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特許7107481流動剥離現象を減らす排気ディフューザのハブ構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-19
(45)【発行日】2022-07-27
(54)【発明の名称】流動剥離現象を減らす排気ディフューザのハブ構造
(51)【国際特許分類】
   F01D 25/30 20060101AFI20220720BHJP
   F02C 7/00 20060101ALI20220720BHJP
【FI】
F01D25/30 B
F01D25/30 A
F02C7/00 B
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021044167
(22)【出願日】2021-03-17
(65)【公開番号】P2021148125
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2021-03-22
(31)【優先権主張番号】10-2020-0034267
(32)【優先日】2020-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】507002918
【氏名又は名称】ドゥサン エナービリティー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ウィリー ホフマン
(72)【発明者】
【氏名】リー、イク サン
【審査官】松浦 久夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-108498(JP,A)
【文献】特表2011-529551(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0081731(US,A1)
【文献】特開2002-364310(JP,A)
【文献】特開2005-240681(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 25/30
F02C 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気ディフューザの長さ方向の中心に沿って配置されるハブであって、
前記ハブの下流側端部から前記長さ方向に沿って延び、前記ハブの横断面積よりも小さい横断面積を有するハブ延長部を備え
前記ハブ延長部は前記ハブと同心を成し、これにより前記ハブ延長部の周りに沿って前記ハブに対して段差を成し、
前記ハブ延長部は、その端部が露出した中空の円筒状であり、
前記ハブ延長部の側面に沿って少なくとも一つのガイドが備えられ、
前記ガイドの、前記ハブ延長部の半径方向の外側に延びる部分の長さは、前記ハブ延長部が前記ハブに対して形成する前記段差の高さに対応する、排気ディフューザ用ハブ。
【請求項2】
前記ガイドの、前記ハブ延長部の長さ方向の長さは前記ハブ延長部の長さに対応する、請求項に記載の排気ディフューザ用ハブ。
【請求項3】
前記ハブ延長部の半径方向と、前記ハブ延長部の長さ方向とで画定される前記ガイドの形状は、四角形状である、請求項に記載の排気ディフューザ用ハブ。
【請求項4】
前記ガイドは複数個が備えられ、複数の前記ガイド間の角度は均等である、請求項またはに記載の排気ディフューザ用ハブ。
【請求項5】
前記ガイドは複数個が備えられ、複数の前記ガイドは前記ハブ延長部の内部にまで延びて互いに交差する、請求項からのいずれか一項に記載の排気ディフューザ用ハブ。
【請求項6】
同心をなす内側の円筒状ハブと外側の円錐状ケーシング、及び前記円筒状ハブとケーシングとを互いに連結して支持するストラットを備える排気ディフューザであって、
前記円筒状ハブの下流側端部から前記排気ディフューザの長さ方向に沿って延び、前記円筒状ハブの横断面積よりも小さい横断面積を有するハブ延長部を備え
前記ハブ延長部は前記円筒状ハブと同心を成し、これにより前記ハブ延長部の周りに沿って前記円筒状ハブに対して段差を成し、
前記ハブ延長部は、その端部が露出した中空の円筒状であり、
前記ハブ延長部の側面に沿って少なくとも一つのガイドが備えられ、
前記ガイドの、前記ハブ延長部の半径方向の外側に延びる部分の長さは、前記ハブ延長部が前記円筒状ハブに対して形成する前記段差の高さに対応する、排気ディフューザ。
【請求項7】
前記ガイドの、前記ハブ延長部の長さ方向の長さは前記ハブ延長部の長さに対応する、請求項に記載の排気ディフューザ。
【請求項8】
前記ハブ延長部の半径方向と、前記ハブ延長部の長さ方向とで画定される前記ガイドの形状は、四角形状である、請求項に記載の排気ディフューザ。
【請求項9】
前記ガイドは複数個が備えられ、複数の前記ガイド間の角度は均等である、請求項またはに記載の排気ディフューザ。
【請求項10】
前記ガイドは複数個が備えられ、複数の前記ガイドは前記ハブ延長部の内部にまで延びて互いに交差する、請求項からのいずれか一項に記載の排気ディフューザ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気ディフューザのハブ構造に係り、さらに具体的には、排気ディフューザの長さ方向の中央に位置したハブの端部から発生する圧力損失と流動剥離現象を減らすことにより、排気ディフューザ内部の圧力損失を低減することができる排気ディフューザのハブ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンは、一般的に、圧縮機(compressor)、燃焼器(combustor)、及びタービン(turbine)を備える。圧縮機は、複数の圧縮機ブレードによって生成された圧縮空気を燃焼器に供給するが、この圧縮空気は、高温及び高圧の空気である。燃焼器は、圧縮機から導入された圧縮空気を燃料と混合して作った混合気を燃焼させる。燃焼器で生成された燃焼ガスはタービンへ排出され、タービンのタービンブレードは燃焼ガスによって回転することにより動力を生成する。生成された動力は電気発電や機械駆動などの様々な分野に使用される。例えば、ガスタービンは発電機、航空機、機関車などの駆動に使用される。
【0003】
ガスタービンの重要因子の一つは、燃焼ガスを外部へ排出する方法であるが、これにより、排気ディフューザがタービン上に位置して燃焼ガスを排気する。ところが、排気ディフューザの環状排気空間を形成するためには、同心をなす内側の円筒状ハブと外側の円錐状ケーシングが必要であり、また、ハブとケーシングとを互いに連結して支持するストラットが半径方向に備えられる。
【0004】
ここで、排気ディフューザの長さ方向の中心に位置したハブはその直径がほぼ一定であるのに対し、円錐状のケーシングは下流に行くほど直径が次第に拡張するため、ハブが終わる末端からは流動空間の急激な拡張(Sudden Expansion)が生じる。このような急激拡張区間によって、燃焼ガスの流れには突然の圧力変動が生じて損失が発生し、ハブの端部内側に引き込まれてきた流れはまともに合わされないため、ハブの後ろに長い流動剥離区間を作り出す。
【0005】
排気ディフューザの内部における圧力損失と流動剥離現象は、排気効率を低下させ、ガスタービンに対して熱回収装置(HRSG、Heat Recovery System Generator)と蒸気タービンとを連結して構成する複合発電システムの全体的な効率にも悪い影響を及ぼす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第3601958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、 排気ディフューザの長さ方向の中央に位置したハブの端部から発生する圧力損失と流動剥離現象を減らすことにより、排気ディフューザ内部の圧力損失を低減することができる排気ディフューザの新しいハブ構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、排気ディフューザの長さ方向の中心に沿って配置されるハブに関するもので、前記ハブの下流側端部から前記長さ方向に沿って延びながら前記ハブの横断面積よりも小さい横断面積を有するハブ延長部を備える。
【0009】
前記ハブ延長部は、前記ハブと同心を成し、これにより前記ハブ延長部の周りに沿って前記ハブに対して段差をなす。
【0010】
ここで、前記ハブ延長部は、円筒状であり、特に前記ハブ延長部は、その端部が露出した中空の円筒状であることができる。
【0011】
また、前記ハブ延長部の側面に沿って少なくとも一つのガイドが備えられることができる。
【0012】
前記ガイドの高さは、前記ハブ延長部が前記ハブに対して形成する前記段差の高さに対応することができる。
【0013】
前記ガイドの長さは前記ハブ延長部の長さに対応することができる。
【0014】
前記ガイドは四角形状であることができる。
【0015】
前記ガイドは複数個が備えられ、前記複数のガイド間の角度は均等であることができる。
【0016】
前記ガイドは複数個が備えられ、前記複数のガイドは前記ハブ延長部の内部にまで延びて互いに交差することができる。
【0017】
一方、本発明は、同心をなす内側の円筒状ハブと外側の円錐状ケーシング、及び前記ハブとケーシングとを互いに連結して支持するストラットを備える排気ディフューザであって、前記ハブの下流側端部から前記排気ディフューザの長さ方向に沿って延び、前記ハブの横断面積よりも小さい横断面積を有するハブ延長部を備える、排気ディフューザを提供する。
【発明の効果】
【0018】
上述した構成を持つ本発明のハブは、直径の小さいハブ延長部を備えて、排気ディフューザの急激拡張区間で発生する圧力損失と流動剥離現象を抑制し遅延することにより、排気ディフューザの排気効率を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に係る排気ディフューザが適用されるガスタービンの一例を示す図である。
図2】排気ディフューザの構造を概略的に示す図である。
図3】従来の一般的なハブの構造を示す図である。
図4】本発明に係るハブの一実施形態を示す図である。
図5】本発明に係るハブの他の実施形態を示す図である。
図6図3のハブを通る燃焼ガスの流動を電算解析した結果を示す図である。
図7図4のハブを通る燃焼ガスの流動を電算解析した結果を示す図である。
図8図5のハブを通る燃焼ガスの流動を電算解析した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
「上(on)」又は「上(over)」という用語がこの明細書で層、領域、パターン又は構造を指し示すとき、その層、領域、パターン又は構造は、他の層、領域、パターン又は構造の真上に位置するか、或いは介在する層、領域、パターン又は構造も存在することがあることを理解すべきであろう。「下(under)」又は「下(below)」という用語がこの明細書で層、領域、パターン又は構造を指し示すとき、その層、領域、パターン又は構造は、他の層、領域、パターン又は構造の真上に位置するか、或いは介在する層、領域、パターン又は構造も存在することがあることを理解すべきであろう。「含む(includes)」及び「含む(including)」は、それぞれ「備える(comprises)」及び「備える(comprising)」と同等である。
【0021】
また、(例えば、第1及び第2部分などのように)「第1(first)」、「第2(second)」などの用語は、この明細書で別に具体的に記述されない限り、一つ以上存在することができる特定の特徴を識別する意図で使用されたものである。このような「第1」についての言及は、必ずしも2つ以上が存在することを暗示しない。これらの言及は、明示的に記述されない限り、特定の特徴に対する時間上の順序、構造的方向、又は(例えば、左側又は右側などの)左右方向を付与する意図ではない。また、「第1」及び「第2」という用語は、選択的又は互換的に部材に使用できる。
【0022】
それだけでなく、「例示的(exemplary)」は、最善(best)ではなく、単に例(example)を意味する。お互いに対して特定の大きさ及び/又は方向に描写及び図示されている明細書の特徴、層及び/又は部材は、理解の単純性及び容易性を目的としたものであって、実際の大きさ及び/又は方向は、例示されたのとは著しく異なることもあると理解すべきである。つまり、各部材の大きさは図示の明瞭性のために誇張されており、各部材の大きさは各部材の実際の大きさとは異なることもある。図面に含まれるべきすべての部材が図示されているのではなく、この明細書に限定されているが、この明細書に必須的な特徴を除いた部材は、追加又は削除できる。
【0023】
本発明の実施形態の図面と説明は、(いくつかの場合には)明確性を目的としてよく知られている他の部材が省略され、本発明の明確な理解に適切な部材で簡略化されていることを理解すべきであろう。当業分野における通常の技術を有する者であれば、本発明の実現のために好ましいか及び/又は必要な部材を認識することができるだろう。しかし、これらの部材は当業分野によく知られており、これらが本発明をよりよく理解するのに役立たないので、これらの部材に対する議論はこの明細書に提供されない。
【0024】
添付図面において、同一の参照番号が、全体的に同一又は類似の構成要素を指示するために使用される。図1は本発明の一実施形態に係るガスタービンの断面図である。図1において、本発明の一実施形態に係るガスタービン100は、圧縮機110、燃焼器104、タービン120、ハウジング102、及び排気ディフューザ106を備える。
【0025】
ハウジング102は圧縮機110を覆い、圧縮機110は圧縮空気を燃焼器104に提供する。燃焼器104は、この圧縮空気を用いて高温のガスを生成し、高温のガスをタービン120に提供する。タービン120は、燃焼器104によって提供された高温のガスを用いて回転トルクを生成する。排気ディフューザ106は、タービン120の後方に位置して高温のガスを拡散(broaden)させ、その速度を低下させる。タービン120によって生成された回転トルクを圧縮機110に伝達するために、ガスタービン100は、圧縮機110とタービン120との間にトルクチューブ(torque tube)130をさらに備える。
【0026】
圧縮機110は、複数の圧縮機ブレード144を含むが、これらは、複数の圧縮機ロータディスク140上に半径方向に配置される。複数の圧縮機ブレード144のそれぞれは、ダブテール(dove tail)形態またはモミの木(fir tree)形態を介して圧縮機ロータディスク140に結合するように構成された圧縮機ブレードルート146を含む。圧縮機110は、複数の圧縮機ブレード144を回転させ、これにより、空気が複数の圧縮機ブレード144の回転に伴って圧縮されながら移動する。一実施形態において、圧縮機110は、タービン120に直接又は間接的に連結され、タービン120によって生成された動力の一部を受けるが、伝達された動力は、複数の圧縮機ブレード144を回転させるために使用される。
【0027】
圧縮機110で圧縮された空気は燃焼器104へ移動する。燃焼器104は、円形パターンで配列された複数のケーシングと複数のバーナーを含む。燃焼器104は、ライナー(liner)で形成される燃焼室を備えて、燃料ノズルを介して提供された燃料が燃焼器104の燃焼室へ提供される。圧縮空気が燃料と混合された後、燃焼室で燃焼する。次に、燃焼した高温のガスは、タービン120へ排出され、タービンロータディスク180上に取り付けられたタービンブレード184を回転させる。
【0028】
ガスタービン100は、タービンロータディスク180と圧縮機ロータディスク140を貫通するように配置されたタイボルト(tie bolt)150をさらに備える。タイボルト150の第1遠位末端(distal end)は複数の圧縮機ロータディスク140のうちの第1圧縮機ロータディスクに固定され、タイボルト150の第2遠位末端は固定ナット(fixing nut)190によって固定される。隣接する圧縮機ロータディスクの対向する面はタイボルト150によって圧縮されることにより、隣接する圧縮機ロータディスクは個別に回転しない。ガスタービン100はハウジング102上に取り付けられるベーン(vane)を備えることができ、ベーンは複数の圧縮機ロータディスク140同士の間に位置する。
【0029】
タービン120は、複数のタービンロータディスク180、及びタービンロータディスク180に結合する複数のタービンブレード184を備える。複数の圧縮機ブレード144と同様に、複数のタービンブレード184もタービンロータディスク180上に半径方向に配置される。また、複数のタービンブレード184は、ダブテールジョイント又はモミの木ジョイントを介してタービンロータディスク180に組み立てられる。
【0030】
燃焼した高温のガスは、タービン120を通過し、タービン120から排気される。排気ガスは、タービン120の後方に位置している排気ディフューザ106を通過した後、最終的に排出される。つまり、排気ディフューザ106は、タービン120から排気ガスを受けた後、ガスタービン100の外部へ排気ガスを送り出す。
【0031】
図2はタービン120の後方に位置している排気ディフューザ106の部分をさらに詳細に示す図である。排気ディフューザ106は、内側の円筒状ハブ210と外側の円錐状ケーシング220とが同心をなしてそれらの間に燃焼ガスの排気される環状空間を形成する。円錐状ケーシングは、かなり大きく、タービン120の後方に長く延び、厚さが相対的に薄いため、燃焼ガスの流動によって振動を起こすには構造的に耐久性が強くない。このため、ケーシング220は、中央のハブ210に対してストラット300で連結されて支持される構造を取り、ストラット300は、燃焼ガスの流動経路を横切るため、燃焼ガスの流動を最小限に妨害するためにエアフォイルの断面形状を有する。
【0032】
図3は従来の一般的なハブ210の構造を示す図である。排気ディフューザ106の長さ方向の中心に位置したハブ210はその直径がほぼ一定であるが、円錐状のケーシング220は、下流に行くほど直径が次第に拡張するため、ハブ210が終わる末端からは流動空間の急激な拡張(Sudden Expansion)が生じる。このような急激拡張区間によって、燃焼ガスの流れには突然の圧力変動が生じて損失が発生し、ハブ210の端部内側に引き込まれてきた流れはまともに合わされないため、ハブ210の後ろに長い流動剥離区間を作り出す。
【0033】
図6は従来のハブ210を通る燃焼ガスの流動を電算解析した結果を示す図である。図6を参照すると、ハブ210の後ろ側の急激拡張区間でハブ210側に曲がって入ってきた二筋の流動が合わされていない流動剥離区間が長く続いている。このような急激拡張区間での突然の膨張と流動剥離の発生は、排気ディフューザ106の排気効率を低下させる。
【0034】
図4は上述したような従来のハブ210構造による問題を解決するための本発明の一実施形態を示している。図4の実施形態によれば、本発明は、ハブ210の下流側端部からその長さ方向に沿って延びるハブ延長部400を含んでいる。ハブ延長部400の横断面積(長さ方向に直交する方向の断面積)は、ハブ210の横断面積よりも小さい。このようにハブ210の長さ方向の末端にハブ延長部400が備えられると、ハブ延長部400が占める空間だけ急激拡張区間が縮小される結果をもたらす。
【0035】
言い換えれば、ハブ210の下流の急激拡張区間は、一度で急激に拡張されるのではなく、ハブ延長部400がある領域で一度拡張され、その後にもう一度拡張される2段階にわたる拡張パターンを持つ。これは、本発明に備えられたハブ延長部400がハブ210の下流における突然の圧力変化を和らげることを意味し、これに基づいて圧力損失を低減する効果が現れる。
【0036】
ハブ延長部400は、急激拡張区間を縮小する様々な形態の付加物で構成できるが、流動の対称性のため、ハブ延長部400は、ハブ210と同心を成すことにより、ハブ延長部400の周りに沿ってぐるりと回してハブ210に対して段差をなすようにすることが良いだろう。さらに、ハブ210が円筒状であることから、ハブ延長部400もハブ210と同心をなす円筒状に構成することがより望ましいだろう。
【0037】
図4に示された円筒状のハブ延長部400は、その端部が露出した中空の円筒状に構成できる。言い換えれば、ハブ延長部400がその内側に開いている空洞410が形成されたシリンダーの形状をなすのである。このようにハブ延長部400内に外部と連通する空間を作ると、燃焼ガスは、ハブ延長部400の表面を流れてから、その一部が内側の空間に誘導されながら一時止まるようになり、これにより、流動剥離が発達することを遅延する効果を得ることができる。
【0038】
図5図4の中空円筒状のハブ延長部400に対して、ハブ延長部400の側面に沿って少なくとも一つのガイド420を付加する実施形態について示す。ガイド420は、ハブ延長部400に向ける燃焼ガスの流れを分断、分散する役割を果たす。言い換えれば、ガイド420は、急激拡張区間で発生する流動剥離を瞬間的に分散させて数個に分け、これにより流動剥離の大きさを減らす機能をする。
【0039】
ガイド420は、三角形や台形などに作ることもできるが、流動剥離を急激拡張区間の入り口から十分に分散させるために、ハブ210に対してハブ延長部400が形成する段差の高さに対応する高さHと、ハブ延長部400の長さに対応する長さLを持つ四角形状であって、延長部の周りに沿ってガイド420を作ることが最も望ましいことがある。
【0040】
ガイド420は、ハブ延長部400の周りに沿って流動剥離を十分に分散することができるように複数個が備えられることができる。このような場合には、流動特性をできる限り均一にするように、複数のガイド420間の角度を均等にすることがよい。図5に示された例示的な実施形態では、4つのガイド420が90°の角度で均等に配置されている。
【0041】
また、複数備えられるガイド420は、ハブ延長部400の内部にまで延びて互いに交差することができる。ハブ延長部400の内部にまで延びたガイド420は、ハブ延長部400の内側の空間まで燃焼ガスを十分に誘導することにより、流動剥離の発達をさらに強く抑制する。
【0042】
図7図4のハブ210を通る燃焼ガスの流動を電算解析した結果を示し、図8図5のハブ210、すなわち、ガイド420を備えるハブ210を通る燃焼ガスの流動を電算解析した結果を示す。図6と比較すると、排気ディフューザ106のハブ210に本発明に係るハブ延長部400を備えることにより、流動剥離の発生が確然に抑制されたことを確認することができる。もちろん、局部的な一部分では、流動剥離の長さが類似することはできるが、全体的なレベルでは確かに流動剥離が弱化されている。
【0043】
下記表1は、図3から図5にそれぞれ示された従来のハブ210を含むことにより、本発明の実施形態別のハブ210に対する流動性能を比較してまとめたものである。
【表1】
【0044】
Cpは、圧力回復に関する無次元係数(静圧に対する動圧の比)であって、圧力回復が早いほど、すなわちCpの値が大きいほど、排気効率の面で有利である。圧力損失は、 急激拡張区間で起こる燃焼ガスの圧力降下をいい、その値が低いほど排気効率に優れると言えることができる。
【0045】
表1を参照すると、本発明の2つの代表的な実施形態は、圧力回復及び圧力損失の面で従来のハブ210に比べて改善されたことを確認することができる。言い換えれば、本発明のハブ延長部400を備えるハブ210は、定量的に見たときにも、従来のハブ210より流動剥離の発生を確かに抑制し、圧力回復と圧力損失の面で意味のある改善をもたらした。
【0046】
このように、本発明は、ハブ210の急激拡張区間で起こる突然の面積変化を減らし、流動剥離を低減することができ、これをベースに同心をなす内側の円筒状ハブ210と外側の円錐状ケーシング220、及び前記ハブ210とケーシング220とを互いに連結して支持するストラット300を備える排気ディフューザ106であって、前記ハブ210の下流側端部から前記排気ディフューザ106の長さ方向に沿って延び、前記ハブ210の横断面積よりも小さい横断面積を有するハブ延長部400を備える排気ディフューザ106を提供する。
【0047】
この明細書に記載された例および実施形態は、例示的なものに過ぎず、当業分野における通常の技術を有する者であれば、これを勘案して様々な変形と変更を提案することができる。これは、本明細書の概念及び範囲に含まれなければならないことを理解すべきであろう。これにより、本発明は、この明細書に記載された例に限定されることを意図したものではなく、この明細書に開示された原理と新規な特徴に合致する最広義の範囲が付与されるべきであろう。
【符号の説明】
【0048】
106 排気ディフューザ
210 ハブ
220 ケーシング
300 ストラット
400 ハブ延長部
410 空洞
420 ガイド
H ガイドの高さ
L ガイドの長さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8