(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-19
(45)【発行日】2022-07-27
(54)【発明の名称】インダクタ
(51)【国際特許分類】
H01F 17/04 20060101AFI20220720BHJP
H01F 41/04 20060101ALI20220720BHJP
H01F 27/255 20060101ALI20220720BHJP
【FI】
H01F17/04 F
H01F17/04 A
H01F41/04 B
H01F27/255
(21)【出願番号】P 2019108077
(22)【出願日】2019-06-10
【審査請求日】2021-01-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】平間 義明
【審査官】石田 昌敏
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-220292(JP,A)
【文献】特開2016-025179(JP,A)
【文献】特開2006-128473(JP,A)
【文献】特開2012-160507(JP,A)
【文献】特開2016-119385(JP,A)
【文献】特開2013-183052(JP,A)
【文献】特開2017-130604(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 17/00-21/12
H01F 41/00-41/10
H01F 27/00-27/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイルが統合予備成型体の内部に組み込まれ加圧されて形成された素体を備えるインダクタであって、
前記コイルは、断面が矩形形状の平角線を
最内周で接続する2段の渦巻き状に巻回した巻回部と、前記2段の各段
の最外周からから引き出された引き出し部と、を備え、
前記統合予備成型体は、磁性粉と樹脂とを含む第1予備成型体及び第2予備成型体が接合されて形成され、
前記第1予備成型体は、
平坦な上面を有する、板状の底面部と、前記底面部の周囲に設けられた壁部と、前記壁部に設けられた切り欠き部と、を備えた筐体状であり、
前記切り欠き部は、
前記統合予備成型体において対に配置されており、
底面と、開口部と、を有し、
側面視において、前記底面の幅が前記開口部の幅より狭い略台形形状であり、
前記コイルが前記統合予備成型体に組み込まれたとき、
前記引き出し部の少なくとも一部は、前記切り欠き部を通って前記統合予備成型体の外部に延び、
前記第1予備成型体の前記底面部の下面である基準面から一方の前記切り欠き部の
前記底面までの第1距離と、前記基準面から他方の前記切り欠き部の
前記底面までの第2距離と、の差は、前記平角線の幅方向の長さの略1倍であり、
前記第2予備成型体は、板状であり、
前記第1予備成型体の前記底面部
の前記上面には、前記壁部に囲まれた柱状の巻軸部が配置されている、インダクタ。
【請求項2】
コイルが統合予備成型体の内部に組み込まれ加圧されて形成された素体を備えるインダクタであって、
前記コイルは、断面が矩形形状の平角線を
最内周で接続する2段の渦巻き状に巻回した巻回部と、前記2段の各段
の最外周からから引き出された引き出し部と、を備え、
前記統合予備成型体は、磁性粉と樹脂とを含む第1予備成型体及び第2予備成型体が接合されて形成され、
前記第1予備成型体は、
平坦な上面を有する、板状の底面部と、前記底面部の周囲に設けられた壁部と、前記壁部に設けられた切り欠き部と、を備えた筐体状であり、
前記切り欠き部は、
前記統合予備成型体において対に配置されており、
底面と、開口部と、を有し、
側面視において、前記底面の幅が前記開口部の幅より狭い略台形形状であり、
前記コイルが前記統合予備成型体に組み込まれたとき、
前記引き出し部の少なくとも一部は、前記切り欠き部を通って前記統合予備成型体の外部に延び、
前記第1予備成型体の前記底面部の下面である基準面から一方の前記切り欠き部の
前記底面までの第1距離と、前記基準面から他方の前記切り欠き部の
前記底面までの第2距離と、の差は、前記平角線の幅方向の長さの略1倍であり、
前記第2予備成型体は、2つの主面を有する板状であり、
前記第2予備成型体の前記2つの主面のうち一方の主面には、柱状の巻軸部が配置されている、インダクタ。
【請求項3】
前記巻軸部は、前記第1予備成型体の前記底面部から離れるに従って先細りになっている、請求項1に記載のインダクタ。
【請求項4】
前記巻軸部は、前記第2予備成型体の前記一方の主面から離れるに従って先細りになっている、請求項2に記載のインダクタ。
【請求項5】
前記切り欠き部の前記底面の幅は、前記切り欠き部の
前記開口部の幅より狭い、請求項1から4のいずれか1項に記載のインダクタ。
【請求項6】
前記切り欠き部の前記底面の幅は、前記平角線の厚さに略等しい、請求項1から5のいずれか1項に記載のインダクタ。
【請求項7】
前記第1予備成型体の磁性粉と前記第2予備成型体の磁性粉とは異なる、請求項1から6のいずれか1項に記載のインダクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インダクタに関する。
【背景技術】
【0002】
インダクタの素体は、導体を複数段に巻回した巻回部(巻線部)と巻回部から引き出された一対の引き出し部(リード部)とを有するコイルを、2つの予備成型体の間に組み込み、圧縮して形成することができる。一般的に、2つの予備成型体の一方は、筐体形状の予備成型体であり、同一形状の2つの切り欠き部(引出溝)が対に配置されている。切り欠き部は、コイルが2つの予備成型体の間に組み込まれたとき、引き出し部の先端が2つの予備成型体の外部に引き出されるためのものである(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたような2つの予備成型体が接合された統合予備成型体において、2つの切り欠き部は、基準面(例えば、一方の予備成型体の底面)から同一の距離の位置に配置されている。
このような統合予備成型体に、複数段に巻回された巻回部の異なる段から引き出されている一対の引き出し部を有するコイルを組み込むと、コイルの配置状態が不安定であった。具体的には、一方の引き出し部のみが切り欠き部と接し、他方の引き出し部は切り欠き部と接しない状態や、一対の引き出し部が共に切り欠き部に接していても、コイルの巻回中心軸が統合予備成型体の中心軸に対して傾斜した状態になっていた。このような状態でコイルが配置された統合予備成型体を圧縮して硬化すると、完成したインダクタにおけるコイルの配置が、インダクタ毎に異なっていた。これにより、各インダクタの特性、例えば、L値(インダクタス値)にばらつきが生じるという問題が発生していた。
【0005】
本発明の1態様は、複数段に巻回された巻回部の異なる段から引き出された一対の引き出し部を有するコイルを、引き出し部の一部が予備成型体外へ引き出されるように、2つの予備成型体の間に組み込んで形成した素体を含むインダクタであって、コイルが高い位置精度で配置されているインダクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1態様に係るインダクタは、コイルが統合予備成型体の内部に組み込まれ加圧されて形成された素体を備えるインダクタであって、コイルは、断面が矩形形状の平角線を2段の渦巻き状に巻回した巻回部と、2段の各段から引き出された引き出し部と、を備え、統合予備成型体は、磁性粉と樹脂とを含む第1予備成型体及び第2予備成型体が接合されて形成され、第1予備成型体、及び、第2予備成型体の少なくとも一方は、板状の底面部と、底面部の周囲に設けられた壁部と、壁部に設けられた切り欠き部と、を備えた筐体状であり、切り欠き部は、統合予備成型体において対に配置されており、コイルが統合予備成型体に組み込まれたとき、引き出し部の少なくとも一部は、切り欠き部を通って統合予備成型体の外部に延び、第1予備成型体又は第2予備成型体の底面部の下面である基準面から一方の切り欠き部の底面までの第1距離と、基準面から他方の切り欠き部の底面までの第2距離と、の差は、平角線の幅方向の長さの略整数倍である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の1態様に係るインダクタは、複数段に巻回された巻回部の異なる段から引き出された一対の引き出し部を有するコイルを、引き出し部の一部が予備成型体外へ引き出されるように、2つの予備成型体の間に組み込んで形成した素体を含むインダクタであって、コイルが高い位置精度で配置されているインダクタである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明に係る第1予備成型体及び第2予備成型体から形成されたインダクタを示す斜視図である。
【
図2A】本発明の実施形態1に係る第1予備成型体を示す斜視図である。
【
図2B】本発明の実施形態1に係る第2予備成型体を示す斜視図である。
【
図3】
図2AのA1-A1線における断面図である。
【
図4】
図2AのA2-A2線における断面図である。
【
図5】
図2A及び
図2Bに示す第1予備成型体及び第2予備成型体にコイルを組み込む際の組立斜視図である。
【
図6】
図5に従って組み立てて形成されたコイル及び統合予備成型体を一方の側面から見た側面図である。
【
図7】
図5に従って組み立てて形成されたコイル及び統合予備成型体を他方の側面から見た側面図である。
【
図8A】本発明の実施形態2に係る第1予備成型体を示す斜視図である。
【
図8B】本発明の実施形態2に係る第2予備成型体を示す斜視図である。
【
図9】
図8A及び
図8Bに示す第1予備成型体及び第2予備成型体にコイルを組み込む際の組立斜視図である。
【
図10】
図9に従って組み立てて形成されたコイル及び統合予備成型体を一方の側面から見た側面図である。
【
図11】
図9に従って組み立てて形成されたコイル及び統合予備成型体を他方の側面から見た側面図である。
【
図12】本発明の実施形態3に係る第1予備成型体及び第2予備成型体を示す斜視図である。
【
図13】
図12に示す第1予備成型体及び第2予備成型体にコイルを組み込む際の組立斜視図である。
【
図14】
図13に従って組み立てて形成されたコイル及び統合予備成型体を一方の側面から見た側面図である。
【
図15】
図13に従って組み立てて形成されたコイル及び統合予備成型体を他方の側面から見た側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための実施形態や実施例を説明する。なお、以下に説明するインダクタは、本発明の技術思想を具体化するためのものであって、特定的な記載がない限り、本発明を以下のものに限定しない。
各図面中、同一の機能を有する部材には、同一符号を付している場合がある。要点の説明または理解の容易性を考慮して、便宜上実施形態や実施例に分けて示す場合があるが、異なる実施形態や実施例で示した構成の部分的な置換または組み合わせは可能である。後述の実施形態や実施例では、前述と共通の事柄についての記述を省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については、実施形態や実施例ごとには逐次言及しないものとする。各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張して示している場合もある。また、以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、「右」、「左」、及び、それらの用語を含む別の用語)を用いる。それらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が限定されるものではない。
【0010】
1.インダクタ
はじめに、
図1を参照しながら、本発明に係る第1予備成型体及び第2予備成型体から形成されたインダクタ1の説明を行う。
図1は、本発明の係る第1予備成型体及び第2予備成型体から形成されたインダクタ1を示す斜視図である。
【0011】
インダクタ1は、素体2と素体2の表面に形成された一対の外部電極4とを備える。素体2は、コイル6と磁性体14とを含む。コイル6は、巻回部8と巻回部8から引き出された一対の引き出し部10、12とを含む。巻回部8と引き出し部10、12の一部とは、磁性体14に覆われている。引き出し部10、12の、磁性体14から露出した露出部分10a、12aは、外部電極4に覆われ、外部電極4と電気的に接続されている。
【0012】
(素体)
素体2は、コイル6と磁性体14とを含む。素体2は、外観形状が略直方体であり、下面2aと、上面2bと、短手方向の側面である端面2c、2dと、長手方向の側面2e、2fとを備えている。素体2の大きさは、例えば、長手方向の長さ(端面2cと端面2dとの間の長さ)が1.6mm以上3.2mm以下、短手方向の長さ(側面2eと側面2fとの間の長さ)が0.8mm以上2.5mm以下、高さ(下面2aと上面2bとの間の長さ)が0.5mm以上2.5mm以下である。
【0013】
(コイル)
コイル6は、中空の巻回部8と巻回部8から引き出された一対の引き出し部10、12とを含む。巻回部8は、導線の表面に絶縁性を有する被覆層と、被覆層の表面に融着層を有し、互いに対向する幅広面を有する断面が矩形形状の導線(いわゆる、平角線)を巻回して形成されている。巻回部8は、平角線を最内周で接続して、2段の渦巻き状に巻回されている。引き出し部10、12は、巻回部8のそれぞれの段の最外周から引き出されている。巻回部8と引き出し部10、12の一部とは、磁性体14に覆われている。引き出し部10、12の、磁性体14から露出した露出部分10a、12aは、素体の端面2c、2dに露出しており、被覆層と融着層とが除去されている。コイル6を形成する平角線の寸法は、例えば、幅方向の長さが150μm以上600μm以下であり、厚さが、例えば20μm以上200μm以下である。
【0014】
(磁性体)
巻回部8と引き出し部10、12の一部とを覆う磁性体14の外観形状は、素体2の外観形状と略一致しており、略直方体形状である。磁性体14は、後述する第1予備成型体及び第2予備成型体が金型内で、加温、加圧されて形成される。
磁性体14は、磁性粉と樹脂の混合物を加圧成形して形成される。混合物における磁性粉充填率は、例えば、60重量%以上であり、好ましくは80重量%以上である。磁性粉としては、Fe、Fe-Si-Cr、Fe-Ni-Al、Fe-Cr-Al、Fe-Si、Fe-Si-Al、Fe-Ni、Fe-Ni-Mo等の鉄系の金属磁性粉、他の組成系の金属磁性粉、アモルファス等の金属磁性粉、表面がガラス等の絶縁体で被覆された金属磁性粉、表面を改質した金属磁性粉、ナノレベルの微小な金属磁性粉が用いられる。樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリアミド樹脂等の熱可塑性樹脂が用いられる。
【0015】
(外部電極)
外部電極4は、互いが離隔して配置された一対の外部電極4a、4bから構成される。
図1に示すインダクタ1では、一方の外部電極4aは、素体2の端面2c全体と、引き出し部10の、磁性体14から露出した露出部分10a全部と、端面2cに隣接する2つの側面2e、2fの一部と、下面2aの一部と、上面2bの一部と、を覆って配置されている。他方の外部電極4bは、素体2の端面2d全体と、引き出し部12の、磁性体14から露出した部分12a全部と、端面2dに隣接する2つの側面2e、2fの一部と、下面2aの一部と、上面2bの一部と、を覆って配置されている。外部電極4a、4bは、これらの配置領域に導電性ペーストをディップすることにより形成される。
【0016】
2.インダクタ1の形成
インダクタ1の製造方法は、
(1)コイル6を形成する第1工程と、
(2)コイル6を2つの予備成型体に挟み込んで配置し、コイル6を挟み込んだ2つの予備成型体を加圧して素体2を形成する第2工程と、
(3)素体2の表面に外部電極4を形成する第3工程と、
を含む。
【0017】
本発明は、第2工程において用いる2つの予備成型体の形状に特徴を有する。本発明において用いられる2つ予備成型体は、筐体状の予備成型体及び板状の予備成型体、又は、2つの筐体状の予備成型体である。以下に、実施形態1に係る2つの予備成型体について詳細を記載する。
【0018】
<実施形態1>
図2Aから
図8を参照しながら、本発明の実施形態1に係る第1予備成型体20及び第2予備成型体40を説明する。本実施形態に係る2つの予備成型体は、筐体状である第1予備成型体20と板状である第2予備成型体40とである。
図2Aは本発明の実施形態1に係る第1予備成型体20を示す斜視図であり、
図2Bは本発明の実施形態1に係る第2予備成型体40を示す斜視図である。
図3は、
図2AのA1-A1線における断面図である。
図4は、
図2AのA2-A2線における断面図である。
図5は、
図2A及び
図2Bに示す第1予備成型体20及び第2予備成型体40にコイル6を組み込む際の組立斜視図である。
図6は、
図5に従って組み立てて形成されたコイル6及び統合予備成型体60を一方の側面から見た側面図である。
図7は、
図5に従って組み立てて形成されたコイル6及び統合予備成型体60を他方の側面から見た側面図である。
図8は、
図4に示す側面図における切り欠き部と
図5に示す側面図における切り欠き部とを比較した図である。
【0019】
(第1予備成型体)
第1予備成型体20は、
図2Aに示すように、板状の底面部22と、底面部22の上面22aに設けられた柱状の巻軸部24と、巻軸部24を囲み、底面部22の上面22aに設けられた4つの壁部30、32、34、36とを備えている。
1つの壁部32には、壁部32の上面32aに開口部26aを有する切り欠き部(第1切り欠き部)26が設けられている。壁部32に対向する壁部36には、壁部36の上面36aに開口部28aを有する切り欠き部(第2切り欠き部)28が設けられている。
巻軸部24は、中心軸B1に略垂直方向の断面が略楕円形状である。巻軸部24は、
図2Aに加えて
図3及び
図4に示すように、底面部22から離れるに従って先細りになっている。つまり、巻軸部24は、底面部22に接続する根元よりも先端の方が細くなっている。巻軸部24の根元の短軸方向の長さw1は、例えば500μmであり、長軸方向の長さw3は、例えば800μmである。また、巻軸部24の先端の短軸方向の長さw2は、例えば長さw1より40μm以上短く、長軸方向の長さw4もまた、例えば長さw3より40μm以上短い。
【0020】
第1切り欠き部26は、
図6に示すように、側面視において、略台形形状である。第1切り欠き部26は、2つの対向する側面26b、26cと1つの底面26dとにより形成されている。底面26dは、底面部22の下面22bと略平行である。第1切り欠き部26の底面26dの幅w5は、第1切り欠き部26の開口部26aの幅w6より小さい。底面26dの幅w5は、コイルを形成する導線の厚さと略一致しており、例えば20μm以上200μm以下であり、開口部26aの幅w6は、例えば幅w5より40μm以上長い。図面に示す第1予備成型体20においては、第1切り欠き部26の深さh1は、平角線の幅方向の長さd1と略一致している。しかしながら、深さh1は、これに限定されるものではなく、平角線の幅方向の長さd1以上、壁部32の上面32aから底面部22の上面22aまでの距離の半分以下であれば、任意の値をとることができる。ここで、第1切り欠き部26の幅は、側面26bと側面26cとの間の長さに該当する。第1切り欠き部26の深さh1は、壁部32の上面32aと切り欠き部26の底面26dとの間の長さに該当する。
【0021】
第2切り欠き部28は、
図7に示すように、側面視において、略台形形状である。第2切り欠き部28は、2つの対向する側面28b、28cと1つの底面28dとにより形成されている。底面28dは、底面部22の下面22bと略平行である。第2切り欠き部28の底面28dの幅w7は、第2切り欠き部28の開口部28aの幅w8より小さい。底面28dの幅w7は、コイル6を形成する導線の厚さと略一致しており、例えば20μm以上200μm以下であり、開口部28aの幅w8は、例えば幅w7より40μm以上長い。第2切り欠き部28は、深さh2が第1切り欠き部26の深さh1より平角線の幅方向の長さd1だけ深くなるように形成されている。ここで、第2切り欠き部28の幅は、側面28bと側面28cとの間の長さに該当する。第2切り欠き部28の深さh2は、壁部36の上面36aと底面28dとの間の長さに該当する。
【0022】
第1予備成型体20は、例えば、樹脂および磁性粉を含む複合材料が金型成型されて形成される。
【0023】
(第2予備成型体)
第2予備成型体40は、
図2Bに示すように、2つの主面40a、40bが略矩形の板状の部材である。
第2予備成型体40も、例えば、樹脂および磁性粉を含む複合材料が金型成型されて形成される。
【0024】
第1予備成型体20と第2予備成型体40とは、同一の磁性粉を用いて形成されてもよいが、平均粒径、組成、密度等が異なる磁性粉を用いて形成されてもよい。例えば、第1予備成型体20を形成するために用いられる磁性粉の平均粒径は、10~50μmであり、第2予備成型体40を形成するために用いられる磁性粉の平均粒径は、10~50μmである。
【0025】
図5に示すように、第1予備成型体20の底面部22の上面22aと第2予備成型体40の一方の主面40a(又は40b)とを対向させて、第1予備成型体20及び第2予備成型体40の間に、コイル6を組み込む。第1予備成型体20及び第2予備成型体40は、コイル6を挟み込んだ状態で接合され、統合予備成型体60を形成する。この統合予備成型体60において、
図7に示すように、底面部22の下面(基準面)22bから第1切り欠き部26の底面26dまでの第1距離h3と、基準面22bから第2切り欠き部28の底面28dまでの第2距離h4との差は、平角線の幅方向の長さd1と略一致する。言い換えると、統合予備成型体60において、第1距離h3と、第2距離h4との差は、平角線の幅方向の長さd1の1倍と略一致する。
【0026】
このような第1予備成型体20と第2予備成型体40とを用いて、インダクタ1は形成される。以下に、第1予備成型体20と第2予備成型体40を用いて、上述の第1工程から第3工程について説明する。
【0027】
(第1工程:コイル6を形成する工程)
コイル6は、導線と、導線の表面に形成された絶縁性を有する被覆層と、被覆層の表面に形成された融着層を有し、互いに対向する幅広面を有する導線(いわゆる、平角線)を用いて形成される。巻回部8は、導線の両端が外周部に位置し、内周部で互いに繋がった状態で、上下2段に巻回(いわゆる、アルファ巻き)して形成される。巻回部8の外周部から引き出し部10、12を引き出す。
【0028】
(第2工程:コイル6を第1予備成型体20及び第2予備成型体40に挟み込んで配置し、加圧して素体2を形成する工程)
本工程は、コイル6を金型成型で形成された第1予備成型体20及び第2予備成型体40に配置する工程と、成形・硬化する工程と、被覆層を除去する工程と、を含む。
【0029】
(コイル6を第1予備成型体20及び第2予備成型体40に配置する工程)
第1予備成型体20の巻軸部24が巻回部8の中空領域8a内に配置されるように、コイル6を第1予備成型体20と第2予備成型体40との間に配置する。このとき、コイル6の引き出し部10、12が第1予備成型体20の第1及び第2切り欠き部26、28から第1予備成型体20の外部に引き出されるようにコイル6を配置する。具体的には、引き出し部10、12の、第1及び第2切り欠き部26、28に配置予定の部分が、開口部26a、28aの幅w6、w8内に位置されるように、コイル6を配置する。引き出し部10、12の、第1予備成型体20及び第2予備成型体40外に突出した部分は、素体2の側面に沿って曲げられる。
【0030】
(成形・硬化する工程)
コイル6が組み込まれた第1予備成型体20及び第2予備成型体40を、金型のキャビティに収容する。金型内で、第1予備成型体20及び第2予備成型体40の材料として用いられる樹脂の軟化温度以上の温度(例えば、60℃以上150℃以下)に加温する。加温した状態で、100kg/cm2以上500kg/cm2以下程度で加圧し、さらに樹脂の硬化温度以上の温度(例えば、100℃以上120℃以下)に加温して成形・硬化する。これにより、素体2が形成される。なお、硬化は、成形後に行ってもよい。
【0031】
(被覆層を除去する工程)
引き出し部10、12の、第1予備成型体20及び第2予備成型体40外に突出した導線の被覆層と融着層とを除去する。除去は、レーザ、ブラスト処理、研磨等の物理的手段を用いて行われる。
【0032】
(第3工程:外部電極4を形成する工程)
導電性ペーストを素体2の端面2c、2dにディップすることにより外部電極4が形成される。外部電極4は、導電性ペーストから形成される第1層に、ニッケルから形成される第2層を形成し、次いで第2層上にスズから形成される第3層を形成してもよい。
【0033】
(効果)
上記の統合予備成型体60において、第1距離h3と第2距離h4との差は、平角線の幅方向の長さd1の略1倍である。これにより、統合予備成型体60において、コイル6の一方の引き出し部12は第1切り欠き部26の底面26dによって支持され、他方の引き出し部10は第2切り欠き部28の底面28dによって支持される。さらに、統合予備成型体60において、コイル6の巻回中心軸C1が、統合予備成型体60の上下方向の中心軸D1と略一致する。従って、上記の第1予備成型体20及び第2予備成型体40を用いることで、統合予備成型体60におけるコイル6の配置精度を高めることができ、結果的に、完成したインダクタ1の特性のばらつきを抑制することができる。
【0034】
さらに、第1及び第2切り欠き部26、28は、底面26d、28dの幅w5、w7より開口部26a、28aの幅w6、w8の方が広くなっている。これにより、コイル6を統合予備成型体60内に配置する際、引き出し部10、12の、第1及び第2切り欠き部26、28に配置予定の部分が、開口部26a、28aの幅w6、w8内に位置するようにコイル6を配置すればよく、コイル6の配置が容易になる。
また、切り欠き部26の側面26b、26c及び切り欠き部28の側面28b、28cが斜面形状である。これにより、開口部26a、28aの幅w6、w8内に含まれるように配置された引き出し部10、12は、側面26b、26c、28b、28c上を滑るように移動し、切り欠き部26、28の底面26d、28dまで容易に到達できる。
【0035】
また、上記の第1予備成型体20の巻軸部24は、根元から先端に向けて先細りになっている。これにより、コイル6を第1予備成型体20に配置する際、巻軸部24の先端部24aが巻回部8の中空領域8a内に含まれるようにコイル6を配置すればよく、コイル6の配置が容易になり、コイル6の位置決め精度も高まる。
【0036】
<実施形態2>
次に、
図8Aから
図11を参照して、実施形態2に係る第1予備成型体120及び第2予備成型体140について説明する。本実施形態に係る第1予備成型体120は、筐体状であり、第2予備成型体140は、板状である。
図8Aは、本発明の実施形態2に係る第1予備成型体120を示す斜視図である。
図8Bは、本発明の実施形態2に係る第2予備成型体140を示す斜視図である。
図9は、
図8A及び
図8Bに示す第1予備成型体120及び第2予備成型体140にコイル6を組み込む際の組立斜視図である。
図10は、
図9に従って組み立てて形成されたコイル及び統合予備成型体160を一方の側面から見た側面図である。
図11は、
図9に従って組み立てて形成されたコイル及び統合予備成型体160を他方の側面から見た側面図である。
【0037】
上記の実施形態1では、巻軸部が第1予備成型体に備えられていたが、実施形態2では、巻軸部が、第2予備成型体に備えられている点で、実施形態1と異なる。
【0038】
(第1予備成型体)
第1予備成型体120は、
図8Aに示すように、板状の底面部122と、底面部122の上面122aに設けられた4つの壁部130、132、134、136とを備えている。1つの壁部132には、壁部132の上面132aに開口部126aを有する切り欠き部(第1切り欠き部)126が設けられている。壁部132に対向する壁部136にも、壁部136の上面136aに開口部128aを有する切り欠き部(第2切り欠き部)128が設けられている。
【0039】
第1切り欠き部126は、
図10に示すように、側面視において、略台形形状である。第1切り欠き部126は、2つの対向する側面126b、126cと1つの底面126dとにより形成されている。底面126dは、底面部122の下面122bと略平行である。第1切り欠き部126の底面126dの幅w9は、第1切り欠き部126の開口部126aの幅w10より小さい。底面126dの幅w9は、コイル6を形成する導線の厚さと略一致しており、例えば20μm以上200μm以下であり、開口部126aの幅w10は、例えば幅w9より40μm以上長い。図面に示す第1予備成型体120においては、第1切り欠き部126の深さh5は、平角線の幅方向の長さd1と略一致している。しかしながら、深さh5は、これに限定されるものではなく、平角線の幅方向の長さd1以上、壁部132の上面132aから底面部122の上面122aまでの距離の半分以下であれば、任意の値をとることができる。ここで、第1切り欠き部126の幅は、側面126bと側面126cとの間の長さに該当する。第1切り欠き部126の深さh5とは、壁部132の上面132aと切り欠き部126の底面126dとの間の長さに該当する。
【0040】
第2切り欠き部128は、
図11に示すように、側面視において、略台形形状である。第2切り欠き部128は、2つの対向する側面128b、128cと1つの底面128dとにより形成されている。底面128dは、底面部122の下面122bと略平行である。第2切り欠き部128の底面128dの幅w11は、第2切り欠き部128の開口部128aの幅w12より小さい。底面128dの幅w11は、コイル6を形成する導線の厚さと略一致しており、例えば20μm以上200μm以下であり、開口部128aの幅w12は、例えば幅w12より40μm以上長い。第2切り欠き部128は、深さh6が、第1切り欠き部126の深さh5よりも平角線の幅方向の長さd1だけ深くなるように形成されている。ここで、第2切り欠き部128の幅は、側面128bと側面128cとの間の長さに該当する。第2切り欠き部128の深さh6とは、壁部136の上面136aと底面128dとの間の長さに該当する。
【0041】
(第2予備成型体)
第2予備成型体140は、
図8Bに示すように、2つの主面142a、142bが略矩形の板状の基板142と、一方の主面142aに設けられた柱状の巻軸部124と、を備えている。
【0042】
巻軸部124は、中心軸B2に略垂直方向の断面が略楕円形状である。巻軸部124は、基板142から離れるに従って先細りになっている。つまり、巻軸部124は、基板142に接続する根元よりも先端の方が細くなっている。巻軸部124の根元の短軸方向の長さは、例えば500μmであり、長軸方向の長さは、例えば800μmである。また、巻軸部124の先端の短軸方向の長さは、例えば根元の短軸方向の長さより40μm以上短く、先端の長軸方向の長さもまた、例えば根元の長軸方向の長さより40μm以上短い。
【0043】
図9に示すように、第1予備成型体120の底面部122の上面122aと第2予備成型体140の巻軸部124とを対向させて、第1予備成型体120及び第2予備成型体140の間に、コイル6を組み込む。上記の第1予備成型体120及び第2予備成型体140にコイル6が組み込まれる。第1予備成型体120及び第2予備成型体140は、コイル6を挟み込んだ状態で接合され、統合予備成型体160を形成する。この統合予備成型体160において、
図11に示すように、底面部122の下面(基準面)122bから第1切り欠き部126の底面126dまでの第1距離h7と、基準面122bから第2切り欠き部128の底面128dまでの第2距離h8との差は、平角線の幅方向の長さd1と略一致する。言い換えると、統合予備成型体160において、第1距離h7と、第2距離h8との差は、平角線の幅方向の長さd1の1倍と略一致する。
【0044】
(効果)
上記の統合予備成型体160において、第1距離h7と、第2距離h8との差は、平角線の幅方向の長さd1の略1倍である。これにより、統合予備成型体160において、コイル6の一方の引き出し部12は第1切り欠き部126の底面126dによって支持され、他方の引き出し部10は第2切り欠き部128の底面128dによって支持される。さらに、統合予備成型体160において、コイル6の巻回中心軸C2が、統合予備成型体160の上下方向の中心軸D2と略一致する。従って、上記の第1予備成型体120及び第2予備成型体140を用いることで、統合予備成型体160におけるコイル6の配置精度を高めることができ、結果的に、完成したインダクタ1の特性のばらつきを抑制することができる。
【0045】
さらに、上記の第1予備成型体120は巻軸部124を備えていない。そのため、統合予備成型体160にコイル6を組み込む際、第1予備成型体120に対するコイル6の配置調整は、切り欠き部126、128に対する引き出し部10、12の位置を調整するだけでよく、コイル6の配置が容易になる。
【0046】
<実施形態3>
次に、
図12から
図15を参照して、実施形態3に係る第1予備成型体220及び第2予備成型体240について説明する。第1予備成型体220及び第2予備成型体240は、共に筐体状であり、同一形状である。
図12は、本発明の実施形態3に係る第1予備成型体220及び第2予備成型体240を示す斜視図である。
図13は、
図12に示す第1予備成型体220及び第2予備成型体240にコイル6を組み込む際の組立斜視図である。
図14は、
図13に従って組み立てて形成されたコイル6及び統合予備成型体260を一方の側面から見た側面図である。
図15は、
図13に従って組み立てて形成されたコイル6及び統合予備成型体260を他方の側面から見た側面図である。
【0047】
実施形態3では、第1予備成型体及び第2予備成型体が、同形の筐体状である点で、上記の実施形態1、2と異なる。実施形態1、2では、コイルが第1予備成型体内に収容されるが、実施形態3では、コイルが第1予備成型体及び第2予備成型体内に収容される。
【0048】
(第1予備成型体)
第1予備成型体220は、
図12に示すように、板状の底面部222と、底面部222の上面222aに設けられた柱状の巻軸部224と、巻軸部224を囲み、底面部222の上面222aに設けられた4つの壁部230、232、234、236とを備えている。
1つの壁部236には、壁部236の上面236aに開口部226aを有する切り欠き部(第1切り欠き部)226が設けられている。
巻軸部224は、中心軸B3に略垂直方向の断面が略楕円形状である。巻軸部224は、底面部222から離れるに従って先細りになっている。つまり、巻軸部224は、底面部222に接続する根元よりも先端の方が細くなっている。巻軸部224の根元の短軸方向の長さは、例えば500μmであり、長軸方向の長さは、例えば800μmである。また、巻軸部224の先端の短軸方向の長さは、例えば根元の短軸方向の長さより40μm以上短く、先端の長軸方向の長さもまた、例えば根元の長軸方向の長さより40μm以上短い。
【0049】
切り欠き部226は、
図14に示すように、側面視において、略台形形状である。切り欠き部226は、2つの対向する側面226b、226cと1つの底面226dとにより形成されている。底面226dは、底面部222の下面222bと略平行である。第1切り欠き部226の底面226dの幅w13は、第1切り欠き部226の開口部226aの幅w14より小さい。底面226dの幅w13は、コイル6を形成する導線の厚さと略一致しており、例えば20μm以上200μm以下であり、開口部226aの幅w14は、例えば幅w13より40μm以上長い。切り欠き部226の深さh9は、平角線の幅方向の長さd1と略一致している。ここで、切り欠き部226の幅は、側面226bと側面226cとの間の長さに該当する。切り欠き部226の深さh9は、壁部236の上面236aと切り欠き部226の底面226dとの間の長さに該当する。
【0050】
(第2予備成型体)
第2予備成型体240は、第1予備成型体220と同一形状である。
第2予備成型体240は、
図12に示すように、板状の底面部242と、底面部242の上面242aに設けられた柱状の巻軸部244と、巻軸部244を囲み、底面部242の上面242aに設けられた4つの壁部250、252、254、256とを備えている。1つの壁部256には、壁部256の上面256aに開口部246aを有する切り欠き部(第2切り欠き部)246が設けられている。
【0051】
図13に示すように、第1予備成型体220の巻軸部224と第2予備成型体240の巻軸部244とを対向させて、第1予備成型体220及び第2予備成型体240の間に、コイル6を組み込む。このとき、切り欠き部(第1切り欠き部)226及び切り欠き部(第2切り欠き部)246は、巻軸部224、244に対して反対側に配置される。第1予備成型体220及び第2予備成型体240は、コイル6を挟み込んだ状態で接合され、統合予備成型体260を形成する。この統合予備成型体260において、
図14及び
図15に示すように、底面部222の下面(基準面)222bから第1切り欠き部226の底面126dまでの第1距離h11と、基準面222bから第2切り欠き部228の底面246dまでの第2距離h12との差は、平角線の幅方向の長さd1の2倍と略一致する。言い換えると、統合予備成型体260において、第1距離h11と、第2距離h12との差は、平角線の幅方向の長さd1の2倍と略一致する。
【0052】
(効果)
上記の統合予備成型体260において、第1距離h11と、第2距離h12との差は、平角線の幅方向の長さd1の略2倍である。これにより、統合予備成型体260において、コイル6の一方の引き出し部12は第1切り欠き部226の底面226dによって支持され、他方の引き出し部10は第2切り欠き部248の底面248dによって支持される。さらに、統合予備成型体260において、コイル6の巻回中心軸C3が、統合予備成型体260の上下方向の中心軸D3と略一致する。従って、上記の第1予備成型体220及び第2予備成型体240を用いることで、統合予備成型体260におけるコイル6の配置精度を高めることができ、結果的に、完成したインダクタ1の特性のばらつきを抑制することができる。
【0053】
さらに、上記の第1予備成型体220と第2予備成型体240とは、同一形状である。そのため、第1予備成型体220と第2予備成型体240を同一の金型によって製造することができ製造コストを抑えることができ、かつ、製造工程を簡略化することができる。
【0054】
<変形例>
上記の実施形態では、第1切り欠き部26、126、226及び第2切り欠き部28、128、246の形状が、側面視において、それぞれの底面26d、126d、226d、28d、128d、246dを、それら底面に略垂直でそれら底面を2分する線を中心に対称な台形形状であったが、第1切り欠き部26、126、226及び第2切り欠き部28、128、246の形状はこれに限られるものではない。例えば、底面26d、126d、226d、28d、128d、246dに対する一方の側面26b、126b、226b、28b、128b、246bの傾斜角度と他方の側面26c、126c、226c、28c、128c、246cの傾斜角度とは異なっていてもよい。また、上記の実施形態では、側面26b、26c、126b、126c、226b、226c、28b、28c、128b、128c、246b、246cの表面は平面であったが、これに限られる物ではない。例えば、側面26b、26c、126b、126c、226b、226c、28b、28c、128b、128c、246b、246cの表面は湾曲した面であってもよい。
【0055】
以上、本発明の実施形態を説明したが、開示内容は構成の細部において変化してもよく、実施形態における要素の組合せや順序の変化等は請求された本発明の範囲および思想を逸脱することなく実現し得るものである。
【符号の説明】
【0056】
1 インダクタ
2 素体
2a 下面
2b 上面
2c、2d 端面
2e、2f 側面
4 外部電極
4a 一方の外部電極
4b 他方の外部電極
6 コイル
8 巻回部
8a 中空領域
10、12 引き出し部
10a、12a 露出部
14 磁性体
20、120、220 第1予備成型体
22、122、222、242 底面部
22a、122a、222a 上面
22b、122b、222b、242b 下面
24、124、224、244 巻軸部
24a 先端部
30、32、34、36、130、132、134、136、230、232、234、236、250、252、254、256 壁部
32a、36a、132a、136a、236a、256a 上面
26、126、226 第1切り欠き部
26a、126a、226a、28a、128a、246a 開口部
26b、26c、28b、28c、126b、126c、128b、128c、226b、226c、246b、246c 側面
26d、28d、126d、128d、226d、246d 底面
28、128、246 第2切り欠き部
40、140、240 第2予備成型体
40a、40b、142a、142b 主面
142 基板