(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-19
(45)【発行日】2022-07-27
(54)【発明の名称】エレベーターの敷居装置、およびエレベーターの敷居の交換方法
(51)【国際特許分類】
B66B 13/30 20060101AFI20220720BHJP
【FI】
B66B13/30 L
(21)【出願番号】P 2018176392
(22)【出願日】2018-09-20
【審査請求日】2021-05-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100142642
【氏名又は名称】小澤 次郎
(72)【発明者】
【氏名】上條 裕太郎
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 一浩
(72)【発明者】
【氏名】清水 崇行
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】安達 尚生
(72)【発明者】
【氏名】布施 諒祐
(72)【発明者】
【氏名】小川 葵
(72)【発明者】
【氏名】堀田 貴之
(72)【発明者】
【氏名】田澤 亮
【審査官】八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-040473(JP,U)
【文献】実開昭54-053268(JP,U)
【文献】実開昭51-124752(JP,U)
【文献】特開平10-310354(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0251735(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 13/00-13/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベーターのドアの下端に設けられるドアシューをガイドするガイド溝を有する敷居と、
前記敷居を下方から支持し、前記敷居の上面が前記ドアシューの下端より高い第1位置から前記敷居の上面が前記ドアシューの下端より低い第2位置までの範囲で前記敷居を支持する位置を前記ドアシューが取り付けられている状態において上下させるジャッキユニットと、
を備えるエレベーターの敷居装置。
【請求項2】
エレベーターの乗場出入口の下方の昇降路の内壁に固定され、前記ジャッキユニットを下方から支持する支持具ユニット
を備える請求項1に記載のエレベーターの敷居装置。
【請求項3】
前記ジャッキユニットは、ジャッキボルトによって前記敷居を支持する位置を上下させる請求項1または請求項2に記載のエレベーターの敷居装置。
【請求項4】
前記敷居の左右方向の端部を左右方向から固定する補強具
を備える請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のエレベーターの敷居装置。
【請求項5】
前記ジャッキユニットは、前記敷居の重心の下方を支持する第1ジャッキと、前記敷居の下方を支持し前記第1ジャッキと独立に上下する第2ジャッキと、を備える請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のエレベーターの敷居装置。
【請求項6】
エレベーターのドアの下端に設けられるドアシューをガイドするガイド溝を有する敷居を、前記敷居を下方から支持するジャッキユニットによって、前記敷居の上面が前記ドアシューの下端より高い第1位置から前記敷居の上面が前記ドアシューの下端より低い第2位置まで、前記ドアシューが取り付けられている状態において下降させるジャッキダウン工程と、
前記ドアシューが取り付けられている状態において前記第2位置にある前記敷居を交換する交換工程と、
交換された敷居を、前記ジャッキユニットによって、前記第2位置から前記第1位置まで、前記ドアシューが取り付けられている状態において上昇させるジャッキアップ工程と、
を備えるエレベーターの敷居の交換方法。
【請求項7】
前記ジャッキダウン工程より前に、前記敷居の左右方向の端部を左右方向から固定している補強具の固定を解除する解除工程と、
前記ジャッキアップ工程より後に、前記補強具に前記敷居の左右方向の端部を固定させる復旧工程と、
を備える請求項6に記載のエレベーターの敷居の交換方法。
【請求項8】
前記ジャッキダウン工程において、前記敷居の重心の下方を支持する前記ジャッキユニットの第1ジャッキを、前記敷居の下方を支持し前記第1ジャッキと独立に上下する前記ジャッキユニットの第2ジャッキより後に下降させ、
前記ジャッキアップ工程において、前記第1ジャッキを、前記第2ジャッキより先に上昇させる請求項6または請求項7に記載のエレベーターの敷居の交換方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベーターの敷居装置、エレベーターの敷居の交換方法およびエレベーターの敷居の設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1にエレベーターの敷居装置の例が記載されている。敷居装置において、敷居の上下の位置は、ボルトおよびナットが通される鉛直方向に延びる長穴によって調整される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の敷居装置において、敷居の交換の際に敷居がドアシューに干渉する。このため、敷居装置は、敷居の交換の際にドアシューの取り外しを必要とする。したがって、敷居装置は、敷居の交換の後にドアシューの取付けおよびドアの再調整を必要とする。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するためになされた。本発明の目的は、敷居の交換の後にドアの再調整を必要としないエレベーターの敷居装置、エレベーターの敷居の交換方法およびエレベーターの敷居の設置方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るエレベーターの敷居装置は、エレベーターのドアの下端に設けられるドアシューをガイドするガイド溝を有する敷居と、敷居を下方から支持し、敷居の上面がドアシューの下端より高い第1位置から敷居の上面がドアシューの下端より低い第2位置までの範囲で敷居を支持する位置をドアシューが取り付けられている状態において上下させるジャッキユニットと、を備える。
【0007】
本発明に係るエレベーターの敷居の交換方法は、エレベーターのドアの下端に設けられるドアシューをガイドするガイド溝を有する敷居を、敷居を下方から各々が支持するジャッキユニットによって、敷居の上面がドアシューの下端より高い第1位置から敷居の上面がドアシューの下端より低い第2位置まで、ドアシューが取り付けられている状態において下降させるジャッキダウン工程と、ドアシューが取り付けられている状態において第2位置にある敷居を交換する交換工程と、交換された敷居を、ジャッキユニットによって、第2位置から第1位置まで、ドアシューが取り付けられている状態において上昇させるジャッキアップ工程と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
これらの発明によれば、敷居は、エレベーターのドアの下端に設けられるドアシューをガイドするガイド溝を有する。ジャッキユニットは、ドアシューが取り付けられている状態において第1位置から第2位置までの範囲で敷居を移動可能に下方から支持する。第1位置において、敷居の上面は、ドアシューの下端より高い。第2位置において、敷居の上面は、ドアシューの下端より低い。敷居は、第2位置において交換される。これにより、ドアの再調整を必要とせずに敷居が交換される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態1に係る敷居装置が設けられるエレベーターの構成図である。
【
図2】実施の形態1に係る敷居装置の正面図である。
【
図3】実施の形態1に係る敷居装置の側面図である。
【
図4】実施の形態1に係る敷居装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を実施するための形態について添付の図面を参照しながら説明する。各図において、同一または相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化または省略する。
【0012】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る敷居装置が設けられるエレベーターの構成図である。
【0013】
エレベーター1は、建築物2に設けられる。建築物2は、複数の階を備える。エレベーター1において、昇降路3は複数の階を貫く。エレベーター1は、巻上機4と、釣合オモリ5と、かご6と、を備える。巻上機4は、例えばモーターによって駆動力を発生させる装置である。巻上機4は、例えば昇降路3に設けられる。釣合オモリ5は、巻上機4のモーターが発生させる駆動力によって昇降路3の内部を上下に走行する機器である。かご6は、巻上機4のモーターが発生させる駆動力によって昇降路3の内部を上下に走行することで、複数の階の間で利用者を輸送する装置である。かご6は、かごドア7を備える。かごドア7は、かご6の側面に設けられる。かごドア7は、かご6が複数の階のいずれかに停止しているときに、利用者がかご6に乗降しうるように開閉する装置である。かごドア7は、例えば両開きのドアである。かごドア7は、エレベーター1のドアの例である。
【0014】
エレベーター1において、乗場8は、建築物2の各階に設けられる。乗場8は、乗場出入口によって昇降路3に通じる。乗場出入口は、乗場8と昇降路3とを繋ぐ開口である。エレベーター1は、乗場ドア9と、ドアハンガー10と、敷居装置11と、を備える。乗場ドア9は、各階の乗場出入口に設けられる。乗場ドア9は、利用者がかご6に乗降しうるようにかごドア7に追従して開閉する装置である。乗場ドア9は、例えば両開きのドアである。乗場ドア9は、エレベーター1のドアの例である。ドアハンガー10は、乗場ドア9の上端を開閉方向に移動可能に支持する部分である。開閉方向は、左右方向である。ドアハンガー10は、乗場出入口より昇降路3の側に設けられる。ドアハンガー10は、乗場出入口の上方に設けられる。敷居装置11は、乗場ドア9の開閉をガイドする装置である。敷居装置11は、乗場出入口より昇降路3の側に設けられる。敷居装置11は、乗場出入口の下方に設けられる。
【0015】
図2は、実施の形態1に係る敷居装置の正面図である。
【0016】
乗場ドア9は、ドアシュー12を備える。ドアシュー12は、乗場ドア9の下端に設けられる。ドアシュー12は、乗場ドア9が開閉するときに敷居装置11にガイドされる部材である。
【0017】
敷居装置11は、敷居13と、支持具ユニット14と、ジャッキユニット15と、一対の補強具16と、を備える。
【0018】
敷居13は、乗場ドア9の開閉方向に延びる板である。敷居13は、ガイド溝17を有する。ガイド溝17は、乗場ドア9が開閉するときにドアシュー12をガイドする溝である。ガイド溝17の幅は、ドアシュー12の幅より広い。ガイド溝17は、乗場ドア9の開閉方向に延びる。ガイド溝17が延びる方向は、敷居13が延びる方向と平行である。
【0019】
支持具ユニット14は、乗場出入口の下方の昇降路3の内壁に固定される。支持具ユニット14は、複数の支持具18を備える。複数の支持具18の各々は、ブラケット19と、アンカーボルト20と、を備える。ブラケット19は、例えばL字状の形状のアングル材である。ブラケット19は、鉛直面21と水平面22とを有する。鉛直面21は、昇降路3の内壁に対向する。水平面22は、鉛直面21に直交する面である。ブラケット19は、鉛直面21に貫通孔を有する。ブラケット19は、水平面22に貫通孔を有する。ブラケット19は、鉛直面21と水平面22とにわたる補強部分を有してもよい。アンカーボルト20は、ブラケット19を昇降路3の内壁に固定する部材である。アンカーボルト20は、ブラケット19の鉛直面21の貫通孔に通される。アンカーボルト20は、昇降路3の内壁に打ち込まれる。
【0020】
ジャッキユニット15は、複数のジャッキ23を備える。複数のジャッキ23の各々は、敷居13を下方から支持する装置である。複数のジャッキ23の各々は、複数の支持具18の各々に下方から支持される。複数のジャッキ23の各々は、受座24と、ジャッキボルト25と、ナット26と、を備える。受座24は、平板状の部材である。受座24の上面は、敷居13の下面に対向する。受座24は、敷居13の荷重を受ける部分である。受座24は、ジャッキ23の上端に設けられる。ジャッキボルト25は、鉛直方向に向けられる。ジャッキボルト25は、ブラケット19の水平面22の貫通孔に通される。ジャッキボルト25の上端は、受座24の下面に設けられる。ナット26は、受座24の鉛直方向の位置を調整する部材である。ナット26は、ジャッキボルト25を通す。ナット26は、ブラケット19の水平面22の上方に設けられる。複数のジャッキ23の各々の受座24の鉛直方向の位置は、各々が独立に上下させられる。
【0021】
ジャッキユニット15は、例えば奇数個のジャッキ23を備える。このとき、支持具ユニット14は、ジャッキユニット15が備えるジャッキ23と同数の支持具18を備える。奇数個のジャッキ23のうちの1つは、敷居13の重心Gの下方を支持する。当該ジャッキ23は、第1ジャッキの例である。敷居13の重心Gは、例えば左右方向の中心である。奇数個のジャッキ23のうちの残りは、例えば敷居13の中心に関して左右対称な位置に設けられる。当該残りのジャッキ23のいずれかは、第2ジャッキの例である。
【0022】
一対の補強具16の各々は、敷居13を補強する部材である。一対の補強具16の各々は、敷居13の左右方向の端部の各々に設けられる。一対の補強具16の各々は、固定金具27と、固定ボルト28と、可動板29と、を備える。固定金具27は、例えばL字状の形状のアングル材である。固定金具27は、取付け面30と調整面31とを有する。取付け面30は、昇降路3の内壁に対向する。調整面31は、取付け面30に直交する面である。調整面31の法線は、左右方向を向く。固定金具27は、取付け面30に貫通孔を有する。固定金具27は、調整面31に長穴を有する。長穴は、鉛直方向に延びる。固定ボルト28は、固定金具27を昇降路3の内壁に固定する部材である。固定ボルト28は、固定金具27の取付け面30の貫通孔に通される。固定ボルト28は、昇降路3の内壁に打ち込まれる。可動板29は、板状の部材である。可動板29は、2つの貫通孔を有する。2つの貫通孔は、上下に並ぶ。可動板29の下方の貫通孔は、固定金具27の調整面31の長穴に合わせられる。可動板29は、例えばボルトおよびナットによって固定金具27に固定される。可動板29の位置は、固定金具27の長穴によって調整される。可動板29の上方の貫通孔は、敷居13の左右方向の端部の高さに合わせられる。可動板29は、例えばボルトによって敷居13の左右方向の端部を固定する。
【0023】
続いて、
図3および
図4を用いて、敷居13の交換方法を説明する。
図3および
図4は、実施の形態1に係る敷居装置の側面図である。
図3および
図4において、一対の補強具16は図示されない。
【0024】
作業員は、例えば昇降路3のかご6の上から敷居13の交換作業を行う。敷居13の交換作業において、ドアシュー12は、乗場ドア9に取り付けられた状態にある。
【0025】
図3において、敷居13が第1位置にある状態が示される。第1位置は、取り付けられた状態のドアシュー12の下端の高さより敷居13の上面が高くなる位置である。すなわち、第1位置において、敷居13の上面は、ドアシュー12の下端より高い。ここで、乗場ドア9において複数のドアシュー12が設けられる場合に、第1位置は、例えば取り付けられた状態の複数のドアシュー12の各々の下端の高さのいずれよりも敷居13の上面が高くなる位置である。
【0026】
まず、作業員は、解除工程の作業を行う。解除工程において、作業員は、例えば一対の補強具16の各々の可動板29を敷居13の左右方向の各々の端部に固定しているボルトを取り外すことによって、一対の補強具16の固定を解除する。
【0027】
次に、作業員は、ジャッキダウン工程の作業を行う。ジャッキダウン工程において、作業員は、複数のジャッキ23によって、敷居13を第1位置から第2位置まで下降させる。
【0028】
図4において、敷居13が第2位置にある状態が示される。第2位置は、取り付けられた状態のドアシュー12の下端の高さより敷居13の上面が低くなる位置である。すなわち、第2位置において、敷居13の上面は、ドアシュー12の下端より低い。ここで、乗場ドア9において複数のドアシュー12が設けられる場合に、第2位置は、例えば取り付けられた状態の複数のドアシュー12の各々の下端の高さのいずれよりも敷居13の上面が低くなる位置である。
【0029】
ジャッキダウン工程において、作業員は、複数のジャッキ23の各々について、ナット26を回転させることで上方に移動させる。複数のジャッキ23の各々は、ナット26がブラケット19の水平面22に当たるまで下降する。複数のジャッキ23の各々について、ナット26は独立に移動させられる。すなわち、複数のジャッキ23の各々の受座24の鉛直方向の位置は、独立に調整される。作業員は、複数のジャッキ23のいずれかが敷居13の重心Gの下方を支持する場合に、当該ジャッキ23を他のジャッキ23より後に下降させる。作業員は、敷居13が傾かないように、複数のジャッキ23の受座24の鉛直方向の各々の位置を少しずつ下降させてもよい。
【0030】
次に、作業員は、交換工程の作業を行う。交換工程において、作業員は、例えば次のように敷居13を交換する。作業員は、第2位置にある敷居13を昇降路3の中央側に引いて複数のジャッキ23の受座24の上から取り除く。作業員は、新しい敷居13を複数のジャッキ23の受座24の上に乗せる。
【0031】
次に、作業員は、ジャッキアップ工程の作業を行う。ジャッキアップ工程において、作業員は、複数のジャッキ23によって、敷居13を第2位置から第1位置まで上昇させる。ジャッキアップ工程において、作業員は、複数のジャッキ23の各々について、ナット26を回転させることで下方に移動させる。複数のジャッキ23の各々は、ナット26がブラケット19の水平面22に当たることで上昇する。作業員は、複数のジャッキ23のいずれかが敷居13の重心Gの下方を支持する場合に、当該ジャッキ23を他のジャッキ23より先に上昇させる。作業員は、敷居13が傾かないように、複数のジャッキ23の受座24の鉛直方向の各々の位置を少しずつ上昇させてもよい。ジャッキアップ工程において、作業員は、ドアシュー12がガイド溝17に入り込むように、敷居13の水平方向の位置を調整しながら作業を行う。
【0032】
次に、作業員は、復旧工程の作業を行う。復旧工程において、作業員は、例えば一対の補強具16の各々の可動板29を敷居13の左右方向の各々の端部に固定しているボルトを取り付けることによって、一対の補強具16を固定する。
【0033】
続いて、敷居13の設置方法を説明する。
【0034】
作業員は、例えば昇降路3のかご6の上から敷居13の設置作業を行う。設置作業において、ドアシュー12は、例えば乗場ドア9に取り付けられた状態にある。
【0035】
まず、作業員は、固定工程の作業を行う。固定工程において、作業員は、支持具ユニット14を乗場出入口の下方の昇降路3の内壁に固定する。支持具ユニット14は、複数の支持具18の各々について例えばアンカーボルト20が打ち込まれることによって固定される。
【0036】
次に、作業員は、調整工程の作業を行う。調整工程において、作業員は、複数のジャッキ23によって、第1位置から第2位置までを含む範囲において敷居13を上下させることで敷居13の鉛直方向の位置を調整する。敷居13は、受座24に乗せられている。敷居13の位置は、例えば、第1位置より下方から調整される。敷居13の位置は、例えば、昇降路3の内壁に印された基準墨を基準に調整される。敷居13の位置は、例えば、昇降路3の上部から下ろされた下げ振りを基準に調整される。調整工程において、作業員は、複数のジャッキ23の各々のジャッキボルト25によって敷居13の位置を連続的に調整する。作業員は、複数のジャッキ23のいずれかが敷居13の重心Gの下方を支持する場合に、当該ジャッキ23を他のジャッキ23より先に上昇させる。作業員は、敷居13が傾かないように、複数のジャッキ23の受座24の鉛直方向の各々の位置を少しずつ上昇させてもよい。
【0037】
次に、作業員は、補強工程の作業を行う。補強工程において、作業員は、例えば一対の補強具16の各々の可動板29を敷居13の左右方向の各々の端部に固定しているボルトを取り付けることによって、一対の補強具16を固定する。
【0038】
以上に説明したように、実施の形態1に係る敷居装置11は、敷居13と、ジャッキユニット15と、を備える。敷居13は、ガイド溝17を有する。ガイド溝17は、ドアシュー12をガイドする。ドアシュー12は、乗場ドア9の下端に設けられる。ジャッキユニット15は、敷居13を下方から支持する。ジャッキユニット15は、第1位置から第2位置までの範囲で、ドアシュー12が取り付けられている状態において、敷居13を支持する位置を上下させる。第1位置において、敷居13の上面は、ドアシュー12の下端より高い。第2位置において、敷居13の上面は、ドアシュー12の下端より低い。
【0039】
また、実施の形態1に係る敷居13の交換方法は、ジャッキダウン工程と、交換工程と、ジャッキアップ工程と、を備える。ジャッキダウン工程において、敷居13は、ドアシュー12が取り付けられている状態において、ジャッキユニット15によって第1位置から第2位置まで下降させられる。交換工程において、第2位置にある敷居13は、ドアシュー12が取り付けられている状態において、交換される。ジャッキアップ工程において、交換された敷居13は、ドアシュー12が取り付けられている状態において、ジャッキユニット15によって第2位置から第1位置まで上昇させられる。
【0040】
また、実施の形態1に係る敷居13の設置方法は、固定工程と、調整工程と、を備える。固定工程において、支持具ユニット14は、エレベーター1の乗場出入口の下方の昇降路3の内壁に固定される。支持具ユニット14は、敷居13の荷重を敷居13の下方において受ける。調整工程において、敷居13の位置は、ジャッキユニット15によって第1位置から第2位置までを含む範囲において敷居13を上下させることで調整される。第1位置は、取り付けられた状態のドアシュー12の下端の高さより敷居13の上面が高くなる位置である。第2位置は、取り付けられた状態のドアシュー12の下端の高さより敷居13の上面が低くなる位置である。
【0041】
ジャッキユニット15は、ドアシュー12が取り付けられている状態において第1位置から第2位置までの範囲で敷居13を移動可能に下方から支持する。第1位置において、敷居13の上面は、ドアシュー12の下端より高い。第2位置において、敷居13の上面は、ドアシュー12の下端より低い。敷居13は、第2位置において交換される。このため、作業員は、ドアシュー12を取り外すことなく敷居13を交換できる。これにより、乗場ドア9の再調整を必要とせずに敷居13が交換される。したがって、敷居13の交換による作業員の作業負担が軽減する。
【0042】
作業員は、ジャッキユニット15によって、敷居13の位置を連続的に調整できる。ジャッキユニット15は、敷居13を支持しながら、敷居13を支持する位置を上下させる。このため、作業員は、敷居13の位置の調整において、スペーサーなどの部品を必要としない。このため、例えば昇降路3にスペーサーなどの部品を落とすことが防止される。
【0043】
また、敷居装置11は、支持具ユニット14を備える。支持具ユニット14は、エレベーター1の乗場出入口の下方の昇降路3の内壁に固定される。支持具ユニット14は、ジャッキユニット15を下方から支持する。
【0044】
乗場ドア9は、建築物2の各階に設けられる。すなわち、エレベーター1において、乗場ドア9は、建築物2の階の数だけ設けられる。このため、建築物2の階数の分だけ、敷居13の交換による作業員の作業負担が軽減する。
【0045】
支持具ユニット14は、ジャッキユニット15を下方から支持する。支持具ユニット14は、ジャッキユニット15を通じて、敷居13の荷重を敷居13の下方において受ける。このため、鉛直面21間の摩擦によってジャッキユニット15が支持される場合より、敷居13の位置がずれにくい。このため、敷居13の位置の調整がしやすくなる。
【0046】
また、ジャッキユニット15は、ジャッキボルト25によって敷居13を支持する位置を上下させる。
【0047】
ジャッキユニット15は、簡単な構造により実現される。これにより、敷居装置11自体の保守点検が複雑にならない。
【0048】
また、敷居装置11は、補強具16を備える。補強具16は、敷居13の左右方向の端部を左右方向から固定する。
【0049】
また、敷居13の交換方法は、解除工程と、復旧工程と、を備える。解除工程において、ジャッキダウン工程より前に、補強具16の固定は、解除される。復旧工程において、ジャッキアップ工程より後に、敷居13の左右方向の端部は、補強具16に固定される。
【0050】
また、敷居13の設置方法は、補強工程を備える。補強工程において、調整工程より後に、敷居13の左右方向の端部は、補強具16に固定される。
【0051】
これにより、エレベーター1が利用されるときにも、敷居13の位置がずれにくくなる。また、補強具16の固定が解除されているとき、敷居13は、上下方向の移動の際に補強具16に干渉されない。これにより、敷居13の交換、設置および調整などにおける敷居13の上下方向の移動が容易になる。
【0052】
また、ジャッキユニット15は、第1ジャッキと、第2ジャッキと、を備える。第1ジャッキは、敷居13の重心Gの下方を支持する。第2ジャッキは、敷居13の下方を支持し第1ジャッキと独立に上下する。
【0053】
また、ジャッキダウン工程において、第1ジャッキは、第2ジャッキより後に下降させられる。ジャッキアップ工程において、第1ジャッキは、第2ジャッキより先に上昇させられる。
【0054】
また、調整工程において、第1ジャッキは、第2ジャッキより先に上昇させられる。
【0055】
第1ジャッキの受座24は、第2ジャッキの受座24より高い位置にある。このため、敷居13は、1つのジャッキ23である第1ジャッキによって重心Gが支持された状態において上下する。これにより、上下するときに敷居13が傾きにくい。敷居13の交換、設置および調整などにおける敷居13の上下方向の移動が容易になる。
【0056】
なお、敷居装置11は、エレベーター1のかごドア7をガイドする装置でもよい。支持具ユニット14は、例えばエレベーター1のかご6の下梁に固定されてもよい。
【0057】
また、ジャッキユニット15は、例えば偶数個のジャッキ23を備えてもよい。このとき、支持具ユニット14は、ジャッキユニット15が備えるジャッキ23と同数の支持具18を備える。ジャッキユニット15は、ジャッキ23を1つのみ備えてもよい。このとき、支持具ユニット14は、支持具18を1つのみ備える。
【0058】
また、ジャッキユニット15は、例えばパンタグラフジャッキなどを備えてもよい。ジャッキユニット15は、例えばピンにより長さが固定される伸縮パイプサポートを備えてもよい。
【0059】
また、敷居13は、複数のジャッキ23の受座24に、例えばボルトおよびナットによって固定されてもよい。敷居13の下面および受座24は、ボルトおよびナットを通す例えば貫通孔、長穴、切欠きまたはスロットを有してもよい。この場合、例えば交換工程において、作業員は、複数のジャッキ23の受座24に敷居13を固定するボルトおよびナットの取り外しおよび取付けを行う。
【0060】
かごドア7および乗場ドア9は、例えば片開きのドアであってもよい。敷居13は、ガイド溝17を複数有してもよい。
【0061】
また、敷居13の設置作業において、ドアシュー12または乗場ドア9は、取り付けられていなくてもよい。固定工程において、支持具ユニット14は、ジャッキユニット15および敷居13が取り付けられた状態で固定されてもよい。
【0062】
また、敷居13の交換作業または敷居13の設置作業は、乗場8またはかご6の中から行ってもよい。
【符号の説明】
【0063】
1 エレベーター、 2 建築物、 3 昇降路、 4 巻上機、 5 釣合オモリ、 6 かご、 7 かごドア、 8 乗場、 9 乗場ドア、 10 ドアハンガー、 11 敷居装置、 12 ドアシュー、 13 敷居、 14 支持具ユニット、15 ジャッキユニット、 16 補強具、 17 ガイド溝、 18 支持具、 19 ブラケット、 20 アンカーボルト、 21 鉛直面、 22 水平面、 23 ジャッキ、 24 受座、 25 ジャッキボルト、 26 ナット、 27 固定金具、 28 固定ボルト、 29 可動板、 30 取付け面、 31 調整面