力センサ部71で検出された橈骨動脈110の圧脈波からトノメトリ法によって血圧を求める。なお、血圧測定前に、制御部33は、記憶部32に記憶されたプログラムデータに基づいて、校正用の血圧測定を行ってもよく、また、装置本体4やセンサ装置5の装着状態及び圧力センサ部71の位置が正しいか否かの判定を行ってもよい。
【0111】
このように構成された血圧測定装置1によれば、センサヘッドカバー73は、外面の手首100に接触する領域を構成するゴム部75を有している。この為、血圧測定装置1の使用時では、ゴム部75の端面73dと、厚み方向に沿う周面73eの一部と、が手首100に接触するが、ゴム部75がゴム部材から構成されることから、センサモジュール63の手首100に接触する表面の保護強度を向上し、破損を防止できる。さらに、ユーザの感触を向上できる。
【0112】
また、アタッチ部41に触診可能な大きさの開口部41bを設けることで、センサ装置5を装着した状態で、手首100を触診できることから、センサ装置5が所定の位置に装着されているか否かを容易に判断することができる。即ち、開口部41bから手首100の触診をすることが可能となり、血圧測定装置1のセンサ装置5を手首100に装着するときに、センサ装置5を手首100に仮装着した状態で橈骨動脈110を触診で探して、センサ装置5を位置調整し、その後、本装着することが可能となる。結果、適切な位置に血圧測定装置1を装着することが容易となる。また、センサ装置5は、調整手段53を備える構成であることから、手首100にセンサ装置5を本装着した後であっても、さらに、調整用摘まみ53aを操作することで、橈骨動脈110に対してセンサユニット52の位置を調整することが可能となることから、好適な位置で橈骨動脈110の圧力を測定することができる。
【0113】
また、センサ装置5は、センシング本体42がアタッチ部41に対して離間する方向に移動可能な構成として、一軸周りにセンシング本体42がアタッチ部41に対して回転する構成である。このため、センシング本体42を移動させるときに、センシング本体42に設けられたセンサモジュール63は、アタッチ部41の開口部41bから離間する方向に移動する。
【0114】
これにより、センシング本体42をアタッチ部41に対して移動させるときに、センサモジュール63が手首100やアタッチ部41に接触した状態で移動することを防止できる。具体的に説明すると、センサユニット52は、空気袋62によってセンサモジュール63のセンサヘッドカバー73及び軟質部74が手首100を適切に押圧可能な位置に可動ケース61の開口から突出する状態で血圧が測定される。
【0115】
このような状態でセンシング本体42がアタッチ部41に対して移動しても、センシング本体42は、センサモジュール63が手首100から離間する方向に移動するため、センサヘッドカバー73の端面及び軟質部74が手首100又はアタッチ部41に接触した状態でセンシング本体42が移動することない。このため、センシング本体42を移動させるときに、センサモジュール63が他の構成や手首100と干渉して損傷することや、手首100に負担を掛けることを防止できる。
【0116】
このように、センサ装置5は、アタッチ部41に触診可能な形状の開口部41bを設けるとともに、アタッチ部41及び手首100から離間する方向にセンシング本体42を移動可能とすることで、センサモジュール63が破損することを防止するとともに、安全性を向上することができる。
【0117】
また、センサ装置5は、アタッチ部41に対してセンシング本体42を一軸周りに回転させる構成であることから、アタッチ部41に取付部41cを設け、取付部41cに軸支される回転軸51aをセンシング本体42に設ける簡単な構成でよい。このため、アタッチ部41に対して一方向にスライドさせる構成等と比較して、センサ装置5は、簡単な構成となり、安価に製造することが可能となる。
【0118】
また、センサ装置5は、アタッチ部41の長手方向の一端側において、センシング本体42がアタッチ部41に対して回転する構成であることから、アタッチ部41の上面の略全領域を外部に露出させることができる。このため、アタッチ部41の開口部41bが全て露出することから、触診を行うために必要な開口部41bの形状を極力小さくすることができる。また、アタッチ部41に対してセンシング本体42をスライドさせるためのレール構造やスライド移動後にアタッチ部41にセンシング本体42を保持するための構造を要しないため、センサ装置5は、手首100の幅方向の形状を極力小さくすることができることから、小型化とすることができる。
【0119】
上述したように本発明の一実施形態に係る血圧測定装置1によれば、センサヘッドカバー73は、外面の手首100に接触する領域を構成するゴム部75を有することから、センサモジュール63の手首100に接触する表面の保護強度を向上し、破損を防止できる。
【0120】
なお、本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、図23に示す別の実施形態のように、ゴム部75がセンサヘッドカバー73の圧力センサ部71側の内表面75aを構成し、かつ、ゴム部75の圧力センサ部71側の内表面75aの、複数の感圧素子71cに対向する領域の少なくとも一部に、圧力センサ部71に向かって突出する第1の凸部77aを形成してもよい。ここで、内表面75aの、複数の感圧素子71cに対向する領域とは、ゴム部75の厚み方向に対向する領域である。
【0121】
この実施形態では、第1の凸部77aは、一例として内表面75aの端面73dの中央に対向する位置に形成されている。第1の凸部77aは、感圧素子71cに接触しない程度突出している。第1の凸部77aによって、軟質部74に比較して硬い部分が感圧素子71cに近い位置配置されるので、橈骨動脈110の圧力が効率よく感圧素子71cに伝達される。
【0122】
上述のように、第1の凸部77aを有する構成の別の実施形態としては、図24及び図25に示すように、第1の凸部77aは、感圧素子列71dの長手方向に沿って延び、さらに、感圧素子列71d側に向かって漸次断面積が減少する先細形状を有してもよい。
【0123】
図24は、センサモジュール63を、感圧素子列71dの長手方向に沿う断面に沿って切断した状態を示している。図25は、図24に示すKσ―Kσ線断面に沿って示す断面図であり、センサモジュール63を、感圧素子列71dの長手方向に直交する断面に沿って切断した状態を示している。
【0124】
この構成の場合は、第1の凸部77aは、図24に示すように、例えば、感圧素子列71dの長手方向の一端に対向する位置から、他端に対向する位置まで延びる形状に構成される。
【0125】
さらに、図25に示すように、第1の凸部77aは、感圧素子列71dに向かって断面が減少する先細形状の一例として断面が三角形状となる形状に構成される。なお、本実施形態及びこの変形例では、感圧素子列71dは、2つ設けられている。このように、複数の感圧素子列71dが設けられる場合は、第1の凸部77aは、複数の感圧素子列71dの、これら複数の感圧素子列71dが並ぶ方向の中心に向かって先細となる形状に構成される。すなわち、2つの感圧素子列71dが設けられる場合は、これら2つの感圧素子列71dの間に向かって先細の形状に構成される。3つの感圧素子列71dが設けられる場合は、真ん中に配置された1つの感圧素子列71dに向かって先細となる形状に構成される。なお、感圧素子列71dが1つ設けられる場合は、第1の凸部77aは、1つの感圧素子列71dに向かって先細となる形状に構成される。
【0126】
第1の凸部77aの断面が三角形状に構成される場合、第1の凸部77aの両側面77a1は、第1の凸部77aの突出方向に対して傾斜する平面に構成される。なお、第1の凸部77aは、感圧素子列71dに向かって断面が減少する先細形状の他の例として、感圧素子列71dへ向かう方向に沿う断面が台形状や半円形状となる形状に構成されてもよい。
【0127】
このように、第1の凸部77aが、感圧素子列71dの長手方向、すなわち複数の感圧素子71cの並ぶ方向に長い形状に構成され、さらに、複数の感圧素子列71dの、これら感圧素子列71dが並ぶ方向の中心に向かって断面形状が漸次減少する形状に構成されることにより、手首100からの圧力を効率よく感圧素子列71dに伝達することが可能となる。
【0128】
なお、図24及び図25に示す第1の凸部77aは、断面積が、複数の感圧素子列71dの、これら複数の感圧素子列71dが並ぶ方向の中心に向かって漸次縮小する先細形状であり、かつ、複数の感圧素子71cの並ぶ方向に延びる形状である。しかしながら、いずれか一方のみ、すなわち、断面積が、複数の感圧素子列71dを有する場合は複数の感圧素子列71dの、これら複数の感圧素子列71dが並ぶ方向の中心に向かって、または、1つの感圧素子列71dを有する構成の場合はこの1つの感圧素子列71dに向かって、漸次縮小する形状と、複数の感圧素子71cの並ぶ方向に延びる形状と、のいずれか一方のみを有してもよい。
【0129】
さらに、図26に示す別の実施形態のように、第1の凸部77aに加えて、端面73dは、手首100に向かって突出する第2の凸部77bが形成されてもよい。第2の凸部77bは、手首100に接触するので、滑らかな面に形成されている。
【0130】
第2の凸部77bは、本実施形態では、ドーム形状に形成されており、端面73dの中央に位置している。しかしながら、第2の凸部77bの形状は、ドーム形状に限定されない。他の例では、例えば半球状であってもよい。また、第2の凸部77bは、端面73dの中央に位置することに限定されない。第2の凸部77bは、端面73dの圧力センサ部71の複数の感圧素子71cに対向する領域の少なくとも1部に形成されればよい。ここで、端面73dの圧力センサ部71の複数の感圧素子71cに対向する領域とは、ゴム部75の厚み方向に対向する領域である。
【0131】
なお、図26では、ゴム部75が第1の凸部77aと第2の凸部77bとを有する構成が示されたが、これに限定されない。他の例では、第1の凸部77aを有さず、第2の凸部77bを有する構成であってもよい。
【0132】
または、図27に示す他の実施形態のように、センサヘッドカバー73の全体が、ゴム部75と同じ材料から形成されてもよい。このように、センサヘッドカバー73がゴム部75と同じ材料から形成される構成である場合も、図23乃至図25に示すような第1の凸部77aと第2の凸部77bとの少なくとも一方が形成されてもよい。
【0133】
または、図28に示す別の実施形態のように、ゴム部75の手首100に接触する領域に開口73aを有し、この開口73aが、第1の部分78aと第2の部分78bとによって閉塞される構成であってもよい。開口73aは、圧力センサ部71の全ての感圧素子71cと対向する領域に形成されている。ここで、全ての感圧素子71cと対向する領域とは、ゴム部75の厚み方向に対向する領域である。
【0134】
第1の部分78aは、開口73a内に位置し、ゴム部75と同じ材料から形成されている。第1の部分78aは、例えば円板状に構成される。
【0135】
第2の部分78bは、第1の部分78aと開口73aの内周面との間に位置し、第1の部分78aと開口73aの内周面との間を閉塞する環状に構成される。第2の部分78bは、軟質部74と同じ材料から形成される。なお、第2の部分78bは、軟質部74と一体に形成されてもよい。
【0136】
このように、第1の部分78aと第2の部分78bとを有する構成の場合は、図15に示すように、開口73a内に第1の部分78aを配置した状態で対向板81の平滑面81aを端面73dに接触させて開口73aを閉塞する。なお、対向板81は、2点鎖線で示している。対向板81の平滑面81aにより開口73aを閉塞した状態で、ノズル82により孔72d内に軟質部74の材料を注入する。注入された材料により、軟質部74と第2の部分78bとが成形される。さらに、軟質部74と第2の部分78bとに第1の部分78aが接着されることにより、開口73a内に第1の部分78aが固定される。
【0137】
または、第2の部分78bは、軟質部74とは別部材であってもよい。この場合は、例えば環状に形成された第2の部分78bを、開口73a内に設けることにより、第2の部分78bを構成する。
【0138】
この実施形態では、ゴム部75の開口73aの中央部を構成する第1の部分78aの周囲が、軟質部74と同じ材料で形成された第2の部分78bで囲まれる。この構成によると、第1の部分78aは、第1の部分78aより硬度の低い第2の部分78bに支持されることによって、圧力センサ部71側に移動しやすくなる。この為、手首100の圧力変化が圧力センサ部71により一層伝わりやすくなる。
【0139】
このようにセンサヘッドカバー73に開口73aを形成し、開口73a内に第1の部分78aと第2の部分78bを配置する構成の別の実施形態としては、図29に示すように、第1の部分78aに、第1の凸部77aと第2の凸部77bを有してもよい。第1の凸部77aは、図26及び図27に示すように、複数の感圧素子71cの並び方向、すなわち感圧素子列71dの長手方向に延び、感圧素子列71dに向かって断面積が漸次減少する形状であってもよい。なお、第1の凸部77aと第2の凸部77bの両方を有することに限定されず、いずれか一方のみを有する構成であってもよい。
【0140】
また、ゴム部75が開口73aを有する実施形態の別の実施形態として、第1の部分78aを有さず、開口73aが第2の部分78bで閉塞されてもよい。この場合の一例としては、孔72dから注入された軟質部74の材料により、第2の部分78bを軟質部74と一体に形成してもよい。
【0141】
この実施形態では、第2の部分78bの手首100側の端面、すなわちセンサヘッドカバー73の端面73dは、平坦であってもよいし、または、図30に示す変形例のように、第2の部分78bの手首100側の端面に、手首100側に突出する凸部78b1を形成してもよい。凸部78b1は、例えば図15に示す対向板81の平滑面81aに凸部78b1に応じた凹みを形成することにより、この凹みによって形成することが可能となる。
【0142】
また、上述した例では、センサヘッドカバー73の少なくとも手首100に接触する領域をゴム部75で形成し、残りの部分を樹脂材料で形成した。しかしながら、図31に示す別の実施形態のように、センサヘッドカバー73がゴム部75とは異なる材料でされるとともに、圧力センサ部71に対向する領域に開口73mを有し、このセンサヘッドカバー73上に、センサヘッドカバー73とは別部材が固定されることでゴム部75が構成されてもよい。
【0143】
ゴム部75は、血圧測定装置1の使用時にセンサヘッドカバー73が手首に接触しないように、手首100に対向する領域に設けられている。この実施形態であっても、ゴム部75が手首100に接触するので、センサモジュール63の手首100に接触する表面の保護強度を向上し、破損を防止できる。
【0144】
さらに、この形態では、例えば従来使用されていた、樹脂から形成されたセンサヘッドカバー73を利用できる。すなわち、センサヘッドカバー73にゴム部75を固定するだけでよい。
【0145】
なお、図31に示す実施形態では、ゴム部75は、センサヘッドカバー73の開口73mに連通する開口73aを有している。そして、開口73m及び開口73aは、軟質部74により閉塞されている。この為、端面73dの一部は、軟質部74から構成される。しかしながら、ゴム部75は、更なる変形例としては、開口73aを有さない構成であってもよい。すなわち、ゴム部75は、開口73mを閉塞する形状に構成されてもよい。
【0146】
また、本発明は上記実施形態に限定されない。上述した例では、血圧測定装置1は、装置本体4及びセンサ装置5を別体に備える構成を説明したがこれに限定されない。例えば、図32及び図33に示すように、血圧測定装置1は、装置本体4及びセンサ装置5が一体に構成されていてもよい。例えば、このような構成の血圧測定装置1は、センシング本体42のケース51に、装置本体4に用いられる操作部12、表示部13、ポンプ14及び制御基板15を設ける構成とすればよい。
【0147】
また、上述した例では、血圧測定装置1は、アタッチ部41に対してセンシング本体42が離間する方向及び近接する方向に移動する構成として、一軸周りにセンシング本体42がアタッチ部41に対して回転する構成を説明したがこれに限定されない。例えば、図34に示すように、血圧測定装置1は、アタッチ部41に対してセンシング本体42が離間する方向及び近接する方向に移動する構成として、アタッチ部41及びセンシング本体42が分離する構成としてもよい。このような構成の血圧測定装置1とする場合には、例えば、センシング本体42のケース51の複数箇所に係合部51bを設け、複数位置でセンシング本体42をアタッチ部41に係合させる構成とすればよい。
【0148】
また、上述した例では、血圧測定装置1は、橈骨動脈110の圧力を測定し、トノメトリ法によって血圧を求める構成を説明したがこれに限定されず、例えば、尺骨動脈112の圧力を測定する構成であってもよい。また、血圧測定装置1は、トノメトリ法以外の方法により血圧を求める構成であってもよい。即ち、血圧測定装置1は、手首100と接触するセンサモジュール63をアタッチ部41の開口部41b及び手首100に対して移動可能であって、他の構成や手首100と接触した状態でセンシング本体42が移動する構成であれば、他の血圧測定法を用いる構成に用いることができる。
【0149】
また、上述した例では、アタッチ部41の開口部41bは、触診可能に構成されたが、これに限定されない。開口部41bは、触診できない開口であってもよい。
【0150】
即ち、上述した各実施形態は、あらゆる点において本発明の例示に過ぎない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。つまり、本発明の実施にあたって、実施形態に応じた具体的構成が適宜採用されてもよい。
【符号の説明】
【0151】
1…血圧測定装置、4…装置本体、5…センサ装置、11…本体ケース、12…操作部、13…表示部、14…ポンプ、14a…チューブ、15…制御基板、15a…ケーブル、16…本体固定具、21…釦、31…通信部、32…記憶部、33…制御部、41…アタッチ部、41a…基部、41b…開口部、41c…取付部、42…センシング本体、43…固定具、51…ケース、51a…回転軸、51b…係合部、51c…第1孔部、51d…第2孔部、51e…第3孔部、51f…案内溝、51f1…第1溝、51f2…第2溝、52…センサユニット、53…調整手段、53b…目盛、53c…指示部、61…可動ケース、61a…案内突起、61b…固定部、62…空気袋、63…センサモジュール、71…圧力センサ部、71a…フレキシブル基板、71b…基板、71c…感圧素子、71d…孔(流通孔)、72…センサベース、72a…支持壁部、73…センサヘッドカバー、73a…開口、73b…凸部、73c…フレーム部、73d…端面、73e…周面、73g…内表面、74…軟質部、75…ゴム部、75b…凸部、76…第1の凸部、77…第2の凸部、78a…第1の部分、78b…第2の部分、79…間隙部、100…手首、110…橈骨動脈、111…橈骨、112…尺骨動脈、113…尺骨、114…腱。
図1
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