(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-19
(45)【発行日】2022-07-27
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20220720BHJP
G06F 1/32 20190101ALI20220720BHJP
G06F 3/12 20060101ALI20220720BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20220720BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20220720BHJP
【FI】
H04N1/00 885
G06F1/32
G06F3/12 321
G06F3/12 329
G03G21/00 398
G03G21/00 388
B41J29/38
(21)【出願番号】P 2019019358
(22)【出願日】2019-02-06
【審査請求日】2021-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117651
【氏名又は名称】高垣 泰志
(72)【発明者】
【氏名】山口 武久
【審査官】豊田 好一
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-054423(JP,A)
【文献】特開2014-225821(JP,A)
【文献】特開2017-163194(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
G06F 1/32
G06F 3/12
G03G 21/00
B41J 29/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有線ネットワークを接続する接続部と、
前記接続部に接続される第1通信モジュールと、
前記第1通信モジュールに接続され、通常電力状態において前記第1通信モジュールを介して前記有線ネットワークから受信するデータに応じた処理を行う第1制御手段と、
前記接続部に接続される第2通信モジュールと、
前記第2通信モジュールに接続され、省電力状態において前記第2通信モジュールを介して前記有線ネットワークから受信するデータに対して代理応答を行うことが可能な第2制御手段と、
前記通常電力状態において前記第1制御手段からの指示に基づいてデータ処理を行うデータ処理手段と、
電力供給状態を前記通常電力状態と前記省電力状態とに切り替える通電制御手段と、
を備え、
前記通電制御手段は、前記通常電力状態において、前記第1通信モジュール、前記第1制御手段及び前記データ処理手段に対する電力供給を行うと共に、前記第2通信モジュール及び前記第2制御手段に対する電力供給を停止させ、前記省電力状態において、前記第1通信モジュール、前記第1制御手段及び前記データ処理手段に対する電力供給を停止させると共に、前記第2通信モジュール及び前記第2制御手段に対する電力供給を行うことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記第2通信モジュールは、前記通電制御手段によって電力供給が開始されるとき、前記第1通信モジュールと同じネットワーク設定を反映させることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第2制御手段は、前記省電力状態において前記有線ネットワークから導通確認コマンドを受信した場合に当該導通確認コマンドに対する代理応答を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第2制御手段は、前記省電力状態において前記有線ネットワークにブロードキャストされたデータを受信した場合に、当該データに対する代理応答を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記第2制御手段は、前記省電力状態において前記有線ネットワークから受信するデータに対する代理応答を行うことができない場合、前記通電制御手段に対して前記通常電力状態に復帰させる命令を出力することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記第1制御手段は、前記通常電力状態においてオペレーティングシステムを起動させ、前記オペレーティングシステムの機能で前記有線ネットワークから受信するデータに対する応答処理を行うことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記省電力状態は、前記通常電力状態から移行する第1省電力状態と、前記第1省電力状態から更に移行する第2省電力状態とを有し、
前記通電制御手段は、前記第2省電力状態において、前記第1通信モジュール、前記第1制御手段及び前記データ処理手段に対する電力供給を停止させると共に、前記第2通信モジュール及び前記第2制御手段に対する電力供給を行うことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記通電制御手段は、前記通常電力状態から前記第1省電力状態へ移行させるときには前記データ処理手段に対する電力供給を停止させ、前記第1省電力状態から前記第2省電力状態へ移行させるときには前記第1通信モジュール及び前記第1制御手段への電力供給を停止させると共に、前記第2通信モジュール及び前記第2制御手段に対する電力供給を開始することを特徴とする請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記第1制御手段は、前記第1省電力状態において、前記第1通信モジュールを介して前記有線ネットワークから受信するデータに対する応答処理を行うことを特徴とする請求項7又は8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記第2制御手段は、前記第2省電力状態において前記有線ネットワークから受信するデータに対する代理応答を行うことができない場合、前記通電制御手段に対して前記第1省電力状態に復帰させる命令を出力することを特徴とする請求項7乃至9のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記データ処理手段は、前記第1制御手段から指定される画像データに対して所定の画像処理を行う画像処理手段を備えることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項12】
原稿の画像を光学的に読み取る画像読取手段、
を更に備え、
前記データ処理手段は、前記第1制御手段からの指示に基づいて前記画像読取手段による画像の読み取り動作を制御するジョブ制御手段を更に備えることを特徴とする請求項11に記載の情報処理装置。
【請求項13】
シートに画像を印刷して出力する印刷出力手段、
を更に備え、
前記データ処理手段は、前記第1制御手段からの指示に基づいて前記印刷出力手段における印刷動作を制御するジョブ制御手段を更に備えることを特徴とする請求項11に記載の情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置に関し、特に情報処理装置の消費電力を低減させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、MFP(Multifunction Peripherals)などの情報処理装置において、有線ネットワークと接続する接続部と、その接続部を介して外部のネットワーク装置と通信するための通信制御部を有するプロセッサと、電力モードを、情報処理装置の全ての構成部分に電力を供給するモードである通常電力モードと、情報処理装置の一部に電力を供給するモードである省電力モードとの間で切り替える電力制御部と、接続部とプロセッサとの間に接続されるパケット処理部と、を備えたものが知られている(例えば特許文献1)。この従来の情報処理装置は、省電力モード時に、パケット処理部が接続部において受信されるパケットに応じてパケットに対する処理が必要であるか否かを判定する。そしてパケットに対する処理が必要であると判定すると、パケット処理部は、さらに自身の機能でパケットに対する処理を行うことが可能であるか否かを判定する。その結果、パケット処理部においてパケットに対する処理を行うことが不可能であると判定されると、電力制御部は、電力モードを通常電力モードへ切り換えるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の情報処理装置においてプロセッサに対する電力供給が行われているとき、パケット処理部は、上述した判定機能を動作させない。ところが、パケット処理部は、接続部とプロセッサとの間に接続されているため、通常電力モードにおいても接続部が受信するパケットをプロセッサへ転送する必要がある。そのため、通常電力モードにおいても、パケット処理部に対する電力供給が継続的に行われる。しかし、通常電力モードにおいて、パケット処理部に電力を供給すると、本来は必要でない電力がパケット処理部において消費されることになり、消費電力低減の観点から好ましいものではない。
【0005】
また、上述のパケット処理部は、内部バスを介してプロセッサに接続されている。そのため、通常電力モードにおいて、プロセッサがネットワークから受信したパケットに対する応答処理を行う場合、その応答パケットは、必ず内部バスを通り、パケット処理部及び接続部を介してネットワーク上へ送出される。そのため、従来の情報処理装置は、プロセッサが応答パケットを送出するときの伝送経路が長く、消費電力が大きくなるという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、従来よりも消費電力を低減させることが可能な情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、情報処理装置であって、有線ネットワークを接続する接続部と、前記接続部に接続される第1通信モジュールと、前記第1通信モジュールに接続され、通常電力状態において前記第1通信モジュールを介して前記有線ネットワークから受信するデータに応じた処理を行う第1制御手段と、前記接続部に接続される第2通信モジュールと、前記第2通信モジュールに接続され、省電力状態において前記第2通信モジュールを介して前記有線ネットワークから受信するデータに対して代理応答を行うことが可能な第2制御手段と、通常電力状態において前記第1制御手段からの指示に基づいてデータ処理を行うデータ処理手段と、電力供給状態を前記通常電力状態と前記省電力状態とに切り替える通電制御手段と、を備え、前記通電制御手段は、前記通常電力状態において、前記第1通信モジュール、前記第1制御手段及び前記データ処理手段に対する電力供給を行うと共に、前記第2通信モジュール及び前記第2制御手段に対する電力供給を停止させ、前記省電力状態において、前記第1通信モジュール、前記第1制御手段及び前記データ処理手段に対する電力供給を停止させると共に、前記第2通信モジュール及び前記第2制御手段に対する電力供給を行うことを特徴とする構成である。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の情報処理装置において、前記第2通信モジュールは、前記通電制御手段によって電力供給が開始されるとき、前記第1通信モジュールと同じネットワーク設定を反映させることを特徴とする構成である。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載の情報処理装置において、前記第2制御手段は、前記省電力状態において前記有線ネットワークから導通確認コマンドを受信した場合に当該導通確認コマンドに対する代理応答を行うことを特徴とする構成である。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項1又は2に記載の情報処理装置において、前記第2制御手段は、前記省電力状態において前記有線ネットワークにブロードキャストされたデータを受信した場合に、当該データに対する代理応答を行うことを特徴とする構成である。
【0011】
請求項5に係る発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の情報処理装置において、前記第2制御手段は、前記省電力状態において前記有線ネットワークから受信するデータに対する代理応答を行うことができない場合、前記通電制御手段に対して前記通常電力状態に復帰させる命令を出力することを特徴とする構成である。
【0012】
請求項6に係る発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の情報処理装置において、前記第1制御手段は、前記通常電力状態においてオペレーティングシステムを起動させ、前記オペレーティングシステムの機能で前記有線ネットワークから受信するデータに対する応答処理を行うことを特徴とする構成である。
【0013】
請求項7に係る発明は、請求項1乃至6のいずれかに記載の情報処理装置において、前記省電力状態は、前記通常電力状態から移行する第1省電力状態と、前記第1省電力状態から更に移行する第2省電力状態とを有し、前記通電制御手段は、前記第2省電力状態において、前記第1通信モジュール、前記第1制御手段及び前記データ処理手段に対する電力供給を停止させると共に、前記第2通信モジュール及び前記第2制御手段に対する電力供給を行うことを特徴とする構成である。
【0014】
請求項8に係る発明は、請求項7に記載の情報処理装置において、前記通電制御手段は、前記通常電力状態から前記第1省電力状態へ移行させるときには前記データ処理手段に対する電力供給を停止させ、前記第1省電力状態から前記第2省電力状態へ移行させるときには前記第1通信モジュール及び前記第1制御手段への電力供給を停止させると共に、前記第2通信モジュール及び前記第2制御手段に対する電力供給を開始することを特徴とする構成である。
【0015】
請求項9に係る発明は、請求項7又は8に記載の情報処理装置において、前記第1制御手段は、前記第1省電力状態において、前記第1通信モジュールを介して前記有線ネットワークから受信するデータに対する応答処理を行うことを特徴とする構成である。
【0016】
請求項10に係る発明は、請求項7乃至9のいずれかに記載の情報処理装置において、前記第2制御手段は、前記第2省電力状態において前記有線ネットワークから受信するデータに対する代理応答を行うことができない場合、前記通電制御手段に対して前記第1省電力状態に復帰させる命令を出力することを特徴とする構成である。
【0017】
請求項11に係る発明は、請求項1乃至10のいずれかに記載の情報処理装置において、前記データ処理手段は、前記第1制御手段から指定される画像データに対して所定の画像処理を行う画像処理手段を備えることを特徴とする構成である。
【0018】
請求項12に係る発明は、請求項11に記載の情報処理装置において、原稿の画像を光学的に読み取る画像読取手段、を更に備え、前記データ処理手段は、前記第1制御手段からの指示に基づいて前記画像読取手段による画像の読み取り動作を制御するジョブ制御手段を更に備えることを特徴とする構成である。
【0019】
請求項13に係る発明は、請求項11に記載の情報処理装置において、シートに画像を印刷して出力する印刷出力手段、を更に備え、前記データ処理手段は、前記第1制御手段からの指示に基づいて前記印刷出力手段における印刷動作を制御するジョブ制御手段を更に備えることを特徴とする構成である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、第1制御手段が動作しているときに、第2制御手段において電力が消費されることを抑制することが可能であり、従来よりも消費電力を低減させることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図2】情報処理装置における電力供給状態の遷移を示す図である。
【
図3】情報処理装置が通常電力状態であるときの電力供給状態を示す図である。
【
図4】情報処理装置が第1省電力状態であるときの電力供給状態を示す図である。
【
図5】情報処理装置が第2省電力状態であるときの電力供給状態を示す図である。
【
図6】情報処理装置の電力状態を制御するための処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に関する好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下に説明する実施形態において互いに共通する要素には同一符号を付しており、それらについての重複する説明は省略する。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態である情報処理装置1の全体的な構成例を示す図である。
図1に示す情報処理装置1は、例えばMFPなどで構成され、スキャン機能、プリント機能、コピー機能、及びFAX機能などの複数の機能を備えており、ユーザーによって指定されたジョブを実行する。例えば、情報処理装置1は、ユーザーが操作可能な操作パネル43を備えており、操作パネル43に対して行われるユーザーの操作に基づいてスキャンジョブやコピージョブなどのジョブを実行することができる。また、情報処理装置1は、LAN(Local Area Network)などの有線ネットワーク2に接続され、有線ネットワーク2に接続される他の機器と通信を行うことが可能である。例えば、情報処理装置1は、有線ネットワーク2を介して印刷ジョブを受信した場合、その印刷ジョブを実行することによって印刷ジョブに含まれる画像データに基づく印刷出力を行うこともできる。尚、以下においては、有線ネットワーク2を単にネットワーク2という。
【0024】
情報処理装置1は、ユーザーによって使用されない状態が所定時間以上継続すると、消費電力を低減させるために電力供給状態を通常モードから省電力モードへ移行させる。通常モードは、情報処理装置1の大部分の構成要素に対して電力を供給し、ユーザーによって指定されるジョブを速やかに実行することができる通常電力状態である。これに対し、省電力モードは、情報処理装置1の構成要素のうち、通常モードよりも多くの構成要素に対する電力供給を停止させることにより、情報処理装置1における消費電力を低減させる省電力状態である。本実施形態の情報処理装置1には、省電力状態として、第1省電力状態と第2省電力状態との2つの省電力状態がある。第1省電力状態は、通常電力状態において電力が供給される構成要素のうちの一部の構成要素に対する電力供給を停止させることにより、通常電力状態よりも消費電力を低減する電力状態である。第2省電力状態は、第1省電力状態よりも多くの構成要素に対する電力供給を停止させることにより、第1省電力状態よりも更に消費電力を低減する電力状態である。以下、このような情報処理装置1について詳しく説明する。
【0025】
図1に示すように、情報処理装置1は、その構成要素として、メイン制御部10と、サブ制御部20と、通電制御部30と、接続部41と、記憶部42と、操作パネル43と、画像メモリ46と、データ処理部47と、自動原稿搬送部(ADF部)51と、スキャナ部52と、プリンタ部53と、FAX部54と、人体検知センサ55と、電源供給部56とを備えている。そして情報処理装置1は、上記各部のうち、メイン制御部10、サブ制御部20、通電制御部30、記憶部42、操作パネル43、画像メモリ46、データ処理部47、FAX部54、及び、人体検知センサ55のそれぞれを内部バス9に接続しており、内部バス9を介してそれらが相互にデータの入出力を行うことができるように構成される。
【0026】
自動原稿搬送部51は、ユーザーによってセットされる原稿を1枚ずつ取り出し、スキャナ部52による原稿読取位置へ自動的に搬送するものである。自動原稿搬送部51は、例えばスキャンジョブ、コピージョブ、FAX送信ジョブなどが実行されるときに原稿の搬送動作を行う。
【0027】
スキャナ部52は、ユーザーによってセットされた原稿を光学的に読み取って画像データを生成するものである。スキャナ部52は、例えばスキャンジョブ、コピージョブ、FAX送信ジョブなどが実行されるときに原稿の読み取り動作を行う。自動原稿搬送部51によって原稿が自動搬送されるとき、スキャナ部52は、自動原稿搬送部51と同期した読み取り動作を行うことで原稿が所定の原稿読取位置を通過する際に原稿の画像を読み取る。
【0028】
プリンタ部53は、入力する画像データに基づいてシートに画像形成を行うことにより、印刷出力を行うものである。プリンタ部53は、例えば印刷ジョブ、コピージョブ、FAX受信ジョブなどが実行されるときにシートに画像を印刷して出力する。
【0029】
FAX部54は、図示を省略する公衆電話網を介してFAXデータの送受信を行うものである。このFAX部54は、情報処理装置1においてFAX送信ジョブ又はFAX受信ジョブが実行されるときに動作する。
【0030】
接続部41は、ネットワーク2を接続するための接続部であり、例えばネットワーク2に繋がるネットワークケーブルを接続するインタフェースである。接続部41は、ネットワーク2から受信するデータをメイン制御部10及びサブ制御部20の双方へ出力することが可能である。
【0031】
記憶部42は、例えばハードディスクドライブ(HDD)やソリッドステートドライブ(SSD)などで構成される不揮発性の記憶デバイスである。この記憶部42には、オペレーティングシステムプログラム42aと、アプリケーションプログラム42bとが予め記憶される。また、記憶部42には、各種画像データを記憶しておくことも可能である。
【0032】
操作パネル43は、情報処理装置1をユーザーが操作する際のユーザーインタフェースとなるものである。操作パネル43は、ユーザーが操作可能な操作画面を表示する表示部44と、操作画面に対するユーザーの操作を受け付ける操作部45とを備えている。例えば表示部44は、カラー液晶ディスプレイで構成される。また、操作部45は、例えば表示部44の画面上に配置されるタッチパネルキーや、表示部44の画面周囲に配置される押しボタンキーなどによって構成される。
【0033】
画像メモリ46は、ジョブの実行に伴って取得される画像データを一時的に記憶するためのメモリである。例えば、印刷ジョブに含まれる印刷対象の画像データや、スキャンジョブによって生成される画像データ、FAX送信の対象となる画像データ、FAX機能で受信される画像データなどが、画像メモリ46に一時的に記憶される。
【0034】
データ処理部47は、情報処理装置1においてジョブが実行されるときに機能する。すなわち、データ処理部47は、第1制御部12からの指示に基づいて各種のデータ処理を行うものである。このデータ処理部47には、自動原稿搬送部51と、スキャナ部52と、プリンタ部53とが接続されている。また、データ処理部47は、ジョブ制御部48と、画像処理部49とを備えている。
【0035】
ジョブ制御部48は、メイン制御部10の第1制御部12からの指示に基づいて、自動原稿搬送部51、スキャナ部52及びプリンタ部53のそれぞれを駆動することで、ジョブの実行を制御する。例えば、ジョブ制御部48は、第1制御部12からの指示に基づいてスキャナ部52による画像の読み取り動作を制御する。また、ジョブ制御部48は、第1制御部12からの指示に基づいてプリンタ部53における印刷動作を制御することもできる。さらに、ジョブ制御部48は、内部バス9を介してFAX部54との間で画像データの入出力を行うことも可能であり、FAX送受信ジョブを制御することも可能である。
【0036】
画像処理部49は、ジョブの実行に伴って画像メモリ46に格納される画像データに対してメイン制御部10の第1制御部12から指定される画像処理を行う処理部である。例えば、画像処理部49は、画像メモリ46に格納されている画像データに対し、拡大、縮小、回転、解像度変換、色変換などの多彩な画像処理を行うことができる。
【0037】
人体検知センサ55は、情報処理装置1の周囲所定範囲に存在する人体を検知するセンサである。例えば、人体検知センサ55は、赤外線センサによって構成される。
【0038】
電源供給部56は、情報処理装置1の各構成要素に対して電力を供給する処理部である。電源供給部56は、通電制御部30からの指示に基づき、情報処理装置1の各構成要素に対して個別に電力の供給及び停止を切り替えることができる。例えば、図示を省略する電源スイッチがオンに操作され、商用電源から情報処理装置1に対する電力供給が開始されると、電源供給部56は、情報処理装置1の構成要素のうちの大部分の構成要素に対する電力供給を行う。その後、電源供給部56は、電源スイッチがオンになっている状態のままで通電制御部30から一部の構成要素に対する電力供給を停止させる命令を受け付けると、電源供給部56は、通電制御部30から指定された構成要素に対する電力供給を停止させる。また、電源供給部56は、通電制御部30から電力供給を停止させている構成要素に対して電力供給を再開させる命令を受け付けると、通電制御部30から指定された構成要素に対する電力供給を再開させる。このような電源供給部56の動作によって、情報処理装置1における電力供給状態が切り替わる。
【0039】
通電制御部30は、情報処理装置1の電力供給状態を制御する処理部である。すなわち、通電制御部30は、電源供給部56に対して上述した命令を出力することにより、情報処理装置1の電力供給状態を切り替える制御を行う。
【0040】
図2は、情報処理装置1における電力供給状態の遷移を示す図である。
図2に示すように、情報処理装置1の電力供給状態には、通常電力状態ST1と、第1省電力状態ST2と、第2省電力状態ST3との3つの状態がある。情報処理装置1がオンになり、電力供給が開始されると、通電制御部30は、電源供給部56に対して通常電力状態ST1で電力供給を行うことを命令する。その結果、情報処理装置1は、電源オンに伴う起動直後において通常電力状態ST1で稼働する。
【0041】
情報処理装置1が通常電力状態ST1であるとき、ユーザーによって使用されない状態が所定時間(第1の所定時間)が継続すると、通電制御部30は、電源供給部56に対して情報処理装置1の一部の構成要素に対する電力供給を停止させる命令を出力する。これにより、情報処理装置1の電力状態は、矢印F1で示すように通常電力状態ST1から第1省電力状態ST2へ移行する。この第1省電力状態ST2は、いわゆるスリープモードに相当する。
【0042】
情報処理装置1が第1省電力状態ST2であるとき、ユーザーによる使用が検知されると、通電制御部30は、電源供給部56に対して通常電力状態ST1へ復帰させる命令を出力する。これにより、情報処理装置1の電力状態は、矢印F2で示すように第1省電力状態ST2から通常電力状態ST1へ復帰する。また、情報処理装置1が第1省電力状態ST2であるとき、ユーザーによって使用されない状態のままで更に所定時間(第2の所定時間)が継続すると、通電制御部30は、電源供給部56に対して更に多くの構成要素に対する電力供給を停止させる命令を出力する。これにより、情報処理装置1の電力状態は、矢印F3で示すように第1省電力状態ST2から第2省電力状態ST3へ移行する。この第2省電力状態ST3は、いわゆるディープスリープモードに相当し、第1省電力状態ST2よりも消費電力が低い電力状態である。
【0043】
情報処理装置1が第2省電力状態ST3であるとき、所定の条件が成立すると、通電制御部30は、電源供給部56に対して第1省電力状態ST2へ復帰させる命令を出力する。これにより、情報処理装置1の電力状態は、矢印F4で示すように第2省電力状態ST3から第1省電力状態ST2へ復帰する。また、情報処理装置1が第2省電力状態ST3であるとき、ユーザーによる使用が検知されると、通電制御部30は、電源供給部56に対して通常電力状態ST1へ復帰させる命令を出力する。これにより、情報処理装置1の電力状態は、矢印F5で示すように第2省電力状態ST3から通常電力状態ST1へ復帰する。
【0044】
通電制御部30は、上記のようにして情報処理装置1の動作状態に応じて、電力状態を通常電力状態ST1、第1省電力状態ST2及び第2省電力状態ST3のそれぞれに切り替える制御を行う。
【0045】
メイン制御部10は、情報処理装置1におけるジョブの実行動作を統括的に制御するものである。メイン制御部10は、接続部41と内部バス9との間に接続される。メイン制御部10は、第1通信モジュール11と、第1制御部12とを備えている。メイン制御部10は、通常電力状態ST1及び第1省電力状態ST2において電力が供給され、第1通信モジュール11と第1制御部12とを動作させる。第1通信モジュール11は、その起動時に、管理者によって予め指定されたIPアドレスをネットワーク2に繋がるインタフェースに設定する。第1通信モジュール11は、一方が接続部41に接続され、他方が第1制御部12に接続される。この第1通信モジュール11は、第1制御部12がネットワーク2を介して他の機器と通信を行う際の通信制御を行うものである。第1制御部12は、図示を省略するCPUとメモリとを備えて構成され、情報処理装置1における全体的な動作を統括的に説御するものである。
【0046】
ここで、第1通信モジュール11及び接続部41は、互いにパラレルインタフェースによって接続されており、第1通信モジュール11と接続部41との間でパラレルデータが転送される。また、内部バス9もデータをパラレルデータで転送するため、第1制御部12は、内部バス9を介してパラレルデータの入出力を行う。これに対し、第1通信モジュール11と第1制御部12とは、例えばSerDes(SERializer/DESerializer)などの高速シリアルインタフェースによって接続されており、パラレルデータを高速シリアルデータに変換してデータ転送が行われる。そのため、第1通信モジュール11及び第1制御部12は、電力供給が開始されることに伴う起動時に、互いの高速シリアルインタフェースを初期化して同期させるように構成される。その初期化処理が完了すると、第1通信モジュール11及び第1制御部12は、相互にデータの入出力を行うことができるようになる。
【0047】
また、メイン制御部10に対する電力供給が開始され、上述した初期化処理が終了すると、第1制御部12のCPUは、記憶部42からオペレーティングシステムプログラム42aを読み出して実行する。これにより、第1制御部12においてオペレーティングシステム13が起動する。このオペレーティングシステム13は、第1通信モジュール11を制御すると共に、内部バス9を介して記憶部42、操作パネル43、画像メモリ46、データ処理部47、通電制御部30、FAX部54及び人体検知センサ55のそれぞれと行うデータの入出力を統括的に制御する。
【0048】
第1制御部12においてオペレーティングシステム13が起動すると、第1制御部12は、オペレーティングシステム13の機能により、記憶部42からアプリケーションプログラム42bを自動的に読み出して実行する。これにより、第1制御部12においてアプリケーション14が起動する。アプリケーション14は、オペレーティングシステム13を介して、情報処理装置1における上述した各種機能を動作させるためのアプリケーションである。例えばアプリケーション14は、ユーザーが操作パネル43を操作する際の操作画面を生成し、オペレーティングシステム13を介して操作パネル43へ出力することにより、ユーザーが操作可能な操作画面を操作パネル43の表示部44へ表示させる。また、アプリケーション14は、操作画面に対して行われるユーザーの操作に基づく操作情報が操作パネル43から出力されると、オペレーティングシステム13を介してその操作情報を取得する。そしてアプリケーション14は、ユーザーの操作に基づいてジョブの設定処理などの各種処理を行う。
【0049】
また、アプリケーション14は、ユーザーによる操作がジョブの実行指示であると判断すると、オペレーティングシステム13を介してデータ処理部47にジョブの実行を指示する。これにより、情報処理装置1においてユーザーによって指定されたジョブの実行が開始される。
【0050】
また、第1制御部12は、通常電力状態ST1及び第1省電力状態ST2においてネットワーク2を介してデータを受信すると、オペレーティングシステム13又はアプリケーション14の機能によって、その受信データに応じた処理を行う。例えば、オペレーティングシステム13は、ネットワーク2を介して印刷ジョブを受信すると、内部バス9を介して印刷ジョブをデータ処理部47へ出力し、印刷ジョブの実行を指示する。これにより、情報処理装置1において印刷ジョブに基づく印刷出力が開始される。
【0051】
また、オペレーティングシステム13は、ネットワーク2を介してPINGコマンドなどの導通確認コマンドを受信すると、その導通確認コマンドに対する応答信号を生成し、その応答信号をネットワーク2に対して送出する。また、オペレーティングシステム13は、ネットワーク2に対してブロードキャストされたデータを受信すると、そのデータに対する応答信号を生成し、その応答信号をネットワーク2に対して送出する。さらに、オペレーティングシステム13は、ネットワーク2を介してステータス確認コマンドを受信すると、そのステータス確認コマンドに対する応答信号を生成し、その応答信号をネットワーク2に対して送出する。
【0052】
これに対し、オペレーティングシステム13は、ネットワーク2を介して自身で応答信号を生成することができないコマンドを受信した場合、そのコマンドをアプリケーション14へ出力する。そしてオペレーティングシステム13は、アプリケーション14において生成される応答信号を取得し、その応答信号をネットワーク2に対して送出する。
【0053】
このように第1制御部12は、通常電力状態ST1及び第1省電力状態ST2においてネットワーク2を介してデータを受信すると、そのデータに対する応答信号を生成し、データの送信元である機器に対して応答信号を返信する。したがって、ネットワーク2に接続されているコンピュータなどの他の機器は、情報処理装置1のステータスなどをリアルタイムで把握することができる。
【0054】
サブ制御部20は、上記のようなメイン制御部10に対する電力供給が停止されているときに、動作し、ネットワーク2から受信する簡単なコマンドに対する応答信号を生成して応答処理を行う制御部である。サブ制御部20は、メイン制御部10と同様に、接続部41と内部バス9との間に接続される。またサブ制御部20は、第2通信モジュール21と、第2制御部22とを備えている。サブ制御部20は、第2省電力状態ST3において電力が供給され、第2通信モジュール21と第2制御部22とを動作させる。第2通信モジュール21は、その起動時に、第1通信モジュール11と同じネットワーク設定を反映させる。そのため、第2通信モジュール21が起動すると、第2通信モジュール21のネットワーク2に繋がるインタフェースには、管理者によって予め指定されたIPアドレスであって、第1通信モジュール11において設定されていたIPアドレスと同じアドレスが設定される。
【0055】
このような第2通信モジュール21は、一方が接続部41に接続され、他方が第2制御部22に接続される。そして第2通信モジュール21は、第2制御部22がネットワーク2を介して他の機器と通信を行う際の通信制御を行う。第2制御部22は、図示を省略するCPUとメモリとを備えて構成され、CPUが所定のプログラムを実行することにより、代理応答部23として機能するように構成される。
【0056】
ここで、第2通信モジュール21及び接続部41は、メイン制御部10と同様に、互いにパラレルインタフェースによって接続されており、第2通信モジュール21と接続部41との間でパラレルデータが転送される。また、第2制御部22は、内部バス9を介してパラレルデータの入出力を行う。これに対し、第2通信モジュール21と第2制御部22とは、メイン制御部10と同様、例えばSerDesなどの高速シリアルインタフェースによって接続されており、パラレルデータを高速シリアルデータに変換してデータ転送が行われる。そのため、第2通信モジュール21及び第2制御部22は、電力供給が開始されることに伴う起動時に、互いの高速シリアルインタフェースを初期化して同期させるように構成される。その初期化処理が完了すると、第2通信モジュール21及び第2制御部22は、相互にデータの入出力を行うことができるようになる。
【0057】
サブ制御部20に対する電力供給が開始され、上述した初期化処理が終了すると、第2制御部22は、代理応答部23を機能させる。代理応答部23は、メイン制御部10に代わって、ネットワーク2から受信する各種コマンドに対する応答処理を行うものである。ただし、代理応答部23は、メイン制御部10のオペレーティングシステム13やアプリケーション14が応答可能な全てのコマンドに対する応答処理を行うことができない。つまり、代理応答部23は、PINGコマンドなどの導通確認コマンドや、ネットワーク2に対してブロードキャストされたデータなどのような簡単なコマンドに対する応答処理のみを行うことができる。そのため、代理応答部23は、第2省電力状態ST3であるときに、ネットワーク2を介してデータを受信すると、そのデータに対する応答処理を自身で行うことができるか否かを判断し、自身で応答可能である場合には、応答信号を生成してネットワーク2へ送出する。これにより、情報処理装置1は、第2省電力状態ST3を継続させることができる。
【0058】
一方、ネットワーク2を介して受信したデータに対する応答処理を自身で行うことができない場合、代理応答部23は、内部バス9を介して、通電制御部30に第1省電力状態ST2又は通常電力状態ST1への復帰命令を出力する。これに伴い、通電制御部30は、情報処理装置1の電力状態を、第2省電力状態ST3から第1省電力状態ST2又は通常電力状態ST1へ復帰させる。
【0059】
また、代理応答部23は、通電制御部30へ復帰命令を出力することに伴い、内部バス9を介してメイン制御部10に受信データを出力する。これにより、メイン制御部10は、第2省電力状態ST3においてサブ制御部20が受信したデータを取得し、そのデータに対する処理を行うことができるようになる。尚、サブ制御部20とメイン制御部10との間のデータの受け渡しは、例えば画像メモリ46や記憶部42などのように内部バス9に接続されている記憶手段を介して行うようにしても良い。
【0060】
次に上記のように構成される情報処理装置1における各電力状態の一例について説明する。
【0061】
まず、
図3は、情報処理装置1が通常電力状態ST1であるときの電力供給状態を示す図である。
図3では、電力供給が行われる構成要素を実線で示しており、電力供給が停止される構成要素を破線で示している。尚、これについては、後述する
図4及び
図5も同様である。
図3に示すように、情報処理装置1が通常電力状態ST1であるとき、情報処理装置1は、メイン制御部10、通電制御部30、電源供給部56、接続部41、記憶部42、操作パネル43、画像メモリ46、データ処理部47、自動原稿搬送部51、スキャナ部52、プリンタ部53、FAX部54、及び、人体検知センサ55のそれぞれに対して電力供給を行う。すなわち、通常電力状態ST1であるとき、情報処理装置1は、サブ制御部20に対する電力供給のみを停止された状態となる。
図3に示す通常電力状態ST1であるとき、情報処理装置1は、ユーザーによるジョブの実行指示を受け付けると、速やかにジョブの実行を開始することができる。
【0062】
また通常電力状態ST1において、ネットワーク2を介して、導通確認コマンドや、ブロードキャストされたデータを受信すると、第1制御部12は、応答信号を生成し、その応答信号を、第1通信モジュール11を介してネットワーク2に送出する。このとき、第1制御部12から送出される応答信号は、内部バス9を経由することなく、ネットワーク2へ送出される。そのため、情報処理装置1は、通常電力状態ST1において応答信号を送出するときの伝送経路を従来よりも短くすることができる。それ故、本実施形態の情報処理装置1は、通常電力状態ST1における消費電力を従来よりも低減することができると共に、第1制御部12が応答信号を送出するときのパフォーマンスを従来よりも向上させることができるという利点がある。
【0063】
また、
図3に示すように情報処理装置1の電力状態が通常電力状態ST1であるとき、第2省電力状態ST3において応答処理を行う第2制御部22は、電力供給が停止された状態である。そのため、情報処理装置1は、通常電力状態ST1であるときに第2制御部22においてリーク電流などを発生させないようにすることが可能であり、第2制御部22で消費される電力をゼロにすることができる。したがって、通常電力状態ST1における消費電力を従来よりも更に低減することができるという利点がある。
【0064】
通常電力状態ST1において、ユーザーによる使用されない状態が所定時間(第1の所定時間)以上継続すると、第1制御部12は、通電制御部30に対して電力状態を第1省電力状態ST2へ移行させる移行命令を送出する。例えば、第1制御部12は、操作パネル43においてユーザーの操作が検知されず、且つ、人体検知センサ55によってユーザーが検知されない状態が所定時間以上継続すると、通電制御部30に対して移行命令を送出する。これにより、情報処理装置1の電力状態は、通常電力状態ST1から第1省電力状態ST2へ移行する。
【0065】
図4は、情報処理装置1が第1省電力状態ST2であるときの電力供給状態を示す図である。
図4に示すように、情報処理装置1が第1省電力状態ST2であるとき、情報処理装置1は、メイン制御部10、通電制御部30、電源供給部56、接続部41、記憶部42、操作パネル43の操作部45、FAX部54、及び、人体検知センサ55に対して電力供給を行う。これに対し、情報処理装置1は、サブ制御部20、操作パネル43の表示部44、画像メモリ46、データ処理部47、自動原稿搬送部51、スキャナ部52、及び、プリンタ部53に対する電力供給を停止させる。これにより、電力状態が通常電力状態ST1から第1省電力状態ST2へ移行すると、情報処理装置1における消費電力がそれ以前よりも低減される。
【0066】
第1省電力状態ST2では、データ処理部47、自動原稿搬送部51、スキャナ部52及びプリンタ部53に対する電力供給が停止されるため、情報処理装置1においてジョブを実行することができない。そのため、第1制御部12は、ジョブの実行指示を受け付けると、通電制御部30に対し、通常電力状態ST1への復帰命令を送出する。これにより、情報処理装置1は、第1省電力状態ST2から通常電力状態ST1へ復帰し、ジョブを実行することができる状態となる。
【0067】
例えば、第1省電力状態ST2であるとき、第1制御部12は、ネットワーク2を介して印刷ジョブを受信すると、通電制御部30に対して通常電力状態ST1への復帰命令を送出する。また、第1省電力状態ST2であるとき、第1制御部12は、操作パネル43の操作部45においてユーザーの操作が検知されたか否かを監視している。そして第1制御部12は、操作部45によってユーザーの操作が検知された場合、通電制御部30に対して通常電力状態ST1への復帰命令を送出する。また、第1制御部12は、人体検知センサ55が情報処理装置1の周囲においてユーザーが検知されたか否かも監視している。そして第1制御部12は、人体検知センサ55によってユーザーが検知された場合、通電制御部30に対して通常電力状態ST1への復帰命令を送出する。さらに、第1制御部12は、FAX部54がFAXデータを受信したか否かも監視している。そして、第1制御部12は、FAX部54によってFAXデータが受信された場合、通電制御部30に対して通常電力状態ST1への復帰命令を送出する。
【0068】
また、第1省電力状態ST2であるとき、第1制御部12は、通常電力状態ST1と同様に応答信号を生成して応答処理を行うことができる。例えば、第1省電力状態ST2において、第1制御部12が、ネットワーク2を介して、導通確認コマンドや、ブロードキャストされたデータを受信した場合、受信データに対応する応答信号を生成し、その応答信号を、第1通信モジュール11を介してネットワーク2に送出する。このときも、第1制御部12から送出される応答信号は、内部バス9を経由することなく、ネットワーク2へ送出される。そのため、情報処理装置1は、第1省電力状態ST2において応答信号を送出するときにも、伝送経路を従来よりも短くすることが可能であり、第1省電力状態ST2における消費電力を従来よりも低減することができるようになる。
【0069】
また、
図4に示すように情報処理装置1の電力状態が第1省電力状態ST2であるとき、第2省電力状態ST3において応答処理を行う第2制御部22は、電力供給が停止された状態を維持している。そのため、情報処理装置1は、第1省電力状態ST2においても第2制御部22で消費される電力をゼロにすることが可能である。したがって、第1省電力状態ST2における消費電力を従来よりも更に低減することができるという利点がある。
【0070】
また第1省電力状態ST2において、ユーザーによる使用されない状態が所定時間(第2の所定時間)以上継続すると、第1制御部12は、通電制御部30に対して電力状態を第2省電力状態ST3へ移行させる移行命令を送出する。例えば、第1制御部12は、第1省電力状態であるとき、操作パネル43においてユーザーの操作が検知されず、且つ、人体検知センサ55によってユーザーが検知されない状態が所定時間以上継続すると、通電制御部30に対して移行命令を送出する。これにより、情報処理装置1の電力状態は、第1省電力状態ST2から第2省電力状態ST3へ移行する。
【0071】
図5は、情報処理装置1が第2省電力状態ST3であるときの電力供給状態を示す図である。
図5に示すように、情報処理装置1が第2省電力状態ST3であるとき、情報処理装置1は、サブ制御部20、通電制御部30、電源供給部56、接続部41、操作パネル43の操作部45、及び、FAX部54に対して電力供給を行う。これに対し、情報処理装置1は、メイン制御部10、記憶部42、操作パネル43の表示部44、画像メモリ46、データ処理部47、自動原稿搬送部51、スキャナ部52、プリンタ部53、及び、人体検知センサ55に対する電力供給を停止させる。これにより、電力状態が第1省電力状態ST2から第2省電力状態ST3へ移行すると、情報処理装置1における消費電力がそれ以前よりも更に低減されるようになる。
【0072】
第2省電力状態ST3へ移行するとき、メイン制御部10に対する電力供給が停止されるため、第1制御部12の機能が完全に停止する。このとき、サブ制御部20において第2通信モジュール21は、第1通信モジュール11に設定されていたネットワーク設定と同じ設定を反映させて起動する。そのため、サブ制御部20は、メイン制御部10に代わって、情報処理装置1に対して送信されるデータをネットワーク2から受信することができるようになる。
【0073】
そして第2制御部22は、ネットワーク2を介して導通確認コマンドやブロードキャストされたデータを受信すると、代理応答部23が機能し、第1制御部12に代わって応答信号を送出する処理を行う。したがって、情報処理装置1が、第2省電力状態ST3であるときに、導通確認コマンドやブロードキャストコマンドなどを受信したとしても、第2省電力状態ST3を継続させることができる。
【0074】
また、第2制御部22は、ネットワーク2を介して自身で応答処理を行うことができないデータを受信すると、通電制御部30に対して第1省電力状態ST2への復帰命令を送出する。これにより、情報処理装置1の電力状態は、第2省電力状態ST3から第1省電力状態ST2へ移行し、メイン制御部10によって受信データに対する処理が行われる。尚、メイン制御部10によって受信データに対する処理が開始されることに伴い、電力状態がさらに第1省電力状態ST2から通常電力状態ST1へ復帰することもある。
【0075】
また、第2省電力状態ST3であるとき、第2制御部22は、操作パネル43の操作部45においてユーザーの操作が検知されたか否かを監視している。そして第2制御部22は、操作部45によってユーザーの操作が検知された場合、通電制御部30に対して通常電力状態ST1への復帰命令を送出する。さらに、第2制御部22は、FAX部54がFAXデータを受信したか否かも監視している。そして、第2制御部22は、FAX部54によってFAXデータが受信された場合、通電制御部30に対して通常電力状態ST1への復帰命令を送出する。
【0076】
次に、本実施形態の情報処理装置1において電力状態を制御するための処理手順について説明する。
図6は、情報処理装置1の電力状態を制御するための処理手順の一例を示すフローチャートである。
図6に示すフローチャートは、情報処理装置1の通電制御部30によって行われる処理手順を示している。通電制御部30は、情報処理装置1の電源スイッチがオンに操作され、情報処理装置1に対する電力供給が開始されることに伴ってこの処理を開始する。通電制御部30は、この処理を開始すると、電源投入処理を行う(ステップS10)。この電源投入処理では、サブ制御部20を除く、各構成要素への電力供給を開始し、情報処理装置1を通常電力状態ST1で稼働させる処理が行われる。
【0077】
その後、通電制御部30による処理は、情報処理装置1の電力状態を移行させるためのループ処理(ステップS11~S23)に移る。このループ処理では、通電制御部30は、まず情報処理装置1の現在の電力状態が通常電力状態ST1であるか否かを判断する(ステップS11)。通常電力状態ST1である場合(ステップS11でYES)、通電制御部30は、第1制御部12から、第1省電力状態ST2への移行命令を受信したか否かを判断し(ステップS12)、第1省電力状態ST2への移行命令を受信していれば(ステップS12でYES)、情報処理装置1の電力状態を第1省電力状態ST2へ移行させる(ステップS13)。これに対し、第1省電力状態ST2への移行命令を受信していない場合(ステップS12でNO)、通電制御部30は、通常電力状態ST1を継続させる。
【0078】
また、現在の電力状態が通常電力状態ST1でない場合(ステップS11でNO)、通電制御部30は、第1省電力状態ST2であるか否かを判断する(ステップS15)。第1省電力状態ST2である場合(ステップS15でYES)、通電制御部30は、第1制御部12から、通常電力状態ST1への復帰命令を受信したか否かを判断し(ステップS16)、通常電力状態ST1への復帰命令を受信していれば(ステップS16でYES)、情報処理装置1の電力状態を通常電力状態ST1へ復帰させる(ステップS17)。また、通常電力状態ST1への復帰命令を受信していない場合(ステップS16でNO)、通電制御部30は、第1制御部12から、第2省電力状態ST3への移行命令を受信したか否かを判断し(ステップS18)、第2省電力状態ST3への移行命令を受信していれば(ステップS18でYES)、情報処理装置1の電力状態を第2省電力状態ST3へ移行させる(ステップS19)。これに対し、第2省電力状態ST3への移行命令を受信していない場合(ステップS18でNO)、通電制御部30は、第1省電力状態ST2を継続させる。
【0079】
また、現在の電力状態が第1省電力状態ST2でない場合(ステップS15でNO)、情報処理装置1の電力状態は、第2省電力状態である。この場合、通電制御部30は、第2制御部22から、通常電力状態ST1への復帰命令を受信したか否かを判断し(ステップS20)、通常電力状態ST1への復帰命令を受信していれば(ステップS20でYES)、情報処理装置1の電力状態を通常電力状態ST1へ復帰させる(ステップS21)。また、通常電力状態ST1への復帰命令を受信していない場合(ステップS20でNO)、通電制御部30は、第2制御部22から、第1省電力状態ST2への復帰命令を受信したか否かを判断し(ステップS22)、第1省電力状態ST2への復帰命令を受信していれば(ステップS22でYES)、情報処理装置1の電力状態を第1省電力状態ST2へ復帰させる(ステップS23)。これに対し、第1省電力状態ST2への復帰命令を受信していない場合(ステップS22でNO)、通電制御部30は、第2省電力状態ST3を継続させる。
【0080】
そして通電制御部30は、情報処理装置1の電源スイッチがオフに操作されないときには(ステップS14でNO)、上述したループ処理を繰り返し、電源スイッチがオフに操作されると(ステップS14でYES)、この処理を終了する。以上で、通電制御部30による処理が終了する。
【0081】
以上のように本実施形態の情報処理装置1は、メイン制御部10に第1通信モジュール11と第1制御部12とが設けられ、サブ制御部20に第2通信モジュール21と第2制御部22とが設けられている。そして通電制御部30は、通常電力状態ST1及び第1省電力状態ST2において、第1通信モジュール11及び第1制御部12に対する電力供給を行うと共に、第2通信モジュール21及び第2制御部22に対する電力供給を停止させ、第2省電力状態ST3において、第1通信モジュール11及び第1制御部12に対する電力供給を停止させると共に、第2通信モジュール21及び第2制御部22に対する電力供給を行うようにしている。
【0082】
このような構成によれば、通常電力状態ST1及び第1省電力状態ST2において、第2通信モジュール21及び第2制御部22において消費される電力をゼロにすることができるため、従来よりも消費電力を低減することができるという利点がある。
【0083】
また、第1制御部12は、第1通信モジュール11を介してネットワーク2に対するデータの送受信を行うことが可能である。言い換えると、第1制御部12は、内部バス9を経由させることなく、ネットワーク2に対するデータの送受信を行うことが可能である。そのため、第1制御部12がネットワーク2から受信したデータに対する応答処理を行うときには、応答信号が内部バス9を経由しなくなるため、内部バス9で消費される電力を低減することができる。
【0084】
また、本実施形態の情報処理装置1は、第2省電力状態ST3へ移行させるとき、第2通信モジュール21の起動時に、第1通信モジュール11と同じネットワーク設定を第2通信モジュール21に反映させるようにしている。そのため、ネットワーク2に接続されている他の機器は、情報処理装置1が第2省電力状態ST3へ移行したとしても、それ以前と同じネットワーク設定を用いて情報処理装置1と通信を継続することが可能である。
【0085】
さらに、本実施形態の情報処理装置1は、上述したように第1通信モジュール11と第1制御部12とが高速シリアルインタフェースによって接続されており、第1通信モジュール11と第1制御部12とが互いにデータを高速シリアル転送するように構成されている。このような構成の場合、第1通信モジュール11と第1制御部12とが同期して1対1の通信を行うため、第1通信モジュール11と第1制御部12とを繋ぐ伝送路に対して第2制御部22を接続することができない。そのため、本実施形態では、サブ制御部20にも、第2通信モジュール21と第2制御部22とを設け、第2通信モジュール21と第2制御部22とを同期させた1対1の通信を行わせるように構成している。このような構成によれば、通常電力状態ST1及び第1省電力状態ST2のときには、サブ制御部20における第2通信モジュール21及び第2制御部22に対する電力供給を一括して停止させることができるようになり、また第2省電力状態ST3のときには、メイン制御部10における第1通信モジュール11及び第1制御部12に対する電力供給を一括して停止させることができるようになる。
【0086】
以上、本発明に関する好ましい実施形態について説明した。しかし、本発明は、上記実施形態において説明した内容のものに限られるものではなく、種々の変形例が適用可能である。
【0087】
例えば上記実施形態では、情報処理装置1がMFPなどの画像処理装置によって構成される場合を例示したが、それに限られるものではない。例えば情報処理装置1は、コピー専用機、プリンタ専用機、スキャナ専用機などのように単一の機能を備えた専用機であっても構わない。また、情報処理装置1は、コピー機能、プリンタ機能、FAX機能及びスキャナ機能などの機能を備えていないパーソナルコンピュータなどの情報処理装置1であっても構わない。
【0088】
また、上記実施形態では、第1通信モジュール11と第1制御部12との間、及び、第2通信モジュール21と第2制御部22との間が、高速シリアルインタフェースによって接続され、パラレルデータを高速シリアルデータに変換して相互にデータ転送を行う場合を例示した。しかし、第1通信モジュール11と第1制御部12との間のデータ転送方式は、必ずしもシリアル転送方式に限られない。また、第2通信モジュール21と第2制御部22との間のデータ転送方式についても、シリアル転送方式に限られない。例えば、メイン制御部10は、ネットワーク2から印刷ジョブなどのジョブを受信してジョブの実行を制御するため、ジョブの送受信時におけるデータ転送効率を高めるため、第1通信モジュール11と第1制御部12との間には高速シリアル転送方式を採用しても良い。これに対し、サブ制御部20は、そのようなジョブの送受信を行わないため、第2通信モジュール21と第2制御部22との間にはパラレル転送方式を採用しても良い。
【0089】
また、上記実施形態では、第2省電力状態ST3から第1省電力状態ST2へ復帰することがある実施形態を例示した。しかし、通電制御部30は、第2省電力状態ST3から復帰させるとき、毎回、通常電力状態ST1へ復帰させる制御を行うようにしても良い。
【0090】
また、上記実施形態では、情報処理装置1の省電力状態として、第1省電力状態ST2と第2省電力状態ST3との2つの省電力状態がある場合を例示した。しかし、これに限られるものではなく、情報処理装置1の省電力状態が1つのみの場合であっても構わない。この場合、情報処理装置1における1つの省電力状態は、上述した第2省電力状態ST3と同様の電力状態とすることが好ましい。
【0091】
また、上記実施形態では、通電制御部30が、第1制御部12又は第2制御部22からの命令に基づいて電力状態の移行処理又は復帰処理を行う場合を例示した。しかし、これに限られるものでもない。例えば、通電制御部30は、内部バス9や操作パネル43、人体検知センサ55などを常時監視し、電力状態を切り替えるための移行条件や復帰条件が成立したか否かを判断し、その判断結果に基づいて移行処理や復帰処理を行うようにしても良い。
【0092】
また、上記実施形態において説明した各電力状態において、電力が供給される構成要素、又は、電力供給が停止される構成要素は、単なる一例である。そのため、各電力状態において、メイン制御部10とサブ制御部20とを除く他の構成要素のうち、上述した構成要素とは異なる構成要素に対して電力供給が行われていても良いし、逆に、上述した構成要素とは異なる構成要素に対する電力供給が停止されていても良い。
【0093】
さらに、上記実施形態では、データ処理部47がジョブ制御部48及び画像処理部49を備える場合を例示した。しかし、データ処理部47は、ジョブ制御部48や画像処理部49を備えていないものであっても構わない。すなわち、データ処理部47は、メイン制御部10の第1制御部12からの指示に基づいて何らかのデータ処理を行うことができるものであれば良く、必ずしもジョブの実行を制御するものに限られない。
【符号の説明】
【0094】
1 情報処理装置
10 メイン制御部
11 第1通信モジュール
12 第1制御部(第1制御手段)
20 サブ制御部
21 第2通信モジュール
22 第2制御部(第2制御手段)
30 通電制御部(通電制御手段)
41 接続部
47 データ処理部(データ処理手段)
48 ジョブ制御部(ジョブ制御手段)
49 画像処理部(画像処理手段)
52 スキャナ部(画像読取手段)
53 プリンタ部(印刷出力手段)