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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-19
(45)【発行日】2022-07-27
(54)【発明の名称】蓄電モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/184 20210101AFI20220720BHJP
   H01M 10/04 20060101ALI20220720BHJP
   H01M 10/30 20060101ALI20220720BHJP
   H01M 50/193 20210101ALI20220720BHJP
   H01M 50/186 20210101ALI20220720BHJP
   H01M 50/103 20210101ALI20220720BHJP
   H01M 50/121 20210101ALI20220720BHJP
   H01G 11/78 20130101ALI20220720BHJP
   H01G 11/12 20130101ALI20220720BHJP
【FI】
H01M50/184 A
H01M10/04 Z
H01M10/30 Z
H01M50/193
H01M50/186
H01M50/103
H01M50/121
H01G11/78
H01G11/12
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018176407
(22)【出願日】2018-09-20
(65)【公開番号】P2020047520
(43)【公開日】2020-03-26
【審査請求日】2021-02-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(74)【代理人】
【識別番号】100116920
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 光
(72)【発明者】
【氏名】山田 正博
(72)【発明者】
【氏名】植田 浩生
【審査官】多田 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-032348(JP,A)
【文献】特開2018-120818(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/10
H01M 10/04
H01M 10/058
H01G 11/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電極を積層した積層体を有し、前記積層体の側面に封止体を設けて構成される蓄電モジュールにおいて、
前記封止体は、前記積層体の側面を覆う本体部と、前記本体部の端部において前記積層体の内側へ屈曲して延びるオーバーハング部とを含み、
前記オーバーハング部の基端側は、前記積層体の積層方向の断面において、先端側と比べて厚く形成され、
前記オーバーハング部は、前記積層体の積層方向の断面において、前記積層体と当接する面の反対側に傾斜面を形成し、
前記傾斜面は、前記オーバーハング部の基端側の厚みが大きくなり、前記オーバーハング部の曲げ応力が一定となるように、傾斜している、
蓄電モジュール。
【請求項2】
複数の電極を積層した積層体を有し、前記積層体の側面に封止体を設けて構成される蓄電モジュールにおいて、
前記封止体は、前記積層体の積層方向に延び前記積層体の側面を覆う本体部と、前記本体部の両方の端部において前記積層体の内側へ屈曲して延びるオーバーハング部とを含み、
前記オーバーハング部の基端側は、前記積層体の積層方向の断面において、先端側と比べて厚く形成されており、
前記オーバーハング部は、前記積層体の積層方向の断面において、前記積層体と当接する面の反対側に傾斜面を形成し、
前記傾斜面は、前記オーバーハング部の基端側の厚みが大きくなるように、傾斜しており、前記オーバーハング部の基端の位置から先端の位置まで形成され、
前記積層体は、前記積層方向の一方の端部に配置される枠状の負極終端樹脂部と、前記積層方向の他方の端部に配置される枠状の正極終端樹脂部とを、有し、
前記負極終端樹脂部は、負極終端電極に溶着され、
前記正極終端樹脂部は、正極終端電極に溶着され、
前記オーバーハング部は、前記負極終端樹脂部及び前記正極終端樹脂部にそれぞれ接触し、
前記積層方向から見て前記オーバーハング部の前記先端は、前記負極終端樹脂部の内縁及び前記正極終端樹脂部の内縁より前記積層体の外側に位置する、
蓄電モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、蓄電モジュールとして、例えば、特開2005-5163号公報に記載されるように、バイポーラ電極を複数積層させて積層体を形成し、その積層体の側部を樹脂で封止して構成される蓄電モジュールが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-5163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような蓄電モジュールでは、図7に示すように、バイポーラ電極101を積層した積層体102の側部を封止体103により封止し、封止体103の端部を内側に屈曲させてオーバーハング部103aを形成することが考えられる。オーバーハング部103aは、積層体102の内側に延びることにより、積層体102の端部の広がりを抑えることができる。ところが、蓄電モジュールの使用時などにおいて、蓄電モジュールの内部圧力が上昇する場合がある。この場合、図8に示すように、封止体103のオーバーハング部103aに内圧が加わり変形するおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、積層体を封止する封止体の変形を抑制できる蓄電モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明に係る蓄電モジュールは、複数の電極を積層した積層体を有し、積層体の側面に封止体を設けて構成される蓄電モジュールにおいて、封止体は、積層体の側面を覆う本体部と、本体部の端部において積層体の内側へ屈曲して延びるオーバーハング部とを含み、オーバーハング部の基端側は、積層体の積層方向の断面において、先端側と比べて厚く形成されている。この蓄電モジュールによれば、オーバーハング部の基端側を先端側と比べて厚く形成することにより、オーバーハング部の基端側の曲げ剛性を高めることができる。このため、積層体の内圧が上昇してオーバーハング部に曲げ応力に生じた場合、オーバーハング部の変形を的確に抑制できる。また、オーバーハング部の基端側を先端側と比べて厚く形成することにより、オーバーハング部の重量の増加を抑えつつオーバーハング部の曲げ剛性を高めることができる。
【0007】
また、本発明に係る蓄電モジュールにおいて、オーバーハング部は、積層体の積層方向の断面において、積層体と当接する面の反対側に傾斜面を形成し、傾斜面は、オーバーハング部の基端側の厚みが大きくなるように傾斜していてもよい。この場合、オーバーハング部に傾斜面を形成することにより、オーバーハング部の基端側の厚みを大きくして、オーバーハング部の曲げ剛性を高めることができる。
【0008】
また、本発明に係る蓄電モジュールにおいて、傾斜面は、オーバーハング部の曲げ応力が一定となるように傾斜していてもよい。この場合、オーバーハング部の曲げ応力が一定となるように傾斜面が傾斜しているため、積層体側から荷重を受けた場合、オーバーハング部の一部に応力集中することが抑制される。従って、オーバーハング部によって積層体側からの荷重を適切に受けることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、積層体を封止する封止体の変形を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る蓄電モジュールを用いた蓄電装置の概略断面図である。
図2】実施形態に係る蓄電モジュールの内部構成を示す概略断面図である。
図3図2の蓄電モジュールの平面図である。
図4図2の蓄電モジュールにおけるオーバーハング部の説明図である。
図5図2の蓄電モジュールにおけるオーバーハング部の説明図である。
図6図2の蓄電モジュールにおけるオーバーハング部の変形例の説明図である。
図7】背景技術の説明図である。
図8】背景技術の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0012】
図1は、本実施形態に係る蓄電モジュール4を用いた蓄電装置1の概略断面図である。図1に示される蓄電装置1は、蓄電モジュール4を用いた蓄電装置の一例を示すものであり、例えば、フォークリフト、ハイブリッド自動車、電気自動車等の各種車両のバッテリとして用いられる。蓄電装置1は、積層された複数の蓄電モジュール4を含むモジュール積層体2と、モジュール積層体2に対してその積層方向(ここでは、後述する電極積層体11における電極の積層方向D)に拘束荷重を付加する拘束部材3とを備えている。
【0013】
モジュール積層体2は、複数(ここでは3つ)の蓄電モジュール4と、複数(ここでは4つ)の導電板5と、を含む。蓄電モジュール4は、バイポーラ電池であり、積層方向Dから見て矩形状をなしている。蓄電モジュール4は、例えばニッケル水素二次電池、リチウムイオン二次電池等の二次電池、又は電気二重層キャパシタである。以下の説明では、ニッケル水素二次電池を例示する。
【0014】
積層方向Dに互いに隣り合う蓄電モジュール4同士は、導電板5を介して電気的に接続されている。導電板5は、積層方向Dに互いに隣り合う蓄電モジュール4間と、積層端に位置する蓄電モジュール4の積層方向Dの外側と、にそれぞれ配置されている。積層端に位置する蓄電モジュール4の積層方向Dの外側に配置された一方の導電板5には、正極端子6が接続されている。積層端に位置する蓄電モジュール4の積層方向Dの外側に配置された他方の導電板5には、負極端子7が接続されている。正極端子6及び負極端子7は、例えば導電板5の縁部から積層方向Dに交差する方向に引き出されている。正極端子6及び負極端子7により、蓄電装置1の充放電が実施される。
【0015】
導電板5の内部には、空気等の冷媒を流通させる複数の流路5aが設けられている。流路5aは、例えば、積層方向Dと、正極端子6及び負極端子7の引き出し方向と、にそれぞれ交差(直交)する方向に沿って延在している。導電板5は、蓄電モジュール4同士を電気的に接続する接続部材としての機能のほか、これらの流路5aに冷媒を流通させることにより、蓄電モジュール4で発生した熱を放熱する放熱板としての機能を併せ持つ。なお、図1の例では、積層方向Dから見た導電板5の面積は、蓄電モジュール4の面積よりも小さいが、放熱性の向上の観点から、導電板5の面積は、蓄電モジュール4の面積と同じであってもよく、蓄電モジュール4の面積よりも大きくてもよい。
【0016】
拘束部材3は、モジュール積層体2を積層方向Dに挟む一対のエンドプレート8と、エンドプレート8同士を締結する締結ボルト9及びナット10と、によって構成されている。エンドプレート8は、積層方向Dから見た蓄電モジュール4及び導電板5の面積よりも一回り大きい面積を有する矩形の金属板である。エンドプレート8の積層方向Dの内側面(モジュール積層体2側に向いた面)には、電気絶縁性を有するフィルムFが設けられている。フィルムFにより、エンドプレート8と導電板5との間が絶縁されている。
【0017】
エンドプレート8には、モジュール積層体2と積層方向Dに重なる部位よりも外周側の縁部に挿通孔8aが設けられている。締結ボルト9は、一方のエンドプレート8の挿通孔8aから他方のエンドプレート8の挿通孔8aに向かって通され、他方のエンドプレート8の挿通孔8aから突出した締結ボルト9の先端部分には、ナット10が螺合されている。これにより、蓄電モジュール4及び導電板5がエンドプレート8によって挟持されてモジュール積層体2としてユニット化されると共に、モジュール積層体2に対して積層方向Dに拘束荷重が付加される。
【0018】
次に、蓄電モジュール4の構成について詳細に説明する。図2は、図1に示された蓄電モジュール4の内部構成を示す概略断面図である。図2に示されるように、蓄電モジュール4は、複数の電極を積層した電極積層体(積層体)11を有し、この電極積層体11の外縁に封止体12を設けて構成されている。電極積層体11は、セパレータ13、セパレータ13を介して、積層方向Dに沿って積層された複数の電極(複数のバイポーラ電極14、単一の負極終端電極18及び単一の正極終端電極19)を含む。ここでは、電極積層体11の積層方向Dはモジュール積層体2の積層方向と一致している。電極積層体11は、積層方向Dに延びる側面11bを有している。
【0019】
バイポーラ電極14は、電極板15、正極16及び負極17を含んでいる。正極16は、電極板15の第1面15aに設けられている。負極17は、電極板15の第1面15aに対して反対側の第2面15bに設けられている。電極板15は、例えば、ニッケル又はニッケルメッキ鋼板といった金属からなる。一例として、電極板15は、ニッケルからなる矩形の金属箔である。電極板15は、積層方向Dから見て矩形状の外縁15dを含んでいる。
【0020】
正極16は、正極活物質が電極板15に塗工されることにより形成される正極活物質層である。正極16を構成する正極活物質としては、例えば水酸化ニッケルが挙げられる。正極16は、積層方向Dから見て矩形状の外縁を含んでいる。負極17は、負極活物質が電極板15に塗工されることにより形成される負極活物質層である。負極17を構成する負極活物質としては、例えば水素吸蔵合金が挙げられる。負極17は、積層方向Dから見て矩形状の外縁を含んでいる。
【0021】
本実施形態では、例えば、電極板15の第2面15bにおける負極17の形成領域は、電極板15の第1面15aにおける正極16の形成領域に対して大きくなっている。つまり、負極17の外縁は、正極16の外縁よりも一回り大きい。電極板15の周縁部は、矩形枠状をなし、正極活物質及び負極活物質が塗工されない未塗工領域となっている。つまり、電極板15の周縁部は、積層方向Dから見て、電極板15における正極16及び負極17が形成された領域以外の部分であって、正極16及び負極17を包囲する部分である。なお、バイポーラ電極14、負極終端電極18、及び正極終端電極19の表面は、それぞれ電極板15の周縁部における第1面15a及び第2面15bを含んでいる。
【0022】
電極積層体11において、一のバイポーラ電極14の正極16は、セパレータ13を挟んで積層方向Dに隣り合う別のバイポーラ電極14の負極17と対向している。電極積層体11において、一のバイポーラ電極14の負極17は、セパレータ13を挟んで積層方向Dに隣り合うさらに別のバイポーラ電極14の正極16と対向している。
【0023】
負極終端電極18は、電極板15、及び電極板15の第2面15bに設けられた負極17を含んでいる。負極終端電極18は、正極16を含んでいない。すなわち、負極終端電極18の電極板15の第1面15aには、活物質層が設けられていない(すなわち、負極終端電極18の第1面15aの全体が露出している)。負極終端電極18は、第2面15bが電極積層体11の積層方向Dの内側(積層方向Dについての中心側)に向くように、積層方向Dの一端に配置されている。負極終端電極18の負極17は、セパレータ13を介して、積層方向Dの一端のバイポーラ電極14の正極16と対向している。
【0024】
正極終端電極19は、電極板15、及び電極板15の第1面15aに設けられた正極16を含んでいる。正極終端電極19は、負極17を含んでいない。すなわち、正極終端電極19の電極板15の第2面15bには、活物質層が設けられていない(すなわち、正極終端電極19の第2面15bの全体が露出している)。正極終端電極19は、第1面15aが電極積層体11の積層方向Dの内側に向くように、積層方向Dの他端に配置されている。正極終端電極19の正極16は、セパレータ13を介して、積層方向Dの他端のバイポーラ電極14の負極17と対向している。
【0025】
負極終端電極18の電極板15の第1面15aには、導電板5が接触している。また、正極終端電極19の電極板15の第2面15bには、隣接する蓄電モジュール4の導電板5が接触している。拘束部材3からの拘束荷重は、導電板5を介して負極終端電極18及び正極終端電極19から電極積層体11に付加される。すなわち、導電板5は、積層方向Dに沿って電極積層体11に拘束荷重を付加する拘束部材でもある。
【0026】
セパレータ13は、例えばシート状に形成されている。セパレータ13としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂からなる多孔質フィルム、ポリプロピレン、メチルセルロース等からなる織布又は不織布等が例示される。セパレータ13は、フッ化ビニリデン樹脂化合物で補強されたものであってもよい。なお、セパレータ13は、シート状に限られず、袋状のものを用いてもよい。
【0027】
バイポーラ電極14には、中間樹脂部23が設けられている。中間樹脂部23は、バイポーラ電極14、14の間を封止する一次シールとして機能する。中間樹脂部23は、バイポーラ電極14の外縁に沿って設けられ、バイポーラ電極14の全周に亘って設けられている。中間樹脂部23は、電極板15の外縁に接合して設けられている。この中間樹脂部23の端部は、封止体12に接合されている。つまり、バイポーラ電極14は、中間樹脂部23を介して封止体12に接合され、封止体12に支持されている。中間樹脂部23は、例えば第1中間樹脂部231と第2中間樹脂部232を含んで構成される。なお、中間樹脂部23は、単一の部材により構成される場合もある。
【0028】
負極終端電極18には、負極終端樹脂部24が設けられている。負極終端樹脂部24は、電極積層体11の積層方向Dの端部に設けられる部材であり、電極積層体11の端部を封止する一次シールとして機能する。負極終端樹脂部24は、例えば矩形枠状に形成され、負極終端電極18の表面に溶着されている。負極終端電極18は、電極積層体11の端部に配置される電極であり、電極板15と負極17により構成されている。
【0029】
正極終端電極19には、正極終端樹脂部26が設けられている。正極終端樹脂部26は、電極積層体11の積層方向Dの端部に設けられる部材であり、電極積層体11の端部を封止する一次シールとして機能する。正極終端樹脂部26は、例えば矩形枠状に形成され、正極終端電極19の表面に溶着されている。正極終端電極19は、電極積層体11の端部に配置される電極であり、電極板15と正極16により構成されている。
【0030】
封止体12は、電極積層体11の外縁に沿って設けられている。この封止体12は、矩形枠状に形成されており、電極積層体11の側面11bを封止する二次シールとして機能する。封止体12は、本体部12a及びオーバーハング部12bを含み、例えば絶縁性の樹脂によって形成されている。本体部12aは、電極積層体11の側面11bを覆うように形成されている。例えば、本体部12aは、電極積層体11の全周に亘ってその側面11bを覆っている。オーバーハング部12bは、本体部12aの端部において電極積層体11の内側へ屈曲して延びている。オーバーハング部12bは、本体部12aの両端にそれぞれ形成されており、電極積層体11の積層方向Dへの拡がりを抑制している。
【0031】
封止体12は、積層方向Dに沿って互いに隣接するバイポーラ電極14の間、積層方向Dに沿って互いに隣接する負極終端電極18とバイポーラ電極14との間、及び、積層方向Dに沿って互いに隣接する正極終端電極19とバイポーラ電極14との間をそれぞれ封止している。これにより、バイポーラ電極14の間、負極終端電極18とバイポーラ電極14との間、及び、正極終端電極19とバイポーラ電極14との間には、それぞれ気密(液密)に仕切られた内部空間Vが形成されている。この内部空間Vには、例えば水酸化カリウム水溶液等のアルカリ水溶液からなる電解液(不図示)が収容されている。すなわち、第1樹脂部21は、積層方向Dに沿って隣接する電極の間に電解液が収容される内部空間Vを形成すると共に、内部空間Vを封止するためのものである。電解液は、セパレータ13、正極16及び負極17内に含浸されている。
【0032】
封止体12は、例えば、絶縁性の樹脂であって、ポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、又は変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)等から構成され得る。
【0033】
図3は、積層方向Dから見た場合における蓄電モジュール4の平面図である。図3に示すように、蓄電モジュール4は、矩形状の電極積層体11の外縁に封止体12を設けて構成されている。電極積層体11は、複数のバイポーラ電極14を積層して設けられており、バイポーラ電極14の積層方向と直交する方向の断面が矩形となっている。封止体12は、電極積層体11の外縁に全周に亘って連続して設けられている。つまり、封止体12は、電極積層体11を積層方向から見た場合の電極積層体11の外縁に全周に亘って連続して設けられ、矩形枠状を呈している。
【0034】
図4にオーバーハング部12bの断面図を示す。図4は、電極積層体11の積層方向Dにおけるオーバーハング部12bの断面を示している。オーバーハング部12bは、本体部12aの端部において電極積層体11の内側へ屈曲して延びている。ここで、電極積層体11の内側とは、積層方向Dから見て、蓄電モジュール4の中心の側を意味する。一方、電極積層体11の外側とは、積層方向Dから見て、蓄電モジュール4の中心から遠ざかる側を意味する。オーバーハング部12bの最大の高さは、導電板5の高さ以下とされる。すなわち、オーバーハング部12bの積層方向Dの最大高さは、導電板5以下の高さとされる。これにより、オーバーハング部12bが隣り合う蓄電モジュール4の一部と接触することが避けられる。
【0035】
オーバーハング部12bは、電極積層体11の積層方向Dの断面において、基端側が先端側と比べ厚く形成されている。すなわち、オーバーハング部12bの基端側の厚さが、先端側の厚さと比べて大きくなっている。オーバーハング部12bの基端側とは本体部12aに対し近い側を意味し、オーバーハング部12bの先端側とは本体部12aに対し遠い側を意味する。つまり、オーバーハング部12bは、先端側が先細りとなるように形成されている。
【0036】
例えば、オーバーハング部12bは、電極積層体11の積層方向Dの断面において、電極積層体11と当接する面の反対側に傾斜面12cを形成している。傾斜面12cは、オーバーハング部12bの基端側の厚みが大きくなるように傾斜している。つまり、傾斜面12cは、電極積層体11の内側に向けて電極積層体11に近づくように傾斜している。なお、図4では、本体部12aの両端にあるオーバーハング部12bの一方のみを図示しているが、他方のオーバーハング部12bも同様に設けられる。
【0037】
傾斜面12cの傾斜角度は、オーバーハング部12bに生ずる曲げ応力に応じて設定されていてもよい。例えば、傾斜面12cは、オーバーハング部12bの曲げ応力が一定となるように傾斜していてもよい。つまり、オーバーハング部12bがいわゆる平等強さの梁として機能するように、傾斜面12cが形成されていてもよい。図5に示すように、蓄電モジュール4の内圧が上昇した場合、オーバーハング部12bは、電極積層体11側から荷重Pを受ける。このとき、荷重Pを受けてオーバーハング部12bに曲げ応力Sが生ずる。傾斜面12cは、この曲げ応力Sが基端から先端の各箇所で一定となるように形成されている。なお、ここでいう曲げ応力が一定には、ほぼ一定の場合も含む。このように、オーバーハング部12bに生ずる曲げ応力Sが一定となるように傾斜面12cを形成することにより、オーバーハング部12bの一部に応力が集中することを抑制することができる。従って、オーバーハング部12bによって積層体側からの荷重Pを適切に受けることができる。なお、傾斜面12cは、平面状に形成されていてもよいが、図6に示すように曲面状に形成されていてもよい。
【0038】
次に、本実施形態に係る蓄電モジュール4の変形抑制機能について説明する。
【0039】
図2において、蓄電モジュール4がバッテリとして使用される場合、蓄電モジュール4の内圧が上昇する場合がある。すなわち、電極積層体11の内圧が上昇し、封止体12に荷重が加わる場合がある。この場合、封止体12のオーバーハング部12bでは、電極積層体11側から積層方向Dの荷重が加わることとなる。
【0040】
このとき、封止体12において、できるだけ変形せずに荷重を受け止めることが要求される。そこで、本実施形態に係る蓄電モジュール4において、オーバーハング部12bの基端側は、先端側と比べて厚く形成されている。すなわち、図4に示すように、電極積層体11の積層方向Dの断面において、オーバーハング部12bの積層方向Dの厚さは、先端側と比べて基端側が厚く形成されている。このため、応力集中しやすいオーバーハング部12bの基端側の曲げ剛性を高めることができる。これにより、図5に示すように、オーバーハング部12bに荷重Pが加わった場合でも、オーバーハング部12bの変形を的確に抑制することができる。
【0041】
また、オーバーハング部12bの基端側を先端側と比べて厚く形成することにより、オーバーハング部12bの重量の増加を抑えつつ、オーバーハング部12bの曲げ剛性を高めることができる。また、オーバーハング部12bが大きくなることを抑えつつ、オーバーハング部12bの曲げ剛性を高めることができる。このため、蓄電モジュール4が積層方向Dに複数積層される際に、上下に隣接する蓄電モジュール4のオーバーハング部12b同士が接触するなどの干渉を回避しつつ、オーバーハング部12bの曲げ剛性を高めることが可能となる。
【0042】
また、オーバーハング部12bは、電極積層体11の積層方向Dの断面において、電極積層体11と当接する面の反対側に傾斜面12cを形成しており、傾斜面12cがオーバーハング部12bの基端側の厚みが大きくなるように傾斜している。このため、このような傾斜面12cを形成することにより、オーバーハング部12bの基端側の厚みを大きくして、オーバーハング部12bの曲げ剛性を高めることができる。
【0043】
また、図5に示すように、傾斜面12cは、オーバーハング部12bの曲げ応力が一定となるように傾斜して形成される。蓄電モジュール4の内圧が上昇した場合、オーバーハング部12bは、電極積層体11側から荷重Pを受ける。この場合、オーバーハング部12bに生ずる曲げ応力Sが一定となるように傾斜面12cが傾斜しているため、オーバーハング部12bの一部に応力集中することが抑制される。従って、オーバーハング部12bは荷重Pに対する曲げ剛性が高められ、強い荷重Pを受けてもオーバーハング部12bの変形を抑制することができる。
【0044】
以上のように、本実施形態に係る蓄電モジュール4によれば、オーバーハング部12bの基端側を先端側と比べて厚く形成することにより、オーバーハング部12bの基端側の曲げ剛性を高めることができる。このため、電極積層体11の内圧が上昇してオーバーハング部12bに曲げ応力に生じた場合、オーバーハング部12bの変形を的確に抑制できる。また、オーバーハング部12bの基端側を先端側と比べて厚く形成することにより、オーバーハング部12bの重量の増加を抑えつつオーバーハング部12bの曲げ剛性を高めることができる。
【0045】
また、本実施形態に係る蓄電モジュール4において、オーバーハング部12bに傾斜面12cを形成することにより、オーバーハング部12bの基端側の厚みを大きくすることができ、オーバーハング部12bの曲げ剛性を高めることができる。
【0046】
また、本実施形態に係る蓄電モジュール4において、オーバーハング部12bの曲げ応力が一定となるように傾斜面12cを形成することにより、オーバーハング部12bが電極積層体11側から荷重Pを受けた場合、オーバーハング部12bの一部に応力集中することが抑制される。従って、オーバーハング部12bによって電極積層体11側からの荷重Pを適切に受けることができる。
【0047】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。
【0048】
例えば、上述した実施形態では、図1のように蓄電モジュール4を積層した蓄電装置1に用いる場合について説明したが、蓄電モジュール4を異なる構造又は形式で用いてもよい。また、上述した実施形態では、蓄電モジュール4をフォークリフト、ハイブリッド自動車、電気自動車等の各種車両のバッテリとして用いる場合について説明したが、その他の用途に用いてもよい。
【符号の説明】
【0049】
4…蓄電モジュール、11…電極積層体(積層体)、12…封止体、12a…本体部、12b…オーバーハング部、12c…傾斜面、14…バイポーラ電極、15…電極板、15a…第1面、15b…第2面、16…正極、17…負極、18…負極終端電極、23…中間樹脂部、24…負極終端樹脂部、D…積層方向、P…荷重、S…曲げ応力。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8