(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-19
(45)【発行日】2022-07-27
(54)【発明の名称】モニタリングシステム
(51)【国際特許分類】
G05B 19/418 20060101AFI20220720BHJP
G01D 9/00 20060101ALI20220720BHJP
H03H 3/02 20060101ALI20220720BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
G01D9/00 A
H03H3/02 A
(21)【出願番号】P 2018148441
(22)【出願日】2018-08-07
【審査請求日】2021-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000149734
【氏名又は名称】株式会社大真空
(74)【代理人】
【識別番号】100086737
【氏名又は名称】岡田 和秀
(72)【発明者】
【氏名】内田 裕之
【審査官】今井 貞雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-136326(JP,A)
【文献】特開2013-065286(JP,A)
【文献】特開2002-009567(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のセンサが接続可能であって、接続された前記センサによって測定される測定データを送信するデータロガーと、
前記データロガーから送信される前記測定データを受信して記憶部に格納するデータサーバと、
前記データサーバの前記記憶部に格納されている前記測定データを閲覧可能なクライアント端末とを備え、
前記センサは、電子部品の製造ラインに設置されると共に、前記設置される箇所の環境を示す環境データを測定するものであり、
前記データロガー、前記データサーバ及び前記クライアント端末が、ネットワークを介して接続される
ものであり、
前記電子部品が、圧電デバイスであって、前記設置される箇所が、前記圧電デバイスを構成する圧電片に電極を形成するクリーンルームに配置された前記圧電片を洗浄する洗浄機内であり、
前記センサが、前記洗浄機内のパーティクルを測定するパーティクルセンサであり、
前記データロガーは、前記パーティクルセンサによって測定される測定値と予め定められている閾値とを比較して、その比較結果に応じた制御信号を出力して、前記洗浄機の稼働、停止を制御する、
ことを特徴とするモニタリングシステム。
【請求項2】
複数のセンサが接続可能であって、接続された前記センサによって測定される測定データを送信するデータロガーと、
前記データロガーから送信される前記測定データを受信して記憶部に格納するデータサーバと、
前記データサーバの前記記憶部に格納されている前記測定データを閲覧可能なクライアント端末とを備え、
前記センサは、電子部品の製造ライン
に設置されると共に、前記設置される箇所の環境を示す環境データを測定するものであり、
前記データロガー、前記データサーバ及び前記クライアント端末が、ネットワークを介して接続される
ものであり、
前記電子部品が、圧電デバイスであって、前記設置される箇所が、前記圧電デバイスを構成する圧電片のベベル加工を行う加工室内であり、
前記センサは、前記加工室内の湿度を測定する湿度センサであり、
前記データロガーは、前記湿度センサによって測定される測定値と予め定められている閾値とを比較して、その比較結果に応じた制御信号を出力して、前記加工室内に純水を霧状に噴霧するための圧縮窒素を供給する圧縮窒素配管に設けられた電磁弁の開閉を制御する、
ことを特徴とするモニタリングシステム。
【請求項3】
複数のセンサが接続可能であって、接続された前記センサによって測定される測定データを送信するデータロガーと、
前記データロガーから送信される前記測定データを受信して記憶部に格納するデータサーバと、
前記データサーバの前記記憶部に格納されている前記測定データを閲覧可能なクライアント端末とを備え、
前記センサは、電子部品の製造ラインに設置されると共に、前記設置される箇所の環境を示す環境データを測定するものであり、
前記データロガー、前記データサーバ及び前記クライアント端末が、ネットワークを介して接続されるものであり、
前記データサーバ及び前記クライアント端末は、第1のネットワークに接続され、
前記第1のネットワークは、ゲートウェイを介して閉域ネットワークである第2のネットワークに接続され、
前記データロガーは、前記第1のネットワーク及び前記第2のネットワークの少なくともいずれか一方のネットワークに接続される、
ことを特徴とするモニタリングシステム。
【請求項4】
前記データロガーは、前記少なくともいずれか一方のネットワークに、無線通信可能に接続される、
請求項
3に記載のモニタリングシステム。
【請求項5】
前記データロガーは、前記センサによって測定される測定データを、予め設定された時間間隔で前記データサーバに送信する、
請求項1
ないし4のいずれか一項に記載のモニタリングシステム。
【請求項6】
前記ネットワークに接続される警告手段を備え、
前記データサーバは、前記記憶部に格納される前記測定データを監視して、前記測定データの値が、予め定めた管理範囲を超えたか否かを判定するものであり、
前記警告手段は、前記データサーバの前記判定の結果に基づいて、前記測定データの値が、前記管理範囲を超えたときに警告するものである、
請求項
1ないし5のいずれか一項に記載のモニタリングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品の製造ラインにおける製造現場の環境などをモニタリングするのに好適なモニタリングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、オフィスや住宅における環境を快適なものとするために、オフィス等における温度、湿度、空気汚れ等の環境をセンサで測定し、空調を制御する空調管理システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のオフィスや住宅と異なり、電子部品の製造ラインにおける製造現場の環境や製造装置の製造条件の変動は、製品の歩留まりや品質に大きく影響する。
【0005】
また、製品が不良品であった場合には、その不良品が製造された時の製造現場の環境や製造装置の製造条件等の製造履歴を分析し、原因を追究し、再発防止策を講じる必要がある。
【0006】
したがって、電子部品の製造ラインにおける製造現場の環境等の変動を、リアルタイムで、かつ、低コストで把握することのできるモニタリングシステムが望まれる。
【0007】
本発明は、上記のような点に鑑みて為されたものであって、電子部品の製造現場の環境等の変動をリアルタイムで、かつ、低コストでモニタリングすることができるモニタリングシステムを提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明では、上記目的を達成するために、次のように構成している。
【0009】
すなわち、第1本発明のモニタリングシステムは、複数のセンサが接続可能であって、接続された前記センサによって測定される測定データを送信するデータロガーと、前記データロガーから送信される前記測定データを受信して記憶部に格納するデータサーバと、前記データサーバの前記記憶部に格納されている前記測定データを閲覧可能なクライアント端末とを備え、前記センサは、電子部品の製造ラインに設置されると共に、前記設置される箇所の環境を示す環境データを測定するものであり、前記データロガー、前記データサーバ及び前記クライアント端末が、ネットワークを介して接続されるものであり、
前記電子部品が、圧電デバイスであって、前記設置される箇所が、前記圧電デバイスを構成する圧電片に電極を形成するクリーンルームに配置された前記圧電片を洗浄する洗浄機内であり、前記センサが、前記洗浄機内のパーティクルを測定するパーティクルセンサであり、前記データロガーは、前記パーティクルセンサによって測定される測定値と予め定められている閾値とを比較して、その比較結果に応じた制御信号を出力して、前記洗浄機の稼働、停止を制御する。
【0010】
第1本発明のモニタリングシステムによれば、圧電デバイスの歩留まりに影響する圧電片に電極を形成するクリーンルーム内のパーティクルをモニタリングすることができる。これによって、異物の介在を防ぐなど圧電片の電極形成状態を最適なものとすることができ、圧電デバイスの電気的な特性の向上や歩留まり向上に有効である。
【0012】
また、複数の環境データのモニタリングを、データロガーに接続するセンサの種類の変更や追加によって行うことができるので、所望の環境データのモニタリングを低コストで実現することができる。
【0013】
参考例としてのモニタリングシステムは、複数のセンサが接続可能であって、接続された前記センサによって測定される測定データを送信するデータロガーと、前記データロガーから送信される前記測定データを受信して記憶部に格納するデータサーバと、前記データサーバの前記記憶部に格納されている前記測定データを閲覧可能なクライアント端末とを備え、前記センサは、電子部品の製造ラインにおける製造装置の設定パラメータに関するデータを測定するものであり、前記データロガー、前記データサーバ及び前記クライアント端末が、ネットワークを介して接続される。
【0014】
参考例のモニタリングシステムによれば、データロガーに接続されたセンサによって電子部品の製造ラインにおける製造装置の設定パラメータに関するデータを測定し、測定したデータを、ネットワークを介してデータサーバに送信して記憶部に格納し、格納した測定データは、ネットワークを介してクライアント端末で閲覧できるので、電子部品の製造ラインにおける製造装置の設定パラメータに関するデータをモニタリングすることができる。
【0015】
これによって、電子部品の製造ラインにおける製造装置の動作の状況を、リアルタイムで確認することができる。また、測定データが変動して、例えば、測定データの値が管理すべき管理範囲から外れるなどの異常が生じると、作業者は、適宜の措置、例えば、製造装置の設定パラメータを調整したり、製造装置を停止させるなどの措置をとることができる。
【0016】
また、複数の設定パラメータに関するデータのモニタリングを、データロガーに接続するセンサの種類の変更や追加によって行うことができるので、所望の設定パラメータに関するデータのモニタリングを低コストで実現することができる。
【0021】
第2本発明のモニタリングシステムでは、複数のセンサが接続可能であって、接続された前記センサによって測定される測定データを送信するデータロガーと、前記データロガーから送信される前記測定データを受信して記憶部に格納するデータサーバと、前記データサーバの前記記憶部に格納されている前記測定データを閲覧可能なクライアント端末とを備え、前記センサは、電子部品の製造ラインに設置されると共に、前記設置される箇所の環境を示す環境データを測定するものであり、前記データロガー、前記データサーバ及び前記クライアント端末が、ネットワークを介して接続されるものであり、
前記電子部品が、圧電デバイスであって、前記設置される箇所が、前記圧電デバイスを構成する圧電片のベベル加工を行う加工室内であり、前記センサは、前記加工室内の湿度を測定する湿度センサであり、前記データロガーは、前記湿度センサによって測定される測定値と予め定められている閾値とを比較して、その比較結果に応じた制御信号を出力して、前記加工室内に純水を霧状に噴霧するための圧縮窒素を供給する圧縮窒素配管に設けられた電磁弁の開閉を制御する。
【0022】
第2本発明のモニタリングシステムによれば、ベベル加工に使用する砥粒等に影響を与えて、ベベル形状を変化させる加工室内の湿度をモニタリングすることができる。これによって、圧電片のベベル加工状態を最適なものとすることができ、圧電デバイスの電気的な特性の向上や歩留まり向上に有効である。
【0023】
参考例のモニタリングシステムでは、前記電子部品が、圧電デバイスであって、前記製造装置が、前記圧電デバイスを構成する圧電振動片を、該圧電振動片を収容するベースに、接着剤によって接合させて搭載する搭載装置であり、前記設定パラメータが、前記搭載装置の前記接着剤を吐出する接着剤吐出部の吐出条件を示す設定値であり、前記センサは、前記接着剤吐出部の前記接着剤の吐出圧力を測定する構成としてもよい。
【0024】
上記構成によれば、圧電振動片を接着剤によってベースに接合させて搭載する搭載装置における、接着剤吐出部の前記接着剤の塗布量に対応する吐出圧力をモニタリングすることができる。これによって、圧電振動片のベースへの接着剤による搭載状態を最適なものとすることができ、圧電デバイスの電気的な特性の向上や歩留まり向上に有効である。
【0025】
第3本発明のモニタリングシステムでは、複数のセンサが接続可能であって、接続された前記センサによって測定される測定データを送信するデータロガーと、前記データロガーから送信される前記測定データを受信して記憶部に格納するデータサーバと、前記データサーバの前記記憶部に格納されている前記測定データを閲覧可能なクライアント端末とを備え、前記センサは、電子部品の製造ラインに設置されると共に、前記設置される箇所の環境を示す環境データを測定するものであり、前記データロガー、前記データサーバ及び前記クライアント端末が、ネットワークを介して接続されるものであり、
前記データサーバ及び前記クライアント端末は、第1のネットワークに接続され、前記第1のネットワークは、ゲートウェイを介して閉域ネットワークである第2のネットワークに接続され、前記データロガーは、前記第1のネットワーク及び前記第2のネットワークの少なくともいずれか一方のネットワークに接続される。
【0026】
上記構成によれば、工場の電子部品の製造ラインにおける製造設備を、閉域ネットワークである第2のネットワークに接続することによって、設備情報のセキュリティ性を高めることができる。
【0027】
本発明のモニタリングシステムでは、前記データロガーは、前記少なくともいずれか一方のネットワークに、無線通信可能に接続される構成としてもよい。
【0028】
上記構成によれば、データロガーは無線通信可能であるので、ケーブルを用いて電気的に接続する必要がなく、設置場所の選択の自由度が高まる。
【0029】
本発明のモニタリングシステムでは、前記データロガーは、前記センサによって測定される測定データを、予め設定された時間間隔で前記データサーバに送信する構成としてもよい。
【0030】
上記構成によれば、データロガーが、測定データをデータサーバに送信する時間間隔、すなわち、モニタリングの時間間隔を設定することができるので、例えば、短い時間間隔を設定することによって、連続的なモニタリングを行うことができる。これによって、測定データの変動を詳細に把握することができ、突発的に生じる測定データの変動も見逃すことなく、把握することができる。
【0033】
本発明のモニタリングシステムでは、前記ネットワークに接続される警告手段を備え、前記データサーバは、前記記憶部に格納される前記測定データを監視して、前記測定データの値が、予め定めた管理範囲を超えたか否かを判定するものであり、前記警告手段は、前記データサーバの前記判定の結果に基づいて、前記測定データの値が、前記管理範囲を超えたときに警告するように構成してもよい。
【0034】
上記構成によれば、測定データの値が、予め定めた管理範囲を超えたときには、警告手段による警告が行なわれるので、作業者は、警告によって測定データが管理範囲を超えたことを迅速に知ることができ、直ちに測定データが管理範囲に収まるように適宜の措置をとることができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、電子部品の製造ラインにおける製造現場の環境データ、あるいは、製造装置の設定パラメータに関するデータをモニタリングすることができるので、測定データが変動して、例えば、測定データの値が管理すべき管理範囲から外れるなどの異常が生じると、作業者は、適宜の措置、例えば、装置の設定を調整したり、製造装置を停止させるなどの措置をとることができる。
【0036】
また、複数の環境データ、あるいは、複数の設定パラメータに関するデータのモニタリングを、データロガーに接続するセンサの種類の変更や追加によって行うことができるので、所望の環境データ、あるいは、所望の設定パラメータに関するデータのモニタリングを低コストで実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】
図1は
第3本発明の一実施形態に係るモニタリングシステムの概略構成図である。
【
図2】
図2は
図1のデータロガーの機能構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は
第2本発明の
一実施形態のモニタリングシステムの概略構成図である。
【
図4】
図4は
図3のデータロガーの制御動作を説明するための湿度変化を示す図である。
【
図5】
図5は
図3のデータロガーの動作を説明するための概略フローチャートである。
【
図6】
図6は
図3のデータロガーに接続された温湿度センサによって測定された温度及び湿度の変化を示す図である。
【
図7】
図7は
第1本発明の
一実施形態のモニタリングシステムの概略構成図である。
【
図8】
図8は
図7のデータロガーに接続されたパーティクルセンサによって測定されたパーティクルの変化を示す図である。
【
図9】
図9は
参考例のモニタリングシステムの概略構成図である。
【
図10】
図10は
図9のデータロガーに接続された圧力センサによって測定されたディスペンサーの吐出圧力の変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0039】
[第1実施形態]
図1は、本発明のモニタリングシステムの基本的な構成を説明するための一実施形態に係る概略構成図である。この実施形態のモニタリングシステムは、電子部品の製造ラインにおける製造現場の環境データや製造装置の設定パラメータに関するデータをモニタリングするものである。
【0040】
この
図1のモニタリングシステムでは、2つの第1,第2拠点1,2における環境データ等を測定し、測定した測定データを、第3拠点3に送信するものである。
【0041】
第1,第2拠点1,2は、例えば、異なる場所の工場などを想定することができ、第3拠点3は、例えば、本社などを想定することができる。第1,第2拠点1,2には、電子部品を製造するための第1,第2製造装置14,15がそれぞれ設置されている。
【0042】
なお、上記想定に限らず、例えば、第1,第2拠点1,2は、同一の工場における電子部品の製造ラインの異なる製造現場、あるいは、同一の工場における電子部品の製造ライン及び資材倉庫などを想定することができ、第3拠点3は、製造ラインから離れた事務所や研究所などを想定することができ、モニタリングする対象等に応じて、拠点の数を含めて種々の態様を想定することができる。
【0043】
この実施形態のモニタリングシステムは、複数のセンサが接続可能であって、接続されたセンサによって測定される測定データをそれぞれ送信する第1~第4データロガー(Data Logger)4~7と、第1~第4データロガー4~7で測定された測定データの異常を警告する警告手段としての第1~第4警告灯10~13と、各データロガー4~7から送信される測定データを受信して記憶部に格納するデータサーバ8と、データサーバ8の記憶部に格納されている測定データを閲覧可能な複数のクライアント端末9とを備えている。
【0044】
第1,第2拠点1,2と第3拠点3とは、第1のネットワーク19を介してそれぞれ接続される。第1拠点1の第1のネットワーク19には、第1ゲートウェイ20を介して、閉域ネットワークである第2のネットワーク16が接続される。第2拠点2の第1のネットワーク19には、第2ゲートウェイ21を介して、閉域ネットワークである第2のネットワーク16が接続される。
【0045】
この実施形態では、第1のネットワーク19及び第2のネットワーク16は、例えば、LAN( Local Area Network )等の専用線で構成されている。
【0046】
第1拠点1の閉域ネットワークである第2のネットワーク16には、無線LANの第1アクセスポイント(Access Point)17を介して第1データロガー4及び第1警告灯10が無線通信可能に接続されると共に、上記のように第1製造装置14が接続される。第1拠点1の第1のネットワーク19には、クライアント端末9が接続されると共に、無線LANの第2アクセスポイント18を介して第2データロガー5及び第2警告灯11が無線通信可能に接続される。
【0047】
第2拠点2の閉域ネットワークである第2のネットワーク16には、無線LANの第3アクセスポイント22を介して第3データロガー6及び第3警告灯12が無線通信可能に接続されると共に、上記のように第2製造装置15が接続される。第2拠点2の第1のネットワーク19には、クライアント端末9が接続されると共に、無線LANの第4アクセスポイント23を介して第4データロガー7及び第4警告灯13が無線通信可能に接続される。
【0048】
第1,第2拠点1,2の各データロガー4~7及び各警告灯10~13は、無線通信可能であるので、ケーブルを用いてネットワーク16,19に電気的に接続する必要がなく、設置場所の選択の自由度が高まる。
【0049】
第1,第2拠点1,2の上記製造装置14,15等の製造設備は、閉域ネットワークである第2のネットワーク16に接続されるので、設備情報等へのアクセスが制限され、セキュリティー性が向上する。
【0050】
第3拠点3の第1のネットワーク19には、データサーバ8及びクライアント端末9が接続される。
【0051】
図2は、第1データロガー4の機能構成を示すブロック図である。第1~第4データロガー4~7は、同じ機能構成であるので、
図2では、第1データロガー4を代表的に示して説明する。
【0052】
データロガー4は、データロガー本体24を備えており、このデータロガー本体24には、複数のセンサが、着脱自在に接続可能である。複数のセンサとして、例えば、温湿度センサ25、パーティクルセンサ26、圧力センサ27、電圧センサ28などが、センサ用バス68を介して接続可能である。複数のセンサは、デイジーチェーン接続して増設可能である。
【0053】
データロガー本体24は、各部の電源を供給する電源部29と、メモリ30と、マイクロSDカードが挿入されるマイクロSDスロット31と、パソコン等のUSB端子を有する機器との接続インターフェースであるUSBインターフェース32と、液晶表示部33と、例えば、無線LAN通信を行うための無線モジュール34と、後述の制御信号を出力するデジタルI/O35と、各部を制御するCPU36とを備える。
【0054】
データロガー4では、データロガー本体24のマイクロSDスロット31に、初期設定情報が記憶されたマイクロSDカードを挿入して、初期設定情報を読出して初期設定を行うことが可能である。また、データロガー本体24のUSBインターフェース32にパソコンを接続して、パソコンからデータロガー4の初期設定を行うことも可能である。この初期設定では、センサ25~28で測定されるデータをデータサーバ8に送信する時間間隔等を含む設定が行われる。
【0055】
上記構成を有する
図1に示される第1~第4データロガー4~7では、設定された時間間隔で、各データロガー4~7にそれぞれ接続された各センサ25~28によって測定された測定データを、各ネットワーク16,19を介してデータサーバ8に送信する。
【0056】
データサーバ8は、各データロガー4~7からの測定データを受信して、記憶部としてのデータベースに格納する。データサーバ8は、測定データを監視し、測定データが、予め設定されている管理範囲を外れたか否かを判定する。データサーバ8は、測定データが管理範囲を外れたと判定すると、すなわち、異常と判定すると、その判定結果に基づいて、異常と判定されたデータロガー4~7に対応する警告フラグを立てる。
【0057】
第1~第4警告灯10~13は、データサーバ8の警告フラグを監視しており、第1~第4警告灯10~13は、自身に対応した警告フラグを検知すると、点灯やブザーなどによって異常を報知する。この報知は、測定データが前記管理範囲に収まってデータサーバ8が警告フラグを落すまで継続する。各警告灯10~13は、どのデータロガー4~7の測定データの異常を報知するかが、予め設定されている。例えば、第1~第4警告灯10~13は、第1~第4データロガー4~7にそれぞれ対応する。
【0058】
この実施形態では、上記のようにデータサーバ8は、測定データを監視し、異常と判定すると、異常と判定されたデータロガー4~7に対応する警告フラグを立て、各警告灯10~13が、データサーバ8の警告フラグを監視し、対応する警告フラグが検知されると、異常を報知するようにしたが、本発明の他の実施形態として、データサーバ8は、異常と判定したときには、異常と判定されたデータロガー4~7に対応する警告信号を第1~第4警告灯10~13に送信し、警告信号を受信した対応する第1~第4警告灯10~13が、異常を報知するようにしてもよい。
【0059】
また、本発明の他の実施形態として、各データロガー4~7にそれぞれ対応する警告灯10~13を個別に設けるのではなく、警告灯の数を減らし、例えば、警告灯を一つにし、いずれかのデータロガー4~7の測定データの異常が検知されると、一つの警告灯で異常を報知するようにしてもよい。
【0060】
各クライアント端末9では、インターネットブラウザを利用して、データサーバ8にアクセスしてデータベースに格納されている測定データを閲覧することができる。クライアント端末9では、データサーバ8の測定データの一覧表示やグラフ表示等を閲覧することができる。データサーバ8は、測定データの一覧表示では、測定値に応じた色分け表示を行う。例えば、測定値が管理範囲の境界値に近づいたときには、該当する欄や測定値を、例えば、黄色で表示し、測定値が管理範囲を超えたときには、該当する欄や測定値を、例えば、赤色で表示するといった色分けによる強調表示を行って、クライアント端末9の操作者に注意を促す。また、測定値が途絶えた場合には、該当する欄を、例えば、赤色で点滅させるなどの表示を行う。
【0061】
更に、この実施形態では、データサーバ8は、測定データを監視し、測定データが、予め設定されている管理範囲を外れたことを検知したときには、上記のように対応する警告フラグを立てる一方、警告の電子メールを各クライアント端末9に送信する。
【0062】
本実施形態のモニタリングシステムによれば、電子部品の製造ラインにおける製造現場の環境データや製造装置の設定パラメータに関するデータなどを各種のセンサで測定し、測定した測定データをデータロガー4~7によってネットワーク16,19を介してデータサーバ8に送信して、データサーバ8の記憶部に格納し、記憶部に格納した測定データを、各クライアント端末9で閲覧することができる。
【0063】
これによって、電子部品の製造ラインにおける製造現場の環境や製造装置の動作の状況を、リアルタイムで把握することができる。また、データロガー4~7がデータサーバ8に測定データを送信する時間間隔を短く設定することによって、測定データを連続的に監視することができ、測定データの変動を詳細に把握することができ、突発的な測定データの変動を見逃すことがない。
【0064】
測定データが変動して、例えば、管理範囲を外れるなどの異常が生じると、警告灯10~13による警告や警告の電子メールが送信されるので、作業者は、適宜の措置、例えば、装置を調整したり、装置を停止させるなどの措置を迅速にとることができる。これによって、品質の向上や歩留まりの改善を図ることができる。
【0065】
また、データロガー4~7に接続するセンサの種類の変更や追加によって、複数のデータの測定が可能であるので、低コストで各種の環境データや設定パラメータに関するデータをモニタリングすることができる。
【0066】
更に、データサーバ8で測定データを一元管理してトレーサビリティを確保することができ、製品の不良が生じた場合には、データサーバ8の測定データを解析して不良原因を特定して対策を講じることができる。
【0067】
以下、本発明のモニタリングシステムのより具体的な実施形態について説明する。
【0068】
[第2実施形態]
図3は、温湿度をモニタリングして湿度を制御するシステムの概略構成図であり、
図1に対応する部分には、同一の参照符号を付す。
【0069】
この実施形態のモニタリングシステムは、電子部品としての圧電デバイスである水晶振動子の水晶片のベベル加工を行う加工室内の温湿度を測定し、湿度を制御するものである。
【0070】
第1拠点1aが、水晶振動子の製造ラインにおいて、水晶片のベベル加工を行う加工室であり、第3拠点3aが、例えば、事務所である。
【0071】
水晶片のベベル加工には、砥粒が使用されるが、この砥粒は湿度の影響を受け易く、ベベル形状のばらつきを抑制するために、湿度を管理する必要がある。
【0072】
この第1拠点1aである加工室には、圧縮窒素配管42からの圧縮窒素を利用して、純水配管41から供給される純水を霧状にして噴霧するための第1~第4スプレーガン37~40が配設されている。圧縮窒素配管42は分岐されており、分岐された一方の圧縮窒素配管42aには、第1,第2スプレーガン37,38への圧縮窒素の供給、遮断を行う第1電磁弁43が設けられ、他方の圧縮窒素配管42bには、第3,第4スプレーガン39,40への圧縮窒素の供給、遮断を行う第2電磁弁44が設けられている。
【0073】
第1拠点1aである加工室の第1のネットワーク19には、無線LANの第1アクセスポイント45を介して第1,第2データロガー46,47が無線通信可能に接続されると共に、前記第1アクセスポイント45を介して各データロガー46,47で測定される測定データの異常を警告する第1,第2警告灯48,49が無線通信可能に接続される。
【0074】
第1,第2データロガー46,47は、上記実施形態のデータロガーと同様の機能構成を有し、図示しない温湿度センサ25,25がそれぞれ接続される。第1データロガー46に接続される温湿度センサ25は、加工室内の、例えば、中央付近の温湿度を測定し、第2データロガー47に接続される温湿度センサ25は、加工室内の、例えば、出入口付近の温湿度を測定する。
【0075】
第1,第2データロガー46,47は、上記
図2のデジタルI/O35からのデジタル出力(制御信号)によって、第1,第2電磁弁43,44の開閉を制御することによって、第1~第4スプレーガン37~40のオン、オフを制御し、加工室内の湿度を調整する。
【0076】
第3拠点3aである事務所の第1のネットワーク19には、データサーバ8が接続されると共に、無線LANの第2アクセスポイント50を介して第3警告灯51が無線通信可能に接続される。また、第1のネットワーク19には、クライアント端末9が接続される。
【0077】
この実施形態のモニタリングシステムでは、上記実施形態と同様に、第1,第2データロガー46,47は、設定された時間間隔で、各データロガー46,47にそれぞれ接続された温湿度センサ25によって測定された測定データを、第1のネットワーク19を介してデータサーバ8に送信する。データサーバ8は、各データロガー46,47からの測定データを受信して、記憶部としてのデータベースにそれぞれ格納する。データサーバ8は、データベースの測定データを監視し、測定データが、予め設定されている管理範囲を外れたか否かを判定し、測定データが管理範囲を外れて異常と判定すると、異常と判定されたデータロガー46,47に対応する警告フラグを立てると共に、警告の電子メールをクライアント端末9に送信する。
【0078】
第1~第3警告灯48,49,51は、データサーバ8の警告フラグを監視し、第1~第3警告灯48,49,51は、自身に対応した警告フラグを検知すると、点灯やブザーなどによって異常を報知する。この実施形態では、第1,第2警告灯48,49は、第1,第2データロガー46,47の測定データの異常をそれぞれ報知する。また、第3拠点3aの第3警告灯51は、いずれかのデータロガー46,47の測定データに異常が生じると、それを報知する。この報知は、測定データが前記管理範囲に収まってデータサーバ8が警告フラグを落すまで継続する。
【0079】
クライアント端末9では、データサーバ8の測定データの一覧表示やグラフ表示等を閲覧することができる。データサーバ8は、測定データの一覧表示では、測定値に応じた色分けによる強調表示を行う。
【0080】
更に、この実施形態のモニタリングシステムでは、第1,第2データロガー46,47は、予めそれぞれのデータロガー自身(メモリ30等)に設定されている湿度範囲と、各データロガー46,47にそれぞれ接続される温湿度センサ25,25によって測定された湿度とをそれぞれ比較し、その比較結果に基づいて、第1~第4スプレーガン37~40に供給されている圧縮窒素の供給、遮断を行う第1,第2電磁弁43,44の開閉をそれぞれ制御する。
【0081】
このように各データロガー46,47自身が、接続される温湿度センサ25,25によって測定された湿度に基づいて、第1~第4スプレーガン37~40に供給されている圧縮窒素の供給、遮断を行う第1,第2電磁弁43,44の開閉をそれぞれ制御するので、データサーバ8が、そのデータベースに格納される測定データである湿度に基づいて、データロガー46,47を介して第1,第2電磁弁43,44の開閉をそれぞれ制御する場合に比べて、迅速な対応が可能となる。
【0082】
図4は、この第1,第2データロガー46,47による第1,第2電磁弁43,44の開閉制御を説明するための湿度変化を示す図である。この
図4において、縦軸が測定される湿度を、横軸が時間をそれぞれ示している。第1,第2データロガー46,47は上記のように同じ機能構成であるので、第1データロガー46について説明する。
【0083】
データロガー46には、湿度の制御上限値及び制御下限値が予めそれぞれ設定されていると共に、湿度の規格上限値及び規格下限値が設定されている。
【0084】
この
図4に示されるように、データロガー46に接続される温湿度センサ25によって測定される加工室の湿度が上昇し、時点t1で制御上限値に達すると、データロガー46は、第1電磁弁43を閉じて、第1,第2スプレーガン37,38をOFFし、純水の噴霧を停止する。温湿度センサ25によって測定される加工室の湿度が低下し、制御上限値を下回り、更に、時点t2で制御下限値に達すると、データロガー46は、第1電磁弁43を開き、第1,第2スプレーガン37,38をONし、純水の噴霧を開始する。
【0085】
温湿度センサ25によって測定される加工室の湿度が再び上昇し、時点t3で制御上限値に達すると、データロガー46は、再び、第1電磁弁43を閉じて、第1,第2スプレーガン37,38をOFFし、純水の噴霧を停止する。
【0086】
このようにデータロガー46は、温湿度センサ25によって測定される加工室の湿度が、制御上限値以上になると、第1電磁弁43を閉じて、第1,第2スプレーガン37,38をOFFし、温湿度センサ25によって測定される加工室の湿度が、制御下限値以下になると、第1電磁弁43を開いて、第1,第2スプレーガン37,38をONするという、制御を繰返す。
【0087】
これによって、
図4に示されるように、加工室の湿度を、規格上限値及び規格下限値で規定される規格範囲内に制御することができる。
【0088】
データサーバ8は、データベースの測定データである温度及び湿度を監視し、温度又は湿度が、前記規格範囲よりも狭い予め定めた管理範囲を外れたか否かを判定し、温度又は湿度が管理範囲を外れて異常と判定すると、その異常と判定されたデータロガー46,47に対応する警告フラグを立てると共に、警告の電子メールをクライアント端末9に送信する。
【0089】
第1~第3警告灯48,49,51は、データサーバ8の警告フラグを監視し、第1~第3警告灯48,49,51は、自身に対応した警告フラグを検知すると、点灯やブザーなどによって異常を報知する。この実施形態では、温度と湿度とによって、各警告灯48,49,51の点灯色を異ならせている。
【0090】
図5は、この実施形態の第1,第2データロガー46,47の動作を説明するための概略フローチャートである。
【0091】
この実施形態のデータロガー46,47は、温湿度センサ25が接続されると共に、パーティクルセンサ26を増設可能なデータロガーであり、温湿度センサ25のみを接続して温湿度のみを測定するモードと、パーティクルセンサ26を増設して、温湿度の測定に加えて、パーティクルを測定するモードとを備えている。
【0092】
上記のように第1,第2データロガー46,47は、機能構成が同じであるので、第1データロガー46について説明する。
【0093】
先ず、起動処理として、データロガー本体24のマイクロSDスロット31に、マイクロSDカードが装着されているか否かを確認し(ステップS1)、マイクロSDカードが装着されていないときには、ステップS2に移り、マイクロSDカードが装着されているときには、マイクロSDカード内の初期設定ファイルの有無を確認し(ステップS6)、初期設定ファイルが無いときには、ステップS2に移り、初期設定ファイルがあるときには、初期設定ファイルから初期設定情報を取得してデータロガー本体24のメモリ30に格納してステップS2に移る。
【0094】
ステップS2では、メモリ30の初期設定情報に基づいて、無線接続やセンサによる測定の時間間隔などのデータロガー自身の初期設定を行い、ステップS3に移る。このように初回起動時には、マイクロSDカードを介して初期設定情報が設定される。ステップS3では、温湿度センサ25が接続されているか否かを確認し、接続されているときには、接続確認のために温湿度を測定してメモリ30に測定データを格納してステップS5に移り(ステップS4)、接続されていないときには、液晶表示部33に、温湿度センサ25が接続されていない旨の警告表示を行い、ステップS3に戻る(ステップS8)。この警告表示によって、作業者は、データロガー本体24に温湿度センサ25を接続する。この実施形態のデータロガー46は、温湿度センサ25を接続するまで起動しない。
【0095】
ステップS5では、パーティクルセンサ26が接続されているか否かを確認し、パーティクルセンサ26が接続されているときには、接続確認のためにパーティクルを測定して測定データをメモリ30に格納し、温湿度センサ25による温湿度の測定とパーティクルセンサ26によるパーティクルの測定との両者の測定を行うデュアルモードで初期設定を完了してステップS11に移る(ステップS9)。パーティクルセンサ26が接続されていないときには、パーティクルセンサ26を使用しないパーティクル無しモード、すなわち、温湿度センサ25によって温湿度のみを測定するモードで初期設定を完了してステップS11に移る(ステップS10)。
【0096】
ステップS11では、データを測定して液晶表示部33に表示し、この実施形態のデータロガー46では、湿度の測定データに基づいて、上記のように第1電磁バルブ43の開閉を制御して、第1,第2スプレーガン37,38のオン、オフ制御を行い(ステップS12)、第1のネットワーク19との無線接続を確認し(ステップS13)、無線接続に問題がないときには、ステップS14に移り、無線接続に問題があるときには、ステップS11に戻る。
【0097】
ステップS14では、受信電波強度を確認し、受信電波強度が所定レベル以上であるときには、ステップS15に移り、受信電波強度が所定レベル未満であるときには、液晶表示部33に、受信電波強度が弱い旨の表示、例えば、「W
i-Fi_Low」を表示してステップS15に移る(ステップS18)。
【0098】
ステップS15では、データの測定の時間間隔をタイマでカウントし、設定値未満であるときには、ステップS11に戻り、設定値に達したときには、測定したデータを送信処理し(ステップS16)、第1のネットワーク19経由で初期設定の内容を変更するデータの受信を監視し(ステップS17)、データの受信がないときには、ステップS11に戻り、データの受信があったときには、受信したデータが、ロガーIPの変更データであるときには、ステップS1に戻って起動処理を行って受信データをロガー本体に設定し、受信したデータが、ロガーIPの変更データ以外のデータであるときには、受信データをロガー本体に設定してステップS11に戻る(ステップS19)。
【0099】
図6(a),(b)は、この実施形態の第1,2データロガー46,47にそれぞれ接続された温湿度センサ25,25によって測定された温度及び湿度の変化をそれぞれ示すものである。
図6(a),(b)において、黒三角は、第1データロガー46に接続された温湿度センサ25によって測定された温度及び湿度の変化を示し、黒四角は、第2データロガー47に接続された温湿度センサ25によって測定された温度及び湿度の変化を示している。
【0100】
この
図6(a),(b)においては、温度及び湿度の規格上限値及び規格下限値をそれぞれ破線で示している。
【0101】
本実施形態のモニタリングシステムによれば、水晶振動子の製造ラインにおけるベベル加工室内の温度及び湿度をモニタリングすると共に、データロガー46,57によって、スプレーガン37~40のオン、オフを制御して、湿度を規格範囲内に制御することができる。
【0102】
また、温度が変動して、例えば、管理範囲を外れるなどの異常が生じると、警告灯48,49,51による警告や警告の電子メールが送信されるので、作業者は、直ちに適宜の措置、例えば、空調設備を調整するといったことが可能となる。
【0103】
これによって、水晶片のベベル加工状態を最適なものとすることができ、水晶振動子の電気的な特性の向上や歩留まり向上を図ることができる。
【0104】
[第3実施形態]
図7は、パーティクル(清浄度)をモニタリングして、装置の稼働、停止を制御するモニタリングシステムの概略構成図であり、
図1に対応する部分には、同一の参照符号を付す。
【0105】
この実施形態のモニタリングシステムは、電子部品としての圧電デバイスである水晶振動子の水晶片に電極を形成するためのクリーンルームである蒸着室のパーティクルを測定し、蒸着室の清浄度を監視すると共に、水晶片をドライ洗浄する洗浄機の稼動、停止を制御するものである。
【0106】
第1拠点1bが、水晶振動子の製造ラインにおいて、蒸着によって水晶片に電極を形成するための蒸着室であり、第3拠点3bが、例えば、事務所である。
【0107】
第1拠点1bである蒸着室は、空気中における塵埃等の浮遊微粒子であるパーティクルを少なくして空気の清浄度が高度に保たれたクリーンルームである。この蒸着室には、空気中の塵埃を除去するために、HEPAフィルタ等のエアフィルタを通じて空気が送り込まれる。
【0108】
この蒸着室内には、作業台であるクリーンベンチ52と、水晶片のドライ洗浄を行う洗浄機53と、蒸着装置54が配置されている。
【0109】
第1拠点1bである蒸着室の第1のネットワーク19には、無線LANの第1アクセスポイント55を介して第1~第4データロガー56~59が無線通信可能に接続されると共に、第1アクセスポイント55を介して各データロガー56~59で測定される測定データの異常を警告する第1,第2警告灯60,61が無線通信可能に接続される。
【0110】
第1~第4データロガー56~59は、上記第1実施形態のデータロガーと同様の機能構成を有し、図示しないパーティクルセンサ26がそれぞれ接続される。第1データロガー56は、クリーンベンチ52に配置されており、パーティクルセンサ26によってクリーンベンチ52のパーティクルを測定する。第2データロガー57は、洗浄機53内に配置されており、パーティクルセンサ26によって洗浄機53内のパーティクルを測定する。第3データロガー58は、蒸着装置54の近傍に配置されており、パーティクルセンサ26によって蒸着装置54の近傍のパーティクルを測定する。第4データロガー59は、蒸着室の、例えば、中央付近に配置されており、パーティクルセンサ26によって中央付近のパーティクルを測定する。
【0111】
この実施形態では、第1,第2データロガー56,57によって測定される測定データの異常を、第1警告灯60によって警告し、第3,第4データロガー58,59によって測定される測定データの異常を、第2警告灯61によって警告する。
【0112】
第3拠点3bである事務所の第1のネットワーク19には、データサーバ8が接続されると共に、無線LANの第2アクセスポイント50を介して第3警告灯51が無線通信可能に接続される。また、第1のネットワーク19には、クライアント端末9が接続される。第3警告灯51は、第1~第4データロガー56~59のいずれかによって測定される測定データの異常を警告する。
【0113】
この実施形態のモニタリングシステムでは、上記実施形態と同様に、第1~第4データロガー56~59は、設定された時間間隔で、各データロガー56~59にそれぞれ接続されたパーティクルセンサ26によって測定された測定データを、第1のネットワーク19を介してデータサーバ8に送信する。
【0114】
データサーバ8は、各データロガー56~59からの測定データを受信して、記憶部としてのデータベースにそれぞれ格納する。データサーバ8は、測定データを監視し、測定データが、予め設定されている管理範囲を外れたか否かを判定する。データサーバ8は、測定データが管理範囲を外れたと判定すると、すなわち、異常と判定すると、その判定結果に基づいて、異常と判定されたデータロガー56~59に対応する警告フラグを立てると共に、警告の電子メールを各クライアント端末9に送信する。警告フラグを監視している第1,第2警告灯60,61は、自身に対応した警告フラグを検知すると、点灯やブザーなどによって異常を報知する。
【0115】
クライアント端末9では、データサーバ8の測定データの一覧表示やグラフ表示等を閲覧することができる。データサーバ8は、測定データの一覧表示では、測定値に応じた色分けによる強調表示を行う。
【0116】
更に、この実施形態のモニタリングシステムでは、第2データロガー57は、上記
図2に示されるデジタルI/O35からの制御信号(デジタル出力)によって、洗浄機53の稼働、停止を制御する。具体的には、第2データロガー57に接続されたパーティクルセンサ26によって測定される洗浄機53内のパーティクルの測定値が、予め定められている閾値である所定値を超えているときには、第2データロガー57は、制御信号によって洗浄機53の稼働を禁止し、あるいは、洗浄機53の稼働中に、パーティクルの測定値が、前記所定値を超えたときには、稼動を停止させる。洗浄機53内のパーティクルの測定値が、前記所定値以下であるときには、第2データロガー57は、制御信号によって洗浄機53の稼働を許容する。なお、洗浄機53の稼働中に、稼動を停止したときには、もう一度、水晶片の洗浄を行う。
【0117】
これによって、洗浄機53における水晶片のドライ洗浄は、パーティクル量が所定値以下の清浄度の高い状況で行われる。
【0118】
また、第1,第3,第4データロガー56,58,59に接続されたパーティクルセンサ26で測定されるパーティクルの量が、管理範囲を超えると、第1,第2警告灯60,61による警告が行われるので、作業者は、作業を中断するなどして清浄度が回復するまで待機することができる。これによって、パーティクルの量が、管理範囲を超えて、上限規格値及び下限規格値で規定される規格範囲を超えるのを防止することができる。
【0119】
図8は、この実施形態のモニタリングシステムによって測定されたパーティクルの変化を示す図であり、縦軸がパーティクルの量を、横軸が時間をそれぞれ示している。
【0120】
この実施形態では、連続的にパーティクルを測定しているので、
図8に示されるような突発的なパーティクル量の増大も見逃すことなく、把握することができる。
【0121】
本実施形態のモニタリングシステムによれば、水晶振動子の水晶片に電極を形成する蒸着室のパーティクルを測定し、蒸着室の清浄度を監視すると共に、データロガー57によって、パーティクル量が所定値以下の清浄度の高い状況で水晶片のドライ洗浄が行えるように、洗浄機53の稼動、停止を制御することができる。
【0122】
また、パーティクル量が管理範囲を超えるなどの異常が生じると、警告灯60,61,51による警告や警告の電子メールが送信されるので、作業者は、適宜の措置、例えば、清浄度が回復するまで、作業を中断するといったことが可能となる。
【0123】
これによって、異物の介在を防ぐなど水晶片の電極形成状態を最適なものとすることができ、水晶振動子の電気的な特性の向上や歩留まり向上を図ることができる。
【0124】
本実施形態では、より多くのデータロガーを配置して清浄度を監視することによって、蒸着室における局所的、突発的な発塵を把握することが可能となり、監視の精度が向上する。
【0125】
[
参考例]
図9は、
参考例としての圧力をモニタリングするモニタリングシステムの概略構成図であり、
図1に対応する部分には、同一の参照符号を付す。
【0126】
この参考例のモニタリングシステムでは、電子部品としての圧電デバイスである水晶振動子の水晶振動片を、パッケージを構成するベースに収容搭載する搭載装置62におけるディスペンサー63の吐出圧力をモニタリングするものである。
【0127】
第1拠点1cが、水晶振動子の製造ラインにおいて、搭載装置62が設置されている製造現場であり、第3拠点3cが、例えば、事務所である。
【0128】
搭載装置62は、水晶振動片を、該水晶振動片を収容するベースに、接着剤によって接合させて搭載するものである。この搭載装置62は、前記接着剤を吐出する接着剤吐出部としてのディスペンサー63と、アクチュエータやI/O等のディスペンサー63の機構部64と、接着剤の塗布状態を撮像するカメラ65とを備えている。
【0129】
ディスペンサー63の機構部64には、ディスペンサー63による接着剤の吐出圧力を測定する図示しない圧力センサ27が接続されたデータロガー66が設けられている。このデータロガー66は、無線LANのアクセスポイント67を介して第1のネットワーク19に無線通信可能に接続される。
【0130】
第3拠点3cである事務所の第1のネットワーク19には、データサーバ8が接続されると共に、クライアント端末9が接続される。クライアント端末9では、データサーバ8の測定データの一覧表示やグラフ表示等を閲覧することができる。
【0131】
図10は、データロガー66によって接続された圧力センサによって測定されたディスペンサー63による接着剤の吐出圧力の変化を示す図であり、縦軸は圧力を、横軸は時間を示している。
【0132】
ディスペンサー63による接着剤の塗布は、2回行われる。
図10において、実線が1回目の塗布の場合の吐出圧力を、破線が2回目の塗布の場合の吐出圧力をそれぞれ示している。
【0133】
本参考例のモニタリングシステムによれば、水晶振動片を、ベースに接着剤によって接合させて搭載する搭載装置62のディスペンサー63の吐出圧力をモニタリングすることができる。
【0134】
これによって、水晶振動片のベースへの接着剤による搭載状態を最適なものとすることができ、水晶振動子の電気的な特性の向上や歩留まり向上を図ることができる。
【0135】
また、製品の不良が生じた場合には、データサーバ8の測定データに基づいて、吐出圧力に対応する接着剤の塗布量に問題がなかったかを確認することができる。
【0136】
[その他の実施形態]
本発明は、以下のような形態で実施することもできる。
【0137】
(1)測定データは、上記の各実施形態に限らず、データロガーに種々のセンサを接続して、各種の環境データや製造装置の設定パラメータに関するデータをモニタリングしてもよい。
【0138】
例えば、データロガーに、振動センサを接続し、水晶板を切断するワイヤーソーのモータなどの振動をモニタリングするようにしてもよい。
【0139】
また、製造装置の設定パラメータそのもの、すなわち、設定値をモニタリングするようにしてもよい。これによって、適切な設定値によって製造装置が稼動されたか否か等を確認することができる。
【0140】
製造装置が備えるシグナルタワーの状態をモニタリングするようにしてもよく、これによって、製造装置の稼働率等を監視するようにしてもよい。
【0141】
(2)上記実施形態では、温湿度センサをデータロガーに接続して温度及び湿度をモニタリングしたが、温度及び湿度から露点を算出して、露点を監視するようにしてもよく、あるいは、データロガーが露点計を接続して露点を監視するようにしてもよい。
【0142】
(3)上記実施形態では、データロガー及び警告灯は、無線LANによって無線接続したが、無線LANに限らず、Bluetooth(登録商標)等を用いてもよく、また、無線に限らず、有線接続であってもよい。
【0143】
(4)データサーバが接続される第1のネットワークは、インターネットを経由するものであってもよく、遠隔地の工場における電子部品の製造ラインの環境データ等を、データサーバに送信して監視するようにしてもよい。更に、データサーバによって、データロガーを介して工場の製造装置の稼動、停止等を制御してもよい。
【符号の説明】
【0144】
1,1a,1b,1c 第1拠点
2 第2拠点
3,3a,3b,3c 第3拠点
4~7,46,47,56~59,66 データロガー
8 データサーバ
9 クライアント端末
10~13,48,49,51,60,61 警告灯
16,19 ネットワーク
20,21 ゲートウェイ
24 データロガー本体
25 温湿度センサ
26 パーティクルセンサ
27 圧力センサ
28 電圧センサ
37~40 スプレーガン
43,44 電磁弁
53 洗浄機
62 搭載装置