(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-19
(45)【発行日】2022-07-27
(54)【発明の名称】排便記録システム、排便記録方法および排便記録プログラム
(51)【国際特許分類】
E03D 9/00 20060101AFI20220720BHJP
G16H 10/60 20180101ALI20220720BHJP
【FI】
E03D9/00 Z
G16H10/60
(21)【出願番号】P 2020141138
(22)【出願日】2020-08-24
【審査請求日】2021-06-16
(31)【優先権主張番号】P 2019159041
(32)【優先日】2019-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】東 賢輔
(72)【発明者】
【氏名】田中 大平
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-012049(JP,A)
【文献】特開2014-031655(JP,A)
【文献】特開2019-074328(JP,A)
【文献】特開2010-220761(JP,A)
【文献】特開平11-338941(JP,A)
【文献】特開平05-306539(JP,A)
【文献】特開2016-145811(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 9/00- 9/16
A47K 13/00-17/02
G01N 33/48-33/98
G16H 10/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トイレルーム内に設置された便器と、
前記便器を使用する使用者を特定する使用者特定装置と、
前記便器内に排出された大便を検知する検知装置と、
前記検知装置による検知結果から大便の性状を判定する判定装置と、
前記検知装置による検知の日時を示す時間情報を取得する計時装置と、
前記大便の性状および前記時間情報を、前記使用者特定装置によって特定された前記使用者と関連付けて個人データとして記録する記録装置と、
前記記録装置を有し、前記大便の性状および前記時間情報を、前記使用者特定装置によって特定された前記使用者と関連付けて個人データとして前記記録装置に記録させる情報処理装置と、
前記記録装置に記録された前記個人データに基づく前記大便に関する情報を表示する表示装置と、
を有し、
前記記録装置は、履歴情報DBを有し、
前記表示装置は、検知されなかった排便に関する情報を入力する入力装置として機能し、
前記履歴情報DBは、ユーザID、日時、性状、対応する便の性状が前記検知装置での検知により取得されたか、前記表示装置への入力により取得されたかを示す取得態様といった項目が含まれ、
前記情報処理装置は、介護者の要求に基づいて、前記履歴情報DBから使用者の過去の大便の性状および前記時間情報を示す履歴情報を抽出可能であり、
前記表示装置は、抽出された前記履歴情報を表示可能である、排便記録システム。
【請求項2】
前記判定装置は、
前記大便の性状を、軟便、正常便、硬便に対応する少なくとも3種類の結果に分けて自動で判定することが可能であり、
前記表示装置は、
前記大便の性状の判定結果に応じて前記個人データの表示を異ならせる
ことを特徴とする請求項1に記載の排便記録システム。
【請求項3】
前記表示装置は、
現在の時刻を表示することが可能であり、前記現在の時刻において、特定された前記使用者が排泄を行う可能性を示す情報を表示する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の排便記録システム。
【請求項4】
前記表示装置は、
特定された前記使用者によって排泄され得る前記大便の性状を示す情報を表示する
ことを特徴とする請求項3に記載の排便記録システム。
【請求項5】
前記入力装置は、
使用者による便失禁に関する便失禁情報を入力可能
であり、
前記記録装置は、
前記便失禁情報を、特定された前記使用者と関連付けて前記個人データとして記録する
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の排便記録システム。
【請求項6】
前記入力装置は、
使用者による下剤または下痢止めの服用に関する薬剤情報を入力可能
であり、
前記記録装置は、
前記薬剤情報を、特定された前記使用者と関連付けて前記個人データとして記録する
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の排便記録システム。
【請求項7】
前記判定装置は、
前記検知装置による検知結果から大便の大きさを判定し、
前記記録装置は、
前記大便の大きさおよび前記時間情報を、前記使用者特定装置によって特定された前記使用者と関連付けて個人データとして記録する
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の排便記録システム。
【請求項8】
トイレルーム内に設置された便器を使用する使用者を特定する使用者特定工程と、
前記便器内に排出された大便を検知する検知工程と、
前記検知工程による検知結果から大便の性状を判定する判定工程と、
前記検知工程による検知の日時を示す時間情報を取得する計時工程と、
前記大便の性状および前記時間情報を、前記使用者特定工程によって特定された前記使用者と関連付けて個人データとして記録する記録工程と、
前記大便の性状および前記時間情報を、前記使用者特定工程によって特定された前記使用者と関連付けて個人データとして記録装置に記録させる情報処理工程と、
前記記録工程に記録された前記個人データに基づく前記大便に関する情報を表示する表示工程と、
を含み、
前記記録装置は、履歴情報DBを有し、
前記表示工程を行う表示装置は、検知されなかった排便に関する情報を入力する入力装置として機能し、
前記履歴情報DBは、ユーザID、日時、性状、対応する便の性状が前記検知工程での検知により取得されたか、前記表示装置への入力により取得されたかを示す取得態様といった項目が含まれ、
前記情報処理工程は、介護者の要求に基づいて、前記履歴情報DBから使用者の過去の大便の性状および前記時間情報を示す履歴情報を抽出可能であり、
前記表示工程は、抽出された前記履歴情報を表示可能である、排便記録方法。
【請求項9】
トイレルーム内に設置された便器内に排出された大便が検知装置により検知された検知結果から大便の性状を判定する判定手順と、
前記検知装置による検知の日時を示す時間情報を取得する計時手順と、
前記大便の性状および前記時間情報を、前記便器を使用する使用者を特定する使用者特定装置によって特定された前記使用者と関連付けて個人データとして記録する記録手順と、
前記大便の性状および前記時間情報を、前記使用者特定装置によって特定された前記使用者と関連付けて個人データとして記録装置に記録させる情報処理手順と、
をコンピュータに実行させ、
前記記録装置は、履歴情報DBを有し、
表示装置は、検知されなかった排便に関する情報を入力する入力装置として機能し、
前記履歴情報DBは、ユーザID、日時、性状、対応する便の性状が前記検知装置での検知により取得されたか、前記表示装置への入力により取得されたかを示す取得態様といった項目が含まれ、
前記情報処理手順は、介護者の要求に基づいて、前記履歴情報DBから使用者の過去の大便の性状および前記時間情報を示す履歴情報を抽出可能であり、抽出した前記履歴情報を前記表示装置に表示可能である、排便記録プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、排便記録システム、排便記録方法および排便記録プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
少子高齢化の進行に伴い、認知症高齢者の増加が想定されており、認知症高齢者の介護に関してより一層問題が深刻化することが危惧されている。特に、介護施設の初期から中期認知症までの被介護者(患者)は、日常生活が自立していることにより行動範囲が広いにも関わらずトイレ以外の場所で便失禁を起こすことがあるため、介護負荷を増大させる原因となっている。このような被介護者に対して、現状の介護施設では、介護者自身の経験や勘により被介護者の排便タイミングを予測し、定期的にトイレへ誘導することで排便を促している。しかし、今後の被介護者の増加に伴う更なる介護負荷の増大によれば、現状の対応ではいずれ手が回らなくなることが想定される。
【0003】
こうした背景の下、介護者自身の経験や勘に基づいて定期的にトイレに誘導するのではなく、実測的な情報に基づいて従来よりも効率的にトイレに誘導することが可能な技術が求められている。そこで、例えば、超音波センサによって検出される直腸の太さという実測的な情報に基づいて、排便タイミングを予測することが可能な排便予測装置が知られている。(例えば、特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の従来技術における排便予測装置は、実測的な情報を取得するために、被介護者等の検知対象者の腹部に超音波センサを取り付ける必要がある。また、超音波センサを取り外した後再び着用する際等、超音波センサを取り付ける度に、超音波ジェルの塗布やテープによる固定が必要となる。さらに、バッテリー等の電源の管理が必要となるため、日常的に装置を管理する必要がある。このように、上述の従来技術では、実測的な情報に基づいて排便タイミングを予測するために、装置の導入に伴う介護負荷が増大する。そのため、排便の記録に関する使用者の負荷の増大を抑制することが望まれている。
【0006】
開示の実施形態は、排便の記録に関する使用者の負荷の増大を抑制する排便記録システム、排便記録方法および排便記録プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の一態様に係る排便記録システムは、トイレルーム内に設置された便器と、前記便器を使用する使用者を特定する使用者特定装置と、前記便器内に排出された大便を検知する検知装置と、前記検知装置による検知結果から大便の性状を判定する判定装置と、前記検知装置による検知の日時を示す時間情報を取得する計時装置と、前記大便の性状および前記時間情報を、前記使用者特定装置によって特定された前記使用者と関連付けて個人データとして記録する記録装置と、前記記録装置に記録された前記個人データに基づく前記大便に関する情報を表示する表示装置と、を有することを特徴とする。
【0008】
実施形態の一態様に係る排便記録システムによれば、便器内に排出された大便の検知結果に基づいて、大便の性状を判定することにより、便器の使用者(単に「使用者」ともいう)による目視確認等の使用者の負荷をかけることなく大便の性状を判定することが可能になる。また、便器内に排出された大便の検知の日時を示す時間情報を用いることにより、大便の性状とその大便が排泄された日時(「排泄日時」ともいう)とを対応付けて管理することが可能となり、前回の大便の排出から今回の大便の排出までの間隔を把握することが可能になる。そして、実施形態の一態様に係る排便記録システムによれば、上記のように収集した大便の性状及びその排泄日時の情報を、便器の使用者に関連付けて個人データとして記録することで、使用者による記録のための処理を要することなく、使用者が排泄した大便の性状及び排泄日時をその使用者に対応付けて記録することができる。このように、実施形態の一態様に係る排便記録システムによれば、排便の記録に関する使用者の負荷の増大を抑制することができる。したがって、実施形態の一態様に係る排便記録システムによれば、健康指標・体調指標としての便性状の記録を使用者への負荷なく行うことが可能となる。
【0009】
実施形態の一態様に係る排便記録システムにおいて、前記判定装置は、前記大便の性状を、軟便、正常便、硬便に対応する少なくとも3種類の結果に分けて自動で判定することが可能であり、前記表示装置は、前記大便の性状の判定結果に応じて前記個人データの表示を異ならせる。
【0010】
実施形態の一態様に係る排便記録システムによれば、使用者によって排出される大便の性状に関する実測的な情報を、軟便(下痢便)、正常便(通常便)、硬便(便秘便)の少なくとも3種類に分けて判定することが可能であり、さらに、それぞれの判定結果に応じて表示装置による表示を異ならせることができる。これによって、一目でどのような性状(硬さ)の大便が排出される傾向があるのかを把握することが可能となり、より効率的なトイレへの誘導を実現することができる。
【0011】
実施形態の一態様に係る排便記録システムにおいて、前記表示装置は、現在の時刻を表示することが可能であり、前記現在の時刻において、特定された前記使用者が排泄を行う可能性を示す情報を表示する。
【0012】
実施形態の一態様に係る排便記録システムによれば、現在の時刻において使用者が排泄を行うかの可能性を示す数値(確率)等の情報を表示することが可能となる。これによって、過去に判定された大便の性状や、その大便の性状を排出するまでに要した時間情報などの実測的な情報から予測された情報を基に、トイレに誘導すべきか否かを把握することが可能となり、より効率的なトイレへの誘導を実現することができる。
【0013】
実施形態の一態様に係る排便記録システムにおいて、前記表示装置は、特定された前記使用者によって排泄され得る前記大便の性状を示す情報を表示する。
【0014】
実施形態の一態様に係る排便記録システムによれば、現在の時刻において使用者から排泄される可能性の高い大便の性状を表示することが可能となる。これによって、過去に判定された大便の性状や、その大便の性状を排出するまでに要した時間情報などの実測的な情報から、トイレに誘導すべきか否かを把握することが可能となり、より効率的なトイレへの誘導を実現することができる。
【0015】
実施形態の一態様に係る排便記録システムは、使用者による便失禁に関する便失禁情報を入力可能な入力装置を備え、前記記録装置は、前記便失禁情報を、特定された前記使用者と関連付けて前記個人データとして記録する。
【0016】
実施形態の一態様に係る排便記録システムによれば、使用者による便失禁に関する入力情報を、他の情報と共に特定された使用者と関連付けて記録することが可能である。そのため、便失禁に関する入力情報により、個人データを適切に補完することができ、前回の大便の排出から今回の大便の排出までの間における排便周期が、便失禁を間に挟んだものであるか否かを把握することが可能となる。これによって、便失禁を起こすことなく連続して便器内で大便を排出できたケースと、前回の大便の排出から今回の大便の排出までの間に便失禁を起こしてしまったケースとを比較することが可能となり、より効率的なトイレへの誘導を実現することが可能となる。
【0017】
実施形態の一態様に係る排便記録システムは、使用者による下剤または下痢止めの服用に関する薬剤情報を入力可能な入力装置を備え、前記記録装置は、前記薬剤情報を、特定された前記使用者と関連付けて前記個人データとして記録する。
【0018】
実施形態の一態様に係る排便記録システムによれば、使用者による下剤または下痢止めの服用に関する入力情報を、他の情報と共に特定された使用者と関連付けて記録することが可能である。そのため、前回の大便の排出から今回の大便の排出までの間における排便周期が、薬剤の服用を間に挟んだものであるか否かを把握することが可能となる。これによって、薬剤を服用することなく連続して便器内で大便を排出したケースを参考にして、今回の大便の排出までに経過している期間が薬剤を服用するに妥当な期間であるか否かを判断することが可能となる。そのため、身体に負担のかかる薬剤の服用を最小限に抑えることが可能となる。さらに、薬剤を服用してから大便を排出するまでに要した時間を把握することが可能となるため、より効率的なトイレへの誘導を実現することが可能となる。
【0019】
実施形態の一態様に係る排便記録システムにおいて、前記判定装置は、前記検知装置による検知結果から大便の大きさを判定し、前記記録装置は、前記大便の大きさおよび前記時間情報を、前記使用者特定装置によって特定された前記使用者と関連付けて個人データとして記録する。
【0020】
実施形態の一態様に係る排便記録システムによれば、便器内に排出された大便の検知結果に基づいて、大便の大きさを判定することにより、使用者による目視確認等の使用者の負荷をかけることなく大便の大きさを判定することが可能になる。また、便器内に排出された大便の検知の日時を示す時間情報を用いることにより、大便の大きさとその大便の排泄日時とを対応付けて管理することが可能となる。そして、実施形態の一態様に係る排便記録システムによれば、上記のように収集した大便の大きさ及びその排泄日時の情報を、便器の使用者に関連付けて個人データとして記録することで、使用者による記録のための処理を要することなく、便器の使用者が排泄した大便の大きさ及び排泄日時をその使用者に対応付けて記録することができる。このように、実施形態の一態様に係る排便記録システムによれば、排便の記録に関する使用者の負荷の増大を抑制することができる。したがって、実施形態の一態様に係る排便記録システムによれば、健康指標・体調指標としての便の大きさ(サイズ)の記録を使用者への負荷なく行うことが可能となる。
【0021】
実施形態の一態様に係る排便記録方法は、トイレルーム内に設置された便器を使用する使用者を特定する使用者特定工程と、前記便器内に排出された大便を検知する検知工程と、前記検知工程による検知結果から大便の性状を判定する判定工程と、前記検知工程による検知の日時を示す時間情報を取得する計時工程と、前記大便の性状および前記時間情報を、前記使用者特定工程によって特定された前記使用者と関連付けて個人データとして記録する記録工程と、前記記録工程に記録された前記個人データに基づく前記大便に関する情報を表示する表示工程と、を含む。
【0022】
実施形態の一態様に係る排便記録方法によれば、便器内に排出された大便の検知結果に基づいて、大便の性状を判定することにより、使用者による目視確認等の使用者の負荷をかけることなく大便の性状を判定することが可能になる。また、便器内に排出された大便の検知の日時を示す時間情報を用いることにより、大便の性状とその大便の排泄日時とを対応付けて管理することが可能となり、前回の大便の排出から今回の大便の排出までの間隔を把握することが可能になる。そして、実施形態の一態様に係る排便記録方法によれば、上記のように収集した大便の性状及びその排泄日時の情報を、便器の使用者に関連付けて個人データとして記録することで、使用者による記録のための処理を要することなく、便器の使用者が排泄した大便の性状及び排泄日時をその使用者に対応付けて記録することができる。このように、実施形態の一態様に係る排便記録方法によれば、排便の記録に関する使用者の負荷の増大を抑制することができる。したがって、実施形態の一態様に係る排便記録方法によれば、健康指標・体調指標としての便性状の記録を使用者への負荷なく行うことが可能となる。
【0023】
実施形態の一態様に係る排便記録プログラムは、トイレルーム内に設置された便器内に排出された大便が検知装置により検知された検知結果から大便の性状を判定する判定手順と、前記検知装置による検知の日時を示す時間情報を取得する計時手順と、前記大便の性状および前記時間情報を、前記便器を使用する使用者を特定する使用者特定装置によって特定された前記使用者と関連付けて個人データとして記録する記録手順と、をコンピュータに実行させる。
【0024】
実施形態の一態様に係る排便記録プログラムによれば、便器内に排出された大便の検知結果に基づいて、大便の性状を判定することにより、使用者による目視確認等の使用者の負荷をかけることなく大便の性状を判定することが可能になる。また、便器内に排出された大便の検知の日時を示す時間情報を用いることにより、大便の性状とその大便の排泄日時とを対応付けて管理することが可能となり、前回の大便の排出から今回の大便の排出までの間隔を把握することが可能になる。そして、実施形態の一態様に係る排便記録プログラムによれば、上記のように収集した大便の性状及びその排泄日時の情報を、便器の使用者に関連付けて個人データとして記録することで、使用者による記録のための処理を要することなく、便器の使用者が排泄した大便の性状及び排泄日時をその使用者に対応付けて記録することができる。このように、実施形態の一態様に係る排便記録プログラムによれば、排便の記録に関する使用者の負荷の増大を抑制することができる。したがって、実施形態の一態様に係る排便記録プログラムによれば、健康指標・体調指標としての便性状の記録を使用者への負荷なく行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0025】
実施形態の一態様によれば、排便の記録に関する使用者の負荷の増大を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、実施形態に係る情報処理の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るトイレルームの外観構成の一例を示す模式斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る排便記録システムの構成の一例を示す概念図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る排便記録システムの構成の一例を示す他の概念図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る排便記録システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る履歴情報DBの一例を示す図である。
【
図7】
図7は、便座装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図8】
図8は、排便記録システムが実行する処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、排便記録システムにおける情報処理の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、排便記録システムにおける結果表示画面の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、排便記録システムにおける入力画面の一例を示す図である。
【
図12】
図12は、排便記録システムにおける予測の変動の一例を示す図である。
【
図13】
図13は、変形例に係る排便記録システムが実行する処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図14】
図14は、変形例に係る排便記録システムにおける情報処理の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する排便記録システムの実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0028】
<1.排便記録システムの情報処理>
まず、実施形態に係る排便記録システムにおいて実行される情報処理の内容について
図1を参照して説明する。
図1は、実施形態に係る情報処理の一例を示す図である。
図1に示す例では、介護施設等の所定の施設において、使用者U1を対象者として、排便記録システム1による情報処理が行われる場合を示す。例えば、使用者U1は、介護施設に入居する被介護者(患者)であり、介護施設に勤務する介護者等による介護を受ける人である。
図1に示すトイレルームRは介護施設に設けられ、内部に便座装置2が配置され、壁面Wに操作装置10が配置される空間を示す。なお、
図1においては、記録される履歴情報の更新(追加)に応じて、ログLG1-1~LG1-3として説明するが、特に区別して説明を行う場合以外は、単に「ログLG1」とする。例えば、ログLG1は、使用者U1の個人データとして、使用者U1を識別する情報(ID等)に対応付けて履歴情報DB121(
図5参照)に記憶される。また、
図1の例では、通信端末20は、介護者等によって利用されるタブレット型端末である場合を示す。
【0029】
まず、
図1の例では、日時t1において、使用者U1がトイレルームRの便座装置2に着座し、排便する。これにより、排便記録システム1は、日時t1における使用者U1の排便に関する情報を検知する(ステップS1)。排便記録システム1は、便座装置2により、日時t1における使用者U1の排便に関する情報を検知する。
【0030】
そして、排便記録システム1は、検知した使用者U1の排便に関する情報を記憶する(ステップS2)。排便記録システム1は、検知した使用者U1の排便に関する情報と使用者U1を特定する情報に対応付けて記憶する。排便記録システム1は、検知した使用者U1の排便に関する情報と使用者U1を特定する情報に対応付けて情報処理装置100の記憶部120(
図5参照)に記憶する。
図1の例では、排便記録システム1は、ログLG1-1に示すように、日時t1における便性状が「正常便」であることを示す情報を記憶する。また、排便記録システム1は、ログLG1-1に示すように、日時t1における排便に関する情報が検知により取得されたことを示す情報を記憶する。
【0031】
そして、
図1の例では、日時t2において、使用者U1がトイレルームRを適切に利用できず、便失禁をする。そのため、使用者U1を介護する介護者は、日時t2において使用者U1が便失禁したことを示す情報(入力情報)を通信端末20に入力する。例えば、使用者U1を介護する介護者は、使用者U1が便失禁した日時t2と、その便の性状を示す情報を通信端末20に入力する。そして、通信端末20は、入力された情報を情報処理装置100に送信する。
【0032】
そして、排便記録システム1は、入力された使用者U1の排便に関する情報を記憶する(ステップS4)。排便記録システム1は、通信端末20に入力された使用者U1の排便に関する情報(入力情報)と使用者U1を特定する情報に対応付けて記憶する。
図1の例では、排便記録システム1は、ログLG1-2に示すように、日時t2における便性状が「軟便」であることを示す情報を記憶する。また、排便記録システム1は、ログLG1-2に示すように、日時t2における排便に関する情報が入力により取得されたことを示す情報を記憶する。なお、排便記録システム1は、使用者U1が便失禁を行っていない場合、入力情報を用いずに、検知により収集された使用者U1の情報のみを用いてもよい。
【0033】
そして、
図1の例では、日時t3において、使用者U1がトイレルームRの便座装置2に着座し、排便する。これにより、排便記録システム1は、日時t3における使用者U1の排便に関する情報を検知する(ステップS5)。排便記録システム1は、便座装置2により、日時t5における使用者U1の排便に関する情報を検知する。
【0034】
そして、排便記録システム1は、検知した使用者U1の排便に関する情報を記憶する(ステップS6)。
図1の例では、排便記録システム1は、ログLG1-3に示すように、日時t3における便性状が「軟便」であることを示す情報を記憶する。また、排便記録システム1は、ログLG1-3に示すように、日時t3における排便に関する情報が検知により取得されたことを示す情報を記憶する。
【0035】
そして、排便記録システム1は、日時t4において、使用者U1に関する排便を予測する(ステップS7)。例えば、排便記録システム1は、使用者U1を介護する介護者からの要求に応じて、使用者U1に関する排便を予測する。使用者U1を介護する介護者は、通信端末20を操作することにより、使用者U1に関する排便の予測を情報処理装置100に要求してもよい。排便記録システム1は、情報処理装置100により、日時t4における使用者U1に関する排便を予測する。
【0036】
図1の例では、排便記録システム1は、予測情報PD1に示すように、日時t4における使用者U1に関する排便の有無及び性状に関する予測情報を生成する。排便記録システム1は、使用者U1による排便の各性状について、日時t4における確率を予測する。例えば、排便記録システム1は、使用者U1について軟便の記録が続いているため、使用者U1による排便が軟便である可能性が高いと予測する。排便記録システム1は、使用者U1による排便が軟便である確率が「90%」であり、正常便である確率が「4%」であり、硬便である確率が「2%」であり、出ない確率が「2%」であると予測する。
【0037】
そして、排便記録システム1は、情報を表示する表示装置に予測した情報を送信する(ステップS8)。例えば、排便記録システム1は、情報を表示する表示装置である通信端末20に情報処理装置100が予測した情報を送信する。情報処理装置100は、使用者U1による排便が軟便である確率が「90%」であり、正常便である確率が「4%」であり、硬便である確率が「2%」であり、出ない確率が「2%」であることを示すコンテンツCT1を通信端末20に送信する。
【0038】
そして、排便記録システム1は、表示装置に情報を表示する(ステップS9)。具体的には、排便記録システム1は、介護者のスマートフォン(スマホ)などの(携帯)デバイスに情報を表示する。例えば、排便記録システム1は、トイレルームR等のトイレ空間外の表示装置に情報を表示することが好ましい。なお、上記は一例であり、排便記録システム1は、どのような表示装置に情報を表示してもよい。
図1の例では、排便記録システム1は、情報を表示する表示装置である通信端末20に情報を表示する。通信端末20は、使用者U1による排便が軟便である確率が「90%」であり、正常便である確率が「4%」であり、硬便である確率が「2%」であり、出ない確率が「2%」であることを示すコンテンツCT1を表示する。
【0039】
上述のように、排便記録システム1は、使用者U1の排便に関する情報を収集し、予測時点における使用者U1の排便の確率を予測する。このように、排便記録システム1は、各使用者の排便の傾向に基づいて、その使用者の排便に関する予測を行うことにより、使用者ごとの排便傾向に応じた予測精度を向上させることができる。したがって、排便記録システム1は、使用者の一人一人の傾向に応じて、使用者の排便に関する予測を適切に行うことが可能となる。
【0040】
また、排便記録システム1は、予測した使用者U1の排便の確率を、使用者U1を介護する介護者等が利用する通信端末20に表示する。このように、排便記録システム1は、排泄の履歴や予測を表示することにより、排泄の見える化することにより、適切な場所で排泄を行なえない等の排泄の失敗を減らし、適切に排泄を行なえる環境を提供することができる。
【0041】
上記のように、排便記録システム1は、排便の可能性を示す情報を通信端末20に表示することで、使用者U1を介護する介護者等に、使用者U1による排便が生じる可能性を適切に認識させることができる。例えば、使用者U1による排便が生じる可能性を認識した介護者等は、その可能性に応じて、使用者U1をトイレへ誘導したりすることができる。また、排便記録システム1では、使用者U1がトイレルームRで適切に排便した場合、自動的に使用者U1の排便に関する情報が収集されるため、使用者U1を介護する介護者等が手入力する手間などを省くことができる。したがって、排便記録システム1は、対象者を効率的にトイレに誘導し、排便に関する介護負荷の増大を抑制することができる。
【0042】
なお、
図1に示す各種の情報処理は、上記に限らず、種々の態様であってもよい。この点について以下説明する。
【0043】
<1-1.情報の表示>
上記の例では、介護者からの要求に基づいて表示する場合を一例として説明したが、情報の表示は、介護者からの要求に基づいて表示する態様に限らず、種々の態様であってもよい。排便記録システム1は、介護者からの要求に依らず、所定のタイミングで、情報を表示してもよい。例えば、排便記録システム1は、排便記録システム1の予測に基づいて、適切な現在の時刻において、介護者の保有する端末(通信端末20や介護者のスマホ等)に表示してもよい。例えば、排便記録システム1は、所定の時刻(例えば10時や15時等)において、介護者の保有する端末に表示してもよい。なお、上記は一例であり、排便記録システム1は、種々のタイミングで、情報を表示してもよい。
【0044】
例えば、排便記録システム1は、所定のタイミングでアラートを通知してもよい。この場合、排便記録システム1は、「もうすぐ排泄が行われそうだ」というアラートを介護者の端末(通信端末20や介護者のスマホ等)に表示してもよい。例えば、排便記録システム1は、定期的に(例えば10分や30分間隔等で)排便予測を行い、予測結果が所定の条件を満たす場合に、「もうすぐ排泄が行われそうだ」というアラートを介護者の端末に表示してもよい。この場合、排便記録システム1は、排便予測の予測結果中の「出ない」の確率が所定の閾値(例えば50%等)未満になった場合、「もうすぐ排泄が行われそうだ」というアラートを介護者の端末に表示してもよい。また、排便記録システム1は、排便が出ると予測される確率が所定の閾値(例えば70%等)以上になった場合、「もうすぐ排泄が行われそうだ」というアラートを介護者の端末に表示してもよい。なお、上記は一例であり、排便記録システム1は、種々の条件を用いて、通知のタイミングを決定してもよい。
【0045】
<1-2.表示する情報>
図1の例では、予測した情報を表示する例を示したが、排便記録システム1は、指定された使用者の個人データを表示してもよい。排便記録システム1は、通信端末20において指定された使用者の個人データを、通信端末20に表示してもよい。排便記録システム1は、通信端末20を操作して介護者等が使用者を指定した場合、指定された使用者の個人データを、通信端末20に表示してもよい。例えば、排便記録システム1は、指定された使用者の履歴情報を通信端末20に表示してもよい。排便記録システム1は、指定された使用者の過去の排便の性状と日時との一覧を通信端末20に表示してもよい。
【0046】
例えば、使用者の介護者等が通信端末20を操作して、その使用者の履歴情報を要求する。通信端末20は、使用者を特定する情報と、その使用者の履歴情報を要求することを示す情報を含む要求情報を情報処理装置100に送信する。要求情報を受信した情報処理装置100は、要求情報が示す使用者の履歴情報を履歴情報DB121から抽出する。例えば、情報処理装置100は、履歴情報DB121から指定された使用者の過去の排便の日時と性状を示す履歴情報を抽出する。そして、情報処理装置100は、抽出した使用者の履歴情報を通信端末20に送信する。使用者の履歴情報を受信した通信端末20は、使用者の履歴情報を表示する。
【0047】
<1-3.予測>
排便記録システム1は、現在時刻における使用者の排便に関する予測が可能であれば、どのような情報を用いて予測を行ってもよい。例えば、排便記録システム1は、排泄の性状に関する基準を基に、予測を行ってもよい。排便記録システム1は、硬い便(硬便)である程時間を要するという基準を基に、性状が硬便である場合、排泄間隔が長くなると予測してもよい。また、排便記録システム1は、軟らかい便(軟便)である程時間が短いという基準を基に、性状が軟便である場合、排泄間隔が短くなると予測してもよい。排便記録システム1は、最新の排便から時間が経過するごとに、軟便の可能性が低くなるとともに、硬便の可能性が高くなると予測してもよい。このように、排便記録システム1は、排泄の種類(性状等)や排泄の時間(間隔)を基に、予測を行ってもよい。
【0048】
また、例えば、排便記録システム1は、使用者の情報を基に予測を行う。排便記録システム1は、使用者の排便間隔(周期)が半日(12時間)おきである場合、最新の排便から12時間経過するまでの間に徐々に排便の可能性が高くなり、12時間経過時点で100%になると予測してもよい。例えば、排便記録システム1は、使用者について、軟便が数回続いた後に、正常便に戻る履歴が有る場合、その使用者については、軟便が続くほど、軟便の確率が低下し、正常便の確率が上昇すると予測してもよい。
【0049】
排便記録システム1は、使用者の過去の排便の履歴を用いて、現在時刻における使用者の排便に関する予測を行ってもよい。排便記録システム1は、使用者の過去の排便の傾向に基づいて、現在時刻における使用者の排便に関する予測を行ってもよい。例えば、排便記録システム1は、使用者の過去の排便の間隔や、各排便の性状に基づいて、現在時刻における使用者の排便に関する予測を行ってもよい。例えば、排便記録システム1は、使用者が直近(前2回等)の排便で軟便が連続している場合、現在時刻における使用者の排便が軟便である可能性が高いと予測してもよい。
【0050】
例えば、排便記録システム1は、使用者の排便の間隔が所定の期間(例えば3日等)より長いと硬便が排泄されることを示す履歴が有る場合、直前の排便から所定の期間が経過している場合、使用者の排便が硬便である可能性が高いと予測してもよい。例えば、排便記録システム1は、使用者が定期的な周期で排便をすると正常便が排泄されることを示す履歴が有る場合、予測時点が、直前の排便から定期的な周期が経過した時点である場合、使用者の排便が硬便である可能性が高いと予測してもよい。
【0051】
また、排便記録システム1は、機械学習に関する技術を用いて、予測を行ってもよい。例えば、排便記録システム1は、使用者の履歴情報を学習データとしてモデルを生成し、生成したモデルを用いて、予測を行ってもよい。例えば、排便記録システム1は、使用者の過去の排便の性状と、その排便と直前の排便との間隔(時間差)とを、学習データとしてモデルを生成してもよい。排便記録システム1は、一の排便と直前の排便との間隔(時間差)を、過去の排便の性状を入力として、予測時点における排便の性状を予測するモデルを生成してもよい。この場合、排便記録システム1は、その時点(予測時点)の時間と最新の排便時間との間隔(時間差)と、過去の排便の性状とをモデルに入力することにより、モデルに予測時点における排便の性状を予測する情報を出力させてもよい。そして、排便記録システム1は、モデルが出力した情報を予測情報として用いてもよいし、モデルが出力した情報を基に予測を行ってもよい。
【0052】
<2.トイレルームの外観構成>
次に、実施形態に係るトイレルームの外観構成について
図2を参照して説明する。
図2は、実施形態に係るトイレルームの外観構成の一例を示す模式斜視図である。
【0053】
図2に示すように、排便記録システム1は、便座装置2と、操作装置10とを備える。
図2に示すように、トイレルームRには、床面Fに、洋式大便器(以下「便器」と記載する)7が設置される。なお、以下では、床面FからトイレルームRの空間内に臨む向きを上と記載する。便座装置2は、便器7の上部に設けられる。
【0054】
便器7は、例えば、陶器製である。便器7には、ボウル部8が形成される。ボウル部8は、下方に凹んだ形状であり、使用者の排泄物を受ける部位である。なお、便器7は、図示のような床置き式に限らず、排便記録システム1を適用可能であれば、どのような形式でもよく、壁掛け式等のような形式であってもよい。便器7には、ボウル部8が臨む開口の端部の全周にわたってリム部9が設けられる。トイレルームRには、例えば、便器7付近に洗浄水を貯留する洗浄水タンクが設置されてもよいし、洗浄水タンクが設置されない、いわゆるタンクレス式でもよい。
【0055】
例えば、トイレルームRに設けられた洗浄用の洗浄操作部(図示省略)が使用者により操作されると、便器7のボウル部8への洗浄水の供給による便器洗浄が実施される。洗浄操作部は操作レバーや、操作装置10に表示された便器洗浄オブジェクトに対するタッチ操作であってもよい。なお、洗浄操作部は、操作レバーなどのような使用者の手動によって便器洗浄を実施させるものに限らず、着座センサのような使用者を検知するセンサの人体検知によって便器洗浄を実施させるものでもよい。
【0056】
便座装置2は、便器7の上部に取り付けられ、本体部3と、便蓋4と、着座部5と、ノズル部6とを備える。なお、便座装置2は、便器7に対して着脱可能に取り付けられてもよいし、便器7と一体化するように取り付けられてもよい。
【0057】
図2に示すように、着座部5は、いわゆる便座であり、中央に開口を有する環状に形成され、リム部9に沿って、便器7の開口に重なる位置に配置される。そして、着座部5は、着座した使用者の臀部を支持する。また、
図2に示すように、便蓋4及び着座部5は、それぞれの一端部が本体部3に軸支され、本体部3の軸支部分を中心として回動可能(開閉可能)に取り付けられる。なお、便蓋4は、便座装置2に必要に応じて取り付けられ、便座装置2は、便蓋4を有しなくてもよい。
【0058】
ノズル部6は、局部洗浄用のノズルである。ノズル部6は、図示しない電動モータなどの駆動源の駆動により、本体部3の筐体に対して進退可能に構成される。また、ノズル部6は、図示しない水道管などの水源に接続される。そして、ノズル部6は、
図2に示すように、本体部3の筐体に対して進出した位置にあるときに、水源からの水を使用者の身体へ噴出させて局部を洗浄する。
【0059】
操作装置10は、トイレルームR内に設けられる。操作装置10は、使用者が操作可能な位置に設けられる。操作装置10は、使用者が着座部5に着座時において、操作可能な位置に設けられる。
図2に示す例において、操作装置10は、着座部5に着座した使用者から見て右側方の壁面Wに配置される。なお、操作装置10は、着座部5に着座した使用者が利用可能であれば、壁面に限らず、種々の態様により配置されてもよい。例えば、操作装置10は、便座装置2と一体に設けられてもよい。
【0060】
操作装置10は、便座装置2と所定のネットワーク(例えば、
図5中のネットワークN)を介して、有線または無線により通信可能に接続される。例えば、便座装置2と操作装置10とは、情報の送受信が可能であれば、どのような接続であってもよく、有線により通信可能に接続されてもよいし、無線により通信可能に接続されてもよい。
【0061】
操作装置10は、例えばタッチパネル機能により表示面(例えば表示画面11)を介して使用者からの各種操作を受け付ける。また、操作装置10は、スイッチやボタンを備え、スイッチやボタン等により各種操作を受け付けてもよい。表示画面11は、例えば液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等によって実現されるタブレット端末等の表示画面であり、各種情報を表示するための表示装置である。つまり、操作装置10は、表示画面11により使用者の入力を受け付け、使用者への出力も行う。表示画面11は、各種情報を表示する。
【0062】
操作装置10は、便座装置2により実行中の制御を止めるためのユーザの操作を受け付ける。操作装置10は、便座装置2による局部洗浄の実行を開始するためのユーザの操作を受け付ける。操作装置10は、使用者によるノズル部6への指示を受け付ける。
【0063】
例えば、操作装置10は、上述したユーザの操作を受け付けるオブジェクトを表示画面11に表示し、表示したオブジェクトに対するユーザの接触に応じて、各種処理を実行してもよい。例えば、操作装置10は、上述したユーザの操作を受け付けるスイッチやボタン等を有し、スイッチやボタン等に対するユーザの接触に応じて、各種処理を実行してもよい。なお、上記は一例であり、操作装置10は、各種処理を実行するユーザによる操作を受け付けてもよい。
【0064】
また、排便記録システム1は、操作装置10に対する使用者の操作により使用者の特定を行ってもよい。操作装置10は、使用者を特定する認証装置として機能してもよい。例えば、操作装置10は、個人認証より使用者を特定する。操作装置10は、使用者の生体情報を基に使用者の特定を行ってもよい。操作装置10は、使用者の指紋や静脈等の生体情報等に基づいて、使用者を特定してもよい。この場合、排便記録システム1には、使用者特定装置として機能する操作装置10が含まれてもよい。なお、トイレルームRには、使用者が排便を行うための構成(便器7や便座装置2等)が配置されていれば、操作装置10がなくてもよい。
【0065】
<3.排便記録システムの構成>
ここで、
図3~
図5を用いて、排便記録システムの構成について説明する。まず、排便記録システム1の構成について、
図3を参照して説明する。
図3は、実施形態に係る排便記録システムの構成の一例を示す概念図である。
【0066】
図3に示すように、排便記録システム1には、便器と、検知装置と、測定装置と、使用者特定装置と、判定装置と、計時装置と、記録装置と、表示装置と、入力装置とを含む。なお、
図3では、排便記録システム1の機能ごとに装置を分けた構成を示すが、排便記録システム1は、複数の機能を実現する装置により構成されてもよいが、この点についての詳細は後述する。
【0067】
便器は、
図2中の便器7に対応し、使用者の排便に用いられる。検知装置は、便器内に排出された大便を検知する機能を実現する。測定装置は、使用者に関する測定を行う機能を実現する。使用者特定装置は、便器を使用する使用者を特定する機能を実現する。判定装置は、検知結果から大便の性状を判定する機能を実現する。計時装置は、大便の検知の日時を示す時間情報を取得する機能を実現する。記録装置は、大便の性状および時間情報を、使用者特定装置によって特定された使用者と関連付けて個人データとして記録する機能を実現する。
【0068】
表示装置は、記録装置に記録された個人データに基づく大便に関する情報を表示する機能を実現する。入力装置は、使用者による便失禁に関する便失禁情報を入力する機能を実現する。入力装置は、使用者による下剤または下痢止めの服用に関する薬剤情報を入力する機能を実現する。
【0069】
また、入力装置は、使用者による食事の有無および食事の時間に関する食事情報を入力する機能を実現する。この場合、記録装置は、食事情報を、特定された使用者と関連付けて前記個人データとして記録する。このように、排便記録システム1は、使用者による食事の有無および食事の時間に関する実測的な情報を、他の実測的な情報と共に特定された使用者と関連付けて記録することが可能となる。そのため、前回の大便の排出から今回の大便の排出までの間における排便周期が、食事を間に挟んだものであるか否かを把握することが可能となる。これによって、食事を間に挟んで便器内に大便を排出したケースの排便周期と、食事を間に挟まず便器内に大便を排出したケースとの排便周期を比較することが可能となり、より効率的なトイレへの誘導を実現することが可能となる。
【0070】
また、測定装置は、使用者の体重を測定してもよい。例えば、測定装置は、便器内に排出された大便の質量、または便器内に大便を排出することに伴う使用者の体重変動量を自動で測定する。この場合、記録装置は、測定装置による推定結果を、特定された使用者と関連付けて個人データとして記録する。このように、排便記録システム1は、使用者によって便器内に排出された大便の質量または便器内に大便を排出することに伴う使用者の体重変動量に関する実測的な情報を、他の実測的な情報と共に特定された使用者と関連付けて記録することが可能となる。これによって、前回の大便の排出までに要した排便周期と類似する過去のケースを参考にして、前回の大便の排出量が多かったのか少なかったのかを把握することが可能となる。そして、その比較結果に応じて、次の大便の排出までに要する排便周期を予測することで、より効率的なトイレへの誘導を実現することが可能となる。
【0071】
上述したように、排便記録システム1は、複数の機能を実現する装置により構成されてもよい。この点について
図4を参照して説明する。
図4は、実施形態に係る排便記録システムの構成の一例を示す他の概念図である。
【0072】
図4の排便記録システム1では、表示装置と入力装置とが1つの通信端末20により実現される。このように、複数の機能が1つの装置で実現されてもよい。また、
図4の排便記録システム1では、便器と、検知装置と、測定装置と、使用者特定装置とがトイレルームRに配置される。
図4の排便記録システム1では、判定装置や計時装置や記録装置は、トイレルームR外に配置され、通信端末20は介護者等が携帯したり、介護者等が滞在する空間(執務室、事務室等)に配置されたりしてもよい。
【0073】
<3-1.排便記録システムの構成例>
次に、排便記録システム1の構成例について
図5を参照して説明する。
図5は、実施形態に係る排便記録システムの構成の一例を示すブロック図である。具体的には、
図5は、排便記録システム1の構成及び排便記録システム1に含まれる情報処理装置100の機能構成を示す。排便記録システム1は、便座装置2と、情報処理装置100と、通信端末20とが含まれる。
【0074】
便座装置2と、情報処理装置100と、通信端末20とは所定のネットワークNを介して、有線または無線により通信可能に接続される。便座装置2と情報処理装置100と通信端末20とは、情報の送受信が可能であれば、どのような接続であってもよく、有線により通信可能に接続されてもよいし、無線により通信可能に接続されてもよい。なお、排便記録システム1は、複数の便座装置2や、複数の情報処理装置100と、複数の通信端末20が含まれもよい。
【0075】
便座装置2は、
図2に示すようにトイレルームRに配置される。
図5の例では、便座装置2は、排便記録システム1において、使用者を特定する機能や、使用者の排便に関する情報を検知する機能や、使用者の体重等の情報を検知する機能等を有する。このように、便座装置2は、使用者特定装置や検知装置や測定装置として機能するがこの点についての詳細は後述する。便座装置2は、使用者の排便に関する情報を検知し、情報処理装置100へ送信する。
【0076】
情報処理装置100は、排便記録システム1における情報処理に用いられる情報処理装置(コンピュータ)である。情報処理装置100は、排便に関する判定を行う機能や計時する機能や記録する機能を実現する装置である。情報処理装置100は、判定装置や計時装置や記録装置として機能する。情報処理装置100は、トイレルームR外に配置される。情報処理装置100は、クラウドサーバ等、種々のサーバ装置であってもよい。なお、情報処理装置100は、入力機能や表示機能を有する場合、通信端末20と一体であってもよい。このように、情報処理装置100は、判定装置や計時装置や記録装置や入力装置や表示装置として機能してもよい。
【0077】
通信端末20は、使用者(対象者)を介護する介護者等によって利用される情報処理装置である。通信端末20は、例えば、スマートフォンや、携帯電話機や、タブレット型端末や、PDA(Personal Digital Assistant)やデスクトップPC(Personal Computer)やノートPC等により実現される。通信端末20は、介護者等により携帯されてもよいし、トイレルームR外の所定の位置に配置されてもよい。
【0078】
通信端末20は、排便記録システム1において、情報を表示する表示装置として機能する。また、通信端末20は、排便記録システム1において、検知されなかった排便や食事や投薬等に関する情報を入力する入力装置として機能する。通信端末20は、排便記録システム1において、検知されなかった排便や食事や投薬等に関する情報を入力する入力装置として機能する。
【0079】
ここから、情報処理装置100の構成について説明する。
図5に示すように、情報処理装置100は、通信部110と、記憶部120と、制御部130とを有する。
【0080】
通信部110は、例えば、通信回路等によって実現される。そして、通信部110は、図示しない所定の通信網(ネットワークN)と有線または無線で接続され、外部の情報処理装置との間で情報の送受信を行う。例えば、通信部110は、ネットワークNと有線または無線で接続され、便座装置2や通信端末20との間で情報の送受信を行う。
【0081】
記憶部120は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。実施形態に係る記憶部120は、
図5に示すように、履歴情報DB121を有する。なお、記憶部120は、履歴情報DB121に限らず、各種の情報を記憶してもよい。記憶部120は、大便の性状および時間情報を、使用者と関連付けて個人データとして記録する記録装置として機能する。
【0082】
例えば、記憶部120は、使用者による便失禁に関する情報(便失禁情報)や使用者による下剤または下痢止めの服用に関する情報(薬剤情報)を記憶してもよい。また、記憶部120は、使用者による食事の有無および食事の時間に関する情報(食事情報)を記憶する。記憶部120は、便失禁情報や薬剤情報や食事情報を、使用者と関連付けて個人データとして記録する。
【0083】
実施形態に係る履歴情報DBは、使用者(対象者)に関する各種の履歴情報を記憶する。履歴情報DBは、例えば排便等、使用者に関連する各種の履歴情報を記憶する。
図6は、実施形態に係る履歴情報DBの一例を示す図である。履歴情報DBは使用者ごとの履歴情報を個人データとして記憶する。例えば、履歴情報DBは使用者ごとの排便の履歴を記憶する。
図6に示す履歴情報DBには、「ユーザID」、「日時」、「性状」、「取得態様」といった項目が含まれる。
【0084】
「ユーザID」は、各使用者(対象者)を識別するための識別情報を示す。「日時」は、対応する情報が取得された日時を示す。なお、
図6の例では、「日時」に記憶される情報を「t1」等の符号で図示するが、「日時」には、「2019年8月22日15時16分43秒」等の具体的な日時が記憶されるものとする。
【0085】
「性状」は、対応する日時における使用者の便の性状を示す。「取得態様」は、対応する便の性状がどのように取得されたかの態様を示す。「取得態様」は、対応する便の性状がトイレルームRでの検知により取得されたか、入力により取得されたか等の取得態様を示す。
【0086】
例えば、
図6の例では、ユーザID「U1」により識別される対象者(使用者U1)は、日時「t1」や日時「t2」や日時「t3」における排便の性状が取得されたことを示す。
【0087】
日時「t1」における使用者U1の便の性状は、正常便であることを示す。また、日時「t1」における使用者U1の便の性状の情報は、検知により取得されたことを示す。すなわち、日時「t1」での使用者U1の排便履歴は、トイレルームRでの検知により取得されたことを示す。
【0088】
また、日時「t2」における使用者U1の便の性状は、軟便であることを示す。また、日時「t2」における使用者U1の便の性状の情報は、入力により取得されたことを示す。すなわち、日時「t2」での使用者U1の排便履歴は、使用者U1の介護者が通信端末20等により使用者U1の排便の情報を入力することにより、取得されたことを示す。
【0089】
なお、履歴情報DBは、上記に限らず、目的に応じて種々の情報を記憶してもよい。履歴情報DBは、各使用者に関連する各種の情報を日時に対応付けて記憶してもよい。履歴情報DB121は、便失禁情報や薬剤情報を記憶してもよい。また、履歴情報DBは、各使用者に、介護を行う介護者を特定する情報が対応付けて記憶してもよい。
【0090】
制御部130は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、記憶部120に記憶されているプログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。例えば、この各種プログラムは、表示処理や判定処理等の各種情報処理を行うアプリケーション(例えばトイレ機器操作用アプリ等)のプログラムが含まれる。また、制御部130は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現される。
【0091】
図5に示すように、制御部130は、取得部131と、判定部132と、計時部133と、予測部134と、送信部135とを有し、以下に説明する判定処理の機能や作用を実現または実行する。なお、制御部130の内部構成は、
図5に示した構成に限られず、後述する判定処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。また、制御部130が有する各処理部の接続関係は、
図5に示した接続関係に限られず、他の接続関係であってもよい。
【0092】
取得部131は、各種情報を取得する。取得部131は、記憶部120から各種情報を取得する。取得部131は、外部の情報処理装置から各種情報を取得する。例えば、取得部131は、便座装置2や通信端末20から各種情報を取得する。
【0093】
取得部131は、便座装置2から各種情報を取得する。取得部131は、便座装置2から各種情報を受信する。取得部131は、便座装置2が検知した情報を取得する。取得部131は、便座装置2が検知した使用者の排便に関する情報を取得する。取得部131は、便座装置2が検知した使用者の排便に関するセンサ情報を取得する。
【0094】
取得部131は、通信端末20から各種情報を取得する。取得部131は、通信端末20から各種情報を受信する。取得部131は、通信端末20に入力された情報を取得する。取得部131は、通信端末20に介護者が入力した使用者の排便に関する情報を取得する。
【0095】
判定部132は、種々の情報を判定する。判定部132は、記憶部120に記憶された各種情報を用いて種々の情報を判定する。判定部132は、取得部131により取得された各種情報を用いて種々の情報を判定する。
【0096】
判定部132は、大便の性状を判定する判定装置として機能する。判定部132は、便座装置2による検知結果から大便の性状を判定する。判定部132は、便座装置2が検知した使用者の排便に関する情報に基づいて、使用者の便の性状を判定する。判定部132は、光学的な手法により大便の性状を検知する種々の技術を適宜用いて、使用者の便の性状を判定する。判定部132は、大便の性状を、軟便、正常便、硬便に対応する少なくとも3種類の結果に分けて自動で判定する。
【0097】
判定部132は、使用者の便の性状が、正常便、軟便、硬便のいずれであるかを判定する。判定部132は、使用者の排便に関するセンサ情報に基づいて、使用者の便の性状が、正常便、軟便、硬便のいずれであるかを判定する。判定部132は、便の性状の分類に関する種々の技術を適宜用いて、正常便、軟便、硬便のいずれであるかを判定する。
【0098】
判定部132は、正常便、軟便、硬便の3分類よりもさらに細かい分類を判定してもよい。判定部132は、使用者の排便について4つ以上の分類を判定してもよい。判定部132は、使用者の排便を4つ以上の分類のいずれかであると判定してもよい。判定部132は、ブリストルスケールに関する情報を用いて判定してもよい。判定部132は、ブリストルスケールに基づいて、使用者の排便を7種類に分類してもよい。判定部132は、使用者の排便を、ブリストルスケールの7種類の分類のいずれであるかを判定してもよい。
【0099】
なお、判定部132は、上記に限らず、種々の情報を基に、排便の性状を判定してもよい。例えば、判定部132は、使用者が排便に要した時間(排便時間)を基に、使用者の排便の性状を判定してもよい。この場合、判定部132は、使用者の着座部5への着座から離座までの時間を排便時間として、使用者の排便の性状を判定してもよい。例えば、判定部132は、排便時間が第1閾値未満である場合、使用者の排便の性状が軟便であると判定してもよい。また、判定部132は、排便時間が第1閾値以上であり、かつ第2閾値(>第1閾値)未満である場合、使用者の排便の性状が正常便であると判定してもよい。また、判定部132は、排便時間が第2閾値以上である場合、使用者の排便の性状が硬便であると判定してもよい。
【0100】
このように、判定部132は、使用者の排泄物の情報のみに限らず、種々の情報を用いて、使用者の排便の性状を判定してもよい。これにより、判定部132は、使用者の便自体の情報が取得できない場合であっても、他の情報を用いることにより、使用者の排便の性状を判定することができる。
【0101】
計時部133は、種々の時間を計時する。計時部133は、大便の検知の日時を示す時間情報を取得する計時装置として機能する。計時部133は、各種情報が取得された日時を計時する。計時部133は、排便に関する情報が取得された日時を計時する。計時部133は、トイレルームRにおいて排便が行われた日時を計時する。
【0102】
予測部134は、種々の情報を予測する。予測部134は、記憶部120に記憶された各種情報を用いて種々の情報を予測する。予測部134は、取得部131により取得された各種情報を用いて種々の情報を予測する。予測部134は、判定部132により判定された各種情報を用いて種々の情報を予測する。予測部134は、計時部133により計時された日時における排便に関する情報を予測する。
【0103】
予測部134は、使用者の排便に関する予測を行う。予測部134は、計時部133により計時された日時(現在の時刻)と、履歴情報DB121に記憶された使用者の履歴に基づいて、現在の時刻におけるその使用者の排便に関する情報を予測する。予測部134は、現在の時刻において、使用者が排泄を行う確率を予測する。予測部134は、現在の時刻において、使用者によって排泄され得る大便の性状を予測する。予測部134は、現在の時刻において、使用者によって排泄される確率を大便の性状ごとに予測する。
【0104】
予測部134は、種々の生成を行なう。予測部134は、予測した情報に基づいて、排泄の予測を示す情報(コンテンツ)を生成する。例えば、予測部134は、通信端末20に表示させる情報(コンテンツ)を生成する。例えば、予測部134は、Java(登録商標)等の種々の技術を適宜用いて、表示する画面(画像情報)を生成する。なお、予測部134は、CSSやJavaScript(登録商標)やHTMLの形式に基づいて、表示する画面(画像情報)を生成してもよい。また、例えば、予測部134は、JPEG(Joint Photographic Experts Group)やGIF(Graphics Interchange Format)やPNG(Portable Network Graphics)など様々な形式で画面(画像情報)を生成してもよい。
【0105】
送信部135は、種々の情報を送信する。例えば、送信部135は、通信部110を制御することにより、種々の情報を送信する。送信部135は、通信部110を介して、他の装置へ種々の情報を送信する。送信部135は、各種情報を便座装置2や通信端末20へ送信する。送信部135は、記憶部120に記憶された各種情報を他の装置へ送信する。送信部135は、取得部131により取得された各種情報を他の装置へ送信する。送信部135は、判定部132により判定された各種情報を他の装置へ送信する。送信部135は、予測部134により予測生成された各種情報を他の装置へ送信する。送信部135は、予測部134により生成された各種情報を他の装置へ送信する。
【0106】
送信部135は、大便に関する情報を通信端末20に送信する。送信部135は、使用者の排泄予測に関する情報を通信端末20に送信する。送信部135は、コンテンツを通信端末20に送信する。送信部135は、予測部134により生成されたコンテンツを通信端末20に送信する。
【0107】
なお、上述した制御部130による各種の処理は、所定のアプリケーションにより行われる場合、制御部130の各部は、例えば、所定のアプリケーションにより実現されてもよい。例えば、制御部130による各種の処理は、外部の情報処理装置から受信した制御情報により実現されてもよい。
【0108】
<4.便座装置の機能構成>
次に、便座装置2の機能構成について
図7を参照して説明する。
図7は、便座装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図7に示すように、便座装置2は、本体部3と、便蓋4と、着座部5と、ノズル部6とを備える。なお、
図2で説明した便座装置2の外観構成の点についての説明は省略する。
【0109】
便座装置2の本体部3は、通信部31と、人検知部32と、便検知部33と、制御部34とを有する。
【0110】
通信部31は、例えば、通信回路等によって実現される。そして、通信部31は、所定のネットワークNと有線または無線で接続され、外部の情報処理装置との間で情報の送受信を行う。例えば、通信部31は、ネットワークNと有線または無線で接続され、操作装置10や通信端末20や情報処理装置100との間で情報の送受信を行う。通信部31は、人検知部32や便検知部33により検知された各情報を情報処理装置100に送信する。通信部31は、便検知部33により検知された使用者の排便に関する情報を情報処理装置100に送信する。
【0111】
人検知部32は、人に関する各種の検知を行う。人検知部32は、使用者の特定に関する各種の検知を行う。人検知部32は、使用者特定装置として機能する。人検知部32は、各種のセンサを用いて、使用者を特定してもよい。例えば、人検知部32は、使用者が携帯する各種の通信装置との通信を基に、使用者を特定してもよい。人検知部32は、使用者が携帯する各種の通信装置と通信部31との通信により、通信装置から取得した使用者を特定する情報を用いて、使用者を特定してもよい。人検知部32は、使用者が携帯する各種の通信装置と通信部31との通信により、通信装置から取得した使用者の識別情報(ユーザID等)を用いて、使用者を特定してもよい。なお、上記は一例であり、使用者を特定可能であれば、どのような手段により、使用者が特定されてもよい。
【0112】
人検知部32は、使用者の測定に関する各種の検知を行う。人検知部32は、測定装置として機能する。人検知部32は、排便前後の体重変動量を検知する。例えば、人検知部32は、各種のセンサを用いて、使用者が排泄した大便の質量を検知してもよい。例えば、人検知部32は、便器7内に設けられた重さセンサを用いて、使用者が排泄した大便の質量を検知してもよい。
【0113】
人検知部32は、各種のセンサを用いて、使用者の生体情報を検知してもよい。例えば、人検知部32は、各種のセンサを用いて、使用者の体重を検知してもよい。人検知部32は、トイレルームRの床面Fに配置された体重計センサ(重さセンサ)により使用者の体重を検知してもよい。なお、使用者特定装置としての機能や測定装置としての機能は、便座装置2外に設けられてもよい。
【0114】
人検知部32は、人体を検知する機能を有する。人検知部32は、人体検知センサを有する。例えば、人検知部32は、赤外線信号を用いた焦電センサ等により実現される。例えば、人検知部32は、μ(マイクロ)波を用いた焦電センサ等により実現されてもよい。なお、上記は一例であり、人検知部32は、上記に限らず、種々の手段により人体を検知してもよい。例えば、人検知部32は、トイレルームR(
図2参照)内に入室した人(使用者など)を検知する。人検知部32は、検知信号を制御部34へ出力する。
【0115】
人検知部32は、便座装置2への人の着座を検知する機能を有する。例えば、人検知部32は、着座検知センサを有する。人検知部32は、使用者が着座部5に着座したことを検知する。例えば、人検知部32は、荷重センサにより使用者が着座部5に着座したことを検知する。例えば、人検知部32は、赤外線投受光式の測距センサであり、人(使用者)が着座部5に着座する直前において着座部5の付近に存在する人体や、着座部5に着座した使用者を検知してもよい。なお、上記は一例であり、人検知部32は、上記に限らず、種々の手段により便座装置2への人の着座を検知してもよい。人検知部32は、着座検知信号を制御部34へ出力する。
【0116】
便検知部33は、排泄に関する各種の検知を行う。便検知部33は、検知装置として機能する。便検知部33は、便器7に排泄される排便を検知する。便検知部33は、便器7に排泄される排便を検知する。便検知部33は、各種のセンサを用いて、使用者の排便に関する情報を検知してもよい。便検知部33は、各種のセンサを用いて、使用者が排泄した大便を検知してもよい。例えば、便検知部33は、便器7内に光を照射する発光センサと、発光部から照射された光の反射を受光する受光センサとを用いて、使用者が排泄した大便を検知してもよい。例えば、便検知部33は、発光センサが便器7内の大便に光を照射し、受光センサにより大便からの反射光を検知してもよい。便検知部33は、光学的な手法により大便の性状を検知する種々の技術を適宜用いて、便器7に排泄される排便に関する情報を検知する。なお、便検知部33は、便の性状を判定可能な情報が検知可能であれば、どのような構成であってもよい。
【0117】
制御部34は、各種構成や処理を制御する制御部する。制御部34は、通信部31による通信を制御する。制御部34は、人検知部32や便検知部33による検知を制御する。
【0118】
制御部34は、便蓋4や着座部5やノズル部6を制御する。制御部34は、操作装置10から送信された信号に基づいて、便蓋4や着座部5やノズル部6を制御する。制御部34は、操作装置10から送信された局部洗浄に関する制御指示の信号に基づいて、ノズル部6を制御する。制御部34は、例えば、CPUやMPUやASICやFPGA等の集積回路等の種々の手段により実現されてもよい。
【0119】
<5.排便記録システムの処理フロー>
ここから、
図8及び
図9を用いて、排便記録システムの処理フローについて説明する。
図8は、排便記録システムが実行する処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図9は、排便記録システムにおける情報処理の一例を示す図である。
【0120】
まず、排便記録システム1の処理フローの概要について
図8を参照して説明する。
図8は、排便記録システム1が実行する検知による排便に関する情報の表示の一例を示すフローチャートである。
【0121】
図8に示すように、排便記録システム1は、便器7を使用する使用者を特定する(ステップS101)。排便記録システム1は、人検知部32の検知により使用者を特定する。
【0122】
排便記録システム1は、便器7内に排出された大便を検知する(ステップS102)。排便記録システム1は、便検知部33により便器7内に排出された大便を検知する。
【0123】
排便記録システム1は、検知装置による検知結果から大便の性状を判定する(ステップS103)。排便記録システム1は、便検知部33により検知結果から、大便の性状を判定部132により判定する。
【0124】
排便記録システム1は、検知装置による大便の検知の日時を示す時間情報を取得する(ステップS104)。排便記録システム1は、時間情報として、便検知部33により検知された日時を計時部133から取得する。
【0125】
排便記録システム1は、大便の性状および時間情報を、使用者特定装置によって特定された使用者と関連付けて個人データとして記録する(ステップS105)。排便記録システム1は、大便の性状および時間情報を、人検知部32によって特定された使用者と関連付けて個人データとして記憶部120(履歴情報DB121)に記録する。
【0126】
排便記録システム1は、記録装置に記録された個人データに基づく大便に関する情報を表示する(ステップS106)。排便記録システム1は、記憶部120(履歴情報DB121)に記録された個人データに基づく大便に関する情報を、通信端末20により表示する。
【0127】
次に、排便記録システム1の処理フローの処理の詳細について
図9を参照して説明する。
図9は、情報の入力や検知を含む排便記録システム1が実行する情報処理の一例を示す図である。
【0128】
図9に示すように、排便記録システム1を利用するシステム利用者は、入力可能な情報を入力する(ステップS201)。例えば、システム利用者は、使用者による便失禁に関する情報(便失禁情報)や使用者による下剤または下痢止めの服用に関する情報(薬剤情報)や使用者による食事の有無および食事の時間に関する情報(食事情報)を通信端末20に入力する。排便記録システム1において、使用者(対象者)の介護者等は、便失禁情報や薬剤情報や食事情報を通信端末20に入力する。
【0129】
そして、排便記録システム1において、入力装置は、入力可能な情報を取得する(ステップS202)。入力装置としての通信端末20は、システム利用者が入力した情報を取得する。通信端末20は、便失禁情報や薬剤情報や食事情報を取得する。通信端末20は、便失禁情報や薬剤情報や食事情報を、記憶装置に記憶する。通信端末20が便失禁情報や薬剤情報や食事情報を情報処理装置100へ送信することにより、情報処理装置100が記憶部120(記憶装置)に入力情報を記憶する。なお、ステップS201~S202の処理は行われなくてもよいし、ステップS203~S210の後に行われてもよい。
【0130】
また、排便記録システム1を利用するシステム利用者は、トイレへ入室し、着座する(ステップS203)。排便記録システム1において、使用者は、トイレルームRへ入室し、着座する。
【0131】
そして、排便記録システム1において、使用者特定装置は、個人認証より使用者を特定する(ステップS204)。使用者特定装置としての人検知部32は、センサによる検知や通信装置との通信等に基づいて、個人認証より使用者を特定する。
【0132】
また、排便記録システム1を利用するシステム利用者は、排便を行う(ステップS205)。排便記録システム1において、トイレルームR内の使用者は、トイレルームRの便器7内に排便する。
【0133】
そして、排便記録システム1において、検知装置は、排便を検知する(ステップS206)。検知装置としての便検知部33は、センサによる検知等に基づいて、排便を検知する。
【0134】
そして、排便記録システム1において、判定装置は、検知結果の性状を判定し、判定結果を取得する(ステップS207)。判定装置としての判定部132は、検知結果の性状を判定し、判定結果を取得する。
【0135】
そして、排便記録システム1において、計時装置は、検知時の時刻を取得する(ステップS208)。計時装置としての計時部133は、検知時の時刻を取得する。
【0136】
そして、排便記録システム1において、測定装置は、排便前後の体重変動量を取得する(ステップS209)。測定装置としての人検知部32は、排便前後の体重変動量を取得する。
【0137】
そして、排便記録システム1において、記録装置は、入力した情報、判定結果、検知時刻、測定結果を個人情報と紐づけて記録する(ステップS210)。記録装置としての記憶部120は、システム利用者が入力した情報、判定結果、検知時刻、測定結果を個人情報と紐づけて記録する。
【0138】
図9中のステップS201~S210までの処理PS1が、情報を表示するための情報を収集するフェーズの処理に対応する。処理PS1においては、情報の入力や排便の検知は複数回に亘って行われてもよい。また、ステップS201~S202の入力に関する処理よりも前に、ステップS203~S209の排便の検知に関する処理が行われてもよい。処理PS1の後に、情報の表示が行われる。
図9中のステップS211、S212までの処理PS2が、情報を表示するフェーズの処理に対応する。
【0139】
そして、排便記録システム1において、表示装置は、記録した情報を比較し、現在時刻と伴に特定された使用者の排泄される大便の性状を表示する(ステップS211)。表示装置としての通信端末20は、情報処理装置100が記録した情報を比較することにより生成した情報を表示する。
【0140】
また、排便記録システム1を利用するシステム利用者は、表示結果を確認する(ステップS212)。排便記録システム1において、使用者(対象者)の介護者等は、通信端末20に表示された表示結果を確認する。そして、使用者(対象者)の介護者等は、表示結果を基に、使用者をトイレルームRへ誘導したりする等、排便に関する処理を実行する。
【0141】
<6.情報の表示>
なお、情報の表示については、種々の態様であってもよい。この点について、
図10~
図12を用いて説明する。
図10~
図12では、通信端末20における種々の情報の表示例を示す。
【0142】
<6-1.結果表示>
まず、排便記録システム1における結果表示について
図10を参照して説明する。
図10は、排便記録システムにおける結果表示画面の一例を示す図である。
【0143】
図10は、通信端末20がAさんに関する予測結果を表示する場合を示す。具体的には、
図10中の通信端末20は、Aさんについて予測された排便確率を表示する。
図10の例では、通信端末20は、現在時刻「15時」の時点でのAさんの排便に関する確率を表示する。通信端末20は、排便が無いことを含む便性状ごとに予測される排便の確率を表示する。
【0144】
図10の例では、通信端末20は、便性状「正常便」の確率が「90%」であり、便性状「硬便」の確率が「4%」であり、便性状「軟便」の確率が「2%」であることを示す予測結果情報を表示する。また、通信端末20は、便性状「×」、すなわち便が出ない確率が「2%」であることを示す予測結果情報を表示する。このように、
図10の例では、通信端末20は、Aさんについて、その時点で正常な便が出る確率が非常に高いと予測される情報を表示する。
【0145】
このように、排便記録システム1は、使用者の個人データに基づく大便に関する情報を表示することで、使用者の大便に関する情報を、使用者の介護者等が視覚的に把握可能にすることができる。
【0146】
<6-2.入力画面>
次に、排便記録システム1における入力画面について
図11を参照して説明する。
図11は、排便記録システムにおける入力画面の一例を示す図である。
【0147】
図11は、通信端末20がAさんに関する情報の入力を受け付ける入力画面を表示する場合を示す。具体的には、
図11中の通信端末20は、Aさんについて、便失禁や薬剤や食事の情報を受け付ける入力画面を表示する。通信端末20は、
図11に示す入力画面により、Aさんについての便失禁情報や薬剤情報や食事情報を取得する。
【0148】
通信端末20を利用するAさん(使用者)の介護者等は、入力画面でAさんについての便失禁、薬剤、食事のいずれかに関する情報と、その発生日時とを入力し、「入力情報を確定する」と記載されたボタンを押下することにより、入力を完了する。これにより、通信端末20は、Aさんについて便失禁、薬剤、食事のいずれかが行われた日時と、その内容とを含む入力情報を取得する。これにより、排便記録システム1は、便失禁情報や薬剤情報や食事情報を収集する。
【0149】
このように、排便記録システム1は、使用者の介護者等から入力情報を収集することにより、検知した情報だけでは不足する情報を適切に補完する(補う)ことができ、予測精度を向上させることができる。
【0150】
<6-3.予測結果の変動>
次に、排便記録システム1における排便に関する予測や表示の変動について、
図12を参照して説明する。
図12は、排便記録システムにおける予測の変動の一例を示す図である。なお、
図12においては、通信端末20に表示される画面に応じて、通信端末20-1、20-2として説明するが、特に区別して説明を行う場合以外は、単に「通信端末20」とする。また、
図12の例では、
図10に示す例と同様に、Aさんについて現在時刻が15時の場合を一例として示す。なお、
図10と同様の点については適宜説明を省略する。例えば、通信端末20に表示される情報について、
図1の通信端末20や
図10の通信端末20と同様の点については適宜説明を省略する。
【0151】
上述したように、排便記録システム1は、使用者が排便した場合(ステップS301)、その排便に関する情報を記憶し、その排便に関する情報を基に予測を行う。
【0152】
例えば、排便記録システム1は、正常便の記録が続いた場合、Aさん(使用者)による排便が正常便である可能性が高いと予測する。
図12の例では、排便記録システム1は、正常便の記録が続いた場合、通信端末20-1に示すように、使用者による排便が正常便である確率が「90%」であると予測する。また、排便記録システム1は、正常便の記録が続いた場合、使用者による排便が硬便である確率が「4%」であり、使用者による排便が軟便である確率が「2%」であると予測する。そして、
図12の例では、正常便の記録が続いた場合、通信端末20-1は、Aさん(使用者)による排便の各性状について、正常便が「90%」、硬便が「4%」、軟便が「2%」、出ないが「2%」である予測されることを示す情報を表示する。
【0153】
一方で、排便記録システム1は、軟便の記録が続いた場合、Aさん(使用者)による排便が軟便である可能性が高いと予測する。
図12の例では、排便記録システム1は、軟便の記録が続いた場合、通信端末20-2に示すように、使用者による排便が軟便である確率が「90%」であると予測する。また、排便記録システム1は、軟便の記録が続いた場合、使用者による排便が正常便である確率が「4%」であり、使用者による排便が硬便である確率が「2%」であると予測する。そして、
図12の例では、軟便の記録が続いた場合、通信端末20-2は、Aさん(使用者)による排便の各性状について、軟便が「90%」、正常便が「4%」、硬便が「2%」、出ないが「2%」である予測されることを示す情報を表示する。
【0154】
このように、排便記録システム1は、使用者の排便の履歴を基に、その使用者の排便を予測する。これにより、排便記録システム1は、使用者に応じて適切に排便を予測することができるため、対象者を効率的にトイレに誘導し、排便に関する介護負荷の増大を抑制する。
【0155】
<7.変形例>
なお、使用者の排便について記録する対象は、便の性状に限らず、便に関する様々な情報であってもよい。この点について、以下変形例として説明する。なお、上述した内容と同様の点については、適宜説明を省略する。
【0156】
<7-1.大きさの記録>
例えば、変形例に係る排便記録システム1は、使用者が排泄した大便の大きさ(サイズ)を記録してもよい。この場合、排便記録システム1は、使用者の大便の大きさを判定し、判定した結果を用いて、使用者の排便の大きさを記録する。
【0157】
使用者の大便の大きさを記録する場合、変形例に係る情報処理装置100の判定部132は、使用者が排泄した大便の検知結果から大便の大きさを判定する。例えば、判定部132は、便座装置2による検知結果から大便の大きさを判定する。判定部132は、使用者が排泄した大便について、大きさを示す複数のレベルのうちいずれのレベルであるかを判定する。例えば、判定部132は、便検知部33により検知結果から、使用者の大便の大きさが大、中、小のいずれであるかを判定する。判定部132は、大便の大きさを、大、中、小の3段階(レベル)に分けて自動で判定する。
【0158】
判定部132は、画像センサ(カメラ)等を含む光学的な手法により大便の大きさ(サイズ)を検知する種々の技術を適宜用いて、使用者の便の大きさを判定する。判定部132は、使用者の排便に関するセンサ情報に基づいて、使用者の便の大きさが、大、中、小のいずれであるかを判定する。判定部132は、便の大きさの分類に関する種々の技術を適宜用いて、大、中、小のいずれであるかを判定する。大便の大きさを判定した判定部132は、大便の性状、大きさおよび時間情報を使用者と関連付け、その使用者の個人データとして記憶部120に登録する。
【0159】
上述した大、中、小の3つのサイズは一例に過ぎず、大便の大きさについては大、中、小の3段階に限らず、判定部132は、大、中、小の3段階(分類)よりもさらに細かい分類を判定してもよい。判定部132は、使用者の大便の大きさについて4つ以上の分類を判定してもよい。判定部132は、例えば小さい方から順にレベル1~5の5分類等のように様々な分類を判定してもよい。
【0160】
なお、排便記録システム1は、上記に限らず、様々な方法により大便の大きさを判定してもよい。例えば、排便記録システム1は、光学的な手法による検知結果に基づいて、クラウド上等に配置されたAI(人工知能)等が用いられた判定手段(以下「判定モデル」という)により自動判別してもよい。この場合、判定モデルは、事前に分類判断を示す教師データにより学習される。この教師データには、大便の検知結果と、その大便の大きさ(サイズ)を示すラベル(正解情報)との組合せを複数含む。例えば、判定モデルは、大便の検知結果を入力とし、入力された検知結果の大便の大きさを示す情報を出力するモデルである。例えば、判定モデルは、大便の検知結果を入力が入力された場合に、入力された検知結果に対応するラベルの大きさを示す情報を出力するように学習される。判定モデルの学習は、いわゆる教師あり学習に関する種々の手法を適宜用いて行われる。
【0161】
なお、判定部132は、AI(人工知能)等が用いられた判定手段であってもよい。例えば、判定部132は、上述した判定モデルを用いて、大便の大きさを判定する。この場合、判定モデルは記憶部120に格納され、判定部132は、記憶部120に格納された判別モデルを用いて、大便の大きさを判定してもよい。例えば、情報処理装置100が学習処理を行い、判定モデルを生成してもよい。
【0162】
<7-2.排便記録システムの処理フロー>
ここから、
図13及び
図14を用いて、排便記録システムの処理フローについて説明する。
図13は、変形例に係る排便記録システムが実行する処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図14は、変形例に係る排便記録システムにおける情報処理の一例を示す図である。
【0163】
まず、排便記録システム1の処理フローの概要について
図13を参照して説明する。
図13中のステップS101~S103までの処理は、
図8中のステップS101~S103と同様であるため説明を省略する。
【0164】
排便記録システム1は、検知装置による検知結果から大便の大きさを判定する(ステップS304)。排便記録システム1は、便検知部33により検知結果から、大便の大きさを判定部132により判定する。例えば、情報処理装置100の判定部132は、便検知部33により検知結果から、大便の大きさを大、中、小のいずれであるかを判定する。
【0165】
排便記録システム1は、検知装置による大便の検知の日時を示す時間情報を取得する(ステップS305)。排便記録システム1は、時間情報として、便検知部33により検知された日時を計時部133から取得する。
【0166】
排便記録システム1は、大便の性状、大きさおよび時間情報を、使用者特定装置によって特定された使用者と関連付けて個人データとして記録する(ステップS306)。排便記録システム1は、大便の性状、大きさおよび時間情報を、人検知部32によって特定された使用者と関連付けて個人データとして記憶部120(履歴情報DB121)に記録する。
【0167】
排便記録システム1は、記録装置に記録された個人データに基づく大便に関する情報を表示する(ステップS307)。排便記録システム1は、記憶部120(履歴情報DB121)に記録された個人データに基づく大便に関する情報を、通信端末20により表示する。
【0168】
次に、排便記録システム1の処理フローの処理の詳細について
図14を参照して説明する。
図14中のステップS201~S209までの処理は、
図9中のステップS201~S209と同様であるため説明を省略する。
【0169】
排便記録システム1において、判定装置は、検知結果の大きさを判定し、判定結果を取得する(ステップS410)。判定装置としての判定部132は、検知結果の大きさを判定し、判定結果を取得する。なお、ステップS410の処理は、ステップS208及びS209よりも前に行われてもよい。
【0170】
そして、排便記録システム1において、記録装置は、入力した情報、判定結果、検知時刻、測定結果を個人情報と紐づけて記録する(ステップS411)。記録装置としての記憶部120は、システム利用者が入力した情報、大便の性状及び大きさの判定結果、検知時刻、測定結果を個人情報と紐づけて記録する。なお、ステップS201~S202の入力に関する処理よりも前に、ステップS203~S209、S410の排便の検知に関する処理が行われてもよい。
【0171】
そして、排便記録システム1において、表示装置は、記録した情報を比較し、現在時刻と伴に特定された使用者の排泄される大便の性状、大きさを表示する(ステップS412)。表示装置としての通信端末20は、情報処理装置100が記録した情報を比較することにより生成した情報を表示する。
【0172】
また、排便記録システム1を利用するシステム利用者は、表示結果を確認する(ステップS413)。例えば、排便記録システム1において、排便を行った便器の使用者は、通信端末20に表示された表示結果を確認する。そして、使用者は、表示結果を基に、自身の健康状態を管理する。
【0173】
なお、排便記録システム1は、さらに他の便に関する情報を記録してもよい。例えば、排便記録システム1は、使用者の大便の色を記憶してもよい。この場合、情報処理装置100は、大便の大きさと同様に、使用者の大便が複数段階でどの色にあたるかを判定し、使用者に対応付けて記録する。例えば、情報処理装置100は、画像センサ(カメラ)等を含む光学的な手法により大便の色を検知する種々の技術を適宜用いて、使用者の便の色を判定する。情報処理装置100は、大便の大きさの判定モデルと同様の方法により生成された色判定モデルを用いて、使用者の大便が複数段階でどの色にあたるかを判定してもよい。また、上述した例では、被介護者が(便器の)使用者である場合を一例として示したが、使用者は被介護者に限られない。例えば、使用者は、自身の健康管理を便の記録により行うシステム利用者であってもよい。すなわち、使用者は、排便についての記録を残す対象者であれば、どのような主体であってもよい。
【0174】
なお、上述してきた各実施形態及び変形例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0175】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0176】
R トイレルーム
1 排便記録システム
2 便座装置
3 本体部
31 通信部
32 人検知部(測定装置、使用者特定装置)
33 便検知部(検知装置)
34 制御部
4 便蓋
5 着座部
6 ノズル部
7 洋式大便器(便器)
8 ボウル部
9 リム部
100 情報処理装置
110 通信部
120 記憶部(記憶装置)
121 履歴情報DB
130 制御部
131 取得部
132 判定部(判定装置)
133 計時部(計時装置)
134 予測部
135 送信部
20 通信端末(表示装置、入力装置)