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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-19
(45)【発行日】2022-07-27
(54)【発明の名称】画像形成装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/16 20060101AFI20220720BHJP
   G10L 15/00 20130101ALI20220720BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20220720BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20220720BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20220720BHJP
【FI】
G06F3/16 630
G10L15/00 200A
G06F3/16 650
G06F3/12 303
G06F3/12 326
G06F3/12 378
G03G21/00 396
G03G21/00 398
H04N1/00 127A
H04N1/00 885
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018207902
(22)【出願日】2018-11-05
(65)【公開番号】P2020077020
(43)【公開日】2020-05-21
【審査請求日】2021-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】特許業務法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北原 祐
【審査官】三吉 翔子
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-051887(JP,A)
【文献】特開2018-055022(JP,A)
【文献】特開2001-014134(JP,A)
【文献】特開2004-234346(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/16
G10L 15/00
G06F 3/12
G03G 21/00
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声による実行指示が入力される音声入力装置から音声リクエストを受信する第1通信部と、
前記音声リクエストから指示されたジョブを特定する音声解析サーバとの通信を行う第2通信部と、
前記第1通信部が受信した前記音声リクエストを、前記音声入力装置に紐付けられた自装置を特定する情報と共に、前記第2通信部を介して前記音声解析サーバへ転送する制御を行う音声リクエスト転送制御部と、
前記音声解析サーバにより解析された前記ジョブの実行指示を前記第2通信部を介して受信し、前記実行指示に基づいて前記ジョブを実行するジョブ制御部と、を備える
画像形成装置。
【請求項2】
前記第2通信部は、前記自装置が接続されるネットワークに設置されたプロキシサーバを経由して前記音声解析サーバ、又は前記音声解析サーバが解析した前記音声リクエストの解析結果から前記ジョブの実行指示を送信する管理サーバと通信可能である
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記音声リクエスト転送制御部は、前記音声リクエストの入力開始を通知する起床語句を含む前記音声リクエストを受信すると、前記起床語句に続く前記音声に対応する前記音声リクエストを受信する処理と、前記音声リクエストを前記音声解析サーバへ転送する処理を並行して進める
請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記ジョブ制御部は、前記音声リクエストの受信の終了に合わせて、電力消費を抑制するスリープモードから、記録材に画像を形成可能な画像形成モードに変更する
請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記ジョブ制御部は、前記音声リクエストの受信が途切れて所定時間を超える場合、電力消費を抑制するスリープモードから、記録材に画像を形成可能な画像形成モードに変更する
請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記ジョブ制御部は、起床する際に発生する動作音がノイズとして、前記音声リクエストに影響を与えない場合、前記音声リクエストを受信したタイミングに合わせて、前記スリープモードから前記画像形成モードに変更する
請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記ジョブ制御部は、実行指示された前記ジョブのデータを、前記自装置とは異なる他の前記画像形成装置から取得して、前記ジョブを実行する
請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
さらに、前記音声入力装置に実行指示を入力するユーザのアカウントを認証する認証部を備え、
前記音声リクエスト転送制御部は、前記認証部により認証された前記アカウントが付与された前記ユーザによって前記音声入力装置に入力された実行指示を含む前記音声リクエストを前記音声解析サーバに転送する
請求項1~7のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記ジョブ制御部は、前記アカウントのアクセス権限に基づいて、前記他の画像形成装置の前記スリープモードを前記画像形成モードに変更する
請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
さらに、前記音声解析サーバに送信した前記音声リクエストに対する前記音声解析サーバからのレスポンスを受信するまでの時間が所定時間を超える場合、前記実行指示を入力可能な操作画面を表示する操作表示部を備える
請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項11】
記録材に画像を形成する画像形成装置と、前記画像形成装置を管理する管理サーバと、を備えた画像形成システムであって、
前記画像形成装置は、
音声による実行指示が入力される音声入力装置から音声リクエストを受信する第1通信部と、
前記音声リクエストから指示されたジョブを特定する音声解析サーバ及び前記管理サーバとの通信を行う第2通信部と、
前記第1通信部が受信した前記音声リクエストを、前記音声入力装置に紐付けられた自装置を特定する情報と共に、前記第2通信部を介して前記音声解析サーバへ転送する制御を行う音声リクエスト転送制御部と
前記ジョブの実行指示を前記第2通信部を介して前記管理サーバから受信し、前記実行指示に基づいて前記ジョブを実行するジョブ制御部と、を備え、
前記管理サーバは、
前記音声解析サーバ及び前記画像形成装置と通信を行う管理サーバ通信部と、
前記音声解析サーバが前記音声リクエストを解析した解析結果を前記管理サーバ通信部から受信し、前記解析結果に基づいて前記ジョブを実行させる前記画像形成装置を指定する装置管理部と、を備える
画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及び画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、FAX機能や複写、印刷機能を有する、いわゆるデジタル複合機などの画像形成装置(MFP:Multi-Functional Peripheral)は、例えば、操作パネル、PC(Personal Computer)端末等からの実行指示を受け付けてジョブや各種処理などを実行する。近年では、音声によりジョブの実行指示(音声指示)を行うことが可能な画像形成装置が検討されていた。このような画像形成装置に対して、音声指示の認識率を向上させるため、クラウド上にあるサーバと連携し、ユーザが発声した音声を認識可能な音声入力装置が用いられるようになった。
【0003】
通常、画像形成装置は、画像形成装置が接続される社内LAN(Local Area Network)等の内部ネットワークに接続される。しかし、音声入力装置は、内部ネットワークに接続しても、内部ネットワークと外部ネットワークとの間に設けられるプロキシサーバを越えて外部ネットワークにアクセスするための設定ができない。そこで、従来、音声入力装置を用いて、画像形成装置を音声操作するために、図1に示したような画像形成システムが検討されていた。
【0004】
図1は、音声入力装置を有する従来の画像形成システム400の全体構成例を示すブロック図である。
画像形成システム400は、音声入力装置110、画像形成装置11a~11c、音声解析サーバ210及びMFP管理サーバ310を備える。従来の画像形成システム400では、音声入力装置110と音声解析サーバ210とが接続されるネットワークと、MFP管理サーバ310と画像形成装置11a~11cとが接続されるネットワークとは異なる。
【0005】
音声入力装置110には、ユーザからの音声が入力される。音声入力装置110は、音声を変換した音声リクエストを音声解析サーバ210に送信する。
音声解析サーバ210は、受信した音声リクエストを解析し、MFP管理サーバ310に解析結果を送信する。
画像形成装置11a~11cを管理するMFP管理サーバ310は、音声解析サーバ210から受信した解析結果に基づいて、ユーザによりジョブの実行が指示された画像形成装置11a~11cのいずれかに対し、ジョブの実行を指示する。
MFP管理サーバ310により指示された、いずれかの画像形成装置11a~11cは、ジョブを実行する。
【0006】
図1に示したように音声入力装置110が音声解析サーバ210に接続され、画像形成装置11a~11cがMFP管理サーバ310に接続される。そのため、音声解析サーバ210、MFP管理サーバ310で連携しなければ、音声入力装置110と、画像形成装置11a~11cのいずれかとの紐付けできない。正しく紐付けされていなければ、ユーザが音声入力装置110に音声で実行指示を入力しても、意図した画像形成装置とは異なる画像形成装置がジョブを実行するおそれがあった。
【0007】
また、音声入力装置110と画像形成装置11a~11cとが紐付けられていなければ、例えば、音声入力装置110に音声が入力された時にスリープモード中の画像形成装置11aは、MFP管理サーバ310からジョブの実行指示がされてから起床する。このため、画像形成装置がジョブを実行開始するまでに余計な待ち時間を要することがあった。
【0008】
また、画像形成システム400では、音声解析サーバ210とMFP管理サーバ310の挙動が異なり、通信のタイミングが合わないと、MFP管理サーバ310はいつまでも音声解析サーバ200から解析結果を取得できない。このため、ユーザが音声入力装置100に音声を入力したにも関わらず、画像形成装置11aがスリープモードのままジョブの実行が行われないことがあった。
【0009】
音声指示される画像形成装置が起床(復帰)動作への移行を早期に開始するために、例えば、特許文献1に開示された技術が知られている。
特許文献1には、低消費電力モード状態にある画像形成装置に音声入力操作(音声指示)がなされると、画像形成装置が、通常動作モードへの復帰動作を開始する技術が開示されている。特許文献1に開示された画像形成装置は、音声入力された機能が装置に搭載されている場合には、そのまま復帰動作を継続し、音声入力された機能が装置に搭載されていない場合には、再度、低消費電力モードに変える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2007-021808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、特許文献1には、音声辞書を備えた画像形成装置自身が復帰動作への移行を判断する技術が開示されていた。しかし、音声認識の技術は高度な解析が必要であるため、画像形成装置が、音声認識を実現することは困難であった。
【0012】
また、画像形成装置とは別に設けた音声入力装置を用いて、画像形成装置の音声操作を行うためには、音声解析サーバ210とMFP管理サーバ310間の連携を考慮しなければならないが、このような観点について特許文献1には何ら考慮されていない。このため、MFP管理サーバ310は、音声解析サーバ210から解析結果を受信しても、どの画像形成装置11a~11cに実行指示をすればよいか分からなかった。
【0013】
本発明はこのような状況に鑑みて成されたものであり、音声入力装置に紐付けられた画像形成装置に対して、音声による指示を行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る画像形成装置は、音声による実行指示が入力される音声入力装置から音声リクエストを受信する第1通信部と、音声リクエストから指示されたジョブを特定する音声解析サーバとの通信を行う第2通信部と、第1通信部が受信した音声リクエストを、音声入力装置に紐付けられた自装置を特定する情報と共に、第2通信部を介して音声解析サーバへ転送する制御を行う音声リクエスト転送制御部と、音声解析サーバにより解析されたジョブの実行指示を第2通信部を介して受信し、実行指示に基づいてジョブを実行するジョブ制御部と、を備える。
なお、上記の画像形成装置は本発明の一態様であり、本発明の一側面を反映した画像形成システムについても、本発明の一側面を反映した画像形成装置と同様の構成を有する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、画像形成装置が、音声入力装置の代理として、音声解析サーバに音声リクエストを送信する。画像形成装置は音声入力装置に紐付けられているため、音声リクエストを送信した画像形成装置に対して、音声解析サーバが音声リクエストを解析して送信するジョブの実行指示が届く。このため、画像形成装置は、実行指示に基づいて、ジョブを実行することができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施の形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】従来の音声入力装置を有する画像形成システムの全体構成例を示すブロック図である。
図2】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成システム(その1)の全体構成例を示すブロック図である。
図3】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の構成例を示すブロック図である。
図4】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成システムの各機能部の構成例を示す機能ブロック図である。
図5】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の制御部の内部構成例を示す機能ブロック図である。
図6】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成システム(その2)の全体構成例を示すブロック図である。
図7】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成システムの処理例を示すフローチャートである。
図8】本発明の第2の実施の形態に係る画像形成システムの各機能部の構成例を示す機能ブロック図である。
図9】本発明の第2の実施の形態に係る画像形成システム(その3)の全体構成例を示すブロック図である。
図10】本発明の第2の実施の形態に係る画像形成システム(その4)の全体構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態例について、添付図面を参照して説明する。本明細書及び図面において、実質的に同一の機能又は構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
【0018】
[第1の実施の形態]
<画像形成システム(その1)の全体構成例>
まず、第1の実施の形態にかかる画像形成システム2の全体構成例について説明する。
図2は、画像形成システム2(その1)の全体構成例を示すブロック図である。
【0019】
画像形成システム2は、音声入力装置100、画像形成装置1a~1c、音声解析サーバ200及びMFP管理サーバ300を備える。画像形成装置1a~1cを区別しない場合は、画像形成装置1と呼ぶ。
図中には、処理の順番として、直線矢印に対し、(1)~(4)及び(4a)の符号を付す。
【0020】
音声入力装置100には、ユーザからの音声が入力される。
処理(1)では、音声入力装置100が、入力した音声を変換した音声リクエストを、音声入力装置100が接続される画像形成装置1に送信する。
処理(2)では、画像形成装置1が、音声解析サーバ200に音声リクエストを転送する。このため、画像形成装置1は、音声入力装置100の代理で音声解析サーバ200にアクセスすることができる。
【0021】
処理(3)では、音声解析サーバ200が、受信した音声リクエストを解析し、画像形成装置1a~1cを管理するMFP管理サーバ300に解析結果を送信する。
処理(4)、(4a)では、MFP管理サーバ300が、受信した解析結果に基づいて、ユーザによりジョブの実行が指示された画像形成装置1a~1cのいずれかに対し、ジョブの実行を指示する。例えば、画像形成装置1aに実行指示が行われることは、図中の実線で示す処理(4)で表される。また、画像形成装置1b,1cのいずれかに実行指示が行われることは、図中の破線で示す処理(4a)で表される。
MFP管理サーバ310によりジョブの実行指示が行われた、いずれかの画像形成装置1a~1cは、ジョブを実行する。
【0022】
<画像形成装置の構成例>
次に、本実施の形態に係る画像形成装置1の構成例について説明する。
図3では、本発明の説明に必要と考える要素又はその関連要素が記載されるが、画像形成装置1はこの例に限られない。
【0023】
画像形成装置1は、例えば複写機などの電子写真方式の画像形成装置が一例として挙げられる。図3に示す画像形成装置1は、いわゆるタンデム型カラー画像形成装置とも言われ、複数の感光体を一本の中間転写ベルトに対面させて縦方向に配列することによりフルカラーの画像を形成することが可能である。
【0024】
画像形成装置1は、画像読取部20、画像形成部40、用紙搬送部50、定着装置60及び操作表示部70備える。
画像読取部20は、走査露光装置の光学系により原稿の画像を走査露光し、その反射光をラインイメージセンサにより読み取って画像信号を得る。
【0025】
画像形成部40は、用紙P(記録材の一例)に画像を形成する。画像形成部40は、イエロー(Y)の画像を形成する画像形成部40Y、マゼンタ(M)の画像を形成する画像形成部40M、シアン(C)の画像を形成する画像形成部40C及びブラック(K)の画像を形成する画像形成部40Kを備える。画像形成部40Y、40M、40C、40Kは、記録材の一例である樹脂製のシートにもトナー像を転写することが可能である。
【0026】
画像形成部40Yは、感光体ドラムY及びその周辺に配置された帯電部42Y、レーザーダイオード41Yを有した光書込部43Y、現像装置44Y及びドラムクリーナー45Yを備える。同様に、画像形成部40M、41C、41Kは、感光体ドラムM、C、K及びその周辺に配置された帯電部42M、42C、42K、レーザーダイオード41M、41C、41Kを有した光書込部43M、43C、43K、現像装置44M、44C、44K及びドラムクリーナー45M、45C、45Kを備える。
【0027】
感光体ドラムYは、帯電部42Yにより表面が一様に帯電しており、感光体ドラムYには、光書込部43Yのレーザーダイオード41Yからの走査露光により潜像が形成される。さらに、現像装置44Yは、トナーで現像することによって感光体ドラムY上の潜像を顕像化する。これにより、感光体ドラムY上には、イエローに対応する画像が形成される。
【0028】
同様に、感光体ドラムMは、帯電部42Mにより表面が一様に帯電しており、感光体ドラムMには、光書込部43Mのレーザーダイオード41Mからの走査露光により潜像が形成される。さらに、現像装置44Mは、トナーで現像することによって感光体ドラムM上の潜像を顕像に変える。これにより、感光体ドラムM上には、マゼンタに対応する画像が形成される。
【0029】
感光体ドラムCは、帯電部42Cにより表面が一様に帯電しており、感光体ドラムCには、光書込部43Cのレーザーダイオード41Cからの走査露光により潜像が形成される。さらに、現像装置44Cは、トナーで現像することによって感光体ドラムC上の潜像を顕像に変える。これにより、感光体ドラムC上には、シアンに対応する画像が形成される。
【0030】
感光体ドラムKは、帯電部42Kにより表面が一様に帯電しており、感光体ドラムKには、光書込部43Kのレーザーダイオード41Kからの走査露光により潜像が形成される。さらに、現像装置44Kは、トナーで現像することによって感光体ドラムK上の潜像を顕像に変える。これにより、感光体ドラムK上には、ブラックに対応する画像が形成される。
【0031】
感光体ドラムY、M、C、K上に形成された画像は、1次転写ローラー47Y、47M、47C、47Kにより、ベルト状の中間転写体である中間転写ベルト46上の所定位置に逐次1次転写される。中間転写ベルト46上に転写された各色よりなる画像は、用紙搬送部50により所定のタイミングで搬送される用紙Pに対して、2次転写部48で2次転写される。
【0032】
用紙搬送部50は、用紙Pが収納される複数の給紙装置51と、給紙装置51に収納された用紙Pを繰り出して給紙する給紙部51aを備える。また、用紙搬送部50は、給紙装置51から給紙された用紙Pが搬送される主搬送路53、定着装置60の下流側で主搬送路53から分岐し用紙Pの表裏を反転させる反転搬送路54、及び用紙Pが排紙される排紙トレイ55を備える。
【0033】
用紙搬送部50は、反転搬送路54と主搬送路53との分岐箇所に設けた切換ゲート53aを備える。主搬送路53を搬送され、2次転写部48及び定着装置60を通過した用紙Pには、画像形成装置1内で上側を向いた面(第一面)に画像が形成される。用紙Pの両面に画像を形成する場合、上側を向いた面に画像が形成された用紙Pが主搬送路53から反転搬送路54に搬送される。そして、反転搬送路54に設けられた用紙反転搬送路56にて用紙Pが反転されて、用紙Pの画像形成面(第一面)が下側を向く。その後、用紙Pが主搬送路53へ搬送される。これにより、表裏反転された用紙Pの上側を向いた他の面(第二面)に画像を形成することが可能となる。
【0034】
定着装置60は、画像形成部40により形成されたトナー像を用紙Pに定着するため、定着ローラー61及び加圧ローラー62を備える。この定着装置60は、中間転写ベルト46の下流に配置される。そして、定着装置60は、圧着した一対の定着ローラー61と加圧ローラー62により、用紙Pを搬送すると共に、トナー像が2次転写された用紙Pに対して、トナー像を定着させる定着処理を行う。定着ローラー61と加圧ローラー62は、共に定着部材として用いられる。定着ローラー61の内部には、ヒーターHが設けられている。ヒーターHは、定着ローラー61を加熱することで、定着ローラー61と、加圧ローラー62との定着ニップNを通過する用紙Pに熱が伝わるように定着ローラー61の表面を加熱する。加熱された定着ローラー61は、定着ローラー61の軸に対して回転することにより、定着ニップNを通過中の用紙Pに熱を伝える。用紙Pが加熱されることで、用紙P上のトナー像が融解し、用紙Pにトナー像が定着する。
【0035】
また、操作表示部70は、操作部71、表示部72を備える。操作部71は、複数の操作ボタンからなり、ユーザの操作を受け付ける。表示部72は、タッチパネルと、ディスプレイとを備えるタッチパネルディスプレイから構成され、案内画面等のような各種画面をユーザに提示する。表示部72は、タッチ操作用の操作ボタンの画像を表示すると共に、ユーザのタッチ操作を受け付ける。
【0036】
<画像形成システムの各機能部の構成例>
図4は、画像形成システム2の各機能部の構成例を示す機能ブロック図である。
ここでは、画像形成装置1aについて詳細な内部構成例を説明し、画像形成装置1aと同様の構成とした画像形成装置1b,1cについては図中における内部構成の記載、及び詳細な説明を省略する。
【0037】
音声入力装置100は、音声入力部101及びデバイス通信部102を備える。音声入力装置100の各部は、通信可能に相互に接続されている。音声入力装置100は、ユーザの使用状況に応じて、画像形成装置1a~1cのいずれかの近くに置かれる。
【0038】
音声入力部101は、音声入力装置100が設置された位置で集音した音声を、音声リクエストに変換する。例えば、音声入力部101は、音声入力装置100に向かってユーザが発する音声が入力する(音声入力)と、入力した音声をデジタルデータである音声リクエストに変換する。そして、音声入力部101は、音声リクエストをデバイス通信部102に出力する。音声リクエストは、ユーザが画像形成装置1aにジョブを実行させる実行指示のフレーズを含む音声データの一例である。
【0039】
デバイス通信部102は、入力された音声リクエストを、画像形成装置1aの第1通信部80に送信する。デバイス通信部102は、例えば、Bluetooth(登録商標)、WiFi(登録商標)等を用いた近距離無線通信の通信接続により、第1通信部80との間で相互に通信を行う。デバイス通信部102は、第1通信部80との間で相互に通信が行えればよく、有線通信を行ってもよい。
【0040】
画像形成装置1aは、図3に示した画像読取部20、画像形成部40及び操作表示部70に加えて、第1通信部80、第2通信部81及び制御部90を備える。画像形成装置1aの各部は、制御部90を通じて通信可能に接続されている。
【0041】
制御部90は、操作表示部70に対するタッチ操作による実行指示、又は第2通信部81から入力する不図示のPC端末、プリントコントローラ等からの実行指示に基づき、画像読み取り処理(スキャン)、画像形成処理(印刷)等の画像形成装置1aが有する機能に応じたジョブや各種処理(例えば、設定変更)等を実行する。以下の説明では、「ジョブや各種処理等」を、総称して「ジョブ」と呼ぶ。制御部90は、ジョブの実行時に、画像読取部20、画像形成部40、操作表示部70等の動作を制御する。
【0042】
このため、制御部90は、第1通信部80を介して音声入力装置100から受信した音声リクエストを音声解析サーバ200に転送する制御を行う。また、制御部90は、第2通信部81を介してMFP管理サーバ300から受信したジョブの実行指示に基づいて、ジョブを実行する。また、制御部90は、ユーザに割当てられたユーザID(Identification)やパスワード等からなるアカウントによる画像形成装置1aへのログインを認証する。
【0043】
制御部90は、いわゆるコンピュータとして用いられるハードウェアである。制御部90は、CPU(Central Processing Unit:中央処理装置)90a、ROM(Read Only Memory)90b、RAM(Random Access Memory)90c、HDD(Hard Disk Drive)90dを備える。制御部90の各部は、不図示のバスを介して接続されている。
【0044】
CPU90aは、本実施の形態例に係る各機能を実現するソフトウェアのプログラムコードをROM90bから読み出して実行する。後述する図5に示すジョブ制御部91、音声リクエスト転送制御部92及びユーザ認証部93は、CPU90aにより実行される機能の一部である。
ROM90bは、不揮発性メモリの一例として用いられ、CPU90aが動作するために必要なプログラムやデータ等を記憶している。
RAM90cは、揮発性メモリの一例として用いられ、CPU90aが行う各処理に必要な演算処理の途中に発生した変数やパラメータ等を一時的に記憶する。
【0045】
HDD90dは、不揮発性ストレージの一例で用いられ、HDD90dには、CPU90aが各部を制御するためのプログラム、OS、コントローラー等のプログラム、データが記憶される。例えば、HDD90dには、ユーザを識別する情報となるアカウント(例えば、ユーザID、声紋情報及びパスワードなど)が格納される。HDD90dに記憶されるプログラム、データの一部は、ROM90bにも記憶されてよい。ROM90b及びHDD90dは、CPU90aによって実行されるプログラムを格納したコンピュータ読取可能な非一過性の記録媒体の一例として用いられる。なお、制御部90によって実行されるプログラムを格納したコンピュータ読取可能な非一過性の記録媒体としては、ROM90b及びHDD90dに限定されず、例えば、SSD(Solid State Drive)、CD-ROM、DVD-ROM等の記録媒体であってもよい。
【0046】
第1通信部80は、デバイス通信部102から受信した音声リクエストを制御部90に出力する。また、デバイス通信部102と第1通信部80は、制御部90が音声解析サーバ200と通信を行う前に、接続を確立した状態とする(「同期する」とも呼ぶ)。
【0047】
第2通信部81は、例えば、NIC(Network Interface Card)やモデム等で構成され、例えば、社内に設けられた不図示のプロキシサーバを通じて、外部のネットワークと接続可能なインターフェースである。このため、後述する図5に示す音声リクエスト転送制御部92は、第2通信部81を介して音声リクエストを音声解析サーバ200の解析サーバ通信部202へ転送することができる。また、第2通信部81は、音声解析サーバ200から音声リクエストに対するレスポンス(ジョブの実行指示等)を受信する。
【0048】
また、第2通信部81は、例えば、不図示のPC端末等との間で接続を確立し、PC端末等から受信した各種のデータを制御部90に出力する。また、第2通信部81は、MFP管理サーバ300から受信したジョブの実行指示を制御部90に出力する。
【0049】
音声解析サーバ200は、音声解析部201、解析サーバ通信部202を備える。音声解析サーバ200の各部は、通信可能に相互に接続されている。
解析サーバ通信部202は、画像形成装置1aから受信した音声リクエストを音声解析部201に出力する。また、解析サーバ通信部202は、画像形成装置1aに対して、音声リクエストを受信したことに対するレスポンスを送信する。解析サーバ通信部202は、例えば、NICやモデム等で構成されるインターフェースである。
【0050】
音声解析部201は、解析サーバ通信部202から入力された音声リクエストを解析した解析結果を作成し、この解析結果を解析サーバ通信部202に出力する。解析結果とは、例えば、音声リクエストに含まれるフレーズから取得した、画像形成装置1aに対する実行指示を表す情報である。
【0051】
ここで、音声解析部201が行う音声リクエストの解析処理について、一例を挙げる。音声解析サーバ200は、例えば、不図示の発話サンプル格納部を備える。発話サンプル格納部は、予め、ユーザが画像形成装置1aにジョブを実行させるための実行指示に対応する音声リクエストのデータパターン(発話サンプル)を格納する。そして、音声解析部201は、音声リクエストと、発話サンプルとを比較する。音声解析部201は、音声リクエストと一致する発話サンプルが存在した場合、最も適切な発話サンプルから判明したジョブの実行指示を含む解析結果を解析サーバ通信部202に出力する。
そして、解析サーバ通信部202は、音声解析部201から入力された解析結果をMFP管理サーバ300に送信する。
【0052】
MFP管理サーバ300は、装置管理部301、管理サーバ通信部302を備える。MFP管理サーバ300の各部は、通信可能に相互に接続されている。
管理サーバ通信部302は、音声解析サーバ200から受信した解析結果を装置管理部301に出力する。
【0053】
装置管理部301は、管理サーバ通信部302から入力された解析結果に基づいて、ジョブの実行が指示された画像形成装置1aを指定する。例えば、音声入力装置100が画像形成装置1aと紐付けられていれば、画像形成装置1aが指定される。そして、装置管理部301は、指定した画像形成装置1aにジョブを実行させるための実行指示を管理サーバ通信部302に出力する。そして、管理サーバ通信部302は、装置管理部301から入力された実行指示を、装置管理部301が指定した画像形成装置1aに送信する。
【0054】
画像形成装置1aの操作表示部70は、画像形成装置1aが、音声解析サーバ200から音声リクエストに対するレスポンスを受信するまでの時間が所定時間を超える場合(タイムアウト)、ユーザが実行指示を入力可能な操作画面を表示する。所定時間は、例えば、10秒である。制御部90は、例えば、タイムアウトを監視するためのタイマーを有しており、タイムアウトが発生したか否かを監視する。これにより、ネットワーク遅延等の影響により音声操作でジョブの実行を指示できない状況であっても、画像形成装置1aの画像形成部40等の機構に異常がない限り、ユーザが操作表示部70を通じてジョブの実行を指示することができる。操作表示部70を通じてジョブの実行が指示された後、遅れてMFP管理サーバ300から受信する実行指示は破棄してよい。
なお、タイムアウトは、例えば、画像形成装置1aが、音声解析サーバ200に送信した音声リクエストに応じて、MFP管理サーバ300から実行指示を受信するまでの時間が所定時間を超えた場合と定義してもよい。
【0055】
図3図4の説明により、第1の実施の形態に係る画像形成装置1aは、操作表示部70に対するタッチ操作や第2通信部81を介したPC等からの通信操作による実行指示に基づくジョブを実行する。さらに、画像形成装置1aは、音声入力装置100に入力される音声による実行指示により、操作表示部70や第2通信部81と同様の実行指示を行うことができる。
【0056】
<画像形成装置の制御部の内部構成例>
図5は、画像形成装置1aの制御部90の内部構成例を示す機能ブロック図である。ここでも、画像形成装置1aと同様の構成とする、画像形成装置1b,1cの制御部90については内部構成例の説明を省略する。
【0057】
本実施の形態に係る画像形成装置1aは、例えば、用紙Pに画像を形成する画像形成モード、電力消費を抑制するスリープモードを少なくとも含む動作モードにより動作する。画像形成装置1aが、スリープモードから画像形成モードに変化することを、「画像形成装置1aが起床する」と呼ぶ。
【0058】
制御部90は、ジョブ制御部91、音声リクエスト転送制御部92、ユーザ認証部93を備える。
ジョブ制御部91は、音声解析サーバ200で解析され、MFP管理サーバ300から受信したジョブの実行指示に基づくジョブを実行する。
また、ジョブ制御部91は、画像形成装置1a動作モードを変える機能を有している。画像形成装置1aがスリープモードであるときに音声入力装置100の音声入力部101からの音声リクエストを受信すると、ジョブ制御部91は、音声リクエストの受信の終了に合わせて、スリープモードから画像形成モードに変更する。このとき、画像形成装置1aが起床する。例えば、ジョブ制御部91が、音声リクエストの受信が途切れて所定時間(例えば、5秒)を超えたと判断すると、音声リクエストの受信が終了したと認識する。このように画像形成装置1aが起床するタイミングを音声リクエストを受信し始めたタイミングから遅らせることにより、画像形成装置1aが起床する際に発生する動作音がノイズとして音声リクエストに混入することを防ぐことができる。
【0059】
一方、ジョブ制御部91は、画像形成装置1aを起床させる際に発生する動作音が音声リクエストに影響を与えない場合がある。この場合、ジョブ制御部91は、音声リクエストの受信を開始したタイミングに合わせて、スリープモードから画像形成モードに変更し、画像形成装置1aを起床させてよい。音声リクエストに影響を与えない場合とは、画像形成モードに起床する際に発生する画像形成装置1aからの動作音がない、又は発生する動作音が小さく音声リクエストに対してノイズとならない場合などである。
【0060】
また、画像形成装置1aは、例えば、社内LANを通じて互いに通信可能に構成されてもよい。この場合、ジョブ制御部91は、音声解析サーバ200に音声リクエストを転送する画像形成装置1aとは異なる他の画像形成装置1b,1cの動作モードを変更し、起床させることもできる。これにより、画像形成装置1aが音声解析サーバ200に音声リクエストを転送している間に、並行して画像形成装置1b,1cのいずれかを起床させることができる。この場合、画像形成装置1aは画像形成装置1b,1cを遠隔操作し、画像形成装置1b,1cからデータを取得したり、画像形成装置1b,1cに印刷処理等を指示したりできる。
【0061】
また、ジョブ制御部91は、アカウントのアクセス権限に基づいて、動作モードを変更し、起床させることが可能な画像形成装置1を選択することもできる。例えば、音声入力装置100に音声入力を行うユーザが所属する部署(グループの一例)で画像形成装置1aを用いることができるが、この部署では画像形成装置1b,1cを使えないとする。この場合、画像形成装置1aは、画像形成装置1b,1cへのアクセスが制限されるため、画像形成装置1b,1cの動作モードの変更を行えない。ユーザの所属部署、画像形成装置1aが使用される部署毎に適切なアクセス制限を行うことで、画像形成装置1b,1cに対する不要な起床を防ぐことができ、画像形成装置1b,1cの省電力化を実現できる。
【0062】
また、ユーザに割り振られるアカウントには、過去に利用履歴がある画像形成装置1に対するアクセス権限が与えられてもよい。過去にアカウントの利用履歴があるということは、正規のユーザであった可能性が高いからである。また、アカウントには、画像形成装置毎にアクセス権限が与えられてもよい。
【0063】
音声リクエスト転送制御部92は、音声入力装置100から受信した音声リクエストを音声解析サーバ200へ転送する制御を行う。このとき、音声リクエスト転送制御部92は、転送する音声リクエストに対して、転送元の画像形成装置1aを紐付ける情報(紐付け情報)を付与して音声解析サーバ200へ転送する。紐付け情報は、例えば、画像形成装置1aを特定するために、画像形成装置1aに付与されたIPアドレス(Internet Protocol Address)、MACアドレス(Media Access Control Address)、マシンIDなどの少なくとも1つを含む情報である。
【0064】
なお、音声リクエストの入力開始時には、音声リクエストの入力開始を通知する起床語句が音声入力装置100に入力される。このため、音声リクエスト転送制御部92は、起床語句を含む音声リクエストを受信すると、起床語句に続いて入力される音声リクエストを受信する処理と、この音声リクエストを音声解析サーバ200へ転送する処理とを並行して進める。
【0065】
ユーザ認証部93は、音声入力装置100に音声でジョブの実行指示を入力したユーザのアカウント(ユーザIDやパスワードなど)を認証する。アカウントの認証は、例えば、ジョブに設定され、又はHDD90dに格納されたユーザのアカウントと、ジョブの実行を指示したユーザのアカウントとを比較することにより行われる。認証結果がOKであれば、ユーザ認証部93は、認証したアカウントによる画像形成装置1aへのログインを許可する。一方、認証結果がNGであれば、ユーザ認証部93は、認証したアカウントによる画像形成装置1aへのログインを許可しない。ユーザ認証部93は、ログインを許可したアカウントから入力された音声リクエストを音声解析サーバ200に送信する指示を音声リクエスト転送制御部92に指示する。
【0066】
アカウントの認証には、例えば、ユーザID等の個人を特定する情報が記憶されたICカード(不図示)を、画像形成装置1aに設定されたカードリーダー(不図示)に読み込ませたり、不図示の端末(PC端末や携帯端末など)からユーザID等の個人を特定する情報を入力したりする方法がある。また、アカウントの認証は、操作表示部70にユーザIDやパスワードを入力することでも行われる。
【0067】
また、アカウントの情報には、ユーザIDだけでなく、ユーザの声の特徴(周波数等)を含む声紋情報(声紋パターン)であってもよい。声による認証(声紋認証)方法の場合、例えば、ユーザが音声入力装置100に発話した音声リクエストの声紋情報と、HDD90dに予め格納されたユーザ毎の声紋情報とを比較する処理が行われる。声紋情報が一致していれば、ユーザが発話したタイミングでログインが可能となる。ただし、アカウントの情報は、ユーザを識別可能であればよいので、上述した情報に限られない。例えば、アカウントの認証は、ユーザの顔などをアカウントとする生体認証で行ってもよい。
【0068】
ここで、図2に戻って、各装置の動作例の詳細な説明を行う。
まず、ユーザが音声入力装置100へ起床語句を含む音声を入力したとする。音声入力装置100は、入力された起床語句と、起床語句に続く音声とを音声リクエストに変換する。
処理(1)では、音声入力装置100から画像形成装置1aへ音声リクエストが送信される。
【0069】
起床語句を含む音声リクエストを受信した画像形成装置1aは、音声リクエストの受信が途切れて所定時間を超える場合、又は音声リクエストを受信したタイミングのいずれかで、動作モードがスリープモードから画像形成モードに変更され、起床する。
【0070】
その後、ユーザは、画像形成装置1aへログインする。ただし、ユーザは、処理(1)の前に画像形成装置1aへログインしていてもよい。画像形成装置1aは、ログイン済みのユーザからの音声リクエストであることを認識すると、音声リクエストに転送元の画像形成装置1aを紐付ける情報(紐付け情報)を付与する。
処理(2)では、画像形成装置1aから音声解析サーバ200に対して、紐付け情報が付与された音声リクエストが転送される。
【0071】
次に、音声解析サーバ200は、受信した音声リクエストを解析し、最も適切なジョブを特定した解析結果を作成する。
処理(3)では、音声解析サーバ200からMFP管理サーバ300へ解析結果が送信される。
【0072】
次に、MFP管理サーバ300は、受信した解析結果に基づいて、ジョブの実行を画像形成装置1a~1cのいずれかに指定する。図2では、音声リクエストを入力したユーザが、ユーザのアカウントで画像形成装置1aにログインした状態である。音声リクエストに紐付けられた情報が画像形成装置1aであるため、MFP管理サーバ300は、ジョブの実行を画像形成装置1aに指定することとなる。
処理(4)では、MFP管理サーバ300から画像形成装置1aへジョブを実行させるための実行指示が送信される。その後、画像形成装置1aにて、ジョブが実行される。
【0073】
処理(4a)では、例えば、故障等の原因により画像形成装置1aでジョブの実行ができない場合における処理の例が表される。この場合、MFP管理サーバ300は、画像形成装置1b,1cのいずれかにジョブを実行させるための実行指示を送信する。実行指示が送信された画像形成装置1b,1cがスリープモードであれば、実行指示を受信したタイミングで動作モードが画像形成モードに変更され、起床する。その後、実行指示を受信した画像形成装置1b,1cのいずれかが、ジョブを実行する。
【0074】
なお、画像形成装置1b,1cのいずれかにジョブの実行を指示する場合には、画像形成装置1aの操作表示部70にジョブを実行する画像形成装置1b,1cがいずれであるかを示す情報を表示したり、画像形成装置1b,1cのいずれかがジョブを実行してよいか確認するための情報を表示してもよい。
【0075】
<画像形成システム(その2)の全体構成例>
図6は、画像形成システム2(その2)の全体構成例を示すブロック図である。
ここでは、音声解析サーバ200に音声リクエストを転送する画像形成装置1aが、他の画像形成装置1b,1cから、ファイル等のデータを取得する処理について説明する。
【0076】
図6の処理(1)~(3)までの説明は、図2の処理(1)~(3)と同じであるため説明を省略する。
画像形成装置1bは、以前、PC等から受信したジョブのデータが含まれる保存ファイルをHDD90dに保存しているとする。保存ファイルには、ジョブの出力要求を行ったユーザのアカウント等も保存される。そして、画像形成装置1aは、ユーザが実行を指示したジョブのデータを含む保存ファイルを保存していないとする。
【0077】
この場合、画像形成装置1aにログインしたユーザのアカウントと、保存ファイルに保存されたアカウントが同じであれば、画像形成装置1aが、画像形成装置1bに対して保存ファイルの取得を要求することができる。
そこで、処理(2a)では、処理(2)と並行して、画像形成装置1aが画像形成装置1bをスリープモードから画像形成モードに変更する処理を行う。
【0078】
音声リクエストを入力したユーザが画像形成装置1aにログインしているので、MFP管理サーバ300は、画像形成装置1aにジョブの実行を指定する。しかし、保存ファイルが画像形成装置1bに存在するため、MFP管理サーバ300は、画像形成装置1bに対して、画像形成装置1aにデータを転送させる指示を行う。
処理(4)では、MFP管理サーバ300から画像形成装置1bに対して、保存ファイル内のデータを画像形成装置1aに転送させる指示が送信される。
【0079】
処理(5)では、画像形成装置1bから画像形成装置1aへデータが転送される。その後、画像形成装置1aにて、ジョブが実行される。
ただし、処理(4)で、MFP管理サーバ300から画像形成装置1bへジョブを実行させるための実行指示が送信されてもよい。このとき、処理(5)は行われない。
【0080】
図2図6に示す画像形成装置1aは、音声入力装置100から受信した音声リクエストを音声解析サーバ200に転送する代理応答の機能を有しており、音声リクエストと画像形成装置1aとを紐付ける。また、画像形成装置1aは、音声解析サーバ200に対してタイムアウトの監視を行う。
また、画像形成装置1aは、音声入力装置100から音声リクエストを受信すると、スリープモードから画像形成モードへ動作モードを変更して起床するので、ジョブの開始時間を早めることができる。
【0081】
また、図6の画像形成システム2では、画像形成装置1aが、音声リクエストにより実行を指示されたジョブのデータを有していなければ、画像形成装置1b,1cからデータを取得することができる。このとき、画像形成装置1aは、音声リクエストを音声解析サーバ200に転送する処理と合わせて、画像形成装置1b,1cのいずれかを起床させておく。そして、画像形成装置1aは、起床した画像形成装置1b,1cのいずれかから、実行を指示されたジョブのデータを取得する。このため、画像形成装置1aは、音声入力が行われた時点で有していないジョブのデータであってもデータを取得し、ジョブを実行することができる。
【0082】
<画像形成システムの処理例>
図7は、画像形成システム2の処理例を示すフローチャートである。
まず、音声入力装置100と画像形成装置1が通信を行う前にパラメータを取り決めるなどの事前のやり取りを自動的に行い、接続(同期)を確立する(S1)。この後、音声入力装置100は、常に起床してユーザの音声をいつでも入力できる状態となる。画像形成装置1は、スリープモードに移行してもよいし、画像形成モードのまま待機してもよい。
【0083】
次に、音声入力装置100は、ユーザによる音声の入力があるか否かを判定する(S2)。音声入力装置100は、ユーザによる音声の入力がないと判定した場合(S2のNo)、ステップS2に戻り、ユーザによる音声の入力があるまでステップS2を繰り返す。
【0084】
音声入力装置100は、ユーザによる音声の入力があると判定した場合(S2のYes)、入力した音声を変換した音声リクエストを画像形成装置1に送信する。画像形成装置1は、受信した音声リクエストを音声解析サーバ200に転送する(S3)。
【0085】
次に、画像形成装置1は、音声解析サーバ200に転送した音声リクエストに対する音声解析サーバ200からのレスポンスが所定時間を超える(タイムアウト)か否かを監視するため、タイマーを起動する(S4)。
【0086】
次に、画像形成装置1は、音声入力装置100からの音声リクエストの受信の終了に合わせて、スリープモードを解除して、画像形成モードに変更する(S5)。ここで、音声リクエストの受信の終了の認識は、例えば、音声リクエストの受信が途切れて所定時間を超える場合とする。上述したように画像形成装置1は、音声リクエストを受信開始したタイミングに合わせて、スリープモードを解除して、画像形成モードに変更してもよい。
【0087】
次に、画像形成装置1は、音声リクエストに対する音声解析サーバ200からのレスポンス(応答)があるか否かを判定する(S6)。画像形成装置1は、音声リクエストに対する音声解析サーバ200からのレスポンスがあると判定した場合(S6のYes)、音声解析サーバ200に音声リクエストが確実に到達したと判断できる。このとき、音声解析サーバ200では、音声リクエストが解析され、最も適切なジョブを特定した解析結果が作成される。そして、音声解析サーバ200は、MFP管理サーバ300へ解析結果を送信する。
【0088】
次に、MFP管理サーバ300は、受信した解析結果に基づいて、ジョブの実行指示を画像形成装置1に送信する。そして、画像形成装置1は、ジョブの実行指示に基づいて、ジョブを実行する(S7)。
【0089】
ステップS6にて、画像形成装置1は、音声リクエストに対する音声解析サーバ200からのレスポンスがないと判定した場合(S6のNo)、タイムアウトしたか否かを判定する(S8)。画像形成装置1は、タイムアウトしていないと判定した場合(S8のNo)、ステップS6に戻り、音声解析サーバ200からのレスポンスを再度確認する。
【0090】
一方、画像形成装置1は、タイムアウトしたと判定した場合(S8のYes)、タッチ操作による実行指示を入力するための操作画面を操作表示部70に表示し(S9)、ステップS1に戻る。ユーザは、操作表示部70に表示される操作画面を通じて、画像形成装置1aに対してジョブの実行指示を入力することができる。
【0091】
以上説明した第1の実施の形態に係る画像形成システム2では、音声入力装置100に入力された音声が音声リクエストに変換された後、画像形成装置1を介して音声解析サーバ200に転送音声リクエストが転送される。音声解析サーバ200は、音声リクエストを解析し、最も適切なジョブを特定した解析結果を作成した後、解析結果をMFP管理サーバ300に送信する。MFP管理サーバ300は、受信した解析結果に基づいて、ジョブを実行させる画像形成装置1を指定する。そして、MFP管理サーバ300により指定された画像形成装置1は、指示されたジョブを実行する。
【0092】
このように音声入力装置100は、ユーザがジョブを実行させる画像形成装置1と同期する。このため、音声入力装置100は、画像形成装置1の代理応答の機能を利用して音声解析サーバ200に送信した音声リクエストの解析を行わせることができる。このように音声解析サーバ200が音声リクエストを解析することで、画像形成装置1が単独で音声解析を行う場合と比べて、ユーザが発話した音声の認識率を向上させることが可能となる。
【0093】
また、音声リクエスト転送制御部92は、音声リクエストに転送元の画像形成装置1の紐付け情報を付与して音声解析サーバ200へ転送する。そのため、音声解析サーバ200は、音声入力装置100に紐付けられた画像形成装置1にジョブの実行指示を送信できる。
【0094】
また、ジョブ制御部91は、音声リクエストの受信が途切れて所定時間を超える場合、音声リクエストの受信が終了したと認識し、画像形成装置1を起床させる。音声リクエストの受信が途切れた後に、動作モードが変更することで、画像形成装置1が起床する際に発生する動作音がノイズとして音声リクエストに混入することを防ぐことができる。
【0095】
一方、ジョブ制御部91は、画像形成装置1が起床する際に発生する動作音がノイズとして、音声リクエストに影響を与えない場合、音声リクエストを受信したタイミングに合わせて、画像形成装置1を起床させる。これにより、画像形成装置1は、音声リクエストの受信が終了するまで起床を待つ必要がなくなり、より早くジョブを実行することが可能となる。
【0096】
また、画像形成装置間の通信が可能であれば、ジョブ制御部91は、音声解析サーバ200に音声リクエストを転送する画像形成装置1とは異なる他の画像形成装置1を起床させる。この場合、親機の画像形成装置1が、子機の画像形成装置1を遠隔操作し、データを取得したり、印刷処理等を指示したりできる。このとき、ジョブ制御部91は、親機の画像形成装置1にログイン認証されたユーザのアクセス権限に基づいて、子機の画像形成装置1を遠隔操作するので、アクセス権限がない、すなわちログイン認証されていないユーザによる、他の画像形成装置1への不要な遠隔操作を防ぐことができる。
【0097】
また、音声リクエスト転送制御部92は、起床語句に続く音声リクエストの受信と、音声リクエストを音声解析サーバ200へ転送する処理を並行して進める。そのため、音声解析サーバ200は、全ての音声リクエストを受信し終わる前に音声リクエストの解析を開始するので、解析結果の作成するまでの時間を早めることができる。そして、音声解析サーバ200は、より早く解析結果をMFP管理サーバ300へ送信することができる。
【0098】
さらに、ユーザ認証部93は、ログイン済みのユーザから入力された音声リクエストを音声解析サーバ200に送信する指示を音声リクエスト転送制御部92に入力する。そのため、画像形成装置1にログインしていないユーザが、画像形成装置1を使用することを防ぐことができる。また、画像形成装置1にログインしていないユーザの音声が音声入力装置100に入力することで、このユーザによる音声リクエストが音声解析サーバ200へ転送されることを防ぐことができる。
【0099】
なお、既に画像形成装置1が起動しているのであれば、ユーザは起床語句を発声せずに、音声指示を行ってもよい。
【0100】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態に係る画像形成システムについて、図8図10を参照して説明する。
以下の説明において、既に第1の実施の形態で説明した部分には同一符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0101】
<画像形成システムの各機能部の構成例>
図8は、本発明の第2の実施の形態に係る画像形成システム2Aの各機能部の構成例を示す機能ブロック図である。本実施の形態に係る画像形成システム2Aは、第1の実施の形態の画像形成システム2からMFP管理サーバ300を除いた構成である。
【0102】
音声解析サーバ200は、音声入力装置100から画像形成装置1aを介して送信された音声リクエストを解析し、解析結果に基づいて、ジョブの実行指示を画像形成装置1aに送信する。ここで、音声解析サーバ200の解析サーバ通信部202は、画像形成装置1a~1cが備えるそれぞれの第2通信部81と通信可能である。
【0103】
<画像形成システム(その3)の全体構成例>
図9は、画像形成システム2A(その3)の全体構成例を示すブロック図である。
なお、図9の処理(1)、(2)は、図2の処理(1)、(2)と同じであるため、説明を省略する。
【0104】
次に、音声解析サーバ200は、受信した音声リクエストを解析し、最も適切なジョブを特定した解析結果を作成する。音声解析部201は、解析結果に基づいて、ジョブの実行を画像形成装置1a~1cのいずれかに指定する。図9では、音声リクエストを入力したユーザが、ユーザのアカウントで画像形成装置1aにログインしている。そのため、音声解析サーバ200は、ジョブの実行を画像形成装置1aに指定する。
処理(3)では、音声解析サーバ200から画像形成装置1aへジョブを実行させるための実行指示が送信される。その後、画像形成装置1aにて、ジョブが実行される。
【0105】
<画像形成システム(その4)の全体構成例>
図10は、画像形成システム2A(その4)の全体構成例を示すブロック図である。
ここでは、音声解析サーバ200に音声リクエストを転送する画像形成装置1(例えば、画像形成装置1a)とは異なる他の画像形成装置1(例えば、画像形成装置1b,1c)を並行して起床させる場合を説明する。
【0106】
図10の処理(1),(2)は、図9の処理(1),(2)と同じであるため説明を省略する。
画像形成装置1bは、以前、PC等から受信したジョブのデータが含まれる保存ファイルをHDD90dに保存しているとする。保存ファイルには、ジョブの出力要求を行ったユーザのアカウント等も保存される。そして、画像形成装置1aには、ユーザが実行を指示したジョブのデータを含む保存ファイルを保存していないとする。
【0107】
この場合、画像形成装置1aにログインしたユーザのアカウントと、保存ファイルに保存されたアカウントが同じであれば、画像形成装置1aが、画像形成装置1bに対して保存ファイルの取得を要求することができる。
そこで、処理(2a)では、処理(2)と並行して、画像形成装置1aが、画像形成装置1bをスリープモードから画像形成モードに変更する処理を行い、画像形成装置1bを起床させる。
【0108】
音声リクエストを入力したユーザが画像形成装置1aにログインしているので、MFP管理サーバ300は、画像形成装置1aにジョブの実行を指定する。しかし、保存ファイルが画像形成装置1bに存在するため、MFP管理サーバ300は、画像形成装置1bに対して、画像形成装置1aにデータを転送させる指示を行う。
処理(3)では、音声解析サーバ200から画像形成装置1bへ保存しているジョブを実行するための保存ファイル内のデータを画像形成装置1aに転送するための指示が送信される。
【0109】
処理(4)では、画像形成装置1bから画像形成装置1aへデータが送信される。その後、画像形成装置1aにて、ジョブが実行される。
ただし、処理(3)で、音声解析サーバ200から画像形成装置1bへジョブを実行させるための実行指示が送信されてもよい。このとき、処理(4)は行われない。
【0110】
以上説明した第2の実施の形態に係る画像形成システム2Aでは、音声解析サーバ200が音声リクエストを解析した解析結果が、画像形成装置1に送信され、実行指示された画像形成装置1がジョブを実行する。このように画像形成システム2Aは、第1の実施の形態に係るMFP管理サーバ300を備えないため、音声解析サーバ200が他のサーバと連携する手間を省くことができる。さらに、画像形成システム2Aは、音声解析サーバ200がMFP管理サーバ300が行っていた作業も行うので、シンプルな構成とすることができる。
【0111】
なお、本発明は上述した実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りその他種々の応用例、変形例を取り得ることは勿論である。
例えば、上述した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために装置及びシステムの構成を詳細かつ具体的に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、ここで説明した実施の形態の構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることは可能であり、さらにはある実施の形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。また、各実施の形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることも可能である。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0112】
1…画像形成装置、2…画像形成システム、40…画像形成部、70…操作表示部、80…第1通信部、81…第2通信部、90…制御部、91…ジョブ制御部、92…音声リクエスト転送制御部、100…音声入力装置、101…音声入力部、200…音声解析サーバ、201音声解析部、300…MFP管理サーバ、301…装置管理部301
図1
図2
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図10