(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-19
(45)【発行日】2022-07-27
(54)【発明の名称】給電制御装置
(51)【国際特許分類】
B60R 16/02 20060101AFI20220720BHJP
H02J 1/00 20060101ALI20220720BHJP
H02H 3/24 20060101ALI20220720BHJP
【FI】
B60R16/02 645A
H02J1/00 306B
H02H3/24 A
(21)【出願番号】P 2021085216
(22)【出願日】2021-05-20
(62)【分割の表示】P 2018029113の分割
【原出願日】2018-02-21
【審査請求日】2021-05-20
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】澤野 峻一
(72)【発明者】
【氏名】杉沢 佑樹
(72)【発明者】
【氏名】小田 康太
【審査官】菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-172908(JP,A)
【文献】特開2017-225307(JP,A)
【文献】特開2017-229131(JP,A)
【文献】特開2017-103963(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02
H02J 1/00
H02H 3/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチをオン又はオフに切替えることによって、前記スイッチを介した給電を制御する給電制御装置であって、
電流が入力される前記スイッチの電流入力端の電圧値、及び、電圧閾値を比較する比較部と、
前記電流入力端の電圧値が前記電圧閾値以上である状態で前記スイッチをオンに切替え、前記比較部によって、前記電流入力端の電圧値が前記電圧閾値未満であることが所定期間以上、連続して示された場合に前記スイッチをオフに切替える切替え部と、
前記スイッチの前記電流入力端に一端が接続されるキャパシタと、
前記キャパシタの他端に一端が接続される抵抗と、
前記キャパシタ及び抵抗間の接続ノードに負極が接続される直流の電圧源と
を備え、
前記電圧閾値は、前記電圧源の正極の電圧値である
給電制御装置。
【請求項2】
前記切替え部に給電する電源回路を備え、
前記電源回路は、前記スイッチの前記電流入力端の電圧値が所定電圧値未満である場合に、前記切替え部への給電を停止し、
前記所定電圧値は、前記電圧閾値未満である
請求項1に記載の給電制御装置。
【請求項3】
前記接続ノードに一端が接続される第2の抵抗と、
前記スイッチを介して流れる電流の電流値が上昇した場合に電流値が上昇する電流を前記第2の抵抗の他端に出力する電流出力回路と、
前記接続ノードに負極が接続される直流の第2の電圧源と、
前記第2の抵抗の他端の電圧値、及び、前記第2の電圧源の正極の電圧値を比較する第2の比較部と
を備え、
前記切替え部は、前記第2の比較部によって、前記第2の抵抗の他端の電圧値が、前記第2の電圧源の正極の電圧値を超えていることが示された場合、前記スイッチをオフに切替える
請求項1又は請求項2に記載の給電制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は給電制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、直流電源から負荷に流れる電流経路に設けられたスイッチをオン又はオフに切替えることによって、負荷への給電を制御する給電制御装置(例えば、特許文献1を参照)が搭載されている。特許文献1に記載の給電制御装置は、IPD(Intelligent Power Device)を備え、IPD内にスイッチが設けられている。IPDには、オン又はオフへの切替えを指示する制御信号が入力される。IPD内では、制御信号の指示に従って、スイッチをオン又はオフに切替える。
【0003】
IPDはGND端子を有する。スイッチは、電流が入力される電流入力端と、電流が出力される電流出力端とを有する。IPD内では、GND端子の電位を基準としたスイッチの電流入力端の電圧値が電圧閾値未満である場合に、制御信号の指示に無関係にスイッチをオフに切替える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の給電制御装置では、外乱ノイズによって、スイッチの電流入力端の電圧値が一時的に電圧閾値未満となった場合に、誤ってスイッチをオフに切替える可能性がある。
【0006】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、外乱ノイズによって一時的にスイッチの電流入力端の電圧値が電圧閾値未満となっても、スイッチがオフに切替わることはない給電制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る給電制御装置は、スイッチをオン又はオフに切替えることによって、前記スイッチを介した給電を制御する給電制御装置であって、電流が入力される前記スイッチの電流入力端の電圧値、及び、電圧閾値を比較する比較部と、前記電流入力端の電圧値が前記電圧閾値以上である状態で前記スイッチをオンに切替え、前記比較部によって、前記電流入力端の電圧値が前記電圧閾値未満であることが所定期間以上、連続して示された場合に前記スイッチをオフに切替える切替え部と、前記スイッチの前記電流入力端に一端が接続されるキャパシタと、前記キャパシタの他端に一端が接続される抵抗と、前記キャパシタ及び抵抗間の接続ノードに負極が接続される直流の電圧源とを備え、前記電圧閾値は、前記電圧源の正極の電圧値である。
【発明の効果】
【0008】
上記の態様によれば、外乱ノイズによって一時的にスイッチの電流入力端の電圧値が電圧閾値未満となっても、スイッチがオフに切替わることはない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態における電源システムの要部構成を示すブロック図である。
【
図2】給電制御装置の要部構成を示すブロック図である。
【
図4】スタータの動作に応じた機器電位電圧値の変動を説明するためのタイミングチャートである。
【
図5】スタータの動作に応じた入力電圧値の変動を説明するためのタイミングチャートである。
【
図6】機器電位が接地電位と一致している場合における駆動機の動作を示すタイミングチャートである。
【
図7】負荷の両端が短絡した場合における機器電位電圧値の変動を説明するためのタイミングチャートである。
【
図8】負荷の両端が短絡した場合における駆動機の動作を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施態様を列挙して説明する。以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0011】
(1)本発明の一態様に係る給電制御装置は、直流電源から流れる電流の第1電流経路に設けられたスイッチと、電流が入力される前記スイッチの電流入力端の電圧値、及び、電圧閾値を比較する比較部と、前記比較部によって、前記電流入力端の電圧値が前記電圧閾値未満であることが示された場合に前記スイッチをオフに切替える切替え部とを備え、前記直流電源は、第2電流経路を介して、車両のエンジンを始動させるスタータに電力を供給し、前記電圧閾値は、前記直流電源が前記スタータに電力を供給している場合における前記電流入力端の電圧値未満である。
【0012】
上記の一態様にあっては、電圧閾値は、直流電源がスタータに電力を供給している場合におけるスイッチの電流入力端の電圧値未満である。このため、スタータが作動した場合に、スイッチの電流入力端の電圧値が電圧閾値未満となることはない。従って、スタータの作動により、スイッチを誤ってオフに切替えることはない。また、スイッチを介して大きな電流が流れてスイッチの電流入力端の電圧値が電圧閾値未満となった場合、スイッチはオフに切替わり、スイッチを介した通電が遮断される。
以上のように、スイッチの電流入力端の電圧値に応じて適切にスイッチがオフに切替わる。
【0013】
(2)本発明の一態様に係る給電制御装置は、前記スイッチの前記電流入力端に一端が接続されるキャパシタと、前記キャパシタの他端に一端が接続される抵抗と、前記キャパシタ及び抵抗間の接続ノードに負極が接続される直流の電圧源とを備え、前記電圧閾値は、前記電圧源の正極の電圧値であり、前記切替え部は、前記比較部によって、前記電流入力端の電圧値が前記電圧閾値未満であることが所定期間以上、連続して示された場合に前記スイッチをオフに切替える。
【0014】
上記の一態様にあっては、スイッチの電流入力端の電圧値が電圧閾値未満である状態が所定期間続いた場合にスイッチをオフに切替える。このため、外乱ノイズによって一時的にスイッチの電流入力端の電圧値が電圧閾値未満となっても、スイッチがオフに切替わることはない。
【0015】
例えば、電流を出力するスイッチの電流出力端に負荷の一端が接続され、負荷及び抵抗の他端が接地される。また、装置の構成は、スイッチの電流入力端の電圧値が一定電圧値未満となった場合に、切替え部への給電が停止される構成であると仮定する。一定電圧値は、電圧閾値未満である。電流が直流電源からキャパシタ及び抵抗の順に流れ、キャパシタは予め充電されている。
【0016】
負荷の両端が短絡した場合、キャパシタは、スイッチを介して放電し、接続ノードの電位は、接地電位未満である電位に低下する。キャパシタが蓄えている電力が低下するともに、抵抗を流れる電流の電流値が低下し、接続ノードの電位は、接地電位に戻る。このため、スイッチの電流入力端の電圧値は緩やかに低下する。結果、負荷の両端が短絡した場合において、スイッチの電流入力端の電圧値が連続して電圧閾値未満である期間が所定期間に到達する前に、切替え部への給電が停止することはない。切替え部は、スイッチを確実にオフに切替える。
【0017】
(3)本発明の一態様に係る給電制御装置は、前記切替え部に給電する電源回路を備え、前記電源回路は、前記スイッチの前記電流入力端の電圧値が所定電圧値未満である場合に、前記切替え部への給電を停止し、前記所定電圧値は、前記電圧閾値未満である。
【0018】
上記の一態様にあっては、スイッチの電流入力端の電圧値が所定電圧値未満となった場合、電源回路は切替え部への給電を停止し、切替え部は動作を停止する。前述したように、スイッチの電流入力端の電圧値は緩やかに低下する。このため、負荷の両端が短絡した場合において、電源回路が切替え部への給電を停止する前に、切替え部はスイッチを確実にオフに切替える。
【0019】
(4)本発明の一態様に係る給電制御装置は、前記接続ノードに一端が接続される第2の抵抗と、前記スイッチを介して流れる電流の電流値が上昇した場合に電流値が上昇する電流を前記第2の抵抗の他端に出力する電流出力回路と、前記接続ノードに負極が接続される直流の第2の電圧源と、前記第2の抵抗の他端の電圧値、及び、前記第2の電圧源の正極の電圧値を比較する第2の比較部とを備え、前記切替え部は、前記第2の比較部によって、前記第2の抵抗の他端の電圧値が、前記第2の電圧源の正極の電圧値を超えていることが示された場合、前記スイッチをオフに切替える。
【0020】
上記の一態様にあっては、例えば、抵抗の他端が接地されている場合において、キャパシタが放電したとき、前述したように、接続ノードの電位は、接地電位よりも低くなる。しかしながら、第2の抵抗の一端と、第2の電圧源の負極とは、接続ノードに接続されているので、接地電位を基準とした接続ノードの電圧値に無関係に、第2の抵抗の他端の電圧値、及び、第2の電圧源の正極の電圧値は適切に比較される。
【0021】
[本発明の実施形態の詳細]
本発明の実施形態に係る電源システムの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0022】
図1は、本実施形態における電源システム1の要部構成を示すブロック図である。電源システム1は車両100に搭載されている。車両100には、更に、車両100の走行に必要な動力を発生させるエンジンE1が搭載されている。電源システム1は、バッテリ10、スタータ11、給電制御装置12及び負荷13を備える。バッテリ10は直流電源である。バッテリ10の正極は、スタータ11及び給電制御装置12の一端に接続されている。給電制御装置12の他端は、負荷13の一端に接続されている。バッテリ10の負極と、スタータ11及び負荷13の他端とは接地されている。
【0023】
バッテリ10は、スタータ11に電力を供給するとともに、給電制御装置12を介して負荷13に電力を供給する。このとき、電流は、バッテリ10の正極からスタータ11に流れる。この電流経路は第2電流経路に相当し、バッテリ10は第2電流経路を介してスタータ11に電力を供給する。
【0024】
スタータ11は、エンジンE1を始動させるモータであり、バッテリ10に蓄えられている電力を用いて作動する。バッテリ10では、図示しない内部抵抗を介して電圧を出力する。内部抵抗を介して電流が流れた場合、内部抵抗で電圧降下が発生する。電圧降下の幅は、内部抵抗を介して流れる電流の電流値が大きい程、大きい。電圧降下の幅が大きい程、バッテリ10の出力電圧値は低い。スタータ11が作動している間、バッテリ10からスタータ11に流れる電流の電流値は大きい。このため、スタータ11が作動している間、バッテリ10の出力電圧値は低い。
【0025】
負荷13は電気機器である。負荷13に電力が供給された場合、負荷13は作動する。負荷13への給電が停止した場合、負荷13は動作を停止する。バッテリ10から負荷13に流れる電流の電流値は小さい。このため、負荷13が作動した場合であっても、バッテリ10の出力電圧値は殆ど低下しない。
【0026】
給電制御装置12には、負荷13の作動を指示する作動信号と、負荷13の動作の停止を指示する停止信号とが入力される。給電制御装置12は、作動信号が入力された場合、バッテリ10の正極と、負荷13の一端とを電気的に接続する。これにより、バッテリ10は、負荷13に電力を供給し、負荷13は作動する。給電制御装置12は、停止信号が入力された場合、バッテリ10及び負荷13間の電気的な接続を遮断する。これにより、バッテリ10から負荷13への給電が停止し、負荷13は動作を停止する。
【0027】
図2は、給電制御装置12の要部構成を示すブロック図である。給電制御装置12は、スイッチ20、駆動機21、マイクロコンピュータ(以下、マイコンという)22、第1キャパシタC1、第2キャパシタC2、シャント抵抗Rs、第1抵抗R1、第2抵抗R2及び第3抵抗R3を有する。
【0028】
スイッチ20は、Nチャネル型のFETである。スイッチ20が製造された場合に、寄生容量Cd,Csが形成される。寄生容量Cdは、スイッチ20のドレイン及びゲート間に接続されている。寄生容量Csは、スイッチ20のソース及びゲート間に接続されている。
マイコン22は、出力部30、入力部31,32、A/D変換部33、記憶部34及び制御部35を有する。
【0029】
スイッチ20のドレインは、バッテリ10の正極に接続されている。スイッチ20のソースは、シャント抵抗Rsの一端に接続されている。シャント抵抗Rsの他端は、負荷13の一端に接続されている。スイッチ20のソース、スイッチ20のゲート、並びに、シャント抵抗Rsの一端及び他端は駆動機21に接続されている。スイッチ20のドレインには、更に、第1キャパシタC1の一端が接続されている。第1キャパシタC1の他端には、第1抵抗R1の一端が接続されている。第1抵抗R1の他端は接地されている。
【0030】
第1キャパシタC1及び第1抵抗R1間の接続ノードには、駆動機21と、第2抵抗R2の一端とが接続されている。第2抵抗R2の他端は、駆動機21と、第3抵抗R3の一端に接続されている。駆動機21は、更に、マイコン22の出力部30に接続されている。第3抵抗R3の他端は、マイコン22の入力部31と、第2キャパシタC2の一端とに接続されている。第2キャパシタC2の他端は接地されている。
【0031】
マイコン22内では、入力部31は、更に、A/D変換部33に接続されている。出力部30、入力部32、A/D変換部33、記憶部34及び制御部35は、内部バス36に接続されている。
以下では、第1キャパシタC1の他端、及び、第1抵抗R1の一端間の接続ノードの電位を機器電位と記載する。接地電位を基準としたこの接続ノードの電圧値を機器電位電圧値と記載する。
図2では、機器電位電圧値をVnで示している。
【0032】
スイッチ20では、ソースの電位を基準としたゲートの電圧値が高い程、ドレイン及びゲート間の抵抗値は小さい。スイッチ20について、ソースの電位を基準としたゲートの電圧値が一定のオン電圧値以上である場合、ドレイン及びソース間の抵抗が十分に小さく、ドレイン及びソースを介して電流が流れることが可能である。このとき、スイッチ20はオンである。スイッチ20について、ソースの電位を基準としたゲートの電圧値が一定のオフ電圧値未満である場合、ドレイン及びソース間の抵抗値が十分に大きく、ドレイン及びソースを介して電流が流れることはない。このとき、スイッチ20はオフである。オン電圧値は、オフ電圧値よりも高い。
【0033】
スイッチ20がオンに切替わった場合、バッテリ10の正極と負荷13の一端とが電気的に接続され、バッテリ10は負荷13に電力を供給する。このとき、電流は、バッテリ10の正極から、スイッチ20、シャント抵抗Rs及び負荷13の順に流れる。この電流経路は第1電流経路に相当し、第1電流経路にスイッチ20が設けられている。スイッチ20では、ドレインに電流が入力され、ソースから電流が出力される。スイッチ20のドレインは電流入力端に相当する。スイッチ20のソースは電流出力端に相当する。
【0034】
スイッチ20がオフに切替わった場合、バッテリ10の正極、及び、負荷13の一端間の電気的な接続が遮断され、バッテリ10から負荷13への給電が停止する。
【0035】
マイコン22の出力部30は、駆動機21にハイレベル電圧又はローレベル電圧を出力している。出力部30は、制御部35の指示に従って、駆動機21に出力している電圧をハイレベル電圧又はローレベル電圧に切替える。
【0036】
駆動機21は、機器電位を基準としたスイッチ20のソースの電圧値が電圧条件を満たし、かつ、シャント抵抗Rsを流れる電流の電流値が電流条件を満たす場合、出力部30が出力している電圧に応じて、スイッチ20をオン又はオフに切替える。
以下、機器電位を基準としたスイッチ20のドレインの電圧値を入力電圧値と記載し、スイッチ20及びシャント抵抗Rsを介して流れる電流の電流値をスイッチ電流値と記載する。
【0037】
電圧条件は、入力電圧値が第1電圧閾値以上であるか、又は、入力電圧値が連続して第1電圧閾値未満である期間が一定の第1基準期間未満であることである。
電流条件は、スイッチ電流値が電流閾値以下であるか、又は、スイッチ電流値が連続して電流閾値を超えている期間が一定の第2基準期間未満であることである。
【0038】
入力電圧値及びスイッチ電流値夫々が電圧条件及び電流条件を満たしている場合において、出力部30が駆動機21に出力している電圧をローレベル電圧からハイレベル電圧に切替えたとき、駆動機21は、スイッチ20をオンに切替える。具体的には、駆動機21は、スイッチ20のゲート、及び、第1抵抗R1の一端間の電気的な接続を遮断し、機器電位を基準としたスイッチ20のドレインの電圧を、予め設定されている目標電圧に昇圧する。駆動機21は、昇圧した電圧をスイッチ20のゲートに出力する。これにより、寄生容量Cs,Cdが充電され、スイッチ20において、ソースの電位を基準としたゲートの電圧がオン電圧以上となる。結果、スイッチ20がオンに切替わる。
【0039】
同様の場合において、出力部30が駆動機21に出力している電圧をハイレベル電圧からローレベル電圧に切替えたとき、駆動機21は、スイッチ20をオフに切替える。具体的には、駆動機21は、昇圧を停止し、スイッチ20のゲート、及び、第1抵抗R1の一端を電気的に接続する。これにより、寄生容量Cd,Csは放電する。このとき、電流が寄生容量Cd,Cs夫々のゲート側の一端から駆動機21及び第1抵抗R1の順に流れる。寄生容量Cd,Csの放電により、スイッチ20において、ソースの電位を基準としたゲートの電圧がオフ電圧未満となる。結果、スイッチ20がオフに切替わる。
【0040】
駆動機21は、入力電圧値が電圧条件を満たさなくなった場合、即ち、入力電圧値が連続して第1電圧閾値未満である期間が第1基準期間以上となった場合、スイッチ20を、前述したようにオフに切替える。その後、駆動機21は、出力部30が出力している電圧、入力電圧値及びスイッチ電流値に無関係にスイッチ20をオフに維持する。
駆動機21は、スイッチ電流値が電流条件を満たさなくなった場合、即ち、スイッチ電流値が連続して電流閾値を超えている期間が第2基準期間以上となった場合、スイッチ20を、前述したようにオフに切替える。その後、駆動機21は、出力部30が出力している電圧、スイッチ電流値及び入力電圧値に無関係にスイッチ20をオフに維持する。
【0041】
駆動機21は電流を第2抵抗R2の他端に出力する。駆動機21が出力した電流は、第2抵抗R2及び第1抵抗R1の順に流れる。駆動機21が出力する電流の電流値は、スイッチ電流値を所定数、例えば、1000で除算すること算出される値に略一致する。第2キャパシタC2には、接地電位を基準とした第2抵抗R2の他端の電圧が第3抵抗R3を介して印加され、第2キャパシタC2は、印加された電圧を平滑する。第2キャパシタC2が平滑した電圧のアナログの電圧値が入力部31に入力される。
【0042】
第2抵抗R2の抵抗値は、第1抵抗R1の抵抗値よりも十分に大きく、例えば、第1抵抗R1の抵抗値の100倍以上である。このため、接地電位を基準とした第2抵抗R2の他端の電圧値は、第2抵抗R2の両端間の電圧値と略一致し、第2キャパシタC2に印加される電圧は、第2抵抗R2の両端間の電圧値と略一致する。
【0043】
入力部31は、入力されたアナログの電圧値をA/D変換部33に出力する。A/D変換部33は、入力部31から入力されたアナログの電圧値をデジタルの電圧値に変換する。A/D変換部33が変換したデジタルの電圧値は、制御部35によって、A/D変換部33から取得される。
入力部32には、作動信号及び停止信号が入力される。入力部32は、作動信号又は停止信号が入力された場合、入力された信号を制御部35に通知する。
【0044】
記憶部34は不揮発性メモリである。記憶部34には、コンピュータプログラムP1が記憶されている。制御部35は、一又は複数の図示しないCPU(Central Processing Unit)を有する。制御部35が有する一又は複数のCPUは、コンピュータプログラムP1を実行することによって、負荷13への給電を制御する給電制御処理を実行する。コンピュータプログラムP1は、制御部35が有する一又は複数のCPUに給電制御処理を実行させるために用いられる。
【0045】
なお、コンピュータプログラムP1は、制御部35が有する一又は複数のCPUが読み取り可能に、記憶媒体A1に記憶されていてもよい。この場合、図示しない読み出し装置によって記憶媒体A1から読み出されたコンピュータプログラムP1が記憶部34に記憶される。記憶媒体A1は、光ディスク、フレキシブルディスク、磁気ディスク、磁気光ディスク又は半導体メモリ等である。光ディスクは、CD(Compact Disc)-ROM(Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)-ROM、又は、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)等である。磁気ディスクは、例えばハードディスクである。また、図示しない通信網に接続されている図示しない外部装置からコンピュータプログラムP1をダウンロードし、ダウンロードしたコンピュータプログラムP1を記憶部34に記憶してもよい。
【0046】
制御部35は、給電制御処理を周期的に実行する。給電制御処理では、まず、制御部35は、入力部32に作動信号が入力されたか否かを判定する。制御部35は、作動信号が入力されたと判定した場合、出力部30に指示して、駆動機21に出力している電圧をハイレベル電圧に切替えさせる。この場合において、入力電圧値及びスイッチ電流値夫々が電圧条件及び電流条件を満たしているとき、駆動機21はスイッチ20をオンに切替え、バッテリ10が負荷13に電力を供給し、負荷13は作動する。
【0047】
制御部35は、作動信号が入力されていないと判定した場合、入力部32に停止信号が入力されたか否かを判定する。制御部35は、停止信号が入力されたと判定した場合、出力部30に指示して、駆動機21に出力している電圧をローレベル電圧に切替えさせる。これにより、駆動機21は、スイッチ20をオフに切替え、負荷13への給電が停止し、負荷13は動作を停止する。
【0048】
制御部35は、出力部30に指示して、駆動機21に出力している電圧をハイレベル電圧若しくはローレベル電圧に切替えさせた後、又は、停止信号が入力されていないと判定した場合、A/D変換部33から電圧値を取得する。制御部35は、取得した電圧値に基づいて、バッテリ10の正極と、負荷13の一端とを接続する電線の電線温度を算出する。
【0049】
次に、制御部35は、算出した電線温度が一定の温度閾値以上であるか否かを判定する。制御部35は、算出した電線温度が温度閾値以上であると判定した場合、入力部32に入力されている信号に無関係に、出力部30に指示して、駆動機21に出力している電圧をローレベル電圧に切替えさせる。これにより、駆動機21は、スイッチ20をオフに切替え、負荷13への給電が停止する。その後、制御部35は、給電制御処理を終了する。
【0050】
制御部35は、電線温度が温度閾値以上であると判定して給電制御処理を終了した場合、例えば、給電制御処理を終了してから、停止信号及び作動信号がこの順序で入力部32に入力されるまで、給電制御処理を実行せず、スイッチ20をオフに維持する。
制御部35は、算出した電線温度が温度閾値未満であると判定した場合、給電制御処理を終了する。この場合においては、次の周期が到来したとき、制御部35は、再び、給電制御処理を実行する。
【0051】
以上のように、マイコン22は、入力部32に入力された信号と、算出した電線温度とに基づいて、駆動機21に出力している電圧をハイレベル電圧又はローレベル電圧に切替え、負荷13への給電を制御する。
【0052】
駆動機21は、前述したように、入力電圧値及びスイッチ電流値夫々が電圧条件及び電流条件を満たす場合、マイコン22の出力部30が出力している電圧に応じてスイッチ20をオン又はオフに切替える。入力電圧値が電圧条件を満たさなくなったか、又は、スイッチ電流値が電流条件を満たさなくなった場合、出力部30が出力している電圧に無関係に、スイッチ20をオフに切替える。以下では、駆動機21について詳細に説明する。
【0053】
図3は、駆動機21の要部構成を示すブロック図である。駆動機21は、駆動回路40、AND回路41、第1コンパレータ42、第2コンパレータ43、ラッチ回路44、第1フィルタ回路45、第2フィルタ回路46、電源回路47、直流の第1電圧源48、直流の第2電圧源49及び電流出力回路50を有する。AND回路41は、2つの入力端と、1つの出力端を有する。第1コンパレータ42及び第2コンパレータ43夫々は、プラス端、マイナス端及び出力端を有する。
【0054】
スイッチ20のゲートには、駆動回路40が接続されている。駆動回路40には、更に、AND回路41の出力端が接続されている。AND回路41の一方の入力端には、マイコン22の出力部30が接続されている。AND回路41の他方の入力端には、ラッチ回路44が接続されている。ラッチ回路44には、更に、第1フィルタ回路45及び第2フィルタ回路46が各別に接続されている。第1フィルタ回路45には、更に、第1コンパレータ42の出力端が接続されている。第1コンパレータ42のプラス端は、スイッチ20のドレインに接続されている。
【0055】
スイッチ20のドレインは、更に、駆動回路40及び電源回路47に接続されている。駆動回路40及び電源回路47は、更に、第1キャパシタC1及び第1抵抗R1間の接続ノードに接続されている。第1コンパレータ42のマイナス端は、第1電圧源48の正極に接続されている。第1電圧源48の負極は、第1キャパシタC1及び第1抵抗R1間の接続ノードに接続されている。
【0056】
第2フィルタ回路46は、更に、第2コンパレータ43の出力端に接続されている。第2コンパレータ43のプラス端は、第2電圧源49の正極に接続されている。第2電圧源49の負極は、第1キャパシタC1及び第1抵抗R1間の接続ノードに接続されている。第2コンパレータ43のマイナス端は、電流出力回路50に接続されている。第2コンパレータ43及び電流出力回路50間の接続ノードは、第2抵抗R2の他端に接続されている。電流出力回路50は、更に、シャント抵抗Rsの一端及び他端に各別に接続されている。
【0057】
マイコン22の出力部30は、AND回路41の一方の入力端にハイレベル電圧又はローレベル電圧を出力している。ラッチ回路44は、AND回路41の他方の入力端にハイレベル電圧又はローレベル電圧を出力している。ラッチ回路44がハイレベル電圧を出力している場合、AND回路41は、出力部30が出力している電圧を、そのまま出力端から駆動回路40に出力する。ラッチ回路44がローレベル電圧を出力している場合、AND回路41は、出力部30が出力している電圧に無関係にローレベル電圧を出力端から駆動回路40に出力する。
【0058】
AND回路41が出力している電圧がローレベル電圧からハイレベル電圧に切替わった場合、駆動回路40は、スイッチ20のゲート、及び、第1抵抗R1の一端間の電気的な接続を遮断し、機器電位を基準としたスイッチ20のソースの電圧を目標電圧に昇圧する。駆動回路40は、昇圧した電圧をスイッチ20のゲートに出力する。これにより、寄生容量Cs,Cdが充電され、スイッチ20において、ソースの電位を基準としたゲートの電圧がオン電圧以上となる。結果、スイッチ20がオンに切替わる。
【0059】
AND回路41が出力している電圧がハイレベル電圧からローレベル電圧に切替わった場合、駆動回路40は、昇圧を停止し、スイッチ20のゲートと、第1抵抗R1の一端とを電気的に接続する。これにより、寄生容量Cd,Csは放電する。このとき、電流が寄生容量Cd,Cs夫々のゲート側の一端から駆動回路40及び第1抵抗R1の順に流れる。寄生容量Cd,Csの放電により、スイッチ20において、ソースの電位を基準としたゲートの電圧がオフ電圧未満となる。結果、スイッチ20がオフに切替わる。
【0060】
ラッチ回路44は、入力電圧値及びスイッチ電流値夫々が電圧条件及び電流条件を満たす場合、ハイレベル電圧を出力する。ラッチ回路44がハイレベル電圧を出力している場合、駆動回路40は、マイコン22の出力部30が出力している電圧に応じて、スイッチ20をオン又はオフに切替える。ラッチ回路44は、入力電圧値が電圧条件を満たさなくなったか、又は、スイッチ電流値が電流条件を満たさなくなった場合、ローレベル電圧を出力する。このとき、マイコン22の出力部30が出力している電圧に無関係にAND回路41はローレベル電圧を出力し、駆動回路40はスイッチ20をオフに切替える。
【0061】
第1コンパレータ42は、入力電圧値と、機器電位を基準とした第1電圧源48の正極の電圧値とを比較する。第1コンパレータ42は、入力電圧値が、機器電位を基準とした第1電圧源48の正極の電圧値以上である場合、出力端から第1フィルタ回路45にハイレベル電圧を出力する。前述したように、入力電圧値は、機器電位を基準としたスイッチ20のドレインの電圧値である。機器電位を基準した第1電圧源48の正極の電圧値、即ち、第1電圧源48の両端間の電圧値は、第1電圧閾値である。第1コンパレータ42は比較部として機能する。
第1コンパレータ42は、入力電圧値が第1電圧閾値未満である場合、出力端から第1フィルタ回路45にローレベル電圧を出力する。
【0062】
第1フィルタ回路45は、第1コンパレータ42がハイレベル電圧を出力している場合、又は、第1コンパレータ42がローレベル電圧を連続して出力している期間が第1基準期間未満である場合、ハイレベル電圧をラッチ回路44に出力する。第1フィルタ回路45は、第1コンパレータ42がローレベル電圧を連続して出力している期間が第1基準期間以上となった場合、ラッチ回路44に出力している電圧をローレベル電圧に切替える。その後、第1コンパレータ42が出力している電圧がローレベル電圧からハイレベル電圧に切替わった場合、第1フィルタ回路45は、ラッチ回路44に出力している電圧をローレベル電圧からハイレベル電圧に切替える。第1基準期間は例えば数百μsである。
【0063】
以上のように、入力電圧値が電圧条件を満たす場合、第1フィルタ回路45はハイレベル電圧を出力し、入力電圧値が電圧条件を満たさなくなった場合、第1フィルタ回路45はローレベル電圧を出力する。
【0064】
電流出力回路50は、電流を第2抵抗R2の他端に出力する。電流出力回路50が出力した電流は、第2抵抗R2及び第1抵抗R1の順に流れる。スイッチ電流値、及び、前述した所定数夫々をIs及びNで表す。電流出力回路50が出力する電流の電流値はIs/Nで表される。この電流値は、スイッチ電流値が上昇した場合に上昇する。所定数Nは、前述したように、例えば、1000である。第2抵抗R2の抵抗値をr2で表す。このとき、機器電位を基準とした第2抵抗R2の他端の電圧値は、(r2・Is)/Nで表される。ここで、「・」は積を示す。
【0065】
第2コンパレータ43は、機器電位を基準とした第2抵抗R2の他端の電圧値、即ち、(r2・Is)/Nと、機器電位を基準とした第2電圧源49の正極の電圧値、即ち、第2電圧源49の両端間の電圧値と比較する。第2電圧源49の両端間の電圧値を第2電圧閾値Vr2と記載する。第2電圧閾値Vr2は一定値である。スイッチ電流値IsがVr2≧(r2・Is)/N、即ち、Is≦(Vr2・N)/r2を満たす場合、第2コンパレータ43は、出力端からハイレベル電圧を第2フィルタ回路46に出力する。第2コンパレータ43は第2の比較部として機能する。
【0066】
スイッチ電流値IsがVr2<(r2・Is)/N、即ち、Is>(Vr2・N)/r2を満たす場合、第2コンパレータ43は、出力端からローレベル電圧を第2フィルタ回路46に出力する。前述した電流閾値は(Vr2・N)/r2で表される。
【0067】
給電制御装置12では、前述したように、第2抵抗R2の一端と、第2電圧源49の負極とは、第1キャパシタC1及び第1抵抗R1間の接続ノードに接続されている。このため、第2コンパレータ43は、機器電位電圧値に無関係に、機器電位を基準とした第2抵抗R2の他端の電圧値と、機器電位を基準とした第2電圧源49の正極の電圧値とを適切に比較する。
【0068】
第2フィルタ回路46は、第2コンパレータ43がハイレベル電圧を出力している場合、又は、第2コンパレータ43がローレベル電圧を連続して出力している期間が第2基準期間未満である場合、ハイレベル電圧をラッチ回路44に出力する。第2フィルタ回路46は、第2コンパレータ43がローレベル電圧を連続して出力している期間が第2基準期間以上となった場合、ラッチ回路44に出力している電圧をローレベル電圧に切替える。その後、第2コンパレータ43が出力している電圧がローレベル電圧からハイレベル電圧に切替わった場合、第2フィルタ回路46は、ラッチ回路44に出力している電圧をローレベル電圧からハイレベル電圧に切替える。第2基準期間は数百μsである。
【0069】
以上のように、スイッチ電流値が電流条件を満たす場合、第2フィルタ回路46はハイレベル電圧を出力し、スイッチ電流値が電流条件を満たさなくなった場合、第2フィルタ回路46はローレベル電圧を出力する。
【0070】
第1フィルタ回路45及び第2フィルタ回路46の両方がハイレベル電圧をラッチ回路44に出力している場合、即ち、入力電圧値及びスイッチ電流値夫々が電圧条件及び電流条件を満たす場合、ラッチ回路44は、ハイレベル電圧をAND回路41に出力する。この場合、前述したように、AND回路41は、マイコン22の出力部30が出力している電圧を、そのまま駆動回路40に出力し、駆動回路40は、出力部30が出力している電圧に応じてスイッチ20をオン又はオフに切替える。
【0071】
第1フィルタ回路45及び第2フィルタ回路46の少なくとも一方がローレベル電圧を出力した場合、即ち、入力電圧値が電圧条件を満たさなくなったか、又は、スイッチ電流値が電流条件を満たさなくなった場合、ラッチ回路44は、AND回路41に出力している電圧をローレベル電圧に切替える。この場合、前述したように、AND回路41は、出力部30が出力している電圧に無関係にローレベル電圧を出力し、駆動回路40はスイッチ20をオフに切替える。駆動回路40は切替え部として機能する。
ラッチ回路44は、AND回路41に出力している電圧をローレベル電圧に切替えた後においては、第1フィルタ回路45及び第2フィルタ回路46が出力している電圧に無関係に、AND回路41にローレベル電圧を出力し続ける。
【0072】
第1フィルタ回路45は、外乱ノイズによって、一時的に入力電圧値が第1電圧閾値未満となって第1コンパレータ42がローレベル電圧を出力した場合であっても、ハイレベル電圧を出力し続ける。また、第2フィルタ回路46は、外乱ノイズによって、一時的にスイッチ電流値が電流閾値を超えて第2コンパレータ43がローレベル電圧を出力した場合であっても、ハイレベル電圧を出力し続ける。このため、一時的な入力電圧値の低下、又は、一時的なスイッチ電流値の上昇によって、駆動回路40がスイッチ20をオフに切替えることはない。
【0073】
なお、電流出力回路50が第2抵抗R2の他端に出力する電流の電流値はバッテリ10の出力電圧値によって制限される。このため、接地電位を基準とした第2抵抗R2の他端の電圧値は、バッテリ10の出力電圧未満であり、バッテリ10の出力電圧値以上となることはない。従って、バッテリ10の出力電圧値が低い場合においては、第2抵抗R2の両端間の電圧値が示すスイッチ電流値が実際のスイッチ電流値よりも小さい可能性がある。結果、スイッチ電流値が電流閾値を超えているにも関わらず、第2コンパレータ43が第2フィルタ回路46にハイレベル電圧を出力する可能性がある。
【0074】
例えば、負荷の両端の短絡により、バッテリ10の出力電圧が低下してから、第2基準時間が経過する前に、バッテリ10の出力電圧が十分に低下した場合、第2コンパレータ43は、第2基準時間、連続してローレベル電圧を出力することができない。このため、第2フィルタ回路46がハイレベル電圧を出力することはなく、スイッチ20を過電流から保護する機能が停止する。
【0075】
バッテリ10は電源回路47に電力を供給する。電源回路47は、駆動回路40、AND回路41、第1コンパレータ42、第2コンパレータ43、ラッチ回路44、第1フィルタ回路45、第2フィルタ回路46及び電流出力回路50に接続されている。図面が煩雑になるため、
図3において、これらの接続線の記載を省略している。
【0076】
電源回路47は入力電圧値を監視している。電源回路47は、入力電圧値が、予め設定されている遮断電圧値以上である場合、駆動回路40、AND回路41、第1コンパレータ42、第2コンパレータ43、ラッチ回路44、第1フィルタ回路45、第2フィルタ回路46及び電流出力回路50に電力を供給する。これらの構成部は、電源回路47から供給された電力を用いて作動する。
【0077】
電源回路47は、入力電圧値が遮断電圧値未満である場合、駆動機21の動作が不安定になる可能性があるとして、駆動回路40、AND回路41、第1コンパレータ42、第2コンパレータ43、ラッチ回路44、第1フィルタ回路45、第2フィルタ回路46及び電流出力回路50への給電を停止する。これにより、これらの構成部は、動作を停止する。
第1電圧閾値及び遮断電圧値は機器電位を基準とした電圧値であり、遮断電圧値は第1電圧閾値未満である。
【0078】
以下では、駆動機21の動作を説明する。
図4は、スタータ11の動作に応じた機器電位電圧値の変動を説明するためのタイミングチャートである。機器電位電圧値は、前述したように、接地電位を基準とした接続ノードの電圧値である。この接続ノードは、第1キャパシタC1及び第1抵抗R1間の接続ノードである。第1キャパシタC1の一端又は他端から流れる電流の電流値を充放電電流値と記載する。
図4には、充放電電流値及び機器電位電圧値の推移が示されている。これらの推移について、横軸は時間を示す。第1キャパシタC1が放電している場合、充放電電流値は正である。第1キャパシタC1が充電されている場合、充放電電流値は負である。
【0079】
負荷13の両端が短絡しておらず、かつ、スタータ11が作動していない場合、電流がバッテリ10の正極から第1キャパシタC1及び第1抵抗R1の順に流れ、バッテリ10は第1キャパシタC1を充電する。第1キャパシタC1は、第1キャパシタC1の両端間の電圧値がバッテリ10の出力電圧値と一致するまで充電される。第1キャパシタC1の両端間の電圧値がバッテリ10の出力電圧値と一致している場合、第1キャパシタC1及び第1抵抗R1を介して電流は流れず、充放電電流値はゼロAである。通常、充放電電流値はゼロAである。このとき、機器電位は接地電位と一致しており、機器電位電圧値はゼロVである。
【0080】
スタータ11が作動した場合、前述したように、バッテリ10の出力電圧値が低下し、電流は、第1キャパシタC1の一端からバッテリ10に流れ、第1キャパシタC1は放電する。従って、スタータ11が作動した時点では充放電電流値は上昇する。第1キャパシタC1の放電により、第1キャパシタC1の両端間の電圧値は低下する。第1キャパシタC1の両端間の電圧値が低下するとともに、充放電電流値も低下する。第1キャパシタC1の両端間の電圧値がバッテリ10の出力電圧と一致した場合、充放電電流値はゼロAとなる。充放電電流値が正の電流値である間、即ち、第1キャパシタC1が放電している間、電流が第1抵抗R1及び第1キャパシタC1の順に流れるので、機器電位電圧値は負であり、機器電位は接地電位よりも低い。
【0081】
機器電位電圧値の絶対値は、第1抵抗R1の両端間の電圧値、即ち、第1抵抗R1の抵抗値と、充放電電流値の絶対値との積で表される。第1抵抗R1の抵抗値は一定であるため、機器電位電圧値の絶対値は、充放電電流値の絶対値に比例する。スタータ11が作動した時点で、充放電電流値の絶対値は上昇するとともに、機器電位電圧値は低下する。その後、充放電電流値の絶対値が低下するとともに、機器電位電圧値は上昇する。充放電電流値がゼロAとなった場合、機器電位電圧値はゼロVとなり、機器電位は接地電位と一致する。
【0082】
スタータ11が動作を停止した場合、前述したように、バッテリ10の出力電圧値が上昇し、電流は、バッテリ10の正極から第1キャパシタC1に流れ、バッテリ10は第1キャパシタC1を充電する。スタータ11が作動した時点では、充放電電流値は負の値となり、充放電電流値の絶対値は上昇する。第1キャパシタC1の充電により、第1キャパシタC1の両端間の電圧値は上昇する。第1キャパシタC1の両端間の電圧値が上昇するとともに、充放電電流値の絶対値も低下する。第1キャパシタC1の両端間の電圧値がバッテリ10の出力電圧と一致した場合、充放電電流値はゼロAとなる。充放電電流値が負の電流値である間、即ち、バッテリ10が第1キャパシタC1を充電している間、電流が第1キャパシタC1及び第1抵抗R1の順に流れるので、機器電位電圧値は正であり、機器電位は接地電位よりも高い。
【0083】
前述したように、機器電位電圧値の絶対値は、充放電電流値に比例する。スタータ11が動作を停止した時点で、充放電電流値の絶対値は上昇するとともに、機器電位電圧値は上昇する。その後、充放電電流値の絶対値が低下するとともに、機器電位電圧値は低下する。充放電電流値がゼロAとなった場合、機器電位電圧値はゼロVとなり、機器電位は接地電位と一致する。
【0084】
図5は、スタータ11の動作に応じた入力電圧値の変動を説明するためのタイミングチャートである。
図5には、入力電圧値及び機器電位電圧値の推移が示されている。これらの推移について、横軸は時間を示す。機器電位電圧値は、前述したように、スタータ11が作動した直後に一時的に低下し、その後、ゼロVに戻る。更に、機器電位電圧値は、スタータ11が動作を停止した直後に一時的に上昇し、その後、ゼロVに戻る。
【0085】
スタータ11が作動した場合、接地電位を基準としたバッテリ10の出力電圧値は低下し、入力電圧値が低下する。スタータ11が作動している間、入力電圧値は、スタータ11が作動する直前の入力電圧値よりも低い。また、スタータ11が動作を停止した場合、接地電位を基準としたバッテリ10の出力電圧値が上昇し、入力電圧値が上昇する。
【0086】
前述したように、入力電圧値は機器電位を基準とした電圧値である。スタータ11が作動した場合、機器電位電圧値は一時的に負の電圧値となる。このため、機器電位電圧値が負の電圧値である間、スタータ11が作動する直前の入力電圧値を基準とした低下幅は小さい。
また、スタータ11が動作を停止した場合、機器電位電圧値は一時的に正の電圧値となる。このため、機器電位電圧値が正の電圧値である間、入力電圧値は、スタータ11が作動する直前の入力電圧値よりも低い。
【0087】
なお、スタータ11が作動した直後において機器電位電圧値が負の電圧値である期間と、スタータ11が動作を停止した直後において機器電位電圧値が正の電圧値である期間とは、数マイクロ秒である。一方で、スタータ11が作動している期間は数秒である。このため、機器電位電圧値が負の電圧値である期間、及び、機器電位電圧値が正の電圧値である期間夫々は、スタータ11が作動している期間よりも、非常に短い。
【0088】
第1電圧閾値Vr1は、前述したように、第1電圧源48の両端間の電圧値であり、機器電位を基準とした電圧値である。第1電圧閾値Vr1は、スタータ11が作動している間の入力電圧値の最小値未満である。このため、スタータ11が作動した場合に、入力電圧値が第1電圧閾値Vr1未満となることはない。従って、スタータ11の作動により、駆動回路40が誤ってスイッチ20をオフに切替えることはない。
前述したように、遮断電圧値Vcは第1電圧閾値Vr1未満である。
【0089】
次に、負荷13の両端が短絡した場合における駆動機21の動作を説明する。まず、第1キャパシタC1及び第1抵抗R1が設けられておらず、かつ、機器電位が接地電位と一致している給電制御装置12における駆動機21の動作を説明する。駆動回路40、電源回路47、第1電圧源48の負極、第2電圧源49の負極、及び、第2抵抗R2の一端を接地することによって、機器電位が接地電位と一致する。
【0090】
図6は、機器電位が接地電位と一致している場合における駆動機21の動作を示すタイミングチャートである。
図6には、入力電圧値の推移と、第1コンパレータ42、第1フィルタ回路45及びラッチ回路44の出力電圧の推移と、スイッチ20のオン及びオフの推移とが示されている。これらの推移について、横軸は時間を示す。
図6に示す時間のスケールは
図4及び
図5に示す時間のスケールよりも小さい。
図6に示す時間のスケールはマイクロ秒オーダーのスケールであり、
図4及び
図5に示す時間のスケールは秒オーダーのスケールである。
図6では、ハイレベル電圧を「H」で示し、ローレベル電圧を「L」で示している。
【0091】
マイコン22の出力部30はハイレベル電圧を出力していると仮定する。入力電圧値及びスイッチ電流値夫々が電圧条件及び電流条件を満たしている場合、駆動回路40はスイッチ20をオンに維持している。負荷13の両端が短絡していない場合、入力電圧値は第1電圧閾値Vr1以上であり、第1コンパレータ42、第1フィルタ回路45及びラッチ回路44はハイレベル電圧を出力している。
【0092】
負荷13の両端が短絡した場合、バッテリ10の正極からスイッチ20を介して大きな電流が流れる。これにより、バッテリ10の出力電圧値が低下し、入力電圧値が低下する。ここで、バッテリ10の出力電圧値が急速に低下すると仮定する。負荷13の両端が短絡した場合、スイッチ電流値は電流閾値を超える。しかしながら、バッテリ10の出力電圧値が急速に低下し、前述したように、電流出力回路50が出力する電流の電流値はバッテリ10の出力電圧値によって制限される。このため、スイッチ電流値が電流閾値を超えているにも関わらず、第2コンパレータ43は、第2基準時間、連続してハイレベル電圧を出力し続けることができない。
【0093】
結果、第2フィルタ回路46はハイレベル電圧を出力し続ける。この場合、第2コンパレータ43、第2フィルタ回路46及び電流出力回路50は適切に動作しないので、スイッチ20を過電流が保護するためには、入力電圧値に基づいて、スイッチ20をオフに切替える必要がある。
【0094】
入力電圧値が第1電圧閾値Vr1未満となった場合、第1コンパレータ42は、第1フィルタ回路45に出力している電圧をローレベル電圧に切替える。その後、第1コンパレータ42は、ローレベル電圧を出力し続ける。しかし、入力電圧値は急速に低下しているので、第1コンパレータ42が第1フィルタ回路45にローレベル電圧を出力している期間が第1基準期間以上となる前に、入力電圧値は遮断電圧値未満となる。
【0095】
入力電圧値が遮断電圧値未満となった場合、電源回路47は、駆動機21の動作が不安定になる可能性があるとして、給電を停止する。これにより、駆動回路40、AND回路41、第1コンパレータ42、第2コンパレータ43、ラッチ回路44、第1フィルタ回路45、第2フィルタ回路46及び電流出力回路50は動作を停止する。
【0096】
駆動回路40が動作を停止した場合、駆動回路40は、入力電圧値の昇圧を停止する。しかしながら、駆動回路40は、スイッチ20のゲート、及び、第1抵抗R1の一端を接続せず、スイッチ20のゲート、及び、第1抵抗R1の一端間の遮断を維持する。このため、寄生容量Cs,Cdは放電せず、スイッチ20において、ソースの電位を基準としたゲートの電圧はオン電圧値以上に維持され、スイッチ20はオンに維持される。結果、スイッチ20を過電流から保護することができない。第1電圧閾値Vr1及び遮断電圧値Vcとの差が小さい程、第1コンパレータ42がローレベル電圧を出力している期間が短いため、スイッチ20を過電流から保護することが難しい。
【0097】
機器電位が接地電位と異なっている給電制御装置12では、バッテリ10の出力電圧値が急速に低下した場合であっても、駆動機21は、スイッチ20を過電流から保護する。以下では、給電制御装置12における駆動機21の動作を説明する。
【0098】
図7は、負荷13の両端が短絡した場合における機器電位電圧値の変動を説明するためのタイミングチャートである。
図7には、充放電電流値及び機器電位電圧値の推移が示されている。これらの推移では、横軸は時間を示す。
図4と同様に、第1キャパシタC1が放電している場合、充放電電流値は正である。第1キャパシタC1が充電されている場合、充放電電流値は負である。時間のスケールは、
図6と同じであり、マイクロ秒オーダーのスケールである。
【0099】
第1キャパシタC1の両端間の電圧値がバッテリ10の出力電圧値と一致している場合、スイッチ20がオンであるか否かに無関係に、充放電電流値はゼロAであり、機器電位電圧値はゼロVであり、機器電位は接地電位と一致している。スイッチ20がオンである状態で負荷13の両端間が短絡した場合、電流は、第1キャパシタC1のバッテリ10側の一端から、スイッチ20及びシャント抵抗Rsの順に流れ、第1キャパシタC1は、放電する。従って、負荷13の両端間が短絡した時点で充放電電流値は上昇する。
【0100】
第1キャパシタC1の放電により、第1キャパシタC1の両端間の電圧値は低下する。第1キャパシタC1の両端間の電圧値が低下するとともに、充放電電流値も低下する。第1キャパシタC1の両端間の電圧値がゼロVとなった場合、充放電電流値はゼロAとなる。充放電電流値が正の電流値である間、即ち、第1キャパシタC1が放電している間、電流が第1抵抗R1及び第1キャパシタC1の順に流れるので、機器電位電圧値は負であり、機器電位は接地電位よりも低い。
【0101】
機器電位電圧値の絶対値は、前述したように、第1抵抗R1の抵抗値と、充放電電流値との積で表される。第1抵抗R1の抵抗値は一定であるため、機器電位電圧値の絶対値は、充放電電流値に比例する。
【0102】
負荷13の両端間が短絡した時点で、充放電電流値は上昇するとともに、機器電位電圧値は低下する。その後、充放電電流値が低下するとともに、機器電位電圧値は上昇する。充放電電流値がゼロAとなった場合、機器電位電圧値はゼロVとなり、機器電位は接地電位と一致する。
【0103】
図8は、負荷13の両端が短絡した場合における駆動機21の動作を示すタイミングチャートである。
図8は
図6に対応する。
図8では、
図6と同様に、入力電圧値の推移と、第1コンパレータ42、第1フィルタ回路45及びラッチ回路44の出力電圧の推移と、スイッチ20のオン及びオフの推移とが示されている。これらの推移について、横軸は時間を示す。時間のスケールは、
図6と同じであり、マイクロ秒オーダーのスケールである。
図8でも、ハイレベル電圧を「H」で示し、ローレベル電圧を「L」で示している。
【0104】
マイコン22の出力部30はハイレベル電圧を出力していると仮定する。入力電圧値及びスイッチ電流値夫々が電圧条件及び電流条件を満たしている場合、駆動回路40はスイッチ20をオンに維持している。負荷13の両端が短絡していない場合、入力電圧値は第1電圧閾値Vr1以上であり、第1コンパレータ42、第1フィルタ回路45及びラッチ回路44はハイレベル電圧を出力している。
【0105】
負荷13の両端が短絡した場合、バッテリ10の正極からスイッチ20を介して大きな電流が流れる。これにより、バッテリ10の出力電圧値が低下し、入力電圧値が低下する。給電制御装置12では、負荷13の両端が短絡した場合、
図7に示すように、第1キャパシタC1が放電し、機器電位電圧値が負の電圧値となる。その後、時間の経過とともに、機器電位電圧値は、緩やかに上昇し、ゼロVに戻る。このため、負荷13の両端が短絡してから、入力電圧値は緩やかに低下する。
【0106】
入力電圧値が第1電圧閾値Vr1未満となった場合、第1コンパレータ42は、第1フィルタ回路45に出力している電圧をローレベル電圧に切替える。その後、第1コンパレータ42は、ローレベル電圧を出力し続ける。また、入力電圧値は緩やかに低下しているため、入力電圧値は遮断電圧値未満となる前に、第1コンパレータ42が第1フィルタ回路45にローレベル電圧を出力している期間は、確実に第1基準期間以上となる。
【0107】
第1コンパレータ42が第1フィルタ回路45にローレベル電圧を出力している期間は、第1基準期間以上となった場合、第1フィルタ回路45はラッチ回路44に出力している電圧をローレベル電圧に切替える。これにより、ラッチ回路44は、AND回路41に出力している電圧をローレベル電圧に切替え、AND回路41は、マイコン22の出力部30が出力している電圧に無関係に、駆動回路40に出力している電圧をローレベル電圧に切替える。駆動回路40は、スイッチ20のゲートと第1抵抗R1の一端と電気的に接続する。これにより、寄生容量Cd,Csは放電し、スイッチ20において、ソースの電位を基準としたゲートの電圧値がオフ電圧値未満となり、スイッチ20はオフに切替わる。
【0108】
スイッチ20がオフに切替わった場合、バッテリ10から出力されている電流の電流値が低下するため、バッテリ10内の内部抵抗で生じる電圧降下の幅が低下し、バッテリ10の出力電圧値は第1電圧閾値Vr1以上となる。これにより、第1コンパレータ42は、第1フィルタ回路45に出力している電圧をハイレベル電圧に切替え、第1フィルタ回路45はラッチ回路44に出力している電圧をハイレベル電圧に切替える。
【0109】
ラッチ回路44は、前述したように、AND回路41に出力している電圧をローレベル電圧に切替えた後、第1フィルタ回路45及び第2フィルタ回路46が出力している電圧に無関係に、AND回路41に出力している電圧をローレベル電圧に維持する。このため、駆動回路40はスイッチ20をオフに維持する。
【0110】
給電制御装置12では、前述したように、第1電圧閾値Vr1は、スタータ11が作動している間の入力電圧値の最小値未満であるため、スタータ11の作動により、駆動回路40が誤ってスイッチ20をオフに切替えることはない。更に、例えば、負荷13の短絡によって、スイッチ20を介して大きな電流が流れて入力電圧値が第1電圧閾値未満となった場合、スイッチ20はオフに切替わり、スイッチ20を介した通電が遮断される。スイッチ20は過電流から保護される。このように、給電制御装置12では、駆動回路40は、入力電圧値に応じて適切にスイッチ20をオフに切替える。
【0111】
また、負荷13の両端が短絡した場合において、入力電圧値が連続して電圧閾値未満である期間が第1基準期間に到達する前に電源回路47が駆動回路40への給電を停止することはない。駆動回路40は、電源回路47が駆動回路40への給電を停止する前に、スイッチ20を確実にオフに切替える。
【0112】
なお、スイッチ20は、Nチャネル型のFETに限定されず、Pチャネル型のFET又はバイポーラトランジスタ等であってもよい。スイッチ20がPチャネル型のFETである場合、スイッチ20のソースがバッテリ10の正極に接続され、スイッチ20のドレインがシャント抵抗Rsの一端に接続される。
【0113】
この場合、スイッチ20のソースが電流入力端であり、機器電位を基準としたスイッチ20のソースの電圧値が入力電圧値である。駆動回路40は、寄生容量Cs,Cdを充電することによって、スイッチ20をオフに切替え、寄生容量Cs,Cdに放電させることによって、スイッチ20をオンに切替える。スイッチ20がオンである状態で駆動回路40への給電が停止した場合、寄生容量Cs,Cdが充電されないので、スイッチ20はオンを維持する。
【0114】
開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0115】
1 電源システム
10 バッテリ(直流電源)
11 スタータ
12 給電制御装置
13 負荷
20 スイッチ
21 駆動機
22 マイコン
30 出力部
31,32 入力部
33 A/D変換部
34 記憶部
35 制御部
36 内部バス
40 駆動回路(切替え部)
41 AND回路
42 第1コンパレータ(比較部)
43 第2コンパレータ(第2の比較部)
44 ラッチ回路
45 第1フィルタ回路
46 第2フィルタ回路
47 電源回路
48 第1電圧源
49 第2電圧源
50 電流出力回路
100 車両
A1 記憶媒体
C1 第1キャパシタ
C2 第2キャパシタ
Cd,Cs 寄生容量
E1 エンジン
P1 コンピュータプログラム
R1 第1抵抗
R2 第2抵抗
R3 第3抵抗