(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-19
(45)【発行日】2022-07-27
(54)【発明の名称】干渉画像撮像装置
(51)【国際特許分類】
G01B 9/02 20220101AFI20220720BHJP
【FI】
G01B9/02
(21)【出願番号】P 2021515791
(86)(22)【出願日】2020-01-17
(86)【国際出願番号】 JP2020001604
(87)【国際公開番号】W WO2020217606
(87)【国際公開日】2020-10-29
【審査請求日】2021-06-17
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2019/017907
(32)【優先日】2019-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】畠堀 貴秀
(72)【発明者】
【氏名】田窪 健二
(72)【発明者】
【氏名】吉田 康紀
【審査官】櫻井 仁
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/221324(WO,A1)
【文献】特表2012-530901(JP,A)
【文献】特表2011-513703(JP,A)
【文献】特開2010-025732(JP,A)
【文献】特開平09-218165(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0056212(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 9/02
G01B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物の測定領域にレーザ光源からの照射光を照射する照射部と、
前記対象物の互いに異なる位置の点または領域から反射または透過された前記照射光を第1の光束と第2の光束とに分けて透過し、透過した前記第1の光束と前記第2の光束とを干渉させる光学部材と、
前記光学部材を透過し、干渉された前記第1の光束および前記第2の光束の強度パターンを撮像する撮像部と、
前記光学部材の少なくとも一部を回動させる回動機構と、を備え、
前記光学部材は、第1光学部材と、前記第1光学部材に対向するように配置された第2光学部材と、前記第2光学部材が設けられる側と反対側において前記第1光学部材と対向するように配置された第3光学部材とを含み、
前記回動機構は、前記第1光学部材または前記第3光学部材の少なくとも一方を回動させることにより、前記第1の光束と前記第2の光束の相対角度を変更させるように構成されており、
前記第1光学部材および前記第2光学部材は、前記第2の光束を透過させて前記第2の光束の位相を変化させるように構成されている、干渉画像撮像装置。
【請求項2】
対象物の測定領域にレーザ光源からの照射光を照射する照射部と、
前記対象物の互いに異なる位置の点または領域から反射または透過された前記照射光を第1の光束と第2の光束とに分けて透過し、透過した前記第1の光束と前記第2の光束とを干渉させる光学部材と、
前記光学部材を透過し、干渉された前記第1の光束および前記第2の光束の強度パターンを撮像する撮像部と、を備え、
前記光学部材は、互いに対向するように配置された第1光学部材と第2光学部材とを含み、
前記光学部材は、前記第1光学部材または前記第2光学部材のうち少なくとも一方から構成され、前記第1の光束を透過させて入射光の向きに対して出射光の向きを変更させる第1部分と、前記第1光学部材および前記第2光学部材から構成され、前記第2の光束を透過させて前記第1の光束に対する前記第2の光束の位相を変化させる第2部分とを有する、干渉画像撮像装置。
【請求項3】
前記第1光学部材および前記第2光学部材のうち少なくとも一方は、前記第1部分および前記第2部分が一体化された複合レンズ対を含む、請求項2に記載の干渉画像撮像装置。
【請求項4】
前記第1光学部材および前記第2光学部材は、前記第1部分が外側に設けられ、前記第2部分が内側に設けられている、請求項2に記載の干渉画像撮像装置。
【請求項5】
前記光学部材は、前記第1部分と前記第2部分とが隣接する境界部分に遮光部材が設けられている、請求項2に記載の干渉画像撮像装置。
【請求項6】
前記光学部材は、前記対象物から反射した前記照射光を前記撮像部へ入射させる光学系の開口絞りの位置に近接して配置されている、請求項2に記載の干渉画像撮像装置。
【請求項7】
前記光学部材は、前記照射光の入射方向から視て円環状の前記第1部分が円形の前記第2部分を取り囲むように隣接して配置されている、請求項2に記載の干渉画像撮像装置。
【請求項8】
前記第1光学部材の前記第1部分の前記第2光学部材に対向する面と、前記第1光学部材の前記第2部分と前記第2光学部材の前記第2部分の対向する面とが、前記照射光の入射方向に直交する方向に対して傾斜するように設けられているとともに、前記第1光学部材の前記第2部分と前記第2光学部材の前記第2部分との互いに対向する面同士が略平行に設けられている、請求項2に記載の干渉画像撮像装置。
【請求項9】
前記第1光学部材は、前記照射光の入射方向から視て、前記第2部分が円形形状に形成されており、前記第1部分は円錐の頭部を除いた側面形状でかつ、先端が前記第2部分に接続するように形成されている、請求項2に記載の干渉画像撮像装置。
【請求項10】
前記第1光学部材は、前記照射光の入射方向から視て、前記第1部分は多角錐の頭部を除いた側面形状に形成されている、請求項2に記載の干渉画像撮像装置。
【請求項11】
前記光学部材は、前記第1光学部材と対向するように配置される第3光学部材を含み、
前記第1光学部材の前記第2部分の前記第2光学部材に対向する面と、前記第2光学部材の前記第2部分の前記第1光学部材に対向する面とが、前記照射光の入射方向に直交する第1方向に傾斜しているとともに、
前記第1光学部材の前記第2部分の前記第3光学部材に対向する面と、前記第3光学部材の前記第2部分の前記第1光学部材に対向する面とが、前記照射光の入射方向に直交するとともに前記第1方向に交差する第2方向に傾斜しており、
前記第3光学部材を回動させることにより、前記第1方向と前記第2方向との相対角度を変化させる回動機構をさらに備える、請求項2に記載の干渉画像撮像装置。
【請求項12】
前記回動機構は、前記第2光学部材に対して前記第1光学部材と前記第3光学部材とを一体的に回動させる第1回動機構を含む、請求項11に記載の干渉画像撮像装置。
【請求項13】
前記回動機構は、前記第1回動機構に加えて、前記第1光学部材に対して前記第3光学部材を回動させる第2回動機構を含む、請求項12に記載の干渉画像撮像装置。
【請求項14】
前記第2光学部材、前記第1光学部材および前記第3光学部材は、前記照射光の入射方向からこの順に配置されている、請求項11に記載の干渉画像撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、干渉画像撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、干渉画像撮像装置が知られている。干渉画像撮像装置は、たとえば、特開2012-42218号公報に開示されている。
【0003】
上記特開2012-42218号公報には、対象物に照明光を照射する光源と、対象物の互いに異なる位置の点から到来する照明光の透過光を干渉させる光学系と、干渉された透過光の強度パターンを撮像する撮像素子とを備えた欠陥検査装置(干渉画像撮像装置)が開示されている。
【0004】
上記特開2012-42218号公報の欠陥検査装置の光学系は、対象物から到来する光をハーフミラーによって2つの光束(第1の光束と第2の光束)に分割する。これにより空間的に分離された第1の光束と第2の光束は、位相シフタと偏向器によって位相と方向が相対的に変化させられたのち、2つの光束を合波するハーフミラーにより合波され、撮像素子上において干渉し、像が得られる。このとき、撮像素子上の1点に到達する光のうち、第1の光束に含まれる光と第2の光束に含まれる光は、対象物の互いに異なる位置の点から到来する。そして、撮像素子で取得した光干渉像に基づいて、欠陥を検査している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特開2012-42218号公報の欠陥検査装置(干渉画像撮像装置)では、対象物から到来する光をハーフミラーにより2方向に分離して、それぞれ、位相シフトおよび偏向させた後に、別のハーフミラーによって分離した光を干渉させているため、透過光を分離させるためのハーフミラーと、位相シフト手段と、偏向器と、分離した光を干渉させるハーフミラーと、をそれぞれ別個に設ける必要がある。その結果、光学部材を4点設ける必要があるので、部品点数が多くなるとともに、欠陥検査装置が大型化するという問題点がある。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、部品点数を減らすことができるとともに、装置が大型化するのを抑制することが可能な干渉画像撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面における干渉画像撮像装置は、対象物の測定領域にレーザ光源からの照射光を照射する照射部と、対象物の互いに異なる位置の点または領域から反射または透過された照射光を第1の光束と第2の光束とに分けて透過し、透過した第1の光束と第2の光束とを干渉させる光学部材と、光学部材を透過し、干渉された第1の光束および第2の光束の強度パターンを撮像する撮像部と、光学部材の少なくとも一部を回動させる回動機構と、を備え、光学部材は、第1光学部材と、第1光学部材に対向するように配置された第2光学部材と、第2光学部材が設けられる側と反対側において第1光学部材と対向するように配置された第3光学部材とを含み、回動機構は、第1光学部材または第3光学部材の少なくとも一方を回動させることにより、第1の光束と第2の光束の相対角度を変更させるように構成されており、第1光学部材および第2光学部材は、第2の光束を透過させて第2の光束の位相を変化させるように構成されている。
【0009】
この発明の第1の局面による干渉画像撮像装置では、上記のように、対象物の互いに異なる位置の点または領域から反射または透過された照射光を第1の光束と第2の光束とに分けて透過し、透過した第1の光束と第2の光束とを干渉させる光学部材と、光学部材の少なくとも一部を回動させる回動機構と、を備え、光学部材は、第1光学部材と、第2光学部材と、第3光学部材とを含み、回動機構は、第1光学部材または第3光学部材の少なくとも一方を回動させる。これにより、第1の光束と第2の光束の相対角度を変更させるように構成されており、第1光学部材および第2光学部材は、第2の光束を透過させて第2の光束の位相を変化させるように構成されている。このため、照射光を2つの方向に分離する必要がないため、光を分離させる光学部材(ハーフミラー)および分離した光を干渉させるための光学部材(ハーフミラー)を設ける必要がない。また、第1光学部材および第2光学部材を設けることによって、位相シフタを設ける必要がない。さらに、回動機構によって、偏向器を設ける必要がない。これらの結果、位相シフタと偏向器との代わりに第1光学部材と、第2光学部材と回動機構とを設けるが、光を分離させる光学部材(ハーフミラー)および分離した光を干渉させるための光学部材(ハーフミラー)を設ける必要がない。そのため、部品点数を減らすことができるとともに、装置が大型化するのを抑制することができる。
【0010】
この発明の第2の局面における干渉画像撮像装置は、対象物の測定領域にレーザ光源からの照射光を照射する照射部と、対象物の互いに異なる位置の点または領域から反射または透過された照射光を第1の光束と第2の光束とに分けて透過し、透過した第1の光束と第2の光束とを干渉させる光学部材と、光学部材を透過し、干渉された第1の光束および第2の光束の強度パターンを撮像する撮像部と、を備え、光学部材は、互いに対向するように配置された第1光学部材と第2光学部材とを含み、光学部材は、第1光学部材または第2光学部材のうち少なくとも一方から構成され、第1の光束を透過させて入射光の向きに対して出射光の向きを変更させる第1部分と、第1光学部材および第2光学部材から構成され、第2の光束を透過させて第1の光束に対する第2の光束の位相を変化させる第2部分とを有する。
【0011】
この発明の第2の局面による干渉画像撮像装置では、上記のように、対象物の互いに異なる位置の点または領域から反射された照射光を透過し、透過した第1の光束と第2の光束とを干渉させる光学部材と、光学部材を透過し、干渉された第1の光束および第2の光束の強度パターンを撮像する撮像部と、を備え、光学部材は、互いに対向するように配置された第1光学部材と第2光学部材とを含み、光学部材は、第1光学部材または第2光学部材のうち少なくとも一方から構成され、前記第1の光束を透過させて入射光の向きに対して出射光の向きを変更させる第1部分と、前記第1光学部材および前記第2光学部材から構成され、前記第2の光束を透過させて前記第1の光束に対する前記第2の光束の位相を変化させる第2部分とを有する。これにより、照射光を2方向に分離する必要がないため、光を分離させる光学部材(ハーフミラー)および分離した光を干渉させるための光学部材(ハーフミラー)を設ける必要がない。また、第1光学部材と第2光学部材とを設けることによって、位相シフタと照射光の向きを変更させる偏向器とをそれぞれ設ける必要がない。これらの結果、位相シフタと偏向器との代わりに第1光学部材および第2光学部材を設けるが、光を分離させる光学部材(ハーフミラー)および分離した光を干渉させるための光学部材(ハーフミラー)を設ける必要がない。そのため、部品点数を減らすことができるとともに、装置が大型化するのを抑制することができる。また、照射光を分離および干渉させる光学部材を設ける必要がないため、光学部材における反射および透過により光量がロスするのを抑制することができる。また、上記光学部材により対象物の互いに異なる位置の点または領域から反射された照射光を干渉させることができる。これにより、例えば対象物上の点とその周辺範囲の領域から反射された照射光を干渉させて得た光干渉像に基づいて欠陥を検査することで、欠陥の検知感度の方向依存性を低減することができる。
【0012】
上記第2の局面による干渉画像撮像装置において、好ましくは、第1光学部材および第2光学部材のうち少なくとも一方は、第1部分および第2部分が一体化された複合レンズ対を含む。このように構成すれば、第1部分および第2部分が一体化された複合レンズ対を、第2の光束の位相を変更するための位相シフト機能、および、第1の光束の進む方向を変更する偏向機能の両方の機能を持たせることができる。その結果、複合レンズ対のみにより、第1の光束の進む方向を変えることができるとともに、第2の光束の位相をシフトすることができる。そのため、ハーフミラー、偏向手段および位相シフト手段をそれぞれ設ける場合と比べて部品点数を少なくすることができるとともに装置の大型化を抑制することができる。
【0013】
上記第2の局面による干渉画像撮像装置において、好ましくは、第1光学部材および第2光学部材は、第1部分が外側に設けられ、第2部分が内側に設けられている。このように構成すれば、外側に設けられた第1部分により偏向された第1の光束と内側に設けられた第2部分により位相をシフトされた第2の光束とを撮像部の位置において干渉させることができる。
【0014】
上記第2の局面による干渉画像撮像装置において、好ましくは、光学部材は、第1部分と第2部分とが隣接する境界部分に遮光部材が設けられている。このように構成すれば、第1光学部材の第2部分を透過した第2の光束が第1部分に対向する第2光学部材の部分を透過すること、および、第1光学部材の第1部分を透過した第1の光束が第2光学部材の第2部分を透過することを抑制することができる。これにより、第1の光束の光路と第2の光束の光路とを分離しなくても、第1の光束と第2の光束とが誤った光路に進むことを抑制することができる。
【0015】
上記第2の局面による干渉画像撮像装置において、好ましくは、光学部材は、対象物から反射した照射光を撮像部へ入射させる光学系の開口絞りの位置に近接して配置されている。ここで、光学系の開口絞り位置とは、対象物の測定領域内の各位置において反射し撮像部へ入射する照射光が概して同じ領域を通過する位置である。また、近接とは、開口絞りと接している場合と、離れている場合とも含む。このように構成すれば、測定領域内の各位置において反射し撮像部へ入射する照射光が概ね同じ光学部材内の領域を透過することから、測定領域内の位置に依存して光学部材の第1部分を透過する光量と第2部分を透過する光量の比が大きく異なることがない。また、第1部分において、透過する位置によって異なる偏向を生じさせる機能をもたせた場合でも、測定領域内の位置に依存して偏向の特性が大きく変化することがない。
【0016】
上記第2の局面による干渉画像撮像装置において、好ましくは、光学部材は、照射光の入射方向から視て円環状の第1部分が円形の第2部分を取り囲むように隣接して配置されている。このように構成すれば、第1の光束の進む向きを変更するための第1部分と第2の光束の位相をシフトさせるための第2部分とが隣接しているため、位相をシフトするための位相シフト手段と照射光の進む向きを変更するための偏向手段とを別々に設けていた従来に比べて、スペースを小さくすることができる。これによっても、装置の大型化を抑制することができる。
【0017】
上記第2の局面による干渉画像撮像装置において、好ましくは、第1光学部材の第1部分の第2光学部材に対向する面と、第1光学部材の第2部分と第2光学部材の第2部分の対向する面とが、照射光の入射方向に直交する方向に対して傾斜するように設けられているとともに、第1光学部材の第2部分と第2光学部材の第2部分との互いに対向する面同士が略平行に設けられている。このように構成すれば、第1部分を透過した光は、第1光学部材の第1部分で屈折した後に第2光学部材を透過するため、第1の光束の進む方向を変更することができる。一方、第2部分を透過した光は、第1光学部材の第2部分の傾斜によって屈折したとしても、第2光学部材の第2部分は、第1光学部材の第2部分と同様に傾斜しているため、第2の光束は第2光学部材を透過するときにさらに屈折し、元の方向に戻る。そのため、第2の光束の進む方向を変更しないで透過させることができる。また、この構成において、第2光学部材を第2の光束の進む方向と直交する方向に動かすことで、第2部分を透過する第2の光束の光路長を、第1部分を透過する第1の光束の光路長よりも容易に大きくすることができる。その結果、光路長の差によって、第1部分を透過し撮像部に入射する第1の光束と第2部分を透過し撮像部に入射する第2の光束との位相差を容易にずらす(シフトする)ことができる。
【0018】
上記第2の局面による干渉画像撮像装置において、好ましくは、第1光学部材は、照射光の入射方向から視て、第2部分が円形形状に形成されており、第1部分は円錐の頭部を除いた側面形状でかつ、先端が第2部分に接続するように形成されている。このように構成すれば、撮像部において、第2の光束の周りに円環状に偏向された第1の光束を入射させることができる。
【0019】
上記第2の局面による干渉画像撮像装置において、好ましくは、第1光学部材は、照射光の入射方向から視て、第1部分は多角錐の頭部を除いた側面形状に形成されている。このように構成すれば、第2の光束の周りに偏向された第1の光束を入射させることができる。
【0020】
上記第2の局面による干渉画像撮像装置において、好ましくは、光学部材は、第1光学部材と対向するように配置される第3光学部材を含み、第1光学部材の第2部分の第2光学部材に対向する面と、第2光学部材の第2部分の第1光学部材に対向する面とが、照射光の入射方向に直交する第1方向に傾斜しているとともに、第1光学部材の第2部分の第3光学部材に対向する面と、第3光学部材の第2部分の第1光学部材に対向する面とが、照射光の入射方向に直交するとともに第1方向に交差する第2方向に傾斜し、第3光学部材を回動させることにより第1方向と第2方向との相対角度を変化させる回動機構をさらに備える。このように構成すれば、回動機構によって第3光学部材を回動させて第1方向と第2方向との相対角度を変更することにより、第2の光束が入射または出射する光学部材の面の照射方向に対する角度を変更することができるため、第2の光束の屈折する角度を変更することができる。そのため、第2の光束が撮像部へ入射する位置を調整することができるため、第1の光束と第2の光束との撮像部へ入射する相対位置を調整することができる。その結果、光学部材の製造誤差がある場合でも、第1の光束と第2の光束との相対位置を調整することにより、干渉画像撮影装置の個体差が生じることを抑制することができる。
【0021】
この場合、好ましくは、回動機構は、第2光学部材に対して第1光学部材と第3光学部材とを一体的に回動させる第1回動機構を備える。このように構成すれば、第1光学部材と第3光学部材とが一体的に回動することにより、第1光学部材と第3光学部材との相対位置を変更せずに、第2光学部材と第1光学部材との相対位置を変更することができる。これにより、第2の光束の第2の方向に屈折する角度を変更することなく、第2の光束の第1の方向に屈折する角度を調整することができる。
【0022】
上記第1回動機構を備える干渉画像撮影装置では、好ましくは、回動機構は、第1回動機構に加えて、第1光学部材に対して第3光学部材を回動させる第2回動機構をさらに備える。このように構成すれば、第1回動機構によって第2光学部材と第1光学部材との相対位置を変更するとともに、第2回動機構によって第1光学部材と第3光学部材との相対位置を変更することができる。これにより、第2の光束の第1の方向に屈折する角度に加えて第2の方向に屈折する角度を調整することができる。
【0023】
上記光学部材が、第3光学部材を含む干渉画像撮影装置では、好ましくは、第2光学部材、第1光学部材および第3光学部材は、照射光の入射方向からこの順に配置されている。このように構成すれば、第2光学部材および第1光学部材によって位相が変更された照射光の向きを変更することができるため、位相が変更された照射光と第2光学部材または第1光学部材によって偏向された照射光との相対位置を調整することができる。
【発明の効果】
【0024】
上記のように、本発明によれば、部品点数を減らすことができるとともに、装置が大型化するのを抑制することが可能な干渉画像撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】第1~第3実施形態による干渉画像撮像装置の構成を示したブロック図である。
【
図2】第1実施形態による第1光学部材および第2光学部材の一例を示す図である。
【
図3】第1実施形態による第1光学部材および第2光学部材を透過する照射光の進む方向を説明するための図である。
【
図4】第1実施形態による第2光学部材の移動を示す図である。
図4(A)は移動前の第1光学部材と第2光学部材との位置を示す図である。
図4(B)は、移動後の第1光学部材と第2光学部材との位置を示す図である。
【
図5】第1実施形態による撮像素子に入射する第1の光束および第2の光束の形状の一例を示す図である。
【
図6】第2実施形態による第1光学部材および第2光学部材の一例を示す図である。
【
図7】第2実施形態による第1光学部材および第2光学部材を透過する照射光の進む方向を説明するための図である。
【
図8】第2実施形態による撮像素子に入射する第1の光束および第2の光束の形状の一例を示す図である。
【
図9】第2実施形態による撮像素子に入射する第1の光束および第2の光束の形状の別の例を示す図である。
【
図10】第3実施形態による第1光学部材および第2光学部材の一例を示す図である。
【
図11】第3実施形態による第1光学部材および第2光学部材を透過する照射光の進む方向を説明するための図である。
【
図12】第3実施形態による撮像素子に入射する第1の光束および第2の光束の形状の一例を示す図である。
【
図13】第4実施形態による第1光学部材および第2光学部材の一例を示す図であり、(a)は、第1光学部材、第2光学部材および第3光学部材を正面から見た図であり、(b)は第1光学部材および第3光学部材を側面から見た図である。
【
図14】第4実施形態による回転機構を示す図であり、(a)は回転させる前の状態を示す図であり、(b)は、第1光学部材と第3光学部材とを回転させた状態を示す図であり、(c)は第3光学部材だけを回転させた状態を示す図である。
【
図15】光学部材を回転させたときに照射光が屈折する方向を示す図である。
【
図16】第1回動機構および第2回動機構を回動させた場合に照射光が描く軌道を示す図である。
【
図17】第1回動機構および第2回動機構を回動させた場合の第2の光束の位置の変化を示す図であり、(a)は、第1回動機構および第2回動機構を回動させる前の状態を示す図であり、(b)は、第1の回動機構を回動させた後の状態を示す図であり、(c)は、第2の回動機構を回動させた後の状態を示す図である。
【
図18】第5実施形態による第1光学部材、第2光学部材および第3光学部材を示す図であり、(a)は、第3光学部材を回動させる前の状態を示す図であり(b)は第2回動機構によって第3光学部材を回動させた後の状態を示す図である。
【
図19】第1回動機構によって第1光学部材を回動させた状態を示す側面図である。
【
図20】第5実施形態による第1の光束の偏向を説明するための図であり、(a)は、偏向前の図であり、(b)は偏向後の図である。
【
図21】変形例による撮像素子に入射する第1の光束および第2の光束の形状の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0027】
(変位計測装置の構成)
図1~
図5を参照して、第1実施形態による変位計測装置100の構成について説明する。本実施形態では、変位計測装置100が欠陥検査に用いられる場合を例にして説明する。なお、変位計測装置100は、請求の範囲の「干渉画像撮像装置」の一例である。
【0028】
図1に示すように、第1実施形態による変位計測装置100は、照射部1と、光学部材2と、撮像素子3とを備えている。なお、撮像素子3は、請求の範囲の「撮像部」の一例である。また、変位計測装置100は、制御部4を備える。
【0029】
照射部1は、信号発生器5にケーブルを介して接続されている。照射部1は、対象物6の測定領域61に照射光を照射する。照射部1は、図示しないレーザ光源と照明光レンズを含んでいる。照明光レンズは、レーザ光源から照射された照射光を対象物6の表面の測定領域61全体に拡げて照射する。ここで、第1の光束7および第2の光束9は、対象物6の互いに異なる位置の点または領域から反射された照射光であって、光学部材2の第1部分8および第2部分10によって空間的に分離された光束をそれぞれ指す。
図1では、第1の光束7と第2の光束9と異なるハッチングで表している。
【0030】
図2に示すように、光学部材2は、互いに対向するように配置された第1光学部材21と第2光学部材22とを含む。第1光学部材21は、第1部分8および第2部分10が一体化された複合レンズ対を含む。光学部材2は、第1光学部材21または第2光学部材22のうち少なくとも一方から構成され、第1の光束7を透過させて入射光の向きに対して出射光の向きを変更させる第1部分8と、第1光学部材21および第2光学部材22から構成され、第2の光束9を透過させて第1の光束7に対する第2の光束9の位相を変化させる第2部分10とを有する。
【0031】
第1実施形態では、第1部分8は外側に設けられ、第2部分10が内側に設けられている。また、照射光の入射方向から視て円環状の第1部分8が円形の第2部分10を取り囲むように隣接して配置されている。
【0032】
第1実施形態では、第1光学部材21および第2光学部材22において第2部分10の厚みは、第1部分8よりも大きい凸型形状を有している。
【0033】
第1光学部材21の第1部分8の第2光学部材22に対向する面は、照射光の入射方向に直交する方向(X方向)に対して傾斜するように設けられている。そのため、第1光学部材21を透過した照射光(第1の光束7)は、第1光学部材21と空気との境界で屈折し、第2光学部材22に進む。そして、第2光学部材22と空気との境界でさらに屈折し、第2光学部材22を透過し、撮像素子3に到達する。これにより、照射光を偏向した第1の光束7を照射することができる。
【0034】
第1光学部材21の第2部分10と第2光学部材22の第2部分10の対向する面は照射光の入射方向に直交する方向(X方向)に対して傾斜するように設けられている。また、第1光学部材21の第2部分10と第2光学部材22の第2部分10とが略平行に設けられている。そのため、照射光(第2の光束9)は、第1光学部材21の第2部分10を透過し、第1光学部材21と空気との境界で屈折する。そして、照射光は、第2光学部材22と空気の境界で反対側に屈折し、第1光学部材21の第2部分10に入射したときと同じ方向に戻る。つまり、照射光は、結果として第1光学部材21と第2光学部材22とを直進したこととなる。そして、第2部分10を透過した第2の光束9は、撮像素子3に到達する。
【0035】
第1光学部材21の第2部分10と第2光学部材22の第2部分10の対向する面は照射光の入射方向に直交する方向(X方向)に対して傾斜するように設けられていることにより、第2光学部材22を第2の光束9の進む方向と直交する方向に動かすと、 第2部分10を透過する第2の光束9の光路長を、第1部分8を透過する第1の光束7の光路長よりも容易に大きくすることができる。そして、光路長の差によって、第1部分8を透過し撮像素子3に入射する第1の光束7と第2部分10を透過し撮像素子3に入射する第2の光束9との位相差を容易にずらす(シフトする)ことができる。
【0036】
図4に示すように、第2光学部材22は、アクチュエータ11によって光が進む方向(Z方向)と交わる方向(X方向)に移動する。そのため、第1光学部材21の第2部分10と第2光学部材22の第2部分10の厚みの合計が変化する。具体的には、
図4(A)に示す移動前は、第1光学部材21の第2部分10と第2光学部材22の第2部分10の対向する、ある部分とのZ方向の長さである厚みは、L1とL2の合計の長さである。一方、
図4(B)に示す移動後は、第1光学部材21の第2部分10と第2光学部材22の第2部分10との対向する、ある部分とのZ方向の長さである厚みは、L1とL3の合計の長さの厚みとなる。このように厚みを変えることにより光路長が変化するため、第2の光束9の位相のシフト量を変更することができる。
【0037】
光学部材2は、対象物6の互いに異なる位置において反射された第1の光束7および第2の光束9を干渉させるように構成されている。第1の光束7と第2の光束9とは略平行に第1光学部材21に入射するが、第1部分8で第1の光束7を偏向することにより撮像素子3の同じ箇所に第1の光束7と第2の光束9とが到達し、第1の光束7と第2の光束9とが干渉する。
【0038】
第1光学部材21の第1部分8および第2部分10が隣接する境界部分に遮光部材12が設けられている。遮光部材12は円環状をしており、対象物6から反射した第1の光束7が、第2光学部材22の第2部分10に進むことを抑制することができるとともに第2の光束9が、第1光学部材21の第1部分8に対向する第2光学部材22の部分に進むことを抑制することができる。
【0039】
図1に示すように、光学部材2は、開口絞り13に近い位置に配置されている。そのため、対象物6の測定領域61の互いに異なる位置で反射した光が光学部材2の概ね同じ領域を透過して撮像素子3へ入射する。また、開口絞り13には測定領域内の各位置で反射した光ができるだけ平行に近い角度で入るのが好ましい。光学部材2は、開口絞り13に接していてもよく、離れていてもよい。
【0040】
図1に示すように、結像レンズ14は、光学部材2と撮像素子3の間に配置され、光学部材2を透過した第1の光束7および第2の光束9を収束させる。それぞれの測定領域61から反射された照射光は、それぞれ第1部分8および第2部分10に入射し、偏向および位相シフトされ、撮像素子3に入射する。
【0041】
撮像素子3は、たとえば、CMOSイメージセンサ、または、CCDイメージセンサなどを含む。撮像素子3は、第1の光束7の強度パターンと第2の光束9の強度パターンとを撮像するように構成されている。撮像素子3は、光学部材2を透過した第1の光束7と第2の光束9とを干渉させて計測する。
【0042】
図3に示すように、第1実施形態では、第1光学部材21の第2光学部材22に対向する面は、第1部分8と第2部分10が、同じ角度で傾斜している。そのため、第2部分10を透過する複数の第2の光束9はすべて同じ角度で屈折するため、第2の光束9は直進し、第1の光束7は、第2の光束9に対して偏向して進むため、
図5で示すように、撮像素子3では、第1の光束7と第2の光束9とが同一の撮像素子3に入射する。
図5では、第1の光束7と第2の光束9とを重ねて表している。
【0043】
制御部4は、アクチュエータ11を制御し、第2光学部材22を移動させる。第2光学部材22が移動することにより、第1光学部材21と第2光学部材22とから構成される光路を変更させ、光路長を変更させることにより透過する第2の光束9の位相を変化させる。たとえば、アクチュエータ11は、第1光学部材21を10μmの範囲でX方向に移動させる。これにより、異なる位置で反射された第1の光束7と第2の光束9との位相差が変化する。
【0044】
第1実施形態における変位計測装置100の信号発生器5には、対象物6に接触するように配置されるとともに対象物6に音波振動を励起する振動子15がケーブルを解して接続されている。具体的には、振動子15は、対象物6に接触するように配置され、信号発生器5からの交流電気信号を機械的振動に変換し、対象物6に振動を励起する。
【0045】
制御部4は、信号発生器5を介して、振動子15の振動と照射部1の照射光の照射のタイミングとを制御し、位相シフト量を変化させながら、画像を撮影する。位相シフト量はλ/4ずつ変化させ、各位相シフト量(0、λ/4、λ/2、3λ/4)において、照射のタイミング j(j=0~7)分の32枚の画像と各位相シフト量(0、λ/4、λ/2、3λ/4)前後の5枚の消灯時の画像との合計37枚の画像を撮影する。なお、λは、照射光の波長である。
【0046】
制御部4は、各検出素子からの検出信号を下記の手順で処理し、振動の状態を表す動画像を取得する。制御部4は、撮像素子3により撮像した干渉された反射光に基づいて、対象物6の振動の伝播により生じる、周期的に変化する物理量の空間分布を測定する。たとえば、制御部4は、撮像素子3により撮像した干渉された反射光に基づいて、対象物6の振動の伝播に関する動画像を生成する。
【0047】
制御部4は、照射のタイミング j(j=0~7)が同じで位相シフト量がλ/4ずつ異なる画像(4枚ずつ)の輝度値Ij0~Ij3から、式(1)により、光位相(位相シフト量ゼロの時の、2光路間の位相差)Φjを求める。
Φj=-arctan{(Ij3-Ij1)/(Ij2-Ij0)}・・・(1)
また、制御部4は、光位相Φjに対して、最小二乗法により正弦波近似を行い、式(2)における近似係数A、θ、Cを求める。
Φj=Acos(θ+jπ/4)+C=Bexp(jπ/4)+C・・・(2)
ただし、Bは、複素振幅であり、式(3)のように、表される。
B=Aexp(iθ):複素振幅・・・(3)
また、制御部4は、式(2)から定数項Cを除いた近似式より、振動の各位相時刻 ξ(0≦ξ<2π)における光位相変化を表示する動画像(30~60フレーム)を構成し出力する。なお、上記過程において、ノイズ除去のため複素振幅Bについて適宜空間フィルタが適用される。また、位相シフト量や照射タイミングのステップ(上記例ではそれぞれλ/4およびT/8、ただしTは振動の周期)はこれに限らない。この場合、計算式は上記式(1)~式(3)とは異なる式になる。
【0048】
制御部4は、空間フィルタを適用し、上記の動画像から、振動状態の不連続領域を対象物6の欠陥部分として、検出する。つまり、制御部4は、物理量の空間分布に基づいて、振動の不連続部分を抽出する。対象物6自体の形状が凹凸などを含む場合、平面部と凹凸部の境界でも、振動状態の不連続が発生する場合があり、制御部4は、それらを欠陥として検出しないように対象物6の形状情報を考えあわせて、欠陥部分を検出するようにしてもよい。
【0049】
(第1実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0050】
第1実施形態では、上記のように、第1実施形態における変位計測装置100は、対象物6の互いに異なる位置の点または領域から反射または透過された照射光を第1の光束7と第2の光束9とに分けて透過し、透過した第1の光束7と第2の光束9とを干渉させる光学部材2を備え、光学部材2は、互いに対向するように配置された第1光学部材21と第2光学部材22とを含み、光学部材2は、第1光学部材21または第2光学部材22のうち少なくとも一方から構成され、第1の光束7を透過させて入射光の向きに対して出射光の向きを変更させる第1部分8と、第1光学部材21および第2光学部材22から構成され、第2の光束9を透過させて第1の光束7に対する第2の光束9の位相を変化させる第2部分10とを有する。これにより、第1の光束7と第2の光束9とを2方向に分離する必要がないため、光を分離させる光学部材(ハーフミラー)および分離した光を干渉させるための光学部材(ハーフミラー)を設ける必要がない。また、第1光学部材21と第2光学部材22とを設けることによって、位相シフタと照射光の向きを変更させる偏向器とをそれぞれ設ける必要がない。これらの結果、位相シフタと偏向器との代わりに第1光学部材21および第2光学部材22を設けるが、光を分離させる光学部材(ハーフミラー)および分離した光を干渉させるための光学部材(ハーフミラー)を設ける必要がない。そのため、部品点数を減らすことができるとともに、装置が大型化するのを抑制することができる。また、照射光を分離および干渉させる光学部材2を設ける必要がないため、光学部材2における反射および透過により光量がロスするのを抑制することができる。また、対象物6の互いに異なる位置の領域から反射された照射光を干渉させることにより、欠陥の検知感度の方向依存性を低減することができる。
【0051】
また、第1実施形態では、上記のように、第1光学部材21および第2光学部材22のうち少なくとも一方は、第1部分8および第2部分10が一体化された複合レンズ対を含む。これにより、第1部分8および第2部分10が一体化された複合レンズ対を、第2の光束9の位相を変更するための位相シフト機能、および、第1の光束7の進む方向を変更する偏向機能の両方の機能を持たせることができる。その結果、複合レンズ対を用いることにより、第1の光束7の進む方向を変えることができるとともに、第2の光束9の位相をシフトすることができる。そのため、ハーフミラー、偏向手段および位相シフト手段をそれぞれ設ける場合と比べて部品点数を少なくすることができるとともに装置の大型化を抑制することができる。
【0052】
また、第1実施形態では、上記のように、第1光学部材21および第2光学部材22は、第1部分8が外側に設けられ、第2部分10が内側に設けられている。これにより、外側に設けられた第1部分8により偏向された第1の光束7と内側に設けられた第2部分10により位相をシフトされた第2の光束9とを撮像素子3の位置において干渉させることができる。
【0053】
また、第1実施形態では、上記のように、光学部材2は、第1部分8と第2部分10とが隣接する境界部分に遮光部材12が設けられている。これにより、第1光学部材21の第2部分10を透過した第2の光束9が第1部分8に対向する第2光学部材22の部分を透過すること、および、第1光学部材21の第1部分8を透過した第1の光束7が第2光学部材22の第2部分10を透過することを抑制することができる。これにより、第1の光束7の光路と第2の光束9の光路とを分離しなくとも、第1の光束7と第2の光束9とが誤った光路に進むことを抑制することができる。
【0054】
また、第1実施形態では、上記のように、光学部材2は、対象物6から反射した照射光を撮像素子3へ入射させる光学系の開口絞り13の位置に近接して配置されている。これにより、光学部材2に対象物6の測定領域61から入射する全ての光を透過させることができるため、対象物6の測定領域61の各位置から反射された第1の光束7と第2の光束9とを干渉させることができる。その結果、撮像素子3において多くの照射光が入射するとともに干渉するため、対象物6の測定領域61全体の照射光の干渉を撮像することができる。
【0055】
また、第1実施形態では、上記のように、光学部材2は、照射光の入射方向から視て円環状の第1部分8が円形の第2部分10を取り囲むように隣接して配置されている。これにより、第1の光束7の進む向きを変更するための第1部分8と第2の光束9の位相をシフトさせるための第2部分10とが隣接しているため、位相をシフトするための位相シフト手段と照射光の進む向きを偏向するための偏向手段とを別々に設けていた従来に比べて、スペースを小さくすることができる。これによっても、装置の大型化を抑制することができる。
【0056】
また、第1実施形態では、上記のように、第1光学部材21の第1部分8の第2光学部材22に対向する面と、第1光学部材21の第2部分10と第2光学部材22の第2部分10の対向する面とが、照射光の入射方向に直交する方向に対して傾斜するように設けられているとともに、第1光学部材21の第2部分10と第2光学部材22の第2部分10との互いに対向する面同士が略平行に設けられている。これにより、第1部分8を透過した光は、第1光学部材21の第1部分8で屈折した後に第2光学部材22を透過するため、第1の光束7の進む方向を変更することができる。一方、第2部分10を透過した光は、第1光学部材21の第2部分10の傾斜によって屈折したとしても、第2光学部材22の第2部分10は、第1光学部材21の第2部分10と同様に傾斜しているため、第2の光束9は第2光学部材22の第2部分10を透過するときにさらに屈折し、元の方向に戻る。そのため、第2の光束9の進む方向を変更しないで透過させることができる。また、第2光学部材22を第2の光束9の進む方向と直交する方向に動かすことで、 第2部分10を透過する第2の光束9の光路長を、第1部分8を透過する第1の光束7の光路長よりも容易に大きくすることができる。その結果、光路長の差によって、第1部分8を透過し撮像素子3に入射する第1の光束7と第2部分10を透過し撮像素子3に入射する第2の光束9との位相差を容易にずらす(シフトする)ことができる。
【0057】
(第2実施形態)
次に、
図1、
図6~
図9を参照して、第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、第1光学部材21は、第2部分10が円形形状に形成されており、第1部分8は円錐の頭部を除いた側面形状でかつ、先端が第2部分10に接続するように形成されている例について説明する。なお、上記第1実施形態と同様の構成は、第1実施形態と同じ符号を付して図示するとともに説明を省略する。また、第2実施形態においては、対象物6の同一の点で反射された第1の光束7と第2の光束9が撮像素子3の異なる位置の点または領域に結像する様を説明するが、結像光学系の共役関係の原理から、物体と像の関係は入れ替えることができる。すなわち、第2実施形態における説明によれば対象物6の異なる位置の点または領域で反射された第1の光束7と第2の光束9が撮像素子3の同一の点で結像することが成立する。
【0058】
図6に示すように、第2実施形態の第1光学部材31は、第2部分10が円形形状に形成されており、第1部分8は、円錐の頭部を除いた側面形状でかつ、先端が第2部分10に接続するように形成されている。
【0059】
図7に示すように、第1の光束7および第2の光束9は、光学部材2を進む。そして、第1光学部材31および第2光学部材22の第2部分10を透過した複数の第2の光束9は、直進して結像レンズ14に入射し、撮像素子3上で点状に結像する。一方、第1光学部材31および第2光学部材22の第1部分8を透過した第1の光束7は、第1光学部材31の第1部分8で偏向して結像レンズ14に入射し、撮像素子3上で結像する。
【0060】
図6に示すように、第1光学部材31の第1部分8は、円錐台のような形状をしているため、第1の光束7は円錐状の偏向が与えられ、撮像素子3では、点状に結像した第2の光束9の周囲に円環状に第1の光束7が結像する。その結果、
図8に示すように撮像素子3では、第2の光束9が第1の光束7の中心に位置する。
【0061】
また、
図9に示すように、第1部分7の傾斜の角度を偏向することで、撮像素子3では、第2の光束9が第1の光束7に隣接して撮像素子3に入射する。
【0062】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0063】
第2実施形態では、第1光学部材21は、第2部分10が円形形状に形成されており、第1部分8は円錐の頭部を除いた側面形状でかつ、先端が第2部分10に接続するように形成されている。これにより、撮像素子3において、第2の光束9の周りに円環状に偏向された第1の光束7を入射させることができる。
【0064】
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0065】
(第3実施形態)
次に、
図1、
図10~
図12を参照して、第3実施形態について説明する。この第3実施形態では、第1光学部材41の第1部分8が多角錐の頭部を除いた側面形状に形成されている例について説明する。なお、上記第1実施形態と同様の構成は、第1実施形態と同じ符号を付して図示するとともに説明を省略する。また、第3実施形態においては、対象物6の同一の点で反射された第1の光束7と第2の光束9が撮像素子3の異なる位置の点または領域に結像する様を説明するが、結像光学系の共役関係の原理から、物体と像の関係は入れ替えることができる。すなわち、第3実施形態における説明によれば対象物6の異なる位置の点または領域で反射された第1の光束7と第2の光束9が撮像素子3の同一の点で結像することが成立する。
【0066】
図10に示すように、第1部分8は多角錐の頭部を除いた側面形状に形成されている。第2部分10は円形形状になるように加工されている。なお、第2部分10を円形にするために、遮光部材12で周囲を囲い、第2部分10を円形形状にしてもよい。
【0067】
図11に示すように、第1の光束7および第2の光束9は、光学部材2を進む。そして、第1の光束7は、撮像素子3の第2の光束9が入射した箇所の周囲に入射する。
【0068】
第3実施形態では、
図12に示すように撮像素子3では、第2の光束9の周囲に第1の光束7が円環形状になるように複数入射する。
図12では、面の数が6面である場合を示している。面の数に応じて、撮像素子3に入射する第1の光束7の数が変わる。なお、面の数が増えるにつれて第1の光束7同士が隣接し、最終的には第2実施形態の
図8のように1つの円環形状に近づく。
【0069】
(第3実施形態の効果)
第3実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0070】
第3実施形態では、第1光学部材41は、第1部分8は多角錐の頭部を除いた側面形状に形成されている。これにより、第2の光束9の周りに偏向された第1の光束7を入射させることができる。
【0071】
なお、第3実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0072】
(第4実施形態)
次に、
図1、
図13~
図17を参照して、第4実施形態について説明する。この第4実施形態では、光学部材2は、第3光学部材53をさらに含む。
【0073】
図13(a)に示すように、第4実施形態では、第2光学部材52、第1光学部材51および第3光学部材53は、照射光の入射方向からこの順に配置されている。
【0074】
第1光学部材51、第2光学部材52および第3光学部材53では、第1部分8が外側に設けられ、第2部分10が内側に設けられている。第1光学部材51の第1部分8の第2光学部材52に対向する面は、照射光の入射方向に対して直交する方向(X方向)に傾斜するように設けられている。そのため、第2光学部材52を透過した照射光(第1の光束7)は、第1光学部材51と空気との境界で屈折する。
【0075】
図13(b)に示すように、第1光学部材51の第1部分8と、第3光学部材53の第1部分8とは、互いに平行になるように照射光に直行する方向(X方向)に延びている。そのため、第1光学部材51の第1部分8に入射する時に屈折した光は、Z方向における角度が変わらずに第3光学部材53を透過する。なお、
図13(b)では、第2光学部材52は省略している。
【0076】
図13(a)に示すように、第2光学部材52の第2部分10の第1光学部材51に対向する面と、第1光学部材51の第2部分10の第2光学部材52に対向する面とが、照射光の入射方向(Z方向)に直交する第1方向(X方向)に傾斜している。
【0077】
図13(b)に示すように、第1光学部材51の第2部分10の第3光学部材53に対向する面と、第3光学部材53の第2部分10の第1光学部材51に対向する面とが、照射光の入射方向(Z方向)に直交する第2方向(Y方向)に傾斜している。そのため、第2部分10を通る照射光は、第1光学部材51の第2部分10によって出射光の向きがX方向に傾き、第2光学部材52に入射する時に元の向きに戻る。そして、第2光学部材52の第2部分10を出射する光の向きは、Y方向に傾き、第3光学部材53に入射するときに元の向きに戻る。つまり、照射光は、結果として第1光学部材51と第2光学部材52と第3光学部材53とを直進することとなる。そして、第2部分10を透過した第2の光束9は、撮像素子3(
図1参照)に到達する。
【0078】
図14(a)に示すように、回動機構は、第2光学部材52に対して第1光学部材51と第3光学部材53とを一体的に回動させる第1回動機構16と、第1光学部材51に対して第3光学部材53を回動させる第2回動機構17とを含む。なお、
図14(a)、
図14(b)および
図14(c)では、第1回動機構16にハッチングを付している。
【0079】
図14(a)に示すように、第1回動機構16は、第1光学部材51に取り付けられる。第1回動機構16は、たとえば、回転可能なホルダーである。また、第1回動機構16には第3光学部材53を載置するための部分があり、第3光学部材53が第1回動機構16に載置される。そのため、第1回動機構16によって、第1光学部材51を回転させると、載置されている第3光学部材53も同時に回転する。そのため、第1回動機構16は、第1光学部材51と第3光学部材53とを一体的に回転させることができる。
【0080】
図14(a)に示すように、第2回動機構17は、第3光学部材53の第1光学部材51と対向する側と反対側から第3光学部材53に取り付けられる。第2回動機構17は、たとえば、治具17aにより回動する。第3光学部材53には、治具17aを取り付ける(挿入する)ための孔17b(
図13(b)参照)が設けられている。また、第1光学部材51には、治具17aを第3光学部材53に取り付けて回転させるための孔16a(
図13(b)参照)が設けられており、治具17aを回転させた場合、第1回動機構16および第1光学部材51は回動しない。第2回動機構17は、取り付けられた治具17aが回動されることにより第3光学部材53を回動するように構成されている。
【0081】
図15に示すように、光学部材2の第2部分10は、照射光を傾斜方向に屈折させる性質を有している。また、光学部材2は、回転させることにより照射光を屈折させる方向を変えることができる。
【0082】
図14に基づいて、X方向およびY方向に第2の光束9の向きを調整する方法について説明する。
【0083】
図14(a)は、調整前の第1光学部材51、第2光学部材52および第3光学部材54の配置を表す。
【0084】
図14(b)に示すように、第1回動機構16により第1光学部材51と第3光学部材53とを同時に回転させる。これにより、第3光学部材53の第2部分10と対向する第1光学部材51の第2部分10が延びる方向であるX方向への出射光の向きを変更せずに、第2光学部材52の第2部分10と対向する第1光学部材51の第2部分10が延びる方向であるY方向へ出射光の向きを調整することができる。なお、
図14(b)では、
図14(a)に対して第1光学部材51および第2光学部材52を90度回動する例を示しているが、回動させる角度は90度より小さくともよい。
【0085】
次に、
図14(c)に示すように、第2回動機構17により第3光学部材53を回転させることにより、第2光学部材52の第2部分10と対向する第1光学部材51の第2部分10が延びる方向であるY方向へ出射光の向きを変更することなく、第3光学部材53の第2部分10と対向する第1光学部材51の第2部分10が延びる方向であるX方向へ屈折する出射光の向きを調整する。なお。
図14(c)では、
図14(b)に対して90度回動させる例を示しているが、回動させる角度は90度より小さくともよい。
【0086】
図16および
図17に基づいて、第1光学部材51、第2光学部材52および第3光学部材53の第2部分10を透過した第2の光束9の位置の変化について説明する。
【0087】
図16および
図17では、第1光学部材51、第2光学部材52、第3光学部材53の第2部分10を透過した第2の光束9が撮像素子3において照射される位置を点93で示し、第1回動機構16によって、第1光学部材51と第3光学部材53とを一体的に回動させたときの第1光学部材51、第2光学部材52および第3光学部材53の第2部分10を透過した照射光の軌跡を円91で示し、第2回動機構17によって、第3光学部材53を回動させたときの第1光学部材51、第2光学部材52および第3光学部材53の第2部分10を透過した照射光の軌跡は、円92で示す。また、第2の光束9の理想位置(調整位置)を点94で表す。さらに、第1光学部材51、第2光学部材52および第3光学部材53の第1部分8を透過した第1の光束7の位置を点95で表す。
【0088】
図17(a)に示すように、第1光学部材51、第2光学部材52、第3光学部材53の第2部分10を透過した第2の光束9が、点93の位置に照射される場合、点94の位置に照射されるように調整される。
【0089】
図17(b)に示すように、第2回動機構17を回動させてY方向の位置を調整した場合、点93は、
図17(a)の位置からY方向に移動する。このとき、点94のY方向における位置と点93におけるY方向における位置とが同じになるように第1回動機構16によって調整される。
【0090】
図17(c)に示すように、第1回動機構16を回動させてX方向の位置を調整した場合、点93は、
図17(b)の位置からX方向に移動する。このとき、点93と点94とが重なるように第1回動機構16によって調整される。これにより、第1の光束7が照射される位置と第2の光束9が照射される位置とが調整される。
【0091】
(第4実施形態の効果)
第4実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0092】
第4実施形態では、第1光学部材51と対向するように配置される第3光学部材53を含み、第1光学部材51の第2部分10の第2光学部材52に対向する面と、第2光学部材52の第2部分10の第1光学部材51に対向する面とが、照射光の入射方向に直交する第1方向に傾斜しているとともに、第1光学部材51の第2部分10の第3光学部材53に対向する面と、第3光学部材53の第2部分10の第1光学部材51に対向する面とが、照射光の入射方向に直交するとともに第1方向に交差する第2方向に傾斜し、第3光学部材53を回動させることにより第1方向と第2方向との相対角度を変化させる回動機構をさらに備える。これにより、回動機構によって第3光学部材53を回動させて第1方向と第2方向との相対角度を変更することにより、第2の光束9が入射または出射する光学部材2の面の照射方向に対する角度を変更することができるため、第2の光束9の屈折する角度を変更することができる。そのため、第2の光束9が照射される位置を調整することができるため、第1の光束7と第2の光束9との相対位置を調整することができる。その結果、光学部材2の製造誤差がある場合でも、第1の光束7と第2の光束9との相対位置を調整することにより、変位計測装置100(干渉画像撮像装置)の個体差が生じることを抑制することができる。
【0093】
第4実施形態では、回動機構は、第2光学部材52に対して第1光学部材51と第3光学部材53とを一体的に回動させる第1回動機構16を備える。これにより、第1光学部材51と第3光学部材53とが一体的に回動することにより、第1光学部材51と第3光学部材53との相対位置を変更せずに、第2光学部材52と第1光学部材51との相対位置を変更することができる。これにより、第2の光束9の第2の方向に屈折する角度を変更することなく、第2の光束9の第1の方向に屈折する角度を調整することができる。
【0094】
第4実施形態では、回動機構は、第1回動機構16に加えて、第1光学部材51に対して第3光学部材53を回動させる第2回動機構17をさらに備える。これにより、第1回動機構16によって第2光学部材52と第1光学部材51との相対位置を変更するとともに、第2回動機構17によって第1光学部材51と第2光学部材52との相対位置を変更することができる。これにより、第2の光束9の第1の方向に屈折する角度に加えて第2の方向に屈折する角度を調整することができる。
【0095】
第4実施形態では、第2光学部材52、第1光学部材51および第3光学部材53は、照射光の入射方向からこの順に配置されている。これにより、第2光学部材52および第1光学部材51によって位相が変更された照射光の向きを変更することができるため、位相が変更された照射光と第2光学部材52または第1光学部材51によって偏向された照射光との相対位置を調整することができる。
【0096】
なお、第4実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0097】
(第5実施形態)
次に、
図1、
図18~
図20を参照して、第5実施形態について説明する。この第5実施形態では、第4実施形態と異なり、第1回動機構16または第2回動機構17により光学部材2を回動させることにより、第2の光束9の透過する向きを変更させる。
【0098】
第5実施形態では、
図18に示すように、照射光の入射する方向から第2光学部材72、第1光学部材71および第3光学部材73の順に配置されている。
【0099】
図18(a)に示すように、第2光学部材72と第1光学部材71とが対向する面は、互いに平行である。また、第1光学部材71と第3光学部材73とが対向する面は互いに平行である。そのため、照射光は、第2光学部材72、第1光学部材71および第3光学部材73を直進する。
【0100】
図18(b)に示すように、第2回動機構17により第3光学部材73を回転させた場合、第3光学部材73と第1光学部材71との対向する面のうち外側の部分は平行であるため照射光の偏向は生じない。一方、第3光学部材73と第1光学部材71との対向する面のうち内側の部分は、第3光学部材73の内側の面は第1光学部材71の対向する内側の面に対して傾斜する。そのため、第3光学部材73に入射する時に、照射光は、X方向に屈折し偏向が生じる。
【0101】
図19は、第1回動機構16により第1光学部材71と第3光学部材73とを回転させた状態を側面側(Y方向)から見た図である。第1回動機構16により第1光学部材71と第3光学部材73とを回転させた場合、第2光学部材72の内側の面に対向する第1光学部材71は、第2光学部材72の内側の面に対して傾斜しているため、照射光(第2の光束9)は、Y方向に屈折し、偏向が生じる。一方、第3光学部材73と第1光学部材71との対向する面のうち内側の部分は、平行であるため、偏向した照射光は、さらに屈折することなく、第3光学部材73を透過する。
【0102】
図20(a)に示すように、調整前は、第1光学部材71、第2光学部材72および第3光学部材73の外側の部分を透過した照射光と、内側の部分を透過した照射光が点93の位置に照射される。そして、
図20(b)に示すように、第1回動機構16または第2回動機構17を回動させることにより、内側の部分を通る照射光が点96の位置に照射される。
【0103】
(第5実施形態の効果)
第5実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0104】
第5実施形態では、対象物6の互いに異なる位置の点または領域から反射または透過された照射光を第1の光束7と第2の光束9とに分けて透過し、透過した第1の光束7と第2の光束9とを干渉させる光学部材2と、光学部材2の少なくとも一部を回動させる回動機構と、を備え、光学部材2は、第1光学部材71と、第2光学部材72と、第3光学部材73とを含み、回動機構は、第1光学部材71または第3光学部材73の少なくとも一方を回動させる。これにより、第1の光束7と第2の光束9の相対角度を変更させるように構成されており、第1光学部材71および第2光学部材72は、第2の光束9を透過させて第2の光束9の位相を変化させるように構成されている。このため、照射光を2つの方向に分離する必要がないため、光を分離させる光学部材(ハーフミラー)および分離した光を干渉させるための光学部材(ハーフミラー)を設ける必要がない。また、第1光学部材71および第2光学部材72を設けることによって、位相シフタを設ける必要がない。さらに、回動機構によって、偏向器を設ける必要がない。これらの結果、位相シフタと偏向器との代わりに第1光学部材71と、第2光学部材72と回動機構とを設けるが、光を分離させる光学部材(ハーフミラー)および分離した光を干渉させるための光学部材(ハーフミラー)を設ける必要がない。そのため、部品点数を減らすことができるとともに、装置が大型化するのを抑制することができる。また、照射光を分離および干渉させる光学部材を設ける必要がないため、光学部材における反射および透過により光量がロスするのを抑制することができる。
【0105】
なお、第5実施形態のその他の効果は、上記第4実施形態と同様である。
【0106】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく請求の範囲によって示され、さらに請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0107】
たとえば、上記実施形態では、本発明の干渉画像撮像装置を欠陥検査に用いる例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、本発明の干渉画像撮像装置を別の用途に用いてもよい。
【0108】
また、上記実施形態では、干渉画像撮像装置を対象物に音波を与えて欠陥を検査する欠陥検査に用いる例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、音波を与えなくてもよく、音波以外の熱などを対象物に与えてもよい。
【0109】
また、上記実施形態では、第1部分が外側に設けられ、第2部分が内側に設けられている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第1部分が内側にあってもよい。
【0110】
また、上記実施形態では、第1部分および第2部分が一体化された複合レンズ対を含む例を示したが、本発明はこれに限定されない。たとえば、照射光を透過させるとともに変向および位相シフトさせるものであれば、レンズでなくてもよい。
【0111】
また、上記実施形態では、光学部材は、照射光の入射方向から視て円環状の第1部分が円形の第2部分を取り囲むように隣接して配置されている例を示したが、本発明はこれに限定されない。たとえば、第1部分および第2部分が照射光の入射方向から視て多角形であってもよい。
【0112】
また、本発明では、たとえば、光学部材の第1部分は、一部分がすりガラスやホログラフィックディフーザー等の拡散体で構成されていてもよい。この場合、
図21に示すように、撮像素子では、第2の光束の周囲の複数箇所に第1の光束が散乱して入射する。
【0113】
また、上記実施形態では、対象物からの反射光を第1の光束と第2の光束とに分離する例を示したが、本発明はこれに限定されない。たとえば、対象物から反射させた光ではなく、対象物からの透過光を第1の光束と第2の光束とに分離してもよい。
【0114】
また、上記実施形態では、干渉画像撮像装置を変位計測装置に用いる例を示したが、本発明はこれに限定されない。たとえば、干渉画像撮像装置を顕微鏡などに用いてもよい。
【0115】
また、上記実施形態では、第1部分が第1光学部材から構成される例を示したが、本発明はこれに限定されない。たとえば、第1部分が第2光学部材から構成されてもよい。このとき、第2光学部材は第1部分および第2部分が一体化される。
【0116】
また、上記実施形態では、第1光学部材の面の第1部分と第2部分が同じ角度で傾斜している例を示したが、本発明はこれに限定されない。たとえば、異なる角度で傾斜していてもよい。
【0117】
また、上記実施形態では、第1部分の形状として一つの傾斜面や錐体形状の例を示したが、本発明はこれに限定されない。たとえば、二つの傾斜面や曲面を第1部分に用いて第1の光束に偏向を与えてもよい。
【0118】
また、上記実施形態では、第1光学部材および第2光学部材において第2部分の厚みが第1部分よりも大きい凸型形状の例を示したが、本発明はこれに限定されない。たとえば、第1光学部材および第2部分の厚みが第1部分よりも小さい凹型形状でもよい。
【0119】
また、上記実施形態では、結像レンズが光学部材の後に配置される例を示したが、本発明はこれに限定されない。たとえば、光学部材の前に配置してもよい。また、結像レンズを複数のレンズまたは複数のレンズ群によって構成してもよい。たとえば結像レンズを第1レンズ群と第2レンズ群によって構成し、光学部材の前に第1レンズ群、光学部材の後に第2レンズを配置してもよい。このとき、第1レンズ群を凹レンズ系とすれば、開口絞りに入射する光の角度を平行に近づけることができるため、好適である。
【0120】
また、第4実施形態および第5実施形態では、第2光学部材、第1光学部材および第3光学部材は、照射光の入射方向からこの順に配置されている例を示したが、本発明はこれに限定されない。たとえば、第3光学部材、第1光学部材および第2光学部材は、照射光の入射方向からこの順に配置されていてもよい。
【0121】
また、第4実施形態および第5実施形態では、変位計測装置(干渉画像撮像装置)は、第2光学部材によって位相が変化する例を示したが、本発明はこれに限定されない。たとえば、第3光学部材によって位相を変化させてもよい。
【0122】
また、第5実施形態では、第2の光束が偏向される例を示したが、本発明はこれに限定されない。たとえば、第2の光束は偏光されずに第1の光束が偏向されてもよい。この場合、第3光学部材の第1光学部材と対向する外側の部分は、第1光学部材の第3光学部材と対向する外側の部分に対して傾斜しているとともに、第1光学部材と第3光学部材との対向する内側の部分は互いに平行である。
【符号の説明】
【0123】
1 照射部
2 光学部材
3 撮像素子(撮像部)
6 対象物
7 第1の光束
8 第1部分
9 第2の光束
10 第2部分
11 アクチュエータ
12 遮光部材
13 開口絞り
14 結像レンズ
21、31、41、51、71 第1光学部材
22、52、72 第2光学部材
100 変位計測装置(干渉画像撮像装置)