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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-19
(45)【発行日】2022-07-27
(54)【発明の名称】画像読取装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/10 20060101AFI20220720BHJP
   G03B 27/62 20060101ALI20220720BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20220720BHJP
【FI】
H04N1/10
G03B27/62
G03G21/16 133
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018130019
(22)【出願日】2018-07-09
(65)【公開番号】P2020010194
(43)【公開日】2020-01-16
【審査請求日】2021-06-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】特許業務法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長濱 寛之
【審査官】橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-077695(JP,A)
【文献】特開平04-186334(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/04- 1/207
G06T 1/00
G03B 27/50-27/70
G03G 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
読取対象の原稿が載置される載置面を有するプラテンガラスと、
開閉可能に支持され、開けられているときには前記載置面を露出させ、閉じられているときには前記載置面を覆うプラテンカバーと、
前記載置面に対して垂直な方向である上下方向の上方から前記載置面上に載置された原稿を押え付ける補助押え部材と、
前記プラテンカバーが閉じられるときに前記プラテンカバーの動きに連動して前記補助押え部材を前記上下方向の下方に押圧する押圧機構と、
前記載置面上の領域外において前記補助押え部材を支持する支持部材と、を備え、
前記押圧機構は、
前記プラテンカバーが開けられているときには前記載置面よりも前記上下方向の上方に突出し、前記プラテンカバーが閉じられるときに前記プラテンカバーによって前記上下方向の下方に押圧されて前記上下方向の下方に移動する可動部材と、
前記可動部材の前記上下方向の下方に配置され、前記プラテンカバーが閉じられるときに前記可動部材によって前記上下方向の下方に押圧される第1弾性部材と、を備え、
前記支持部材は、前記第1弾性部材の前記上下方向の下方に配置された部分であり前記第1弾性部材から弾性力を受ける部分である受け部を有する画像読取装置。
【請求項2】
前記第1弾性部材の前記上下方向の下方に配置される第2弾性部材を備え、
前記受け部は、前記第1弾性部材と前記第2弾性部材とに挟まれることを特徴とする請求項に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記支持部材は、前記補助押え部材を前記載置面上の領域外において前記上下方向を軸方向とする軸周りに回動可能に支持し、
前記補助押え部材は、前記軸周りに回動することにより、前記載置面上の領域と前記載置面上の領域外とに選択配置されることを特徴とする請求項またはに記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記載置面を囲む枠部を有する筐体を備え、
前記補助押え部材は、前記載置面上の領域外に配置されているとき、前記枠部の前記上下方向の下方に入り込むことを特徴とする請求項に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記プラテンカバーの開閉を検知するための開閉センサーを備え、
前記可動部材には、前記可動部材と共に前記上下方向に移動する検知片が設けられ、
前記開閉センサーは、前記検知片を検知対象とすることを特徴とする請求項のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラテンガラス上の原稿を読み取る画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像読取装置には、読取対象の原稿が載置されるプラテンガラスが設けられる。また、画像読取装置には、プラテンカバーが開閉可能に設けられる。プラテンカバーは、開けられているときにはプラテンガラスを露出させ、閉じられているときにはプラテンガラスを覆う。
【0003】
画像読取装置で原稿を読み取るとき、プラテンガラス上に原稿を載置するため、ユーザーはプラテンカバーを開ける。そして、プラテンガラス上への原稿の載置後、ユーザーはプランテンカバーを閉じる。プラテンカバーを閉じることにより、プラテンガラス上の原稿をプラテンカバーで押え付けることができる。
【0004】
ここで、プラテンカバーを閉じるときにプラテンガラス上の原稿に風圧が加わり、プラテンガラス上の原稿の載置位置が初期位置からずれる場合がある。そこで、従来、プラテンガラス上での原稿の位置ずれを抑制する技術が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0005】
特許文献1の画像読取装置は、プラテンガラス上において主走査方向に移動可能に設置された移動抑制部材および副走査方向に移動可能に設置された移動抑制部材を備える。特許文献1では、プラテンガラス上の原稿の端面に移動抑制部材を当接させた状態で、プラテンカバーを閉じることにより、プラテンガラス上での原稿の位置ずれを抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2004-54121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1では、プラテンガラス上の原稿の端面に移動抑制部材を当接させているだけであるので、プラテンカバーを閉じるときに発生する風圧による原稿の浮き上がりを抑制することができない。仮に、プラテンガラス上の原稿が移動抑制部材よりも上方に浮き上がってしまうと、移動抑制部材では原稿の移動を抑制することができない。その結果、プラテンガラス上での原稿の位置ずれが発生し得る。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、プラテンガラス上での原稿の位置ずれを抑制することが可能な画像読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の画像読取装置は、読取対象の原稿が載置される載置面を有するプラテンガラスと、開閉可能に支持され、開けられているときには載置面を露出させ、閉じられているときには載置面を覆うプラテンカバーと、載置面に対して垂直な方向である上下方向の上方から載置面上に載置された原稿を押え付ける補助押え部材と、プラテンカバーが閉じられるときにプラテンカバーの動きに連動して補助押え部材を上下方向の下方に押圧する押圧機構と、を備える。
【0010】
本発明の構成では、補助押え部材を用いることにより、プラテンガラスの載置面上に載置した原稿を上方から押え付けることができるので、プラテンカバーを閉じるときに発生する風圧でプラテンガラス上の原稿の載置位置が初期位置からずれる(プラテンガラス上の原稿が浮き上がる)のを抑制することができる。ここで、プラテンカバーを閉じるときに発生する風圧はプラテンカバーが完全に閉まる直前に最も大きくなり易い。そこで、プラテンカバーが閉じられるときにプラテンカバーの動きに連動して補助押え部材を下方に押圧する押圧機構が設けられる。これにより、プラテンカバーを閉じていくと、プラテンガラス上の原稿に対する補助押え部材の押圧力が大きくなっていくので、プラテンカバーが完全に閉まる直前に大きい風圧がプラテンガラス上の原稿に加わっても、プラテンガラス上の原稿の載置位置が初期位置からずれるのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の構成では、プラテンガラス上での原稿の位置ずれを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態による画像読取装置の構成を示す図
図2】本発明の一実施形態による画像読取装置のプラテンカバーの構成を示す図
図3】本発明の一実施形態による画像読取装置のプラテンガラスの載置面上の領域に補助押え部材が配置されている状態を示す図
図4】本発明の一実施形態による画像読取装置のプラテンガラスの載置面上の領域外に補助押え部材が配置されている状態を示す図
図5】本発明の一実施形態による画像読取装置の補助押え部材の支持構造を示す図
図6】本発明の一実施形態による画像読取装置の筺体の枠部に形成された切欠きの形成位置を示す図
図7】本発明の一実施形態による画像読取装置の押圧機構を示す図
図8】本発明の一実施形態による画像読装装置のプラテンカバーの開閉検知について説明するための図
図9】本発明の一実施形態による画像読取装置のプラテンガラスの載置面上に載置された原稿の角が基準位置に合わされていない状態の図
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1に示すように、本実施形態の画像読取装置100は、プラテンガラス1を備える。プラテンガラス1は、四角形状の載置面PSを有する。読取対象の原稿Dは、載置面PS上に載置される。載置面PSに対して垂直な方向は、画像読取装置100の上下方向と一致する。以下の説明では、載置面PSに対して垂直な方向を上下方向と称する。
【0014】
プラテンガラス1は、画像読取装置100の筺体2に設置される。筐体2は、樹脂製の枠部21を有する。プラテンガラス1が筐体2に設置された状態では、載置面PSが枠部21に囲まれる。すなわち、載置面PSは枠部21の開口から露出する。
【0015】
筺体2の内部(プラテンガラス1の下方)には、原稿Dを光学的に読み取るための光学系部材が設置される。光学系部材は、光源101、イメージセンサー102、ミラー103およびレンズ104を含む。
【0016】
光源101は、複数のLED素子(図示せず)を有する。複数のLED素子は、主走査方向(図1の紙面に対して垂直な方向)にライン状に配列される。光源101は、読取対象の原稿Dに向けて光を照射する。原稿Dで反射された反射光は、ミラー103で反射され、レンズ104に導かれる。レンズ104は、反射光を集光する。
【0017】
イメージセンサー102は、原稿Dからの反射光(レンズ104で集光された光)を受光し原稿Dをライン単位で読み取る。イメージセンサー102は、主走査方向にライン状に並ぶ複数の光電変換素子を有するCCDからなり、反射光を受光すると、ライン単位で画素毎に光電変換して電荷を蓄積する。そして、イメージセンサー102は、蓄積電荷に応じたアナログ信号を出力する。
【0018】
光源101およびミラー103は、主走査方向と直交する副走査方向に移動可能な移動枠105に装着される。移動枠105は、ワイヤー106に連結される。ワイヤー106は、巻取ドラム107に巻回される。巻取ドラム107が回転することにより、移動枠105が副走査方向に移動する。すなわち、光源101およびミラー103が副走査方向に移動する。
【0019】
原稿Dの読み取り時、移動枠105は副走査方向(画像読取装置100の正面から見て左から右に向かう方向)に移動する。そして、移動枠105が副走査方向に移動しているとき、光源101が光を照射する。また、原稿Dで反射された反射光の光電変換をイメージセンサー102が連続して繰り返し行う。これにより、原稿Dの読み取りがライン単位で行われる。
【0020】
また、図2に示すように、筐体2には、プラテンカバー3が開閉可能に設置される。具体的には、筐体2の背面側にカバー用回転軸3aが設置される。プラテンカバー3は、カバー用回転軸3aに回動可能(開閉可能)に支持され、カバー用回転軸3aを支点として回動する。すなわち、プラテンカバー3は、正面側の部分を自由端とし、正面側の部分を上下方向に振るように回動する。
【0021】
プラテンカバー3が開けられると、載置面PSが露出し、載置面PS上への原稿Dの載置が可能な状態となる(図2上図参照)。プラテンカバー3が閉じられると、プラテンカバー3によって載置面PSが覆われた状態となる(図2下図参照)。したがって、載置面PS上に原稿Dを載置するとき、ユーザーはプラテンカバー3を開ける。そして、載置面PS上への原稿Dの載置後、ユーザーはプラテンカバー3を閉じる。プラテンカバー3が閉じられることにより、プラテンカバー3によって載置面PS上の原稿Dが押え付けられる。
【0022】
ここで、プラテンカバー3を閉じるとき、載置面PS上の原稿Dが風圧を受ける。そして、場合によっては、載置面PS上の原稿Dが動く(たとえば、原稿Dが浮き上がる)。その結果、載置面PS上での原稿Dの位置がずれた状態で、原稿Dの読み取りが行われるという不都合が生じ得る。
【0023】
そこで、図3および図4に示すように、画像読取装置100には、プラテンカバー3とは別に、載置面PS上の原稿Dを載置面PSの上方から補助的に押え付けるための補助押え部材4が設けられる。載置面PS上の原稿Dを補助押え部材4で押え付け、その状態でプラテンカバー3を閉じることにより、原稿Dに風圧が加わっても、原稿Dの移動を抑制することができる。
【0024】
補助押え部材4は、樹脂製の板材からなる。また、補助押え部材4は、上下方向を軸方向とする軸4a周りに回動可能に支持される。そして、押え部材4は、軸4a周りに回動することにより、載置面PS上の領域と載置面PS上の領域外とに選択配置される。載置面PS上の領域は、上方から見て載置面PSと重なる領域であり、枠部21の開口の内側の領域である。一方で、上方から見て載置面PSと重ならない領域、すなわち、枠部21の開口の外側の領域は、載置面PS上の領域外である。載置面PS上の領域に配置されている補助押え部材4を図3に示す。載置面PS上の領域外に配置されている補助押え部材4を図4に示す。図3および図4では、紙面に対して垂直な方向が上下方向となる。
【0025】
なお、補助押え部材4の設置数は特に限定されない。補助押え部材4の設置数が1つでもよいし、補助押え部材4の設置数が複数でもよい。図3および図4では、補助押え部材4の設置数が1つである場合を図示する。
【0026】
また、補助押え部材4を回動可能に支持する支持位置も特に限定されない。ここで、通常では、載置面PS上に原稿Dを載置するとき、ユーザーは原稿Dの4角の1つを載置面PSの予め定められた基準位置RPに合わせる(図3参照)。一般的には、載置面PSの4角のうち左上の角が基準位置RPに設定される。
【0027】
このため、載置面PS上の領域のうち左上領域(基準位置RPを含む領域)に補助押え部材4を配置することが可能な位置が補助押え部材4の支持位置とされる。補助押え部材4の設置数が複数である場合には、いずれかの補助押え部材4が載置面PS上の左上領域に配置可能となっていればよい。これにより、基準位置RPに角が合わされた原稿Dを補助押え部材4で押え付けることができる。
【0028】
補助押え部材4を回動可能に支持するため、図5に示すように、画像読取装置100には、樹脂製(たとえば、補助押え部材4と同じ材料)の支持部材5が設けられる。たとえば、補助押え部材4には、上下方向を軸方向とする回動軸が設けられ、支持部材5には、上下方向を軸方向とする軸受が設けられる。そして、補助押え部材4の回動軸が支持部材5の軸受に嵌め込まれる。これにより、補助押え部材4を回動可能に支持することができる。なお、補助押え部材4に軸受を設け、支持部材5に回転軸を設けてもよい。
【0029】
補助押え部材4と支持部材5との連結部分CPは載置面PS上の領域外に配置される。すなわち、支持部材5は、載置面PS上の領域外において補助押え部材4を回動可能に支持する。これにより、補助押え部材4を回動することにより、補助押え部材4を載置面PS上の領域に配置することもできるし、補助押え部材4を載置面PS上の領域外に配置することもできる。
【0030】
たとえば、載置面PS上の領域外に配置された補助押え部材4は、枠部21の下方に入り込んだ状態となる。この構成では、載置面PS上の領域外(枠部21の下方)に配置された補助押え部材4を載置面PS上の領域に引き出す際の作業性を向上させるため、図6に示すように、載置面PS上の領域外に配置された補助押え部材4の一部を露出させるための切欠き21aを枠部21に形成しておくのが好ましい。これにより、補助押え部材4が枠部21の下方に入り込んだ状態であっても、ユーザーは枠部21の切欠き21aを介して補助押え部材4に触れることができる(図6上図参照)。その結果、容易に、補助押え部材4を載置面PS上の領域に向けて回動させることができる(図6下図参照)。
【0031】
また、図7に示すように、画像読取装置100には、支持部材5を下方に押圧するための押圧機構6が設けられる。押圧機構6は、可動部材61、第1圧縮バネ62および第2圧縮バネ63を含む。第1圧縮バネ62は「第1弾性部材」に相当し、第2圧縮バネ63は「第2弾性部材」に相当する。
【0032】
可動部材61は、上下方向に移動可能に支持される。可動部材61は、枠部21に設けられたガイド穴21bに嵌め込まれる。第1圧縮バネ62は、可動部材61の下方に配置される。第1圧縮バネ62の上端は、可動部材61に当接する。第2圧縮バネ63は、第1圧縮バネ62の下方に配置される。第2圧縮バネ62の下端は、バネ支持部材64に当接する。バネ支持部材64は、筐体2の内部フレーム(図示せず)に固定される。
【0033】
また、支持部材5は、受け部5aを有する。第1圧縮バネ62の下端は、支持部材5の受け部5aの上面に当接する。第2圧縮バネ63の上端は、支持部材5の受け部5aの下面に当接する。すなわち、支持部材5の受け部5aは、第1圧縮バネ62と第2圧縮バネ63とに挟まれ、第1圧縮バネ62および第2圧縮バネ63から弾性力を受ける。
【0034】
図7上図に示すように、プラテンカバー3が開けられているとき(プラテンカバー3と可動部材61とが当接していないとき)、可動部材61は、第1圧縮バネ62により上方に押圧され、載置面PSよりも上方に突出する。また、支持部材5は、第2圧縮バネ63により上方に押圧される。言い換えると、第2圧縮バネ63は、支持部材5を介して間接的に、補助押え部材4を上方に押圧する。
【0035】
また、図7下図に示すように、プラテンカバー3が閉じられるとき、可動部材61は、プラテンカバー3により下方に押圧され、下方に移動する。これにより、第1圧縮バネ62は、可動部材61により下方に押圧される。また、支持部材5は、第1圧縮バネ62により下方に押圧される。言い換えると、第1圧縮バネ62は、支持部材5を介して間接的に、補助押え部材4を下方に押圧する。プラテンカバー3を閉じていくに従って(プラテンカバー3の載置面PSに対する傾斜角度が小さくなるに従って)、補助押え部材4の原稿Dに対する押圧力が大きくなっていく。
【0036】
ここで、図8に示すように、可動部材61には検知片65が一体的に設けられる。プラテンカバー3が開閉されると、検知片65は可動部材61と共に上下方向に移動する。検知片65の移動経路には光センサー7が設けられる。光センサー7は、発光部および受光部を有する。光センサー7は「開閉センサー」に相当する。
【0037】
プラテンカバー3が開けられているとき(図8上図参照)、検知片65は光センサー7の光路(発光部と受光部との間の領域)を遮らない。プラテンカバー3を閉じていくと、可動部材61がプラテンカバー3に当接して下方に押し込まれ、検知片65が下方に移動する。そして、プラテンカバー3の傾斜角度(載置面PSとの間の角度)が所定角度になるまでプラテンカバー3が閉じられたとき(図8下図参照)、検知片65が光センサー7の光路を遮る。その後、プラテンカバー3が完全に閉じられると、可動部材61はプラテンカバー3によってさらに下方に押し込まれるが、光センサー7の光路は検知片65によって遮られたままである。
【0038】
この構成では、光センサー7は、プラテンカバー3が開けられているときと閉じられているときとで出力値を変化させる。すなわち、光センサー7は、検知片65を検知対象とし、プラテンカバー3の開閉状態に応じた値を出力する。これにより、光センサー7の出力値に基づき、プラテンカバー3の開閉を検知することができる。
【0039】
本実施形態の画像読取装置100は、上記のように、読取対象の原稿Dが載置される載置面PSを有するプラテンガラス1と、開閉可能に支持され、開けられているときには載置面PSを露出させ、閉じられているときには載置面PSを覆うプラテンカバー3と、載置面PS上に載置された原稿Dを上方から押え付ける補助押え部材4と、プラテンカバー3が閉じられるときにプラテンカバー3の動きに連動して補助押え部材4を下方に押圧する押圧機構6と、を備える。
【0040】
本実施形態の構成では、補助押え部材4を用いることにより、プラテンガラス1の載置面PS上に載置した原稿Dを上方から押え付けることができるので、プラテンカバー3を閉じるときに発生する風圧でプラテンガラス1上の原稿Dの載置位置が初期位置からずれる(プラテンガラス1上の原稿Dが浮き上がる)のを抑制することができる。ここで、プラテンカバー3を閉じるときに発生する風圧はプラテンカバー3が完全に閉まる直前に最も大きくなり易い。そこで、プラテンカバー3が閉じられるときにプラテンカバー3の動きに連動して補助押え部材4を下方に押圧する押圧機構6が設けられる。これにより、プラテンカバー3を閉じていくと、プラテンガラス1上の原稿Dに対する補助押え部材4の押圧力が大きくなっていくので、プラテンカバー3が完全に閉まる直前に大きい風圧がプラテンガラス1上の原稿Dに加わっても、プラテンガラス1上の原稿Dの載置位置が初期位置からずれるのを抑制することができる。
【0041】
また、本実施形態では、上記のように、補助押え部材4は、載置面PS上の領域外において支持部材5によって支持される。押圧機構6は、プラテンカバー3が開けられているときには載置面PSよりも上方に突出し、プラテンカバー3が閉じられるときにプラテンカバー3によって下方に押圧されて下方に移動する可動部材61と、可動部材61の下方に配置され、プラテンカバー3が閉じられるときに可動部材61によって下方に押圧される第1圧縮バネ62と、を備える。支持部材5は、第1圧縮バネ62の下方に配置された部分であり第1圧縮バネ62から弾性力を受ける部分である受け部5aを有する。この構成では、プラテンカバー3が閉じられていくと、第1圧縮バネ62による支持部材5に対する下方への押圧力が大きくなっていく。ここで、支持部材5は補助押え部材4に連結されているので、支持部材5に対する下方への押圧力が大きくなっていくと、プラテンガラス1上の原稿Dに対する補助押え部材4の押圧力も大きくなっていく。これにより、容易に、プラテンカバー3が完全に閉まるとき(プラテンガラス1上の原稿Dに大きい風圧が加わるとき)、プラテンガラス1上の原稿Dに対する補助押え部材4の押圧力をより大きくすることができる。
【0042】
また、本実施形態では、上記のように、第1圧縮バネ62の下方に第2圧縮バネ63が設けられる。そして、支持部材5の受け部5aは、第1圧縮バネ62と第2圧縮バネ63とに挟まれる。この構成では、プラテンカバー3が開けられているとき、第2圧縮バネ63の弾性力により、支持部材5が上方に押圧される。すなわち、プラテンガラス1上の原稿Dに対する補助押え部材4の押圧力が小さくなる。これにより、プラテンガラス1上の原稿Dの配置位置を容易に微調整することができる(プラテンガラス1上の原稿Dを容易に動かすことができる)。なお、プラテンガラス1上の原稿Dに対する補助押え部材4の押圧力はプラテンカバー3を開けていくに従って徐々に小さくなっていくので、プラテンカバー3を完全に開き切らなくても、プラテンガラス1上の原稿Dの配置位置を微調整することができる。
【0043】
また、本実施形態では、上記のように、支持部材5は、載置面PS上の領域外において上下方向を軸方向とする軸4a周りに補助押え部材4を回動可能に支持する。そして、補助押え部材4は、軸4a周りに回動することにより、載置面PS上の領域と載置面PS上の領域外とに選択配置される。この構成では、補助押え部材4を使用しないとき、補助押え部材4を載置面PS上の領域外に配置することができる。たとえば、読取対象の原稿Dが書籍である場合には、補助押え部材4は不要である。この場合、載置面PS上の領域に補助押え部材4が配置されていると、補助押え部材4が邪魔になる。したがって、補助押え部材4を載置面PS上の領域と載置面PS上の領域外とに選択配置可能に構成することにより、ユーザーの利便性が向上する。
【0044】
なお、図9に示すように、ユーザーによっては、読取対象の原稿Dの角を基準位置RPに合わせない場合がある。このような場合であっても、補助押え部材4は回動可能であるので、補助押え部材4で原稿Dを押え付けることができる。
【0045】
また、本実施形態では、上記のように、補助押え部材4は、載置面PS上の領域外に配置されているとき、枠部21の下方に入り込む。この構成では、補助押え部材4を設けても、見栄えが悪くならない。
【0046】
また、本実施形態では、上記のように、可動部材61と共に上下方向に移動する検知片65が可動部材61に設けられる。また、検知片65を検知対象とする光センサー7がプラテンカバー3の開閉を検知するための開閉センサーとして設けられる。この構成では、プラテンカバー3の開閉を検知するための機構を別途設けなくても(可動部材61に検知片65を設けるだけで)、プラテンカバー3の開閉に応じて光センサー7の出力値を変化させることができる(プラテンカバー3の開閉を検知することができる)。
【0047】
なお、変形例として、枠部21の一部を他の部分から分割し、当該分割した部分を補助押え部材4として機能させてもよい。
【0048】
今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0049】
1 プラテンガラス
2 筐体
3 プラテンカバー
4 補助押え部材
4a 軸
5 支持部材
5a 受け部
6 押圧機構
7 光センサー(開閉センサー)
21 枠部
61 可動部材
62 第1圧縮バネ(第1弾性部材)
63 第2圧縮バネ(第2弾性部材)
65 検知片
100 画像読取装置
D 原稿
PS 載置面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9