(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-19
(45)【発行日】2022-07-27
(54)【発明の名称】二次電池パックの充電制御装置及び方法
(51)【国際特許分類】
H02J 7/04 20060101AFI20220720BHJP
H02J 7/02 20160101ALI20220720BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20220720BHJP
【FI】
H02J7/04 L
H02J7/02 A
H02J7/00 X
H02J7/00 Q
(21)【出願番号】P 2020562573
(86)(22)【出願日】2019-12-04
(86)【国際出願番号】 KR2019017030
(87)【国際公開番号】W WO2020130430
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2020-11-10
(31)【優先権主張番号】10-2018-0164612
(32)【優先日】2018-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】リム、ジン-ヒュン
(72)【発明者】
【氏名】ナム、ギ-ミン
(72)【発明者】
【氏名】リー、キュ-チュル
(72)【発明者】
【氏名】アン、ヒョン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ジョー、ウォン-テ
【審査官】赤穂 嘉紀
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-506073(JP,A)
【文献】特開2018-129130(JP,A)
【文献】特開2018-170144(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00-7/12
H02J 7/34-7/36
H01M 10/42-10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の二次電池を含み、冷却デバイスと結合された二次電池パックの充電制御装置であって、
複数の二次電池のうちの第1二次電池の第1温度を測定するセル温度測定部と、
前記冷却デバイスに流れ込む冷媒の第2温度を測定する冷媒温度測定部と、
前記二次電池パックの充電電流を測定する電流測定部と、
前記第1二次電池の第1端子電圧と、前記複数の二次電池のうち前記冷却デバイスに最も近い第2二次電池の第2端子電圧を測定する電圧測定部と、
前記第2二次電池の温度推定地点、前記第1温度の測定地点及び前記第2温度の測定地点から選択された二つの地点間の熱抵抗を含む集中熱モデル、並びに前記セル温度測定部、前記冷媒温度測定部、前記電流測定部及び前記電圧測定部から入力された第1温度、第2温度、充電電流、第1端子電圧及び第2端子電圧から前記温度推定地点の第3温度を推定し、推定された第3温度を前記二次電池パックの最低温度として決定する最低温度推定部と、
前記決定された最低温度に応じて前記二次電池パックに提供される充電電力を変化させる充電電力調整部とを含む、二次電池パックの充電制御装置。
【請求項2】
前記集中熱モデルは、前記第1温度の測定地点と前記第2温度の測定地点との間の第1熱抵抗、前記第1温度の測定地点と前記温度推定地点との間の第2熱抵抗、及び前記温度推定地点と前記第2温度の測定地点との間の第3熱抵抗を含み、
前記第1熱抵抗、前記第2熱抵抗及び前記第3熱抵抗は直列で連結されて閉ループ回路を構成する、請求項1に記載の二次電池パックの充電制御装置。
【請求項3】
前記最低温度推定部は、下記の一行目の第1式及び二行目の第2式から誘導された三行目の第3式に基づいて前記第3温度(T
2,estimate)を推定するように構成された、請求項1または2に記載の二次電池パックの充電制御装置。
【数12】
(mは第1及び第2二次電池の質量;C
pは第1及び第2二次電池の定圧比熱;V
1及びOCV
1は第1二次電池の端子電圧及び開放電圧;V
2及びOCV
2は第2二次電池の端子電圧及び開放電圧;T
1は第1温度の測定地点の第1温度、T
coolantは第2温度の測定地点の第2温度、及びT
2,estimateは温度推定地点の第3温度;R
1,cは第1温度の測定地点と第2温度の測定地点との間の第1熱抵抗、R
12は第1温度の測定地点と温度推定地点との間の第2熱抵抗、及びR
2,cは温度推定地点と第2温度の測定地点との間の第3熱抵抗である。)
【請求項4】
前記最低温度推定部は、
前記第1二次電池の充電状態(SOC
1)を決定し、予め定義された充電状態とOCVとの間の相関関係を参照して前記第1二次電池の充電状態(SOC
1)に対応する開放電圧(OCV
1)を決定するように構成され、
前記第2二次電池の充電状態(SOC
2)を決定し、予め定義された充電状態とOCVとの間の相関関係を参照して前記第2二次電池の充電状態(SOC
2)に対応する開放電圧(OCV
2)を決定するように構成された、請求項3に記載の二次電池パックの充電制御装置。
【請求項5】
前記充電電力調整部は、前記最低温度推定部にから前記最低温度の入力を受け、二次電池パックの充電電流または充電電圧と二次電池パックの最低温度との間の予め定義された相関関係を参照して前記入力された最低温度に対応する充電電流または充電電圧を決定し、決定された充電電流または充電電圧に応じて二次電池パックに充電電力を提供するように構成された、請求項1から4のいずれか一項に記載の二次電池パックの充電制御装置。
【請求項6】
前記充電電力調整部は、前記温度推定地点に対する複数の最低温度と各最低温度に相応する充電電流または充電電圧とを定義しているルックアップテーブルを参照して前記二次電池パックの最低温度に応じて充電電流または充電電圧を変化させるように構成された、請求項1から5のいずれか一項に記載の二次電池パックの充電制御装置。
【請求項7】
前記最低温度推定部は、前記第1二次電池及び前記第2二次電池の退化度(SOH)を決定し、決定された退化度に応じて前記第1熱抵抗、前記第2熱抵抗及び前記第3熱抵抗を変化させるように構成された、請求項2に記載の二次電池パックの充電制御装置。
【請求項8】
複数の二次電池を含み、冷却デバイスと結合された二次電池パックの充電制御方法であって、
複数の二次電池のうちの第1二次電池の第1温度を測定する段階と、
前記冷却デバイスに流れ込む冷媒の第2温度を測定する段階と、
前記二次電池パックの充電電流を測定する段階と、
前記第1二次電池の第1端子電圧と、前記複数の二次電池のうち前記冷却デバイスに最も近い第2二次電池の第2端子電圧を測定する段階と、
前記第2二次電池の温度推定地点、前記第1温度の測定地点及び前記第2温度の測定地点から選択された二つの地点間の熱抵抗を含む集中熱モデル、並びに前記第1温度、前記第2温度、前記充電電流、前記第1端子電圧及び前記第2端子電圧から前記温度推定地点の
第3温度を推定し、推定された
第3温度を前記二次電池パックの最低温度として決定する段階と、
前記決定された最低温度に応じて前記二次電池パックに提供される充電電力を変化させる段階とを含む、二次電池パックの充電制御方法。
【請求項9】
前記集中熱モデルは、前記第1温度の測定地点と前記第2温度の測定地点との間の第1熱抵抗、前記第1温度の測定地点と前記温度推定地点との間の第2熱抵抗、及び前記温度推定地点と前記第2温度の測定地点との間の第3熱抵抗を含み、
前記第1熱抵抗、前記第2熱抵抗及び前記第3熱抵抗は直列で連結されて閉ループ回路を構成する、請求項8に記載の二次電池パックの充電制御方法。
【請求項10】
前記二次電池パックの最低温度を決定する段階は、下記の一行目の第1式及び二行目の第2式から誘導された三行目の第3式に基づいて前記第3温度(T
2,estimate)を推定するように構成された、請求項8または9に記載の二次電池パックの充電制御方法。
【数13】
(mは第1及び第2二次電池の質量;C
pは第1及び第2二次電池の定圧比熱;V
1及びOCV
1は第1二次電池の端子電圧及び開放電圧;V
2及びOCV
2は第2二次電池の端子電圧及び開放電圧;T
1は第1温度の測定地点の第1温度、T
coolantは第2温度の測定地点の第2温度、及びT
2,estimateは温度推定指定の第3温度;R
1,cは第1温度の測定地点と第2温度の測定地点との間の第1熱抵抗、R
12は第1温度の測定地点と温度推定地点との間の第2熱抵抗、及びR
2,cは温度推定地点と第2温度の測定地点との間の第3熱抵抗である。)
【請求項11】
前記二次電池パックの最低温度を決定する段階は、
前記第1二次電池の充電状態(SOC
1)を決定し、予め定義された充電状態とOCVとの間の相関関係を参照して前記第1二次電池の充電状態(SOC
1)に対応する開放電圧(OCV
1)を決定する段階と、
前記第2二次電池の充電状態(SOC
2)を決定し、予め定義された充電状態とOCVとの間の相関関係を参照して前記第2二次電池の充電状態(SOC
2)に対応する開放電圧(OCV
2)を決定する段階とをさらに含む、請求項10に記載の二次電池パックの充電制御方法。
【請求項12】
前記二次電池パックに提供される充電電力を変化させる段階は、
前記二次電池パックの充電電流または充電電圧と前記二次電池パックの最低温度との間の予め定義された相関関係を参照して前記決定された最低温度に対応する充電電流または充電電圧を決定し、決定された充電電流または充電電圧に応じて二次電池パックに充電電力を提供する段階である、請求項8から11のいずれか一項に記載の二次電池パックの充電制御方法。
【請求項13】
前記二次電池パックに提供される充電電力を変化させる段階は、
前記温度推定地点に対する複数の最低温度と各最低温度に相応する充電電流または充電電圧とを定義しているルックアップテーブルを参照して前記第3温度(T
2,estimate)に応じて充電電流または充電電圧を変化させる段階である、請求項12に記載の二次電池パックの充電制御方法。
【請求項14】
前記二次電池パックの最低温度を決定する段階は、
前記第1二次電池及び前記第2二次電池の退化度(SOH)を決定し、決定された退化度に応じて前記第1熱抵抗、前記第2熱抵抗及び前記第3熱抵抗を変化させる段階をさらに含む、請求項9に記載の二次電池パックの充電制御方法。
【請求項15】
請求項1から7のいずれか一項に記載の二次電池パックの充電制御装置を含む電気駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池パックの全体領域に対する最小温度を簡単なハードウェア構成で信頼性高く推定し、推定された最小温度を基準にして二次電池パックの充電条件を制御する装置及び方法に関する。
【0002】
本出願は、2018年12月18日出願の韓国特許出願第10-2018-0164612号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
近年、繰り返して充電と再生が可能な二次電池が化石エネルギーの代替手段として注目されている。
【0004】
二次電池は、携帯電話、ビデオカメラ、電動工具のような伝統的なハンドヘルドデバイスに主に使用されたが、近年は電気で駆動される自動車(EV、HEV、PHEV)、大容量の電力貯蔵装置(ESS)、無停電電源供給システム(UPS)などへとその応用分野が徐々に広がっている。
【0005】
ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池、リチウム二次電池の二次電池が商用化しているが、中でもリチウム二次電池は、ニッケル系列の二次電池に比べてメモリ効果が殆ど起きず、自己放電率が低くてエネルギー密度が高いというなどの長所から脚光を浴びている。
【0006】
二次電池は多様な分野で用いられているが、近年注目を集めている電気自動車や電力貯蔵装置の分野では容量の大きい電池を必要とする。したがって、該当技術分野では複数の二次電池を直列及び/または並列で連結した二次電池パックが使用されている。
【0007】
二次電池パックの充電過程では複数の二次電池から熱が発生する。熱は二次電池の内部抵抗に起因する。それぞれの二次電池から発生した熱は、隣接した二次電池や他の部品に伝導されるか又は二次電池パックと結合された空冷式、水冷式などの冷却デバイスを通じて外部に放出される。
【0008】
二次電池の充電時には作動イオン(例えば、リチウムイオン)が正極から負極へと移動する。そして、負極に移動した作動イオンは、負極活物質の内部に拡散して挿入(intercalation)される。
【0009】
充電過程に伴う電気化学的反応の速度は温度に比例する。すなわち、温度が低いほど電気化学的反応の速度が低下する。したがって、二次電池パックを充電するときは、温度が最も低い二次電池を基準にして充電を制御しなければならない。もし、温度が相対的に高い二次電池を基準にして充電を制御すれば、温度が相対的に低い二次電池では作動イオンが負極活物質の内部に拡散する速度が遅いため、負極活物質の表面に存在する作動イオンの濃度がリチウム析出(Li plating)を誘発するほどに増加するおそれがある。
【0010】
周知のように、負極活物質の表面でリチウム析出が生じれば、二次電池の寿命が急激に短縮する問題がある。また、析出されたリチウムは過充電条件で過度な副反応を起こすことで、熱暴走(thermal runaway)現象まで引き起こす。
【0011】
二次電池パックの温度は全領域に亘って均一ではない。それぞれの二次電池で発生する熱が同一ではなく、隣接領域への熱伝達率が同一ではないためである。したがって、二次電池パックを構成する二次電池のうち温度が最も低いものを把握するためには、それぞれの二次電池に温度センサを取り付けてそれぞれの二次電池の温度をリアルタイムでモニタリングしなければならないが、これは二次電池パックの製造コストを増加させる原因になる。
【0012】
また、二次電池に取り付けられた温度センサによって測定される温度は、温度センサが取り付けられた地点の表面温度である。したがって、当該温度が二次電池の全体温度を代表するとは言えない。個別二次電池の場合も全体領域の温度が均一ではないためである。
【0013】
したがって、従来は、二次電池の領域別温度偏差を考慮して、温度センサを通じて測定した温度から最小温度偏差を差し引いた補正温度を二次電池の温度として推定した。そして、複数の補正温度のうち最小値を基準にして二次電池パックの充電条件、すなわち充電電流と充電電圧の大きさを調節した。
【0014】
このような方式は、それぞれの二次電池の領域別温度偏差がないか又は非常に低い状況でも保守的に充電条件を調節する原因になった。すなわち、常に二次電池の温度が実際の温度よりも低く推定されるため、充電電流及び充電電圧の大きさがその分低く調節される。これは、二次電池パックの充電時間を増加させる要因になる。
【0015】
二次電池の応用分野のうち特に電気自動車分野は、充電時間短縮が何よりも重要である。充電時間が短いとその分電気自動車を便利に利用できるためである。
【0016】
充電時間を短縮するためには多様な技術的イシューを解決しなければならない。そのうち、二次電池パックの全体領域で最も低温領域の実際の温度を信頼性高く推定することも解決すべき課題のうち一つとして認識されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、上記のような従来技術の背景下で創案されたものであり、二次電池パックの全体領域に対する最小温度を実際の温度に近く推定し、推定された最小温度を基準にして二次電池パックの充電条件を調節することで、充電時間を短縮することができる充電制御装置及び方法を提供することを目的とする。
【0018】
本発明の他の目的及び長所は、下記の説明によって理解でき、本発明の実施形態によってより明らかに分かるであろう。また、本発明の目的及び長所は、特許請求の範囲に示される手段及びその組合せによって実現することができる。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記の技術的課題を達成するため、本発明の一態様による二次電池パックの充電制御装置は、複数の二次電池を含み、冷却デバイスと結合された二次電池パックの充電を制御する装置であって、複数の二次電池から選択された第1二次電池の第1温度を測定するセル温度測定部;前記冷却デバイスに流れ込む冷媒の第2温度を測定する冷媒温度測定部;前記二次電池パックの充電電流を測定する電流測定部;前記第1二次電池の第1端子電圧と前記冷却デバイスに最も近い第2二次電池の第2端子電圧を測定する電圧測定部;前記第2二次電池の温度推定地点、前記第1温度測定地点及び前記第2温度測定地点から選択された二つの地点間の熱抵抗を含む集中熱モデル(lumped thermal model)、並びに前記セル温度測定部、前記冷媒温度測定部、前記電流測定部及び前記電圧測定部から入力された第1温度、第2温度、充電電流、第1端子電圧及び第2端子電圧から前記温度推定地点の第3温度を推定し、推定された第3温度を二次電池パックの最低温度として決定する最低温度推定部;及び前記決定された最低温度に応じて二次電池パックに提供される充電電力を変化させる充電電力調整部;を含む。
【0020】
一態様によれば、前記集中熱モデルは、前記第1温度測定地点と前記第2温度測定地点との間の第1熱抵抗、前記第1温度測定地点と前記温度推定地点との間の第2熱抵抗、及び前記温度推定地点と前記第2温度測定地点との間の第3熱抵抗を含み、前記第1熱抵抗、前記第2熱抵抗及び前記第3熱抵抗は直列で連結されて閉ループ回路を構成し得る。
【0021】
他の態様によれば、前記最低温度推定部は、下記の一行目の第1式及び二行目の第2式から誘導された三行目の第3式に基づいて前記第3温度(T
2,estimate)を推定するように構成され得る。
【数1】
(mは第1及び第2二次電池の質量;C
pは第1及び第2二次電池の定圧比熱;V
1及びOCV
1は第1二次電池の端子電圧及び開放電圧;V
2及びOCV
2は第2二次電池の端子電圧及び開放電圧;T
1は第1温度測定地点の第1温度、T
coolantは第2温度測定地点の第2温度、及びT
2,estimateは温度推定指定の第3温度;R
1,cは第1温度測定地点と第2温度測定地点との間の第1熱抵抗、R
12は第1温度測定地点と温度推定地点との間の第2熱抵抗、及びR
2,cは温度推定地点と第2温度測定地点との間の第3熱抵抗である。)
【0022】
望ましくは、前記最低温度推定部は、前記第1二次電池の充電状態(SOC1)を決定し、予め定義された充電状態とOCVとの間の相関関係を参照して前記第1二次電池の充電状態(SOC1)に対応する開放電圧(OCV1)を決定するように構成され、前記第2二次電池の充電状態(SOC2)を決定し、予め定義された充電状態とOCVとの間の相関関係を参照して前記第2二次電池の充電状態(SOC2)に対応する開放電圧(OCV2)を決定するように構成され得る。
【0023】
望ましくは、前記充電電力調整部は、前記最低温度推定部にから前記最低温度の入力を受け、二次電池パックの充電電流または充電電圧と二次電池パックの最低温度との間の予め定義された相関関係を参照して前記入力された最低温度に対応する充電電流または充電電圧を決定し、決定された充電電流または充電電圧に応じて二次電池パックに充電電力を提供するように構成され得る。
【0024】
一例において、前記充電電力調整部は、前記温度推定地点に対する複数の最低温度と各最低温度に相応する充電電流または充電電圧とを定義しているルックアップテーブルを参照して前記二次電池パックの最低温度に応じて充電電流または充電電圧を変化させるように構成され得る。
【0025】
望ましくは、前記最低温度推定部は、前記第1二次電池及び前記第2二次電池の退化度(SOH)を決定し、決定された退化度に応じて前記第1熱抵抗、前記第2熱抵抗及び前記第3熱抵抗を変化させるように構成され得る。
【0026】
上記の技術的課題を達成するため、本発明の他の一態様による二次電池パックの充電制御方法は、複数の二次電池を含み、冷却デバイスと結合された二次電池パックの充電を制御する方法であって、複数の二次電池から選択された第1二次電池の第1温度を測定する段階;前記冷却デバイスに流れ込む冷媒の第2温度を測定する段階;前記二次電池パックの充電電流を測定する段階;前記第1二次電池の第1端子電圧と前記冷却デバイスに最も近い第2二次電池の第2端子電圧を測定する段階;前記第2二次電池の温度推定地点、前記第1温度測定地点及び前記第2温度測定地点から選択された二つの地点間の熱抵抗を含む集中熱モデル、並びに前記第1温度、前記第2温度、前記充電電流、前記第1端子電圧及び前記第2端子電圧から前記温度推定地点の温度を推定し、推定された温度を二次電池パックの最低温度として決定する段階;及び前記決定された最低温度に応じて二次電池パックに提供される充電電力を変化させる段階;を含む。
【0027】
さらに他の一態様によれば、本発明による技術的課題は、二次電池パックの充電制御装置を含む電気駆動装置によっても達成される。
【発明の効果】
【0028】
本発明の一態様によれば、集中熱モデルを用いて温度が最も低いと予想される位置にある二次電池の温度を最小化された数量の温度センサのみを用いて信頼性高く推定することができる。
【0029】
また、本発明の一態様によれば、最も温度が低いと推定される二次電池に合わせて充電電力を調節できるため、充電、特に急速充電を行う過程で負極にリチウムが析出される現象を防止することができる。
【0030】
さらに、本発明の一態様によれば、二次電池パックの二次電池のうち最低温度を有すると予想される二次電池の温度を集中熱モデルを用いて信頼性高く推定して充電電力を調節することで、二次電池パックが許容可能な最大限まで充電電力を増加させることができる。したがって、従来のように保守的に充電電力を調節する必要がないため、充電時間を短縮することができる。
外にも本発明は他の多様な効果を有し得、このような本発明の他の効果は後述する詳細な説明によって理解でき、本発明の実施形態からより明らかに分かるであろう。
【0031】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施形態を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割をするものであるため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明の実施形態による充電制御装置が結合される二次電池パックにおいて、温度が測定される地点を模式的に示した図である。
【
図2】本発明の実施形態による集中熱モデル(lumped thermal model)の一例を示した図である。
【
図3】本発明の実施形態による二次電池パックの充電制御装置を示したブロック図である。
【
図4】本発明の実施形態による二次電池パックの充電制御方法を示したフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施形態を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び請求範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。
【0034】
したがって、本明細書に記載された実施形態及び図面に示された構成は、本発明のもっとも望ましい一実施形態に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
また、本発明の説明において、関連公知構成または機能についての具体的な説明が本発明の要旨を不明瞭にし得ると判断される場合、その詳細な説明は省略する。
【0035】
明細書の全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とするとき、これは特に言及されない限り、他の構成要素を除外するものではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。また、明細書に記載された「プロセッサ」のような用語は、少なくとも一つの機能または動作を処理する単位を意味し、ハードウェア、ソフトウェア、またはハードウェアとソフトウェアとの組合せとして具現され得る。
さらに、明細書の全体において、ある部分が他の部分と「連結(接続)」されるとするとき、これは「直接的な連結(接続)」だけではなく、他の素子を介在した「間接的な連結(接続)」も含む。
【0036】
本明細書において、二次電池は、負極端子及び正極端子を備え、物理的に分離可能な一つの独立したセルを意味する。一例として、一つのパウチ型リチウムポリマーセルを二次電池として見なし得る。
【0037】
図1は、本発明の実施形態による充電制御装置が結合される二次電池パックにおいて、温度が測定される位置を模式的に示した図である。
【0038】
図1を参照すると、本発明の実施形態による充電制御装置が結合される二次電池パック10は、所定の方向に積層された複数の二次電池11を含む。積層方向は上下方向または左右方向であり得る。
【0039】
二次電池11は、当業界で周知されたものであれば、如何なる種類であってもよい。一例として、二次電池11はパウチ型リチウムポリマー二次電池であり得る。
【0040】
二次電池11の積層方式は多様である。本発明は、二次電池パックの充電を制御するのに特徴があるため、二次電池11の積層構造は詳しく図示していない。
【0041】
望ましくは、二次電池パック10は、冷却デバイス20と結合される。冷却デバイス20は、複数の二次電池11が充電される過程で発生する熱を吸収して外部に放出する機能を果たす。
【0042】
一実施形態において、冷却デバイス20は空冷式または水冷式であり得る。この場合、冷却デバイス20は、冷媒が流れ込む流入口21及び冷媒が排出される流出口22を備える。
【0043】
他の実施形態において、冷却デバイス20は空気や液状冷媒が循環する流路を備えない冷却フィンであり得る。
【0044】
望ましくは、二次電池パック10と冷却デバイス20にはそれぞれセル温度測定部30と冷媒温度測定部40が設けられる。
【0045】
セル温度測定部30は、複数の二次電池10のうち、任意に選択された二次電池に設けられ、冷媒温度測定部40は冷却デバイス20の流入口21付近に設けられる。
【0046】
望ましくは、セル温度測定部30は、二次電池パック10の過熱状態を検出するため、熱蓄積現象によって温度が最も大幅に上昇する部分、例えば二次電池パック10の中央に位置した二次電池11に取り付ける。
【0047】
以下、説明の便宜上、セル温度測定部30が取り付けられた二次電池11を第1二次電池11aと称する。また、冷却デバイス20の流入口21と最も近くに位置する二次電池11を第2二次電池11bと称する。
【0048】
一方、二次電池パック10が充電されるとき、それぞれの二次電池11では熱が発生する。このとき、中心部に位置する第1二次電池11aの温度が側方に位置する第2二次電池11bの温度よりも相対的に高い。また、冷却デバイス20の流入口21側に位置する第2二次電池11bの温度が最も低い。第2二次電池11bは温度の低い冷媒が流れ込む流入口21付近に位置しており、隣接する二次電池11が右側に一つのみであるため、円滑に熱放出が行われるためである。したがって、二次電池パック10に供給される充電電力を制御するときは、第2二次電池11bの温度を基準にすることが望ましい。
【0049】
本発明は、第2二次電池11bの全体領域のうち、温度が最も低いと予想される位置を温度推定地点として選択し、該当地点の温度を集中熱モデルを用いて推定する。
【0050】
望ましくは、第2二次電池11bの温度推定地点は下端部50であり得るが、本発明がこれに限定されることはない。代案的な例として、温度推定地点は空気と接触する第2二次電池11bの外側表面の中央であり得る。
【0051】
図1に示されたように、二次電池パック10と冷却デバイス20とが結合された場合、第2二次電池11bの下端部50は冷却デバイス20の流入口21側と最も近く位置しているため、冷却デバイス20側への熱伝達が円滑であり、下端部50の温度が他の部分に比べて相対的に低い。
【0052】
図2は、本発明の実施形態による集中熱モデルの一例を示した図である。
【0053】
図2を参照すると、本発明の実施形態による集中熱モデルは、閉ループ回路上で直列で連結された三つの第1~第3熱抵抗(R
1,2、R
1,c、R
2,c)、及び隣接する熱抵抗の間に備えられる三つの第1~第3温度ノード(T
1、T
2,estimate、T
coolant)を含む。
【0054】
ここで、第1熱抵抗(R1,c)は、第1二次電池11aに取り付けられたセル温度測定部30の第1温度測定地点と冷却デバイス20の流入口21側に取り付けられた冷媒温度測定部40の第2温度測定地点との間に存在する熱抵抗である。
【0055】
また、第2熱抵抗(R1,2)は、前記第1温度測定地点と第2二次電池11bの温度推定地点との間に存在する熱抵抗である。
【0056】
また、第3熱抵抗(R2,c)は、第2二次電池11bの温度推定地点と前記第2温度測定地点との間に存在する熱抵抗である。
【0057】
また、第1温度ノード(T1)は、セル温度測定部30によって測定された温度である。
【0058】
また、第2温度ノード(Tcoolant)は、冷媒温度測定部40によって測定された温度である。
【0059】
また、第3温度ノード(T2,estimate)は、第2二次電池11bの温度推定地点に対する推定温度である。
【0060】
集中熱モデルによれば、質量mを有して定圧比熱がCpである客体の発熱量をQdissipationとし、外部の客体から伝達されるか又は外部の客体から吸収される熱量をQconvectionと定義すれば、以下のような数式(1)が成立する。
【0061】
もし、対象客体が外部の客体から熱を吸収すれば、Q
convectionの符号はプラスに変更される。
【数2】
【0062】
二次電池パック10が充電されるとき、それぞれの二次電池11の端子電圧Vは下記の数式(2)のように開放電圧(OCV)と内部抵抗(R)によるIR電圧の和として表すことができる。Iは二次電池11に流れる充電電流である。
【数3】
【0063】
また、それぞれの二次電池11に充電電流Iが流れるとき、二次電池11の発熱量Q
dissipationは下記の数式(3)で表すことができる。
【数4】
【0064】
また、集中熱モデルによれば、温度が高い客体から温度が低い客体に伝達される熱量は下記の数式(4)で表すことができる。
【数5】
【0065】
数式4において、Thighは温度が高い客体の温度を示し、Tlowは温度が低い客体の温度を示す。そして、Rh,lは、温度が高い客体と温度が低い客体との間に存在する熱抵抗を示す。
【0066】
上記の数式(3)及び(4)を本発明の実施形態による集中熱モデルの第1温度ノード(T
1)に適用すれば、以下のような数式(5)を誘導することができる。
【数6】
【0067】
上記の数式(5)において、右側の一番目の数式は所定時間(dt)の間に発生する第1二次電池11aの発熱量であり、二番目の数式は所定時間(dt)の間に温度の高い第1二次電池11aから温度の低い第2二次電池11b側に伝達される熱量であり、三番目の数式は所定時間(dt)の間に温度の高い第1二次電池11aから温度の低い冷却デバイス20の冷媒に伝達される熱量である。V1とOCV1は第1二次電池11aの端子電圧と開放電圧であり、I1は第1二次電池11aの充電電流である。R12は第1二次電池11aの温度測定地点と第2二次電池11bの温度推定地点との間の熱抵抗であり、R1,cは第1二次電池11aの温度測定地点と冷媒温度測定地点との間の熱抵抗である。また、T1はセル温度測定部30で測定した温度であり、Tcoolantは冷媒温度測定部40で測定した温度であり、T2,estimateは第2二次電池11bの温度推定地点の推定温度である。
【0068】
また、上記の数式(3)及び(4)を本発明の実施形態による集中熱モデルの第3温度ノード(T
2,estimate)に適用すれば、以下のような数式(6)を誘導することができる。
【数7】
【0069】
上記の数式(6)において、右側の一番目の数式は所定時間(dt)の間に発生する第2二次電池11bの発熱量であり、二番目の数式は所定時間(dt)の間に温度の高い第1二次電池11aから温度の低い第2二次電池11b側に伝達される熱量であり、三番目の数式は所定時間(dt)の間に温度の高い第2二次電池11bから温度の低い冷却デバイス20の冷媒に伝達される熱量である。V2とOCV2は第2二次電池11bの端子電圧と開放電圧であり、I2は第2二次電池11bの充電電流である。R12は第1二次電池11aの温度測定地点と第2二次電池11bの温度推定地点との間の熱抵抗であり、R2,cは第2二次電池11bの温度推定地点と冷媒温度測定地点との間の熱抵抗である。また、T1はセル温度測定部30で測定した温度であり、Tcoolantは冷媒温度測定部40で測定した温度であり、T2,estimateは第2二次電池11bの温度推定地点の推定温度である。
【0070】
上記の数式(5)及び(6)において、右側の二番目の数式は同一であり、符号のみが反対である。したがって、上記の数式(5)及び(6)を組み合わせれば、下記の数式(7)を誘導することができる。
【数8】
【0071】
上記の数式(7)において、T1及びTcoolantはそれぞれセル温度測定部30及び冷媒温度測定部40によって測定される温度であり、R1,c及びR2,cは予め定義される熱抵抗であり、mとCpは二次電池パック10を構成する二次電池11の質量と定圧比熱値で近似することができる。すなわち、第1及び第2二次電池11a、11bを含んで二次電池パック10を構成するすべての二次電池11が同一質量と定圧比熱を有すると近似することができる。また、第1二次電池11aの充電電流と第2二次電池11bの充電電流とは同一であるため、I1及びI2は二次電池パック10の充電電流(I)で代替可能である。
【0072】
上記の数式(7)は離散時間モデル(time-discrete model)によって下記の数式(8)に変換可能である。
【数9】
【0073】
上記の数式(8)において、kでインデックスされた変数は現在時点で測定または推定される値であり、k-1でインデックスされた変数は直前時点で測定または推定された値である。I1及びI2は第1二次電池11a及び第2二次電池11bの充電電流であり、二次電池パック10の充電電流(I)と同一である。
【0074】
上記の数式(8)において、T2,estimateの初期条件は、セル温度測定部30によって初めて測定された第1二次電池11aの温度と同一に設定するか又は予め設定された所定%だけ低く設定できる。
【0075】
望ましくは、本発明は、上記の数式(8)を用いて一定時間間隔でV1、V2、OCV1、OCV2、I、T1及びTcoolantを決定し、予め設定されたパラメータ値(R1,c、R2,c、m、Cp)を用いて第2二次電池11bの温度推定地点に対する温度(T2,estimate)を推定し、推定された温度を二次電池パック10の最低温度(Tmin)として決定することができる。そして、本発明は、最低温度(Tmin)に応じて二次電池パック10に対する充電電流及び/または充電電圧を調節し、二次電池パック10に供給される充電電力を調節することができる。これについては後述する。
【0076】
本発明において、熱抵抗は、二つの地点の間に存在する構造を通じて単位熱量(例えば、1J)が1秒当り伝達されるときの二つの地点間の温度差に該当し、単位はK(kelvin)/W(watt)である。
【0077】
望ましくは、熱抵抗は、ASTM D5470で規定した標準測定方法に準じて測定できる。
【0078】
一例として、二つの地点A及びBに対する熱抵抗RA,Bは、次のような方法で決定可能である。
【0079】
まず、地点Aにはヒーターを取り付け、地点Bにはクーラーを取り付けて、地点AはTAの温度に維持し、地点BはTBの温度に維持して、地点Aと地点Bとの間に温度勾配△を形成する。
【0080】
温度勾配△が形成されれば、地点Aから熱源を除去し、地点Bではクーラーを用いて温度をTBに維持し続ける。すると、A地点の温度はTAから指数関数的に(exponentially)徐々に減少してTBに収束する。この過程で、A地点における時間tに対する温度変化曲線TA,measure(t)が得られる。
【0081】
一方、地点Aにおける温度変化は、集中熱モデルを用いて以下のように近似的に解析することができる。
【数10】
【0082】
上記の数式(11)の微分方程式を解けば、以下の数式(12)が得られる。
【数11】
【0083】
上記の数式(12)において、mは地点Aと地点Bとの間に存在する構造物の質量であり、Cpは定圧比熱であるため、既知の値である。したがって、上記の数式(12)のTA(t)が実験を通じて得られた温度変化曲線TA,measure(t)に追従するようにRA,Bをチューニングすることができ、チューニングされたRA,B値が地点Aと地点Bとの間の熱抵抗である。
【0084】
以下、上述した内容に基づいて、本発明による二次電池パックの充電制御装置及び方法について詳しく説明する。
【0085】
図3は、本発明の実施形態による二次電池パックの充電制御装置を示したブロック図である。
【0086】
図1及び
図3を一緒に参照すると、本発明の実施形態による二次電池パックの充電制御装置100は、冷却デバイス20と結合された二次電池パック10の充電電力を調節するためのものであり、セル温度測定部30、冷媒温度測定部40、電圧測定部50、電流測定部60、最低温度推定部70、充電電力調整部80及び保存部90を含む。
【0087】
セル温度測定部40は、最低温度推定部70の要請に応じて周期的に複数の二次電池10から選択された第1二次電池11aの第1温度(T1)を測定し、第1温度(T1)の測定値を最低温度推定部70に出力する。
【0088】
冷媒温度測定部40は、最低温度推定部70の要請に応じて周期的に冷却デバイス20に流れ込む冷媒の第2温度(Tcoolant)を測定し、第2温度(Tcoolant)の測定値を最低温度推定部70に出力する。
【0089】
セル温度測定部30及び冷媒温度測定部40は、熱電対(thermocouple)のように当業界で公知の温度センサであり得るが、本発明がこれに限定されることはない。
【0090】
電圧測定部50は、最低温度推定部70の要請に応じて周期的に二次電池パック10を構成する二次電池1の端子電圧を測定し、端子電圧の測定値を最低温度推定部70に出力する。
【0091】
説明の便宜上、電圧測定部50が測定した端子電圧のうち第1二次電池11aの端子電圧を第1端子電圧(V1)、第2二次電池11bの端子電圧を第2端子電圧(V2)と称する。
【0092】
電圧測定部50は、それぞれの二次電池10の端子電圧を時分割方式で測定するために電圧センシングラインをスイッチングするマルチプレクサ、それぞれの二次電池10の電圧を充電及び保持するフローティングキャパシタ、フローティングキャパシタに充電及び保持された二次電池10の電圧を測定する電圧センシング回路などを含み得るが、本発明がこれらに限定されることはない。
【0093】
電流測定部60は、最低温度推定部70の要請に応じて周期的に二次電池パック10に流れる充電電流(I)を測定し、電流測定値を最低温度推定部70に出力する。
【0094】
電流測定部60は、二次電池パック10に充電電流(I)が流れるとき、センス抵抗65の両端に印加される電圧を測定して最低温度推定部70に出力することができる。センス抵抗65の両端電圧は電流測定値に該当する。最低温度推定部70はオームの法則(V=IR)を用いてセンス抵抗65の両端電圧を充電電流に変換することができる。勿論、電流測定部60は、ホールセンサのような他の公知の電流センサで代替可能である。
【0095】
最低温度推定部70は、セル温度測定部30、冷媒温度測定部40、電圧測定部50及び電流測定部60と動作可能に結合される。また、最低温度推定部70は、周期的にセル温度測定部30、冷媒温度測定部40、電圧測定部50及び電流測定部60から第1二次電池11aの第1温度(T1)測定値、冷媒の第2温度(Tcoolant)測定値、第1及び第2二次電池11a、11bの第1端子電圧(V1)測定値及び第2端子電圧(V2)測定値を含む全体二次電池11の端子電圧測定値、及び二次電池パック10に流れる充電電流(I)の測定値の入力を受けてデジタルデータに切り換えた後、保存部90に記録する。
【0096】
保存部90は、電気的、磁気的、光学的または量子学的にデータを記録し消去可能な保存媒体である。保存部90は、非制限的に、RAM(random access memory)、ROM(read only memory)、レジスタ、ハードディスク、光記録媒体または磁気記録媒体であり得る。保存部90は、最低温度推定部70によってアクセスできるように、例えばデータバスなどを介して最低温度推定部70と電気的に結合され得る。
【0097】
保存部90は、最低温度推定部70によって実行される各種の制御ロジックを含むプログラム及び/または制御ロジックの実行時に発生するデータを、保存及び/または更新及び/または消去することができる。保存部90は、論理的に二つ以上に分割可能であり、最低温度推定部70内に含まれることを制限しない。
【0098】
最低温度推定部70は、周期的に第1二次電池11a及び第2二次電池11bの第1充電状態(SOC1)及び第2充電状態(SOC2)を推定し、各充電状態に対応する第1開放電圧(OCV1)及び第2開放電圧(OCV2)を決定することができる。
【0099】
一例として、最低温度推定部70は、電流積算法で第1二次電池11a及び第2二次電池11bの第1及び第2充電状態(SOC1、SOC2)を推定し、第1及び第2充電状態(SOC1、SOC2)に対応する第1及び第2開放電圧(OCV1、OCV2)を決定し得る。
【0100】
具体的には、最低温度推定部70は、二次電池パック10の充電が始まる直前に電圧測定部50を制御して第1二次電池11a及び第2二次電池11bの第1端子電圧(V1)及び第2端子電圧(V2)を測定し、第1端子電圧(V1)及び第2端子電圧(V2)を第1二次電池11a及び第2二次電池11bの第1開放電圧(OCV1)の初期値及び第2開放電圧(OCV2)の初期値として決定する。
【0101】
その後、最低温度推定部70は、保存部90に予め記録されたSOC-OCVルックアップテーブルから第1及び第2開放電圧(OCV1、OCV2)の初期値に該当する第1及び第2充電状態(SOC1、SOC2)を読み出すことで、第1二次電池11a及び第2二次電池11bの第1充電状態(SOC1)の初期値及び第2充電状態(SOC2)の初期値を決定する。
【0102】
その後、二次電池パック10の充電が始まれば、最低温度推定部70は、周期的に測定される充電電流(I)を積算して第1二次電池11a及び第2二次電池11bの第1充電状態(SOC1)及び第2充電状態(SOC2)を決定し、SOC-OCVルックアップテーブルを参照して第1充電状態(SOC1)及び第2充電状態(SOC2)に対応する第1開放電圧(OCV1)及び第2開放電圧(OCV2)を読み出すことで、第1及び第2二次電池11a、11bの第1開放電圧(OCV1)及び第2開放電圧(OCV2)を更新して保存部90に記録する。
【0103】
代案として、最低温度推定部70は、周期的に測定される電流及び電圧データを用いて当業界で公知の拡張カルマンフィルターのような適応的アルゴリズムを活用して第1二次電池11a及び第2二次電池11bの第1及び第2充電状態(SOC1、SOC2)を決定し、SOC-OCVルックアップテーブルを参照して第1充電状態(SOC1)及び第2充電状態(SOC2)に対応する第1開放電圧(OCV1)及び第2開放電圧(OCV2)を読み出すことで、第1及び第2二次電池11a、11bの第1開放電圧(OCV1)及び第2開放電圧(OCV2)を更新して保存部90に記録し得る。
【0104】
本発明において、最低温度推定部70は、電流積算法、拡張カルマンフィルターアルゴリズムの外にも、当業界で公知の他の方法を用いて第1二次電池11a及び第2二次電池11bの充電状態(SOC1、SOC2)を決定できることは自明である。
【0105】
望ましくは、最低温度推定部70は、周期的に、例えば1秒単位で電圧、電流及び温度データが収集される度に、集中熱モデル(
図2参照)から誘導された上述した数式(8)を用いて第2二次電池11bの温度推定地点に対する第3温度(T
2,estimate)を推定し、第3温度(T
2,estimate)を二次電池パック10の最低温度(T
min)として決定することができる。最低温度推定部70は、決定された二次電池パック10の最低温度(T
min)を保存部90に記録する。
【0106】
最低温度推定部70は、数式(8)を適用して第3温度(T2,estimate)を決定する際、第3温度(T2,estimate)の初期値を第1温度(T1)の初期値(T1(1))と同一に設定するか又は第1温度(T1)の初期値より所定%だけ低く設定することができる。また、熱抵抗(R1,c、R2,c)、二次電池11の質量(m)及び定圧比熱(Cp)は、保存部90に予め記録されたパラメータデータを参照できる。
【0107】
充電電力調整部80は、最低温度推定部70と動作可能に結合され、最低温度推定部70から二次電池パック10の最低温度(Tmin)の入力を受け、最低温度(Tmin)に応じて二次電池パック10に提供される充電電力を適応的に変化させることができる。
【0108】
一例として、充電電力調整部80は、二次電池パック10の充電電流と二次電池パック10の最低温度(Tmin)との間の予め定義された相関関係、例えば最低温度-充電電流ルックアップテーブルを参照して最低温度(Tmin)に対応する充電電流を決定し、充電装置110を制御することで決定された充電電流を二次電池パック10に提供することができる。
【0109】
ここで、充電モードは、二次電池10の端子電圧がカットオフ電圧に到達するまで充電電流の大きさが一定に維持される定電流充電モードであり得るが、本発明がこれに限定されることはない。
【0110】
他の例として、充電電力調整部80は、二次電池パック10の充電電圧と二次電池パック10の最低温度(Tmin)との間の予め定義された相関関係、例えば最低温度-充電電圧ルックアップテーブルを参照して最低温度(Tmin)に対応する充電電圧を決定し、充電装置110を制御することで決定された充電電圧を二次電池パック10に提供することができる。
【0111】
ここで、充電モードは、二次電池パック10の端子電圧が満充電圧に到達するまで充電電圧の大きさが一定に維持される定電圧充電モードであり得るが、本発明がこれに限定されることはない。
【0112】
充電電力調整部80は、定電流充電モードと定電圧充電モードの外にも、パルス充電モードによって充電電力を二次電池パック10に供給可能である。この場合、充電電力調整部80は、二次電池パック10の最低温度(Tmin)に応じて充電パルスの振幅、維持時間、デューティー比などを適応的に変化できる。
【0113】
一方、最低温度推定部70は、第1二次電池11a及び第2二次電池11bの退化度(SOH)を決定し、決定された退化度に応じて第1熱抵抗(R1,2)、第2熱抵抗(R1,c)及び第3熱抵抗(R2,c)を変化させることができる。
【0114】
具体的には、最低温度推定部70は、保存部90に累積された複数の電圧データ及び電流データを用いて最小自乗法(least square method)によって第1二次電池11a及び第2二次電池11それぞれに対するI-V直線方程式を算出し、それぞれのI-V直線方程式の傾きを第1二次電池11a及び第2二次電池11bの内部抵抗として決定することができる。そして、最低温度推定部70は、保存部90に予め記録されている第1二次電池11aの初期内部抵抗と第2二次電池11bの初期内部抵抗を基準にした内部抵抗の増加率%を決定し、(100%-増加率)を退化度値として決定することができる。その後、最低温度推定部70は、二次電池10の退化度によって第1熱抵抗(R1,2)、第2熱抵抗(R1,c)及び第3熱抵抗(R2,c)の相関関係を定義しているルックアップテーブルを参照して退化度に対応する第1熱抵抗(R1,2)、第2熱抵抗(R1,c)及び第3熱抵抗(R2,c)を読み出すことで、第1熱抵抗(R1,2)、第2熱抵抗(R1,c)及び第3熱抵抗(R2,c)を現在の退化度に応じて変化させることができる。
【0115】
本発明は、退化度を算出する方法によって限定されないため、内部抵抗を用いた退化度の算出法の外にも、本発明が属した技術分野で公知の他の方法によっても退化度が算出可能であることは自明である。
【0116】
一実施例によれば、最低温度推定部70は、マイクロプロセッサを含むMCU(micro control unit)で具現できる。このような実施形態において、最低温度推定部70は、上述した制御ロジックを実行するために当業界に知られたプロセッサ、ASIC(application-specific integrated circuit)、他のチップセット、論理回路、レジスタ、通信モデム、メモリ素子、データ処理装置などを選択的に含むことができる。
【0117】
また、上述した制御ロジックは、MCUで実行可能なプログラムにコーディングされてMCUのプロセッサがアクセス可能な保存媒体に保存されて実行できる。保存部90がMCU内に組み込まれる場合、前記プログラムは保存部90に記録されることを制限しない。
記録媒体は、コンピュータに含まれたプロセッサによってアクセス可能なものであればその種類に特に制限がない。一例として、前記記録媒体はROM、RAM、レジスタ、CD-ROM、磁気テープ、ハードディスク、フロッピーディスク及び光データ記録装置を含む群から選択された少なくとも一つ以上を含む。
【0118】
コード体系は、キャリア信号に変調されて特定時点で通信キャリアに含まれ、ネットワークで連結されたコンピュータに分散して保存されて実行され得る。また、組み合わせられた制御ロジックを具現するための機能的なプログラム、コード及びコードセグメントは、本発明が属する技術分野のプログラマによって容易に推論可能である。
【0119】
他の実施例によれば、充電電力調整部80は、充電装置110を制御するものであって、充電装置110内に備えられた制御ユニットであり得る。このような場合、最低温度推定部70と充電電力調整部80とは通信インタフェースを通じて連結され、最低温度推定部70は通信インタフェースを通じて二次電池パック10の最低温度(Tmin)を充電電力調整部80に伝送することができる。
【0120】
望ましくは、通信インタフェースは、CAN通信インタフェース、RS232通信インタフェースなどの有線通信インタフェース、及びZigBee(登録商標)、ブルートゥース(登録商標)(Bluetooth(登録商標))、WiFiなどの近距離無線通信インタフェースであり得る。
【0121】
本発明の実施形態による二次電池パックの充電制御装置は、電気駆動装置に含まれ得る。
【0122】
電気駆動装置は、スマートフォン、タブレットPC、ラップトップパソコン、電気自動車、ハイブリッド自動車、プラグハイブリッド自動車、電気自転車、無人飛行機(ドローン)、電力貯蔵装置、無停電電源供給装置などのように二次電池パックから電力の供給を受ける多様な装置であり得る。
【0123】
また、本発明による二次電池パックの充電制御装置は、二次電池パックの充電と放電を制御するバッテリー管理システム(Battery Management System)に含まれ得る。
【0124】
図4は、本発明の実施形態による二次電池パックの充電制御方法を示したフロー図である。
【0125】
以下、
図4を参照して本発明の実施形態による二次電池パックの充電制御方法を詳しく説明する。
【0126】
まず、段階S10において、最低温度推定部70は、二次電池パック10の充電開始前に電圧測定部50を制御して第1二次電池11a及び第2二次電池11bの第1端子電圧(V1)及び第2端子電圧(V2)を測定し、第1端子電圧(V1)及び第2端子電圧(V2)を第1二次電池11a及び第2二次電池11bの第1開放電圧(OCV1)の初期値及び第2開放電圧(OCV2)の初期値として決定する。
【0127】
次いで、段階S20において、最低温度推定部70は、保存部90に予め記録されたSOC-OCVルックアップテーブルから第1及び第2開放電圧(OCV1、OCV2)の初期値に該当する第1及び第2充電状態(SOC1、SOC2)を読み出すことで、第1二次電池11a及び第2二次電池11bの第1充電状態(SOC1)及び第2充電状態(SOC2)の初期値を決定する。
【0128】
その後、段階S30において、最低温度推定部70は、二次電池パック10の充電が始まれば、セル温度測定部30、冷媒温度測定部40、電圧測定部50及び電流測定部60を制御して、周期的に第1二次電池11aの第1温度(T1)測定値、冷却デバイス20流入口21側の第2温度(Tcoolant)測定値、第1二次電池11aの第1端子電圧(V1)の測定値と第2二次電池11bの第2端子電圧(V2)の測定値を含む二次電池11の端子電圧測定値、及び第1及び第2二次電池11a、11bに流れる充電電流に該当する二次電池パック10の充電電流(I)測定値の入力を受けて保存部90に記録する。
【0129】
段階S40において、最低温度推定部70は、S10段階で決定された第1充電状態(SOC1)の初期値と第2充電状態(SOC2)の初期値を基準にして周期的に測定される充電電流(I)を積算して第1二次電池11a及び第2二次電池11bの第1充電状態(SOC1)及び第2充電状態(SOC2)を決定し、SOC-OCVルックアップテーブルを参照して第1充電状態(SOC1)及び第2充電状態(SOC2)に対応する第1開放電圧(OCV1)及び第2開放電圧(OCV2)を読み出すことで、第1及び第2二次電池11a、11bの第1開放電圧(OCV1)及び第2開放電圧(OCV2)を更新して保存部90に保存する。
【0130】
ここで、最低温度推定部70は、電流積算法の外にも、拡張カルマンフィルターアルゴリズムや当業界で公知の他の方法を用いて第1二次電池11a及び第2二次電池11bの充電状態(SOC1、SOC2)を決定可能であることは自明である。
【0131】
次に、段階S50において、最低温度推定部70は、周期的に、例えば1秒単位で電圧、電流及び温度データが収集される度に、集中熱モデル(
図2参照)から誘導された上述した数式(8)を用いて第2二次電池11bの温度推定地点に対する第3温度(T
2,estimate)を推定し、第3温度(T
2,estimate)を二次電池パック10の最低温度(T
min)として決定することができる。最低温度推定部70は、決定された二次電池パック10の最低温度(T
min)を保存部90に記録する。
【0132】
最低温度推定部70は、数式(8)を適用して第3温度(T2,estimate)を決定する際、第3温度(T2,estimate)の初期値を第1温度(T1)の初期値と同一に設定するか又は第1温度(T1)の初期値より所定%だけ低く設定することができる。また、熱抵抗(R1,c、R2,c)、二次電池11の質量(m)及び定圧比熱(Cp)は、保存部90に予め記録されたパラメータデータを参照できる。
【0133】
次いで、段階S60において、最低温度推定部70は、S50段階で決定した二次電池パック10の最低温度(Tmin)を充電電力調整部80側に伝達する。
【0134】
すると、段階S70において、充電電力調整部80は、最低温度推定部70から二次電池パック10の最低温度(Tmin)の入力を受け、最低温度(Tmin)に応じて二次電池パック10に提供される充電電力を適応的に変化させることができる。
【0135】
一例として、充電電力調整部80は、二次電池パック10の充電電流と二次電池パック10の最低温度(Tmin)との間の予め定義された相関関係、例えば最低温度-充電電流ルックアップテーブルを参照して最低温度(Tmin)に対応する充電電流を決定し、充電装置110を制御することで決定された充電電流を二次電池パック10に提供することができる。
【0136】
ここで、充電モードは、二次電池10の端子電圧がカットオフ電圧に到達するまで充電電流の大きさが一定に維持される定電流充電モードであり得るが、本発明がこれに限定されることはない。
【0137】
他の例として、充電電力調整部80は、二次電池パック10の充電電圧と二次電池パック10の最低温度(Tmin)との間の予め定義された相関関係、例えば最低温度-充電電圧ルックアップテーブルを参照して最低温度(Tmin)に対応する充電電圧を決定し、充電装置110を制御することで決定された充電電圧を二次電池パック10に提供することができる。
【0138】
ここで、充電モードは、二次電池10の端子電圧が満充電電圧に到達するまで充電電圧の大きさが一定に維持される定電圧充電モードであり得るが、本発明がこれに限定されることはない。
【0139】
充電電力調整部80は、定電流充電モードと定電圧充電モードの外にも、パルス充電モードによって充電電力を二次電池パック10に供給可能である。この場合、充電電力調整部80は、二次電池パック10の最低温度(Tmin)に応じて充電パルスの振幅、維持時間、デューティー費などを適応的に変化できる。
【0140】
一方、最低温度推定部70は、上述したように、第1二次電池11a及び第2二次電池11bの退化度(SOH)を決定し、決定された退化度に応じて第1熱抵抗(R1,2)、第2熱抵抗(R1,c)及び第3熱抵抗(R2,c)を変化させることができる。
【0141】
本発明の多様な実施形態の説明において、「部」と称される構成要素は物理的に区分される要素ではなく、機能的に区分される要素として理解されねばならない。したがって、それぞれの構成要素は他の構成要素と選択的に統合されるか、または、それぞれの構成要素が制御ロジックの効率的な実行のためにサブ構成要素に分割され得る。しかし、構成要素が統合または分割されても機能の同一性が認定されれば、統合または分割された構成要素も本発明の範囲内であると解釈されることは当業者にとって自明である。
【0142】
以上のように、本発明を限定された実施形態と図面によって説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の属する技術分野で通常の知識を持つ者によって本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0143】
本発明一態様によれば、集中熱モデルを用いて温度が最も低いと予想される位置にある二次電池の温度を最小化された数量の温度センサのみを用いて信頼性高く推定することができる。
【0144】
また、本発明の一態様によれば、最も温度が低いと推定される二次電池に合わせて充電電力を調節できるため、充電、特に急速充電を行う過程で負極にリチウムが析出される現象を防止することができる。
【0145】
さらに、本発明の一態様によれば、二次電池パックの二次電池のうち最低温度を有すると予想される二次電池の温度を集中熱モデルを用いて信頼性高く推定して充電電力を調節することで、二次電池パックが許容可能な最大限まで充電電力を増加させることができる。したがって、従来のように保守的に充電電力を調節する必要がないため、充電時間を短縮することができる。